説明

投写型映像表示装置

【課題】ランプ冷却ファンの風量を増加することなく、他の冷却装置の冷却空気を効率的に使用することにより高温化対策を講じた投写型映像表示装置を提供すること。
【解決手段】本発明の投写型映像表示装置は、空気が送風されて光源ランプ1が冷却されるランプ冷却装置70と、空気が送風されて光源ランプ1に電力を供給するランプ電源部87が冷却される電源冷却装置90とを有する。電源冷却装置90は、ランプ電源部87を冷却した後の空気がダクト91により光源ランプ1周辺の選定された場所に放出される。そして、光源ランプ冷却後の空気と、ランプ電源部87を冷却した後の空気とが混合されて排気される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投写型映像表示装置に係り、特に、光源ランプの冷却に関する。
【背景技術】
【0002】
投写型映像表示装置は、一般に、搭載される光学系部品を冷却する必要があり、複数系統の冷却装置が構成されていた。特許文献1はこのような投写型映像表示装置の一例であるが、この投写型映像表示装置について図6及び7に基づき説明する。この投写型映像表示装置においては、外装キャビネット101の内部に光源ランプ102、照明光学系103、色分解合成光学系104、投写レンズ光学系105などからなる光学系が収納されている。また、このような光学系に対し、ランプ冷却ファン106により光源ランプ102を冷却する冷却装置、電源冷却ファン107によりバラスト電源(本発明にいうランプ電源部)108及び電源(本発明にいう装置電源部)109を冷却する冷却装置、光学素材冷却ファン110により色分解合成光学系104を冷却する冷却装置などが搭載されていた。
【0003】
この中で、温度が最も高くなる光源ランプ102を冷却する冷却装置は次のように構成されていた。光源ランプ102はランプケース部材102a内に設けられ、ランプ冷却ファン106から機内空気が送風され、光源ランプ102を冷却した空気が短いダクト111を介して排気ルーバ112に向けて排出されていた。なお、外装キャビネット101の内部に吸気口101aから周辺空気が取り込まれていた。一方、光源ランプ102のバラスト電源108及び電源109は、電源冷却ファン107により吸気口101bから吸込んだ空気が吹き付けられて冷却され、これら電源を冷却した空気が排気ルーバ112に隣接して設けられている排気口113から排出されるように構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−283841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来の光源ランプ102の冷却装置は、他の光学部品の冷却装置とは独立した系統で冷却されていた。一方、光源ランプ102に対し市場からは、消費電力低減及び騒音低減が要求されるとともに高輝度化の要求もあり、外装キャビネット101内の高温化が進んでいた。また、光源ランプ102の近くに排気ルーバ112が設けられているので、短いダクト111を設ける必要性も少ない。また、光源ランプ102と排気ルーバ112との距離が近いため、この間での空気の混ざりが不十分となり易く、部分的に高温の空気が流通することや輻射熱などにより、光源ランプ102近くの部材が局部的に温度上昇し、使用限界温度に近づく恐れがあった。また、光源ランプ102冷却後の空気は温度が高く、この様な高温の空気が排出されることによりユーザ等に不快感を与えるという問題があった。
【0006】
ところで、通常このような高温化対策としては、ランプ冷却ファン106の風量を増加することが行われるが、このような対策を講じると電力の増加及び騒音の増加を招くため、前述の市場の要求に反する結果を招ことになる。そこで、このような問題を解消し得る新たな改善策が求められていた。
【0007】
