説明

投票券の発売及び的中額の払い戻し装置

【課題】 投票券発売及び的中代金払戻装置において、投票カードと的中券を同時に処理することが可能な技術を提供すること。
【解決手段】 投票券発売及び的中代金払戻装置であり、投票カードを取り込む投票カード取込部と、的中券を取り込む的中券取込部と、1つの駆動源により駆動され、投票カード取込部と的中券取込部とに接続され、それらから取り込まれた投票カード又は的中券を搬送する読み取り搬送部と、その搬送される投票カード又は的中券の記載内容を読み取るリーダと、投票カード又は的中券を返却する返却部と、読み取り搬送部と返却部とに接続され、読み取り搬送部から搬送されてくる投票カード又は的中券を少なくとも返却部へ導くことが可能な全体搬送部と、読み取り搬送部においてリーダよりも搬送方向について下流の位置又は全体搬送部から分岐して設けられ、投票カード又は的中券を一時的に保留する保留部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投票券の発売、及び、投票券のうち投票結果が的中した的中券の的中額分の代金の払い戻しを自動で行う装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、競馬や競艇等の競技において、その競技に対する予想内容を記入した投票カードに基づいて、投票券を発売する機能と、投票券のうち投票結果(予想結果)が的中した的中券の的中額分の代金の払い戻し機能を備えた投票券発売及び的中代金払戻装置が開発されている。このような投票券発売及び的中代金払戻装置として、例えば、図5に示す装置が知られている。
【0003】
図5は、従来における投票券発売及び的中代金払戻装置500の概略図である。
図5に示す投票券発売及び的中代金払戻装置500は、主に、ユーザにより挿入された、競技の投票内容(予想内容など)が記載された投票カードを取り込む投票カード取込部510と、ユーザにより挿入された的中券を取り込む的中券取込部520と、投票カードの投票内容または的中券の的中データを読み取るリーダ530と、的中券を回収する的中券回収箱540と、投票券を回収するための投票カード回収箱550と、読み取り搬送路560と、全体搬送路570と、読み取り搬送路560を駆動するための駆動モータ580と、全体搬送路570を駆動するための駆動モータ590とを備えている。読み取り搬送路560は、的中券取込部520または投票カード取込部510から取り込まれた的中券または投票カードをリーダ530を介して全体搬送路570まで搬送する。全体搬送路570は、的中券または投票カードを回収する場合には、それを的中券回収箱540または投票カード回収箱550へ搬送する。また、全体搬送路570は、的中券または投票券を返却する場合には、それを返却口575へ搬送する。この投票券発売及び的中代金払戻装置500において、各搬送路560,570は、それぞれ1つの駆動源である駆動モータ580,590によって同期して駆動される。ここで、「同期する」とは、搬送路の一部のみが動くのではなく全体が動くことを表わす。
【0004】
この投票券発売及び的中代金払戻装置500は、ユーザにより挿入された投票カードを、リーダ530で投票内容を読み込んだ後、ユーザによるキャンセル等を考慮し回収せずにリーダ530付近の搬送路560や搬送路570等に一旦保持する。
【0005】
なお、上記に関連する技術として、下記特許文献1に、投票券を発売するための投票券発売装置が公開されている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−281309公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した投票券発売及び的中代金払戻装置500において、ユーザは、投票カードを挿入して投票券を購入する場合に、現金ではなく的中券の的中額に相当する代金(以下、的中額相当金とも呼ぶ。)を用いて投票券を購入したいという要望があった。この場合、この投票券発売及び的中代金払戻装置500は、投票カードを保持した状態で、的中券取込部520を介して挿入される的中券に対して、的中額相当金の読み取りや、その的中券の回収、または、その的中券の返却などの処理を行う必要があった。
【0008】
