説明

抗原性ヘテロ複合体を含む安定な免疫原性産物

【課題】対象者において一種または複数の抗原蛋白に対する抗体を誘発する安定な免疫原性産物。
【解決方法】(i)抗原蛋白分子と(ii)担体蛋白分子との組合せで形成され、抗原蛋白(i)の40%以下が担体蛋白分子(ii)と共有結合している免疫原性蛋白のヘテロ複合体からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一種または複数の抗原、特に「自己」抗原に対して産生される特異抗体を産生して液性免疫応答を得るための免疫原性蛋白のヘテロ複合体(heterocomplexes proteiques immunogenes)を含む安定な免疫原性産物と、そのワクチンでの使用とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
所定抗原に対する高レベルの抗体応答を個体で得ることは、「外来」抗原か「自己」抗原かとは無関係に、共通に求められている一つの目標である。
【0003】
しかし、抗体応答が求められる抗原の個体における認識を良くする(bonne reconnaissance)という課題を解決しなければならない場合が多い。特に(a)関連抗原(antigene d'interet)が「ハプテン」すなわち遊離した形の免疫抗原性でなく、高分子量の分子に固定された時にハプテンの特異抗体の生産を誘発する低分子量の化学構造を有する場合や、
(b)関連抗原が「自己蛋白」すなわち個体中で自然に生産される蛋白のため免疫系開発時に対応Tリンパ球クローンが欠失して免疫寛容となる蛋白の場合には抗原認識の問題がある。
【0004】
これまで、関連抗原の認識をB細胞によって誘導し、増加させるために種々の免疫原構成(constructions immunogenes)が開発されてきた。
【0005】
免疫原構成法の第1の形は、補助Tリンパ球(「ヘルパーT」細胞)によって認識された構造を有する担体分子上に関連抗原を共有結合させ、それに組織適合性主複合体(HMC)のクラスII分子と組み合わせ、補助Tリンパ球を活性化し、それによって種々のサイトカイン、特にIL-2を生産し、このサイトカインによって関連抗原の特異B細胞クローンを活性化させるものである。活性化された関連抗原の特異B細胞は増殖し、関連抗原の特異抗体を生産する。この特異抗体が目的物である。この形の免疫原構成法では一般に関連抗原と担体分子との間に共有化学結合を作る。その産物は未結合の産物を精製μg除去する工程後に構造が定義された最終産物となる。
この第1の形の免疫原構成の例はIL-9とオバルブミンとの間の共有結合産物の調製方法に関する下記非特許文献1(Richard達〔Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.97(2):767-772〕に記載されている。
【0006】
特許文献1(米国特許第6,340,461号明細書、Terman)には、個体での特異抗体応答が求められる関連抗原の一種または複数のコピーと「超抗原」からなる担体分子との間の結合産物を開示している。
【0007】
この特許では関連抗原が例えばグルタルアルデヒド(「ペンタンジアル」ともよばれる)を用いて担体分子とのみ結合される。未共有結合の産物は除去して化学構造が明確な最終産物が得られる。
関連抗原と超抗原との間の共有結合からの産物をポリマーの形にすることもできる。この場合にはモノマー状の結合産物を共有結合でない例えばイオン相互作用、吸着相互作用および生物特異性相互作用で互いに結合させる。例えばモノマー結合産物を低イオン強度状態で生じた塩ブリッジで結合して正または負に強く荷電した分子の複合体に形成できる。モノマー結合産物から大きな複合体を作るにはポリ(L-グルタミン酸)またはポリ(L-リシン)のような荷電ポリマーを用いる。モノマー結合産物からポリマーを作る別の実施例では関連抗原と超抗原との間の共有結合のみからなる結合産物を微小粒子(ラテックスビーズ、その他の疎水性ポリマー)の表面で吸収するか、共有結合以外の結合で結合させる。
【0008】
第2の形の免疫原構成は一般に「MAP」(多抗原蛋白)構造とよばれる免疫原である。この免疫原は一般に直鎖または分岐鎖のポリ(リシン)ポリマーで蛋白主鎖が構成され、それに一種または複数の関連抗原が共有結合している。
【0009】
第3の形の免疫原構成は微小粒子からなり、それに一種または複数の関連抗原が結合固定されている。抗原担体の微小粒子は種々の形のものが知られている。例としては抗原性複合体とアジュバントであるQuilA化合物とで構成されるiscome(免疫賦活複合体、immunostimulating comprexes)が知られている。リポソームも知られているが、このリポソームは純度が不十分であるためiscomeと同じ欠点、特に毒性および免疫原性副作用がある。
さらに、乳酸およびグルタミン酸のような生体分解性微小粒子も知られている(非特許文献2(Aguado and Lambert(1992、Immuno.Biol.、Vol.184:113-125)参照)。
【0010】
また、デンプン粒子(特許文献2)も知られている(特許文献2、米国特許第2002/0098203号明細書、Gutavsson達参照)
【0011】
関連抗原はこれら粒子のポリマーマトリックス中に捕捉され、ポリマーマトリックスの分解時に可溶な状態になって抗原は放出される。
ハイブリッド組換え蛋白のみで構成される粒子も開示されている(特許文献3、フランス国特許第2,635,532号公報、Thiollais達参照)。
【0012】
カプタシオンまたは物理的結合によって抗原が微小孔中に固定化された多孔性小球体も知られている(特許文献4、米国特許第5,008,116号明細書、Cahn参照)。
【0013】
しかし、これまでに提案された種々の解決法には調製方法に関連する少なくとも1つの共通した技術的欠点がある。すなわち、未結合または未吸着の抗原を除去するのに必要な段階があるために、関連抗原物質の大部分が失われるという欠点がある。
さらに、従来法では低分子量の関連抗原と担体分子とを組合わせることはできるが、高分子量(例えば10kDa以上)の関連抗原を担体分子と結合させるのは一般に適していない。すなわち、高分子量の関連抗原の分子は立体障害のため同一担体分子に結合させることができない。
【0014】
また、全てではないがほとんどのペプチド抗原構成はその構造中に一つの担体分子を含むという技術的な欠点がある。これは関連抗原および担体分子自体の両方に対して予防的または治療的な免疫応答を誘発するという目的に対しては不都合である。
【0015】
従って、コストがかからず、液性免疫応答が求められる個体において関連抗原に特異な抗体を高レベルに生産できる、調製が容易で、反復して合成が可能な改良された免疫原構成が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第6,340,461号明細書(Terman)
【特許文献2】米国特許第2002/0098203号明細書(Gutavsson達)
【特許文献3】フランス国特許第2,635,532号公報(Thiollais達)
【特許文献4】米国特許第5,008,116号明細書(Cahn)
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Richard達〔Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.
【非特許文献2】Aguado and Lambert(1992、Immuno.Biol.、Vol.184:113-125)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、免疫原構成で従来技術が直面している上記の種々の技術的課題を解決でき、上記の技術的要望を満たすことができる新規な免疫原構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の対象は、(i)抗原蛋白分子と(ii)担体蛋白分子とで構成され、抗原蛋白(i)の40%以下が担体蛋白分子(ii)と共有結合している免疫原性蛋白のヘテロ複合体を含むことを特徴とする、対象者において一種または複数の抗原蛋白に対する抗体を誘発する安定な免疫原性産物にある。
【0020】
本発明の他の対象は、各ヘテロ複合体が(ii)一つの担体蛋白分子と結合した(i)複数の抗原蛋白を含み、抗原蛋白(i)の40%以下が担体蛋白分子(ii)と共有結合していることを特徴とする、対象者において一種または複数の抗原蛋白に対する抗体を誘発する安定な免疫原性蛋白のヘテロ複合物を含む免疫原性産物にある。
本発明の免疫原性産物を構成する免疫原性ヘテロ複合体は、1つの担体蛋白分子(ii)に対して5〜50個の抗原蛋白(i)、好ましくは1つの担体蛋白分子(ii)に対して20〜40個の抗原蛋白(i)を含むのが好ましい。
一種または複数の抗原蛋白(i)と担体蛋白分子(ii)との間の共有結合は官能性結合剤によって行うのが好ましい。
【0021】
「関連抗原」(antigene d'interet)分子とはそれに対する抗体の生産が求められる天然の抗原蛋白の一種または複数のBエピトープを含む任意の蛋白を意味する。この関連抗原蛋白は天然蛋白自体または天然蛋白の蛋白誘導体、例えば天然蛋白のペプチド断片や、化学的、物理的処理または遺伝子変異で得られる生物学的に不活性な形態の任意の天然蛋白で構成できる。さらに、この関連抗原分子は天然蛋白のホモオリゴマーまたはホモポリマーおよび天然蛋白のペプチド断片のホモオリゴマーまたはホモポリマーにすることもでき、さらには天然蛋白に最初から含まれている複数の異なるペプチド断片が組み合わさったテロオリゴマーまたはヘテロポリマー中にすることもできる。
【0022】
本発明の免疫原性産物の一般的な実施態様では、担体蛋白分子(ii)は担体蛋白分子を細胞表面に有する細胞に対してヘルパーTリンパ球および/または細胞障害性Tリンパ球の生産を誘発する免疫原性蛋白か、組織適合性主複合体(MHC、Complexe Majeur d'Histocompatibilite)のクラスIおよび/またはIIの分子と組み合わされてそれを生じる任意のペプチドである。この担体蛋白分子(ii)は担体蛋白に対して産生されるBリンパ球によってヘルパーTリンパ球の生産および抗体の生産の両方を誘発する免疫原性蛋白にすることもできる。
【0023】
特に重要な実施態様の免疫原性産物では、担体蛋白分子(ii)は担体蛋白分子を細胞表面に有する細胞に対して産生される細胞障害性Tリンパ球の生産を誘発する免疫原性蛋白か、組織適合性主複合体(MHC)のクラスI分子と組み合わされてそれを生じる任意のペプチドである。
【0024】
本発明の好ましい免疫原性産物は抗原蛋白(i)および蛋白担体分子(ii)がそれぞれ下記であるa)〜j)のヘテロ複合体を含む免疫原性産物の中から選択される:
【0025】
a) (i)IL-4、(ii)KLH;
b) (i)αインターフェロン、(ii)KLH;
c) (i)VEGF、(ii)KLH;
d) (i)IL-10、(ii)KLH;
e) (i)αインターフェロン、(ii)VIH1のgp 160;
f) (i)IL-4、(ii)Bet v1 アレルゲン性抗原;
g) (i)VEGF、(ii)パピロマウイルスE7蛋白;
h) (i)不活性化VIH1 Tat蛋白、(ii)VIH1 gp120蛋白;
i) (i)アイソタイプIgEヒト抗体、(ii)不活性化VIH1 Tat蛋白;
j) (i)リシンβ断片、(ii)KLH
【0026】
本発明のさらに他の対象は、上記の免疫原性産物を含む組成物、特に医薬組成物、免疫原性組成物またはワクチン組成物にある。
本発明のさらに他の対象は、下記の段階を含む上記免疫原性産物の調製方法にある:
a)抗原蛋白(i)と担体分子(ii)とを化学結合剤の存在下で(i):(ii)のモル比を10:1〜50:1にして培養し、
b)段階a)で得られた免疫原性ヘテロ複合体を含む免疫原性産物を回収する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】アガロースゲルで等電点電気泳動した後、免疫ブロット(「ウエスタンブロット」)によって蛋白を回収したマウスKLH-VEGFヘテロ複合体を含む免疫原性産物の特徴を示す図。
【図2】クーマシーブルーで呈色反応させた等電点電気泳動後に免疫ブロット(「ウエスタンブロット」)を行ったヒトKLH-VEGFヘテロ複合体を含む免疫原性産物の特徴を示す図で、図の左側は等電点電気泳動ゲルを示し、図の右側は抗KLH(左)またはヒト抗VEGF(右)抗体を用いた免疫ブロットゲルを示す。
【図3】アガロースゲルの等電点電気泳動後に免疫ブロット(「ウエスタンブロット」)で蛋白を回収したヒトKLH-IL4ヘテロ複合体を含む免疫原性産物の特徴を示す図。
【図4】アガロースゲルの等電点電気泳動後に免疫ブロット(「ウエスタンブロット」)で蛋白を回収したgp 160-IFNα複合体を含む免疫原性産物の特徴を示す図。
【図5】マウス免疫化後に得られる抗体価から決定したマウスKLH−VEGF免疫原性産物の免疫原性(液性)活性を示すグラフで、図5AはマウスVEGFで免疫化したマウス、図5BはKLH-VEGFヘテロ複合体を含む免疫原性産物で免疫化したマウス、図5Cはフロイントの不完全アジュバント(FIA)を注射したマウスの場合である。
【図6】免疫化後に得られる抗体の中和能から決定したマウスKLH−VEGF免疫原性産物の免疫原性(液性)活性をVEGF蛋白の血管形成活性に対して示すグラフ。
【図7】ヒトKLH−VEGF免疫原性産物の免疫原性(液性)活性を免疫化後に得られた抗体価から決定したグラフ。
【図8】免疫化後に得られた抗体の中和能から決定したヒトKLH−VEGF免疫原性産物の免疫原性(液性)活性を内皮細胞の増殖によって測定されるVEGF蛋白の血管形成活性に対して示すグラフ。
【図9】免疫化後に得られた抗体価から決定したマウスKLH-IL4免疫原性産物の免疫原性(液性)活性を示すグラフ。
【図10】免疫化後に得られた抗体の中和能から決定したヒトKLH−VEGF免疫原性産物の免疫原性(液性)活性をIL-4によるHT-2細胞の増殖の誘発活性に対して示すグラフ。
【図11】KLH-IL4複合体を含む本発明の免疫原性産物で予め免疫化したマウスにカバノキの花粉を注射した後のBet ≡och1に対して産生されるIgGおよびIgEクラス抗体の生産の結果を示すグラフ。
【図12】免疫化後に得られた抗体の中和能で決定したヒトKLH-IL4免疫原性産物の免疫原性(液性)活性をIL-4によるHT-2細胞の増殖の誘発活性に対して示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は個体において関連抗原に特異な抗体の高レベルの生産を誘発する新規な免疫原作成を提供する。
本発明の免疫原性蛋白ヘテロ複合体
本発明者は、関連抗原と担体蛋白とを一部が共有結合で且つ一部が共有結合でない結合で組合せた関連抗原と担体蛋白とを組合せた免疫原性産物で個体を免疫化することによって、個体において関連抗原に対して特異な抗体を高レベルで生産できるということを見出した。
【0029】
より正確には、本発明者は、関連抗原と担体蛋白分子との一部のみを共有結合で組合せ、関連抗原と担体蛋白分子との他の組合せは弱い結合(イオン相互作用、水素結合、ファンデルワールス力等)で結合させた、関連抗原と担体蛋白分子との間の安定な組合せからなる蛋白のヘテロ複合体を含む安定な免疫原性産物で個体を免疫化した時に関連抗原に対して優れた抗体応答が得られるということを見出した。
【0030】
本発明者は特に、上記の安定な免疫原性産物において関連抗原の40%以下の分子が担体蛋白分子と共有結合している時に最適な抗体応答が得られるとういことを見出した。
【0031】
本発明で関連抗原分子が「1つの」共有結合で担体蛋白分子と共有結合しているとは関連抗原分子が担体蛋白分子に少なくとも1つの共有結合、必要な場合には2つ以上の共有結合よって化学的に共有結合していることを意味する。
【0032】
本発明の免疫原性産物で共有結合によって結合された担体蛋白分子と関連抗原蛋白の割合(比率)は当業者が容易に確認できる。例えば、本発明の免疫原性産物で共有結合によって担体蛋白分子と結合された関連抗原分子の比率は下記の方法を用いて決定できる:
(i)免疫原性産物を溶液中の変性状態および還元状態にし、
(ii)サイズ排除クロマトグラフィー段階を行い、この段階(ii)の最後にサイズ排除クロマトグラフィー担体から分子量が低下した各種の蛋白成分を溶離させ、
(iii)最高分子量の蛋白成分を含む溶離フラクション中の担体分子と共有結合で結合している関連抗原の量を測定し、
(iV)段階(iii)で測定した関連抗原の量を出発原料の免疫原性産物中に初期に含まれていた関連抗原の総量と比較する。
【0033】
上記の共有結合%を決定する方法の段階(i)では、所定量(モル数または重量)の本発明免疫原性産物を変性および還元態下で培養して共有結合によって互いに結合していない各種蛋白成分の間の弱い結合を切断する。
【0034】
好ましい変性状態は例えば最終濃度が8Mとなるように尿素を存在させるか、例えば最終濃度が免疫原性産物を含む溶液の全重量の1%となるようにSDSを存在させる方法である。好ましい還元状態は例えば最終濃度で免疫原性産物を含む溶液の全容量の5%までβ−メルカプトエタノールを存在させる方法である。
【0035】
共有結合によって互いに結合された関連抗原の分子と担体蛋白分子の割合を決定する方法の段階(ii)で使用するサイズ排除クロマトグラフィー担体は当業者が適宜選択できる。当業者は例えばPharmacia Corporation社から商品名「Superdex 75(商標)」および「Superdex 200(商標)」で市販されているクロマトグラフ担体を用いることができる。
【0036】
段階(ii)では関連抗原分子と共有結合している担体分子に対応する分子フラクションを最初に溶離し、その後、関連抗原を含む一つまたは複数のフラクションを遊離型で溶離する。遊離型で溶離された関連抗原は出発原料の免疫原性産物中で担体分子と共有結合していなかった関連抗原のフラクションに対応する。この高分子量の蛋白フラクションに対して、例えば免疫−酵素試験、放射性免疫学試験または免疫蛍光試験で、直接または間接的に(「サンドイッチ」)関連抗原に対して特異的かつ担体蛋白分子と交差した免疫学的反応のない抗体を用いて、担体蛋白分子と共有結合している関連抗原の量を測定する。
【0037】
段階(iii)では、上記で測定した担体蛋白分子と共有結合している関連抗原の量を、所定量(モル数または重量)の出発原料の免疫原性産物中に含まれる関連抗原の初期量と比較して、本発明の免疫原性産物中で担体蛋白分子と共有結合している関連抗原の割合を計算する。
【0038】
当業者は、本発明の免疫原性産物で共有結合によって互いに結合した担体蛋白分子と関連抗原蛋白の割合は下記段階を含む第2の方法を用い容易に調べることもできる:
a)担体蛋白に対して産生される特異抗体を支持体に固定化し、
b)段階a)で支持体に固定化した担体蛋白に対して産生される抗体を、担体蛋白と関連抗原蛋白とを含む試験する免疫原性産物の所定量の分子と接触させ、
c)段階a)で固定化した抗担体蛋白抗体と結合していない免疫原性産物の分子を、一種または複数の蛋白変性剤を含む緩衝水溶液によって除去し、
d)
d1)固定化された抗担体蛋白抗体と免疫原性産物の分子との間に段階c)で形成された免疫原性複合体(i)を担体蛋白に対して特異的に産生された抗体(ii)と接触させ、
d2)固定化された抗担体蛋白抗体と免疫原性産物の分子との間に段階c)で形成された免疫原性複合体(i)を、段階d1)とは別に、関連抗原に対して特異的に産生された抗体(ii)と接触させ、
e)
e1)担体蛋白と結合した、段階d1)で追加した抗体を定量し、
e2)抗原蛋白と結合した、段階d2)で追加した抗体を定量し、
f)段階e1)で測定された抗担体蛋白結合抗体の量(i)と、段階e2)で測定された抗担体蛋白結合抗体の量(ii)との比を計算する。この比が出発原料の免疫原性産物において共有結合によって互いに結合した担体蛋白分子と関連抗原蛋白分子の比率である。
【0039】
上記方法の段階c)では、一種または複数の変性剤を含む洗浄水溶液を用いることによって抗担体蛋白抗体と結合した免疫原性産物が変性され、その結果、担体蛋白分子と共有結合によって結合していない関連抗原蛋白分子が洗浄溶液中に放出される。従って、上記方法の段階d2)では担体蛋白分子と共有結合によって結合されている関連抗原蛋白分子のみが定量される。
段階c)で用いられる変性用緩衝溶液はTween(登録商標)20のような界面活性剤を最終濃度が0.1%v/vとなる量含むのが好ましい。
段階d1)およびd2)では各段階の最後に形成される抗原−抗体複合体を検出可能な分子でマークした別の抗体、段階d1)の(i)では検出可能な分子でマークした抗担体蛋白抗体に対する新規な抗体、段階d2)の(ii)では検出可能な分子でマークした抗関連抗原蛋白の抗体に対する新規な抗体と一緒に培養することによって結合抗体の量を測定するのが好ましい。
検出可能な分子としては放射性分子、蛍光分子または酵素を自由に用いることができる。酵素としては特にペルオキシダーゼを用いることができ、その存在はオルト−フェニレンジアミン(OPD)支持体と一緒に培養した後に比色定量によって明らかになる。
上記の方法の詳細なプロトコルについては実施例で説明する。
【0040】
本発明では第1および第2の上記定量方法を用いて例えば下記の事実が示された:
1) KLH担体分子とヒトαインターフェロン分子との間にヘテロ複合体を含む免疫原性産物では3〜8%のαインターフェロン分子がKLH担体蛋白分子と共有結合で結合されている。
2) KLH担体蛋白分子とマウスIL-4分子との間にヘテロ複合体を含む免疫原性産物では約11%のIL-4分子がKLH担体蛋白分子と共有結合で結合している。
【0041】
担体蛋白分子と共有結合で結合された関連抗原蛋白の分子の割合は、調整方法によって異なることは明らかであるが、いずれの場合でも、この割合は常に40%以下である。
【0042】
従って、本発明の対象は、(i)抗原蛋白分子と(ii)担体蛋白分子とで構成され、抗原蛋白(i)の40%以下が担体蛋白分子(ii)に共有結合で結合している免疫原性蛋白ヘテロ複合体からなることを特徴とする、一つまたは複数の抗原蛋白に対して産生される抗体を対象
者において誘発する安定な免疫原性産物にある。
【0043】
本発明のさらに別の対象は一つまたは複数の抗原蛋白に対して産生される抗体を対象者において誘発する安定な免疫原性産物であって、(i)抗原蛋白分子と(ii)担体蛋白分子とで構成され、上記ヘテロ複合体の各々が(ii)担体蛋白分子に結合した(i)複数の抗原蛋白を含み、抗原蛋白(i)の40%以下が担体蛋白分子(ii)に共有結合で結合している免疫原性蛋白ヘテロ複合体からなることを特徴とする免疫原性産物にある。
【0044】
本発明の免疫原性産物によって産生が誘発される抗体は「中和」抗体または「ブロッキング」抗体からなるのがさらに好ましい。「中和」または「ブロッキング」抗体とは、本発明が求める重要な目的である、治療すべき個体の標的病理学的状況において抗体が産生する天然蛋白が生物にとって有害な生物活性を有する場合、例えば天然蛋白が血管形成活性、免疫抑制活性、アレルゲン活性、特にインターロイキン-4産生誘発活性を有する場合に、天然蛋白と結合してこのような天然蛋白の生物活性をブロッキングする抗体と定義される。
【0045】
本発明の免疫原性産物中に含まれる「担体蛋白分子」とは、アミノ酸の配列とは無関係に、鎖長が少なくとも15のアミノ酸で且つ本発明の免疫原性産物を構成するヘテロ蛋白複合体を形成するために関連抗原の分子と一部が共有結合で結合されたときに関連抗原の多数の分子をBリンパ球に与えることができる任意の蛋白またはペプチドを意味する。
【0046】
本発明の第1の観点では、担体蛋白分子は鎖長が少なくとも15のアミノ酸である一つの蛋白または一つのペプチド中、あるいは、このようなペプチドのオリゴマー中に存在し、これらは宿主生物の補助的Tリンパ球(「Tヘルパー」)を活性化する一つまたは複数の補助的なTエピトープ(「ヘルパー」)を含み、この補助的Tリンパ球(「Tヘルパー」)はインターロイキン2を含むサイトカインを生産し、このサイトカインはBリンパ球の増殖を活性化および誘発し、Bリンパ球は成熟後に抗原蛋白(i)に対して抗体を生産する。
【0047】
