説明

抗ミオスタチン抗体

中和エピトープは、成熟型のヒトミオスタチンのアミノ酸40−64内で同定される。このエピトープに結合する抗体は、本発明の範囲に含まれ、マウス、キメラまたはヒト化抗体、抗体の免疫複合体、またはそれらの抗原結合断片であってもよい。本発明の抗体は、筋肉量の増加、骨密度の上昇、または哺乳動物における種々の障害の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医学の分野、特にミオスタチンに対するモノクローナル抗体の分野にある。より詳しくは、本発明は、ミオスタチンの成熟型で同定される新規のエピトープに結合する抗ミオスタチンモノクローナル抗体を中和することに関する。本発明の抗体は、マウス、キメラ、ヒト化抗体、抗体の免疫複合体またはその抗原結合断片であってもよい。本発明の抗体は、哺乳動物における、筋肉量の増加、骨密度の上昇、または、ミオスタチンの存在が望ましくない病理学的効果を生じさせもしくはその一因となる、またはミオスタチンレベルの減少が望ましい治療的効果の一因となる症状の治療に有用である。
【背景技術】
【0002】
タンパク質のトランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF−β)スーパーファミリーのメンバーは、胚発育および成体組織ホメオスタシスに関与している。TGF−βスーパーファミリーのメンバーは、タンパク質の分泌に必要な短いペプチドシグナル配列、および成熟タンパク質を生成するために、大きな前駆体タンパク質(「プロタンパク質」)のカルボキシ末端からタンパク分解性に切断される約105―140のアミノ酸であるアミノ末端断片を含む共通の構造を共有する。成熟タンパク質は、高度に保存されたシステイン残基を特徴とし、他方で、タンパク質の活性型は成熟タンパク質のジスルフィド結合二量体である(Gray,A., and Maston,A.,Science,247:1328,1990)。TGF−βスーパーファミリーのメンバーのヘテロ二量体は、同様に検出され、ホモ二量体と異なる生物学的特性を有するように見える。
【0003】
ミオスタチンは、成長分化因子−8(GDF−8)とも呼ばれ、タンパク質のTGF−βスーパーファミリーのメンバーである。ミオスタチンは、主に発達する際、成人の骨格筋において発現され、かつ骨格筋の負の調節因子として機能する。ミオスタチンは、種を超えて高度に保存され;ヒト、マウス、ラットおよびウシのミオスタチンの成熟型のアミノ酸配列は、100%同一である。本発明において同定される免疫原性エピトープは、ヒト、マウス、ラット、ニワトリ、イヌ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ウシおよびブタにおいて100%同一である。GDF−11またはBMP−11とも呼ばれる成長分化因子−11は、ミオスタチンと最も相同なタンパク質のTGF−βスーパーファミリーのメンバーである。ヒトミオスタチンおよびGDF−11は、それらの成熟鎖内でアミノ酸レベルに関して90%同一である。
【0004】
米国特許第5827733号明細書は、ヒトミオスタチンのポリヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を教示し、米国特許第6096506明細書は、GDF−8ポリペプチドと特異的に反応する抗体またはそのエピトープの特許を請求している。米国特許出願第2003/0138422号明細書は、特定のペプチドを含むGDF−8タンパク質に特異的に結合する抗体の特許を請求している。米国特許第6468535号は、抗GDF−8抗体の投与によって動物の筋肉量を増加させる方法の特許を請求している。米国特許第6368597号は、糖尿病を治療するためにGDF−8抗体を使用することを教示する。
【0005】
現在、癌、または、HIV感染、救急救命及び筋疾患を含むがそれらに限定されない他の障害から生じる、筋ジストロフィー、虚弱、救急救命筋疾患、および悪液質を含む、筋肉量および/または筋力の増加から利益を得る、障害または状況の効果的な治療は、限られている。骨格筋成長の負の調節因子としての役割のため、ミオスタチンは、かかる障害への治療行為の望ましい目標である。他のTGF−βスーパーファミリータンパク質の活性を阻害しないまたは最小限に阻害しながら、特異的にミオスタチン活性を阻害する手段に関して、大きな治療的必要性がある。他のTGF−βスーパーファミリータンパク質のレベルを対応して低下させずに、患者に存在するミオスタチンのレベルを特異的に低下させる治療的必要性もある。特に、ミオスタチンに特異的に反応し(例えば、ミオスタチンまたはその一部に特異的に結合又は認識する)、かつタンパク質のTGF−βスーパーファミリーの他のメンバー(例えばGDF−11)との反応が著しく少ない、又は反応しないモノクローナル抗体は、筋肉量を増加させ、かつ/または筋力を増加させるために特に有益な治療を提供することができる。かかるモノクローナル抗体のキメラまたはヒト化した形態は、特に治療的に有用である。ミオスタチンは、種を超えて配列および機能が高度に保存される;従って、かかる抗体は、ヒトにおけるかかる障害の治療にのみ有用であり得るだけでなく、特に実質的に、抗体のフレームワークおよび定常領域が、抗体が治療的に使用される動物種に由来する場合、例えば、家畜(例えば、イヌおよびネコ)、スポーツ(競技)動物(例えば、ウマ)および食料源動物(例えばウシ、ブタ、トリおよびヒツジ)を含む他の哺乳動物においても有用であり得る。本発明の抗ミオスタチン抗体は、骨密度を増加させることから利益を得るもの(例えば骨粗鬆症)、II型糖尿病、メタボリックシンドローム、肥満、骨関節炎、敗血症、慢性閉塞性肺障害(「COPD」)、並びに例えば腎疾患、心不全または心疾患および肝疾患のような、筋肉疲労と関連する障害を含むがそれらに限定されないミオスタチンレベルの減少から利益を得る障害または状況を治療するためにも有用であり得る。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の抗ミオスタチン抗体は、当該技術分野における他の抗ミオスタチン抗体に勝る利点を提供する。本発明は、ミオスタチンの成熟型の残基40−64(例えば、ヒトミオスタチンに関して配列番号46)でのアミノ酸からなるポリペプチドに結合でき、かつミオスタチン活性をインビトロ、インビボ、又はインサイチュで中和できる中和抗ミオスタチンモノクローナル抗体を提供する。TGF−βファミリーメンバーが高度な相同性を有するので(例えば、ミオスタチンは、GDF−11に約90%相同である)、骨格パターンの確立に重要な役割を有する(McPherron,A., et al., Nature Genetics,22:260−265,1999)GDF−11と交差反応しない又は最小限に交差反応する本発明のそれのような、抗ミオスタチン抗体は、より高い程度でGDF−11と交差反応する抗体と比較すると、治療的使用には好ましい。
【0007】
哺乳動物ソース、好ましくはヒトのミオスタチンの成熟型のアミノ酸40−64、ANYCSGECEFVFLQKYPHTHLVHQA(配列番号46)からなるポリペプチド、または配列:ANYCSGESEFVFLQKYPHTHLVHQA(配列番号43)からなるポリペプチドに特異的に結合する、または認識する抗ミオスタチンモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片が、本発明に記載されている。かかる抗体は、本明細書において、「本発明のモノクローナル抗体」または「本発明の抗体」と称される。本発明のモノクローナル抗体は、マウス、キメラ、又はヒト化抗体、かかる抗体の免疫複合体またはその抗原結合性断片であってもよい。好ましくは、本発明のモノクローナル抗体は、均質な又は実質的に均質な集団中に存在する。好ましくは、本発明のモノクローナル抗体は、アミノ酸ANYCSGECEFVFLQKYPHTHLVHQA(配列番号46)にわたるドメイン中で、ミオスタチン(プロタンパク質またはタンパク質の成熟型、単量体か二量体)に結合し、それによりミオスタチンまたはその一部に関連する少なくとも1つのインビトロ、インビボ、又はインサイチュの生物学的活性または特性に拮抗し、または中和する。
【0008】
本発明のモノクローナル抗体は、成熟型がミオスタチンの成熟型に約90%のアミノ酸相同性を有するTGF−βスーパーファミリーのメンバーであるGDF−11よりもミオスタチンに優先的に結合し、または認識する。好ましくは、前記抗体は、例えば、ELISAアッセイ、競合ELISAアッセイ、またはBIAcore(登録商標)アッセイのK値で測定されるように、それらがGDF−11に結合するよりも高い親和力または特異性でミオスタチンに結合する(例えば、実施例4を参照)。更に、本発明のモノクローナル抗体は、GDF−11結合に関するよりも、ミオスタチン結合に関して好ましいKon、KoffまたはK値を有することができる。好ましくは、本発明の抗体は、GDF−11と非交差反応であるか、又は、GDF−11と、5%、4%、3%、2%、1%またはそれ未満のレベルで交差反応する。
【0009】
ある態様において、本発明の抗ミオスタチンモノクローナル抗体は、配列番号3、4、5、6、7、8、9、10および11からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(「LCVR」)ポリペプチドを含む。別の態様において、本発明の抗ミオスタチンモノクローナル抗体は、配列番号12、13、14、15、16および17からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(「HCVR」)ポリペプチドを含む。別の態様において、本発明の抗ミオスタチンモノクローナル抗体は、アミノ酸26−37が配列番号47、48、49、50、51、52、53または54に置き換えられた配列番号12を有するHCVRポリペプチドを含む。各配列番号に関連した配列は、本明細書において表1および2、並びに図4および5に示す。
【0010】
別の態様において、本発明の抗ミオスタチンモノクローナル抗体は、(a)配列番号3、4、5、6、7、8、9、10および11からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有するLCVRポリペプチド、および(b)配列番号12、13、14、15、16および17からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有するHCVRポリペプチド、または配列番号47、48、49、50、51、52、53または54に置き換えられたアミノ酸26−37を有する配列番号12を有するHCVRポリペプチドを含む。上記のLCVRおよびHCVRポリペプチドのいかなる組合せも含む本発明の抗体が検討されるが、以下のLCVRおよびHCVRの組合せ:(i)配列番号3および12;(ii)配列番号4および13;(iii)配列番号3および14;(iv)配列番号5および12;(v)配列番号6および15;(vi)配列番号7および17;(vii)配列番号8および12;(viii)配列番号9および16;(ix)配列番号10および12;(x)配列番号11および12;(xi)配列番号3およびアミノ酸26−37が、配列番号47、48、49、50、51、52、53または54に置き換えられた配列番号12、を含む抗体が好ましい。
【0011】
別の態様において、本発明のモノクローナル抗体は、(i)配列番号3および12、(ii)配列番号4および13、(iii)配列番号3および14、(iv)配列番号5および12、(v)配列番号6および15、(vi)配列番号7および17、(vii)配列番号8および12、(viii)配列番号9および16、(ix)配列番号10および12、(x)配列番号11および12、並びに(xi)配列番号3およびアミノ酸26−37が、配列番号47、48、49、50、51、52、53または54に置き換えられた配列番号12からなる群で示される配列を有する2つのポリペプチドを含む競合抗体と、ヒトミオスタチンまたはヒトミオスタチンの一部への結合を競合できるものである。
【0012】
別の態様において、本発明の抗ミオスタチンモノクローナル抗体のLCVRは、配列番号38、23および56に示す配列を有するペプチドからなる群より選ばれる1、2または、3個のペプチドを含む(表1を参照)。好ましくは、配列番号38に示す配列を有するペプチドは、前記抗体に存在するときには、LCVR CDR1にある。好ましくは、配列番号23に示す配列を有するペプチドは、前記抗体に存在するときには、LCVR CDR2にある。好ましくは、配列番号56に示す配列を有するペプチドは、前記抗体に存在するときには、LCVR CDR3にある。
【0013】
別の態様において、本発明の抗ミオスタチンモノクローナル抗体のLCVRは、(a)配列番号18、19、20、21または22;(b)配列番号23、および(c)配列番号24、25、26、27または28に示す配列を有するペプチドからなる群より選ばれる1、2または、3個のペプチドを含む(表1を参照)。好ましくは、配列番号18、19、20、21または22に示す配列を有するペプチドは、本発明の抗体に存在するときに、LCVR CDR1にある。好ましくは、配列番号23に示す配列を有するペプチドは、本発明の抗体に存在するときに、LCVR CDR2にある。好ましくは、配列番号24、25、26、27または28に示す配列を有するペプチドは、本発明の抗体に存在するときに、LCVR CDR3にある。LCVRは、フレームワーク配列を更に含む。ヒトにおける治療的用途のヒト化抗体において、フレームワーク配列は、実質的にヒト由来であってもよい。非ヒト動物に用いられる抗体において、フレームワーク領域配列は、治療的に使用される動物のゲノムに実質的に由来してもよい。
【0014】
別の態様において、本発明の抗ミオスタチンモノクローナル抗体のHCVRは、配列番号55、41および42に示す配列を有するペプチドからなる群より選ばれる1、2または3個のペプチドを含む(表2を参照)。好ましくは、配列番号55に示される配列を有するペプチドは、前記抗体に存在するときに、HCVR CDR1にある。好ましくは、配列番号41に示される配列を有するペプチドは、前記抗体に存在するときに、HCVR CDR2にある。好ましくは、配列番号42に示される配列を有するペプチドは、前記抗体に存在するときに、HCVR CDR3にある。
【0015】
別の態様において、本発明の抗ミオスタチンモノクローナル抗体のHCVRは、(a)配列番号29、30、31、47、48、49、50、51、52、53または54;(b)配列番号32、33、34または35;および(c)配列番号36または37に示す配列を有するペプチドからなる群より選ばれる1、2または3個のペプチドを含む。好ましくは、配列番号29、30、31、47、48、49、50、51、52、53または54に示される配列を有するペプチドは、本発明の抗体に存在するときに、HCVR CDR1にある。好ましくは、配列番号32、33、34または35に示される配列を有するペプチドは、本発明の抗体に存在するときに、HCVR CDR2にある。好ましくは、配列番号36または37に示される配列を有するペプチドは、本発明の抗体に存在するときに、HCVR CDR3にある。HCVRは、フレームワーク配列を更に含む。ヒトにおける治療的用途のヒト化抗体において、フレームワーク配列は、実質的にヒト由来であってもよい。非ヒト動物に用いられる抗体において、フレームワーク配列は、治療的に使用される動物のゲノムに実質的に由来してもよい。
【0016】
本発明の態様は、配列番号38、23、56、55、41および42に示す配列を有する6個のペプチドを含む抗ミオスタチンモノクローナル抗体を提供する。好ましくは、前記抗体において、配列番号38に示す配列を有するペプチドは、LCVR CDR1に位置し、配列番号23に示す配列を有するペプチドは、LCVR CDR2に位置し、配列番号56に示す配列を有するペプチドは、LCVR CDR3に位置し、配列番号55に示す配列を有するペプチドは、HCVR CDR1に位置し、配列番号41に示す配列を有するペプチドは、HCVR CDR2に位置し、かつ配列番号42に示す配列を有するペプチドは、HCVR CDR3に位置する。
【0017】
別の態様は、配列番号(i)18;(ii)23;(iii)24;(iv)29、47、48、49、50、51、52、53または54;(v)32および(vi)36に示す配列を有する6個のペプチドを含む抗ミオスタチンモノクローナル抗体を提供する。好ましくは、前記抗体において、配列番号18に示す配列を有するペプチドは、LCVR CDR1に位置し、配列番号23に示す配列を有するペプチドは、LCVR CDR2に位置し、配列番号24に示す配列を有するペプチドは、LCVR CDR3に位置し、配列番号29、47、48、49、50、51、52、53または54に示す配列を有するペプチドは、HCVR CDR1に位置し、配列番号32に示す配列を有するペプチドは、HCVR CDR2に位置し、かつ配列番号36に示す配列を有するペプチドは、HCVR CDR3に位置する。
【0018】
