説明

投球機における投球アーム構造

【課題】投球アームを高速回転させることにより、球を投球可能とする投球機において、投球アームの寿命を向上させるようにする。
【解決手段】軸心8が左右に延びる回転軸9と共に回転する投球アーム10を設ける。投球アーム10が、回転軸9からその径方向外方に突出する円形パイプ製の投球アーム本体11と、この投球アーム本体11の突出端部に締結具12によって締結され、投球アーム本体11の突出端部からこの投球アーム本体11の突出方向Aの外方に向かって突出する球受部13とを備える。投球アーム本体11の突出端部を径方向に向かう外力Cによりプレス加工して、この投球アーム本体11の径方向で、互いに対面する一対の平板体28,28を形成し、突出方向Aに直交する上記各平板体28の幅方向Dの端縁部同士を互いに一体的に形成し、両平板体28,28の一側面31に球受部13の基部を締結させるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆるアーム式の野球練習用など投球機における投球アーム構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記野球練習用投球機における投球アーム構造には、従来、下記特許文献1に示されたものがある。この公報のものによれば、軸心が左右に延びる回転軸がその軸心回りに回転可能となるよう架台に支承され、上記回転軸に取り付けられてこの回転軸と共に回転する投球アームが設けられている。この投球アームは、上記回転軸からその径方向外方に突出する円形パイプ製の投球アーム本体と、この投球アーム本体の突出端部に締結具によって締結され、上記投球アーム本体の突出端部からこの投球アーム本体の突出方向の外方に向かって突出する球受部とを備えている。また、上記回転軸の上方域、かつ、この回転軸の軸心回りの所定投球範囲で、上記投球アームを前方に向かって高速回転させるばねが設けられている。
【0003】
上記の場合、投球アーム本体の突出端部は径方向に向かう外力によりプレス加工されて、この投球アーム本体の径方向で互いに対面する一対の平板体が形成されている。上記突出方向に直交する上記各平板体の幅方向の端縁部同士の間には、それぞれ切り欠きが形成されている。上記球受部の基部が、上記各切り欠きを通り上記両平板体の間に挟まれた状態で、上記両平板体に締結具により締結されている。
【0004】
そして、上記球受部に球を載置し、上記回転軸の上方域、かつ、この回転軸の軸心回りの所定投球範囲で、上記ばねにより、投球アームを前方に向かって高速回転させたとき、上記球受部に載置されていた球が前方に向かって投球されるようになっている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−65978号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記投球アームによる投球時において、投球アームの回転速度は、球を150km/hなどで投球する必要上、極めて、高速である。このため、上記投球アーム本体の突出端部と球受部の基部との締結部には、上記投球アームの高速回転による遠心力に基づき、大きい応力が生じようとする。
【0007】
また、上記投球範囲の始点においては、上記ばねにより投球アームは高速回転するよう急加速される。また、上記投球範囲の終点においては、上記ばねにより投球アームは高速回転から急減速させられる。このため、この場合にも、上記投球アーム本体の突出端部と球受部の基部との締結部には、この球受部の慣性力に基づき、大きい応力が生じようとする。
【0008】
ここで、前記したように、投球アーム本体の突出端部への球受部の基部の締結は、この球受部の基部が、上記投球アーム本体の突出端部に形成された一対の切り欠きを通り上記両平板体の間に挟まれた状態でなされている。このため、上記投球アームによる投球時には、上記各切り欠きの奥部の縁部に応力集中が生じがちとなる。この結果、上記投球アームには寿命上の問題点が生じるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、投球アームを高速回転させることにより、球を投球可能とする投球機において、上記投球アームの寿命を向上させるようにすることである。
【0010】
請求項1の発明は、軸心8が左右に延びる回転軸9をその軸心8回りに回転可能となるよう架台7に支承させ、上記回転軸9に取り付けられてこの回転軸9と共に回転する投球アーム10を設け、この投球アーム10が、上記回転軸9からその径方向外方に突出する円形パイプ製の投球アーム本体11と、この投球アーム本体11の突出端部に締結具12によって締結され、上記投球アーム本体11の突出端部からこの投球アーム本体11の突出方向Aの外方に向かって突出する球受部13とを備え、上記球受部13に球2を載置し、上記回転軸9の上方域、かつ、この回転軸9の軸心8回りの所定投球範囲αで、上記投球アーム10を前方に向かって高速回転させたとき、上記球受部13に載置されていた球2が前方に向かって投球されるようにした投球機における投球アーム構造において、
