手術器具
ラチェット機構(230)を備えるインライン形腹腔鏡手術器械が提供される。ラチェット機構は単一の作動手段(232)を備え、これを用いてハンドル(204、206)の一部分の間にあるラチェット(235)の係合を、係合、解除、又は無効化し得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して医療器具に関し、より詳細には、概して軸状の腹腔鏡器具の遠位用具端を操作するように構成されたハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
図1A〜1Bに図示されるとおり、典型的な軸状/インライン形の腹腔鏡用具の器具100は、概して5つの主要な構成要素、すなわち、ハンドル102、ハンドルから長手方向に延在する外側シャフト104、外側シャフトを貫通して延在する作動ロッド106、及び器具の遠位端に配置される作動可能な先端作用部110を有する。例示されるハンドル102は「インライン形ハンドル」であり、これは、外側シャフト104に取り付けられた静止ハンドル部分112と、作動ロッド106に取り付けられた作動可能なハンドル部分114とを有する。作動可能なハンドル部分114を静止ハンドル部分112に対して枢動させることにより作動させると、外側シャフト104の内部で作動ロッド106が軸線方向に動いて先端作用部110が動作する。作動可能なハンドル部分114は典型的には、ヒンジバネ115などのバネによって開放位置に付勢されている。既存の器具のなかには、ハンドル部分112、114を互いに対して選択位置に保持するためのラチェット機構を備えるものもある。図1A〜1Bに示されるとおり、公知のラチェットは、ラチェット歯付きアーム120を係合する爪アーム118を有する。ラチェットは離脱位置に付勢されているが、ラチェットレバー122を作動させて所定の位置に保持することによって選択可能に係合する/離脱させることができ、又は、横方向に装着された別個のラチェット係止ボタン124を作動させて、それがラチェット歯付き要素120を爪要素118から離脱させたまま保つ構成の角度に保持することにより、離脱したまま固定することができる。この構成では、使用者はラチェット係止ボタン124に触れてそれを作動させるために、反対側の手を使ったり、ハンドル102の把持位置を変えたり、或いはそのどちらか一方を行うことが必要となり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,498,256号明細書
【特許文献2】米国特許第5,827,263号明細書
【特許文献3】米国特許第5,489,290号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
当該技術分野では、上記の各構成要素の種々の変形例が導入されているが、製造に効率性をもたらし、且つ外科医及び他の使用者に人間工学的機能性を提供して安全性及び使い易さを促進する設計が必要とされている。特に、組立て易さ及び耐久性を提供するよう構成要素数が最小限に抑えられた簡便に使用できる係止機構を備えるハンドル設計が必要とされている。特に、使用者の把持する手によって様々な把持位置から容易に操作することができ、機構の係合、離脱、及び係止のために使用者が把持の仕方を大きく変えたり、又は他方の手を使ったりする必要のないラチェット機構を備える、耐久性のあるハンドル設計が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、使用及び製造上の利点を提供する人間工学的な設計に対する当該技術分野の要求に応えるように構成され得る。本発明の好ましい実施形態は、滅菌されて再使用され得るように構成され得る。一態様において、本発明の実施形態は、既定/静止位置にあるとき、ハンドル部材を互いに係合させるように付勢されるラチェット機構を含み得る。好ましいラチェット機構は、ラチェットを作動させるために使用者の把持の仕方が大きく変わることのないように、使用者に好都合に位置決めされた単一のボタン、レバー、スライド、スイッチ、又は他の作動手段を使用して作動させる(すなわち、係合、解除、又は無効化する)ことができるように構成され得る。これは、ラチェット機構を係合、解除、及び無効化状態の間で作動させるために、2つ以上の別個の構成要素を作動させること、及び使用者がその把持の仕方を大きく変えること−或いは(使用者又は助手の)もう一方の手を使うことまでも−、或いはそのどちらか一方が要求される先行技術のラチェット機構に優る利点を提供する。本発明の実施形態は、腹腔鏡手術器具用のハンドルの態様に関するが、当業者は、本発明のハンドルの実施形態が種々のシャフト構成及び先端作用部(例えば、持針器、クランプ、鋏、切開用器具、把持具)で用いられ得るとともに、かかる使用が本発明の範囲内であることを理解するであろう。
【0006】
一態様において、本発明は、細長シャフトと動作可能に連結されたハンドルを有するインライン形手術器械を含み、このハンドルは:第2のハンドル部材に枢動可能に連結された第1のハンドル部材であって、前記枢動可能な連結が双方のハンドル部材の近位端の近傍に位置する、第1のハンドル部材と;第1のハンドル部材に固定され、且つ第1のハンドル部材から第2のハンドル部材に向かって突出する第1の係合部材であって、第1の係合部材の第1の端部分が付勢されて第2の係合部材と係合する、第1の係合部材と;第1のハンドル部材に枢動可能に連結され、且つ第1の係合部材と動作接触により機械的に連動するカムスイッチとを含み;カムスイッチが第1の係合部材に対して第1の角度に配置されると、それによりもたらされる動作接触が、第1の係合部材を第2の係合部材と係合する付勢に打ち勝って離脱させるように、第1の係合部材を枢動させるのに十分となり;及び、カムスイッチが第1の係合部材に対して第2の角度にあるとき、該動作接触が、第1の係合部材を第2の係合部材と係合する付勢に打ち勝つように、第1の係合部材を枢動させるのに十分となり、且つ第1の係合部材を第2の係合部材との係合が外れた状態に付勢するのに十分となる。
【0007】
別の態様において、本発明は、細長シャフトと動作可能に連結されたハンドルを有するインライン形手術器械を含み、このハンドルは:第1のハンドル部材と;第1のハンドル部材に枢動可能に連結される第2のハンドル部材であって、双方のハンドル部材の近位端の近傍で連結される、第2のハンドル部材と;枢動可能な連結に対して遠位側に配置され、且つ第1のハンドル部材と第2のハンドル部材とを着脱可能に係合するように構成されたラチェット機構であって、第1のラチェット機構部分と第2のラチェット機構部分とを含むラチェット機構とを含み;第1のラチェット機構部分が:L字型ラチェット歯付き係合部材と;カム状レバー部材と;カムスイッチとを含み;L字型ラチェット歯付き係合部材が、第1のハンドル部材に枢動可能に装着され、且つ第1のハンドル部材から第2のハンドル部材に向かって突出し、L字型ラチェット歯付き係合部材は、レバー−アーム突出部分と概して垂直の歯付き部分を含み;カムスイッチが第1のハンドル部材に枢動可能に装着され、且つ第1のハンドル部材から第2のハンドル部材の逆側に向かって突出し;カム状レバー部材が、カム作用端と、レバー作用端と、それらの間でカム状レバー部材を第1のハンドル部材と枢動可能に連結する枢軸とを含み;及びカムスイッチがカム状レバー部材のカム作用端に接触し、且つカム状レバー部材のレバー作用端がL字型ラチェット歯付き係合部材のレバー−アーム突出部に接触し;カム作用端が隆起カム面と陥凹カム面とを含み;及び第2のラチェット機構部分が:第2のハンドル部材に装着された爪部材であって、爪歯部分と爪脚部分とを備える爪部材を含み、爪歯部分がラチェット歯付き係合部材の歯付き部分に向かって突出し、且つそれと係合するように構成され;及び、L字型ラチェット歯付き係合部材と接触する付勢バネが前記L字型ラチェット歯付き係合部材を付勢して爪歯部分と係合させ;及び、カムスイッチ及びカム状レバー部材のカム作用端は、カムスイッチがカム状レバー部材に対して第1の角度に配置されると、カムスイッチとカム状レバー部材の隆起カム面との間の第1の動作接触が、L字型ラチェット歯付き係合部材の、爪部材の爪歯部分とのその付勢による係合をてこ作用によって外すように構成され;及び、カムスイッチ及びカム状レバー部材のカム作用端はまた、カムスイッチがカム状レバー部材に対して第2の角度に配置されると、カムスイッチとカム状レバー部材の陥凹カム面との間の第2の動作接触が、L字型ラチェット歯付き係合部材の、爪部材の爪歯部分とのその付勢による係合をてこ作用によって外すように構成される。
【0008】
さらに別の態様において、本発明はインライン形手術器械ハンドル用の単一スイッチ解除/無効化ラチェット機構を含み、このラチェット機構は:カムスイッチ部材と、カムスイッチ部材と動作接触する枢動可能なラチェット部材と、付勢部材と、爪部材とを含み;機構がラチェット係合状態にあるとき、カムスイッチ部材は、動作接触が最小限となって付勢部材がラチェット部材を爪部材と係合した状態に付勢するように、第1のニュートラル位置を占め;機構がラチェット解除状態にあるとき、カムスイッチ部材は、動作接触により付勢部材の付勢が押し返されてラチェット部材が爪部材との係合状態から解除されるように、第2の位置を占め;及び、機構がラチェット無効化状態にあるとき、カムスイッチ部材は、動作接触によりラチェット部材が付勢されて爪部材との係合が外れた状態となるように、第3の位置を占める。
【0009】
なお別の態様において、本発明は、単一スイッチ解除/無効化機能部を備えたハンドルラチェット機構を有するインライン形手術器械を含み、このハンドルラチェット機構は:第1の係合部材と;ハンドル部分に枢動可能に装着され、且つ第1の係合部材に向かって突出する第2の係合部材であって、第2の係合部材の第1の端部分がバネ付勢されて第1の係合部材と係合する、第2の係合部材と;ハンドル部分と可動式に連結され、且つ第2の係合部材の第2の端部分との動作接触を含むカムスイッチとを含み;カムスイッチが第2の係合部材に対して第1の位置に置かれると、その動作接触が、第2の係合部材を第1の係合部材と係合するバネ付勢に打ち勝つように第2の係合部材を枢動させるのに十分となり;及び、カムスイッチが第2の係合部材に対して第2の位置に置かれると、その動作接触が、第2の係合部材を第1の係合部材と係合する付勢に打ち勝つように第2の係合部材を枢動させるのに十分となり、且つ第2の係合部材を第1の係合部材との係合が外れた状態に付勢するのにも十分となる。
【0010】
さらになお別の態様において、本発明は、細長シャフトと動作可能に連結されたハンドルを有するインライン形手術器械を含み、このハンドルは:その近位端近傍で、第2のハンドル部材の近位端近傍と枢動可能に連結された第1のハンドル部材と;第1のハンドル部材に含まれるラチェット歯付き係合部材と;第2のハンドル部材に枢動可能に装着された爪係合部材であって、歯付き係合部材の一部分が付勢されると係合する爪係合部材と;第1のハンドル部材に枢動可能に連結され、且つ歯付き係合部材の表面との動作接触を含む細長カムスイッチとを含み;細長カムスイッチが歯付き係合部材に対して第1の位置に置かれると、その動作接触が、歯付き係合部材を爪係合部材と係合する付勢に打ち勝つのに十分な力を提供し;及び、細長カムスイッチが歯付き係合部材に対して第2の位置に置かれると、その動作接触が、歯付き係合部材を爪係合部材と係合する付勢に打ち勝つように歯付き係合部材を枢動させるのに十分となり、且つ歯付き係合部材を爪係合部材との係合が外れた状態に付勢するのに十分となる。
【0011】
なお別の態様において、本発明は、細長シャフトと動作可能に連結されたハンドルを有するインライン形手術器械を含み、このハンドルは:単一の作動手段を作動させることによって係合、解除、及び無効化を行うように構成されたラチェット機構を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】先行技術の腹腔鏡用具の器具を示す。
【図1B】先行技術の腹腔鏡用具の器具を示す。
【図2A】本発明の第1のハンドルの実施形態を組み込む腹腔鏡器具の斜視図を示す。
【図2B】本発明の第1のハンドルの実施形態を組み込む腹腔鏡器具の側面立面図を示す。
【図3】本発明の部分的に分解されたハンドルの実施形態の斜視図を図示する。
【図3A】第1のハンドルの実施形態における本発明のラチェット機構の係合状態を示す。
【図3B】第1のハンドルの実施形態における本発明のラチェット機構の解除状態を示す。
【図3C】第1のハンドルの実施形態における本発明のラチェット機構の無効化状態を示す。
【図3D】刻み回転ノブが回転したときの本発明のハンドルの実施形態の側面図を示す。
【図4A】使用者が第1のハンドルの実施形態で利用し得る把持の仕方の1つを図示する。
【図4B】使用者が第1のハンドルの実施形態で利用し得る把持の仕方の1つを図示する。
【図4C】使用者が第1のハンドルの実施形態で利用し得る把持の仕方の1つを図示する。
【図4D】使用者が第1のハンドルの実施形態で利用し得る把持の仕方の1つを図示する。
【図5A】本発明の第2のハンドルの実施形態を組み込む腹腔鏡器具の側面立面図を示す。
【図5B】本発明の第2のハンドルの実施形態を組み込む腹腔鏡器具の斜視図を示す。
【図6A】第2のハンドルの実施形態における本発明のラチェット機構の係合状態を示す。
【図6B】第2のハンドルの実施形態における本発明のラチェット機構の解除状態を示す。
【図6C】第2のハンドルの実施形態における本発明のラチェット機構の無効化状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
