説明

手術用デバイス

本発明は、外側部材と当該外側部材内にスライド可能に収容された内側部材とを含むシャフトと、当該シャフトに連結されたハンドルと、内側部材に対して連結された、この内側部材に対して動作を付与するための手段とを含む手術用デバイスに関するものである。組織を修復するための方法もまた開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織修復に使用される手術用デバイスに関する。
【0002】
本願は、2008年7月17日付けで提出された米国特許出願第61/081,462号に対して優先権を主張するPCT国際出願であり、その開示内容の全てが、この引用によって、本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
関節鏡検査処置は、しばしば、軟組織を骨に対して再付着させることを必要とする。これを実施するために、アンカーが骨の中に設置され、そしてアンカーに取り付けられた縫合糸が、組織を適所にて確実に保持するために、組織を通過させられる。骨に対する軟組織の修復を行う場合、骨と組織との間の接触面積を可能な限り大きくすることが有利である。列内で互いに離間させられたアンカーポイントは、より広い接触面積を伴う修復につながる。大きな接触面積にわたって複数の取り付けポイントを用いて骨に対して組織を確実に取り付ける処置、およびこうした処置において使用するためのデバイスが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は手術用デバイスに関するものであり、当該デバイスは、外側部材およびこの外側部材内にスライド可能に収容された内側部材を有するシャフトと、このシャフトに連結されたハンドルと、内側部材に対して連結された、この内側部材に対して動作を付与するための手段とを含む。ある実施形態では、手術用デバイスはさらに、デバイスに対して連結されたアンカーアセンブリを具備してなり、アンカーアセンブリは、キャビティを有するアンカーと、このキャビティ内に収容された挿入部材とを具備してなる。他の実施形態では、外側部材は、アンカーと係合するよう構成された遠位部分を含み、かつ、内側部材は、挿入部材と係合するよう構成された遠位部分を含む。さらに他の実施形態では、手術用デバイスはさらに、シャフトに連結された縫合糸スレッダー(threader)を具備してなり、このスレッダーは、クリップと、このクリップに連結された縫合糸のループとを含む。さらなる実施形態では、縫合糸のループは、アンカーを経て延在する横断貫通孔内に配置される。
【0005】
さらなる実施形態では、内側部材に対して動作を付与するための手段は、遠位端部および近位端部を有するカニューレ状ボディと、このボディの近位端部との係合のための形状とされた上端部およびこの上端部に対して連結された下端部を含むプラグと、このプラグの下端部に配置された第1の部分と、プラグの下端部に配置された第2の部分と、これら第1および第2の部分間に位置させられたスプリングとを含む。その上さらなる実施形態では、ボディの近位端部はギアを含む。ある実施形態では、第1の部分は、ボディの近位端部のギアとの係合のための形状とされたギアを含む。他の実施形態では、外側部材は内側部材よりも短い。
【0006】
ある態様では、本発明は組織を修復するための方法に関し、当該方法は、骨の中に第1のアンカーを挿入するステップであって、第1のアンカーは、それに対して連結されたフレキシブルな部材を有するものであるステップと、組織を経てフレキシブルな部材の端部を通過させるステップと、手術用デバイスを提供するステップであって、この手術用デバイスは、外側部材とこの外側部材内にスライド可能に収容された内側部材とを含むシャフトと、シャフトに連結されたハンドルと、内側部材に対して連結された内側部材に対して動作を付与するための手段と、シャフトに対して連結されたアンカーアセンブリであって、キャビティおよび横断貫通孔を備えたアンカーと、キャビティ内に収容された挿入部材とを具備してなるアンカーアセンブリとを具備してなるものであるステップと、アンカーアセンブリの貫通孔を経てフレキシブルな部材の少なくとも一端を通過させるステップと、アンカーアセンブリを骨内に配置するステップと、フレキシブルな部材を貫通孔内で、かつ、組織を骨に対して固定するために、フレキシブルな部材の少なくとも一端に向かって挿入部材を前進させるステップとを具備する。
【0007】