本発明は、このようなこのような問題点に鑑み成されたもので、ランプ冷却ファンの風量を増加することなく、他の冷却装置の冷却空気を効率的に使用することにより高温化対策を講じた投写型映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る投写型映像表示装置は、空気が送風されて光源ランプが冷却されるランプ冷却装置と、空気が送風されて、光源ランプに電力を供給するランプ電源部が冷却される電源冷却装置とを有し、電源冷却装置は、ランプ電源部を冷却した後の空気がダクトにより光源ランプ周辺の選定された場所に放出され、光源ランプ冷却後の空気と、ランプ電源部を冷却した後の空気とが混合されて排気されることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る投写型映像表示装置は、ランプ電源部を冷却した後の空気をダクトにより搬送しているので、ダクトの先端の空気放出口の位置を選定することにより、この空気を光源ランプ周辺の高温となりやすい位置に放出することができる。なお、光源ランプは光学部品の中では最も温度が高く、周辺部に異常温度上昇部が形成されやすい。一方、ランプ電源部を冷却した後の空気は、投写型映像表示装置における光学部品を冷却した後の空気の中では温度が最も低い。したがって、ランプ電源部を冷却した後の空気を光源ランプ周辺における異常温度上昇を招きやすい位置を選定して放出することにより、光源ランプ周辺における局部的異常温度上昇を効率よく防止することができる。また、光源ランプ冷却後の空気とランプ電源部を冷却した後の空気とが混合されて排気されるので、光源ランプ冷却後の排気空気温度が低下し、ユーザ等に与える不快感が緩和される。
【0010】
また、前記ランプ冷却装置は、排気グリルに対し吹出し側が向くようにランプ冷却ファンが設置されるとともに、このランプ冷却ファンの吸込側であってランプ冷却ファンの近くの位置に光源ランプが設置されることにより、ランプ冷却ファンの運転により生起される空気流により光源ランプが冷却されるように構成され、さらに、前記電源冷却装置は、ランプ電源部を冷却した後の空気がランプ冷却ファンの吸込側に放出されることが好ましい。このように構成すると、ランプ冷却ファンを共通の排気ファンとして、光源ランプ冷却後の空気とランプ電源部冷却後の空気とが吸入されて排出されるので、両空気の混合が良好になり排気の温度分布が均一化される。したがって、高温排気による不快感が確実に緩和される。
【0011】
前記ランプ冷却装置は、光源ランプとランプ冷却ファンとの間にダクトが設けられずに機内空間を介して通風されているように構成することが好ましい。このように構成すると、ランプ冷却ファンと光源ランプとの間に短いダクトが設けられないので、コストが軽減される。また、ダクトがないので、ランプ電源部を冷却した空気を放出させる適切な位置を選択することが容易となる。
【0012】
また、前記電源冷却装置は、ランプ冷却ファンの吹出側にダクトが接続されるとともに、このダクトの内部にランプ電源部が配置されていることが好ましい。このように構成すると、ランプ電源部を冷却した空気が機内に放出されずに選定された位置に搬送されて放出されるので、局部的温度上昇を効率よく抑制するとともに、機内の空気温度の上昇を抑制することができる。
【0013】
また、前記電源冷却装置を構成するダクトの内部に、装置全体に電力を供給する装置電源部が配置され、ランプ電源部の冷却とともに装置電源部が冷却されているようにしてもよい。このように構成しても、光源ランプ周辺に放出される空気の温度上昇は許容範囲内となる。また、このように構成すえることにより、装置電源部から発生される発熱を機外へ放出するので、機内の温度上昇を抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る投写型映像表示装置によれば、ランプ電源部の冷却装置を利用して、ランプ電源部を冷却した後の空気を光源ランプ周辺における異常温度上昇を招きやすい位置を選定して放出することにより、光源ランプ周辺における局部的異常温度上昇を防止することができる。また、光源ランプ冷却後の空気とランプ電源部を冷却した後の空気とが混合されて排気されるので、光源ランプ冷却後の排気空気温度が低下され、ユーザ等に与える不快感が緩和される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係る投写型映像表示装置の全体構成図である。
【図2】同投写型映像表示装置におけるランプ冷却装置及びランプ電源冷却装置周りの斜視図である。
【図3】同ランプ冷却装置及び電源冷却装置周りの正面図である。
【図4】同ランプ冷却装置及び電源冷却装置周りの側面図である。
【図5】同ランプ冷却装置及び電源冷却装置周りの平面図である。
【図6】従来の投写型映像表示装置におけるランプ冷却装置及び電源冷却装置を含む全体平面図である。
【図7】同ランプ冷却装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係る投写型映像表示装置について図面を参照しながら説明する。
