説明

投薬補助容器

【課題】投薬の作業が簡易で、投薬量等をその場で調整できる投薬補助容器を提供すること。
【解決手段】投薬補助容器110の吐出用ノズル30を取り外す。そして、シール29を剥がすことで、容器部材120の開口23下にゼリーFLを露出させるとともに、円筒口部27を上側に引っ張って、可動部25を第1状態から第2状態に変形させる。この状態で、開口23を介して、円筒口部27下部に露出したゼリーFL上に必要量の薬剤MDを投入する。次に、吐出用ノズル30を容器部材120に固定する。その後、投薬補助容器110を保持して吐出用ノズル30を治療中の動物の口腔に差し込む。そして、蛇腹状の本体部材121の底部に設けた凹部26を親指で押し、本体部材121を圧縮変形させることによって、治療中の動物の口腔にゼリーFLとともに薬剤MDを流し込んで、動物にこれらの混合物を嚥下させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット等の動物に対してゼリー等に薬剤を混ぜた混合物を投薬するための投薬補助容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ペット等の動物に投薬するための器具については、特に公知の文献がなく、通常は、餌に少量の薬剤を混合したものをペット等に与えるということが行われている。特に嚥下機能障害のあるペット等に対しては、効果的な投薬方法がないのが実情であるが、ゼリー等に粉剤等の薬剤を混ぜたものをノズル付きのチューブ容器に充填し、ペット等の口にノズルを差し込むとともに混合物を口内に吐出させ強制的に嚥下させることが考えられる。
【0003】
なお、マヨネーズ等の半練り状の内容物を充填、排出するための蛇腹容器であって、蛇腹一山分以上の幅で内側に陥没してピストンとして機能する底部を設けたものが存在する(特許文献1参照)。この蛇腹容器では、排出時に底部が凹んでピストンの役割をするので、内容物の残量が極めて少なくなる。
【0004】
また、蛇腹の伸縮作用を自在に制御したベローズ容器であって、ベローズの上壁部あるいは下壁部に環状ディントを設けたものがある(特許文献2参照)。このベローズ容器では、環状ディントによって壁部の変形抵抗力を低減させており、例えば折り畳み方向を統一することができる。
【特許文献1】特開平8−324570号公報
【特許文献2】特開平10−157737号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように嚥下機能障害のあるペット等に対して投薬する場合、ゼリー等の食物に粉剤等の薬剤を混合したものを準備してチューブ容器に必要量を充填する工程が必要になり、投薬の作業が繁雑になるとともに、投薬量も不正確になりやすい。なお、食物に薬剤を混合したものを予め製造・販売する場合、薬事法等による制限の下、食物の割合や種類の変更だけでも新たに許認可の手続き行う必要があり、コスト増加を招き治療活動の円滑を妨げることにもなる。
【0006】
そこで、本発明は、投薬の作業が簡易で、投薬量、食物の種類及び量等をその場で調整できる投薬補助容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る投薬補助容器は、(a)(a1)食物の流動体を収容するとともに、内容量を増加させた充填状態から内容量を減少させた吐出状態に変形させることができる本体部材と、(a2)本体部材に連結されるとともに、本体部材を合わせた全体容量を比較的少なくする第1状態に保持可能であり、かつ、全体容量を比較的多くする第2状態に安定して保持可能であり、少なくとも1回の動作によって第1及び第2容量状態間の切り替えを可能にする可動部とを有する容器部材と、(b)容器部材の開口部に着脱可能に接続可能であり、容器部材から分離した際に開口部を露出させることにより開口部を介して容器部材内への薬剤の投入を許容する蓋状部材とを備える。
【0008】
