説明

抗菌消臭浄化剤

【課題】
本発明は排水経路などにおいて耐性を獲得した各種の悪臭・ヌメリ原因菌に対して即効性で強い抗菌作用と酵素作用による有機物分解力を備え、かつ人と環境に安全性の高い抗菌消臭浄化組成物を提供することを目的としている。
【解決手段】
カチオンポリマーと微生物材の組み合わせからなることを特徴とする抗菌消臭浄化剤である。カチオンポリマーが強力な抗菌活性を有する天然由来キトサンであって、微生物材がキトサンの抗菌活性の影響を受けず、ぬめりなど有機物の分解性に優れたバチルス・ズブチルス属またはラクトバチルス属菌に特定されたことを特徴とする抗菌消臭浄化剤を提供し課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌剤組成物に関するもので、天然カチオンポリマーと微生物を基材とする天然抗菌消臭浄化剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家庭用洗面台、台所流し台、風呂場、これらの排水口および排水路水路などの水と接触する場所やブーツなど湿度と温度が高く、細菌の栄養源が多い場所では、雑菌やカビ等の増殖により、それらの代謝物に起因するぬめりと悪臭が発生し、衛生的な環境を害する。ぬめりと悪臭の原因は、界面活性剤、石鹸、食材、人の垢等が細菌の栄養源になり、その細菌から分泌される高分子多糖類やタンパク質の腐敗が原因となる。
【0003】
不快臭の除去を目的に使用する消臭剤は、活性炭やゼオライトなど物理吸着作用を利用したもの、過マンガン酸カリウム溶液および次亜塩素酸ソーダのように酸化作用を利用したもの、植物抽出エキスなどの中和作用を利用したもの、あるいは香料によるマスキング作用を利用したものなどが多数提案されている。
しかしながら、上記した従来の消臭剤は、一時的な消臭効果はあるものの抗菌効果が不十分であり、雑菌が繁殖し腐敗が原因で悪臭を発生するものに対しては、持続的な消臭効果がなかった。
特に、ペット、排尿、ポータブルトイレなどの介護臭、ブーツ、スニーカー、排水口などは、細菌の繁殖が原因で悪臭が継続して発生するため、抗菌効果が持続するものが切望されている。
このような、抗菌性と消臭性を有する抗菌消臭剤として、例えば、アルコール系消毒剤もしくは塩素系消毒剤と植物エキスもしくは金属酸化物等の消臭剤との混合物、(特許文献1参照)が提案されている。
また、塩化ベンザルコニウムを抗菌剤とし、各種の消臭剤と組み合わせた抗菌消臭剤(特許文献2参照)が提案されている。
しかしながら、上記の抗菌消臭剤であっても、抗菌性の不足、塩素イオンを有するため、金属と接触する部分の腐食問題、または皮膚に対し強い刺激が有り作業者の手荒れをきたし、金属製の器具や容器等の腐食を招くという欠点を有していた。
【0004】
銀ゼオライトなどの銀イオンを用いた銀系消臭除菌剤が様々な分野で用いられている。これは、ゼオライトによる物理吸着による消臭と、銀イオンによる電荷移動での細菌の殺菌を導くものである(特許文献4参照)。
しかしながら、銀イオンに基づく抗菌力は、公知のとおり大腸菌など病原菌等の細菌類には極めて有効であるが、カビなどの真菌類等高等微生物に対する抗菌効果が劣るという問題があった。
【0005】
また、天然資源のみを原料とする安全性が高く病原菌に対して強力な抗菌活性を示す天然カチオンポリマーとしてキトサンが活用されている。キトサンのMIC(最少発育阻止濃度)は0−157に対しては20ppm、MRSAに対しては100ppmなど細菌に対して高度な抗菌活性を有する。また、真菌、土壌汚染性病原菌、白癬菌に対しても抗菌がある。
キトサンの抗菌メカニズムはアミノ基が細胞壁中の陰イオン成分と結合し細胞壁の生合性を阻害することが考えられる。(特許文献5)
キチンは天然に多く存在する多糖であり、主としてカニ・エビ等の甲殻類およびイカ軟甲から抽出し生産されている。キトサンは、キチンを濃アルカリ水で処理することにより得られる、アミノ基を有する高分子多糖であり、さまざまな生理活性を有することが知られている。(非特許文献1)
しかしながら、乳酸菌、枯草菌に対する抗菌力が劣るなど、一部の菌に対し、抗菌効果が劣る。すなわち抗菌スペクトルが狭いため、別の抗菌剤を併用し補完しなければならないという欠点を有していた。例えば、キトサンに抗菌性金属酸化物である酸化銀を含有させた抗菌剤組成物が開示されている。(特許文献6参照)
しかしながら、溶解したキトサンの粘度が高くなり取扱いが困難になることに加え、酸化銀が黒変するなどの問題があった。