先ず、本実施の形態に係る投写型映像表示装置の全体構成について図1に基づき説明する。本実施の形態に係る投写型映像表示装置は、所謂3板式液晶プロジェクタであって、光源を成す光源ランプ1、光源ランプ1が放射する光を輝度分布の安定した光に変換するインテグレータ光学系2、輝度分布の安定した光を赤色、緑色、青色の各光成分に分離して各色光用の液晶ライトバルブ41.42.43に供給する色分離光学系3が搭載されている。また、この投写型映像表示装置には、液晶ライトバルブ41.42.43にて色光毎に映像信号に応じて変調し、変調された各色光を合成する合成光学系4、合成された光を投写する投写光学系5が搭載されている。
【0017】
光源ランプ1としては、メタルハライドランプ、超高圧水銀ランプなどの放電型ランプを発光体として使用するととともに、発光体からの照射光がリフレクタによって平行光となって、発光体の軸方向に出射されるように構成されている。このような光源ランプ1は使用中高温となるので冷却が必要とされている。
【0018】
インテグレータ光学系2は、インテグレータレンズ21、偏光変換装置22、コンデンサレンズ23などから構成されている。インテグレータレンズ21は、一対のレンズ群(フライアイレンズ)から構成され、個々のレンズ部分が光源ランプ1から出射された光を後述する液晶ライトバルブ41.42.43の全面に導くように構成されている。これにより光源ランプ1から出射された光に存在する部分的な輝度ムラを平均化し、画面中央と周辺部とでの光量差を低減する。インテグレータ光学系2を構成する部品のうち偏光変換装置22は高温側許容限界温度が低い。
【0019】
偏光変換装置22は、小さな複数の偏光ビームスプリッタアレイによって構成されているものである。偏光変換装置22は、偏光分離膜を備え、インテグレータレンズ21からの光を1種類の偏光に変換してコンデンサレンズ23に出射する。
【0020】
色分離光学系3は、ダイクロイックミラー31,32、全反射ミラー33,34,35、リレーレンズ36,37などから構成される。合成光学系4は、第1〜第3の変調手段である、赤色光成分を変調する赤色光用液晶ライトバルブ41、緑色光成分を変調する緑色光用液晶ライトバルブ42、及び青色光成分を変調する青色光用液晶ライトバルブ43と、クロスダイクロイックプリズム44とから構成される。
【0021】
コンデンサレンズ23から出射される白色光は、第1のダイクロイックミラー31で赤色光成分を透過させるとともに、緑色光成分及び青色光成分を反射させて分離する。また、第2のダイクロイックミラー32で緑色光成分を反射させるとともに、青色光成分を透過させて分離する。このように分離された赤色光成分は全反射ミラー33で反射されて赤色光用液晶ライトバルブ41に導かれ、また、緑色光成分は緑色光用液晶ライトバルブ42に導かれ、青色光成分はリレーレンズ36,37を介するとともに全反射ミラー34,35で反射されて青色光用液晶ライトバルブ43に導かれる。
【0022】
赤色光用液晶ライトバルブ41、緑色光用液晶ライトバルブ42、及び青色光用液晶ライトバルブ43は、それぞれ高温側許容限界温度の低い入射側偏光板、液晶パネル、出射側偏光板などから構成されている。また、これら液晶ライトバルブ41,42,43で変調された赤色光、緑色光、青色光はクロスダイクロイックプリズム44で合成されて投写光学系5へ出射される。
【0023】
以上のような構成の光学系には、高温側許容限界温度が低い液晶パネル、偏光板、偏光変換装置などからなる液晶ライトバルブ41,42,43や偏光変換装置22などが含まれるとともに、発熱量が多く使用温度が極端に高くなる光源ランプ1が含まれている。このため、前者の光学部品を冷却する光学部品冷却装置60と光源ランプ1を冷却するランプ冷却装置70とは別々に構成されている。なお、これら冷却装置は、機内空気を冷却空気として使用するものであるため、外装キャビネット71には1個又は複数個の吸気口(図示せず)が設けられている。
【0024】
光学部品冷却装置60は、液晶ライトバルブ41,42,43に通風する通風路61と、偏光変換装置22に通風する通風路62とが形成され、共通の光学部品冷却ファン63により送風されるように構成されている。この光学部品冷却ファン63は軸流ファンにより構成されている。
【0025】
