説明

打撃フェースが改良されたメタルウッドクラブ

【課題】 曲げ剛性特性が改善されたゴルフクラブヘッドの打撃フェースを提供する。
【解決手段】 一例では、打撃フェースを多数の材料から製造する。打撃フェースの主な部分は、第1の密度の第1の材料からなる板状フェースである。第1の密度より大きな第2の密度の第2の材料から成る高密度インサートが、板状インサートの幾何学中心位置またはその近傍で板状フェースに直接または間接的に結合される。高密度インサートは打撃フェースの中央ゾーンの曲げ剛性を増大させ初期ボール速度が実質的に均一な大領域を形成する。他の例では、打撃フェースが、主板部材と当該主板部材から伸びる少なくとも1つのウィングとを具備するフェースインサートを有する。インサートは打撃フェースの他の部分から外れないようにゴルフクラブヘッドに溶接される。フェースインサートにより軸方向の曲げ剛性を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は改良したゴルフクラブヘッドに関する。より具体的には、この発明はボール初速度が大きなゾーンが比較的大きな改良された打撃フェースを具備するゴルフクラブヘッドに関する。
【0002】
この発明は特許文献1および特許文献2に開示されたゴルフクラブヘッドに関連するものであり、その開示内容を適宜参照されたい。
【背景技術】
【0003】
ゴルフクラブの設計が複雑であることはよく知られている。クラブの各部品(すなわち、クラブヘッド、シャフト、ホーゼル、グリップ、それらの部品)の使用はクラブの性能に直結する。したがって、設計仕様を変更することにより、特別な性能特徴を実現するように仕上げることができる。
【0004】
クラブヘッドの設計は長く研究されてきた。クラブヘッドの設計においてより重要な配慮には、ロフト、ライ、フェースアングル、水平フェースバルジ、垂直フェースロール、重心、慣性、材料選定、ヘッドの全重量がある。この基本的な一組の基準が一般にゴルフクラブエンジニアリングの焦点であるが、他のいくつかの設計側面も検討されなければならない。クラブヘッドの内部設計、例えばホーゼルの収容部、シャフトとの結合手段、クラブヘッドの周辺ウェート、および中空クラブヘッド内のフィラーは、具体的な特徴を実現するために適合化できる。
【0005】
ゴルフクラブヘッドはまたゴルフクラブとゴルフボールとの間の衝突の間に起こる衝撃の繰り返しに耐える強度を有しなければならない。この瞬間に起こる負荷により、ピークが2000ポンドを越える力をゴルフボールに与えることになる。このため、クラブフェースおよびボディは材料の破砕や降伏に起因する永久的な変形や決定的な損傷に抗するように設計されなければならない。チタン製の中空メタルウッドドライバのフェースの厚さは、均一で2.5mmより厚く、これにより、クラブヘッドの構造上の一体性を確実にしている。
【0006】
プレーヤは、最大距離および着地位置の正確性を実現する、メタルウッドドライブおよびゴルフボールの組み合わせを通常求めている。打撃後のボール飛距離は、ボールの並進運動速度の大きさおよび方向と、ボールの回転速度すなわちスピンとにより支配される。気圧、湿度、温度および風速を含む環境条件がさらにボールの飛びに影響を与える。しかしながら、環境の効果はゴルフ用品メーカのコントロールを越えている。ゴルフボールの正確な着地も多くの要素により決定される。これらの要素のうちのいくつかは、クラブヘッド設計例えば重心やクラブヘッドの柔軟性に起因する。
【0007】
合衆国ゴルフ協会(USGA)すなわち合衆国におけるゴルフ規則の管理団体は、ゴルフボールの性能について仕様を持っている。これら性能仕様は、適合するゴルフボールのサイズおよび重量を規定する。1つのUSGA規則は、所定の衝撃後のゴルフボールの初速度を250フィート/秒+−2%(または255フィート/秒の最大初速度)に制限している。ゴルフボールの飛距離を大きくするために、この規則を満たしながら、衝撃後のボール速度およびボール・クラブ間衝撃の反発係数を最適化しなければならない。
【0008】
一般に、環境による影響を無視すれば、ゴルフボールの飛距離はクラブヘッドによる衝撃の間にボールに加えられた全運動エネルギに左右される。衝突の際、運動エネルギはクラブから伝達されクラブヘッド中の弾性歪みエネルギとして、また、ボールの粘弾性歪みエネルギとして蓄積される。衝撃後、ボールおよびクラブに蓄積されたエネルギはボールおよびクラブの並進速度および回転速度の形で運動エネルギに変換されて戻される。衝突は完全には弾性的ではないので、エネルギの一部はクラブヘッドの振動やボールの粘弾性緩和に消費される。粘弾性緩和は、ゴルフボールに用いられるパリマー材料の材料特性である。
【0009】
ボールの粘弾性緩和は寄生エネルギ源であり、これは変形率に依存する。この効果を最小化するために変形率を小さくする必要がある。これは、クラブフェースの衝突時の変形をより大きくすることにより実現できる。金属の変形は純粋に弾性的であろうから、クラブフェースに蓄えられた歪みエネルギは衝突の後にボールに戻り、この結果衝突後のボールの飛び出し速度を増加させる。
【0010】
クラブフェースの許容変形を可変するために種々の手法を採用できる。これには、均一フェース肉薄化、剛性部材をリブとする薄肉フェース、可変厚さ、その他が含まれる。こられの設計は、十分な構造上の一体性を有して繰り返しの衝突にクラブフェースの永久的な変形を伴うことなく耐えるものでなくてはならない。また、一般に、慣用的なクラブヘッドでは、クラブのフェースの衝突位置に応じて、衝突後のボール初速度が変化する。したがって、大きな実質的に均一なボール初速度を実現する「スイートゾーン」が大きなクラブヘッドを提供することが当技術分野において望まれている。
【特許文献1】米国特許第6605007号明細書
【特許文献2】特開2004−358225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
