説明

打刻ヘッド及び打刻装置

【課題】打刻ピンの待機位置を変化させることなく、かつ、打刻ピンの加工を行うことなく、被打刻物の載置面と打刻ピンの先端との距離を適正範囲内に収めることができる打刻ヘッド及び打刻装置を提供する。
【解決手段】打刻ピン33の先端部で被打刻物を打刻する打刻ヘッド30である。打刻ピン33を+Z方向に付勢する復帰ばね113と、その付勢力に抗して打刻ピン33に押圧力を与える駆動手段40とが配設されるケーシング31と、ケーシング31に接合されるとともに、打刻装置のキャリッジに取り付けられた状態で、打刻ピン33を被打刻物に向けて突出させる支持部材32とを備えている。ケーシング31と支持部材32との間に介在するシート状部材30aを異なる厚さのものに変更することによって、キャリッジ取付孔32eの中心(キャリッジへの取付位置)と打刻ピン33の先端との距離La(mm)を調整可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打刻ヘッド及び打刻装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、製品の管理やトレーサビリィティの向上を実現するため、工業製品などの被打刻物の表面を打刻ヘッドに配設された複数の打刻ピンを用いて直接打刻して複数のドットを形成し、例えば、QRコード(登録商標)や、データマトリックスなどに代表される二次元コードや文字を直接描画又は刻印する打刻装置が注目されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
図8に示すように、このような打刻装置120では、打刻ピンを有する打刻ヘッド130をキャリッジと呼ばれるX移動体24に取り付け、X軸方向及びY軸方向に移動させることで被打刻物100に多様なパターンでドットを施している。
【0004】
即ち、図8において、X移動体24は、X軸方向に延びるように配設されたXガイド51A,51Bによって、Y軸方向に移動するY移動体23に取り付けられ、Y移動体23に対してX軸方向に移動可能に支持されている。X移動体24は、送りネジ60XがXモータ50Xによって回転されることで、X軸方向に移動し、図示しない送りネジがYモータ50Yによって回転されることで、Y移動体23とともにY軸方向に移動する。
【0005】
このような打刻装置120において、図9に示すように、打刻ピン33は、打刻ヘッド130内の所定位置に下端が接触した復帰ばね113により上方に付勢されている。そして、電磁ソレノイド143などの駆動手段を用い、打刻ピン駆動レバー114(アーマチュア)と呼ばれる板状の部材を用いて、先端が円錐状に形成された打刻ピン33に復帰ばね113の付勢力に抗する押圧力を与えることで、打刻ピン33の先端部を被打刻物100に押し当て、被打刻物100の表面に、例えば二次元コードなどを構成するドットを刻印している。
【0006】
図9に示すように、打刻ピン33が復帰ばね113により一方向に付勢されると共に、打刻ピン33は、その基端部33a(大径部)が打刻ピン駆動レバー114に当接し、上方への移動が規制されている。この位置を、打刻ピン33の待機位置とする。さらに、打刻ピン駆動レバー114は、その先端部で打刻ピン駆動レバー114の上部に配された打刻ピン駆動レバー規制部119に当接し、上方への移動が規制されている。この位置を打刻ピン駆動レバー114の待機位置とする。そして、この状態から、駆動手段及び打刻ピン駆動レバー114によって打刻ピン33に押圧力を与えることで、打刻ピン33が打刻ヘッド130から突出し、被打刻物100の表面にドットが形成される。この打刻ピン33及び打刻ピン駆動レバー114の各待機位置が変化すると、復帰ばね113の伸張量が変化し、打刻ピン33への付勢力も変化するとともに、打刻ピン33に与えられる押圧力も変化する。
【0007】
こうした打刻装置120では、被打刻物100の載置面と打刻ピン33の先端との距離Lc(mm)(図9参照)を一定に保つ必要がある。距離Lcが大きくなり過ぎると、打刻ピン移動ストロークが不足して、被打刻物100の表面のドットが浅くなってしまい、逆に距離Lcが小さくなり過ぎると、被打刻物100の表面のドットが深くなってしまう。そして打刻品質が低下してしまう。被打刻物100がプラスチックなどの脆弱な材質である場合には、打刻ピン33による衝撃が強くなりすぎ、被打刻物100が損傷する場合がある。
【0008】
このように、打刻装置120では、距離Lcを規定範囲内に収める必要がある。そのためには、図9に示すように、打刻ヘッド130ごとにキャリッジ取り付け位置(キャリッジ取付孔の中心)と打刻ピン33の下端との距離La(mm)を調整する必要がある。ところが、打刻ヘッド130では、打刻ピン33自体の長さのばらつき、打刻ヘッド130を構成する部品の加工精度、又は、打刻ヘッド130の組み立て精度によって、この距離La(mm)が異なるようになる。
【0009】
