説明

打撃工具

【課題】駆動部が、駆動部材17を介して工具ホルダーに打撃工具の軸線の方向の振動運動を生ぜしめるように形成されている形式の打撃工具において、力を駆動部から工具ホルダーにできるだけ効率的に伝達する。
【解決手段】駆動部材は連結部を介して工具ホルダーに結合され、連結部は外側に向かって先細の第1の構成部分80と、外側に向かって広がっていて前記構成部分上に装着された第2の構成部分81とを備え、第2の構成部分を、打撃工具の軸線方向の引っ張り力によって第1の構成部分上に装着して第1の構成部分によって開拡させるようになっており、かつ、工具ホルダーと駆動部材との間に前記両方の構成部分間の結合のため、並びに軸線方向の引っ張り力の形成のための引っ張り部材85を設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の形式の打撃工具、殊に外科処置に使用される打撃工具に関する。
【背景技術】
【0002】
前記形式の打撃工具若しくは打撃装置は欧州特許出願公開第617926号明細書に記載してある。打撃工具若しくは打撃装置は駆動部及び工具ホルダーを備えている。駆動部は工具若しくは装置の軸線の方向の振動力を工具ホルダーに生ぜしめるようになっている。
【0003】
打撃工具は例えば骨のやすりの作動若しくは外科処置用の工具の作動のために用いられる。さらに骨髄若しくは脊髄の釘或いはインプラントの打ち込みに打撃工具を用いている。本明細書では、種々のインプラント部材を簡単に器具若しくは工具と称してある。
【0004】
駆動部によって形成された振動若しくはバイブレーションは工具ホルダーの機械的な強い負荷を生ぜしめることになり、従って工具ホルダーは発生する力に耐え得るように形成されていなければならない。さらに打撃工具若しくは振動工具は、軸線方向の力をできるだけ直線的に、かつねじれなしに工具に伝達できるように構成されていることも重要である。
【0005】
工具若しくは機器を骨髄釘若しくはインプラント部材の打ち込みに用いる場合には、しばしばまず線材若しくはワイヤ或いは細いロッド状の構成部分を手術すべき骨内に打ち込んでいる。次いで骨髄釘を挿入するようになっており、この場合に線材は骨髄釘の軸線方向の開口部を通して案内される。つまりこの場合に線材は骨髄釘の案内として用いられる。線材は、近位の側で骨髄釘から出ていて打ち込み工具の周りに案内されている。インプラント部材の打ち込みの後に線材は引き出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第617926号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、冒頭に述べた形式の打撃工具を改善して、力を駆動部から工具ホルダーにできるだけ効率的に伝達することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は打撃工具の請求項1に記載の構成によって解決される。請求項1に記載の本発明の構成では、駆動部は1つの連結部を介して工具ホルダーに結合されている。連結部は第1の構成部分及び第2の構成部分を有しており、この場合に第1の構成部分は駆動部に配置され、かつ第2の構成部分は工具ホルダーに配置されており、若しくは第1の構成部分は工具ホルダーに配置され、かつ第2の構成部分は駆動部に配置されている。第1の構成部分は外側に向かって、つまり打撃工具の軸線の方向で第2の構成部分に向かって先細になっているのに対して、第2の構成部分は外側に向かって、つまり軸線の方向で第1の構成部分に向かって広がっていて第1の構成部分上に装着され、つまり乗せられるようになっており、この場合に第2の構成部分は軸線方向の引っ張り力によって、つまり第1の構成部分上への圧着によって第1の構成部分によって開拡させられる。軸線方向の引っ張り力の形成のために、両方の構成部分の互いの結合のための引っ張り部材を設けてある。このような構成は両方の構成部分間の遊びのない座着(結合)を可能にしていて、ひいては工具ホルダーへの良好な力伝達を保証している。
【0009】
