説明

打楽器

【課題】 自然楽器の演奏の学習を行う際、商用電源、バッテリー等を不要にしながら、「音」のみならず「光」によって視覚情報による学習のアシストを行えるようにする。
【解決手段】 サスペンデッド・シンバルに発光ユニット50を取り付けた。シンバル48が振動すると、その振動が板バネ62を介して発光素子12に伝達される。発光素子12は、PZTなどの圧電結晶と、ZnSなどの発光膜とを一体に成型したものであり、印加された物理的圧力に応じて発光する。発光素子12は質量体58に固定され、質量体58は弾性体56を介して弾性的に発光ユニット50内に取り付けられている。これらにより、発光素子12自体の振動が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打楽器に用いて好適な打楽器に関する。
【背景技術】
【0002】
パッドなどを有する電子楽器において、各パッドの近傍にLEDを設けたものが特許文献1に開示されている。これは、演奏情報に基づいて様々なリズム音を自動的に生成する際に各リズム音に対応するLEDを発光させ、各リズム音が何れのパッドに対応するのか表示するためである。また、複数のパッドの周囲を異なる色で光らせることにより、パッドに係る音色を区別できるようにしたものが特許文献2に開示されている。また、特許文献3には、パッドの周囲にLED等を配設し、パッドに対する打撃態様(打撃位置や強さ)に応じて発光態様を異ならせるものが開示されている。以上述べた技術は、何れも電子楽器であり、商用電源またはバッテリーなどから電気エネルギーの供給を受けてLED等を発光させるものであった。
【0003】
一方、特許文献4には、電圧を発生させる圧電素子と、発光素子とを一体の半導体素子として形成し、機械的な衝撃を与えることによって発光素子を発光させる素子(以下、自己完結型素子という)が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開昭62−141592号公報
【特許文献2】特開平11−30983号公報
【特許文献3】特許第3654293号公報
【特許文献4】特許第3323910号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般的に打楽器の演奏方法を習得しようとする場合は、実際にプロなどの指導者の演奏などに接することにより、演奏状態を「耳」から習得する場合が多いが、「目」から取得できる情報(視覚情報)によって「耳」から取得できる情報(聴覚情報)をアシストできるようにすると、学習効果を一層高めることができる。特に、聾唖者が打楽器の演奏方法を習得しようとする場合は、視覚情報によるアシストは非常に重要である。
【0006】
背景技術において述べたように、電子打楽器においてはLED等を用いて視覚情報によって学習をアシストすることは知られていたが、自然打楽器においては同様のものは存在しなかったため、自然打楽器においても視覚情報によるアシストを行うことが望まれていた。
【0007】
しかし、これら電子打楽器は、バッテリーや商用電源などの外部電源によってLED等を発光させるものであり、これを自然打楽器にそのまま適用することは種々の問題が生じる。例えば、バッテリーを使用する場合には、その交換などの作業が煩雑になり、商用電源を使用する場合には楽器の設置場所に制約が生じる。さらに、何れの場合にも楽器の重量が大きくなるという問題も生じる。
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、重量の増加を抑制しつつ設置場所の制限を無くし、かつ、バッテリー等の交換を不要にしながら、視覚情報によるアシストを行うことができる打楽器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明にあっては、下記構成を具備することを特徴とする。なお、括弧内は例示である。
請求項1記載の打楽器にあっては、打面体(48)を有する打楽器であって、印加された圧力に応じてエネルギーを発生し該エネルギーによって光を放射する発光素子(12)と、前記打面体(48)に生じた振動または変位を前記発光素子(12)に伝達する伝達手段(62)であって、その一端(62a)が前記打面体(48)に連動して振動し、その他端が前記発光素子(12)の被押圧部(12−1)に接触する伝達手段(62)と、前記打面体(48)の下面に接する弾性体(44)と、前記弾性体(44)を介して前記打面体(48)を弾性的に支持する打面体支持体(40)と、前記発光素子(12)と前記伝達手段(62)とを収納する発光ユニット筐体(52,54)と、前記発光ユニット筐体(52,54)に対して保持弾性体(56)によって弾性的に保持されるとともに、前記発光素子(12)の放射光が前記発光ユニット筐体(52,54)の外に向かう方向に発光面を向けるように前記発光素子(12)を固定する質量体(58)とを有し、前記打面体(48)が打撃されると、前記伝達手段(62)を介して該打撃による振動または変位が前記発光素子(12)に伝達され前記発光素子(12)が発光することを特徴とする。
また、請求項2記載の打楽器にあっては、印加された圧力に応じてエネルギーを発生し該エネルギーによって光を放射する発光素子(12)と、該発光素子(12)を押圧する押圧部(32)を有する打面部(4)とを有し、前記発光素子(12)から放射された光を外部に放射することを特徴とする。
また、請求項3記載の打楽器にあっては、第1の打面部(124)と、第2の打面部(126)とを有し、該第1および第2の打面部(124,126)を衝打させて発音させる打楽器(100)において、印加された圧力に応じてエネルギーを発生し該エネルギーによって光を放射する発光素子(12)と、前記第1および第2の打面部(124,126)を衝打する際に前記発光素子(140)を前記第2の打面部(126)に押圧する押圧手段(136)とを有することを特徴とする。
さらに、請求項4記載の構成にあっては、請求項3記載の打楽器(100)において、前記押圧手段(136)は弾性体であり、前記第1および第2の打面部(124,126)が非接触状態にあるとき前記発光素子(140)と前記第2の打面部(126)とを離間し、前記第1および第2の打面部(124,126)を衝打する際に縮むことによって前記発光素子(140)を前記第2の打面部(126)に押圧するものであることを特徴とする。
さらに、請求項5記載の構成にあっては、請求項1記載の打楽器において、前記打楽器(150)は略平板状の形状を有し、前記発光素子(12)は該打楽器(150)の一方の面から前記光を放射するものであり、前記打楽器(150)の他方の面に、前記打楽器(150)を使用者に装着する装着手段(154)を設けたことを特徴とする。