本発明の第2の観点では、担体蛋白分子は鎖長が少なくとも15のアミノ酸である一つの蛋白または一つのペプチド中、あるいは、このようなペプチドのオリゴマー中に存在し、これは上記の第1の観点と同様に一つまたは複数の補助的なTエピトープ(「ヘルパー」)含むだけでなく、さらに、組織適合性主複合体(MHC)のクラスI抗原と組み合わされて細胞表面で担体蛋白分子またはそれ由来の任意のペプチドを発現する細胞を特異的に認識できる担体蛋白分子に特異的な細胞障害性Tリンパ球の生産によって細胞免疫応答を誘発することができる一つまたは複数の細胞障害性エピトープを含む。担体蛋白分子が一つの蛋白または一つまたは複数のTヘルパーエピトープまたは一つまたは複数の上記定義の細胞障害性Tエピトープを含むを含む他の一つのペプチドの一つのオリゴマーからなる場合もある。
【0048】
本発明の第3の観点では、担体蛋白分子は鎖長が少なくとも15のアミノ酸の一つの蛋白またはペプチド、さらは、上記の第1の観点と同様に一つまたは複数の補助的なTエピトープ(「ヘルパー」)含むのに加えて、さらに、担体蛋白に対して産生されるリンパ球によって抗体の生産を誘発することができる一つまたは複数のBエピトープを含む上記ペプチドのオリゴマーからなる。
【0049】
本発明の実施態様では、関連抗原に対する抗体応答を活性化するのに用いられる担体蛋白のTヘルパーだけでなく、担体蛋白自体も担体の細胞担体蛋白に対する細胞障害応答を活性化し、および/または、担体蛋白分子に対する抗体応答を刺激することができる。
【0050】
担体蛋白分子はさらに、それが生じる天然蛋白のホモオリゴマーまたはホモポリマー、および、それが生じる天然蛋白のペプチド断片のホモオリゴマーまたはホモポリマーからなることができる。関連抗原蛋白はさらに、それが生じる天然蛋白中に初期に含まれる複数の異なるペプチド断片を組み合わせたヘテロオリゴマーまたはヘテロポリマーからなることができる。
【0051】
本明細書では、「抗原蛋白」という用語は、ヒトまたは動物、特に哺乳類の宿主生物のBリンパ球によって発現された抗原のための受容体によって特異的に認識できる、鎖長が少なくとも10のアミノ酸の任意の蛋白またはハプテンペプチドを含む任意のペプチドを意味し、この抗原蛋白は本発明の免疫原性産物中に含まれた時に抗原蛋白を認識する抗体の生産を刺激する。
【0052】
また、「抗原蛋白」とは抗体の生産が求められる天然抗原蛋白の一つまたは複数のBエピトープを含む任意の蛋白を意味する。関連抗原蛋白は天然蛋白自体か、天然蛋白の蛋白誘導体、例えば天然蛋白のペプチド断片と、化学的、物理的処理または遺伝子変異によって得られる生物学的に不活性化された任意形態の天然蛋にすることができる。さらに、関連抗原蛋白は天然蛋白のホモオリゴマーまたはホモポリマーおよび天然蛋白のペプチド断片のホモオリゴマーまたはホモポリマー中に存在することができる。関連抗原蛋白はさらに、天然蛋白中に初めから存在する複数の異なるペプチド断片を組み合わせたヘテロオリゴマーまたはヘテロポリマーにすることもできる。
【0053】
本発明の免疫原性産物では抗原蛋白(i)の30%以下、好ましくは20%以下が担体蛋白分子(ii)と共有結合で結合されているのが有利である。
本発明の免疫原性産物では抗原蛋白(i)の少なくとも1%、好ましくは少なくとも2%が担体分子(ii)と共有結合で結合されているのが有利である。
【0054】
上記定義の本発明免疫原性産物は水溶液中で安定であることが確認されている。本発明の免疫原性産物の安定性の特徴は、免疫原性産物が免疫原性産物の少なくとも一つの蛋白成分(抗原蛋白(i)および担体蛋白分子(ii))の等電点と異なる免疫原性産物自体の等電点を有し、その結果、免疫原性産物が等電点電気泳動試験において免疫原性産物を構成す
る両蛋白成分に対応する免疫原性産物の少なくとも一つの蛋白バンドと異なる蛋白バンドへ移動する点にある。
【0055】
さらに、本発明の免疫原性産物は免疫ブロット(「ウエスタンブロット」)で非変性条件下の電気泳動ゲル中で単一の蛋白バンドへ移動する。これは上記免疫原性産物が可溶性蛋成分の均一な母集団の形をしていることを示す。
【0056】
さらに、本発明の免疫原性産物中に蛋白ヘテロ複合体の形で含まれる抗原蛋白(i)および蛋白分子(ii)は、いずれも、このような蛋白をそれぞれ特異的に認識する抗体によって認識することが確認されている。すなわち、本発明の免疫原性産物は天然構造中に抗原蛋白(i)および担体蛋白分子(ii)を含む。本発明の免疫原性産物のこの技術的特徴は天然の抗原に対する免疫応答すなわち宿主生物で効率的かつ実際に保護免疫応答を誘発するのに特に有利である。特に、本発明の免疫原性産物はそれを投与した宿主生物中で天然の抗原の有害な生物活性に対して中和化抗体またはブロッキング抗体の産生を伴う天然の抗原に対して強力かつ効率的な液性応答を誘発することがわかっている。
【0057】
上記定義の本発明の免疫原性産物を用いて得られる液性免疫応答は、種々の関連抗原において、関連抗原と担体蛋白分子との間に一般的な共役な共有結合をさせた場合に得られる液性免疫応答よりも10〜1000倍高いことが確認されている。
【0058】
本発明の免疫原性産物に含まれる免疫原性蛋白ヘテロ複合体では複数の抗原蛋白(i)が単一の抗原蛋白の複数の標本からなるのが好ましい。すなわち、最も好ましい実施態様では、本発明の免疫原性産物は一つの関連抗原に対して産生される特異抗体が得られるように構成される。
【0059】
さらに、上記定義の免疫原性蛋白ヘテロ複合体を含む免疫原性産物は「自己抗原」の関連抗原すなわち個体中で自然に生産される蛋白によって免疫寛容、特に上記抗原を特異的に認識する補助的Tリンパ球クローン(Tヘルパー細胞)の少なくとも一部の欠失が存在するような蛋白に対する抗体の生産で個体を免疫化するのに特に適しているということが本発明で示された。
換言すれば、本発明の免疫原性ヘテロ複合体を含む免疫原性産物の形で「自己」抗原を個体の免疫系の細胞に与えることによって、そのような抗原に対する個体の免疫系の寛容を「破壊する」ことができる。本出願人は本発明によって「自己」抗原に対して高いレベルの抗体応答が得られるのは補助的Tリンパ球を活性化する、担体蛋白分子が有する「補助的なT」型(またはTヘルパー)の多数のエピトープがヘテロ複合体中に存在すること、さらに、活性化された補助的Tリンパ球によって生産されたIL-2を含むサイトカインによって生物中に潜伏状態で存在する「自己」抗原に対するB細胞の活性化の一部を促進され、それによって「自己」抗原に対するB細胞の免疫寛容が破壊できるためと考えるが、この理論に縛られるものではない。
【0060】
本発明の好ましい実施態様の免疫原性産物は抗原蛋白(i)が対象者の免疫系の細胞によって自己蛋白として通常認識されている蛋白の複数の標本から成る。
関連抗原と担体蛋白分子との結合の60%以上の大部分が共有結合でない相互作用によって行われるという事実から、一つの担体蛋白分子に結合する関連抗原の分子の数は担体分子を有する関連抗原の分子の立体的構造上のアクセス可能性以外には理論的に制限されない。特に、一つの同じ担体蛋白分子に結合する関連抗原の分子の数は関連抗原の複数の分子と共有結合で結合を形成できる担体分子の化学反応の官能基の数で制限されない。従って、唯一の制限は物理的なもので、抗原蛋白(i)にアクセス可能な担体蛋白分子(ii)のサイトの数と思われる。
【0061】
同じ理由から、担体蛋白分子と結合される関連抗原の寸法も厳密には制限されていない。従って、関連抗原は少なくとも10kDaの完全な蛋白、例えば種々のサイトカイン、IL-4、IL-10、VEGFおよびαインターフェロンで構成できる。
【0062】
さらに、分子量が10kDaより大きな完全な蛋白からなる関連抗原の場合でも、担体分子の寸法が許せば、本発明の免疫原性ヘテロ複合体は単一の担体分子に複数の関連抗原を結合することができる。
【0063】
担体蛋白分子の寸法が小さく、例えば10kDa以下、さらには5kDa以下の場合には、本発明の免疫原性産物中に含まれる蛋白ヘテロ複合体を形成する関連抗原と担体蛋白との間の結合の一部を共有結合にすることによって関連抗原と担体蛋白分子の両方が免疫系細胞の受容体にアクセスできるようなヘテロ複合体のコンホメーション(配置)が得られるものと本出願人は考えるが、この理論にも縛られるものではない。
【0064】
すなわち、ヘテロ複合体中に含まれる単一の担体分子上に複数の標本のBリンパ球が存在することは、抗原を認識するB細胞の受容体の「架橋」による「キャッピング」現象を高め、それによって担体蛋白分子に支持された補助的Tエピトープによって活性化された活性化補助的Tリンパ球によって生産されたサイトカインからの活性化信号を受けるB細胞の活性化に寄与することになるので、これは上記定義のヘテロ複合体を含む免疫原性産物の別の技術的利点でもある。
【0065】
従って、免疫原性産物の最も好ましい実施態様では、免疫原性産物が1つの担体蛋白分子(ii)に対して5〜50個の抗原蛋白(i)、好ましくは1つの担体蛋白分子(ii)に対して20〜40個の抗原蛋白(i)を含む。
【0066】
単一の担体蛋白分子上の関連抗原のモル数は担体分子の寸法と関連抗原の分子の寸法とに依存する。担体分子が大きければ大きいほど、また、関連抗原と結合する表面が大きければ大きいほど免疫原性ヘテロ複合体は免疫原性産物中に含まれる担体分子1個に対して関連抗原の分子の標本の数が大きくなる。同様に、関連抗原の分子の寸法が小さくなればなるほど、同一の担体分子上の関連抗原の分子の標本の数は多くなる。
【0067】
例えば担体蛋白分子がKLHの場合、IL-4、IL-10、αインターフェロンまたはVEGFの20〜40個の分子が各担体分子と結合することが本発明ではわかっている。
水溶液中の免疫原性産物の溶解度はヘテロ複合体中の分子相互作用を規制する平衡、特にいわゆる(共有結合でない)「弱い」結合および抗原蛋白および担体蛋白分子の濃度に依存する電気化学的平衡、さらには、イオン強度、pHおよび温度条件によって変わることも確認された。
【0068】
一つまたは複数の抗原蛋白(i)と担体蛋白分子(ii)との間の共有結合は二官能性結合剤によって行うのが好ましい。そうした化学的結合剤は臭化シアン、グルタルアルデヒド、カルボジイミドまたは無水コハク酸にすることができる。
【0069】
カルボジイミドとしては下記化合物を用いることができる:1-シクロヘキシル-3-(2-モルホリニル-4(-エチル)カルボジイミド(CMC)、1-エチル-3-(3-ジメチアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、1-エチル-3-(4-アゾニア-4,4-リメチルペンチル)カルボジイミド、1-シクロヘキシル-3-(2-モルホリニル-(4-エチル)カルボジイミド、(1-エチル-3-(3-ジメチアミノプロピルカルボジイミド(EDC)および1-エチル-3-(4-アゾニア-4,4-ジメチルペンチル)カルボジイミド。
【0070】
ホモ-二官能性カップリング剤としては下記化合物を用いることができる:
1)N-ヒドロキシスクシンイミド、ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)エステル、ジスクシンイミジルスベレートおよびジスクシンイミジルタータラート;二官能性イミドエステルジメチルアジピミデート、ジメチルピメリミデートおよびジメチルスベリミデート;
2)メルカプト基を有する反応剤、1,4-ジ-[3'-(2'-ピリジレジチオ)プロピオンアミド]ブタン、ビスマレイミドヘキサンおよびビス−N−マレイミド-1,8-オクタン;
3)アリール型の二官能性ハロゲン化物および4,4'-ジフルオロ-3,3'-ジニトロフェニルスルホン;
4)SMCC(スクシンイミジル-4-(N-マレインイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート);
5)SIAB(N-スクシンイミジル(4-イオドアセチル)アミノベンゾエート);
6)SMPB(スクシンイミジル-4-(p-マレイミドフェニル)ブチレート);
7)GMBS(N-(綵och-マレイミドブチルオキシ)スクシンイミドエステル);
8)MPBH(4-(4-N−マレイミドフェニル)ヒドラジドブチル酸;
9)M2C2H(4-(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシル−ヒドラジド);
10)SMPT(スクシンイミジルオキシカルボニル-畚och-(2-ピリジル−ジチオ)トルエン)、および、
11)SPDP(N-スクシンイミジル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート)。
【0071】
使用する結合は少なくとも2つの反応性アルデヒド官能基を有すると好ましい。さらに好ましい結合剤はグルタルアルデヒドである。
【0072】
結合剤を用いて担体蛋白分子を抗原蛋白に結合して蛋白ヘテロ複合体を含む産物を形成した後に、蛋白安定剤、例えばホルムアルデヒドで安定化させて、得られた産物を鎖内の結合を形成することもできる。
本発明の免疫原性ヘテロ複合体を含む免疫原性産物は溶液、特に水溶液に可溶なミクロ粒子の形をしている。その平均粒径は(i)担体蛋白分子の寸法、(ii)単一の担体蛋白分子に結合した抗原蛋白の寸法と数および(iii)ヘテロ複合体粒子中に存在する抗原蛋白に結合した担体分子の数によって変わる。
【0073】
実施例に記載のヘテロ複合体粒子の平均粒径は100nm〜300nmであった。
本発明の免疫原性蛋白ヘテロ複合体を含む免疫原性産物は抗原蛋白に結合した担体分子のみを含み、他の物質を全く含まないのがさらに好ましい。特に、本発明のヘテロ複合体は担体と担体を特徴付ける抗原蛋白以外、ポリマー、蛋白または非蛋白の物質を含まない。
【0074】
下記の最近の文献には、組織内で局所的に生理学的に作用するプログラムされた細胞増
殖、分化または死の因子として、インターロイキン、リンホカイン、モノカイン、インターフェロンを含むいくつかのサイトカインが提案されている。
【非特許文献3】ZAGURY D達(2001、Proc.Nail.Acad.Sci.USA.98(14):8024-8029)
【0075】
この文献の著者達は、これまでのワクチン療法戦略は微生物、細胞またはアレルゲンである抗原アグレッサーにのみ焦点を合わせていて、アグレッサーの作用で誘発されるサイトカインの調節解除を克服しようとはしてこなかったと述べている。この著者達はストローマの免疫毒性を中和またはブロッキングし、抗原アグレッサーに抗するのに適した免疫反応を正常に行うことを目的として通常のワクチン接種の前の段階として抗サイトカインワクチン接種を提案している。
【0076】
さらに、本出願人は先の研究でATL白血病、子宮頸癌およびカポジ肉腫の場合はそれぞれ腫瘍またはHIV1感染細胞のレベルで局所免疫抑制に3つの蛋白すなわちHTLV1ウイルスTax蛋白、パピロマウイルスE7蛋白およびV1H-1ウイルスTat蛋白が関与していることを示した(下記特許文献参照)。
【特許文献5】国際出願第WO 00/03732号公報
【0077】
本出願人はさらに、このような免疫抑制蛋白のいくつか、例えばH1V1Tat蛋白およびHPV E7蛋白(系統16および18)は血管内皮細胞で活性効果を有することを記載した。従って、本出願人はガン細胞、ウイルス感染細胞またはストローマ免疫細胞に由来する初期には局所作用で免疫抑制性および/または血管形成性である蛋白、例えばH1V1ウイルスTat蛋白、HTLV1ウイルスTax蛋白、パピロマウイルスE7蛋白およびマンナン依存性レクチンに由来する蛋白から得られる無毒化された免疫原性化合物を含む抗癌または抗ウイルスワクチンを開発することを提案した。
【0078】
本発明では、上記定義の免疫原性ヘテロ複合体を含む免疫原性産物が上記の有害な種々の抗原分子に対して強い抗体応答を誘発ができることを示した。
第1の観点では、本発明の免疫原性産物の一つまたは複数の抗原蛋白(i)は対象者によって自然に生産されるサイトカインからなる。この一つまたは複数の抗原蛋白(i)はインターロイキン-4、αインターフェロン、繃インターフェロン、VEGF、インターロイキン-10、TNFα、TGFβ、インターロイキン-5およびインターロイキン-6の中から選択するのが好ましい。
【0079】
第2の観点では、本発明の免疫原性ヘテロ複合体を構成する一つまたは複数の抗原蛋白(i)が免疫抑制性または血管形成性蛋白あるいは免疫抑制性または血管形成性蛋白に由来する蛋白である。この一つまたは複数の抗原蛋白(i)はパピロマウイルスE7蛋白、HIV 1ウイルス Tat蛋白、HTLV 1またはHTLV 2ウイルス Tax蛋白および自己p53蛋白の中から選択するのが好ましい。
【0080】
第3の観点では、本発明の免疫原性ヘテロ複合体を構成する一つまたは複数の抗原蛋白(i)がヒトまたはヒト以外の動物に低用量で有毒な蛋白である。これらは特に、ヒトに対する致死量が1mg以下、100μg以下、10μg以下、さらには1μg以下である種々の蛋白で、これらはいわゆる「生物兵器」製造に使用可能な主として毒性蛋白、例えばリシン、ボツリヌス毒素、ブドウ球菌エンテロトキシンおよび炭疽毒素蛋白(EF、LF、PA)である。
【0081】
本発明の免疫原性ヘテロ複合体中に含まれる担体蛋白分子(ii)は免疫学で一般に用いられる担体分子、例えばKLH、オバルブミン、ウシ血清アルブミン(BSA)、破傷風トキソイド、Bコレラ毒素等にすることができる。
【0082】
さらに、本発明の免疫原性産物の担体蛋白分子はTヘルパーリンパ球の生産を誘発または刺激する他に、宿主生物中の天然の蛋白自体およびその対応物に対する細胞障害性および/または液性免疫応答をそれぞれ担体分子に特異な細胞障害性Tリンパ球およびBリンパ球によって誘発または刺激するように選択できる。
【0083】
本発明の免疫原性産物のこうした特定の実施態様は、中和またはブロッキング抗体を生産するための免疫抑制性または血管形成性の有害蛋白に対する効率的な抗体応答と、組織適合性主複合体(MHC)のクラスI分子と組み合わされた天然抗原、例えばV1H1ウイルスまたはパピロマウイルスのような病原の抗原あるいはCEA、p53、Di12等のような癌細胞中で特異的に発現される抗原を表面に有する細胞に対して産生される細胞障害性Tリンパ球によって生じる細胞免疫応答とが同時に求められるときに特に有用である。
【0084】
従って、この特定の実施態様では、本発明の免疫原性産物は担体蛋白分子(ii)がTヘルパーリンパ球の生産を誘発する他に、細胞表面に担体蛋白分子を有する細胞に対する細胞障害性リンパ球の産生を誘発するか、組織適合性主複合体(MHC)のクラスI分子と組み合わせてそれを産生を誘発するか、および/または、担体蛋白に対するBリンパ球により抗体の生産を誘発する免疫原性蛋白である。
【0085】
従って、本発明の免疫原性ヘテロ複合体を含む免疫原性産物は種々の病理に対するヒトまたはヒト以外の動物の個体の治療に有効なワクチン接種の手段である。
次に、本発明の免疫原性産物中に含まれるこのような免疫原性ヘテロ複合体組成物の各種の病理の治療に有効なワクチン接種による予防または治療法の例を説明する。
【0086】
a)AIDSの予防または治療用
担体蛋白分子(ii): 必要に応じて無毒化または安定したHIV1 ウイルスのgp 120、gp 160、p24、p17、nefまたはTat蛋白、これら蛋白の免疫原性断片と、それに由来する免疫原性蛋白(下記文献参照)。
【非特許文献4】Zagury et al., 1998
【0087】
下記文献に記載のミモトープgp 120蛋白を用いることもできる。
【非特許文献5】Fouts et al. (2000)
【非特許文献6】Fouts et al. (2002)
【0088】
抗原蛋白(i): 必要に応じて無毒化または安定したTat, IFN畚och, IL10およびTGFβ蛋白、これら蛋白の免疫原性断片またはそれに由来する免疫原性蛋白。
【0089】
b)子宮頸癌の予防または治療
担体蛋白分子(ii):必要に応じて無毒化または安定したパピロマウイルスL1, L2およびE7蛋白、好ましくは系統16または18からのパピロマウイルス、これら蛋白の免疫原性断片またはそれに由来する免疫原性蛋白(下記文献参照)。
【非特許文献7】Le Buanec et al., 1999
【0090】
抗原蛋白 (i): 必要に応じて無毒化したE7、IFNα、IL10、TGFβ、TNFαおよびVEGF蛋白、これら蛋白の免疫原性断片またはそれに由来する免疫原性蛋白。
【0091】
c)HTLV1 または2 ウイルスによって誘発されるATL白血病:
担体蛋白分子(ii): 必要に応じて無毒化または安定したgp61およびHTLV1または2ウイルスTax蛋白、これら蛋白の免疫原性断片またはそれに由来する免疫原性蛋白(下記文献参照)。
【非特許文献8】Cowan et al., 1997
【非特許文献9】Mori et al.,1996
【0092】
抗原蛋白 (i): 必要に応じて無毒化または安定したTax、IL10、IFNα、TGFβ、TNFα、VEGF蛋白、これら蛋白の免疫原性断片またはそれに由来する免疫原性蛋白。
【0093】
d)大腸癌の予防または治療
担体蛋白分子(ii): 必要に応じて無毒化したCEAおよびp53蛋白、これら蛋白の免疫原性断片またはそれに由来する免疫原性蛋白(下記文献参照)。
【非特許文献10】Zusman et al., (1996)
【0094】
抗原蛋白(i):必要に応じて無毒化したIFNα、TGFβ、IL10、FasLおよびVEGF蛋白、これら蛋白の免疫原性断片またはそれに由来する免疫原性蛋白。
【0095】
e)乳癌の予防または治療:
担体蛋白分子(ii):Di12蛋白、この蛋白の免疫原性断片またはそれに由来する免疫原性蛋白(下記文献参照)。
【非特許文献11】Yoshiji et al., 1996
【0096】
抗原蛋白(i):必要に応じて無毒化したIFNα、TGFβ、IL10、FasLおよびVEGF蛋白、これら蛋白の免疫原性断片またはそれに由来する免疫原性蛋白。
【0097】
f)膵癌の予防または治療
担体蛋白分子(ii):必要に応じて無毒化したCaSm蛋白、この蛋白の免疫原性断片またはそれに由来する免疫原性蛋白。
抗原蛋白(i):必要に応じて無毒化または安定したVEGFおよびTNFα蛋白、この蛋白の免疫原性断片またはそれに由来する免疫原性蛋白。
【0098】
g)前立腺癌の予防または治療
担体蛋白分子(i):必要に応じて無毒化または安定したOSAおよびETS2蛋白、この蛋白の
免疫原性断片またはそれに由来する免疫原性蛋白(下記文献参照)。
【非特許文献12】Sementchenko VI et al.,1998
【0099】
抗原蛋白(i):必要に応じて無毒化または安定したIL6およびTGFb蛋白、このな蛋白の免疫原性断片またはそれに由来する免疫原性蛋白(下記文献参照)。
【非特許文献13】Adler et al.,1999
【0100】
h)アレルギーの予防または治療:
担体蛋白分子(ii): Bet≡och1(カバノキの花粉)、Der p 1(コナダニ)およびFel d 1(猫)蛋白、これら蛋白の免疫原性断片またはそれに由来する免疫原性蛋白のような分子同種異系の中から選択される。Bet≡och1抗原(非特許文献14)、Der p 1抗原(非特許文献15)、Fel d 1抗原(非特許文献16)はそれぞれ下記文献に記載されている。
【非特許文献14】Ferreira et al. (1993)
【非特許文献15】Tovey et al. (1981)
【非特許文献16】Morgensterm et al. (1991)
【0101】
抗原蛋白(i):液性免疫応答をIgE同位体抗体の生産へ向かわせる主としてTh2型のTリンパ球によって生産されるIL4サイトカイン因子に対して産生される中和またはブロッキング抗体の生産を誘発する。別の実施態様では、抗原蛋白(i)がTh2型のTリンパ球によって生産されるIL5サイトカイン因子に対する中和またはブロッキング抗体の生産を誘発する。
【0102】
さらに別の実施態様では、アレルギーの予防は好塩基性顆粒化因子すなわちIgE同位体抗体に対する抗体応答を誘発する免疫原性産物によって行うことができる。この目的のために、本発明はアイソタイプのヒトIgE抗体(i)とVIH1不活性化Tat蛋白(ii)とを含む免疫原性産物を提供する。
【0103】
i)生物兵器に用いられる致死蛋白の予防
本発明の免疫原性産物はさらに、化学兵器および生物兵器で使用される多数の毒物、例えばリシンに対して個体を免疫化するために用いることもできる。
抗体の生産によって免疫化することが求められる最も毒性のある蛋白としてはボツリヌス毒素、リシン、ブドウ球菌エンテロトキシン、ウェルシュ菌毒素および炭疽毒素蛋白がある。