上記投薬補助容器によれば、容器部材に設けた可動部が、少なくとも1回の動作によって第1及び第2容量状態間の切り替えを可能にするので、例えば蓋状部材を容器部材から分離して、可動部を比較的小容量の第1状態から比較的大容量の第2状態に変化させた状態で、容器部材内部の流動体の表面上に開口部側から錠剤や粉剤の薬剤を必要量だけ投入して、例えばノズルキャップその他の吐出用ノズルを容器部材の開口部に取り付ける。なお、蓋状部材が吐出用ノズルとしても機能する場合は、上述の吐出用ノズルとしての蓋状部材を再度容器部材に取り付ける。その後、この吐出用ノズルの先端側を例えば動物の口腔に差し込んで、本体部材を変形させることによって充填状態から吐出状態に変化させて容量を減少させることで、動物の口腔に流動体とともに薬剤を流し込んで、動物に混合物を嚥下させることができる。この際、開口部側に薬剤を投入するので、薬剤を略全て吐出用ノズルの先端から押し出すことができ、投与量の誤差を少なくできる。また、投薬補助容器の充填してある流動体の種類と、動物に投与すべき薬剤の種類とについては、治療の現場で自在に組み合わせることができ、状況に応じて迅速かつ適切な処置を行うことができる。
【0009】
また、本発明の具体的な態様又は側面では、上記投薬補助容器において、キャップ状部材が、前記容器部材中の流動体を吐出させるノズルキャップである。この場合、ノズルとキャップとを兼用した簡易な状態での流通や市販が可能になる。
【0010】
本発明の別の態様では、ノズルキャップが、容器部材の開口部に螺合によって固定されるスクリュキャップ状の根元部と、根元部内に連通し容器部材内の流動体を開口部から投入された薬剤とともに吐出させるテーパ状の先端部とを備える。この場合、ノズルキャップの簡易な着脱が可能になるとともに、テーパ状の先端部を動物の口腔の奥まで確実に挿入することができる。なお、ノズルキャップは、交換可能であり、対象とする動物ごとに適切なサイズや形状のものを準備すれば、投薬の作業性をより高めることができる。
【0011】
本発明の別の態様では、本体部材が、自己の形状維持機能によって充填状態と吐出状態との双方に安定して保持可能である。この場合、本体部材を充填状態に保ちつつ必要なタイミングで吐出状態に変形させる作業を確実なものとすることができる。
【0012】
本発明のさらに別の態様では、可動部が、開口部と本体部材との間に配置され、本体部材が、可動部に接続される第1部材と、第1部材に連結されるとともに外力に応じて変形可能であり、充填状態において第1部材から全体的に離間し、吐出状態において第1部材側に折り返されて裏返る第2部材とを有する。この場合、本体部材を簡単な構造とすることができ、第2部材を裏返すことによって本体部材中の流動体を比較的無駄なく吐出させることができる。
【0013】
本発明のさらに別の態様では、本体部材が、外力に応じて伸縮するベローズ状の構造を有する。この場合、本体部材中の流動体を所望のタイミングで必要量だけ簡易に吐出させることができる。
【0014】
本発明のさらに別の態様では、可動部が、外側又は内側の一方で互いに連結され他方で近接可能に分離する一対の環状部材を含むベローズ状の伸縮部材である。この場合、ベローズ状の可動部を延ばすように引っ張るだけで、可動部を第1状態から第2状態に変化させることができ、容器部材内部の流動体上に薬剤を投入する作業が簡易となる。
【0015】
本発明のさらに別の態様では、容器部材の開口部に固定されて容器部材内を気密に封止するシール部材をさらに備える。この場合、本体部材中の流動体を使用直前まで衛生的に保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
〔第1実施形態〕
図1(A)は、本発明に係る第1実施形態の投薬補助容器の構造を説明する側面図である。また、図1(B)及び1(C)は、図1(A)の投薬補助容器の使用方法を説明する図である。
【0017】
図からも明らかなように、この投薬補助容器10は、球状の容器部材20と、テーパ状の吐出用ノズル30とを備える。容器部材20や吐出用ノズル30は、いずれもプラスチック製であり、ブロー成形や射出成形等によって形成される。
【0018】
ここで、容器部材20は、流動体であるゼリーFLを内容物として収容する本体部材21と、本体部材21の開口23の直下において薬剤投入用の空間を形成するための可動部25と、吐出用ノズル30に固定される円筒口部27とを備える。
【0019】