ある実施形態では、上記方法はさらに、挿入部材の前進前に、フレキシブルな部材を緊張させることを含む。他の実施形態では、挿入部材の前進は、内側部材に対して動作を付与するための手段の回転を伴う。当該手段は、遠位端部および近位端部を有するカニューレ状ボディと、このボディの近位端部との係合のための形状とされた上端部およびこの上端部に対して連結された下端部を含むプラグと、このプラグの下端部に配置された第1の部分と、プラグの下端部に配置された第2の部分と、これら第1および第2の部分間に位置させられたスプリングとを含む。その上さらなる実施形態では、ボディの近位端部はギアを含む。さらなる実施形態では、第1の部分は、ボディの近位端部のギアとの係合のための形状とされたギアを含み、上記手段は、第1の部分のギアと近位端部のギアとがもはや直接係合状態ではなくなるまで、挿入部材を前進させるために回転させられる。
【0008】
ある実施形態では、本方法はさらに、外側部材およびこの外側部材内にスライド可能に収容された内側部材を有するシャフトと、このシャフトに連結されたハンドルと、内側部材に連結された内側部材に対して動作を付与するための手段とを有する手術用デバイスを提供すること(ここで、外側部材は内側部材よりも短い)と、内側部材が挿入部材と係合すると共に外側部材がアンカーと係合するように手術用デバイスをアンカーアセンブリと係合状態に置くステップと、フレキシブルな部材の少なくとも一端から離れるように挿入部材を移動させるステップと、フレキシブルな部材を緊張させるステップと、フレキシブルな部材を再固定するために挿入部材をフレキシブルな部材に向かって戻るように前進させるステップとを具備する。
【0009】
さらに他の実施形態では、フレキシブルな部材に向かう挿入部材の前進は、内側部材に対して動作を付与するための手段の回転を伴う。当該手段は、遠位端部および近位端部を有するカニューレ状ボディと、このボディの近位端部との係合のための形状とされた上端部およびこの上端部に対して連結された下端部を含むプラグと、このプラグの下端部に配置された第1の部分と、プラグの下端部に配置された第2の部分と、これら第1および第2の部分間に位置させられたスプリングとを含む。さらなる実施形態では、ボディの近位端部はギアを含む。その上さらなる実施形態では、第1の部分は、ボディの近位端部のギアとの係合のための形状とされたギアを含み、上記手段は、第1の部分のギアと近位端部のギアとがもはや直接係合状態ではなくなるまで挿入部材を前進させるために回転させられる。
【0010】
本発明の適用性に関するさらなる範囲は、以下の詳細な説明から明らかとなる。詳細な説明ならびに特定の実施例は、本発明の好ましい実施形態を指し示してはいるが、例証のみを目的としたものであり、本発明の範囲を制限することを意図してはいない。
【0011】
添付図面(これは本明細書に組み込まれその一部を形成する)は本発明の一実施形態を示しており、そして、以下の記載と共に、本発明の原理、特徴および機能を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る第1の手術用デバイスの外観図である。
【図2】図1の手術用デバイスの別な外観図である。
【図3】図1の手術用デバイスのハンドルの断面図である。
【図4】図1の手術用デバイスの内側部材の動作を実現するための手段の断面図である。
【図5】図4の内側部材の動作を実現するための手段の分解図である。
【図6】図4の内側部材の動作を実現するための手段の他の分解図である。
【図7】図1の手術用デバイスの内側および外側部材の遠位部の斜視図である。
【図8】本発明に係るアンカーアセンブリの斜視図である。
【図9】本発明に係るアンカーアセンブリの他の斜視図である。
【図10】本発明に係るアンカーアセンブリの平面図である。
【図11】本発明に係る第2の手術用デバイスの外観図である。
【図12】図11の第2の手術用デバイスの断面図である。
【図13】図11の第2の手術用デバイスの別な外観図である。
【図14】図11の第2の手術用デバイスのハンドルおよび内側部材の動作を実現するための手段の断面図である。
【図15A】組織を修復する際の、本発明の第1の手術用デバイスの使用法を示す図である。
【図15B】組織を修復する際の、本発明の第1の手術用デバイスの使用法を示す図である。
【図15C】組織を修復する際の、本発明の第1の手術用デバイスの使用法を示す図である。
【図15D】組織を修復する際の、本発明の第1の手術用デバイスの使用法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
