説明

投資金額決定支援装置及び投資金額決定支援方法及び投資金額決定支援プログラム

【課題】検索エンジンでの検索に使用される検索キーワードごとに、SEO対策としてどれだけの費用を払うのが効果的なのかを提示して、実際に払う金額の決定を支援する。
【解決手段】評価値計算部151は、検索キーワードごとの重み係数を、検索キーワードごとにSEO対策に設定されている料金に乗じた値と、ゴールページがアクセスされた場合の効果を数値化した効果値とに基づいて、候補となる検索キーワード全体に対するSEO対策の効果の評価値を計算する。重み係数調整部152は、評価値計算部151により計算される評価値が最適化されるように、検索キーワードごとの重み係数を調整する。投資金額出力部142は、検索キーワードごとに、重み係数調整部152により調整された重み係数をキーワード単位料金テーブル102に記憶された料金に乗じた値をSEO対策への最適な投資金額として出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投資金額決定支援装置及び投資金額決定支援方法及び投資金額決定支援プログラムに関するものである。本発明は、特に、検索キーワードに関する費用の最適分配方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
検索エンジンでの検索に使用される検索キーワードに関し、トラフィック統計データを収集するウェブ(Web)解析ソフトウェアがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2009−514113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
SEO(検索エンジン最適化)対策として検索キーワードを有料で購入する(いわゆるキーワード広告を利用する)際、ウェブサイトの運用担当者は、ウェブ解析ソフトウェア等を使用して訪問人数・回数の多い検索キーワードを抽出する。しかし、多くの訪問者が訪れているキーワードであっても、訪問者が最終的にゴールページ(ウェブサイトの運営者等が訪問者にアクセスしてほしいページ)に辿り着いたのかわからなければ、検索キーワードに対する費用と効果を知ることはできない。
【0005】
また、限られた予算の中で、どの検索キーワードにどれだけの費用を払うのが最も効果的なのか、従来のウェブ解析ソフトウェアではその組み合わせがわかりにくい。
【0006】
本発明は、例えば、検索キーワードごとに、どれだけの費用を払うのが効果的なのかを提示して、実際に払う金額の決定を支援することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の態様に係る投資金額決定支援装置は、
ウェブサイト内のページ(ウェブページ)が検索エンジンの検索結果でより上位に表示されるようにするために実施される対策であり、前記検索エンジンでの検索に使用される複数の検索キーワードのそれぞれについて、実施するための料金が予め設定されている対策への投資金額の決定を支援する投資金額決定支援装置であって、
検索キーワードごとに、前記対策に設定されている料金を記憶装置により記憶する料金記憶部と、
前記検索エンジンの検索結果に基づいて前記ウェブサイトを訪問したユーザが前記ウェブサイト内で特定のページに到達した場合に得られる効果を数値化した効果値を記憶装置により記憶する効果値記憶部と、
検索キーワードごとの重み係数を前記料金記憶部に記憶された検索キーワードごとの料金に乗じた値と、前記効果値記憶部に記憶された効果値とに基づいて、前記複数の検索キーワードに対する前記対策の効果の評価値を処理装置により計算する評価値計算部と、
前記評価値計算部により計算される評価値が所定の条件を満たすように、検索キーワードごとの前記重み係数を処理装置により調整する重み係数調整部と、
検索キーワードごとに、前記重み係数調整部により調整された重み係数を前記料金記憶部に記憶された料金に乗じた値を、前記対策への投資金額として出力装置により出力する投資金額出力部とを備える。
【0008】
前記重み係数調整部は、ヒューリスティックアルゴリズムに従って、前記評価値計算部により計算される評価値が最適化されるように、検索キーワードごとの前記重み係数を調整する。
【0009】
前記投資金額決定支援装置は、さらに、
過去に前記検索エンジンの検索結果に基づいて前記ウェブサイトを訪問したユーザのうち、前記特定のページに到達したユーザの数を到達者数として記憶装置により記憶する到達者数記憶部を備え、
前記評価値計算部は、検索キーワードごとの前記重み係数を前記料金記憶部に格納された検索キーワードごとの料金に乗じた値と、前記到達者数記憶部に記憶された到達者数を前記効果値記憶部に記憶された効果値に乗じた値とに基づいて、前記評価値を計算する。
【0010】
前記投資金額決定支援装置は、さらに、
前記投資金額の上限値の入力を入力装置により受け付ける閾値入力部を備え、
前記重み係数調整部は、前記評価値計算部により計算される評価値が前記所定の条件を満たし、かつ、検索キーワードごとの前記重み係数を前記料金記憶部に記憶された検索キーワードごとの料金に乗じた値の合計値が前記閾値入力部に入力された上限値以下となるように、検索キーワードごとの前記重み係数を調整する。
【0011】
前記投資金額決定支援装置は、さらに、
検索キーワードごとに、過去に前記検索エンジンの検索結果に基づいて前記ウェブサイトを訪問したユーザの数を訪問者数として記憶装置により記憶する訪問者数記憶部を備え、
前記重み係数調整部は、前記評価値計算部により計算される評価値が前記所定の条件を満たし、かつ、前記複数の検索キーワードのうち、前記重み係数が0より大きい検索キーワードに対応する、前記訪問者数記憶部に記憶された訪問者数の合計値が所定の下限値以上となるように、検索キーワードごとの前記重み係数を調整する。
【0012】
前記投資金額決定支援装置は、さらに、
検索キーワードごとに、過去に前記検索エンジンの検索結果に基づいて前記ウェブサイトを訪問したユーザの数を訪問者数として記憶装置により記憶する訪問者数記憶部と、
検索キーワードごとに、過去に前記検索エンジンの検索結果に基づいて前記ウェブサイトを訪問したユーザのうち、前記特定のページに到達したユーザの数を到達者数として記憶装置により記憶する到達者数記憶部とを備え、
前記重み係数調整部は、前記評価値計算部により計算される評価値が前記所定の条件を満たし、かつ、前記複数の検索キーワードのうち、前記重み係数が0より大きい検索キーワードに対応する、前記訪問者数記憶部に記憶された訪問者数の合計値と前記到達者数記憶部に記憶された到達者数の合計値との比率が所定の閾値以上となるように、検索キーワードごとの前記重み係数を調整する。
【0013】
本発明の一の態様に係る投資金額決定支援方法は、
ウェブサイト内のページが検索エンジンの検索結果でより上位に表示されるようにするために実施される対策であり、前記検索エンジンでの検索に使用される複数の検索キーワードのそれぞれについて、実施するための料金が予め設定されている対策への投資金額の決定を支援する投資金額決定支援方法であって、
