投綱用おもり
【課題】投綱用おもりの視認性を日中のみならず夜間においても良好にし、係留作業における係留作業員の安全性を低コストで向上させること。
【解決手段】投綱用おもり10は、先端側が凸型曲面状に形成された頭部11と、この頭部11の基端側に大径側が接続された円錐状の本体部12とを有するおもり本体と、おもり本体に設けられて投綱と連結される連結部13とを備える。頭部11および本体部12は、例えば弾性を有する半透明性の樹脂部材からなる。また、おもり本体に設けられた孔部14は、例えば本体部12の相対向する側面から頭部11の先端側に向かって内部で斜めに立体交差するようにおもり本体に2つ形成され、これら2つの孔部14には、投綱用おもり10の夜間使用時に発光部材である棒状のケミカルライト19が装着される。
【解決手段】投綱用おもり10は、先端側が凸型曲面状に形成された頭部11と、この頭部11の基端側に大径側が接続された円錐状の本体部12とを有するおもり本体と、おもり本体に設けられて投綱と連結される連結部13とを備える。頭部11および本体部12は、例えば弾性を有する半透明性の樹脂部材からなる。また、おもり本体に設けられた孔部14は、例えば本体部12の相対向する側面から頭部11の先端側に向かって内部で斜めに立体交差するようにおもり本体に2つ形成され、これら2つの孔部14には、投綱用おもり10の夜間使用時に発光部材である棒状のケミカルライト19が装着される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、船舶等に備えられた係留用ロープに取り付けられる投綱に備えられ、この投綱を投げる際におもりとして用いられる投綱用おもりに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば船舶が港に入港する際に、船舶が接岸するに先立って岸壁に近づいたときに、岸壁に待機する係留作業員(ラインマン)に対して船舶の係留用ロープを手繰り寄せるための投綱(ヒービングライン、レットライン)を投げることが行われている。具体的には、図10に示すように、係留用ロープ101の先端に、この係留用ロープ101よりも細い投綱102が取り付けられ、この投綱102の先端には、さらに投綱用のおもり100が取り付けられている。おもり100が取り付けられることで、例えば船舶の甲板手がこの投綱102を甲板上でカウボーイのように振り回して岸壁に投げることができる。
【0003】
また、下記特許文献1に開示されている係留装置のように、投綱を投げる作業や係留用ロープを手繰る作業等の人手による作業を機械により行い、オペレータによる操作で係留用ロープの繰り出しや巻き戻しを行うことも知られている。
【特許文献1】特開2005−96638号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年の世界経済の成長に伴い、港における船舶の入港・出港頻度も格段に高くなり、日中のみならず夜間においても船舶の係留作業を行わざるを得ない状況が増えてきている。しかし、図10に示すような投綱102に取り付けられたおもり100は、例えば黒色の樹脂成形部材の表面に蛍光塗料110等で模様を描いた構造を備えるものが一般的であるため、日中はある程度の視認性が確保できるが、夜間はほとんど見えないことがあり、投げられたおもり100が係留作業員に衝突したり、見にくいおもり100を無理に追いかけて係留作業員が岸壁から落下したりして重大な事故になる場合がある。
【0005】
また、上述した従来の特許文献1に開示されている係留装置を用いる場合は、船舶にこの装置を装備しなければならないため、係留作業に関する経費が掛かるとともに装置のメンテナンス費等の諸経費も必要となり、全ての船舶の係留に対しては長所だけではないという問題がある。
【0006】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、日中のみならず夜間においても視認性を良好にして、係留作業における係留作業員の安全性を低コストで向上させることができる投綱用おもりを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明に係る投綱用おもりは、船舶の接岸に先立って岸壁に投げられる投綱の先端に取り付けられる投綱用おもりであって、少なくとも一部が半透明の樹脂部材からなり発光部材を外部から装着するための孔部が形成されたことを特徴とする。