好ましい実施形態の以下の説明は、事実上、単なる実例であり、かつ、開示内容、その用途、あるいは使用法を限定することを意図するものではない。
【0014】
図1ないし図3は、本発明の第1の手術用デバイス10を示している。このデバイス10は、外側部材11aと、この外側部材11a内にスライド可能に収容された内側部材11bとを有するシャフト11を具備してなる。シャフト11に連結されているのは、ボディ12aを有するハンドル12であり、ボディ12aは、それを通って延在する溝12bと、ボディ12aの外面12d上に配置された突出部12cとを備える。内側部材に対して動作を付与するための手段13が、図4ないし図6により分かりやすく示すように、そして以下でより詳しく説明するように、ハンドル12の開口12e内に収容されており、かつ、内側部材11bの近位部分11b'に対して連結されている。
【0015】
図8ないし図10により分かりやすく示すと共に以下で詳しく説明するように、やはりシャフト11に、特に外側および内側部材11a,11bの遠位部11a'',11b''(図7)に対して接続されているのがアンカーアセンブリ14である。外側部材11aの遠位部11a''は、以下で説明する目的のための第1のレーザーマーク11cと、以下でさらに詳しく説明するような、縫合糸の収容のための少なくとも二つの窪み11dとを備える。第2のレーザーマーク11eは、外側部材11aの長さの一部にわたって延在している。少なくとも二つのプロング11a'''が遠位部11a''から長手方向に延在しており、そして、以下でさらに詳しく説明するように、アンカーアセンブリ14のアンカーとの係合のための形状とされている。窪み11dは約180°離間して配置されており、かつ、以下でさらに詳しく説明するように、アンカーアセンブリ14上の溝と整列している。内側部材11bの遠位部11b''もまた、以下でさらに詳しく説明するように、アンカーアセンブリ14の挿入部材との係合のための形状とされた少なくとも二つのプロング11b'''を備える。
【0016】
縫合糸スレッダー15がまた、シャフト11に対して取り外し可能に連結されている。スレッダー15は、クリップ15aと、このクリップ15aに連結された縫合糸のループ15bとを含む。縫合糸ループ15は、以下でさらに詳しく説明するように、アンカーアセンブリ14の横断貫通孔内に配置され、かつ、手術中に、他のアンカーから貫通孔内へと縫合糸の端を通すために使用される。
【0017】
図3ないし図6に分かりやすく示すように、手段13は遠位端部13a'および近位端部13a''を有するボディ13aを備え、遠位端部13a'はハンドル12の開口12e内に収容されている。手段13はまた、上端部13b'と、中間部13b''と、下端部13b'''とを有する内部キャビティ13bを備える。上端部13b'および中間部13b''は近位端部13a''内に配置され、かつ、下端部13b'''は近位端部13a''と遠位端部13a'との間に配置されている。中間部13b''はギア13cを含む。手段13はまた、上端部13d'および下端部13d''を有するプラグ13dを備える。上端部13d'は、キャビティ13bの上端部13b'内に収容され、かつ、下端部13d''は中間部13b''と下端部13b'''との間で延在している。下端部13d''は、内側部材11の近位部分11bの収容のためのチャネル13hを含み、かつ、以下でさらに詳しく説明するように、第1の部分13eおよび第2の部分13fとの係合のための形状とされている。
【0018】
第1の部分13eは、以下でさらに詳しく説明するように、プラグ13dの下端部13d''上に配置され、かつ、中間部13b''のギア13cと係合するための形状とされたギア13e'を含んでいる。第2の部分13fはまた、プラグ13dの下端部13d''上に配置されており、かつ、第1の部分13eと第2の部分13fとの間に配置されたスプリング13gを受けるための形状とされた溝13f'を含む。スプリング13gによって第1の部分13eに力が加えられ、これによってギア13e',13cの係合状態がもたらされる。
【0019】
