説明

打ち込み工具

【課題】多数本の打ち込み具を軸方向に少しずつずらせて仮結合した斜め連結タイプの連結打ち込み具を装填可能なマガジンを備えた打ち込み工具において、ほぼ菱形をなす連結打ち込み具を正しい装填向きで装填しないと、打ち込み具が打ち込み通路内で詰まって動作不良を発生する。本発明では、誤った装填向きで装填できないようにすることを目的とする。
【解決手段】打ち込み具nの軸方向njが打ち込み方向Hに一致した正しい装填向きであれば打ち込み具収容スペース13内への装填を許容し、打ち込み具nの軸方向njが打ち込み方向Hに一致しない誤った装填向きであれば装填を規制する装填規制部材20を備えた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、圧縮エア式の釘打ち機等の打ち込み工具であって、多数の打ち込み具を装填しておくためのマガジンを備えた打ち込み工具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、圧縮エアを動力源として作動させるエア釘打ち機には、多数の打ち込み具を装填するためのマガジンを装備したものが提供されている。工具本体のドライバガイドと称される打ち込み具案内通路に対してこのマガジンから打ち込み具が1本ずつ供給される。このマガジンには、ワイヤを用いて多数の打ち込み具を一定間隔で連結したワイヤ連結タイプの連結打ち込み具を巻き回状態で装填する形態のものの他、下記の特許文献に開示されているように多数の打ち込み具を並列に仮結合した平板形状の連結打ち込み具を装填する形態のものが提供されている。
後者のマガジンの場合には、より多くの打ち込み具を装填可能とする一方、これをコンパクトに装備するため、工具本体のドライバガイドとハンドル部の先端との間に跨った状態で装備され、その結果マガジンは、その打ち込み具送り方向を打ち込み具の打ち込み方向に対して傾斜させた向きに装備されている。
このようにマガジンがその送り方向を打ち込み方向に対して傾かせた向きに装備される結果、これに合わせて連結打ち込み具Nは、図9に示すように各打ち込み具nをその軸方向に順次ずらせて相互に仮結合(斜め連結)した結果、概ね菱形の平板形状をなしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−15589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マガジンの打ち込み具送り方向が工具本体の打ち込み方向に対して直交する場合には、連結打ち込み具において各打ち込み具がその軸方向にずれることなく頭部を揃えた状態で相互に仮結合されることから問題はないのであるが、上記したように打ち込み具送り方向(打ち込み具装填方向S)が打ち込み方向(打撃方向)Hに対して傾斜する場合には、これに合わせて各打ち込み具nがその軸方向に少しずつずれて相互に仮結合されている。
このため、図10に示すようにマガジンに対して誤った向き(装填方向Sの前後に反転させた向き)で装填されるおそれがあるが、従来この誤装填に対して特に対策がなされていなかった。連結打ち込み具Nを図10に示すように誤装填すると、打ち込み具nの軸方向と工具本体による打ち込み方向Hが一致しない状態で打撃動作がなされる結果、打ち込み具nが打ち込み通路内で詰まって動作不良を発生する。このことから、使用者は装填時に連結打ち込み具Nの装填向きを間違えないように注意する必要がある。
本発明では、マガジンに対して連結打ち込み具が誤った向きに装填(誤装填)されないようにするための対策を施すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は下記の発明によって解決される。
第1の発明は、複数本の打ち込み具を相互にその軸方向にずらせて並列に仮結合した斜め連結タイプの連結打ち込み具を装填するマガジンを備えた打ち込み工具であって、マガジンは、装填する連結打ち込み具の装填向きについて、打ち込み具の軸方向が打ち込み方向に一致した正しい装填向きであれば装填を許容し、打ち込み具の軸方向が打ち込み方向に一致しない誤った装填向きであれば装填を規制する装填規制部材を備えた打ち込み工具である。