ランプ冷却装置70は、図2〜図5に示すように構成されている。すなわち、外装キャビネット71の正面側に多数の通気孔72が形成された排気グリル73が形成され、この排気グリル73に向け吹出し空気が吹き出されるように軸流ファンであるランプ冷却ファン74が設置されている。なお、この実施の形態においては、図2における左斜め後方を向く面を正面とするとともに、この図における手前側の面を側面とし、図面における上方を上方向とする。一方、光源ランプ1が、このランプ冷却ファン74の吸込側であって、かつ、ランプ冷却ファン74の近くの位置に設置されている。また、光源ランプ1とランプ冷却ファン74との間には従来のようなダクトが設けられず、光源ランプ1が機内の空気に晒される状態で設置されている。
【0026】
したがって、ランプ冷却ファン74が運転されると、光源ランプ1周辺の機内空気がランプ冷却ファン74に吸入されることにより光源ランプ1を冷却する空気流が生起され、光源ランプ1が冷却される。また、光源ランプ1を冷却した空気は、機内空間を介してランプ冷却ファン74へ通風されている。なお、光源ランプ1周辺の他の機器への熱輻射を防止するために遮熱板(熱シールド板)を配置したり、ランプ冷却ファン74を運転したときに光源ランプ1の周囲を通過する空気流が生起され易いように適宜ガイド部材を配したりすることは好ましい。しかしながら、光源ランプ1とランプ冷却ファン74とを完全にダクト接続するような形態はとられていない。
【0027】
一方、本実施の形態に係る投写型映像表示装置の制御回路は、図1の右方に示すように構成されたものであって、運転操作に必要な基本的機器として装置全体に電力を供給する装置電源部81、操作部82、制御部83を備えている。
【0028】
装置電源部81は、外部の商用電源のコンセントに接続される電源コード81aを通じて給電されるように構成されている。また、この装置電源部81は、商用電源の電圧及び周波数をプロジェクタの内部回路用の電圧及び周波数に変換し、各部へ給電される。
【0029】
操作部82は、ユーザによる電源のオンオフ以外の操作を受け付ける手段であり、例えば、投写映像の大きさ、色調、ピント、キーストン調整などが行われる。
制御部83は、各部との信号のやり取りを行い、投写型映像表示装置全体の動作が支障なく行われるように各部を制御するものであって、ROM、RAM等を内蔵したマイクロプロセッサからなる。そして、ROMには、制御プログラム、必要な定数等が予め記憶されている。
【0030】
また、本実施の形態に係る投写型映像表示装置の制御回路には、映像を投写するための要素として、映像信号入力部84、映像信号処理部85、液晶パネル駆動部86、ランプ電源部87(バラスト電源部と称されている)、冷却ファン駆動部88などが設けられている。
【0031】
映像信号入力部84は、入力端子84aを介し各種映像再生機器からの映像信号が入力される。また、映像信号入力部84には、アナログPC、デジタルPC、ビデオ、テレビなどの各種映像再生機器からの各種映像信号に対応し得るようにアナログI/F、デジタルI/F、ビデオI/Fなどの入力インターフェースが備えられている。そして、映像信号入力部84に入力された映像信号は、A/D変換、デコード等の適宜の処理が施されてデジタル信号に変換されて映像信号処理部85へ出力される。
【0032】
映像信号処理部85は、入力された映像信号に対しスケーリング処理、ガンマ補正、輝度補正などの一般的な映像処理が行われる。このような処理が行われた映像信号は、液晶パネル駆動部86へ出力される。
【0033】
液晶パネル駆動部86は、映像信号を緑色光用、赤色光用及び青色光用の各液晶ライトバルブ41,42,43の液晶パネルを駆動することができる信号形態に変換する。また、この液晶パネル駆動部86において、緑色光用、赤色光用及び青色光用の各液晶パネルを駆動するための駆動パルスが同時に生成される。液晶パネルは、入力された映像信号に応じた回転角を持ち、色分離光学系3からの光を透過させることにより映像を作り出す。
【0034】
ランプ電源部87は、装置電源部81からの電力供給を受け、光源ランプ1を点灯させるために高電圧を発生して放電回路を形成するイグナイタ回路と、点灯後の安定した点灯状態を維持するためのバラスト回路とを含んで構成されている。
【0035】
