説明

手首用サポーター

【課題】 左右のいずれの手であっても、掌側若しくは手の甲側の手首に副木を対応させることができ、衝撃等の負担を軽減することができる手首用サポーターを提供する。
【解決手段】 帯状体に親指挿通孔を有し、固着手段を面ファスナーとして手首に装着される手首用サポーターにおいて、手の甲又は掌を覆う覆設部と、手首を略1周捲回する捲回部とからなる帯状体の表面には面ファスナーが設けられ、覆設部側の一端部に親指挿通孔を有し、捲回部側の他端部には面ファスナーが帯状体の裏面に面するよう固着され、捲回部における裏面には副木が固着されたことを特徴とする手首用サポーター。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、副木により手首を固定し、衝撃等の負担を軽減する手首用サポーターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、簡単且つ容易に着脱可能であって手首等を保護する、いわゆるサポーターが公知である。例えば、手の周囲を略1周半程度廻る長さで手の甲および掌を覆う幅を有する帯状体と、該帯状体の一方の端部に形成され、装着する側の手の親指を引っ掛けるための親指引っ掛け部と、帯状体の他方の端部に形成され、装着する側の手と反対側の手の指を引っ掛けるための指引っ掛け部と、帯状体の表面側に前記親指引っ掛け部に近接して固着された第1の面ファスナーと、帯状体の裏面側に前記指引っ掛け部の周囲に設けられた第2の面ファスナーと、帯状体の表面側に前記第2の面ファスナーに隣接して設けられた親指差し込み部とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
更に、人体の関節部位に装着される捲回用シートからなる手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯において、表面側のシート状起毛部材に、裏面側部材としてゴムシート材を張合し、接着剤により貼着した当該捲回用シートからなる手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯において、上方部を親指捲回用、下方部を手首捲回用として概略クランク状の平面形に裁断してなり、上方部の長さL10は下方部の長さL20より小とし、手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯の下方部と連結部が交わる角度θの数値範囲が、70°〜110°とするものもある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−220507号
【特許文献2】特開2007−14747号
【0005】
当該特許文献1及び特許文献2に係る発明においては、左右の両手に取り付ける為には、当該構造上、左右対称のサポーターが2つ必要であり、1つのサポーターを用いて両手に取り付けることができないものである。また、従来からのいわゆる副木を備えたものではない。
【0006】
仮に、引用文献1及び引用文献2に係る発明の右手用サポーターにおける手の甲側に副木を採用した場合には、右手の手の甲側に副木を対応させることができるものであるが、左手用には別途左右対称のサポーターが必要である。また、当該構造上、掌側に副木を対応させることができないものであり、1つのサポーターで左右のいずれの手であっても、掌側若しくは手の甲側の手首に副木を対応させることができるサポーターではなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明はこのような問題点を解決するものであって、左右のいずれの手であっても、掌側若しくは手の甲側の手首に副木を対応させることができ、衝撃等の負担を軽減することができる手首用サポーターを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記問題点を解決するために、本発明の請求項1に記載の発明の手首用サポーターは、帯状体に親指挿通孔を有し、固着手段を面ファスナーとして手首に装着される手首用サポーターにおいて、手の甲又は掌を覆う覆設部と、手首を略1周捲回する捲回部とからなる帯状体の表面には面ファスナーが設けられ、覆設部側の一端部に親指挿通孔を有し、捲回部側の他端部には面ファスナーが帯状体の裏面に面するよう固着され、捲回部における裏面には副木が固着されたことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の請求項2に記載の発明の手首用サポーターは、請求項1に記載の手首用サポーターにおいて、帯状体を構成する覆設部及び捲回部が同軸上に形成されるものである。