この発明は、以上の事情を考慮してなされたものであり、「スイートゾーン」が大きなクラブヘッドを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明はシャフトに取り付けるように適合化されたゴルフクラブに関する。この発明の1実施例は複数の材料から形成された打撃フェースを具備するゴルフクラブである。第1の材料が打撃フェースの中央ゾーンを形成する。中央ゾーンは第1の曲げ剛性(Flexural Stiffness)を有する。第2の材料は、中央ゾーンと同心の中間ゾーンを形成する。中間ゾーンは第2の曲げ剛性を有する。
【0013】
この発明の他の実施例は、ゴルフクラブヘッドの上面をなすクラウン、同ゴルフクラブヘッドの下面をなすソール、および上記クラウンとソールとの間に配された打撃フェースを具備するゴルフクラブヘッドである。打撃フェースは、フェースインサートを有し、このフェースインサートの周囲がゴルフクラブヘッドに溶接される。フェースインサートは、主板部と、主板部から伸びる少なくとも1つのウィングとを有する。
【0014】
この発明の上述の側面および他の側面は特許請求の範囲に記載され以下実施例を用いて詳述される。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、「スイートゾーン」が大きなクラブヘッドを実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
米国特許第6605007号は、実質的に均一な高初速度すなわち高反発係数(COR。Coefficient Of Restitution)のゾーン、すなわち、「スイートゾーン」もかなり大きくする改良されたゴルフクラブを開示している。
【0017】
CORすなわち反発係数は、衝突効率の尺度である。CORは接近時の速度に対する離反時の速度の比である。このモデルでは、したがって、CORはつぎの式を用いて定義された。
(Vclub−post−Vball−post)/(Vclub−pre−Vball−pre
ここで、
club−postは衝突後のクラブの速度を表す。
ball−postは衝突後のボールの速度を表す。
club−postは衝突前のクラブの速度を表す(USGAのCOR条件ではゼロの値)。
ball−preは衝突前のボールの速度を表す。
【0018】
CORは一般的に衝突物体の形状および材料特性に左右される。完全に弾性的な衝突ではCORは1になり、エネルギ損失はゼロである。非弾性的な、または完全に塑性的な(plastic)衝突ではCORはゼロとなり、衝突した物体は衝突後に離反せず、エネルギ損失が最大になる。この結果、大きなCOR値がより大きなボール速度と距離をもたらすことを意味する。
【0019】
図1、図1aおよび図1bに示されるように、クラブの精度や、均一な高初速度の大ゾーンは打撃フェース2により実現される。打撃フェース2は、中央ゾーン4、これを囲む中間ゾーン6およびオプションの周囲ゾーン8を具備している。好ましくは、中央ゾーン
4の面積は、打撃フェース2の総面積の約15%から約60%であり、より好ましくは、約20%から約50%である。
【0020】
中央ゾーン4は比較的堅固であり、中間ゾーン6は相対的に柔らかい。この結果、ボール衝突時に、フェース2の中間ゾーン6が変形して高ボール速度を実現する。他方、中央ゾーンは実質的に変形せず、ボールが目標に向かって飛んでいく。そして、ボール衝突時に、中間ゾーン6の変形により、中央ゾーン4がクラブヘッド10の中に移動した後外に押し出される。中間ゾーン6は中央ゾーン4に隣接して位置してもよく、オプションの周囲ゾーン8は中間ゾーン6に隣接して位置しても良い。この結果、ヘッドは0.81を越える反発係数を生じる。
【0021】
そのような反発係数は、中央ゾーン4に第1曲げ剛性を付与し、中間ゾーン6に第2曲げ剛性を付与することにより達成される。曲げ剛性(FS)は、各部の平均弾性係数(E)に各部の平均厚さ(t)の3乗を掛けたものとして定義される(FS=Et)。弾性係数および厚さの平均をどのように計算するかについては上述の米国特許第6605007号に詳細に記載されており、これを参照されたい。厚さが変化する場合や材料が非均一な場合にFSをどのように求めるかについても当該米国特許に記載されており、これを参照されたい。
【0022】
曲げ剛性は材料および厚さに応じて変化するので、中央ゾーン4および中間ゾーン6の曲げ剛性に実質的な差異を形成するためにつぎの手法を採用できる。すなわち、(1)各部に異なる材料を用いる。(2)各部を異なる厚さとする。または(3)各部の材料および厚さを異ならせる。例えば、好ましい実施例では、中央ゾーンの厚さを中間ゾーンの厚さより大きくし、材料は共通にする。
【0023】
クラブヘッド10においては、上述の曲げ剛性関係を達成するために、所定の弾性係数の材料を選択し、各ゾーンの厚さを変化させる。他の実施例では、上述の曲げ剛性関係を達成するために、各部の材料を変化させて異なる弾性係数を有するようにし、それに応じて厚さを変化させる。したがって、各ゾーンの厚さは、各ゾーンの材料の弾性係数に応じて同じ場合もあるし、異なる場合もある。また、曲げ剛性を所望のものにするために、構造リブ、強化プレート、厚さ助材(パラメータ)を用いても良い。中央ゾーン4および中間ゾーン6の曲げ剛性の好ましい比率については上述の米国特許第6605007号等に詳細に記載されており、これを参照されたい。
【0024】