図8ないし図10は、本発明に係るアンカーアセンブリ14を示している。アンカーアセンブリ14は、キャビティ16aを備えるアンカー16と、このキャビティ16a内に収容された挿入部材17とを含む。アンカー16は近位部分16bおよび遠位部分16cを含む。近位部分16bは、外側部材11aのプロング11a'''の収容のための少なくとも二つの溝16b'を備える。挿入部材17は、内側部材11bのプロング11b'''との係合のための形状とされたヘッド17aを含む。さらにアンカー16は、以下で説明する目的のために、横断貫通孔16dと、この貫通孔16dの開口16d',16d''からアンカー16の近位部分16bへと延在するスロット16eとを含む。アンカーアセンブリの他の特徴は、米国特許出願公開第2009/112270号明細書において説明および図示されている(その内容全体は、この引用によって、本明細書中に組み込まれる)。
【0020】
図11ないし図14は、本発明の第2の手術用デバイス20を示している。第1の手術用デバイス10と同様、デバイス20は、外側部材21aと、この外側部材21a内にスライド可能に収容された内側部材21bとを有するシャフト21を具備してなる。ハンドル22は、シャフト21に対して連結されており、かつ、内側部材21bに対して動作を付与するための手段23は、手段13と同様、内側部材21bの近位部分21b'に連結されている。外側部材21aは内側部材21bよりも短く、この結果、外側部材21aの遠位部分21a''は、図11および図12にさらに分かりやすく示すように、内側部材21bの遠位部分21b''に対して近位で終端をなしている。外側部材21aのプロング24、窪み25およびレーザーマーク26は、第1の手術用デバイス10の外側部材11aのプロング11b、窪み11dおよびレーザーマーク11eと全く同じものである。同様に、内側部材21bのプロング27は、デバイス10の内側部材11bのプロング11b'''と同じものである。さらに、手段23は、デバイス10の手段13と同じものである。
【0021】
手術中、第1の手術用デバイス10は、アンカーアセンブリ14を骨の中に設置するのに使用される。図15Aないし図15Cは、回旋筋腱板の関節鏡検査修復に使用している状態で、第1の手術用デバイス10を示している。図15Aは、上腕骨などの、骨40の側面内に挿入された第1のアンカー30を示している。アンカー30(これは、それに対して接続された、縫合糸のようなフレキシブルな部材50を有する)は骨40内に挿入され、回旋筋腱板腱などの軟組織60が、アンカー30に隣接して配置されることになる骨40の上に載置され、そしてフレキシブルな部材50の端51の少なくとも一方が軟組織60を貫通して配置される。
【0022】
次に、フレキシブルな部材50の少なくとも一つの端51が、図15Aに示すように、ループ15bを通過させられ、そして、クリップ15aを用いて、図15Bに示すように、横断貫通孔16dを経て、ループ15bおよびフレキシブルな部材50を引っ張ることによって、横断貫通孔16dに通される。フレキシブルな部材50が貫通孔16dに通された後、縫合糸スレッダー15は廃棄される。アンカーアセンブリ14が続いて、図15Cに示すように、骨40の中間面において予め形成された穿孔41内に挿入され、これによってフレキシブルな部材50は横断貫通孔16d内に収容され、そして端51は孔41から突出する。アンカーアセンブリ14は、手段13を軽く叩くことによって、軸方向向き様式で、孔41内に前進させられる。上述したように、第1および第2のレーザーマーク11c,11eは、孔41内へのアンカー16の適切な向きおよび深さのために使用される。当然ながら、アンカー16は、第1のレーザーマーク11cが骨40の面と同一面をなし、かつ、第2のレーザーマーク11eが、それを骨40内に配置しながら、アンカー16の適切な目に見える方向付けを可能とするように、孔41内に配置される。
【0023】
孔41内へのアンカーアセンブリ14の配置の後、フレキシブルな部材50の端51は、フレキシブルな部材50および軟組織60に、好ましい緊張度合いをもたらすために引っ張られてもよい。フレキシブルな部材50のこの緊張は、特に図15Cと比較した場合に、図15Dから認識可能である。挿入部材17は、続いて、フレキシブルな部材50を貫通孔16d内で、そして骨40に対して組織60を固定するために、内側部材11bを介して、回転を伴って前進させられる。分かりやすくするために、挿入部材17は図15Cおよび図15Dには示していない。アンカーアセンブリ14は、スロット16eが窪み11dと整列し、これによってフレキシブルな部材50がスライドすることを可能とし、そして実質的に部材50が遠位部分11a''と孔41との間に捕らえられるのを軽減するように、内側および外側部材11a,11bの遠位部11a'',11b''上に配置されている。
【0024】