本体部材21は、可動部25に接続される頂部を切り取った半球状の第1部材21aと、第1部材21aに接続される半球状の第2部材21bとを備える。本体部材21は、吐出用ノズル30が延びる軸方向に圧縮変形することによって内容量を減少させることができ、元の充填状態において、第1部材21aと第2部材21bとが互いに離間して球状に膨らんでゼリーFLの収納を可能にし、変形した吐出状態において、第1部材21aと第2部材21bとが互いに重なるように折り畳まれてゼリーFLの強制的な押し出しを可能にする。第1部材21aの下端と、第2部材21bの上端との間の接続部分には、環状の段差部21dが形成されている。この段差21dにより、第2部材21bを内側に折り返して裏返すこと、すなわち第2部材21bを第1部材21aと略同一形状にして近接状態で重ね合わせることが可能になる。これにより、本体部材21を、充填状態と吐出状態とにおいて安定して維持することができる。つまり、本体部材21は、第2部材21bを外側に突起させてゼリーFLを収納した充填状態(図1(A)参照)に安定して保持することができるだけでなく、第2部材21bを内側に窪ませてゼリーFLを略全て押し出した吐出状態(図1(C)参照)にも安定して保持することができる。なお、第2部材21bの底部には、内側に突起する凹部26が形成されており、本体部材21の指による保持を容易にするとともに、吐出状態でゼリーFLの押出の無駄を少なくすることができる。
【0020】
可動部25は、ベローズ状の伸縮部材であり、円筒口部27に接続される第1環状部材25aと、本体部材21に接続される第2環状部材25bとを備える。第1環状部材25aと第2環状部材25bとは、外側で互いに連結されており、内側で近接可能に分離している。可動部25は、軸方向に伸縮可能であり、縮んだ第1状態において、これを構成する両部材25a,25bが内側において互いに近接し、伸びた第2状態において、両部材25a,25bが内側において互いに離間する。第2環状部材25bの下端と本体部材21の上端との間の接続部分には、環状連結部材25dが形成されている。また、第2環状部材25bと環状連結部材25dとの間には、環状連結部材25dに沿ってわずかな窪み25fが形成されている。これら環状連結部材25d及び窪み25fにより、第2環状部材25bを内側に折り返して裏返すこと、すなわち第2環状部材25bを第1環状部材25aと略同一形状にして近接状態で重ね合わせることが可能になる。これにより、可動部25を、縮んだ第1状態(図1(A)参照)と、伸びた第2状態(図1(B)参照)とに安定して維持することができる。つまり、可動部25は、第2環状部材25bを内側に窪ませて容器部材20の全体容量を比較的少なくする第1状態に安定して保持することができるだけでなく、第2環状部材25bを外側に突起させて全体容量を比較的多くする第2状態に安定して保持することができる。
【0021】
円筒口部27は、筒状の部材であり、その下端は、可動部25の上端に接続されている。円筒口部27の外周には、雄ネジ27aが形成されており、吐出用ノズル30との間で簡易に着脱可能な接続を可能にしている。円筒口部27の上端部は、容器部材20の開口部となっており、熱接着等によって開口23を塞ぐように凹シール29が貼り付けられている。このシール29は、容器部材20内を気密に封止するシール部材であり、容器部材20中のゼリーFLを使用直前まで衛生的に保つことができる。また、投薬補助容器10を使用する際には、予め容器部材20中のゼリーFL上に錠剤等の薬剤MDを投入するが、この場合、ユーザが指でシール29を円筒口部27の上端から剥がすことで、開口23すなわちゼリーFLを露出させることができる。なお、シール29を除去した開封状態において、可動部25を軸方向に延ばして第1状態から第2状態に切り替えることで、容器部材20中でゼリーFLが後退する。つまり、円筒口部27の内側には、ゼリーFLがほとんど存在しない状態となって収納空間が形成される。これにより、薬剤MDがこぼれたり飛散することを簡易に防止でき、薬剤MDの投入作業が簡単になる。
【0022】
