説明

打錠用粉末ガム、それを用いた打錠チューインガム、打錠チューインガムの酸化防止方法及び生地吸着性成分のガムベースへの吸着防止方法

【課題】粉末ガム中のガムベースが酸化したり、機能性成分等の生地吸着性成分を含有した場合には、上記生地吸着性成分が打錠チューインガム中のガムベースに吸着されて口中での咀嚼時に溶出しにくくなることを防止することができる打錠用粉末ガム、打錠チューインガム、ガムベースの酸化防止方法及び生地吸着性成分のガムベースへの吸着防止方法を提供する。
【解決手段】粉末ガムを打錠して打錠チューインガムとするための打錠用粉末ガムであって、上記粉末ガム表面に被覆層を設けてなることを特徴とする打錠用粉末ガムによって達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末ガムを打錠して打錠チューインガムとするための打錠用粉末ガム、それを用いた打錠チューインガム、ガムベースの酸化防止方法及び生地吸着性成分のガムベースへの吸着防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、チューインガムは、ガムベース(弾性体、樹脂、ワックス類、乳化剤、油脂、無機質など)に糖類、香料等の副原料を添加し、加熱混合して均質化し、チューインガム生地とした後、圧延や押出成形して板状、ブロック状などに適宜成形して製造される。
【0003】
これとは別に、打錠チューインガムは、上記成分を一体混合して圧延や押出成形によって成形された板状、ブロック状のガムとは異なり、例えばチューインガム生地を粉砕して一旦粉末ガムにした後、各種の形状に打錠する等の方法により製造される。
上記のような打錠チューインガムは、独特の食感を有するユニークな形態であるが、チューインガム生地を粉末化することによって表面積が増大し、これが製造工程中や保存中に外気と触れることによって、ガムベース(特に弾性体や樹脂)の酸化を促進し、不快な酸化臭を発したり、ガムベース本来の粘弾性が失われて、打錠チューインガムを口中で咀嚼すると、ぼろぼろに崩壊し、まとまりにくく、一塊のチューインガムとして味わうことができないという欠点がある。
一般の食品において、酸化防止には従来抗酸化剤(ビタミンE、BHT等)を配合することが行われているが、薬剤を含めた機能性成分も配合することを考慮するとビタミンEやBHT等の抗酸化剤は含まない方が好ましい。
【0004】
他方、最近、圧延や押出成形したチューインガムにコエンザイムQ10(以下、CoQ10と記す)等の各種機能性成分を添加することが行われている。しかし、チューインガム生地中に、特にCoQ10等の親油性の機能性成分を混合したチューインガムは、上記親油性機能性成分がガムベース中に吸着され、該機能性成分を有効量摂取しようとすると、過剰に添加しておかなければならなかったり、成分本来の効果が発現しにくいという欠点がある。
【0005】
従来の粉末ガムを打錠して製造された打錠チューインガムとしては、ニンジン、イチョウ抽出物、茶抽出物などの薬用効果を有する活性試薬を、粉末ガムと共に混合し打錠した薬用チューインガムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、このチューインガムは、第5頁下から7〜5行目に記載の通り、活性試薬のような熱感受性化合物が、ガムベースの溶融混合工程で加熱分解されることを防止する方法であり、上述のような、チューインガムの粉末化によってガムベースが酸化する問題や、機能性成分等の生地吸着性成分を含有する際の問題点であるガムベースへの吸着による難溶出性を防止することを示唆するものではない。
【0006】
また、機能性成分自体、あるいは打錠したチューインガム全体をコーティングして劣化防止する技術も開示されている。(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、この方法では、機能性成分の酸化や水分との接触からは保護されるものの、ガムベースが酸化する問題や、機能性成分のガムベースへの吸着防止には効果がない。
【0007】
また、本願出願人は、先に特許文献3(特願2004−184309号)において、粉