腹腔鏡検査器具200用のハンドル202の第1の実施形態が、図2A〜2B及び図3〜3Dを参照して例示される。ハンドル202は、枢動ピン208で第2のハンドル部材206に枢動可能に取り付けられた第1のハンドル部材204を備える。第1のハンドル部材204及び第2のハンドル部材206は、好ましくは樹脂材料で作製され得るが、プラスチック、金属、又はオートクレーブにおける複数回の滅菌に好適であるとして当該技術分野において公知の他の材料で作製されてもよい。使い捨ての実施形態もまた、当該技術分野において公知の材料で作製され得る。細長管状シャフト280が第2のハンドル部材206から遠位方向に延在し、これは好ましくは、軸方向に回転可能に構成され得る。作動ロッド282が第1のハンドル部材204から遠位方向にシャフト280を貫通して延在する。器具200の遠位端に、先端作用部284(例えば、把持具、鋏、鉗子、切開用器具、持針器、クランプ)が、シャフト280及び作動ロッド282の双方と動作可能に連結される。当業者は、この構成によれば、第1のハンドル部材204を第2のハンドル部材206に対して枢動させることによって先端作用部284の作動がもたらされることを理解するであろう(例えば、米国特許第5,498,256号及び米国特許第5,827,263号を参照のこと)。
【0014】
図2A〜3Dに例示される実施形態において、単一スイッチ解除/無効化ラチェット機構として具体化されるラチェット機構230はハンドル202に装着され、第1のハンドル部材204を第2のハンドル部材206に対して使用者の選択した角度に選択可能に固定するように構成される。
【0015】
図3は、ハンドル202の部分分解図を示す。図3Aは、ハンドル202の一部分の長手方向断面図を示し、ラチェット機構を図3B〜3Dに図示されるものより詳細に示すために拡大しており、図3B〜3Dは、ハンドル全体の長手方向断面を示す。第2のハンドル部材206の上部近位領域は、第1のハンドル部材204を係合するように作製される。具体的には、上部近位領域は上側に延在する一対のアーム216を備え、これは、アーム216を貫通し、且つ第1のハンドル部材204の上部近位領域の両側で枢動ピン208(両端ネジ付きボルトとして図示される)を係合するように構成された枢軸開口218を備える。第1のハンドル部材204の近位下部領域は、作動ロッド282の近位端のボール286(又は他の作動ロッド保持構造)を受け止めるように構成される。第1のハンドル部材204の遠位上面は、使用者の把持及びハンドル端の触知位置、或いはそのどちらか一方を補助するように構成される陥凹面204aを備え得る。例示される実施形態において、一対のワイヤバネ299(好ましくはニチノールなどのニッケル−チタン形状記憶合金又は他の好適な材料で形成される)が第1のハンドル部分204の近位部分に装着され、第1のハンドル部分204を第2のハンドル部分206から離れる側に枢動させるよう付勢する形で、第2のハンドル部分206の内表面と接触するように構成され得る。この付勢の結果として、ハンドル202の既定位置ではハンドル部材204、206は離間されていることになる。加えて、この付勢は、ラチェット機構230(以下に記載される)が係合されたときに、その内部で係合張力を維持する働きをし得る。当業者は、例えば、1つ又は複数の圧縮バネ、ヒンジバネ、エラストマー構造又は当該技術分野において公知であるか、若しくは開発される他の付勢手段などの、ハンドルを離すように付勢する構成の他の実施形態が、本発明の範囲内で実施され得ることを理解するであろう。
【0016】
例示される実施形態において、第2のハンドル部材206の上部領域の遠位外面に刻み回転ノブ288が回転可能に重ねて置かれ、これはシャフト280に取り付けられる。回転ノブ288は好ましくは、シャフト280の内部に開口してシャフト280との流体連通を提供するように構成されたフラッシュポート289を備える。(代表的なフラッシュポート/回転ノブ機構の説明については、例えば、参照により本明細書に援用される米国特許第5,489,290号を参照のこと)。回転ノブ288は、シャフト280をその長手方向軸線の周りに、ハンドル202に対して回転させるための手段を提供する。ノブ288は好ましくは、使用者がハンドル202を手から離したり、若しくは把持の仕方を大きく変えたりすることなくそれを回転させることができるよう、人間工学的に規定された位置に配置され、及びその外表面は好ましくは、使用者の指に引っ掛かりを提供するように複数の幅広の溝を備える。ノブ288を回転させることによるシャフトの回転は好ましくは割り送りされ(例えば、ボールデテントの使用により)、それによってシャフト280を制御しながら正確に回転させることが可能となり、この回転は、円滑に動く形であっても、又は漸進的な形であってもよい。例示として、図3Dはハンドル202の外側面図を示し、ノブ288がある角度に回転している。当業者は、他の実施形態が、本発明の範囲内で単極又は双極電気手術器械としての使用向けに(例えば、当該技術分野において公知のとおり、電極及び適切に絶縁された表面を提供することにより)構成されてもよいことを理解するであろう。
【0017】
ハンドル202は、図3A〜3Cを参照して記載されるラチェット機構230を備え、その設計は、器具200の組立て及び使い易さの点で利点を提供する。第1のハンドル部材204には、逆L字型ラチェット歯付き部材231が(横方向の枢動ピン231aで)、解除/無効化カムレバー又はカムスイッチ(これらは本明細書では同義として用いられる)−ここではカムスイッチ232として図示される−、カムスイッチ232とラチェット歯付き部材231との間の機械的連動を提供するカム状レバー233と共に、枢動可能に装着される。板バネ234が一端でラチェット歯付き部材231に装着されてもよく、そのことにより、それ(231)をカム状レバー233に対抗するように付勢し、カム状レバー233は付勢されてカムスイッチ232と接触する。第2のハンドル部材206には、ラチェット歯付き部材231の向かい側に爪部材238が配置される。ラチェット歯付き部材231は僅かに湾曲した歯付き突出部235を備え、これは第1のハンドル部材204から外に第2のハンドル部材206に向かって延在する。爪部材238は第1のハンドル部材204に向かって延在し、ラチェット歯付き部材231の歯付き突出部235の歯を係合するように構成された爪歯237を備える。カム状レバー233はまた、その上側面に第1の陥凹カム面233bを、及び第1のカム面233bから上方遠位方向に延在する第2の隆起カム面233cを備える。当業者は、板バネ234として具体化される付勢手段が、他の実施形態においては、例えば、上述される構成要素のいずれかに隣接して所望の付勢を提供するように置かれた圧縮バネ若しくはコイルバネ、又は所望の付勢を提供するように構成されたエラストマー部材など、本発明の範囲内で他の形態をとってもよいことを理解するであろう。
【0018】
板バネ234の近位端は、ラチェット歯付き部材231に当該部材の枢動ピン231aの下方で固定され、且つ、その遠位接触面がカム状レバー233の下側面に、それ(233)の装着ピン/枢動ピン233aにおける支点/枢軸より遠位側で接触するように置かれ、それによってカム状レバー233の遠位側部分の概して上方への付勢と、ラチェット歯付き部材231の(枢動ピン231aの下方の)下部分の概して近位方向への付勢とを同時に行う。カムスイッチ232は、カムスイッチ枢動ピン232aによって第1のハンドル部材206に枢動可能に取り付けられる。代替的実施形態において、ラチェット歯付き部材231と爪部材238との相対的な位置は逆であってもよい(例えば、爪部材が第1のハンドル部材に枢動可能に配置され、且つラチェット歯付き部材が第2のハンドル部材に配置されるなど)。当業者は、この相補面/係合面の可逆性が本発明の他の実施形態に適用可能であり、例示される実施形態の他の変形例が本発明の範囲内で実施され得ることを理解するであろう。当業者はまた、本発明の範囲内で、機構の全体の配置を逆に−例えば、カムスイッチ232及び爪部材又はラチェット歯付き部材のいずれかが、枢動しないハンドル部材に配置されるなどしてもよいことも理解するであろう。
【0019】
ラチェット機構230は、使用者によって選択される3つの状態(係合、解除、及び無効化)のうちの1つに作動させることができ、これらの状態は、それぞれ、図3A、3B、及び3Cを参照して記載される。
【0020】
図3Aに示されるとおり、ラチェット機構230が係合状態にあるとき、ラチェット歯付き突出部235の歯は爪部材238の爪歯237と係合している。この係合は、第1のハンドル204が(例えば、ワイヤバネ299のハンドルを分離させる付勢によって)第2のハンドル206から離れるように動くことは阻止するが、第1のハンドル204が第2のハンドル206に近付くように動くことは可能とし、ラチェット歯が爪歯237を越えて漸進的に動くとき、聴覚的及び触覚的フィードバックを伴う。係合状態では、ラチェット歯付き部材231のラチェット歯付き突出部235との爪歯の接触は、板バネ234がカム状レバー233の下側を付勢していることによって維持される。この板バネの付勢が、ラチェット歯付き部材231の(その枢軸231aの下方の)一部に対して近位方向の力を及ぼし、それによってラチェット歯付き部材231がその枢軸231aの周りに、湾曲した歯付き突出部235を近位方向に送って第2のハンドル部材206の爪部材238の爪歯237と係合させるように枢動する。ハンドル202が係合位置にあるとき、カムスイッチ232は静止しており(例示される実施形態ではニュートラルな中央位置にあり)、カム状レバー233との有効な動作接触は有しない。例示される実施形態において、ワイヤバネ299のハンドル部材204、206に対する付勢の離間作用は、ラチェット歯付き部材231と爪部材238との間の接触張力を維持するよう働き得る張力をもたらす。
【0021】
図3Bに示されるとおり、ラチェット機構230が解除状態にあるとき、ラチェット歯付き突出部235の歯は爪部材238の爪歯237から離脱する。この離脱により、第1のハンドル204は第2のハンドル206に向かって、又は第2のハンドル206から離れるように、自在に動くことが可能となる。解除状態は、カムスイッチ232の上端を遠位方向に枢動させることによって有効となる。このように枢動させると、カムスイッチ232は、カム状レバー233の第2の隆起カム面233cに対して動作接触した状態に動的に保持される。この接触により、カム状レバー233の(カム状レバー枢動ピン233aより遠位の)遠位部分がてこ作用により板バネ234の付勢に対抗して下方に動く。結果的に、カム状レバー233の近位部分がてこ作用によりラチェット歯付き部材231の上部遠位突出部231bに対抗して上方に動き、それによってそれ(231)がその枢動ピン231aの周りに、その下部分(ラチェット歯付き突出部235)を遠位方向に枢動させて第2のハンドル部材206の爪部材238の爪歯237との係合を外すように回転する。解除状態を維持するためには、カムスイッチ232を遠位側/前方に回転した位置に(板バネ234の付勢に抵抗して)保持しなければならない。カムスイッチ232を離すと、板バネ234の付勢によってラチェット機構230はその係合状態に戻ることが出来る。
【0022】
図3Cではラチェット機構230は無効化状態にあり、ここではラチェット歯付き突出部235が爪部材238の爪歯237から離脱しており、ハンドル部分204、206は、ラチェット機構230が係合することなく、且つ使用者がカムスイッチ232に動的な圧力(解除状態において要求されるとおりの)を及ぼすことなく、全可動域にわたって移動することが可能である。無効化状態は、カムスイッチ232の上端を近位位置に枢動させることによって有効となる。この無効化状態において、カムスイッチ232の下部分は、カム状レバー233の第1の陥凹カム面233bに対して動作接触した状態に固定される。この接触により、カム状レバー233の(カム状レバー枢動ピン233aより遠位側の)遠位部分がてこ作用により板バネ234の付勢に対抗して下方に動く。結果的に、カム状レバー233の近位部分がてこ作用によりラチェット歯付き部材231の遠位突出部231bに対抗して上方に動き、それによってラチェット歯付き部材231がその枢動ピン231aの周りに、その下部分(ラチェット歯付き突出部235)を遠位方向に枢動させて第2のハンドル部材206の爪部材238の爪歯237との係合を外すように回転する。カムスイッチ232が無効化状態に「固定された」状態は、板バネ234がカム状レバー233をカムスイッチ232に対抗して上方に付勢することによって有効となる。具体的には、カムスイッチは、その(枢動ピン232aの下方の)下部分が枢動して屈曲点を過ぎ、それにより第1の陥凹カム係合面233bがカムスイッチ232に接触し、且つ板バネ234がカム状レバー233をカムスイッチ232に対抗して上方に付勢することで、第1の陥凹カム係合面233bがカムスイッチ232の下部分を効果的に捕捉することが可能となると、近位方向に回転した位置に固定される。
【0023】
当業者は、ハンドル202がラチェット歯付き部材231を爪部材238と長手方向に離すのに十分なほど開放可能であってもよく、ハンドル部材204、206を互いに向かって枢動させるとき、カムスイッチ232を、係合状態、解除状態、又は無効化状態に関連した角度に配置することで、ハンドルが所望の状態に調整され得ることを理解するであろう。当業者はまた、本発明の範囲内の他の実施形態において、カムスイッチが、カム状レバー233に対して枢動するのではなく、転がるか、又は摺動するように構成され、及びカムスイッチ(例えば、カムスイッチ232)が、カム状レバーと共に、又はカム状レバーなしに、ラチェット歯付き部材又は爪部材と直接的な動作接触を有するように構成されるか、或いはそのどちらか一方の構成であってもよいことも理解するであろう。
【0024】