【0006】
一方、微生物を利用した細菌、真菌に有効な抗菌剤が開示されている。
例えば、身近な微生物としての菌類の一種である、納豆菌、乳酸菌は古くから食品として利用されている。納豆菌は人体に無害なバチルス・ズブチルス属で、乳酸桿菌も人体に無害なラクトバチルスに属する。以上の有用菌は有機酸とアルコールを産生し周囲の雑菌を除菌し、排水経路ヌメリなど有機物分解に掛る酵素活動を最大化する。(特許文献6参照)
しかしながら、これら微生物による抗菌を発揮するには一定の誘導時間が必要であり即効性に欠けるという基本的な問題があった。
【0007】
また、ラクトバチルス・カセイ・サブスピーシーズ・カセイ(Lactobacillus casei subsp. casei)に属する微生物、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)に属する微生物、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)に属する微生物等、漬物発酵に利用される5種類の混合乳酸菌を培養した発酵物にさらにキトサンを加えキトサンを分解発酵せしめて得た発酵物を有効成分とする洗浄剤が開示されている。(特許文献7)
該開示の技術によれば、発酵物である有効成分とは何かが特定されず、一般の洗剤と混合使用した場合の洗浄効果が開示されているに過ぎない。また、該発酵物には酵素が含まれその酵素による酵素活性によって汚染有機物が分解されるものと考えられる。
しかしながら、酵素の働きはPH等環境に敏感であり特に雑菌によって、失活しやすいという特性を有する。したがって、雑菌汚染度が低い食器洗剤や野菜果物洗剤として、ある程度の効果が期待できるが、排水中で耐性を獲得して棲息する雑菌が密集する排水経路のぬめり等付着汚染物の分解〜洗浄には、雑菌によって酵素活性が著しく阻害されるため本発明では利用できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平09−239012号公報
【特許文献2】特開2005−253717号公報
【特許文献3】特開2003−137731号公報
【特許文献4】特開平07−99485号公報
【特許文献5】特開平04−194079公報
【特許文献6】特開2004−154055号公報
【特許文献7】特許番号第2974675
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】技報堂「キチン・キトサンハンドブック」302-376頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上述に鑑みてなされたものである。すなわち、納豆菌または乳酸菌の有用微生物の有機物分解酵素作用を失効することなく即効性抗菌剤として、カチオンポリマーであるキトサンを組み合わせることにより、安全で強力な抗菌消臭浄化剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上の背景に基づき長年に渡り鋭意研究を進めてきた結果、キトサンは病原性細菌、食中毒原因菌に対して即効性で強い抗菌活性を示すが、有用微生物である納豆菌や乳酸菌の酵素活性に対して全く影響を与えないことを初めて発見し、本発明を完成させた。
【0012】
即ち、上記目的は、本発明による以下の手段により解決される。
【0013】
請求項1にかかる発明は、天然カチオンポリマーであるキトサンと有用微生物を組み合わせたことを特徴とする組成物によって達成される。
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、キトサンと有用微生物を含み、即効性抗菌力と有機物分解機能に優れた天然抗菌消臭浄化剤であることを特徴とする。
【0015】
請求項2の記載の発明によれば、前記有用微生物がバチルス・ズブチルス属およびラクトバチルス属から選ばれる1種の微生物又は2種の混合微生物であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、安全性と特に食中毒菌に有用性を発揮するカチオンポリマーと広範な抗菌領域を有する微生物を組み合わせたことにより、効果的な抗菌消臭浄化剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0018】