具体的には、図9に示すように、打刻ピン33の待機位置における打刻ピン駆動レバー114の先端部の−Z側の端面から、キャリッジへの取り付け孔の中心までの距離Le(mm)は、打刻ヘッド130を構成する部品の加工精度や、打刻ヘッド130の組み立て精度によって、打刻ヘッド130ごとに異なっている。また、打刻ピン33の長さのばらつきによって、打刻ピン33の待機位置における打刻ピン駆動レバー114の先端部の−Z側の端面から、打刻ピン33の先端までの距離Lf(mm)も打刻ヘッド130ごとに異なるようになる。
【0010】
この距離Leと距離Lfによって、前記した距離La(mm)(=距離Lf−距離Le)が決定されるが、上述したように距離Leも距離Lfもばらついているので、距離Laもばらついてしまい、上述した距離Lcが規定範囲から外れてしまう場合がある。
【0011】
このような不具合の対策として、打刻装置120において、打刻ヘッド130を新しいものに交換したときには、その都度、距離Lcを規定範囲内に収めるために、被打刻物100のZ軸方向の位置を変更したり、打刻ピン駆動レバー114が打刻ピン33を押圧し始める位置を変更することが考えられる。また、打刻ピン33の長さのばらつきを後加工で修正することが考えられる。例えば、打刻ヘッド130を組み立てた後に、打刻ピン33の先端を研磨加工などによって、一定の位置に揃えることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平8−276607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、打刻ピン駆動レバー114が打刻ピン33を押圧し始める位置を変更するのでは、上述した打刻ピン33及び打刻ピン駆動レバー114の各待機位置が変化することになる。このため、打刻ピン33に与えられる押圧力が変化するので、被刻印物100におけるドットの刻印状態が不均一となってしまう。このプロセスを以下に詳細に説明する。
【0014】
図9に示すように、打刻ピン駆動レバー114の下面には可動ヨーク116が固定されており、電磁ソレノイド143によってヨークケース117が励磁されることで、可動ヨーク116がヨークケース117に引き付けられる。そして、可動ヨーク116が、打刻ヘッド130内の、ヨークケース117の度当たり部117aに当接することで、下方への移動が規制される。この移動が規制された状態の打刻ピン駆動レバー114の位置を打刻ピン駆動レバー114の度当たり位置とする。
【0015】
打刻ヘッド130では、打刻ピン駆動レバー規制部119のZ軸方向の位置を変えることで、この打刻ピン駆動レバー114の度当たり位置と待機位置との関係が複数の打刻ヘッド130間で一定になるように調整されている。つまり、このときの打刻ピン駆動レバー114が待機位置から度当たり位置まで移動する際に打刻ピン駆動レバー114の先端が移動する距離を静ストローク長Ls(mm)とすると、この静ストローク長Lsが、複数の打刻ヘッド130間で一定となるように調整されている。
【0016】
打刻ピン駆動レバー114が移動するに伴って、打刻ピン33も移動する。そして、打刻ピン駆動レバー114がヨークケース117に引き付けられる際の加速度に応じて、打刻ピン33には慣性力が働くため、打刻ピン駆動レバー114は、度当たり部117aによってそれ以上の移動を規制された後も僅かに移動を続けるが、その後、復帰ばね113の付勢力によって、当該移動が規制された状態に復帰する。このとき、僅かに移動した位置から移動が規制された位置までの打刻ピン33の移動量を、以下、「打刻ピン移動ストローク」とする。
【0017】
打刻ピン駆動レバー114と、打刻ピン33の基端部33aとの当接部が、図9に示す状態よりも上方に位置している場合、度当たり部117aと、可動ヨーク116の下端との距離は、図9に示す状態よりも長くなり、静ストローク長Lsは長くなる。一方、打刻ピン駆動レバー114と、打刻ピン33の基端部33aとの当接部が、図9に示す状態よりも下方に位置している場合、度当たり部117aと、可動ヨーク116の下端との距離は、図9に示す状態よりも短くなり、静ストローク長Lsは短くなる。
【0018】
電磁ソレノイド143によってヨークケース117が励磁された場合、度当たり部117aと可動ヨーク116の下端との距離によって、打刻ピン駆動レバー114がヨークケース117に引き付けられる力が異なる。具体的には、度当たり部117aと可動ヨーク116の下端との距離が長い場合は、打刻ピン駆動レバー114が引き付けられる力が弱く、それと逆に、短い場合は強い。従って、静ストローク長Lsが長い場合は、打刻ピン33に与える押圧力は弱くなるので、打刻ピン33に働く慣性力は小さくなり、打刻ピン移動ストロークは小さくなる。一方、静ストローク長Lsが短い場合は、打刻ピン33に与える押圧力が強くなるので、打刻ピン33に働く慣性力は大きくなり、打刻ピン移動ストロークは大きくなる。
【0019】
このように、静ストローク長Lsが長いと、打刻ピン移動ストロークが小さくなり、被打刻物100表面のドットが浅くなる。それとは逆に、静ストローク長Lsが短いと、打刻ピン移動ストロークが大きくなり、被打刻物100の表面のドットが深くなる。そのため、この場合は、ドットの深さが所定の値になるように、電磁ソレノイド143の励磁条件を変えてバランスをとる必要が生じる。