また、請求項6記載の打楽器にあっては、打面体(48)を有する打楽器であって、印加された圧力に応じてエネルギーを発生し該エネルギーによって光を放射する発光素子(12)と、前記打面体(48)に生じた振動または変位を前記発光素子(12)に伝達する伝達手段(62)とを有し、前記打面体(48)が打撃されると、前記伝達手段(62)を介して該打撃による振動または変位が前記発光素子(12)に伝達され前記発光素子(12)が発光することを特徴とする。
さらに、請求項7記載の構成にあっては、請求項6記載の打楽器において、前記打楽器は、前記打面体(48)の下面に接する弾性体(44)と、前記弾性体(44)を介して前記打面体(48)を弾性的に支持する打面体支持体(40)と、前記発光素子(12)と前記伝達手段(62)とを収納する発光ユニット筐体(52,54)とを有し、前記伝達手段(62)は、その一端(62a)が前記打面体(48)に連動して振動し、その他端が前記発光素子(12)の被押圧部(12−1)に接触するものであり、前記発光素子(12)は、その放射光が前記発光ユニット筐体(52,54)の外に向かう方向に発光面が向けられていることを特徴とする。
さらに、請求項8記載の構成にあっては、請求項7記載の打楽器において、前記発光ユニット筐体(52,54)は、前記伝達手段(62)に伝達された振動または変位が前記発光素子(12)に伝達されやすくなるように前記発光素子(12)の動きを抑制する助成手段(58)をさらに有することを特徴とする。
また、請求項9記載の打楽器にあっては、押圧部(32)を有する打面部(4)と、前記打面部(4)への打撃によって発音する振動発音体(30)と、前記打面部(4)への打撃に応じてエネルギーを発生し該エネルギーによって光を放射する発光素子(12)と、前記発光素子(12)から放射される光を外部に導出する導出部(16)とを有することを特徴とする。
さらに、請求項10記載の構成にあっては、請求項9記載の打楽器において、一端が前記打面部(4)に固定されたバネ体(4g)と、該バネ体(4g)の他端に固定された発音体打撃手段(4b)とを有し、前記打面部(4)が打撃されたとき、前記発音体打撃手段(4b)が前記振動発音体(30)を打撃することを特徴とする。
さらに、請求項11記載の構成にあっては、請求項9記載の打楽器(変形例)において、一端が前記打面部(4)に固定されたバネ体(4g’)と、該バネ体(4g)の他端に固定された発光素子打撃手段(4p)とを有し、前記打面部(4)が打撃されたとき、前記発光素子打撃手段(4p)が前記発光素子(12)を打撃することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明によれば、印加された圧力に応じて光を放射する発光素子、すなわち発光するためのエネルギーが自己完結的に確保される素子によって光を放出するため、バッテリーや商用電源などの外部電源は不要になり、重量の増加を抑制しつつ設置場所の制限を無くし、かつ、バッテリー等の交換を不要にできる。また、本発明の打楽器をリズムに合わせて打撃したとき、打撃が弱いと、発光しないか弱発光になるため、指導者と同等の強さで打撃しているか否かを視覚情報として確認できる。これにより、聾唖者であっても、効率よく奏法を学習することができる。そして、電源不要であることから、マスゲームやマスイベント、知的玩具としての応用範囲も広くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
1.第1実施例
次に、本発明の第1実施例の自然打楽器の全体構成を図1を参照し説明する。
図1において2は筐体部であり、共に略円柱状に形成された上筐体部2aと、下筐体部2bとを結合して構成されている。6はスタンドであり、筐体部2を傾斜させつつ支持する。上筐体部2aの上面において4,...,4は硬質ゴムからなる弾性樹脂を略平板状に形成して成る「4」個の打面部である。
【0011】
次に、図1におけるA−A’断面を図2に示す。なお、図示の部分は、中心線CLよりも左側の部分であるが、図示せぬ右側の部分は、この左側の部分と対称になるように構成されている。図2において打面部4の周縁部4aは全周に渡って下方向に突出しており、周縁部4aの下面には、随所に固定部4f,...,4fを介して、長尺状の板バネ4g,...,4gの各一端が固着されている。板バネ4g,...,4gは片持ち梁構造を有しており、その自由端に金属からなる打撃子4b,...,4bが固着されている。打面部4の下方において30は金属平板によって構成された発音体であり、打撃子4b,...,4bによって衝打されると、振動することによって楽音を発生させる。22は略円柱状の支持部であり、打面部4および発音体30を支持する。
【0012】
打面部4の中央部下方において12は発光素子であり、打面部4がバチまたは手によって衝打されると、発光する。なお、発光素子12が発光する理由については後述する。10はレンズ体保持部であり、打面部4の周縁部4aを囲むように、硬質ゴムからなる弾性樹脂を略円環状に形成して成るものである。レンズ体保持部10の上面には、レンズ体18,...,18が随所に埋設されている。また、レンズ体保持部10の内周面には、打面部4の周縁部4aの下方に向かって、円環状の係止部10aが突出している。これにより、打面部4が衝打された際に、周縁部4aが係止部10aによって係止される。また、その際、板バネ4g,...,4gが撓み、スナップを効かせたようにして打撃子4b,...,4bによって発音体30が衝打される。
【0013】
16,...,16は光ファイバであり、その各一端は上記レンズ体18,...,18に接合されている。また、各光ファイバの他端側は束ねられ、支持部22の内部を介して発光素子12に接合されている。なお、光ファイバ16,...,16を束ねた部分を「光ファイバ束14」という。20,...,20は円柱状の取付ボスであり、下筐体部2bの各部から上方に向かって突出している。これら取付ボス20,...,20と、これに当接する上筐体部2aの各部とは、ネジ21によって固定される。
【0014】
次に、図3(a)を参照し発光素子12の詳細構成を説明する。図3(a)において12−3は圧電結晶であり、例えばPZT, LiNbO3等によって構成される。12−2は正電極、12−4は負電極であり、圧電結晶12−3に銀を蒸着して形成されている。12−1は押圧板であり、正電極12−2に固着されている。負電極12−4の下面には、ZnSなどの発光膜12−5が形成されている。さらに、発光膜12−5の下面には、透明電極12−6が固着されており、この透明電極12−6と正電極12−2とはリード線12−7によって接続されている。
