説明

投球機

【課題】 人力で野球ボールやテニスボールなどの球を投球可能であり、球の装着と、投球強さの調節と、投球開始の制御等が容易にまた安全に操作可能な投球機を提供することである。
【解決手段】 投球アーム2を投球開始位置に固定したロック状態を弾性部材伸張手段4の回動操作で解除する際に付勢力調整手段3を介して解除する構成として、弾性部材51を伸張する際の移動に連動して前記ロック状態を解除して投球の開始を行うと共に、前記付勢力調整手段3を介して、弾性部材51の伸張度合いを変更して前記投球アーム2を回転する付勢力を変更可能な構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投球機に関し、特に、電気や圧縮エア等の動力源を必要とせず、人力で野球ボールやテニスボールなどの球を投球可能な投球機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、野球やテニスの練習用のために、電気や圧縮エア等の動力源を用いた投球機が知られている。これらの投球機は、投入される球を電気モータ等の駆動により、回転ディスクや投球アーム等を回転駆動して、練習者に投球するものである。
【0003】
例えば、電動機を介して一対の回転輪を回転して投球する球技練習用投球機(例えば、特許文献1参照)や、電動モータを介して投球アームを回転してボールを投球する投球マシン(例えば、特許文献2参照)が既に出願されている。
【特許文献1】特開2001−218883号公報
【特許文献2】特開2003−10360号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、電動モータ等の駆動電源を必要とする投球機では、電源設備にない公園や空き地などでの投球機を用いた練習が不可能である。
【0005】
また、人力のみで投球可能な構成とする際には、球の装着と、投球の際の球速の調節と、投球開始の制御等が容易に操作可能であることが好ましい。
【0006】
さらには、球速を多段階に変更可能であることが好ましく、速い球速で投球を行なう際にも、球の装着と、球速の調節と、投球開始の制御等が容易にまた安全に操作可能であることが好ましい。また、持ち運び容易で、どんな場所でも設置容易な構成であることが好ましい。
【0007】
本発明の目的は、人力で野球ボールやテニスボールなどの球を投球可能であり、球の装着と、投球の際の球速の調節と、投球開始の制御等が容易にまた安全に操作可能な投球機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために請求項1に係る発明は、投球アームと該投球アームを投球する方向に付勢する弾性部材を備え、前記弾性部材を伸張した位置で前記投球アームを投球開始位置に固定するロック機構を備えて、前記ロック機構を介して固定されたロック状態を解除することで前記投球アームを前記投球開始位置から解放して投球を行う投球機において、前記弾性部材の伸張を行うための弾性部材伸張手段を設け、前記投球アームと前記弾性部材伸張手段との間に、前記弾性部材伸張手段の前記弾性部材を伸張する際の移動に連動して前記ロック状態を解除すると共に、前記弾性部材の伸張度合いを変更して前記投球アームを回転する付勢力を変更可能とする付勢力調整手段を配設したことを特徴としている。
【0009】
上記の構成を有する請求項1に係る発明によれば、任意の球速の投球操作が可能となる。また、弾性部材伸張手段と付勢力調整手段の操作で投球を行うので、投球操作を安全に行なうことができる。
【0010】
請求項2に係る発明は、前記投球アームが、先端側に球装着部を備え、基端側に前記弾性部材の先端側を装着する弾性部材装着部およびロック部材を備え、中間部に設ける支軸部を介して回転自在であり、前記付勢力調整手段が、前記ロック部材と係合して前記投球アームの投球開始位置を規定するローラ部材を一端側に備え、中間に揺動支点部を備えて揺動自在な直条部材からなっており、該直条部材の他端側に、軸方向に変位自在で前記揺動支点部からの位置を変更自在とされる当接部材を備え、付勢部材とストッパを介して前記直条部材を所定位置に停止させて、前記ローラ部材を所定の待機位置に固定して投球開始位置を規定し、前記弾性部材伸張手段が、前記弾性部材の基端側を保持する弾性部材保持部を備えて回転軸周りに回動することで前記弾性部材を伸張すると共に、回動の途中で前記当接部材と係合して前記付勢力調整手段を揺動して前記ローラ部材を前記待機位置から解放する揺動部材を備えており、前記待機位置にある前記ローラ部材に前記ロック部材を係合させて前記投球アームを投球開始位置まで移動してロック状態とし、前記弾性部材伸張手段を回動する操作の途中で前記ロック状態を解除すると共に、変位自在な前記当接部材の位置に応じて前記ロック状態を解除するタイミングを変更可能な構成としたことを特徴としている。