さらに上述の米国特許第6605007号で検討したように、2またはそれ以上の異なる均一材料を用いて打撃フェース2を製造してもよい。例えば、中央ゾーン4を全般的に均一な厚さとし、ヤング率が30.0×10lbs/inのステンレス鋼から構成する。隣接する中間ゾーン6は、平坦な周辺部から中央ゾーン4へ連続してテーパ状に変化する。中間ゾーンの厚さは線形に変化する。中間ゾーン6は、ヤング率が16.5×10lbs/inのチタン合金から構成する。代替的には、図1c(米国特許第6605007号の図10に対応する)に示すように、中央ゾーン4は、ヤング率が30.0×10lbs/inのステンレス鋼のリブ4aを具備してもよい。間隙4bはヤング率が16.5×10lbs/inのチタン合金である。中間ゾーン6は、同様のチタン合金からなる。中央ゾーン4および中間ゾーン6の曲げ剛性の比率は米国特許第6605007号に示されるように計算される。
【0025】
オプションの周囲ゾーン8は好ましくは中間ゾーン6より厚くして曲げ剛性を大きくする。代替的に、オプションの周囲ゾーン8を中間ゾーン6と異なる材料で構成して中間ゾーン6より周囲ゾーン8の曲げ剛性が大きくなるようにしても良い。例えば、周囲ゾーン8を中央ゾーン4と同じ材料で構成する。周囲ゾーン8を中央ゾーン4や中間ゾーン6とまったく異なる材料で構成しても良い。その場合、周囲ゾーン8は、溶接等により中間ゾーンに結合される。
【0026】
図2(米国特許第6605007号の図8)において、打撃フェース2はフェースインサート42を具備しても良い。フェースインサート42はフェースに画定されたキャビティに溶接される。打撃フェース2はフェースインサート42およびフェースサポート30を具備しても良い。この実施例では、打撃フェース2は、クラウン14、トウ18、ソール22およびヒール32から型割り線46によって分けられる。中央ゾーン4は、好ましくは、フェースインサート42の内側のキャビティ方向の面に配置され、また、図示のとおり、楕円形状をしている。この詳細は特開2004−358225号公報に記載されている。中央ゾーン4は好ましくは低トウから高ヒールの方向に整合され、高CORゾーンが高トウから低ヒールの方向に確立されるようになっている。この高CORゾーンは好ましいことにゴルファーの典型的な打撃パターンと一致する。
【0027】
上述の特開2004−358225号公報にも説明されるように、「楕円」または「楕円的」は識別可能な長軸(Major Axis)および短軸(Minor Axis)を有する非円形な形状を指し、これに限定されないが、任意の四辺形、幾何学楕円、角を丸められた四辺形、非対照的な楕円形を含む。「長軸」は、2回(すなわち開始点と終了点)を超えて周囲と接することなく非円形形状内に引かれた最も長い線と合致する軸をいう。「短軸」はその中央付近で長軸と直交するものである。また、ここでは、「同心」とは他の形状を実質的に包囲する形状をいう。
【0028】
中間ゾーン6は、6および6として示され、一部、フェースインサート42状に配置でき、また一部、フェースサポート30上に配置できる。移行ゾーン7は、種々の厚さを有し、中央ゾーン4および中間ゾーン6の間に配置される。好ましくは、中央ゾーン4の厚さは、移行ゾーン7において、中間ゾーン6の厚さより薄くなっている。これにより、急激な厚さの変化に起因して、ゴルフボールとの衝突時に生じる局所的な応力歪みを抑制できる。フェースサポート30は穴48を規定し、リム49がその境界をなす。フェースインサート42はリム49の位置またはその周囲で溶接によりフェースサポートに結合させることができる。
【0029】
好ましくは、フェースインサート42はミリングまたはスタンプおよびフォーミングにより形成される。製造プロセスにおいて、打撃フェースに利用可能な展性金属、例えばチタン、チタン合金、炭素鋼、ステンレス鋼、ベリリウム銅、および他の鍛造可能な金属が加熱され、フェースカップの所望形状に鍛造される。適切な金属の例としては、これに限定されないが、チタン6−4合金、チタン15−3−3−3合金、チタン20−4−1合金、およびDAT55、DAT55G(ダイドースチールから入手できる)が含まれる。
【0030】
好ましい鍛造プロセスは、ダイまたはビレット鍛造であり、鍛造可能な金属の予め測定したロッドを加熱してダイおよびハンマの間に配置する。ダイはフェースインサート42の所望形状を有する。加熱された金属はハンマ処理により所望の形状に加工される。フェースインサート42を鍛造により製造すると、フェースの厚さをその周囲において約0.060インチ(約1.5mm)にすることができる。
【0031】
図3〜図8において、打撃フェースインサート42のいくつかの代替的な実施例が示される。これら実施例のフェースインサートにおいて、中央ゾーン4の曲げ剛性は、フェースインサート42の他の部分を形成する材料より密度が大きい材料で形成された高密度インサート52に起因して、中間ゾーン6の剛性より大きい。この発明の好ましい実施例の断面は図3aに示すとおりであり、この図において、フェースインサート42は板状フェース50およびインサート52を具備している。
【0032】
板状フェース50は、若干曲がった楕円の形状をしているが、任意の形状を採用できる。例えば、多角形、円形、ふぞろいの形状であってよい。
【0033】
板状フェース50のサイズは、ゴルフクラブヘッド10の全体のサイズに依存する。ただし、好ましい実施例では、板状フェース50の楕円長軸の長さは80mmおよび100mmの間であり、短軸の長さは35mmおよび60mmの間である。より好ましくは、板状フェース50の楕円長軸の長さは90mmであり、短軸の長さは50mmである。板状フェース50の厚さ53は均一でも良いし、不均一でもよい。1つの実施例では、厚さ53は2〜5mmの範囲である。好ましくは、厚さ53は、2.7mmであり、最大厚さ4.5mmへ徐々にテーパ状になっている。
【0034】
板状フェース50は、図3bに分解して示すように、ゴルフクラブヘッド10の内部キャビティ対向面55に形成されたキャビティ51を有する。さらに、板状フェース50の厚さが、好ましくは、キャビティ51の周囲で厚くなり、これにより、上述した肉厚の中央ゾーンの効果と高密度インサート52の高密度材料の効果とを結びつける。この実施例では、キャビティ51の形状は円形であるが、その形状は、好ましくは、高密度インサート52の断面形状に応じて選択される。キャビティ51の大きさは、高密度インサート52を収容できれば任意に選択できるが、1実施例では、キャビティ51の内部の幅や約14mmであり、深さは約2mmである。