末ガムと、吸水性成分及び水難溶性成分のうちの少なくとも一方とが共に成形されてなるチューインガム、及び吸水性成分もしくは水難溶性成分を、粉末ガムと粉体混合して成形することによる成分吸着防止方法を提案した。この提案によれば、吸水性成分がチューインガム生地中の水分を吸着してチューインガム全体を劣化させたり、水難溶性成分がチューインガム生地中に吸着されて、成分が口中に溶出しにくくなることを防止することができるというものである。
しかしながら、この方法では、上記効果は得られるものの、更なる改良の余地があった。
【0008】
【特許文献1】特表2001−506227号公報
【特許文献2】国際公開第04004478号公報
【特許文献3】特願2004−184309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、粉末ガム中のガムベースが酸化したり、機能性成分等の生地吸着性成分を含有した場合には、上記生地吸着性成分が打錠チューインガム中のガムベースに吸着されて口中での咀嚼時に溶出しにくくなることを防止することができる打錠用粉末ガム、打錠チューインガム、ガムベースの酸化防止方法及び生地吸着性成分のガムベースへの吸着防止方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、粉末ガムを打錠して打錠チューインガムとするための打錠用粉末ガムであって、上記粉末ガム表面に被覆層を設けてなることを特徴とする打錠用粉末ガムにより、上記目的を達成するものである。
【0011】
また、本発明は、粉末ガム表面に被覆層を設けてなる打錠用粉末ガムを打錠してなる打錠チューインガムにより、上記目的を達成するものである。
本発明においては、生地吸着性成分を共に打錠してもよい。
【0012】
また、本発明は、粉末ガム表面に被覆層を設けることを特徴とするガムベースの酸化防止方法により、上記目的を達成するものである。
【0013】
また、本発明は、粉末ガム表面に被覆層を設けてなる打錠用粉末ガムと、生地吸着性成分とを共に打錠することを特徴とする生地吸着性成分のガムベースへの吸着防止方法により、上記目的を達成するものである。
【0014】
すなわち、本発明者らは、粉末ガムに生じるガムベースの酸化や、機能性成分等の生地吸着性成分を含有した場合に、該生地吸着性成分が打錠チューインガム中のガムベースに吸着される問題点を解決する方法について検討を行った。
その結果、従来のように、打錠された後の打錠チューインガム全体や機能性成分等の生地吸着性成分自体を被覆するのではなく、個々の粉末ガム表面を被覆して保護するという逆転の発想により問題を解決することを見出した。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ガムベースの酸化が防止される。従って、ガムベースの酸化によって、不快な酸化臭を発したり、保存中に粘弾性が低下し、打錠チューインガムを口中で咀嚼すると、ぼろぼろに崩壊し、まとまりにくく、一塊のチューインガムとして味わうことができないという問題が生じない。すなわち、口中で、不快な酸化臭を感じることなく、長
時間にわたり一塊のチューインガムとして味わうことができる打錠チューインガムを得ることができるのである。
また、本発明によれば、機能性成分等の生地吸着性成分を含有させた場合でも、該生地吸着性成分が打錠時及び口中での咀嚼時によってガムベースに吸着されて、口中に溶出しにくくなることがない。従って、従来のチューインガムでは有効量を溶出させるために過剰に添加していた生地吸着性成分を、必要最小限にすることができ、また、有効量を十分に口中に溶出させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の打錠用粉末ガムとは、打錠して打錠チューインガムを形成するための粉末ガムであって、該粉末ガム表面に被覆層が設けられている。
【0017】
上記粉末ガムは、好ましくは粒度が8メッシュパス(粒径2.36mm以下)、更に好ましくは粒径2mm以下、より好ましくは1.6mm以下のガムである。これらは、粉末ガム全体中70%以上、更に好ましくは90%以上に揃っていることがよいという意味である。すなわち、粒度分布が狭く揃っているほど打錠時の成形性が良いのである。