コンピュータが、検索キーワードごとに、前記対策に設定されている料金を記憶装置により記憶し、
前記コンピュータが、前記検索エンジンの検索結果に基づいて前記ウェブサイトを訪問したユーザが前記ウェブサイト内で特定のページに到達した場合に得られる効果を数値化した効果値を記憶装置により記憶し、
前記コンピュータが、検索キーワードごとの重み係数を記憶装置に記憶された検索キーワードごとの料金に乗じた値と、記憶装置に記憶された効果値とに基づいて、前記複数の検索キーワードに対する前記対策の効果の評価値を処理装置により計算し、
前記コンピュータが、計算する評価値が所定の条件を満たすように、検索キーワードごとの前記重み係数を処理装置により調整し、
前記コンピュータが、検索キーワードごとに、調整した重み係数を記憶装置に記憶された料金に乗じた値を、前記対策への投資金額として出力装置により出力する。
【0014】
本発明の一の態様に係る投資金額決定支援プログラムは、
ウェブサイト内のページが検索エンジンの検索結果でより上位に表示されるようにするために実施される対策であり、前記検索エンジンでの検索に使用される複数の検索キーワードのそれぞれについて、実施するための料金が予め設定されている対策への投資金額の決定を支援する投資金額決定支援プログラムであって、
検索キーワードごとに、前記対策に設定されている料金を記憶装置により記憶するとともに、前記検索エンジンの検索結果に基づいて前記ウェブサイトを訪問したユーザが前記ウェブサイト内で特定のページに到達した場合に得られる効果を数値化した効果値を記憶装置により記憶するコンピュータに、
検索キーワードごとの重み係数を記憶装置に記憶された検索キーワードごとの料金に乗じた値と、記憶装置に記憶された効果値とに基づいて、前記複数の検索キーワードに対する前記対策の効果の評価値を処理装置により計算する評価値計算処理と、
前記評価値計算処理により計算される評価値が所定の条件を満たすように、検索キーワードごとの前記重み係数を処理装置により調整する重み係数調整処理と、
検索キーワードごとに、前記重み係数調整処理により調整された重み係数を記憶装置に記憶された料金に乗じた値を、前記対策への投資金額として出力装置により出力する投資金額出力処理とを実行させる。
【0015】
前記重み係数調整処理は、ヒューリスティックアルゴリズムに従って、前記評価値計算処理により計算される評価値が最適化されるように、検索キーワードごとの前記重み係数を調整する。
【0016】
前記コンピュータは、さらに、過去に前記検索エンジンの検索結果に基づいて前記ウェブサイトを訪問したユーザのうち、前記特定のページに到達したユーザの数を到達者数として記憶装置により記憶し、
前記評価値計算処理は、検索キーワードごとの前記重み係数を記憶装置に格納された検索キーワードごとの料金に乗じた値と、記憶装置に記憶された到達者数を記憶装置に記憶された効果値に乗じた値とに基づいて、前記評価値を計算する。
【0017】
前記投資金額決定支援プログラムは、さらに、
前記投資金額の上限値の入力を入力装置により受け付ける閾値入力処理を前記コンピュータに実行させ、
前記重み係数調整処理は、前記評価値計算処理により計算される評価値が前記所定の条件を満たし、かつ、検索キーワードごとの前記重み係数を記憶装置に記憶された検索キーワードごとの料金に乗じた値の合計値が前記閾値入力処理に入力された上限値以下となるように、検索キーワードごとの前記重み係数を調整する。
【0018】
前記コンピュータは、さらに、検索キーワードごとに、過去に前記検索エンジンの検索結果に基づいて前記ウェブサイトを訪問したユーザの数を訪問者数として記憶装置により記憶し、
前記重み係数調整処理は、前記評価値計算処理により計算される評価値が前記所定の条件を満たし、かつ、前記複数の検索キーワードのうち、前記重み係数が0より大きい検索キーワードに対応する、記憶装置に記憶された訪問者数の合計値が所定の下限値以上となるように、検索キーワードごとの前記重み係数を調整する。
【0019】
前記コンピュータは、さらに、検索キーワードごとに、過去に前記検索エンジンの検索結果に基づいて前記ウェブサイトを訪問したユーザのうち、前記特定のページに到達したユーザの数を到達者数として記憶装置により記憶するとともに、検索キーワードごとに、過去に前記検索エンジンの検索結果に基づいて前記ウェブサイトを訪問したユーザのうち、前記特定のページに到達したユーザの数を到達者数として記憶装置により記憶し、
前記重み係数調整処理は、前記評価値計算処理により計算される評価値が前記所定の条件を満たし、かつ、前記複数の検索キーワードのうち、前記重み係数が0より大きい検索キーワードに対応する、記憶装置に記憶された訪問者数の合計値と記憶装置に記憶された到達者数の合計値との比率が所定の閾値以上となるように、検索キーワードごとの前記重み係数を調整する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一の態様によれば、投資金額決定支援装置が、検索エンジンでの検索に使用される検索キーワードごとに、ウェブサイト内のページが検索エンジンの検索結果でより上位に表示されるようにするために実施される対策への投資金額を出力して、投資金額の決定を支援することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施の形態1に係る投資金額決定支援装置の利用形態の一例を示す図。
【図2】実施の形態1に係る投資金額決定支援装置の構成を示すブロック図。
【図3】実施の形態1に係る投資金額決定支援装置のハードウェア構成の一例を示す図。
【図4】実施の形態1に係る投資金額決定支援装置のアクセス履歴DBの一例を示す図。
【図5】実施の形態1に係る投資金額決定支援装置のキーワード単位料金テーブル、ゴールページ効果テーブル、制約条件テーブルの一例を示す図。
【図6】実施の形態1に係る投資金額決定支援装置の動作を示すフローチャート。
【図7】実施の形態1に係る投資金額決定支援装置の計算結果の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
【0023】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係る投資金額決定支援装置100の利用形態の一例を示す図である。
【0024】
図1において、ユーザ端末201は、訪問者(ユーザ)が利用するコンピュータであり、訪問者がウェブページを閲覧するためのウェブブラウザを動作させる。ユーザ端末201は、例えばPC(パーソナルコンピュータ)である。
【0025】
ウェブサーバ202は、複数のウェブページからなるウェブサイトを実現するサーバコンピュータであり、ユーザ端末201にウェブページを配信する。
【0026】
