説明

抗体製造方法

【課題】生体に対して有害な生理的作用を及ぼす可能性を有する夾雑物の混入が少ない、生物学的安全性に優れる抗体を得るための抗体製造方法の提供。
【解決手段】抗体を含有する医薬原料溶液から医薬品としての抗体を得る抗体製造方法において、水不溶性担体にリガンドとして複素環式芳香族アミノ酸を共有結合させた吸着体に前記医薬原料溶液を接触させて、該吸着体に夾雑物を吸着し、抗体を素通りさせて回収する工程を含むことを特徴とする抗体製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品としての抗体を得る製造方法に関するものであり、医薬原料溶液から目的とする抗体を精製し、回収する工程を含む抗体製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
抗体は、それが認識し、結合する標的物質に対する特異性の高さから、研究用試薬や臨床検査試薬として極めて有用である。ことに近年においては、遺伝子組換え技術などのバイオテクノロジーを利用して種々の治療用抗体が開発され、従来治療が困難であったリウマチや癌などの分野において、画期的な治療薬として医療技術の進歩に大きく貢献している。これらは一般に抗体医薬と称されている。また、抗体は動物の体液からも精製することが可能であり、ヒトの血漿から精製された抗体はガンマグロブリン製剤と称され、医薬品として使用されている。
【0003】
医薬品としての抗体製造においては、ヒトや免疫した動物の血液や腹水などの体液あるいは抗体産生能を持つ細胞の培養液が原料として使用される。これらの医薬原料溶液には、目的とする抗体以外に様々な蛋白やDNA等の不純物が含まれているため、精製工程において、古くは分別沈殿やイオン交換等の古典的手法を駆使して精製が行われていたが、抗体の精製度をより高め、しかも生産性も高めるために、クロマトグラフィーを利用した分離技術が数多く検討されている(特許文献1)。
【0004】
近年、抗体産生能を持つ細胞の培養による抗体生産では、技術の進歩によって、単位培養あたりの生産量が年々向上しており、それにともなってこれら不純物の除去に求められるレベルは年々厳しいものになっている。
【0005】
現在、抗体の精製工程にはスタフィロコッカス属黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)由来のプロテインAをリガンドとするアフィニティクロマトグラフィーがよく使用される。プロテインAは、抗体、すなわち免疫グロブリンのFc領域に対して高い特異性と親和性を有することから、これを吸着体のリガンドに用いた抗体精製方法が知られている(例えば、特許文献2)。プロテインAは、中性条件下で抗体のFc領域に高い親和性を示すため、医薬原料溶液から抗体を精製する際には、水不溶性担体にプロテインAをリガンドとして結合させた吸着体に医薬原料溶液を接触させて抗体を特異的に吸着させる。そして、中性の生理的溶液で非吸着成分を洗浄し、除去した後、酸性の生理的溶液で吸着抗体をリガンドから解離させると、抗体が高率に回収できることが良く知られている。
【0006】
プロテインA等を用いた抗体の精製方法は、結合特異性に優れるという長所があるものの、抗体を高率に回収するにはpH3付近(pH2.5〜4.0未満)という低いpH条件が必要となる。低いpH条件はウイルス不活化工程も兼用できるという利点もあるので、低pHに対して頑健なモノクローナル抗体を精製する場合には有効な方法といえる。しかしながら、低pHで変性して失活する抗体には適用できなかった。また、たとえ低pH下で適用できたとしても、低pH下では抗体の高次構造が変化しやすいため、失活には至らなくても凝集体の生成を引き起こす場合があることが知られている(非特許文献1)。この抗体凝集体は、ヒトに投与した場合に抗原性を示すことが懸念されているので、こと治療用抗体の製造においては、後段の精製工程による凝集体の除去および残留量のモニタリングが求められる(非特許文献2)。
【0007】
一方、プロテインA等を用いた抗体の精製工程には、溶出のリスクが知られている。第一に、プロテインAは微生物由来のタンパク質であるがゆえ、精製操作中に担体から脱離したプロテインAが最終製品中に有意な量で混入した場合、この抗体医薬がヒトに投与されると、感受性の高い患者でアナフィラキシー様の症状を引き起こす可能性がある(非特許文献3)。したがって、抗体医薬の製造工程にプロテインAを用いる場合、工程の後段でのプロテインAの除去のバリデーションや残留量の厳密なモニタリングがなされるべきである(非特許文献4)。
【0008】
第二に、プロテインAのリガンドに特に細胞培養液を直接供給する場合、培養液中に存在するプロテアーゼの作用により、プロテインAが切断されることがある。その結果、抗体結合能の低下ばかりではなく、フラグメントやプロテインA自体の最終製品への混入が懸念される。