【0015】
図3(a)の構成において押圧板12−1が外力により押下されると、圧電結晶12−3が歪み、正電極12−2および負電極12−4間に電圧が生じる。ここで、負電極12−4の電位はそのまま発光膜12−5の上面に印加され、正電極12−2の電位はリード線12−7、透明電極12−6を介して発光膜12−5の下面に印加されるから、発光膜12−5が発光し、その放射光は透明電極12−6の下面から下方に向かって放射される。
【0016】
ここで、透明電極12−6に各光ファイバ16,...,16の一端を接合するとともに、光ファイバ16,...,16の他端にレンズ体18,...,18を各々接合した状態の発光素子12の外観を図3(b)に示す。
【0017】
次に、図5を参照し、発音体30および関連する構造の詳細を説明する。図5に示すように、発音体30は、金属板を略十字状に形成して成るものであり、十字を構成するそれぞれの長方形の振動弁304〜307毎に打撃を受け、各々が僅かに異なる周波数で振動するように形成されている。発音体30の中心部308は一体にまとめられて固定されるため、振動弁304〜307は、それぞれ独立した「4個」の振動弁になる。これら振動弁304〜307の振動周波数を僅かに異ならせた理由は、打面部4の中央部をユーザが衝打したとき、振動弁304〜307の全てが振動し、このときに釣鐘を叩いたときのような、うねりのある味わい深い音を得るためである。一方、打面部4のうち、何れかの振動弁の直上の位置を衝打すると、振動弁304〜307のうち何れか一枚のみが衝打される。
【0018】
この場合、最初は衝打された一枚の振動弁のみが振動するが、若干の時間が経過すると他の振動弁も共振してうねりが生じる。また、打面部4において二の振動弁の間を衝打すると、二弁が同時に振動するため、最初からうねりを伴ってこれら二弁が同時に振動する。図1に示した「4」個の打面部は、それぞれ固有振動数が異なっており、例えば「1度」、「4度」、「5度」、「7度」のような音程を有している。なお、この音程は、「ド」、「ミ」、「ソ」、「ド」のようなものであってもよい。
【0019】
打面部4がユーザによって衝打されると、周縁部4aとともに打撃子4bが下方に移動し、該周縁部4aがレンズ体保持部10の係止部10a(図2参照)に達すると、慣性によって打撃子4bがさらに下方に移動し、振動弁304〜307のうち何れか一枚または複数枚を衝打する。衝打された振動弁は振動し楽音を発生させる。但し、打面部4を衝打するスピードが遅ければ(力が弱ければ)、打撃子4bが振動弁を打撃しないため、楽音が発生しないこともある。
【0020】
次に、図2において一点鎖線Bで囲まれた部分の要部の詳細構造を図4(a)を参照し説明する。図4(a)において打面部4の中央下面には、下方に向かって略円筒状の円筒部4eが形成されており、円筒部4eの下端には、すり鉢状に広がった薄肉部4dが形成されている。さらに、薄肉部4dの下端には、円環状に形成された円環部4cが形成されている。
【0021】
また、打面部4を支持する支持部22の上端部は、略円盤状に広がっており円盤部22aが形成されている。そして、発音体30は、その中央付近において円盤部22aと円環部4cとに挟持されている。そして、円盤部22a、発音体30および円環部4cには、複数のネジ26,...,26が下から上方向に向かって挿通しており、ネジ26,...,26の先端部は固定金具24に螺合されている。
【0022】
ここで、固定金具24の構造を図4(b)を参照し説明する。固定金具24は、円環状の平板の一部を切り欠いたような略C字状の平面形状を有しており、その外縁部は下方に向かって垂直に折り曲げられ、図4(a)に示したように断面形状は略L字状になっている。固定金具24は、周回方向四等分位置に雌ネジを螺刻したネジ穴24a,...,24aが形成されている。上述したネジ26,...,26が円盤部22a、発音体30および円環部4cを挿通し、ネジ穴24a,...,24aに螺合されることにより、発音体30および打面部4の円環部4cは支持部22に固定される。
【0023】
固定金具24が円環状ではなく略C字状に形成されている理由は、打面部4に固定金具24を装着することを容易にするためである。すなわち、固定金具24を打面部4に装着するには、まず固定金具24の切欠部24bを円筒部4eに遊挿させ、しかる後に固定金具24を円環部4cに嵌め込むようにするとよい。
【0024】
また、ネジ26,...,26の下方において、下筐体部2bには、貫通孔2c,...,2cが形成されている。ここには、ネジ26,...,26を固定金具24に螺合させる際、図示せぬドライバーが挿通される。支持部22の上面には、発光素子12を挟持する発光素子支持部材27がネジ28,...,28によって支持部22に固定されており、これによって発光素子12は支持部22に固定されている。
【0025】
光ファイバ束14は、支持部22の中心軸を貫通し、光ファイバ16,...,16として各レンズ体18,...,18に接続される(図2参照)。円筒部4eの上端部において打面部4には、金属製の衝打部32が固定されている。衝打部32は略円盤状に形成され、下方に向かって円錐状に突出する突起部32aが形成されている。ここで、突起部32aと押圧板12−1とは、「0.3mm〜2mm」程度の僅かな隙間を隔てて配設される。
【0026】
上記構成においてユーザが打面部4を衝打すると、打撃子4b,...,4bによって発音体30が衝打され、発音体30が振動することによって楽音が発生する。また、これと同時に、打面部4の薄肉部4dが押しつぶされるように撓み、衝打部32によって発光素子12が衝打され、発光素子12の下面から光が放射される。放射された光は、各光ファイバ16,...,16を通してレンズ体18,...,18から放射される。
【0027】
2.第2実施例
次に、本発明の第2実施例の自然打楽器を図6(a)を参照し説明する。
なお、第2実施例の自然打楽器は、サスペンデッド・シンバルに発光ユニット50を装着して成るものである。図6(a)において48はシンバルであり、円盤をややすり鉢状に湾曲させた形状を有するとともに、その中心部に貫通孔48aが形成されている。44は弾性体であり、ウレタンゴム等を略円筒状に形成して構成されており、シンバル48の中心部の下面に当接されている。40は略円筒状の支持棒であり、その上端部には、より外周の広い円筒状に形成された支持ベース43が固着されている。なお、支持棒40の下端部(図示せず)は、三脚スタンドになっている。支持ベース43の上面は、弾性体44の外径に等しい直径を有する円形の凹部43aが形成されており、ここに弾性体44の下端部が嵌合されている。また、支持ベース43の内周面には雌ネジが螺刻されている。