【0104】
一般に、抗原蛋白(i)が上記の型の毒性の強い蛋白である本発明の免疫原性産物を生産する場合には予め無毒化した蛋白をトキソイドの形で使用する。本発明の免疫原性産物を生産に用いる前に蛋白を無毒化するためには種々の方法を用いることができるが、下記a)〜c)の方法の1つが好ましい:
a)グルタルアルデヒドによる天然毒性蛋白の処理、
b)ホルモールとグルタルアルデヒドとの併用による天然毒性蛋白の処理、または、
c)必要に応じた適切な試薬を用いたHisおよびTyrグループの化学修飾、例えばアミノ酸基のカルボキシメチル化。
【0105】
炭疽菌に由来する有毒蛋白の致死作用を防止するために、抗原蛋白(i)としてEF(「浮腫因子」)、LF(致死因子)およびPA(感染防御抗原)蛋白の中から選択される炭疽蛋白に由来する無毒化された蛋白を用いるのが好ましい。
【0106】
ウェルシュ菌に由来する蛋白の致死作用を防止するためには抗原蛋白(i)としてウェルシュ菌の蛩毒に由来する無毒化された蛋白を用いるのが好ましい。
ボツリヌス菌に由来する毒の致死作用を防止するためには抗原蛋白(i)として単鎖の150 kDaポリペプチド鎖の形で自然に合成されたA, B, C, D, E, FおよびGと、これら毒素の分子量が約50 kDaのHc断片の中から選択されるボツリヌス毒素に由来する無毒化された蛋白を用いるのが好ましい。
【0107】
不活性化されたボツリヌス毒素を製造するために当業者は公知の技術、特に下記のFiock et al.またはSiegel et al.の文献に記載の従来のワクチン組成物の調製方法を用いることができる。
【非特許文献17】Fiock, M.A., Cardella, M.A.,Gearinger, N.F., J. Immunol., 1963, 90, 697-702
【非特許文献18】Siegel, L.S., J. Clin. Microbiol., 1988, 26, 2351-2356
【0108】
リシン種子(トウゴマ)に由来する毒度の致死作用を防止するためには抗原蛋白(i)としてリシン毒素に由来する無毒化された蛋白、好ましくはリシンのβ断片を用いるのが好ましい。
本発明は(i)リシンのβ断片と、(ii)KLH蛋白とを含む免疫原性産物を提供する。
【0109】
リシンの精製には当業者はOsborne et al、Kabat et al、またはKunnitz et alの下記文献に記載のような任意の公知方法を用いることができる。
【非特許文献19】Osborne,T.B., Mendel,LB. and Harris,J.F.: Amer. J. Physiol., 1905, 14,259-269;
【非特許文献20】Kabat,E.A.Heidelberger,M. and Bezer,A.E.: J. Biol. Chem., 1947, 168,629-;
【非特許文献21】Kunnitz,M. and McDonald,M. :J.Gen.Physiol., 1948,22,25-Moule,Y.:Bull.Soc.Chim.Biol., 1951,33,1461-1467
【0110】
当業者はさらに、Tomila et al、Nicolson et alまたはOlsnes et alの下記文献に記載のアフィニティークロマトグラフィー精製法を利用することもできる。
【非特許文献22】Tomila,M., Kurokawa, T., Onozaki, K. et al.:Experientia, 1972, 28, 84-85
【非特許文献23】Nicolson, G.L. and Blaustein, J.: J. Biochim. Biophys.Acta, 1972, 266, 543-547
【非特許文献24】Olsnes,S., Salvedt, E. and Pihl,A.:J. Biol. Chem.,1974,249,803-810
【0111】
リシンAおよびB鎖はHedge et alの下記文献に記載の方法で精製することもできる。
【非特許文献25】Hedge,R. and Podder,S.K.,:Eur.Biochem., 1998, 254, 596-601)
【0112】
ブドウ球菌に由来する毒度の致死作用を防止するためには抗原蛋白(i)としてSEA(ブドウ球菌エンテロトキシンA)、SEB(ブドウ球菌エンテロトキシンB)、SEC(ブドウ球菌エンテロトキシンC)、SED(ブドウ球菌エンテロトキシンD)、SEE(ブドウ球菌エンテロトキシンE)、SEG(ブドウ球菌エンテロトキシンG)、SEH(ブドウ球菌エンテロトキシンH)、SEI(ブドウ球菌エンテロトキシンI)およびTSST-1(毒素ショック症候群毒素-1)の中から選択される毒素に由来する無毒化された蛋白を用いるのが好ましい。
【0113】
当業者は上記のエンテロトキシンを各毒素を説明した文献に記載の技術で調製することができる。
SEAは257個のアミノ酸を有する前駆エンテロトキシンの形で合成される(下記文献参照)。
【非特許文献26】Huang, I.Y., Hughes, J.L, Bergdoll, M.S. and Schantz, E.J. J Biol. Chem. 1987, 262, 7006-7013
【0114】
分子量が27,100 Daの成熟毒素は24個のアミノ酸基を有するN-末端疎水性リーダーの減失によって前駆毒素から誘導される(下記文献参照)。
【非特許文献27】Betley, M.J. and Mekalanos, J.J. J Bacteriol., 1998, 170. 34-41。SEAは抗原的に異なる3つのアイソフォームを有する。
【0115】
SEB前駆蛋白は27個のアミノ酸を有するN-シグナルペプチド末端と一緒に267個のアミノ酸(Mr=31,400 Da)を有する。T細胞の受容体(「T細胞受容体」または「TCR」)との結合部位は浅い凹部を包囲し、一方、クラスII MHC分子は隣接する部位に固定される(下記文献参照)。
【非特許文献28】Kappler, J.W., Herman,A., Clements, J. and Marrack, P.: J. Exp. Med., 1992, 175, 387-396;
【非特許文献29】Papageorgiu, A.C., Trauter, H.S. and Acharya, K.R. J Mol. Biol., 1998, 277, 61-79;
【非特許文献30】Soos, J.M. and Johnson, H.M. Biochem. Biophys. Res. Commun., 1994, 201, 596-602
【0116】
SECは抗原性が異なる3つのサブタイプ、SEC 1, SEC 2およびSEC 3を有する。前駆蛋白は267個のアミノ酸基(非特許文献31)と27個のアミノ酸基を有するシグナルペプチド(非特許文献32)とを一緒に含む。
【非特許文献31】Houde, C.J., Hackett, S.P. and Bohach, G.A. Mol. Gen. Genet., 1990, 220, 329-333
【非特許文献32】Bohach, G.A. and Schlievert, P.M. : Infect. Immun., 1989, 57, 2243-2252
【0117】
SEDは258個のアミノ酸基と、30個のアミノ酸基を有するシグナルペプチドとで構成される。その3次元構造は他の細菌性超抗原の構造に似ている。
【0118】
分子量が26,000 DaのSEEはSEAとのAA配列相同性が81%である。
SEGは233個のアミノ酸基で構成される(下記文献参照)。
【非特許文献33】Munson, S.H., Tremaine, M.T., Betley, M.J. and Welch, R.A.: Infect. Immun., 1998, 66, 3337-3348
【0119】
SEHは分子量が27,300 Daである(下記文献参照)。
【非特許文献34】Su, Y.C. and Wong, A.C.: Apll. Environ. Microbiol., 1995, 61, 1438-1443
【0120】
SEHは他のエンテロトキシンとの交差免疫反応が全くない。
SEIは218個のアミノ酸基を含む配列を有する。これは他のエンテロトキシンとの相同性が最低レベルの毒素である。
269個のアミノ酸基で構成されるSEJはSEA, SEEおよびSEDとのAA 配列相同性が高い(64〜66%)。
【0121】
本発明の免疫原性産物は上記毒性蛋白に由来する複数の抗原蛋白(i)、例えば上記毒性蛋白にそれぞれ由来する2,3,4または5個の抗原蛋白(i)を組み合わせて有するのが好ましい。
例えば、ブドウ球菌エンテロトキシンの毒性防止用のワクチン組成物を調製するための本発明の免疫原性産物はブドウ球菌エンテロトキシンにそれぞれ由来する2,3,4または5個の抗原蛋白(i)を有するのが好ましい。
【0122】
本発明の免疫原性産物の一つの実施態様では、一つまたは複数の抗原蛋白(i)がヒトに対する毒性が強い蛋白に由来し、担体蛋白がKLH蛋白である。
従って、本発明の免疫原性産物の第1の観点では、担体蛋白分子が補助的なTリンパ球(「ヘルパーT」)と、細胞障害性Tリンパ球と、担体蛋白分子に特異なBリンパ球との生産を同時に誘発し、この担体蛋白分子(ii)はパピロマウイルスL1、L2およびE7蛋白の中から選択される。
【0123】
本発明の免疫原性産物の第2の観点では、担体蛋白分子が、補助的なTリンパ球(「ヘルパーT」)の生産と、細胞障害性Tリンパ球および担体蛋白分子に特異なBリンパ球の分化とを誘発し、担体蛋白分子(ii)がHIV 1ウイルスのgp160、p24、p17、NefおよびTat蛋白の中から選択される。
【0124】
本発明の免疫原性ヘテロ複合体の第3の観点では、担体蛋白分子が補助的なTリンパ球(「ヘルパーT」)と、細胞障害性Tリンパ球と、担体蛋白分子に特異なBリンパ球との生産を同時に誘発し、担体蛋白分子(ii)がCEA、p53、Di12、CaSm、OSAおよびETS2蛋白の中から選択される。
【0125】
本発明の免疫原性産物の第4の観点では、担体蛋白分子が補助的なTリンパ球(「ヘルパーT」)の分化に加えて、担体蛋白分子に対して産生される抗体の生産を誘発し、担体蛋白分子(ii)はアレルゲン性蛋白、例えばBet v 1、Der p 1およびFel d 1蛋白の中から選択される。
【0126】
本発明の免疫原性産物では、下記a)〜j)の抗原蛋白(i)および蛋白担体分子(ii)のヘテロ複合体を含む免疫原性産物の中から選択するのが好ましい:
【0127】
a) (i)IL-4、(ii)KLH;
b) (i)αインターフェロン、(ii)KLH;
c) (i)VEGF、(ii)KLH;
d) (i)IL-10、(ii)KLH;
e) (i)αインターフェロン、(ii)VIH1のgp 160;
f) (i)IL-4、(ii)Bet v1 アレルゲン性抗原;
g) (i)VEGF、(ii)パピロマウイルスE7蛋白;
h) (i)不活性化VIH1 Tat蛋白、(ii)VIH1 gp120蛋白;
i) (i)アイソタイプIgEヒト抗体、(ii)不活性化VIH1 Tat蛋白;
j) (i)リシンβ断片、(ii)KLH
【0128】
本発明の免疫原性蛋白ヘテロ複合体を含む免疫原性産物の調製方法
本発明のさらに他の対象は、下記の段階を含む上記定義の免疫原性ヘテロ複合体を含む免疫原性産物の調製方法にある:
a)抗原蛋白(i)と担体分子(ii)とを化学結合剤の存在下で(i):(ii)のモル比を10:1〜50:1にして培養し、
b)段階a)で得られた免疫原性ヘテロ複合体を含む免疫原性産物を回収する。
【0129】
化学結合剤はグルタルアルデヒドであるのが好ましい。
本発明方法は段階a)の後かつ免疫原性産物の回収段階b)の前に、ホルムアルデヒド
による免疫原性ヘテロ複合体の安定化段階を含むのがさらに好ましい。
化学結合剤としてグルタルアルデヒドを用いるときは、グルタルアルデヒドがカップリング反応媒体中に最終濃度で0.002M〜0.03M、好ましい0.02M〜0.03M、さらに好ましくは0.026Mの濃度で存在する。
【0130】
グルタルアルデヒドとのカップリング反応は20〜25℃の温度で20〜60分、好ましくは30分行うのが有利である。
カップリング段階後、過剰グルタルアルデヒドを例えばカットオフ閾値が3kDaである透析膜を用いた透析によって除去する。透析段階はpH7.6に調整された4℃の緩衝液中で行うのが有利である。
【0131】
段階a)で調製した蛋白ヘテロ複合体を含む産物を安定化させるために、産物をホルムアルデヒド、例えば最終濃度が3Mのホルムアルデヒドによって溶液中で処理することができる。安定化反応は12〜48時間、好ましくは20〜30時間、さらに好ましくは24時間行うのが有利である。ホルムアルデヒドを用いる安定化反応はグリシン、好ましくは0.1M濃度のグリシンを20〜μgμg℃の温度で1時間添加して止めるのが有利である。
【0132】
本発明の免疫原性蛋白ヘテロ複合体を含む免疫原性産物を含む組成物
本発明のさらに別の対象は上記定義の免疫原性産物を含む組成物にある。
本発明のさらに他の対象は上記定義の免疫原性産物を含む医薬組成物にある。
本発明のさらに他の対象は活性成分として上記定義の免疫原性産物を含む、一種または複数の生理学的に許容される賦形剤と組み合わせた免疫組成物にある。
本発明のさらに他の対象は上記定義の免疫原性産物を一種または複数の生理学的に許容される賦形剤と組み合わせて含むワクチン組成物にある。
【0133】
目的とする免疫応答が全身免疫か粘膜免疫かに応じて免疫アジュバントを使う。例えば上皮組織癌には粘膜免疫用アジュバントを用いるのが好ましく、HIV1およびHTLV1のようなウイルス感染の予防または治療やアレルギーの予防または治療には全身免疫用アジュバントを用いるのが好ましい。
全身免疫用のアジュバントの中ではIFAタイプμgアジュバント(不完全フロイントアジュバント)、リン酸カルシウムまたは水酸化アルミナ物を使用するのが好ましい。
粘膜免疫用アジュバントとしては当業者に周知のchloratoxin B(CTB)、LT毒突然変異(LTμ)等を使用するのが好ましい。
【0134】
本発明の免疫原性組成物の特定の観点から、一種または複数の免疫賦活薬を免疫アジュバント、例えば当業界で周知のCpG免疫賦活薬と組み合わせて含む。
実際に、CpGアジュバント、特にヌクレオチド間の鎖内結合がホスホロチオネート結合中に存在するCpGアジュバントを用いることによって全身投与後にIgGおよびIgAのアイソタイプ抗体の生産を同時に刺激できるということを本発明は確認した。
【0135】
本発明のさらに他の対象は活性成分として上記定義の免疫原性産物を含み、生理学的に許容可能なアジュバントと一種または複数の賦形剤とを含む粘膜用または全身用ワクチンにある。
本発明の免疫原性組成物またはワクチンは癌、特にウイルスによって誘発される癌、例えばHTLV1に起因するATL(急性T細胞白血病)またはパピロマウイルスに起因する子宮頸癌およびヘルペス属ウイルス、エプスタインμgバーウイルス(EBV)およびHHV8に起因するバーキットリンパ腫ならびにカポジ肉腫の治療的または予防的処置やアレルギー反応の予防または治療で有用である。
【0136】
本発明の免疫原性産物は下記のように用いることができる。
患者には予防または治療に有効な量の本発明の免疫原性蛋白ヘテロ複合体を含む免疫原性産物を治療の必要に応じて全身または粘膜投与するのが好ましい。投与量は例えば2ヵ月間、鼻腔内経路で毎週投与した場合、10〜1000μgであり、その後は、関連抗原に対する抗体応答の一過性の特徴を考慮して、血清抗体率に応じて定期的に、例えば2〜6ヵ月間投与する。
【0137】
単一の分子が過剰生産された中和すべき毒素またはサイトカインの活性部位を全て有しているとは限らない場合には、全ての有害な官能性部位において中和抗体を誘発するために2種またはそれ以上の免疫原性産物を一つの調節物で投与することもできる。
【0138】
薬剤の場合、本発明の免疫原性産物を投与に適した医薬組成物にして、全身経路による投与または経口粘膜経路を含む粘膜経路、特に鼻腔内経路、経口、経膣で取り込むことができる。投与は単一用量または一定の間隔をあけて二回または数回の用量で行うことができる。
【0139】
本発明のさらに他の対象は、上記定義の一つまたは複数の免疫原性産物を活性成分として含むことを特徴とする医薬、治療または予防用の組成物にある。免疫原性産物は単独でも、賦形剤またはアジュバントのような医薬上許容される賦形剤の混合物と混合して包装することができる。鼻腔内経路または経口に適した賦形剤の中では特にGATTEFOSSE社からのLabrasol(登録商標)としてのカプリルカプロイルマクロゴールグリセリドまたは水酸化アルミナ(Alhydragel, Superfos, デンマーク)を選択するのが好ましい。
【0140】
経口投与では活性成分をCT, LT またはCTB突然変異体のような粘膜免疫アジュバントと組み合わせる。
下記文献に記載のガレヌス型のものが特に適している。
【非特許文献35】Boyaka et al. ≪ Strategies for mucosal vaccine development ≫ in Am. J. Trop. Med. Hyg. 60(4), 1999, pages 35-45
【0141】
さらに、下記文献に記載の抗胃性、特に生体接着性の微粒剤も挙げられる。
【非特許文献36】Rojas et al. in Pharmaceutical Research, vol. 16, n°2, 1999, page 255
【0142】
特定実施条件下ではCT突然変異体(コレラ毒素)またはLT突然変異体E.coli不安定性エンテロトキシンのような粘膜免疫アジュバントを含む上記ワクチン医薬組成物を選択する。
他の特定実施条件下では水酸化アルミナまたは金粒子のような活性成分を吸収するアジュバントを含むワクチン医薬組成物を選択する。
【0143】
本発明の別の対象は、活性な免疫原性産物を医薬上許容される賦形剤と、必要に応じてさらに全身免疫または粘膜免疫アジュバントとを公知方法で混合する上記組成物の調製方法にある。
上記方法の好ましい実施条件下では消化経路用の生体接着性および抗胃性の微粒剤を調製する。この場合には免疫原性活性成分と必要に応じてアジュバントとを含む。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
【実施例】
【0144】
ヘテロ複合体の調製
実施例1
KLH-VEGFヘテロ複合体の調製
0.58mgのKLH蛋白を0.5mlのpH8.5の10 mM燐酸緩衝液に溶解する。この溶液に、同じ緩衝液1mlに1mgのマウスVEGFを溶解したものを添加する。こうして得られた蛋白混合物をグルタルアルデヒドを用いて最終濃度が0.026 Mとなるように室温で30分間処理する。
次いで過剰グルタルアルデヒドを2時間の透析を3回続けて除去する。各透析は透析管中でμgμgμgでカットオフ閾値3 kDaにしてpH 7.6の10 mM燐酸緩衝液200 mlに対して行う。
次に、混合物をホルムアルデヒドを用いて33mMの最終濃度で24時間処理した後、最後に0.1 Mのグリセリンを室温で1時間添加して反応を止める。
混合物を前回行った透析と同じ条件下で透析する。
【0145】
実施例2
ヒトKLH-VEGFヘテロ複合体
このヘテロ複合体は主としてヒトVEGFを中和する抗体の生産をワクチン中で誘発するワクチンの活性成分である。
0.58mgのKLH蛋白を0.5mlのpH 8.5の10mM燐酸緩衝液に溶解する。この溶液に同じ緩衝液1mlに1mgのマウスVEGFを溶解したものを添加する。こうして得られた蛋白混合物をグルタルアルデヒドを用いて0.026 Mの最終濃度で室温で30分間処理する。
次いで過剰グルタルアルデヒドを2時間の透析を3回続けて除去する。各透析は透析管中で、pH 7.6の10 mM燐酸緩衝液200 mlに対して、カットオフ閾値3 kDa、μgμgμgで行う。
次に、混合物をホルムアルデヒドを用いて33mMの最終濃度で24時間処理した後、最終0.1 Mのグリセリンを室温で1時間添加して反応を止める。
最後に、前回行った透析と同じ条件下で混合物を透析する。
【0146】
実施例3
マウスKLH-IL4ヘテロ複合体の調製
0.841 mgのKLH蛋白を0.8mlのpH 8.5の10 mM燐酸緩衝液に溶解する。この溶液に、同じ緩衝液1mlに1mgのマウスIL4を溶解したものを添加する。こうして得られた蛋白混合物をグルタルアルデヒドを用いて0.026 Mの最終濃度で室温で30分間処理する。
次いで過剰グルタルアルデヒドを2時間の透析を3回続けて除去する。各透析は透析管中で、pH 7.6の10 mM燐酸緩衝液200 mlに対して、カットオフ閾値3 kDa、μgμgμgで行う。
次に、混合物をホルムアルデヒドを用いて33mMの最終濃度で24時間処理し、最終0.1 Mのグリセリンを室温で1時間添加して反応を止める。
最後に、前回行った透析と同じ条件下で混合物を透析する。
【0147】
実施例4
ヒトKLH-IL4ヘテロ複合体の調製
このヘテロ複合体は主としてヒトIL4を中和する抗体の生産をワクチン中で誘発するワクチンの活性成分である。
1mgのKLH蛋白を1mlのpH 8.5の10 mM燐酸緩衝液に溶解する。この溶液に、同じ緩衝液1mlに1mgのマウスIL4を溶解したものを添加する。こうして得られた蛋白混合物をグルタルアルデヒドを用いて0.026 Mの最終濃度で室温で30分間処理する。
次いで過剰グルタルアルデヒドを2時間の透析を3回続けて除去する。各透析は透析管中で、pH 7.6の10 mM燐酸緩衝液200 mlに対して、カットオフ閾値3 kDa、4℃で行う。
次に、混合物をホルムアルデヒドを用いて33mMの最終濃度で24時間処理した後、最終0.1 Mのグリセリンを室温で1時間添加して反応を止める。
最後に、前回行った透析と同じ条件下で混合物を透析する。
【0148】
実施例5
KLH-IFNα複合体の調製
このヘテロ複合体は主としてヒトIFNαを中和する抗体の生産をワクチン中で誘発するワクチンの活性成分である。
0.625mgのKLH蛋白を0.6mlのpH 8.5の10 mM燐酸緩衝液に溶解する。この溶液に、同じ緩衝液1mlに1mgのヒトIFNαを溶解したものを添加する。こうして得られた蛋白混合物をグルタルアルデヒドを用いて0.026 Mの最終濃度で室温で30分間処理する。
次いで過剰グルタルアルデヒドを2時間の透析を3回続けて除去する。各透析は透析管中で、pH 7.6の10 mM燐酸緩衝液200 mlに対して、カットオフ閾値3 kDa、4℃で行う。
次に、混合物をホルムアルデヒドを用いて33mMの最終濃度で48時間処理した後、最終0.1 Mのグリセリンを室温で1時間添加して反応を止める。
最後に、前回行った透析と同じ条件下で混合物を透析する。
【0149】
実施例6
gp160-IFNα複合体の調製
このヘテロ複合体は主としてHIV-1 ウイルスのgp160構造蛋白とIFNαサイトカイン蛋白の両方を中和する抗体の生産をワクチン中で誘発するワクチンの活性成分である。このヘテロ複合体はgp160を発現する感染細胞に対して細胞反応(chemiokin、補助的T、CTL)を誘発できるものでもなければならない。
0.380mgのgp160蛋白を0.380mlのpH 8.5の10 mM燐酸緩衝液に溶解する。この溶液に、同じ緩衝液1mlに1mgのヒトIFNαを溶解したものを添加する。こうして得られた蛋白混合物をグルタルアルデヒドを用いて0.026 Mの最終濃度で室温で30分間処理する。
次いで過剰グルタルアルデヒドを2時間の透析を3回続けて除去する。各透析は透析管中で、pH 7.6の10 mM燐酸緩衝液200 mlに対して、カットオフ閾値3 kDa、4℃で行う。
次に、混合物をホルムアルデヒドを用いて33mMの最終濃度で48時間処理した後、最終0.1 Mのグリセリンを室温で1時間添加して反応を止める。
最後に、前回行った透析と同じ条件下で混合物を透析する。
【0150】
実施例7
gp160-トキソイドTatヘテロ複合体(Tat蛋白は生化学的に不活性化)の調製
このヘテロ複合体は主としてHIV-1 ウイルスのgp160構造蛋白とVIH-1の細胞外Tat蛋白の両方を中和する抗体の生産をワクチン中で誘発するワクチンの活性成分である。このヘテロ複合体はgp160を発現する感染細胞に対して細胞反応(chemiokin、補助的T、CTL)を誘発できるものでもなければならない。