別の態様は、配列番号19、23、25、30、33および37に示す配列を有する6個のペプチドを含む抗ミオスタチンモノクローナル抗体を提供する。好ましくは、前記抗体において、配列番号19に示す配列を有するペプチドは、LCVR CDR1に位置し、配列番号23に示す配列を有するペプチドは、LCVR CDR2に位置し、配列番号25に示す配列を有するペプチドは、LCVR CDR3に位置し、配列番号30に示す配列を有するペプチドは、HCVR CDR1に位置し、配列番号33に示す配列を有するペプチドは、HCVR CDR2に位置し、かつ配列番号37に示す配列を有するペプチドは、HCVR CDR3に位置する。
【0019】
別の態様は、配列番号18、23、24、31、32および36に示す配列を有する6個のペプチドを含む抗ミオスタチンモノクローナル抗体を提供する。好ましくは、前記抗体において、配列番号18に示す配列を有するペプチドは、LCVR CDR1に位置し、配列番号23に示す配列を有するペプチドは、LCVR CDR2に位置し、配列番号24に示す配列を有するペプチドは、LCVR CDR3に位置し、配列番号31に示す配列を有するペプチドは、HCVR CDR1に位置し、配列番号32に示す配列を有するペプチドは、HCVR CDR2に位置し、かつ配列番号36に示す配列を有するペプチドは、HCVR CDR3に位置する。
【0020】
別の態様は、配列番号20、23、25、29、32および36に示す配列を有する6個のペプチドを含む抗ミオスタチンモノクローナル抗体を提供する。好ましくは、前記抗体において、配列番号20に示す配列を有するペプチドは、LCVR CDR1に位置し、配列番号23に示す配列を有するペプチドは、LCVR CDR2に位置し、配列番号25に示す配列を有するペプチドは、LCVR CDR3に位置し、配列番号29に示す配列を有するペプチドは、HCVR CDR1に位置し、配列番号32に示す配列を有するペプチドは、HCVR CDR2に位置し、かつ配列番号36に示す配列を有するペプチドは、HCVR CDR3に位置する。
【0021】
別の態様は、配列番号20、23、26、30、34および36に示す配列を有する6個のペプチドを含む抗ミオスタチンモノクローナル抗体を提供する。好ましくは、前記抗体において、配列番号20に示す配列を有するペプチドは、LCVR CDR1に位置し、配列番号23に示す配列を有するペプチドは、LCVR CDR2に位置し、配列番号26に示す配列を有するペプチドは、LCVR CDR3に位置し、配列番号30に示す配列を有するペプチドは、HCVR CDR1に位置し、配列番号34に示す配列を有するペプチドは、HCVR CDR2に位置し、かつ配列番号36に示す配列を有するペプチドは、HCVR CDR3に位置する。
【0022】
別の態様は、配列番号18、23、24、29、35および36に示す配列を有する6個のペプチドを含む抗ミオスタチンモノクローナル抗体を提供する。好ましくは、前記抗体において、配列番号18に示す配列を有するペプチドは、LCVR CDR1に位置し、配列番号23に示す配列を有するペプチドは、LCVR CDR2に位置し、配列番号24に示す配列を有するペプチドは、LCVR CDR3に位置し、配列番号29に示す配列を有するペプチドは、HCVR CDR1に位置し、配列番号35に示す配列を有するペプチドは、HCVR CDR2に位置し、かつ配列番号36に示す配列を有するペプチドは、HCVR CDR3に位置する。
【0023】
別の態様は、配列番号18、23、27、29、32および36に示す配列を有する6個のペプチドを含む抗ミオスタチンモノクローナル抗体を提供する。好ましくは、前記抗体において、配列番号18に示す配列を有するペプチドは、LCVR CDR1に位置し、配列番号23に示す配列を有するペプチドは、LCVR CDR2に位置し、配列番号27に示す配列を有するペプチドは、LCVR CDR3に位置し、配列番号29に示す配列を有するペプチドは、HCVR CDR1に位置し、配列番号32に示す配列を有するペプチドは、HCVR CDR2に位置し、かつ配列番号36に示す配列を有するペプチドは、HCVR CDR3に位置する。
【0024】
別の態様は、配列番号21、23、28、29、32、36に示す配列を有する6個のペプチドを含む抗ミオスタチンモノクローナル抗体を提供する。好ましくは、前記抗体において、配列番号21に示す配列を有するペプチドは、LCVR CDR1に位置し、配列番号23に示す配列を有するペプチドは、LCVR CDR2に位置し、配列番号28に示す配列を有するペプチドは、LCVR CDR3に位置し、配列番号29に示す配列を有するペプチドは、HCVR CDR1に位置し、配列番号32を有するペプチドは、HCVR CDR2に位置し、かつ配列番号36に示す配列を有するペプチドは、HCVR CDR3に位置する。
【0025】
別の態様は、配列番号20、23、24、29、32および36に示す配列を有する6個のペプチドを含む抗ミオスタチンモノクローナル抗体を提供する。好ましくは、前記抗体において、配列番号20に示す配列を有するペプチドは、LCVR CDR1に位置し、配列番号23に示す配列を有するペプチドは、LCVR CDR2に位置し、配列番号24に示す配列を有するペプチドは、LCVR CDR3に位置し、配列番号29に示す配列を有するペプチドは、HCVR CDR1に位置し、配列番号32に示す配列を有するペプチドは、HCVR CDR2に位置し、かつ配列番号36に示す配列を有するペプチドは、HCVR CDR3に位置する。
【0026】
別の態様は、配列番号22、23、27、29、32および36に示す配列を有する6個のペプチドを含む抗ミオスタチンモノクローナル抗体を提供する。好ましくは、前記抗体において、配列番号22に示す配列を有するペプチドは、LCVR CDR1に位置し、配列番号23に示す配列を有するペプチドは、LCVR CDR2に位置し、配列番号27に示す配列を有するペプチドは、LCVR CDR3に位置し、配列番号29に示す配列を有するペプチドは、HCVR CDR1に位置し、配列番号32に示す配列を有するペプチドは、HCVR CDR2に位置し、かつ配列番号36に示す配列を有するペプチドは、HCVR CDR3に位置する。
【0027】
本発明の抗ミオスタチンモノクローナル抗体は、IgG、IgG、IgG、IgG、IgA、IgE、IgMおよびIgDからなる群より選ばれる重鎖定常領域を更に含むことができる。本発明の抗ミオスタチンモノクローナル抗体は、カッパまたはラムダ軽鎖定常領域を更に含むことができる。抗体がヒトの治療に用いられるときに、定常領域は好ましくは実質的にヒト由来である。抗体が非ヒト動物の治療に用いられるときに、定常領域は、好ましくは、実質的に、抗体が治療に用いられる動物に由来する。
【0028】
本発明の抗ミオスタチンモノクローナル抗体は、インタクトな抗体(すなわち全長)、実質的にインタクトな抗体、Fab断片、F(ab’)断片または単鎖Fv断片を含むことができ、またはそれらからなることができる。
【0029】
好ましい実施例において、本発明の抗ミオスタチンモノクローナル抗体は、キメラ抗体である。より好ましい態様において、本発明の抗ミオスタチンモノクローナル抗体は、抗体に存在するフレームワーク配列および定常領域配列が実質的にヒト由来であるヒト化抗体である。ヒト化抗体は、好ましくは全長の抗体である。あるいは、抗体に存在するフレームワーク領域、またはその一部、およびいかなる定常領域も、抗体が治療に用いられる動物、例えば、家畜(例えば、イヌおよびネコ)、スポーツ動物(例えば、ウマ)および食料源動物(例えばウシ、ブタ、トリおよびヒツジ)のゲノムに実質的に由来してよい。
【0030】
別の態様において、本発明は、本発明の抗体のLCVR、本発明の抗体のHCVRまたは本発明の抗ミオスタチンモノクローナル抗体をコードする核酸を含む単離された核酸分子を提供する。本発明のLCVRをコードする典型的なポリヌクレオチドは、配列番号44に示す配列を有する。本発明のHCVRをコードする典型的なポリヌクレオチドは、配列番号45に示す配列を有する。
【0031】
別の態様において、本発明は、ベクター、好ましくは(但し限定されないが)本発明の抗ミオスタチンモノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミド、組換え発現ベクター、酵母発現ベクターまたはレトロウイルスの発現ベクターを提供する。あるいは、本発明のベクターは、本発明のLCVRをコードするポリヌクレオチドおよび/またはHCVRをコードするポリヌクレオチドを含む。LCVRおよびHCVRコード配列が同じベクターに存在するときに、それらは、両方が操作可能な状況で連結された1つのプロモーターから転写してもよく、または、各々が操作可能な状況で連結された別個のプロモーターから独立して転写してもよい。LCVRおよびHCVRをコードする配列が同じベクターに存在し、かつ両方が使用可能な状況で連結された1つのプロモーターから転写されるならば、LCVRは、HCVRに対する5’であってもよく、またはLCVRは、HCVRに対する3’であってもよく、更にはベクターのLCVRおよびHCVRコード領域は、いかなる寸法または含量のリンカー配列によっても分離でき、好ましくは、かかるリンカーは、存在する場合、内部リボソーム侵入部位をコードするポリヌクレオチドである。
【0032】
別の態様において、本発明は、本発明の核酸分子を含む宿主細胞を提供する。好ましくは、本発明の宿主細胞は、本発明の核酸分子を含む1つ以上のベクターまたはコンストラクトを含む。本発明の宿主細胞は、本発明のベクターが(例えば、形質転換、形質導入、感染を経て)導入された細胞であり、前記ベクターは、本発明の抗体のLCVRをコードするポリヌクレオチドおよび/または本発明のHCVRをコードするポリヌクレオチドである。本発明は、本発明の2つのベクター;1つは、本発明の抗体のLCVRをコードするポリヌクレオチドを含み、1つは、本発明の抗体に存在するHCVRをコードするポリヌクレオチドを含み、かつ各々がプロモーター配列に操作可能な状況で連結されている、が導入された宿主細胞も提供する。宿主細胞型は、哺乳動物、細菌、植物および酵母細胞を含む。好ましくは、宿主細胞はCHO細胞、COS細胞、SP2/0細胞、NS0細胞、酵母細胞、またはいずれかの好ましい細胞型の誘導体または後代である。
【0033】
別の態様において、本発明は、本発明のモノクローナル抗体の発現に適し、かかる抗体が発現される条件の下、本発明の宿主細胞(すなわち、本発明のベクターによって形質転換、形質導入、または感染した宿主細胞)を維持することを含む、本発明の抗ミオスタチンモノクローナル抗体を調製する方法を提供する。方法は、本発明のモノクローナル抗体を細胞から、または、好ましくは前記細胞が成長する培地から単離するステップを更に含むことができる。
【0034】
本発明は、非ヒト動物、好ましくは齧歯類、より好ましくは、マウスに、(i)配列番号46または43に示す配列を有するペプチドからなる免疫原性ペプチド、または(ii)配列番号46または43に示す配列を有するペプチドの24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6または5個の隣接アミノ酸からなり、好ましくは残基番号46、49、50、52および62でのアミノ酸がGDF−11の対応する位置に存在するアミノ酸とは異なる免疫原性ペプチドであって、成熟ミオスタチンの前記残基番号でのアミノ酸からなる群から1、2、3、4または5個の前記隣接アミノ酸が選択されるアミノ酸残基にわたる免疫原性ペプチド(図3参照)、または(iii)任意の哺乳動物の成熟型のミオスタチンの40−64位でのアミノ酸からなる免疫原性ペプチド、または(iv)任意の哺乳動物の成熟型のミオスタチンの40−64位でのアミノ酸からなるペプチドの24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6または5個の隣接アミノ酸からなり、好ましくは1、2、3、4または5個の前記隣接アミノ酸が、同じ哺乳動物のGDF−11の対応する位置に存在するアミノ酸とは異なるアミノ酸であるアミノ酸残基にわたる前記免疫原性ペプチド、を注入することによって抗体を生成する方法を具体化する。抗ミオスタチンモノクローナル抗体は、当該技術分野において公知のいずれかの方法、好ましくはハイブリドーマ合成を使用して、免疫動物から産生する。抗ミオスタチンモノクローナル抗体は、免疫原性ペプチドを含む成熟ミオスタチンもしくはその一部、または免疫原性ペプチドに結合するために、当該技術分野において利用可能ないかなる方法(例えばファージ提示法、リボソーム提示法、酵母提示法、細菌提示法、ELISAアッセイ)によってもスクリーニングされる。任意には、抗ミオスタチンモノクローナル抗体は、成熟GDF−11またはその一部に結合するために、当該技術分野において利用可能ないかなる方法によってもスクリーニングされる。GDF−11に関して特異的または優先的にミオスタチンに結合する抗ミオスタチンモノクローナル抗体が、選択される。本発明は、この方法によって作られるモノクローナル抗体を更に具体化する。好ましくは、前記モノクローナル抗体は、当業者に公知の方法、例えばELISA、競合ELISA、またはBIAcore(登録商標)アッセイのK値によって測定されるように、GDF−11に結合するよりも少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100倍強く、より好ましくはGDF−11に結合するよりも少なくとも150、200、250、300、350、400、450、500、550または600倍強く、ミオスタチンに結合する。最も好ましくは、モノクローナル抗体は、当該技術分野において利用可能ないずれかの結合アッセイでのバックグラウンドレベルを超えて、GDF−11に結合しない。
【0035】
本発明は、非ヒト動物、好ましくは齧歯類、より好ましくは、マウスに、(i)配列番号46または43に示す配列を含む免疫原性ペプチド、または(ii)配列番号46または43に示す配列からなるペプチドの24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6または5個の隣接アミノ酸を含み、好ましくは残基番号46、49、50、52および62でのアミノ酸が、GDF−11の対応する位置に存在するアミノ酸とは異なる、成熟ミオスタチンの前記残基番号でのアミノ酸からなる群から1、2、3、4または5個の前記隣接アミノ酸が選択されるアミノ酸残基にわたる免疫原性ペプチド(図3参照)、または(iii)任意の哺乳動物の成熟型のミオスタチンの40−64位でのアミノ酸を含む免疫原性ペプチド、または(iv)任意の哺乳動物の成熟型のミオスタチンの40−64位でのアミノ酸からなるペプチドの24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6または5個の隣接アミノ酸を含み、好ましくは1、2、3、4または5個の前記隣接アミノ酸が、同じ哺乳動物のGDF−11の対応する位置に存在するアミノ酸とは異なるアミノ酸であるアミノ酸残基にわたる免疫原性ペプチド、を注入することによって抗体を生成する方法も具体化する。抗ミオスタチンモノクローナル抗体は、当該技術分野において公知のいずれかの方法、好ましくはハイブリドーマ合成を使用して、免疫動物から産生する。抗ミオスタチンモノクローナル抗体は、(i)配列番号46または43に示す配列からなる抗原ペプチド、または(ii)配列番号46または43に示す配列からなるペプチドの24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6または5個の隣接アミノ酸からなり、好ましくは残基番号46、49、50、52および62でのアミノ酸が、GDF−11の対応する位置に存在するアミノ酸とは異なる成熟ミオスタチンの前記残基番号でのアミノ酸からなる群から1、2、3、4または5個の前記隣接アミノ酸が選択されるアミノ酸残基にわたる抗原ペプチド(図3参照)、または(iii)任意の哺乳動物の成熟型のミオスタチンの40−64位でのアミノ酸からなる抗原ペプチド、または(iv)任意の哺乳動物の成熟型のミオスタチンの40−64位でのアミノ酸からなるペプチドの24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6または5個の隣接アミノ酸からなり、好ましくは1、2、3、4または5個の前記隣接アミノ酸が、同じ哺乳動物のGDF−11の対応する位置に存在するアミノ酸とは異なるアミノ酸であるアミノ酸残基にわたる免疫原性ペプチド、への結合を求めて、当該技術分野において利用可能な任意の方法(例えばファージ提示法、リボソーム提示法、酵母提示法、細菌提示法、ELISAアッセイ)によってスクリーニングされる。任意に、抗ミオスタチンモノクローナル抗体は、成熟GDF−11またはその一部への結合を求めて、当該技術分野において利用可能ないかなる方法によってもスクリーニングされる。GDF−11に関して特異的に、または優先的にミオスタチンに結合する抗ミオスタチンモノクローナル抗体が、選択される。本発明は、この方法によって作られるモノクローナル抗体を更に具体化する。好ましくは、前記モノクローナル抗体は、当業者に公知の方法、例えばELISA、競合ELISA、またはBIAcore(登録商標)アッセイのK値によって測定されるように、GDF−11に結合するよりも少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100倍強く、より好ましくはGDF−11に結合するよりも少なくとも150、200、250、300、350、400、450、500、550または600倍強く、ミオスタチンに結合する。最も好ましくは、モノクローナル抗体は、当該技術分野において利用可能ないずれかの結合アッセイでのバックグラウンドレベルを超えて、GDF−11に結合しない。
