説明

手袋

【課題】手袋に収納された手で、不用意に排泄物や褥瘡を掴むことが防止される。
【解決手段】収納布21(収納体)の周縁と外覆布22(外覆体)の周縁とは縫合/連結されず分離されて、収納布21が手とともに動いても、外覆布22に対して収納布21がスリップする。この外覆布22内面と収納布21外面との間は、手首付近を除いて連結されず、収納布21が手とともに動いても、外覆布22の中を収納布21が空滑りする。親指と他の指または手の平との間で物を掴むことができないようになるし、人差し指、中指、薬指、小指と手の平との間で物を掴むことができないようになり、不用意に排泄物や褥瘡などの汚物を手で掴むことを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は手袋に関し、特に病人・障害者などの手の動きを規制して、排泄物や褥瘡に手が不用意に触れることを防止する手袋に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、認知症の病人、下半身が不自由な知的障害者などは、不用意に排泄物や褥瘡を手で触ったりすることがあり、このような排泄物や褥瘡に触ると、不潔であり、感染症の原因にもなっており、養護施設・介護施設・看護施設などでは対策に困っていた。
【0003】
【特許文献1】実開平2−1069号公報
【特許文献2】実開平3−115613号公報
【特許文献3】特開2001−139101号公報
【特許文献4】特開2003−284653号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、痴呆症の病人、下半身が不自由な知的障害者などが、不用意に排泄物や褥瘡を手で掴むことを防止できる手袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本件発明の手袋は、手の親指、人差し指、中指、薬指、小指を含む手全体を手首まで収納し、これらの指を挿通する隙間を有さない袋状の収納体と、 この収納体の外面全体を隙間なく覆う撥水性または防水性の外覆体であって、この外覆体内面と収納体外面との間は、手首付近を除いて連結されず、収納体が手とともに動いても、外覆体に対して収納体がスリップする外覆体と、 上記収納体または外覆体の手首付近に設けられた、当該収納体を緊縮する緊縮部とを備えた。
【0006】
また、本件発明の手袋は、手の親指、人差し指、中指、薬指、小指それぞれを分離しないで手首まで収納する袋状の収納体であって、この収納体に手が収納されたとき、人差し指の向きに対して親指の向きをほぼ45度以内に規制する収納体と、 この収納体の外面全体を隙間なく覆う撥水性または防水性の外覆体であって、この外覆体には縫い目がない、または外覆体の縫い目部分には撥水性または防水性の上覆体が縫合によらないで接合され、 上記収納体または外覆体の手の平側に設けられた、手の甲側より太くて厚い太厚部であって、上記人差し指、中指、薬指、小指を手の平側に曲げたとき、これらの指先と手の平との間にこの太厚部が挟まれる位置に、当該太厚部が設けられ、 上記収納体及び外覆体の手首付近に設けられた、当該収納体及び外覆体を緊縮する緊縮部とを備えた。
【発明の効果】
【0007】
本件手袋に収納された手の指の一部または全部を曲げても、外覆体に対して収納体がスリップするので、外覆体の中を収納体が空滑りし、手で物を掴むことができないようになるし、親指と他の指または手の平との間で物を掴むことができないようになるし、人差し指、中指、薬指、小指と手の平との間で物を掴むことができないようになり、不用意に排泄物や褥瘡などの汚物を手で掴むことを防止できる。
【0008】
本件手袋に収納された手の親指を曲げて、親指と他の指または手の平との間で物を掴むことができないようになるし、人差し指、中指、薬指、小指と手の平との間で物を掴むことができないようになり、不用意に排泄物や褥瘡などの汚物を手で掴むことを防止できる。
【0009】
特に、人差し指の向きに対して親指の向きをほぼ45度以内に規制すれば、人差し指と親指との間で物を掴むことができなくなるし、この結果、親指と他の指または手の平との間で物を掴むことができないようになる。
【0010】
また、手の親指、人差し指、中指、薬指、小指それぞれは分離されないで収納体に収納されるので、親指、人差し指、中指、薬指、小指のいずれかの間で、物を掴むことができなくなる。
【0011】
さらに、人差し指、中指、薬指、小指を手の平側に曲げたとき、これらの指先と手の平との間にこの太厚部が挟まれる位置に、当該太厚部が設けられるので、人差し指、中指、薬指、小指と手の平との間で物を掴むことができなくなる。
【0012】
収納体の外面全体を隙間なく覆う撥水性または防水性の外覆体であって、この外覆体には縫い目がない、または外覆体の縫い目部分には撥水性または防水性の上覆体が縫合によらないで接合されているので、排泄物や褥瘡からの剥離片などの汚物や雑菌・細菌などが、縫い目に入り込むことがなく、外覆体が撥水性または防水性なので、排泄物や褥瘡からの剥離片などの汚物や雑菌・細菌などが、外覆体から浸透してくることがなくなる。
【0013】
収納体及び外覆体の手首付近に当該収納体及び外覆体を緊縮する緊縮部を設けたので、手首付近から排泄物や褥瘡からの剥離片などの汚物や雑菌・細菌などが、手首付近から入り込むことがなくなるし、本件手袋が手から外れることもなくなる。
【0014】
このような緊縮によって、本件手袋の手首付近の周囲に皺が形成されるが、このような皺は、緊縮部がベルト状であれば、この緊縮部によってこの皺が覆われるので、この皺内に、排泄物や褥瘡からの剥離片などの汚物や雑菌・細菌などが入り込んでしまうことが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(1)手袋の外観