また、このランプ電源部87を冷却するために電源冷却装置90が構成されている。電源冷却装置90は、図1に示すように、ランプ電源部87が通風路としてのダクト91の内部に挿入され、ダクト91の入口には軸流ファンである電源冷却ファン92が設けられている。電源冷却ファン92に吸入された機内空気は、ダクト91内のランプ電源部87に吹き付けられる。そして、ダクト91先端の空気放出口は、図2〜図5に示すように、ランプ電源部87冷却後の空気が光源ランプ1とランプ冷却ファン74との間の選択された位置に吹き出すことが容易になるように断面積が絞られて形成されている。この放出位置は、光源ランプ1を冷却した後の高温の空気が通過することにより、また、光源ランプ1からの輻射熱により局部的に温度が異常に高くなる恐れのある箇所が選択されている。
【0036】
冷却ファン駆動部88は、装置電源部81からの電力供給を受けて、光学部品冷却装置60の光学部品冷却ファン63、ランプ冷却装置70のランプ冷却ファン74、及び電源冷却装置90のランプ電源部87を冷却するための電源冷却ファン92などを発停制御する回路である。
【0037】
上記のように構成された投写型映像表示装置は次のように作動する。
本実施の形態に係る投写型映像表示装置の入力端子84aに入力された入力信号は、各種入力インターフェースを備えた映像信号入力部84に入力される。映像信号入力部84に入力された映像信号は、入力された映像信号に対応しA/D変換、デコード等の適宜の処理が施されて映像信号処理部85へ出力される。映像信号処理部85では、スケーリング処理、画質補正などの映像処理が行われる。そして、映像信号処理部85から出力された映像信号は、液晶パネル駆動部86において各液晶ライトバルブ41,42,43の各液晶パネルを駆動することができる信号形態に変換されるとともに、各液晶パネル駆動のための駆動パルスが同時に生成され、両者とも液晶ライトバルブ41,42,43の液晶パネルへと入力される。液晶パネルは、入力された映像信号に応じた回転角を持ち、色分離光学系3からの光を透過させることで映像を作り出す。また、その表示映像は、投写光学系5により所定距離離れた場所にあるスクリーン(図示せず)などに結像される。制御部83は、これら機器を含み投写型映像表示装置全体を制御している。
【0038】
上記投影中において、光学部品冷却ファン63、ランプ冷却ファン74及び電源冷却ファン92が運転されることにより光学部品冷却装置60、ランプ冷却装置70及び電源冷却装置90が作動する。光学部品冷却装置60が作動することにより、通風路61,62内に空気流が形成され液晶ライトバルブ41,42,43を構成する光学部品及び偏光変換装置22が冷却される。また、ランプ冷却装置70の作動により、つまりランプ冷却ファン74の作動により光源ランプ1の周辺に空気流が生起され、光源ランプ1が冷却される。
【0039】
さらに、電源冷却装置90が作動することにより、ダクト91内のランプ電源部87に空気が吹き付けられてランプ電源部87が冷却される。そして、ランプ電源部87を冷却した後の空気がダクト91先端の空気放出口93から、ランプ冷却ファン74と光源ランプ1との間に放出される。この放出位置は、光源ランプ1冷却後の空気や光源ランプ1からの輻射熱により局部的に温度が異常に高くなる恐れのある箇所が選定され、この選定された位置に向けて放出される。これにより局部的な温度上昇が回避される。また、光源ランプ1を冷却した後の高温の空気と、ランプ電源部87を冷却した後の比較的低い温度の空気とが混合されて排出されるので、ランプ冷却ファン74から高温の空気が排出されることを回避することができる。
【0040】
本実施の形態に係る投写型映像表示装置は、以上のように構成されているので次のような効果を奏することができる。
(1)本実施の形態に係る投写型映像表示装置によれば、ランプ電源部87を冷却した後の空気をダクト91により搬送しているので、ダクト91の先端の空気放出口93の位置を選定することにより、この空気を光源ランプ1周辺の高温となり安い位置を選定して放出することができる。これにより、光源ランプ1周辺における局部的な異常温度上昇を防止することができる。
【0041】
(2)光源ランプ1冷却後の空気とランプ電源部87を冷却した後の空気とが混合されて排気されるので、排気空気温度が低下され、ユーザ等に与える不快感が緩和される。
(3)ランプ冷却ファン74を共通の排気ファンとして、光源ランプ1冷却後の空気とランプ電源部87冷却後の空気とが吸入されて排出されるので、両空気の混合が良好になり排気の温度分布が均一化される。したがって、高温排気による不快感が確実に緩和される。
【0042】