図4A〜4Dは、使用者がハンドル202を有する器具200で利用し得る把持位置の4つの例を示す。これらの把持の仕方は、使用者のやり方、個人的な好み;快適性、角度を付ける必要性(例えば、ポートの配置及び腹腔鏡手技中の套管針の角度、或いはそのどちらか一方などに起因して)、又は使用者がその把持の仕方を利用したり、又は変えたりしたいと思う任意の他の理由、のうちの1つ又は複数に基づき選択され得る。当業者は、上記のハンドルの形状並びにラチェット機構231の位置及び機能により、手技中、例えば肥満症手術の腹腔鏡手技中に、器具を様々な角度及び位置から操作するための利点が使用者にもたらされることを理解するであろう。具体的に、当業者は、使用者が図示される把持の仕方の変形例を選択したり、又は他の把持の仕方を用いたりしてもよいが、実質的にあらゆる実際的な把持位置が、カムスイッチ232を使用してラチェット機構230を作動させるのに、使用者の把持の仕方を大きく変えたり、別の手を必要としたりすることのない、簡便な作動のラチェット機構230を提供できることを理解するであろう。
【0025】
腹腔鏡検査器具500用のハンドル502の第2の実施形態が、図5A〜5B及び図6A〜6Cを参照して例示される。図5Aは器具500の側面図を示し、図5Bは器具ハンドル502の上面斜視図を示す。ハンドル502は、枢動ピン508で第2のハンドル部材506に枢動可能に取り付けられた第1のハンドル部材504を備える。第1のハンドル部材504及び第2のハンドル部材506は、好ましくは樹脂材料で作製され得るが、プラスチック、金属、又は、オートクレーブにおける複数回の滅菌に好適であるとして当該技術分野において公知の他の材料で作製されてもよい。使い捨ての実施形態もまた、当該技術分野において公知の材料で作製され得る。細長管状シャフト580が第2のハンドル部材506から遠位方向に延在し、これは好ましくは、軸線方向に回転可能に構成され得る。作動ロッド582が第1のハンドル部材504から遠位方向にシャフト580を貫通して延在する。器具500の遠位端に、先端作用部584(例を挙げると、用具先端、例えば、把持具、鋏、鉗子、切開用器具、クランプ、持針器など)が、シャフト580及び作動ロッド582の双方と動作可能に連結される。当業者は、この構成によれば、第1のハンドル部材504を第2のハンドル部材506に対して枢動させることによって先端作用部584の作動がもたらされることを理解するであろう(例えば、米国特許第5,498,256号及び米国特許第5,827,263号を参照のこと)。
【0026】
ハンドルの実施形態502は上記のハンドルの実施形態202と実質的に同様であり得る。但し、第2のハンドル部材506は、遠位用具先端584を回転させるのに望ましい回転トルクを及ぼす能力を使用者に与えるように構成された遠位屈曲部506aを備えている。従って、作動ロッド582の近位端と第1のハンドル部材504との間に移行部材582a及びロッド固定部材582bが備わり、それらは、ハンドル502から作動ロッド582を通じて用具先端584まで、長手方向の動きを伝えるように構成される。当業者は、このハンドル構成が、例えば、湾曲した針による縫合に使用される腹腔鏡針把持具と共に使用する際に、使用者がシャフト及び先端を長手方向軸線の周りに回転させようとする場合に、特に良く適し得ることを理解するであろう。また、本願の目的上、用語「インライン形手術器械」は図2A〜6Cの全ての実施形態を含み、そこでハンドル部分は、厳密に軸状であるか、又は図5A〜6Cの角度の偏りを含むこともまた理解されなければならない。
【0027】
図6A〜6Dに例示される実施形態において、単一スイッチ解除/無効化ラチェット機構として具体化されるラチェット機構530は、ハンドル502に装着され、且つ第1のハンドル部材504を第2のハンドル部材506に対して使用者の選択した角度に選択可能に固定するように構成される。
【0028】
図6は、ハンドル502の部分分解図を示す。図6Aは、ハンドル502の一部分の長手方向断面図を示し、ラチェット機構を図6B〜6Cに図示されるものより詳細に示すために拡大しており、図6B〜6Cは、ハンドル全体の長手方向断面を示す。第2のハンドル部材506の上部近位領域は、第1のハンドル部材504を係合するように作製される。具体的には、上部近位領域は上側に延在する一対のアーム516を備え、これは、アーム516を貫通し、且つ第1のハンドル部材504の上部近位領域の両側に枢動ピン508(両端ネジ付きボルトとして図示される)を係合するように構成された枢軸開口518を備える。第1のハンドル部材504の近位下部領域は、作動ロッド582の近位端でボール586(又は他の作動ロッド保持構造)を受け止めるように構成される。第1のハンドル部材504の遠位上面は、使用者の把持及びハンドル端の触知位置、或いはそのどちらか一方を補助するように構成される陥凹面504aを備え得る。例示される実施形態において、一対のワイヤバネ599(好ましくはニッケル−チタン形状記憶合金又は他の好適な材料で形成される)が第1のハンドル部分504の近位部分に装着され、第1のハンドル部分504を第2のハンドル部分506から離れる側に枢動させるよう付勢する形で第2のハンドル部分506の内表面と接触するように構成され得る。この付勢の結果として、ハンドル502の既定位置ではハンドル部材504、506は離間されていることになる。加えて、この付勢は、ラチェット機構530(以下に記載される)が係合されたときに、その内部で係合張力を維持する働きをし得る。
【0029】
例示される実施形態において、第2のハンドル部材506の上部領域の遠位外面に刻み回転ノブ588が回転可能に重ねて置かれ、これはシャフト580に取り付けられる。回転ノブ588は好ましくは、シャフト580の内部に開口したフラッシュポート589を備える。(代表的なフラッシュポート/回転ノブ機構の説明については、例えば、参照により本明細書に援用される米国特許第5,489,290号を参照のこと)。回転ノブ588は、シャフト580をその長手方向軸線の周りに、ハンドル502に対して回転させるための手段を提供する。ノブ588は好ましくは、使用者がハンドル502を手から離したり、若しくは把持の仕方を大きく変えたりすることなくそれを回転させることができるよう、人間工学的に規定された位置に配置され、及びその外表面は好ましくは、使用者の指に引っ掛かりを提供するように複数の幅広の溝を備える。ノブ588を回転させることによるシャフトの回転は好ましくは割り送りされ(例えば、ボールデテントの使用により)、それによってシャフト580を制御しながら正確に回転させることが可能となり、この回転は、円滑に動く形であっても、又は漸進的な形であってもよい。
【0030】
ハンドル502は、図6A〜6Cを参照して記載されるラチェット機構530を備え、その設計は、器具500の組立て及び使い易さの点で利点を提供する。第1のハンドル部材504には、逆L字型ラチェット歯付き部材531が(横方向の枢動ピン531aで)、解除/無効化スイッチ−ここではカムスイッチ532として図示される−、カムスイッチ532とラチェット歯付き部材531との間の機械的連動を提供するカム状レバー533と共に、枢動可能に装着される。一端でラチェット歯付き部材531に装着された板バネ534がそれ(531)をカム状レバー533に対抗するように付勢し、カム状レバー533は付勢されてカムスイッチ532と接触する。第2のハンドル部材506には、ラチェット歯付き部材531の向かい側に爪部材538が配置される。ラチェット歯付き部材531は、僅かに湾曲した歯付き突出部535を備え、これは第1のハンドル部材504から抜け出して第2のハンドル部材506に向かって延在する。爪部材538は第1のハンドル部材504に向かって延在し、ラチェット歯付き部材531の歯付き突出部分535の歯を係合するように構成された爪歯537を備える。カム状レバー533はまた、その上側面に第1の陥凹カム面533bを、及び第1のカム面533bから上方遠位方向に延在する第2の隆起カム面533cを備える。
【0031】
板バネ534の近位端は、ラチェット歯付き部材531に当該部材の枢動ピン531aの下方で固定され、且つ、その遠位接触面がカム状レバー533の下側面に、それ(533)の装着ピン/枢動ピン533aにおける枢軸より遠位側で接触するように置かれ、それによってカム状レバー533の遠位部分の概して上方への付勢と、ラチェット歯付き部材531の(枢動ピン531aの下方の)下部分の概して近位方向への付勢とを同時に行う。カムスイッチ532は、カムスイッチ枢動ピン532aによって第1のハンドル部材506に枢動可能に取り付けられる。代替的実施形態において、ラチェット歯付き部材531と爪部材538との相対的な位置は逆であってもよい(爪部材が第1のハンドル部材に枢動可能に配置され、且つラチェット歯付き部材が第2のハンドル部材に配置されるなど)。当業者は、この相補面/係合面の可逆性が本発明の他の実施形態に適用可能であり、例示される実施形態の他の変形例が本発明の範囲内で実施され得ることを理解するであろう。
【0032】
ラチェット機構530は、使用者によって選択される3つの状態(係合、解除、及び無効化)のうちの1つに作動させることができ、これらの状態は、それぞれ、図6A、6B、及び6Cを参照して記載される。
【0033】
図6Aに示されるとおり、ラチェット機構530が係合状態にあるとき、ラチェット歯付き突出部535の歯は爪部材538の爪歯537と係合している。この係合は、第1のハンドル504が(例えば、ワイヤバネ599のハンドルを分離させる付勢によって)第2のハンドル506から離れるように動くことは阻止するが、第1のハンドル504が第2のハンドル506に近付くように動くことは可能とし、ラチェット歯が爪歯537を越えて漸進的に動くとき、聴覚的及び触覚的フィードバックを伴う。係合状態では、ラチェット歯付き部材531のラチェット歯付き突出部535との爪歯の接触は、板バネ534がカム状レバー533の下側を付勢していることによって維持される。この板バネの付勢が、ラチェット歯付き部材531の(その枢軸531aの下方の)一部に対して近位側への力を及ぼし、それによってラチェット歯付き部材531がその枢軸531aの周りに、湾曲した歯付き突出部535を近位方向に送って第2のハンドル部材506の爪部材538の爪歯537と係合させるように、枢動する。ハンドル502が係合位置にあるとき、カムスイッチ532は静止しており(例示される実施形態ではニュートラルな中央位置にあり)、カム状レバー533との有効な動作接触は有しない。例示される実施形態において、ワイヤバネ599のハンドル部材504、506に対する付勢の離間作用は、ラチェット歯付き部材531と爪部材538との間の接触張力を維持するよう働き得る張力をもたらす。
【0034】
図6Bに示されるとおり、ラチェット機構530が解除状態にあるとき、ラチェット歯付き突出部535の歯は爪部材538の爪歯537から離脱する。この離脱により、第1のハンドル504は第2のハンドル506に向かって、又は第2のハンドル506から離れるように、自在に動くことが可能となる。解除状態は、カムスイッチ532の上端を遠位方向に枢動させることによって有効となる。このように枢動させると、カムスイッチ532は、カム状レバー533の第2の隆起カム面533cに対して動作接触した状態に動的に保持される。この接触により、カム状レバー533の(カム状レバー枢動ピン533aより遠位側の)遠位部分がてこ作用により板バネ534の付勢に対抗して下方に動く。結果的に、カム状レバー533の近位部分がてこ作用によりラチェット歯付き部材531の上部遠位突出部531bに対抗して上方に動き、それによってそれ(531)がその枢動ピン531aの周りに、その下部分(ラチェット歯付き突出部535)を遠位方向に枢動させて第2のハンドル部材506の爪部材538の爪歯537との係合を外すように、回転する。解除状態を維持するためには、カムスイッチ532を遠位/前方に回転した位置に(板バネ534の付勢に抵抗して)保持しなければならない。カムレバー532を離すと、板バネ534の付勢によってラチェット機構530はその係合状態に戻ることができる。
【0035】
図6Cではラチェット機構530は無効化状態にあり、ここではラチェット歯付き突出部535が爪部材538の爪歯537から離脱しており、ハンドル部分504、506は、ラチェット機構530が係合することなく、且つ使用者がカムスイッチ532に動的な圧力(解除状態において要求されるとおりの)を及ぼすことなく、全可動域にわたって移動することが可能である。無効化状態は、カムスイッチ532の上端を近位位置に枢動させることによって有効となる。この無効化状態において、カムスイッチ532の下部分は、カム状レバー533の第1の陥凹カム面533bに対して動作接触した状態に固定される。この接触により、カム状レバー533の(カム状レバー枢動ピン533aより遠位側の)遠位部分がてこ作用により板バネ534の付勢に対抗して下方に動く。結果的に、カム状レバー533の近位部分がてこ作用によりラチェット歯付き部材531の遠位突出部531bに対抗して上方に動き、それによってラチェット歯付き部材531がその枢動ピン531aの周りに、その下部分(ラチェット歯付き突出部535)を遠位方向に枢動させて第2のハンドル部材506の爪部材538の爪歯537との係合を外すように、回転する。カムスイッチ532が無効化状態に「固定された」状態は、板バネ534がカム状レバー533をカムスイッチ532に対抗して上方に付勢することによって有効となる。具体的に、カムスイッチは、その(枢動ピン532aの下方の)下部分が枢動して屈曲点を過ぎ、それにより第1の陥凹カム係合面533bがカムスイッチ532に接触し、且つ板バネ534がカム状レバー533をカムスイッチ532に対抗して上方に付勢することで、第1の陥凹カム係合面533bがカムスイッチ532の下部分を効果的に捕捉することが可能となると、近位方向に回転した位置に固定される。
【0036】
当業者は、ハンドル502がラチェット歯付き部材531を爪部材538から長手方向に離すのに十分なほど開放可能であり、ハンドル部材504、506を互いに向かって枢動させるとき、カムスイッチ532を、係合状態、解除状態、又は無効化状態に関連した角度に配置することで、ハンドルが所望の状態に調整され得ることを理解するであろう。