【0009】
以上のように、抗体の製造工程においては、プロテインAをリガンドとするアフィニティクロマトグラフィーがよく使用されるが、生産細胞由来のDNAや生産細胞由来の蛋白質(Host Cell Protein、以下、HCPと略す)、脂質、多糖などに加えて、精製中に抗体の分解や変性が起き易く、しばしば分解物や凝集体(抗体同士、あるいは抗体と担体から脱離したプロテインA(以下、プロテインA由来分子と略す)とによるからなるものが知られている)が生じて混入してくるが、単位培養あたりの生産量の増加に伴って、抗体を含有する医薬原料溶液の濃度が上がるにつれてこれらはより生じ易く、蓄積し易くなってきた。特に分解物や凝集体は、抗体そのものと物理化学的特性が類似しており、効率よくこれらを除去できる精製方法が求められている。
【0010】
一方、体液を原料として抗体製造を行う場合にも、伝統的な化学処理による分離精製法に加えて、近年ではしばしば製造工程に種々の原理のクロマトグラフィーが使用されるようになってきた。これに伴って、工程の中間の溶液は細胞の培養による抗体生産の場合と、同様に取り扱われるようになり、やはり分解物や凝集体の除去が問題となってきた。
【0011】
この抗体含有夾雑物を除去する方法として限外濾過膜を用いた方法(特許文献3)、各種クロマト(プロテインAカラム、イオン交換カラム、サイズ排除カラム)を組み合わせた方法(特許文献4)、マルチモーダルリガンドが固定化された吸着体を用いる方法(特許文献5)などが知られている。
【0012】
限外濾過膜を用いた方法は精製度の点で不十分であり、各種クロマトを組み合わせた方法はサイズ排除カラムを用いるという点で工業スケールでの製造には向かない。また、マルチモーダルリガンドを用いた方法は人体の構成成分ではない合成化合物である点が問題である。このような合成化合物が混入した抗体医薬がヒトに投与されると、血中でアルブミン等のキャリアタンパクに結合して抗原性を獲得することがあり、感受性の高い患者でアナフィラキシー様の症状を引き起こす可能性を免れないからである。したがって、工程の後段で混入物の除去や残留量の厳密なモニタリングが必須となる。
【0013】
一方、水不溶性の担体にトリプトファンを共有結合させた吸着材としては、例えば特許文献6に記載のものが知られており、血漿の接触によりリウマチ等自己免疫疾患患者の自己抗体、免疫複合体を吸着除去できることが記載されているが、医薬品としての抗体製造方法への利用については全く触れられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平7−267997号公報
【特許文献2】欧州特許第310719号明細書
【特許文献3】特開昭56−59716号公報
【特許文献4】特許第2638680号公報
【特許文献5】特表2008−505851号公報
【特許文献6】特開昭58−165861号公報
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Journal of Pharmaceutical Sciences, 96(2007),1-26
【非特許文献2】http://www.fda.gov/cder/regulatory/follow_on/200512/200512_rosenberg.pdf
【非特許文献3】Staphylococci and Staphylococcal infections 2 (Eds. C.S.F. Easmon and C.Adlam), pp. 429-480, Academic Press Inc., London 1983.
【非特許文献4】<http://www.fda.gov/cber/gdlns/ptc_mab.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
医薬品としての抗体を工業的に製造するにあたり、従来よく知られる精製方法における前記諸問題に鑑みて、本発明は以下を目的とする。すなわち、生体に対して有害な生理的作用を及ぼす可能性を有する夾雑物の混入が少ない、生物学的安全性に優れる抗体が得られる抗体製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、前記課題を解決するために、種々の吸着体や精製方法について鋭意研究を重ねた。その結果、医薬原料溶液から抗体と夾雑物を効率よく分離するために、特定のアミノ酸リガンドが担体に結合された吸着体を用いた抗体の製造方法の有用性を見出し、以って本発明を完成した。
【0018】
すなわち、本発明は以下を含む。