【0036】
本発明のいずれかの方法によって作られる前記抗体は、フレームワークおよび/または定常領域の少なくとも一部がモノクローナル抗体を産生させるために免疫されたものと異なる哺乳動物から生じるキメラ抗体に更に変えられてもよく、かつ本発明の範囲内になおも含まれることが検討されている。マウスCDR領域が実質的にヒトフレームワーク領域内に存在し、かつ定常領域も抗体に存在する限りにおいて実質的にヒト由来である、本発明の抗体は、ヒト化してもよい。本発明の抗体は、マウスCDR領域がフレームワーク領域内に存在するようになっていてもよく、かつ定常領域は(それが抗体に存在する限りにおいて)、抗体が治療的に使用される動物の生殖細胞系配列に由来する。
【0037】
本発明の抗体の種々の形態が、本明細書において考察される。例えば、本発明の抗ミオスタチンモノクローナル抗体は、全長の抗体(例えば、免疫グロブリン定常領域を有している)か、または抗体断片(例えば、F(ab’))であってもよい。抗体の全てのかかる形態が、本明細書において用語「抗体」に包含されると理解される。更に、抗体は、当該技術分野において公知の方法に従って、検出可能な標識によって標識付けでき、固相に固定でき、かつ/または、異種化合物(例えば酵素または毒物)と接合できる。
【0038】
本発明のモノクローナル抗体の診断用途が、考察される。ある診断応用において、本発明は、ミオスタチンタンパク質を含むことが疑われるテスト試料を本発明の抗ミオスタチン抗体に露出させることを含む、ミオスタチンタンパク質の存在を決定し、試料への抗体の特異的結合を決定する方法を提供する。本発明の抗ミオスタチン抗体は、前記抗体をミオスタチンの既知の量を有する試料に結合することによって発生するスタンド曲線(stand curve)とテスト試料の値とを比較することで、テスト試料のミオスタチンレベルを測定するために使用できる。本発明は、本発明の抗体を含むキット、および、好ましくは、例えばテスト試料中のミオスタチンタンパク質を検出する抗体を使用するための指示を更に提供する。
【0039】
別の態様において、本発明は、本発明の抗ミオスタチンモノクローナル抗体を含む医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、薬理学的に許容できる担体を更に含むことができる。前記医薬組成物において、本発明の抗ミオスタチンモノクローナル抗体は、活性成分である。好ましくは、医薬組成物は、本発明の抗ミオスタチンモノクローナル抗体の均質な又は実質的に均質な集団を含む。治療用の組成物は、無菌であり、かつ凍結乾燥できる。
【0040】
本発明は、それを必要とする哺乳動物、好ましくはヒトにおけるミオスタチン活性を阻害する方法であって、治療的有効量または予防的有効量の本発明の抗ミオスタチンモノクローナル抗体を、前記哺乳動物に投与することを含む方法を提供する。本発明は、更に、ミオスタチンをそのレセプターに結合することで生じるシグナル伝達の阻害によって改善される疾患または障害を治療または予防する方法であって、かかる治療または予防を必要とする患者(例えばヒト)に、治療的または予防的有効量の本発明のモノクローナル抗体を投与することを含む方法を提供する。本明細書で使用するように、「治療するまたは予防する」とは、異常なミオスタチンレベルと関連する、ミオスタチン活性を阻害することによって利益を与えられる、または、既存のミオスタチンレベルの変化によって利益を与えられる、疾患または障害を指す。本発明の抗体によって治療または予防される疾患または障害は、虚弱、悪液質、老化関連サルコペニア、筋肉疲労、筋疾患(ミオパシー)、筋ジストロフィー、骨粗鬆症、肥満、COPD、腎臓不全または疾患、肝不全または疾患、心不全または疾患、メタボリックシンドロームおよびII型糖尿病を含むが、それらに限定されない。本発明は、更に治療的有効量の本発明の抗ミオスタチンモノクローナル抗体を投与することによって、それを必要とする哺乳動物、好ましくはヒトにおいて筋肉量を増加させ、筋力を増加させ、かつ骨密度を増加させる方法を提供する。
【0041】
本発明は、それを必要とする哺乳動物、好ましくはヒトに、治療的有効、または予防的有効量の本発明の抗ミオスタチンモノクローナル抗体を投与することによって、前記哺乳動物において、例えば虚弱、悪液質、老化関連サルコペニア、筋肉疲労、筋疾患、筋ジストロフィー、骨粗鬆症、肥満、COPD、腎臓不全または疾患、肝不全または疾患、心不全または疾患、メタボリックシンドローム、およびII型糖尿病を治療するために、哺乳動物、好ましくはヒトに投与する薬剤製造に使用する本発明の抗ミオスタチンモノクローナル抗体を具体化する。
【0042】
本発明は、包装材料および前記包装材料内に含まれる本発明の抗体を含む製品であって、包装材料は、抗体がミオスタチン活性を特異的に中和しまたはミオスタチンレベルを減少させることを示す添付文書を含む製品を具体化する。任意に、添付文書は、更に、抗体が、GDF−11への結合に関してミオスタチンに優先的に結合することによって、GDF−11活性に関してミオスタチン活性を優先的に中和するか、またはGDF−11レベルの低下に関してミオスタチンレベルを優先的に低下させることを示す。
【0043】
表1 CDR配列−軽鎖可変領域(LCVR)
【表1】

29は疎水性アミノ酸であり、X30はS、T、H、Y、又はNである。
**91はY、S、N、又はTであり、X92はR、K、Y、S、又はTである。
【0044】
表2 CDR配列−重鎖可変領域(HCVR)
【表2】

【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
本発明は、哺乳動物ミオスタチンまたはその一部に特異的に結合する、モノクローナル抗体またはその機能的断片(例えば抗原結合断片)に関する。本発明のモノクローナル抗体が結合する抗原エピトープは、成熟ミオスタチンの残基40−64に局在化する。一態様において、本発明のモノクローナル抗体は、ミオスタチンへのリガンド(例えばミオスタチンレセプター)の結合を遮断するか、またはミオスタチンの生物学的活性を阻害する。
【0046】
本発明の抗体は、少なくとも1×10−7M、好ましくは少なくとも9×10−8Mまたは7×10−8M、より好ましくは少なくとも約5×10−8Mの親和力によって、成熟ミオスタチンまたはその一部に特異的に結合する。好ましくは本発明の抗体は、当該技術分野において公知のいずれかの標準的結合アッセイのバックグラウンドレベルを超えてGDF−11に結合しない。一態様において、本発明の抗体は、150μg/ml未満で、好ましくは100μg/ml未満で、より好ましくは90、80、70、60または50μg/ml未満で、更により好ましくは約20μg/ml未満で、なおより好ましくは約2または0.2または0.02μg/ml未満で、インビトロまたはインビボでのミオスタチンの生物学的活性の阻害を示す。用語「成熟ミオスタチン」は、本明細書で使用されるとき、ミオスタチンのプロタンパク質形態のタンパク分解切断後に生じるタンパク質の単量体または二量体形態、好ましくはホモ二量体を指し得る。
【0047】
自然に存在するような全長の抗体は、ジスルフィド結合によって相互接続される4つのペプチド鎖、2つの重(H)鎖(全長のときに約50−70kDa)および2つの軽(L)鎖(全長のときに約25kDa)からなる免疫グロブリン分子である。各鎖のアミノ末端部分は、主に抗原認識を担う約100−110以上のアミノ酸の可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能を主に担う定常領域を規定する。
【0048】
軽鎖は、カッパまたはラムダに分類され、特定の定常領域を特徴とする。重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタまたはエプシロンに分類され、抗体のアイソタイプをそれぞれIgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEと規定する。各重鎖タイプは、特定の定常領域を特徴とする。
【0049】
各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書で「HCVR」)および重鎖定常領域からなる。重鎖定常領域は、IgG、IgDおよびIgAのための3つのドメイン(CH1、CH2およびCH3)からなり;IgMおよびIgEのための4つのドメイン(CH1、CH2、CH3およびCH4)からなる。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書で「LCVR」)および軽鎖定常領域からなる。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLからなる。HCVRおよびLCVR領域は、相補性決定領域(CDR)と称される超可変性の領域に更に再分割でき、かつフレームワーク領域(FR)と称されるより保存された領域で離隔できる。各HCVRおよびLCVRは、3つのCDRおよび4つのFRからなり、次の順:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4、でアミノ末端からカルボキシ末端に配置される。各ドメインへのアミノ酸の割当ては、周知の慣例に従う[例えば、Kabat,”Sequences of Proteins of Immunological Interest”,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)またはAl−Lazikani et al.,J.Mol.Biol.273:927−948,1997に記載されたChothiaナンバリング方式、インターネットサイトhttp:www.rubic.rdg.ac.uk/〜andrew/bioinf.org/absも参照]。特定の抗原に結合する抗体の機能的能力は、6つのCDRによって集合的に決定される。抗原特異的な3つのCDRのみを含む単一の可変ドメインさえも、完全なFabより低い親和力であるが、抗原を認識して、結合する能力を有し得る。
【0050】
本明細書で用いられるような、本発明の抗ミオスタチンモノクローナル抗体に関する用語「抗体」(または単に、「本発明のモノクローナル抗体」)は、モノクローナル抗体を指す。本明細書で用いられる「モノクローナル抗体」は、齧歯類、好ましくはマウス抗体、キメラ抗体、霊長類化(primatized)抗体、またはヒト化抗体を指す。本発明のモノクローナル抗体は、当該技術分野において容易に公知の例えば当該技術分野において公知のハイブリドーマ技術、並びに組換え技術、ファージ提示技術、合成技術、またはかかる技術の組合せを使用して生成できる。本明細書で用いられる用語「モノクローナル抗体」は、ハイブリドーマ技術によって生成される抗体に限定されない。「モノクローナル抗体」は、例えばいかなる真核生物、原核生物またはファージクローンを含む単一のコピーまたはクローンに由来する抗体を指すが、それが生成される方法を指すものではない。「モノクローナル抗体」は、インタクトな抗体(完全または全長)、実質的にインタクトな抗体、または抗原結合部分、例えばマウス抗体、またはキメラ抗体またはヒト化抗体のFab断片、Fab’断片、F(ab’)断片を含む抗体の一部もしくは断片であってもよい。
【0051】
本明細書で使用される、「抗原結合部分」または「抗原結合領域」または「抗原結合ドメイン」は、抗原と相互作用し、かつ抗原に対する親和力およびその特異性を抗体に与えるアミノ酸残基を含む抗体分子の一部を同義的に指す。この抗体部分は、抗原結合残基の適当な配座を維持するために必要な「フレームワーク」アミノ酸残基を含む。好ましくは、本発明の抗体の抗原結合領域のCDRは、マウス由来である。別の態様において、抗原結合領域は、ウサギ、ラットまたはハムスターを含むが、それらに限定されない他の非ヒト種から誘導できる。
【0052】
更に、本明細書で使用される「モノクローナル抗体」は、リンカー配列によってLCVRおよびHCVRをコードするDNAを接合することによって生成できる単鎖Fv断片であり得る(Pluckthun,The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer−Verlag,New York,pp269−315,1994を参照)。断片が特定されるか否かに拘わらず、本明細書で使用される用語「抗体」は、かかる断片および単鎖形態を含むものと理解される。タンパク質は、その意図する標的(すなわちエピトープまたは抗原)に特異的または優先的に結合する能力を保持する限りにおいて、用語「抗体」に含まれる。抗体は、グリコシル化されても、されなくてもよく、なおも本発明の範囲に含まれる。
【0053】
「モノクローナル抗体」の集団は、均質又は実質的に均質な(または純粋な)抗体集団を指す(すなわち、集団内の少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、より好ましくは少なくとも約97%または98%または最も好ましくは少なくとも99%の抗体が、同一であり、かつ同じ抗原またはエピトープのためのELISAアッセイにおいて競合する。
【0054】
本明細書で使用される用語「特異的に結合する」または「優先的に結合する」は、特異的結合対の一方が、その特異的結合パートナー以外の分子とは有意に結合しない状況を指す。この用語は、例えば本発明の抗体の抗原結合ドメインが、多数の抗原によって担持される特定のエピトープに特異的である場合にも適用でき、その場合、抗原結合ドメインを担持する特異的抗体は、エピトープを担持する種々の抗原に結合できる。従って、本発明のモノクローナル抗体は、ミオスタチンに特異的に結合しかつ/または優先的に結合し、他方でGDF−11に特異的に結合または優先的に結合しない。
【0055】
一態様において、本発明のモノクローナル抗体は、ELISAアッセイ、競合ELISAアッセイ、またはBIAcore(登録商標)アッセイにおいて測定されるようなK値といった、当該技術分野における標準技術で測定されるような、(例えばGDF11といった)非ミオスタチンタンパク質またはペプチド、または配列番号46または43に示される配列の17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6または5個の隣接アミノ酸を含まないタンパク質と約20%未満の交差反応性(より好ましくは、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1パーセントの交差反応性)を有する。好ましくは、本発明の抗体は、例えば競合ELISA、またはBIAcore(登録商標)アッセイによって測定されるように、GDF−11に結合するよりも少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100倍強く、より好ましくはGDF−11に結合するよりも少なくとも150、200、250、300、350、400、450、500、550または600倍強く、ミオスタチンに結合する。非常に好ましくは、本発明の抗体は、当該技術分野において利用可能な任意の結合アッセイでのバックグラウンドレベルより強いレベルではGDF−11に結合しない。本発明のモノクローナル抗体は、単量体または二量体形態のミオスタチンまたはその一部に結合し得る。
【0056】
語句「生物学的特性」もしくは「生物学的特徴」、または用語「活性」もしくは「生物活性」は、本明細書において本発明の抗体に関して同義的に使用され、かつエピトープ/抗原親和力および特異性(例えば、配列番号46または43に示す配列からなるミオスタチンまたはペプチドに結合する抗ミオスタチンモノクローナル抗体)、インビボ、インビトロ、またはインサイチュでミオスタチンの活性に拮抗する能力、抗体のインビボ安定性および抗体の免疫原性特性を含むが、それらに限定されない。当該技術分野において認められた抗体の他の同定可能な生物学的特性または特徴は、例えば、(すなわち、目標とされたペプチドの非ヒト相同体と、または、一般的に他のタンパク質または組織との)交差反応性および哺乳動物細胞のタンパク質の高い発現レベルを保存する能力を含む。上述した特性または特徴は、ELISA、ELISA、競合ELISA、またはBIAcore(登録商標)表面プラスモン共鳴分析、無制限(without limit)インビトロおよびインビボ中性アッセイ、レセプター結合、サイトカインまたは成長因子生成および/または分泌、ツメガエル属動物キャップ発育、シグナル伝達およびヒト、霊長類、または必要に応じて他のいかなるソースを含む様々なソースからの組織切片による免疫組織化学を含むが、それらに限定されない当該技術分野において認められた技術を使用して、観察、測定または評価できる。
【0057】