手段13を回転させることによって、内側部材11aが回転させられる。手段13の初期回転時、ギア13c,13e'は互いに完全係合状態にある。だが、いったん挿入部材17がフレキシブルな部材50と係合すると共にフレキシブルな部材50が貫通孔16d内で固定されると、手段13のさらなる回転は、第2の部分13fに向かう第1の部分13eの下向きの動きを引き起こし、これによってギア13e'と内部キャビティ13bのギア13cとの完全係合状態が解除される。手段13のさらなる回転は、内部キャビティ13bのギア13cを第1の部分13eのギア13e'の上でスライドさせ、これによって挿入部材17のさらなる回転が許容されなくなる。手段13は内側部材の動作を実現するために使用されるだけでなく、それはまた、挿入部材17に対して加えられるトルクの大きさを制限するのにも使用される。
【0025】
アンカーアセンブリ14の配置の後、第2の手術用デバイス20が、フレキシブルな部材50を再緊張させるために使用されてもよい。デバイス20は、内側部材21bの遠位部21b''上のプロング27が挿入部材17のヘッド17aと係合させられるように、アンカーアセンブリ14内に挿入される。ハンドル22は、続いて、アンカーアセンブリ14に向かって、図13および図14により明確に示すように、外側部材21aをスライドさせるために、そしてアンカー16の溝16b'内にプロング24を挿入するために使用される。いったん内側および外側部材21b,21aがアンカーアセンブリ14内に挿入されると、手段23は、フレキシブルな部材50から挿入部材17を分離させるために回転させられる。フレキシブルな部材50は、続いて、再緊張させられ、そして手段23は、上述したように、続いて、挿入部材17を前進させると共に、フレキシブルな部材50を貫通孔16d内で再固定するために回転させられる。第2の手術用デバイス20ではなく、第1の手術用デバイス10が、フレキシブルな部材50を再緊張させるために使用されてもよい。
【0026】
第1および第2の手術用デバイス10,20のシャフト11,21はステンレススチール材料を含むが、生体適合性を有すると共に、手術中にシャフト11,21に加わる力に耐えるのに十分な強度を有する、その他の金属あるいは非金属材料から形成されてもよい。シャフト11,21は、機械加工されても、ダイ引き抜きされ、続いて機械加工されても、あるいは当業者にとっては公知のその他の手法を用いて形成されてもよい。シャフト11,21は、圧入嵌め処理によって、ハンドル12,22およびノブ13,23に連結される。だが、ハンドル12,22およびノブ13,23をシャフト11,21に対して連結するその他の方法もまた本発明の範疇に包含される。ハンドル12,22およびノブ13,23は非金属からなるが、金属材料から形成されてもよく、そして両者は射出成形処理によって形成される。だが、他の製造方法もまた本発明の範疇に包含される。
【0027】
クリップ15aは非金属材料からなり、かつ、射出成形品である。だが、(金属材料を含む)他の材料および処理は本発明の範疇に包含される。縫合糸ループ15bは、図2に示すように、クリップ15aの孔を経てループ15bの第1の端部を位置させ、続いて、その端部をループ15bの第2の端部に結び付けることによって、クリップ15aに対して接続される。縫合糸ループ15bをクリップ15aに接続する他の方法もまた本発明の範疇に包含される。さらに、横断貫通孔16dを経て予め配置されたアンカーからの縫合糸の端部を通すその他のデバイスおよび方法もまた、本発明の範疇に包含される。
【0028】
スプリング13gは金属材料からなるが、非金属材料からなっていてもよい。さらに、スプリング13g以外の、抵抗力を提供するその他の手段が使用されてもよい。窪み11dは、機械加工、あるいはシャフト11,21上に窪み11dなどの標識を形成するための当業者にとって公知のその他の処理によって形成される。
【0029】
本発明の範囲から逸脱することなく、対応する図面を参照して説明したように、代表的な実施形態に対して、さまざまな変更を施すことができるので、上記説明に含まれかつ図面に示された全ての事項は、限定ではなく、例証として解釈すべきである。したがって、本発明の広がりおよび範囲は上述した代表的な実施形態のいずれによっても限定されず、特許請求の範囲の記載ならびにその均等語句にのみに基づいて規定される。
【符号の説明】
【0030】
10 手術用デバイス
11 シャフト
11a 外側部材
11a'' 遠位部分
11a''' プロング
11b 内側部材
11b' 近位部分
11b'' 遠位部分
11b''' プロング
11c レーザーマーク