(1)抗体を含有する医薬原料溶液から医薬品としての抗体を得る抗体製造方法において、水不溶性担体にリガンドとして複素環式芳香族アミノ酸を共有結合させた吸着体に前記医薬原料溶液を接触させて、該吸着体に夾雑物を吸着し、抗体を素通りさせて回収する工程を含むことを特徴とする抗体製造方法。
(2)医薬原料溶液が、細胞培養液または抗体製造過程における工程途中の溶液である上記(1)に記載の抗体製造方法。
(3)複素環式芳香族アミノ酸が、トリプトファンである上記(1)または(2)に記載の抗体製造方法。
(4)夾雑物が、抗体由来の凝集体、及び抗体生産細胞由来の蛋白質(HCP)、抗体生産細胞由来のデオキシリボ核酸(DNA)、脂質、多糖、プロテインA由来分子の少なくとも1つを含む上記(1)〜(3)のいずれかに記載の抗体製造方法。
(5)抗体を含有する医薬原料溶液の液性を調整する工程を行った後、前記吸着体に前記医薬原料溶液を接触させる上記(1)〜(4)のいずれかに記載の抗体製造方法。
(6)抗体が、免疫グロブリンG(IgG)である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の抗体製造方法。
(7)抗体が、少なくとも一部のヒト由来アミノ酸配列を含むIgGである上記(6)に記載の抗体製造方法。
(8)水不溶性担体が、粒状体である上記(1)〜(7)のいずれかに記載の抗体製造方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明の抗体製造方法は、細胞の構成成分の1つであるアミノ酸をリガンドとして用いるため、生物学的安全性に優れている。目的とする抗体とそれ以外の成分の分離のみならず、目的とする抗体と凝集体をシャープに分離できることができるため、副作用の発生が懸念される凝集体等の夾雑物が少ない目的抗体を得ることができる。
これらの結果、医薬品としてふさわしいレベルの異種タンパク質、人工合成化合物あるいは抗体凝集体の混入の少ない抗体を安全かつ効率よく得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】酸変性IgG凝集体のクロマトグラムである。
【図2】未変性IgGと酸変性IgG凝集体との混合溶液のクロマトグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明でいう抗体とは、生化学における一般的な定義のとおり、脊椎動物の感染防禦機構としてBリンパ球が産生する糖タンパク分子(ガンマグロブリンまたは免疫グロブリンともいう)であり、由来する生物種やアイソタイプ、サブクラスといった構造の違いやモノクローナル・ポリクローナルの別には限定されない。例えばヒト等では定常領域の構造の違いにより、抗体はIgG,IgA,IgM,IgD,IgEの5種類のアイソタイプに分類されるが、それぞれの基本的な構造単位と実質的に同一なものを1つだけ有し、他の分子種と複合体を作っていない各アイソタイプを意味する。
【0022】
各アイソタイプの基本的な構造単位については、生化学辞典、東京化学同人発行、1984にそれぞれ見出し語IgE、IgA、IgM、IgG、IgDとして説明されている。実質的に同一なものとは、各アイソタイプの基本的な構造単位を完全な形で備えた抗体、及びその抗体の薬理効果や物理化学的性質に影響が及ばない範囲で、抗体を構成する一部のアミノ酸に化学的な変化が生じたものの両者を意味し、実質的に同一であることは例えば活性や溶解度を、完全な抗体と比較することによって示すことができる。例えばN末端のアミノ酸が1個欠失していても、その欠失が抗体の薬理効果や物理化学的性質に影響を及ぼさないならば、その欠失体は、もとの抗体と実質同一である。
【0023】
本発明でいう抗体は、上記の各アイソタイプが1つ以上含まれたものであり、各アイソタイプは、そのアイソタイプに属するサブクラスのどれであっても良い。その基本的な構造単位は、種々の化学処理が施されていても良く、例えば放射性同位元素や低分子の医薬品、蛍光や磁気を発する化合物等と結合されたもの、薬理作用の制御のためにポリエチレングリコールで修飾されたもの等であっても良く、IgGまたはIgMである抗体、IgGである抗体、IgMである抗体等が好ましい。
【0024】