本発明に基づく打撃工具において、有利には、打撃工具の前側から打撃工具の後側へ打撃工具の軸線(長手方向軸線若しくは縦軸線)の方向で工具ホルダー及び駆動部を通って延びる一貫した長手方向孔(軸線方向孔若しくは縦孔)を設けてあり、これによって、打撃工具は、殊に骨髄釘若しくはインプラント部材の打ち込みに適している。長手方向孔は、インプラント部材の案内のための線材若しくはワイヤ或いは細いロッド状の構成部分が、打撃工具を通して案内されるために適しており、これによって線材若しくはワイヤ或いは細いロッド状の構成部分の取り扱いは、打撃工具の周りを通して線材若しくはワイヤ或いは細いロッド状の構成部分を案内する必要がなくなるので容易になっている。明細書で「前側」は、工具ホルダーに保持された工具の側を意味し、つまり打撃方向で前方を意味し、「後側」は装置の工具と逆の側を意味し、つまり打撃方向で後方を意味する。
【0010】
簡単に使用可能な打撃工具を提供するために、本発明の別の構成に基づき、工具ホルダーは貫通開口部、及び工具の相対回動不能な受容のために前記貫通開口部に配置された座部(受容部若しくは嵌合部)を有しており、該座部は、軸線に対して垂直方向に延びる受容面を有しており、該受容面に、前記貫通開口部を中心として対称的に若しくは等角度間隔に配置されて前記受容面から前方へ突出する少なくとも4つの突起部を設けてあり、該各突起部間に工具の肩部の受容のためのスペースを形成してある。少なくとも4つの突起部を設けてあることによって、該突起部は該突起部間に、工具肩部の受容のために適した全体で少なくとも4つの凹部を規定している。これによって工具は、異なる全体で少なくとも4つの位置で工具ホルダーに装着されるようになっている。
【0011】
作動の静粛な打撃工具を提供するために、本発明の別の構成に基づき、工具ホルダーは軽金属から成る中間部材、鋼から成る前側の閉鎖部材(端部部材若しくは接続部材)及び鋼から成る後側の閉鎖部材を有している。軽金属製の中間部材を用いることによって、工具ホルダーの重量は減少させられている。騒音発生も減少される。力を後方へ、つまり駆動部に向けて、若しくは前方へ、つまり工具へ向けて伝達するために、両方の閉鎖部材は鋼から製造されおり、それというのは軽合金は、工具ホルダーの端部に生じる負荷若しくは荷重に耐えられないからである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】打撃装置全体の長手方向軸線(縦軸線)に沿った断面図である。
【図2】工具ホルダー及び駆動部材の平面図である。
【図3】図2のA−A線に沿った断面図である。
【図4】図2のB−B線に沿った断面図である。
【図5】図2のC−C線に沿った断面図である。
【図6】図2のD−D線に沿った断面図である。
【図7】工具ホルダー及び駆動部材の分解斜視図である。
【図8】工具ホルダーの前側の閉鎖部材の前側から見た斜視図である。
【図9】工具ホルダーの中間部材の図2のB−B線に沿った断面図である。
【図10】工具ホルダーの後側の閉鎖部材の後側から見た斜視図である。
【図11】駆動部材の前側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1には、本発明に基づく打撃工具の有利な実施例を示してある。打撃工具はケーシング1を有しており、ケーシング(ハウジング)はグリップ2を備えている。ケーシング1内には、駆動部3を収容してある。駆動部(駆動ユニット)はピストン4を含んでおり、ピストンはシリンダー5内に移動可能(移動自在)に配置され、つまりシリンダーのシリンダー室6内に摺動可能に受容されている。圧縮空気弁7を操作することによって、圧縮空気は管路8を介して供給されて、ピストン4を打撃工具の縦軸線(長手方向軸線)Aに沿って振動運動させるようになっている。このような駆動は当業者にとって知られているものである。本発明は駆動部の構成を対象とするものではなく、駆動部の詳細はヨーロッパ特許公開第617926号明細書に記載してある。空圧式の駆動部の代わりに、液圧式若しくは電磁式の駆動部を用いることも可能である。
【0014】
ケーシング1の周壁10は、シリンダー室6を取り囲んでおり、周壁の一方の端部(後端部)に背壁(端部壁)11をねじ結合してあり、かつ他方の端部(前端部)にカバー(キャップ)12をねじ結合してある。
【0015】
ピストン4内に中空室15を設けてあり、中空室内に駆動部材(駆動要素)17の径拡大部16を入り込ませて、つまり受容してある。径拡大部16は駆動部材17のロッド18に固定してある。ロッド18は、中空室15の前側の端部内に装着されたねじ込み式閉鎖部19のシール20によって案内されている。