【0037】
当業者は、本発明のハンドルの実施形態の湾曲した外表面が、器具の装飾上異なる外観を提供し得ることを理解するであろう。湾曲した表面はまた、使用者に人間工学的な利点も提供し得、そうした利点もまた、装飾上異なる外観を有する湾曲した表面によって提供され得る。前述の詳細な説明は限定ではなく例示と見なされるべきであることが意図される。あらゆる等価物を含む以下の特許請求の範囲が本発明の趣旨及び範囲を定義するものと意図されることは理解されなければならない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して医療器具に関し、より詳細には、概して軸状の腹腔鏡器具の遠位用具端を操作するように構成されたハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
図1A〜1Bに図示されるとおり、典型的な軸状/インライン形の腹腔鏡用具の器具100は、概して5つの主要な構成要素、すなわち、ハンドル102、ハンドルから長手方向に延在する外側シャフト104、外側シャフトを貫通して延在する作動ロッド106、及び器具の遠位端に配置される作動可能な先端作用部110を有する。例示されるハンドル102は「インライン形ハンドル」であり、これは、外側シャフト104に取り付けられた静止ハンドル部分112と、作動ロッド106に取り付けられた作動可能なハンドル部分114とを有する。作動可能なハンドル部分114を静止ハンドル部分112に対して枢動させることにより作動させると、外側シャフト104の内部で作動ロッド106が軸線方向に動いて先端作用部110が動作する。作動可能なハンドル部分114は典型的には、ヒンジバネ115などのバネによって開放位置に付勢されている。既存の器具のなかには、ハンドル部分112、114を互いに対して選択位置に保持するためのラチェット機構を備えるものもある。図1A〜1Bに示されるとおり、公知のラチェットは、ラチェット歯付きアーム120を係合する爪アーム118を有する。ラチェットは離脱位置に付勢されているが、ラチェットレバー122を作動させて所定の位置に保持することによって選択可能に係合する/離脱させることができ、又は、横方向に装着された別個のラチェット係止ボタン124を作動させて、それがラチェット歯付き要素120を爪要素118から離脱させたまま保つ構成の角度に保持することにより、離脱したまま固定することができる。この構成では、使用者はラチェット係止ボタン124に触れてそれを作動させるために、反対側の手を使ったり、ハンドル102の把持位置を変えたり、或いはそのどちらか一方を行うことが必要となり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,498,256号明細書
【特許文献2】米国特許第5,827,263号明細書
【特許文献3】米国特許第5,489,290号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
当該技術分野では、上記の各構成要素の種々の変形例が導入されているが、製造に効率性をもたらし、且つ外科医及び他の使用者に人間工学的機能性を提供して安全性及び使い易さを促進する設計が必要とされている。特に、組立て易さ及び耐久性を提供するよう構成要素数が最小限に抑えられた簡便に使用できる係止機構を備えるハンドル設計が必要とされている。特に、使用者の把持する手によって様々な把持位置から容易に操作することができ、機構の係合、離脱、及び係止のために使用者が把持の仕方を大きく変えたり、又は他方の手を使ったりする必要のないラチェット機構を備える、耐久性のあるハンドル設計が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、使用及び製造上の利点を提供する人間工学的な設計に対する当該技術分野の要求に応えるように構成され得る。本発明の好ましい実施形態は、滅菌されて再使用され得るように構成され得る。一態様において、本発明の実施形態は、既定/静止位置にあるとき、ハンドル部材を互いに係合させるように付勢されるラチェット機構を含み得る。好ましいラチェット機構は、ラチェットを作動させるために使用者の把持の仕方が大きく変わることのないように、使用者に好都合に位置決めされた単一のボタン、レバー、スライド、スイッチ、又は他の作動手段を使用して作動させる(すなわち、係合、解除、又は無効化する)ことができるように構成され得る。これは、ラチェット機構を係合、解除、及び無効化状態の間で作動させるために、2つ以上の別個の構成要素を作動させること、及び使用者がその把持の仕方を大きく変えること−或いは(使用者又は助手の)もう一方の手を使うことまでも−、或いはそのどちらか一方が要求される先行技術のラチェット機構に優る利点を提供する。本発明の実施形態は、腹腔鏡手術器具用のハンドルの態様に関するが、当業者は、本発明のハンドルの実施形態が種々のシャフト構成及び先端作用部(例えば、持針器、クランプ、鋏、切開用器具、把持具)で用いられ得るとともに、かかる使用が本発明の範囲内であることを理解するであろう。
【0006】
一態様において、本発明は、細長シャフトと動作可能に連結されたハンドルを有するインライン形手術器械を含み、このハンドルは:第2のハンドル部材に枢動可能に連結された第1のハンドル部材であって、前記枢動可能な連結が双方のハンドル部材の近位端の近傍に位置する、第1のハンドル部材と;第1のハンドル部材に固定され、且つ第1のハンドル部材から第2のハンドル部材に向かって突出する第1の係合部材であって、第1の係合部材の第1の端部分が付勢されて第2の係合部材と係合する、第1の係合部材と;第1のハンドル部材に枢動可能に連結され、且つ第1の係合部材と動作接触により機械的に連動するカムスイッチとを含み;カムスイッチが第1の係合部材に対して第1の角度に配置されると、それによりもたらされる動作接触が、第1の係合部材を第2の係合部材と係合する付勢に打ち勝って離脱させるように、第1の係合部材を枢動させるのに十分となり;及び、カムスイッチが第1の係合部材に対して第2の角度にあるとき、該動作接触が、第1の係合部材を第2の係合部材と係合する付勢に打ち勝つように、第1の係合部材を枢動させるのに十分となり、且つ第1の係合部材を第2の係合部材との係合が外れた状態に付勢するのに十分となる。
【0007】
別の態様において、本発明は、細長シャフトと動作可能に連結されたハンドルを有するインライン形手術器械を含み、このハンドルは:第1のハンドル部材と;第1のハンドル部材に枢動可能に連結される第2のハンドル部材であって、双方のハンドル部材の近位端の近傍で連結される、第2のハンドル部材と;枢動可能な連結に対して遠位側に配置され、且つ第1のハンドル部材と第2のハンドル部材とを着脱可能に係合するように構成されたラチェット機構であって、第1のラチェット機構部分と第2のラチェット機構部分とを含むラチェット機構とを含み;第1のラチェット機構部分が:L字型ラチェット歯付き係合部材と;カム状レバー部材と;カムスイッチとを含み;L字型ラチェット歯付き係合部材が、第1のハンドル部材に枢動可能に装着され、且つ第1のハンドル部材から第2のハンドル部材に向かって突出し、L字型ラチェット歯付き係合部材は、レバー−アーム突出部分と概して垂直の歯付き部分を含み;カムスイッチが第1のハンドル部材に枢動可能に装着され、且つ第1のハンドル部材から第2のハンドル部材の逆側に向かって突出し;カム状レバー部材が、カム作用端と、レバー作用端と、それらの間でカム状レバー部材を第1のハンドル部材と枢動可能に連結する枢軸とを含み;及びカムスイッチがカム状レバー部材のカム作用端に接触し、且つカム状レバー部材のレバー作用端がL字型ラチェット歯付き係合部材のレバー−アーム突出部に接触し;カム作用端が隆起カム面と陥凹カム面とを含み;及び第2のラチェット機構部分が:第2のハンドル部材に装着された爪部材であって、爪歯部分と爪脚部分とを備える爪部材を含み、爪歯部分がラチェット歯付き係合部材の歯付き部分に向かって突出し、且つそれと係合するように構成され;及び、L字型ラチェット歯付き係合部材と接触する付勢バネが前記L字型ラチェット歯付き係合部材を付勢して爪歯部分と係合させ;及び、カムスイッチ及びカム状レバー部材のカム作用端は、カムスイッチがカム状レバー部材に対して第1の角度に配置されると、カムスイッチとカム状レバー部材の隆起カム面との間の第1の動作接触が、L字型ラチェット歯付き係合部材の、爪部材の爪歯部分とのその付勢による係合をてこ作用によって外すように構成され;及び、カムスイッチ及びカム状レバー部材のカム作用端はまた、カムスイッチがカム状レバー部材に対して第2の角度に配置されると、カムスイッチとカム状レバー部材の陥凹カム面との間の第2の動作接触が、L字型ラチェット歯付き係合部材の、爪部材の爪歯部分とのその付勢による係合をてこ作用によって外すように構成される。
【0008】
さらに別の態様において、本発明はインライン形手術器械ハンドル用の単一スイッチ解除/無効化ラチェット機構を含み、このラチェット機構は:カムスイッチ部材と、カムスイッチ部材と動作接触する枢動可能なラチェット部材と、付勢部材と、爪部材とを含み;機構がラチェット係合状態にあるとき、カムスイッチ部材は、動作接触が最小限となって付勢部材がラチェット部材を爪部材と係合した状態に付勢するように、第1のニュートラル位置を占め;機構がラチェット解除状態にあるとき、カムスイッチ部材は、動作接触により付勢部材の付勢が押し返されてラチェット部材が爪部材との係合状態から解除されるように、第2の位置を占め;及び、機構がラチェット無効化状態にあるとき、カムスイッチ部材は、動作接触によりラチェット部材が付勢されて爪部材との係合が外れた状態となるように、第3の位置を占める。
【0009】
なお別の態様において、本発明は、単一スイッチ解除/無効化機能部を備えたハンドルラチェット機構を有するインライン形手術器械を含み、このハンドルラチェット機構は:第1の係合部材と;ハンドル部分に枢動可能に装着され、且つ第1の係合部材に向かって突出する第2の係合部材であって、第2の係合部材の第1の端部分がバネ付勢されて第1の係合部材と係合する、第2の係合部材と;ハンドル部分と可動式に連結され、且つ第2の係合部材の第2の端部分との動作接触を含むカムスイッチとを含み;カムスイッチが第2の係合部材に対して第1の位置に置かれると、その動作接触が、第2の係合部材を第1の係合部材と係合するバネ付勢に打ち勝つように第2の係合部材を枢動させるのに十分となり;及び、カムスイッチが第2の係合部材に対して第2の位置に置かれると、その動作接触が、第2の係合部材を第1の係合部材と係合する付勢に打ち勝つように第2の係合部材を枢動させるのに十分となり、且つ第2の係合部材を第1の係合部材との係合が外れた状態に付勢するのにも十分となる。
【0010】
さらになお別の態様において、本発明は、細長シャフトと動作可能に連結されたハンドルを有するインライン形手術器械を含み、このハンドルは:その近位端近傍で、第2のハンドル部材の近位端近傍と枢動可能に連結された第1のハンドル部材と;第1のハンドル部材に含まれるラチェット歯付き係合部材と;第2のハンドル部材に枢動可能に装着された爪係合部材であって、歯付き係合部材の一部分が付勢されると係合する爪係合部材と;第1のハンドル部材に枢動可能に連結され、且つ歯付き係合部材の表面との動作接触を含む細長カムスイッチとを含み;細長カムスイッチが歯付き係合部材に対して第1の位置に置かれると、その動作接触が、歯付き係合部材を爪係合部材と係合する付勢に打ち勝つのに十分な力を提供し;及び、細長カムスイッチが歯付き係合部材に対して第2の位置に置かれると、その動作接触が、歯付き係合部材を爪係合部材と係合する付勢に打ち勝つように歯付き係合部材を枢動させるのに十分となり、且つ歯付き係合部材を爪係合部材との係合が外れた状態に付勢するのに十分となる。
【0011】
なお別の態様において、本発明は、細長シャフトと動作可能に連結されたハンドルを有するインライン形手術器械を含み、このハンドルは:単一の作動手段を作動させることによって係合、解除、及び無効化を行うように構成されたラチェット機構を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】先行技術の腹腔鏡用具の器具を示す。
【図1B】先行技術の腹腔鏡用具の器具を示す。
【図2A】本発明の第1のハンドルの実施形態を組み込む腹腔鏡器具の斜視図を示す。
【図2B】本発明の第1のハンドルの実施形態を組み込む腹腔鏡器具の側面立面図を示す。
【図3】本発明の部分的に分解されたハンドルの実施形態の斜視図を図示する。
【図3A】第1のハンドルの実施形態における本発明のラチェット機構の係合状態を示す。
【図3B】第1のハンドルの実施形態における本発明のラチェット機構の解除状態を示す。
【図3C】第1のハンドルの実施形態における本発明のラチェット機構の無効化状態を示す。
【図3D】刻み回転ノブが回転したときの本発明のハンドルの実施形態の側面図を示す。
【図4A】使用者が第1のハンドルの実施形態で利用し得る把持の仕方の1つを図示する。
【図4B】使用者が第1のハンドルの実施形態で利用し得る把持の仕方の1つを図示する。
【図4C】使用者が第1のハンドルの実施形態で利用し得る把持の仕方の1つを図示する。
【図4D】使用者が第1のハンドルの実施形態で利用し得る把持の仕方の1つを図示する。
【図5A】本発明の第2のハンドルの実施形態を組み込む腹腔鏡器具の側面立面図を示す。
【図5B】本発明の第2のハンドルの実施形態を組み込む腹腔鏡器具の斜視図を示す。
【図6A】第2のハンドルの実施形態における本発明のラチェット機構の係合状態を示す。
【図6B】第2のハンドルの実施形態における本発明のラチェット機構の解除状態を示す。
【図6C】第2のハンドルの実施形態における本発明のラチェット機構の無効化状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