本発明でいう抗体には、可変領域と定常領域ともにマウスやヤギなどの哺乳動物由来のものだけでなく、少なくとも一部がヒト由来であるものも含まれるが、少なくとも一部がヒト由来である抗体が好ましい。少なくとも一部がヒト由来である抗体としては、例えば可変領域がマウスなどヒト以外の生物由来であり、定常領域がヒト由来であるキメラ抗体、可変領域のうち、相補性決定領域 (complementarity-determining region: CDR) がヒト以外の生物由来で、その他のフレームワーク領域 (framework region: FR) と定常領域がヒト由来であるヒト化抗体、可変領域と定常領域ともにヒト由来であるヒト抗体、定常領域の一部であるヒト由来のFc領域と他のヒト由来タンパクの一部を、遺伝子工学的に一つのタンパクとして発現させたFc融合タンパク等が含まれるが、少なくとも定常領域の一部がヒト由来である抗体が好ましく、より好ましくは、ヒト化またはヒト抗体であり、さらに好ましくはIgGまたはIgMであるヒト化またはヒト抗体、IgGであるヒト化抗体またはヒト抗体、IgMであるヒト化抗体またはヒト抗体、等が挙げられる。
【0025】
本発明でいう夾雑物とは、抗体を含有する医薬原料溶液に存在する抗体以外のさまざまな分子種を意味し、これらは製造工程において除去されるべきものである。医薬品としての抗体製造においては、抗体を含有する医薬原料溶液として通常用いられるものは、詳細は後述するが、例えばヒトあるいは免疫した動物の血漿、血清や腹水等の体液と、ハイブリドーマや抗体遺伝子を組み込んだ各種細胞等の抗体産生能を持つ細胞の培養液、体液もしくは抗体産生能を持つ細胞培養液からの抗体製造過程における工程途中の溶液等である。
【0026】
体液には抗体以外に血漿タンパク、DNA、脂質、多糖などが含まれており、これらが主な夾雑物になる。一方、細胞培養液では、HCP、抗体生産細胞由来のDNA、脂質、多糖に加えて、培養中に生じた抗体由来の欠失体や凝集体が主な夾雑物になる。一方、体液もしくは抗体産生能を持つ細胞培養液からの抗体製造過程における工程途中の溶液では、体液に含まれる夾雑物または細胞培養液に含まれる夾雑物の組成や含有量が工程の内容により軽減されることが多いが、工程中の物理的処理や化学的処理によって抗体由来の欠失体や凝集体の存在度はしばしば増加する。
【0027】
抗体由来の凝集体は、本発明においては抗体の基本構造単位が分解したり、高次構造が変化したりして変性することをきっかけとして、抗体由来の分子が2つ以上凝集して生じるものと、少なくとも1つ以上の抗体由来の分子が1種以上の抗体以外の分子種と凝集して生じるものであり(抗体とプロテインAあるいはその断片との複合体もこれに含まれる)、特に工程中の物理的処理や化学的処理によって生じ、あるいは蓄積するものを意味する。凝集体の存在は、例えば溶液の濁度の増加や分子量解析(抗体由来のアミノ酸配列を含み、かつもとの抗体よりも分子量の大きなもの)によって示すことができる。
【0028】
一方、抗体の欠失体とは、本発明においては抗体の基本構造が分解し、もとの抗体より分子量が小さくなって、元の抗体に比べて薬理効果が低下したり、あるいは物理化学的性質が医薬として適さなくなったものを意味する。例えばN末端のアミノ酸が1個分解して、もとの抗体の薬理効果が低下したり物理化学的性質が医薬として適さなくなった抗体は欠失体である。
【0029】
医薬品としての抗体製造においては、以上に述べた多くの夾雑物をできるだけ同時に効率良く除去できることが好ましい。
【0030】
本発明は前記(1)〜(8)の他、以下も含む。
(9)夾雑物が、抗体由来の凝集体、及びHCP、脂質、プロテインA由来分子の少なくとも1つを含む前記(4)に記載の抗体製造方法
(10)夾雑物が、抗体由来の凝集体、及びHCPまたはプロテインA由来分子の少なくとも1つを含む前記(9)に記載の抗体製造方法
(11)夾雑物が、抗体由来の凝集体、及びHCPである前記(10)に記載の抗体製造方法
(12)夾雑物が、抗体由来の凝集体、及び血漿タンパク、DNA、脂質、多糖の少なくとも1つを含む前記(1)〜(3)いずれかに記載の抗体製造方法
(13)夾雑物が、抗体由来の凝集体、及び血漿タンパク、脂質、多糖の少なくとも1つを含む前記(12)に記載の抗体製造方法
(14)夾雑物が、抗体由来の凝集体、及び血漿タンパクである前記(13)に記載の抗体製造方法
(15)夾雑物が、抗体由来の凝集体及び欠失体である前記(1)〜(3)いずれかに記載の抗体製造方法。
(16)夾雑物が、抗体由来の欠失体である前記(15)に記載の抗体製造方法
(17)夾雑物が、HCP、脂質、プロテインA由来分子の少なくとも1つを含む前記(1)〜(3)いずれかに記載の抗体製造方法
(18)夾雑物が、HCPである前記(17)に記載の抗体製造方法
【0031】
医薬品としての抗体は、大略、以下の工程を経て製造される。すなわち、細胞培養工程、細胞分離工程、精製工程、ウイルス除去工程、濃縮・バッファー交換工程、ボトリング工程という順番である。勿論このフローに限定されるものではなく、付加的な工程が挿入されたり、各工程の一部が入れ替わることもある。上記は、細胞培養法によって目的抗体の生産を行う場合の代表的フローであるが、体液から目的抗体を精製する場合は、細胞培養工程と細胞分離工程を経ずに体液が精製工程に投入される。