図1及び図2は手袋の表裏の外観を示す。図1は手の平側から見た外観を示し、図2は手の甲側から見た外観を示す。この手袋の上縁の指先付近は「U」字状に湾曲しており、下縁の手首付近は直線状になっている。この手袋はほぼ左右対称であるが、親指側が若干外方に膨らんでいる。
【0016】
この手袋は、互いに対称形の手の平側の収納布21(収納体)及び外覆布22(外覆体)と、手の甲側の収納布21及び外覆布22との、一対の布が周縁で縫合されて袋状にされ、手袋が構成される。この周縁縫合部12には、表裏にまたがって、撥水性または防水性の上覆テープ11が接着されている。
【0017】
この上覆テープ11は布製で、裏面には熱で溶着する接着剤が塗布されていて、この上覆テープ11を手袋の周縁縫合部12に当て、アイロンなどでなぞって加熱すると、上覆テープ11は手袋の周縁縫合部12に沿って接着され、上記周縁縫合部12が露出しないように密封保護される。
【0018】
これにより、排泄物や褥瘡からの剥離片などの汚物や雑菌・細菌などが、周縁縫合部12に入り込んで剥がれなくなることや、周縁縫合部12から手袋内に入り込むことを防止できる。
【0019】
また、この手袋の手首の周縁の、後述する収納布21と外覆布22の周縁も縫合されていて、手首縫合部13となっている。この手首縫合部13にも、表裏にまたがって、上記撥水性または防水性の上覆テープ11が上記熱接着されている。
【0020】
これにより、周縁縫合部12が露出しないように密封保護され、排泄物や褥瘡からの剥離片などの汚物や雑菌・細菌などが、手首縫合部13に入り込んで剥がれなくなることや、手首縫合部13から手袋内に入り込むことを防止でき清潔に保たれる。
【0021】
上記手袋の手の平側の手首付近の右部には、緊縮ベルト14の端が縫合されている。また、上記手袋の手の甲側の手首付近の右部には、縦に細長いタック15の上下両端が縫合されており、このタック15を上記緊縮ベルト14がくぐって挿通されている。
【0022】
上記緊縮ベルト14は、手袋の手首付近を一周半するほどの長さがあり、緊縮ベルト14の中央部付近の外面には面ファスナー16が接着または縫合され、緊縮ベルト14の先端部付近の内面にも面ファスナー17が接着または縫合される。
【0023】
この緊縮ベルト14は、手袋の手首付近を一周半して、先端部の面ファスナー17が中央部の面ファスナー16に係合して、手袋の収納布21及び外覆布22の手首付近が緊縮される。これにより、手袋が手から外れないし、手からずれないように固定される。
【0024】
また、このような緊縮によって、外覆布22の手袋の手首付近の周囲に皺が形成されるが、このような皺は上記緊縮ベルト14によって覆われるので、外覆布22の皺内に、排泄物や褥瘡からの剥離片などの汚物や雑菌・細菌などが入り込んでしまうことを防止でき清潔に保たれる。
【0025】
上記中央部の面ファスナー16は、タック15をくぐる箇所まで設けられていてもよいし、設けられていなくてもよい。タック15をくぐる箇所まで設けられていれば、タック15を中央部の面ファスナー16と先端部の面ファスナー17とで挟んで、緊縮が容易に外れなくなる。
【0026】
また、中央部の面ファスナー16がタック15をくぐる箇所まで設けられていなければ、先端部の面ファスナー17がタック15を容易にくぐることができて、緊縮ベルト14の先端部をタック15に係合/固定できる。
【0027】
このような面ファスナー16、17は、ともに緊縮ベルト14に設けられ、外覆布22表面には設けられていないので、面ファスナー16、17に、排泄物や褥瘡からの剥離片などの汚物や雑菌・細菌などが入り込んでしまうことを防止でき清潔に保たれる。たとえ、面ファスナー16、17が汚れても、緊縮ベルト14のみを外して洗浄したり交換したりできる。このために、緊縮ベルト14は、本件手袋に着脱自在で固定されなくてもよい。
【0028】
(2)手袋の断面構造
図3及び図4は、上記手袋の断面構造を示す。図3は手の平を広げた状態を示し、図4は手の平を曲げた状態を示す。2枚の収納布21は、上記周縁縫合部12で互いに縫合され、手の親指、人差し指、中指、薬指、小指それぞれを分離しないで手首まで収納する袋状となっている。この収納布21の外面全体を上記外覆布22が隙間なく覆っており、この収納布21は撥水性または防水性の布からなっている。
【0029】
これら収納布21と外覆布22との間には、中外布23と中内布24とが、全面にわたって、隙間なく挟まれている。これら収納布21、外覆布22、中外布23及び中内布24は、いずれも上記図1及び図2に示す形状となっている。
【0030】
上記外覆布22を除いた、収納布21、中外布23及び中内布24は互いにキルティング加工によって互いに縫合固定され、これらの布21、23、24が互いにずれないようになっている。外覆布22はキルティング加工されていないので、外覆布22には縫合部はなく、縫合部に排泄物や褥瘡からの剥離片などの汚物や雑菌・細菌などがこびりついたり入り込んだりすることがなく清潔に保たれる。
【0031】
しかも、外覆布22はキルティング加工されていないにもかかわらず、上記周縁縫合部12で収納布21、中外布23及び中内布24と一体に固定されるから、外覆布22は収納布21、中外布23及び中内布24からずれないようになっている。
【0032】
上記手袋の手の平側のほぼ中央部の、収納布21、中外布23及び中内布24は互いに水平方向に6箇所で縫合され、この6箇所の縫合部分の1つおきの間の3箇所は、手の平の他の部分や手の甲側より太くて厚い太厚体25となっている。この太厚体25は、上記中内布24と収納布21との間に形成されている。
【0033】