腹腔鏡検査器具200用のハンドル202の第1の実施形態が、図2A〜2B及び図3〜3Dを参照して例示される。ハンドル202は、枢動ピン208で第2のハンドル部材206に枢動可能に取り付けられた第1のハンドル部材204を備える。第1のハンドル部材204及び第2のハンドル部材206は、好ましくは樹脂材料で作製され得るが、プラスチック、金属、又はオートクレーブにおける複数回の滅菌に好適であるとして当該技術分野において公知の他の材料で作製されてもよい。使い捨ての実施形態もまた、当該技術分野において公知の材料で作製され得る。細長管状シャフト280が第2のハンドル部材206から遠位方向に延在し、これは好ましくは、軸方向に回転可能に構成され得る。作動ロッド282が第1のハンドル部材204から遠位方向にシャフト280を貫通して延在する。器具200の遠位端に、先端作用部284(例えば、把持具、鋏、鉗子、切開用器具、持針器、クランプ)が、シャフト280及び作動ロッド282の双方と動作可能に連結される。当業者は、この構成によれば、第1のハンドル部材204を第2のハンドル部材206に対して枢動させることによって先端作用部284の作動がもたらされることを理解するであろう(例えば、米国特許第5,498,256号及び米国特許第5,827,263号を参照のこと)。
【0014】
図2A〜3Dに例示される実施形態において、単一スイッチ解除/無効化ラチェット機構として具体化されるラチェット機構230はハンドル202に装着され、第1のハンドル部材204を第2のハンドル部材206に対して使用者の選択した角度に選択可能に固定するように構成される。
【0015】
図3は、ハンドル202の部分分解図を示す。図3Aは、ハンドル202の一部分の長手方向断面図を示し、ラチェット機構を図3B〜3Dに図示されるものより詳細に示すために拡大しており、図3B〜3Dは、ハンドル全体の長手方向断面を示す。第2のハンドル部材206の上部近位領域は、第1のハンドル部材204を係合するように作製される。具体的には、上部近位領域は上側に延在する一対のアーム216を備え、これは、アーム216を貫通し、且つ第1のハンドル部材204の上部近位領域の両側で枢動ピン208(両端ネジ付きボルトとして図示される)を係合するように構成された枢軸開口218を備える。第1のハンドル部材204の近位下部領域は、作動ロッド282の近位端のボール286(又は他の作動ロッド保持構造)を受け止めるように構成される。第1のハンドル部材204の遠位上面は、使用者の把持及びハンドル端の触知位置、或いはそのどちらか一方を補助するように構成される陥凹面204aを備え得る。例示される実施形態において、一対のワイヤバネ299(好ましくはニチノールなどのニッケル−チタン形状記憶合金又は他の好適な材料で形成される)が第1のハンドル部分204の近位部分に装着され、第1のハンドル部分204を第2のハンドル部分206から離れる側に枢動させるよう付勢する形で、第2のハンドル部分206の内表面と接触するように構成され得る。この付勢の結果として、ハンドル202の既定位置ではハンドル部材204、206は離間されていることになる。加えて、この付勢は、ラチェット機構230(以下に記載される)が係合されたときに、その内部で係合張力を維持する働きをし得る。当業者は、例えば、1つ又は複数の圧縮バネ、ヒンジバネ、エラストマー構造又は当該技術分野において公知であるか、若しくは開発される他の付勢手段などの、ハンドルを離すように付勢する構成の他の実施形態が、本発明の範囲内で実施され得ることを理解するであろう。
【0016】
例示される実施形態において、第2のハンドル部材206の上部領域の遠位外面に刻み回転ノブ288が回転可能に重ねて置かれ、これはシャフト280に取り付けられる。回転ノブ288は好ましくは、シャフト280の内部に開口してシャフト280との流体連通を提供するように構成されたフラッシュポート289を備える。(代表的なフラッシュポート/回転ノブ機構の説明については、例えば、参照により本明細書に援用される米国特許第5,489,290号を参照のこと)。回転ノブ288は、シャフト280をその長手方向軸線の周りに、ハンドル202に対して回転させるための手段を提供する。ノブ288は好ましくは、使用者がハンドル202を手から離したり、若しくは把持の仕方を大きく変えたりすることなくそれを回転させることができるよう、人間工学的に規定された位置に配置され、及びその外表面は好ましくは、使用者の指に引っ掛かりを提供するように複数の幅広の溝を備える。ノブ288を回転させることによるシャフトの回転は好ましくは割り送りされ(例えば、ボールデテントの使用により)、それによってシャフト280を制御しながら正確に回転させることが可能となり、この回転は、円滑に動く形であっても、又は漸進的な形であってもよい。例示として、図3Dはハンドル202の外側面図を示し、ノブ288がある角度に回転している。当業者は、他の実施形態が、本発明の範囲内で単極又は双極電気手術器械としての使用向けに(例えば、当該技術分野において公知のとおり、電極及び適切に絶縁された表面を提供することにより)構成されてもよいことを理解するであろう。
【0017】
ハンドル202は、図3A〜3Cを参照して記載されるラチェット機構230を備え、その設計は、器具200の組立て及び使い易さの点で利点を提供する。第1のハンドル部材204には、逆L字型ラチェット歯付き部材231が(横方向の枢動ピン231aで)、解除/無効化カムレバー又はカムスイッチ(これらは本明細書では同義として用いられる)−ここではカムスイッチ232として図示される−、カムスイッチ232とラチェット歯付き部材231との間の機械的連動を提供するカム状レバー233と共に、枢動可能に装着される。板バネ234が一端でラチェット歯付き部材231に装着されてもよく、そのことにより、それ(231)をカム状レバー233に対抗するように付勢し、カム状レバー233は付勢されてカムスイッチ232と接触する。第2のハンドル部材206には、ラチェット歯付き部材231の向かい側に爪部材238が配置される。ラチェット歯付き部材231は僅かに湾曲した歯付き突出部235を備え、これは第1のハンドル部材204から外に第2のハンドル部材206に向かって延在する。爪部材238は第1のハンドル部材204に向かって延在し、ラチェット歯付き部材231の歯付き突出部235の歯を係合するように構成された爪歯237を備える。カム状レバー233はまた、その上側面に第1の陥凹カム面233bを、及び第1のカム面233bから上方遠位方向に延在する第2の隆起カム面233cを備える。当業者は、板バネ234として具体化される付勢手段が、他の実施形態においては、例えば、上述される構成要素のいずれかに隣接して所望の付勢を提供するように置かれた圧縮バネ若しくはコイルバネ、又は所望の付勢を提供するように構成されたエラストマー部材など、本発明の範囲内で他の形態をとってもよいことを理解するであろう。
【0018】
板バネ234の近位端は、ラチェット歯付き部材231に当該部材の枢動ピン231aの下方で固定され、且つ、その遠位接触面がカム状レバー233の下側面に、それ(233)の装着ピン/枢動ピン233aにおける支点/枢軸より遠位側で接触するように置かれ、それによってカム状レバー233の遠位側部分の概して上方への付勢と、ラチェット歯付き部材231の(枢動ピン231aの下方の)下部分の概して近位方向への付勢とを同時に行う。カムスイッチ232は、カムスイッチ枢動ピン232aによって第1のハンドル部材206に枢動可能に取り付けられる。代替的実施形態において、ラチェット歯付き部材231と爪部材238との相対的な位置は逆であってもよい(例えば、爪部材が第1のハンドル部材に枢動可能に配置され、且つラチェット歯付き部材が第2のハンドル部材に配置されるなど)。当業者は、この相補面/係合面の可逆性が本発明の他の実施形態に適用可能であり、例示される実施形態の他の変形例が本発明の範囲内で実施され得ることを理解するであろう。当業者はまた、本発明の範囲内で、機構の全体の配置を逆に−例えば、カムスイッチ232及び爪部材又はラチェット歯付き部材のいずれかが、枢動しないハンドル部材に配置されるなどしてもよいことも理解するであろう。
【0019】
ラチェット機構230は、使用者によって選択される3つの状態(係合、解除、及び無効化)のうちの1つに作動させることができ、これらの状態は、それぞれ、図3A、3B、及び3Cを参照して記載される。
【0020】
図3Aに示されるとおり、ラチェット機構230が係合状態にあるとき、ラチェット歯付き突出部235の歯は爪部材238の爪歯237と係合している。この係合は、第1のハンドル204が(例えば、ワイヤバネ299のハンドルを分離させる付勢によって)第2のハンドル206から離れるように動くことは阻止するが、第1のハンドル204が第2のハンドル206に近付くように動くことは可能とし、ラチェット歯が爪歯237を越えて漸進的に動くとき、聴覚的及び触覚的フィードバックを伴う。係合状態では、ラチェット歯付き部材231のラチェット歯付き突出部235との爪歯の接触は、板バネ234がカム状レバー233の下側を付勢していることによって維持される。この板バネの付勢が、ラチェット歯付き部材231の(その枢軸231aの下方の)一部に対して近位方向の力を及ぼし、それによってラチェット歯付き部材231がその枢軸231aの周りに、湾曲した歯付き突出部235を近位方向に送って第2のハンドル部材206の爪部材238の爪歯237と係合させるように枢動する。ハンドル202が係合位置にあるとき、カムスイッチ232は静止しており(例示される実施形態ではニュートラルな中央位置にあり)、カム状レバー233との有効な動作接触は有しない。例示される実施形態において、ワイヤバネ299のハンドル部材204、206に対する付勢の離間作用は、ラチェット歯付き部材231と爪部材238との間の接触張力を維持するよう働き得る張力をもたらす。
【0021】
図3Bに示されるとおり、ラチェット機構230が解除状態にあるとき、ラチェット歯付き突出部235の歯は爪部材238の爪歯237から離脱する。この離脱により、第1のハンドル204は第2のハンドル206に向かって、又は第2のハンドル206から離れるように、自在に動くことが可能となる。解除状態は、カムスイッチ232の上端を遠位方向に枢動させることによって有効となる。このように枢動させると、カムスイッチ232は、カム状レバー233の第2の隆起カム面233cに対して動作接触した状態に動的に保持される。この接触により、カム状レバー233の(カム状レバー枢動ピン233aより遠位の)遠位部分がてこ作用により板バネ234の付勢に対抗して下方に動く。結果的に、カム状レバー233の近位部分がてこ作用によりラチェット歯付き部材231の上部遠位突出部231bに対抗して上方に動き、それによってそれ(231)がその枢動ピン231aの周りに、その下部分(ラチェット歯付き突出部235)を遠位方向に枢動させて第2のハンドル部材206の爪部材238の爪歯237との係合を外すように回転する。解除状態を維持するためには、カムスイッチ232を遠位側/前方に回転した位置に(板バネ234の付勢に抵抗して)保持しなければならない。カムスイッチ232を離すと、板バネ234の付勢によってラチェット機構230はその係合状態に戻ることが出来る。
【0022】
図3Cではラチェット機構230は無効化状態にあり、ここではラチェット歯付き突出部235が爪部材238の爪歯237から離脱しており、ハンドル部分204、206は、ラチェット機構230が係合することなく、且つ使用者がカムスイッチ232に動的な圧力(解除状態において要求されるとおりの)を及ぼすことなく、全可動域にわたって移動することが可能である。無効化状態は、カムスイッチ232の上端を近位位置に枢動させることによって有効となる。この無効化状態において、カムスイッチ232の下部分は、カム状レバー233の第1の陥凹カム面233bに対して動作接触した状態に固定される。この接触により、カム状レバー233の(カム状レバー枢動ピン233aより遠位側の)遠位部分がてこ作用により板バネ234の付勢に対抗して下方に動く。結果的に、カム状レバー233の近位部分がてこ作用によりラチェット歯付き部材231の遠位突出部231bに対抗して上方に動き、それによってラチェット歯付き部材231がその枢動ピン231aの周りに、その下部分(ラチェット歯付き突出部235)を遠位方向に枢動させて第2のハンドル部材206の爪部材238の爪歯237との係合を外すように回転する。カムスイッチ232が無効化状態に「固定された」状態は、板バネ234がカム状レバー233をカムスイッチ232に対抗して上方に付勢することによって有効となる。具体的には、カムスイッチは、その(枢動ピン232aの下方の)下部分が枢動して屈曲点を過ぎ、それにより第1の陥凹カム係合面233bがカムスイッチ232に接触し、且つ板バネ234がカム状レバー233をカムスイッチ232に対抗して上方に付勢することで、第1の陥凹カム係合面233bがカムスイッチ232の下部分を効果的に捕捉することが可能となると、近位方向に回転した位置に固定される。
【0023】
当業者は、ハンドル202がラチェット歯付き部材231を爪部材238と長手方向に離すのに十分なほど開放可能であってもよく、ハンドル部材204、206を互いに向かって枢動させるとき、カムスイッチ232を、係合状態、解除状態、又は無効化状態に関連した角度に配置することで、ハンドルが所望の状態に調整され得ることを理解するであろう。当業者はまた、本発明の範囲内の他の実施形態において、カムスイッチが、カム状レバー233に対して枢動するのではなく、転がるか、又は摺動するように構成され、及びカムスイッチ(例えば、カムスイッチ232)が、カム状レバーと共に、又はカム状レバーなしに、ラチェット歯付き部材又は爪部材と直接的な動作接触を有するように構成されるか、或いはそのどちらか一方の構成であってもよいことも理解するであろう。