第1の発明によれば、斜め連結タイプの連結打ち込み具の誤った向きでの装填が装填規制部材によって規制されて装填できないので、当該連結打ち込み具の装填が確実に正しい装填向きでなされることから、打ち込み案内通路内での打ち込み具の詰まり等の打ち込み不良を未然に防止し、当該打ち込み工具の動作不良を回避することができる。
第2の発明は、第1の発明において、装填規制部材は案内部と規制部を備えており、マガジンに装填される連結打ち込み具の装填向きが正しい装填向きであれば、この正しい装填向きの連結打ち込み具がその装填動作により規制部よりも案内部に先に係合することにより規制部が規制位置から退避してこの正しい装填向きでの装填動作が許容される一方、マガジンに装填される連結打ち込み具の装填向きが誤った装填向きであれば、この誤った装填向きの連結打ち込み具がその装填動作により案内部よりも規制部に先に係合してこの誤った装填向きでの装填動作が規制される構成とした打ち込み工具である。
第2の発明によれば、打ち込み具の軸方向が打ち込み方向に一致した正しい装填向きで連結打ち込み具をマガジンに装填しようとすると、当該正しい装填向きの連結打ち込み具が装填規制部材の案内部に規制部よりも先に係合することによりこの規制部が規制位置から退避位置に退避するため、当該正しい装填向きでの連結打ち込み具の装填が許容される。これに対して、打ち込み具の軸方向が打ち込み方向に一致しない誤った装填向きで連結打ち込み具をマガジンに装填しようとすると、当該誤った装填向きの連結打ち込み具が装填規制部材の規制部に案内部よりも先に係合するため、この誤った装填向きでの連結打ち込み具をマガジンに装填すること規制される。
このように、複数の打ち込み具をその軸方向に少しずつずらせて相互に仮結合した斜め連結タイプの連結打ち込み具は、装填方向に表裏反転させると、装填方向先端縁(打ち込み具の軸方向)が、打ち込み方向に一致する正しい装填向きと、打ち込み方向に一致しない誤った装填向きになる。このため、正しい装填向きと誤った装填向きとでは、装填方向先端縁の装填方向に対する傾斜角度の相違が発生する。第2の発明は、この傾斜角度の相違に着目して装填規制部材の案内部と規制部を配置する構成としたもので、連結打ち込み具をマガジンに装填しようとする装填動作の開始時に、正しい装填向きであれば、連結打ち込み具の装填方向先端部が装填規制部材の規制部よりも案内部に先に係合して規制部材が規制位置から退避位置に退避されることにより当該連結打ち込み具の装填が許容され、誤った装填向きであれば、連結打ち込み具の装填方向先端部が装填規制部材の案内部よりも規制位置に位置する規制部材に先に係合する結果、当該連結打ち込み具の装填が規制されて当該誤った装填姿勢での装填が回避されるようになっている。
第3の発明は、第2の発明において、装填規制部材は、案内部と規制部を一体に備えた打ち込み工具である。第3の発明によれば、案内部と規制部を単一部品化して当該装填規制部材の簡略化を図ることができる。
第4の発明は、第3の発明において、マガジンは、装填した連結打ち込み具の反送り方向への後退を規制するストッパ部材を備えており、このストッパ部材に装填規制部材を一体に備えた打ち込み工具である。第4の発明によれば、既存のストッパ部材に装填規制部材を単一部品化でき、これにより部品点数の削減及び組み付け性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本実施形態の打ち込み工具の全体側面図である。
【図2】マガジンの一部平面図であって、装填規制部材の平面図である。
【図3】図2の(III)-(III)線矢視図であって、装填規制部材の側面図である。
【図4】図2の(IV)-(IV)線矢視図であって、装填規制部材の後面図である。
【図5】装填規制部材の斜視図である。
【図6】マガジンの一部平面図であって、装填規制部材に対する連結打ち込み具の位置関係を示す平面図である。本図は、連結打ち込み具を正しい装填向きで装填する状態を示している。
【図7】マガジンの一部平面図であって、装填規制部材に対する連結打ち込み具の位置関係を示す平面図である。本図は、連結打ち込み具を誤った装填向きで装填する状態を示している。
【図8】打ち込み具の側面図である。
