説明

抗呼吸器多核体ウイルス抗体、抗原、およびそれらの用途

抗呼吸器多核体ウイルス(RSV)モノクローナル抗体、RSV Fタンパク質抗原、およびそれらの用途が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸器多核体ウイルス(RSV)Fタンパク質およびFタンパク質ペプチドに対する中和抗体、ならびにRSV誘発性疾患を処置および予防するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒト呼吸器多核体ウイルス(RSV)による感染症は、乳児、幼児、免疫無防備状態の個体、およびより最近は高齢者における重篤な下部気道感染症(LRTI)の単一の最も一般的な原因として長く認識されている。本病原体は、米国で毎年乳児および幼児の126,000超の入院および推定される500例の死亡の直接の原因である(非特許文献1;非特許文献2)。さらに、RSV感染は、小児の喘鳴の発症および喘息の悪化と関連づけられている。現在、付加的な14,000ないし60,000例のRSV関連の入院が、およそ11%の死亡率を伴い、増大する高齢の区分内で米国で毎年発生している(非特許文献3;非特許文献4に総説されている)。RSV感染は、造血幹細胞および実質臓器移植レシピエントの最も一般的なウイルス呼吸器感染症であり、そしてこの集団における広範な死亡と関連する(非特許文献5に総説されている)。
【0003】
RSVに対する中和抗体はウイルスの表面に存在するウイルスFおよびGタンパク質に向けられ、Fは主要保護抗原を表す。Fタンパク質は、RSVの2サブグループ(AおよびB)間で高度に保存されており(89%のアミノ酸同一性)、そして、Gタンパク質と対照的に、Fタンパク質に対する保護抗体応答はサブグループ間で交差反応性である。一般に、RSV Fタンパク質に対する中和抗体の大多数は、部位IIおよび部位IV、V、VIと呼称される該タンパク質の2領域に位置づける(非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8)。
【0004】
保護的RSVワクチンは未だ開発されていない。さらに、有効な治療的抗ウイルス薬は現在存在しない。該ウイルスFタンパク質を標的とする、RSVを中和するヒト化モノクローナル抗体(mAb)、パリビズマブのSynagis(R)銘柄が、危険にさらされている乳児(気管支肺異形成(BPD)若しくは先天性心疾患を伴う35週未満の期間)の受動免疫予防のため、MedImmune Inc.により販売されている。非特許文献9および特許文献1を参照されたい。しかしながら、Synagis(R)での免疫予防は、これらの危険にさらされている乳児全体での入院率を55%だけ(非特許文献10)、およびBPDを伴う者で有意により少なく良好に(39%の低下)低下させるのみである。であるから、RSV感染症を効果的に予防および処置する剤に対する大きな満たされていない医学上の必要性が存在する。
【特許文献1】米国特許第5,824,307号
【非特許文献1】Shayら、JAMA 282:1440−1446、1999
【非特許文献2】Shayら、J.Infect.Dis.183:16−22、2001
【非特許文献3】Dowellら、J.Infect.Dis.174:456−462、1996
【非特許文献4】Hanら、J.Infect.Dis.179:25−30、1999
【非特許文献5】IsonとHayden、Curr.Opin.Infect.Dis.、15:355−367、2002
【非特許文献6】Arbizaら、J.Gen.Virol.、73:2225−2234、1992
【非特許文献7】Lopezら、J.Virol.72:6922−6928、1993
【非特許文献8】Collinsら、Virology、vol.1、第4版中、pp.1443−1485、2001
【非特許文献9】Johnson,S.ら、J.Infect.Dis.、176:1215−1224、1997
【非特許文献10】Impact−RSV Study Group、Pediatrics、102:531−537、1998
【発明の開示】
【0005】
[発明の要約]
本発明の一局面は、配列番号8、10および12に示されるところのH鎖相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列、ならびに配列番号14、16および18に示されるところのL鎖CDRのアミノ酸配列を有する、モノクローナル抗体の抗原結合能力を有する呼吸器多核体ウイルス(RSV)Fタンパク質と反応性の単離された抗体である。
【0006】
本発明の別の局面は、パリビズマブ若しくはmAb19由来のCDRを含有する抗体若しくは抗体フラグメントによる中和を逃れるRSV単離物と反応性の単離された抗体である。
【0007】
本発明の別の局面は、Fタンパク質の残基422ないし436(配列番号28)に位置するRSV Fタンパク質エピトープと反応性の単離された抗体である。
【0008】
本発明の別の局面は、RSV Fタンパク質の残基R429およびK433と反応性の単離された抗体である。
【0009】
本発明の別の局面は、それぞれ配列番号8、10および12に示されるところのHc−CDR1、Hc−CDR2およびHc−CDR3アミノ酸配列、ならびに式(I):
Arg Ala Ser Xaa Ser Val Asp Xaa Xaa Gly Xaa Ser Tyr Xaa His
(I)
[式中、XaaはGln、Asp若しくはHisであり;XaaはLeu、His、Val、Phe若しくはTyrであり;XaaはPhe、Leu若しくはSerであり;XaaはArg、Lys、Gln、Val、Gly、Thr若しくはSerであり;およびXaaはVal若しくはMetである]
に示されるところのLc−CDR1;ならびにそれぞれ配列番号16および18に示されるところのL鎖CDR2(Lc−CDR2)およびL鎖CDR3(Lc−CDR3)を有する、単離された抗体である。
【0010】
本発明の別の局面は、配列番号8に示されるところのHc−CDR1アミノ酸配列、式(II):
His Xaa Tyr Trp Asp Asp Asp Xaa Arg Tyr Xaa Pro Ser Leu Lys Ser
(II)
[式中、XaaはIle若しくはLeuであり、XaaはLys若しくはTyrであり、およびXaaはAsn若しくはSerである]
に示されるところのHc−CDR2アミノ酸配列、配列番号12に示されるところのHc−CDR3アミノ酸配列、ならびに、それぞれ配列番号14および16に示されるところのLc−CDR1およびLc−CDR2アミノ酸配列、ならびに配列番号107若しくは110に示されるところのLc−CDR3アミノ酸配列を有する、単離された抗体である

【0011】
本発明の別の局面は、それぞれ配列番号8および10に示されるところのHc−CDR1およびHc−CDR2アミノ酸配列、ならびに、式(III):
Leu Xaa Gly Phe Xaa Tyr Gly Phe Ala Tyr
(III)
[式中、XaaはTyr若しくはTrpであり;およびXaaはArg、Lys若しくはAlaである]
に示されるところのHc−CDR3アミノ酸配列、ならびに、Lc−CDR1、Lc−CDR2およびLc−CDR3アミノ酸配列がそれぞれ配列番号14、16および18に示されるとおりであるを有する、単離された抗体である。
【0012】
本発明の別の局面は、それぞれ配列番号8および10に示されるところのHc−CDR1およびHc−CDR2アミノ酸配列、ならびに式(IV)に示されるところのHc−CDR3アミノ酸配列、式(I)に示されるところのLc−CDR1アミノ酸配列、ならびにそれぞれ配列番号16および18に示されるところのLc−CDR2およびLc−CDR3アミノ酸配列を有する、単離された抗体である。
【0013】
本発明の別の局面は、それぞれ配列番号8、10および12に示されるところのHc−CDR1、Hc−CDR2およびHc−CDR3アミノ酸配列、ならびに式(I)[式中、XaaがGln若しくはAspであり、XaaがLeu若しくはTyrであり、XaaがPheであり、XaaがLys若しくはArgであり、およびXaaがMetである]に示されるところのLc−CDR1アミノ酸配列、配列番号16に示されるところのLc−CDR2アミノ酸配列、ならびに配列番号107に示されるところのLc−CDR3アミノ酸配列を有する、単離された抗体である。
【0014】
本発明の別の局面は、配列番号8に示されるところのHc−CDR1アミノ酸配列、式IIのHc−CDR2、式IIIのHc−CDR3、式IのLc−CDR1、配列番号16に示されるところのLc−CDR2アミノ酸配列、および配列番号107に示されるところのLc−CDR3アミノ酸配列を有する、単離された抗体である。
【0015】
本発明の別の局面は、配列番号8に示されるところのHc−CDR1アミノ酸配列、式IIのHc−CDR2、式IIIのHc−CDR3、式IのLc−CDR1、配列番号16に示されるところのLc−CDR2アミノ酸配列、および配列番号18に示されるところのLc−CDR3アミノ酸配列を有する、単離された抗体である。
【0016】
本発明の別の局面は、本発明の抗体をコードする単離されたポリヌクレオチドである。
【0017】
本発明の別の局面は、その危険に曝されている患者に、予防上有効な量の本発明の抗体を投与することを含んでなる、RSV誘発性疾患の予防方法である。
【0018】
本発明の別の局面は、治療上有効な量の本発明の抗体を患者に投与することを含んでなる、RSV誘発性疾患の処置方法である。
【0019】
本発明の別の局面は、ペプチドCTASNKNRGIIKTFS(配列番号38)を含んでなる単離されたポリペプチドである。
【0020】
本発明の別の局面は、配列番号38のアミノ酸配列をコードする単離された核酸である。
【0021】
[発明の詳細な記述]
本明細で引用される、限定されるものでないが特許および特許出願を挙げることができる全部の刊行物は、完全に示されるかのように引用することにより本明細書に組み込まれる。
【0022】
本明細書で使用されるところの「抗体」という用語は広範な意味で意味しており、そしてポリクローナル抗体、マウス、ヒト、ヒト化およびキメラモノクローナル抗体を包含するモノクローナル抗体、ならびに抗体フラグメントを包含する免疫グロブリンすなわち抗体分子を包含する。
【0023】
一般に、抗体は特定の一抗原に対する結合特異性を表すタンパク質若しくはポリペプチドである。無傷の抗体は、2本の同一のL鎖および2本の同一のH鎖より構成されるヘテロ四量体の糖タンパク質である。典型的には、各L鎖は1個の共有ジスルフィド結合によりH鎖に連結される一方、ジスルフィド結合の数は異なる免疫グロブリンアイソタイプのH鎖間で変動する。各HおよびL鎖はまた、規則的に空間を空けられた鎖内ジスルフィド架橋も有する。各H鎖は、一端に可変ドメイン(V)、次いで多数の定常ドメインを有する。各L鎖は一端に可変ドメイン(V)およびその他端に定常ドメインを有し;L鎖の定常ドメインはH鎖の第一の定常ドメインと整列され、また、L鎖可変ドメインはH鎖の可変ドメインと整列される。いかなる脊椎動物種の抗体L鎖も、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、2種の明確に異なるタイプ、すなわちκおよびλの一方に割り当てられ得る。