【0035】
上述のとおり、板状フェース50は好ましくは鍛造により形成されるが、スタンピングやキャスティング手法を用いても良い。板状フェース50は、打撃フェース2を形成するのに適した、ここで検討された任意の材料で製造してよく、例えばチタン、チタン合金、炭素鋼、ステンレス鋼、ベリリウム銅を用いることができる。もっとも好ましい金属は、上述したチタン6−4合金である。
【0036】
高密度インサート52は、図示のように円錐台であり、板状フェース50と較べてその断面積が小さい。高密度インサート52は製造に適した任意の形状であってよく、例えば、円筒や、円、楕円、または四辺形ディスクでよい。高密度インサート52は板状フェース50の材料より密度が大きい材料で製造され、好ましくは、タングステンやステンレス鋼で製造されるが、板状フェース50より密度が大きな任意の材料がこの発明に適切に使用でき、この材料には、銅、ニッケル、青銅が含まれる。高密度インサート52は、シート金属からミリングやスタピング処理され、鍛造、ダイカットや任意の位置の手法で製造される。
【0037】
高密度インサート52のサイズは好ましくは板状フェース50に較べて小さい。好ましい実施例では、高密度インサート52の直径は最大幅部分で約10mmであり、高さは約7mmである。そして、高密度インサート52の高さがキャビティ51の深さよりも大きいので、高密度インサート52が板状フェース50の内部キャビティ対向表面55から突出している。高密度インサート52のサイズは、中央ゾーン4の実効サイズを加減するために変化させることができる。
【0038】
高密度インサート52は板状フェース50に直接または間接的に固定されて良い。好ましい実施例では、高密度インサート52は、板状フェース50を製造したのと同一の材料の材料で形成されたキャップ56内に収容される。キャップ56は同一材料故に板状フェース50に簡単に溶接できる。高密度インサート52は、キャップ56の内部表面に付着されてもよく、少なくとも内部表面で接着されてもよく、また単にキャップ56内に配置されるだけでも良い。図示のように、キャップ56は、円錐台であり、当該キャップ56内に高密度インサート52をかたくフィットさせるような内部キャビティ形状を有している。キャップ56は既知の手法で製造されてよく、例えば、キャスティング、スタンピングまたは鍛造を採用できる。
【0039】
また、高密度インサート52は板状フェース50に間接的に固定されるが、当該高密度インサート52を、溶接ビード58により板状フェース50に連結されるキャップ56に収容するので、ゴルフボールと繰り返し衝突する際に、高密度インサート52がその位置から飛び出すことがない。代替的に、高密度インサート52およびキャップ56の組立体の少なくとも一部を接着剤を用いてキャビティ51内に固着しても良い。接着は、例えば、溶融接着剤、エポキシ接着剤、ポリウレタン接着剤、シーラント、熱硬化性接着剤、UV硬化接着剤、アクリル接着剤およびシアノアクリル接着剤である。
【0040】
図4において、高密度インサート52を有するフェースインサート42の代替的な実施例が示される。この実施例では、高密度インサート52は円形ディスクであり、板状フェース50の内部キャビティ対向面55に直接に接着されている。代替的には、高密度インサート52を板状フェース50の面に溶接しても良い。
【0041】
図5において、高密度インサート52を有するフェースインサート42の他の代替的な実施例が示される。この実施例では、板状フェース50がキャビティ51を有し、円形ディスクの形状の高密度インサート52がその中に挿入される。高密度インサート52はキャビティ51に例えば接着剤により付着されていても良いし、付着されていなくても良い。フランジ部54は、高密度インサート52に被るように伸び、ゴルフボールと繰り返し衝突する際に、高密度インサート52がキャビティ51内に保持され、すなわちキャビティ51から飛び出すことがない。フランジ部54は板状フェース50に溶接された金属片でもよい。代替的には、フランジ部54を板状フェース50を製造する際に形成しても良い。フェースインサート42は好ましくはミリングやスタンピングにより処理される。製造段階で、板状フェース50の厚肉の中央ゾーンにキャビティ51が形成される。キャビティ51は、高密度インサート52より若干高く形成される。高密度インサート52はキャビティ51内に配置され、好ましくは、キャビティ51の内面に接着される。板状フェース50の表面を強く叩きキャビティ51の一部が高密度インサート52状に突出するように変形させ、これによりフランジ部54を形成する。
【0042】
図6において、多材料フェースインサート42の他の代替的な実施例が示される。この実施例は上述した実施例の板状フェースと類似した板状フェース50を含む。ただし、この実施例では、板状フェースは、薄膜壁カップ状突起60を具備し、この突起60が板状フェース50の内部キャビティ対向面55から外側に伸びている。カップ状突起60は、図示の例では、台形状であるが、任意の形状を採用できる。例えば、空洞の円筒、三次元ポリゴン、またはふぞろいな形状である。
【0043】
高密度インサート52は、上述のものと類似しており、カップ状突起60内に固くフィットするような形状・大きさとなっている。高密度インサート52はカップ状突起60の内部に例えば接着剤を用いて付着されてもよい。ただし、高密度インサート52はフランジ部54によりカップ状突起60内に保持される。この点は、上述のフランジ部と同様である。ただし、この実施例では、フランジ部54をスタンピングにより形成する場合には、カップ状突起60をおり高くして余剰部分を構成する。