上記投球アーム本体11の突出端部を径方向に向かう外力Cによりプレス加工して、この投球アーム本体11の径方向で、互いに対面する一対の平板体28,28を形成し、上記突出方向Aに直交する上記各平板体28の幅方向Dの端縁部同士を互いに一体的に形成し、上記両平板体28,28の一側面31に上記球受部13の基部を締結させるようにしたことを特徴とする投球機における投球アーム構造である。
【0011】
請求項2の発明は、上記両平板体28,28の一側面31の外方に、上記投球アーム本体11の軸心42を位置させたことを特徴とする請求項1に記載の投球機における投球アーム構造である。
【0012】
請求項3の発明は、上記各平板体28の幅方向Dの両端縁部により、軸心29が上記突出方向Aに延びるパイプ形状体30を形成したことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の投球機における投球アーム構造である。
【0013】
請求項4の発明は、上記両平板体28,28の一側面31を通ると共にこの一側面31に沿って延びる仮想平面32を基準として、上記両平板体28,28の存在側に上記両パイプ形状体30,30のそれぞれ全体を位置させたことを特徴とする請求項3に記載の投球機における投球アーム構造である。
【0014】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0015】
本発明による効果は、次の如くである。
【0016】
請求項1の発明は、軸心が左右に延びる回転軸をその軸心回りに回転可能となるよう架台に支承させ、上記回転軸に取り付けられてこの回転軸と共に回転する投球アームを設け、この投球アームが、上記回転軸からその径方向外方に突出する円形パイプ製の投球アーム本体と、この投球アーム本体の突出端部に締結具によって締結され、上記投球アーム本体の突出端部からこの投球アーム本体の突出方向の外方に向かって突出する球受部とを備え、上記球受部に球を載置し、上記回転軸の上方域、かつ、この回転軸の軸心回りの所定投球範囲で、上記投球アームを前方に向かって高速回転させたとき、上記球受部に載置されていた球が前方に向かって投球されるようにした投球機における投球アーム構造において、
上記投球アーム本体の突出端部を径方向に向かう外力によりプレス加工して、この投球アーム本体の径方向で、互いに対面する一対の平板体を形成し、上記突出方向に直交する上記各平板体の幅方向の端縁部同士を互いに一体的に形成し、上記両平板体の一側面に上記球受部の基部を締結させるようにしている。
【0017】
ここで、上記球受部に球を載置し、上記回転軸の上方域、かつ、この回転軸の軸心回りの所定投球範囲で、上記投球アームを高速回転させて、球を投球する場合には、上記投球アーム本体の突出端部と球受部の基部との締結部の一部に応力集中が生じがちとなる。
【0018】
しかし、上記発明によれば、両平板体の幅方向の端縁部同士は互いに一体的に形成されているため、上記投球アーム本体の突出端部は、円形パイプ材がそのまま平坦形状となるようプレス加工された構造とされており、このため、上記両平板体の端縁部の間には、従来の技術のような切り欠きは存在しない。よって、上記投球アーム本体の突出端部と球受部の基部との締結部の一部に応力集中が生じる、ということが防止されて投球アームの寿命の向上が達成される。
【0019】
請求項2の発明は、上記両平板体の一側面の外方に、上記投球アーム本体の軸心を位置させている。
【0020】
このため、上記両平板体の一側面に上記球受部の基部を締結させたとき、平面視で、この球受部の中心を上記投球アーム本体の軸心に合致させることができる。よって、上記投球アームを高速回転させて、球を投球するとき、この球からの外力で、上記投球アームの投球アーム本体に対し上記球受部に捩りが生じる、ということは防止され、この点でも投球アームの寿命がより向上すると共に、上記捩りの発生が防止される分、精度のよい投球を得ることができる。
【0021】
請求項3の発明は、上記各平板体の幅方向の両端縁部により、軸心が上記突出方向に延びるパイプ形状体を形成している。
【0022】
このため、上記各平板体は、これら平板体と一体的に形成された上記各パイプ形状体により強固に補強され、強度と剛性とが向上する。よって、上記投球アームの寿命が更に向上すると共に、投球アームの剛性が向上する分、更に精度のよい投球を得ることができる。
【0023】
請求項4の発明は、上記両平板体の一側面を通ると共にこの一側面に沿って延びる仮想平面を基準として、上記両平板体の存在側に上記両パイプ形状体のそれぞれ全体を位置させている。