【0024】
免疫グロブリンは、H鎖定常ドメインのアミノ酸配列に依存して5種の主要なクラス、すなわちIgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMに割り当てられ得る。IgAおよびIgGは、アイソタイプIgA、IgA、IgG、IgG、IgGおよびIgGとしてさらに下位分類される。
【0025】
「抗体フラグメント」という用語は、無傷の抗体の一部分、一般には無傷の抗体の抗原結合すなわち可変領域を意味している。抗体フラグメントの例は、Fab、Fab’、F(ab’)およびFvフラグメント、二特異性抗体、可変Hおよび可変L鎖がリンカーにより単一ポリペプチド鎖として結合されているscFv分子のような一本鎖抗体分子、ならびに最低2種の無傷の抗体から形成される多特異性抗体を包含する。
【0026】
本明細書で使用されるところの「抗原」という用語は、直接若しくは間接のいずれかで抗体を生成させる能力を有するいかなる分子も意味している。「抗原」の定義内に、タンパク質をコードする核酸を包含する。
【0027】
「CDR」は、免疫グロブリンHおよびL鎖の超可変領域である抗体の相補性決定領域のアミノ酸配列と定義される。例えば、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第4版、米国保健福祉省(U.S.Department of Health and Human Services)、国立保健研究所(Natioanl Institutes of
Health)(1987)を参照されたい。免疫グロブリンの可変部分には3個のH鎖および3個のL鎖CDR若しくはCDR領域が存在する。従って、本明細書で使用されるところの「CDR」は、全3個のH鎖CDR、全3個のL鎖CDR、若しくは、適切な場合は全Hおよび全L鎖双方のCDRを指す。
【0028】
CDRは、抗原若しくはエピトープへの抗体の結合のための接触残基の大多数を提供する。本発明の目的のCDRはドナー抗体可変HおよびL鎖配列由来であり、そして天然に
存在するCDRのアナログおよびバリアントを包含する。抗体中に存在する場合、アナログCDRは、それらが由来したドナー抗体と同一の抗原結合特異性および/若しくは中和能力を保持している。バリアントCDRは、抗体中に存在する場合、それらが由来したドナー抗体に関係した、改良された抗原結合および/若しくは中和能力を賦与する。
【0029】
本明細書で使用されるところの、および請求の範囲の「と組合せの」という用語は、記述される剤が、混合物中で、単一の剤として同時に、若しくは単一の剤としていずれかの順序で連続して一緒に哺乳動物に投与され得ることを意味している。
【0030】
本明細書で使用されるところの「モノクローナル抗体」(mAb)という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体(若しくは抗体フラグメント)を意味している。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、典型的には単一の抗原決定基に向けられる。「モノクローナル」という修飾語は抗体の実質的に均一な特徴を示し、そしていずれかの特定の方法による抗体の産生を必要としない。例えば、マウスmAbはKohlerら、Nature 256:495−497(1975)のハイブリドーマ法により作成し得る。アクセプター抗体(典型的にはヒトのような別の哺乳動物種)由来のLおよびH鎖定常領域とともにドナー抗体(典型的にはマウス)由来のL鎖およびH鎖可変領域を含有するキメラmAbは、米国特許第4,816,567号に開示される方法により製造し得る。ヒト以外のドナー免疫グロブリン(典型的にはマウス)由来のCDR、および、場合によっては結合親和性を保存するための変えられた枠組み支持残基を有する1種若しくはそれ以上のヒト免疫グロブリン由来である分子の残存する免疫グロブリン由来部分を有するヒト化mAbは、Queenら、Proc.Natl Acad Sci(USA)、86:10029−10032(1989)およびHodgsonら、Bio/Technology、9:421(1991)に開示される技術により得ることができる。ヒト化に有用な例示的ヒト枠組み配列は、例えば、www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi;www.ncbi.nih.gov/igblast;www.atcc.org/phage/hdb.html;www.mrc−cpe.cam.ac.uk/ALIGNMENTS.php;www.kabatdatabase.com/top.html;ftp.ncbi.nih.gov/repository/kabat;www.sciquest.com;www.abcam.com;www.antibodyresource.com/onlinecomp.html;www.public.iastate.edu/〜pedro/research_tools.html;www.whfreeman.com/immunology/CH05/kuby05.htm;www.hhmi.org/grants/lectures/1996/vlab;www.path.cam.ac.uk/〜mrc7/mikeimages.html;mcb.harvard.edu/BioLinks/Immunology.html;www.immunologylink.com;pathbox.wustl.edu/〜hcenter/index.html;www.appliedbiosystems.com;www.nal.usda.gov/awic/pubs/antibody;www.m.ehime−u.ac.jp/〜yasuhito/Elisa.html;www.biodesign.com;www.cancerresearchuk.org;www.biotech.ufl.edu;www.isac−net.org;baserv.uci.kun.nl/〜jraats/links1.html;www.recab.uni−hd.de/immuno.bme.nwu.edu;www.mrc−cpe.cam.ac.uk;www.ibt.unam.mx/vir/V_mice.html;http://www.bioinf.org.uk/abs;antibody.bath.ac.uk;www.unizh.ch;www.cryst.bbk.ac.uk/〜ubcg07s;www.nimr.mrc.ac.uk/CC/ccaewg/ccaewg.html;www.path.cam.ac.uk/〜mrc7/humanisation/TAHHP.html;www.ibt.unam.mx/vir/structure/stat_aim.html;www.biosci.missouri.edu/smithgp/index.html;www.jerini.de;imgt.cines.fr;Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、米国保健省(U.S.Dept.Health)(1983)(それぞれ引用することによりそっくりそのまま本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0031】
いかなるヒト以外の配列も欠く完全にヒトのmAbは、例えば、Lonbergら、Nature 368:856−859(1994);Fishwildら、Nature
Biotechnology 14:845−851(1996)およびMendezら、Nature Genetics 15:146−156(1997)で参照される技術により、ヒト免疫グロブリントランスジェニックマウスから製造し得る。ヒトmAbはまた、例えばKnappikら、J.Mol.Biol.296:57−86(2000)およびKrebsら、J.Immunol.Meth.254:67−84(2001)で参照される技術により、ファージディスプレイライブラリーからも調製かつ至適化し得る。
【0032】
本明細書で使用されるところの「RSV中和活性」という用語は、細胞を感染させるか若しくは感染した細胞から未感染の細胞に広がるRSVの能力を阻害する抗体若しくは抗体フラグメントを指す。
【0033】
後に続くところの慣習的一および三文字アミノ酸記号を本明細書で使用する:
アミノ酸 三文字記号 一文字記号
アラニン ala A
アルギニン arg R
アスパラギン asn N
アスパラギン酸 asp D
システイン cys C
グルタミン酸 glu E
グルタミン gln Q
グリシン gly G
ヒスチジン his H
イソロイシン ile I
ロイシン leu L
リシン lys K
メチオニン met M
フェニルアラニン phe F
プロリン pro P
セリン ser S
トレオニン thr T
トリプトファン trp W
チロシン tyr Y
バリン val V
【0034】
本発明は、RSV Fタンパク質(配列番号1および2)を結合するRSV中和活性をもつ抗体に関する。F(融合)抗原は、RSV粒子の表面上およびRSVに感染した細胞の表面上の双方で発現され、そして感染した細胞のシンシチウムへの融合を媒介する。本発明の抗体の結合エピトープはFタンパク質の領域420TKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNK445(配列番号28)に位置する。より具体的には、本発明
の抗体はRSV Fタンパク質の残基422CTASNKNRGIIKTFS436(配列番号38)を結合する。とりわけ、本発明の抗体はRSV Fタンパク質の残基R429およびK433を結合する。これらの抗体は、ヒトのような哺乳動物におけるRSV感染の処置若しくは予防のための潜在的治療若しくは予防薬として有用である。これらの抗体はまた研究若しくは診断試薬としても有用である。
【0035】
本発明の別の態様は、アミノ酸配列CTASNKNRGIIKTFS(配列番号38)を有するペプチドを含んでなる単離されたポリペプチド、および該ポリペプチドをコードする単離された核酸若しくはその相補物である。本発明のこれらのポリペプチドおよび核酸は、被験体においてRSVに対する中和抗体を導き出してそれによりRSV誘発性疾患に対し該患者を免疫するためのワクチン製剤中の抗原として有用である。いかなるこうしたワクチン製剤も処方されることができ、そして当業者に公知であるとおり適切なアジュバントを含有することができる。
【0036】
本発明の別の態様は、それぞれ配列番号8、10および12に示されるところのH鎖CDR1(hc−CDR1)、CDR2(hc−CDR2)およびCDR3(hc−CDR3)アミノ酸配列、ならびにそれぞれ配列番号14、16および18に示されるところのL鎖CDR1(lc−CDR1)、CDR2(lc−CDR2)およびCDR3(lc−CDR3)アミノ酸配列を有するモノクローナル抗体の結合能力を有する、RSV Fタンパク質と反応性の単離された抗体である。例示的一抗体は、それぞれ配列番号8、10および12に示されるところのhc−CDR1、hc−CDR2およびhc−CDR3アミノ酸配列、ならびにそれぞれ配列番号14、16および18に示されるところのlc−CDR1、lc−CDR2およびlc−CDR3のCDRアミノ酸配列を有するモノクローナル抗体である。