【0024】
図4A〜4Dは、使用者がハンドル202を有する器具200で利用し得る把持位置の4つの例を示す。これらの把持の仕方は、使用者のやり方、個人的な好み;快適性、角度を付ける必要性(例えば、ポートの配置及び腹腔鏡手技中の套管針の角度、或いはそのどちらか一方などに起因して)、又は使用者がその把持の仕方を利用したり、又は変えたりしたいと思う任意の他の理由、のうちの1つ又は複数に基づき選択され得る。当業者は、上記のハンドルの形状並びにラチェット機構231の位置及び機能により、手技中、例えば肥満症手術の腹腔鏡手技中に、器具を様々な角度及び位置から操作するための利点が使用者にもたらされることを理解するであろう。具体的に、当業者は、使用者が図示される把持の仕方の変形例を選択したり、又は他の把持の仕方を用いたりしてもよいが、実質的にあらゆる実際的な把持位置が、カムスイッチ232を使用してラチェット機構230を作動させるのに、使用者の把持の仕方を大きく変えたり、別の手を必要としたりすることのない、簡便な作動のラチェット機構230を提供できることを理解するであろう。
【0025】
腹腔鏡検査器具500用のハンドル502の第2の実施形態が、図5A〜5B及び図6A〜6Cを参照して例示される。図5Aは器具500の側面図を示し、図5Bは器具ハンドル502の上面斜視図を示す。ハンドル502は、枢動ピン508で第2のハンドル部材506に枢動可能に取り付けられた第1のハンドル部材504を備える。第1のハンドル部材504及び第2のハンドル部材506は、好ましくは樹脂材料で作製され得るが、プラスチック、金属、又は、オートクレーブにおける複数回の滅菌に好適であるとして当該技術分野において公知の他の材料で作製されてもよい。使い捨ての実施形態もまた、当該技術分野において公知の材料で作製され得る。細長管状シャフト580が第2のハンドル部材506から遠位方向に延在し、これは好ましくは、軸線方向に回転可能に構成され得る。作動ロッド582が第1のハンドル部材504から遠位方向にシャフト580を貫通して延在する。器具500の遠位端に、先端作用部584(例を挙げると、用具先端、例えば、把持具、鋏、鉗子、切開用器具、クランプ、持針器など)が、シャフト580及び作動ロッド582の双方と動作可能に連結される。当業者は、この構成によれば、第1のハンドル部材504を第2のハンドル部材506に対して枢動させることによって先端作用部584の作動がもたらされることを理解するであろう(例えば、米国特許第5,498,256号及び米国特許第5,827,263号を参照のこと)。
【0026】
ハンドルの実施形態502は上記のハンドルの実施形態202と実質的に同様であり得る。但し、第2のハンドル部材506は、遠位用具先端584を回転させるのに望ましい回転トルクを及ぼす能力を使用者に与えるように構成された遠位屈曲部506aを備えている。従って、作動ロッド582の近位端と第1のハンドル部材504との間に移行部材582a及びロッド固定部材582bが備わり、それらは、ハンドル502から作動ロッド582を通じて用具先端584まで、長手方向の動きを伝えるように構成される。当業者は、このハンドル構成が、例えば、湾曲した針による縫合に使用される腹腔鏡針把持具と共に使用する際に、使用者がシャフト及び先端を長手方向軸線の周りに回転させようとする場合に、特に良く適し得ることを理解するであろう。また、本願の目的上、用語「インライン形手術器械」は図2A〜6Cの全ての実施形態を含み、そこでハンドル部分は、厳密に軸状であるか、又は図5A〜6Cの角度の偏りを含むこともまた理解されなければならない。
【0027】
図6A〜6Dに例示される実施形態において、単一スイッチ解除/無効化ラチェット機構として具体化されるラチェット機構530は、ハンドル502に装着され、且つ第1のハンドル部材504を第2のハンドル部材506に対して使用者の選択した角度に選択可能に固定するように構成される。
【0028】
図6は、ハンドル502の部分分解図を示す。図6Aは、ハンドル502の一部分の長手方向断面図を示し、ラチェット機構を図6B〜6Cに図示されるものより詳細に示すために拡大しており、図6B〜6Cは、ハンドル全体の長手方向断面を示す。第2のハンドル部材506の上部近位領域は、第1のハンドル部材504を係合するように作製される。具体的には、上部近位領域は上側に延在する一対のアーム516を備え、これは、アーム516を貫通し、且つ第1のハンドル部材504の上部近位領域の両側に枢動ピン508(両端ネジ付きボルトとして図示される)を係合するように構成された枢軸開口518を備える。第1のハンドル部材504の近位下部領域は、作動ロッド582の近位端でボール586(又は他の作動ロッド保持構造)を受け止めるように構成される。第1のハンドル部材504の遠位上面は、使用者の把持及びハンドル端の触知位置、或いはそのどちらか一方を補助するように構成される陥凹面504aを備え得る。例示される実施形態において、一対のワイヤバネ599(好ましくはニッケル−チタン形状記憶合金又は他の好適な材料で形成される)が第1のハンドル部分504の近位部分に装着され、第1のハンドル部分504を第2のハンドル部分506から離れる側に枢動させるよう付勢する形で第2のハンドル部分506の内表面と接触するように構成され得る。この付勢の結果として、ハンドル502の既定位置ではハンドル部材504、506は離間されていることになる。加えて、この付勢は、ラチェット機構530(以下に記載される)が係合されたときに、その内部で係合張力を維持する働きをし得る。
【0029】
例示される実施形態において、第2のハンドル部材506の上部領域の遠位外面に刻み回転ノブ588が回転可能に重ねて置かれ、これはシャフト580に取り付けられる。回転ノブ588は好ましくは、シャフト580の内部に開口したフラッシュポート589を備える。(代表的なフラッシュポート/回転ノブ機構の説明については、例えば、参照により本明細書に援用される米国特許第5,489,290号を参照のこと)。回転ノブ588は、シャフト580をその長手方向軸線の周りに、ハンドル502に対して回転させるための手段を提供する。ノブ588は好ましくは、使用者がハンドル502を手から離したり、若しくは把持の仕方を大きく変えたりすることなくそれを回転させることができるよう、人間工学的に規定された位置に配置され、及びその外表面は好ましくは、使用者の指に引っ掛かりを提供するように複数の幅広の溝を備える。ノブ588を回転させることによるシャフトの回転は好ましくは割り送りされ(例えば、ボールデテントの使用により)、それによってシャフト580を制御しながら正確に回転させることが可能となり、この回転は、円滑に動く形であっても、又は漸進的な形であってもよい。
【0030】
ハンドル502は、図6A〜6Cを参照して記載されるラチェット機構530を備え、その設計は、器具500の組立て及び使い易さの点で利点を提供する。第1のハンドル部材504には、逆L字型ラチェット歯付き部材531が(横方向の枢動ピン531aで)、解除/無効化スイッチ−ここではカムスイッチ532として図示される−、カムスイッチ532とラチェット歯付き部材531との間の機械的連動を提供するカム状レバー533と共に、枢動可能に装着される。一端でラチェット歯付き部材531に装着された板バネ534がそれ(531)をカム状レバー533に対抗するように付勢し、カム状レバー533は付勢されてカムスイッチ532と接触する。第2のハンドル部材506には、ラチェット歯付き部材531の向かい側に爪部材538が配置される。ラチェット歯付き部材531は、僅かに湾曲した歯付き突出部535を備え、これは第1のハンドル部材504から抜け出して第2のハンドル部材506に向かって延在する。爪部材538は第1のハンドル部材504に向かって延在し、ラチェット歯付き部材531の歯付き突出部分535の歯を係合するように構成された爪歯537を備える。カム状レバー533はまた、その上側面に第1の陥凹カム面533bを、及び第1のカム面533bから上方遠位方向に延在する第2の隆起カム面533cを備える。
【0031】
板バネ534の近位端は、ラチェット歯付き部材531に当該部材の枢動ピン531aの下方で固定され、且つ、その遠位接触面がカム状レバー533の下側面に、それ(533)の装着ピン/枢動ピン533aにおける枢軸より遠位側で接触するように置かれ、それによってカム状レバー533の遠位部分の概して上方への付勢と、ラチェット歯付き部材531の(枢動ピン531aの下方の)下部分の概して近位方向への付勢とを同時に行う。カムスイッチ532は、カムスイッチ枢動ピン532aによって第1のハンドル部材506に枢動可能に取り付けられる。代替的実施形態において、ラチェット歯付き部材531と爪部材538との相対的な位置は逆であってもよい(爪部材が第1のハンドル部材に枢動可能に配置され、且つラチェット歯付き部材が第2のハンドル部材に配置されるなど)。当業者は、この相補面/係合面の可逆性が本発明の他の実施形態に適用可能であり、例示される実施形態の他の変形例が本発明の範囲内で実施され得ることを理解するであろう。
【0032】
ラチェット機構530は、使用者によって選択される3つの状態(係合、解除、及び無効化)のうちの1つに作動させることができ、これらの状態は、それぞれ、図6A、6B、及び6Cを参照して記載される。
【0033】
図6Aに示されるとおり、ラチェット機構530が係合状態にあるとき、ラチェット歯付き突出部535の歯は爪部材538の爪歯537と係合している。この係合は、第1のハンドル504が(例えば、ワイヤバネ599のハンドルを分離させる付勢によって)第2のハンドル506から離れるように動くことは阻止するが、第1のハンドル504が第2のハンドル506に近付くように動くことは可能とし、ラチェット歯が爪歯537を越えて漸進的に動くとき、聴覚的及び触覚的フィードバックを伴う。係合状態では、ラチェット歯付き部材531のラチェット歯付き突出部535との爪歯の接触は、板バネ534がカム状レバー533の下側を付勢していることによって維持される。この板バネの付勢が、ラチェット歯付き部材531の(その枢軸531aの下方の)一部に対して近位側への力を及ぼし、それによってラチェット歯付き部材531がその枢軸531aの周りに、湾曲した歯付き突出部535を近位方向に送って第2のハンドル部材506の爪部材538の爪歯537と係合させるように、枢動する。ハンドル502が係合位置にあるとき、カムスイッチ532は静止しており(例示される実施形態ではニュートラルな中央位置にあり)、カム状レバー533との有効な動作接触は有しない。例示される実施形態において、ワイヤバネ599のハンドル部材504、506に対する付勢の離間作用は、ラチェット歯付き部材531と爪部材538との間の接触張力を維持するよう働き得る張力をもたらす。
【0034】
図6Bに示されるとおり、ラチェット機構530が解除状態にあるとき、ラチェット歯付き突出部535の歯は爪部材538の爪歯537から離脱する。この離脱により、第1のハンドル504は第2のハンドル506に向かって、又は第2のハンドル506から離れるように、自在に動くことが可能となる。解除状態は、カムスイッチ532の上端を遠位方向に枢動させることによって有効となる。このように枢動させると、カムスイッチ532は、カム状レバー533の第2の隆起カム面533cに対して動作接触した状態に動的に保持される。この接触により、カム状レバー533の(カム状レバー枢動ピン533aより遠位側の)遠位部分がてこ作用により板バネ534の付勢に対抗して下方に動く。結果的に、カム状レバー533の近位部分がてこ作用によりラチェット歯付き部材531の上部遠位突出部531bに対抗して上方に動き、それによってそれ(531)がその枢動ピン531aの周りに、その下部分(ラチェット歯付き突出部535)を遠位方向に枢動させて第2のハンドル部材506の爪部材538の爪歯537との係合を外すように、回転する。解除状態を維持するためには、カムスイッチ532を遠位/前方に回転した位置に(板バネ534の付勢に抵抗して)保持しなければならない。カムレバー532を離すと、板バネ534の付勢によってラチェット機構530はその係合状態に戻ることができる。
【0035】
図6Cではラチェット機構530は無効化状態にあり、ここではラチェット歯付き突出部535が爪部材538の爪歯537から離脱しており、ハンドル部分504、506は、ラチェット機構530が係合することなく、且つ使用者がカムスイッチ532に動的な圧力(解除状態において要求されるとおりの)を及ぼすことなく、全可動域にわたって移動することが可能である。無効化状態は、カムスイッチ532の上端を近位位置に枢動させることによって有効となる。この無効化状態において、カムスイッチ532の下部分は、カム状レバー533の第1の陥凹カム面533bに対して動作接触した状態に固定される。この接触により、カム状レバー533の(カム状レバー枢動ピン533aより遠位側の)遠位部分がてこ作用により板バネ534の付勢に対抗して下方に動く。結果的に、カム状レバー533の近位部分がてこ作用によりラチェット歯付き部材531の遠位突出部531bに対抗して上方に動き、それによってラチェット歯付き部材531がその枢動ピン531aの周りに、その下部分(ラチェット歯付き突出部535)を遠位方向に枢動させて第2のハンドル部材506の爪部材538の爪歯537との係合を外すように、回転する。カムスイッチ532が無効化状態に「固定された」状態は、板バネ534がカム状レバー533をカムスイッチ532に対抗して上方に付勢することによって有効となる。具体的に、カムスイッチは、その(枢動ピン532aの下方の)下部分が枢動して屈曲点を過ぎ、それにより第1の陥凹カム係合面533bがカムスイッチ532に接触し、且つ板バネ534がカム状レバー533をカムスイッチ532に対抗して上方に付勢することで、第1の陥凹カム係合面533bがカムスイッチ532の下部分を効果的に捕捉することが可能となると、近位方向に回転した位置に固定される。