【0024】
このため、上記平板体の一側面に上記球受部を締結するとき、上記各パイプ形状体が邪魔になるということが防止される。よって、上記各パイプ形状体からの影響を受けずに、上記球受部の形状を所望のものに設定できる。つまり、この球受部の設計の自由度が向上し、その分、この球受部の強度や剛性を所望状態にできて、上記投球アームの寿命をより向上させることができると共に、所望の投球を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の投球機における投球アーム構造において、投球アームを高速回転させることにより、球を投球可能とする投球機において、上記投球アームの寿命を向上させるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための最良の形態は、次の如くである。
【0026】
即ち、軸心が左右に延びる回転軸をその軸心回りに回転可能となるよう架台に支承させ、上記回転軸に取り付けられてこの回転軸と共に回転する投球アームを設け、この投球アームが、上記回転軸からその径方向外方に突出する円形パイプ製の投球アーム本体と、この投球アーム本体の突出端部に締結具によって締結され、上記投球アーム本体の突出端部からこの投球アーム本体の突出方向の外方に向かって突出する球受部とを備える。
【0027】
上記球受部に球を載置し、上記回転軸の上方域、かつ、この回転軸の軸心回りの所定投球範囲で、上記投球アームを前方に向かって高速回転させたとき、上記球受部に載置されていた球が前方に向かって投球される。
【0028】
上記投球アーム本体の突出端部を径方向に向かう外力によりプレス加工して、この投球アーム本体の径方向で、互いに対面する一対の平板体を形成し、上記突出方向に直交する上記各平板体の幅方向の端縁部同士を互いに一体的に形成し、上記両平板体の一側面に上記球受部の基部を締結させるようにしている。
【実施例】
【0029】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0030】
図において、符号1は野球練習用のアーム式投球機で、矢印Frはこの投球機1による球2の投球方向の前方を示している。
【0031】
上記投球機1は、野球練習用のグランドである地面3上の被投球部に向かって、かつ、前方に向かって球2を投球する投球機本体4と、この投球機本体4によって球2を投球させるために多数の球2を貯留可能にすると共に、その球2を一つずつ上記投球機本体4に供給する不図示の球供給装置と、これら投球機本体4と球供給装置とを支持して上記地面3上の任意位置にまで移動可能とさせる台車5とを備えている。
【0032】
上記投球機本体4は、上記台車5に支持される架台7と、左右に延びる軸心8回りに回転可能となるよう上記架台7に支承される回転軸9と、この回転軸9に取り付けられてこの回転軸9と共に回転する投球アーム10とを備えている。また、この投球アーム10は、上記回転軸9からその径方向の外方に突出する投球アーム本体11と、この投球アーム本体11の突出端部に締結具12によって締結され、上記投球アーム本体11の突出端部からこの投球アーム本体11の突出方向Aの外方に向かって突出する球受部13とを備えている。
【0033】
図2中二点鎖線と、図1,3,4とで示すように、上記投球アーム10を上記回転軸9からその後方に向かってほぼ水平に突出する「球載置姿勢」としたときの側面視で、上記球受部13は、上記回転軸9の径方向に向かって延び上記球2を載置可能とさせる球受溝16をその上面に有する球受部本体17と、この球受部本体17の上記投球アーム本体11側の端部から上記球受溝16よりも上方に向かって突出し上記球受溝16に載置された球2が上記投球アーム本体11側に所定以上に転動することを阻止するストッパ突起18とを備えている。上記「球載置姿勢」で、上記球受溝16は後上方に向かって直線的に延びている。そして、上記投球アーム10の「球載置姿勢」で、上記球受部13の球受溝16に対し上記球供給装置から一つの球2が供給することとされる。
【0034】
上記球受部13は、互いに重ね合わされる左右一対の板金製板材21,21を備え、これら両板材21,21は固着具22であるリベットにより互いに固着されている。上記両板材21,21の各上縁部が互いに離反するよう屈曲させられており、これら両上縁部によって上記球受溝16が形成されている。
【0035】
図2において、上記投球機本体4は、上記回転軸9を弾性的に付勢するばね24と、このばね24の弾性力に対抗して上記回転軸9を投球アーム10と共に、上記軸心8回りの一方向Bに向かって回転駆動させる減速電動機25とを備えている。この場合、投球アーム10がその「球載置姿勢」から少し上方にまで回転した位置(図2中一点鎖線)が、上記投球アーム10の「初期位置」とされる。そして、この「初期位置」から上記回転軸9の上方域を通り、この回転軸9の上記所定角度である180°偏位した上記投球アーム10の「中立位置」までの所定角度が、所定投球範囲αとされる。