【0037】
本発明の別の態様は、配列番号4に示されるところのH鎖可変領域(V)アミノ酸配列および配列番号6に示されるところのL鎖可変領域(V)アミノ酸配列を有する単離されたモノクローナル抗体である。本発明の別の態様は、配列番号4若しくは配列番号6に示されるアミノ酸配列をコードする核酸またはその相補物である。配列番号4に示されるアミノ酸配列をコードする例示的一核酸配列は配列番号3に示される。配列番号6に示されるアミノ酸配列をコードする例示的一核酸配列は配列番号5に示される。
【0038】
本発明のなお別の態様は、それぞれ配列番号8、10および12に示されるhc−CDR1、hc−CDR2およびhc−CDR3アミノ酸配列を有する抗体H鎖をコードする単離された核酸、若しくは相補核酸である。例示的一核酸配列は、それぞれ配列番号8、10および12に示されるアミノ酸配列をコードする、配列番号7、9および11に示される核酸配列を有する。
【0039】
本発明のなお別の態様は、それぞれ配列番号14、16および18に示されるlc−CDR1、lc−CDR2およびlc−CDR3アミノ酸配列を有する抗体L鎖をコードする単離された核酸、若しくは相補核酸である。例示的一核酸配列は、それぞれ配列番号14、16および18に示されるアミノ酸配列をコードする、配列番号13、15および16に示される核酸配列を有する。
【0040】
本発明の別の態様は、配列番号49に示されるところのVアミノ酸配列および配列番号51に示されるところのVアミノ酸配列を有するヒト適応型(human−adapted)モノクローナル抗体である。
【0041】
本発明の別の態様は、それぞれ配列番号8、10および12に示されるところのHc−CDR1、Hc−CDR2およびHc−CDR3アミノ酸配列、ならびに式(I):
Arg Ala Ser Xaa Ser Val Asp Xaa Xaa Gly Xaa Ser Tyr Xaa His
(I)
[式中、XaaはGln、Asp若しくはHisであり;XaaはLeu、His、Val、Phe若しくはTyrであり;XaaはPhe、Leu若しくはSerであり;XaaはArg、Lys、Gln、Val、Gly、Thr若しくはSerであり;およびXaaはVal若しくはMetである]
に示されるところのLc−CDR1;ならびに、それぞれ配列番号16および18に示されるところのLc−CDR2およびLc−CDR3アミノ酸配列を有する抗体である。例示的種は、配列番号49に示されるところのVアミノ酸配列、ならびにそれぞれ配列番号16および18に示されるところのLc−CDR2およびLc−CDR3アミノ酸配列、ならびに式(I)[式中:
XaaがGlnであり、XaaがLeuであり、XaaがPheであり、XaaがArgであり、およびXaaがMetであり(配列番号63);
XaaがGlnであり、XaaがLeuであり、XaaがPheであり、XaaがLysであり、およびXaaがMetであり(配列番号64);
XaaがGlnであり、XaaがLeuであり、XaaがPheであり、XaaがGlnであり、およびXaaがMetであり(配列番号65);
XaaがGlnであり、XaaがLeuであり、XaaがPheであり、XaaがValであり、およびXaaがMetであり(配列番号66);
XaaがGlnであり、XaaがHisであり、XaaがPheであり、XaaがLysであり、およびXaaがValであり(配列番号67);
XaaがGlnであり、XaaがValであり、XaaがPheであり、XaaがArgであり、およびXaaがMetであり(配列番号68);
XaaがGlnであり、XaaがLeuであり、XaaがLeuであり、XaaがGlyであり、およびXaaがMetであり(配列番号105);
XaaがGlnであり、XaaがLeuであり、XaaがPheであり、XaaがThrであり、およびXaaがMetであり(配列番号69);
XaaがGlnであり、XaaがTyrであり、XaaがLeuであり、XaaがArgであり、およびXaaがMetであり(配列番号70);
XaaがGlnであり、XaaがLeuであり、XaaがPheであり、XaaがSerであり、およびXaaがMetであり(配列番号71);
XaaがGlnであり、XaaがTyrであり、XaaがSerであり、XaaがArgであり、およびXaaがMetであり(配列番号72);
XaaがGlnであり、XaaがPheであり、XaaがPheであり、XaaがLysであり、およびXaaがMetであり(配列番号73);ならびに
XaaがAspであり、XaaがLeuであり、XaaがPheであり、XaaがValであり、およびXaaがMetである(配列番号111)]
のLc−CDR1を含んでなるVアミノ酸配列を有する抗体を包含する。
【0042】
本発明の別の態様は、配列番号8に示されるところのHc−CDR1アミノ酸配列、式(II):
His Xaa Tyr Trp Asp Asp Asp Xaa Arg Tyr Xaa Pro Ser Leu Lys Ser
(II)
[式中、XaaはIle若しくはLeuであり、XaaはLys若しくはTyrであり、およびXaaはAsn若しくはSerである]
に示されるところのHc−CDR2アミノ酸配列、配列番号12に示されるところのHc−CDR3アミノ酸配列、ならびに、それぞれ配列番号14および16に示されるところのLc−CDR1およびLc−CDR2アミノ酸配列、ならびに配列番号107に示され
るところのGln Gln Ile Ile Asp Asp Pro Trp Thr若しくは配列番号110に示されるところのGln Gln Ile Ile Ala Asp Pro Trp ThrのLc−CDR3アミノ酸配列を有する単離された抗体である。例示的種は、配列番号74に示されるところのVアミノ酸配列および配列番号106に示されるところのVアミノ酸配列を有する抗体を包含する。
【0043】
本発明の別の態様は、それぞれ配列番号8および10に示されるところのHc−CDR1およびHc−CDR2アミノ酸配列、ならびに式(III):
Leu Xaa Gly Phe Xaa Tyr Gly Phe Ala Tyr
(III)
[式中、XaaはTyr若しくはTrpであり;およびXaaはArg、Lys若しくはAlaである]
に示されるところのHc−CDR3アミノ酸配列、ならびにLc−CDR1、Lc−CDR2およびLc−CDR3アミノ酸配列がそれぞれ配列番号14、16および18に示されるようであるを有する単離された抗体である。例示的種は、配列番号51に示されるところのVアミノ酸配列、ならびに、式(IV)[式中:
XaaがTrpであり、およびXaaがArgであり(配列番号75);
XaaがTrpであり、およびXaaがLysであり(配列番号76);
XaaがTrpであり、およびXaaがAlaであり(配列番号77);
XaaがTyrであり、およびXaaがArgであり(配列番号78);
XaaがTyrであり、およびXaaがLysであり(配列番号79);ならびに
XaaがTyrであり、およびXaaがAlaである(配列番号80)]
のHc−CDR3を含んでなるVアミノ酸配列を有する抗体を包含する。
【0044】
本発明の別の態様は、それぞれ配列番号8および10に示されるところのHc−CDR1およびHc−CDR2アミノ酸配列、ならびに式(IV)に示されるところのHc−CDR3アミノ酸配列、式(I)に示されるところのLc−CDR1アミノ酸配列、ならびにそれぞれ配列番号16および18に示されるところのLc−CDR2およびLc−CDR3アミノ酸配列を有する単離された抗体である。例示的種は、配列番号63に示されるところのVアミノ酸配列、および配列番号76、80若しくは79に示されるところのVアミノ酸配列を有する抗体を包含する。
【0045】
本発明の別の態様は、それぞれ配列番号8、10および12に示されるところのHc−CDR1、Hc−CDR2およびHc−CDR3アミノ酸配列、ならびに式(I)[式中、XaaがGln若しくはAspであり、XaaがLeu若しくはTyrであり、XaaがPheであり、XaaがLys若しくはArgであり、およびXaaがMetである]に示されるところのLc−CDR1アミノ酸配列、配列番号16に示されるところのLc−CDR2アミノ酸配列、ならびに配列番号107に示されるところのLc−CDR3アミノ酸配列を有する抗体である。例示的種は、配列番号81、82、83若しくは112に示されるところのVアミノ酸配列、および配列番号49に示されるところのVアミノ酸配列を有する抗体を包含する。
【0046】
本発明の別の態様は、配列番号8に示されるところのHc−CDR1アミノ酸配列、式IIのHc−CDR2、式IIIのHc−CDR3、式IのLc−CDR1、配列番号16に示されるところのLc−CDR2アミノ酸配列、および配列番号107若しくは110に示されるところのLc−CDR3アミノ酸配列を有する抗体である。例示的種は、以下のVおよびVアミノ酸配列の組合せの1種を有する抗体を包含する:
【0047】
【表1】

【0048】
本発明の別の態様は、配列番号8に示されるところのHc−CDR1アミノ酸配列、式IIのHc−CDR2、式IIIのHc−CDR3、式IのLc−CDR1、配列番号16に示されるところのLc−CDR2アミノ酸配列、および配列番号18に示されるところのLc−CDR3アミノ酸配列を有する抗体である。例示的種は、以下のVおよびVアミノ酸配列の組合せの1種を有する抗体を包含する:
【0049】
【表2】

【0050】
本発明の抗体は、それらの薬物動態プロファイルを改良するためにポリエチレングリコールに複合(ペグ化)し得る。複合は当業者に既知の技術により実施し得る。治療的抗体のPEGとの複合は、機能を妨害しない一方で薬動力学を高めることが示されている。Deckertら、Int.J.Cancer 87:382−390、2000;Knightら、Platelets 15:409−418、2004;Leongら、Cytokine 16:106−119、2001;およびYangら、Protein Eng.16:761−770、2003を参照されたい。本発明の抗体の薬物動態特性はまた、当業者に既知の技術によるFc改変によっても高め得る。
【0051】
本発明の別の態様は、本発明の抗体のいずれか1種のHおよびL鎖をコードする単離された核酸若しくはその相補物である。例示的核酸は、配列番号51、63、64、65、66、67、68、104、69、70、71、72、73、74、81、82、83、85、87、89、90、91、92、94、95、96、97、98、99、100、101、102および103のアミノ酸配列のいずれか1種を有するV領域をコードするものを包含する。他の例示的核酸は、配列番号49、106、75、76、77、78、79、80、84、86、88および93のアミノ酸配列のいずれかを有するV領域をコードすることを包含する。
【0052】