ユーザ端末201とウェブサーバ202は、インターネット203を介して、IP(インターネットプロトコル)通信を行う。IP通信において、ユーザ端末201は、インターネット203を介して、IPパケットをウェブサーバ202へ送信する。同様に、ウェブサーバ202は、インターネット203を介して、IPパケットをユーザ端末201へ送信する。ユーザ端末201で動作するウェブブラウザとウェブサーバ202は、IP通信を利用してHTTP(ハイパーテキスト転送プロトコル)通信を行う。HTTP通信において、ユーザ端末201で動作するウェブブラウザは、HTTPリクエストをウェブサーバ202へ送信する。ウェブサーバ202は、HTTPリクエストに対してHTTPレスポンスを返信する。例えば、ウェブブラウザは、訪問者が検索エンジンの検索結果等で表示されたリンクを選択すると、そのリンク先のURL(Uniform・Resource・Locator)を指定したHTTPリクエストを送信する。ウェブサーバ202は、このHTTPリクエストを受信すると、指定されたURLに対応するウェブページのHTML(ハイパーテキストマークアップ言語)ファイル等を含むHTTPレスポンスを返信する。
【0027】
投資金額決定支援装置100は、アクセス履歴DB101、キーワード単位料金テーブル102、ゴールページ効果テーブル103、インタフェース部104、解析部105を備えるコンピュータである。投資金額決定支援装置100は、これらの構成要素によって、ウェブサイト内での訪問者の行動を解析し(即ち、アクセス解析又はウェブ解析を行い)、ウェブサイトのゴールページ(特定のページの一例)に到達した訪問者とウェブサイト訪問時の検索キーワードとを紐付け、予算内で最適な(望ましくは、最も効果の高い)キーワードと費用分配の組み合わせを計算する。なお、投資金額決定支援装置100は、1台のコンピュータで構成されていてもよいし、複数台のコンピュータで構成されていてもよい(例えば、各構成要素を別々のコンピュータで実現してもよい)。
【0028】
アクセス解析の方式には、主に、以下の3種類がある。
(1)アクセスログ型:ウェブサーバ202が、ウェブページへのアクセスがある度に、HTTPリクエストやHTTPレスポンスの一部を所定の形式でアクセスログに記録する。アクセス解析は、このアクセスログを解析することによって行われる。
(2)ビーコン(タグ)型:各ウェブページには小さなプログラム(タグ)が貼付され、訪問者のウェブブラウザがウェブページを読み込むと、そのプログラムが取得した情報が、ウェブサーバ202とは別の解析サーバに送信される。解析サーバは、この情報をデータベース(DB)化して記録する。アクセス解析は、このデータベース上の情報を解析することによって行われる。
(3)パケットキャプチャ型:パケットキャプチャ装置が、ウェブサーバ202を外部(インターネット203)と接続するネットワーク上を流れる全てのパケット(HTTPリクエスト又はHTTPレスポンスを含むパケット)をキャプチャする。アクセス解析は、キャプチャされたパケットからHTTP通信を復元し、このHTTP通信を解析することによって行われる。
【0029】
本実施の形態において、投資金額決定支援装置100は、パケットキャプチャ型のアクセス解析を行うものとする。なお、投資金額決定支援装置100は、他の方式のアクセス解析を行っても構わない。
【0030】
本実施の形態では、以下のような流れで訪問者のアクセス解析が行われる。
(1)訪問者が、検索キーワードで検索し、ウェブサイトを訪問する。
(2)解析部105が、検索キーワードでの訪問者数をアクセス履歴DB101に書き込む。
(3)訪問者が、ウェブサイトのゴールページに到達する。
(4)解析部105が、検索キーワードでのゴールページ到達者数をアクセス履歴DB101に書き込む。
【0031】
また、本実施の形態では、以下のような流れでキーワード解析が行われる。
(5)担当者が、キーワード単位料金テーブル102にキーワードごとの単位料金を、ゴールページ効果テーブル103にゴールページごとの効果(金額に換算したもの)を、それぞれ予め保持させておく。
(6)担当者が、インタフェース部104を用いて、予算(費用の上限)と、各キーワード合算の総訪問者数の下限値、到達率の下限値を指定する。
(7)解析部105が、アクセス履歴DB101の検索キーワードと訪問者数、ゴールページ到達者数、キーワード単位料金テーブル102、ゴールページ効果テーブル103から、予算内で最適な(望ましくは、最も効果の高い)検索キーワードと費用分配の組み合わせを算出する。
【0032】
このように、本実施の形態によれば、ウェブ解析のデータを基に、最適な(望ましくは、最も効果の高い)検索キーワードと費用分配の組み合わせに関する指針を、担当者に提示することができる。
【0033】
図2は、投資金額決定支援装置100の構成を示すブロック図である。
【0034】
図2において、投資金額決定支援装置100は、前述したように、アクセス履歴DB101、キーワード単位料金テーブル102、ゴールページ効果テーブル103、インタフェース部104、解析部105を備えるほか、制約条件テーブル106を備える。また、投資金額決定支援装置100は、処理装置191、記憶装置192、入力装置193、出力装置194等のハードウェアを備える。ハードウェアは投資金額決定支援装置100の各部によって利用される。例えば、処理装置191は、投資金額決定支援装置100の各部でデータや情報の演算、加工、読み取り、書き込み等を行うために利用される。記憶装置192は、そのデータや情報を記憶するために利用される。また、入力装置193は、そのデータや情報を入力するために、出力装置194は、そのデータや情報を出力するために利用される。
【0035】
アクセス履歴DB101は、訪問者数記憶部111、到達者数記憶部112を有する。訪問者数記憶部111は、検索キーワードごとに、過去に検索エンジンの検索結果に基づいてウェブサイトを訪問したユーザの数(即ち、訪問者数)を記憶装置192により記憶する。到達者数記憶部112は、検索キーワードごとに、過去に検索エンジンの検索結果に基づいてウェブサイトを訪問したユーザのうち、ゴールページに到達したユーザの数(即ち、到達者数)を記憶装置192により記憶する。
【0036】
キーワード単位料金テーブル102は、料金記憶部の一例であり、検索キーワードごとに、SEO対策に設定されている料金を記憶装置192により記憶する。本実施の形態において、SEO対策としては、ウェブサイト内のページが検索エンジンの検索結果でより上位に表示されるようにするために実施されるものであれば、任意の対策を対象とすることができる。ここで、SEO対策には、検索エンジンでの検索に使用される複数の検索キーワードのそれぞれについて、実施するための料金が予め設定されているものとする。例えば、SEO対策としてキーワード広告を利用するのであれば、キーワード単位料金テーブル102は、検索キーワードごとに、検索エンジンによって設定された広告料金等を記憶する。
【0037】
ゴールページ効果テーブル103は、効果値記憶部の一例であり、検索エンジンの検索結果に基づいてウェブサイトを訪問したユーザがウェブサイト内でゴールページに到達した場合に得られる効果を数値化した効果値を記憶装置192により記憶する。例えば、ゴールページ効果テーブル103は、ゴールページごとに、訪問者がゴールページにアクセスすることでウェブサイトの運営企業が得られる利益等、効果を金額に換算した値を記憶する。