【0008】
また、この発明に係る投綱用おもりは、船舶の接岸に先立って岸壁に投げられる投綱の先端に取り付けられる投綱用おもりであって、少なくとも一部が半透明の樹脂部材からなり発光部材を外部から装着するための孔部が形成されたおもり本体と、前記おもり本体に設けられ前記投綱と連結される連結部と、夜間使用時に前記おもり本体の前記孔部に装着される棒状のケミカルライトからなる発光部材とを備えたことを特徴とする。
【0009】
前記おもり本体は、例えば先端側が凸型曲面状に形成された頭部と、この頭部の基端側に大径側が接続された円錐状の本体部とを有し、前記孔部は、例えば前記本体部の相対向する側面からそれぞれ前記頭部の先端側に向かって内部で斜めに立体交差するように前記おもり本体に2つ形成されている。
【0010】
また、例えば前記本体部の前記孔部の形成箇所以外の部分に内蔵された錘部材をさらに備えてもよい。
【0011】
さらに、例えば前記頭部は半透明に形成され、前記本体部は有色に形成されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、日中のみならず夜間においても視認性を良好にして、係留作業における係留作業員の安全性を低コストで向上させることができる投綱用おもりを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、添付の図面を参照して、この発明に係る投綱用おもりの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
図1は、この発明の一実施形態に係る投綱用おもりを示す正面図、図2は同投綱用おもりを示す背面図、図3は同投綱用おもりを示す平面図、図4は同投綱用おもりを示す底面図である。また、図5および図6は、この発明の一実施形態に係る投綱用おもりを示す側面図、図7は図3のA−A’断面図、図8はこの発明の一実施形態に係る投綱用おもりの他の例を示す斜視図である。さらに、図9はこの発明の一実施形態に係る投綱用おもりの使用状態を示す斜視図、図10はこの発明の他の実施形態に係る投綱用おもりを示す正面図である。
【0015】
図1〜9に示すように、本実施形態に係る投綱用おもり10は、例えば船舶の接岸に先立って乗員により岸壁に投げられる投綱の先端に取り付けられるものであり、次のように構成されている。すなわち、投綱用おもり10は、先端側が凸型曲面状に形成された頭部11と、この頭部11の基端側に大径側が接続された円錐状の本体部12とを有するおもり本体と、このおもり本体に設けられて投綱と連結される連結部13とを有する。なお、本体部12は、具体的には頭部11の基端側から連続する頭部11の最大外径よりも小径な底面を有し、頂点近傍がこの底面と平行に切断された円錐状に形成されている。
【0016】
投綱用おもり10の頭部11および本体部12は、例えば弾性を有する半透明性のゴムやエラストマー等の樹脂成形部材からなり、好ましくはEPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)からなる。これら頭部11および本体部12の透過率は、後述するケミカルライトの光の波長が550nmとした場合、約80%〜約90%に設定され、本例では88.74%となっている。なお、投綱用おもり10は、発光部材を外部から装着するための孔部14を備える。この孔部14は、例えば本体部12の相対向する側面からそれぞれ頭部11の先端側に向かって内部で斜めに立体交差するようにおもり本体に2つ形成されている。そしれ、これらの孔部14には、例えば投綱用おもり10の夜間使用時に発光部材である棒状のケミカルライト19(図9参照)が装着される。
【0017】
頭部11および本体部12は、例えば頭部11の先端から本体部12の基端までの全長が200.0mm〜250.0mm程度、本例では225.0mmとなるように形成されている。また、頭部11の先端から基端までの全長は、75.0mm〜80.0mm程度、本例では78.2mmとなるように形成されている。
【0018】
さらに、頭部11の最大外径は70.0mmで、最小外径は66.0mmに形成されるとともに、本体部12との接続部分における曲率半径は、頭部11側がR8.0、本体部12側がR5.0となるように形成されている。そして、2つの孔部14の孔軸の交差角度は、45.0°〜50.0°程度となるように形成され、本例では47.0°に設定されている。