本発明の抗体を製造するのに有用な例示的プラスミドベクターは、HCMV前初期エンハンサー/プロモーター若しくはMHCクラスIプロモーターのような強力なプロモーター、HCMV前初期遺伝子イントロンAのような転写物のプロセシングを高めるためのイントロン、および後期SV40ポリAシグナルのようなポリアデニル化(ポリA)シグナルを含有する。プラスミドは、該抗体の完全長のHおよびL鎖の双方、一本鎖Fvフラグメント、若しくは他の免疫グロブリンフラグメントの発現を可能にするように多シストロン性であり得る。
【0053】
本発明の抗RSV抗体の治療的若しくは予防的使用のための投与様式は、該剤を宿主に送達するいかなる適する経路であってもよい。抗体、抗体フラグメントおよびこれらの剤の製薬学的組成物は、非経口投与により、すなわち皮下、筋肉内、皮内、静脈内、若しくは鼻内で、ならびに直接肺のような標的臓器への送達のための局所若しくはエアゾル経路により送達し得る。
【0054】
本発明の抗RSV抗体は、製薬学的に許容できる担体中に有効成分として有効量の剤を含有する製薬学的組成物として製造しうる。好ましくは、注入のための準備ができている形態の生理学的pHで緩衝された剤を含有する水性懸濁液若しくは溶液が好ましい。非経口投与のための組成物は、一般に、製薬学的に許容できる担体、好ましくは水性担体に溶解された本発明の結合剤若しくはそれらのカクテルの溶液を含むことができる。多様な水性担体、例えば0.4%生理的食塩水、0.3%グリシンなどを使用しうる。
【0055】
これらの製薬学的組成物の溶液は無菌であり、そして一般に微粒子を含まない。これら
の溶液は慣習的滅菌技術(例えば濾過)により滅菌しうる。該組成物は、pH調節剤および緩衝剤などのような生理学的条件に近づけるために必要とされるところの製薬学的に許容できる補助物質を含有しうる。こうした製薬学的製剤中での本発明の抗RSV抗体の濃度は、広範に、すなわち約0.5%未満、通常は約1%若しくは最低約1%から約15若しくは20重量%まで変動し得、そして、選択される特定の投与様式に従って、主として液体の容量、粘度などに基づき選択されることができる。
【0056】
従って、筋肉内注入のための本発明の製薬学的組成物は、1mLの無菌緩衝水、および約1ngないし約100mg、例えば約50ngないし約30mg、若しくはより具体的には約5mgないし約25mgの間の本発明の抗RSV抗体を含有するよう調製し得る。同様に、静脈内注入のための本発明の製薬学的組成物は、約250mlの無菌リンゲル液、および約1mgないし約30mg、若しくはより具体的には約5mgないし約25mgの本発明の抗RSV抗体を含有するよう構成し得る。非経口で投与可能な組成物の実際の製造方法は、当業者に公知であるか若しくは明らかであることができ、そして、例えば“Remington:The Science and Practice of Pharmacy(以前はRemington’s Pharmaceutical Sciences)”、第19版、Mack Publishing Company、ペンシルバニア州イーストン(1995)に、より詳細に記述されている。
【0057】
本発明の抗RSV抗体は、製薬学的製剤中の場合に単位投与剤形で存在し得る。適切な治療上有効な用量は当業者により容易に決定され得る。決定された用量は、必要な場合は、処置期間の間に医師により適切なように選択される適切な時間間隔で反復しうる。
【0058】
本発明の抗RSV抗体は、貯蔵のため凍結乾燥しかつ使用前に適する担体中で再構成し得る。この技術は、慣習的免疫グロブリンおよびタンパク質製剤で有効であることが示されており、そして技術既知の凍結乾燥および再構成技術を使用し得る。
【0059】
本発明は今や、以下の特定の制限しない例に関して記述されよう。
実施例
【実施例1】
【0060】
抗RSV mAb 101Fの生成および選択
抗RSV mAbは標準的ハイブリドーマ技術(Kohlerら、Nature 256:495−497(1975))を使用して正常BALB/cマウスで生成させた。マウスは、精製したウイルス(Long株)および精製したFタンパク質(RSV Long株由来)の組合せを使用して、本質的に以前に記述された(Garcia−Barrenoら、J.Virol.63:925−932、1989)とおり免疫した。
【0061】
B細胞融合の3日前に、雌性BALB/cマウスにPBS中の免疫原の静脈内注入を与えた。免疫したマウスからの脾を収集し、そしてS、p2/0骨髄腫細胞とのB細胞融合をKohlerら、上記の標準的方法を使用して実施した。融合した細胞はヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジンを含有する培地を使用して選択し、そして、精製したウイルス若しくは精製したFタンパク質いずれかを抗原として使用する酵素結合免疫測定法(ELISA)により、抗RSV F抗体の存在についてウェルをスクリーニングした。陽性のウェルを拡張しかつ限界希釈によりクローン化する。
【0062】
抗RSV mAbは、精製したウイルス若しくは精製したFタンパク質いずれかを抗原として使用して結合するそれらの能力に基づき選択した。
【実施例2】
【0063】
101F HおよびL鎖可変領域遺伝子のクローニングおよび配列決定
マウス101F IgG2a κを発現するハイブリドーマ細胞株からの全RNAを、5’RACEのためのGeneRacerキット(InVitrogen、カリフォルニア州カールズバッド)を使用するcDNA生成のため精製した。キットとともに供給されるオリゴdTが該プロトコルのcDNA合成部分をプライミングした。H鎖可変領域遺伝子を得るため、該cDNAを、製造元の説明書に従ったタッチダウンPCR反応で鋳型として使用した。等量のGeneRacer 5’プライマー(5’−CGACTGGAGCACGAGGACACTGA−3’)(配列番号19)およびラットIgG2a 3’プライマー642(5’−CTGTCCCGAGGTCTCAAGG−3’)(配列番号20)が、反応後に660bpの期待された大きさのバンドを生成した。同一の鋳型および反応条件を使用してL鎖可変領域を得た。等量のGeneRacer 5’プライマー(配列番号19)およびラットκ 3’プライマー645(5’−GAACTGTGACTACAGAGACC−3’)(配列番号21)が、700塩基対の期待された大きさのバンドを生成した。HおよびL鎖双方の増幅を二重で実施した。個々のコロニーからのHおよびL鎖双方の8個のDNA調製物を、T3およびT7プライマーを使用して配列決定した。全8種のH鎖サンプルが同一配列を含有することが確認された。L鎖サンプルの大多数(8種中6種)は、元の融合物に由来した十分に報告された「擬似遺伝子」をコードした2種を除き、同一配列を共有した。図1ならびに2aおよび2bは、101FのH(配列番号3および4)ならびにL鎖(配列番号5および6)の可変領域のそれぞれヌクレオチドおよび推定されるタンパク質配列を示す。
【実施例3】
【0064】
抗RSV mAb 101Fおよびキメラ101Fの一過性構築物のクローニング
H鎖可変領域cDNAを、オリゴ101HC5’および101HC3’(配列を下に示す)を使用するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で鋳型として使用した。
101HC5’:5’−TTCGTACGGCCACCATGGACAGGCTTACTTCCT−3’(配列番号22)
101HC3’:5’−TTCGAAACTTACCTGCAGAGACAGTGACCA−3’(配列番号23)
これらのプライマーは、翻訳開始部位(太字)にコザックコンセンサス配列(下線)、ならびに適切な制限部位BsiWIおよびBstBI(斜体)を付加する。この増幅したフラグメントを、HCMVプロモーターおよびSV40ポリアデニル化部位を含有するマウスゲノムIgG2a発現プラスミドp2370のBsiWIおよびBstBI部位にクローン化して、マウス101F IgG2a H鎖をコードする一過性発現プラスミドp2504を生成した。L鎖可変領域cDNAを鋳型として使用し、そして、翻訳開始部位(太字)にコザックコンセンサス配列(下線)およびスプライスドナー部位(斜体)を付加するオリゴLC101LIC5’およびLC101LIC3’(配列を下に示す)を用いて増幅した。
L101LIC5’:5’GGTGCGTCCTTCGACCACCATGGAGTCAGACACACTCCTGC−3’(配列番号24)
L101LIC3’:5’−CGCCTCCGCTTCGACTTACGTTTGATTTCCAGCTTGGTGCC−3’(配列番号25)
生じる増幅された101F L鎖可変領域DNAフラグメントを、連結に依存しないクローニングによりマウスκ鎖発現ベクターにクローン化して、HCMVプロモーターの制御下にマウス101F κ L鎖をコードするp2505を生成した。
【0065】
キメラ101F(ch101F)mAb(ヒトIgG1定常領域にグラフトされたマウス可変領域)の構築のため、101F H鎖可変領域を、それぞれ翻訳開始部位(太字)にコザックコンセンサス配列(下線)、ならびに該DNAフラグメントの5’および3’端にスプライスドナー部位(斜体)を付加するオリゴHC101LIC5’およびH101LIC3’(配列を下に示す)を使用するPCRにより増幅した。
H101LIC5’:5’−GGTGCGTCCTTCGACCACCATGGACAGGCTTACTTCCTCATT−3’(配列番号26)
H101LIC3’:5’−CGCCTCCGCTTCGACTTACCTGCAGAGACAGTGACCAGAGTCCC−3’(配列番号27)
H鎖DNAフラグメントを発現ベクターへの連結に依存しないクローニングによりクローン化して、HCMVプロモーターの制御下にヒトIgG1定常領域にグラフトされた融合されたマウス101F可変領域をコードするプラスミドp2535を生成した。ヒトκ L鎖定常領域に融合された101F L鎖可変領域を発現するプラスミドp2536は、プラスミドp2505を製造するのに使用した同一のDNAフラグメントをHCMVプロモーターの制御下にヒトκ L鎖を含有する発現プラスミドにクローン化することにより生成した。
【実施例4】
【0066】
抗RSV mAb 101Fおよびキメラの安定構築物のクローニング
101F H鎖可変領域を使用して、マウス抗ヒトCD4、IgG2aのH鎖を発現するプラスミドp2521の可変領域を置換した。L鎖可変領域を、抗ヒトCD4、IgG2aのマウスκ L鎖を発現するプラスミドp2527にクローン化した。生じる発現プラスミドp2533およびp2534は、それぞれマウス101F IgG2aのHおよびL鎖を発現する。
【実施例5】
【0067】
抗RSV mAb 101FおよびFabの発現および精製