【0010】
また、本発明の請求項3に記載の発明の手首用サポーターは、請求項1又は請求項2に記載の手首用サポーターにおいて、副木を軟質ウレタンフォームとしたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1乃至請求項3に記載の手首用サポーターでは、帯状体における覆設部と捲回部とを同軸上に形成したことから、右手の親指を手首用サポーターに挿通させた状態にて、掌側から捲回させれば捲回部における軟質ウレタンフォームからなる副木を右手の手首内側へ、手の甲側から捲回させれば副木を右手の手首外側へ当接させて装着することができる。
また、同様にして、左手の親指を手首用サポーターに挿通させた状態にて、掌側から捲回させれば捲回部における副木を左手の手首内側へ、手の甲側から捲回させれば副木を左手の手首外側へ当接させて装着することができる。
よって、左右のいずれの手であっても、当該捲回方向を変えることによって、掌側若しくは手の甲側の手首に副木を対応させることができ、衝撃等の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例における手首用サポーターの(a)正面図、(b)背面図である。
【図2】本発明の実施例における手首用サポーターの(a)右側面図、(b)左側面図である。
【図3】本発明の実施例における手首用サポーターの(a)平面図、(b)底面図である。
【図4】本発明の実施例における手首用サポーターを右手に装着する際の(a)親指に挿通し、副木を右手内側に配置させた状態説明図、(b)後に捲回させ副木を右手外側に配置させた状態説明図である。
【図5】図4における手首用サポーターの(c)副木を右手内側に当接させた状態説明図、(d)装着完了後の状態説明図である。
【図6】本発明の実施例における手首用サポーターを右手に装着する際の(a)親指に挿通させた状態説明図、(b)後に副木を右手外側に配置させた状態説明図である。
【図7】図6における手首用サポーターの(c)副木を右手外側に配置するよう捲回させる状態説明図、(b)装着完了後の状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態における手首用サポーターを図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0014】
本発明に係る手首用サポーター1は、図1乃至図3に示すように、覆設部2a及び捲回部2bから形成される帯状体2、副木3、面ファスナー4及び締め付け部5とから構成されている。
【0015】
帯状体2は、手の甲又は掌を覆う覆設部2aと、手首を略1周捲回する捲回部2bが同軸上に形成してなる。覆設部2aと捲回部2bの境界は幅を細くして形成される。図6(a)に示すように、当該境界部は手首に捲回させる際に、掌と手首の境界であって小指側の湾曲部6bに沿って当接するので、手首用サポーター1を手首に捲回させ易くすることができる。また、覆設部2a側であって、帯状体2の一端部には略楕円形状の親指挿通孔2cが形成されており、捲回部2b側であって、帯状体2の他端部には面ファスナー4(例えば、フック状に起毛された雄面ファスナー)が固着されている。当該面ファスナー4は帯状体2の長手方向に突出し、且つフック状に起毛された側を帯状体2の裏面に面するようにして固着される。
【0016】
帯状体2の表面生地はナイロン、ポリウレタン等の合成繊維から形成されており、全面が面ファスナー(例えば、ループ状に密集して起毛された雌面ファスナー)となるよう加工されている。また、帯状体2における裏面の捲回部2bの略中央部には、絹、綿等で形成された吸湿性、抗菌防臭作用を有する生地にて副木3が固着されている。更に、副木3を固着する生地以外の肌と接触する箇所は締め付け部5とされ、装着性が向上する圧縮ウレタン等で形成される。また、帯状体2及び親指挿通孔2cの周囲には縁取り材2dが縫製されている。
【0017】
副木3は、厚み5mm程度の略長方形状からなり、衝撃吸収性の優れた軟質ウレタンフォーム、例えばメカニカルフロスウレタンフォーム(株式会社ブリヂストン社製「ZULEN DBタイプ」)を採用する。一般物性は、密度(g/cm3)0.25、アスカC硬度20、引張強度(kg/cm2)4.2、引裂強度(kg/cm)1.8、反撥弾性(%)4、圧縮残留歪み(%)0.7である。当該副木3の幅寸法は任意であるが、長さ寸法は着用者における手首の略半周捲回する寸法であることが望ましい。