【0011】
上記の構成を有する請求項2に係る発明によれば、投球アームをセットした後の弾性部材伸張手段を回動する操作で、投球アームに装着する弾性部材の伸張と、ロック状態の解除を行なうので、回転する投球アームから離れた位置にある弾性部材伸張手段を介して、投球の際の球速の調節と、投球開始の制御を容易にまた安全に行なうことができる。さらに、付勢力調整手段に設ける当接部材の位置を変位することで、投球アームを回転する付勢力を変更可能であるので、球速の細かい調整が可能となる。
【0012】
請求項3に係る発明は、前記弾性部材伸張手段が第一ペダルアームと第二ペダルアームを備えており、前記第一ペダルアームに前記弾性部材保持部と前記揺動部材を設けると共に、前記第二ペダルアームを介して前記第一ペダルアームを所定位置まで予め回動する構成としたことを特徴としている。
【0013】
上記の構成を有する請求項3に係る発明によれば、弾性部材伸張手段の回動操作を第一ペダルアームと第二ペダルアームとの二段階の踏み込み操作で行なうことで、両足を使ってさらに容易に投球操作を行なうことができる。
【0014】
請求項4に係る発明は、前記所定位置が、前記付勢力調整手段が備える当接部材と前記揺動部材とが近接する位置であることを特徴としている。
【0015】
上記の構成を有する請求項4に係る発明によれば、第二ペダルアームを一方の足で踏み込んだ後、他方の足で第一ペダルアームを徐々に踏み込む操作で、ロック機構を解除可能となり、投球操作を安全に行なうことができる。
【0016】
請求項5に係る発明は、前記付勢力調整手段が、中間に揺動支点部を備え一端側に前記ローラ部材を備える筒状本体アームと該筒状本体アームの内部を摺動自在であり前記筒状本体アームから突出する先端部に前記当接部材を備える移動アームとを有しており、前記筒状本体アームの軸方向の離間した二箇所に前記移動アームを固定する移動アーム固定部材を設けたことを特徴としている。
【0017】
上記の構成を有する請求項5に係る発明によれば、移動アームの筒状本体アームからの突出長さを変えて当接部材の位置を変更することで、ロック機構の解除タイミングの変更が容易となり、投球の際の球速を任意に調節可能となる。
【0018】
請求項6に係る発明は、前記移動アームの前記筒状本体アームからの突出長さが長い場合には、前記当接部材と前記揺動部材との離間距離が短縮され、前記第一ペダルアームの踏み込み量が小さな領域で前記ロック状態が解除され、突出長さが短い場合には、前記当接部材と前記揺動部材との離間距離が長くなり、前記第一ペダルアームの踏み込み量が大きな領域で前記ロック状態が解除されることを特徴としている。
【0019】
上記の構成を有する請求項6に係る発明によれば、第一ペダルアームの踏み込み量が小さな領域でロック状態を解除すると、投球アームに装着している弾性部材の伸張程度も少ない領域で投球アームが駆動されるので、移動アームの突出長さを長くすることで投球の際の球速を小さくすることができる。また、移動アームの突出長さを短くして投球の際の球速を大きくすることができる。
【0020】
請求項7に係る発明は、前記弾性部材装着部を、複数の弾性部材を装着可能なシャフト部材とし、該シャフト部材を複数位置に固定可能な保持具を設けて、装着する弾性部材の数と該弾性部材による付勢力を調整自在としたことを特徴としている。
【0021】
上記の構成を有する請求項7に係る発明によれば、弾性部材の使用本数を変えて投球アームを回転する付勢力を変更可能であり、さらに、弾性部材の基端部位置を変えることでも、付勢力を変更可能であるので、広範囲に亘って投球の際の球速を調整することができる。
【0022】
請求項8に係る発明は、前記投球機が、本体フレームの四隅にキャスターとジャッキボルトとを備えて、移動自在であり、四隅の高さが調節自在であることを特徴としている。