【0020】
即ち、打刻ピン33及び打刻ピン駆動レバー114の待機位置を変更すると、静ストローク長Lsが変化し、電磁ソレノイド143の励磁条件も調整しなければならなくなるため、打刻ヘッド130の調整が煩雑になる。従って、この待機位置は変えないことが望ましい。
【0021】
また、打刻ピン33は、先端部が円錐形状などに形成されているが、円錐形状を保ったまま、距離La(mm)を規定範囲内に収めるために打刻ピン33の先端部を研磨加工などで切り揃えることは非常に困難である。
【0022】
また、打刻ピン駆動レバー114の待機位置を変更するために、例えば、図9に示すように、打刻ピン駆動レバー規制部119に配設したシート119aに対して、新たなシート119bを追加することが考えられるが、この場合には、打刻ヘッド130を分解する必要がある。しかし、打刻ヘッド130を構成する部品はブロック化されていないので、それぞればらばらになってしまう。
【0023】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、打刻ピンの待機位置を変化させることなく、かつ、打刻ピンの加工を行うことなく、被打刻物の載置面と打刻ピンの先端との距離を適正範囲内に収めることができる打刻ヘッド及び打刻装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る打刻ヘッドは、
打刻ピンの先端部で被打刻物を打刻する打刻ヘッドであって、
前記打刻ピンを一方向に付勢する付勢手段と、その付勢力に抗して前記打刻ピンに押圧力を与える駆動手段と、前記打刻ピンとが配設される第1部分と、
前記第1部分に接合されるとともに、打刻装置のキャリッジに取り付けられた状態で、前記打刻ピンを保持する第2部分とを備え、
前記第1部分と前記第2部分との間に介在させる離隔部材を異なる大きさのものに変更することによって、前記キャリッジへの取付位置と打刻ピンの先端との距離を調整可能とされている、
ことを特徴とする。
【0025】
前記第1部分と前記第2部分は、それぞれ複数の部品が一体化して構成されていることが好ましい。
【0026】
前記付勢手段は、一端部が前記第1部分の一部に当接し、他端部が前記打刻ピンの一部に当接するように当該第1部分に配設されていることが好ましい。
【0027】
前記打刻ピンは、先端部が円錐形状又は楔状に形成されたワイヤ状部材であり、かつ、前記付勢手段は、前記ワイヤ状部材に挿通されているコイルばねであり、該コイルばねは、打刻ピンの基端に位置する大径部に当接するように第1部分に配設されていることが好ましい。
【0028】
前記第1部分及び前記第2部分とは、それらの間に離隔部材を介在させた状態で、ボルト止めによって組み立てられることが好ましい。
【0029】
本発明の第2の観点に係る打刻装置は、
複数の打刻ピンを有する打刻ヘッドと、該打刻ヘッドを被刻印物に対して移動可能に支持すると共に、前記打刻ヘッドから前記打刻ピンを突出させ、被打刻物を打刻させるキャリッジと、を備える打刻装置であって、
前記打刻ヘッドとして、前記した打刻ヘッドを用いる、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、打刻ピンの待機位置を変化させることなく、かつ、打刻ピンの加工を行うことなく、被打刻物の載置面と打刻ピンの先端との距離を適正範囲内に収めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態に係る打刻装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る打刻ヘッドの概略構成を示す斜視図である。
【図3】(a)は、図2の−Z方向から観た矢視図であり、(b)は、シート状部材の底面図である。
【図4】図3(a)のA−A線断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る打刻ヘッドの構造及び動作を説明する模式図である。
【図6】シート状部材の厚さを変更したときの打刻ヘッドの構造及び動作を説明する模式図である。
【図7】シート状部材の厚さを変更したときの打刻ヘッドの構造及び動作を説明する模式図である。
【図8】打刻装置の構造及び動作を説明する模式図である。
【図9】打刻ヘッドの構造及び動作を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態に係る打刻ヘッド及び打刻装置を図面を参照して説明する。
【0033】
図1に示す本実施形態の打刻装置20は、被打刻物の表面に複数のドットから構成される二次元コードや文字などを形成する。打刻装置20は、ベース部材21、ベース部材21に対してY軸に沿って移動可能に設けられたY移動体23、Y移動体23に対してX軸に沿って移動可能に設けられたX移動体24、X移動体24にホルダ25を介して取り付けられた打刻ヘッド30、及び打刻装置20の電気的な制御を行うドライバ26を備えている。本実施形態では、X移動体24が打刻ヘッド30をX軸に沿って移動させるキャリッジとなる。