0.550mgのgp120蛋白を0.550mlのpH 8.5の10 mM燐酸緩衝液に溶解する。この溶液に、同じ緩衝液1mlに1mgのトキソイドTat蛋白を溶解したものを添加する。こうして得られた蛋白混合物をグルタルアルデヒドを用いて0.026 Mの最終濃度で室温で30分間処理する。
次いで、最終0.1 Mのグリセリンを室温で1時間添加して反応を止める。次に、過剰グリセリンを2時間の透析を3回続けて除去する。各透析は透析管中で、pH 7.6の10 mM燐酸緩衝液200 mlに対して、カットオフ閾値3 kDa、4℃で行う。
【0151】
実施例8
gp160-GM Tatヘテロ複合体(Tat蛋白は遺伝学的に不活性化)の調製
このヘテロ複合体は主としてHIV-1 ウイルスのgp160構造蛋白とVIH-1を制御するTat蛋白の両方を中和する抗体の生産をワクチン中で誘発するワクチンの活性成分である。このようなヘテロ複合体はgp160を発現する感染細胞に対して細胞反応(chemiokin、補助的T、CTL)を誘発できるものでもなければならない。
0.550mgのgp160蛋白を0.550mlのpH 8.5の10 mM燐酸緩衝液に溶解する。この溶液に、同じ緩衝液1mlに1mgのGM Tat蛋白を溶解したものを添加する。こうして得られた蛋白混合物をグルタルアルデヒドを用いて0.026 Mの最終濃度で室温で30分間処理する。
次いで、最終0.1 Mのグリセリンを室温で1時間添加して反応を止める。次に、過剰グリセリンを2時間の透析を3回続けて除去する。各透析は透析管中で、pH 7.6の10 mM燐酸緩衝液200 mlに対して、カットオフ閾値3 kDa、4℃で行う。
【0152】
実施例9
マウスKLH-TNFαヘテロ複合体の調製
このヘテロ複合体は主としてマウスTNFαを中和する抗体の生産をワクチン中で誘発可能なワクチンの活性成分である。
0.625mgのKLH蛋白を0.6mlのpH 8.5の10 mM硼酸緩衝液、150mM NaClに溶解する。この溶液に、同じ緩衝液1mlに1mgのヒトIFNαを溶解したものを添加する。こうして得られた蛋白混合物をグルタルアルデヒドを用いて0.026 Mの最終濃度で室温で45分間処理する。
過剰グルタルアルデヒドを次いで4時間の透析を3回続けて除去する。各透析は透析管中で、pH 7.6の10 mM 150mM NaCl 硼酸緩衝液200 mlに対して、カットオフ閾値3 kDa、μgμgμgで行う。
次いで混合物をホルムアルデヒドを用いて33mMの最終濃度で48時間処理した後、最終0.1 Mのグリセリンを室温で1時間添加して反応を止める。
最後に、前回行った透析と同じ条件下で混合物を透析する。
【0153】
実施例10
Tatペプチドヘテロ複合体(19-50)-hIgEの調製
Tatペプチド(19-50)は補助的なヘルパーエピトープを有する。
用いたTatペプチドの配列:
Lys-Thr-Ala-Cys-Thr-Asn-Cys-Tyr-Cys-Lys-Lys-Cys-Cys-Phe-His-Cys-Gln-Val-Cys-Phe-lle-Thr-Lys-Ala-Leu-Gly-lle-Ser-Tyr-Gly-Arg-Lys
この接合体(コンジュゲート)は(ヒト)抗IgE抗体の形成をワクチン中で誘発するワクチンの主活性成分である。
0.1mgのTatペプチド(19-50)(μgμgμgμgμgμgμg-8mol)を0.2mlのpH 8.5の10mM硼酸緩衝液に溶解する。この溶液に、同じ緩衝液1mlに1mgのヒトIgE(μgμgμgμgμgμg-9mol)を溶解したものを添加する。こうして得られた混合物をグルタルアルデヒドを用いて0.026 Mの最終濃度で室温で30分間処理する。
次いで過剰グルタルアルデヒドを4時間の透析を続けて2回、さらに、最後に16時間の透析を行って除去する。透析は透析バッグを用いて、0.8%のNaCl(PBS)を含む10mM、pH7.4の大量の燐酸緩衝液に対して、カットオフ閾値10kDa、4℃で行う(IgEペプチド比50:1)。
【0154】
実施例11
リシン断片に対するヘテロ複合体の調製
このヘテロ複合体は主としてリシン分子の結合に関与する断片に対する中和抗体の形成をワクチン中で誘発してその毒性作用を及ぼさないようにするワクチンの活性成分である。
0.5mgのKLH(1.1×10-3mol)を0.5mlのpH 8.2の10mM燐酸緩衝液に溶解したものに、同じ緩衝液1mlに1mg(3.3×10-8mol)のリシンα断片を添加する。こうして調製された混合物をグルタルアルデヒドを用いて0.026 Mの最終濃度で室温で30分間処理する。
次いで過剰グルタルアルデヒドを4時間の透析を続けて2回、さらに、最後に16時間の透析を行って除去する。透析は透析バッグを用いて、0.8%のNaCl(PBS)を含む10mMの大量の燐酸緩衝液に対して、カットオフ閾値3kDaで行う(KLH:リシン比=1:30)。
【0155】
ヘテロ複合体の生化学的特徴付け
A. 実施例12〜23の原料および方法
ヘテロ複合体は下記の方法で生化学的に特徴付けた。
1. 抗原性試験
ヘテロ複合体とヘテロ複合体を構成する蛋白の抗原性と比較する抗原性試験は、従来の間接ELISAによって行う。この技術では抗原に対して産生される抗体を特異的に認識することによって蛋白を定量的に測定できる。この試験では求める蛋白を含むサンプルの希釈液をミクロタイタープレートのウェルに入れ、特異的ポリクローナル抗体を固定化された蛋白と反応させる。次に、西洋わさびペルオキシダーゼと接合させた第1の抗体に特異な第2の抗体を添加する。形成された複合体をOPDと一緒に培養し、検出する。得られた黄色は結合した蛋白の量に正比例する。各ウェルの吸収度(DO)をミクロプレートリーダーで測定する。次いで、サンプル中に存在する蛋白の量を較正曲線を用いて決定する。
【0156】
2. アガロースゲルでの等電点電気泳動とウエスタンブロット
アガロースゲルでの等電点電気泳動は分子の等電点(Ip)に応じて分子を非変性状態で分離でき、それによってヘテロ複合体中に存在する弱い結合を切断せずにヘテロ複合体を調べることができる。
等電点電気泳動後、ウェスタンブロットで検出する。電気泳動で分離した分子を毛管作用でニトロセルロース膜に移し、分子を免疫化学的に特徴付ける。
【0157】
3. 共有結合で担体蛋白分子と結合した関連抗原の分子の割合の測定(第1方法)
免疫原性産物中で担体蛋白分子と共有結合で連結された関連抗原の分子の割合は、例えば変性(8M尿素)および還元(5%のβ-メルカプトエタノール)状態下でSuperdex 200を入れたカラムで分子篩いを用いて求めることができる。
共有結合で連結された関連抗原の割合は、カラムの排除容量中に存在する関連抗原の量(従来の間接ELISAによって決定)から求められる。すなわち、使用したカラムの最高分画限界以上のはるかに大きな分子量(実施例の場合には200 kDa)を有するKLHのような担体蛋白分子はカラムの排除容量中に存在する。従って、変性および還元状態下では担体蛋白分子と共有結合で連結された関連抗原のみが排除容量中に存在する。
【0158】
4. 共有結合で担体蛋白分子と結合した関連抗原の分子の割合の測定(第2方法)
担体蛋白分子(KLH)に固定されたサイトカインの割合を、担体蛋白に対して特異的な捕獲蛋白を用いた二重サンドイッチによって決定した。
10mM燐酸緩衝液、pH 7.3の150mM NaCl(PBS)に希釈されたKLH(1mg/ml)に対して産生された100μmlのウマポリクローナル抗体をミクロタイタープレート(結合性が高いCostar)のウェル中でμgμg℃で2時間結合させる。PBS/0.1%Tween20(PBST)中で3回洗浄した後、2%のBCSを含むPBSでウェルを飽和する。
【0159】
1時間30分飽和した後、ウェルをPBSTで3回洗浄し、次に、全く同一に2つずつ製造したへテロ複合体の希釈液(10, 5, 2.5, 1.25, 0.625, 0.312および0.156 μg/ml)をウェル中に添加する(100μml/ウェル)。
2時間培養した後、ウェルをPBSTで3回洗浄する。洗浄緩衝液中に存在する解離剤のTweenで捕獲抗体に特異的に結合されたKLHと共有結合で連結されていない分子を全て除去する。
次に、両方のヘテロ複合体希釈液を2つの異なる方法で処理する:
a) 第1セットはKLHに対して産生された抗体と一緒に培養する。
b) 第2セットはサイトカインに対して産生された抗体と一緒に培養する。
【0160】
37℃で1時間30分培養後、ウェルを前回と同様に洗浄し、次に、第1の抗体の起源種に対する二次抗体と一緒に培養する。37℃で1時間30分培養後、抗体を再度洗浄する。次いで、ペルオキシダーゼ、オルト−フェニレンジアミン(OPD)の支持体を添加して捕獲抗体によって結合されたKLHの存在およびKLHに共有結合で連結されたサイトカインの存在を検出する。
捕獲抗体によって固定されたKLHの量、次いで、KLHに共有結合で連結されたサイトカインの量をELISAで作成した較正曲線によって計算する。
こうしてKLHに共有結合で連結されたサイトカインの割合が決定される。
【0161】
実施例12
KLH-マウスVEGFヘテロ複合体の生化学的特徴付け
1. 抗原性
KLH-マウスVEGFヘテロ複合体はマウスVEGFの抗原性と同一の抗原性を有する。
2. アガロースゲル中の等電点電気泳動後のウエスタンブロット
[図1]はKLH-マウスVEGFヘテロ複合体はそれを構成する天然分子とは異なるIpへ単一バンドの形で移動することを示している。
【0162】
実施例13
KLH-ヒトVEGFヘテロ複合体の生化学的特徴付け
1. 抗原性
KLH-ヒトVEGFヘテロ複合体はヒトVEGFの抗原性と同一の抗原性を有する。
2. 等電点電気泳動後のウエスタンブロット
[図2]からKLH-ヒトVEGFヘテロ複合体がそれを構成する天然分子とは異なるIpへ単一のバンドの形で移動することがわかる。ヒトVEGFのサンプルを3つの異なる位置に塗布したが、それでもやはり同じ位置へ移動した。
【0163】
実施例14
KLH-マウスIL4ヘテロ複合体の生化学的特徴付け
1. 抗原性
KLH-マウスIL4ヘテロ複合体はマウスIL4の抗原性と同一の抗原性を有する。
【0164】
実施例15
KLH-ヒトIL4ヘテロ複合体の生化学的特徴付け
1. 抗原性
KLH-ヒトIL4ヘテロ複合体はヒトIL4蛋白の抗原性と同一の抗原性を有する。
2. 等電点電気泳動とその後のウエスタンブロット
[図3]からKLH-ヒトIL4ヘテロ複合体がそれを構成する天然分子とは異なるIpへ単一バンドの形で移動することがわかる。
【0165】
実施例16
KLH-IFNαヘテロ複合体の生化学的特徴付け
1. 抗原性
ヒトKLH-IFNα複合体はヒトIFNαの抗原性と同一の抗原性を有する。
2. 担体蛋白分子と共有結合で連結された関連抗原の分子の割合の推定
KLH-IFNα調製物を上記条件に従ってSuperdex S200カラムに通す。排除容量の見掛けのピークを回収、透析、次いで、凍結乾燥する。関連抗原の濃度は間接ELISA技術で決定した。排除容量中に存在するIFNαの量は30μgであり、免疫原性産物の調製で用いたIFNの量は1000μgで、調製中に測定可能な抗体の損失はなかった。従って、KLH-IFNαを含む免疫原性産物中でKLH分子と共有結合で連結された関連抗原の分子の割合は約3%と推定できる。
【0166】
実施例17
gp160-IFNαヘテロ複合体の生化学的特徴付け
1. 抗原性
gp160-IFNα複合体はgp160蛋白の抗原性およびヒトIFNαの抗原性と同一の抗原性を有する。
2. 等電点電気泳動後のウエスタンブロット
[図4]からgp160-IFNαヘテロ複合体が、それを構成する組換えgp160蛋白とは異なるIpへ単一バンドの形で移動することがわかる。このようなヘテロ複合体のIpはIFNαのIpよりもわずかに低い。
【0167】
実施例18
gp160-トキソイドTatヘテロ複合体の生化学的特徴付け
1. 抗原性
gp160-トキソイドTat複合体はgp160蛋白の抗原性およびTat蛋白の抗原性と同一の抗原性を有する。
【0168】
実施例19
gp160-GM Tatヘテロ複合体の生化学的特徴付け
1. 抗原性
gp160-GM Tat複合体はgp160蛋白の抗原性およびTat蛋白の抗原性と同一の抗原性を有する。
【0169】
実施例20
KLH-マウスIL4ヘテロ複合体の生化学的特徴付け
1. 抗原性
マウスKLH-IL4複合体はマウスIL4の抗原性と同一の抗原性を有する。
2. 担体蛋白分子と共有結合で連結された関連抗原の分子の割合の推定
マウスIL4の分子の11%がKLHに共有結合で固定されている。
【0170】
実施例21
KLH-IFNαヘテロ複合体の生化学的特徴付け
1. 抗原性
KLHヒトIFNα複合体はヒトIFNαの抗原性と同一の抗原性を有する。
2. 担体蛋白分子に共有結合で固定された関連抗原の分子の割合の推定
ヒトIFNαの分子の8%がKLHに共有結合で連結されている。
【0171】
実施例22
Tat-hlgEペプチドヘテロ複合体の生化学的特徴付け
1. 抗原性
Tat-hlgEペプチド複合体はヒトlgEの抗原性と同等の抗原性を有する。
【0172】
実施例23
KLH-βリシンヘテロ複合体の生化学的特徴付け
1. 抗原性
KLH-βリシン複合体はリシンのβ断片の抗原性と同等の抗原性を有する。
2. 等電点電気泳動後のウエスタンブロット
複合体は単一バンドの形で移動し、ウェスタンブロットによってβ断片の存在が証明される。
【0173】
ヘテロ複合体の免疫原活性
実施例24
KLHマウスVEGFヘテロ複合体の免疫原性活性
A. 原料および方法
マウスVEGFと比較したKLHマウスVEGF調製物の免疫原(液性)活性を18〜20gのbalb/cマウスで試験した。
1 免疫化
8匹のマウス群に0、7、14、21日に0.1ml(10μg)のAIFエマルションを筋肉内注射した。60日に5μgのAIFをブースター注射した。
最初の免疫前の−2日に各マウスから血液サンプルを眼窩後部の所で採取した。
3匹の対照マウスには免疫原を含まない同じ調整物を与えた。
最後の免疫化から12日後にマウスを犠牲にした。
【0174】
2 毒性
薬局方に従ってヒト1回量(50μg)を投与した3匹のマウスで異常毒性を調べた。
ヘテロ複合体の免疫毒性がないことを複合体の存在下で培養され且つPPDまたは破傷風トキソイドによって刺激されるPBMCに対して行った細胞増殖テストを用いてインビトロで評価した。
【0175】
B. 結果
インビボおよびインビトロでヘテロ複合体に毒性なし
KLH-マウスVEGF調製物で免疫化したマウスと、マウスVEGFのみで免疫化したマウスはいずれも臨床徴候がなく、解剖学的な変化も示さない。免疫抑制テストから、用量100ng/ml〜1μg/mlのKLH-マウスVEGFはリンパ球の増殖を抑制しないことがわかる。
50μgのヘテロ複合体で免疫化した3匹のマウスは注射後7日間、毒性の徴候(体温、皮膚疾患、全身性または局所的兆候)は示さない。
【0176】
2. 液性応答
液性応答性をマウスVEGFに対するIgGタイプの抗体の血清中の存在をエリザ(ELISA)で測定し、抗体価で示した(0.3以上の光学濃度を与える希釈度の逆数)。[図5]は得られた抗体価を示している。
KLH-マウスVEGF調製物で免疫化したマウスはマウスVEGFのみで免疫化したマウスよりも高いIgGタイプの抗体価を示す。
この抗体の中和活性を内皮細胞の選択的成長因子であるVEGFの生物活性テストを用いて測定した。内皮細胞(HUVEC)はミクロ培養プレートの平底ウエルで3,000細胞/ウエルで培養した。各マウス群の血清を貯蔵した。−2日および72日に採取した血清プールの各希釈液(1/100-1/800)を20 ng/mlのマウスVEGFと一緒に2時間予備培養した後、内皮細胞に塗った。細胞培養は5%CO2を含む湿った雰囲気中で37℃で3日間連続して行った。培養終了18時間前に0.5μCiのトリチウムチミジン/ウエルを加える。中和した血清はマウスVEGFが内皮細胞の増殖を誘発するのを防止し、中和していない血清はこのような細胞の増殖を許す。結果は中和%で表す。得られた結果は[図6]に示してある。
複合体で誘発される抗体はマウスVEGFで誘発される抗体よりも高い中和能を有する。
【0177】
実施例25
KLHヒトVEGFヘテロ複合体の免疫原性活性
A. 原料および方法
ヒトVEGFと比較したKLHヒトVEGF調製物の免疫原(液性)活性を18〜20gのbalb/cマウスで試験した。
1 免疫化
8匹のマウス群に0、7、14、21日に0.1ml(10μg)のAIFエマルションを筋肉内注射した。60日に5μgのAIFをブースター注射した。
最初の免疫前の−2日に各マウスから血液サンプルを眼窩後部の所で採取した。
3匹の対照マウスには免疫原を含まない同じ調整物を与えた。
最後の免疫化から12日後にマウスを犠牲にした。
【0178】
2 毒性
薬局方に従ってヒト1回量(50μg)を投与した3匹のマウスで異常毒性を調べた。
ヘテロ複合体の免疫毒性がないことを複合体の存在下で培養され且つPPDまたは破傷風トキソイドによって刺激されるPBMCに対して行った細胞増殖テストを用いてインビトロで評価した。
【0179】
B. 結果
インビボおよびインビトロでヘテロ複合体に毒性なし
KLH-ヒトVEGF調製物で免疫化したマウスと、ヒトVEGFのみで免疫化したマウスはいずれも臨床徴候がなく、解剖学的な変化も示さない。免疫抑制テストから、用量100ng/ml〜1μg/mlのKLH-ヒトVEGFはリンパ球の増殖を抑制しないことがわかる。
50μgのヘテロ複合体で免疫化した3匹のマウスは注射後7日間、毒性徴候(体温、皮膚疾患、全身性または局所的兆候)は全く示さない。
【0180】
2. 液性応答
液性応答性をヒトVEGFに対するIgGタイプの抗体の血清中の存在をエリザ(ELISA)で測定し、抗体価で示した(0.3以上の光学濃度を与える希釈度の逆数)。[図7]は得られた抗体価を示している。
KLH-ヒトVEGF調製物で免疫化したマウスはヒトVEGFのみで免疫化したマウスよりも高いIgGタイプの抗体価を示す。
この抗体の中和活性を、内皮細胞の選択的成長因子であるVEGFの生物活性テストを用いて測定した。内皮細胞(HUVEC)はミクロ培養プレートの平底ウエルで3,000細胞/ウエルで培養した。各マウス群の血清を貯蔵した。−2日および72日に採取した血清プールの各希釈液(1/100-1/800)を20 ng/mlのヒトVEGFと一緒に2時間予備培養した後、内皮細胞に塗った。細胞培養は5%CO2を含む湿った雰囲気中で37℃で3日間連続して行った。培養終了18時間前に0.5μCiのトリチウムチミジン/ウエルを加える。中和した血清はヒトVEGFが内皮細胞の増殖を誘発するのを防止し、中和していない血清はこのような細胞の増殖を許す。結果は中和%で表す。得られた結果は[図8]に示してある。
複合体で誘発される抗体はヒトVEGFで誘発される抗体よりも高い中和能を有する。
【0181】
実施例26
KLHマウスIL4ヘテロ複合体の免疫原性活性
A. 原料と方法
マウスIL4と比較したマウスKLH-IL4調製物の免疫原(液性)活性を18〜20gのbalb/cマウスで試験した。
1 免疫化
8匹のマウス群に0、7、14、21日に0.1ml(10μg)のAIFエマルションを筋肉内注射した。60日に5μgのAIFをブースター注射した。
最初の免疫前の−2日および72日に各マウスから血液サンプルを眼窩後部の所で採取した。
3匹の対照マウスには免疫原を含まない同じ調整物を与えた。
対照マウスおよびKLHマウスIL4で免疫化したマウスには、最後の免疫化から14日後にカバノキの花粉を、ミョウバン(100μg/マウス)の存在下で74日、95日および109日に皮下経路で抗原投与した。カバノキ花粉の主要なアレルゲンであるBet v 1に対して産生されるクラスGおよびE抗体の発生を追うために血液サンプルを定的的に採取する。
【0182】
2 毒性
薬局方に従ってヒト1回量(50μg)を投与した3匹のマウスで異常毒性を調べた。
ヘテロ複合体の免疫毒性がないことを複合体の存在下で培養され且つPPDまたは破傷風トキソイドによって刺激されるPBMCに対して行った細胞増殖テストを用いてインビトロで評価した。
【0183】
B. 結果
インビボおよびインビトロでヘテロ複合体に毒性なし
KLH-マウスIL4調製物で免疫化したマウスと、マウスIL4のみで免疫化したマウスはいずれも臨床徴候がなく、解剖学的な変化も示さない。免疫抑制テストから、用量100ng/ml〜1μg/mlのKLH-マウスIL4はリンパ球の増殖を抑制しないことがわかる。
50μgのヘテロ複合体で免疫化した3匹のマウスは注射後7日間、毒性の徴候(体温、皮膚疾患、全身性または局所的兆候)は全く示さない。
【0184】
2. 液性応答
液性応答性をマウスVEGFに対するIgGタイプの抗体の血清中の存在をエリザ(ELISA)で測定し、抗体価で示した(0.3以上の光学濃度を与える希釈度の逆数)。[図9]は得られた抗体価を示している。
KLH-マウスIL4調製物で免疫化したマウスはマウスIL4のみで免疫化したマウスよりも高いIgGタイプの抗体価を示す。
KLHマウスIL4調製物で免疫化したマウス中に存在するこの抗体の中和活性をマウスIL4の生物活性テストを用いて測定した。このテストではIL4マウスに依存して成長するマウス細胞系譜であるHT-2細胞を用いる(下記文献参照)。
【非特許文献37】Watson, J. 1979. J. Exp. Med. 150:1510
【0185】
内皮細胞HT-2はミクロ培養プレートの丸底ウエルで10,000細胞/ウエルで培養した。−2日および72日に採取した1/50に希釈した血清を50 ng/mlのマウスH4と一緒に2時間予備培養し、次いで、HT-2細胞に塗った。細胞培養は5%CO2を含む湿った雰囲気中でμgμg℃で3日間連続して行った。培養終了4時間前に0.5μCiのトリチウムチミジン/ウエルを加える。中和した血清はマウスIL4がHT-2細胞の増殖を誘発するのを防止し、中和していない血清はこのような細胞の増殖を許す。結果は中和%で表す。得られた結果は[図10]に示してある。
複合体で誘発される抗体は中和抗体である。
【0186】
さらに、マウスIL4に対して産生されるこのような中和抗体は、これらのマウスにカバノキの花粉を抗原投与されたとき、これらのマウスによる、Bet ≡och 1に対して産生されるIgEタイプの抗体の生産を防止する。[図11]はKLHマウスIL4で免疫化したマウスはBet ≡och 1に対して産生されるIgEの生産をブロックするマウスNL4に対して産生される中和IgGを有し、さらに、Bet ≡och 1に対するIgGタイプの抗体を生産し始めることを示し、一方、マウスKLH-IL4を投与していない、従って、IL4に対するIgGタイプの抗体を有していないマウスは、Bet ≡och 1に対するIgEタイプの抗体を生産するだけであることを示す。
【0187】
実施例27
KLH-ヒトIL4ヘテロ複合体の免疫原性活性
A. 原料および方法
ヒトIL4と比較したKLHヒトIL4調製物の免疫原(液性)活性を18〜20gのbalb/cマウスで試験した。
1 免疫化
3匹のマウス群に0、7、14、21日に0.1ml(10μg)のAIFエマルションを筋肉内注射した。60日に5μgのAIFをブースター注射した。
最初の免疫前の−2日に各マウスから血液サンプルを眼窩後部の所で採取した。
3匹の対照マウスには免疫原を含まない同じ調整物を与えた。
最後の免疫化から12日後にマウスを犠牲にした。
【0188】
2 毒性
薬局方に従ってヒト1回量(50μg)を投与した3匹のマウスで異常な毒性を調べた。
ヘテロ複合体の免疫毒性がないことを複合体の存在下で培養され且つPPDまたは破傷風トキソイドによって刺激されるPBMCに対して行った細胞増殖テストを用いてインビトロで評価した。
【0189】
B. 結果
インビボおよびインビトロでヘテロ複合体に毒性なし
KLH-ヒトIL4調製物で免疫化したマウスと、ヒトIL4のみで免疫化したマウスはいずれも臨床徴候がなく、解剖学的な変化も示さない。免疫抑制テストから、用量100ng/ml〜1μg/mlのKLH-ヒトIL4はリンパ球の増殖を抑制しないことがわかる。
50μgのヘテロ複合体で免疫化した3匹のマウスは注射後7日間いかなる毒性の徴候(体温、皮膚疾患、全身性または局所的兆候)も示さない。
【0190】
2. 液性応答
液性応答はヒトIL4に対するIgGタイプの抗体の血清中の存在をエリザ(ELISA)で測定し、抗体価で示した(0.3以上の光学濃度を与える希釈度の逆数)。
【0191】
【表1】