吐出用ノズル30は、容器部材20の開口23を覆う蓋状部材であり、円筒口部27に螺合によって固定されるスクリュキャップ状の根元部31と、根元部31内に連通し容器部材20内のゼリーFLを吐出させるテーパ状の先端部33とを備える。つまり、吐出用ノズル30は、ノズルキャップ状の構造を有する。根元部31の内周には、雌ネジ31aが形成されており、円筒口部27すなわち容器部材20との間で簡易に着脱可能な接続を可能にしている。先端部33は、筒状で、容器部材20から押し出されたゼリーFLを薬剤MDとともに通過させる。先端部33の内径は、薬剤MDが錠剤であっても通過させることができる程度に十分に大きなものとする、一方、先端部33の内径については、これをあまり大きくすると先端部33内に残留するゼリーFLの量が増加するので、一定の制限を設ける必要がある。一般的には、本体部材21を充填状態として可動部25を第1状態とした場合(図1(A)参照)における、容器部材20の開口23までの当初容量をCA1とし、本体部材21を吐出状態として可動部25を第1状態とした場合(図1(C)参照)における、円筒口部27や吐出用ノズル30等の内部空間すなわち投薬補助容器10の残留容量をCA2として、これらから求められる吐出率(CA1−CA2)/CA1が例えば0.5〜0.96程度の範囲にあることが望ましい。
【0023】
なお、吐出用ノズル30は、根元部31の規格さえ一致すれば交換可能である。これにより、様々な形状を有する先端部33を備える吐出用ノズル30を用途に応じて容器部材20に適宜接続することができる。つまり、先端部33を治療対象とする動物に応じて口腔の奥まで確実に挿入することができ、投薬の作業性をより高めることができる。吐出用ノズル30は、図示の状態で市場に提供することもできるが、先端部33を覆うような追加のキャップを設けることもできる。
【0024】
また、吐出用ノズル30は、先端部33を有しない根元部31だけのスクリュキャップ(不図示)に置き換えることができ、容器部材20とスクリュキャップとを組み合わせたスクリュキャップ付きの投薬補助容器を市場に提供することができる。この場合、スクリュキャップ付きの投薬補助容器を購入し、そのスクリュキャップを予め用意した所望の形状の先端部33を有する吐出用ノズル30に付け替える。
【0025】
以下、図1の投薬補助容器10の取扱や操作について説明する。ユーザは、通常図1(A)に示す状態の投薬補助容器10を購入する。ユーザが投薬する場合、容器部材20から吐出用ノズル30を取り外す。そして、シール29を円筒口部27上端から剥がすことで、容器部材20の開口23下にゼリーFLを露出させる。さらに、本体部材21を一方の手で握り、円筒口部27を他方の手で摘んで上側に引っ張ることによって可動部25を軸方向に引き延ばす。つまり、可動部25を縮んだ第1状態から伸びた第2状態に変形させ、ゼリーFLが開口23から後退した状態とする。この状態で、開口23を介して、円筒口部27下部に露出したゼリーFL上に必要量の薬剤MDを投入する(図1(B)参照)。この際、薬剤MDをゼリーFL上に置くだけで足る。後述するように、容器部材20を充填状態から吐出状態に変形させる際にゼリーFLや薬剤MDの混合が生じるので、あえて混合の必要がないが、薬剤MDをゼリーFLの表層に押し込むことができる。ただし、薬剤MDを容器部材20の底に押し込むと先端部33内に薬剤MDが残留する可能性が高まる。次に、吐出用ノズル30を容器部材20にネジ付けて固定する。その後、投薬補助容器10を片手HDで保持して、吐出用ノズル30を治療中の動物の口腔に差し込む。そして、本体部材21の底部に設けた凹部26を親指で押し、本体部材21や可動部25を圧縮変形させることによって、本体部材21を充填状態から吐出状態に変化させ容量を減少させる。これにより、治療中の動物の口腔にゼリーFLとともに薬剤MDを流し込んで、動物にこれらの混合物を嚥下させることができる(図1(C)参照)。
【0026】
以上説明した本実施形態の投薬補助容器10によれば、投薬補助容器10の開封後に、開口23側のゼリーFL上に薬剤MDを投入するので、治療中の動物の口腔にゼリーFLとともに薬剤MDを流し込む際に、薬剤MDを吐出用ノズル30の先端部33から優先的に押し出すことができ、投与量の誤差を少なくできる。この際、投薬補助容器10を複数種類ストックしておくことにより、投薬に際して利用するゼリーFL等の流動体の種類を適宜変更することができる。また、治療中の動物に投与すべき薬剤MDの種類や量については、ユーザの判断で臨機応変に調整することができる。つまり、治療の現場でゼリーFLや薬剤MDの種類及び量を自在に組み合わせることができるので、動物の症状等の状況に応じて迅速かつ適切な処置を行うことができる。
【0027】