【0028】
50は発光ユニットであり、その筐体は、下筐体部52と、上筐体部54とから構成されている。下筐体部52は、略円盤状の円盤部52aと、円盤部52aから上方向に突出する短尺円筒状の螺合部52bとから構成されている。また、上筐体部54は、略円筒状の本体部54aと、その上端を覆う円盤状の上端部54bとから構成されている。ここで、上筐体部54の上端部54bは透明な部材によって形成されており、発光素子12から放射された光が外部に透過するように構成されている。上筐体部54の本体部54aの下部内周面には雌ネジが螺刻されており、下筐体部52の螺合部52bの外周面には雄ネジが螺刻されている。これにより、下筐体部52に上筐体部54を被せ、上筐体部54を回転させると、図示のように下筐体部52と上筐体部54とが螺合される。
【0029】
下筐体部52の円盤部52aの上面には、板バネ62およびスプリングワッシャ64が載置されている。なお、板バネ62の詳細構成については後述する。42はシンバル固定ネジであり、スプリングワッシャ64、板バネ62、下筐体部52、シンバル48、弾性体44を挿通し、支持ベース43の内周面に螺合され、さらに支持棒40に挿通している。シンバル固定ネジ42の下端部42bはやや小径になっている。支持棒40においては、横方向からゆるみ防止ネジ46が螺合しており、シンバル固定ネジ42の下端部42bを押圧することにより、シンバル固定ネジ42のゆるみを防止している。
【0030】
上筐体部54の内周面には、略環状の弾性体56が固着されている。58は略環状の質量体58であり、例えば鉄などによって構成されている。また、質量体58の外周面には、周回方向に沿って、弾性体56が嵌合する溝58aが形成されている。溝58aの内周面には、押圧板12−1が下方になるように発光素子12が埋設されている。これにより、発光素子12の発光面(図3(a)参照)は、図6(a)においては発光素子12の上面になる。そして、板バネ62の先端部は発光素子12の押圧板12−1に当接している。
【0031】
ここで、板バネ62と、下筐体部52の円盤部52aとの詳細構成を図7を参照し説明する。なお、図7において円盤部52aは、螺合部52bよりも内側の部分のみを図示する。板バネ62は、略長方形状の底板62aと、該底板62aの長辺から凸字状に横方向に突出した突起部62fと、底板62aの一短辺から約「45°」の角度で内側に折れ曲がった傾斜部62cと、傾斜部62cの先端からさらに上方向に折れ曲がった垂直部62dと、垂直部62dの先端から上方向に凸字状に突出した接触部62eとから構成される。この接触部62eは、発光素子12の押圧板12−1に接触することにより、板バネ62の振動および変位を発光素子12に伝達する。
【0032】
円盤部52aの中心部には、シンバル固定ネジ42を挿通させる円形の貫通孔52dが形成されている。また、板バネ62の底板62aにおいては、その中心部に長手方向に沿って長穴62bが形成されており、板バネ62の載置状態(図示の状態)において、長穴62bの一端が下筐体部52の貫通孔52dに重なる。次に、その他の構成を図8を参照し説明する。まず、シンバル固定ネジ頭部42aには、十字溝42cが形成されており、シンバル固定ネジ42はプラスドライバーによっても、レンチによっても締め付けが可能になっている。また、円盤部52aの上面には、底板62aおよび突起部62fの形状に沿って凹んだ凹部52eが形成されており、この凹部52eに板バネ62が嵌合される。これにより、板バネ62は、正しい位置に正しい方向で下筐体部52上に安定的に保持される。
【0033】
次に、サスペンデッド・シンバルの組み立て方法を説明する。
まず、ユーザは支持ベース43に弾性体44を載置し、さらにその上にシンバル48および下筐体部52を載置する(図6(a)参照)。次に、シンバル固定ネジ42を支持ベース43から引き抜いた状態で、シンバル固定ネジ42に対して、スプリングワッシャ64、板バネ62、および下筐体部52を順次挿通する。この際、図8に示すように、板バネ62を傾け、傾斜部62cを避けるようにして板バネ62の長穴62bにシンバル固定ネジ42を挿通させる。
【0034】
図8の状態において、シンバル固定ネジ42をさらにシンバル48、弾性体44に挿通し、支持ベース43に螺合させてゆくと、シンバル固定ネジ頭部42aが徐々に下方向に移動する。そして、ある程度シンバル固定ネジ頭部42aが下降した状態において、板バネ62の傾斜部62cをシンバル固定ネジ頭部42aの上方に多い被せるようにして底板62aを凹部52eに対抗させつつ水平にする。この状態においてさらにシンバル固定ネジ42を締め付けてゆくと、板バネ62は、図7に示した位置に固定される。
【0035】
以上のように、板バネ62等とともに下筐体部52を支持棒40に固定した後、上筐体部54を下筐体部52に被せ、上筐体部54を手で回して下筐体部52の螺合部52bに螺合させると、図6(a)に示したように、発光ユニット50が弾性的にサスペンデッド・シンバルに実装された状態になる。
【0036】
上記構成においてシンバル48を衝打すると、図6(b)に示すようにシンバル48が振動しつつ傾く。このシンバル48の振動および変位は、弾性体44およびスプリングワッシャ64にも伝わる。上述した構成から明らかなように、発光ユニット50は上下の弾性体64,44で挟まれて、いわば宙吊りのような状態で支持棒40の上部に載置されているので、シンバル48の振動及び変位が発光ユニット50に極めて伝わりやすくなっている。従って、シンバル48を叩くと、その強度に見合った振動または変位エネルギーが板バネ62を介して発光素子12に伝達され、発光素子12が発光する。その発光態様は、振動または変位に応じて様々である。
【0037】
まず、強打の場合は、振動および傾き変位が発生する。シンバル48の傾きが伴わない打撃の場合は、その振動が板バネ62を介して発光素子12に伝達され、発光するのに見合ったレベル以上の振動が伝わったときのみ発光素子12が発光する。例えば、軽打、中打、強打において、カップ部481に近い箇所をスティックで叩くと、板バネ62に上下の強振動が発生するので、これによって発光させるに足るエネルギーを得ることができる。
【0038】