101F HおよびL鎖の安定発現のため設計されたプラスミドを、標準的電気穿孔手順によりCD−Sp2/0細胞(C463A)にコトランスフェクトし、そしてミコフェノール酸で選択した。96ウェルプレートからの上清を、抗マウス若しくは抗ヒトFc被覆プレートを使用する標準的EIA手順を使用してアッセイし、そして、アルカリホスファターゼ結合抗マウス若しくは抗ヒトIgG(H+L)抗体を検出に使用した。mAbの一過性発現のため、293E細胞を、製造元の推奨に従ってLipofectamine 2000(Invitrogen,Inc.、カリフォルニア州カールズバッド)でトランスフェクトした。ハイブリドーマ若しくはトランスフェクトした細胞の上清からmAbを精製するため、Mg++若しくはCa++を含まない10×ダルベッコのリン酸緩衝生理的食塩水(DPBS)、pH7.2を、澄明にした細胞上清に1×DPBSの最終濃度まで添加した。希釈した上清をその後、1×DPBSで平衡化した100mLのMabSelectTMカラムに6.0ml/分で負荷した。カラムを10カラム容量すなわち1000mlの1×DPBSで洗浄した。0.1Mグリシン緩衝液、pH2.5を使用して抗体を溶離した。280nmの吸光度の増大により検出されるところの画分を、溶離されたmAbを中和するため2.5Mトリス緩衝液、pH7.5中に収集した。精製されたmAbを1×DPBSに対し透析し、そして0.2ミクロンのフィルターを通す濾過により滅菌した。mAb調製物の純度はHPLC−SEC、およびSDS含有ポリアクリルアミドゲルを通る電気泳動(SDS−PAGE)により分析した。調製物のエンドトキシンレベルを、Pyros(R)Kinetix装置(Seikagaku America、マサチューセッツ州イーストファルマス)で実施したカブトガニ血球抽出物(Limulus amebocyte lysate)(LAL)アッセイを使用して測定した。多様なmAbからのFabを、2%パパインおよび2mM L−システインでの37℃で4時間の消化により生成し、その後反応を0.02Mヨードアセトアミドの添加により停止した。Fabを、プロテイン−Aアフィニティークロマトグラフィー、次いでサイズ排除クロマトグラフィーにより消化混合物から精製した。Fabを含有する適切な画分を合わせ、そして高速液体クロマトグラフィー−サイズ排除クロマトグラフィー(HPLC−SEC)およびSDS−PAGEにより分析した。
【実施例6】
【0068】
抗RSV mAb 101Fの結合活性
組換え発現したRSV Fタンパク質の可溶性の細胞外ドメイン(Calderら、Virology 271:122−131、2000;Begona Ruiz−Anguelloら、Virology 298:317−328、2002)へのmAbおよびFabの結合をELISAにより定量した。Maxisorpプレートのウェル(Nalge−Nunc、ニューヨーク州ロチェスター)を、トリス緩衝生理的食塩水(TBS、Teknova、カリフォルニア州ホリスター)中の精製したRSV Fタンパク質50マイクロリットル(0.5μg/ml)で、4℃で一夜のインキュベーションにより被覆した。被覆したプレートをその後TBS−T(0.05%Tween 20を含有するトリス緩衝生理的食塩水、Teknova #T0390)で1回洗浄し、次いで、室温で1時間振とうしながらChemiBLOCKERTM(Chemicon、カリフォルニア州テメキュラ)およびSuperBlock(R)(Pierce、イリノイ州ロックフォード)の1:1混合物を添加した。プレートをTBS−Tで1回洗浄し、次いで、10μg/mlのウシ血清アルブミン(BSA)を含有するTBS中の抗体の5倍連続希釈を10μg/mlの最大濃度まで添加した。振とうしながら室温で1時間インキュベーション後に、プレートをTBS−Tで5回洗浄し、次いで4000倍希釈のアルカリホスファターゼ結合ヤギ抗ヒトIgG F(ab’)(Jackson ImmunoResearch、ペンシルバニア州ウェストグローブ)50マイクロリットルを添加した。室温で1時間のインキュベーション後に、50マイクロリットルのAttoPhos基質(Roche Diagnositcs、インジアナ州インジアナポリス)をウェルに添加し、次いで暗所で10分間インキュベートした。Tecan Spectra Fluor Plus(Tecan、スイス・チューリッヒ)を使用して蛍光を測定した。検出感度を高めるため、該アッセイは以下の改変を伴い上述されたとおり実施した。4000倍希釈のビオチン結合ヤギ抗ヒトIgG F(ab’)(Jackson Immuno Research)を、上述されたアルカリホスファターゼ結合ヤギ抗ヒトIgG F(ab’)の代わりに用い、次いで振とうしながら22℃で1時間インキュベートした。TBS−Tでの5回の洗浄後に、各ウェルへの45分間の5000倍希釈のアルカリホスファターゼ結合ストレプトアビジン(ZyMed Laboratories、カリフォルニア州サウスサンフランシスコ)50マイクロリットルの添加、次いで上述されたところのTBS−Tでの5回洗浄および検出により、抗体結合を検出した。
【0069】
図3に示されるとおり、親マウス101F mAbは5.5ng/mlのEC50で組換えRSV Fタンパク質に結合する。図4は、組換えRSV Fタンパク質へのキメラ101Fおよびキメラ101F Fabの同等の結合活性を示す。
【実施例7】
【0070】
抗RSV mAb 101Fの親和性の測定
BIAcore 3000装置(Biacore Inc、ニュージャージー州ピスカタウェイ)をCM5センサーチップとともに使用した。ランニング緩衝液は、3mM EDTAおよび0.005% Tween−20を含む10mMリン酸ナトリウム150mM塩化ナトリウム、pH7.4を含有し、そして全部の研究実験は25℃で実施した。以前に記述された(Begona Ruiz−Anguelloら、上記)ところのRSV
Fタンパク質の精製した組換え細胞外ドメインを使用した。Fタンパク質を300マイクロリットルの10mM酢酸ナトリウム緩衝液、pH4.5で希釈して、NHS/EDCカップリング試薬(Biacore,Inc)を使用する固定のため9.5μg/mLの最終濃度を生成した。アプリケーションウィザードを、150RUの固定されたFタンパク質の近似範囲にあるようにプログラムし、200RU未満を許容できるパラメータとして評価した。固定後に、50mM水酸化ナトリウムを使用して表面を洗浄した。1Mエタ
ノールアミン、pH8.0で修飾した表面を対照として使用した。表面の再生は50mM
NaOHを使用して達成した。
【0071】
Fab若しくはmAbいずれかの連続3濃度(サンプルあたり二重の点)に、対照若しくはFタンパク質修飾表面上を横切らせた。サンプルはランニング緩衝液で1.25、5.0および20.0nMに希釈した。ランニング緩衝液のみのサンプルを陰性対照としてサンプル組に包含した。センサー図は、BIAcoreにより提供された評価ソフトウェア(BIAevaluation 3.2)を使用して解析した。バックグラウンド(緩衝液のみ)の値を生データから差し引き、そしてバックグラウンド補正済データをBIAevaluationソフトウェアにインポートした。該ソフトウェアとともに提供される単純解離モデルを使用して、解離および会合速度定数を決定した(ラングミュアー結合モデル)。これらの値を平均し、そして平衡解離定数(K)を計算するのに使用した。
【0072】
表1に示されるとおり、親マウスおよびキメラ双方の101Fはパリビズマブよりおよそ6倍より高い親和性を有する一方、キメラ101F FabはパリビズマブFabと類似の親和性を有する。
【0073】
【表3】

【実施例8】
【0074】
抗RSV mAb 101Fによるウイルス中和
American Tissue Type Collection(ATCC)(バージニア州マナサス)から得たHEp−2細胞(ATCC CCL−23)を、10%ウシ胎児血清(熱不活性化かつγ線照射済、Hyclone、ユタ州ローガン)、非必須アミノ酸、ペニシリンG(100単位/ml)ストレプトマイシン(100μg/ml)および2mM L−グルタミンを補充した変法イーグル培地(MEM)中で維持し、そして5%COの加湿雰囲気中37℃で増殖させた。ヒトRSV(Long株、ATCC VR−26)をATCC(バージニア州マナサス)から得た。RSVストックは、HEp−2細胞を細胞あたり0.01PFUのMOIのRSVに感染させることにより調製した。培養上清を感染後6日に収集し、10%ショ糖に調節しかつ液体窒素中で保存した。RSV力価を、培地中0.5%メチルセルロースオーバーレイを使用するHEp−2細胞でのプラークアッセイにより測定した。抗体中和アッセイは96ウェル形式で実施した。モノクローナル抗体は、培地中50μl容量で2倍希釈を使用して6.4μg/mlから出発して0.0125μg/mlまで96ウェルプレート中で希釈した。パリビズマブ(Synagis(R)、MedImmune Inc.、メリーランド州ゲイサーズバーグ)を全アッセイで陽性対照として使用した。培地中等容量の3×10PFU/mlのRSVを各ウェルに添加した。mAb−ウイルス混合物を室温で2時間インキュベートした。同時に、HEp−2細胞を、100マイクロリットル中1.5×10/ウェルの密度で96ウェルプレートに播種した。1時間の抗体インキュベーション段階の後に、mAb−ウイルス混合物をHEp−2細胞に添加し、そして37℃で多様な時間インキュベートし、そして下の方法の1種により処理した。感染6日後に培地を除去し、そして50μlの0.5%クリスタルバイオレット溶液(70%メタノール溶液中で調製)を添加し、以前に記述された(Trepanierら、Virol.Methods、1:343−347、1980)とおり各ウェルを10分間染色した。過剰の着色剤を除去し、そして固定された単層を水で穏やかに洗浄し、そしてその後1時間風乾した。100μlの70%メタノールをその後各ウェルに添加した。10分の穏やかな振とう後に、マイクロプレートリーダー(Molecular Device、カリフォルニア州メンロパーク)を使用して光学密度を570nmで測定した。Prism 3.0(Graphpad Software,Inc.、カリフォルニア州サンディエゴ)をデータ解析のためおよびEC50曲線を生成するため使用した。
【0075】
表2に示されるとおり、親マウス(ハイブリドーマ由来および組換え生成)ならびにキメラ101F双方は、ここに記述される条件下でパリビズマブとほぼ同一の(1〜2倍以内)ウイルス中和活性を有する。キメラ101Fおよびパリビズマブ由来のFabは、親IgGよりそれぞれおよそ10倍および16ないし30倍より低い活性を有する。
【0076】
【表4】

【実施例9】
【0077】
コトンラットにおける免疫予防
抗体を、本質的にはPrinceらによりVirus Res.、3:193−206、1985に記述されたところの免疫予防モデルで試験した。近交系コトンラット(アラゲコトンラット(Sigmodon hispidus)、平均5週齢、体重60〜90グラムの間になる雌性)はHarlan Sprague Dawley、アラバマ州プラットビルから得た。単一の試験で使用した全動物の重量は相互の3グラム以内であった。第1日に、動物に多様な用量のmAb若しくはBSA(陰性対照)を筋肉内注入した。24時間後に血清サンプルを採取し、そして動物をイソフルランで麻酔し、そしてその後、マイクロピペットを使用して、0.1mlの容量のRSV(10PFUのウイルス)を鼻内に接種した。ウイルス感染4日後に動物をCO窒息により殺し、そして肺および血清を収集した。血清サンプルは−80℃で凍結させた。各動物からの肺を氷冷肺洗浄媒体(20U/mlペニシリンG、20μg/mlストレプトマイシン、100μg/mlゲンタマイシンおよび0.25μg/mlアムホテリシンBを含有するPBS)で3回洗浄し、そしてその後鋏で切断することにより細かく刻み、Seward Stomacher(R)80 Biomaster(Brinkmann Instruments,Inc.、ニューヨーク州ウェストベリー)に移し、そして高速で2分間ホモジナイズした。ウイルス力価をHEp−2細胞で測定し、そしてPFU/g肺組織として表した。