〔第2実施形態〕
図2(A)は、第2実施形態の投薬補助容器の構造を説明する側面図である。また、図2(B)及び2(C)は、図2(A)の投薬補助容器の使用方法を説明する図である。なお、第2実施形態の投薬補助容器110は、図1(A)等に示す第1実施形態の投薬補助容器10を変形したものであり、同一部分については同一の符号を付して重複説明を省略する。また、第2実施形態で特に説明しない部分については、第1実施形態と同様であるものとする。
【0028】
この投薬補助容器110において、容器部材120は、本体部材121と、可動部25と、円筒口部27とを備える。本体部材121は、複数の環状のベローズ部分122からなるベローズ状の伸縮部材であり、外力に応じて軸方向に伸縮する。各ベローズ部分122は、可動部25側の第1環状部材122aと、凹部26側の第2環状部材122bとを備える。各ベローズ部分122を構成する第1及び第2環状部材122a,122bは、半径の大きくなっている外側で互いに連結されており、内側で近接可能に分離している。また、隣接するベローズ部分122,122は、小径となっている軸方向の端部側で互いに連結されている。
【0029】
以下、図2の投薬補助容器110の操作について説明する。ユーザが投薬する場合、図2(A)に示す状態の投薬補助容器110を準備し、容器部材120から吐出用ノズル30を取り外す。そして、シール29を円筒口部27上端から剥がすことで、容器部材120の開口23下にゼリーFLを露出させるとともに、本体部材121全体を保持して円筒口部27を摘んで上側に引っ張って、可動部25を縮んだ第1状態から伸びた第2状態に変形させる。この状態で、開口23を介して、円筒口部27下部に露出したゼリーFL上に必要量の薬剤MDを投入する(図2(B)参照)。この際、薬剤MDをゼリーFL上に置くだけで足る。次に、吐出用ノズル30を容器部材120にネジ付けて固定する。その後、投薬補助容器110を片手HDで保持して、吐出用ノズル30を治療中の動物の口腔に差し込む。そして、蛇腹状の本体部材121の底部に設けた凹部26を親指で押し、本体部材121や可動部25を圧縮変形させることによって、本体部材121を充填状態から吐出状態に変化させ容量を減少させる。これにより、治療中の動物の口腔にゼリーFLとともに薬剤MDを流し込んで、動物にこれらの混合物を嚥下させることができる(図1(C)参照)。
【0030】
〔第3実施形態〕
図3は、第3実施形態の投薬補助容器の構造を説明する側面図である。第3実施形態の投薬補助容器210は、図1(A)等に示す第1実施形態の投薬補助容器10を変形したものであり、同一部分については同一の符号を付して重複説明を省略する。また、第3実施形態で特に説明しない部分については、第1実施形態と同様であるものとする。
【0031】
この投薬補助容器210において、吐出用ノズル30の先端部233は、例えばゴム製のジョイント51を介して経ろうチューブ53に接続されている。この経ろうチューブ53は、患者の胃や腸内に延びており、本体部材21を圧縮変形させて充填状態から吐出状態に変化させて容量を減少させることにより、経胃ろうルートまたは経腸ろうルートで患者にゼリーFLと薬剤MDとの混合物を投与することができる。なお、この場合、薬剤MDとしては、経ろうチューブ53を通過して胃腸内に吐出可能な程度に小さなものとする必要がある。ただし、薬剤MDが粉体や液体である場合、このような注意は特に必要ない。
【0032】
以上実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。すなわち、以上の説明において、シール29の開封後に円筒口部27を把持して上側に引っ張ることにより、可動部25を縮んだ第1状態から伸びた第2状態に変形させたが、シール29を円筒口部27上端から剥がすことによって容器部材20,120内の気密を破った場合に、可動部25が自動的に延びるようにしてもよい。つまり、可動部25は、第1状態から第2状態に変化する復帰力を内蔵するものとでき、容器部材20,120の開封と可動部25の伸張とを一括して行うことができる。
【0033】
また、上記実施形態では、容器部材20,120の吐出用ノズル30側に可動部25を設けたが、可動部25は、容器部材20,120の底部側に設けることもできる。また、可動部25は、一段の蛇腹に限らず、複数段の蛇腹構造とすることができる。