【図9】連結打ち込み具の側面図である。本図は、正しい装填向きの連結打ち込み具を示している。図中白抜き矢印Sは連結打ち込み具の装填方向を示し、白抜き矢印Hは打ち込み方向を示している。
【図10】連結打ち込み具の側面図である。本図は、誤った装填向きの連結打ち込み具を示している。図中白抜き矢印Sは連結打ち込み具の装填方向を示し、白抜き矢印Hは打ち込み方向を示している。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、本発明の実施形態を図1〜図10に基づいて説明する。以下説明する実施形態では、打ち込み工具1として圧縮エア駆動式の釘打ち機を例示する。図1に示すように打ち込み工具1は、工具本体2とハンドル部3とノーズ部4とマガジン10を備えている。工具本体2には圧縮エアを駆動源として往復動するピストン6が内装されている。このピストン6に打ち込み具打撃用のドライバ7が取り付けられている。ハンドル部3は工具本体2の側部から側方へ延びる状態に設けられている。このハンドル部3の先端に圧縮エア供給用のエアホースを接続するためのプラグ3aが装備されている。ハンドル部3の基部付近であって工具本体2の側部にトリガ形式のスイッチレバー5が設けられている。ハンドル部3を把持した手の指先でこのスイッチレバー5を引き操作すると、ピストン6を収容するシリンダの上室に圧縮エアが供給されてピストン6が下動する。ピストン6が下動するとこれに一体に設けたドライバ7が下動してノーズ部4に供給された1本の打ち込み具nが打撃される。打撃された打ち込み具nはノーズ部4の先端から打ち出される。
ノーズ部4は、工具本体2の先端部(下端部)から下方(打ち込み方向)に延びる状態に取り付けられている。このノーズ部4の内周側をドライバ7が往復動可能に挿通されている。このノーズ部4内にマガジン10から1本ずつ打ち込み具nが供給される。
マガジン10は、ノーズ部4とハンドル部3の先端部間に跨った状態に装備されている。マガジン10は、図1中白抜き矢印Hで示す打ち込み具nの打ち込み方向に対してその後部の装填口11側(図1において右端部側)を上方へ変位させる方向に傾いた姿勢で装備されている。このため、このマガジン10に装填される連結打ち込み具Nは、多数本の打ち込み具n〜nを、送り方向後ろ側ほど頭部naが高くなるようにその軸方向njに少しずつずらせて相互に仮結合した斜め連結タイプの連結打ち込み具が対象とされる。従って、マガジン10に装填した連結打ち込み具Nの送り方向Sは打ち込み方向Hに対して直交する位置からその送り方向後ろ側を上方へ変位させる方向に傾斜した方向となっている。また、本実施形態では、装填口11に対する連結打ち込み具Nの装填方向はその送り方向Sに一致している。
【0008】
図4に示すようにこのマガジン10には、薄板形状をなす連結打ち込み具Nを収容するための打ち込み具収容スペース13を備えている。この打ち込み具収容スペース13の一端側(図4において右側)に頭部naを収容する頭部収容部13aが設けられている。このため、連結打ち込み具Nは、その頭部na側と先端部nb側を反転させた向きではこの打ち込み具収容スペース13に挿入することができないようになっている。
打ち込み具収容スペース13には、装填した連結打ち込み具Nを打ち込み具送り方向Sに押すプッシャ12が備えられている。このプッシャ12は、打ち込み具収容スペース13に沿ってスライド可能に支持されており、図示省略したリーフスプリングによって打ち込み具送り方向Sに付勢されている。このプッシャ12には、装填した連結打ち込み具Nの後端部に係合してこの連結打ち込み具Nを打ち込み具送り方向に押すための送り爪を備えている。このプッシャ12によって、装填された連結打ち込み具Nが送り方向Sに打ち込み具1本分に相当する間隔でピッチ送りされて、ノーズ部4に打ち込み具nが1本ずつ供給される。
打ち込み具収容スペース13の送り方向後ろ側であって装填口11の近傍には、装填した連結打ち込み具Nの反送り方向(打ち込み具送り方向Sとは反対方向)への後退を規制するストッパ部材14が取り付けられている。このストッパ部材14は、その後部に設けたベース部14aを固定ねじ15で当該収容スペース13の底部に固定して、送り方向前側斜め上方に延びる状態に設けられている。