【0032】
本発明において、体液とは、血液、血漿、血清、リンパ液、腹水、胸水、あるいはそれらの混合液を意味し、細胞培養液とは、培養によって目的抗体が細胞外へ放出または分泌された後、細胞が濾過や沈殿によって分離された溶液もしくは抗体産生細胞を機械的刺激または化学的に破壊して培養液中に抗体を放出させた溶液を意味する。また、本発明において抗体製造過程の工程途中の溶液とは、体液または細胞培養液に対して抗体製造のための何らかの物理的または化学的処理を少なくとも1つ行った溶液を意味し、例えば体液に生理的食塩水、緩衝液、無菌水等の生理的溶液を加えた溶液、培養液に生理的溶液を加えた希釈液、体液や培養液由来の溶液が以下に述べるような精製を経た溶液、さらにイオン交換やクロマトグラフィー等で回収された溶液等を意味する。
【0033】
本発明においては、このように、精製工程のうち、特に特定のアミノ酸リガンドを用いる精製工程に投入する直前の抗体含有溶液を特に医薬原料溶液と総称する。
医薬原料溶液は特に限定されないが、細胞培養液または抗体製造過程の工程途中の溶液であることが好ましく、細胞培養液であることも好ましく、抗体製造過程の工程途中の溶液であることも好ましい。
【0034】
抗体の精製工程にはさまざまなスキームが知られており、本発明の特徴とする工程は、スキームに限定されることなく組み込み、使用できる。即ち、本発明の特徴とする工程の前後に、例えば種々のクロマトグラフィーや分別沈殿、イオン交換、膜分離等の異なる分離様式に基づく精製を、1つまたはそれ以上組み込んだスキームにおいても使用することができる。
【0035】
本発明において重要な第一点はリガンドの選定である。リガンドとは、水不溶性担体上に化学的に固定された、被吸着物質と相互作用をなすものであり、本発明では、リガンドに複素環式芳香族アミノ酸を用いている。周知のとおりアミノ酸は、ヒトも含めた生体の基本的な構成分子であり、医薬原料溶液との接触に対しても安定で水不溶性担体に共有結合で固定されていれば水不溶性担体からの溶出を起こすことは殆どないと考えられるが、仮に溶出が起きたとしても、抗原性や毒性は低く安全である。
複素環式芳香族アミノ酸としては、例えばトリプトファンおよびヒスチジンが挙げられるが、トリプトファンであることが好ましい。
【0036】
本発明において、水不溶性担体とは、水溶液系での固−液分離を可能にする基材、支持体、あるいはそれ自身も分離機能を有する分離素子のことである。したがって、実質的には水不溶性な材質で、リガンドを固定化する際に用いられる有機溶媒や、酸・塩基等の試薬や圧力・温度などの反応条件にさらされても著しく変性しないものがよい。材質は、リガンドの固定化反応の条件等を考慮して適宜選択すればよいが、例えば、ポリオレフィン、ポリスチレン、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリビニルアルコール等の合成高分子やこれらの架橋体、セルロース、アガロース、キチン、キトサン等の天然高分子やこれらの架橋体などが利用できるが、ポリビニルアルコールであることが好ましい。
【0037】
水不溶性担体の形状については、粒状体、繊維集合体、多孔質膜等の何れでもよい。多孔質粒子、不織布、織布、綿状物、多孔質平膜、多孔質中空糸膜はいずれも好ましく、多孔質粒子、多孔質平膜、多孔質中空糸膜はいずれもより好ましい。
【0038】
水不溶性担体へのリガンドの固定は、リガンドの脱落防止の観点から共有結合による。その方法は特に限定する必要はなく、担体の樹脂組成に応じて公知のリガンド固定化技術を適用すればよい。例えば、担体に放射線を照射してラジカルを発生させた後、そこを基点にグリシジルメタクリレート等をグラフト重合することで活性基を導入する方法や、ジグリシジルエーテル、ジアミン等の二官能試薬により担体表面に活性基を導入する方法が利用でき、これらの活性基にアミノ酸のC末端またはN末端を反応させればよいが、N末端を反応させるほうが好ましい。リガンド密度は、目的抗体の種類や、生産スケールを勘案して適宜設定すればよい。
例えば本発明においては、特開昭58−165859号公報に記載の方法により、複素環式芳香族アミノ酸をリガンドとして有する粒子状の水不溶性担体を調製することができる。
【0039】
水不溶性担体に複素環式芳香族アミノ酸をリガンドとして有する吸着体は、製造に適した種々の態様で用いることができるが、例えば樹脂、ガラス、金属等の耐圧性を有するハウジングに充填し、液体の入口と出口とを設けたカラムとして用いることができる。
【0040】
本発明の抗体製造工程において、医薬原料溶液の液性を調整する工程が挿入されていてもよい。この液性を調整する工程とは、医薬原料溶液とリガンドとの相互作用を調節することによって、リガンドに夾雑物を吸着し、抗体を素通りさせて回収する効果をより高めることを目的として行う操作である。