次に、別の叩き方、例えば軽打で、シンバル48の外周を叩いたのでは振動強度がなく、発光しないか、あるいは発光強度が極めて小さくなるように質量体58の質量、板バネ62および弾性体44の弾性力を設定するようにもできる。シンバル48が傾くような打撃態様では、図5(b)のように、弾性体44が圧縮されるとともに、スプリングワッシャ64がシンバル固定ネジ頭部42aの側に向かって圧縮されることにより、シンバル48の傾きを許容している。これによって図5(b)では、スプリングワッシャ64の圧縮分だけ、発光ユニット50が上下に変位する。この時のシンバル48の打撃強度によって発光ユニット50が上方に移動するスピードが決定され、その速さによって質量体58がその場に留まろうとする慣性力が決まる。その速さが速いほど、図5(b)のような質量体58の変位が見られる。これによって板バネ62が圧縮され、この圧縮力によってきわめて強い力が発光素子12に伝達され、発光素子12が強く発光する。このとき、シンバル48本来の上下振動の上移動分が重なることがあれば、さらに強い力が発光素子に加わり、さらに強く発光する。
【0039】
このように本実施例においては、発光素子12は質量体58に埋設されており、質量体58は発光ユニット50の振動および変位に対して直ちには追従せず現状の位置を保とうとするため、板バネ62から伝達される力が発光素子12に伝わりやすくなる。かかる効果を奏するためには、質量体58は「30」グラム以上であることが望ましく、より望ましくは「100」グラム以上にすることが好適である。
【0040】
なお、シンバル固定ネジ42の締め付け具合を加減することにより、同じ強さでシンバル48を衝打したときのシンバル48の変位が変わるため、これによって、発光素子12の発光の度合いを変化させることができる。さらに板バネ62の剛性の強弱によっても発光素子12の発光の度合いを変化させることができる。例えば、発光素子12の感度が弱い場合には、板バネ62のバネ性を高める(例えばヤング率の大きい部材を使用する、または肉厚にする)ことにより、発光素子12に印加される力を高めることができる。このように、本実施例においては、発光素子12の様々な特性(感度および精度)に柔軟に対応できる。
【0041】
さらに、本実施例においては、発光ユニット50がシンバル48の上方に設けられているため、バチなどで発光ユニット50を叩くことによっても、発光ユニット50を発光させることができる。これにより、バンド構成において、楽音(本来のシンバルとしての楽音)を発生させることなく、ドラマーが他のメンバーの注意を視覚に基づいて引くことができるという、利点を奏するものである。
【0042】
なお、本実施例は、サスペンデッド・シンバルに発光ユニット50を装着した例を示すものであるが、発光ユニット50を装着しない場合も考えられるため、発光ユニット50を装着しない場合のシンバル48の装着方法も説明しておく。図6において、板バネ62、円盤部52aの厚さをL1とする。発光ユニット50を装着しない場合には、厚さL1の円環状の弾性体を、シンバル固定ネジ頭部42aと、シンバル48との間に挿入するとよい。その際、スプリングワッシャ64は通常のワッシャに変更してもよい。
【0043】
3.第3実施例
次に、本発明の第3実施例の自然打楽器70の全体構成を図9(a)を参照し説明する。なお、図9(a),(b)において図1〜図4(第1実施例)の各部に対応する部分には同一の符号を付す。図9(a)において自然打楽器70は、略樽型の外形を有しており、その鉛直方向に向かって下部約「4/5」の高さを占める下筐体部74と、該下筐体部74の上方に固定され、上部約「1/5」の高さを占める上筐体部72とから構成されている。上筐体部72の側周面においては、レンズ体18,...,18が埋設されている。また、上筐体部72の上部には、打面部4が設けられている。
【0044】
図9(a)におけるC−C’断面を図9(b)に示す。図9(b)において、打面部4およびその周辺は、第1実施例の打面部4とほぼ同様に構成されている。第1実施例と異なるところは、発音体30に「8」個の振動弁があり、略「米」字状に形成されていることである。各々の振動弁は独立して振動可能に構成され、同一の振動周波数を有するように構成される。しかし、自然打楽器70が組み立てられた状態では、取り付け位置などの違いにより、僅かに異なる固有振動数を持つようになることも許容される。これによって、ユーザが打面部4を衝打すると、打撃子4b,...,4bによって発音体30が衝打され、発音体30が振動することによって楽音が発生する。この発音の態様は、各々が共振することによって、釣鐘のようなうなり音を発生させることもできる。そして、これと同時に、衝打部32によって発光素子12が衝打され、発光素子12の下面から光が放射される。放射された光は、各光ファイバ16,...,16を通してレンズ体18,...,18から放射される。
【0045】
4.第4実施例
次に、本発明の第4実施例の自然打楽器80の全体構成を図10(a)を参照し説明する。図10(a)において自然打楽器80は、デンデン太鼓状の外観を有している。84は筐体部であり、正面形状が略長円形の柱体状に形成されている。82は把持棒であり、略円柱状に形成され、筐体部84の中心部を貫通し、該中心部に固着されている。そして、筐体部84の両側端部には、紐86,86の一端が固着され、紐86,86の他端には打撃子88,88が固着されている。筐体部84の正面には、該正面を縦方向に二分するように、打撃板90,90が張設されている。また、打撃板90,90には、レンズ体92,92が埋設されている。図10(a)には筐体部84の正面を図示するが、図示せぬ背面もこの正面と同様に構成されている。
【0046】
次に、図10(a)におけるD−D’断面を図10(b)に示す。図10(b)においてD−D’断面は長方形状になり、打撃板90,...,90は該長方形の長辺を成す表裏両面に配置されている。81,81は発音体であり、略長方形板状に形成されている。これら発音体81,81の各一端は、筐体部84の中央部を貫通する把持棒82に対して、回動自在に軸支されている。また、発音体81,81の各他端には、質量体83,83が固着されている。94,...,94は支持棒であり、略円柱状に形成され、筐体部84から内側に向かって突出している。96B,96Bは青色発光素子、96R,96Rは赤色発光素子であり、これらは各支持棒94,...,94の先端部に交互に固着されている。青色発光素子96B,96Bおよび赤色発光素子96R,96Rは、第1実施例の発光素子12(図3(a)参照)と同様に構成されている。98,...,98は打撃部であり、略半球状の金属によって形成され、各発光素子の先端部に固着されている。99,...,99は光ファイバであり、各発光素子の発光面と、対面側のレンズ体92,...,92とを各々接続する。
