説明

手術用顕微鏡検査システム

【課題】眼の中心を良好に検出することができる画像処理装置を持つ手術用顕微鏡検査システム及び方法を提供する。
【解決手段】手術用顕微鏡検査システムは、手術中の眼の画像を形成するための顕微鏡検査光学系を備えている。パターン生成器は、前記画像に重畳されるパターンを生成する。アイトラッカーは、眼が動いた場合のために、前記画像に対する前記重畳パターンの位置をトラッキングするために設けられている。前記重畳パターンは、角膜移植中に縫合線を設けるためのサポートとするために、大きさの異なる第1円及び第2円上に同等に分布する複数のパターン要素を含んでいる。前記重畳パターンは、乱視用眼内レンズを方向付けする際にもサポートとして使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼の手術を行うための手術用顕微鏡検査システムに関する。また、本発明は、眼に対して手術を行う方法に関する。さらに、本発明は、眼に対する手術の準備をする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
眼の手術の一例として、角膜移植が挙げられる。このような手術においては、患者自身の角膜を円形領域の範囲内で除去し、これに対応する円形の移植片を、除去した角膜の代わりに挿入する。挿入された移植片は、残存している患者自身の角膜に縫合される。眼の対称性を損なわないようにするためには、対応する縫合線は均整な縫い目で構成されていなければならない。しかし、特に比較的経験の浅い医師にとっては、十分な均整をもって縫合線の縫い目を配置することは困難である。
【0003】
眼の手術の他の例として、白内障の手術が挙げられる。白内障の手術においては、白内障を発症したヒトの眼の水晶体を人工の水晶体に取り換える。この手術は、執刀医が手術用顕微鏡を用いて行う顕微外科治療である。水晶体嚢の切開は、虹彩の内辺縁の内側において強膜又は角膜に切開創を設けることにより、虹彩を傷つけることなく行われる。前記ヒトの水晶体は、この切開創を通して、超音波エネルギーを用いて粉砕され、吸引装置を用いて砕片が除去されることによって除去される。その後、前記切開創を通して人工の水晶体が水晶体嚢に挿入される。
【0004】
例えば、特許文献1には、手術を行う眼の顕微鏡画像に環状パターンを投影する手術用顕微鏡検査システムが開示されている。投影された環状パターンは、執刀医が水晶体嚢に対して正確な切開を行うために役立つ。執刀医は、投影された環状パターンを、切開を行う際のガイドとして用いることができる。その結果、挿入する人工の水晶体の直径を基準として、切開創の直径を高精度に調整することが可能となる。これにより、前記治療による後遺症は低減される。環状パターンを投影するこのような手術用顕微鏡検査システムを用いることにより、執刀医が目視による判断のみによって切開を行う従来の治療に比べ、後遺症が或る程度低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0102799号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の眼科手術用顕微鏡検査システムの改良は進んではいるものの、後遺症の低減に対する期待は依然として大きく、また、さらなる改良の余地があるものと思われる。
【0007】
本発明は、上記課題を考慮してなされたものである。
【0008】
本発明の実施の形態は、患者の眼に対して手術を行うための手術用顕微鏡検査システム及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施の形態によれば、眼の手術用の顕微鏡検査システムは、その1つの物体平面に配置される眼の画像を形成する顕微鏡検査光学系(microscopy optics)と、前記画像に重畳されるパターンを生成するパターン生成器とを備えている。
【0010】
前記パターンは、例えば、手術される眼の水晶体嚢を切開する際に執刀医が標線(guiding line)として使用できる円形のパターンであってもよい。但し、前記パターンは、別の点で執刀医をサポートできる円形以外のパターンであってもよい。
【0011】
本発明の一実施の形態によれば、前記手術用顕微鏡検査システムは、手術中の眼の位置を前記画像内で検出し、検出された前記画像内における前記眼の位置に従い、前記画像に対して前記重畳パターンの位置を適合させるアイトラッカーを備えている。特に、前記画像内での前記パターンの位置を、前記眼の画像に対して一定に保つことができる。
【0012】
外科用のメスや大型ばさみ等の手術用具によって加えられる力が、前記顕微鏡検査光学系に対する、よって前記顕微鏡検査光学系の前記物体平面に対する、患者の眼窩内での予測不可能な眼球のずれを生じさせる場合があることがこれまでに観察されてきた。このような場合、静的に重畳された環状パターンの標線に沿って切開を行ったとしても、得られる切開創の形状が所望のものと相違するおそれがある。
【0013】
検出された眼の位置に応じた位置信号を生成するアイトラッカーを使用し、かつ、前記位置信号に従って前記画像における前記パターンの位置を変更するように前記パターン生成器を構成すれば、手術中の眼に対する切開やその他の操作をより高精度に行うことができる。手術用具によって加えられる力により、前記画像内における前記眼の表示のずれは絶えず発生する。しかし、前記パターン生成器と併用される前記アイトラッカーの機能により、前記眼の画像のずれに応じて前記重畳パターンもずらされるため、医師は絶えず発生する画像に対するパターンのずれに耐え、より良好な成果を得ることができる。