【0036】
当業者は、ハンドル502がラチェット歯付き部材531を爪部材538から長手方向に離すのに十分なほど開放可能であり、ハンドル部材504、506を互いに向かって枢動させるとき、カムスイッチ532を、係合状態、解除状態、又は無効化状態に関連した角度に配置することで、ハンドルが所望の状態に調整され得ることを理解するであろう。
【0037】
当業者は、本発明のハンドルの実施形態の湾曲した外表面が、器具の装飾上異なる外観を提供し得ることを理解するであろう。湾曲した表面はまた、使用者に人間工学的な利点も提供し得、そうした利点もまた、装飾上異なる外観を有する湾曲した表面によって提供され得る。前述の詳細な説明は限定ではなく例示と見なされるべきであることが意図される。あらゆる等価物を含む以下の特許請求の範囲が本発明の趣旨及び範囲を定義するものと意図されることは理解されなければならない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長シャフトと動作可能に連結されたハンドルを有するインライン形手術器械であって、前記ハンドルが、
第2のハンドル部材に枢動可能に連結された第1のハンドル部材であって、前記枢動可能な連結が双方のハンドル部材の近位端の近傍に位置する、第1のハンドル部材と、
前記第1のハンドル部材に固定され、且つ前記第1のハンドル部材から前記第2のハンドル部材に向かって突出する第1の係合部材であって、前記第1の係合部材の第1の端部分が付勢されて前記第2の係合部材と係合する、第1の係合部材と、
前記第1のハンドル部材に枢動可能に連結され、且つ前記第1の係合部材との動作接触により機械的に連動するカムスイッチと、を含み、
前記カムスイッチが前記第1の係合部材に対して第1の角度に配置されると、それによりもたらされる前記動作接触が前記第1の係合部材を枢動させるのに十分となり、前記第1の係合部材を前記第2の係合部材と係合する付勢に打ち勝って離脱させ、及び
前記カムスイッチが前記第1の係合部材に対して第2の角度にあるとき、前記動作接触が前記第1の係合部材を枢動させるのに十分となり、前記第1の係合部材を前記第2の係合部材と係合する付勢に打ち勝ち、且つ前記動作接触が前記第1の係合部材を、前記第2の係合部材との係合が外れた状態に付勢するのに十分となる、手術器械。
【請求項2】
前記カムスイッチの前記第1の係合部材との前記動作接触が、
第1のカム状レバー端と第2のカム状レバー端との間に配置されたカム状レバー枢軸の周りに枢動されるように構成された枢動可能なカム状レバー、を含み、
前記カムスイッチが前記第1のカム状レバー端に接触し、前記第2のカム状レバー端が前記第1の係合部材に接触する、請求項1に記載の手術器械。
【請求項3】
前記第1の係合部材が前記第2の係合部材との係合状態に板バネによって付勢され、前記板バネが、前記第1の係合部材の一部分を前記カム状レバーから離すように付勢する、請求項2に記載の手術器械。
【請求項4】
前記カム状レバーが、突出面部分と陥凹面部分とを備える表面を含む、請求項2に記載の手術器械。
【請求項5】
前記カムスイッチが前記第1の係合部材に対して前記第1の角度に配置されると、前記カムスイッチが前記突出面部分に接触する、請求項4に記載の手術器械。
【請求項6】
前記カムスイッチが前記第1の係合部材に対して前記第2の角度に配置されると、前記カムスイッチが前記陥凹面部分に接触する、請求項4に記載の手術器械。
【請求項7】
前記カムスイッチの前記陥凹面部分との接触が、前記カム状レバーを適所に保持するのに十分な摩擦接触をもたらす、請求項6に記載の手術器械。
【請求項8】
前記第1の係合部材がラチェット歯付き部材と爪部材とを含む、請求項1に記載の手術器械。
【請求項9】
前記細長シャフトが、それを長手方向に貫通して延在する作動ロッドと、前記細長シャフト及び前記作動ロッドの遠位端近傍に配置された遠位端作用部とを含む、請求項1に記載の手術器械。
【請求項10】
前記第1のハンドル部材又は前記第2のハンドル部材の一方が前記作動ロッドと機械的に連動し、前記第1のハンドル部材又は前記第2のハンドル部材の一方が他方に対して枢動されると、前記作動ロッドを動かすように構成される、請求項10に記載の手術器械。
【請求項11】
前記第1のハンドル部材を付勢して前記第2のハンドル部材から離れる側に枢動させるように構成された少なくとも1本のワイヤバネをさらに含む、請求項1に記載の手術器械。
【請求項12】
前記細長シャフトに取り付けられ、且つ前記細長シャフトをその長手方向軸線の周りに回転させるように構成された回転ノブをさらに含む、請求項1に記載の手術器械。
【請求項13】
前記回転ノブに配置され、且つ前記細長シャフトの内側部分との流体連通を提供するように構成されたフラッシュポートをさらに含む、請求項1に記載の手術器械。
【請求項14】
細長シャフトと動作可能に連結されたハンドルを有するインライン形手術器械であって、前記ハンドルが、
第1のハンドル部材と、
前記第1のハンドル部材に枢動可能に連結される第2のハンドル部材であって、双方のハンドル部材の近位端の近傍で連結される、第2のハンドル部材と、
前記枢動可能な連結に対して遠位側に配置され、且つ前記第1のハンドル部材と前記第2のハンドル部材とを着脱可能に係合するように構成されたラチェット機構であって、第1のラチェット機構部分と第2のラチェット機構部分とを含むラチェット機構と、
を含み、
前記第1のラチェット機構部分が、
L字型ラチェット歯付き係合部材と、
カム状レバー部材と、
カムスイッチと、を含み、
前記L字型ラチェット歯付き係合部材が、前記第1のハンドル部材に枢動可能に装着され、且つ前記第1のハンドル部材から前記第2のハンドル部材に向かって突出し、前記L字型ラチェット歯付き係合部材は、レバー−アーム突出部分と概して垂直の歯付き部分を含み、
前記カムスイッチが、前記第1のハンドル部材に枢動可能に装着され、且つ前記第1のハンドル部材から前記第2のハンドル部材の逆側に向かって突出し、
前記カム状レバー部材が、カム作用端と、レバー作用端と、それらの間で前記カム状レバー部材を前記第1のハンドル部材と枢動可能に連結する枢軸とを含み、及び
前記カムスイッチが前記カム状レバー部材の前記カム作用端に接触し、且つ前記カム状レバー部材の前記レバー作用端が前記L字型ラチェット歯付き係合部材の前記レバー−アーム突出部に接触し、
前記カム作用端が、隆起カム面と陥凹カム面とを含み;及び
前記第2のラチェット機構部分が、
前記第2のハンドル部材に装着された爪部材であって、爪歯部分と爪脚部分とを備える爪部材を含み、前記爪歯部分が前記ラチェット歯付き係合部材の前記歯付き部分に向かって突出し、且つそれと係合するように構成され、及び
前記L字型ラチェット歯付き係合部材と接触する付勢バネが前記L字型ラチェット歯付き係合部材を付勢して前記爪歯部分と係合させ;及び
前記カムスイッチ及び前記カム状レバー部材の前記カム作用端は、前記カムスイッチが前記カム状レバー部材に対して第1の角度に配置されると、前記カムスイッチと前記カム状レバー部材の前記隆起カム面との間の第1の動作接触により、前記L字型ラチェット歯付き係合部材の、前記爪部材の前記爪歯部分との付勢による係合を、てこ作用によって外すように構成され、及び
前記カムスイッチ及び前記カム状レバー部材の前記カム作用端はまた、前記カムスイッチが前記カム状レバー部材に対して第2の角度に配置されると、前記カムスイッチと前記カム状レバー部材の前記陥凹カム面との間の第2の動作接触により、前記L字型ラチェット歯付き係合部材の、前記爪部材の前記爪歯部分との付勢による係合を、てこ作用によって外すように構成される、インライン形手術器械。
【請求項15】
前記第2の動作接触により、前記カムスイッチを前記第2の角度に固定すると同時に、前記L字型ラチェット歯付き係合部材の、前記爪部材の前記爪歯部分との付勢による係合を外れた状態にする摩擦係合を含む、請求項14に記載のインライン形手術器械。
【請求項16】
インライン形手術器械ハンドル用の単一スイッチ解除/無効化ラチェット機構であって、前記ラチェット機構が、
カムスイッチ部材と、前記カムスイッチ部材と動作接触する枢動可能なラチェット部材と、付勢部材と、爪部材と、を含み、
前記機構がラチェット係合状態にあるとき、前記カムスイッチ部材は、前記動作接触が最小限となって前記付勢部材が前記ラチェット部材を前記爪部材と係合した状態に付勢するように、第1のニュートラル位置を占め、
前記機構がラチェット解除状態にあるとき、前記カムスイッチ部材は、前記動作接触により前記付勢部材の付勢が押し返されて前記ラチェット部材が前記爪部材との係合状態から解除されるように、第2の位置を占め、及び
前記機構がラチェット無効化状態にあるとき、前記カムスイッチ部材は、前記動作接触により前記ラチェット部材が付勢されて前記爪部材との係合が外れた状態となるように、第3の位置を占める、機構。
【請求項17】
前記カムスイッチ部材の前記第1の係合部材との前記動作接触が、
第1のカム状レバー端と第2のカム状レバー端との間に配置されたカム状レバー枢軸の周りに枢動されるように構成された枢動可能なカム状レバー、を含み、
前記カムスイッチ部材が前記第1のカム状レバー端に接触し、前記第2のカム状レバー端が前記枢動可能なラチェット部材に接触する、請求項16に記載の機構。
【請求項18】
前記付勢部材が、前記カム状レバーと前記ラチェット部材との間に配置され、且つ前記ラチェット部材の端部を前記カム状レバーから離すように付勢するよう構成された板バネを含む、請求項17に記載の機構。
【請求項19】
前記カム状レバーが、突出面部分と陥凹面部分とを備えるカムスイッチ部材接触面を含む、請求項17に記載の機構。
【請求項20】
前記カムスイッチ部材が前記第2の位置を占めるとき、前記カムスイッチ部材が前記突出面部分に接触する、請求項19に記載の機構。
【請求項21】
単一スイッチ解除/無効化機能部を備えたハンドルラチェット機構を有するインライン形手術器械であって、前記ハンドルラチェット機構が、
第1の係合部材と、
ハンドル部分に枢動可能に装着され、且つ前記第1の係合部材に向かって突出する第2の係合部材であって、前記第2の係合部材の第1の端部分がバネ付勢されて前記第1の係合部材と係合する、第2の係合部材と、
前記ハンドル部分と可動式に連結され、且つ前記第2の係合部材の第2の端部分との動作接触を含むカムスイッチと、を含み、
前記カムスイッチが前記第2の係合部材に対して第1の位置に置かれると、前記動作接触が前記第2の係合部材を枢動させるのに十分となり、前記第2の係合部材を前記第1の係合部材と係合するバネ付勢に打ち勝ち、及び
前記カムスイッチが前記第2の係合部材に対して第2の位置に置かれると、前記動作接触が前記第2の係合部材を枢動させるのに十分となり、前記第2の係合部材を前記第1の係合部材と係合する付勢に打ち勝ち、且つ前記動作接触が前記第2の係合部材を、前記第1の係合部材との係合が外れた状態に付勢するのにも十分となる、インライン形手術器械。
【請求項22】
細長シャフトと動作可能に連結されたハンドルを有するインライン形手術器械であって、前記ハンドルが、
その近位端近傍で、第2のハンドル部材の近位端近傍と枢動可能に連結された第1のハンドル部材と、
前記第1のハンドル部材に含まれるラチェット歯付き係合部材と、
前記第2のハンドル部材において枢動可能に装着された爪係合部材であって、前記歯付き係合部材の一部分が付勢されると係合する爪係合部材と、
前記第1のハンドル部材に枢動可能に連結され、且つ前記歯付き係合部材の表面との動作接触を含む細長カムスイッチと、を含み、
前記細長カムスイッチが前記歯付き係合部材に対して第1の位置に置かれると、前記動作接触が、前記歯付き係合部材を前記爪係合部材と係合する付勢に打ち勝つのに十分な力を提供し;及び、
前記細長カムスイッチが前記歯付き係合部材に対して第2の位置に置かれると、前記動作接触が前記歯付き係合部材を枢動させるのに十分となり、前記歯付き係合部材を前記爪係合部材と係合する付勢に打ち勝ち、且つ前記動作接触が前記歯付き係合部材を、前記爪係合部材との係合が外れた状態に付勢するのに十分となる、インライン形手術器械。
【請求項23】
細長シャフトと動作可能に連結されたハンドルを有するインライン形手術器械であって、前記ハンドルが、
単一の作動手段を作動させることによって係合、解除、及び無効化を行うように構成されたラチェット機構、を含む、インライン形手術器械。
【請求項24】
前記単一の作動手段がカムスイッチを含む、請求項23に記載のインライン形手術器械。
【請求項25】
前記ハンドルが、第2のハンドル部材の近位端近傍と、近位端近傍で枢動可能に連結された第1のハンドル部材をさらに含み、及び
前記ラチェット機構が、前記第1のハンドル部材に含まれるラチェット歯付き係合部材をさらに含み、
爪係合部材が前記第2のハンドル部材に枢動可能に装着され、前記歯付き係合部材の一部分が付勢されて前記爪係合部材と係合し、及び
前記カムスイッチが前記第1のハンドル部材に枢動可能に連結され、且つ中間レバー部材を介した前記歯付き係合部材の表面との動作接触を含み、
前記カムスイッチが前記歯付き係合部材に対して第1の位置に枢動されると、前記動作接触が、前記歯付き係合部材を前記爪係合部材と係合する付勢に打ち勝つのに十分な力を提供し、及び
前記カムスイッチが前記歯付き係合部材に対して第2の位置に枢動されると、前記動作接触が前記歯付き係合部材を枢動させるのに十分となり、前記歯付き係合部材を前記爪係合部材と係合する付勢に打ち勝ち、且つ前記動作接触が前記歯付き係合部材を前記爪係合部材との係合が外れた状態に付勢するのに十分となる、請求項24に記載のインライン形手術器械。
【請求項1】
細長シャフトと動作可能に連結されたハンドルを有するインライン形手術器械であって、前記ハンドルが、
第2のハンドル部材に枢動可能に連結された第1のハンドル部材であって、前記枢動可能な連結が双方のハンドル部材の近位端の近傍に位置する、第1のハンドル部材と、