このストッパ部材14によって、連結打ち込み具Nの装填時における便宜が図られる。装填口11を経て収容スペース13内に連結打ち込み具Nを挿入する際には、ストッパ部材14が連結打ち込み具Nにより下方へ押されて退避することにより、当該連結打ち込み具Nの収容スペース13内への挿入が許容される。連結打ち込み具Nをストッパ部材14の上側を通過させてその送り方向前側へセットし、その後プッシャ12を後退させて連結打ち込み具Nの送り方向後ろ側へ移動させる際に、この連結打ち込み具Nの後退がストッパ部材14で規制されることから、使用者が連結打ち込み具Nを手で押え付ける等の手間を掛けることなく、プッシャ12を連結打ち込み具Nの送り方向後ろ側に入れ替えて当該連結打ち込み具Nの装填作業を簡単に行うことができる。
【0009】
図9にはこのマガジン10に装填される連結打ち込み具Nが示されている。この連結打ち込み具Nは、図8に示す打ち込み具nが多数本相互に並列に仮結合されたもので、概ね菱形の平板形状を有している。各打ち込み具nは、その軸方向njの上部に頭部naを有し、軸方向先端に先端部nbを有している。各打ち込み具nは、その軸方向に僅かずつずれて相互に結合されている。各打ち込み具nの軸方向をノーズ部における打ち込み方向Hに一致させた向きが正しい装填向きとなる。図9は正しい装填向きで装填する場合を示している。これに対して図10は、同じ連結打ち込み具Nを誤った装填向きで装填しようとする場合を示している。図9に示す正しい装填向きの連結打ち込み具Nをその装填方向(送り方向S)について前後(図では左右方向)に反転させると図10に示す誤った装填向きとなる。この誤った装填向きでは、各打ち込み具nの軸方向njは打ち込み方向Hに一致していない。連結打ち込み具Nをこの誤った装填向きで装填した場合には、ノーズ部4において送り方向先端の打ち込み具nの頭部naがドライバ7で打撃されると、この1本の打ち込み具nが変形して打ち込み不良による詰まりを発生する。本実施形態では、図9に示す正しい装填向きでは装填可能で、図10に示す誤った装填向きでは装填できないようにするための工夫がなされている。
図1に示すようにマガジン10の装填口11付近には、装填規制部材20が取り付けられている。本実施形態では、ストッパ部材14のベース部14aにこの装填規制部材20が一体に設けられている。ストッパ部材14と装填規制部材20は、ばね性を有する薄板鋼板を素材として一体に形成されている。図9には、このストッパ部材14と装填規制部20の立体的形状が分かり易く示されている。
装填規制部材20は、ベース部14aの後部から反送り方向(打ち込み具送り方向Sの反対方向、以下後ろ側若しくは後部とも言う)に延びている。この装填規制部材20は、ベース14aの後部から反送り方向へ斜め上方に延びるアーム部21を備えている。このアーム部21の後部には、その幅方向(打ち込み具送り方向Sに直交する方向)により広い幅広の幅広部21aが形成されている。この幅広部21aの後部の図において手前側ほぼ半分の範囲からさらに反送り方向へ斜め下方に延びる案内部22が設けられている。幅広部21aの図において奥側のほぼ半分の範囲の後端部が規制部23とされている。
図4に示すように幅広部21aの収容スペース13内での高さ位置は、装填される連結打ち込み具Nよりも高い位置(上側)となるように設定されている。このため、連結打ち込み具Nに対して案内部22はその上面側から下面側に延びており、規制部23は上面側に位置している。
【0010】
図9に示すように正しい装填向きの連結打ち込み具Nでは、その送り方向Sに対して各頭部na側が各先端部nb側よりも後ろ側へ変位した向きで装填される。このため、図6に示すように正しい装填向きの連結打ち込み具Nを装填口11に挿入すると、その頭部na側が先端部nbに遅れて収容スペース13内を移動する。このことから、連結打ち込み具Nの送り方向先端部は、規制部23の下面側へ進入するよりも先に案内部22の上面に当接する。連結打ち込み具Nの先端部が案内部22の上面に当接することにより、当該案内部22がその弾性に抗して押し下げられる。案内部22が押し下げられることにより、装填規制部材20の全体が押し下げられて規制部23が下方の退避位置に変位する。規制部23が退避位置に退避して連結打ち込み具Nに干渉しない状態となることにより、当該規制部23の上側を経た連結打ち込み具Nの通過が許容される。こうして案内部22を介して装填規制部材20を押し下げつつ連結打ち込み具Nをストッパ部14の前側へセットすることができる。その後プッシャ12を連結打ち込み具Nの後ろ側へ移動させることにより、当該連結打ち込み具Nの装填が完了する。