この3つの太厚体25のうち、一番下の太厚体25が一番太く、他の2つの太厚体25の太さの3倍乃至4倍ほどある。一番下のいちばん太い太厚体25は、手の平のほぼ中央を横断する位置に当接し、真ん中の太厚体25は、人差し指、中指、薬指、小指の第一関節付近の位置に当接し、一番上の太厚体25は、人差し指、中指、薬指、小指の第二関節付近の位置に当接する。
【0034】
親指、人差し指、中指、薬指、小指を曲げたとき、これら3つの太厚体25…は、互いに折り重なって、人差し指、中指、薬指、小指と手の平との間で物を掴むことができなくなり、不用意に排泄物を掴んだり褥瘡を掴んだりしてしまうことが防止され清潔に保たれる。
【0035】
上記収納布21は、ロンウェーブなどの遠赤外線を発する素材または/及び保温性を有する素材からなっている。上記外覆布22は、エントラント、バイロンまたは/及びサニター30などの抗菌作用を有する素材からなっている。上記中外布23は、羊毛等の遠赤外線を発する素材または/及び保温性を有する素材からなっている。上記中内布24は、ロンウェーブなどの遠赤外線を発する素材または/及び保温性を有する素材からなっている。
【0036】
上記太厚体25は、ロンウェーブまたは羊毛などの遠赤外線を発する素材または保温性を有する素材といった外側の加温素材26と、光触媒ビーズ、エントラント、バイロンまたは/及びサニター30などの光触媒作用を有する素材、抗菌作用を有する素材または/及び光触媒作用を有する素材といった内側の抗菌素材27が、二重または多重に積層されている。この太厚体25には、上記収納布21、外覆布22、中外布23、中内布24も積層されている。
【0037】
光触媒ビーズは、プラスチックの小玉・小片・小チューブの表面に、二酸化チタンなどの光触媒採用のある塗料・素材を塗布・付着させたものである。この光触媒ビーズによって、手の汗・垢、排泄物や褥瘡からの剥離片などの汚物などが分解され、雑菌や細菌などを消滅させるかまたは繁殖を押さえ、手袋内の手の蒸れを防ぎ、抗菌・消臭の効果を発揮し、清潔に保たれる。
【0038】
上記外覆布22は、エントラント、バイロンまたは/及びサニター30などの抗菌作用を有する素材からなっているので、排泄物や褥瘡からの剥離片などの汚物や雑菌・細菌などが付着してもこれらが分解され、雑菌の繁殖を押さえるかまたは繁殖を押さえ、抗菌・消臭の効果を発揮し、清潔に保たれる。
【0039】
上記収納布21及び中外布23は、ロンウェーブまたは羊毛などの遠赤外線を発する素材または/及び保温性を有する素材からなっているので、手が加温され、手の血行促進を促すので、褥瘡、ひび、あかぎれなどが防止される。
【0040】
また、このような収納布21及び中外布23の加温・血行促進による、手の汗や垢は、太厚体2や外覆布22によって分解などされ、雑菌の繁殖を押さえるかまたは繁殖を押さえ、抗菌・消臭の効果を発揮し、清潔に保たれる。したがって、収納布21及び中外布23と収納布21及び中外布23とは相乗的な互いに補い合う効果を発揮できる。
【0041】
さらに、上記太厚体25における収納布21、外覆布22、中外布23、中内布24、太厚体25(加温素材26、抗菌素材27)は、抗菌作用を有する素材または光触媒作用を有する素材が、遠赤外線を発する素材または/及び保温性を有する素材で挟まれる積層構造となっているか、または遠赤外線を発する素材または/及び保温性を有する素材が、抗菌作用を有する素材または光触媒作用を有する素材で挟まれる積層構造となっている。したがって、これらの一方の効果に部分的に偏ってしまうことがなく、安定した相乗効果が得られる。
【0042】
また、太厚体25の光触媒ビーズなどの抗菌素材27が、加温素材26の遠赤外線を発する素材と、収納布21とで挟まれ、光触媒ビーズなどの抗菌素材27が散乱しないように保持される。また、中内布24の羊毛などの綿状の素材は、中外布23及び収納布21の遠赤外線を発する素材で挟まれ、中内布24の羊毛などの綿状の素材が散乱しないように保持される。
【0043】
(3)手袋内の手の動きを規制する構造
図5及び図6は手袋内に収納された手を示し、上記図4、図5及び図6は手袋内の手の動きを規制する構造を示す。収納布21内に収納された手は、人差し指の向きに対して親指の向きをほぼ45度以内に規制される。
【0044】
もし、人差し指の向きに対して親指の向きがほぼ45度を越えるほど、収納布21内が広いと、親指を手の平側に曲げることができ、親指と手の平との間で物を掴むことができるようになり、不用意に排泄物を掴んだり褥瘡を掴んだりしてしまうおそれが出てしまう。
【0045】
人差し指の向きに対して親指の向きがほぼ45度以内に規制されるほど、収納布21内が狭いと、親指を手の平側に曲げることができなくなり、親指と手の平との間で物を掴むことができなくなり、不用意に排泄物を掴んだり褥瘡を掴んだりしてしまうことが防止され清潔に保たれる。
【0046】
また図4に示すように、上記太厚体25は手の平の他の部分や手の甲側より太くて厚く、人差し指、中指、薬指、小指を手の平側に曲げたとき、これらの指先と手の平との間にこの太厚体25が挟まれ、このような挟まれる位置に、当該太厚体25は設けられている。
【0047】
したがって、人差し指、中指、薬指、小指と手の平との間で物を掴むことができなくなり、不用意に排泄物を掴んだり褥瘡を掴んだりしてしまうことが防止され清潔に保たれる。もし、人差し指、中指、薬指、小指と手の平との間で物を掴むことができれば、不用意に排泄物を掴んだり褥瘡を掴んだりしてしまうおそれが出てしまうことになる。
【0048】
上記収納布21内は、手の親指、人差し指、中指、薬指、小指それぞれを分離しないで手首まで収納する袋状となっている。したがって、介護・擁護・看護において、病人・介護者の手に本件手袋を装着するときに、より容易となる。
【0049】
また、手の親指、人差し指、中指、薬指、小指それぞれを分離する仕切りがあると、装着に手間がかかるほか、いずれかの指を曲げたとき、物を掴むことができる可能性が高くなって、不用意に排泄物を掴んだり褥瘡を掴んだりしてしまうおそれが高くなってしまう。