【0034】
ベース部材21は、長手方向をX軸方向としXY平面に平行な板状の第1平板部21aと、長手方向をX軸方向としXZ平面に平行な板状の第2平板部21bからなる断面L字状の部材である。また、このベース部材21に形成された第1平板部21aの+Y側端部には、長手方向をX軸方向とする支持プレート22が固定されている。
【0035】
支持プレート22の−Y側の面と、ベース部材21に形成された第2平板部21bの+Y側の面とはほぼ平行になっている。そして、支持プレート22とベース部材21の第2平板部21bの間には、一端部が支持プレート22に固定されると共に、他端部が第2平板部21bに固定され、長手方向をY軸方向とする長尺円柱状のYガイド52A,52Bがそれぞれ架設されている。
【0036】
Y移動体23は、X軸方向を長手方向とする板状の移動部23aと、移動部23aの+X側端部及び−X側端部から−Z方向へ延びる一対の支持部23bとからなる部材である。また、Y移動体23の移動部23aの中央部には、Y軸方向に貫通する円形開口23cが形成され、この円形開口23cの+X側及び−X側には円形開口23dがそれぞれ形成されている。そして、Y移動体23の一対の支持部23bの間には、両端部が一対の支持部23bにそれぞれ固定された、長手方向をX軸方向とする長尺円柱状のXガイド51A,51Bがそれぞれ架設されている。
【0037】
上述のように構成されたY移動体23は、移動部23aの円形開口23dにそれぞれ挿入された1組のYガイド52A,52Bによって、ベース部材21に対してY軸方向に移動可能に支持されている。
【0038】
また、Y移動体23の移動部23aに形成された円形開口23cには、ベース部材21の第2部分21b、及び支持プレート22に、+Y側端部及び−Y側端部が回転可能に支持された送りネジ60Yが螺合されている。Y移動体23は、送りネジ60YがYモータ50Yによって回転されることで、Y軸方向に移動する。
【0039】
X移動体24は、Z軸方向を長手方向とする直方体状の部材である。このX移動体24の中央部にはX軸方向に貫通する円形開口24aが形成され、この円形開口24aの+Z側及び−Z側には円形開口24aを挟むように一対の円形開口24bが形成されている。
【0040】
上述のように構成されたX移動体24は、一対の円形開口24bにそれぞれ挿入されたXガイド51A,51Bによって、Y移動体23に対してX軸方向に移動可能に支持されている。
【0041】
また、X移動体24に形成された円形開口24aには、両端部がY移動体23の一対の支持部23bによって回転可能に支持された送りネジ60Xが螺合されている。X移動体24は、送りネジ60XがXモータ50Xによって回転されることで、X軸方向に移動する。
【0042】
以下、本発明の実施形態に係る打刻装置20の打刻ヘッド30を図面を参照して詳細に説明する。図2は、打刻ヘッド30を−X、−Y、+Z側から観た斜視図である。図3(a)は、打刻ヘッド30を−Z側から観た図であり、図3(b)は、シート状部材30aを−Z側から観た底面図である。図4は、打刻ヘッド30の断面図であり、打刻ヘッド30の中心を通りXZ平面に平行な断面である。
【0043】
図1〜図4に示されるように、本実施形態の打刻ヘッド30は、それぞれ複数の部品が一体化して構成されている第1部分及び第2部分からなるセパレート(分離)型構造を採用しており、第1部分としてのケーシング31と、ケーシング31に接合されると共に打刻装置20のX移動体24(キャリッジ)に支持される、第2部分としての支持部材32と、を備える。第1部分としてのケーシング31と、第2部分としての支持部材32とは、互いに独立した構造となっており、それぞれ独立して扱うことが可能である。
【0044】
図2〜図4に示されるように、打刻ヘッド30は、さらに、ケーシング31と支持部材32との間に介在されるシート状部材30aと、ケーシング31の構成部材を固定するU字状の固定ばね31cと、長さが相互に等しい複数本(9本)の打刻ピン33と、コイルばねからなり、打刻ピン33に付勢力を与える復帰ばね(付勢手段)113と、打刻ピン33を押圧するための打刻ピン駆動レバー114と、円柱形状の可動ヨーク116と、ソレノイド43と、を備える。
【0045】
シート状部材30aは、厚さが均一なシート状の部材であって所謂スペーサとしての機能を有しており、圧力が付与されても厚さの変化の少ない硬質な材料、例えば、金属、硬質樹脂、硬質ゴム、硬質の紙材料などからなる。
【0046】
図4に示されるように、打刻ピン33は、−Z側の先端部が先細りになるように円錐形状又は楔状に形成されるとともに、基端部33aがそれ以外の部分である本体よりも大径に形成されたワイヤ状部材である。
【0047】
また、打刻ピン駆動レバー114は、長尺状の部材であり、打刻ヘッド30の中央部に位置する先端部で打刻ピン33の基端部33aと当接することで当該打刻ピン33を押圧し、各打刻ピン33を基準位置から−Z側(下方)に移動させるものである。打刻ピン駆動レバー114には、電磁軟鉄や珪素鋼等などの軟磁性体からなる可動ヨーク116の+Z側の先端部が例えばカシメ加工により一体に固定されている。