これに対して、図10に示すように誤った装填向きの連結打ち込み具Nでは、送り方向Sに対して各頭部na側を各先端部nb側よりも前側に変位させた向きとなる。このため、図7に示すように誤った装填向きで連結打ち込み具nを装填口11に挿入すると、各頭部na側が各先端部nb側に先行して収容スペース13内を移動する結果、当該連結打ち込み具Nの送り方向先端部が案内部22の上面側に当接するよりも先に規制部23の下側に入り込む。連結打ち込み具Nの送り方向先端部が規制部23の下側に入り込むと、当該連結打ち込み具Nの送り方向先端部は、規制部23の下面側から案内部22の上面側に至って食い込んだ状態となり、その結果装填規制部材20は下方へ押し下げられないため、当該誤った装填姿勢の連結打ち込み具Nをそれ以上収容スペース13内に挿入することができず、従ってその装填が規制された状態となる。
装填が規制された誤った装填姿勢の連結打ち込み具Nは、一旦収容スペース13から抜き出して送り方向前後に反転させれば図6及び図9に示す正しい装填姿勢に変更することができる。正しい装填姿勢では前記したように装填規制部材20の上側を通過させて連結打ち込み具Nを収容スペース13内に装填することができる。
【0011】
以上のように構成した本実施形態の打ち込み工具によれば、打ち込み具nの軸方向njが打ち込み方向Hに一致した正しい装填向きで連結打ち込み具Nをマガジン10に装填しようとすると、当該正しい装填向きの連結打ち込み具Nが装填規制部材20の案内部22に規制部23よりも先に係合することによりこの規制部23が上方の規制位置から当該連結打ち込み具Nよりも下方の退避位置に退避するため、当該正しい装填向きでの連結打ち込み具Nの装填が許容される。
これに対して、打ち込み具nの軸方向njが打ち込み方向Hに一致しない誤った装填向きで連結打ち込み具Nをマガジン10に装填しようとすると、当該誤った装填向きの連結打ち込み具Nが装填規制部材20の規制部23に案内部22よりも先に係合するため、この誤った装填向きでの連結打ち込み具Nをマガジン10に装填すること規制される。
このように、斜め連結タイプの連結打ち込み具Nは、装填方向Sに表裏反転させると、装填方向先端縁(打ち込み具nの軸方向nj)が、打ち込み方向Hに一致する正しい装填向きと、打ち込み方向Hに一致しない誤った装填向きになる。このため、正しい装填向きと誤った装填向きとでは、装填方向先端縁の装填方向Sに対する傾斜角度の相違が発生する。本実施形態では、この傾斜角度の相違に着目して装填規制部材20の案内部22と規制部23を配置する構成としたもので、連結打ち込み具Nをマガジン10に装填しようとする装填動作の開始時に、正しい装填向きであれば、連結打ち込み具Nの装填方向先端部が装填規制部材20の規制部23よりも案内部22に先に係合して規制部23が規制位置から退避位置に退避されることにより当該連結打ち込み具Nの装填が許容され、誤った装填向きであれば、連結打ち込み具Nの装填方向先端部が装填規制部材20の案内部22よりも規制位置に位置する規制部23に先に係合する結果、当該連結打ち込み具Nの装填が規制されて当該誤った装填姿勢での装填が回避されるようになっている。
このように、斜め連結タイプの連結打ち込み具Nの誤った向きでの装填が装填規制部材20の規制部23によって規制されるため、図6に示すように当該連結打ち込み具Nの装填が確実に正しい装填向きでなされる。このことから、ノーズ部4の打ち込み案内通路内での打ち込み具nの詰まり等の打ち込み不良を未然に防止し、当該打ち込み工具1の動作不良を未然に回避することができる。