【0047】
上記構成において、ユーザが把持棒82を把持し、自然打楽器80を軸方向に回動させるように振ると、打撃子88,88によって打撃板90,...,90が繰り返し打撃される。打撃板90が打撃されるタイミングでは、筐体部84は回転力を受けている状態であり、把持棒82に回動自在に設けられた剛体振子としての発音体81,81が、回転に取り残されるようになり、取り残された側の打撃部98に衝突する。このときのエネルギーによって、発光素子96B,96Rが発光する。これと同時に、発音体81,81において衝突音が発生し、これが楽音になる。一点鎖線で示すように、打撃子88,88と打撃板90との衝突による音と、発音体81,81と打撃部98との衝突音がほぼ同時に発生し、場合によっては僅かにタイミングがずれた最大「4」音の楽音が発生する、興味深いデンデン太鼓が実現される。質量体83,83は発音音量を増大するためのものであるが、質量体83,83は不要であればなくてもよい。なお、発光素子96Bまたは96Rから光が放射される。放射された光は、接続されている光ファイバ99を通して、対面側のレンズ体92から放射される。
【0048】
本実施例によれば、全く電源回路を設けることなく光るデンデン太鼓が実現できるから、幼児用の玩具に用いて好適である。本実施例の自然打楽器80は、質量体83,83が回動することにより、筐体部84と質量体83,83との間に相対変位を起すことになるから、その反力が、回転させようとする幼児の手に印加され、五感を刺激し、幼児の頭脳および筋力を発達させ得る好適なおもちゃになっている。また、本実施例は幼児用の玩具のみならず、例えば各種イベントなどにおける、いわゆる追っかけグッズとして用いると、大人であっても楽しめるものになる。
【0049】
5.第5実施例
次に、本発明の第5実施例のハイハット・シンバル100の全体構成を図11(a)を参照し説明する。図11(a)において126,124は上下のシンバルであり、上下方向に当接離反可能に取り付けられている。122はスプリングであり、シンバル124,126を離反する方向に付勢する。116は略円柱状のメインスタンドであり、その上部に円筒状のハイハット・スタンド120が固定されている。また、上シンバル126の上には、発光ユニット130が載置されている。118はリンク棒であり、ハイハット・スタンド120を遊挿するスライド棒121に結合ジョイント部118aを介して結合されるとともに、その一端は発光ユニット130に結合されている。
【0050】
114はフットペダルであり、その先端部114aにはリング112が固着されており、ここには、フック状に形成されたリンク棒118の他端が係止されている。フットペダル114が、ユーザの足で踏まれると、リンク棒118とスライド棒121とを介して、発光ユニット130がスプリング122に抗して下方向に引っ張られる結果、上シンバル126が下シンバル124に衝打される。110は該フットペダルのベース部であり、メインスタンド116の下部に固定されている。
【0051】
次に、発光ユニット130の詳細構成を図11(b)を参照し説明する。図11(b)において発光ユニット130の筐体134は透明な中空の半球状に形成されており、その底板134aから下方に向かって、円筒状の螺合部132が突出している。螺合部132の内周面には、雌ネジが螺刻されている。一方、上述したスライド棒121の上端部には雄ネジが螺刻されており、スライド棒121は螺合部132に螺合される。また、螺合部132の周囲において底板134aには、複数の発光素子アセンブリ140,...,140が環状に配列され、各々底板134aを貫通している。
【0052】
各発光素子アセンブリ140は、底板134aを貫通する発光素子146と、各発光素子146の上面に固着されたレンズ体144と、各発光素子146の下面に固着された押圧板142とから構成されている。ここで、発光素子146は第1実施例における発光素子12と同様に構成されている。そして、各発光素子146の上面が発光面である。136は環状に形成された弾性体であり、複数の発光素子アセンブリ140,...,140の露出部分の側面を覆うように、発光ユニット筐体134と、上シンバル126との間に介挿されている。ここで、弾性体136の下面は、押圧板142の下面よりも、「0.2〜3mm」の厚さL2だけ下方向に突出している。このため、静止状態では押圧板142は上シンバル126には接触しない。
【0053】
上記構成において、ユーザがフットペダル114を踏むと、上シンバル126が下シンバル124に衝打される。その際、弾性体136が上下方向に縮むため、上シンバル126によって押圧板142が押圧され、各発光素子アセンブリ140の上端部から光が放射される。一方、上記厚さL2を大きめに空けておくと、ユーザがバチによって上シンバル126を衝打した場合には、上シンバル126の振動は押圧板142には伝達されないため、各発光素子アセンブリ140は発光しない。このように、本実施例においては、「フットペダル114を踏む」という特定の演奏形態が採られた場合にのみ、発光素子アセンブリ140を発光させることができる。
【0054】
但し、図11(b)において厚さL2を「0」にすると、静止状態においても押圧板142は上シンバル126に接触している状態になる。かかる場合には、ユーザがフットペダル114を踏んだ場合、およびユーザがバチによって上シンバル126を衝打した場合の双方において、上シンバル126に印加された衝撃および上シンバル126の振動は、各発光素子アセンブリ140に伝搬される。従って、かかる場合には何れの演奏形態においても各発光素子アセンブリ140の上端部から光が放射される。
【0055】
また、厚さL2を「0」にした場合には、第2実施例のものと同様に、バチなどで発光ユニット130を叩くことによっても、発光ユニット130を発光させることができる。これにより、第2実施例のものと同様に、本来のシンバルとしての楽音を発生させることなく、ドラマーが他のメンバーの注意を視覚に基づいて引くことができる。
【0056】
6.第6実施例
次に、本発明の第6実施例のボディミュージック用の自然打楽器150の構成を図12を参照し説明する。図12において自然打楽器150,...,150は、平板の略円盤状の形状を有し、ユーザの両腕および両膝に装着されている。各自然打楽器150において、156はレンズ体保持部であり、樹脂を円環状に形成してなるものである。レンズ体保持部156には、複数のレンズ体158,...,158が埋設されている。また、レンズ体保持部156の裏面(図上から隠れている面)にはバンド154が固着されており、このバンド154によって自然打楽器150はユーザの身体の各部に装着されている。