【0019】
これら2つの孔部14は、頭部11および本体部12の軸からの孔軸離間距離がそれぞれ9.0mmとなるように形成されるとともに、本体部12側の孔軸に垂直となる開口断面から頭部11側へ100.0mm未満までの孔径が7.5mmで、100.0mm以上の孔径が6.8mmとなるように穿設され、より具体的には、本例では上記開口断面から頭部11側へ75.0mmまでの孔径が7.5mmで、75.0mm以上の孔径が6.8mmとなるように設定されている。
【0020】
一方、本体部12は、最大外径が50.0mmで、最小外径が28.6mmに形成されるとともに、本体部12における連結部13との接続部分における曲率半径は、R5.0となるように形成され、この連結部13は、例えば本体部12の基端側に直径8.0mmのロープ部材を一体成形により取り付けたものからなる。
【0021】
そして、孔部14に本体部12側からそれぞれ挿入されるケミカルライト19は、孔部14の形状に合わせた長さ100.0mmで直径7.5mmの丸棒状の外形を有し、種々の色調で自己発光する。このケミカルライト19としては、例えばサイリューム(登録商標)やルミカライト(登録商標)などを用いることができる。なお、投綱用おもり10は、500g〜1kg程度の重量で構成されるが、本例では700gの重量となるように形成されている。
【0022】
なお、投綱用おもり10の重量は、例えば図8に示すように、本体部12の孔部14の形成箇所以外における内部の少なくとも一部に、鉛や金属等からなる錘部材15を内蔵して一体成形することにより、所望の重量に調整することができる。また、上記2つの孔部14は、それぞれケミカルライト19が挿入された場合に、孔径が途中で変化するように穿設されているので、ケミカルライト19が孔部14内で確実に固定される構造となっている。
【0023】
さらに、孔部14は、内部にケミカルライト19が固定された場合に、例えば挿入されたケミカルライト19の挿入側と反対側の端部が、頭部11および本体部12の軸に沿って形成される頭部11の最大外径で囲まれる領域外に突出しない状態で固定されるように形成されている。これにより、投綱の際に投げられた投綱用おもり10が岸壁上等に衝突した場合であっても、ケミカルライト19が頭部11より先に着地等して破損することを防止することができる構造となっている。
【0024】
このように構成された投綱用おもり10は、図9に示すように、投綱102の先端に連結部13を介して取り付けられ、甲板手などによって投綱102とともに振り回されて船舶の接岸に先立ち投げられる。本例の投綱用おもり10は、上述したように半透明性(例えば、白色半透明)を有するため、日中においても係留作業員に良好に視認されるとともに、孔部14にケミカルライト19を挿入固定可能に構成されているため、夜間においてはケミカルライト19の光が全体に伝わり、同じく良好に視認される。
【0025】
したがって、従来の投綱用のおもりと比較して、視認できないことにより投げられた投綱用おもり10が係留作業員に衝突したりする等の重大な事故を防止する効果が期待できる。このように、本実施形態に係る投綱用おもり10は、簡単な構造および安価な材料を用いて、日中のみならず夜間においても視認性を良好にすることができるので、係留作業における係留作業員の安全性を低コストで向上させることが可能となる。
【0026】
なお、ケミカルライト19が一本挿入される構造でも良いが、この場合には発光照度が若干不足し、三本挿入すると投綱用おもり10の強度が低下する。よって、ケミカルライト19は二本挿入される構造が望ましい。
【0027】
また、投綱用おもり10は、例えばおもり本体の少なくとも一部が半透明となるように形成されてもよく、具体的には図10に示すように形成されてもよい。すなわち、図10に示す投綱用おもり10は、おもり本体の頭部11が上述した透過率のEPDMにより形成されて半透明性を備え、本体部12がこのEPDMにカーボンを混合して有色(例えば、黒色)とされた構造を備えている。この構造によれば、日中(昼間)は有色とされた本体部12の視認性が向上し、夜間はケミカルライト19の光により頭部11の視認性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上のように、本発明に係る投綱用おもりは、船舶の係留の分野において有用であり、特に接岸前の投綱作業に適している。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明の一実施形態に係る投綱用おもりを示す正面図である。