【0044】
図7において、この発明のフェースインサート42の他の代替的な実施例の断面が示される。この実施例の板状フェース50は、板状フェース50は上述の実施例において説明した板状フェースと類似している。ただし、この実施例では、キャップ56が空洞の円筒である。円筒の外側直径はキャビティ51の直径より小さい。高密度インサート52は、キャップ56にかたくフィットする円形プラグである。このプラグは好ましくはキャップ56に付着される。
【0045】
キャップ56は縁部64を具備し、この縁部64は、キャビティ51に丁度フィットするような形状寸法とされる。キャップ56の外側直径とキャビティ51のエッジとの間には若干の隙間がある。溶接ビード58がキャビティ51のエッジおよび縁部64のエッジの周囲に形成され、キャップ56を板状フェース50に結合させる。キャップ56のこのような構成により、溶接ビード58の付着面積が大きくなり、結合の強度を大きくする。結合強度が大きくなるので、破損により、高密度インサート52がゴルフクラブヘッド10の内部キャビティに飛び出してしまうことが少なくなり、この結果、打撃フェース2の寿命が長くなる。
【0046】
図8および図8aにおいて、この発明のさらに他の代替的な実施例のフェースインサート42が示される。この実施例では、フェースインサート42は、板状フェース50および高密度インサート52を含む。ただし、空隙61が、板状フェース50の中央付近にその厚さを完全に貫通するように形成される。高密度インサート52は、好ましくは、その一部が空隙61にフィットする一方で縁部63が空隙61のリップ状の棚部66に載置または付着されるような構成にする。フランジ部54は、上述のフランジ部と類似なものであり、高密度インサート52を固く取り付ける。このような構成のため、高密度インサート52は板状フェース50の外部対向面65から見えるようになっている。高密度インサート52の外面は板状フェース50の外部対向面65と実質的に同一面となるように示されているが、そのようにする必要はなく、空隙61のエッジにおいてギャップがあるようにしてもよい。ただし高密度インサート52は依然外部から見えるようになっている。
【0047】
[例]
【0048】
この発明のクラブWは、全体的には、図7に示す実施例に従って製造される空洞メタルウッドクラブヘッドである。クラブWは、チタン合金の板から製造されたフェースインサートを有し、このフェースインサートはその内部キャビティ対向面に当該板の幾何学中心またはその近くにタングステンのインサートを溶接したものである。この構成で、クラブWの厚さは、フェースインサートの中央ゾーンがその周辺より厚くなるように変化する。クラブWのCORの測定結果は0.812であった。
【0049】
標準的なKing Cobra(商標)SZ440クラブヘッドも空洞メタルウッドクラブヘッドである。SZ440クラブヘッドは可変厚さの打撃フェースを有する。クラブWと同様に、SZ440クラブヘッドの厚さは、打撃フェースの幾何学中心近くでより厚くなり、周辺ほど薄くなっている。ただし、SZ440クラブヘッドの打撃フェースの厚さ変化は、打撃フェースの製造と一体に実現される。すなわち、打撃フェースは単一の板材料を含み、材料の一部が当該板の周囲付近で削り取られている。SZ440クラブヘッドのCORは0.814であり、クラブWのCORとほぼ等しい。
【0050】
両クラブは振り子試験(pendulum test)でテストされた。この試験は、USGAルールおよび国際ルールの下でクラブフェースの柔軟性またはトランポリン効果の標準的なテストである。この試験では、小さな鋼の振り子を用いて複数回特定のスポットでゴルフクラブヘッドに衝撃を与える。クラブヘッドおよび振り子の間の特性時間がマイクロセカンド(μs)で記録され、その点のゴルフクラブヘッドの柔軟性が決定される。USGAルールによれば、ゴルフクラブヘッド上の9点がそのようにテストされる。一般的に、特性時間が長いほど、ゴルフクラブヘッドの柔軟性が大きい。
【0051】
表1に示すように、クラブWに関する振り子の特性時間は、すべてのテスト位置でSZ440に関する特性時間より長い。したがって、両クラブヘッドのCORがほぼ同一であっても、クラブWの柔軟性はSZ440クラブよりも大きい。
【表1】

この発明の他の側面によれば、打撃フェース2上の中間ゾーン6および周囲ゾーン8を、溶接線をクラブヘッドの打撃フェースからクラウンおよびソールへ移動させることにより、薄い構成で製造できる。打撃フェース2の性能を改善する代替的な手法は、フェースインサート42の溶接線およびジョイントをクラブヘッド10の他の面へ移動することである。周知のように、溶接線またはジョイントは不連続な領域であり、同一の材料の1つの部品を結合したとしても、両部品の構造的な特性はその連結部周辺で変化する。クラブヘッドのクラウンまたはソールへの溶接線を除去すると、打撃フェースの厚さを正確に制御でき、打撃フェース全体を薄くできる。ジョイントは打撃フェースの特性を変化させるためにも用いることができる。この発明のこの側面によれば、フェースインサートは1または複数の側壁を具備し、この側壁がクラウンの一部やソールの一部を形成する。
【0052】
図9(特開2004−358225号公報の図9)において、フェースインサート42は中央ゾーン4、移行ゾーン7、中間ゾーン6の部分、クラウン14の部分およびソール部分156を含む。クラブヘッド10はこのようにしてフェースインサート42を収容する大きさ・形状のキャビティ158を画定する。フェースインサート42は好ましくはクラブヘッド10に溶接される。フェースインサート42はフェースサポート30とともに打撃フェース2を構成する。図2の実施例と同様に、中間ゾーン6は6、6で示され、部分的にフェースインサート42と接し部分的にフェースサポート30と接する。
【0053】