【0016】
ロッド18は該ロッドの前側の端部で駆動部材17の案内部分(案内ブロック)9に移行して、つまりつながっており、案内部分は縦軸線Aの方向で摺動可能に前側のカバー12の中空部(室)20内に案内されている。駆動部材7の縦軸線の方向(軸線方向)の運動は、案内部分9の溝内に係合している、つまり入り込んでいる不動のストッパ21によって規定されている。
【0017】
駆動部材17は前側の端部で連結部24を介して工具ホルダー25に結合されており、工具ホルダーは工具の取り付けのために用いられるようになっている。工具ホルダー25は、連結部24を設けてあるので、打撃工具の分解なしに交換できるようになっている。装置の機能は、ヨーロッパ特許出願公開第617926号明細書に記載の装置の機能に相当するものである。ピストン4の振動運動(往復運動)は径拡大部16に軸線方向の振動運動を生ぜしめ、ひいては打撃力を形成するようになっている。つまり径拡大部16の前端面16aと後端面16bとを交互に負荷するようになっており、これによって駆動部材17は往復運動(振動運動)させられる。振動運動(振動運動力)は、駆動部材17から工具ホルダー25に伝達され、そこから工具ホルダー内へ装着された工具に伝達されるようになっている。
【0018】
次に打撃工具の各構成部分を詳細に説明する。工具ホルダー25及び駆動部材17の構造は図2乃至図7に示してある。工具ホルダー25は3つの主要部分、つまり、軽金属から成る中間部材30、鋼から成る前側の閉鎖部材31及び、鋼から成る後側の閉鎖部材32を有している。中間部材30は主にアルミニウム、マグネシウム及びチタンのうちの少なくともいずれか1つから成っており、この場合にアルミニウムは価格の点で有利である。
【0019】
工具ホルダー25の前側の端部に設けられた前側の閉鎖部材31は、工具35の相対回動不能な受容のための座部34を形成しており、工具35は図2乃至図7に部分的に、つまり最後部の部分を示してある。工具ホルダー25は、座部34から該工具ホルダーの内部を軸線方向に延びる開口部36を有しており、該開口部は工具35の後側のロッド状(柄状)の部分37の受容のために用いられている。
【0020】
特に図7に明瞭に示してあるように、工具のロッド状の部分37は前側の端部で幅広の工具区分38へ移行し、つまり幅広の工具区分につながっており、幅広の工具区分はロッド状の部分37から側方へ突出した肩部39を形成している。肩部39は、工具35を装着した場合に座部34によって相対回動不能に受容されるようになっている。
【0021】
座部34の構造は図8に特に詳細に示してある。図面に示してあるように、座部34は軸線Aに対して垂直に延びる受容面40を有しており、該受容面は、打撃力を工具ホルダー25から肩部39の後側の端面へ伝達するようになっている。
【0022】
受容面40には、該受容面から軸線Aの方向で前方へ延びる少なくとも4つの突起部42を設けてあり、該突起部は開口部36を中心として互いに対称的に配置されている。突起部4間に、同じく互いに対称的な実施例で4つの凹設部43を形成してあり、該凹設部は工具35の肩部39を相対回動不能に受容するようになっている。
【0023】
4つの突起部42を備えた図8に示してある実施例において、4つの凹設部43は、軸線Aに対して垂直でかつ互いに直交する2つの溝を形成しており、該溝は開口部36内で互いに交差している。工具35は、凹設部によって形成された前記溝内に異なる4つの位置(角度位置)で装着される。隣接する突起部42間の間隔Bは、有利には約10.05mm±0.02mmであり、これは外科処置分野で用いられる標準工具の肩部の幅に相当するものである。
【0024】