本発明の抗体の活性に関して本明細書で使用される用語「阻害する」または「中和する」は、生物学的活性または特性、疾患、または状況を含むが、それらに限定されない、阻害される進行または重症度等に、実質的に拮抗し、禁じ、予防し、抑制し、減速し、中断させ、除去し、停止し、または逆行させる能力を意味する。
【0058】
用語「単離される」は、核酸またはタンパク質(例えば抗体)に関連して使用されるとき、その自然ソースにおいてそれが通常関連する少なくとも1つの汚染物質から同定および分離される核酸配列またはタンパク質を指す。好ましくは、「単離された抗体」は、様々な抗原特性を有する他の抗体を実質的に有しない抗体である(例えば、本発明の医薬組成物は、ミオスタチンに特異的に結合し、かつミオスタチン以外の抗原に特異的に結合する抗体が実質的にない単離された抗体を含む)。
【0059】
用語「Kabatナンバリング」および「Kabatラベリング」は、本明細書において同義的に使用される。当該技術分野において認められるこれらの用語は、抗体の重鎖および軽鎖可変領域の他のアミノ酸残基よりも可変的である(すなわち、超可変的な)アミノ酸残基に番号を付けるシステムを指す(Kabat,et al.,Ann.NY Acad.Sci.190:382−93(1971);Kabat,et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91−3242 (1991))。
【0060】
ポリヌクレオチドは、他のポリヌクレオチドとの機能的な関係に置かれるときに、「操作可能に連結される」。例えば、プロモーターまたはエンハンサーは、それが配列の転写に影響を及ぼす場合、コード配列に操作可能に連結される。
【0061】
本明細書において同義的に使用される用語「個人」「被検者」および「患者」は、マウス、サル、ヒト、哺乳動物の家畜、哺乳動物のスポーツ動物および哺乳動物のペットを含むが、それらに限定されない哺乳動物を指す;好ましくは、用語は、ヒトを指す。
【0062】
用語「ベクター」は、プラスミドおよびウィルスベクターを含むが、それらに限定されず、連結される他の核酸を輸送できる核酸分子を含む。ある種のベクターは、それらが導入される宿主細胞内で自律増殖が可能であり、他方で他のベクターは、宿主細胞に導入されると、宿主細胞のゲノムに組み込まれることができ、それにより宿主ゲノムと一緒に複製される。更に、ある種のベクターは、操作可能に連結される遺伝子の発現を方向付けることが可能である。かかるベクターは本明細書において、「組換え発現ベクター」(または単に「発現ベクター」)と称され、かつ典型的なベクターは当該技術分野において周知である。
【0063】
用語「宿主細胞」は、本発明のいずれかの単離ポリヌクレオチドのレシピエントである個別の細胞もしくは細胞培養、または、本発明のHCVR、LCVRもしくはモノクローナル抗体を含むいずれかの組換えベクターを含む。宿主細胞は、単一の宿主細胞の後代を含み、後代は、自然、偶発的、または計画的な突然変異および/または変化により、元の親細胞とは必ずしも完全に(形態学的に、または、全体のDNA補体で)同一でなくてもよい。宿主細胞は、本発明のモノクローナル抗体またはその軽鎖もしくは重鎖を発現する組換えベクターまたはポリヌクレオチドによってインビボ、インサイチュ、またはインビトロで形質転換、形質導入、または感染した細胞を含む。(宿主染色体に安定して組み込まれるか、組み込まれない)本発明の組換えベクターを含む宿主細胞は、「組換え宿主細胞」とも呼ばれ得る。本発明で使用される好ましい宿主細胞は、CHO細胞(例えばATCC CRL−9096)、NS0細胞、SP2/0細胞およびCOS細胞(ATCC、例えばCRL−1650、CRL−1651)、HeLa(ATCC CCL−2)である。本発明に用いられる追加の宿主細胞は、植物細胞、酵母細胞、他の哺乳動物細胞および原核細胞を含む。
【0064】
本発明はミオスタチンに結合する、単離モノクローナル抗体に関する。具体的には、本発明の抗体は、アミノ酸40−64にわたる成熟型のミオスタチンの領域に結合する。更に、本発明の抗体は、インビボ、インビトロ、またはインサイチュで、ミオスタチン生物学的活性を中和する。(その抗原結合部分および同様の特異性を有するヒト化モノクローナル抗体を含む)ミオスタチンへの本発明の抗ミオスタチンモノクローナル抗体の特異的結合は、前記抗体が、ミオスタチン関連疾患および障害、すなわちミオスタチンレベルを低下させること、またはミオスタチン生物学的活性を阻害することから利益を得る疾患または障害の治療または予防法として使用されることを可能にする。
【0065】
本発明の抗体が結合するエピトープ(「本発明のミオスタチンエピトープ」)は、任意の哺乳動物種、好ましくはヒトの成熟ミオスタチンのアミノ酸40および64にわたるペプチド内に局在化する。前記エピトープに結合する抗体は、GDF−11へのその結合と比較したとき、ミオスタチンに特異的または優先的に結合する。
【0066】
用語「エピトープ」は、1つ以上の抗体の抗原結合領域で、抗体によって認識され、結合されることが可能な分子の一部を指す。エピトープは、多くの場合アミノ酸または糖側鎖のような分子をグループ化する化学的に活性な表面からなり、特異的な三次元構造特徴および特異的な荷電特徴を有する。「エピトープを阻害する」および/または「エピトープを中和する」ことによって、インタクトな分子(この場合、ミオスタチン)に関しかつ抗体に結合されるとき、分子、または分子をインビボ、インビトロまたはインサイチュで含む組織の生物学的活性を損失または減少させるエピトープが意図される。
【0067】
本明細書で使用される用語「エピトープ」は、動物、好ましくは哺乳動物、例えば、マウスまたはヒトにおいて抗原性および/または免疫原性活性を有するポリペプチドの一部を指す。本明細書で使用される用語「抗原エピトープ」は、当該技術分野において周知の方法、例えば従来のイムノアッセイによって決定されるように、抗体が特異的に結合できるポリペプチドの一部と定義される。抗原エピトープは、必ずしも免疫原性である必要があるわけではないが、免疫原性でもあってもよい。本明細書で使用される、「免疫原性エピトープ」は、当該技術分野において公知のいずれかの方法によって決定されるように、動物において抗体応答を誘発するポリペプチドの一部として定義される(例えばGeysen et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3998−4002(1983)参照)。本発明のヒトミオスタチン抗原エピトープは、配列番号43および46に示すアミノ酸配列を有する。任意の哺乳動物種のための本発明のミオスタチン抗原エピトープは、成熟型のミオスタチンのアミノ酸40−64からなるペプチド内に存在する。
【0068】
本発明の抗ミオスタチンモノクローナル抗体は、成熟ミオスタチンのアミノ酸40から64への局在化が発見される抗原エピトープに結合する。本発明のミオスタチン免疫原性および/または抗原エピトープは、配列番号46または43に示す配列からなるか、または配列番号46または43に示す配列からなるペプチドの24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6または5個の隣接アミノ酸からなり、好ましくは免疫原性エピトープは、1、2、3、4または5個の前記隣接アミノ酸が、成熟ミオスタチンの残基番号46、49、50、52および62でのアミノ酸からなる群より選ばれる、すなわち、前記残基番号でのアミノ酸が、GDF−11の対応する位置に存在するアミノ酸とは異なるアミノ酸残基にわたる(図3参照)。更に、本発明のミオスタチン免疫原性エピトープは、任意の哺乳動物の成熟型のミオスタチンの40−64位内にあるか、または任意の哺乳動物の成熟型のミオスタチンの40−64位のアミノ酸からなるペプチドの24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6または5個の隣接アミノ酸からなり、好ましくは前記免疫原性エピトープは、1、2、3、4または5個の前記隣接アミノ酸が、同じ哺乳動物のGDF−11の対応する位置に存在するアミノ酸とは異なるアミノ酸であるアミノ酸残基にわたる。本発明の免疫原性エピトープは、抗原エピトープであることも予期される。抗原エピトープは、成熟ミオスタチンのアミノ酸40−64の外側に追加のミオスタチン残基を有してもよいが、本発明のモノクローナル抗体は、ミオスタチンに特異的に結合するこれらの追加の残基を必要としない。更に、アミノ酸40−64の外側の追加のミオスタチン残基(すなわち抗原エピトープ)は、抗原ドメインの配座構造に影響を及ぼし、それにより抗原エピトープへの本発明の抗体の結合を変化し得る。本発明のモノクローナル抗体は、GDF−11に結合するよりも少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100倍強く(例えば高い親和力または高い特異性);より好ましくは、ELISAアッセイ、競合ELISAアッセイ、またはBIAcore(登録商標)アッセイのK値によって測定されるように、GDF−11に結合するよりも少なくとも150、200、250、300、350、400、450、500、550または600倍強くミオスタチンに結合する。
【0069】
本明細書に記載されるような、成熟ミオスタチンまたは抗原エピトープからなるいずれかのペプチドのアミノ酸40−64(を含む)にわたるドメインは、本発明のモノクローナル抗体を産生するために、好ましくは担体タンパク質、例えばKLHに結合されて、免疫原性ペプチドとして使用できる。免疫原性ペプチドは、非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはマウスを免疫化するために使用できる。次に、抗ミオスタチン抗体が、免疫化動物から単離されかつミオスタチンのアミノ酸40−64に特異的に結合するこれらの抗体を単離するために、当該技術分野において周知の方法によってスクリーニングされる。
【0070】
一般的にハイブリドーマは、適切な不死細胞系(例えばSP2/0のような骨髄腫細胞系)を、免疫化動物の細胞を生成する抗体と融合させることによって生成できる。抗体生成細胞、好ましくは脾臓またはリンパ節の抗体生成細胞は、興味の対象となる抗原によって免疫化された動物から得られる。融合細胞(ハイブリドーマ)は、選択的な培養条件を使用して単離でき、限定希釈によってクローン化できる。所望の結合特性によって抗体を生成する細胞は、適切なアッセイによって選択できる。かかる単離およびスクリーニング方法は、当該技術分野において周知である。ファージ提示法(Matthews DJ and Wells JA.Science.260:1113−7,1993)、リボソーム提示法(Hanes,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)95:14130−5,1998)、細菌提示法(Samuelson P.,et al.,Journal of Biotechnology.96:129−54,2002)、または酵母提示法(Kieke MC,et al.,Protein Engineering,10:1303−10,1997)のような濃縮技術を使用しての、ライブラリからの抗体断片の選択は、古典的なハイブリドーマ技術の成功的な代替案であることが証明された(最近の概説:Little M.et al.,Immunology Today,21:364−70, 2000)。本発明の抗体は、当該技術分野において周知の方法を使用して、キメラまたはヒト化形態に変えることができる。
【0071】
ヒトまたは人工抗体を含む成熟ミオスタチンのアミノ酸40−64に結合する抗体を生成または単離する他の適切な方法は、使用可能であり、例えばライブラリから組換え抗体(例えば単鎖FvまたはFab)を選択する、またはヒト抗体のレパートリーを生成できる形質転換動物(例えばマウス)の免疫化に依存した方法を含む(例えばJakobovits et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:2551−2555,1993;Jakobovits et al.,Nature,362:255−258,1993;Lonberg et al.,米国特許第5545806号明細書 ; Surani et al.,米国特許第5545807号明細書を参照)。
【0072】
様々な種に由来する部分を含む、単鎖抗体、及びキメラ、ヒト化または霊長類化(CDR移植された)抗体、並びにキメラまたはCDR移植された単鎖抗体等は、本発明および用語「抗体」に包含される。これらの抗体の種々の部分は、従来の技術によって化学的、合成的に接合できるか、または遺伝子工学技術を使用して隣接タンパク質として調製できる。例えば、キメラまたはヒト化鎖をコードする核酸は、隣接タンパク質を生成するように発現できる。例えば、米国特許第4816567号明細書;欧州特許第0125023号明細書;米国特許第4816397号明細書;欧州特許第0120694号明細書;国際公開第86/01533号パンフレット;欧州特許第0194276号明細書;米国特許第5225539号明細書;欧州特許第0239400号明細書;並びに米国特許第5585089及び5698762号明細書を参照。霊長類化抗体に関して、Newman,R.et al.BioTechnology,10:1455−1460,1993,及びLadner et al.,米国特許第4946778号明細書及びBird,R.E.et al.Science,242:423−426,1988も参照されたい。
【0073】
更に、キメラ、ヒト化、霊長類化または単鎖抗体の断片を含む、抗体の機能的断片も、生成できる。前述の抗体の機能的断片は、それらが由来する全長抗体の少なくとも1つの結合機能および/または生物学的機能を保持する。好ましい機能的断片は、対応する全長抗体の抗原結合機能(例えば、哺乳動物の成熟型ミオスタチンに結合する能力)を保持する。特に好ましい機能的断片は、結合活性、シグナル伝達活性および/または細胞応答の刺激のような、哺乳動物成熟ミオスタチンの1つ以上の機能または生物活性特性を阻害する能力を保持する。例えば、態様において、機能的断片は、1つ以上のそのリガンドとの成熟ミオスタチンの相互作用を阻害でき、かつ/または1つ以上のレセプター媒介機能を阻害できる。
【0074】
哺乳動物成熟ミオスタチンまたはその一部に結合できる抗体断片は、Fv、Fab、Fab’、及びF(ab’)断片を含むが、それらに限定されず、本発明によって包含される。かかる断片は、酵素の切断または組換え技術によって生成できる。例えば、パパインまたはペプシン切断は、それぞれFabまたはF(ab’)断片を産生できる。抗体は同様に、1つ以上の停止コドンが自然の停止部位の上流で導入された抗体遺伝子を使用して、種々の切断形態で生成できる。例えば、F(ab’)重鎖部分をコードするキメラ遺伝子は、CHドメインをコードするDNA配列および重鎖のヒンジ領域を含むように設計できる。
【0075】
好ましい態様において、本発明は、成熟ミオスタチンまたはその一部を、(例えば固相BIAcore(登録商標)表面プラスモン共鳴アッセイによって測定される)少なくとも約1×10−7M、好ましくは少なくとも約9×10−8Mまたは7×10−8M、より好ましくは少なくとも約5×10−8Mの親和力で、好ましくは結合しかつ成熟ミオスタチンの生物学的活性に拮抗する能力を有する、記載された方法から生じる抗ミオスタチンモノクローナル抗体を提供する。
【0076】
本発明の好ましいモノクローナル抗体は、配列番号3、4、5、6、7、8、9、10および11からなる群より選ばれる配列を有するペプチドを含むLCVRおよび/または配列番号12、13、14、15、16、17、およびアミノ酸26−37が配列番号47、48、49、50、51、52、53または54のアミノ酸に置き換えられた配列番号12からなる群より選ばれる配列を有するペプチドを含むHCVRを有する(Fab内の位置及び配列に関して本明細書の表1および2;並びに図4および5参照)。更に、本発明のモノクローナル抗体は、(i)配列番号3および12;(ii)配列番号4および13;(iii)配列番号3および14;(iv)配列番号5および12;(v)配列番号6および15;(vi)配列番号7および17;(vii)配列番号8および12;(viii)配列番号9および16;(ix)配列番号10および12;(x)配列番号11および12;(xi)配列番号3およびアミノ酸26−37が、配列番号47、48、49、50、51、52、53または54のアミノ酸に置き換えられた配列番号12からなる群において示す配列を有する2つのポリペプチドを含むモノクローナル抗体によって、成熟ヒトミオスタチン(またはその一部)に結合することが競合的に阻害されるものである。
【0077】
別の態様において、本発明の抗ミオスタチンモノクローナル抗体のLCVRは、配列番号38、23および56に示す配列を有するペプチドからなる群より選ばれる1、2または3個のペプチドを含む(表1参照)。本発明の抗ミオスタチンモノクローナル抗体のHCVRは、配列番号55、41および42に示す配列を有するペプチドからなる群より選ばれる1、2または3個のペプチドを含む(表2参照)。
【0078】