11d 窪み
11e レーザーマーク
12 ハンドル
12a ボディ
12b 溝
12c 突出部
12d 外面
12e 開口
13 内側部材に対して動作を付与するための手段
13a ボディ
13a' 遠位端部
13a'' 近位端部
13b キャビティ
13b' 上端部
13b'' 中間部
13b''' 下端部
13c ギア
13d プラグ
13d' 上端部
13d'' 下端部
13e 第1の部分
13e' ギア
13f 第2の部分
13f' 溝
13g スプリング
13h チャネル
14 アンカーアセンブリ
15 縫合糸スレッダー
15a クリップ
15b 縫合糸のループ
16 アンカー
16a キャビティ
16b 近位部分
16b' 溝
16c 遠位部分
16d 横断貫通孔
16d',16d'' 開口
16e スロット
17 挿入部材
17a ヘッド
40 骨
50 フレキシブルな部材
60 軟組織

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術用デバイスであって、
外側部材と、この外側部材内にスライド可能に収容された内側部材と、を含むシャフトと、
前記シャフトに連結されたハンドルと、
前記内側部材に対して連結された、前記内側部材に対して動作を付与するための手段と、
を具備してなることを特徴とする手術用デバイス。
【請求項2】
前記デバイスに対して連結されたアンカーアセンブリをさらに具備してなり、前記アンカーアセンブリは、キャビティを備えたアンカーと、前記キャビティ内に収容された挿入部材と、を具備してなることを特徴とする請求項1に記載の手術用デバイス。
【請求項3】
前記外側部材は、前記アンカーと係合するよう構成された遠位部を備え、かつ、前記内側部材は、前記挿入部材と係合するよう構成された遠位部を備えることを特徴とする請求項2に記載の手術用デバイス。
【請求項4】
前記シャフトに対して連結された縫合糸スレッダーをさらに具備してなり、前記スレッダーは、クリップと、このクリップに接続された縫合糸のループと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の手術用デバイス。
【請求項5】
前記縫合糸のループは、前記アンカーを貫通して延在する横断貫通孔内に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の手術用デバイス。
【請求項6】
前記内側部材に対して動作を付与するための前記手段は、
遠位端部および近位端部を有するカニューレ状ボディと、
前記ボディの前記近位端部との係合のための形状とされた上端部と、この上端部に対して連結された下端部と、を含むプラグと、
前記プラグの前記下端部上に配置された第1の部分と、
前記プラグの前記下端部上に配置された第2の部分と、
前記第1および第2の部分間に位置させられたスプリングと、
を具備してなることを特徴とする請求項1に記載の手術用デバイス。
【請求項7】
前記ボディの前記近位端部はギアを含むことを特徴とする請求項6に記載の手術用デバイス。
【請求項8】
前記第1の部分は、前記ボディの前記近位端部の前記ギアとの係合のための形状とされたギアを含むことを特徴とする請求項7に記載の手術用デバイス。
【請求項9】
前記外側部材は前記内側部材よりも短いことを特徴とする請求項1に記載の手術用デバイス。
【請求項10】
組織を修復するための方法であって、
骨の中に第1のアンカーを挿入するステップであって、前記第1のアンカーは、それに対して連結されたフレキシブルな部材を有するものであるステップと、
前記組織を経て前記フレキシブルな部材の端部を通過させるステップと、
手術用デバイスを提供するステップであって、この手術用デバイスは、外側部材とこの外側部材内にスライド可能に収容された内側部材とを含むシャフトと、前記シャフトに連結されたハンドルと、前記内側部材に対して連結された、前記内側部材に対して動作を付与するための手段と、前記シャフトに対して連結されたアンカーアセンブリであって、キャビティおよび横断貫通孔を備えたアンカーと、前記キャビティ内に収容された挿入部材とを具備してなるアンカーアセンブリと、を具備してなるものであるステップと、
前記アンカーアセンブリの前記貫通孔を経て前記フレキシブルな部材の少なくとも一端を通過させるステップと、
前記アンカーアセンブリを骨内に配置するステップと、
前記フレキシブルな部材を前記貫通孔内で、かつ、前記組織を骨に対して固定するために、前記フレキシブルな部材の少なくとも一端に向かって前記挿入部材を前進させるステップと、