しかしながら、上述した投票券発売及び的中代金払戻装置500では、全体搬送路570は、読み取り搬送路560との接続部分から返却口575まで投票カードと的中券の兼用搬送路となっており、さらに、各搬送路560,570は、駆動モータ580,590によってそれぞれ同期して駆動されるので、投票カードを保持したまま、的中券を的中券回収箱540へ回収したり、返却口575へ返却したりすることは困難であった。
【0009】
なお、上述の投票券発売及び的中代金払戻装置500において、的中券が先に挿入され、その後、投票カードが挿入される場合も考えられるが、この場合も、的中券を保持したまま投票カードを投票カード回収箱550へ回収したり、返却口575へ返却したりすることは困難であった。
【0010】
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、投票券発売及び的中代金払戻装置において、投票カードと的中券を同時に処理することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的の少なくとも一部を達成するために、本発明の投票券発売及び的中代金払戻装置は、
所定の競技に対して予想内容が記載された投票カードに基づいて投票券を発売し、また、前記投票券のうち前記予想内容が的中した的中券について、その的中額分の的中代金の払い戻しを行い、さらに、前記投票券の購入代金の少なくとも一部を前記的中券についての前記的中代金で支払うことが可能な投票券発売及び的中代金払戻装置であって、
前記投票カードを取り込むための投票カード取込部と、
前記的中券を取り込むための的中券取込部と、
1つの駆動源により駆動され、前記投票カード取込部と前記的中券取込部とに接続され、接続される前記投票カード取込部または前記的中券取込部から取り込まれた前記投票カードまたは前記的中券を搬送する読み取り搬送部と、
前記読み取り搬送部の所定の位置に配置され、前記読み取り搬送部により搬送される前記投票カードまたは前記的中券の記載内容を読み取るリーダと、
前記投票カードまたは前記的中券を返却するための返却部と、
少なくとも前記読み取り搬送部と前記返却部とに接続され、前記読み取り搬送部から前記投票カードまたは前記的中券が搬送されて来た場合には、その投票カードまたは的中券を少なくとも前記返却部へ導くことが可能な全体搬送部と、
前記読み取り搬送部において前記リーダよりも搬送方向について下流の位置から分岐して設けられ、または、前記全体搬送部から分岐して設けられ、前記投票カードまたは前記的中券を一時的に保留する保留部と、
を備えることを要旨とする。
【0012】
上記構成の投票券発売及び的中代金払戻装置によれば、保留部に投票カードまたは的中券を保留した状態で、さらに、的中券または投票カードを取り込み、リーダによる読み取り処理等を行うことができる。言い換えれば、上記構成の投票券発売及び的中代金払戻装置によれば、投票カードと的中券を同時に処理することが可能となる。
【0013】
上記投票券発売及び的中代金払戻装置において、
前記投票カードを回収するための投票カード回収部を備え、
前記保留部は、
前記全体搬送部から分岐して設けられ、さらに、前記投票カード回収部に接続され、
前記投票カードを一時的に保留し、
所定のタイミングに、保留している前記投票カードを前記全体搬送部または前記投票カード回収部へ搬送するようにしてもよい。
【0014】
このようにすれば、投票カードは、リーダにより記載内容が読み取られた後、すぐには回収されず一旦保留されるので、例えば、ユーザが投票カードの返却を希望した場合に、返却することが可能となる。
【0015】
上記投票券発売及び的中代金払戻装置において、
前記的中券を回収するための的中券回収部を備え、
前記保留部は、
前記全体搬送部から分岐して設けられ、さらに、前記的中券回収部に接続され、
前記的中券を一時的に保留し、
所定のタイミングに、保留している前記的中券を前記全体搬送部または前記的中券回収部へ搬送するようにしてもよい。
【0016】
このようにすれば、的中券は、リーダにより記載内容が読み取られた後、すぐには回収されず一旦保留されるので、例えば、ユーザが的中券の返却を希望した場合に、返却することが可能となる。
【0017】
なお、本発明は、上記した装置発明の態様に限ることなく、投票券の発売及び的中代金の払い戻し方法等の方法発明としての態様で実現することも可能である。さらには、それら方法や装置を構築するためのコンピュータプログラムとしての態様や、そのようなコンピュータプログラムを記録した記録媒体としての態様や、上記コンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号など、種々の態様で実現することも可能である。