【0192】
KLH-ヒトIL4調製物で免疫化したマウスはヒトIL4のみで免疫化したマウスよりも高いIgGタイプの抗体価を示す。
ヒトKLH-IL4調製物で誘発されたこのような抗体の中和活性をヒトIL4の生物活性テストを用いて測定した。このテストではIL4ヒトに依存して成長するマウス細胞系譜であるTF-1細胞を用いる(下記文献参照)。
【非特許文献38】Kitamura,T. et al., 1989. J. Cell Physiol. 140:323-34
【0193】
TF-1細胞はミクロ培養プレートの丸底ウエルで10,000細胞/ウエルで培養した。−2日および72日に採取した1/50に希釈した血清を50 ng/mlのヒトIL4と一緒に2時間予備培養した後、TF-1細胞に塗った。細胞培養は5%CO2を含む湿った雰囲気中でμgμg℃で3日間連続して行った。培養終了4時間前に0.5μCiのトリチウムチミジン/ウエルを加える。中和した血清はヒトIL4がTF-1細胞の増殖を誘発するのを防止し、中和していない血清はこのような細胞の増殖を許す。結果は中和%で表す。得られた結果は[図12]に示してある。
複合体で誘発される抗体は中和抗体である。
【0194】
実施例28
KLH-IFNαヘテロ複合体の免疫原性活性
A. 原料と方法
ヒトIFNαと比較したKLHヒトIFNα調製物の免疫原(液性)活性を18〜20gのbalb/cマウスで試験した。
1 免疫化
3匹のマウス群に0、7、14、21日に、0.1ml(10μg)のAIFエマルションを筋肉内注射した。60日に5μgのAIFをブースター注射した。
最初の免疫前の−2日に各マウスから血液サンプルを眼窩後部の所で採取した。
3匹の対照マウスには免疫原を含まない同じ調整物を与えた。
最後の免疫化から12日後にマウスを犠牲にした。
【0195】
2 毒性
薬局方に従ってヒト1回量(50μg)を投与した3匹のマウスで異常毒性を調べた。
ヘテロ複合体の免疫毒性がないことを複合体の存在下で培養され且つPPDまたは破傷風トキソイドによって刺激されるPBMCに対して行った細胞増殖テストを用いてインビトロで評価した。
【0196】
B. 結果
インビボおよびインビトロでヘテロ複合体に毒性なし
KLH-ヒトIFNα調製物で免疫化したマウスと、ヒトIFNαのみで免疫化したマウスはいずれも臨床徴候がなく、解剖学的な変化も示さない。免疫抑制テストから、用量100ng/ml〜1μg/mlのKLH-ヒトIFNαはリンパ球の増殖を抑制しないことがわかる。
100μgのヘテロ複合体で免疫化した3匹のマウスは注射後7日間いかなる毒性の徴候(体温、皮膚疾患、全身性または局所的兆候)も示さない。
【0197】
2. 液性応答
液性応答性をヒトIFNαに対するIgGタイプの抗体の血清中の存在をエリザ(ELISA)で測定し、抗体価で示した(0.3以上の光学濃度を与える希釈度の逆数)。得られた抗体価は〔表2〕に示してある。
【0198】
【表2】