【0048】
ケーシング31は、図2及び図4に示されるように、基材となるベース部材115、ソレノイド43が配置されるコアを有するヨークケース117、可動ヨーク116を収容するヨークプレート118、打刻ピン駆動レバー114を保持するレバーホルダ31a、及びレバーホルダ31aの天板であるレバーホルダ天板31bによって構成されている。
【0049】
ベース部材115は、図4に示されるように、ヨークケース117、ヨークプレート118、レバーホルダ31a、及びレバーホルダ天板31bを支えるものであり、中央部がその他の円盤状の部分から有底円筒状に突出形成され、凹部31hを形成している。また、ベース部材115の円盤状の部分には、X軸方向に並ぶ一対の嵌合凸部115pが下方(−Z方向)に向けて突出形成されている。そして、ベース部材115の側部に突出形成された一対の突起で両端部が固定された固定ばね31cによって、ベース部材115に対して、ヨークケース117、ヨークプレート118、レバーホルダ31a、及びレバーホルダ天板31bが一体に固定されて、独立したケーシング31を形成している。
【0050】
図2、図3(a)及び図4に示されるように、ケーシング31には、複数本(9本)の打刻ピン33と、各打刻ピン33を+Z方向に付勢する複数個(9個)の復帰ばね113と、その付勢力に抗して各打刻ピン33のそれぞれに押圧力を与える複数個(9個)の駆動手段40が収容(配設)されている。なお、駆動手段40は、それぞれ、打刻ピン駆動レバー114、可動ヨーク116、及びソレノイド43から構成される。
【0051】
復帰ばね113は、それぞれ打刻ピン33に挿通され、復帰ばね113の一端部は、ベース部材115の凹部31hの底面に+Z側から当接し、他端部は、打刻ピン33の基端部33aの−Z側の端面に当接している。そしてこの状態で、各復帰ばね113は、打刻ピン33に対して+Z方向に付勢力を付与している。
【0052】
打刻ピン駆動レバー114は、打刻ピン33の基端部33aとの当接部(先端部)と反対側の端部(後端部)が図示しない保持機構によってレバーホルダ31a内で保持されており、これによって打刻ピン駆動レバー114はZ軸方向に揺動することが可能となっている。なお、保持機構は、例えばレバーホルダ天板31bと、打刻ピン駆動レバー114の端部との間に設けた板ばね等によって構成される。
【0053】
打刻ピン33は、復帰ばね113により、+Z方向に付勢され、打刻ピン33の基端部33aが打刻ピン駆動レバー114と当接した後、復帰ばね113の付勢力によって、打刻ピン駆動レバー114とともに上方へ移動するが、打刻ピン駆動レバー114は、その先端部で打刻ピン駆動レバー規制部119(図4及び図9参照)に当接することで、上方への移動が規制される。この規制された状態での打刻ピン33及び打刻ピン駆動レバー114の位置が、打刻ピン33及び打刻ピン駆動レバー114の各待機位置となる。
【0054】
ヨークケース117には、可動ヨーク116が配設される位置に対応して円柱形状のコアが設けられており、このコアを中心としてソレノイド43が配置される。ヨークケース117は、コアがソレノイド43によって励磁されることで可動ヨーク116を引きつけ、打刻ピン駆動レバー114を基準位置から−Z方向(下方)へ揺動させるものである。
【0055】
ヨークプレート118は、閉じた磁路を形成するためのものであり、例えば、電磁軟鉄や珪素鋼等などの軟磁性体からなる。
【0056】
一方、支持部材32は、そのZ方向の端部にXY平面に平行に形成され、ケーシング31との接合に用いられる接合プレート32aと、接合プレート32aに直交し、かつXZ平面に平行な取付プレート32cと、接合プレート32aの中央部にZ方向に延びるように形成され、取付プレート32cの中心部を通過する四角箱状の打刻ピン保持部32dとが一体化されて構成されている。接合プレート32aの上面(+Z方向に形成された面)は平坦とされている。
【0057】
接合プレート32aには、3本のボルト32bが−Z方向から螺合されている。また、接合プレート32aには、打刻ピン保持部32dを間に挟み、かつX軸方向に並ぶ一対の嵌合孔32hが貫通形成されている。
【0058】
また、取付プレート32cには、打刻ピン保持部32dを間に挟み、かつX軸方向に並ぶ一対のキャリッジ取付孔32eが貫通形成されている。
【0059】
また、打刻ピン保持部32dは、複数本の打刻ピン33および打刻ピンガイド板115a、115b、115c、115dを収納しており、この比較的長尺となる打刻ピン33は、打刻ピンガイド板115a〜115dによって支持されている。打刻ピンガイド板115a〜115dは、ガイド用のガイド孔が貫通された平板材であり、打刻ピン33は、このガイド孔に挿通され、打刻ピン保持部32d内においてZ軸に沿うように一定の姿勢を維持している。
【0060】
そして、支持部材32は、複数の打刻ピン33を、それらの先端部を支持部材32から突出させた状態で、Z軸に沿って移動可能に支持し、各打刻ピン33を被打刻物100に向けて突出させる。詳しくは、各打刻ピン33は、打刻ピン保持部32dの−Z側の端部(先端部)に配置された打刻ピンガイド板115dのガイド孔を挿通し、被打刻物100に向けて突出する。