【0018】
また、本発明をコンピュータプログラムまたはそのプログラムを記録した記録媒体等として構成する場合には、上記装置の動作を制御するプログラム全体として構成するものとしてもよいし、本発明の機能を果たす部分のみを構成するものとしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき次の順序で説明する。
A.実施例:
A1.装置概略:
A2.発券処理:
B.変形例:
【0020】
A.実施例:
A1.装置概略:
図1は、本発明の本実施例における馬券発売及び的中代金払戻装置1000の概略構成とホストコンピュータ2000とを示した図である。
図2は、本実施例における馬券発売及び的中代金払戻装置1000の正面図である。
一般的に、競馬競技において、ユーザは、所定のレースの予想内容及び掛け金(以下、投票内容と呼ぶ。)を投票カードに記入し、その投票内容が記載された勝馬投票券(以下、単に馬券と呼ぶ。)を購入する。また、ユーザは、馬券に記載された投票内容が、的中した場合には、その馬券を的中券として、的中券の的中額(掛け金に応じた額)分の代金の払い戻しの作業を行う。本実施例の馬券発売及び的中代金払戻装置1000は、このような馬券の発売機能と、的中券の的中額分の代金の払い戻し機能とを備えている。
【0021】
図1に示すように、馬券発売及び的中代金払戻装置1000は、ホストコンピュータ2000とネットワークを介して接続されている。ホストコンピュータ2000は、一般的なコンピュータであり、各ユーザの全体の投票内容を集計したり、的中券の検証をしたり、および、払い戻し金額を決定する。
【0022】
また、馬券発売及び的中代金払戻装置1000は、主に、投票カード取込部10と、的中券取込部20と、リーダ30と、的中券回収箱40と、投票カード回収箱50と、読み取り用搬送路60と、全体搬送路70と、読み取り用搬送路駆動モータ80と、全体搬送路駆動モータ90と、廃券印字部100と、操作タッチパネル110と、投票カード専用搬送路120と、投票カード専用搬送路駆動部130と、発券印刷部140と、精算ボタン150と、現金管理部160と、制御部200とを備える。
【0023】
投票カード取込部10は、図2に示すように、投票カード挿入口15を備え、ユーザにより、投票カード挿入口15に投票カードが挿入されると、それを取り込んで読み取り用搬送路60へ送る。
【0024】
的中券取込部20は、図2に示すように、的中券挿入口25を備え、ユーザにより、的中券挿入口25に的中券(馬券)が挿入されると、それを取り込んで読み取り用搬送路60へ送る。
【0025】
読み取り用搬送路60は、投票カード取込部10または的中券取込部20で取り込まれた投票カードまたは的中券をリーダ30まで一旦搬送し、その後、さらに、全体搬送路70へ搬送する。読み取り用搬送路駆動モータ80は、この読み取り用搬送路60を駆動させるモータであり、読み取り用搬送路60全体が同期するようにして駆動させる。ここで、「同期する」とは、一部の搬送路のみが動くのではなく搬送路全体が動くことを表わす。なお、読み取り用搬送路60において、リーダ30が設置されている位置を位置Xと呼ぶ。
【0026】
リーダ30は、読み取り用搬送路60により搬送されてくる投票カードに記入された投票内容を読み取る。また、リーダ30は、読み取り用搬送路60により搬送されてくる的中券に記載されている投票内容を読み取る。
【0027】
的中券回収箱40は、的中券を回収するための箱であり、投票カード回収箱50は、投票カードを回収するための箱である。
返却口575は、投票カードまたは的中券をユーザに返却するための返却口である。
【0028】
全体搬送路70は、読み取り用搬送路60から投票カードが搬送されてくる場合には、その投票カードを制御部200の指示に基づいて、返却口575または投票カード専用搬送路120へ搬送する。また、全体搬送路70は、読み取り用搬送路60から的中券が搬送されてくる場合には、その的中券を制御部200の指示に基づいて、返却口575または的中券回収箱40へ搬送する。全体搬送路駆動モータ90は、この全体搬送路70を駆動させるモータであり、全体搬送路70全体が同期するようにして駆動させる。
【0029】
廃券印字部100は、的中券回収箱40に回収される的中券に廃券印字を行う。例えば、パンチ処理を行う。
【0030】