【0057】
152は打面部であり、レンズ体保持部156の内周部分から露出または突出している。ここで、自然打楽器150の内部構造は、第1実施例の構造(図2参照)とほぼ同様である。すなわち、打面部152の構造は第1実施例の打面部4と同様であり、打面部152には打撃子4bと同様の打撃子が埋設されている。また、打面部152の下方には発音体30と同様の発音体が設けられている。必然的に全体の構成を小さくする必要があるため、発音体30は円盤状に形成された単一振動弁の発音体であってもよい。打面部152の中心部の下方には、発光素子12と同様の発光素子が設けられている。そして、該発光素子とレンズ体158,...,158とは、光ファイバによって結合されている。
【0058】
上記構成においてユーザが打面部152を手で衝打すると、打撃子によって発音体が衝打され、発音体が振動することによって楽音が発生する。また、これと同時に、発光素子が衝打され、発光素子12の下面から光が放射される。放射された光は、各光ファイバを通してレンズ体158,...,158から放射される。
【0059】
ところで、近年、リズムを学習させる教育や、リズムを学習することによるボケ防止療法などが注目されている。また、小児に対するリズム教育においては、楽器を全く使用せずに各自の膝や腰、腕部を叩いたり、ハンドクラップなどによってマスリズムを指導者の指揮の下に作り上げ、連帯感を高めるような教育が行われている。
しかし、上述した学習方法は、「音」のみによって協調を図るものであって、「音」のみが他メンバーへの合図になる。これに対して、本実施例の自然打楽器150によれば、アコースティック音と発光との双方によって他メンバーへの合図を行うことができ、一層の協調を図ることができる。
【0060】
また、リズムを学習することによるボケ防止療法に本実施例の自然打楽器150を適用すると、聴覚のみならず視覚も刺激されるため、ボケ防止の効果を一層高めることができる。さらに、自然打楽器150は、その叩き方によっては発光しない場合もあるため、叩き方を工夫することによって、ボケ防止の効果を一層高めることができる。
【0061】
7.変形例
本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、例えば以下のように種々の変形が可能である。
(1)上記各実施例においては、本発明を自然打楽器に適用した例を説明したが、各実施例の構成を電子打楽器に適用してもよい。
【0062】
(2)第1実施例においては、図5の振動弁307の付近に代表して示すように、一点鎖線で示すバネ体4g’を板バネ4gとともに固定部4fに固定し、該板バネ4gの自由端に発光素子打撃子4pを固着させ、発光素子打撃子4pの下方に発光素子12を配置してもよい。この場合、発光素子12は、各々の振動弁に対応して「4」個設けてもよい。かかる構成によれば、発光素子打撃子4pに加わる慣性を利用できるため、発光素子12をより発光させやすくすることができる。
【0063】
8.実施態様
本発明には、以下のような実施態様がある。
(1)複数の光ファイバ(16)をさらに有し、前記各光ファイバ(16)は、各一端において束ねられ(光ファイバ束14を形成し)前記発光素子(12)の発光面に接合されるとともに、前記各光ファイバ(16)の他端は前記打楽器の各部から露出していることを特徴とする請求項2記載の打楽器。
【0064】
(2)前記発光素子(12)から放射された光を、前記打面部(4)の周囲から外部に放射することを特徴とする請求項2記載の打楽器。
(3)前記打楽器は水平に配置した円盤状のシンバルを有するものであり、
前記打面部(52)は、該シンバルに接触しつつ該シンバルの中心部の上方に設けられていることを特徴とする請求項2記載の打楽器。
【0065】
(4)前記打楽器(70)は樽型の筐体を有し、前記発光素子(12)から放射された光を該筐体の側周面から放射することを特徴とする請求項2記載の打楽器。
(5)前記打楽器(80)は、前記打面部(90)を露出させる筐体(84)と、
該筐体(84)に紐(86)を介して結ばれた打撃子(88)とを有し、
該筐体(84)を振ることによって前記打撃子(88)が前記打面部(90)を打撃することを特徴とする請求項2記載の打楽器。
【0066】
(6)前記筐体(84)は、対向する二面の側面を有し、前記打面部(90)はこれら側面の双方に設けられたものであることを特徴とする請求項2記載の打楽器。
【0067】
(7)前記発光素子(96B,96R)は、発光色の異なる複数種類の発光素子から成ることを特徴とする請求項2記載の打楽器。
【0068】
(8)前記発光素子(96B,96R)は、一方の側面から第1の発光色(青)の光を放射する第1の発光素子(96B)と、他方の側面から前記第1の所定色とは異なる第2の発光色(赤)の光を放射する第2の発光素子(96R)とから成ることを特徴とする実施態様(6)記載の打楽器。
【0069】
(9)前記助成手段(58)は、前記発光ユニット筐体(52,54)に対して保持弾性体(56)によって弾性的に保持される質量体であり、少なくとも「30グラム」以上の質量を有するものであることを特徴とする請求項8記載の打楽器。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1実施例の自然打楽器の斜視図である。
【図2】図1のA−A’断面図である。
【図3】発光素子12の詳細構成を示す図である。
【図4】図2の要部を示す断面図である。
【図5】発音体30の詳細構成を示す底面図である。
【図6】本発明の第2実施例の自然打楽器の一部切欠正面図である。
【図7】板バネ62および円盤部52aの要部の斜視図である。
【図8】板バネ62等の取付方法を示す斜視図である。
【図9】本発明の第3実施例の自然打楽器の構成を示す図である。
【図10】本発明の第4実施例の自然打楽器の構成を示す図である。
【図11】本発明の第5実施例の自然打楽器の構成を示す図である。
【図12】本発明の第6実施例の自然打楽器の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