図10において、この発明の他の実施例が示される。この実施例では、打撃フェース2の中央ゾーン4がフェースインサート42により形成される。フェースインサート42は好ましくはクラブヘッド10と溶接線20に沿って溶接される。フェースインサート42は多角形または楕円の主板部34および側壁すなわちウィング(上部ウィング)70を含み、ウィング70はクラウン14方向に伸びてクラウン14の一部を形成する。このような構成で、溶接線20の上方部分(上部溶接線)71はクラウン14へと移動させられる。溶接線20により生じる歪みを打撃フェース2から除去することにより、ゴルフボールから繰り返し衝撃を受ける際に上部溶接線71に沿って損傷が発生するのを抑制できる。
【0054】
フェースインサート42は好ましくはクラブヘッド10の他の部分と同じ材料で製造される。例えば、チタン、チタン合金、スチール、またはクラブヘッドに使用して好適な他の任意の材料である。フェースインサート42はクラブヘッド10の他の部分と同じ厚さにすることが好ましいが、曲げ剛性を変化させるためにフェースインサート42を厚くしてもよいし、薄くしても良い。
【0055】
フェースインサート42の形状・寸法は種々である。上述のとおり、フェースインサート42は修正された長円形UカップまたはLカップであるが、他の形状でも良い。例えば、矩形、楕円または円形である。フェースインサート42は好ましくは打撃フェースの全表面を保護形成する。ただし、フェースインサート42は打撃フェースのうちのより少なく部分を形成するものでも良い。また、ウィング70がソール22に伸びてソールの一部を形成しても良い。これは図11に示される。単にフェースインサート42の形状を変更すれば良い。この場合、影響を受ける溶接線は下部溶接線73である。
【0056】
フェースインサート42の材料特性は、フェースインサート42を製造するために選択された手法により影響を受ける。例えば、シート金属をコールドロールまたはコールドワークして金属の結晶グレインを揃えた後に、当該シート金属からスタンピングによりフェースインサート42を製造することが好ましい。このような金属をスタンピングすると打撃フェースは他の手法のものより強くなる。さらに、フェースインサート42を、そのグレインのフローパターンがソールからクラウンの方向に揃うように、打撃フェース2内に配置する。代替的には、フェースインサート42のグレインフローパターンをヒールからトウの方向すなわち対角方向に揃うようにしてもよい。他の周知の手法をフェースインサート42を製造するために用いることができる。例えば、鍛造やキャスティングである。
【0057】
図12aおよび図12bは、図10の実施例と類似するクラブヘッド10の他の実施例を示すものである。この実施例では、フェースインサート42は、主板部34と、クラウン14方向に伸びてクラウン14の一部を形成する上部側壁すなわち上部ウィング70と、ソール22方向に伸びてソール22の一部を形成する下部側壁すなわち下部ウィング72とを有する。このように構成され、上部溶接線71および下部溶接線73はクラウン14およびソール22にそれぞれ移動させられ、フェースインサート42の損傷の可能性を少なくする。このフェースインサート42の他の特徴については図10を参照してすでに説明した。
【0058】
図13aおよび図13bは、図10の実施例と類似するクラブヘッド10のさらに他の実施例を示すものである。この実施例では、フェースインサート42は、主板部34と、クラウン14方向に伸びてクラウン14の一部を形成する上部側壁すなわち上部ウィング70と、ソール22方向に伸びてソール22の一部、ヒール拡張部、トウ拡張部を形成する下部側壁すなわち下部ウィング72とを有する。上部ウィング70および下部ウィング72は図10、図12aおよび図12bを参照して説明したものと同じである。ヒール拡張部74およびトウ拡張部75は、垂直軸78のほぼ中央に位置で水平軸76に沿って伸びるフェースインサート42の主板部の拡張部である。このようにフェースインサートの幾何形状を変更することにより、フェースインサート42の水平軸76に沿う撓み性能を増加でき、他方、垂直軸78では、より小さな異なった撓み特性となる。
【0059】
フェースインサート42の形状や寸法は、全般的に、図10、図12aおよび図12bの実施例で説明したような物であることが好ましい。すなわち、多角形または楕円の主板部であり、これが打撃フェース2の多くの部分を形成する。上部ウィング70および下部ウィング72は好ましくは全体として楕円または多角形であるが、この発明で予定される他の形状を採用できる。同様に、ヒール拡張部74およびトウ拡張部75は楕円に準ずる形状であることが好ましいが、この発明で予定される他の形状例えば円形に準じる形状を採用しても良い。このように、フェースインサート42の好ましい幾何形状は、打撃フェース2の水平軸76に沿う長軸を有する長円の中央部と、打撃フェース2の垂直軸78に沿って伸びる全体として矩形の拡張部(複数)とを有するものである。さらに、ヒール拡張部74およびトウ拡張部75の1つを省略しても良い。また、上部ウィング70および下部ウィング72の一方または双方を省略しても良い。さらに、図3〜図8に示す任意の実施例に示されるようにフェースインサート42を高密度インサートと一体にして、性能の改善を図るようにしても良い。フェースインサート42は、中央ゾーン4および中間ゾーン6を含んでよく、この場合、中央ゾーン4の曲げ剛性は中間ゾーン6の曲げ剛性より大きくする。これについては米国特許第6605007号および特開2004−358225号公報に記載されるとおりである。さらに、中央ゾーン4は上述のとおり高密度インサート52を含んでも良い。
【0060】