【0014】
本発明の例示的な実施の形態によれば、前記アイトラッカーは画像処理装置を備えており、前記画像処理装置は、前記画像内における連続した暗領域の中心を検出し、前記暗領域の中心を示す位置信号を提供するように構成されている。この点で、手術される眼に光を照射し、瞳孔の内部が暗領域として表示されるようにすることが有利な場合がある。このような処理においては、通常、瞳孔の内辺縁が明確に示され、眼の中心に対してほぼ一定の位置に保たれる。これにより、厳しい操作条件下にあっても、上記画像処理装置によって眼の中心を概ね良好に検出することができる。
【0015】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、手術用顕微鏡検査システムは、物体平面の画像を形成する顕微鏡検査光学系と、前記画像に重畳されるパターンを生成するパターン生成器とを備えている。前記パターン生成器は、2つのパターン要素(pattern element)群が含まれるように前記重畳パターンを生成する。各パターン要素群には、複数のパターン要素が含まれる。第1パターン要素群のパターン要素は第1円上に分布し、第2パターン要素群のパターン要素は第2円上に分布する。前記第2円は、前記第1円内に完全に包含されるように配置されている。この点で、前記第1及び第2円は、ほぼ同一の中心を有していてもよい。尚、本願の文脈において、前記第1円の中心と前記第2円の中心との間の距離が、前記第2円の直径の0.15倍未満、特に0.07倍未満であれば、前記第1及び第2円の中心はほぼ同一であると見なされる。
【0016】
角膜移植を行う場合、執刀医は、重畳されたパターン要素を基準点として用い、画像内でパターン要素が表示されている箇所に、移植片を保持するための縫合線の縫い目を設ける。その結果、縫合線によって縫合する際、執刀医は、独断による不確実な目視による推測に頼らなくてもよくなる。それどころか、治療を実施する前に、所望の縫合パターンを、その縫合パターンを示すデータとしてインタフェースを介して前記パターン生成器に入力しておくことが可能となる。これは、前記パターン生成器が、執刀医が補助的な目印(marking)として使用できるパターン要素を顕微鏡画像内の各箇所に表示することによって行われる。
【0017】
前記インタフェースは、前記第1及び第2円の直径を入力するための第1インタフェース部を備えていてもよい。また、前記インタフェースは、前記第1パターン要素群におけるパターン要素の数、又は前記第2パターン要素群におけるパターン要素の数を入力するための第2インタフェース部を備えていてもよい。また、前記インタフェースは、前記第2パターン要素群におけるパターン要素の周方向の位置に対する前記第1パターン要素群におけるパターン要素の周方向の位置を入力するための第3インタフェース部を備えていてもよい。このようにして、ジグザグ状の縫合線や、径方向に延びる多種多様な縫い目を含む縫合線等、異なるタイプの縫合線を、前もって容易に設定しておくことができる。
【0018】
例示的な実施の形態によれば、前記第1円の直径と前記第2円の直径との相違の比率は、0.5〜0.8である。さらに別の例示的な実施の形態によれば、前記画像内のパターン要素の大きさは、執刀医が容易に認識できる程度の大きさであるが、同時に、十分な精度で行わなければならない縫い目の場所の特定が可能な程度に小さいものとされている。
【0019】
前記パターン要素は、円形、塗りつぶし円、菱形又はこれらに類する形状等、任意のコンパクトな形状とすることができる。さらに、前記パターン要素は、十字形、星形、及びこれらに類する形状等の形状であってもよい。
【0020】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、眼の外科治療の準備をする方法は、顕微鏡検査光学系を用いて、少なくとも手術されている眼の虹彩の一部分又は角膜輪部の一部分が視認可能な顕微鏡画像を形成することと、前記顕微鏡画像に重畳されるパターンを生成することとを含み、前記パターンが、第1円上に配置される複数のパターン要素からなる第1パターン要素群と、前記第1円の内部に位置する第2円上に配置される複数のパターン要素からなる第2パターン要素群とを備えていることを特徴としている。
【0021】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、手術用顕微鏡検査システムは、その物体平面の画像を形成する顕微鏡検査光学系と、前記画像に重畳されるパターンを生成するパターン生成器とを備えている。
【0022】
前記パターン生成器は、基本的に円環に沿って延びる第1部分パターン、及び基本的に直線に沿って延びる第2部分パターンを生成するように構成されており、前記直線は前記円環と2点で交差し、前記直線の向き(orientation)は、前記円環の中心を中心として変更可能である。例示的な実施の形態によれば、前記パターンは、角度目盛り(angular scale)を表示するTABOパターン(TABO-pattern)を備えている。TABOパターンは、眼における角度測定を可能にするパターンとして当業者に周知である。
【0023】