【0050】
(4)第二実施例
図7、図8、図9、図10は第二実施例を示す。上記または下記第一実施例の一部または全部がこの第二実施例に置き換えられるし、逆にこの第二実施例の一部または全部が上記または下記第一実施例に置き換えられる。本実施例では、収納布21(収納体)の周縁と外覆布22(外覆体)の周縁とは縫合/連結されず分離されて、収納布21が手とともに動いても、外覆布22に対して収納布21がスリップして、外覆布22の中を収納布21が空滑りする。
【0051】
さらに、この外覆布22内面と収納布21外面との間は、手首付近を除いて連結されず、収納布21が手とともに動いても、図10に示すように、外覆布22に対して収納布21がスリップして、外覆布22の中を収納布21が空滑りする。
【0052】
これにより、図10に示すように、親指と他の指または手の平との間で物を掴むことができないようになるし、人差し指、中指、薬指、小指と手の平との間で物を掴むことができないようになり、不用意に排泄物や褥瘡などの汚物を手で掴むことを防止できる。
【0053】
上記収納布21は上記第一実施例と同じく二枚の対称な布が周縁で縫合されるが、一枚の布で、手の形に形成された不織布でもよいし、軍手・パンティストッキングのように編み込まれたものでも良い。同様に、外覆布22は上記第一実施例と同じく二枚の対称な布が周縁で縫合されるが、一枚の布で、手の形に形成された不織布でもよいし、軍手・パンティストッキングのように編み込まれたものでも良い。
【0054】
上記収納布21は、布状であるが、網のように隙間があってもよい。この隙間は、指が挿通しないほどの大きさである。これにより、指が外覆布22に触れず、指が外覆布22を巻き込むことがなく、不用意に排泄物や褥瘡などの汚物を手で掴むことを防止できる。
【0055】
上記太厚体25の部分は収納布21が二重に縫合され、この二重の収納布21の間に太厚体25が形成される。この二重の収納布21の間にはさらにガーゼなどの薄い仕切布31が縫合され、この仕切布31の内側の太厚体25には、上述の二酸化チタンなどがコーティングされたビーズ、小玉、チューブ、パイプといった上記光触媒作用を有する素材、抗菌作用を有する素材または/及び光触媒作用を有する素材といった抗菌素材27が内蔵・充填されている。
【0056】
また、上記仕切布31の外側の太厚体25には、上述のロンウェーブまたは羊毛などの遠赤外線を発する素材または保温性を有する素材といった加温素材26が内蔵・充填されている。
【0057】
このような太厚体25は三列設けられているが、一番太い手首に近い側の太厚体25には、手の平の中央付近にて、太厚体25を横断する方向に仕切布31と収納布21とが縫合されて横断縫合ライン32が形成されてもよい。
【0058】
これにより、加温素材26または抗菌素材27が偏らなくなる。このような横断縫合ライン32は、一箇所だけでなく複数形成されてもよいし、手の周縁付近に形成されても良いし、三列の他の太厚体25にも形成されてもよい。
【0059】
なお、太厚体25は収納布21側と外覆布22側との二つに分割・分離され、収納布21側の太厚体25の外面にはガーゼなどの薄い仕切布31が縫合され、外覆布22側の太厚体25の外面にもガーゼなどの薄い仕切布31が縫合されてもよい。また、太厚体25は全て外覆布22側に設けられてもよい。さらに、太厚体25では、収納布21と外覆布22とが完全に縫合されてもよい。
【0060】
親指、人差し指、中指、薬指、小指を曲げたとき、これら3つの太厚体25…は、互いに折り重なって、人差し指、中指、薬指、小指と手の平との間で物を掴むことができなくなり、不用意に排泄物を掴んだり褥瘡を掴んだりしてしまうことが防止され清潔に保たれる。
【0061】
たとえ、掴まれたとしても、掴まれるのは収納布21の方であり、掴まれた収納布21は外覆布22内をスリップして、外覆布22の中を収納布21が空滑りする。これにより、親指と他の指または手の平との間で物を掴むことができないようになるし、人差し指、中指、薬指、小指と手の平との間で物を掴むことができないようになり、不用意に排泄物や褥瘡などの汚物を手で掴むことを防止できる。
【0062】
上記上覆テープ11はゴム製で、弾性的に伸縮し、本手袋を手首付近で緊縮して、本手袋が手首で固定されて、容易に外れないようにされる。上記緊縮ベルト(緊縮部)14、タック15、面ファスナー16、17は本実施例では省略される。この手袋の手首付近は、図7、図8に示すように、接着布テープ33(緊縮部)、その他の接着テープが巻きつけられて、手首付近が緊縮され、本手袋が手首で固定されて、容易に外れないようにされる。
【0063】
外覆布22内面及び/または収納布21外面は、摩擦が少なく滑らかで滑りやすくなっていて、外覆布22に対して収納布21がスリップして、外覆布22の中を収納布21が空滑りする。上記外覆布22の素材はキュプラ繊維などが用いられる。キュプラ繊維とは、銅アンモニア溶液に溶かしたセルロースを細孔から水中に押し出した再生繊維であり、銅アンモニアレーヨンであって、絹に似た光沢・手触りが特徴であり、摩擦が少なく滑りやすい表面となっている。
【0064】
上記収納布21の形状は各指の部分が分離されず合体・一体・連結されているミトン型であるが、各指の全部または一部が分離されている形であってもよい。外覆布22の形状は各指の部分が分離されず合体・一体・連結されている形状が望ましいが、これに限られるものではない。
【0065】
収納布21と外覆布22との間の隙間はほとんどないが、あってもよい。隙間があると、外覆布22に対して収納布21がよりスリップし易くなり、外覆布22の中を収納布21がより空滑りし易くなる。
【0066】