【0036】
上記投球アーム10は、上記ばね24の付勢力により、上記一方向Bに向かって上記「初期位置」から上記回転軸9の上方域を通り、上記「中立位置」までの上記投球範囲αを高速回転させられるようになっている。そして、この投球範囲αでの投球アーム10の高速回転により、上記球受部13の球受溝16に載置されていた球2が、上記球受溝16を上記球受部13の球受部本体17の突出端にまで転動した後、前方に向けて投球される。
【0037】
一方、上記投球アーム10は、上記電動機25の駆動により、上記「中立位置」から上記一方向Bに向かって上記回転軸9の下方を通り、かつ、上記「球載置姿勢」を経た後、上記「初期位置」に戻されるようになっており、このように投球アーム10が戻る際の回転範囲が戻り範囲βとされ、この戻り範囲βの終点近傍である上記「球載置姿勢」で、前記したように投球アーム10の球受部13の球受溝16に対し球供給装置から球2が供給されて載置される。以下、上記動作が繰り返されて、球2が1つずつ前方に向かって投球される。
【0038】
図1,3,4において、上記投球アーム10の投球アーム本体11につき、より詳しく説明する。
【0039】
上記投球アーム本体11の突出端部は、この投球アーム本体11の径方向に向かう外力Cによりプレス加工されて、この投球アーム本体11の径方向で互いに対面かつ当接する一対の平板体28,28が形成されている。上記突出方向Aに直交する上記各平板体28の幅方向Dの端縁部同士は互いに一体的に形成されている。具体的には、上記各平板体28の幅方向Dの両端縁部により、軸心29が上記突出方向Aに延びる一対のパイプ形状体30,30が形成されている。
【0040】
上記両平板体28,28の一側面31を通り、この一側面31に沿って延びる仮想平面32を基準として、上記両平板体28,28の存在側に上記両パイプ形状体30,30のそれぞれ全体が位置させられている。
【0041】
前記締結具12は、上記球受部13の基部および上記両平板体28,28を貫通するよう形成される一対のボルト孔35,35と、これらボルト孔35,35に挿通されてナット36と螺合されるボルト37とを備えている。この締結具12により、上記両平板体28,28の一側面31に上記球受部13の基部が締結されている。上記パイプ形状体30の他側面38とナット36との間には座金39が介設されている。
【0042】
図3,4において、上記両平板体28,28の一側面31の外方に上記投球アーム本体11の軸心42が位置させられている。上記投球アーム10の平面視(図3)、および図4で、上記投球アーム本体11の軸心42は、上記両板材21,21の合い面である上記球受溝16の中心と一致している。
【0043】
上記構成によれば、投球アーム本体11の突出端部を径方向に向かう外力Cによりプレス加工して、この投球アーム本体11の径方向で、互いに対面する一対の平板体28,28を形成し、上記突出方向Aに直交する上記各平板体28の幅方向Dの端縁部同士を互いに一体的に形成し、上記両平板体28,28の一側面31に上記球受部13の基部を締結させるようにしている。
【0044】
ここで、上記球受部13に球2を載置し、上記回転軸9の上方域、かつ、この回転軸9の軸心8回りの所定投球範囲αで、上記投球アーム10を高速回転させて、球2を投球する場合には、上記投球アーム本体11の突出端部と球受部13の基部との締結部の一部に応力集中が生じがちとなる。
【0045】
しかし、上記構成によれば、両平板体28,28の幅方向Dの端縁部同士は互いに一体的に形成されているため、上記投球アーム本体11の突出端部は、円形パイプ材がそのまま平坦形状となるようプレス加工された構造とされており、このため、上記両平板体28の端縁部の間には、従来の技術のような切り欠きは存在しない。よって、上記投球アーム本体11の突出端部と球受部13の基部との締結部の一部に応力集中が生じる、ということが防止されて投球アーム10の寿命の向上が達成される。
【0046】
また、前記したように、両平板体28,28の一側面31の外方に、上記投球アーム本体11の軸心42を位置させている。
【0047】
このため、上記両平板体28,28の一側面31に上記球受部13の基部を締結させたとき、平面視(図3)で、この球受部13の中心を上記投球アーム本体11の軸心42に合致させることができる。よって、上記投球アーム10を高速回転させて、球2を投球するとき、この球2からの外力で、上記投球アーム10の投球アーム本体11に対し上記球受部13に捩りが生じる、ということは防止され、この点でも投球アーム10の寿命がより向上すると共に、上記捩りの発生が防止される分、精度のよい投球を得ることができる。