【0023】
上記の構成を有する請求項8に係る発明によれば、キャスターを介して移動自在であって、移動した後で、ジャッキボルトを介して任意の高さと傾斜度合いに調節することができる。そのために、投球の角度も任意に調整可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、投球アームをセットした後の弾性部材伸張手段の回動操作で、投球アームを投球する方向に付勢する弾性部材の伸張と、ロック状態の解除を行なうので、投球アームへの球の装着と、球速の調整と、投球開始の制御を容易にまた安全に行なうことができる。さらに、ロック状態の解除のタイミングと、弾性部材の使用本数と、弾性部材の基端部位置を変更可能としているので、広範囲に亘って投球の際の球速を調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明に係る投球機の実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明に係る投球機の概略側面図である。図2は本発明に係る投球機の全体斜視図である。図3〜図5は本発明に係る投球機の操作手順を示す概略説明図である。
【0027】
図1に示すように、本発明に係る投球機1は、投球アーム2と該投球アームを投球する方向に付勢する弾性部材51と付勢力調整手段3と弾性部材伸張手段4とを備えており、付勢力調整手段3を介して前記弾性部材伸張手段4の回動操作によって、投球開始位置に固定された投球アーム2のロック状態を解除して投球を行う構成としている。
【0028】
弾性部材伸張手段4は、後述するように、弾性部材51の伸張を行うと共に、伸張の際の移動に連動した所定のタイミングで付勢力調整手段3に係合してロック状態を解除する機能を有する。
【0029】
また、これらの構成品を全て、本体フレーム10に一体的に構成し、該本体フレーム10の四隅にキャスター15とジャッキボルト16とを設けて、移動自在とし、四隅の高さを調節自在としている。
【0030】
投球する際の球速は、投球アーム2と弾性部材伸張手段4間に懸架する弾性部材51の強さと使用本数と伸張度合いによる。そのために、弾性部材51の装着本数や伸張度合いを容易に変更可能とすると共に、変更可能範囲を広範囲とし、所望される球速を任意に実現可能な構成としている。
【0031】
投球アーム2は、その中間部を貫通して設けられる支軸20周りに回転自在となるようブッシュやベアリング部材を介して支持されており、先端側に球装着部21を備え、基端側に前記弾性部材51の先端側を装着する弾性部材装着部23およびロック部材22を備えている。
【0032】
付勢力調整手段3は、前記ロック部材22と係合して前記投球アーム2の投球開始位置を規定するローラ部材35を一端側に備え、中間に揺動支点部30を備える直条部材であって、該直条部材の他端側に前記揺動支点部からの位置を変更自在とされる当接部材33を備えている。
【0033】
付勢力調整手段3は、ストッパ13と付勢部材52によって、その位置が固定されている。また、図中の想像線に示す待機位置にある投球アーム2Aを図中の矢印D1方向に回転して移動させる過程で、断面L型とされる前記ロック部材22の側面22Aがローラ部材35(例えばベアリング部材)に当接し、付勢力調整手段3を図中の矢印D2方向に押し倒しながら移動することで、前記ローラ部材35が側面22Aを乗り越えて断面L型の内面凹部に係合し、ロックされた状態となる。
【0034】
これは、付勢力調整手段3が、矢印D2方向に回動自在であると共に、付勢部材52により前記矢印D2方向とは逆方向に回動するよう付勢されているからである。
【0035】
また、前記付勢力調整手段3を、筒状本体アーム31と移動アーム32とで構成し、該移動アーム32を前記筒状本体アーム31の内部を摺動自在としている。さらに、前記移動アーム32を固定するための移動アーム固定部材36、36を前記筒状本体アーム31の軸方向の離間した二箇所に設けている。この二箇所に設ける移動アーム固定部材36、36を両方共に緩めると移動アーム32を軸方向の図中の矢印D5方向に移動可能となり、所定位置まで進退させて所望される位置で前記移動アーム固定部材を締め付けて固定する。
【0036】