この種のパターンは、乱視用の(toric)眼内レンズ(IOL)を患者の眼に挿入する際に特に有用である。従来の方法を用いた場合、執刀医は、独断による目視での推測に依存していた。従って、眼に対する乱視用眼内レンズの向きを確実に所望のものとすることは困難であった。前記直線に沿って延びる部分パターンが前記パターン生成器を用いて顕微鏡画像に重畳されるため、執刀医は、この部分パターンを、眼内レンズを方向付けする際のサポートとして用いることができる。この点で、眼内レンズ自体が目印やデザイン的な特徴を有していてもよい。執刀医は、認識された画像を基準として、前記眼内レンズに付与された目印及び/又はデザイン的な特徴を、前記直線に沿って延びる部分パターンに一致させるか、もしくは位置合わせするように、前記眼内レンズを移動させることができる。前記円環に沿って延びる部分パターンは、前記直線に沿って延びる部分パターンを前記画像に対して正確に位置決めする上で有用である。このような配置は、眼を基準として前記顕微鏡検査光学系を移動させることによって達成可能である。しかし、インタフェースを介して前記パターン生成器に位置決め信号を入力し、入力された前記信号に従って、生成されたパターン全体を前記画像内で移動させるように命令することも可能である。前記アイトラッカーを使用する場合には、前記円環に沿って延びる第1部分パターンを一定時間の間生成させないようにすることや、前記第1部分パターンを全く生成させないようにすることが可能である。
【0024】
別の例示的な実施の形態によれば、前記手術用顕微鏡検査システムは、前記画像内における前記直線の向き及び/又は前記向きの変化を入力するためのインタフェースを備えている。
【0025】
本発明のさらに別の実施の形態によれば、乱視用眼内レンズの移植の準備をする方法は、顕微鏡検査光学系を用いて、少なくとも手術を行う眼の虹彩の一部分又は角膜輪部の一部分が視認可能な顕微鏡画像を形成することと、基本的に直線に沿って延びる第2部分パターンを前記画像に重畳することと、前記第2部分パターンの向きを調整することとを含んでいる。
【0026】
一実施の形態によれば、前記直線の方向付けは、まず、前記直線の向きを、前記マーク(mark)が手術される眼に治療開始前に予め付与されたマークと一致するように変更することによって行われる。このようなマークは、垂直の向き等、所定の向きを示していてもよい。治療中に眼窩内で眼が移動及び回転することがあるため、眼に付与されたこのマークは、乱視用眼内レンズの向きの基準となる。眼に付与されたマークと一致するように前記直線を方向付けした後は、前記直線の向きを、眼に対する眼内レンズの所望の向きに対応する所定の角度だけ変更させる。
【0027】
上記及びその他の本発明の有利な特徴は、添付の図面を参照した下記本発明の例示的な実施の形態の詳細な説明から、より明らかになるであろう。尚、本発明の全ての考えられる実施の形態が必ずしも本明細書中で特定される各利点を全て、つまり、いずれの利点をも示しているというわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態における手術用顕微鏡検査システムを示す概略図である。
【図2】図2は、図1の顕微鏡検査システムによって形成された画像を示す概略図である。
【図3】図3は、角膜移植時に縫合線の設定をサポートするマーカーパターン(marker pattern)が重畳された状態の、図2の画像に対応する画像を示す概略図である。
【図4】図4は、角膜移植時に縫合線の設定をサポートするマーカーパターンが重畳された状態の、図2の画像に対応する画像を示す概略図である。
【図5】図5は、図1の顕微鏡検査システムによって形成された画像の、眼内レンズ挿入前の状態を示す概略図である。
【図6】図6は、顕微鏡検査システムによって生成された、中間工程で眼内レンズの方向付けに使用する補助的なパターンが表示された状態の、図5の画像に対応する画像を示す概略図である。
【図7】図7は、顕微鏡検査システムによって生成された、さらに別の中間工程で眼内レンズの方向付けに使用する補助的なパターンが表示された状態の、図5の画像に対応する画像を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に述べる例示的な実施の形態においては、同様の機能及び構造を有する構成要素については可能な限り同様の参照符号を付している。従って、或る特定の実施の形態における個々の構成要素の特徴を理解するためには、他の実施の形態及び課題を解決するための手段における記載を参照することが必要である。
【0030】
図1は、手術用顕微鏡検査システム1を概略的に示している。手術用顕微鏡検査システム1は、顕微鏡検査光学系5を取り付けるための筐体3を備えている。顕微鏡検査光学系5は対物レンズ7を備え、対物レンズ7は、その物体平面9から発せられる物体側発散ビーム11を像側平行ビーム13へと変換する。一対のズーム系15は、各系が対物レンズ7の光軸17に沿った方向にずらすことが可能なレンズ群19及び21を備えており、像側平行ビーム13から派生する2本の部分ビーム23及び24を接眼レンズ25及び26へと供給する。執刀医は、左右の眼で接眼レンズ25、26を覗くことにより、物体平面9の画像を観察することができる。
【0031】
眼の手術を行うために、執刀医は、顕微鏡検査システム1を患者の眼29の前に配置する。白内障の手術を行う場合、執刀医はまず、例えば、眼29の強膜又は角膜を適切に切開することにより、水晶体嚢への入り口を作成する。次に、水晶体嚢を切開するための準備工程が行われる。このために、顕微鏡検査システム1は、パーソナルコンピュータ等のコントローラ31を備えており、コントローラ31は、ズーム系15のレンズ群19、21をずらすことによって顕微鏡検査光学系5の倍率を変更するモータ33を制御する。コントローラ31は、執刀医又は水晶体嚢の切開の準備をする人が足で操作できる押しボタン37、38及び39を有するスイッチデスク35から、モータ33を制御するための命令を受け取る。押しボタン37が押されると、コントローラ31は、顕微鏡検査光学系5の倍率を上げるようにモータ33を制御する。同様に、押しボタン38が押されると、顕微鏡検査光学系の倍率が下げられる。