なお、上記粉末ガムとは、被覆層は形成されていない状態のガムである。
【0018】
上記粉末ガムは、ガムベースを必須成分とし、糖質甘味料、副原料等を適宜含有するものである。
【0019】
上記ガムベースは、従来から用いられているものであり、例えば、樹脂、弾性体、ワックス類、無機質、乳化剤等が適宜選択して使用される。
【0020】
樹脂は、チクルやジェルトンなどの天然樹脂、エステルガムや酢酸ビニル樹脂等の合成樹脂等が挙げられ、適宜単独もしくは複数組み合わせてもよい。
【0021】
弾性体は、ゴム様物質とも言われ、例えば、ポリイソブチレン(イソブチレン重合体)、ポリブテン、ブチルゴム、ポリイソプレン、天然ゴム等が挙げられ、これらは単独でも複数組み合わせてもよい。
【0022】
ワックス類(炭化水素、ロウ等)としては、例えば、ライスワックス、キャンデリラワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバロウ等が挙げられ、これらは単独でも複数組み合わせてもよい。
【0023】
無機質としては、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられ、これらは単独でも複数組み合わせてもよい。
【0024】
乳化剤としては、プロピレングリコール脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル等が挙げられ、これらは単独でも複数組み合わせてもよい。
【0025】
上記糖質甘味料としては、例えばグルコースなどの単糖類、砂糖,麦芽糖,乳糖,トレハロースなどの二糖類、マルトトリオース,パノースなどの三糖類、マルトオリゴ糖,ガラクトオリゴ糖などのオリゴ糖及びこれらの還元物、ソルビトール,キシリトール,エリスリトール,マルチトール,ラクチトール,還元パラチノースなどの糖アルコール等が挙げられ、単独でも数種組み合わせてもよい。
これらの中でも、砂糖、エリスリトール、マルチトール、ラクチトール、還元パラチノースは、粉末ガムにした時の流動性、打錠した時の杵への付着防止、打錠時の粉末ガム同士の結着性を得る点で好ましく、特に還元パラチノースが好適である。
【0026】
また、上記副原料としては、スクラロースやアセスルファムK等の非糖質甘味料、香料、調味料、色素、安定剤、乳化剤、難生地吸着性の機能性成分等を適宜選択して用いればよい。
【0027】
上記ガムベースは、酢酸ビニル樹脂を主体とする風船ガムタイプ、天然樹脂を主体とするレギュラーガムタイプ等の各種に分類されるが、本発明の場合は特に限定するものではなく、適宜選択すればよい。
【0028】
本発明に係る被覆層の被覆成分としては、例えば、上述のような糖質甘味料、非糖質甘味料、澱粉類(デキストリン、澱粉、化工澱粉、変性澱粉、澱粉分解物等)、アラビアガム、ゼラチン、シェラック、カルシウム、脱脂乳製品類、蛋白質、粉末呈味原料(粉末茶類、卵白粉末、調味料、粉末果汁等)、酸味料、安定剤、乳化剤、ゲル化剤、増粘剤、塩類、着色料、栄養素(食物繊維、水溶性ビタミン類、ミネラル、ビフィズス菌増殖因子等)ガルシニア、カンボジアエキス粉末、ギムネマ粉末等が挙げられ、適宜選択し単独又は複数組み合わせて用いればよい。なお、油脂、香料等の親油性成分の場合は、上記被覆成分と併用して用いることが被覆効果を高めるうえで望ましい。この中でも、特にデキストリンは少量で酸化防止及び吸着防止効果が得られる点で好ましい。
【0029】
上記被覆層の形成方法は、特に限定するものではないが、被覆層が粉末ガム全体に略均一に形成されるような方法を採ることが本発明の効果を得る点で好適である。例えば、流動層造粒装置を用いた流動層コーティング法などの被覆方法を用いて、粉末ガムを空中に吹き上げたところへ、液体化した被覆成分を吹き付けた後、乾燥するという一連の工程を繰返すことにより被覆層を形成する等の方法を採ればよい。
【0030】
上記被覆層は、打錠用粉末ガム全体重量中、好ましくは0.05〜5重量%、更に好ましくは0.1〜1重量%であることがガムベースの酸化防止、生地吸着性成分のガムベースへの吸着防止及び食感の点で好適である。
【0031】
本発明の打錠チューインガムは、上記打錠用粉末ガムを打錠機等で打錠されてなるものである。