【図2】同投綱用おもりを示す背面図である。
【図3】同投綱用おもりを示す平面図である。
【図4】同投綱用おもりを示す底面図である。
【図5】この発明の一実施形態に係る投綱用おもりを示す側面図である。
【図6】この発明の一実施形態に係る投綱用おもりを示す側面図である。
【図7】図3のA−A’断面図である。
【図8】この発明の一実施形態に係る投綱用おもりの他の例を示す斜視図である。
【図9】この発明の一実施形態に係る投綱用おもりの使用状態を示す斜視図である。
【図10】この発明の他の実施形態に係る投綱用おもりを示す正面図である。
【図11】従来の投綱用のおもりの使用状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0030】
10 投綱用おもり
11 頭部
12 本体部
13 連結部
14 孔部
15 錘部材
19 ケミカルライト
102 投綱
【技術分野】
【0001】
この発明は、船舶等に備えられた係留用ロープに取り付けられる投綱に備えられ、この投綱を投げる際におもりとして用いられる投綱用おもりに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば船舶が港に入港する際に、船舶が接岸するに先立って岸壁に近づいたときに、岸壁に待機する係留作業員(ラインマン)に対して船舶の係留用ロープを手繰り寄せるための投綱(ヒービングライン、レットライン)を投げることが行われている。具体的には、図10に示すように、係留用ロープ101の先端に、この係留用ロープ101よりも細い投綱102が取り付けられ、この投綱102の先端には、さらに投綱用のおもり100が取り付けられている。おもり100が取り付けられることで、例えば船舶の甲板手がこの投綱102を甲板上でカウボーイのように振り回して岸壁に投げることができる。
【0003】
また、下記特許文献1に開示されている係留装置のように、投綱を投げる作業や係留用ロープを手繰る作業等の人手による作業を機械により行い、オペレータによる操作で係留用ロープの繰り出しや巻き戻しを行うことも知られている。
【特許文献1】特開2005−96638号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年の世界経済の成長に伴い、港における船舶の入港・出港頻度も格段に高くなり、日中のみならず夜間においても船舶の係留作業を行わざるを得ない状況が増えてきている。しかし、図10に示すような投綱102に取り付けられたおもり100は、例えば黒色の樹脂成形部材の表面に蛍光塗料110等で模様を描いた構造を備えるものが一般的であるため、日中はある程度の視認性が確保できるが、夜間はほとんど見えないことがあり、投げられたおもり100が係留作業員に衝突したり、見にくいおもり100を無理に追いかけて係留作業員が岸壁から落下したりして重大な事故になる場合がある。
【0005】
また、上述した従来の特許文献1に開示されている係留装置を用いる場合は、船舶にこの装置を装備しなければならないため、係留作業に関する経費が掛かるとともに装置のメンテナンス費等の諸経費も必要となり、全ての船舶の係留に対しては長所だけではないという問題がある。
【0006】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、日中のみならず夜間においても視認性を良好にして、係留作業における係留作業員の安全性を低コストで向上させることができる投綱用おもりを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明に係る投綱用おもりは、船舶の接岸に先立って岸壁に投げられる投綱の先端に取り付けられる投綱用おもりであって、少なくとも一部が半透明の樹脂部材からなり発光部材を外部から装着するための孔部が形成されたことを特徴とする。
【0008】
また、この発明に係る投綱用おもりは、船舶の接岸に先立って岸壁に投げられる投綱の先端に取り付けられる投綱用おもりであって、少なくとも一部が半透明の樹脂部材からなり発光部材を外部から装着するための孔部が形成されたおもり本体と、前記おもり本体に設けられ前記投綱と連結される連結部と、夜間使用時に前記おもり本体の前記孔部に装着される棒状のケミカルライトからなる発光部材とを備えたことを特徴とする。