【0038】
インタフェース部104は、閾値入力部141、投資金額出力部142を有する。閾値入力部141は、ウェブサイトの運営企業の担当者等から、SEO対策への投資金額の上限値(即ち、予算)の入力を入力装置193により受け付ける。また、閾値入力部141は、担当者等から、訪問者数の合計値(即ち、総訪問者数)の下限値と、訪問者数の合計値と到達者数の合計値との比率(即ち、到達率)の下限値(閾値)との入力を入力装置193により受け付ける。投資金額出力部142は、検索キーワードごとに、解析部105により計算されたSEO対策への最適な投資金額を出力装置194により出力する。これにより、担当者等が行うSEO対策への投資金額の決定を支援する。
【0039】
制約条件テーブル106は、条件記憶部の一例であり、閾値入力部141に入力された値(上限値、下限値、閾値)を記憶装置192により記憶する。
【0040】
解析部105は、評価値計算部151、重み係数調整部152を有する。評価値計算部151は、検索キーワードごとの重み係数をキーワード単位料金テーブル102に記憶された検索キーワードごとの料金に乗じた値と、ゴールページ効果テーブル103に記憶された効果値とに基づいて、候補となる検索キーワード全体に対するSEO対策の効果の評価値(即ち、全体の評価値)を処理装置191により計算する。重み係数調整部152は、評価値計算部151により計算される評価値が所定の条件を満たすように、検索キーワードごとの重み係数を処理装置191により調整する。具体的には、重み係数調整部152は、ヒューリスティックアルゴリズムに従って、制約条件テーブル106に記憶された値を参照し、評価値計算部151により計算される評価値が最適化されるように(即ち、評価値が最適値であるという条件を満たすように)、検索キーワードごとの重み係数を調整する。解析部105は、検索キーワードごとに、重み係数調整部152により調整された重み係数をキーワード単位料金テーブル102に記憶された料金に乗じた値を処理装置191により計算し、計算結果をSEO対策への最適な投資金額として投資金額出力部142へ渡す。
【0041】
図3は、投資金額決定支援装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0042】
図3において、投資金額決定支援装置100は、コンピュータであり、LCD901(Liquid・Crystal・Display)、キーボード902(K/B)、マウス903、FDD904(Flexible・Disk・Drive)、CDD905(Compact・Disc・Drive)、プリンタ906といったハードウェアデバイスを備えている。これらのハードウェアデバイスはケーブルや信号線で接続されている。LCD901の代わりに、CRT(Cathode・Ray・Tube)、あるいは、その他の表示装置が用いられてもよい。マウス903の代わりに、タッチパネル、タッチパッド、トラックボール、ペンタブレット、あるいは、その他のポインティングデバイスが用いられてもよい。
【0043】
投資金額決定支援装置100は、プログラムを実行するCPU911(Central・Processing・Unit)を備えている。CPU911は、処理装置191の一例である。CPU911は、バス912を介してROM913(Read・Only・Memory)、RAM914(Random・Access・Memory)、通信ボード915、LCD901、キーボード902、マウス903、FDD904、CDD905、プリンタ906、HDD920(Hard・Disk・Drive)と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。HDD920の代わりに、フラッシュメモリ、光ディスク装置、メモリカードリーダライタ又はその他の記憶媒体が用いられてもよい。
【0044】
RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913、FDD904、CDD905、HDD920は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶装置192の一例である。通信ボード915、キーボード902、マウス903、FDD904、CDD905は、入力装置193の一例である。また、通信ボード915、LCD901、プリンタ906は、出力装置194の一例である。
【0045】
通信ボード915は、LAN(Local・Area・Network)等に接続されている。通信ボード915は、LANに限らず、IP−VPN(Internet・Protocol・Virtual・Private・Network)、広域LAN、ATM(Asynchronous・Transfer・Mode)ネットワークといったWAN(Wide・Area・Network)、あるいは、インターネット203に接続されていても構わない。LAN、WAN、インターネット203は、ネットワークの一例である。
【0046】
HDD920には、オペレーティングシステム921(OS)、ウィンドウシステム922、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923のプログラムは、CPU911、オペレーティングシステム921、ウィンドウシステム922により実行される。プログラム群923には、本実施の形態の説明において「〜部」として説明する機能を実行するプログラムが含まれている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。ファイル群924には、本実施の形態の説明において、「〜データ」、「〜情報」、「〜ID(識別子)」、「〜フラグ」、「〜結果」として説明するデータや情報や信号値や変数値やパラメータが、「〜ファイル」や「〜データベース」や「〜テーブル」の各項目として含まれている。「〜ファイル」や「〜データベース」や「〜テーブル」は、RAM914やHDD920等の記憶媒体に記憶される。RAM914やHDD920等の記憶媒体に記憶されたデータや情報や信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU911によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出、検索、参照、比較、演算、計算、制御、出力、印刷、表示といったCPU911の処理(動作)に用いられる。抽出、検索、参照、比較、演算、計算、制御、出力、印刷、表示といったCPU911の処理中、データや情報や信号値や変数値やパラメータは、メインメモリやキャッシュメモリやバッファメモリに一時的に記憶される。
【0047】
本実施の形態の説明において用いるブロック図やフローチャートの矢印の部分は主としてデータや信号の入出力を示す。データや信号は、RAM914等のメモリ、FDD904のフレキシブルディスク(FD)、CDD905のコンパクトディスク(CD)、HDD920の磁気ディスク、光ディスク、DVD(Digital・Versatile・Disc)、あるいは、その他の記録媒体に記録される。また、データや信号は、バス912、信号線、ケーブル、あるいは、その他の伝送媒体により伝送される。