他の構成・作用・効果は上記または下記第一実施例と同じであり、説明を省略する。収納布21にも、キュプラ繊維などが用いられてもよい。外覆布22は二層、三層、四層、…、複数層にされてもよい。これにより、外覆布22どうしもスリップして、外覆布22の中を外覆布22が空滑りする。
【0067】
(5)上記各素材の機能・効果
上記外覆布2のエントラントは、東レ株式会社から販売されている、透湿性で防水性及び撥水性の生地である。上記外覆布2のバイロンは、東洋紡株式会社から販売されている、透湿性で防水性及び撥水性の生地である。
【0068】
上記外覆布2のサニター30は、クラレ株式会社から販売されている、特殊銀系セラミックスがポリエステル繊維の溶融紡糸の際に練り込まれた殺菌防臭繊維である。このサニター30の特殊銀系セラミックスは、殺菌剤であり、殺菌効果のある金属、例えば、銀、亜鉛その他の金属を含有したセラミックスである。
【0069】
この特殊銀系セラミックスによる増殖を抑える効果のある細菌は、枯草菌、緑膿菌(褥瘡の原因菌)、肺炎枯菌、大腸菌、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ菌、白癬菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)などである。
【0070】
上記太厚体25の抗菌素材27としては、二酸化チタンのシリカゲルが用いられる。この二酸化チタンは、紫外線が照射されると、価電子帯から伝導体に電子が励起され、電子と正孔が生成される。この電子による還元反応により空気中の酸素が還元されて、スーパオキサイドイオン(O2-)が生成される。このスーパオキサイドイオンは、過酸化水素を経てOHラジカルを生成し、水と酸素になる。
【0071】
上記正孔により、空気中の水分子が酸化されて強い酸化力を持つOHラジカルが生成される。このOHラジカルなどの酸化力により綿近傍にある有機物が酸化され、二酸化炭素や水に分解されると考えられている。この結果、二酸化チタンによって、消臭と抗菌作用が発揮されることになる。
【0072】
またに二酸化チタンによって、光照射を受けた光半導体粉末と金属粉末とによる光触媒作用により、細菌、ウィルス、かび等が死滅または減少させられ、悪臭物質等が分解される。さらに、吸着されないような細菌その他の物の場合でも、光触媒作用により、発育(増殖)防止や忌避効果等が得られる。
【0073】
上記外覆布2または太厚体25の抗菌素材27としては、他に、シャインアップ、バンブー繊維、キチンキトサン繊維、ディスメルなどでもよい。このシャインアップは、ポリエステル繊維とナイロン繊維とからなる複合繊維に金属含有セラミックス系の特殊消臭剤が練り込まれており、二酸化チタンによる光触媒反応により消臭と抗菌効果が発揮される。株式会社信州セラミックスから販売されている布などでも同様のものがある。
【0074】
上記バンブー繊維(竹繊維)は、竹からつくられた繊維であり、抗菌、消臭、吸湿(湿気の吸収)、調湿(湿気/湿度の自動調整)、放湿(湿気の排出)、遠赤外線発生、静電気が発生しにくいなどの性質を有する。またバンブー繊維は、光沢性、発色性、熱の放射性にも優れている。さらに、バンブー繊維は、染色性、発色性に優れ、着心地、肌触りもよい。調湿作用は内側の湿度が上がると湿気を外に排出し、内側の湿度が下がると外気の湿気を吸収する作用であって、内側の湿度を一定に保つ作用である。
【0075】
上記キチンキトサン繊維は、キチンキトサンの成分を繊維表面にコーティングまたは繊維内部に練り込まれている。この繊維表面のコーティングまたは繊維内部の練り込みは、後述するバイオゼストセラまたはセラムAにおけるセラムックスのコーティングまたは練り込みと同様の手法によって行われる。
【0076】
このキチンキトサンの成分は、カニや海老の甲羅から周波数出された成分である。キチンキトサン繊維の布は、水虫の菌またはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌に対する抗菌性、殺菌性が非常に強く、他に抗カビ性、防臭性も有している。また、キチンキトサン繊維の布は、水なじみがよく、夏涼しく、冬暖かく感じ、吸湿(湿気の吸収)、調湿(湿気/湿度の調整)、放湿(湿気の排出)の性質を有する。さらに、キチンキトサン繊維の布は、天然繊維なので皮膚へのなじみもよく、静電気が発生しにくく、洗濯耐性もよく、染色性、光沢性に優れている。
【0077】
このディスメルは、東洋紡績株式会社から販売されている。この布については、有限会社高研他が権利者となっている実用新案権第3056573号、又は第3061324号の公報内に記載されており、これらのものが購入されて本考案の内布2及び外布などに使用される。
【0078】
このディスメルは、アクリレート系繊維のアンモニア消臭及び抗菌素材である。すなわち、pH緩衝能(pH変化を緩和する能力)を有する架橋アクリル系繊維が配合されている不織布にカルボン基が付着されており、このカルボン基(COOH)にアンモニア(NH3)が作用するとイオン結合により無臭のカルボン酸アンモニウム塩(COOHNH4)が生成されることで、アンモニア臭が除去され、アンモニアによる雑菌繁殖を押さえる。これにより、ディスメルは、消臭作用及び抗菌作用を有する。このディスメルはふんわりとした綿状であり、保温作用がある。
【0079】
上記収納布21、中外布23、中内布24、加温素材26のロンェーブは、アクリル繊維またはその他の繊維に超微粒子セラミックスが内蔵され/練り込まれている。このセラミックスの働きにより、体温近くの摂氏40度前後において、遠赤外線が外部へと放射されて、人体への加温効果が発揮される。摂氏40度前後において、遠赤外線の発生量が最も多い。
【0080】