【0061】
図2、図3(a)及び図3(b)に示されるように、シート状部材30aの中央部には、小幅部と大幅部が中心を一致させて連通したスリット状の孔30cが形成されており、そのスリット状の孔30cのX軸方向の両脇には当該孔30cよりも小さく、かつ該孔30cと同様な形状の一対のスリット状の孔30bが形成されている。
【0062】
図2に示されるように、シート状部材30aは、孔30cの小幅部、一対の孔30bの大幅部が前述した3本のボルト32bにY軸方向に沿うように嵌合されることで、ケーシング31と支持部材32との間で、XY平面に平行な方向に移動不能に支持される。また、孔30cの大幅部には、打刻ピン保持部32dが嵌合し、一対の孔30bの小幅部には、ケーシング31のベース部材115の一対の嵌合凸部115pが挿通される。
【0063】
そして、打刻ヘッド30を組み立てるには、図2に示すように、まず、ケーシング31と支持部材32との間にシート状部材30aを介在させる。そして、支持部材32の接合プレート32aの一対の嵌合孔32hに、ケーシング31の嵌合凸部115pを嵌合させた状態で、支持部材32の接合プレート32aに螺合した3本のボルト32bを、ケーシング31のベース部材115に設けられたボルト穴(図示せず)にそれぞれ螺合固定する。
【0064】
なお、詳細には、シート状部材30aは、図2に示すように、ケーシング31のベース部材115の中央部に−Z方向に突出するように形成され、図4に示すように、端面が平坦とされた円環状の突起部115qと、支持部材32の接合プレート32aの上面との間に挟持されている。この結果、シート状部材30aによって円環状の突起部115qの−Z側の端面と接合プレート32aの+Z側の端面との距離が決定されている。
【0065】
図1に戻り、打刻ヘッド30は、支持部材32において、打刻装置20のX移動体24の+Y側の面に固定されたU字状のホルダ25によって支持される。詳しくは、図2及び図4を参照して、支持部材32の一対のキャリッジ取付孔32eにそれぞれボルト(図示せず)が挿通され、そのボルトがU字状のホルダ25に螺合固定されることで、打刻ヘッド30は、その支持部材32においてX移動体24(キャリッジ)に取り付けられる。
【0066】
本実施形態の打刻ヘッド30は、以上のように構成され、ケーシング31と支持部材32との間に介在した離隔部材としてのシート状部材30aを異なる厚さのものに変更することによって、キャリッジ取付孔32eの中心(打刻ヘッド30のキャリッジへの取付位置)と打刻ピン33の先端との距離La(mm)(図5〜図7参照)を調整可能としている点に特徴を有する。
【0067】
図5〜図7は、図4に示す領域Bで示される駆動手段40の構造及びその動作を模式的に示すものである。
【0068】
図5に示されるように、ソレノイド43への電流の供給がない状態では、打刻ピン33を+Z方向に付勢している復帰ばね113の付勢力により、図中破線で示すように、打刻ピン33及び打刻ピン駆動レバー114がそれぞれ待機位置にある。
【0069】
そして、ソレノイド43に外部の電源から電流が供給され、励磁されると、ヨークケース117とヨークプレート118とを磁化する。ヨークケース117のコアが磁化されると、図中実線で示すように、可動ヨーク116が−Z方向に引き付けられるため、それに伴い、打刻ピン駆動レバー114の先端部は−Z方向へ回動する。そして、打刻ピン駆動レバー114の先端部が−Z方向に回動するのに伴って、図中実線で示すように、打刻ピン駆動レバー114によって打刻ピン33の基端部33aが−Z方向に押圧され、打刻ピン33も−Z方向に移動し、被打刻物100を打刻する。
【0070】
一方、ソレノイド43への電流の供給が中断されると、ヨークケース117のコアによる可動ヨーク116の引きつけが解除され、打刻ピン33を+Z方向に付勢している復帰ばね113の付勢力により、図中破線で示すように、打刻ピン33及び打刻ピン駆動レバー114がそれぞれの待機位置に復帰する。
【0071】
次に、本実施形態におけるシート状部材30aを用いた、距離Laの調整方法について説明する。ここで、実際にはケーシング31のZ軸方向の寸法における組み立て精度や加工精度によるばらつきと打刻ピン33の長さばらつきとを含んで調整を行うが、説明を簡単にするために、ケーシング31のZ軸方向の寸法は一定とし、打刻ピン33の長さのみがばらついている場合を想定して説明する。
【0072】
ここで、打刻ピン33は、長さが異なる3種の33l、33m、33sのものがあるとし、それぞれの長さは33l>33m>33sという関係にあるとする。そして、33lが配設された打刻ヘッド30lを図5に、33mが配設された打刻ヘッド30mを図6に、33sが配設された打刻ヘッド30sを図7にそれぞれ示す。
【0073】