【0048】
本実施の形態の説明において「〜部」として説明するものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜工程」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。即ち、「〜部」として説明するものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。あるいは、「〜部」として説明するものは、ソフトウェアのみ、あるいは、素子、デバイス、基板、配線といったハードウェアのみで実現されていても構わない。あるいは、「〜部」として説明するものは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、あるいは、ソフトウェアとハードウェアとファームウェアとの組み合わせで実現されていても構わない。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、フレキシブルディスク、コンパクトディスク、磁気ディスク、光ディスク、DVD等の記録媒体に記憶される。プログラムはCPU911により読み出され、CPU911により実行される。即ち、プログラムは、本実施の形態の説明で述べる「〜部」としてコンピュータを機能させるものである。あるいは、プログラムは、本実施の形態の説明で述べる「〜部」の手順や方法をコンピュータに実行させるものである。
【0049】
以下、投資金額決定支援装置100の動作(本実施の形態に係る投資金額決定支援方法、本実施の形態に係る投資金額決定支援プログラムの処理手順)について説明する。
【0050】
図4は、アクセス履歴DB101の一例を示す図である。
【0051】
図4において、アクセス履歴DB101は、実際にサイト訪問者がどのページを見たか、どんなキーワードで訪れたかを記録したデータを保存する。即ち、アクセス履歴DB101は、過去の、ウェブサイトへの訪問者の履歴のDBである(キーワード別の実績値という位置づけである)。アクセス履歴DB101は、利用目的に応じて、アクセスログ、動線解析結果、ログ整形結果等、様々なスキームで定義される。
【0052】
この例では、アクセス履歴DB101は、最適化計算に必要な情報を保持するために、検索キーワードとページとの組み合わせごとに、到達者数(ゴールページ以外のページに到達した訪問者の数も含む)を記憶している。例えば、アクセス履歴DB101は、ウェブサイトの運営企業の名称である「XYZソフトウエア」を検索キーワードとして使用した検索結果に基づき、ウェブサイトの「トップページ」に到達した訪問者が「30」人いることを記憶している。また、例えば、アクセス履歴DB101は、XYZソフトウエアの製品の1つである「ABCプログラム」を検索キーワードとして使用した検索結果に基づき、ゴールページの1つである「ABCプログラム資料請求完了ページ」に到達した訪問者が「8」人いることを記憶している。
【0053】
また、この例では、1つの検索キーワードに対応するページ全ての到達者数の合計を、その検索キーワードに対応する訪問者数として扱うものとする。例えば、「ABCプログラム」に対応する訪問者数は、「13」+「47」+「8」+「8」+「1」+「4」=81人である。このうち、ゴールページである「ABCプログラム資料請求完了ページ」と「DEFプログラム資料請求完了ページ」と「メール問い合わせ完了画面」に到達した13人が到達者数(ゴールページ到達者数)となる。なお、アクセス履歴DB101は、訪問者数と到達者数とを明示的に分けて記憶していてもよい。この場合、アクセス履歴DB101は、検索キーワードごとに、訪問者数(どのページを訪問したかは区別しなくてよい)を記憶するとともに、検索キーワードとページ(ゴールページだけでもよい)との組み合わせごとに、到達者数(ゴールページ到達者数)を記憶する。
【0054】
図5は、キーワード単位料金テーブル102、ゴールページ効果テーブル103、制約条件テーブル106の一例を示す図である。
【0055】
図5において、キーワード単位料金テーブル102は、いくら投資するかを示すデータを格納する。具体的には、キーワード単位料金テーブル102は、検索エンジンにおいて、あるキーワードで検索が行われた際に、より検索結果の上位にページを表示させるために支払う料金のテーブルである。一般的に、粒度の大きいキーワードほど金額は大きい。よって、「製品」等、抽象的なキーワードでの検索結果でも上位に表示させるためにはより多くの金額を投資する必要がある。
【0056】
例えば、キーワード単位料金テーブル102は、検索キーワードである「XYZソフトウエア」についてSEO対策を実施するための料金(具体的には、キーワード広告の料金)が「1000」円であることを記憶している。
【0057】
ゴールページ効果テーブル103は、あるページが閲覧された場合にいくらの儲けがあったと仮定するかを示すデータを格納する。即ち、ゴールページ効果テーブル103は、ウェブサイトで定義されているゴールページごとに、効果を金額に換算したテーブルである。例えば、あるページが見られたら何円の収入があったと仮定するかが決められている。どのページにどれだけの価値を定義するかは、サイトの運用目的や企業の業種によって異なる。一般的には、資料請求画面、買い物完了画面、発注完了画面、会員登録画面、金融関係の申し込み完了画面等がゴールページとなる。
【0058】
例えば、ゴールページ効果テーブル103は、「ABCプログラム資料請求完了ページ」がアクセスされた場合の効果が「1500」円であることを記憶している。なお、ゴールページ効果テーブル103は、「ABCプログラム資料請求完了ページ」のURLも記憶している。
【0059】
制約条件テーブル106は、計算上必要で、かつ、マーケティングにおいて意味のある条件を定義する。即ち、制約条件テーブル106は、最適化計算を行うにあたり、必要となる制約条件の定義テーブルである。例えば、評価値を算出するための評価関数を効果の総和と定義した場合、予算をかけるほど、効果が大きくなり、計算が発散してしまうため、制約条件を設定する必要がある。
【0060】
この例では、制約条件テーブル106は、特に、一般的なサイト運用上の条件から大きく逸脱せず、ウェブ解析の上でも基本的な指標となる条件として、予算、総訪問者数下限値、到達率下限値を記憶している。例えば、制約条件テーブル106は、予算が「10000」円で、最低「100」人がウェブサイトを訪問し、「5」%の人がゴールページに到達する前提で、最も効果が大きくなるキーワードの組み合わせ及び費用分配を求めることを命題とするような制約条件を記憶している。
【0061】
図6は、投資金額決定支援装置100の動作を示すフローチャートである。
【0062】