本発明の一つの態様において、天然抗菌消臭剤の製造方法は、少なくとも高度な安全性と食中毒原因菌に即効性を有し強力な抗菌作用を発揮するカチオンポリマーと広範な抗菌領域と有機物分解酵素活性を有する微生物を調製して、これらを混合してなることを特徴とする。
【0019】
ここで、各組成物について説明する。
【0020】
天然カチオンポリマーであるキトサンは、カニやエビの甲殻類の殻から得られるキチン(β−1,4−ポリ−N−アセチル−D−グルコサミン)を熱濃アルカリ液中で脱アセチル化したキチン誘導体(β−1,4−ポリ−D−グルコサミン)であり、生体適合性に優れた分子量5万〜50万程度の天然高分子である。キトサンには、生分解性があり、抗菌性(特に大腸菌等、食品中などで増殖する菌の生育を阻害する作用)、保湿性、抗アレルギー性等の作用を示すばかりでなく、他の抗菌剤と比べて人体や環境に安全であることから、キトサンを含む繊維や膜などの素材開発盛んになってきている。キトサンの抗菌性は、分子量10,000以上で発揮されるが、分子量5,000程度では発揮されない。
キトサンは溶解性、溶解粘度の観点から脱アセチル化度は70%以上、好ましくは80〜98%である。本発明に使用できるキトサンは通常有機酸の塩の形で使用される。キトサンの塩の種類に関しては、特に限定されないが、酢酸塩、乳酸塩、ギ酸塩、リンゴ酸塩、アスコルビン酸塩、ピロリドンカルボン酸塩、グリコール酸塩、サリチル酸塩、グルタミン酸塩等が挙げられる。
強力な抗菌性は周知のとおりである。特に病原性細菌、食中毒原因菌に有用である。その一例として、例えば抗生物質に耐性を獲得した菌、メチシリンセフェム耐性黄色ブドウ球菌「MRSA」(methichilin resistants aureus)を含むスタヒロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)に対する顕著な効果が確認されている。(大阪府立公衆衛生研究所研究報告 薬事指導編No.29, 7-12頁1995年)
【0021】
キトサンの即効性抗菌機構は、4級化したキトサン分子中のカチオンイオンであるアミノ基が微生物の細胞を構成するリン脂質などのアニオンイオンであるカルボキシル基とイオン結合を瞬時に形成し、細胞組織が破壊されることによると思われる。このイオン反応は誘導期間を伴わず瞬時に完結するため、微生物の抗菌作用とは異なり、即効性を有することから本発明に必須の成分である。
また、抗菌消臭剤として使用した場合アニオン性を有する素材(各種繊維、プラスチックスなど)とキトサンのカチオン性アミノ基がイオン結合するのでお互いの親和性が強いため効果が持続する。
従来キトサンは食品工場、レストランなどから出る油脂やたんぱく質を含む排水やグリストラップなどの活性汚泥処理の目的で、天然高分子カチオン凝集剤として主に使用されてきたが、近年では強力な抗菌性、生体適合性、免疫賦活作用が認められ、食品等への日持ち向上剤、化粧品、人工皮膚、手術用糸等医療分野に拡大使用されている。
キトサンの入手は市販されているので容易である。例えば焼津水産化学工業(株)、キトサンLL(カニ由来)脱アセチル化度85%、(有)グラスベンチャー、キトサン(分子量40,000、脱アセチル化度95%)、北海道曹達株式会社HC−(脱アセチル化度約90%)、大日精化(株)ダイキトサンW−10(脱アセチル化85%)、新日本化学株式会社、キトサンSC(脱アセチル化度約90%)など任意に使用できる。
その一方で、キトサンは抗菌スペクトルが狭く効果のある菌の種類が限定されている。例えばバチルス枯草菌、乳酸桿菌ラクトバチルス属菌には効力が劣るこという問題があった。
【0022】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされ、キトサンが先行して排水経路の雑菌を除菌し、有用微生物の抗菌活性を最大化するものである。すなわち、キトサンの抗菌活性が特定の有用微生物に限り、抗菌力が及ばず、酵素活性が阻害されないことを初めて発見し完成したものである。本発明で使用可能な有用微生物の菌種としては、菌学的にバチルス属に属しキトサンによる酵素阻害を受けないものであれば何れの種類でもよく、例えば、バチルスサブチルス(Bacillus subtilis)、バチルスミカイデス(Bacillus mycoides)、バチルスメガティリアム(Bacillusmegaterrium)、バチルスツリュゲナイセス(Bacillus thuringiensis)、バチルススハリカス(Bacillus sphaericus)などが挙げられる。