図5では、シート状部材30aには厚さが最も厚いものが使用されており、それに対応して、円環状の突起部115qの−Z側の端面と接合プレート32aの+Z側の端面とが離間している。ここで、図5におけるキャリッジ取付孔32eの中心と打刻ピン33の先端との距離La=Lal(mm)とする。
【0074】
図6では、シート状部材30aには図5に示すものより厚さが薄いものが使用されており、それに対応して、円環状の突起部115qの−Z側の端面と接合プレート32aの+Z側の端面との間の距離が短くなる。このときの距離La=Lam(mm)とすると、Lal=Lamとなる。このように、打刻ピン33の長さに応じて、距離Laが一定となるようシート状部材30aの厚さを決定している。
【0075】
図7では、シート状部材30aには厚さが図6に示すものよりさらに薄いものが使用されており、それに対応して、円環状の突起部115qの−Z側の端面と接合プレート32aの+Z側の端面との間の距離が、図6に示すものよりも短くなっている。このときの距離La=Lasとすると、Lal=Lam=Lasとなる。このように、打刻ピン33の長さに応じて、距離Laが一定となるようシート状部材30aの厚さを決定している。
【0076】
なお、実際にシート状部材30aの厚さを決定する方法について以下に説明する。
即ち、まず、ケーシング31と支持部材32間に、シート状部材30aを介在させない状態で、ケーシング31と支持部材32をボルト32bを用いて固定し、打刻ヘッド30を組み立てる。
【0077】
次に、キャリッジ取付孔32eの中心と打刻ピン33の先端との距離Laを測定する。本実施形態の打刻ヘッド30は、打刻ピン33を9本備えているので、9本全部について距離Laを測定する。
【0078】
得られたデータから、最大となる距離La(max)と、最小となる距離La(min)とを選択し、キャリッジ取付孔32eの中心と打刻ピン33の先端との距離Laが、距離La(medium)=(La(max)+La(min))/2となるように、シート状部材30aの厚さを決定する。
【0079】
上述した方法によれば、ケーシング31と支持部材32間に挟まれたシート状部材30aの厚さを変えることで、ケーシング31のZ軸方向の長さのばらつきが相殺され、距離Laが打刻ピン33の長さのばらつきの範囲内で調節可能となる。このような方法で距離Laを調節すれば、ケーシング31を構成する複数の部品のZ軸方向の寸法ばらつきが距離Laに累積されて反映されてしまう不具合が回避できる。
【0080】
なお、打刻装置120においては、通常、被打刻物100の載置面から打刻ヘッド130の取り付け位置までの距離Lb(mm)は規定範囲内で管理されているので、打刻ピン33の先端と被打刻物100の載置面との距離Lc(mm)を規定範囲に収めるには、距離La(=Lb−Lc)のばらつきのみを管理すればよいことになる。
【0081】
本実施形態の打刻ヘッド30によれば、キャリッジ取付孔32eの中心と打刻ピン33の先端との距離Laのばらつきを低減させることができる。このため、被打刻物100の載置面と打刻ピン33の先端との距離Lcは、被打刻物100のZ軸方向の位置のばらつきの範囲内において、安定したものとなる。そのため被打刻物100の表面のドットの深さをほぼ一定にすることができるので、打刻品質が向上する。
【0082】
また、図5〜図7に示したように、ケーシング31と支持部材32との間に介在されるシート状部材30aの厚さをどのように変えても、打刻ピン33及び打刻ピン駆動レバー114の各待機位置は不変のままである。これはシート状部材30aを用いて、ケーシング31と支持部材32との離間距離を調整することで、被打刻物100の載置面と打刻ピン33の先端との距離Lcを調整しているためである。
【0083】
以上説明したように、本実施形態の打刻ヘッド30は、互いに独立したケーシング31及び支持部材32と、ケーシング31と支持部材32との間に介在する離隔部材とにより構成される。さらに、この離隔部材は、厚さが均一なシート状部材30aから構成している。このため、シート状部材30aを異なる厚さのものに変更することによって、キャリッジ取付孔32eの中心と打刻ピン33の先端との距離Laを調整することができる。このため、打刻装置20において、打刻ヘッド30を新しいものに交換したときに、距離Laが規定範囲内にない場合には、シート状部材30aを異なる厚さのものに変更することのみで、規定範囲内に収めることが可能となる。それとともに、ケーシング31と支持部材32とは独立して構成されているので、シート状部材30aをそれらの間に介在させて距離Laを調整しても円環状の突起部115qの下面と接合プレート32aの上面との距離が変わるのみで、打刻ピン33及び打刻ピン駆動レバー114の各待機位置は不変である。このため、ソレノイド43の励磁条件が変わることがなく、打刻ヘッド30の調整が容易となる。
【0084】
また、本実施形態の打刻ヘッド30によれば、距離Laが規定範囲内の値に入るように、予めシート状部材30aの厚さを変えておけば、打刻装置20において、打刻ヘッド30を新しいものに交換する際に距離Laを調整する必要がなくなるので、打刻ヘッド30の交換が容易化される。
【0085】