ステップS101(閾値入力処理)において、閾値入力部141は、担当者等から、予算、総訪問者数の下限値、到達率の下限値の入力を入力装置193により受け付ける。そして、閾値入力部141は、入力された予算、総訪問者数の下限値、到達率の下限値を制約条件テーブル106に格納する。図5の例であれば、予算として「10000」円、総訪問者数の下限値として「100」人、到達率の下限値として「5」%が閾値入力部141に入力され、制約条件テーブル106に格納される。各値は0以上の任意値である。
【0063】
ステップS102(重み係数調整処理)において、1回目の処理の場合、重み係数調整部152は、検索キーワードごとの重み係数として乱数を処理装置191により生成する。2回目以降の処理については後述する。
【0064】
ステップS103(評価値計算処理)において、評価値計算部151は、評価関数を用いて、重み係数調整部152により調整(又は生成)された重み係数を適用した場合におけるSEO対策の効果の評価値を処理装置191により計算する。ここで、評価関数は、何を評価の指標とするかを決定する関数である。本実施の形態では、費用の最適分配(費用対効果)を狙いとしているため、投資額と利益の比率である。例えば、以下のような評価関数を定義することができる。
【0065】
評価関数:評価値I=Σ(ゴールページ効果×到達者数)/Σ(検索キーワード単位料金×投資比重)=(ページ1効果×到達者数+ページ2効果×到達者数+・・・)/(キーワード1料金×キーワード1投資比重+キーワード2料金×キーワード2投資比重+・・・)
ゴールページ効果(ページx効果):ゴールページ効果テーブル103に記憶されたゴールページごとの効果値(ページxの効果値)である(x=1,2,・・・)。図5の例であれば、「ABCプログラム資料請求完了ページ」の効果値としては「1500」円が加算される。
到達者数:アクセス履歴DB101の到達者数記憶部112に記憶されたゴールページごとの到達者数である。図4の例であれば、「ABCプログラム資料請求完了ページ」の到達者数としては「8」人が加算される。
検索キーワード単位料金(キーワードy料金):キーワード単位料金テーブル102に格納された検索キーワードごとの料金(キーワードyの料金)である(y=1,2,・・・)。図5の例であれば、「ABCプログラム」の料金としては「500」円が加算される。
投資比重(キーワードy投資比重):重み係数調整部152により調整(又は生成)された重み係数である。投資比重が、評価値の計算における実質上の設計変数(乱数でランダムに付与する値)となる。投資比重は、あるキーワードに対して、何倍の投資をするかを示す重みであり、例えば、0.0〜10.0(倍)の範囲で設定される。
【0066】
なお、本実施の形態では、キーワード投資額に対して、各ゴールページへの到達者数は正の線形相関関係にあるものと仮定する。
【0067】
上記のように、評価値計算部151は、検索キーワードごとの重み係数をキーワード単位料金テーブル102に格納された検索キーワードごとの料金に乗じた値と、アクセス履歴DB101の到達者数記憶部112に記憶されたゴールページごとの到達者数をゴールページ効果テーブル103に記憶されたゴールページごとの効果値に乗じた値とに基づいて、評価値Iを処理装置191により計算する。これにより、様々な検索キーワードでサイトを訪れている過去のアクセスログから、最も効果のあるキーワード及びその費用分配を導く。なお、過去のデータを使用するため、過去に一度もアクセスのないキーワードは必然的に最適化の対象外となる。
【0068】
最適化計算が完了していれば、ステップS104に進み、完了していなければ、ステップS102に戻る。最適化計算が完了しているかどうかは、解析部105(評価値計算部151又は重み係数調整部152)が判断する。例えば、解析部105は、評価値計算部151により計算された評価値Iの中に予め設定された閾値以上の評価値Iが出現したときに最適化計算が完了したと判断する。あるいは、最適化手法としてGA(遺伝的アルゴリズム)が用いられる場合には、例えば、解析部105は、最大世代数分の計算が完了したときに最適化計算が完了したと判断する。なお、解析部105は、ここで例示したもの以外の判断基準に従って、最適化計算が完了しているかどうかを判断してもよい。
【0069】
ステップS102(重み係数調整処理)において、2回目以降の処理の場合、重み係数調整部152は、ヒューリスティックアルゴリズムに従って、制約条件テーブル106に記憶された値を参照し、評価値計算部151により計算される評価値が最適化されるように、検索キーワードごとの重み係数を処理装置191により調整する。重み係数調整部152は、ヒューリスティックアルゴリズムとして、前述したGAや、ニューラルネットワーク等を用いることができる。本実施の形態は、多変数最適化問題に係る(投資実績にもよるが、検索キーワードの種類が多い)ものであり、また、費用対効果の相関が線形とは限らない(一般に、非線形最適化問題を数理的手法で解くのは難しい)ため、重み係数調整部152は、例えば、ヒューリスティックアルゴリズムとして、前述したGAを用いることが望ましい。これにより、拡張性の高い装置を提供することが可能となる。GAでは、選択淘汰、交叉、突然変異という、自然界における生物進化を模擬した手法により、最終的に生き残った評価値Iを最適(費用対効果の大きい)解として得る。なお、重み係数調整部152は、ニューラルネットワーク等、他のヒューリスティックアルゴリズムを用いても構わないし、線形計画法、非線形計画法等の数理アルゴリズムを用いても構わない。
【0070】
ここで、図7に、計算結果の一例を示す。
【0071】
ステップS102の1回の処理において、重み係数調整部152は、検索キーワードごとの重み係数をキーワード単位料金テーブル102に記憶された検索キーワードごとの料金に乗じた値の合計値T1を処理装置191により計算する。また、重み係数調整部152は、候補となる複数の検索キーワードのうち、重み係数が0より大きい検索キーワード(即ち、投資の対象とする検索キーワード)に対応する、アクセス履歴DB101の訪問者数記憶部111に記憶された訪問者数の合計値T2と、アクセス履歴DB101の到達者数記憶部112に記憶された到達者数の合計値T3とを処理装置191により計算する。そして、重み係数調整部152は、合計値T1(即ち、総投資金額)が制約条件テーブル106に格納された予算以下、かつ、合計値T2(即ち、総訪問者数)が制約条件テーブル106に格納された総訪問者数の下限値以上、かつ、合計値T2に対する合計値T3の比率(即ち、到達率)が制約条件テーブル106に格納された到達率の下限値以上となるように、検索キーワードごとの重み係数を設定する。例えば、図7の「解2」では、各検索キーワードに対して、「1」、「0.9」、「1.1」、「11.6」、「1.4」、「0.3」、「0」といったように重み係数が設定されている。このとき、総投資金額は上限値「10000」円以下の「9980」円、総訪問者数は下限値「100」人以上の「132」人、到達率は下限値「5」%以上の「5.31」%となっている。なお、「解2」は、GAにおける1つの個体に相当する。よって、「解z」は、GAにおいて設定される個体数分あることになる(z=1,2,・・・)。