中内布24の羊毛(羊毛ゼオライト)は、天然鉱石であるゼオライトを加工したセラミックスとその微粒子を羊毛などの天然繊維の表面に堅牢に付着させたものである。このセラミックスとその微粒子の働きによって、体温より低温でも遠赤外線が十分に外部へ放射されて、人体への加温効果が発揮される。このゼオライトは、0度〜60度以上の全温度においてほぼまんべんなく遠赤外線を発する。
【0081】
上記ゼオライトの化学組成はケイ酸塩のケイ素の一部がアルミニウムに置換された形の縮合酸塩でありSiO4―AlO4の連結四面体における三次元網目構造によるため、空洞を含む構造が形成され、その空洞、或いはその空洞が連結してできる孔路の中に、そのアニオン(陰イオン)と対応すべくカチオン(陽イオン)、更には結晶水が金属イオンの静電気的引力により存在している。
【0082】
骨格のケイ素とアルミニウムの比、または陽イオンの種類、数等によって各種の構造のゼオライトが存在する。ゼオライトの一般的性質としては、陽イオン交換能、分子フルイ作用、極性物質の吸着、触媒作用等がある。
【0083】
ゼオライトの結晶水はゼオライトの立体網目構造の中に水分子として存在するため特に沸石水と呼ばれ、加熱などにより脱水してもゼオライトの構造は破壊されず、結晶水が有った箇所はそのまま空洞として残り、ちょうどスポンジ状の構造になり、この空洞にガスや水分を強力に吸着する特性がある。
【0084】
もう一つのゼオライトの大きな特性に塩基置換容量がある。これは陽イオン交換容量「C.E.C:Cation Exchange Capacity」とも呼ばれ、ちょうど磁石のように陽イオン(NH4+・カリウム・ナトリウム・カルシウムなど)を保持したり離したりする力である。特にゼオライトの塩基置換容量は永久荷電と言い、周囲の環境(PHなど)に左右されず、長期間その力を持続する特性がある。
【0085】
このようにゼオライトには、吸着機能がある。このような吸着材料と光半導体セラミックスが用いられた布において、細菌、ウィルス、かび又は悪臭物質、有害物質等が、まず吸着材料に吸着保持され、抗菌消臭機能がある。
【0086】
収納布21、中外布23、中内布24、加温素材26としては、ロンウェーブのほか、他に、セラムA、エピコモド、羊毛ゼオライトでもよい。これらの素材の発する遠赤外線の波長は、5.0μm以上にわたってほぼまんべんなく多く、羊毛ゼオライトの発する遠赤外線の波長は、1.5乃至6.0μm付近が非常に多く、上記ロンウェーブの発する遠赤外線の波長は、8乃至16μm付近が非常に多い。中内布24の羊毛(羊毛ゼオライト)は、バイネストセラでもよく、バイネストセラの機能・効果は上記羊毛ゼオライトと同じである。
【0087】
上記羊毛ゼオライトまたはバイオネストセラから発せられる赤外線は中赤外線であり、上記ロンウェーブ、セラムAまたはエピコモドから発せられる赤外線は遠赤外線及び超遠赤外線である。赤外線は、波長0.76乃至1.5μmを近赤外線、波長1.5乃至5.6μmを中赤外線、波長5.6乃至400μmを遠赤外線、波長400乃至1000μmを超遠赤外線という。しかし、本明細書及び特許請求の範囲では、この中赤外線も含めて遠赤外線として説明するし、超遠赤外線も遠赤外線として説明する。
【0088】
上述の「抗菌」は、抗菌のほか、細菌/微害虫を死滅させる「殺菌」「殺虫」「消毒」、細菌/微害虫の数を減らす「減菌」、細菌/微害虫の増殖を抑制することも含む。また上記「加温」は、遠赤外線による加温のほか、どのような手段によるも、人体または人体の一部を直接または間接に暖めることの全てを含む。「保温」には、冷気の進入や、体熱が外気に奪われることを防止するなどの防寒その他、体温の低下を直接・間接に防ぐ意味がある。
【0089】
上記「消臭」は、消臭のほか、臭気の吸着、臭気(アンモニア等の不快臭)そのものの分解、臭気を中和させる物質または成分の発生、臭気を発生させる菌を殺すことを含む。上記「吸湿」は、吸湿のほか、乾燥、防湿、除湿などを含む。「防汚」は、汚れにくい、汚れの付着の防止、付着した汚れの分解、付着した汚れを洗浄で除去しやすくするなどの意味を含む。
【0090】
(6)他の実施の形態
本発明は、上記実施例に限定されず、種々変更可能である。例えば、上記互いに縫合される2枚の外覆布22の周縁の一部で一体に繋がり、このうちの繋がっていない部分で上記縫合なされてもよい。これにより、排泄物や褥瘡からの剥離片などの汚物が入りこむ可能性のある縫合部が少なくなる。
【0091】
このような縫合部は少ないほうがよいが、上覆テープ11で接合・接着して覆えば、多くてもかまわず、収納布21、外覆布22の周縁以外に縫合部が形成されてもよい。手の親指、人差し指、中指、薬指、小指それぞれを分離する分離体が、収納布21内に設けられてもよい。
【0092】
上記 上記緊縮ベルト14は、手袋の外側ではなく、手袋の内側にもうけられてもよい。この場合、複数のタック15が、収納布21の内面の手首付近に設けられて、ここを緊縮ベルト14が挿通される。
【0093】
また、収納布21と外覆布22との間の手首付近にパイプ状のトンネルが形成され、この中を緊縮ベルト14または紐が挿通され、この緊縮ベルト14または紐を引くことによって、手袋の手首付近が緊縮される。さらに、このパイプ状のトンネル内にゴム紐が挿通され、手袋の手首付近が緊縮されてもよい。この場合、外覆布22の手首付近に皺がよらず、皺に排泄物や褥瘡からの剥離片などの汚物が入りこむことがなくなる。
【0094】
上記外覆布22、太厚体25の抗菌素材27は、上述の遠赤外線を発する素材または/及び保温性を有する素材からなってもよいし、上記収納布21、中外布23、中内布24、加温素材26は、抗菌作用を有する素材または/及び光触媒作用を有する素材からなっていてもよい。
【0095】
上記外覆布22、太厚体25の抗菌素材27、収納布21、中外布23、中内布24、加温素材26は、遠赤外線を発する素材または/及び保温性を有する素材と、抗菌作用を有する素材または/及び光触媒作用を有する素材とが混合されたものでもよい。