好ましい態様において、本発明の抗ミオスタチンモノクローナル抗体は、キメラ抗体またはヒト化抗体である。あるいは、抗体に存在するフレームワークおよびいずれかの定常領域は、抗体が、治療に使用される動物のゲノムから実質的に生じてもよい。好ましい抗体は、全長抗体である。
【0079】
本発明は、本発明の抗ミオスタチンモノクローナル抗体またはその一部を発現する細胞系にも向けられる。本発明のモノクローナル抗体を生成する細胞系の作成及び単離は、当該技術分野において公知の標準的技術を使用して達成できる。好ましい細胞系には、COS、CHO、SP2/0、NS0および酵母を含む(ATCC,American Type Culture Collection,Manassas,VAのような公的保管庫から入手できる)。
【0080】
原核(細菌)および真核発現系(例えば酵母、バキュロウイルス、植物、哺乳動物および他の動物細胞、形質転換動物およびハイブリドーマ細胞)並びにファージ提示発現系を含む多種多様な宿主発現系が、本発明の抗体を発現するために使用できる。適切な細菌発現ベクターの例は、pUC119であり、適切な真核発現ベクターは、弱められたDHFR選択系を有する修飾pcDNA3.1ベクターである。他の抗体発現系も、当該技術分野において公知であり、本明細書で検討される。
【0081】
本発明の抗体は、宿主細胞における免疫グロブリン軽鎖および重鎖遺伝子の組換え発現によって調製できる。抗体を組み換えて発現するために、宿主細胞は、抗体の免疫グロブリン軽鎖および/または重鎖をコードするDNA断片を軽鎖および/または重鎖が宿主細胞内で発現されるように担持する1つ以上の組換え発現ベクターによって、形質転換され、形質導入され、感染等がなされる。重鎖および軽鎖は、それらが1つのベクター内で操作可能に連結された異なるプロモーターから独立して発現されてもよく、あるいは重鎖および軽鎖は、1つが重鎖を発現し、1つが軽鎖を発現する2つのベクター内で操作可能に連結された異なるプロモーターから独立して発現されてもよい。任意に、重鎖および軽鎖は、異なる宿主細胞内で発現されてもよい。好ましくは、組換え抗体は、宿主細胞が培養されている培地に分泌され、そこから抗体が回収または精製できる。標準的組換えDNA方法論は、抗体重鎖および軽鎖遺伝子を得るために使用され、これらの遺伝子を組換え発現ベクターに組み込み、かつベクターを宿主細胞に導入する。かかる標準的組換えDNA技術は、例えばSambrook,Fritsch,and Maniatis(Eds.),Molecular Cloning;A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989;Ausubel,et al(Eds.)Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Associates,1989に記載されている。
【0082】
HCVR領域をコードする単離したDNAは、重鎖定常領域(CH1、CH2、CH3)をコードする他のDNA分子にHCVRコードDNAを操作可能に連結することによって、全長重鎖遺伝子に転換できる。ヒト重鎖定常領域遺伝子の配列は、当該技術分野において公知である。例えばKabat,et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No. 91−3242 (1991)を参照されたい。これらの領域を包含するDNA断片は、例えば標準的PCR増幅によって得られる。重鎖定常領域は、いかなるタイプ(例えば、IgG、IgA、IgE、IgMまたはIgD)、クラス(例えば、IgG、IgG、IgGおよびIgG)またはサブクラス定常領域のもの、およびKabat(前掲)に記載されたようにそのアロタイプ変異体であってもよい。あるいは、抗原結合部分は、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)断片、Fd、または単鎖Fv断片(scFv)であってもよい。Fab断片重鎖遺伝子に関して、HCVRコードDNAは、重鎖CH1定常領域のみをコードする他のDNA分子に操作可能に連結できる。
【0083】
LCVR領域をコードする単離したDNAは、軽鎖定常領域、CLをコードする他のDNA分子にLCVRコードDNAを操作可能に連結することによって、全長軽鎖遺伝子(並びにFab軽鎖遺伝子)に転換できる。ヒト軽鎖定常領域遺伝子の配列は、当該技術分野において公知である。例えばKabat前掲を参照されたい。これらの領域を包含するDNA断片は、標準的PCR増幅によって得られる。軽鎖定常領域は、カッパまたはラムダ定常領域であってもよい。
【0084】
scFv遺伝子を作成するために、HCVRおよびLCVR配列が隣接単鎖タンパク質として発現でき、HCVRおよびLCVR領域が可撓性リンカーによって接合されるように、HCVRおよびLCVRコードDNA断片は、可撓性リンカーをコードする、例えばアミノ酸配列(Gly−Ser)をコードする他の断片に操作可能に連結される。たとえば、Bird,et al.,Science 242:423−6,1988;Huston,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−83,1988;McCafferty,et al.,Nature 348:552−4,1990を参照されたい。
【0085】
本発明の抗体を発現させるために、上記のようにして得られる、部分または全長の軽鎖および/または重鎖をコードするDNAは、遺伝子が転写および翻訳制御配列に操作可能に連結されるように、発現ベクターに挿入される。発現ベクターおよび発現制御配列は、使用される発現宿主細胞と適合するように選択される。抗体軽鎖遺伝子および抗体重鎖遺伝子は別個のベクターに挿入でき、または更に典型的には、両方の細胞が同じ発現ベクターに挿入される。抗体遺伝子は、標準的方法によって発現ベクターに挿入される。更に、組換え発現ベクターは、宿主細胞からの抗ミオスタチンモノクローナル抗体の軽鎖および/または重鎖の分泌を容易にするシグナルペプチドをコードできる。抗ミオスタチンモノクローナル抗体軽鎖および/または重鎖遺伝子は、シグナルペプチドが、抗体鎖遺伝子のアミノ末端にフレーム単位で操作可能に連結されるようにベクターにクローン化できる。シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチドまたは異種シグナルペプチドであってもよい。
【0086】
抗体重鎖および/または軽鎖遺伝子に加えて、本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞内で抗体鎖遺伝子の発現を制御する調節配列を担持する。用語「調節配列」は、抗体鎖遺伝子の転写または翻訳を制御する、プロモーター、エンハンサーおよび他の発現制御要素(例えばポリアデニル化シグナル)を必要に応じて含むことが意図される。調節配列の選択を含む、発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質発現レベルのような因子に依存してもよい。哺乳動物宿主細胞発現のための好ましい調節配列には、サイトメガロウイルス(CMV)、シミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス(例えばアデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP))およびポリオーマウイルスに由来するプロモーターおよび/またはエンハンサーのような、高レベルのタンパク質発現を哺乳動物細胞に向けるウイルス要素を含む。
【0087】
抗体重鎖および/または軽鎖遺伝子および調節配列に加えて、本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞内でベクターの複製を調節する配列(例えば複製開始点)のような追加の配列、および1つ以上の選択可能なマーカー遺伝子を担持できる。選択可能なマーカー遺伝子は、ベクターが導入される宿主細胞の選択を容易にする。例えば、概して選択可能なマーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞に、G418、ハイグロマイシンまたはメトトレキサートのような薬剤に対する耐性を与える。好ましい選択可能なマーカー遺伝子は、(メトトレキサート選択/増幅を有するDHFR−マイナス宿主細胞において使用する)ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子、(G418選択用の)ネオ遺伝子(neo gene)、および選択/増幅用の(NS0のような)GS陰性細胞系内のグルタミン合成酵素(GS)を含む。
【0088】
軽鎖および/または重鎖の発現のために、重鎖および/または軽鎖をコードする発現ベクターは、標準的技術(例えばエレクトロポーレーション、リン酸カルシウム沈殿、DEAE−デキストラントランスフェクション、形質導入、感染等)によって、宿主細胞に導入される。原核または真核の宿主細胞で本発明の抗体を発現することは理論的に可能であるが、好ましくは真核細胞、かつ最も好ましくは哺乳動物宿主細胞が好ましく、それは、これらの細胞が、適切に折り畳まれて免疫学的に活性な抗体を集め、分泌する可能性が高いからである。本発明の組換え抗体を発現する好ましい哺乳動物宿主細胞は、(例えばKaufman and Sharp,J.Mol.Biol.159:601−21,1982に記載されたような、DHFR選択可能マーカーによって使用されるUrlaub and Chasin,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216−20,1980に記載されたDHFR−CHO細胞を含む)チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)、NS0骨髄腫細胞、COS細胞およびSP2/0細胞を含む。抗体遺伝子をコードする組換え発現ベクターが哺乳動物宿主細胞に導入されるとき、抗体は、宿主細胞内での抗体の発現、またはより好ましくは、宿主細胞が成長する培地に抗体の分泌を可能にするために十分な時間、宿主細胞を培養することによって生成される。抗体は、標準的精製方法を使用して宿主細胞および/または培地から回収できる。
【0089】
宿主細胞は、それ自体従来のものである技術によって、インタクトな抗体の一部または断片、例えばFab断片またはscFv分子を生成するためにも使用できる。上記手順の変形は、本発明の範囲内であることが理解される。例えば、本発明の抗体の軽鎖または重鎖をコードするDNAによって宿主細胞をトランスフェクトすることが望ましくなり得る。組換えDNA技術も、ミオスタチンに結合するために必要ではない軽鎖および重鎖の一方または両方をコードする、幾つかまたは全部のDNAを除去するために使用できる。かかる切断DNA分子から発現される分子も、本発明の抗体に包含される。
【0090】
本発明の抗体の組換え発現の好ましい系において、抗体重鎖および抗体軽鎖の両方をコードする組換え発現ベクターは、例えばリン酸カルシウム媒介トランスフェクションによってDHFR−CHO細胞に導入される。抗体重鎖および軽鎖遺伝子は、高レベルの遺伝子転写をドライブするために、組換え発現ベクター内で各エンハンサー/プロモーター調節要素(例えばCMVエンハンサー/AdMLPプロモーター調節要素またはSV40エンハンサー/AdMLPプロモーター調節要素のように、SV40、CMV、アデノウイルス等に由来する)に操作可能に連結される。組換え発現ベクターは、メトトレキサート選択/増幅を使用してベクターによってトランスフェクトされたCHO細胞の選択を可能にするDHFR遺伝子も担持する。選択された形質転換体宿主細胞は、抗体重鎖および軽鎖の発現を可能にするために培養され、インタクトな抗体は培地から回収される。組換え発現ベクターを調製し、宿主細胞をトランスフェクトし、形質転換体のために選択し、宿主細胞を培養し、培地から抗体を回収するために、標準的分子生物学技術が使用される。本発明の抗体、またはその抗原結合部分は、ヒト免疫グロブリン遺伝子に関してトランスジェニックである動物(例えばマウス)において発現できる(例えばTaylor,et al.,Nucleic Acids Res.20:6287−95,1992参照)。
【0091】
一旦発現すると、本発明のインタクトな抗体、その二量体、個別の軽鎖および重鎖、または他の免疫グロブリン形態は、硫酸アンモニウム沈殿、イオン交換、アフィニティ、逆相、疎水的相互作用カラムクロマトグラフィ、ゲル電気泳動等を含む当該技術分野における標準的手順に従って精製できる。少なくとも約90%、92%、94%または96%の均質性を有する実質的に純粋な免疫グロブリンは、医薬品用途に好ましく、98から99%以上の均質性が最も好ましい。部分的にまたは所望の均質性まで一旦精製されると、ペプチドは、次に本明細書において指示するように、治療的または予防的に使用できる。
【0092】
本明細書で使用されるように、用語「キメラ抗体」は、一価、二価または多価免疫グロブリンを含む。一価キメラ抗体は、キメラ軽鎖とのジスルフィド架橋によって結合するキメラ重鎖によって形成される二量体である。二価キメラ抗体は、少なくとも一つのジスルフィド架橋によって結合する2つの重鎖−軽鎖二量体によって形成される四量体である。
【0093】
ヒトに使用する抗体のキメラ重鎖は、CH1またはCH2のようなヒト重鎖定常領域の少なくとも一部に連結されるミオスタチンに特異的な非ヒト抗体の重鎖に由来する抗原結合領域を含む。ヒトに使用する抗体のキメラ軽鎖は、CH1またはCH2のようなヒト軽鎖定常領域(CL)の少なくとも一部に連結されるミオスタチンに特異的な非ヒト抗体の軽鎖に由来する抗原結合領域を含む。同一または異なる可変領域結合特異性を備えるキメラ重鎖および軽鎖を有する抗体断片または誘導体は、公知の方法ステップに従って、個別のポリペプチド鎖の適切な結合によって同様に調製できる。このアプローチでは、キメラ重鎖を発現する宿主は、キメラ軽鎖を発現する宿主とは別々に培養され、免疫グロブリン鎖は、別々に回収されかつ次に結合される。あるいは、宿主は、共培養でき、鎖は培地で自然発生的に結合することが可能にされ、その後に結合した免疫グロブリンまたは断片の回収が続く。
【0094】
キメラ抗体を生成する方法は、当該技術分野において公知である(例えば米国特許第6284471;5807715;4816567;および4816397号明細書を参照)。
【0095】
好ましい態様において、米国特許第6284471号明細書に記載されたように、ヒト定常(C)領域の少なくとも一部をコードする第2DNAセグメントに連結された、接合(J)セグメントを有する機能的に再配列された可変(V)領域のような、非ヒト起源の少なくとも抗原結合領域(例えば、本明細書の表1および2;並びに図4および5のような、Fab3、5、7、8、9、10、11、12、14または15のそれ)をコードする第1DNAセグメントを含む遺伝子が作成される。
【0096】
好ましくは、治療用途で使用する本発明の抗体は、哺乳動物が治療抗体に対して免疫応答を引き出す(illicit)可能性を減少させるよう治療的に使用される、哺乳動物に由来する抗体に存在する定常領域およびフレームワークの配列を有する。
【0097】
ヒト化抗体は、治療用途に有益であり、齧歯類抗体で頻繁に観察される、ヒト抗マウス抗体応答を回避すると考えられるので、特に重要である。本明細書で使用される用語「ヒト抗体」は、少なくとも一部がヒト起源である、異なる起源の抗体部分を含む免疫グロブリンを指す。例えば、ヒト化抗体は、マウスのような、必要な特異性を有する非ヒト起源の抗体に由来し、従来技術によって(例えば合成)、化学的に接合されまたは遺伝子工学技術を使用して隣接ポリペプチドとして調製される、ヒト起源の抗体に由来する部分を含むことができる。好ましくは、「ヒト化抗体」は、非ヒト抗体(好ましくはマウスモノクローナル抗体)から生じるCDRを有し、他方でフレームワークおよび定常領域は、前記抗体がヒト細胞中で生成されるにせよ、されないにせよ、存在する限りにおいて、(またはその有意なもしくは実質的な部分、すなわち少なくとも90%、92%、94%、96%、98%または99%)が、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン領域(例えばInternational ImMunoGeneTics Database参照)、またはその組換えもしくは変異形態で、生じる核酸配列情報によってコードされる。ヒト化抗体は、インタクトな抗体、実質的にインタクトな抗体、抗原結合部位を含む抗体の一部、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)または単鎖Fv断片を含む抗体の一部であってもよい。ヒト化抗体を作成する方法において、CDRの一方の末端でのアミノ酸(例えば表1および2参照)が、フレームワーク配列に接合するセグメントのために、ヒト生殖細胞系で生じるアミノ酸と置換され得ることが考察される。
【0098】