特に図3から明らかなように、工具35のロッド状の部分(シャンク)37は、開口部36を通って中間部材30内まで延びている。そこでロッド状の部分は保持機構50によって不動に保持され、つまりロックされるようになっている。このために保持機構50は、中間部材30の室(中空部)51内に配置された保持部材52を備えている。保持部材52は室51内において、縦軸線A(図2、参照)に対して垂直な方向で円錐形のばね53の力に抗して移動させられるようになっている。このために室51は、一方の側(第1の側)で外部に向かって開いており、つまり外部に開口しており、ばね53は室51の他方の側(第2の側)に支えられている。保持機構50若しくは保持部材52は、ばね53の力によって押し出されないようにピン54を用いて受け止められ、つまりロック(確保若しくは保持)されるようになっている。ピン54は中間部材30の止まり穴(袋孔)55内に配置されていて、ばね56によって負荷されるようになっている。止まり穴55は中間部材30と前側の閉鎖部材31との間の分離面に開口しており、したがって止まり穴55内に受容されているピン54は、中間部材30と前側の閉鎖部材31とを互いに分離した場合に止まり穴55から取り出される。特に図6から明らかなように、ピン54は保持部材52の突出部57に接触していて、該保持部材52をばね53の力に抗して受け止めている。
【0025】
室51は、ばね53の領域に別(第2)の開口部58を有しており、該開口部は室の洗浄を容易にしている。保持部材52は中央に開口部60(図6参照)を有しており、該開口部の縁部61は、工具35のロッド状の部分37の溝62(図7参照)に係合して、工具を保持(ロック)するようになっている。工具を解放するために、保持部材52は簡単にばね53の力に抗して室51内に押し込まれる。
【0026】
保持機構50若しくは保持部材52と中央部材30との間で室51内に薄肉の鋼製スリーブ63を配置してあり、該鋼製スリーブは、保持部材52から軽金属製の中間部材30に作用する力を分散させて、中間部材の損傷を避けるようになっている。
【0027】
中間部材30と前側の閉鎖部材(閉鎖部分)31とは、図3、図4及び図7に示してあるように、3つのねじ70を用いて互いに結合されている。ねじ70は中間部材の斜めの孔71内に配置されている。
【0028】
機器(工具)の作動時のねじ70の緩みを防止するために、例えばプラスチックから成る固定部材73を設けてある。固定部材73は前側の閉鎖部材31の凹設部74(図7)内に配置されており、該凹設部はねじ70のねじ込みのための孔に隣接して、つまり半径方向で孔とつながるように設けられている。凹設部74は、固定部材73が弛緩状態(圧縮されていない状態)では軸線方向で凹設部からわずかに突出していて、ねじのねじ込まれた状態では中間部材30によって変形させられて、ねじ71に向けて押圧されるように規定されおり、つまり換言すると、固定部材は凹設部の深さよりもわずかに長くなっている。
【0029】
後側の閉鎖部材32を中間部材30に固定するために、図5及び図7に示してあるように、2つのねじ75を設けてある。該ねじの各頭部は、それぞれ後側の閉鎖部材32の背面76(図10)の凹部(ねじの頭部のための受容部若しくはさら頭受け)76内に受容されて、次のように位置決めされており、つまりねじ75の頭部は、組み立てられた駆動部材17の前側の端部によって部分的に覆われて保持され、その結果、機器の作動時の緩みを確実に防止されている。
【0030】
工具ホルダー25と駆動部材17との間の連結部(継手若しくはジョイント)24は、前に述べてあるように、相互に係合する第1の構成部分と第2の構成部分を含んでいる。第1の構成部分は、図示の実施例では工具ホルダー25の後側の端部に配置されていて、図7及び図10に示してあるように、後側の閉鎖部材32の後方に向かって先細の凸状嵌合部(鞍部)80によって形成されている。第2の構成部分は、図示の実施例では駆動部材17の前側の端部によって、図7及び図11に示してあるように、凹状嵌合部81として形成されており、凹状嵌合部(ライダー)81は凸状嵌合部(サドル)80の形状に適合されていて凸状嵌合部80にかぶせ嵌められるようになっている。凹状嵌合部81には2つの連結ピン82を設けてあり、連結ピンは後側の閉鎖部材32の穴83(図10)に係合し、つまり穴83内に入り込んでいて、これによって両方の構成部分間の、凸状嵌合部の長手方向での相対運動不能(相対移動不能)な形状係合式の結合部(形状による束縛を伴った結合部、嵌合結合部)を形成している。つまり連結部24は、工具の縦軸線Aを中心とした回転運動並びに縦軸線Aに対して垂直方向の移動運動に関連して形状係合により力伝達可能な、つまり形状による束縛、即ち嵌合による束縛に基づき力伝達可能な結合部(連結部)を形成している。
【0031】