【0032】
顕微鏡検査システム1は、半透明ミラー41をさらに備えている。半透明ミラー41は、部分ビーム23の経路に配置され、物体平面9の画像がカメラチップ47上に形成されるように、アダプター光学系(adapting optics)45を介して部分ビーム23の一部43をカメラチップ47へと供給する。コントローラ31は、カメラチップ47によって検出された画像を読み出し、これらの画像を表示装置49に表示する。このようにして、接眼レンズ25を覗いた観察者によって認識されるものと同一の物体平面9の画像が、表示装置49にも表示される。
【0033】
この画像はさらに、執刀医等が自身の頭部に携帯できる頭部搭載型表示器50にも表示される。よって、執刀医は、3通りの方法で物体平面9を観察することができる。すなわち、接眼レンズ25、26を通して見る方法、表示装置49に表示された手術領域を見る方法、頭部搭載型表示器50を用いて手術領域を見る方法である。頭部搭載型表示器50を用いる場合には、顕微鏡検査システム1における両立体ビーム路のうち左側のビーム路に対し、図1において構成要素41、43、45及び47によって示されるようなカメラシステムを設けるのが有利である。このようにして、前記2つのカメラによって物体平面9の立体画像を形成することができ、頭部搭載型表示器50によってこの画像を立体的に表示することができる。
【0034】
コントローラ31は、アイトラッカーの一部である。アイトラッカーを使用する(implement)ために、コントローラ31は、カメラチップ47から受け取った画像を解析するためのソフトウェアモジュール63を備えている。かかる画像101の代表的な例を、図2に示している。画像101内において、眼瞼103、強膜105、虹彩109の外辺縁107及び虹彩109の内辺縁111を認識することができる。適切な光を眼に照射すれば、強膜105は白色領域として表示され、虹彩109は患者の眼の色に対応した色の領域として表示され、虹彩109の内辺縁111の内側に位置する瞳孔113は暗領域又は黒色領域として表示される。
【0035】
ソフトウェアモジュール63は、画像の輝度値を解析し、輝度に関する閾値フィルタ(threshold filter)を設ける。前記フィルタを適用することにより、閾値よりも低い輝度を有する画像領域のみが維持される。
【0036】
通常、これにより、瞳孔113を示す連続した暗領域や、睫毛等といった、画像101のさらに微小な細部が表示される。その後、前記画像処理ソフトウェアは、実用上は瞳孔113に対応する最も大きい連続した暗領域を決定する。そして、前記最も大きい連続した暗領域の幾何学的な重心が決定される。図2中の参照符号115は、このような幾何学的な重心を示している。よって、前記アイトラッカーを使用することにより、画像101の座標内において瞳孔113の中心115を決定することが可能となる。
【0037】
顕微鏡検査システム1は、LCD表示部等の表示部57と、投射光学系(projection optics)59と、半透明ミラー61とを有するプロジェクタ55をさらに備えている。半透明ミラー61は、部分ビーム24の経路に配置され、表示部57及び投射光学系59によって表示される投影パターンを部分ビーム24に重畳し、接眼レンズ26又は頭部搭載型表示器50を覗いた場合、あるいは表示装置49を見た場合に、この投影パターンが物体平面9の画像と重なった状態で認識されるようにする。表示部57によって表示されるパターンは、コントローラ31の一部であるパターン生成器64によって生成される。コントローラ31は、表示装置49に表示されている画像にさらにこのパターンを重畳する。ここで、コントローラ31によって生成された、前記画像に対する重畳パターンは、その大きさがズーム系15の調整倍率に応じて自動的に変倍する。従って、使用者がズーム系15の倍率を変更した場合には、コントローラ31もまた同じ倍率で重畳パターンの大きさを変更する。
【0038】
図3は、パターン生成器64によって生成されたパターンが重畳された状態の前記物体平面の顕微鏡画像101を示している(図2と比較されたい)。前記パターンは、外側パターン要素として複数の小円環121を含み、内側パターン要素として複数の小円環123を含んでいる。小円環121は、円125上に位置している。円125は、必ずしも画像101に表示される必要はない。小円環123は、円125内に位置するさらに別の円127上に位置している。円127もまた、必ずしも画像101に表示される必要はない。破線129は、その外側に位置する患者自身の眼の角膜と、その内側に位置する角膜移植片との境界線を示している。前記移植片は、ジグザグ状の縫合線131によって角膜に固定される。縫合線131を構成する縫合糸の直線部分133は、円環121と円環123との間で延びている。画像101内に重畳された円環121及び123は、執刀医が縫合糸を固定する縫い目を位置決めする際の助けとなる。ここに挙げた例においては、縫合線131は、外側の円125上に均一に分布する16個の円環121と内側の円127上に均一に分布する16個の円環123とに対応する32針の縫い目で構成されている。この例においては、円127の直径は円125の直径の約0.7倍である。
【0039】
円環121、123の個数及び円125、127の直径は、実施される移植の状況や条件に適合するように決定され、コントローラ31のキーボード73を用いて入力することができる。
【0040】