ヒト化抗体は、当該技術分野において日常的に使用される方法を使用してインビトロ突然変異生成(または、ヒトIg配列の動物遺伝子導入が使用されるとき、インビボ体細胞突然変異生成)にさらしてよく、つまり、ヒト化組換え抗体のHCVRおよびLCVR領域のフレームワーク領域アミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系HCVRおよびLCVR配列に関するものに由来するが、インビボでヒト抗体生殖細胞系レパートリー内に自然に存在し得ない配列である。ヒト化組換え抗体のHCVRおよびLCVRフレームワーク領域のかかるアミノ酸配列が、ヒト生殖細胞系配列に少なくとも90%、92%、94%、96%、98%または最も好ましくは少なくとも99%同一であることが考察される。
【0099】
ヒト化抗体は、ヒト治療用途で、非ヒトおよびキメラ抗体に勝る少なくとも3つの潜在的利点:(i)エフェクター部分がヒトであり、ヒト免疫系の他の部分と、より良く相互に作用することができる(例えば、補体依存性細胞毒性または抗体依存性細胞毒性によってより能率的に標的細胞を破壊する);(ii)ヒト免疫系が、ヒト化抗体のフレームワークまたは定常領域を異質と認識しないはずであり、かかる注入抗体に対する抗体応答は、全く異質の非ヒト抗体または部分的に異質のキメラ抗体よりも低いはずである;(iii)注入された非ヒト抗体は、ヒト抗体の半減期よりはるかに短いヒト循環の半減期を有する、を有することが報告された。注入されたヒト化抗体は、自然に産生したヒト抗体と非常に似た半減期を有することができ、それにより少量で、より低頻度の容量を与えることが可能になる。
【0100】
ヒト化は、ある場合においては、抗体の抗原結合に悪影響を与える。好ましくは、本発明のヒト化抗ミオスタチンモノクローナル抗体は、親マウス抗体、好ましくはミオスタチンに関してFab3、5、7、8、9、10、11、12、14または15の結合親和力の約50%以上、より好ましくは約30%以上、かつ最も好ましくは約25%、20%、15%、10%、または5%以上のミオスタチンへの結合親和力を有する(本明細書の図4および5参照)。好ましくは、本発明のヒト化抗体は、本明細書に記載されたFab3、5、7、8、9、10、11、12、14または15のように、同じエピトープに結合する。前記抗体は、Fab3、5、7、8、9、10、11、12、14または15と、配列番号46または43に示す配列を有するペプチドまたは成熟ミオスタチンへの結合を競合する能力に基づき同定できる。
【0101】
一般的に、ヒト化抗体は、本発明のミオスタチンエピトープに結合する抗体のHCVRおよびLCVRをコードする核酸配列を得て、前記HCVRおよびLCVR(非ヒト)内のCDRを同定し、かかるCDRコード核酸配列を、選択されたヒトフレームワークコード核酸配列に移植することによって生成される。好ましくは、ヒトフレームワークアミノ酸配列は、結果として生じる抗体が、ヒトにおけるインビボ投与に適する可能性が高いように選択される。このことは、例えばかかるヒトフレームワーク配列を含む抗体の従前の使用に基づき決定できる。好ましくは、ヒトフレームワーク配列は、それ自体が著しく免疫原性ではない。
【0102】
あるいは、ヒト化する抗体のフレームワークのアミノ酸配列(例えばFab3、5、7、8、9、10、11、12、14または15)は、公知のヒトフレームワーク配列のアミノ酸配列と比較され、CDR移植に使用されるヒトフレームワーク配列は、それが備える配列が、親抗体、例えばミオスタチンに結合するマウス抗体と非常に類似することに基づいて選択される。多数のヒトフレームワーク配列が単離され、その配列が当該技術分野において報告された。これにより、選択されたヒトフレームワーク(および場合により同様にヒト定常領域)に移植され、結果として生じて親(例えばマウス)抗体のCDRを含むCDR移植ヒト化抗体が、親抗体の抗原結合構造を実質的に保持し、結合親和力を保持する可能性が高まる。選択されるヒトフレームワーク領域は、有意な程度の抗原結合親和力を保持するために、好ましくは、インビボ投与に適切であることが期待されるヒトフレームワーク領域であり、すなわち免疫原性ではない。
【0103】
いずれかの方法において、好ましくはマウス抗ミオスタチン抗体のHCVRおよびLCVR領域をコードするDNA結合複合体配列が得られる。免疫グロブリンをコードする核酸配列をクローン化する方法は、当該技術分野において周知である。かかる方法は、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による適切なプライマーを使用した、クローン化する免疫グロブリンコード配列の増幅を含む。免疫グロブリン核酸配列、およびマウスHCVRおよびLCVR配列を特異的に増幅するために適切なプライマーは、文献で報告されている。かかる免疫グロブリンコード配列は、クローン化された後、当該技術分野において周知の方法によって配列決定される。
【0104】
ヒト化される抗体のフレームワークおよびCDRをコードするDNA配列が一旦同定されると、CDRをコードするアミノ酸配列が次に同定され(核酸配列および遺伝子コードに基づき、かつ以前の抗体配列との比較によって推定される)、CDRコード核酸配列は選択されたヒトフレームワークコード配列に移植される。このことは、適切なプライマーおよびリンカーの使用によって達成され得る。所望の核酸配列のライゲーションを開始するために適切なプライマーおよびリンカーを選択する方法は、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0105】
CDRコード配列が選択されたヒトフレームワークコード配列に移植された後、結果として生じ「ヒト化」可変重鎖および可変軽鎖をコードするDNA配列は、次に、ミオスタチンに結合するヒト化Fvまたはヒト化抗体を生成するために発現される。一般的に、ヒト化HCVRおよびLCVRは、抗ミオスタチン抗体分子全体の一部として、すなわちコードするDNA配列が市販のライブラリから得られ、又は、例えば上記のDNA配列入手方法の1つもしくは当該技術分野における方法を使用して得られるヒト定常ドメイン配列を有する融合タンパク質として発現される。しかしながら、HCVRおよびLCVR配列も、ヒト化抗ミオスタチンFvを生成するために定常配列の非存在下で発現できる。それにも拘わらず、ヒト定常配列の融合は、結果として生じるヒト化抗ミオスタチン抗体がヒトエフェクター機能を有し得るので、潜在的に望ましい。
【0106】
公知配列のタンパク質をコードするDNAの合成方法は、当該技術分野において周知である。かかる方法を使用して、対象の(定常領域を有するまたは有さない)ヒト化HCVRおよびLCVR配列をコードするDNA配列は合成され、次に、組換え抗体の発現に適したベクター系において発現される。このことは、ヒト定常ドメイン配列を有する融合タンパク質として発現され且つ機能的(抗原結合)抗体または抗体断片を生成するように結合する対象ヒト化HCVRおよびLCVR配列を提供するいかなるベクター系においても行われ得る。
【0107】
ヒト定常ドメイン配列は、当該技術分野において周知であり、文献で報告されている。好ましいヒト定常軽鎖配列は、カッパおよびラムダ定常軽鎖配列を含む。好ましいヒト定常重鎖配列は、変化した効果または機能、例えば増大したインビボ半減期、減少したFcレセプター結合等を提供する、ヒトガンマ1、ヒトガンマ2、ヒトガンマ3、ヒトガンマr、およびその突然変異形を含む定常重鎖配列を含む。
【0108】
ヒトフレームワーク領域は、存在する場合、好ましくは、抗原結合領域供与体の類似又は相当する領域と似た配列を有するヒト抗体可変領域に由来する。ヒト化抗体のヒト起源部分のためのフレームワーク領域の他のソースには、ヒト可変コンセンサス配列が含まれる(例えばKettleborough,C.A.et al.Protein Engineering 4:773−783(1991);Carter et al.,国際公開第94/04679号パンフレットを参照)。例えば、非ヒト部分を得るために使用される可変領域または抗体の配列は、Kabat et al.Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,NIH,U.S.Government Printing Office(1991)に記載されたヒト配列と比較できる。特に好ましい態様において、ヒト化抗体鎖のフレームワーク領域は、非ヒト供与体の可変領域と少なくとも約60%の全体配列同一性、好ましくは少なくとも約70%の全体配列同一性、より好ましくは少なくとも約85%の全体配列同一性、を有するヒト可変領域に由来する。ヒト部分は、非ヒト供与体の相当部分(例えばFR)と比較したときに、使用される特定部分(例えばFR)内で少なくとも約65%の配列同一性、好ましくは少なくとも70%の配列同一性を有するヒト抗体に由来してもよい。
【0109】
ある場合においては、選択されたヒトフレームワークへと(ミオスタチンに結合する抗体からの)CDRを移植することによって生成されるヒト化抗体は、ミオスタチンへの所望の親和力を有するヒト化抗体を提供し得る。しかしながら、選択されたヒトフレームワークの特異的残基を更に修飾することが、抗原結合を強化するために必要または望ましくなり得る。好ましくは、組み合わせ部位構造を維持又は影響する親(例えばマウス)抗体のこれらのフレームワーク残基は、保持される。これらの残基は、親抗体またはFabフラグメントのX線結晶学によって同定でき、それにより抗原結合部位の三次元構造を同定する。
【0110】
使用できるマウス抗体のヒト化に関与する方法を更に記載する参考文献には、例えばQueen et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2869,1991;米国特許第5693761号明細書;米国特許第4816397号明細書;米国特許第5225539号明細書;Levitt,M.,J.Mol.Biol.168:595−620,1983に記載されたコンピュータプログラムABMODおよびENCADがある。
【0111】
本発明の抗体は、本明細書に記載するように、治療、診断および研究用途に有用である。本発明の抗体は、ヒトミオスタチンの発現に関連した障害または疾病を診断するために使用できる。同じように、本発明の抗体は、ミオスタチン関連状況で治療を受ける被検者のミオスタチンレベルを監視するアッセイにおいて使用できる。診断アッセイには、本発明の抗体および試料、例えばヒト体液または細胞もしくは組織抽出物においてミオスタチンを検出する標識を利用する方法を含む。例えば抗体のような結合組成物は、修飾してまたは修飾なしで使用され、検出可能部分の共有または非共有結合によって標識付けされる。検出可能部分は、検出可能シグナルを直接的または間接的に生成することが可能ないずれのものでもよい。例えば、検出可能部分は、例えばH、14C、32P、35S、または125Iのような放射性同位元素、フルオレッセインイソチオシアネート、ローダミンまたはルシフェリンのような蛍光または化学発光化合物、またはアルカリホスファターゼ、β‐ガラクトシダーゼまたはホースラディッシュペルオキシダーゼのような酵素である。検出可能部分へ抗体を別個に接合する当該技術分野において公知のいかなる方法も、Hunter, et al.,Nature 144:945,1962;David,et al.,Biochemistry 13:1014,1974;Pain,et al.,J.Immunol.Meth.40:219,1981;and Nygren,J.Histochem.And Cytochem.30:407,1982によって記載される方法を含み、利用できる。
【0112】
例えばELISA、RIA、およびFACSを含む、ミオスタチンを測定する種々の従来の手順は、当該技術分野において公知であり、変更したまたは異常なレベルのミオスタチン発現を診断する基準を提供する。正常または標準発現値は、例えば、ミオスタチンポリペプチドを含む試料を、抗原:抗体複合体を形成するために適した条件で例えば抗体と組み合わせることによって、当該技術分野において公知の技術を使用して確立できる。抗体は、結合または非結合抗体の検出を容易にするために、検出可能な物質によって直接または間接的に標識付けされる。適切な検出可能物質には、種々の酵素、補欠分子族、蛍光材料、発光材料および放射性物質が含まれる。適切な酵素の例には、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β‐ガラクトシダーゼまたはアセチルコリンエステラーゼが含まれ;適切な補欠分子族複合体の例には、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビディン/ビオチンを含み;適切な蛍光材料の例には、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレッセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリトリンが含まれ;発光材料の例には、ルミノールが含まれ;放射性物質の例には、125I、131I、35SまたはHが含まれる(例えばZola,Monoclonal Antibodies:A Manual of Techniques,CRC Press,Inc.(1987)参照)。
【0113】
形成される標準複合体の量は、例えば光度測定手段のような種々の方法によって計量される。被検者、対照および(例えば、生検を行った組織からの)試料で発現されるミオスタチンポリペプチド量は、次に標準値と比較される。標準および被検者の値の間の偏差は、特定の障害、状態、状況、症候群または疾患を、特定レベルのミオスタチンポリペプチドの発現(またはその欠如)に相関させるためのパラメータを確立する。
【0114】
一旦、障害、状態、状況、症候群または疾患の存在が確立され、治療手順が開始されると、ミオスタチン発現レベルを監視するために、アッセイは定期的に繰り返される。連続的なアッセイから得られる結果は、数日から数ヶ月に及ぶ期間にわたる治療の有効性を示すために使用される。特定の障害(例えば虚弱または悪液質)に関して、被検者の生検が行われた組織または流体(例えば血清または尿)内の変更した量のミオスタチンの存在は、障害、状態、状況、症候群または疾患が進行する素因を示し得るか、または実際の臨床症状の出現前に、かかる障害、状態、状況、症候群または疾患を検出する手段を提供し得るか、または本発明の抗体に治療的に応答する可能性が高い集団を規定し得る。より限定的な初期検出は、早期治療を可能にし、それにより細胞増殖の更なる進行を予防および/または改善する。
【0115】
本発明の抗体は、被検者への投与に適した医薬組成物に組み込むことができる。本発明の化合物は、単独で、または薬理学的に許容できる担体、希釈剤および/または賦形剤と組み合わせて、一回または複数回投与量で投与できる。投与用の医薬組成物は、選択された投与様式に適切であるように設計され、薬理学的に許容できる希釈剤、担体および/または賦形剤、例えば分散剤、緩衝液、界面活性剤、防腐剤、可溶化剤、等張性剤、安定化剤等が、必要に応じて使用される。前記組成物は、専門家に一般的に知られている製剤技術の概略を提供するRemington,The Science and Practice of Pharmacy,19th Edition, Gennaro,Ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA 1995等にあるような従来の技術に従って設計される。
【0116】
本発明の抗ミオスタチンモノクローナル抗体を含む医薬組成物は、経口、静脈内、腹膜内、皮下、肺、経皮、筋肉内、鼻腔内、口腔内、舌下、または坐薬投与を含む、標準の投与技術を使用して、本明細書に記載するような病変のリスクがある又は病変を示す被検者に投与できる。
【0117】
本発明の医薬組成物は、好ましくは「治療的有効量」または「予防的有効量」の本発明の抗体である。「治療的有効量」は、所望の治療的結果を達成するために、必要な分量および時間での有効な量を指す。治療的有効量の抗体は、病状、年齢、性別、および個人の体重、および個人において所望の応答を引き出す抗体または抗体部分の能力といった因子に応じて変化し得る。治療的有効量は、抗体のいかなる毒性または有害な効果を、治療的に有益な効果が上回るものである。「予防的有効量」は、所望の予防的結果を達成するために、必要な分量および時間での有効な量を指す。概して、予防的投与量は、疾患の前または初期段階に被検者に使用されるので、予防的有効量は治療的有効量よりも少ないであろう。
【0118】
治療的有効量は、少なくとも、被検者に治療的利点を与えるために必要な活性剤の最小投与量であるが、毒性投与量よりは少ない。換言すると、治療的有効量は、哺乳動物、好ましくはヒトにおいて筋肉量を増加させ、骨密度を増加させ、またはミオスタチンの存在が、望ましくない病理学的効果を引き起こすか、関与するか、またはミオスタチンレベルの減少が、哺乳動物、好ましくはヒトにおいて、筋肉疲労、虚弱、老化関連サルコペニア、骨粗鬆症、肥満、いずれかのタイプの筋ジストロフィー、救急救命筋疾患、敗血症、悪液質(例えば癌関連またはHIV誘発)、COPD、骨関節炎、腎不全、肝不全、心不全または疾患、メタボリックシンドロームおよびII型糖尿病を含むがそれらに限定されない有益な治療的効果をもたらす状況を治療する量である。
【0119】