(4)ランプ冷却ファン74と光源ランプ1の間に短いダクトが設けられないので、コストが軽減される。また、このようなダクトがないので、ランプ電源部87を冷却した後の空気を放出させる適切な位置を選択することが容易になる。
【0043】
(5)ランプ電源部87を冷却した空気が機内に放出されずに選定された位置に搬送されて放出されるので、局部的温度上昇を効率よく抑制するとともに、機内の空気温度の上昇を抑制することができる。
【0044】
(変形例)
本発明は、上記実施の形態において以下のように変更することができる。
・上記実施の形態において、各冷却装置における光学部品冷却ファン63,ランプ冷却ファン74及び電源冷却ファン92をそれぞれ軸流ファンとしたが、これらは遠心式のシロッコファンとしてもよい。
【0045】
・装置電源部81は、電源冷却ファン92が運転されたときに装置電源部81周りに空気流が生成され、この空気流により冷却されるように配置されるようにしてもよい。なおこのように構成しても、光源ランプ周辺に放出される空気の温度上昇は許容範囲内となる。また、このように構成すれば、装置電源部81から発生される発熱が機外へ放出されるので、機内の温度上昇が抑制される。
【0046】
・また、装置電源部81をダクト91内におけるランプ電源部87の上流側に配置し、このダクト91内に送風される空気流により装置電源部81を冷却するように構成してもよい。このように構成すると、装置電源部81から発生される発熱が機外へ放出されるので、機内の温度上昇が抑制される。
【0047】
・光学部品冷却装置は、通風路を構成する都合上から、前述の冷却装置を分離して構成してもよい。例えば、偏光変換装置22の冷却と液晶ライトバルブ41,42,43を構成する光学部品の冷却とを完全に分離した冷却装置としてもよい。また、液晶ライトバルブ41,42,43を構成する光学部品の冷却についても複数の冷却装置としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、種々の投写型映像表示装置に適用できる。例えば、先の実施の形態においては、3板式液晶プロジェクタを示したが、これに限定されるものではなく幅広く応用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1…光源ランプ、70…ランプ冷却装置、73…排気グリル、74…ランプ冷却ファン、81…装置電源部、87…ランプ電源部、90…電源冷却装置、91…ダクト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気が送風されて光源ランプが冷却されるランプ冷却装置と、空気が送風されて光源ランプに電力を供給するランプ電源部が冷却される電源冷却装置とを有し、
電源冷却装置は、ランプ電源部を冷却した後の空気がダクトにより光源ランプ周辺の選定された場所に放出され、
光源ランプ冷却後の空気と、ランプ電源部を冷却した後の空気とが混合されて排気される
ことを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項2】
前記ランプ冷却装置は、排気グリルに対し吹出し側が向くようにランプ冷却ファンが設置されるとともに、このランプ冷却ファンの吸込側であってランプ冷却ファンの近くの位置に光源ランプが設置されることにより、ランプ冷却ファンの運転により生起される空気流により光源ランプが冷却されるように構成され、
さらに、前記電源冷却装置は、ランプ電源部を冷却した後の空気がランプ冷却ファンの吸込側に放出されることを特徴とする請求項1記載の投写型映像表示装置。
【請求項3】
前記ランプ冷却装置は、光源ランプとランプ冷却ファンとの間にダクトが設けられずに機内空間を介して通風されていることを特徴とする請求項1又は2記載の投写型映像表示装置。
【請求項4】
前記電源冷却装置は、ランプ冷却ファンの吹出側にダクトが接続されるとともに、このダクトの内部にランプ電源部が配置されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の
投写型映像表示装置。
【請求項5】
前記電源冷却装置を構成するダクトの内部に、装置全体に電力を供給する装置電源部が配置され、ランプ電源部の冷却とともに装置電源部が冷却されていることを請求項4記載の投写型映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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