【0072】
ステップS103において、評価値計算部151は、上記のようにステップS102で設定された検索キーワードごとの重み係数を評価関数に入力し、評価値Iを計算する。この時点(即ち、現世代)で、GAにおいて設定される最大世代数分の計算が完了していれば、最適化計算が完了したことになり、そうでなければ、最適化計算が完了していないことになる。最適化計算が完了していれば、評価値計算部151は、計算した評価値Iの中から最大値を選択する。ここで選択された評価値Iが最適解となり、ステップS104へ進む。例えば、図7の「解2」では、評価値Iとして「1.26」が算出されており、これが最適解となっている。一方、最適化計算が完了していなければ、再度ステップS102の処理が実行される。
【0073】
ステップS104(投資金額出力処理)において、解析部105は、検索キーワードごとに、重み係数調整部152により調整された重み係数をキーワード単位料金テーブル102に記憶された料金に乗じた値を処理装置191により計算する。そして、解析部105は、その計算結果をSEO対策への最適な投資金額として投資金額出力部142へ渡す。投資金額出力部142は、検索キーワードごとに、解析部105により計算されたSEO対策への最適な投資金額を出力装置194により出力する。
【0074】
なお、ステップS103において、最適化計算が完了した場合に、評価値計算部151は、最適解を2つ以上選択しても構わない。例えば、評価値計算部151は、最後の世代で計算した評価値Iの中から1番目に大きい値だけでなく、2番目に大きい値を最適解として選択してもよい。あるいは、評価値計算部151は、最後の世代で計算した評価値Iの中から、予め設定された閾値以上の評価値Iを全て最適解として選択してもよい。この場合、ステップS104では、解析部105が、最適解ごとに、検索キーワードごとの投資金額を計算し、その計算結果を投資金額出力部142へ渡す。投資金額出力部142は、最適解ごとに、検索キーワードごとの投資金額を出力する。これにより、担当者等は、検索キーワード及び費用分配のパターンを複数見比べて、最終的には自分で適当だと思うものを選択することができる。
【0075】
以上のように、本実施の形態によれば、過去のデータ・実績値を基に、どのキーワードにどれだけ注力すればよいかがわかる。例えば、価値の低いゴールページに、安く多く集客した方が得なのか、あるいは、多少コストがかかっても、多投資多効果の方が得なのか、あるいは、普通に考えて、少投資多効果の方が得なのか、といったことがわかる。即ち、人間の判断と、機械的な最適化結果を考慮した上で施策を講じることが可能となる。また、マーケティング施策・対策の幅が広がる。
【符号の説明】
【0076】
100 投資金額決定支援装置、101 アクセス履歴DB、102 キーワード単位料金テーブル、103 ゴールページ効果テーブル、104 インタフェース部、105 解析部、106 制約条件テーブル、111 訪問者数記憶部、112 到達者数記憶部、141 閾値入力部、142 投資金額出力部、151 評価値計算部、152 重み係数調整部、191 処理装置、192 記憶装置、193 入力装置、194 出力装置、201 ユーザ端末、202 ウェブサーバ、203 インターネット、901 LCD、902 キーボード、903 マウス、904 FDD、905 CDD、906 プリンタ、911 CPU、912 バス、913 ROM、914 RAM、915 通信ボード、920 HDD、921 オペレーティングシステム、922 ウィンドウシステム、923 プログラム群、924 ファイル群。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブサイト内のページが検索エンジンの検索結果でより上位に表示されるようにするために実施される対策であり、前記検索エンジンでの検索に使用される複数の検索キーワードのそれぞれについて、実施するための料金が予め設定されている対策への投資金額の決定を支援する投資金額決定支援装置であって、
検索キーワードごとに、前記対策に設定されている料金を記憶装置により記憶する料金記憶部と、
前記検索エンジンの検索結果に基づいて前記ウェブサイトを訪問したユーザが前記ウェブサイト内で特定のページに到達した場合に得られる効果を数値化した効果値を記憶装置により記憶する効果値記憶部と、
検索キーワードごとの重み係数を前記料金記憶部に記憶された検索キーワードごとの料金に乗じた値と、前記効果値記憶部に記憶された効果値とに基づいて、前記複数の検索キーワードに対する前記対策の効果の評価値を処理装置により計算する評価値計算部と、
前記評価値計算部により計算される評価値が所定の条件を満たすように、検索キーワードごとの前記重み係数を処理装置により調整する重み係数調整部と、
検索キーワードごとに、前記重み係数調整部により調整された重み係数を前記料金記憶部に記憶された料金に乗じた値を、前記対策への投資金額として出力装置により出力する投資金額出力部と
を備えることを特徴とする投資金額決定支援装置。
【請求項2】
前記重み係数調整部は、ヒューリスティックアルゴリズムに従って、前記評価値計算部により計算される評価値が最適化されるように、検索キーワードごとの前記重み係数を調整することを特徴とする請求項1の投資金額決定支援装置。
【請求項3】
前記投資金額決定支援装置は、さらに、
過去に前記検索エンジンの検索結果に基づいて前記ウェブサイトを訪問したユーザのうち、前記特定のページに到達したユーザの数を到達者数として記憶装置により記憶する到達者数記憶部
を備え、
前記評価値計算部は、検索キーワードごとの前記重み係数を前記料金記憶部に格納された検索キーワードごとの料金に乗じた値と、前記到達者数記憶部に記憶された到達者数を前記効果値記憶部に記憶された効果値に乗じた値とに基づいて、前記評価値を計算することを特徴とする請求項1又は2の投資金額決定支援装置。
【請求項4】
前記投資金額決定支援装置は、さらに、
前記投資金額の上限値の入力を入力装置により受け付ける閾値入力部
を備え、
前記重み係数調整部は、前記評価値計算部により計算される評価値が前記所定の条件を満たし、かつ、検索キーワードごとの前記重み係数を前記料金記憶部に記憶された検索キーワードごとの料金に乗じた値の合計値が前記閾値入力部に入力された上限値以下となるように、検索キーワードごとの前記重み係数を調整することを特徴とする請求項1から3のいずれかの投資金額決定支援装置。
【請求項5】
前記投資金額決定支援装置は、さらに、
検索キーワードごとに、過去に前記検索エンジンの検索結果に基づいて前記ウェブサイトを訪問したユーザの数を訪問者数として記憶装置により記憶する訪問者数記憶部
を備え、
前記重み係数調整部は、前記評価値計算部により計算される評価値が前記所定の条件を満たし、かつ、前記複数の検索キーワードのうち、前記重み係数が0より大きい検索キーワードに対応する、前記訪問者数記憶部に記憶された訪問者数の合計値が所定の下限値以上となるように、検索キーワードごとの前記重み係数を調整することを特徴とする請求項1又は2の投資金額決定支援装置。