【0096】
本件手袋は、病人・障害者用以外に、健常者用としても使用される。健常者がこの手袋を装着することによって、手が寒気・暑気・熱気・有害な外気・有害な気体から守られるし、手の乾燥・あかぎれ・感覚喪失といった手に対するストレスが防止され、手の保湿・保温といった保護が達成される。
【0097】
上記上覆テープ11、周縁縫合部12、手首縫合部13、緊縮ベルト(緊縮部)14、タック15、面ファスナー16、17、収納布(収納体)21、外覆布(外覆体)22、中外布23、中内布24、太厚体25、加温素材26、抗菌素材27、仕切布31、横断縫合ライン32の一つまたは複数は省略されてもよいし、複数に増やされても良いし、上記数より少なくまたは多くされてもよい。
【0098】
(7)他の発明の効果
[1]手の親指、人差し指、中指、薬指、小指を含む手全体を手首付近まで収納し、これらの指を挿通する隙間を有さない袋状の収納体と、 この収納体の外面全体を覆う、外面が撥水性または防水性の外覆体であって、この外覆体内面と収納体外面との間は、手首付近を除いて連結されず、収納体が手とともに動いても、外覆体に対して収納体がスリップする外覆体と、 上記収納体または外覆体の手首付近に設けられた、当該収納体を緊縮する緊縮部とを備えたことを特徴とする手袋。
【0099】
[2]上記収納体または外覆体の手の平側に設けられた、手の甲側より太くて厚い太厚部であって、上記人差し指、中指、薬指、小指を手の平側に曲げたとき、これらの指先と手の平との間にこの太厚部が挟まれる位置に、当該太厚部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の手袋。これにより、人差し指、中指、薬指、小指を手の平側に曲げたとき、これらの指先と手の平との間にこの太厚部が挟まれる位置に、当該太厚部が設けられるので、人差し指、中指、薬指、小指と手の平との間で物を掴むことができなくなる。
【0100】
[3]手の親指、人差し指、中指、薬指、小指それぞれを分離しないで手首付近まで収納する袋状の収納体であって、この収納体に手が収納されたとき、人差し指の向きに対して親指の向きをほぼ45度以内に規制する収納体と、 この収納体の外面全体を覆う、外面が撥水性または防水性の外覆体であって、この外覆体には縫い目がない、または外覆体の縫い目部分には撥水性または防水性の上覆体が縫合によらないで接合され、 上記収納体または外覆体の手の平側に設けられた、手の甲側より太くて厚い太厚部であって、上記人差し指、中指、薬指、小指を手の平側に曲げたとき、これらの指先と手の平との間にこの太厚部が挟まれる位置に、当該太厚部が設けられ、 上記収納体または外覆体の手首付近に設けられた、当該収納体を緊縮する緊縮部とを備えたことを特徴とする手袋。
【0101】
[4]上記外覆体は手の平側と手の甲側の2枚の布からなり、この2枚の布は周縁で縫合、または周縁の一部で一体に繋がり、このうちの繋がっていない部分で縫合され、 この縫合部分には撥水性または防水性の上覆体が縫合によらないで接着されていることを特徴とする請求項1、2または3記載の手袋。これにより、縫合部に排泄物や褥瘡からの剥離片などの汚物が入りこむことがなくなり清潔に保たれる。
【0102】
[5]上記緊縮部は収納体のみを緊縮して、上記外覆体を緊縮せず、当該外覆体に皺が寄らない、 または上記緊縮部は上記外覆体の周面を覆い、当該緊縮によって生じた外覆体の皺を覆うことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の手袋。これにより、皺に排泄物や褥瘡からの剥離片などの汚物が入りこむことがなくなり清潔に保たれる。
【0103】
[6]上記収納体は遠赤外線を発する素材または/及び保温性を有する素材からなり、 上記外覆体は抗菌作用を有する素材からなり、 上記太厚部は遠赤外線を発する素材、抗菌作用を有する素材、または/及び光触媒作用を有する素材からなることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の手袋。これにより、遠赤外線または/及び保温性によって、手から発せられた汗・垢が抗菌作用または/及び光触媒作用によって、殺菌・消臭・分解などされる。
【0104】
[7]上記太厚部における収納体、太厚部及び外覆体は、抗菌作用を有する素材または光触媒作用を有する素材が、遠赤外線を発する素材または/及び保温性を有する素材で挟まれる積層構造となっている、 または遠赤外線を発する素材または/及び保温性を有する素材が、抗菌作用を有する素材または光触媒作用を有する素材で挟まれる積層構造となっていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の手袋。これにより、抗菌作用・光触媒作用と遠赤外線作用・加温作用・保温作用とが偏らず偏在せず、両作用のバランスをとることができる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
手袋に収納された手で、不用意に排泄物や褥瘡を掴むことが防止される。収納布21(収納体)の周縁と外覆布22(外覆体)の周縁とは縫合/連結されず分離されて、収納布21が手とともに動いても、外覆布22に対して収納布21がスリップする。
【0106】
この外覆布22内面と収納布21外面との間は、手首付近を除いて連結されず、収納布21が手とともに動いても、外覆布22の中を収納布21が空滑りする。親指と他の指または手の平との間で物を掴むことができないようになるし、人差し指、中指、薬指、小指と手の平との間で物を掴むことができないようになり、不用意に排泄物や褥瘡などの汚物を手で掴むことを防止できる。
【0107】