図4は、外側の円125a上に配置されるパターン要素として円環121aを含み、内側の円127a上に配置されるパターン要素として円環123aを含む重畳パターンを示している。円環121a及び123aの周方向における相対的な位置関係は変化していない。よって、円環121a、123aの各対は、瞳孔の中心115に対して径方向に並んでいる。円環121a、123aによって構成されるこのパターンは、図4の右側に示すような、径方向に延びる縫合線131aを設けるために使用することができる。この場合、縫合糸の構成部分133aは、径方向に並ぶ、対をなす円環121a、123a間に挿入されている。さらに、円環121a、123aによって構成されるこのパターンは、図4の左側に縫合糸部分133bで示しているような、二重のジグザグ状の縫合線131bを設けるために使用することもできる。
【0041】
アイトラッカーは、手術中は常にアクティブな状態にある。このため、手術用具によって眼に力が加えられ、顕微鏡検査光学系5に対して眼がずれた場合には、重畳パターン121、123が眼の顕微鏡画像と共に移動する。
【0042】
乱視用眼内レンズ131を眼の水晶体嚢に導入する方法について、図5〜図7を参照しながら説明する。乱視用眼内レンズ131は、その乱視矯正光学効果(astigmatic optical effect)のために、瞳孔113の中心115を中心として正確な向きに配置しなければならない。治療中、瞳孔113は適切な薬剤の投与によって広げられる。その結果、図7における虹彩の内辺縁111と外辺縁107との距離は、図2〜図4における距離に比べて短くなる。
【0043】
眼内レンズ131は、中央レンズ部133と、互いに反対方向に延びる周辺部とを備えており、各周辺部は、鞏膜(haptic)135を有している。鞏膜135は、眼内レンズの特徴的な構成であり、マークとして機能し、かつ、顕微鏡画像内ではっきりと認識することができる。但し、方向付けする際のサポートとして用いるために、眼内レンズ131に線等の補足的なマークを設けることも可能である。図7に示す例においては、パターン生成器64によって生成されたマークが顕微鏡画像101に重畳されている。前記マークは、輪状線141と直線143とを備えている。輪状線141の直径は、執刀医又は手術の準備をするアシスタントにより、キーボードを介して入力することができる。図7に示すような状況下においては、前記直径は、虹彩の内辺縁111の直径と外辺縁107の直径との間の値となるように選択される。輪状線141の中心は、輪状線141を正確に位置合わせした場合には瞳孔の中心115と一致するものであるが、この輪状線141の中心を中心とした直線143の向きは、眼内レンズ131の向きが最適なものとなるように選択される。よって、直線143を使用することにより、執刀医は、眼に対して正確な所望の向きに配置されるように眼内レンズ131を方向付けし、位置合わせすることができる。
【0044】
図7に示す直線143の正確な向きは、以下のようにして調整される。図5は、眼内レンズ導入前の眼の状態を示している。マーク149は、カラーペンやその他の器具のような適切な用具を用いて、治療前に眼球に付与される。マーク149は、治療前に付与された垂直基準151又は水平基準に対し、所定の角度αをもって方向付けされている。図6に示す工程において、パターン生成器64によって生成された輪状線141及び直線143が顕微鏡画像に重畳される。執刀医又は手術の準備をするアシスタントは、眼に付与されたマーク149に直線143を位置合わせするように直線143の方向付けを行う。次に、パターン生成器64に信号を入力して、直線143の向きを角度βだけずらし、直線143の向きを図7のようにする。この向きは、眼内レンズ131の正確な向きを示している。このようにして、眼内レンズ131を、マーク149に対し、治療前に決定した向きで挿入することが可能となる。挿入の精度は、手術時における画像101内での実際の眼の向きには依存していない。これは、第1に、患者の頭部に対する顕微鏡検査光学系5の向きを正確に特定することができず、第2に、眼窩内における眼の向きが治療中に変化することから、画像101内での眼の向きを特定することが困難だからである。
【0045】
図3及び図4を参照して説明した実施の形態においては、パターン要素は小円であった。但し、これらのパターン要素は、例えば、四角、菱形、十字形、星形、及びこれらに類するパターンのような別の形状とすることもできる。
【0046】
図5〜図7を参照して説明した実施の形態においては、眼内レンズの位置決めの際に方向付けのサポートとなるものは、連続した直線である。但し、眼内レンズの方向付けのための目印としては、瞳孔の中心を中心としてその向きを十分な精度で調整できる限り、別のタイプのものを使用してもよい。例えば、この目印は、一本の直線を形成する複数の部分又は互いに交差する複数本の直線を形成する複数の部分からなっていてもよく、眼内レンズを眼に対して正確に方向付けすることにより、このような複数の部分を眼内レンズの適切な特徴的構成に位置合わせしてもよい。
【0047】
さらに、図5及び図6を参照して説明した実施の形態では、直線143が瞳孔の中心115を通って延びていることが十分な程度に確実であれば、部分パターンとして挿入されている輪状線141を省くことができる。これは、特に、先に説明したアイトラッカーを用いて眼の画像に対する前記挿入パターンの位置が調整される場合に可能である。
【0048】
また、上記の直線や円形のパターンを画像に重畳するだけでなく、当該技術分野においてTABOパターンと呼ばれているパターンを画像に重畳することも可能である。TABOパターンは、そのパターンの中心の周りに同一の角距離で互いに相対的に配置された複数の単一マークを有している。TABOパターンのこれらのマークを、方向付けの際のサポートとして使用することができる。