【0009】
前記おもり本体は、例えば先端側が凸型曲面状に形成された頭部と、この頭部の基端側に大径側が接続された円錐状の本体部とを有し、前記孔部は、例えば前記本体部の相対向する側面からそれぞれ前記頭部の先端側に向かって内部で斜めに立体交差するように前記おもり本体に2つ形成されている。
【0010】
また、例えば前記本体部の前記孔部の形成箇所以外の部分に内蔵された錘部材をさらに備えてもよい。
【0011】
さらに、例えば前記頭部は半透明に形成され、前記本体部は有色に形成されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、日中のみならず夜間においても視認性を良好にして、係留作業における係留作業員の安全性を低コストで向上させることができる投綱用おもりを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、添付の図面を参照して、この発明に係る投綱用おもりの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
図1は、この発明の一実施形態に係る投綱用おもりを示す正面図、図2は同投綱用おもりを示す背面図、図3は同投綱用おもりを示す平面図、図4は同投綱用おもりを示す底面図である。また、図5および図6は、この発明の一実施形態に係る投綱用おもりを示す側面図、図7は図3のA−A’断面図、図8はこの発明の一実施形態に係る投綱用おもりの他の例を示す斜視図である。さらに、図9はこの発明の一実施形態に係る投綱用おもりの使用状態を示す斜視図、図10はこの発明の他の実施形態に係る投綱用おもりを示す正面図である。
【0015】
図1〜9に示すように、本実施形態に係る投綱用おもり10は、例えば船舶の接岸に先立って乗員により岸壁に投げられる投綱の先端に取り付けられるものであり、次のように構成されている。すなわち、投綱用おもり10は、先端側が凸型曲面状に形成された頭部11と、この頭部11の基端側に大径側が接続された円錐状の本体部12とを有するおもり本体と、このおもり本体に設けられて投綱と連結される連結部13とを有する。なお、本体部12は、具体的には頭部11の基端側から連続する頭部11の最大外径よりも小径な底面を有し、頂点近傍がこの底面と平行に切断された円錐状に形成されている。
【0016】
投綱用おもり10の頭部11および本体部12は、例えば弾性を有する半透明性のゴムやエラストマー等の樹脂成形部材からなり、好ましくはEPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)からなる。これら頭部11および本体部12の透過率は、後述するケミカルライトの光の波長が550nmとした場合、約80%〜約90%に設定され、本例では88.74%となっている。なお、投綱用おもり10は、発光部材を外部から装着するための孔部14を備える。この孔部14は、例えば本体部12の相対向する側面からそれぞれ頭部11の先端側に向かって内部で斜めに立体交差するようにおもり本体に2つ形成されている。そしれ、これらの孔部14には、例えば投綱用おもり10の夜間使用時に発光部材である棒状のケミカルライト19(図9参照)が装着される。
【0017】
頭部11および本体部12は、例えば頭部11の先端から本体部12の基端までの全長が200.0mm〜250.0mm程度、本例では225.0mmとなるように形成されている。また、頭部11の先端から基端までの全長は、75.0mm〜80.0mm程度、本例では78.2mmとなるように形成されている。
【0018】
さらに、頭部11の最大外径は70.0mmで、最小外径は66.0mmに形成されるとともに、本体部12との接続部分における曲率半径は、頭部11側がR8.0、本体部12側がR5.0となるように形成されている。そして、2つの孔部14の孔軸の交差角度は、45.0°〜50.0°程度となるように形成され、本例では47.0°に設定されている。
【0019】
これら2つの孔部14は、頭部11および本体部12の軸からの孔軸離間距離がそれぞれ9.0mmとなるように形成されるとともに、本体部12側の孔軸に垂直となる開口断面から頭部11側へ100.0mm未満までの孔径が7.5mmで、100.0mm以上の孔径が6.8mmとなるように穿設され、より具体的には、本例では上記開口断面から頭部11側へ75.0mmまでの孔径が7.5mmで、75.0mm以上の孔径が6.8mmとなるように設定されている。