投票カード専用搬送路120は、全体搬送路70から搬送されてくる投票カードを、制御部200の指示に基づき、一旦保留したり、投票カード回収箱50へ搬送したり、また、全体搬送路70へ再搬送したりする。投票カード専用搬送路駆動部130は、この投票カード専用搬送路120を駆動させる駆動モータであり、投票カード専用搬送路120全体が同期するようにして駆動させる。
【0031】
操作タッチパネル110は、タッチパネル方式にて、ユーザから発券を行うための種々の操作を受け付けるユーザインタフェイスである。
【0032】
発券印刷部140は、図2に示すように発券口145を備え、制御部200から発券データを受け取って、所定の媒体に印刷し、それを発券口145を介して発券する。精算ボタン150は、後述の発券処理で、精算を行う場合等に用いられる。
【0033】
現金管理部160は、図2に示すように硬貨口161及び紙幣口163を備え、後述の発券処理にてそれらを介してユーザから投入される現金を取り込み管理する。また、現金管理部160は、的中券の的中代金の払い戻しの際には、硬貨口161または紙幣口163を介して、現金を払い戻す。
【0034】
制御部200は、CPU(図示せず)と、所定のアプリケーションプログラムを記憶したROM(図示せず)と、RAM(図示せず)とを備え、CPUがROMから所定のアプリケーションプログラムをRAMに展開することで、上述した投票カード取込部10と、的中券取込部20と、リーダ30と、読み取り用搬送路駆動モータ80と、全体搬送路駆動モータ90と、廃券印字部100と、操作タッチパネル110と、投票カード専用搬送路駆動部130と、発券印刷部140と、精算ボタン150と、現金管理部160とを制御し、後述する発券処理を実行する。
【0035】
A2.発券処理:
以下に、本実施例の馬券発売及び的中代金払戻装置1000が行う発券処理について説明する。馬券発売及び的中代金払戻装置1000は、この発券処理において、ユーザにより挿入される投票カードに基づいて、馬券を発券する。この場合、本実施例の馬券発売及び的中代金払戻装置1000は、現金のみでなく、的中券の的中代金の少なくとも一部を馬券の購入代金に充当することができるようになっている。
【0036】
馬券発売及び的中代金払戻装置1000は、上述したように、馬券の発売(発券)機能と共に的中券の的中代金の払い戻し機能も有する。従って、制御部200は、通常、操作タッチパネル110に、発券を行うための発券ボタン(図示せず)と、払い戻しを行うための払い戻しボタン(図示せず)を表示させている。そして、ユーザが発券ボタンを押した場合に、馬券発売及び的中代金払戻装置1000は、以下の発券処理を行う。
【0037】
図3および図4は、本実施例における発券処理を表わすフローチャートである。
まず、制御部200は、図3に示すように、ユーザにより投票カード取込部10に投票カードが挿入されたかどうか判断する(ステップS5)。制御部200は、投票カードが挿入されていなければ(ステップS5:NO)、待機し、投票カードが挿入された場合には(ステップS5:YES)、その投票カードを読み取り用搬送路駆動モータ80に読み取り用搬送路60を駆動させて、位置Xまで搬送させる。
【0038】
続いて、制御部200は、硬貨口161または紙幣口163を介して現金管理部160に現金が投入されたかどうかを判断する(ステップS10)。
【0039】
制御部200は、現金が投入されていなければ(ステップS10:NO)、待機し、現金が投入されるまで待つ。なお、この待機中、精算ボタン150が押された場合には、制御部200は、ユーザが馬券の購入をキャンセルしたと判断し、読み取り用搬送路駆動モータ80を駆動させて、位置Xにある投票カードを、読み取り用搬送路60に全体搬送路70まで搬送させ、さらに、その投票カードを、全体搬送路駆動モータ90を駆動させて、全体搬送路70に返却口75まで搬送させる。
【0040】
制御部200は、現金が投入されていれば(ステップS10:YES)、続いて、現金管理部160に投入された現金の額を読み取らせる(ステップS20)。
【0041】
次に、制御部200は、挿入された投票カードから投票内容を読み取る(ステップS30)。
【0042】
制御部200は、読み取った投票内容をホストコンピュータ2000へ送信する(ステップS40)。ホストコンピュータ2000は、送信されてくる投票内容を受信し、他の馬券発売及び的中代金払戻装置1000から送信されてくる投票内容と共にそれらの集計を行う。ホストコンピュータ2000は、馬券発売及び的中代金払戻装置1000から投票内容を受信後、受信した投票内容に基づいて、馬券発売及び的中代金払戻装置1000に、馬券の発券を行うための券面印字データを送信する。