前記移動アーム固定部材36は、筒状本体アーム31と移動アーム32との両方を貫通するボルト・ナット型の固定部材でもよいが、一方のアームに長溝を設けて、スライド自在な構成とし、片手で回動可能なハンドル部を備えるロック形式の固定部材であれば、工具がなくても操作可能となって好適である。
【0037】
前記筒状本体アーム31の中間に揺動支点部30を設け、一端側に前記ローラ部材35を設け、該筒状本体アーム31の内部を摺動自在に装着される移動アーム32の前記筒状本体アーム31から突出する先端部に当接部材33を設けている。
【0038】
つまり、移動アーム32の筒状本体アーム31からの突出長さを変えて当接部材33の位置を変位することで、ロック機構の解除タイミングの変更が容易となり、投球の際の球速の変更を任意に調節可能な構成とされている。例えば、突出長さが短い図中の想像線に示す33A位置に固定した場合では、弾性部材伸張手段4の回動を大きくしないとロック状態が解除されないので、その分、弾性部材51を大きく伸張して付勢力が強くなり、投球する球の速度が増加する。
【0039】
また、弾性部材伸張手段4は、第一ペダルアーム41と第二ペダルアーム42を備えた足踏み式のペダルアームからなっており、それぞれ回転軸40周りに回転自在とされている。また、第一ペダルアーム41に設ける保持具45に弾性部材保持部44が装着されており、該弾性部材保持部44と投球アーム2の弾性部材装着部23との間に弾性部材51が懸架されている。この弾性部材51は、バネやゴムでよく、特にコイルバネが好適に適用可能である。
【0040】
さらに、第一ペダルアーム41には回転軸40の反対側に揺動部材43が延設されており、前述した当接部材33と係合するよう構成されている。
【0041】
つまり、第一ペダルアーム41を踏み込む途中で、前記揺動部材43が前記当接部材33と係合して、ロック状態を解除し付勢力調整手段2を揺動する構成である。このように、ローラ部材35にロック部材22が係合したロック状態を、揺動部材43と当接部材33とが係合して形成されるロック解除機構を介して付勢力調整手段3を揺動する構成である。
【0042】
第一ペダルアーム41のペダル部41Aを矢印D3方向に踏み込むと、揺動部材43が図中の矢印D4方向に回動し、当接部材33に当接して付勢力調整手段3を矢印D2方向に回動する。すると、ローラ部材35が断面L型のロック部材22の内面凹部を乗り越えてしまい、投球アーム2のロック状態が解除され、投球アーム2が弾性部材51の伸張力により一気に回転する。つまり、球装着部21に装着された球Bが投球される。
【0043】
この際、前記移動アーム32の筒状本体アーム31からの突出長さが長くなると、前記当接部材33と前記揺動部材43との離間距離が短縮され、前記第一ペダルアーム41の踏み込み量が小さな領域で前記ロック状態が解除され、突出長さが短い場合には、前記当接部材33と前記揺動部材43との離間距離が長くなり、前記第一ペダルアーム41の踏み込み量が大きな領域で前記ロック状態が解除される構成とされている。
【0044】
当接部材33が軸線方向に進退移動しても、揺動部材43の回動範囲で当接する構成とするためには、前記揺動部材43が回転軸40周りに回転する際に、その揺動部材43の回動領域内に前記当接部材33が位置するようにすればよい。
【0045】
弾性部材保持部44と揺動部材43を備える第一ペダルアーム41のみで弾性部材伸張手段4を構成してもよいが、この構成であれば、弾性部材51を伸張するのに必要な長いストロークの踏み込み量となって、片方の足で長いストロークを踏み込む操作となる。そのために、本発明においては、弾性部材51を伸張する踏み込み操作を二段階で行う構成とし、初期の所定範囲の一段階目の踏み込み操作を行なう第二ペダルアーム42を設ける構成とした。
【0046】
第二ペダルアーム42は第一ペダルアーム41の上面に当接する押下部材46を備えており、前記第二ペダルアーム42を踏み下げると、前記押下部材46が第一ペダルアーム41の上面に当接して一体的に押し下げることになる。
【0047】
そのために、初期の一段目の踏み込み操作により第二ペダルアーム42のペダル部42Aを最後まで踏み込んだ時に、前記第二ペダルアーム42を介して前記第一ペダルアーム41を所定位置まで予め回動する構成であり、前記所定位置が、前記付勢力調整手段3が備える当接部材33と前記揺動部材43とが近接する位置としている。