前記第1のハンドル部材に固定され、且つ前記第1のハンドル部材から前記第2のハンドル部材に向かって突出する第1の係合部材であって、前記第1の係合部材の第1の端部分が付勢されて前記第2の係合部材と係合する、第1の係合部材と、
前記第1のハンドル部材に枢動可能に連結され、且つ前記第1の係合部材との動作接触により機械的に連動するカムスイッチと、を含み、
前記カムスイッチが前記第1の係合部材に対して第1の角度に配置されると、それによりもたらされる前記動作接触が前記第1の係合部材を枢動させるのに十分となり、前記第1の係合部材を前記第2の係合部材と係合する付勢に打ち勝って離脱させ、及び
前記カムスイッチが前記第1の係合部材に対して第2の角度にあるとき、前記動作接触が前記第1の係合部材を枢動させるのに十分となり、前記第1の係合部材を前記第2の係合部材と係合する付勢に打ち勝ち、且つ前記動作接触が前記第1の係合部材を、前記第2の係合部材との係合が外れた状態に付勢するのに十分となる、手術器械。
【請求項2】
前記カムスイッチの前記第1の係合部材との前記動作接触が、
第1のカム状レバー端と第2のカム状レバー端との間に配置されたカム状レバー枢軸の周りに枢動されるように構成された枢動可能なカム状レバー、を含み、
前記カムスイッチが前記第1のカム状レバー端に接触し、前記第2のカム状レバー端が前記第1の係合部材に接触する、請求項1に記載の手術器械。
【請求項3】
前記第1の係合部材が前記第2の係合部材との係合状態に板バネによって付勢され、前記板バネが、前記第1の係合部材の一部分を前記カム状レバーから離すように付勢する、請求項2に記載の手術器械。
【請求項4】
前記カム状レバーが、突出面部分と陥凹面部分とを備える表面を含む、請求項2に記載の手術器械。
【請求項5】
前記カムスイッチが前記第1の係合部材に対して前記第1の角度に配置されると、前記カムスイッチが前記突出面部分に接触する、請求項4に記載の手術器械。
【請求項6】
前記カムスイッチが前記第1の係合部材に対して前記第2の角度に配置されると、前記カムスイッチが前記陥凹面部分に接触する、請求項4に記載の手術器械。
【請求項7】
前記カムスイッチの前記陥凹面部分との接触が、前記カム状レバーを適所に保持するのに十分な摩擦接触をもたらす、請求項6に記載の手術器械。
【請求項8】
前記第1の係合部材がラチェット歯付き部材と爪部材とを含む、請求項1に記載の手術器械。
【請求項9】
前記細長シャフトが、それを長手方向に貫通して延在する作動ロッドと、前記細長シャフト及び前記作動ロッドの遠位端近傍に配置された遠位端作用部とを含む、請求項1に記載の手術器械。
【請求項10】
前記第1のハンドル部材又は前記第2のハンドル部材の一方が前記作動ロッドと機械的に連動し、前記第1のハンドル部材又は前記第2のハンドル部材の一方が他方に対して枢動されると、前記作動ロッドを動かすように構成される、請求項10に記載の手術器械。
【請求項11】
前記第1のハンドル部材を付勢して前記第2のハンドル部材から離れる側に枢動させるように構成された少なくとも1本のワイヤバネをさらに含む、請求項1に記載の手術器械。
【請求項12】
前記細長シャフトに取り付けられ、且つ前記細長シャフトをその長手方向軸線の周りに回転させるように構成された回転ノブをさらに含む、請求項1に記載の手術器械。
【請求項13】
前記回転ノブに配置され、且つ前記細長シャフトの内側部分との流体連通を提供するように構成されたフラッシュポートをさらに含む、請求項1に記載の手術器械。
【請求項14】
細長シャフトと動作可能に連結されたハンドルを有するインライン形手術器械であって、前記ハンドルが、
第1のハンドル部材と、
前記第1のハンドル部材に枢動可能に連結される第2のハンドル部材であって、双方のハンドル部材の近位端の近傍で連結される、第2のハンドル部材と、
前記枢動可能な連結に対して遠位側に配置され、且つ前記第1のハンドル部材と前記第2のハンドル部材とを着脱可能に係合するように構成されたラチェット機構であって、第1のラチェット機構部分と第2のラチェット機構部分とを含むラチェット機構と、
を含み、
前記第1のラチェット機構部分が、
L字型ラチェット歯付き係合部材と、
カム状レバー部材と、
カムスイッチと、を含み、
前記L字型ラチェット歯付き係合部材が、前記第1のハンドル部材に枢動可能に装着され、且つ前記第1のハンドル部材から前記第2のハンドル部材に向かって突出し、前記L字型ラチェット歯付き係合部材は、レバー−アーム突出部分と概して垂直の歯付き部分を含み、
前記カムスイッチが、前記第1のハンドル部材に枢動可能に装着され、且つ前記第1のハンドル部材から前記第2のハンドル部材の逆側に向かって突出し、
前記カム状レバー部材が、カム作用端と、レバー作用端と、それらの間で前記カム状レバー部材を前記第1のハンドル部材と枢動可能に連結する枢軸とを含み、及び
前記カムスイッチが前記カム状レバー部材の前記カム作用端に接触し、且つ前記カム状レバー部材の前記レバー作用端が前記L字型ラチェット歯付き係合部材の前記レバー−アーム突出部に接触し、
前記カム作用端が、隆起カム面と陥凹カム面とを含み;及び
前記第2のラチェット機構部分が、
前記第2のハンドル部材に装着された爪部材であって、爪歯部分と爪脚部分とを備える爪部材を含み、前記爪歯部分が前記ラチェット歯付き係合部材の前記歯付き部分に向かって突出し、且つそれと係合するように構成され、及び
前記L字型ラチェット歯付き係合部材と接触する付勢バネが前記L字型ラチェット歯付き係合部材を付勢して前記爪歯部分と係合させ;及び
前記カムスイッチ及び前記カム状レバー部材の前記カム作用端は、前記カムスイッチが前記カム状レバー部材に対して第1の角度に配置されると、前記カムスイッチと前記カム状レバー部材の前記隆起カム面との間の第1の動作接触により、前記L字型ラチェット歯付き係合部材の、前記爪部材の前記爪歯部分との付勢による係合を、てこ作用によって外すように構成され、及び
前記カムスイッチ及び前記カム状レバー部材の前記カム作用端はまた、前記カムスイッチが前記カム状レバー部材に対して第2の角度に配置されると、前記カムスイッチと前記カム状レバー部材の前記陥凹カム面との間の第2の動作接触により、前記L字型ラチェット歯付き係合部材の、前記爪部材の前記爪歯部分との付勢による係合を、てこ作用によって外すように構成される、インライン形手術器械。
【請求項15】
前記第2の動作接触により、前記カムスイッチを前記第2の角度に固定すると同時に、前記L字型ラチェット歯付き係合部材の、前記爪部材の前記爪歯部分との付勢による係合を外れた状態にする摩擦係合を含む、請求項14に記載のインライン形手術器械。
【請求項16】
インライン形手術器械ハンドル用の単一スイッチ解除/無効化ラチェット機構であって、前記ラチェット機構が、
カムスイッチ部材と、前記カムスイッチ部材と動作接触する枢動可能なラチェット部材と、付勢部材と、爪部材と、を含み、
前記機構がラチェット係合状態にあるとき、前記カムスイッチ部材は、前記動作接触が最小限となって前記付勢部材が前記ラチェット部材を前記爪部材と係合した状態に付勢するように、第1のニュートラル位置を占め、
前記機構がラチェット解除状態にあるとき、前記カムスイッチ部材は、前記動作接触により前記付勢部材の付勢が押し返されて前記ラチェット部材が前記爪部材との係合状態から解除されるように、第2の位置を占め、及び
前記機構がラチェット無効化状態にあるとき、前記カムスイッチ部材は、前記動作接触により前記ラチェット部材が付勢されて前記爪部材との係合が外れた状態となるように、第3の位置を占める、機構。
【請求項17】
前記カムスイッチ部材の前記第1の係合部材との前記動作接触が、
第1のカム状レバー端と第2のカム状レバー端との間に配置されたカム状レバー枢軸の周りに枢動されるように構成された枢動可能なカム状レバー、を含み、
前記カムスイッチ部材が前記第1のカム状レバー端に接触し、前記第2のカム状レバー端が前記枢動可能なラチェット部材に接触する、請求項16に記載の機構。
【請求項18】
前記付勢部材が、前記カム状レバーと前記ラチェット部材との間に配置され、且つ前記ラチェット部材の端部を前記カム状レバーから離すように付勢するよう構成された板バネを含む、請求項17に記載の機構。
【請求項19】
前記カム状レバーが、突出面部分と陥凹面部分とを備えるカムスイッチ部材接触面を含む、請求項17に記載の機構。
【請求項20】
前記カムスイッチ部材が前記第2の位置を占めるとき、前記カムスイッチ部材が前記突出面部分に接触する、請求項19に記載の機構。
【請求項21】
単一スイッチ解除/無効化機能部を備えたハンドルラチェット機構を有するインライン形手術器械であって、前記ハンドルラチェット機構が、
第1の係合部材と、
ハンドル部分に枢動可能に装着され、且つ前記第1の係合部材に向かって突出する第2の係合部材であって、前記第2の係合部材の第1の端部分がバネ付勢されて前記第1の係合部材と係合する、第2の係合部材と、
前記ハンドル部分と可動式に連結され、且つ前記第2の係合部材の第2の端部分との動作接触を含むカムスイッチと、を含み、
前記カムスイッチが前記第2の係合部材に対して第1の位置に置かれると、前記動作接触が前記第2の係合部材を枢動させるのに十分となり、前記第2の係合部材を前記第1の係合部材と係合するバネ付勢に打ち勝ち、及び
前記カムスイッチが前記第2の係合部材に対して第2の位置に置かれると、前記動作接触が前記第2の係合部材を枢動させるのに十分となり、前記第2の係合部材を前記第1の係合部材と係合する付勢に打ち勝ち、且つ前記動作接触が前記第2の係合部材を、前記第1の係合部材との係合が外れた状態に付勢するのにも十分となる、インライン形手術器械。
【請求項22】
細長シャフトと動作可能に連結されたハンドルを有するインライン形手術器械であって、前記ハンドルが、
その近位端近傍で、第2のハンドル部材の近位端近傍と枢動可能に連結された第1のハンドル部材と、
前記第1のハンドル部材に含まれるラチェット歯付き係合部材と、
前記第2のハンドル部材において枢動可能に装着された爪係合部材であって、前記歯付き係合部材の一部分が付勢されると係合する爪係合部材と、
前記第1のハンドル部材に枢動可能に連結され、且つ前記歯付き係合部材の表面との動作接触を含む細長カムスイッチと、を含み、
前記細長カムスイッチが前記歯付き係合部材に対して第1の位置に置かれると、前記動作接触が、前記歯付き係合部材を前記爪係合部材と係合する付勢に打ち勝つのに十分な力を提供し;及び、
前記細長カムスイッチが前記歯付き係合部材に対して第2の位置に置かれると、前記動作接触が前記歯付き係合部材を枢動させるのに十分となり、前記歯付き係合部材を前記爪係合部材と係合する付勢に打ち勝ち、且つ前記動作接触が前記歯付き係合部材を、前記爪係合部材との係合が外れた状態に付勢するのに十分となる、インライン形手術器械。
【請求項23】
細長シャフトと動作可能に連結されたハンドルを有するインライン形手術器械であって、前記ハンドルが、
単一の作動手段を作動させることによって係合、解除、及び無効化を行うように構成されたラチェット機構、を含む、インライン形手術器械。
【請求項24】
前記単一の作動手段がカムスイッチを含む、請求項23に記載のインライン形手術器械。
【請求項25】
前記ハンドルが、第2のハンドル部材の近位端近傍と、近位端近傍で枢動可能に連結された第1のハンドル部材をさらに含み、及び
前記ラチェット機構が、前記第1のハンドル部材に含まれるラチェット歯付き係合部材をさらに含み、
爪係合部材が前記第2のハンドル部材に枢動可能に装着され、前記歯付き係合部材の一部分が付勢されて前記爪係合部材と係合し、及び
前記カムスイッチが前記第1のハンドル部材に枢動可能に連結され、且つ中間レバー部材を介した前記歯付き係合部材の表面との動作接触を含み、
前記カムスイッチが前記歯付き係合部材に対して第1の位置に枢動されると、前記動作接触が、前記歯付き係合部材を前記爪係合部材と係合する付勢に打ち勝つのに十分な力を提供し、及び
前記カムスイッチが前記歯付き係合部材に対して第2の位置に枢動されると、前記動作接触が前記歯付き係合部材を枢動させるのに十分となり、前記歯付き係合部材を前記爪係合部材と係合する付勢に打ち勝ち、且つ前記動作接触が前記歯付き係合部材を前記爪係合部材との係合が外れた状態に付勢するのに十分となる、請求項24に記載のインライン形手術器械。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【公表番号】特表2010−528778(P2010−528778A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511323(P2010−511323)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/065917
【国際公開番号】WO2008/154289
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(397037834)アレジアンス、コーポレイション (21)
【住所又は居所原語表記】1430 Waukegan Road, Waukegan, Illinois 60085 United States of America
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/065917
【国際公開番号】WO2008/154289
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(397037834)アレジアンス、コーポレイション (21)
【住所又は居所原語表記】1430 Waukegan Road, Waukegan, Illinois 60085 United States of America
【Fターム(参考)】
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