【0043】
制御部200は、ホストコンピュータ2000から送信されてくる券面印字データを受信すると(ステップS50)、投票カードを移動させ投票カード専用搬送路120に保留させる(ステップS60)。具体的には、制御部200は、読み取り用搬送路駆動モータ80を駆動させて、位置Xにある投票カードを、読み取り用搬送路60に全体搬送路70まで搬送させ、さらに、その投票カードを全体搬送路駆動モータ90を駆動させて、全体搬送路70に投票カード専用搬送路120まで搬送させる。そして、制御部200は、投票カード専用搬送路駆動部130を駆動させず、投票カード専用搬送路120に保留させる。
【0044】
次に、制御部200は、読み取った投票内容(この場合は、掛け金。)に対して、読み取った現金額が足りているかどうかを判断する(ステップS65)。
【0045】
制御部200は、読み取った投票内容(掛け金)に対して、読み取った現金額が足りていない場合には(ステップS65:NO)、続いて、図4に示すように、的中券取込部20に馬券が挿入されたか、若しくは、現金管理部160に現金が追加投入されたかどうかを判断する(ステップS70)。
【0046】
制御部200は、馬券が挿入された場合には(ステップS70:馬券挿入あり)、読み取り用搬送路駆動モータ80を駆動させて読み取り用搬送路60に、挿入された馬券を位置Xまで搬送させる。そして、制御部200は、リーダ30にその馬券から投票内容(予想内容及び掛け金)などの馬券データを読み取らせる(ステップS80)。
【0047】
制御部200は、読み取らせた馬券データをホストコンピュータ2000に送信する(ステップS90)。ホストコンピュータ2000は、馬券発売及び的中代金払戻装置1000から馬券データを受け取ると、馬券データに基づく予想内容が的中しているかどうかを検討する。そして、ホストコンピュータ2000は、検討の結果、馬券が的中していた場合には、馬券発売及び的中代金払戻装置1000に対して、的中応答を行い、また、馬券における的中額を算出し、算出した的中額を表わす的中額情報を送信する。ホストコンピュータ2000は、検討の結果、馬券が的中していなければ、馬券発売及び的中代金払戻装置1000に対して、不的中応答を行う。
【0048】
一方、制御部200は、的中応答を受信した場合には、挿入された馬券が的中券であると判断する(ステップS100:YES)。この際、制御部200は、的中額情報を受信する(ステップS110)。
【0049】
その後、制御部200は、この的中券を的中券回収箱40に回収する(ステップS120)。具体的には、制御部200は、読み取り用搬送路駆動モータ80を駆動させて、位置Xにある的中券を、読み取り用搬送路60に全体搬送路70まで搬送させる。そして、制御部200は、その的中券を、全体搬送路駆動モータ90を駆動させて全体搬送路70に的中券回収箱40まで搬送させることにより回収する。なお、的中券が廃券印字部100のある位置を通過した時には、廃券印字部100は、的中券に対して廃券マークを印字する。例えば、廃券印字部100は、的中券に対して赤い文字で「廃券」と印字し、さらに、パンチで複数の穴を開ける。このステップS120の処理が終了すると、ステップS65の処理にリターンする。
【0050】
制御部200は、不的中応答を受信した場合には、挿入された馬券が的中していなかったと判断し(ステップS100:NO)、読み取り用搬送路駆動モータ80および全体搬送路駆動モータ90を駆動させて、位置Xにある馬券を、読み取り用搬送路60および全体搬送路70に返却口75まで搬送させる(ステップS130)。その後、ステップS70の処理にリターンする。
【0051】
一方、制御部200は、ステップS70の処理において、現金管理部160に現金が追加投入された場合には(ステップS70:現金追加投入あり)、現金管理部160に投入された現金の額を読み取らせる(ステップS140)。その後、ステップS65の処理にリターンする。
【0052】