【0018】
このようにして構成される手首用サポーター1は、図4乃至図7のようにして右手6に装着される。左手に装着する際には、以下の説明における右手を左手に置き換えればよいものである。
【0019】
図4及び図5に示すようにして、副木3を右手6の内側に配置させて手首用サポーター1を装着する。詳細には、図4(a)に示すように、親指挿通孔2cに親指6aを挿通させて、手首用サポーター1を右手6の内側に配置させる。後に同図(b)に示すように、帯状体2の覆設部2aにて右手6の掌を覆設し、捲回部2bを右手6の外側に配置させる。次に、図5(c)に示すように、副木3を右手6の内側に当接させながら、捲回部2bを手首に捲回させる。最後に、同図(d)に示すようにして、面ファスナー4にて右手6の手首外側で固着させる。このようにして装着することで、副木3は右手6の手首内側に当接した状態で装着される。
【0020】
図6及び図7に示すようにして、副木3を右手6の外側に配置させて手首用サポーター1を装着する。詳細には、図6(a)及び(b)に示すように、親指挿通孔2cに親指6aを挿通させて、手首用サポーター1を右手6の外側に配置させる。後に図7(c)に示すように、帯状体2の覆設部2aにて右手6の手の甲を覆設し、捲回部2bを右手6の内側に配置させる。最後に、図7(d)に示すように、副木3を右手6の外側に当接させながら、捲回部2bを手首に捲回させ、面ファスナー4にて右手6の手首内側で固着させる。このようにして装着することで、副木3は右手6の手首外側に当接した状態で装着される。
【0021】
帯状体2の表面生地は、全面が面ファスナーであることから、着用者の手首のサイズの合わせて任意の箇所にて面ファスナー4を固着することができる。また、当該面ファスナー4を雌面ファスナーとし、帯状体2の表面生地を雄面ファスナーとすることもできる。
【0022】
以上、説明した本発明に係る手首用サポーター1によれば、帯状体2における覆設部2aと捲回部2bとを同軸上に形成したことから、右手6の親指6aを手首用サポーター1に挿通させた状態にて、掌側から捲回させれば捲回部2bにおける副木3を右手6の手首内側へ、手の甲側から捲回させれば副木3を右手6の手首外側へ当接させて装着することができる。
また、同様にして、左手の親指を手首用サポーター1に挿通させた状態にて、掌側から捲回させれば捲回部2bにおける副木3を左手の手首内側へ、手の甲側から捲回させれば副木3を左手6の手首外側へ当接させて装着することができる。
よって、左右のいずれの手であっても、当該捲回方向を変えることによって、掌側若しくは手の甲側の手首に副木3を対応させることができ、衝撃等の負担を軽減することができる。
【符号の説明】
【0023】
1 手首用サポーター
2 帯状体
2a 覆設部
2b 捲回部
2c 親指挿通孔
2d 縁取り材
3 副木
4 面ファスナー
5 締め付け部
6 右手
6a 親指

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状体に親指挿通孔を有し、固着手段を面ファスナーとして手首に装着される手首用サポーターにおいて、
手の甲又は掌を覆う覆設部と、手首を略1周捲回する捲回部とからなる帯状体の表面には面ファスナーが設けられ、
覆設部側の一端部に親指挿通孔を有し、捲回部側の他端部には面ファスナーが帯状体の裏面に面するよう固着され、
捲回部における裏面には副木が固着されたことを特徴とする手首用サポーター。
【請求項2】
帯状体を構成する覆設部及び捲回部が同軸上に形成される請求項1に記載の手首用サポーター。
【請求項3】
副木を軟質ウレタンフォームとした請求項1又は請求項2に記載の手首用サポーター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−265556(P2010−265556A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116139(P2009−116139)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(000114606)モリト株式会社 (198)
【Fターム(参考)】