本発明の打錠用粉末ガムを打錠して打錠チューインガムとする際、適宜副原料を配合(粉体混合等)し、共に打錠してもよい。
上記副原料としては、上述した副原料や、生地吸着性成分等が挙げられる。特に、打錠の際、上記粉末ガムと共に打錠時及び咀嚼時にガムベースに吸着しやすい生地吸着性成分を粉体混合して共に打錠しても、ガムベースに吸着されることなく、喫食時にそれら成分が口中で充分溶出し得る点で本発明に好適に用いられる。
【0032】
上記生地吸着性成分としては、機能性成分、香料、油脂類などの呈味成分等が挙げられる。これらの中でも、特に機能性成分は、高溶出率が望まれるにも拘わらず生地吸着性が強いため、本発明に好適に用いられる。
上記機能性成分は、公知の機能性成分全般を使用すればよいが、特に水難溶性成分は、水に溶けにくく、ガムベースへの親和力があり、ガムベース中に吸着されると、咀嚼時に口中に溶出しにくい成分であることから、本発明に好適に用いられる。上記水難溶性成分としては、例えばCoQ10や、小麦抽出物や、下記の一般式(1)(但し、式中Rは水素原子、単糖類もしくは少糖類の残基、又は炭素数2〜20のアシル基である。)からなる脂肪分解促進成分や、下記一般式(2)(但し、式中Rは水素原子、単糖類もしくは少糖類の残基、又は炭素数2〜20のアシル基である。)からなる脂肪分解促進成分等が挙げられる。この中でも、CoQ10は、ガムベースへの吸着性が強いため、本発明の効果が顕著に得られる。
【0033】
【化1】

【0034】
【化2】

【0035】
CoQ10(補酵素Q−10)は、一般的にはビタミンQとも呼ばれ、ユビデカレノン、ユビキノン、ユビキノール−10とも呼ばれる強力な抗酸化物質であり、身体を最も望ましい状態で機能させるために細胞に与えるとよい栄養素の一つである。一般名はユビデカレノン(ubidecarenone)で、化学名は、2-(3,7,11,15,19,23,27,31,35,39−decamethyl−2、6,10,14,18,22,26,30,34,38−tetracontadecaenyl)−5,6−dimethoxy−3−methyl−1,4−benzoquinoneである。分子量は、863.36で、融点が約48℃の黄色からだいだい色の結晶性の粉末で、におい及び味はない。エーテルに溶けやすく、光によって分解し、着色が強くなる。CoQ10は、高等動物において有効な補酵素であるが、高等動物以外の生物において有効な補酵素とされる場合もある。CoQ10は、これらを含む総称であってよい。製品としては、例えば、日清ファルマ社製「コエンザイムQ10」等が挙げられる。
【0036】
小麦抽出物は、小麦から抽出した成分で、淡黄〜白色の粉末でアミラーゼ活性阻害を有し、ダイエット素材として知られている。
製品としては、「Wheat Slimer−1」(協同乳業(株)製)等が挙げられる。
【0037】
上記生地吸着性成分の剤型は、特に限定するものではなく、粉末(顆粒)、液状等適宜の剤型のものを用いればよい。
【0038】
本発明の打錠チューインガムの形態は、特に限定されることはなく、板状、ブロック状等の適宜の形状に打錠成形されていればよい。
【0039】
次に、上記原料を用いて、本発明の打錠用粉末ガム及び打錠チューインガムは例えば次
のようにして製造される。
まず、ガムベース、糖質甘味料、必要に応じて副原料を適宜添加したものを、加熱混合して均質化し、冷却した後、粉砕機(例えばハンマーミル、オシレーター等)で粉砕することにより粉末ガムを得る。この後、更なる粒度の均一化のため、ふるいにかけて粒度を分別してもよい。
次いで、予め被覆成分を溶液化しておいた被覆溶液を、上記粉末ガムを空中に吹き上げたところに噴霧し、その後乾燥するという工程を適宜の回数繰返すことにより、粉末ガム表面に被覆層を形成した打錠用粉末ガムを得ることができる。
上記乾燥方法としては、特に限定されるものではなく、各種送風機等を用いればよい。乾燥条件は、噴霧と乾燥を繰返し行い、粉末ガムがダマにならない程度に行なえばよい。
【0040】
このようにして得られた打錠用粉末ガムと、生地吸着性成分等の副原料とを、粉体混合して打錠機に供給し、共に打錠することにより本発明の打錠チューインガムを得ることができる。