また、制御部200は、ステップS70の処理において、馬券の挿入および現金の追加投入がない場合には(ステップS70:なし)、続いて、ユーザにより精算ボタン150が押されたかどうかを判断する(ステップS150)。制御部200は、精算ボタン150が押された場合には、ユーザが投票カード取込部10に挿入した投票カードに基づく投票券の購入をキャンセルしたと判断し、投票カードをユーザに返却する(ステップS160)。具体的には、制御部200は、投票カード専用搬送路駆動部130を駆動させて、投票カード専用搬送路120に保留中の投票カードを、投票カード専用搬送路120に全体搬送路70まで搬送させ、全体搬送路駆動モータ90を駆動させて全体搬送路70に返却口75まで搬送させる。
【0053】
続いて、制御部200は、ステップS10の処理またはステップS70の処理で投入された現金または的中額分の現金を払い戻すことにより精算を行う(ステップS170)。この精算後、この発券処理を終了する。
【0054】
ところで、ステップS65の処理において、制御部200は、読み取った投票内容(掛け金)に対して、読み取った現金額が足りている場合には(ステップS65:YES)、続いて、精算ボタン150が押されたかどうかを判断する(ステップS200)。なお、この場合における現金額は、上述のステップS110の処理において、的中額情報を受信している場合には、その的中額情報に基づく的中額に相当する代金や、上述のステップS140の処理において、追加投入された現金額を読み取っている場合には、その現金額に相当する代金を含める。
【0055】
制御部200は、精算ボタン150が押された場合には(ステップS200:YES)、投票カード専用搬送路120に保留中の投票カードを投票カード回収箱50に回収する(ステップS210)。具体的には、制御部200は、投票カード専用搬送路駆動部130を駆動させて、投票カード専用搬送路120に保留中の投票カードを、投票カード専用搬送路120に投票カード回収箱50まで搬送させる。
【0056】
次に、制御部200は、発券および精算を行う(ステップS220)。具体的には、制御部200は、発券印刷部140に、ステップS50の処理で受信した券面印字データに基づいて印刷処理を行い、発券口145から発券を行う。さらに、制御部200は、現金管理部160に上述のステップS10の処理で、ユーザから投入された現金に加えて、ステップS70の処理で、ユーザから追加投入された現金がある場合には、その現金(ステップS140)と、ステップS70の処理で、的中券が挿入された場合には、その的中券に相当する代金(ステップS110)の合計額から発券のための代金(掛け金に相当)を減じた差額を精算料金として、硬貨口161または紙幣口163を介してユーザに返却する。
【0057】
以上のように、上記実施例における馬券発売及び的中代金払戻装置1000によれば、ユーザにより投票カードが挿入されると、その投票カードの投票内容を読み取り、その後、投票カードを一時的に投票カード専用搬送路120に保留するようにしている。このようにすれば、投票カードを回収せずに保留するので、上述の発券処理におけるステップS150のごとく、ユーザから投票カードの返却要望があった場合に、ステップS160の処理のごとく、それをユーザに返却することが可能となる。また、このようにすれば、投票カードは、リーダ30付近に保持されないので、上述の発券処理におけるステップS80の処理のごとく、リーダ30で馬券の馬券データを読み取ることができる。さらには、このようにすれば、投票カードは、全体搬送路70に保持されないので、ステップS130の処理のごとく、馬券を返却口75へ搬送することが可能となる。言い換えれば、本実施例の馬券発売及び的中代金払戻装置1000によれば、投票カードと的中券を同時に取り扱う(処理する)ことが可能となる。
【0058】
また、馬券発売及び的中代金払戻装置1000において、リーダ30、読み取り用搬送路60の一部、全体搬送路70の一部、廃券印字部100等は、投票カードと的中券との兼用となっている。このようにすれば、小型化、低価格を図ることができる。
【0059】
B.変形例:
なお、本発明では、上記した実施の形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様にて実施することが可能である。
【0060】
B1.変形例1:
上記実施例の馬券発売及び的中代金払戻装置1000は、上述の発券処理において、競馬競技を対象とした馬券の発券を行うこととしているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、発券処理において、馬券に代えて、競輪、ボート競技、バイク競技、自動車競技、くじ(例えば、ロトくじ、サーカーくじなど)、ビンゴゲーム等の予想内容を示す投票券の発券を行うようにしてもよい。この場合、投票カードには、これらの競技やくじを予想する予想内容が記載される。