さらに、本実施形態の打刻ヘッド30によれば、ケーシング31と支持部材32とは独立して構成されているので、シート状部材30aを交換しても、ケーシング31と支持部材32との距離が変わるのみで、打刻ピン33及び打刻ピン駆動レバー114の各待機位置は不変であるから、ソレノイド43の励磁条件が変わることがなく、打刻ピン33に与えられる押圧力が変化することはない。
【0086】
しかも、本実施形態の打刻ヘッド30によれば、ケーシング31と支持部材32は、3本のボルト32bで固定され、シート状部材30aは、ケーシング31と支持部材32との間に介在しているだけである。このため、例えば、打刻ヘッド30をケーシング31と支持部材32とに分離し、シート状部材30aを異なる厚さのものに交換後、3本のボルト32bを使用して打刻ヘッド30を組み立てることのみで容易に距離Laを調整することができる。
【0087】
そして、本実施形態の打刻ヘッド30によれば、ケーシング31と支持部材32とが独立して構成されているとともに、それぞれがブロック化されているので、分離が容易な上に、それぞれを構成する部品がばらばらになることがないので、シート状部材30aを容易に交換することができる。
【0088】
本実施形態では、ケーシング31と支持部材32との間に介在される離隔部材をシート状部材30aから構成した。しかしこれに限られず、離隔部材は、異なる大きさのものをケーシング31と支持部材32との間に介在させることで、ケーシング31と支持部材32との距離(円環状の突起部115qと接合プレート32aの上面との距離)を精度よく調整できるものであれば、ブロック状など、その他の形状の部材が使用できることは勿論である。
【0089】
なお、本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0090】
20 打刻装置
24 X移動体(キャリッジ)
30 打刻ヘッド
30a シート状部材(離隔部材)
31 ケーシング(第1部分)
31a レバーホルダ
31b レバーホルダ天板
31h 凹部
32 支持部材(第2部分)
32b ボルト
32e キャリッジ取付孔
33 打刻ピン(ワイヤ状部材)
33a 基端部(大径部)
40 駆動手段
43 ソレノイド
113 復帰ばね(コイルばね)
114 打刻ピン駆動レバー
115 ベース部材
116 可動ヨーク
117 ヨークケース
118 ヨークプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
打刻ピンの先端部で被打刻物を打刻する打刻ヘッドであって、
前記打刻ピンを一方向に付勢する付勢手段と、その付勢力に抗して前記打刻ピンに押圧力を与える駆動手段と、前記打刻ピンとが配設される第1部分と、
前記第1部分に接合されるとともに、打刻装置のキャリッジに取り付けられた状態で、前記打刻ピンを保持する第2部分とを備え、
前記第1部分と前記第2部分との間に介在させる離隔部材を異なる大きさのものに変更することによって、前記キャリッジへの取付位置と打刻ピンの先端との距離を調整可能とされていることを特徴とする打刻ヘッド。
【請求項2】
前記第1部分と前記第2部分は、それぞれ複数の部品が一体化して構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の打刻ヘッド。
【請求項3】
前記付勢手段は、一端部が前記第1部分の一部に当接し、他端部が前記打刻ピンの一部に当接するように当該第1部分に配設されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の打刻ヘッド。
【請求項4】
前記打刻ピンは、先端部が円錐形状又は楔状に形成されたワイヤ状部材であり、かつ、前記付勢手段は、前記ワイヤ状部材に挿通されているコイルばねであり、該コイルばねは、打刻ピンの基端に位置する大径部に当接するように第1部分に配設されていることを特徴とする請求項3に記載の打刻ヘッド。
【請求項5】
前記第1部分及び前記第2部分とは、それらの間に離隔部材を介在させた状態で、ボルト止めによって組み立てられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の打刻ヘッド。
【請求項6】
複数の打刻ピンを有する打刻ヘッドと、該打刻ヘッドを被刻印物に対して移動可能に支持すると共に、前記打刻ヘッドから前記打刻ピンを突出させ、被打刻物を打刻させるキャリッジと、を備える打刻装置であって、
前記打刻ヘッドとして、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の打刻ヘッドを用いることを特徴とする打刻装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−88389(P2011−88389A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−244808(P2009−244808)
【出願日】平成21年10月23日(2009.10.23)
【出願人】(396004981)セイコープレシジョン株式会社 (481)
【Fターム(参考)】