【0020】
一方、本体部12は、最大外径が50.0mmで、最小外径が28.6mmに形成されるとともに、本体部12における連結部13との接続部分における曲率半径は、R5.0となるように形成され、この連結部13は、例えば本体部12の基端側に直径8.0mmのロープ部材を一体成形により取り付けたものからなる。
【0021】
そして、孔部14に本体部12側からそれぞれ挿入されるケミカルライト19は、孔部14の形状に合わせた長さ100.0mmで直径7.5mmの丸棒状の外形を有し、種々の色調で自己発光する。このケミカルライト19としては、例えばサイリューム(登録商標)やルミカライト(登録商標)などを用いることができる。なお、投綱用おもり10は、500g〜1kg程度の重量で構成されるが、本例では700gの重量となるように形成されている。
【0022】
なお、投綱用おもり10の重量は、例えば図8に示すように、本体部12の孔部14の形成箇所以外における内部の少なくとも一部に、鉛や金属等からなる錘部材15を内蔵して一体成形することにより、所望の重量に調整することができる。また、上記2つの孔部14は、それぞれケミカルライト19が挿入された場合に、孔径が途中で変化するように穿設されているので、ケミカルライト19が孔部14内で確実に固定される構造となっている。
【0023】
さらに、孔部14は、内部にケミカルライト19が固定された場合に、例えば挿入されたケミカルライト19の挿入側と反対側の端部が、頭部11および本体部12の軸に沿って形成される頭部11の最大外径で囲まれる領域外に突出しない状態で固定されるように形成されている。これにより、投綱の際に投げられた投綱用おもり10が岸壁上等に衝突した場合であっても、ケミカルライト19が頭部11より先に着地等して破損することを防止することができる構造となっている。
【0024】
このように構成された投綱用おもり10は、図9に示すように、投綱102の先端に連結部13を介して取り付けられ、甲板手などによって投綱102とともに振り回されて船舶の接岸に先立ち投げられる。本例の投綱用おもり10は、上述したように半透明性(例えば、白色半透明)を有するため、日中においても係留作業員に良好に視認されるとともに、孔部14にケミカルライト19を挿入固定可能に構成されているため、夜間においてはケミカルライト19の光が全体に伝わり、同じく良好に視認される。
【0025】
したがって、従来の投綱用のおもりと比較して、視認できないことにより投げられた投綱用おもり10が係留作業員に衝突したりする等の重大な事故を防止する効果が期待できる。このように、本実施形態に係る投綱用おもり10は、簡単な構造および安価な材料を用いて、日中のみならず夜間においても視認性を良好にすることができるので、係留作業における係留作業員の安全性を低コストで向上させることが可能となる。
【0026】
なお、ケミカルライト19が一本挿入される構造でも良いが、この場合には発光照度が若干不足し、三本挿入すると投綱用おもり10の強度が低下する。よって、ケミカルライト19は二本挿入される構造が望ましい。
【0027】
また、投綱用おもり10は、例えばおもり本体の少なくとも一部が半透明となるように形成されてもよく、具体的には図10に示すように形成されてもよい。すなわち、図10に示す投綱用おもり10は、おもり本体の頭部11が上述した透過率のEPDMにより形成されて半透明性を備え、本体部12がこのEPDMにカーボンを混合して有色(例えば、黒色)とされた構造を備えている。この構造によれば、日中(昼間)は有色とされた本体部12の視認性が向上し、夜間はケミカルライト19の光により頭部11の視認性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上のように、本発明に係る投綱用おもりは、船舶の係留の分野において有用であり、特に接岸前の投綱作業に適している。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明の一実施形態に係る投綱用おもりを示す正面図である。
【図2】同投綱用おもりを示す背面図である。
【図3】同投綱用おもりを示す平面図である。
【図4】同投綱用おもりを示す底面図である。