2:筐体部、2a:上筐体部、2b:下筐体部、2c:貫通孔、4:打面部、4a:周縁部、4b,...,4b:打撃子、4c:円環部、4d:薄肉部、4e:円筒部、6:スタンド、10:レンズ体保持部、12:発光素子、12−1:押圧板(被押圧部)、12−2:正電極、12−3:圧電結晶、12−4:負電極、12−5:発光膜、12−6:透明電極、12−7:リード線、14:光ファイバ束、16:光ファイバ、18:レンズ体、20:取付ボス、21:ネジ、22:支持部、22a:円盤部、24:固定金具、24a:ネジ穴、24b:切欠部、26:ネジ、27:発光素子支持部材、28:ネジ、30:発音体、32:衝打部(押圧部)、32a:突起部、40:支持棒(打面体支持体)、42:シンバル固定ネジ、42a:シンバル固定ネジ頭部、42b:下端部、42c:十字溝、43:支持ベース、43a:凹部、44:弾性体、46:ゆるみ防止ネジ、48:シンバル(打面体)、48a:貫通孔、50:発光ユニット、52:下筐体部、52a:円盤部、52b:螺合部、52d:貫通孔、52e:凹部、54:上筐体部、54a:本体部、54b:上端部、56:弾性体(保持弾性体)、58:質量体(助成手段)、58a:溝、62:板バネ、62a:底板、62b:長穴、62c:傾斜部、62d:垂直部、62e:接触部、62f:突起部(伝達手段)、64:スプリングワッシャ、70:自然打楽器、72:上筐体部、74:下筐体部、80:自然打楽器、82:把持棒、84:筐体部、86:紐、88:打撃子、90:打撃板(打面部)、92:レンズ体、94:支持棒、96B:青色発光素子(第1の発光素子)、96R:赤色発光素子(第2の発光素子)、98:打撃部、99:光ファイバ、100:ハイハット・シンバル、100:(打楽器)、110:ベース部、112:リング、114:フットペダル、116:メインスタンド、118:リンク棒、120:ハイハット・スタンド、122:スプリング、124:下シンバル(第1の打面部)、126:上シンバル(第2の打面部)、130:発光ユニット、132:螺合部、134:発光ユニット筐体、134:筐体、134a:底板、136:弾性体(押圧手段)、140:発光素子アセンブリ(発光素子)、142:押圧板、144:レンズ体、146:発光素子、150:自然打楽器(打楽器)、152:打面部、154:バンド、156:レンズ体保持部、158:レンズ体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
打面体を有する打楽器であって、
印加された圧力に応じてエネルギーを発生し該エネルギーによって光を放射する発光素子と、
前記打面体に生じた振動または変位を前記発光素子に伝達する伝達手段であって、その一端が前記打面体に連動して振動し、その他端が前記発光素子の被押圧部に接触する伝達手段と、
前記打面体の下面に接する弾性体と、
前記弾性体を介して前記打面体を弾性的に支持する打面体支持体と、
前記発光素子と前記伝達手段とを収納する発光ユニット筐体と、
前記発光ユニット筐体に対して保持弾性体によって弾性的に保持されるとともに、前記発光素子の放射光が前記発光ユニット筐体の外に向かう方向に発光面を向けるように前記発光素子を固定する質量体と
を有し、前記打面体が打撃されると、前記伝達手段を介して該打撃による振動または変位が前記発光素子に伝達され前記発光素子が発光する
ことを特徴とする打楽器。
【請求項2】
印加された圧力に応じてエネルギーを発生し該エネルギーによって光を放射する発光素子と、
該発光素子を押圧する押圧部を有する打面部と
を有し、前記発光素子から放射された光を外部に放射することを特徴とする打楽器。
【請求項3】
第1の打面部と、第2の打面部とを有し、該第1および第2の打面部を衝打させて発音させる打楽器において、
印加された圧力に応じてエネルギーを発生し該エネルギーによって光を放射する発光素子と、
前記第1および第2の打面部を衝打する際に前記発光素子を前記第2の打面部に押圧する押圧手段と
を有することを特徴とする打楽器。
【請求項4】
前記押圧手段は弾性体であり、前記第1および第2の打面部が非接触状態にあるとき前記発光素子と前記第2の打面部とを離間し、前記第1および第2の打面部を衝打する際に縮むことによって前記発光素子を前記第2の打面部に押圧するものである
ことを特徴とする請求項3記載の打楽器。
【請求項5】
前記打楽器は略平板状の形状を有し、前記発光素子は該打楽器の一方の面から前記光を放射するものであり、
前記打楽器の他方の面に、前記打楽器を使用者に装着する装着手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の打楽器。
【請求項6】
打面体を有する打楽器であって、
印加された圧力に応じてエネルギーを発生し該エネルギーによって光を放射する発光素子と、
前記打面体に生じた振動または変位を前記発光素子に伝達する伝達手段と
を有し、前記打面体が打撃されると、前記伝達手段を介して該打撃による振動または変位が前記発光素子に伝達され前記発光素子が発光する
ことを特徴とする打楽器。
【請求項7】
前記打楽器は、
前記打面体の下面に接する弾性体と、
前記弾性体を介して前記打面体を弾性的に支持する打面体支持体と、
前記発光素子と前記伝達手段とを収納する発光ユニット筐体と
を有し、
前記伝達手段は、その一端が前記打面体に連動して振動し、その他端が前記発光素子の被押圧部に接触するものであり、
前記発光素子は、その放射光が前記発光ユニット筐体の外に向かう方向に発光面が向けられている
ことを特徴とする請求項6記載の打楽器。
【請求項8】
前記発光ユニット筐体は、
前記伝達手段に伝達された振動または変位が前記発光素子に伝達されやすくなるように前記発光素子の動きを抑制する助成手段
をさらに有することを特徴とする請求項7記載の打楽器。
【請求項9】
押圧部を有する打面部と、
前記打面部への打撃によって発音する振動発音体と、
前記打面部への打撃に応じてエネルギーを発生し該エネルギーによって光を放射する発光素子と、
前記発光素子から放射される光を外部に導出する導出部と
を有することを特徴とする打楽器。
【請求項10】
一端が前記打面部に固定されたバネ体と、
該バネ体の他端に固定された発音体打撃手段と
を有し、前記打面部が打撃されたとき、前記発音体打撃手段が前記振動発音体を打撃することを特徴とする請求項9記載の打楽器。
【請求項11】
一端が前記打面部に固定されたバネ体と、
該バネ体の他端に固定された発光素子打撃手段と
を有し、前記打面部が打撃されたとき、前記発光素子打撃手段が前記発光素子を打撃することを特徴とする請求項9記載の打楽器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−203289(P2008−203289A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−35797(P2007−35797)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】