打撃フェース2は好ましくはミリングまたはスタンピングおよびミリングにより製造される。クラブヘッド10の本体は好ましくはキャスティングにより製造される。クラブヘッド10の内部キャビティは空洞でもよく、あるいは、発泡体または他の低比重材料が充填されていても良い。内部キャビティの容積は250立方センチメートルより大きいことが好ましい。より好ましくは275立方センチメートルより大きく、最も好ましくは350立方センチメートルより大きい。好ましくは、この発明のクラブヘッドの重量は150グラムより大きく、220グラムより小さい。この発明のクラブヘッドの部品、製造手法の詳細およびCOR値の付加的なテスト結果は、特開2004−358225号公報で検討されたとおりである。
【0061】
構造の剛性に影響する他のパラメータはイナータンス(慣性抵抗)である。一般に、イナータンスは周波数応答である。より具体的には、イナータンスは、構造、この例ではクラブフェースの剛性に種々の振動周波数で影響を与える。イナータンスの単位は、力の単位に対する加速度の単位である。ここで説明したこの発明のクラブフェースの好ましい第1の共鳴周波数は、イナータンスを最大にするように配置される。イナータンスを決定するためのテスト手法および装置は米国特許第6605007号に記載されるとおりである。
【0062】
図14を参照すると、従来のクラブヘッドのイナータンス対周波数のグラフが示される。従来のゴルフヘッドは8°のロフトのCallaway Great Big Bertha War Birdである。3330Hzの周波数のポイントIは第1主共鳴周波数であり、イナータンス関数Iの第1の主最大イナータンスが起こる点である。1つの最大値は、フェースの主共鳴自然周波数を表すものではないが、また図14において2572Hzの周波数で、ポイントIとして表される。この第2の最大値Iは、10デシベル未満の大きさのイナータンス遷移により特徴づけられる。この第2の最大値は、クラウン、ソールまたはスカートの、クラブフェースの面と直角に動作しない振動に起因するのであろう。第2最大値は、この振動応答が数値上も小さく、また、ボール応答と合致しないので、CORおよびボール測度と相関がない。テストされた従来のクラブヘッドのCORは、USGA、Rule4−1e Appendix II 第2版、1999年2月8日、に従って計測され、0.785であることがわかった。振動の好ましい第1主共鳴周波数はつぎの関係により定義される。
1/(2×接触期間)<I<3/(2×接触期間)
接触期間はボールがクラブフェースに接触している時間間隔である。典型的なドライバの衝突では接触期間は500マイクロ秒(500×10−6秒)である。したがって、クラブヘッドの振動の好ましい主共鳴周波数は、約1000および3000Hzの間である。接触時間が下限に近づけば近づくほどCORが大きくなり、その結果リバウンドボール速度が大きくなる。より好ましくは、第1主共鳴周波数は2900Hzより小さい。 図15はこの発明のクラブヘッドのイナータンス関数を示しており、その詳細は米国特許第6605007号に記載されている。第1主共鳴周波数は2632Hzであり、この発明のクラブのCORは0.824と測定された。米国特許第6605007号の発明のクラブのCORは図14の従来のクラブより大きく、より大きなボールリバウンド速度を実現する。
【0063】
クラブヘッドの全体の曲げ剛性、および、クラブヘッドのフェースにわたる曲げ剛性の分布はクラブヘッドの共鳴周波数に影響する。さらに、スイング速度は、クラブおよび/またはゴルフボールが衝突時に共鳴周波数で振動するかどうかを決定する。そのため、クラブヘッドの構造設計や特性を変更することによって、クラブ設計者は、個々のゴルフボールの共鳴周波数と調和するようにクラブヘッドの共鳴周波数を変更して、所定のスイング速度で打ち出されたボールの飛距離が長くなるようにできる。また、クラブを個々のゴルファー用に設定するならば、当該ゴルファーの平均スイング速度で特定のゴルフボールを打ち出す場合に共鳴するようにクラブを設計できる。例えば、クラブおよびボールが類似の周波数で共鳴するならば、すなわち、クラブ尾よりボールが衝突して共鳴するならば、クラブおよびボールの振動がボールをクラブフェースからより速く押し出すように作用する。好ましくは、クラブの共鳴周波数はボールの共鳴周波数より0〜20%大きい。より好ましくは、クラブの共鳴周波数はボールの共鳴周波数より0〜10%大きい。
【0064】
今までこの発明の種々に説明してきたが、各実施例の種々の特徴は単独でも組み合わせても利用できることは明らかである。したがって、この発明は、ここで説明された具体的な好ましい実施例のみに限定されるべきでないことは明らかである。さらに、この発明の趣旨や範囲内においてこの発明が属する分野で習熟した知識を有する者が変形や変更を行なえることは明らかである。例えばフェースや個々のゾーンにおいてステップ状にまたは連続的に厚さが変化しても良い。他の変更例では、隣接する中間ゾーンよりも厚いまたは薄い周囲ゾーンを用いても良い。さらに、中央、中間および周囲ゾーンの形状は上述した形状に限定されない。したがって、この発明の趣旨及び範囲を逸脱することのなくここに示された開示内容に従って当技術分野に通じた者が容易に臨機応変になすことができるすべての変更はこの発明の他の実施例として含まれる。この発明の範囲は特許請求の範囲により規定される。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】米国特許第6605007号のゴルフクラブヘッドの打撃フェースの正面図である。
【図1a】図1のゴルフクラブヘッドの打撃フェースの1A−1A線に沿う断面図である。
【図1b】図1のゴルフクラブヘッドの打撃フェースの1B−1B線に沿う断面図である。
【図1c】図1のゴルフクラブヘッドの代替例である。
【図2】図1のゴルフクラブヘッドの分解正面図である。
【図3】この発明の1実施例の打撃フェースの正面図である。
【図3a】図3の3A−3A線に沿う打撃フェースの断面図である。
【図3b】図3の打撃フェースの分解断面図である。
【図4】この発明の他の実施例の打撃フェースの断面図である。