【0041】
上記のようにして得られた打錠チューインガムは、ガムベースの酸化が防止されると共に、生地吸着性成分がガムベースに吸着されることなく喫食時に確実に口中に溶出し得るのである。
【実施例】
【0042】
次に、本発明を実施例を挙げて具体的に説明する。
【0043】
〈実施例1〜2〉
《打錠用粉末ガムの調製》
表1に示す組成を加熱混合して均質化し、20℃に冷却した後、ハンマーミルで粒度8メッシュパス〜120メッシュオンの粉末状に粉砕することにより粉末ガムを調製した。
次に、表2に示す組成で、上記のようにして得られた粉末ガム表面に、デキストリンを用いて、流動層造粒装置にて流動層コーティングを行うことにより粉末ガムの表面に被覆層が形成されてなる打錠用粉末ガムを調製した。
【0044】
〈比較例1〉
粉末ガムに被覆層を設けない他は、実施例1と同様にして粉末ガムを得た。
【0045】
上記のようにして得られた打錠用粉末ガム及び粉末ガムに対して、下記のような酸化抑制試験を行なった。その結果を、過酸化物価増加量として表2に合わせて示す。
《酸化抑制試験》
粉末ガムを粉体状態で、55℃で3週間保存し、過酸化物価の測定を行った。
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】
《打錠チューインガムの調製》
上記実施例1〜2の打錠用粉末ガム及び比較例1の粉末ガムを用い、表3に示す組成でCoQ10等を粉体混合した後、圧力0.4ton/個で共に打錠して1個当たり0.4グラム、直径10mmの打錠チューインガムを得た。これを包装機に供給し、ポリエチレン製包装材料で1個ずつ個包装した。
なお、打錠は、単発式打錠機で連続的に50個製造した。
【0049】
上記のようにして得られた打錠チューインガムに対して、下記のようにして吸着抑制試験を行った。その結果を、CoQ10溶出率として表3に合わせて示す。
《吸着抑制試験》
打錠チューインガムを、常温でエージングした。その後、水抽出を行い、抽出液中のCoQ10をHPLC(高速液体クロマトグラフィ)にて測定した。
【0050】
【表3】

【0051】
以上の結果より、実施例の打錠用粉末ガムは、保存後も酸化しにくく、過酸化物価の増加が抑制されていた。従って、打錠チューインガムとした際に、不快な酸化臭が無く、粘弾性の低下が生じずに口中での咀嚼時にチューインガムが一塊になって味わうことができた。また、CoQ10の溶出率が高く、有効量を摂取することができ、CoQ10を過剰に含有させる必要がなかった。中でも、実施例2のチューインガムは、風味、食感及びCoQ10の溶出率の全てが特に良好であった。
これに対し、比較例の粉末ガムは、酸化が進み、過酸化物価の増加量が高かった。従って、打錠チューインガムとした際に、不快な酸化臭が感じられ、粘弾性の低下が生じて口中で咀嚼してもぼろぼろでまとまりにくかった。また、CoQ10の溶出率も少なかったため、有効量を摂取することができなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末ガムを打錠して打錠チューインガムとするための打錠用粉末ガムであって、上記粉末ガム表面に被覆層を設けてなることを特徴とする打錠用粉末ガム。
【請求項2】
請求項1記載の打錠用粉末ガムを打錠してなる打錠チューインガム。
【請求項3】
更に、生地吸着性成分を共に打錠してなる請求項2記載の打錠チューインガム。
【請求項4】
粉末ガム表面に被覆層を設けることを特徴とするガムベースの酸化防止方法。
【請求項5】
粉末ガム表面に被覆層を設けてなる打錠用粉末ガムと、生地吸着性成分とを共に打錠することを特徴とする生地吸着性成分のガムベースへの吸着防止方法。

【公開番号】特開2006−166791(P2006−166791A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−363727(P2004−363727)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(000000952)カネボウ株式会社 (120)
【出願人】(393029974)カネボウフーズ株式会社 (64)
【Fターム(参考)】