を具備することを特徴とする、組織を修復するための方法。
【請求項11】
前記挿入部材の前進の前に、前記フレキシブルな部材を緊張させることを、さらに具備することを特徴とする請求項10に記載の組織を修復するための方法。
【請求項12】
前記挿入部材の前進は前記内側部材に対して動作を付与するための前記手段の回転を伴う請求項10に記載の組織を修復するための方法であって、
前記手段は、
遠位端部および近位端部を有するカニューレ状ボディと、
前記ボディの前記近位端部との係合のための形状とされた上端部およびこの上端部に対して連結された下端部を含むプラグと、
前記プラグの前記下端部上に配置された第1の部分と、
前記プラグの前記下端部上に配置された第2の部分と、
前記第1および第2の部分間に位置させられたスプリングと、
を具備してなるものである、組織を修復するための方法。
【請求項13】
前記ボディの前記近位端部はギアを含むことを特徴とする請求項12に記載の組織を修復するための方法。
【請求項14】
前記第1の部分は、前記ボディの前記近位端部の前記ギアとの係合のための形状とされたギアを含み、前記手段は、前記第1の部分の前記ギアと前記近位端部の前記ギアとがもはや直接係合状態ではなくなるまで、前記挿入部材を前進させるために回転させられることを特徴とする請求項13に記載の組織を修復するための方法。
【請求項15】
外側部材とこの外側部材内にスライド可能に収容された内側部材とを含むシャフトと、前記シャフトに連結されたハンドルと、前記内側部材に対して連結された、前記内側部材に対して動作を付与するための手段と、を具備してなる手術用デバイスを提供するステップであって、前記外側部材は前記内側部材よりも短いものであるステップと、
前記内側部材が前記挿入部材と係合すると共に前記外側部材が前記アンカーと係合するように、前記手術用デバイスを前記アンカーアセンブリと係合状態に置くステップと、
前記フレキシブルな部材の少なくとも一端から離れるように前記挿入部材を移動させるステップと、
前記フレキシブルな部材を緊張させるステップと、
前記フレキシブルな部材を再固定するために前記挿入部材を前記フレキシブルな部材に向かって戻るように前進させるステップと、
をさらに具備することを特徴とする請求項11に記載の組織を修復するための方法。
【請求項16】
請求項15に記載の組織を修復するための方法であって、前記フレキシブルな部材に向かう前記挿入部材の前進は、前記内側部材に対して動作を付与するための前記手段の回転を伴い、
前記手段は、
遠位端部および近位端部を有するカニューレ状ボディと、
前記ボディの前記近位端部との係合のための形状とされた上端部およびこの上端部に対して連結された下端部を含むプラグと、
前記プラグの前記下端部上に配置された第1の部分と、
前記プラグの前記下端部上に配置された第2の部分と、
前記第1および第2の部分間に位置させられたスプリングと、
を具備してなるものであることを特徴とする、組織を修復するための方法。
【請求項17】
前記ボディの前記近位端部はギアを含むことを特徴とする請求項16に記載の組織を修復するための方法。
【請求項18】
前記第1の部分は、前記ボディの前記近位端部の前記ギアとの係合のための形状とされたギアを含み、前記手段は、前記第1の部分の前記ギアと前記近位端部の前記ギアとがもはや直接係合状態ではなくなるまで、前記挿入部材を前進させるために回転させられることを特徴とする請求項16に記載の組織を修復するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【公表番号】特表2011−528270(P2011−528270A)
【公表日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−518863(P2011−518863)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/050620
【国際公開番号】WO2010/009184
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(504048135)スミス アンド ネフュー インコーポレーテッド (42)
【氏名又は名称原語表記】SMITH & NEPHEW,INC.
【住所又は居所原語表記】150 Minuteman Road,Andover,MA 01810,United States of America
【Fターム(参考)】