【図5】この発明のさらに他の実施例の打撃フェースの断面図である。
【図6】この発明のさらに他の実施例の打撃フェースの断面図である。
【図7】この発明のさらに他の実施例の打撃フェースの断面図である。
【図8】この発明のさらに他の実施例の打撃フェースの断面図である。
【図8a】図8の打撃フェースの分解断面図である。
【図9】この発明のクラブヘッドの他の実施例の分解正面図である。
【図10】この発明のクラブヘッドのさらに他の実施例の斜視図である。
【図11】この発明のクラブヘッドのさらに他の実施例の斜視図である。
【図12a】この発明のクラブヘッドのさらに他の実施例の上方斜視図である。
【図12b】図12bのクラブヘッドの下方斜視図である。
【図13a】この発明のクラブヘッドのさらに他の実施例の上方斜視図である。
【図13b】図13bのクラブヘッドの下方斜視図である。
【図14】従来のクラブヘッドのイナータンス対周波数のグラフである。
【図15】この発明のクラブヘッドのイナータンス対周波数のグラフである。
【符号の説明】
【0066】
2 打撃フェース
4a リブ
4b 間隙
4 中央ゾーン
6 中間ゾーン
7 移行ゾーン
8 周囲ゾーン
10 ゴルフクラブヘッド
14 クラウン
18 トウ
20 溶接線
22 ソール
30 フェースサポート
32 ヒール
34 主板部
42 打撃フェースインサート
46 型割り線
48 穴
49 リム
50 板状フェース
51 キャビティ
52 高密度インサート
54 フランジ部
55 内部キャビティ対向面
56 キャップ
58 溶接ビード
60 カップ状突起
61 空隙
63 縁部
64 縁部
65 外部対向面
66 棚部
70 ウィング(上部ウィング)
71 上部溶接線
72 下部ウィング
73 下部溶接線
74 ヒール拡張部
75 トウ拡張部
76 水平軸
78 垂直軸
156 ソール部分
158 キャビティ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブヘッドの上部表面を形成するクラウンと、
ゴルフクラブの下部表面を形成するソールと、
上記クラウンおよび上記ソールの間に配された打撃フェースとを有し、
上記打撃フェースは、その周囲でゴルフクラブヘッドに溶接されたフェースインサートを有し、
上記フェースインサートは、
主板部と、
上記主板部から伸びる少なくとも1つのウィングとを有することを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
上記ウィングは上記クラウンまたはソールの方向に伸びて上記クラウンまたはソールの一部を形成する請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
上記主板部材は上記打撃フェースの水平方向に伸びる拡張部を有する請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
上記拡張部は上記トウ領域の方向にのみまたはヒール領域の方向にのみ伸びる請求項3記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
上記ウィングの1つが上記クラウンへと伸びて上記クラウンの一部をを形成し上記ウィングの他の1つが上記ソールへと伸びて上記ソールの一部を形成する請求項3記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
上記主板部材は上記打撃フェースの水平方向に伸びる少なくとも1つの拡張部を有する請求項5記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
上記フェースインサートは、
部分的に第1の材料で形成され、第1の曲げ剛性を有する中央ゾーンと、
上記中央ゾーンの周囲に同心的に配され、上記第1の材料と異なる第2の材料で形成され、第1の曲げ剛性より小さな第2の曲げ剛性を有する中間ゾーンとを有する請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
上記第1の材料は第1の密度を有し、上記第2の材料は第2の密度を有し、上記第1の密度は第2の密度より大きい請求項7記載のゴルフクラブヘッド。

【図1】
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【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2】
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【図3】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図8a】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12a】
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【図12b】
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【図13a】
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【図13b】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−43461(P2006−43461A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−223748(P2005−223748)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【出願人】(390023593)アクシュネット カンパニー (155)
【氏名又は名称原語表記】ACUSHNET COMPANY
【Fターム(参考)】