【0061】
B2.変形例2:
上記実施例の発券処理において、投票カードを投票カード専用搬送路120に保留するようにしているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、読み取り用搬送路60において、リーダ30よりも搬送方向について下流の位置や全体搬送路70のいずれかの位置から分岐する保留用搬送路(図示せず)を設けて、その保留用搬送路に保留するようにしてもよい。
【0062】
B3.変形例3:
上記実施例の馬券発売及び的中代金払戻装置1000は、投票カードを先に挿入して、その後、的中券を挿入可能にしているが、本発明はこれに限られるものではない。的中券を最初に挿入して、その後、投票カードを挿入するようにしてもよい。この場合、上記馬券発売及び的中代金払戻装置1000は、投票カード専用搬送路120を設けず、リーダ30よりも搬送方向に下流の位置や全体搬送路70のいずれかの位置から分岐する保留用搬送路(図示せず)を設けて、その保留用搬送路に最初に挿入された的中券を保留するようにしてもよい。例えば、全体搬送路70と的中券回収箱40との間に、保留用搬送路とそれを駆動する保留用搬送路駆動部を設けるようにしてもよい。この保留用搬送路は、全体搬送路70から搬送されてくる的中券を、制御部200の指示に基づき、一旦保留したり、的中券回収箱40へ搬送したり、また、全体搬送路70へ再搬送したりする機能を有する。このようにしても、投票カードと的中券を同時に取り扱う(処理する)こと可能となる。
【0063】
B4.変形例4:
上記実施例の馬券発売及び的中代金払戻装置1000では、全体搬送路70と投票カード専用搬送路120は、それぞれ別の駆動源である全体搬送路駆動モータ90と投票カード専用搬送路駆動部130により駆動されることとしているが、本発明はこれに限られるものではなく、どちらか一方の駆動源により全体搬送路70と投票カード専用搬送路120を駆動させるようにしてもよい。この場合、全体搬送路駆動モータ90と投票カード専用搬送路駆動部130のどちらか一方を設けない。例えば、投票カード専用搬送路駆動部130を設けないこととすると、全体搬送路駆動モータ90と投票カード専用搬送路120とをクラッチを介して接続するようにする。そして、クラッチの連結を制御してその連結の有無により、投票カード専用搬送路120を駆動させる。また、同様に、例えば、投票カード専用搬送路駆動部130を設けず、読み取り用搬送路駆動モータ80と投票カード専用搬送路120とをクラッチを介して接続し、クラッチの連結を制御してその連結の有無により、投票カード専用搬送路120を駆動させるようにしてもよい。以上のようにすれば、投票カード専用搬送路120を駆動する投票カード専用搬送路駆動部130を設置することなく、投票カード専用搬送路120を駆動することができるので、投票カード専用搬送路駆動部130を設置するコストを削減することができる。
【0064】
B5.変形例5:
上記実施例の馬券発売及び的中代金払戻装置1000において、投票カード取込部10と的中券取込部20は別々に構成されているが、本発明はこれに限られるものではない。すなわち、馬券発売及び的中代金払戻装置1000において、投票カード取込部10および的中券取込部20を設けず、投票カード取込部10と的中券取込部20とを一体に構成して、投票カードと的中券をそれぞれ取り込める投票カード又は的中券取込部を設けるようにしてもよい。このようにすれば、小型化および低価格を図ることができる。なお、この場合、投票カード又は的中券取込部は、請求項における投票カード取込部及び的中券取込部に相当する。
【0065】
B6.変形例6:
上記実施例の馬券発売及び的中代金払戻装置1000が行う発券処理において、制御部200は、ユーザにより投票カードが挿入された場合に(ステップS5:YES)、その投票カードを読み取り用搬送路駆動モータ80に読み取り用搬送路60を駆動させて、位置Xまで搬送させるようにしているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、制御部200は、ユーザにより投票カードが挿入されると、その投票カードを読み取り用搬送路駆動モータ80に読み取り用搬送路60を駆動させて、一旦、リーダ30まで搬送させ、リーダ30に投票カードの投票内容を読み取らせる。そして、制御部200は、その後ただちに、読み取り用搬送路駆動モータ80及び全体搬送路駆動モータ90に、それぞれ読み取り用搬送路60及び全体搬送路70を駆動させて、投票カード専用搬送路120まで搬送させ、保留させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の本実施例における馬券発売及び的中代金払戻装置1000の概略構成とホストコンピュータ2000とを示した図である。