また、例示した実施形態では、装填規制部材20は、案内部22と規制部23を一体に備えた構成であり、しかも装填した連結打ち込み具Nの反送り方向への後退を規制するストッパ部材14に一体に設けられている。このため、既存のストッパ部材14に装填規制部材20を単一部品化でき、これにより部品点数の増加を招くことがなく、また組み付け性の低下を招くことがない。
【0012】
以上説明した実施形態には種々変更を加えることができる。例えば、プッシャ12の後退時に、収容スペース13内にセットした連結打ち込み具Nの後退を規制するためのストッパ部材14に装填規制部材20を一体に設ける構成を例示したが、相互に別々の部材として取り付ける構成としてもよい。相互に別々の部材として取り付ける場合であっても、送り方向Sの前側にストッパ部材を取り付け、その後ろ側に装填規制部材が取り付けられる。
また、装填規制部材20について、アーム部21の後部により幅広の幅広部21aを設ける構成を例示したが、ベース部14aの後部から幅広の幅広部を後方へ延びる状態に設ける構成としてもよい。
さらに、多数本の打ち込み具n〜nが相互に直接仮結合された連結打ち込み具Nを例示したが、本発明は、樹脂シート材を介して連結したプラスチック連結タイプ、紙材を介して連結した紙連結タイプあるいはワイヤを介して連結したワイヤ連結タイプの連結打ち込み具であって、多数本の打ち込み具がこれら連結部材を介して送り方向に一定の間隔をおいてかつ軸方向にずれた状態で仮結合された斜め連結タイプの連結打ち込み具についても同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0013】
N…連結打ち込み具(斜め連結タイプ)
n…打ち込み具、na…頭部、nb…先端部
nj…打ち込み具の軸方向
H…打ち込み具の打ち込み方向、S…連結打ち込み具の送り方向
1…打ち込み工具
2…工具本体
3…ハンドル部、3a…エアホース接続用のプラグ
4…ノーズ部
5…スイッチレバー
6…ピストン
10…マガジン
11…装填口
12…プッシャ
13…打ち込み具収容スペース
14…ストッパ部材、14a…ベース部
15…固定ねじ
20…装填規制部材
21…アーム部、21a…幅広部
22…案内部
23…規制部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の打ち込み具を相互にその軸方向にずらせて並列に仮結合した斜め連結タイプの連結打ち込み具を装填するマガジンを備えた打ち込み工具であって、
前記マガジンは、装填する連結打ち込み具の装填向きについて、打ち込み具の軸方向が打ち込み方向に一致した正しい装填向きであれば装填を許容し、打ち込み具の軸方向が打ち込み方向に一致しない誤った装填向きであれば装填を規制する装填規制部材を備えた打ち込み工具。
【請求項2】
請求項1記載の打ち込み工具であって、前記装填規制部材は案内部と規制部を備えており、前記マガジンに装填される連結打ち込み具の装填向きが前記正しい装填向きであれば、該正しい装填向きの連結打ち込み具がその装填動作により前記規制部よりも前記案内部に先に係合することにより前記規制部が規制位置から退避して該正しい装填向きでの装填動作が許容される一方、前記マガジンに装填される連結打ち込み具の装填向きが前記誤った装填向きであれば、該誤った装填向きの連結打ち込み具がその装填動作により前記案内部よりも前記規制部に先に係合して該誤った装填向きでの装填動作が規制される構成とした打ち込み工具。
【請求項3】
請求項2記載の打ち込み工具であって、前記装填規制部材は、前記案内部と前記規制部を一体に備えた打ち込み工具。
【請求項4】
請求項3記載の打ち込み工具であって、前記マガジンは、装填した連結打ち込み具の反送り方向への後退を規制するストッパ部材を備えており、該ストッパ部材に前記装填規制部材を一体に備えた打ち込み工具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−210686(P2012−210686A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77863(P2011−77863)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000137292)株式会社マキタ (1,210)
【Fターム(参考)】