工具ホルダー25を駆動部材17に取り付けるために、連結ねじ85として形成された引っ張り部材を設けてある。連結ねじ(連結ボルト)の頭部は室51の後側の壁の凹部86(図3)内に受容されており、連結ねじのねじシャフトは連結部24を貫通して、駆動部材17の軸線方向の孔内に係合している。これによって連結ねじ(引っ張り部材)は、工具ホルダー25を駆動部材17に締め付けている。この場合に凹状嵌合部81は凸状嵌合部80上でわずかに開拡されて、遊びのない安定した結合を生ぜしめるようになっている。
【0032】
連結ねじ85は、図5及び図7に示してあるように、固定ピン87として形成された2つの固定部材(ロック部材)によって保持されるようになっている。固定ピンは後側の閉鎖部材32のピン孔(図5、図7及び図10)88内に差し込まれて、それぞれ連結ねじ85の頭部の側方の各切欠部89内を貫通して、つまり該各切欠部に形状係合して連結ねじの回動を阻止するようになっている。
【0033】
固定ピン87はピン孔88内で球状のピン係止部材90によって保持されている。各ピン係止部材90はそれぞれ、後側の閉鎖部材32の前面から延びる各係止孔内に受容されている。各係止孔は各ピン孔88と交差して、先細になっていて、各ピン係止部材90のための座部を形成している。各係止孔内にはそれぞれ1つのばね92(図7)を配置してあり、該ばねはピン係止部材90を該ピン係止部材の座部に向けて押圧している。ピン係止部材90を取り外すために、係止孔は減少された直径でもって後側の閉鎖部材32の後方の端面の開口部93(図10)まで延びており、該開口部内に押し棒を挿入して、ピン係止部材90をばね92の力に抗して前方へピン孔88から押し出すようになっている。
【0034】
駆動部材17は一体構造で形成されていて、工具ホルダー25から駆動部3内まで延びていて、ねじれのない確実な力伝達を保証している。
【0035】
前に述べてあるように、打撃工具(打撃装置)の前側から該打撃工具の後側まで延びる長手方向孔(縦方向孔)は、該打撃工具を通しての案内線材の案内のために用いられて有利である。
【0036】
長手方向孔は、前側の閉鎖部材の端面に通じる貫通開口部36から出発して、鋼製スリーブ63の前側の開口部100(図7)、保持部材52の中央の開口部60、鋼製スリーブ63の後側の開口部101、連結ねじ85の縦方向孔102(図3)、及び駆動部材17(図3)の縦方向孔103を通って延びている。そこから長手方向孔は、ピストの中空室15(図1)を通って延びている。中空室15の後側でピストン4に開口部104を設けてあり、該開口部は、ピストン4の後側の背面に設けられて該ピストンから後方へ延びる管部材105内に通じており、該管部材はシール106を介して摺動可能に背壁内に案内されている。換言すれば前記長手方向孔は、前側の閉鎖部材の貫通開口部36、鋼製スリーブ63の前側の開口部100、保持部材52の中央の開口部60、鋼製スリーブ63の後側の開口部101、連結ねじ85の縦方向孔102、及び駆動部材17の縦方向孔103、並びにピストン4の中空室15、及び該中空室15の後側の開口部104、並びに管部材105によって形成されている。
【0037】
駆動部3の圧縮空気系の機能を損なわないようにするために、長手方向孔の内部は密閉(シール)されている。このために、シリンダー室6を外部に対して遮断若しくは隔離しているシール106のほかに、シール20を設けてあり、該シールは中空室15及び長手方向孔をシリンダー室6に対して密閉している。
【0038】
本発明は前述の実施例に限定されるものではなく、請求範囲に記載の種々の実施態様並びに当業者にとって考えられる種々の構造で多様に実施され得るものである。
【符号の説明】
【0039】
1 ケーシング、 2 グリップ、 3 駆動部、 4 ピストン、 5 シリンダー、 6 シリンダー室、 7 圧縮空気弁、 8 管路、 9 案内部分、 10 周壁、 11 背壁、 12 カバー、 15 中空室、 16 径拡大部、 17 駆動部材、 18 ロッド、 19 ねじ込み式閉鎖部、 24 連結部、 25 工具ホルダー、 30 中間部材、 31,32 閉鎖部材、 34 座部、 35 工具、 36 開口部、 37 部分、 39 肩部、 40 受容面、 42 突起部、 43 凹設部、 50 保持機構、 51 室、 52 保持部材、 53 ばね、 54 ピン、 55 止まり穴、 56 ばね、 60 開口部、 63 鋼製スリーブ、 70 ねじ、 71 孔、 73 固定部材、 74 凹設部、 75 ねじ、 76 凹部、 80 凸状嵌合部、 82 連結ピン、 83 穴、 85 連結ねじ、 86 凹部、 87 固定ピン、 88 ピン孔、 90 ピン係止部材、 93 開口部、 100,101 開口部、 102,103 縦方向孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