【0049】
前記重畳パターンは、眼内レンズの方向付けだけでなく、眼に対する所望の向きを維持する上で重要な他の目的にも使用することができる。このような手術の一例として、角膜輪部減張切開(LRI)が挙げられる。
【0050】
前記アイトラッカーは、患者自身の水晶体を除去する前に、水晶体嚢に円形の切開創を作成するためにも使用できるという点で有利である。このような目的のために、前記パターン生成器は、例えば、米国特許出願公開第2004/0102799号明細書に示されているような円形パターンを生成してもよい。この文献の全内容を参照により本明細書に援用する。
【0051】
上記実施の形態においては、前記アイトラッカーの位置信号は、眼の移動を補償するために使用されている。これは、画像に重畳されるパターンの前記画像に対する位置を、前記位置信号に従って調整することによって行われている。この代替として、あるいはこれと併用して、前記アイトラッカーの位置信号に従い、前記顕微鏡検査光学系を手術中の眼に対して移動させることも可能である。この目的のために、前記顕微鏡検査光学系を台で支持し、眼に対して位置合わせすることができる。前記台は、眼に対する前記顕微鏡検査光学系の位置を調整するためのアクチュエータを備えていてもよく、前記アクチュエータは、物体平面に配置された眼の画像が画像内において実質的に一定の位置に表示されるように、前記アイトラッカーの位置信号に従って制御される。
【0052】
本発明についてその例示的な実施の形態を参照して説明してきたが、多くの代替、修正及び変形が当業者に明らかであることは明白である。従って、本明細書において述べた本発明の例示的な実施の形態は、説明のためのものであり、いかなる点においても本発明を限定するものではない。請求項によって定められる本発明の精神及び範囲から逸脱しない限り、種々の変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その物体平面の画像を形成する顕微鏡検査光学系と、
前記画像に重畳されるパターンを生成するパターン生成器とを備えた、眼の手術を行うための手術用顕微鏡検査システムであって、
前記パターン生成器は、第1円上に配置される複数のパターン要素からなる第1パターン要素群を生成するように構成され、
前記パターン生成器はさらに、前記第1円の内部に位置する第2円上に配置される複数のパターン要素からなる第2パターン要素群を生成するように構成されていることを特徴とする手術用顕微鏡検査システム。
【請求項2】
前記第1円の直径及び前記第2円の直径のうち少なくとも1つを示す第1信号を受信するための第1インタフェースをさらに備え、前記パターン生成器は、前記第1信号に応答し、前記第1信号に従って前記第1及び第2パターン要素群のうち少なくとも1つを生成するように構成されている請求項1に記載の手術用顕微鏡検査システム。
【請求項3】
前記第1パターン要素群における前記パターン要素の数が、前記第2パターン要素群における前記パターン要素の数と同一である請求項1又は2に記載の手術用顕微鏡検査システム。
【請求項4】
前記第1円の中心が前記第2円の中心と一致する請求項1〜3のいずれか1項に記載の手術用顕微鏡検査システム。
【請求項5】
前記パターン生成器は、複数対のパターン要素を、各対における第1パターン要素が前記第1パターン要素群のパターン要素となり、各対における第2パターン要素が前記第2パターン要素群のパターン要素となるように生成するよう構成されており、各対における前記第1及び第2パターン要素は、それぞれ、前記第1及び第2円の中心を中心とした略同一の周方向位置に配置されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の手術用顕微鏡検査システム。
【請求項6】
前記第1パターン要素群における前記パターン要素の数が、前記第2パターン要素群における前記パターン要素の数と同一であり、前記パターン要素の対の数が、前記第2パターン要素群における前記パターン要素の数と同一である請求項5に記載の手術用顕微鏡検査システム。
【請求項7】
前記パターン生成器は、前記第2パターン要素群における複数のパターン要素のそれぞれに関し、以下の条件:
前記第1パターン要素群の全てのパターン要素の中には、前記第2パターン要素群の1つのパターン要素と最も近接するパターン要素が2つ含まれる、及び
前記第2パターン要素群の前記1つのパターン要素は、前記第1パターン要素群における前記2つのパターン要素の、前記第1円の中心を中心としたそれぞれの角度位置間に存在する前記第2円の中心を中心とした角度位置にある、
を満足するように前記パターン要素を生成するよう構成されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の手術用顕微鏡検査システム。
【請求項8】
前記第1パターン要素群における前記パターン要素の数、及び前記第2パターン要素群における前記パターン要素の数のうち少なくとも1つを示す第2信号を受信するための第2インタフェースをさらに備えた請求項1〜7のいずれか1項に記載の手術用顕微鏡検査システム。
【請求項9】
前記第2パターン要素群の前記パターン要素の位置に対する前記第1パターン要素群の前記パターン要素の位置の周方向におけるずれ量を示す第3信号を受信するための第3インタフェースをさらに備えた請求項1〜8のいずれか1項に記載の手術用顕微鏡検査システム。
【請求項10】
前記パターン生成器は、前記第1パターン要素群の前記パターン要素が前記第1円の中心を中心として周方向に均一に分布するように前記パターン要素を生成するよう構成されている請求項1〜9のいずれか1項に記載の手術用顕微鏡検査システム。