本発明の抗体の投与経路は、経口、非経口、吸入、または局所的であってもよい。好ましくは、本発明の抗体は、非経口投与に適した医薬組成物に組み込むことができる。本明細書で使用される用語非経口は、静脈内、筋肉内、皮下、直腸、膣、または腹膜内投与を含む。静脈内または腹膜内または皮下注射による末梢全身送達が好ましい。かかる注射のための適切なビヒクルは、当該技術分野において簡易である。
【0120】
一般的に、医薬組成物は、例えば密封バイアルまたは注射器を含む提供容器の製造および保存条件で、無菌かつ安定していなければならない。従って、医薬組成物は、製剤後に無菌濾過されてもよく、または微生物学的に許容できるようにしてもよい。静脈内点滴のための典型的な組成物は、250−1000mlの量の流体、例えば無菌リンガー溶液、生理的食塩水、ブドウ糖溶液およびハンクス溶液、並びに治療的有効投与量(例えば1から100mg/ml以上)の抗体濃度を有することができる。投与量は、疾患のタイプおよび重症度によって変化し得る。医療分野で周知であるように、いずれかの被検者への分量は、患者のサイズ、体表面積、年齢、投与する特定の化合物、性別、投与時間および経路、一般的な健康、または同時に投与される他の薬剤を含む多数の因子によって決まる。典型的投与量は、例えば、0.001〜1000μgの範囲であってよいが;この典型的な範囲未満またはそれを超える投与量は、特に前記因子を考慮して、想定される。一日非経口投与計画は、総体重の約0.1μg/kgから約100mg/kg、好ましくは約0.3μg/kgから約10mg/kg、より好ましくは、約1μg/kgから1mg/kgであり、なおもより好ましくは一日あたり体重1kgにつき約0.5から10mg/kgである。進行は、定期的な評価によって監視され得る。条件に応じて、治療は、数日以上にわたる繰り返し投与の中で、病徴の所望の抑制が起きるまで繰り返される。しかしながら、他の投与計画は、有用であり得、本明細書から除外されない。所望の分量は、専門家が所望する薬物動態学的減衰のパターンに応じて、抗体の単一の大量瞬時投与、複数の大量瞬時投与、または連続注入投与によって送達できる。
【0121】
これらの提案される量の抗体は、多くの治療的判断を受ける。適当な投与量およびスケジューリングを選択する際の鍵となる因子は、得られた結果である。この状況において考慮する因子は、治療される特定の障害、治療される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床条件、障害の原因、抗体の送達部位、抗体の特定のタイプ、投与方法、投与のスケジューリング、および開業医に公知である他の因子を含む。
【0122】
本発明の治療薬は、保存するために凍結または凍結乾燥でき、使用前に適切な無菌担体内で戻すことができる。凍結乾燥および回復は、種々の程度の抗体活性損失に繋がり得る。代償として、分量を調整しなければならないこともある。一般的に、6〜8のpHが、好まれる。
【0123】
治療的使用
ミオスタチンは、筋肉発育および多数関連した障害または疾患で役割を果たす(例えば米国特許出願第2003/0074680および2003/0082181号明細書を参照)。成人において、ミオスタチンmRNAは、低い濃度で脂肪組織および心臓組織でも発見されるが、主に骨格筋において検出される(Sharma,M.,et al,J.Cell Physiol.180:1,1999)。ミオスタチンノックアウトマウスは、その野生型同腹子よりも二倍から三倍大きい筋肉量を有する。増加した筋肉量は、繊維肥大および過形成の結果である(McPherron,A.,et al.Nature 387:83−90,1997 and Zhu,X.et al.,FEBS Letters 474:71)。更に、ミオスタチンノックアウトマウスは、その野生型同腹子より少ない脂肪を蓄積するが、その他の点では正常かつ健康に見える。ミオスタチンは、脂肪生成の重要な調節因子であることも最近明らかにされた(Rebbapragada,A.,et al.,Mol.and Cell.Bio.23:7230−7242,2003)。更に、ミオスタチン欠損マウスにおいて骨格および骨含有量が、最近研究された(Hamrick M.W.,et al.,J.Orthopaedic Research 21:1025,2003;Hamrick,M.W.,et al.,Calcif Tissue Int 71:63,2002)。
【0124】
従って、本発明の抗ミオスタチンモノクローナル抗体を含む医薬組成物は、筋肉量を増加させ、骨密度を増加させるために使用され得、または、ミオスタチンの存在が、望ましくない病理学的効果を引き起こし、関与し、または、ミオスタチンレベルの減少が、筋肉疲労、虚弱、老化関連サルコペニア、骨粗鬆症、肥満、筋ジストロフィー、筋疾患、悪液質、敗血症、骨関節炎、COPD、腎不全、肝不全、心不全または疾患、メタボリックシンドローム、およびII型糖尿病の状況を含むが、それらに限定されず、哺乳動物における治療的な利点を有する状況の治療に有用であり得る。
【0125】
ミオスタチン活性が有害であり、または生理活性ミオスタチンのレベル減少に利益となる少なくとも1つの前記障害を治療または予防するための本発明の抗ミオスタチンモノクローナル抗体の使用が、本明細書において考察される。更に、少なくとも1つの前記障害を治療する薬剤の製造に使用する、本発明の抗ミオスタチンモノクローナル抗体の使用が、考察される。
【0126】
本明細書で使用されるように、用語「治療」、「治療する」等は、所望の薬理的および/または生理的な効果を得ることを指す。効果は、その疾患または症状の完全または部分的な予防の観点で予防的でもよく、かつ/または、疾患および/または疾患に起因する悪影響の部分的または完全な治癒の観点で治療的でもよい。本明細書で用いられるような「治療」は、哺乳動物、特にヒトにおいて、疾患または状況の治療のための本発明の化合物の投与を含み、かつ(a)疾患に罹患してい得るが、それを有するとはまだ診断されていない被検者に、疾患の発生を予防すること;(b)疾患を阻害する、すなわちその発達を抑えること;および(c)疾患を緩和する、すなわち疾患または障害の退行を引き起こし、またはその症状もしくは合併症を軽減すること、を含む。投与計画は、最適な所望の応答(例えば治療的または予防的応答)を提供するように調整できる。例えば、単一の大量瞬時投与で投与でき、幾つかに分割した投与量は時間をかけて投与でき、または、投与量は、治療状況の緊急性による指示に従って、比例して減少または増加できる。
【0127】
以下の実施例は、説明の便宜上にのみ提供され、いかなる形であれ本発明の範囲を制限することを意図しない。
【実施例】
【0128】
実施例1:抗ミオスタチンFab合成
Omniclonal(商標)抗体技術(Biosite(登録商標),San Diego,CA)を使用してC57Bl/6野生型マウスを免疫化することで作成するFabライブラリから、抗ミオスタチンFabのクローンを単離する。マウスを、アミノ酸配列:ANYCSGESEFVFLQKYPHTHLVHQA(配列番号43)を有する免疫原性ポリペプチドによって免疫化する。この配列は、野生型ヒト成熟ミオスタチン中の47位でのCys残基(上記配列番号43で下線を引いたもの)が、この残基でのペプチドへの担体またはハプテン結合を予防するために、Ser残基に変えられることを除き、成熟型のヒトミオスタチン(配列番号2)のアミノ酸40−64にわたる配列と同一である。このペプチドの免疫原性を改善するために、担体タンパク質、キーホールリンペットヘモシアニンおよびヘルパーT−細胞ペプチドを、標準的方法に従って免疫原性ペプチドに接合する。本明細書(表1および2;図4および5)において開示されるHCVRおよびLCVR CDRおよびフレームワークアミノ酸配列は、成熟したミオスタチン(例えば、配列番号2)に結合しかつ免疫原性ペプチドに結合し且つミオスタチン活性を中和するライブラリから、Fab配列として同定する。FabのLCVRおよびHCVRをコードする代表的なヌクレオチド配列は、表3で以下に一覧を示す。
【0129】
表3−Fab LCVR及びHCVRをコードする典型的なヌクレオチド配列
【表3】

【0130】
実施例2:ELISAアッセイ
A.抗ミオスタチンFabは、成熟ミオスタチンに優先的に結合する
本発明のマウス抗ミオスタチンFab(図4および5参照)は、ELISAアッセイでテストし、96ウェルプレート上で種々の濃度で被覆される成熟ミオスタチン(二量体形態)へのFabの結合を測定する。GDF−11へのFabの結合もテストする。
【0131】
2つの96ウェルプレートの各ウェルは、70μlの組換えマウスミオスタチン(R&D systems,カタログ番号788−G8/CF、担体なし、炭酸緩衝液中で1μg/ml、pH9.6)または70μlの組換えヒトGDF−11(Peprotech,Inc.,カタログ番号120−11、担体なし、炭酸緩衝液中で1μg/ml、pH9.6)で被覆する。プレートを、一晩4℃でインキュベートする。ウェルを、吸引し、洗浄緩衝液によって2回洗浄する(20mMのTris(ヒドロキシメチル)アミノメタン、pH7.4、0.15M NaCl、0.1%のTween−20)。プレートを、5時間、ウェルあたり200μlのブロッキング緩衝液によってブロッキングする(上記洗浄緩衝液中、5%のCarnation Instant milk)。
【0132】
テストするFabを、10μg/ml、2μg/ml、0.4μg/ml、0.08μg/mlおよび0.016μg/mlでブロッキング緩衝液に希釈する。50マイクロリットルの各Fab溶液を、二重のGDF−8およびGDF−11被覆ウェルに添加する。プレートを、室温で、1時間インキュベートする。次にウェルを洗浄緩衝液によって3回洗浄する。
【0133】
ペルオキシダーゼ抱合型2次抗体(50μlのヤギ抗マウスカッパHRP(Southern Biotech)(ブロッキング緩衝液中で1:2000に希釈される))を、各ウェルに添加して、室温で、1時間インキュベートする。次にウェルを洗浄緩衝液によって3回洗浄する。50マイクロリットルの発色基質(すなわちOPD基質)を、各ウェルに添加し、13分間室温で顕色することを可能にする。各ウェルに100μlの1N HClを添加することによって反応を停止する。ウェルの吸光度を490nmのODで読み取る。二重のウェルからの平均吸光度を決定する。
【0134】
これらのデータは、本発明のFab 3、5および7(図4および5)が、プレート結合ヒト成熟ミオスタチンに結合し、GDF−11結合と比較してミオスタチンに優先的に結合することを示す。
【0135】
B.抗ミオスタチンFabは、ミオスタチン(I)のペプチド免疫原に結合する
マウス抗ミオスタチンFab 3、5、7、8、9、10、11、12、14および15を、ELISAアッセイでテストして、マウスの免疫化に使用するポリペプチド(「ペプチド免疫原」)へのFabの結合を測定する。このポリペプチドは、本明細書に記載するように、成熟ミオスタチンのアミノ酸40から64に及び、アミノ酸配列ANYCSGESEFVFLQKYPHTHLVHQA(配列番号43)を有する。
【0136】
2つの96ウェルプレートの各ウェルは、Fabを産生するために使用される70μlのペプチド免疫原(炭酸緩衝液中で2μg/ml、pH9.6)で被覆する。プレートは、蓋を外し、乾燥器中、一晩37℃でインキュベートする。ウェルを、吸引し、洗浄緩衝液によって2回洗浄する(20mMのTris(ヒドロキシメチル)アミノメタン、pH7.4、0.15M NaCl、0.1%のTween−20)。プレートを、2.5時間、ウェルあたり200μlのブロッキング緩衝液によってブロッキングする(上記洗浄緩衝液中、5%のBioRad blotting grade milk)。
【0137】
Fabを、10μg/ml、2μg/ml、0.4μg/ml、0.08μg/mlおよび0.016μg/mlでブロッキング緩衝液に希釈する。ラット抗ミオスタチンモノクローナル抗体(R&D Systems,カタログ番号MAB788,クローン番号84214)およびポリクローナル抗ミオスタチン抗体(R&D Systems,カタログ番号AF788)を、上記濃度で対照として使用し、同様にブロッキング希釈液中で希釈する。50マイクロリットルの各抗体溶液を、二重のペプチド被覆ウェルに添加する。プレートを、室温で、1.5時間インキュベートする。次にウェルを洗浄緩衝液によって3回洗浄する。
【0138】
ペルオキシダーゼ抱合型2次抗体(Fabに50μlのヤギ抗マウスカッパHRP(Southern Biotech)、モノクローナルに50μlのマウス抗ラット(Jackson ImmunoResearch)、ポリクローナルに50μlのウサギ抗ヤギ(Jackson ImmunoResearch)、全てブロッキング緩衝液中で1:2000に希釈される)を、各ウェルに添加して、室温で、1時間インキュベートする。次にウェルを洗浄緩衝液によって3回洗浄する。50マイクロリットルの発色基質(すなわちOPD基質)を、各ウェルに添加し、10分間室温で発色させる。各ウェルに100μlの1N HClを添加することによって反応を停止する。ウェルの吸光度を490nmで読み取る。二重のウェルからの平均吸光度を決定し、これらの値を以下の表4に示す。
【0139】
Fabは、プレート結合ペプチド免疫原に結合する。ポリクローナル抗体も、Fabより小さい範囲でペプチド免疫原に結合する。R&Dモノクローナル抗体結合は、バックグラウンドレベルにあり、免疫原性ペプチドが包含するエピトープとは異なるエピトープを認識するR&Dモノクローナル抗体に合致する。
【0140】
C.TGF−βスーパーファミリーの種々のメンバーに結合する抗ミオスタチンFab
マウス抗ミオスタチンFab 3、5、7(図4および5参照)およびポリクローナル抗ミオスタチン抗体(R&D Systems)は、プレート上に被覆される抗原(GDF−8/ミオスタチン)のファミリーメンバーへのFabおよび抗体の結合を測定する、ELISAアッセイでテストする。TGF−ベータスーパーファミリーメンバーの次のパネル:GDF−8/ミオスタチン(対照)、GDF−11、BMP−2、BMP−5、BMP−6、BMP−7、アクチビンA、アクチビンB、TGF−アルファ、TGF−ベータ1およびTGF−ベータ2、へのFabの結合もテストする。IGF−1は、負の対照としてもテストされる。
【0141】
96ウェルプレートの各ウェルは、70μlの上記にリストされた成長因子の1つ(炭酸緩衝液中で10μg/ml、pH9.6)で二重に被覆する。ソースおよびカタログ番号に関しては、以下の表5を参照されたい。プレートを、一晩4℃でインキュベートする。ウェルを、吸引し、洗浄緩衝液によって2回洗浄する(20mMのTris(ヒドロキシメチル)アミノメタン、pH7.4、0.15M NaCl、0.1%のTween−20)。プレートを、3時間、ウェルあたり200μlのブロッキング緩衝液によってブロッキングする(上記洗浄緩衝液中、5%のCarnation Instant milk)。
【0142】
抗体を、10μg/mlでブロッキング緩衝液に希釈する。50マイクロリットルの各抗体溶液を、成長因子被覆ウェルに添加する。プレートを、室温で、1時間インキュベートする。次にウェルを洗浄緩衝液によって3回洗浄する。
【0143】
ペルオキシダーゼ抱合型2次抗体(Fabに50μlのヤギ抗マウスカッパHRP(Southern Biotech)、ポリクローナルに50μlのウサギ抗ヤギ(Jackson ImmunoResearch)、ブロッキング緩衝液中で1:2000に希釈される)を、各ウェルに添加して、室温で、1時間インキュベートする。次にウェルを洗浄緩衝液によって3回洗浄する。50マイクロリットルの発色基質(すなわちOPD基質)を、各ウェルに添加し、10分間室温で発色させる。各ウェルに100μlの1N HClを添加することによって反応を停止する。ウェルの吸光度を490nmで読み取る。二重のウェルからの平均吸光度を決定し、これらの値を以下の表6に示す。
【0144】
これらのデータは、Fab 3、5および7が、テストされた他のタンパク質よりもミオスタチンに優先的に結合することを示す。これらの条件では、Fab 3によるGDF−11への非常に少量の結合を除いて、いずれの他のTGF−ベータスーパーファミリーメンバーについてもFabのバックグラウンドを超える結合は、ほとんど検出されず、または検出されない。しかしながら、R&D抗ミオスタチンポリクローナル抗体も、GDF−11に結合する(以下の表6参照)。
【0145】
表5
【表4】

【0146】
表6
【表5】

【0147】
実施例3:ミオスタチン中和アッセイ