【0199】
KLH-ヒトIFNα調製物で免疫化したマウスはヒトIFNαのみで免疫化したマウスと同等のIgGタイプの抗体価を示す。
このような抗体の中和活性をヒトIL4の生物活性テストを用いて測定した(下記文献参照)。
【非特許文献39】Rubinstein S, J Viral, 1981, 755-8
【0200】
この抗ウイルス効果の測定テストの目的は、IFNの存在下でVSV(水疱性口内炎ウイルス)によるMDBK細胞溶解の阻害を評価することにある。MDBK細胞をミクロ培養プレートの丸底ウエルで350,000細胞/ウエルで培養した。−2日および72日に採取した血清の各希釈液(1/100-1/800)を5ng/mlのヒトIFNαと一緒に2時間予備培養した後、MDBK細胞に塗った。5%CO2を含む湿った雰囲気中で37℃で20時間細胞培養した後、ウェル中に存在する希釈した血清を除去し、細胞を洗浄し、次いで、100 LD50(50%致死量)を含むVSVウイルス100μmlを加える。ウイルス添加から18時間後にウイルスの溶解作用を測定する。中和した血清はVSVが細胞を溶解するの可能にするが、中和していない血清はこのような溶解を阻止する。結果は中和%で表す。
【0201】
【表3】