【請求項11】
前記パターン生成器は、前記第2パターン要素群の前記パターン要素が前記第2円の中心を中心として周方向に均一に分布するように前記パターン要素を生成するよう構成されている請求項1〜10のいずれか1項に記載の手術用顕微鏡検査システム。
【請求項12】
前記第1円の直径に対する前記第2円の直径の比率は、0.5よりも大きく0.8よりも小さい請求項1〜11のいずれか1項に記載の手術用顕微鏡検査システム。
【請求項13】
前記第1パターン要素群の前記パターン要素は、前記第1円の中心を中心とした周方向へと延びる部分を有し、前記周方向に延びる部分は、前記第1パターン要素群における隣接パターン要素間の前記第1円の中心を中心とした周方向における距離の0.1倍未満である請求項1〜12のいずれか1項に記載の手術用顕微鏡検査システム。
【請求項14】
前記第2パターン要素群の前記パターン要素は、前記第2円の中心を中心とした周方向へと延びる部分を有し、前記周方向に延びる部分は、前記第2パターン要素群における隣接パターン要素間の前記第2円の中心を中心とした周方向における距離の0.1倍未満である請求項1〜13のいずれか1項に記載の手術用顕微鏡検査システム。
【請求項15】
前記第1パターン要素群の前記パターン要素は、前記第1円の中心から径方向へと延びる部分を有し、前記径方向に延びる部分は、前記第1パターン要素群における隣接パターン要素間の前記第1円の中心を中心とした周方向における距離の0.1倍未満である請求項1〜14のいずれか1項に記載の手術用顕微鏡検査システム。
【請求項16】
前記第2パターン要素群の前記パターン要素は、前記第2円の中心から径方向へと延びる部分を有し、前記径方向に延びる部分は、前記第2パターン要素群における隣接パターン要素間の前記第2円の中心を中心とした周方向における距離の0.1倍未満である請求項1〜15のいずれか1項に記載の手術用顕微鏡検査システム。
【請求項17】
前記第1パターン要素群における前記パターン要素の数が、14よりも多く26よりも少ない請求項1〜16のいずれか1項に記載の手術用顕微鏡検査システム。
【請求項18】
その物体平面の画像を形成する顕微鏡検査光学系と、
前記画像に重畳されるパターンを生成するパターン生成器とを備えた、眼の手術を行うための手術用顕微鏡検査システムであって、
前記パターン生成器は、円環に沿って延びる第1部分パターンを生成するように構成され、
前記パターン生成器は、前記円環と2箇所で交差する直線に沿って延びる第2部分パターンを生成するように構成され、
前記システムは、前記円環の中心を中心とする前記直線の向き及び前記向きの変化のうち少なくとも1つを示す第4信号を受信するための第4インタフェースをさらに備え、
前記パターン生成器は、前記第4信号に応答し、前記信号に従って前記円環の中心を中心として前記直線を方向付けするように構成されていることを特徴とする手術用顕微鏡検査システム。
【請求項19】
前記円環の直径を示す第5信号を受信するための第5インタフェースをさらに備え、前記パターン生成器は、前記第5信号に応答し、前記第5信号に応じた大きさの前記第1部分パターンを生成するように構成されている請求項18に記載の手術用顕微鏡検査システム。
【請求項20】
その物体平面の画像を形成する顕微鏡検査光学系と、
前記画像に重畳されるパターンを生成するパターン生成器と、
前記画像に対する前記眼の位置を検出し、前記検出位置を示す位置信号を生成するアイトラッカーとを備えた、眼の手術を行うための手術用顕微鏡検査システムであって、
前記パターン生成器は、前記位置信号に応じて前記画像における前記パターンの位置を変更するように構成されていることを特徴とする手術用顕微鏡検査システム。
【請求項21】
前記アイトラッカーは、前記画像内の連続した暗領域の中心を決定し、前記連続した暗領域の決定された前記中心の位置に基づいて前記位置信号を生成するように構成された画像処理装置を備えている請求項20に記載の手術用顕微鏡検査システム。
【請求項22】
前記画像処理装置は、前記画像の画素に適用される閾値フィルタを備え、閾値を下回る輝度値を有する画素が第1の値に設定され、前記閾値を上回る輝度値を有する画素が第2の値に設定される請求項21に記載の手術用顕微鏡検査システム。
【請求項23】
生成された前記パターンの前記画像に対する大きさを入力するための第6インタフェースをさらに備えた請求項1〜22のいずれか1項に記載の手術用顕微鏡検査システム。
【請求項24】
前記顕微鏡検査光学系の倍率が調整可能であり、前記パターン生成器は、前記パターンの大きさが前記顕微鏡検査光学系の前記倍率に比例するように前記パターンを生成するよう構成されている請求項1〜23のいずれか1項に記載の手術用顕微鏡検査システム。
【請求項25】
前記パターンが環状パターンを含む請求項1〜24のいずれか1項に記載の手術用顕微鏡検査システム。
【請求項26】
前記パターン生成器は、前記顕微鏡検査光学系の光路に前記パターンを重畳するためのプロジェクタを備えている請求項1〜25のいずれか1項に記載の手術用顕微鏡検査システム。
【請求項27】
前記プロジェクタは、前記顕微鏡検査光学系の接眼レンズに向かう方向に前記パターンを投影するように構成されている請求項26に記載の手術用顕微鏡検査システム。
【請求項28】
前記プロジェクタは、前記物体平面に向かう方向に前記パターンを投影するように構成されている請求項26に記載の手術用顕微鏡検査システム。
【請求項29】