【0078】
図5に示されるとおり、キメラ101Fおよびパリビズマブ双方が、5.0mg/kgでウイルス肺力価の99%低下を伴い、試験した全用量でウイルス肺力価の統計学的に有意の低下を引き起こした。
【実施例10】
【0079】
抗RSV mAb 101Fエピトープの決定
RSV Fタンパク質を発現するよう工作したプラスミドを、真核生物細胞中での翻訳のため哺乳動物に至適化したコドンを用いてRSV A2株および18537株のF遺伝子を最初に合成すること、ならびに以前の報告(Mortonら、Virology 311:275−288、2003)に類似の全部の潜在性RNAプロセシングシグナルの除去により構築した(それぞれ配列番号46および47)。これらをpcDNA 3.1哺乳動物発現ベクター(Invitrogen,Inc.)にクローン化した。多様な突然変異をRSV Fタンパク質(A2株)のコーディング領域内で作成し、それらは、以前に記述されたmAbエスケープ変異体、とりわけパリビズマブについてSer275からPhe(Croweら、Virology、252:373−375、1998)、mAb 7.936についてLys433からThr(Lopezら、J.Virol.72:6922−6928、1998)、およびmAb19についてArg429からSer(Arbizaら、J.Gen.Virol.73:2225−2234、1992)に対応した。RSV F変異体を発現するプラスミドを293T細胞にトランスフェクトした。トランスフェクション24時間後に、細胞をリン酸緩衝生理的食塩水中0.05%グルタルアルデヒドで固定し、そしてELISAアッセイを使用してパリビズマブ若しくはキメラ101Fの結合を測定した。
【0080】
表3は、野性型RSV Fタンパク質に関してのmAb結合として示される結果を示す。これらの結果は、パリビズマブおよびキメラ101FがRSV Fタンパク質上の別個のエピトープを認識することを示す。さらに、101Fは、パリビズマブによりもはや認識されない変異体RSV Fタンパク質(Ser275Phe)に結合することが可能である。
【0081】
【表5】

【0082】
これらのデータは、抗体101Fおよびパリビズマブがこれらの条件下でin vitroおよびin vivoで類似の効力を有することを示す。さらに、101F mAbはパリビズマブと異なる1エピトープを認識し、そしてパリビズマブによりもはや結合されないRSV Fの変異体に結合することが可能であり、101Fが抗原部位IV、V、
VIに位置づけたことを示唆する。従って、101Fはパリビズマブに抵抗性であるウイルスを中和することが可能であることが期待される。
【0083】
抗原部位IV、V、VIは複雑であり、そしてmAb19のような数種の異なるmAbにより定義されるところのオーバーラップするエピトープを含有するようである(Arbizaら、J.Gen.Virol.73:2225−2234、1992;Lopezら、J.Virol.72:6922−6928、1993)。該エピトープを遺伝子的に定義するため、部位IV、V、VI領域中に単一アミノ酸突然変異を含有する一団のRSV Fタンパク質を、一過性トランスフェクションにより哺乳動物細胞の表面上で発現させ、そして101F、パリビズマブおよびmAb19の結合をELISAにより測定するのに使用した。mAb結合のいかなる変化もFタンパク質の全体的な変化に起因しなかったことを確実にするために、各変異体を発現のレベル、翻訳後プロセシング、細胞表面発現および細胞融合活性に関して特徴付けした。
【0084】
野性型および変異体RSV Fタンパク質への101F、mAb19およびパリビズマブmAbの結合を、野性型RSV Fタンパク質若しくは一団のRSV F変異体いずれかを発現するプラスミドで一過性にトランスフェクトした293T細胞を使用するELISAによりアッセイした。結果は、多様な点突然変異へのmAbの結合を野性型RSV Fタンパク質への結合に関して表されるところの表4に示す。キメラ101Fおよびパリビズマブは双方ともヒトIgG1κ抗体であるため、同一の二次抗体および検出試薬を使用して、101Fおよびパリビズマブの結合の直接比較を見込むことができる。
【0085】
該結果は、パリビズマブ、mAb19および101F双方が、双方のサブグループ(A2株および18537株)からの野性型RSV Fタンパク質に同等に結合することを示す。S275Fへのパリビズマブ結合は完全に排除された一方、101FおよびmAb19は野性型に類似のレベルでS275Fを結合する。驚くべきことに、101F結合はR429Sに対しわずかにのみ低下され、なおK433Tで有意に低下された一方、パリビズマブは双方を野性型に類似のレベルで結合する。残基433での101F結合の有意の減少は、これがRSV−Fとの101Fの相互作用にとって決定的な残基であることを示した。
【0086】
付加的な変異体のスクリーニングは、残基K433がRSV−Fタンパク質への101F結合に決定的に重要であることを確認した。表4は、RSV−F野性型と比較した場合のK427D、K427Q、N428Q、R429KおよびI431Aへの101Fおよびパリビズマブの同等な結合を示す。101F結合は、野性型と比較した場合、N428Dで約25%、ならびにR429SおよびG430Aで約50%低下される。101F結合は、K433L、K433NおよびK433Tで排除され、そしてK433Q、K433RおよびK433Sで低下される。K433Dでの101Fおよびパリビズマブ双方についての結合は劇的に低下される。これは、この特定の変異体の不十分なプロセシングおよび切断によるようである。代謝標識アッセイは、K433DがFからFおよびFにプロセシングされるとは言え、それは他の変異体の全部より少ない程度までであることを示した(データは示されない)。表4は、T434、S436、N437、S438およびV447での付加的な変異体もまた示す。101Fおよびパリビズマブ双方の結合はこれらの変化で同等であるようである。この表はまた、パリビズマブおよびmAb19エスケープ変異体(それぞれS275FおよびR429S)双方を含有する二重突然変異も示す。単一のS275F変化の影響に同様に、パリビズマブの結合は完全に破壊される一方、101Fの結合は約70%低下される。プラスミドΔR429−G466は1個のインフレーム欠失を含有し、そしてFのFおよびFへの不完全なプロセシングをもたらし、101Fおよびパリビズマブ双方の結合を排除する。一緒にすれば、これらのデータは、残基K433が101F結合に決定的に重要であることを示す。それはまたmAb 19エスケープ変異体R429Sが、101F結合に重要とは言え101F結合の専らの原因でないことも示唆する。
【0087】
【表6】

【0088】
mAb結合のレベルの変化がRSV Fタンパク質中のより包括的な変化によったとい
う可能性を排除するため、RSV Fタンパク質の発現、プロセシングおよび細胞表面レベルに対する点突然変異の影響を、野性型RSV Fについて記述されたところの免疫沈降およびフローサイトメトリーにより検査した。トランスフェクトした細胞を[35S]−メチオニン/システインで標識しかつ免疫沈降した
該結果(データは示されない)は、全部の変異体RSV−FプラスミドDNA構築物が、F1およびF2はなお検出可能であったとは言え、F0のF1およびF2へのプロセシングの若干の低下を表したK433Dを除き、RSV−F野性型に類似の様式でプロセシングされるタンパク質を発現することを示した。変異体構築物の相対発現レベルは、野性型RSV−Fに類似であるようであり、特定の点突然変異が発現若しくはタンパク質プロセシングに対する顕著な影響を有しないことを示す。付加的な対照はRSVウイルスに感染させた293T細胞(Long株に0.1の感染多重度での感染の24時間後)を包含した。37アミノ酸のインフレーム欠失(欠失R429−G466)を含有する変異体をRSV Fタンパク質プロセシングの陰性対照として包含した。この変異体はF0の発現をもたらすが、しかしF1およびF2へのプロセシングを予防する。
【0089】
一団のRSV−F変異体の細胞表面発現を確認するため、およびELISA結合結果を確認するために、フローサイトメトリーを使用した。101Fおよびパリビズマブの代表的ドットプロットは、特定の点突然変異R429S、I432TおよびK433Tを含有するRSV−F変異体への結合を示した(データは示されない)。101Fの結合は、ELISAの結果と一致して、R429S突然変異で穏やかに低下され、およびK433T突然変異でほぼ完全に排除された。これらのデータは、組換え発現したRSV−F変異体の細胞表面発現を確認し、そして特定の点突然変異への101Fおよびパリビズマブの相対的結合の差違を描写する。
【0090】
101Fのエピトープを生化学的に特徴づけるため、精製したRSV Fタンパク質−101F mAb複合体のトリプシン消化、次いで生じる回収されたmAbに結合したペプチドの質量分析を実施した。回収されたペプチドの配列に基づき、N末端およびC末端から欠失された一連のペプチドが101Fのエピトープをさらに描写した。
【0091】
m/z=3330の1ペプチドがキメラ101F mAbにより捕捉された。同一のペプチドは、消化プロテアーゼとしてLys Cを使用して捕捉された。配列の割り当ては質量に基づき、そして、RSV Fタンパク質の仮想トリプシン消化からのデータベースと一致した。このペプチドすなわちm/z=3330は、RSV Fタンパク質の残基420−445と同定され、そして配列420TKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNK445(配列番号28)を有する。
【0092】
CEN番号2555、2561、2556、2558、2559、2562、2563、2560、2557、2555、2644、2643、2648、2642、2645、2647および2646(それぞれ配列番号29ないし45)と同定された16種のN末端ビオチニル化合成ペプチドを、MSDストレプトアビジン被覆ELISAプレートとインキュベートした。100μg/mlの各ペプチド25μlを1ウェルに添加し、そして101 F mAb若しくはパリビズマブいずれかの連続希釈を各ウェルに分注した。結合の結果を図6に示す。RSV Fタンパク質ペプチド422CTASNKNRGIIKTFS436(配列番号29および38(CEN2555))は、他15種の合成ペプチドに比較して、最高の親和性を伴いキメラ101F mAbにより結合された(図6Aおよび6B)。ペプチド番号2563、2560、2557、2645、2647および2646は、キメラ101Fへの有意に低下された結合を有した。パリビズマブは、キメラ101Fを使用して検出されたシグナルに関して非特異的にこれら16種のペプチドを結合した(図6C)。多様な合成ペプチドに対するキメラ101F mAbの結合親和性を要約しかつ優先順位を付けるため、棒グラフを図7に示す。要約すれば、親和性に基づくプロテアーゼ消化および質量分析により決定された結合エピトープは、領域420TKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNK445(配列番号28)に位置する。