【0048】
上記のような構成としているので、第二ペダルアーム42を一方の足で踏み込んだ後、他方の足で第一ペダルアーム41を徐々に踏み込む操作で、ロック状態を解除可能となり、投球操作を容易に、また、安全に行なうことができる。つまり、本発明に係る投球機1は投球の制御をペダルアーム型の弾性部材伸張手段4を介して行う足踏み式投球機となる。
【0049】
図2に示すように、本体フレーム10は、右側面フレーム10Aと左側面フレーム10Bと底部フレーム10Cとを備えたフレーム構成とされている。それぞれのフレームは角パイプやL型鋼で構成し、内部を空洞にした所定形状に溶接構成されている。また、右側面フレーム10Aと左側面フレーム10Bとを連結フレーム10Dを介して連結し補強すると共に、付勢力調整手段3を装着するためのサブフレーム10Eを備えている。
【0050】
さらに、投球アーム2を回転自在に支持する支軸20が、右側面フレーム10Aと左側面フレーム10Bを架け渡すように装着されており、弾性部材伸張手段4を回動自在に支持する回転軸40が底部フレーム10Cの中間部分に立設される支持フレーム12、12間に架け渡されている。
【0051】
また、底部フレーム10Cの四隅にキャスター15とジャッキボルト16とを備えて、移動自在であり、四隅の高さが調節自在とされている。そのために、四隅に設けるジャッキボルトの高さを調節して、投球機1の前後の傾斜姿勢を変更することも容易であって、投球角度を任意に調節可能となる。
【0052】
投球する際に球速は装着する弾性部材51の付勢強度(コイルバネであればバネ強度)と本数によって調節することができる。そのために、弾性部材51の先端側を装着する弾性部材装着部23と前記弾性部材51の基端側を保持する弾性部材保持部44とを、それぞれ複数の弾性部材51が装着可能な長さを有するシャフト部材から構成している。
【0053】
また、シャフト部材からなる前記弾性部材保持部44を、複数個所に変位して装着可能とする保持具45に取り付ける構成としている。つまり、保持具45はシャフト部材取付部を複数備えた攻勢とされている。この構成であれば、装着する弾性部材51の数を増減して、弾性部材51の付勢力を大きく変化させることも、弾性部材51の基端部の保持位置を変位することで、弾性部材51の付勢力を細かく変化させることもでき、弾性部材51による付勢力の調整範囲が大きくなって、投球の際の球速が調整自在となる。
【0054】
上記のような構成であるので、所望される球速に応じた強さを発揮する弾性部材51を選択して装着することができ、広範囲の投球強さが実現可能となる。
【0055】
さらに、左側面フレーム10Bの後部に設ける支柱を貫通し、両手で把持可能な水平シャフト部を有する把持部6を設けると共に、左側面フレーム10Bを挟んで、第一ペダルアーム41と第二ペダルアーム42を支柱10Baの両側に配設している。この構成であれば、両手で前記把持部6を把持した状態で、まず左足で第二ペダルアーム42のペダル部42Aを踏み下げ、その後で、右足で第一ペダルアーム41のペダル部41Aを踏み下げる操作を容易にまた安全に行うことができる。
【0056】
次に、図3〜図5から投球機の操作手順について説明する。
【0057】
まず、図3に示すように、投球アーム2を図中の矢印D1方向に回動して、断面L型のロック部材22を付勢力調整手段3のローラ部材35に係合させてロック状態とする。それから、投球開始の所定位置に停止された投球アーム2の球装着部21に球Bを装着する。
【0058】
投球アーム2を矢印D1方向に回動して投球開始位置に固定する操作は、弾性部材伸張手段4を操作していないので、弾性部材51がそれほど伸張されていない状態での操作となり、弱い力で投球アーム2を回動してロック状態に固定することができ、容易でかつ安全な操作となる。
【0059】
次に、図4に示すように、把持部6に両手を添えて、例えば左足で第二ペダルアーム42のペダル部42Aを踏み下げる。すると、前述したように、押下部材46が第一ペダルアーム41の上面を押下して、弾性部材51が矢印D6方向に伸張されながら第一ペダルアーム41を所定位置まで押し下げていくことになる。
【0060】