前記顕微鏡検査光学系によって形成された前記画像、及び前記パターン生成器によって生成され、前記画像に重畳された前記パターンを表示するためのスクリーンをさらに備えた請求項1〜28のいずれか1項に記載の手術用顕微鏡検査システム。
【請求項30】
前記顕微鏡検査光学系によって形成された前記画像、及び前記パターン生成器によって生成され、前記画像に重畳された前記パターンを表示するための頭部搭載型表示器をさらに備えた請求項1〜29のいずれか1項に記載の手術用顕微鏡検査システム。
【請求項31】
前記顕微鏡検査光学系によって形成された前記画像、及び前記パターン生成器によって生成され、前記画像に重畳された前記パターンを表示するための接眼レンズをさらに備えた請求項1〜30のいずれか1項に記載の手術用顕微鏡検査システム。
【請求項32】
角膜移植手術の準備をする方法であって、
顕微鏡検査光学系を用いて、眼の虹彩の一部分及び角膜輪部の一部分のうち少なくとも1つの顕微鏡画像を形成することと、
前記顕微鏡画像に重畳されるパターンを生成することとを含み、
前記パターンは、第1円上に配置される複数のパターン要素からなる第1パターン要素群と、前記第1円の内部に位置する第2円上に配置される複数のパターン要素からなる第2パターン要素群とを備えていることを特徴とする方法。
【請求項33】
角膜移植手術を行う方法であって、
顕微鏡検査光学系を用いて、眼の虹彩の一部分及び角膜輪部の一部分のうち少なくとも1つの顕微鏡画像を形成することと、
前記顕微鏡画像に重畳されるパターンであって、第1円上に配置される複数のパターン要素からなる第1パターン要素群と、前記第1円の内部に位置する第2円上に配置される複数のパターン要素からなる第2パターン要素群とを備えた前記パターンを生成することと、
前記第1パターン要素群のパターン要素と前記第2パターン要素群のパターン要素との間で延びる直線部分を有する少なくとも1つの縫合糸を含む縫合線を配置することとを備えたことを特徴とする方法。
【請求項34】
前記縫合線は、前記第1円の中心に対して径方向に延びる複数の縫合糸を含む請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記縫合線は、前記画像内において、前記第1パターン要素群の第1パターン要素の位置から前記第2パターン要素群の第1パターン要素の位置へ、前記第2パターン要素群の前記第1パターン要素の位置から前記第1パターン要素群の第2パターン要素の位置へ、前記第1パターン要素群の前記第2パターン要素の位置から前記第2パターン要素群の第2パターン要素の位置へと延びる少なくとも1つの縫合糸を含む請求項33に記載の方法。
【請求項36】
眼の手術の準備をする方法であって、
顕微鏡検査光学系を用いて、眼の虹彩の一部分及び角膜輪部の一部分のうち少なくとも1つの顕微鏡画像を形成することと、
前記顕微鏡画像に重畳され、直線上に配置される複数のパターン要素を有するパターンを生成することと、
前記画像内の前記直線を所定の向きとなるように方向付けすることとを備えたことを特徴とする方法。
【請求項37】
前記パターンがターボ目盛りを含む請求項36に記載の方法。
【請求項38】
眼の手術を行う方法であって、
顕微鏡検査光学系を用いて、眼の虹彩の一部分及び角膜輪部の一部分のうち少なくとも1つの顕微鏡画像を形成することと、
前記顕微鏡画像に重畳され、直線上に配置される複数のパターン要素を有するパターンを生成することと、
前記画像内の前記直線を所定の向きとなるように方向付けすることと、
眼内レンズを前記眼に挿入し、前記眼の前記顕微鏡画像に重畳された前記パターンを基準として前記眼内レンズを方向付けすることとを備えたことを特徴とする方法。
【請求項39】
眼の手術を行う方法であって、
顕微鏡検査光学系を用いて、眼の虹彩の一部分及び角膜輪部の一部分のうち少なくとも1つの顕微鏡画像を形成することと、
前記顕微鏡画像に重畳され、直線上に配置される複数のパターン要素を有するパターンを生成することと、
前記画像内の前記直線を所定の向きとなるように方向付けすることと、
前記眼の前記顕微鏡画像に重畳された前記パターンに対して所定の向きを有する角膜輪部減張切開創を設けることとを備えたことを特徴とする方法。
【請求項40】
前記パターンは、円環に沿って延びる複数のパターン要素を備え、前記円環は、前記直線と2箇所で交差する請求項38に記載の方法。
【請求項41】
生成された前記パターンを基準とした前記眼内レンズの方向付けは、前記眼内レンズに付与されたマークを前記直線に位置合わせすることを含む請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記画像内の前記直線を前記所定の向きとなるように方向付けすることが、
前記眼にマークを付与することと、
前記眼に付与された前記マークに前記直線を位置合わせするように前記直線を方向付けすることと、その後に、
前記直線の前記向きを所定の量だけ変更することとを含む請求項38に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−200667(P2011−200667A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114682(P2011−114682)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【分割の表示】特願2005−309581(P2005−309581)の分割
【原出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(505398000)カール ツァイス サージカル ゲーエムベーハー (25)