外胚葉移植片を、標準的方法によって8−9期胞胚ツメガエル属胚から取り除き、更にまたは示した成長因子(GDF8またはGDF11)の添加によって、0.5 X MBS(1 X MBS:88mMのNaCl、1mMのKCl、0.7mMのCaCl、1mMのMgSO、5mMのHEPES、2.5mMのNaHCO、1:1000 v/vゲンタマイシン(0.1%のウシ血清アルブミン))中で、18時間18℃で培養し、それまでに、対照の胚は、初期神経胚の段階(15−16段階)に達する。移植片を撮影し、各移植片の長さは動物キャップ計量のために設計される画像解析アルゴリズムを使用して測定する。成長因子またはFab(対照)で処理しない移植片は、表皮の球に発展する。ミオスタチンおよびGDF−11は、移植片を伸ばしダンベル状構造を形成させるこれらの外胚葉移植片において、中胚葉を誘導する。抗体またはFabは、中和活性に関してテストする時、培養期間全体に対してミオスタチンを含む培地に添加され、成長因子誘発伸長運動を阻害するそれらの能力を評価する。ミオスタチンを、25ng/mlで移植片に添加する。抗体またはFabを、20μg/mlで添加する。Fab34は、無関係な抗原で産生するFabである。市販の抗ミオスタチンポリクローナル抗体も、テストした;この抗体は、精製されたマウスGDF8で免疫化されたヤギで生成し、約10−50μg/mlで存在するときに、25ng/mlのマウスGDF8(R&D Systems,Inc.カタログ番号AF788)によって引き出されるツメガエル属動物キャップの伸長を中和することが、製造業者によって証明されている。市販のモノクローナル抗マウスGDF8抗体も、テストし、この抗体は、約10−20μg/mlで存在するときに、25ng/mlのマウスGDF8(R&D Systems,Inc.カタログ番号AF788)によって引き出されるツメガエル属動物キャップの伸長を中和することが、製造業者によって証明されている。本明細書において、実施例2のELISAデータが本発明のFabよりミオスタチンの異なる領域に結合するこのR&D抗体を示すことに注意されたい。
【0148】
ImagePro(v4.5.1.22、Media Cybernetics)を、画像処理のために使用する。マクロは、画像処理を自動化するために書かれている。マクロは、画像を処理し、ビット単位で長さを記録する。代わりの測定方法が、当該技術分野において公知のように使用できる。Fab 3、5、7、8、9、10、11、12、14および15は、動物キャップアッセイにおけるGDF8活性を著しく中和できる。
【0149】
実施例4:モノクローナルFabの親和力測定
本発明の抗ミオスタチンFab 3、5、7、8、9、10、11、12、14、15の親和力(K)並びにKonおよびKoff率を、CM5センサチップを含むBIAcore(登録商標)2000機器を使用して測定する。BIAcore(登録商標)は、デキストランバイオセンサマトリックスの範囲内で相互に作用している分子のタンパク質濃度の変更を検出するために、表面プラスモン共鳴の光学特性を利用する。言及する場合を除き、全ての試薬および材料は、BIAcore(登録商標)AB(Upsala、Sweden)から購入する。全ての測定は、25℃で実行する。ラットまたはヒトミオスタチンを含む試料を、HBS−EP緩衝液(150mMの塩化ナトリウム、3mMのEDTA、0.005%(w/v)の界面活性剤P−20および10mMのHEPES(pH 7.4))に溶解する。捕捉抗体、ヤギ抗マウスカッパ(Southern Biotechnology,Inc)は、アミン結合化学を使用して、フローセル上へ固定する。フローセル(1−4)は、0.1M N−ヒドロキシスクシンイミドおよび0.1M 3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル−N−エチルカルボジイミドの1:1混合物によって、10μl/分の流速で7分間活性化する。ヤギ抗マウスカッパ(10mMの酢酸ナトリウム塩、pH4.5中の30μg/mL)は、10μL/分の流速で、全4つのフローセルにわたって手動で注入される。表面密度は監視され、全てのフローセルが4500−5000の応答装置(RU)の表面密度に達するまで、追加のヤギ抗マウスカッパは個別の細胞に必要ならば注入する。表面は、1Mエタノールアミン−HCl、pH8.5(10μL/分)の7分間の注入によってブロッキングする。いかなる非共有結合ヤギ抗マウスカッパも確実に完全除去するために、15μLの10mMグリシン pH1.5を、二回注入する。キネティクス実験のために使用するランニング緩衝液は、10mMのHEPES、pH7.4、150mMのNaCl、0.005%のP20を含んだ。
【0150】
キネティクス結合データの収集は、大量輸送効果を最小限に抑えるために、最大流量(100μL/分)かつ低い表面密度で実行する。各分析サイクルは、(i)10μL/分の流量で、異なるFabのフローセル2、3および4にわたる、5−10μLの5μg/ml溶液の注入による300−350RUのFab(BioSite)の捕獲、(ii)フローセル1を基準フローセルとする、全4つのフローセルにわたるヒトミオスタチン(2倍の希釈増加の50nMから1.56nMの濃度範囲)の200μLの注入(2分間)、(iii)10分間の解離(緩衝液流)、(iv)10mMグリシン、pH1.5の15秒の注入によるヤギ抗マウスカッパ表面の再生、(v)ランニング緩衝液の30秒のブランク注入、および(vi)次のサイクルの開始前の2分間の安定化時間、からなる。シグナルは、フローセル2マイナスフローセル1、フローセル3マイナスフローセル1、およびフローセル4マイナスフローセル1として監視する。試料および緩衝液ブランクを、無作為な順序で二重に注入する。データを、BIAevaluation3.1ソフトウェアを使用して処理し、データは、CLAMP大域分析ソフトウェアにおいて1:1結合モデルに適する。
【0151】
Fab 3、5、7、8、9、10、11、12、14および15は、7×10−6〜4.0×10−8にK値を有する。
【0152】
実施例5:筋骨格有効性のインビボマウスモデル
雄のICRマウス(生後8週、Taconic NY)を、認可された手順に従って去勢し(gonadectomized、GDX)、10週間、衰弱させる。年齢をマッチさせた、擬似手術を受けた(擬似)マウスも得る。擬似手術を受けたマウスを、その睾丸を除去しないことを除き、去勢されたマウスと同じように操作する。動物は、12時間の明暗サイクルが逆転され且つ水および食料が任意に手に入る、温度調節された部屋(24℃)に収容する。
【0153】
インビボでの有効性を証明するために、本発明の化合物を、去勢された生後18週のマウス(体重約48−50g)および年齢をマッチさせた擬似マウスに皮下注射によって隔週で投与する。テスト化合物を、リン酸緩衝食塩水(PBS)中で動物に投与する。アイソタイプをマッチさせたIgG1のみによって治療する去勢マウスは、負の対照の治療として使用する。
【0154】
テスト動物(各グループ12匹のマウス)には、15週間の時間枠にわたって、例えば60mg/kg/2週の本発明の化合物を皮下投薬する。各投薬時点で、与えられる投与量は、各動物の体重に従って調整する。次の測定:体重、定量的磁気共鳴(QMR、Echo Medical Systems、TX)分析による身体筋肉量、および身体握力(Columbus Instruments、OH)は、研究の開始および終了時に記録する。
【0155】
15週間の治療後、筋肉活性の指標として、テストグループの骨格筋(四頭筋)の湿重量を測定し、去勢されてIgGのみの対照区の体重と比較した。骨格活性の指標として、テスト動物の大腿骨の骨量(骨無機質密度、BMD、mg/cc)を、マイクロコンピュータ断層撮影(qCT)(Research M、Stratec)分析によって、去勢されIgGのみの区の大腿骨の骨量と同じように比較する。Fab3を含む抗ミオスタチン抗体は、本明細書に記載された条件で、筋肉および骨の両方に対して同化効果を有した。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】シグナル配列に下線が引かれ、成熟型のミオスタチンの単量体を作り出すカルボキシ末端でのタンパク質の一部が太字の、ヒトプロミオスタチンのアミノ酸配列である。
【図2】ヒト成熟ミオスタチンのアミノ酸配列である。本発明の抗原エピトープには、下線が引かれている。
【図3】本発明の抗原エピトープに下線が引かれ、ミオスタチンおよびGDF−11の間で異なる抗原エピトープ内の残基が太字の、成熟型ヒトミオスタチン及びヒトGDF−11のアミノ酸配列アラインメントを示す。記号(+)は、その位置でのミオスタチンおよびGDF−11の間の保存性アミノ酸の相違を示し、他方で、記号(−)は、その位置でのミオスタチンおよびGDF−11の間の非保存性アミノ酸の相違を示す。
【図4】CDRドメインが太字の、Fab 3、5、7、8、9、10、11、12、14および15のLCVRアラインメントを示す。記号()は、Fab間で差異があるアミノ酸残基を示す。
【図5】CDRドメインが太字の、Fab 3、5、7、8、9、10、11、12、14および15のHCVRアラインメントを示す。記号()は、Fab間で差異があるアミノ酸残基を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)配列番号3および12、
(ii)配列番号4および13、
(iii)配列番号3および14、
(iv)配列番号5および12、
(v)配列番号6および15、
(vi)配列番号7および17、
(vii)配列番号8および12、
(viii)配列番号9および16、
(ix)配列番号10および12、並びに
(x)配列番号11および12、からなる群において示される配列を有する2つのポリペプチドを含む抗ミオスタチンモノクローナル抗体。
【請求項2】
(i)配列番号38に示す配列を有するCDR1にあるペプチド、(ii)配列番号23に示す配列を有するCDR2にあるペプチド、及び(iii)配列番号56に示す配列を有するCDR3にあるペプチド、からなる群より選ばれる1、2、または3つのペプチドを含むLCVRを含む抗ミオスタチンモノクローナル抗体。
【請求項3】
(i)配列番号55に示す配列を有するCDR1にあるペプチド、(ii)配列番号41に示す配列を有するCDR2にあるペプチド、及び(iii)配列番号42に示す配列を有するCDR3にあるペプチド、からなる群より選ばれる1、2、または3つのペプチドを含むHCVRを含む抗ミオスタチンモノクローナル抗体。
【請求項4】
請求項3記載のモノクローナル抗体であって、(i)配列番号38に示す配列を有するCDR1にあるペプチド、(ii)配列番号23に示す配列を有するCDR2にあるペプチド、及び(iii)配列番号56に示す配列を有するCDR3にあるペプチド、からなる群より選ばれる1、2、または3つのペプチドを含むLCVRを更に含むモノクローナル抗体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のモノクローナル抗体であって、LCVRは、(i)配列番号18、19、20、21または22に示す配列を有するLCVR CDR1にあるペプチド、(ii)配列番号23に示す配列を有するLCVR CDR2にあるペプチド、及び(iii)配列番号24、25、26、27または28に示す配列を有するLCVR CDR3にあるペプチド、からなる群より選ばれる1、2、または3つのペプチドを含むモノクローナル抗体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のモノクローナル抗体であって、HCVRは、(i)配列番号29、30、31、47、48、49、50、51、52、53または54に示す配列を有するHCVR CDR1にあるペプチド、(ii)配列番号32、33、34または35に示す配列を有するHCVR CDR2にあるペプチド、及び(iii)配列番号36または37に示す配列を有するHCVR CDR3にあるペプチド、からなる群より選ばれる1、2、または3つのペプチドを含むモノクローナル抗体。
【請求項7】
モノクローナル抗体は、全長の抗体、実質的に完全な抗体、キメラ抗体、Fab断片、F(ab’)断片、または単鎖Fv断片である請求項1から6いずれか記載のモノクローナル抗体。
【請求項8】
モノクローナル抗体は、ヒト化抗体である請求項1から7いずれか記載のモノクローナル抗体。
【請求項9】
抗体に存在する定常領域は、家畜、スポーツ動物、および食料源動物からなる群より選ばれる動物のゲノムに由来する請求項1から6いずれか記載のモノクローナル抗体。
【請求項10】
(i)
a)配列番号46または43に示す配列を有するペプチドからなる免疫原性ペプチド、
b)配列番号46または43に示す配列を有するペプチドの24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、または5個の隣接アミノ酸からなり、少なくとも1個のアミノ酸が、GDF−11内の対応する位置におけるアミノ酸と異なる免疫原性ペプチド、
c)任意の哺乳動物の成熟ミオスタチンのアミノ酸40−64からなる免疫原性ペプチド、
d)任意の哺乳動物の成熟ミオスタチンのアミノ酸40−64からなるペプチドの24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、または5個の隣接アミノ酸からなり、少なくとも1個のアミノ酸が、GDF−11内の対応する位置におけるアミノ酸と異なる免疫原性ペプチド、
からなる群より選ばれるペプチドを注入することによって非ヒト動物を免疫化し、
(ii)免疫化した動物から抗ミオスタチンモノクローナル抗体を産生し、
(iii)成熟ミオスタチン、もしくは免疫原性ペプチドを含むその一部、または免疫原性ペプチドに特異的に結合する抗体を求めて、産生した抗ミオスタチンモノクローナル抗体をスクリーニングする、ことによって抗ミオスタチンモノクローナル抗体を生成する方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法によって生成されるモノクローナル抗体。
【請求項12】
(i)
a)配列番号46または43に示す配列を有するペプチドを含む免疫原性ペプチド、
b)配列番号46または43に示す配列を有するペプチドの24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、または5個の隣接アミノ酸からなり、少なくとも1個のアミノ酸が、GDF−11内の対応する位置におけるアミノ酸と異なる免疫原性ペプチド、
c)任意の哺乳動物の成熟ミオスタチンのアミノ酸40−64からなる免疫原性ペプチド、および
d)任意の哺乳動物の成熟ミオスタチンのアミノ酸40−64からなるペプチドの24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、または5個の隣接アミノ酸を含み、少なくとも1個のアミノ酸が、GDF−11内の対応する位置におけるアミノ酸と異なる免疫原性ペプチド、
からなる群より選ばれるペプチドを注入することによって非ヒト動物を免疫化し、
(ii)免疫化した動物から抗ミオスタチンモノクローナル抗体を産生し、
(iii)
a)配列番号46または43に示す配列を有するペプチドからなる抗原ペプチド、
b)配列番号46または43に示す配列を有するペプチドの24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、または5個の隣接アミノ酸からなり、少なくとも1個のアミノ酸が、GDF−11内の対応する位置におけるアミノ酸と異なる抗原ペプチド、
c)任意の哺乳動物のミオスタチンの成熟型の40−64位でのアミノ酸からなる抗原ペプチド、および
d)任意の哺乳動物のミオスタチンの成熟型の40−64位でのアミノ酸からなるペプチドの24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、または5個の隣接アミノ酸からなり、少なくとも1個のアミノ酸が、GDF−11内の対応する位置におけるアミノ酸と異なる抗原ペプチド、
からなる群より選ばれるペプチドに特異的に結合する抗体を求めて、産生した抗ミオスタチンモノクローナル抗体をスクリーニングする、ことによって抗ミオスタチンモノクローナル抗体を生成する方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法によって生成されるモノクローナル抗体。
【請求項14】
請求項1〜9、11、および13のいずれかに記載の抗体を含む医薬組成物。
【請求項15】
薬理学的に許容できる担体を更に含む請求項14記載の医薬組成物。
【請求項16】
治療的有効量の、請求項14または15に記載の医薬組成物を、必要とする被検者に投与することを含む、筋肉量を増加させる方法。
【請求項17】
治療的有効量の、請求項14または15に記載の医薬組成物を、必要とする被検者に投与することによって、虚弱、悪液質、筋肉疲労、筋衰弱、ミオパシー、筋ジストロフィー、骨粗鬆症、COPD、腎臓不全または疾患、肝不全または疾患、心不全、II型糖尿病またはメタボリックシンドロームを治療または予防する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−530551(P2007−530551A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505055(P2007−505055)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/009307
【国際公開番号】WO2005/094446
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(594197872)イーライ リリー アンド カンパニー (301)
【Fターム(参考)】