【0093】
合成ペプチドを使用するさらなる分析がエピトープを絞り込んだ。ペプチドのELISAデータに基づき、キメラ101F結合領域は422CTASNKNRGIIKTFS436(配列番号38)に縮小され得る。加えて、R429およびK433はエピトープ結合に有意に寄与する。この観察結果は、合成ペプチドを使用するR429のS若しくはEへのさらなる置換ならびにK433のTおよびEへの置換により確認された。別の正に荷電した残基K427は、K427のEへの置換により示されるとおり、結合に小さな寄与をなす(図6)。
【0094】
mAb−抗原複合体のプロテアーゼ消化、F由来ペプチドのELISAに基づく結合、および一団のRSV F変異体の遺伝子解析は、101Fの結合に決定的であるとしてRSV Fタンパク質の同一の領域を同定し、そして、このエピトープがパリビズマブおよびmAb19のエピトープと異なることを示す。RSV−Fタンパク質の残基K433は、タンパク質のプロセシングおよび切断、細胞表面発現、抗体結合ならびにペプチド結合を調査する一団の定性的および機能的アッセイ由来のデータから示されるとおり、101F結合に決定的に重要である。これらのペプチドは強力な広範に中和するRSV mAb(101F)により認識されるため、これらのペプチド、これらのペプチド配列を含有するタンパク質融合物、若しくはこれらのペプチドおよびこれらのペプチド配列を含有するタンパク質融合物をコードする核酸を使用する免疫化をワクチンとして使用し得、そしてRSVに対する広範に反応性かつ強力な血清抗体を導き出し得る。
【実施例11】
【0095】
ヒト適応型抗RSV mAbの生成
抗RSV mAb 101Fのアミノ酸配列を使用して、公的抗体配列データベースから蓄積されたヒト抗体データベースを問い合わせた。101FのH鎖の可変領域(配列番号4)は、ヒトVH2H鎖ファミリーのvb_2−05 H鎖生殖系列配列(配列番号48)に対する高い相同性を示した。101F H鎖のCDR領域をその後vb 2−05関連のH鎖配列に移した構築物を合成して、配列番号49および図2cに示される可変領域アミノ酸配列を有するヒト適応型抗RSV mAb H鎖B21Mを生成した。
【0096】
101FのmAb 101F VκL鎖アミノ酸配列(配列番号6)は、ヒトVK IVファミリーのvb_B3 L鎖Vκ生殖系列配列(配列番号50)に対する最大の相同性を示した。101FのCDR領域をこのバックボーンに移してB21M Vk L鎖を生成し、その可変領域配列を配列番号51および図2dに示す。
【実施例12】
【0097】
B21M HおよびL鎖バリアントの生成および特徴付け
B21MからのCDRバリアントのFabライブラリーを、Lc−CDR1およびLc−CDR3ならびにHc−CDR2およびHc−CDR3中の選択された残基の飽和突然変異により、pIXファージディスプレイ系で調製した。精製したFab(>90%純度および大腸菌(E.coli)産生にコドンを至適化)を、ヒトRSV Fタンパク質への結合についてELISA(上の実施例6に記述されるところの)により試験し、そして野性型を上回る改良された結合をもたらしたCDR突然変異を同定した。代表的ELISAデータを図8に示す。これらの結果は、野性型B23M抗体を上回るクローンG7、A7およびF8の結合親和性の有意の改良を示した。
【0098】
結合の会合(K)、解離定数(K)ならびに結合親和性(K)を精製したFab
でのBIAcore分析により決定し、そしてELISAの結果を確認した。Fab/RSV−F結合アッセイは、CM5(カルボキシメチルデキストラン)チップを装備したBiacore 2000若しくは3000いずれかのバイオセンサーを使用して25℃で実施した。全表面(フローセル)は、標準的アミンカップリング法を使用して、500〜1000RUのSA(ストレプトアビジン)を10mM酢酸ナトリウム、pH5.0中10μg/mLで固定することにより修飾した。サンプルおよびランニング緩衝液は、デキストラン表面へのサンプル汚染物質の非特異的結合を最小限にするように0.1% P−20を添加したPBSであった。組換えRSV−Fをビオチニル化し、そしてセンサーチップ上の3個のSA表面で捕捉した。約40RUのビオチニル化RSV−Fがフローセル1で、25RUがフローセル3で捕捉された。フローセル2は、Fタンパク質を使用しなかった参照表面として使用した。Fabサンプルを、4表面上に1濃度(30nM)で注入した。会合期を2分間、および解離期を6ないし60分間モニターした。強固な相互作用の複雑な減少を正確に測定するためにより長い解離時間が必要とされた。RSV−F表面は、各結合周期の終了時に3秒のパルスの10mMリン酸で再生した。各サンプル分析は3回反復した。Fab B23を活性参照として使用した。Fab 23のサンプルは、0、1.23、3.7、11.1、33.3、100および300nMで注入した。
【0099】
フローセル1および3からのFab/RSV−F結合データを、フローセル2から得た参照データを使用して補正した。生じる補正済結合応答データを、CLAMPTMソフトウェアを使用して1:1相互作用モデルに当てはめた。結合速度定数は、複製データ組への該1:1モデルの当てはめから直接得た。平衡結合定数はそれらの比から計算した(K=k/k)。
【0100】
B21Mに関してヒトRSV Fタンパク質に対する改良された結合活性を伴うFabはまた配列決定もした。表5は、BIAcore分析により決定されたところのFabの結合特徴およびそれらのCDRアミノ酸変化を要約する。野性型Fab B21Mのデータを表5の上部に列挙する。CDRバリアントを含有するVおよびV領域の完全なアミノ酸配列の配列番号もまた表5の第一列に列挙し;第一の配列番号はV配列を、第二のものはV配列を表す。
【0101】
該結果は、10倍を上回る結合の改良をもたらした突然変異がLc−CDR1中にあったことを示す。Lc−CDR1バリアントA7、H8、F8、A2、G3、F5、A10、H4、C11、B8、A11およびB6のアミノ酸配列はそれぞれ配列番号52、53、54、55、56、57、105、58、59、60、61および62に示す。例えば、Lc−CDR1中のY31L/N32F/I34R突然変異(クローンA7、配列番号52)は、32倍の結合の改良および抗ウイルスIC50の10倍の減少を示した。A7の突然変異を付加的なLc CDR突然変異すなわちQ27DおよびE97Dと組合せたFab 009は、A7に関しておよそ4倍の結合解離定数(K)のさらなる減少をもたらした。他のCDR中の突然変異すなわちFab 004(Hc−CDR3突然変異)およびFab G7(Lc−CDR3突然変異)もまた、野性型Fabを上回る付加的な結合の改良をもたらした。結合親和性の改良に相関して、該Fabは、上の実施例8に記述されたとおり実施したin vitro RSV微小中和アッセイで、改良された抗ウイルス活性を示した(データを図9に示す)。
【0102】
配列の結果は、改良された結合活性を伴うそれらのFab中に存在する設計されたLc−CDR領域中の一組の変化の有意の選択を示した。例えば、芳香族アミノ酸フェニルアラニンを、位置32で野性型アスパラギンおよび18種の他の可能なアミノ酸より優先的に選択した。位置34では、荷電したすなわち極性のアミノ酸が、位置32のフェニルアラニン変化とともに、野性型イソロイシンより好ましい。位置31のアミノ酸置換は保存的であり、野性型若しくは関連するアミノ酸が好ましかったことを示唆した。位置36の
野性型アミノ酸チロシンをこれらのバリアントで選択した。
【0103】
表5に列挙されるFabのRSVウイルスを中和する能力は上の実施例8でのとおり測定した。該データを表5に野性型B23 Fab(大腸菌(E.coli)のコドンに至適化したB21M Fab)を上回るウイルス中和の増大の倍数として報告する。表5に記述されるFabから製造した全抗体は類似の抗原結合およびウイルス中和活性を表すとみられることが期待される。
【0104】
【表7】

【0105】
【表8】

【実施例13】
【0106】
ポリエチレングリコール修飾抗RSV mAbの生成および特徴付け
精製したmAb(B21M)を、Nektar Therapeutics、カリフォルニア州サンカルロス(カタログ番号2M4M0P01)から商業的に入手可能な試薬を使用してポリエチレングリコール修飾(ペグ化)した。全般に部位特異的に行われる一方
で、アミン基による無作為カップリングがCDR中のリシンの存在にもかかわらず活性のペグ化mAbを生じることが示された(データは示されない)。この範囲に理論上制限されないとは言え、1:1から1:24までのmAb:PEG比を試験した。SDS PAGEは、この範囲にわたり、物質の大部分が、出発原料が決して完全に修飾されなかったとは言えより多くの出発原料を修飾するより高濃度で0〜6回ペグ化されたことを示した(データは示されない)。活性試験前に全部のサンプルを同一のPEG濃度にもたらすため、追加のクエンチしたPEGを添加した。ペグ化したサンプルは標準的中和アッセイを使用して抗ウイルス活性について試験した。該結果は図10に示し、そして、ペグ化がこの抗体の抗ウイルス活性に対し悪影響を有しないことを示す。表5のCDRバリアントを含有する全抗体のペグ化は抗体機能に対する悪影響を有しないとみられ、かつ、これらの分子の増大された半減期をもたらすとみられることが期待される。
【0107】
本発明は今や完全に記述され、多くの変更および改変が付随する請求の範囲の技術思想若しくは範囲から離れることなくそれに対しなされ得ることが当業者に明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1a−1b】それぞれ抗RSV mAb 101FのHおよびL鎖の核酸配列を示す。CDRが各鎖中で下線を付けられている。
【図2a−2b】それぞれ抗RSV mAb 101FのHおよびL鎖の予測されるアミノ酸配列を示す。
【図2c−2d】それぞれ抗RSV mAb B21MのHおよびL鎖の予測されるアミノ酸配列を示す。CDRが下線を付けられている。
【図3】抗RSV mAb 101FのRSV Fタンパク質への結合を示す。
【図4】キメラ抗RSV mAb 101Fおよびキメラ101F FabのRSV Fタンパク質への結合を示す。
【図5】コトンラット免疫予防モデルでの抗RSV mAb 101FのRSV中和活性を示す。
【図6】抗RSV F mAbの合成ペプチドへのELISA結合を示す。図AおよびBは101F mAb結合を示し;図Cはペプチド2555ないし2563へのパリビズマブ結合を示す。
【図7】101F mAbの合成ペプチドに対する相対的結合親和性を示す。
【図8】野性型B23 Fab(大腸菌(E.coli)に至適化したB21M Fab)に関するL鎖バリアントFabのヒトRSV Fタンパク質へのELISA結合を示す。
【図9】野性型B23 Fabに関するL鎖バリアントFabによるRSV融合物のFab阻害を示す。