この操作は、医薬原料溶液の疎水性及び/又は電荷を調節する作用を有する塩の該溶液への添加、該溶液のpH調整、該溶液温度の調整、該溶液への有機溶媒の添加のいずれかを行うか、もしくは2種以上を組合せることによって行うことができる。
【0041】
医薬原料溶液の疎水性を調節する作用を有する塩として、陰イオンではSCN,I,NO,Br,Cl,COO,SO2−,PO3−等がこの順でタンパク質とリガンドとの疎水性相互作用を強めることが知られており、陽イオンではBa2+,Ca2+,Mg2+,Li,Cs,Na,K,Rb,NH等がこの順でタンパク質とリガンドとの疎水性相互作用を強めることが知られている(Hofmeister Series)(Shukla,AA.et al.,Process Scale Bioseparations for The Biopharmaceutical Industry,pp.199,Informa plc.)。
また、医薬原料溶液の電荷は、塩の種類及び添加量を適宜選んで溶液のイオン強度を制御することにより、調節することができる。
【0042】
従って、本発明においては、上記のイオンを含む塩を適宜な濃度になるよう用いて、医薬原料溶液の疎水性及び/又は電荷を調節することができるが、塩の種類は、例えば〔A〕に挙げた、医薬品として許容される塩であることが好ましい(アミノ酸の塩を含む)。各塩は、効果が発揮される限りどの濃度で用いられても良いが、例えば下記〔A〕に示す濃度下限のいずれか一つと濃度上限のいずれか一つの組み合わせによって作られる濃度範囲で用いることができ、その一つ一つの濃度範囲はいずれも好ましい。
【0043】
〔A〕
塩:塩化ナトリウム,塩化アンモニウム,塩化カリウム,酢酸ナトリウム,酢酸アンモニウム,硫酸ナトリウム,硫酸アンモニウム,チオシアン酸アンモニウム,クエン酸ナトリウム,リン酸ナトリウム,酢酸カリウム,硫酸カリウム,チオシアン酸カリウム,クエン酸カリウム,リン酸カリウム,塩化マグネシウム,酢酸マグネシウム,硫酸マグネシウム,チオシアン酸マグネシウム,クエン酸マグネシウム,リン酸マグネシウム,塩化カルシウム,酢酸カルシウム,硫酸カルシウム,チオシアン酸カルシウム,クエン酸カルシウム,リン酸カルシウム
L-グリシン,L-アルギニン,L-ヒスチジン,L-トリプトファン等、アミノ酸の塩
濃度下限:0M以上,0.1M以上,0.2M以上,0.3M以上,0.4M以上,0.5M以上,0.7M以上,0.9M以上,1.2M以上,1.5M以上,1.8M以上,2.1M以上,2.4M以上,2.7M以上,3.0M以上,3.3M以上,3.6M以上
濃度上限:4.8M以下,4.5M以下,4.2M以下,3.9M以下,3.6M以下,3.3M以下,3.0M以下,2.7M以下,2.4M以下,2.1M以下,1.8M以下,1.5M以下,1.2M以下,0.9M以下,0.7M以下,0.5M以下,0.4M以下,0.3M以下,0.2M以下,0.1M以下
【0044】
本発明において、医薬原料溶液のpHは、効果が発揮される限りどの範囲で用いられても良いが、例えば下記〔B〕に示す下限のいずれか一つと上限のいずれか一つとの組み合わせによって作られるpH範囲にすることができ、その一つ一つのpH範囲はいずれも好ましい。
【0045】
〔B〕
pH下限:5.0以上,5.3以上,5.6以上,5.9以上,6.2以上,6.5以上,6.8以上,7.1以上,7.4以上,7.7以上,8.0以上,8.3以上,8.6以上
pH上限:10.0以下,9.7以下,9.4以下,9.1以下,8.8以下,8.5以下,8.2以下,7.9以下,7.6以下,7.3以下,7.0以下,6.7以下,6.4以下,6.1以下
【0046】
本発明において、医薬原料溶液の温度は、効果が発揮される限りどの範囲で用いられても良いが、例えば下記〔C〕に示す温度の下限のいずれか一つと、温度の上限のいずれか一つとの組み合わせによって作られる温度範囲を用いることができ、その一つ一つの温度範囲はいずれも好ましい。
【0047】
〔C〕
温度の下限:4℃以上、10℃以上、15℃以上、20℃以上、25℃以上、30℃以上、35℃以上
温度の上限:40℃以下、35℃以下、30℃以下、25℃以下、20℃以下、15℃以下、10℃以下
【0048】
本発明において、有機溶媒の種類と量は効果が得られる限り、どのような有機溶媒でも適宜用いることができるが、例えば下記〔D〕に示す有機溶媒を、〔D〕に示す濃度下限のいずれか一つと濃度上限のいずれか一つとの組み合わせによって作られる濃度範囲で用いることができ、その一つ一つの濃度範囲はいずれも好ましい。
【0049】
〔D〕