最後に、図5に示すように、左足で第二ペダルアーム42のペダル部42Aを踏み下げた状態を維持しながら、右足で第一ペダルアーム41のペダル部41Aを踏み込む。すると、徐々に弾性部材51を伸張しながら第一ペダルアーム41が回動し、揺動部材43が当接部材33と係合し、付勢力調整手段3を揺動してロック状態を解除し、投球アーム2が回動して投球を行なう。
【0061】
上記のような手順で投球を行なうので、投球の際には、操作する人はペダルアームのペダル部付近に居ることになり、投球アーム2の回動範囲から離れた位置に在り、安全に投球操作を行なうことができる。
【0062】
また、球装着部21に装着する球Bを受ける爪部材24を変位して、球Bの装着位置を微妙に調整して、投球の際の高低を微調整することも可能である。爪部材24を変位する方法としては、例えば図5に示すように、爪部材24が支軸25を介して回動する構成として、想像線に示すように変位させることができる。また、回動移動ではなく、投球アームの軸方向に直線的に変位する構成とすることも可能である。ただ、回動変位させる構成であれば、一軸周りに回動自在とする簡単な形状としてこの軸に固定する構成とすればよく、固定も容易であって好適である。
【0063】
前記爪部材24は、ブロック製でも厚板製でも板金製でもよく、球Bを停止して支持可能な形状であればよい。例えば、板金製の爪部材24Aの一例を図6に示す。
【0064】
図6(a)の側面図と図6(b)の正面図に示すように、板金製の爪部材24Aは、板金を円弧状に丸めて形成される球受け部24Aaの位置を、フックを備える支軸25A周りに変位可能な構成とされている。この構成であれば、球受け部24Aaを図中の矢印方向に少し回動させることで、球Bの装着位置を微調整することができる。
【0065】
上記の構成であれば、投球アームの長さと球装着部の位置とジャッキボルトにより調整される高さとで設定される高低に加えて、さらに、投球する球Bの高低を微調整可能となって、投球機としての機能がさらに向上し好適である。
【0066】
上記したように、本発明に係る投球機(足踏み式投球機)によれば、投球アームをセットした後のペダルアーム(弾性部材伸張手段)を踏み込む操作で、投球アームを投球する方向に付勢する弾性部材の伸張を行ない、付勢力調整手段を介してロック状態の解除を行なうので、回転する投球アームから離れた位置にあるペダルアームを踏み込むだけで、投球強さの調節と、投球開始の制御を容易にまた安全に行なうことができる。さらに、ロック状態の解除のタイミングと、弾性部材の使用本数と、弾性部材の基端部位置を変更可能としているので、広範囲に亘って投球の際の球速を調整することができる。
【0067】
また、付勢力調整手段に備える当接部材の位置を変位自在としているので、ロック状態を解除するタイミングを変更容易となって、投球の際の球速の調整をさらに広範囲に変化することができる。
【0068】
さらに、四隅に設けるジャッキボルトの高さを調節して、投球機の前後の傾斜姿勢を変更することも容易であって、投球角度を任意に調節可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に係る投球機の概略側面図である。
【図2】本発明に係る投球機の全体斜視図である
【図3】本発明に係る投球機の操作手順を示す概略説明図である。
【図4】本発明に係る投球機の操作手順を示す概略説明図である。
【図5】本発明に係る投球機の操作手順を示す概略説明図である。
【図6】球装着部に装着する爪部材の一例を示す拡大説明図であって、(a)は側面図であり、(b)は正面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 投球機
2 投球アーム
3 付勢力調整手段
4 弾性部材伸張手段
10 本体フレーム
20 支軸
30 揺動支点部
31 筒状本体アーム
32 移動アーム
33 当接部材
36 移動アーム固定部材
40 回転軸
41 第一ペダルアーム
42 第二ペダルア−ム
43 揺動部材
51 弾性部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投球アームと該投球アームを投球する方向に付勢する弾性部材を備え、前記弾性部材を伸張した位置で前記投球アームを投球開始位置に固定するロック機構を備えて、前記ロック機構を介して固定されたロック状態を解除することで前記投球アームを前記投球開始位置から解放して投球を行う投球機において、