【図10】ポリエチレングリコール複合した抗RSV mAbの抗ウイルス活性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号8、10および12に示されるところのH鎖相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列、ならびに配列番号14、16および18に示されるところのL鎖CDRのアミノ酸配列を有する、モノクローナル抗体の抗原結合能力を有する呼吸器多核体ウイルス(RSV)Fタンパク質と反応性の単離された抗体。
【請求項2】
パリビズマブ若しくはmAb19由来のCDRを含有する抗体若しくは抗体フラグメントによる中和を逃れる、RSV単離物と反応性の単離された抗体。
【請求項3】
RSV単離物がFタンパク質中にSer275Phe突然変異を含んでなる、請求項2に記載の単離された抗体。
【請求項4】
Fタンパク質の残基422ないし436(配列番号28)に位置するRSV Fタンパク質エピトープと反応性の単離された抗体。
【請求項5】
RSV Fタンパク質の残基R429およびK423と反応性の単離された抗体。
【請求項6】
それぞれ配列番号8、10および12のH鎖CDR1(Hc−CDR1)、CDR2(Hc−CDR2)およびCDR3(Hc−CDR3)アミノ酸配列、ならびにそれぞれ配列番号14、16および18のL鎖CDR1(Lc−CDR1)、CDR2(Lc−CDR2)およびCDR3(Lc−CDR3)アミノ酸配列を含んでなる、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項7】
配列番号3のアミノ酸配列を有する可変領域H鎖(V)および配列番号5のアミノ酸配列を有する可変領域L鎖(V)を含んでなる、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項8】
配列番号49のアミノ酸配列を有するVおよび配列番号51のアミノ酸配列を有するVを含んでなる、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項9】
それぞれ配列番号8、10および12に示されるところのHc−CDR1、Hc−CDR2およびHc−CDR3アミノ酸配列、ならびに式(I):
Arg Ala Ser Xaa Ser Val Asp Xaa Xaa Gly Xaa Ser Tyr Xaa His
(I)
[式中、XaaはGln、Asp若しくはHisであり;XaaはLeu、His、Val、Phe若しくはTyrであり;XaaはPhe、Leu若しくはSerであり;XaaはArg、Lys、Gln、Val、Gly、Thr若しくはSerであり;およびXaaはVal若しくはMetである]
に示されるところのLc−CDR1;ならびにそれぞれ配列番号16および18に示されるところのL鎖CDR2(Lc−CDR2)およびL鎖CDR3(Lc−CDR3)アミノ酸配列を有する、単離された抗体。
【請求項10】
配列番号49のアミノ酸配列を有するV、および配列番号63、64、65、66、67、68、105、69、70、71、72、73若しくは111のアミノ酸配列を有するVを含んでなる、請求項9に記載の単離された抗体。
【請求項11】
配列番号8に示されるところのHc−CDR1アミノ酸配列、式(II):
His Xaa Tyr Trp Asp Asp Asp Xaa Arg Tyr Xaa Pro Ser Leu Lys Ser
(II)
[式中、XaaはIle若しくはLeuであり、XaaはLys若しくはTyrであり、およびXaaはAsn若しくはSerである]
に示されるところのHc−CDR2アミノ酸配列、配列番号12に示されるところのHc−CDR3アミノ酸配列、ならびに、それぞれ配列番号14および16に示されるところのLc−CDR1およびLc−CDR2アミノ酸配列、ならびに配列番号107若しくは110に示されるところのLc−CDR3アミノ酸配列を有する、単離された抗体。
【請求項12】
配列番号74に示されるところのVアミノ酸配列、および配列番号106に示されるところのVアミノ酸配列を含んでなる、請求項11に記載の単離された抗体。
【請求項13】
それぞれ配列番号8および10に示されるところのHc−CDR1およびHc−CDR2アミノ酸配列、ならびに、式(III):
Leu Xaa Gly Phe Xaa Tyr Gly Phe Ala Tyr
(III)
[式中、XaaはTyr若しくはTrpであり;およびXaaはArg、Lys若しくはAlaである]
に示されるところのHc−CDR3アミノ酸配列、ならびに、Lc−CDR1、Lc−CDR2およびLc−CDR3アミノ酸配列がそれぞれ配列番号14、16および18に示されるようであるを有する、単離された抗体。
【請求項14】
配列番号51に示されるところのVアミノ酸配列、および配列番号75、76、77、78、79若しくは80に示されるところのVアミノ酸配列を含んでなる、請求項13に記載の単離された抗体。
【請求項15】
それぞれ配列番号8および10に示されるところのHc−CDR1およびHc−CDR2アミノ酸配列、ならびに式(IV)に示されるところのHc−CDR3アミノ酸配列、式(I)に示されるところのLc−CDR1アミノ酸配列、ならびにそれぞれ配列番号16および18に示されるところのLc−CDR2およびLc−CDR3アミノ酸配列を有する、単離された抗体。
【請求項16】
配列番号63に示されるところのVアミノ酸配列、および配列番号76、80若しくは79に示されるところのVアミノ酸配列を含んでなる、請求項15に記載の単離された抗体。
【請求項17】
それぞれ配列番号8、10および12に示されるところのHc−CDR1、Hc−CDR2およびHc−CDR3アミノ酸配列、ならびに式(I)[式中、XaaがGln若しくはAspであり、XaaがLeu若しくはTyrであり、XaaがPheであり、XaaがLys若しくはArgであり、およびXaaがMetである]に示されるところのLc−CDR1アミノ酸配列、配列番号16に示されるところのLc−CDR2アミノ酸配列、ならびに配列番号107に示されるところのLc−CDR3アミノ酸配列を有する、単離された抗体。
【請求項18】
配列番号81、82、83若しくは112に示されるところのVアミノ酸配列、および配列番号49に示されるところのVアミノ酸配列を含んでなる、請求項17に記載の単離された抗体。
【請求項19】
配列番号8に示されるところのHc−CDR1アミノ酸配列、式IIのHc−CDR2、式IIIのHc−CDR3、式IのLc−CDR1、配列番号16に示されるところのLc−CDR2アミノ酸配列、および配列番号107に示されるところのLc−CDR3アミノ酸配列を有する、単離された抗体。
【請求項20】
以下のVおよびVアミノ酸配列の組合せ:
【表1】

を含んでなる、請求項19に記載の単離された抗体。
【請求項21】
配列番号8に示されるところのHc−CDR1アミノ酸配列、式IIのHc−CDR2、式IIIのHc−CDR3、式IのLc−CDR1、配列番号16に示されるところのLc−CDR2アミノ酸配列、および配列番号18に示されるところのLc−CDR3アミノ酸配列を有する、単離された抗体。
【請求項22】
以下のVおよびVアミノ酸配列の組合せ:
【表2】

を含んでなる、請求項20に記載の単離された抗体。
【請求項23】
抗体がヒト起源のものである、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項24】
抗体がマウス起源のものである、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項25】
抗体がFabフラグメントを含んでなる、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項26】
抗体がscFvフラグメントを含んでなる、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項27】
抗体若しくはフラグメントがヒト適応型である、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項28】
抗体若しくはフラグメントがキメラ抗体を含んでなる、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項29】
抗体がポリエチレングリコールに複合されている、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項30】
抗体若しくはフラグメントがマウス抗原結合残基およびヒト抗体残基を含んでなる、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項31】
請求項1に記載の単離された抗体を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項32】
請求項1、2、4、5、9、11、13、15、17、19若しくは21に記載の抗体をコードする単離されたポリヌクレオチド。
【請求項33】
請求項32に記載のポリヌクレオチドを含んでなるベクター。
【請求項34】
請求項33に記載のベクターを含んでなる宿主細胞。
【請求項35】
請求項34に記載の宿主細胞を培養すること、および該宿主細胞により産生されたモノクローナル抗体を回収することを含んでなる、抗RSV抗体の作成方法。
【請求項36】
請求項1に記載の抗体を産生するハイブリドーマ細胞株。
【請求項37】
RSV誘発性疾患の危険に曝されている患者に、予防上有効な量の請求項1、2、4、5、9、11、13、15、17、19若しくは21に記載の抗体を投与することを含ん
でなる、RSV誘発性疾患の予防方法。
【請求項38】
治療上有効な量の請求項1、2、4、5、9、11、13、15、17、19若しくは21に記載の抗体を患者に投与することを含んでなる、RSV誘発性疾患の処置方法。
【請求項39】
ペプチドCTASNKNRGIIKTFS(配列番号38)を含んでなる単離されたポリペプチド。
【請求項40】
配列番号38のアミノ酸配列をコードする単離された核酸。
【請求項41】
請求項39に記載の単離されたポリペプチドを含んでなるワクチン製剤。
【請求項42】
請求項40に記載の単離された核酸を含んでなるワクチン製剤。
【請求項43】
請求項41若しくは42に記載のワクチン製剤を投与することによる、RSV誘発性疾患に対する患者の免疫方法。

【図1a−1b】
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【図2a−2d】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a−6b】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−518602(P2008−518602A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−539255(P2007−539255)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/039299
【国際公開番号】WO2006/050280
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(503054122)セントカー・インコーポレーテツド (74)
【Fターム(参考)】