有機溶媒:エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジメチルスルフォキシド、ジメチルフォルムアミド、n−プロパノール
濃度の下限:5%以上、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上
濃度の上限:100%以下、90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下
【0050】
本発明は、前記(1)〜(18)の抗体製造方法の他、以下も含む。
(19)医薬原料溶液の液性を調整する工程が、前記〔A〕に示される一つ以上の塩を〔A〕に示す濃度下限のいずれか一つと濃度上限のいずれか一つの組み合わせによって作られる濃度範囲になるように溶液に添加する操作、溶液を前記〔B〕に示す下限のいずれか一つと上限のいずれか一つとの組み合わせによって作られるpH範囲に調整する操作、溶液を〔C〕に示す温度の下限のいずれか一つと、温度の上限のいずれか一つとの組み合わせによって作られる温度範囲になるように調整する操作、〔D〕に示す有機溶媒を、〔D〕に示す濃度下限のいずれか一つと濃度上限のいずれか一つとの組み合わせによって作られる濃度範囲になるように溶液に添加する操作、のいずれかの操作である前記(5)に記載の抗体製造方法。
【0051】
(20)医薬原料溶液の液性を調整する工程が、前記〔A〕に示される一つ以上の塩を〔A〕に示す濃度下限のいずれか一つと濃度上限のいずれか一つの組み合わせによって作られる濃度範囲になるように医薬原料溶液に添加する操作、該溶液を前記〔B〕に示す下限のいずれか一つと上限のいずれか一つとの組み合わせによって作られるpH範囲に調整する操作、該溶液を〔C〕に示す温度の下限のいずれか一つと、温度の上限のいずれか一つとの組み合わせによって作られる温度範囲になるように調整する操作、〔D〕に示す有機溶媒を、〔D〕に示す濃度下限のいずれか一つと濃度上限のいずれか一つとの組み合わせによって作られる濃度範囲になるように該溶液に添加する操作、のいずれか2つ以上の操作の組み合わせである前記(5)に記載の抗体製造方法。
【0052】
(21)医薬原料溶液の液性を調整する工程が、前記〔A〕に示される一つ以上の塩を〔A〕に示す濃度下限のいずれか一つと濃度上限のいずれか一つの組み合わせによって作られる濃度範囲になるように医薬原料溶液に添加する操作、該溶液を前記〔B〕に示す下限のいずれか一つと上限のいずれか一つとの組み合わせによって作られるpH範囲に調整する操作、該溶液を〔C〕に示す温度の下限のいずれか一つと、温度の上限のいずれか一つとの組み合わせによって作られる温度範囲になるように調整する操作、の3つの操作である前記(5)に記載の抗体製造方法。
【0053】
本発明の抗体製造方法において、リガンドを担体に結合した吸着剤に夾雑物を吸着し、抗体を素通りさせて回収する効果をより高めるという本発明の特徴をより発揮するためには、医薬原料溶液の液性を調整すると同時に、その液性と同一の溶液条件に調整した平衡化溶液を用いて、分離に用いる水不溶性坦体にリガンドとして複素環式芳香族アミノ酸を共有結合した吸着体を、予め平衡化しておくことが好ましい。平衡化は、該吸着体に抗体を含有する医薬原料溶液を接触させる前に、例えば、該吸着体をカラムに充填して用いる場合は、カラムボリューム(以下CVと表記することがある)の等倍から数十倍量の上記平衡化溶液をカラム内に通すことによって実施することができる。従って、前記(5)記載の抗体製造方法は、医薬原料溶液の液性を調整する工程を含むと同時に、分離に用いる吸着体を、医薬原料溶液を接触させる前に、医薬原料溶液の液性と同一の溶液条件に調整した平衡化溶液を用いて平衡化する工程も含んでいることが好ましい。
【0054】
更に該吸着体に医薬原料溶液を接触させ終えた後に、例えば上記カラムに残留する抗体を回収するために、上記医薬原料溶液と同一の溶液条件に調整した平衡化溶液を用いてリンスしてやることも好ましい。
【実施例】
【0055】
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0056】
[評価方法]
本発明の抗体製造方法の評価系として、高速液体クロマトグラフィーのシステムを利用した。すなわち、リザーバタンク(平衡化(洗浄)溶液、溶出液、カラム再生液)、送液ポンプ(送液線速4cm/min)、サンプルループ(容量100μL)、カラム(室温)、検出器(紫外線、波長280nm)、ドレンの順に接続した該システムを用いて精製目的物をロードした後、ドレンから回収される各分画中の抗体濃度を定量した。カラムとして、リガンド固定化担体2mlを充填した内径(直径)5mm、ベッド高さ10mmのガラス製カラムを用いた。
【実施例1】
【0057】
<IgG凝集体の分離>