【図5】この発明の一実施形態に係る投綱用おもりを示す側面図である。
【図6】この発明の一実施形態に係る投綱用おもりを示す側面図である。
【図7】図3のA−A’断面図である。
【図8】この発明の一実施形態に係る投綱用おもりの他の例を示す斜視図である。
【図9】この発明の一実施形態に係る投綱用おもりの使用状態を示す斜視図である。
【図10】この発明の他の実施形態に係る投綱用おもりを示す正面図である。
【図11】従来の投綱用のおもりの使用状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0030】
10 投綱用おもり
11 頭部
12 本体部
13 連結部
14 孔部
15 錘部材
19 ケミカルライト
102 投綱
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶の接岸に先立って岸壁に投げられる投綱の先端に取り付けられる投綱用おもりであって、
少なくとも一部が半透明の樹脂部材からなり発光部材を外部から装着するための孔部が形成された
ことを特徴とする投綱用おもり。
【請求項2】
船舶の接岸に先立って岸壁に投げられる投綱の先端に取り付けられる投綱用おもりであって、
少なくとも一部が半透明の樹脂部材からなり発光部材を外部から装着するための孔部が形成されたおもり本体と、
前記おもり本体に設けられ前記投綱と連結される連結部と、
夜間使用時に前記おもり本体の前記孔部に装着される棒状のケミカルライトからなる発光部材と
を備えたことを特徴とする投綱用おもり。
【請求項3】
前記おもり本体は、
先端側が凸型曲面状に形成された頭部と、
この頭部の基端側に大径側が接続された円錐状の本体部とを有し、
前記孔部は、前記本体部の相対向する側面からそれぞれ前記頭部の先端側に向かって内部で斜めに立体交差するように前記おもり本体に2つ形成されている
ことを特徴とする請求項2記載の投綱用おもり。
【請求項4】
前記本体部の前記孔部の形成箇所以外の部分に内蔵された錘部材をさらに備えたことを特徴とする請求項2または3記載の投綱用おもり。
【請求項5】
前記頭部は半透明に形成され、前記本体部は有色に形成されていることを特徴とする請求項3または4記載の投綱用おもり。
【請求項1】
船舶の接岸に先立って岸壁に投げられる投綱の先端に取り付けられる投綱用おもりであって、
少なくとも一部が半透明の樹脂部材からなり発光部材を外部から装着するための孔部が形成された
ことを特徴とする投綱用おもり。
【請求項2】
船舶の接岸に先立って岸壁に投げられる投綱の先端に取り付けられる投綱用おもりであって、
少なくとも一部が半透明の樹脂部材からなり発光部材を外部から装着するための孔部が形成されたおもり本体と、
前記おもり本体に設けられ前記投綱と連結される連結部と、
夜間使用時に前記おもり本体の前記孔部に装着される棒状のケミカルライトからなる発光部材と
を備えたことを特徴とする投綱用おもり。
【請求項3】
前記おもり本体は、
先端側が凸型曲面状に形成された頭部と、
この頭部の基端側に大径側が接続された円錐状の本体部とを有し、
前記孔部は、前記本体部の相対向する側面からそれぞれ前記頭部の先端側に向かって内部で斜めに立体交差するように前記おもり本体に2つ形成されている
ことを特徴とする請求項2記載の投綱用おもり。
【請求項4】
前記本体部の前記孔部の形成箇所以外の部分に内蔵された錘部材をさらに備えたことを特徴とする請求項2または3記載の投綱用おもり。
【請求項5】
前記頭部は半透明に形成され、前記本体部は有色に形成されていることを特徴とする請求項3または4記載の投綱用おもり。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−126132(P2010−126132A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−306566(P2008−306566)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(301029805)宇部興産海運株式会社 (2)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(301029805)宇部興産海運株式会社 (2)
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