【0202】
複合体で誘発される抗体はヒトIFNαで誘発される抗体よりも高い中和能を有する。結果は中和%で表す。
【0203】
実施例29
gp160-IFNαヘテロ複合体の免疫原性活性
A. 原料と方法
ヒトIFNαと比較したヒトgp160-IFNα調製物の免疫原(液性)活性を18〜20gのbalb/cマウスで試験した。
1 免疫化
3匹のマウス群に0、7、14、21日に、0.1ml(10μg)のAIFエマルションを筋肉内注射した。60日に5μgのAIFをブースター注射した。
最初の免疫前の−2日に各マウスから血液サンプルを眼窩後部の所で採取した。
3匹の対照マウスには免疫原を含まない同じ調整物を与えた。
最後の免疫化から12日後にマウスを犠牲にした。
【0204】
2 毒性
薬局方に従ってヒト1回量(100μg)を投与した3匹のマウスで異常な毒性を調べた。
ヘテロ複合体の免疫毒性がないことを複合体の存在下で培養され且つPPDまたは破傷風トキソイドによって刺激されるPBMCに対して行った細胞増殖テストを用いてインビトロで評価した。
【0205】
B. 結果
インビボおよびインビトロでヘテロ複合体に毒性なし
gp160-ヒトIFNα調製物で免疫化したマウスと、ヒトIFNαのみで免疫化したマウスはいずれも臨床徴候がなく、解剖学的な変化も示さない。免疫抑制テストから、用量100ng/ml〜1μg/mlのgp160-ヒトIFNαはリンパ球の増殖を抑制しないことがわかる。
100μgのヘテロ複合体で免疫化した3匹のマウスは注射後7日間いかなる毒性の徴候(体温、皮膚疾患、全身性または局所的兆候)も示さない。
【0206】
2. 液性応答
液性応答はヒトIFNαに対するIgGタイプの抗体の血清中の存在をエリザ(ELISA)で測定し、抗体価で示した(0.3以上の光学濃度を与える希釈度の逆数)。
【0207】
【表4】

【0208】
gp160-ヒトIFNα調製物で免疫化したマウスはヒトIFNαのみで免疫化したマウスと同等のIgGタイプの抗体価を示す。
このような抗体の中和活性は実施例28で説明したヒトIFNαの生物活性テストを用いて測定してある。結果は中和%で表す。
【0209】
【表5】

【0210】
複合体で誘発される抗体はヒトIFNαで誘発される抗体よりも高い中和能を有する。結果は中和%で表す。
【0211】
実施例30
gp160-トキソイドTatヘテロ複合体の免疫原性活性
A. 原料および方法
トキソイドTatと比較したgp160-トキソイドTat調製物の免疫原活性(液性および細胞性活性)を18〜20gのbalb/cマウスで試験した。
【0212】
1 免疫化
3匹のマウス群に0、7、14、21日に、0.1ml(10μg)のAIFエマルションを筋肉内注射した。60日に5μgのAIFをブースター注射した。
最初の免疫前の−2日に各マウスから血液サンプルを眼窩後部の所で採取した。
3匹の対照マウスには免疫原を含まない同じ調整物を与えた。
最後の免疫化から12日後にマウスを犠牲にした。
【0213】
2 毒性
薬局方に従ってヒト1回量(100μg)を投与した3匹のマウスで異常な毒性を調べた。
ヘテロ複合体の免疫毒性がないことを複合体の存在下で培養され且つPPDまたは破傷風トキソイドによって刺激されるPBMCに対して行った細胞増殖テストを用いてインビトロで評価した。
【0214】
B 結果
インビボおよびインビトロでヘテロ複合体に毒性なし
gp160-トキソイドTat調製物で免疫化したマウスと、トキソイドTatのみで免疫化したマウスはいずれも臨床徴候がなく、解剖学的な変化も示さない。免疫抑制テストから、用量100ng/ml〜1μg/mlのgp160-トキソイドTatはリンパ球の増殖を抑制しないことがわかる。
100μgのヘテロ複合体で免疫化した3匹のマウスは注射後7日間いかなる毒性の徴候(体温、皮膚疾患、全身性または局所的兆候)も示さない。
【0215】
2 液性応答
液性応答性をTatに対するIgGタイプの抗体の血清中の存在をエリザ(ELISA)で測定し、抗体価で示した(0.3以上の光学濃度を与える希釈度の逆数)。得られた抗体価は〔表6〕に示してある。
【0216】
【表6】

【0217】
gp160-トキソイドTat調製物で免疫化したマウスはトキソイドTatのみで免疫化したマウスより高い抗Tat IgGタイプの抗体価を示す。
このような抗体の中和活性はCATアッセイ法を用いて測定した。−2日および72日に採取した血清の各希釈液(1/100-1/800)を50ng/mlの天然Tatと一緒に2時間培養する。次いで、各希釈液をクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子(CAT)のプロモータとしてVIH-1のLTRを含むプラスミドで安定に感染した細胞であるHeLa細胞に塗った。24時間培養した後、細胞を溶解して生産されたCAT蛋白の量ををELISAテスト、Catアッセイ法(ベーリンガーマンハイム)で測定する。中和した血清はTat蛋白がCAT蛋白の発現を
誘発するのを防止するが、中和していない血清はこのようなCAT蛋白の合成を許す。結果は中和%で表す。
【0218】
【表7】

【0219】
gp160-トキソイドTatコンジュゲートで誘発される抗体はトキソイドTatで誘発される抗体よりも高い中和能を有する。
【0220】
2 M1P1αの生産
脾細胞の培養上澄み中でのM1P1αの生産
免疫化したマウスと対照マウスの脾細胞を単離し、次いで、5 Mg/mlのp24、gp160、天然Tatおよび5 μg/mlのgp160と5 μg/mlの天然Tatとの混合物の存在下でミクロ培養プレートの丸底ウエルで100,000細胞/ウエルで培養する。24時間培養した後、培養上澄みを回収し、上澄み液中のM1P1の量をR&D ELISAテストで測定する。結果はμg/mlで示した。
【0221】
【表8】

【0222】
gp160-トキソイドTatコンジュゲートで免疫化したマウスの脾細胞は免疫化で用いた免疫原でインビトロで活性化されたときに、トキソイドTatのみで免疫化したマウスの細胞よりも多くのM1P1畚och chemiokinを生産する。
【0223】
4 免疫化したマウスの脾細胞の増殖(CMIテスト)
免疫化したマウスと対照マウスの脾細胞を単離し、p24、gp160、天然Tatおよびgp160と天然Tat との混合物の存在下でミクロ培養プレートの丸底ウエルで100,000細胞/ウエルで培養する。細胞培養は5%CO2を含む湿った雰囲気中で37℃で6日間連続して行った。培養終了18時間前に0.5μCiのトリチウムチミジン/ウエルを加える。免疫応答強さはIp増殖指数に比例する。
Ip=所定抗原のspm(ストローク/分)/対照spm
【0224】
【表9】

【0225】
gp160-トキソイドTatコンジュゲートで免疫化したマウスの脾細胞は免疫化で用いた免疫原でインビトロで活性化されたときに増殖する。
【0226】
実施例31
gp160-GM Tatヘテロ複合体の免疫原性活性
A 原料および方法
トキソイドTatと比較したgp160-GM Tat調製物の免疫原活性(液性および細胞性活性)を18〜20gのbalb/cマウスで試験した。
1 免疫化
3匹のマウス群に0、7、14、21日に0.1ml(10μg)のAIFエマルションを筋肉内注射した。60日に5μgのAIFをブースター注射した。
最初の免疫前の−2日に各マウスから血液サンプルを眼窩後部の所で採取した。
3匹の対照マウスには免疫原を含まない同じ調整物を与えた。
最後の免疫化から12日後にマウスを犠牲にした。
【0227】
2 毒性
薬局方に従ってヒト1回量(100μg)を投与した3匹のマウスで異常な毒性を調べた。
ヘテロ複合体の免疫毒性がないことを複合体の存在下で培養され且つPPDまたは破傷風トキソイドによって刺激されるPBMCに対して行った細胞増殖テストを用いてインビトロで評価した。
【0228】
B 結果
インビボおよびインビトロでヘテロ複合体に毒性なし
gp160-GM Tat調製物で免疫化したマウスと、トキソイドTatのみで免疫化したマウスはいずれも臨床徴候がなく、解剖学的な変化も示さない。免疫抑制テストから、用量100ng/ml〜1μg/mlのgp160-トキソイドTatはリンパ球の増殖を抑制しないことがわかる。
100μgのヘテロ複合体で免疫化した3匹のマウスは注射後7日間いかなる毒性の徴候(体温、皮膚疾患、全身性または局所的兆候)も示さない。
【0229】
2 液性応答
液性応答はTatに対するIgGタイプの抗体の血清中の存在をエリザ(ELISA)で測定し、抗体価で示した(0.3以上の光学濃度を与える希釈度の逆数)。得られた抗体価は〔表10〕に示してある。
【0230】
【表10】