打撃工具、殊に外科処置に使用される打撃工具であって、
駆動部(3)、
前記駆動部(3)に結合された駆動部材(17)、及び
前記駆動部(3)の前側に配置されていて前記駆動部材(17)に結合された工具ホルダー(25)を備えており、この場合に、
前記駆動部(3)は、前記駆動部材(17)を介して前記工具ホルダー(25)に打撃工具の軸線(A)の方向の振動運動を生ぜしめるように形成されている形式のものにおいて、
駆動部材(17)は連結部(24)を介して工具ホルダー(25)に結合されており、この場合に連結部(24)は外側に向かって先細の第1の構成部分(80)と、外側に向かって広がっていて前記構成部分上に装着された第2の構成部分(81)とを備えており、前記第2の構成部分(81)を、打撃工具の軸線方向の引っ張り力によって前記第1の構成部分(80)上に装着して該第1の構成部分によって開拡させるようになっており、かつ、
前記工具ホルダー(25)と前記駆動部材(17)との間に前記両方の構成部分間の結合のため、並びに軸線方向の引っ張り力の形成のための引っ張り部材(85)を設けてあることを特徴とする、打撃工具。
【請求項2】
連結部(24)は、打撃工具の軸線(A)を中心とした回動を阻止する形状係合式の連結部として形成されており、殊に第1の構成部分(80)はサドル状の突起部を有している請求項1に記載の打撃工具。
【請求項3】
引っ張り部材(85)は、連結部(24)を通って延びる連結ねじ(85)によって形成されており、殊にこの場合に長手方向孔(102)は前記連結ねじ(85)を通って延びている請求項2及び3のいずれか1項に記載の打撃工具。
【請求項4】
連結ねじ(85)は、少なくとも1つの固定部材によって回動に対して形状係合式にロックされるようになっており、殊にこの場合に固定部材は固定ピン(87)によって形成されており、該固定ピン(87)は後側の閉鎖部材(32)のピン孔(88)内に差し込まれて、少なくとも1つのピン係止部材(90)によって保持されるようになっており、殊に前記ピン係止部材(90)は前記後側の閉鎖部材(32)の係止孔(93)内に挿入されてばね力に抗して保持された係止体を含んでおり、該係止体は前記ばね力に抗して前記ピン孔(88)から押し出されるようになっている請求項3に記載の打撃工具。
【請求項5】
連結部(24)は少なくとも1つの連結ピン(82)を含んでおり、該連結ピンは軸線(A)に対して平行に駆動部材(17)から閉鎖部材(32)内へ延びている請求項1から4のいずれか1項に記載の打撃工具。
【請求項6】
駆動部材(17)は連結部(24)から駆動部(3)内へ一体構造で延びている請求項1から5のいずれか1項に記載の打撃工具。
【請求項7】
打撃工具は、打撃工具の前側から打撃工具の後側へロッド状の構成部分を差し嵌めるために打撃工具の軸線(A)の方向で工具ホルダー(25)及び駆動部(3)を通って延びる貫通した長手方向孔を有している請求項1から6のいずれか1項に記載の打撃工具。
【請求項8】
工具ホルダー(25)は1つの工具端部の受容のための貫通開口部(36)を有しており、この場合に長手方向孔は前記貫通開口部(36)につながっている請求項7に記載の打撃工具。
【請求項9】
工具ホルダー(25)は駆動部材(17)を介して駆動部(3)に連結されており、この場合に長手方向孔は前記駆動部材(17)を通って延びている請求項7又は8に記載の打撃工具。
【請求項10】
駆動部(3)は、振動運動のために駆動可能なピストン(4)を有しており、この場合に長手方向孔は前記ピストンを通って延びている請求項7から9のいずれか1項に記載の打撃工具。
【請求項11】
駆動部材(17)は径拡大部(16)を有しており、該径拡大部はピストン(4)の内部の中空室(15)内に配置されており、この場合に長手方向孔は前記ピストン(14)の前記中空室(15)及び、該中空室(15)の後側に設けられた孔(104)を通って延びており、殊に前記中空室(15)は、前記ピストン(14)が配置されているシリンダー室(6)に対してシール(20)によって密閉されている請求項9及び10に記載の打撃工具。