【請求項6】
前記投資金額決定支援装置は、さらに、
検索キーワードごとに、過去に前記検索エンジンの検索結果に基づいて前記ウェブサイトを訪問したユーザの数を訪問者数として記憶装置により記憶する訪問者数記憶部と、
検索キーワードごとに、過去に前記検索エンジンの検索結果に基づいて前記ウェブサイトを訪問したユーザのうち、前記特定のページに到達したユーザの数を到達者数として記憶装置により記憶する到達者数記憶部と
を備え、
前記重み係数調整部は、前記評価値計算部により計算される評価値が前記所定の条件を満たし、かつ、前記複数の検索キーワードのうち、前記重み係数が0より大きい検索キーワードに対応する、前記訪問者数記憶部に記憶された訪問者数の合計値と前記到達者数記憶部に記憶された到達者数の合計値との比率が所定の閾値以上となるように、検索キーワードごとの前記重み係数を調整することを特徴とする請求項1又は2の投資金額決定支援装置。
【請求項7】
ウェブサイト内のページが検索エンジンの検索結果でより上位に表示されるようにするために実施される対策であり、前記検索エンジンでの検索に使用される複数の検索キーワードのそれぞれについて、実施するための料金が予め設定されている対策への投資金額の決定を支援する投資金額決定支援方法であって、
コンピュータが、検索キーワードごとに、前記対策に設定されている料金を記憶装置により記憶し、
前記コンピュータが、前記検索エンジンの検索結果に基づいて前記ウェブサイトを訪問したユーザが前記ウェブサイト内で特定のページに到達した場合に得られる効果を数値化した効果値を記憶装置により記憶し、
前記コンピュータが、検索キーワードごとの重み係数を記憶装置に記憶された検索キーワードごとの料金に乗じた値と、記憶装置に記憶された効果値とに基づいて、前記複数の検索キーワードに対する前記対策の効果の評価値を処理装置により計算し、
前記コンピュータが、計算する評価値が所定の条件を満たすように、検索キーワードごとの前記重み係数を処理装置により調整し、
前記コンピュータが、検索キーワードごとに、調整した重み係数を記憶装置に記憶された料金に乗じた値を、前記対策への投資金額として出力装置により出力することを特徴とする投資金額決定支援方法。
【請求項8】
ウェブサイト内のページが検索エンジンの検索結果でより上位に表示されるようにするために実施される対策であり、前記検索エンジンでの検索に使用される複数の検索キーワードのそれぞれについて、実施するための料金が予め設定されている対策への投資金額の決定を支援する投資金額決定支援プログラムであって、
検索キーワードごとに、前記対策に設定されている料金を記憶装置により記憶するとともに、前記検索エンジンの検索結果に基づいて前記ウェブサイトを訪問したユーザが前記ウェブサイト内で特定のページに到達した場合に得られる効果を数値化した効果値を記憶装置により記憶するコンピュータに、
検索キーワードごとの重み係数を記憶装置に記憶された検索キーワードごとの料金に乗じた値と、記憶装置に記憶された効果値とに基づいて、前記複数の検索キーワードに対する前記対策の効果の評価値を処理装置により計算する評価値計算処理と、
前記評価値計算処理により計算される評価値が所定の条件を満たすように、検索キーワードごとの前記重み係数を処理装置により調整する重み係数調整処理と、
検索キーワードごとに、前記重み係数調整処理により調整された重み係数を記憶装置に記憶された料金に乗じた値を、前記対策への投資金額として出力装置により出力する投資金額出力処理と
を実行させることを特徴とする投資金額決定支援プログラム。
【請求項9】
前記重み係数調整処理は、ヒューリスティックアルゴリズムに従って、前記評価値計算処理により計算される評価値が最適化されるように、検索キーワードごとの前記重み係数を調整することを特徴とする請求項8の投資金額決定支援プログラム。
【請求項10】
前記コンピュータは、さらに、過去に前記検索エンジンの検索結果に基づいて前記ウェブサイトを訪問したユーザのうち、前記特定のページに到達したユーザの数を到達者数として記憶装置により記憶し、
前記評価値計算処理は、検索キーワードごとの前記重み係数を記憶装置に格納された検索キーワードごとの料金に乗じた値と、記憶装置に記憶された到達者数を記憶装置に記憶された効果値に乗じた値とに基づいて、前記評価値を計算することを特徴とする請求項8又は9の投資金額決定支援プログラム。
【請求項11】
前記投資金額決定支援プログラムは、さらに、
前記投資金額の上限値の入力を入力装置により受け付ける閾値入力処理
を前記コンピュータに実行させ、
前記重み係数調整処理は、前記評価値計算処理により計算される評価値が前記所定の条件を満たし、かつ、検索キーワードごとの前記重み係数を記憶装置に記憶された検索キーワードごとの料金に乗じた値の合計値が前記閾値入力処理に入力された上限値以下となるように、検索キーワードごとの前記重み係数を調整することを特徴とする請求項8から10のいずれかの投資金額決定支援プログラム。
【請求項12】
前記コンピュータは、さらに、検索キーワードごとに、過去に前記検索エンジンの検索結果に基づいて前記ウェブサイトを訪問したユーザの数を訪問者数として記憶装置により記憶し、
前記重み係数調整処理は、前記評価値計算処理により計算される評価値が前記所定の条件を満たし、かつ、前記複数の検索キーワードのうち、前記重み係数が0より大きい検索キーワードに対応する、記憶装置に記憶された訪問者数の合計値が所定の下限値以上となるように、検索キーワードごとの前記重み係数を調整することを特徴とする請求項8又は9の投資金額決定支援プログラム。
【請求項13】
前記コンピュータは、さらに、検索キーワードごとに、過去に前記検索エンジンの検索結果に基づいて前記ウェブサイトを訪問したユーザのうち、前記特定のページに到達したユーザの数を到達者数として記憶装置により記憶するとともに、検索キーワードごとに、過去に前記検索エンジンの検索結果に基づいて前記ウェブサイトを訪問したユーザのうち、前記特定のページに到達したユーザの数を到達者数として記憶装置により記憶し、
前記重み係数調整処理は、前記評価値計算処理により計算される評価値が前記所定の条件を満たし、かつ、前記複数の検索キーワードのうち、前記重み係数が0より大きい検索キーワードに対応する、記憶装置に記憶された訪問者数の合計値と記憶装置に記憶された到達者数の合計値との比率が所定の閾値以上となるように、検索キーワードごとの前記重み係数を調整することを特徴とする請求項8又は9の投資金額決定支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−73880(P2012−73880A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218971(P2010−218971)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(591102095)三菱スペース・ソフトウエア株式会社 (148)
【Fターム(参考)】