【0231】
gp160-トキソイドTat調製物で免疫化したマウスはGM Tatのみで免疫化したマウスより高い抗Tat IgGタイプの抗体価を示す。
【0232】
実施例32
KLH-マウスTNFαヘテロ複合体の免疫原性活性
A 原料および方法
マウスTNFαと比較したKLH-マウスTNFα調製物の免疫原活性(液性および細胞性活性)を18〜20gのbalb/cマウスで試験した。
0日に3匹のマウス群(A群)に60μgのKLH-TNFα複合体を含む0.1mlのAIFエマルションを筋肉内経路で投与する。ブースター注射はAIFを21日に30μg、60日に15μg与えた。3匹の対照マウスには同じプロトコルに従って同等の用量のマウスTNFαを投与する(B群)。
0日に3匹のマウス群(C群)に、60μgのKLH-マウスTNFαヘテロ複合体と、30μgのホスホロチオネートオリゴデオキシヌクレオチド 5'-TCCATGACGTTCCTGACGTT-3' (CpG ADN: 1826)とを含む0.1mlのAIFエマルションを筋肉内経路で投与する。ブースター注射はKKL-マウスTNFαヘテロ複合体を含むAIFを21日に30μg、60日に15μg与えた。3匹の対照マウスには同じプロトコルに従って同等の用量のマウスTNFαを投与する(D群)。
最初の免疫前の−2日に各マウスから血液サンプルを眼窩後部の所で採取した。
最後の免疫化から12日後にマウスを犠牲にした。
【0233】
2 毒性
薬局方に従ってヒト1回量(50μg)を投与した3匹のマウスで異常毒性を調べた。
ヘテロ複合体の免疫毒性がないことを複合体の存在下で培養され且つPPDまたは破傷風トキソイドによって刺激されるPBMCに対して行った細胞増殖テストを用いてインビトロで評価した。
【0234】
B 結果
インビボおよびインビトロでヘテロ複合体に毒性なし
マウスKLH-TNFα調製物で免疫化したマウスと、TNFαのみで免疫化したマウスはいずれも臨床徴候がなく、解剖学的な変化も示さない。免疫抑制テストから、用量100ng/ml〜1μg/mlのKLH-マウスTNFαはリンパ球の増殖を抑制しないことがわかる。
DNA CPG 1826を有する(または有していない)50μgのヘテロ複合体で免疫化した3匹のマウスは注射後7日間いかなる毒性の徴候(体温、皮膚疾患、全身性または局所的兆候)も示さない。
【0235】
2 液性応答
液性応答性をマウスTNFαに対するIgGタイプの抗体の血清中の存在をエリザ(ELISA)で測定し、抗体価で示した。また、マウスの膣分泌物中に存在するTNFαに対するIgAタイプの抗体の存在をELISAで測定し、抗体価で示した。抗体価は0.3以上の光学濃度を与える希釈度の逆数を表す。得られた抗体価は〔表11〕に示してある。
【0236】
【表11】

【0237】
実施例33
Tatペプチド-hIgEヘテロ複合体の免疫原活性
A 原料および方法
ヒトIgEと比較したKLH-ヒトIgE調製物の免疫原活性(液性および細胞性活性)を18〜20gのbalb/cマウスで試験した。
1 免疫化
3匹のマウス群に0、7、14、21日に0.1ml(10μg)のAIFエマルションを筋肉内注射した。60日に5μgのAIFをブースター注射した。
最初の免疫前の−2日に各マウスから血液サンプルを眼窩後部の所で採取した。
3匹の対照マウスには免疫原を含まない同じ調整物を与えた。
最後の免疫化から12日後にマウスを犠牲にした。
【0238】
2 毒性
薬局方に従ってヒト1回量(50μg)を投与した3匹のマウスで異常な毒性を調べた。
ヘテロ複合体の免疫毒性がないことを複合体の存在下で培養され且つPPDまたは破傷風トキソイドによって刺激されるPBMCに対して行った細胞増殖テストを用いてインビトロで評価した。
【0239】
B 結果
インビボおよびインビトロでヘテロ複合体に毒性なし
KLH-ヒトIgE調製物で免疫化したマウスと、ヒトIgEのみで免疫化したマウスはいずれも臨床徴候がなく、解剖学的な変化も示さない。免疫抑制テストから、用量100ng/ml〜1μg/mlのKLH-ヒトIgEはリンパ球の増殖を抑制しないことがわかる。
50μgのヘテロ複合体で免疫化した3匹のマウスは注射後7日間いかなる毒性の徴候(体温、皮膚疾患、全身性または局所的兆候)も示さない。
【0240】
2 液性応答
液性応答はヒトIgEに対するIgGタイプの抗体の血清中の存在をエリザ(ELISA)で測定し、抗体価で示した(0.3以上の光学濃度を与える希釈度の逆数)。得られた抗体価は〔表12〕に示してある。
【0241】
【表12】

【0242】
KLH-hIgE調製物で免疫化したマウスはhIgEのみで免疫化したマウスよりわずかに高い抗Tat IgGタイプの抗体価を示す。
【0243】
実施例34
KLH-リシン-βヘテロ複合体の免疫原性活性
A 原料と方法
リシン-β断片と比較したKLH-ヒトIgE調製物の免疫原性(液性および細胞性)活性を18〜20gbalb/cマウスで試験した。
1 免疫化
0、7、14、21日に、3匹のマウス群に0.1ml(10μg)のAIFエマルションを筋肉内注射した。60日に5μgのAIFをブースター注射した。
最初の免疫前の−2日に各マウスから血液サンプルを眼窩後部の所で採取した。
3匹の対照マウスには免疫原を含まない同じ調整物を与えた。
最後の免疫化から12日後にマウスを犠牲にした。
【0244】
2 毒性
薬局方に従ってヒト1回量(50μg)を投与した3匹のマウスで異常な毒性を調べた。
ヘテロ複合体の免疫毒性がないことを複合体の存在下で培養され且つPPDまたは破傷風トキソイドによって刺激されるPBMCに対して行った細胞増殖テストを用いてインビトロで評価した。
【0245】
B 結果
インビボおよびインビトロでヘテロ複合体に毒性なし
KLH-リシン調製物で免疫化したマウスと、リシン-β断片のみで免疫化したマウスはいずれも臨床徴候がなく、解剖学的な変化も示さない。免疫抑制テストから、用量100ng/ml〜1μg/mlのKLH-リシン-βはリンパ球の増殖を抑制しないことがわかる。
50μgのヘテロ複合体で免疫化した3匹のマウスは注射後7日間いかなる毒性の徴候(体温、皮膚疾患、全身性または局所的兆候)も示さない。
【0246】
2 液性応答
液性応答はリシン-β断片に対するIgGタイプの抗体の血清中の存在をエリザ(ELISA)で測定し、抗体価で示した(0.3以上の光学濃度を与える希釈度の逆数)。得られた抗体価は〔表13〕に示してある。
【0247】
【表13】

【0248】
この抗体の中和活性を抗リシン-βとリシン血清との混合物をマウスに注射して調べたが、リシンと通常の血清と混合物の投与で観察されることとは違って、これらの混合物はマウスの死に至らなかった。
【0249】
参照文献
1) Adler HL, McCurdy MA, Kattan MW, Timme TL, Scardino PT, Thompson TC. Elevated levels of circulating interleukin-6 and transforming growth factor-beta 1 in patients with metastatic prostatic carcinoma. J Urol 1999; 161:182-7
2) Aucouturier J et al., Adjuvants designed for veterinary and human vaccines. Vaccine 2001 19:2666-72
3) Baras B. et al., Single-dose mucosal immunization with biodegradable microparticles containing a Schistosoma mansoni antigen. Infect Immun. (1999)67:2643-8) Basak A, Boudreault A, Chen A, Chretien M, Seidah NG, Lazure C, Application of the multiple antigenic peptides (MAP) strategy to the production of prohormone convertases antibodies: synthesis, characterization and use of 8-branched immunogenic peptides: J Pept Sci 1995 Nov-Dec;1(6):385-95
4) Cowan et al, Induction of TNF alpha in human neuronal cells by extracellular human T-cell lymphotropic virus Type 1 Taxi, Journal of virology, 1997, 6982-6989
5) Ferreira FK et al, 1993, Purification and characterization of recombinant Bet v1, the major Birch pollen allergen: immunological equivalence to natural Bet v1; J. Biol. Chem., 268: 19574.
【0250】
6) Fouts TR, Tuskan R, Godfrey K, Reitz M, Hone D, Lewis GK, DeVico AL. Expression and characterization of a single-chain polypeptide analogue of the human immunodeficiency virus type 1 gp120-CD4 receptor complex. J. Virol. 2000 Dec, 74(24): 11427-36.
7) Fouts T. Godfrey K, Bobb K, Montefiori D, Hanson CV, Kalyanaraman VS, DeVico A, Pal R. Cross-linked HIV-1 envelop-CD4 receptor complexes elicit broadly cross-reactive neutralizing antibodies in rhesus macaques. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2002, September 3; 99(18):11842-7. Epun 21 aot 2002
8) Le Buanec et al., HPV-16 E7 but not E6 oncogenic protein triggers both cellular immunosuppression and angiogenic processes. Biomed Pharmacother. 1999; 53: 424-31
9) Morgenstern JP et al., Amino acid sequence of Feld1, the major allergen of the domestic cat: protein sequence analysis and cDNA cloning, PNAS, 1991, 88:9690
10) Mori N et al., lnterleukine-10 gene expression in adult t-cell leukaemia, Biood, 1996, 1035-45
11) Sementchenko VI, Schweinfest CW, Papas TS, Watson DK., ETS2 function is required to maintain the transformed state of human prostate cancer cells. Oncogene 1998; 17:2883-8.
12) Tovey ER et al, Mite faeces are a major source of house dust allergens. Nature, 1981, 289:592-593.
13) Yoshiji H et al., Expression of vascular endothelial growth factor, its receptor, and other angiogenic factors in human breast cancer. Cancer Res 1996, 56:2013-6
14) Zagury D et al, Interferon alpha and Tat involvement in the immunosuppression of uninfected T cells and C-C chemokine decline in AIDS. Proc Natl Acad Sci U S A 1998;95 : 3851-6.
15) Zusman I, Sandler B, Gurevich P, Zusman R, Smirnoff P, Tendler Y, Bass D, Shani A, Idelevich E, Pfefferman R, Davidovich B, Huszar M, Glick J. Comparative study of the role of serum levels of p53 antigen and its tumor cell concentration in colon cancer detection. Hum Antibodies Hybridomas.(1996)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)抗原蛋白分子と(ii)担体蛋白分子とで構成され、抗原蛋白(i)の40%以下が担体蛋白分子(ii)に共有結合で結合している免疫原性蛋白ヘテロ複合体からなることを特徴とする、一つまたは複数の抗原蛋白に対して産生される抗体を対象者において誘発する安定な免疫原性産物。
【請求項2】
上記ヘテロ複合体の各々が(ii)担体蛋白分子に結合した(i)複数の抗原蛋白を含む請求項1に記載の免疫原性産物。
【請求項3】
上記の免疫原性ヘテロ複合体の各々において、複数の抗原蛋白(i)が単一の抗原蛋白の複数の標本で構成される請求項2に記載の免疫原性産物。
【請求項4】
上記の免疫原性ヘテロ複合体の各々において、抗原蛋白(i)が対象者の免疫系細胞によって自己蛋白と認識されている蛋白の複数の標本で構成される請求項2または3に記載の免疫原性産物。
【請求項5】
1つの担体蛋白分子(ii)に対して5〜50個の抗原蛋白(i)、好ましくは1つの担体蛋白分子(ii)に対して20〜40個の抗原蛋白(i)を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の産物。
【請求項6】
一つまたは複数の抗原蛋白(i)と担体蛋白分子(ii)との間の共有結合が二官能性結合を有する化合物によって行われる請求項1〜5のいずれか一項に記載の免疫原性産物。
【請求項7】
上記化合物が少なくとも2つの自由なアルデヒド官能基を含む請求項6に記載の免疫原性産物。
【請求項8】
結合用の上記化合物がグルタルアルデヒドである請求項7に記載の免疫原性産物。
【請求項9】
抗原蛋白(i)が対象者が自然に生産するサイトカインからなる請求項1〜8のいずれか一項に記載の免疫原性産物。
【請求項10】
一つまたは複数の抗原蛋白(i)がインターロイキン−4、αインターフェロン、綵och-インターフェロン、VEGF、インターロイキン−10、TNFα、TGFβ、インターロイキン−5およびインターロイキン−6の中から選択される請求項9に記載の免疫原性産物。
【請求項11】
一つまたは複数の抗原蛋白(i)がパピロマウイルス(Papillomavirus)の蛋白E7、HIV1ウイルスのTat蛋白、HTLV1またはHTLV2ウイルスのTax蛋白および自己蛋白p53の中から選択される請求項1〜8のいずれか一項に記載の免疫原性産物。
【請求項12】
一つまたは複数の抗原蛋白(i)がヒトに対する致死量が1mg以下の蛋白、例えばリシン、ボツリヌス毒素、ブドウ球菌エンテロトキシンおよび炭疽毒素蛋白(EF、LF、PA)の中から選択される請求項1〜8のいずれか一項に記載の免疫原性産物。
【請求項13】
担体蛋白分子(ii)が、細胞表面に担体蛋白分子を有する細胞に対して細胞障害性リンパ球の産生を誘発する免疫原性蛋白か、組織適合性主複合体(MHC)のクラスI分子と組み合わされてそれを生じる任意のペプチドである請求項1〜12のいずれか一項に記載の免疫原性産物。
【請求項14】
担体蛋白分子(ii)がパピロマウイルスL1、L2およびE7蛋白の中から選択される請求項13に記載の免疫原性産物。
【請求項15】
担体蛋白分子(ii)がHIV1ウイルスのgp160、p24、p17、NefおよびTat蛋白の中から選択される請求項13に記載の免疫原性産物。
【請求項16】
担体蛋白分子(ii)がCEA、p53、Di12、CaSm、OSAおよびETS2蛋白
の中から選択される請求項13に記載の免疫原性産物。
【請求項17】
担体蛋白分子(ii)がアレルゲン性蛋白、例えばBet v1、Der p1およびFel d1の中から選択される請求項13に記載の免疫原性産物。
【請求項18】
抗原蛋白(i)および蛋白担体分子(ii)がそれぞれ下記であるa)〜j)のヘテロ複合体からなる免疫原性産物の中から選択される請求項1〜8のいずれか一項に記載の免疫原性産物:
a) (i)IL-4、(ii)KLH;
b) (i)αインターフェロン、(ii)KLH;
c) (i)VEGF、(ii)KLH;
d) (i)IL-10、(ii)KLH;
e) (i)αインターフェロン、(ii)VIH1のgp 160;
f) (i)IL-4、(ii)Bet v1 アレルゲン性抗原;
g) (i)VEGF、(ii)パピロマウイルスE7蛋白;
h) (i)不活性化VIH1 Tat蛋白、(ii)VIH1 gp120蛋白;
i) (i)アイソタイプIgEヒト抗体、(ii)不活性化VIH1 Tat蛋白;
j) (i)リシンβ断片、(ii)KLH
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の免疫原性産物を含む組成物。
【請求項20】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の免疫原性産物を一つまたは複数の生理学的に許容される賦形剤と組み合わせて含む医薬組成物。
【請求項21】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の免疫原性産物を一つまたは複数の生理学的に許容される賦形剤と組み合わせて含む免疫原性組成物。
【請求項22】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の免疫原性産物を一つまたは複数の生理学的に許容される賦形剤と組み合わせて含むワクチン組成物。
【請求項23】
CpG免疫アジュバントを含む請求項21または22に記載の免疫原性組成物またはワクチン組成物。
【請求項24】
下記のa)とb)の段階を含む請求項1〜18のいずれか一項に記載の免疫原性産物の調製方法:
a)抗原蛋白(i)と担体分子(ii)とを化学結合剤の存在下で(i):(ii)のモル比を10:1〜50:1にして培養し、
b)段階a)で得られた免疫原性ヘテロ複合体を含む免疫原性産物を回収する。
【請求項25】
化学結合剤がグルタルアルデヒドである請求項23に記載の方法。
【請求項26】
段階a)の後かつ免疫原性産物の回収段階b)の前に、ホルムアルデヒドで免疫原性ヘテロ複合体を安定化させる段階を含む請求項24または25に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−12084(P2011−12084A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234523(P2010−234523)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【分割の表示】特願2004−535614(P2004−535614)の分割
【原出願日】平成15年9月16日(2003.9.16)
【出願人】(504053287)
【Fターム(参考)】