【請求項12】
ピストン(4)は該ピストンから後方へ延びる管部材(105)を備えており、この場合に長手方向孔は前記管部材(105)を通って延びており、殊に該管部材(105)はシール(106)を介して摺動自在に打撃工具の背壁(11)内を延びている請求項11に記載の打撃工具。
【請求項13】
駆動部(3)は、工具ホルダー(25)に打撃工具の軸線(A)の方向の振動運動を生ぜしめるように形成されており、前記工具ホルダー(25)は貫通開口部(36)、及び工具の相対回動不能な受容のために前記貫通開口部(36)に配置された座部を有しており、工具の相対回動不能な受容のための座部は、軸線(A)に対して垂直方向に延びる1つの受容面(40)を有しており、該受容面に、前記貫通開口部(36)を中心として対称的に配置されて前記受容面から前方へ突出する少なくとも4つの突起部(42)を設けてあり、該各突起部間に工具の肩部の受容のためのスペースを形成してある請求項1から12のいずれか1項に記載の打撃工具。
【請求項14】
隣接の突起部(42)間の間隔は約10.05mmである請求項13に記載の打撃工具。
【請求項15】
工具ホルダー(25)は軽金属から成る中間部材(30)、鋼から成る前側の閉鎖部材(31)及び鋼から成る後側の閉鎖部材(32)を有している請求項1から14のいずれか1項に記載の打撃工具。
【請求項16】
中間部材(30)はアルミニウム、マグネシウム及びチタンのうちの少なくともいずれか1つから成っている請求項15に記載の打撃工具。
【請求項17】
前側の閉鎖部材(31)は工具の相対回動不能な受容のための座部を有している請求項15又は16に記載の打撃装置。
【請求項18】
工具ホルダー(25)、殊に中間部材(30)内に、貫通開口部(30)を介して中間部材(30)内に差し込まれた工具の保持のための保持機構(50)を備えており、特にこの場合に前記保持機構(50)と前記中間部材(30)との間に鋼製スリーブ(63)を配置してあり、この場合に前記保持機構(50)は、軸線に対して垂直方向にかつばね力に抗して移動可能な保持部材(52)を有している請求項1から17のいずれか1項に記載の打撃工具。
【請求項19】
保持機構(50)は中間部材(30)内に配置されており、若しくは保持機構(50)はばね力によって押し出されないようにピン(54)によって保持されており、前記ピンは前記中間部材(30)の止まり孔(55)内に配置されるようになっており、前記止まり孔(55)は前記中間部材(30)と前側の閉鎖部材(31)との間の分離面に開口しており、これによって前記ピン(54)は前側の閉鎖部材(31)の組み付けに際して前記止まり孔(55)内に受容されるようになっている請求項18に記載の打撃工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−167547(P2011−167547A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101493(P2011−101493)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【分割の表示】特願2008−511527(P2008−511527)の分割
【原出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【出願人】(507382555)イーエムテー インテグラール メディツィンテヒニーク アクチエンゲゼルシャフト (2)
【氏名又は名称原語表記】IMT Integral Medizintechnik AG
【住所又は居所原語表記】Riedstrasse 14, CH−6373 Ennetbuergen, Switzerland
【出願人】(507382566)グリューニッヒ ウント エルミガー アクチエンゲゼルシャフト (2)
【氏名又は名称原語表記】Gruenig & Elmiger AG
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 22, CH−6102 Malters, Switzerland
【Fターム(参考)】