ヒトIgG溶液(ベネシス社、ヴェノグロブリン)50mg/mLを0.1M塩酸水溶液と1:4の割合で混合し、室温にて1晩放置して酸変性IgG凝集体サンプル(以下、IgG−Agと表記)を調整した。吸着体としては、水不溶性坦体にリガンドとして複素環式芳香族アミノ酸(トリプトファン)を共有結合させたイムソーバ(登録商標)TR350(旭化成クラレメディカル社製)を吸着体として用いた。この吸着体を充填したカラムをクロマトシステムに取り付けた。平衡化溶液(1.5M塩化ナトリウムを含む20mM酢酸緩衝液、pH5.0)5カラムボリューム(CV)で平衡化した後、IgG−Agを100μLずつ3回にわけてサンプルループに注入し、各々を前記平衡化溶液1.5CVにてサンプルループからカラムへサンプルを押し出して添加するとともに素通り画分を得た。次に、前記平衡化溶液5CVで洗浄を行い、洗浄画分を回収した。続いて溶出液(塩を含まない20mMグリシン緩衝液、pH9.0)5CVをカラムに通液し、IgG−Agの溶出画分を回収した。さらに、カラム再生液(10mM塩酸溶液、pH1.5)をカラムに通液し、未回収のIgG−Agをカラム再生画分として回収した。各溶出画分中のIgG−Agはクロマトシステムに内蔵のUVモニターを用いて経時的に測定した。
IgG−Agのクロマトグラムを図1に示す。この酸処理条件は、IgGモノマーをほぼ全量凝集化させる条件なので、カラム再生画分に検出されるピークを凝集体と見なした。
【0058】
次に、同じく室温において、IgG−Ag5mLに1Mグリシン水溶液1.5mLを添加してpH約3〜4に戻した後、変性していないヒトIgG溶液1mLを添加して酸変性IgG凝集体および未変性IgGとの混合溶液(以下、IgG−Mxと表記)を調製した。得られたIgG−Mxをサンプルとし、サンプル添加を100μLずつ4回にわけて行った以外は、前記IgG−Agと同様に分画した。
IgG−Mxのクロマトグラムを図2に示す。クロマトグラムの溶出画分に検出されるピークは、凝集していない未変性IgGであることを予め確認している。
図2に示すとおり、IgG−Mxは、酸変性IgG凝集体と未変性IgGにそれぞれ相当するピークに二分された。
【0059】
以上の結果より、本発明の抗体製造方法を用いることで、未変性IgGとIgG凝集体を選択分離可能であることが示された。このことから、溶出液の組成に類似の条件下においてクロマト操作を行うことにより、未変性IgGとIgG凝集体を含む溶液をカラムに素通りさせることで抗体凝集体のみがカラムに吸着し、未変性IgGのみをカラム素通り画分として回収可能であることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明抗体製造方法によれば、医薬品として有用かつ安全性に優れた抗体を高い収率で製造することができる。したがって、従来治療が困難であったリウマチや癌治療等に好適に用いることができる種々の治療用抗体医薬はもちろん、生化学試薬や臨床検査試薬としての抗体をも含めて提供することができるので、医療技術の進歩に大きく貢献できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗体を含有する医薬原料溶液から医薬品としての抗体を得る抗体製造方法において、水不溶性担体にリガンドとして複素環式芳香族アミノ酸を共有結合させた吸着体に前記医薬原料溶液を接触させて、該吸着体に夾雑物を吸着し、抗体を素通りさせて回収する工程を含むことを特徴とする抗体製造方法。
【請求項2】
医薬原料溶液が、細胞培養液または抗体製造過程における工程途中の溶液である請求項1に記載の抗体製造方法。
【請求項3】
複素環式芳香族アミノ酸が、トリプトファンである請求項1または2に記載の抗体製造方法。
【請求項4】
夾雑物が、抗体由来の凝集体、及び抗体生産細胞由来の蛋白質(HCP)、抗体生産細胞由来のデオキシリボ核酸(DNA)、脂質、多糖、プロテインA由来分子の少なくとも1つを含む請求項1〜3のいずれかに記載の抗体製造方法。
【請求項5】
抗体を含有する医薬原料溶液の液性を調整する工程を行った後、前記吸着体に前記医薬原料溶液を接触させる請求項1〜4のいずれかに記載の抗体製造方法。
【請求項6】
抗体が、免疫グロブリンG(IgG)である請求項1〜5のいずれかに記載の抗体製造方法。
【請求項7】
抗体が、少なくとも一部のヒト由来アミノ酸配列を含むIgGである請求項6に記載の抗体製造方法。
【請求項8】
水不溶性担体が、粒状体である請求項1〜7のいずれかに記載の抗体製造方法。

【図1】
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【図2】
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