手袋に収納された手で、不用意に排泄物や褥瘡を掴むことが防止される。収納布21内に収納された手は、人差し指の向きに対して親指の向きをほぼ45度以内に規制される。したがって、親指を手の平側に曲げることができなくなり、親指と手の平との間で物を掴むことができなくなり、不用意に排泄物を掴んだり褥瘡を掴んだりしてしまうことが防止される。
【0108】
太厚体25は手の平の他の部分や手の甲側より太くて厚く、人差し指、中指、薬指、小指を手の平側に曲げたとき、これらの指先と手の平との間にこの太厚体25が挟まれる。したがって、人差し指、中指、薬指、小指と手の平との間で物を掴むことができなくなり、不用意に排泄物を掴んだり褥瘡を掴んだりしてしまうことが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】手の平側から見た手袋の表側の外観を示す。
【図2】手の甲側から見た手袋の裏側の外観を示す。
【図3】手の平を広げた状態の手袋の断面構造を示す。
【図4】手の平を曲げた状態の手袋の断面構造を示す。
【図5】人差し指の向きに対して親指の向きがほぼ45度以内に規制される、手袋内に収納された手を示す。
【図6】人差し指の向きに対して親指の向きがほぼ45度以内に規制される、手袋内に収納された手を示す。
【図7】手の平側から見た第二実施例の手袋の表側の外観を示す。
【図8】手の甲側から見た第二実施例の手袋の裏側の外観を示す。
【図9】手の平を広げた状態の第二実施例の手袋の断面構造を示す。
【図10】手の平を曲げた状態の第二実施例の手袋の断面構造を示す。
【符号の説明】
【0110】
11…上覆テープ(上覆体)、12…周縁縫合部、
13…手首縫合部、14…緊縮ベルト(緊縮部)、
15…タック、16、17…面ファスナー、
21…収納布(収納体)、22…外覆布(外覆体)、
23…中外布、24…中内布、25…太厚体、
26…加温素材、27…抗菌素材、
31…仕切布、32…横断縫合ライン、
33…接着布テープ(緊縮部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手の親指、人差し指、中指、薬指、小指を含む手全体を手首付近まで収納し、これらの指を挿通する隙間を有さない袋状の収納体と、
この収納体の外面全体を覆う、外面が撥水性または防水性の外覆体であって、この外覆体内面と収納体外面との間は、手首付近を除いて連結されず、収納体が手とともに動いても、外覆体に対して収納体がスリップする外覆体と、
上記収納体または外覆体の手首付近に設けられた、当該収納体を緊縮する緊縮部とを備えたことを特徴とする手袋。
【請求項2】
上記収納体または外覆体の手の平側に設けられた、手の甲側より太くて厚い太厚部であって、上記人差し指、中指、薬指、小指を手の平側に曲げたとき、これらの指先と手の平との間にこの太厚部が挟まれる位置に、当該太厚部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の手袋。
【請求項3】
手の親指、人差し指、中指、薬指、小指それぞれを分離しないで手首付近まで収納する袋状の収納体であって、この収納体に手が収納されたとき、人差し指の向きに対して親指の向きをほぼ45度以内に規制する収納体と、
この収納体の外面全体を覆う、外面が撥水性または防水性の外覆体であって、この外覆体には縫い目がない、または外覆体の縫い目部分には撥水性または防水性の上覆体が縫合によらないで接合され、
上記収納体または外覆体の手の平側に設けられた、手の甲側より太くて厚い太厚部であって、上記人差し指、中指、薬指、小指を手の平側に曲げたとき、これらの指先と手の平との間にこの太厚部が挟まれる位置に、当該太厚部が設けられ、
上記収納体または外覆体の手首付近に設けられた、当該収納体を緊縮する緊縮部とを備えたことを特徴とする手袋。
【請求項4】
上記外覆体は手の平側と手の甲側の2枚の布からなり、この2枚の布は周縁で縫合、または周縁の一部で一体に繋がり、このうちの繋がっていない部分で縫合され、
この縫合部分には撥水性または防水性の上覆体が縫合によらないで接着されていることを特徴とする請求項1、2または3記載の手袋。
【請求項5】
上記緊縮部は収納体のみを緊縮して、上記外覆体を緊縮せず、当該外覆体に皺が寄らない、
または上記緊縮部は上記外覆体の周面を覆い、当該緊縮によって生じた外覆体の皺を覆うことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の手袋。
【請求項6】
上記収納体は遠赤外線を発する素材または/及び保温性を有する素材からなり、
上記外覆体は抗菌作用を有する素材からなり、
上記太厚部は遠赤外線を発する素材、抗菌作用を有する素材、または/及び光触媒作用を有する素材からなることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の手袋。
【請求項7】
上記太厚部における収納体、太厚部及び外覆体は、抗菌作用を有する素材または光触媒作用を有する素材が、遠赤外線を発する素材または/及び保温性を有する素材で挟まれる積層構造となっている、
または遠赤外線を発する素材または/及び保温性を有する素材が、抗菌作用を有する素材または光触媒作用を有する素材で挟まれる積層構造となっていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の手袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−202205(P2008−202205A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−6662(P2008−6662)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【出願人】(300011999)ブルネエズ株式会社 (14)
【Fターム(参考)】