前記弾性部材の伸張を行うための弾性部材伸張手段を設け、前記投球アームと前記弾性部材伸張手段との間に、前記弾性部材伸張手段の前記弾性部材を伸張する際の移動に連動して前記ロック状態を解除すると共に、前記弾性部材の伸張度合いを変更して前記投球アームを回転する付勢力を変更可能とする付勢力調整手段を配設したことを特徴とする投球機。
【請求項2】
前記投球アームが、先端側に球装着部を備え、基端側に前記弾性部材の先端側を装着する弾性部材装着部およびロック部材を備え、中間部に設ける回転支点部を介して回転自在であり、
前記付勢力調整手段が、前記ロック部材と係合して前記投球アームの投球開始位置を規定するローラ部材を一端側に備え、中間に揺動支点部を備えて揺動自在な直条部材からなっており、該直条部材の他端側に、軸方向に変位自在で前記揺動支点部からの位置を変更自在とされる当接部材を備え、付勢部材とストッパを介して前記直条部材を所定位置に停止させて、前記ローラ部材を所定の待機位置に固定して投球開始位置を規定し、
前記弾性部材伸張手段が、前記弾性部材の基端側を保持する弾性部材保持部を備えて回転軸周りに回動することで前記弾性部材を伸張すると共に、回動の途中で前記当接部材と係合して前記付勢力調整手段を揺動して前記ローラ部材を前記待機位置から解放する揺動部材を備えており、
前記待機位置にある前記ローラ部材に前記ロック部材を係合させて前記投球アームを投球開始位置まで移動してロック状態とし、前記弾性部材伸張手段を回動する操作の途中で前記ロック状態を解除すると共に、変位自在な前記当接部材の位置に応じて前記ロック状態を解除するタイミングを変更可能な構成としたことを特徴とする請求項1に記載の投球機。
【請求項3】
前記弾性部材伸張手段が第一ペダルアームと第二ペダルアームを備えており、前記第一ペダルアームに前記弾性部材保持部と前記揺動部材を設けると共に、前記第二ペダルアームを介して前記第一ペダルアームを所定位置まで予め回動する構成としたことを特徴とする請求項2に記載の投球機。
【請求項4】
前記所定位置が、前記付勢力調整手段が備える当接部材と前記揺動部材とが近接する位置であることを特徴とする請求項3に記載の投球機。
【請求項5】
前記付勢力調整手段が、中間に揺動支点部を備え一端側に前記ローラ部材を備える筒状本体アームと該筒状本体アームの内部を摺動自在であり前記筒状本体アームから突出する先端部に前記当接部材を備える移動アームとを有しており、前記筒状本体アームの軸方向の離間した二箇所に前記移動アームを固定する移動アーム固定部材を設けたことを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の投球機。
【請求項6】
前記移動アームの前記筒状本体アームからの突出長さが長い場合には、前記当接部材と前記揺動部材との離間距離が短縮され、前記第一ペダルアームの踏み込み量が小さな領域で前記ロック状態が解除され、突出長さが短い場合には、前記当接部材と前記揺動部材との離間距離が長くなり、前記第一ペダルアームの踏み込み量が大きな領域で前記ロック状態が解除されることを特徴とする請求項5に記載の投球機。
【請求項7】
前記弾性部材装着部を、複数の弾性部材を装着可能なシャフト部材とし、該シャフト部材を複数位置に固定可能な保持具を設けて、装着する弾性部材の数と該弾性部材による付勢力を調整自在としたことを特徴とする請求項2から6のいずれかに記載の投球機。
【請求項8】
前記投球機が、本体フレームの四隅にキャスターとジャッキボルトとを備えて、移動自在であり、四隅の高さが調節自在であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の投球機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−259723(P2008−259723A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−105581(P2007−105581)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【出願人】(592046002)株式会社キンキクレスコ (5)