【0034】
また、上記実施形態における本体部材21や可動部25の形状や構造は単なる例示であり、様々な変形が可能である。例えば部材21a,21bを半球の表面形状に近いものとする代わりに円錐台の側面形状に近いものとすることができる。
【0035】
また、上記実施形態では、容器部材20,120にゼリーFLを充填しているが、ゼリーFL等の粘性体に代えて食用の各種液体を充填することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】(A)〜(C)は、第1実施形態の投薬補助容器の構造を説明する側面図である。
【図2】(A)〜(C)は、第2実施形態の投薬補助容器の構造を説明する側面図である。
【図3】第3実施形態の投薬補助容器の構造を説明する側面図である。
【符号の説明】
【0037】
10,110,210…投薬補助容器、 20,120…容器部材、 21,121…本体部材、 21a…第1部材、 21b…第2部材、 23…開口、 25…可動部、 25a…第1環状部材、 25b…第2環状部材、 25d…環状連結部材、 26…凹部、 27…円筒口部、 29…シール、 30…吐出用ノズル、 31…根元部、 33,233…先端部、 51…ジョイント、 53…チューブ、 122…ベローズ部分、 FL…ゼリー、 MD…薬剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食物の流動体を収容するとともに、内容量を増加させた充填状態から内容量を減少させた吐出状態に変形させることができる本体部材と、前記本体部材に連結されるとともに、前記本体部材を合わせた全体容量を比較的少なくする第1状態に保持可能であり、かつ、前記全体容量を比較的多くする第2状態に安定して保持可能であり、少なくとも1回の動作によって前記第1及び第2容量状態間の切り替えを可能にする可動部とを有する容器部材と、
前記容器部材の開口部に着脱可能に接続可能であり、前記容器部材から分離した際に前記開口部を露出させることにより前記開口部を介して前記容器部材内への薬剤の投入を許容する蓋状部材と、を備える投薬補助容器。
【請求項2】
前記蓋状部材は、前記容器部材中の流動体を吐出させるノズルキャップである、請求項1記載の投薬補助容器。
【請求項3】
前記ノズルキャップは、前記容器部材の前記開口部に螺合によって固定されるスクリュキャップ状の根元部と、前記根元部内に連通し前記容器部材内の前記流動体を前記開口部から投入された薬剤とともに吐出させるテーパ状の先端部とを備える、請求項2記載の投薬補助容器。
【請求項4】
前記本体部材は、自己の形状維持機能によって前記充填状態と前記吐出状態との双方に安定して保持可能である、請求項1から請求項3のいずれか一項記載の投薬補助容器。
【請求項5】
前記可動部は、前記開口部と前記本体部材との間に配置され、前記本体部材は、前記可動部に接続される第1部材と、前記第1部材に連結されるとともに外力に応じて変形可能であり、前記充填状態において前記第1部材から全体的に離間し、前記吐出状態において前記第1部材側に折り返されて裏返る第2部材とを有する、請求項4記載の投薬補助容器。
【請求項6】
前記本体部材は、外力に応じて伸縮するベローズ状の構造を有する、請求項1から請求項4のいずれか一項記載の投薬補助容器。
【請求項7】
前記可動部は、外側又は内側の一方で互いに連結され他方で近接可能に分離する一対の環状部材を含むベローズ状の伸縮部材である、請求項1から請求項6のいずれか一項記載の投薬補助容器。
【請求項8】
前記容器部材の開口部に固定されて前記容器部材内を気密に封止するシール部材をさらに備える請求項1から請求項7のいずれか一項記載の投薬補助容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−295839(P2008−295839A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−146322(P2007−146322)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(500580677)ニュートリー株式会社 (7)
【Fターム(参考)】