【図2】本実施例における馬券発売及び的中代金払戻装置1000の正面図である。
【図3】本実施例における発券処理を表わすフローチャートである。
【図4】本実施例における発券処理を表わすフローチャートである。
【図5】従来における投票券発売及び的中代金払戻装置500の概略図である。
【符号の説明】
【0067】
10...投票カード取込部
15...投票カード挿入口
20...的中券取込部
25...的中券挿入口
30...リーダ
40...的中券回収箱
50...投票カード回収箱
60...読み取り用搬送路
70...全体搬送路
75...返却口
80...読み取り用搬送路駆動モータ
90...全体搬送路駆動モータ
100...廃券印字部
110...操作タッチパネル
120...投票カード専用搬送路
130...投票カード専用搬送路駆動部
140...発券印刷部
145...発券口
150...精算ボタン
160...現金管理部
161...硬貨口
163...紙幣口
200...制御部
500...投票券発売及び的中代金払戻装置
575...返却口
1000...馬券発売及び的中代金払戻装置
2000...ホストコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の競技に対して予想内容が記載された投票カードに基づいて投票券を発売し、また、前記投票券のうち前記予想内容が的中した的中券について、その的中額分の的中代金の払い戻しを行い、さらに、前記投票券の購入代金の少なくとも一部を前記的中券についての前記的中代金で支払うことが可能な投票券発売及び的中代金払戻装置であって、
前記投票カードを取り込むための投票カード取込部と、
前記的中券を取り込むための的中券取込部と、
1つの駆動源により駆動され、前記投票カード取込部と前記的中券取込部とに接続され、接続される前記投票カード取込部または前記的中券取込部から取り込まれた前記投票カードまたは前記的中券を搬送する読み取り搬送部と、
前記読み取り搬送部の所定の位置に配置され、前記読み取り搬送部により搬送される前記投票カードまたは前記的中券の記載内容を読み取るリーダと、
前記投票カードまたは前記的中券を返却するための返却部と、
少なくとも前記読み取り搬送部と前記返却部とに接続され、前記読み取り搬送部から前記投票カードまたは前記的中券が搬送されて来た場合には、その投票カードまたは的中券を少なくとも前記返却部へ導くことが可能な全体搬送部と、
前記読み取り搬送部において前記リーダよりも搬送方向について下流の位置から分岐して設けられ、または、前記全体搬送部から分岐して設けられ、前記投票カードまたは前記的中券を一時的に保留する保留部と、
を備えることを特徴とする投票券発売及び的中代金払戻装置。
【請求項2】
請求項1に記載の投票券発売及び的中代金払戻装置において、
前記投票カードを回収するための投票カード回収部を備え、
前記保留部は、
前記全体搬送部から分岐して設けられ、さらに、前記投票カード回収部に接続され、
前記投票カードを一時的に保留し、
所定のタイミングに、保留している前記投票カードを前記全体搬送部または前記投票カード回収部へ搬送することを特徴とする投票券発売及び的中代金払戻装置。
【請求項3】
請求項1に記載の投票券発売及び的中代金払戻装置において、
前記的中券を回収するための的中券回収部を備え、
前記保留部は、
前記全体搬送部から分岐して設けられ、さらに、前記的中券回収部に接続され、
前記的中券を一時的に保留し、
所定のタイミングに、保留している前記的中券を前記全体搬送部または前記的中券回収部へ搬送することを特徴とする投票券発売及び的中代金払戻装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−190133(P2006−190133A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−2177(P2005−2177)
【出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】