【0048】
また、前記したように、各平板体28の幅方向Dの両端縁部により、軸心29が上記突出方向Aに延びるパイプ形状体30を形成している。
【0049】
このため、上記各平板体28は、これら平板体28と一体的に形成された上記各パイプ形状体30により強固に補強され、強度と剛性とが向上する。よって、上記投球アーム10の寿命が更に向上すると共に、投球アーム10の剛性が向上する分、更に精度のよい投球を得ることができる。
【0050】
また、前記したように、両平板体28,28の一側面31を通ると共にこの一側面31に沿って延びる仮想平面32を基準として、上記両平板体28,28の存在側に上記両パイプ形状体30,30のそれぞれ全体を位置させている。
【0051】
このため、上記平板体28の一側面31に上記球受部13を締結するとき、上記各パイプ形状体30が邪魔になるということが防止される。よって、上記各パイプ形状体30からの影響を受けずに、上記球受部13の形状を所望のものに設定できる。つまり、この球受部13の設計の自由度が向上し、その分、この球受部13の強度や剛性を所望状態にできて、上記投球アーム10の寿命をより向上させることができると共に、所望の投球を得ることができる。
【0052】
なお、以上は図示の例によるが、上記両平板体28,28の間に隙間を形成してもよく、この隙間にスペーサを介在させてもよい。また、上記座金39はなくてもよい。また、上記両平板体28,28の合い面を通る仮想平面上に、上記各パイプ形状体30の軸心29が位置するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図2中の二点鎖線部分の拡大図である。
【図2】投球機の側面図である。
【図3】図1で示したものの平面拡大部分破断図である。
【図4】図1のIV−IV線矢視断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 投球機
2 球
4 投球機本体
7 架台
8 軸心
9 回転軸
10 投球アーム
11 投球アーム本体
12 締結具
13 球受部
16 球受溝
17 球受部本体
18 ストッパ突起
21 板材
28 平板体
29 軸心
30 パイプ形状体
31 一側面
32 仮想平面
42 軸心
α 投球範囲
β 戻り範囲
A 突出方向
B 一方向
C 外力
D 幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸心が左右に延びる回転軸をその軸心回りに回転可能となるよう架台に支承させ、上記回転軸に取り付けられてこの回転軸と共に回転する投球アームを設け、この投球アームが、上記回転軸からその径方向外方に突出する円形パイプ製の投球アーム本体と、この投球アーム本体の突出端部に締結具によって締結され、上記投球アーム本体の突出端部からこの投球アーム本体の突出方向の外方に向かって突出する球受部とを備え、上記球受部に球を載置し、上記回転軸の上方域、かつ、この回転軸の軸心回りの所定投球範囲で、上記投球アームを前方に向かって高速回転させたとき、上記球受部に載置されていた球が前方に向かって投球されるようにした投球機における投球アーム構造において、
上記投球アーム本体の突出端部を径方向に向かう外力によりプレス加工して、この投球アーム本体の径方向で、互いに対面する一対の平板体を形成し、上記突出方向に直交する上記各平板体の幅方向の端縁部同士を互いに一体的に形成し、上記両平板体の一側面に上記球受部の基部を締結させるようにしたことを特徴とする投球機における投球アーム構造。
【請求項2】
上記両平板体の一側面の外方に、上記投球アーム本体の軸心を位置させたことを特徴とする請求項1に記載の投球機における投球アーム構造。
【請求項3】
上記各平板体の幅方向の両端縁部により、軸心が上記突出方向に延びるパイプ形状体を形成したことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の投球機における投球アーム構造。
【請求項4】
上記両平板体の一側面を通ると共にこの一側面に沿って延びる仮想平面を基準として、上記両平板体の存在側に上記両パイプ形状体のそれぞれ全体を位置させたことを特徴とする請求項3に記載の投球機における投球アーム構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−22609(P2009−22609A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−190162(P2007−190162)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(000134187)株式会社トーアスポーツマシーン (8)