中でも、バチルス・ズブチルス(Bacillus subtilis )BN1001菌、納豆菌(Bacillus subtilis natto)又は枯草菌は、非常に繁殖力が強くて死滅し難く、密着性にも富んでいるため最適である。適応pHも5〜11と広範である。また、一般的な入手が容易である上、乾燥保存もできるため、取り扱い性にも優れている。
【0023】
微生物の培地としては、魚粉、油カス、フスマ、麦汁、オリゴ糖、大豆たんぱく等の農水産物とその廃棄物が使用できる。また、担体としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、珪藻土、おが屑等の無機または有機粉末が使用できるがこれらに限定されない。
本発明に係る微生物材は、従来から公知である方法で製造される。
例えば次のような方法で製造できる。すなわち、培地、担体に適当量の水を加え、更に前記の微生物を通常108〜1013個接種して25〜50℃の温度で24〜72時間程度培養して得られる。このようにして得られる培養液を濾過しさらに水で希釈して製造してもよい。粉末状の微生物材は、上記の方法で得られる液状の微生物材を例えばスプレードライ法で真空乾燥して粉末製品化してもよく、液状の微生物剤に無機系あるいは有機系の粉末を加えて乾燥・粉砕して粉末製品化してもよい。
こうして得られる微生物材中には、培養中に微生物により作られた、プロテアーゼ、アミラーゼ、ラクターゼ、リパーゼ、ヘミセルラーゼ、セルラーゼ等の有用酵素が含まれている。
これらの有用酵素が排水の浄化に大きく寄与する。本発明においては、微生物材の有機物分解性、消臭性などの機能を一層高めるために、上記以外の酵素を微生物剤に添加することもできるし、上記と同じ酵素を後添加することもできる。
【0024】
本発明微生物材1g中に含まれる微生物の全生菌数は、好ましくは10〜1011個程度である。微生物材中における担体、培地の量は特に限定されるものではないが、好ましくはそれぞれ89〜99.9重量%、0.1〜10重量%である。
【0025】
本発明の天然抗菌消臭浄化剤はキトサンと微生物材からなるものである。キトサンと微生物材との重量比は好ましくは5〜50/50〜95であり、より好ましくは10〜25/75〜90である。キトサンが5重量部以上であると抗菌効果が短時間に発揮され、50重量部以上であると抗菌スペクトルが狭く、酵素活性が劣る。微生物材が50重量部以上であると抗菌スペクトルが広く、酵素活性が優れ、90重量部以上であると抗菌効果の即効性が劣る。
【0026】
本発明の組成物に、界面活性剤、安定化剤、抗菌剤、アルコール類、増粘剤、キレート化剤、キャリアーとしての有機または無機質の紛体を添加して様々な形態とすることが可能である。例えば、水溶液、粉末、錠剤、固形石鹸、コロイド状態での水溶液などとすることができるが、キトサンが発酵分解されないよう保存安定性を維持するため公知の安定化剤を処方し有用微生物の自己増殖、代謝をコントロールすることは言うまでもない。安定した状態を維持するため任意の安定化剤を単独または混合して使用できる。安定剤としては、エタノール等のアルコール類、精油、酸化カルシウム等の抗菌剤が使用できる。
【0027】
本発明に使用できる界面活性剤はカチオンポリマーであるキトサンのイオン性を考慮し、アニオン性、両性界面活性剤は好ましくなくノニオン性界面活性剤が好ましい。また、ノニオン性界面活性剤は微生物阻害の観点からも最適である。具体的には、脂肪族系アルコール(炭素数8〜24)アルキレンオキサイド(炭素数2〜8)付加物(重合度=1〜100)[ラウリルアルコールエチレンオキサイド付加(重合度=20)物等]、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノステアリン酸ポリエチレングリコール(重合度=20)等]、多価(2価〜10価又はそれ以上)アルコール脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[ソルビタンパルミチン酸(モノ/ジ)エステル等]、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8,重合度=1〜100)多価(2価〜10価又はそれ以上)アルコール高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル(本発明におけるトリグリセライドのアルキレンオキサイド付加物を除く)[(ポリ)オキシエチレン(重合度=10)ソルビタンラウリン酸(モノ/ジ)エステル等]、脂肪酸アルカノールアミド[1:1型ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド等]、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)アルキル(炭素数1〜22)フェニルエーテル(ポリオキシエチレン(重合度=20)ノニルフェニルエーテル等)、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)アルキル(炭素数8〜24)アミノエーテル及びアルキル(炭素数8〜24)ジアルキル(炭素数1〜6)アミンオキシド[ラウリルジメチルアミンオキシド等]、ポリジメチルシロキサンポリオキシエチレン付加物、ポリオキエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー(重量平均分子量=150〜10000)等が挙げられる。
【0028】
界面活性剤の使用量は、天然カチオンポリマー及び微生物剤の合計量に対し0.1〜40重量%、より好ましくは0.5〜10重量%である。
【0029】
アルコール類としてはエタノール,イソピロパノール,ラウリルアルコール,セタノール,ステアリルアルコール,オレイルアルコール,ラノリンアルコール,コレステロール,フィトステロールなどの天然アルコール、2−ヘキシルデカノール,イソステアリルアルコール,2−オクチルドデカノール,青葉アルコールなどが使用できる。
また、多価アルコール類としては酸化エチレン,エチレングリコール,ジエチレングリコール,トリエチレングリコール,エチレングリコールモノエチルエーテル,エチレングリコールモノブチルエーテル,ジエチレングリコールモノメチルエーテル,ジエチレングリコールモノエチルエーテル,ポリエチレングリコール,酸化プロピレン,プロピレングリコール,ポリプロピレングリコール,1,3−ブチレングリコール,グリセリン,ペンタエリトリトール,ソルビトール,マンニトールなどが単独または混合して使用できる。
アルコールとしてはエタノール又はイソプロパノールが最も好ましい。
【0030】
本発明抗菌消臭浄化剤のレオロジーコントロールのために任意の増粘剤を使用することができる。例示すれば以下のとおりである。
アクリレート/ClO−C30アクリル酸アルキルクロスポリマー、アクリレート/セテス−20イタコネート(itaconate)コポリマー、アクリレート/セテス−20メタクリレートコポリマー、アクリレート/パルメス(palmeth)−25アクリレートコポリマー、アクリレート/ステアレス−20イタコネートコポリマー、アクリレート/ステアレス−20メタクリレートコポリマー、アクリレート/ステアレス−50アクリレートコポリマー、アクリレートNAクロスポリマー、アクリレート/イソデカン酸ビニルクロスポリマー、アクリル酸/アクリロナイトロジェン(acrylonitrogens)コポリマー、アルギン、ステアリン酸水酸化アルミニウム/マグネシウム、アクリル酸アンモニウム/アクリロナイトロジェンコポリマー、アルギン酸アンモニウム、アンモニウムポリアクリルジメチルタウリン酸アミド(tauramide)/VA、アラキジルアルコール(Arachidyl alcohol)、アタパルガイト、ベヘン酸、ベヘニルアルコール、ベヘン酸ベヘニル、ベントナイト、CI−5アルキルガラクトマンナンClS−36酸、ClS−36酸グリコールエステル、ClS−36酸トリグリセリド、アルギン酸カルシウム、カラギーナンカルシウム、C12−15アルコール類、C12−l6アルコール類、カプリルアルコール、カルボマー、カルボキシメチルヒドロキシメチルセルロース、カラギーナン(コンドルス クリスプス)、セルロース、セルロースガム、セテアレス−3、セテアレス−60ミリスチルグリコール、ステアリルアルコール、ベヘン酸ステアリル、オクタン酸ステアリル、ステアリン酸セテアリル、ステアリン酸セトステアリル、セチルアルコール、セチルベタイン、セチルエステル、セチルヒドロキシエチルセルロース、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、コカミド、コカミドDEA、コカミドMEA、コカミドMIPA、コカミドプロピルアミンオキシド、コカミドプロピルベタイン、ココベタイン、ココ/オレアミドプロピルベタイン、ココ−菜種酸(Coco−rapeseedate)、ココイルアミドヒドロキシスルホベタイン、ココイルモノエタノールアミドエトキシレート、コロイド状シリカゾル、DEA−加水分解レクチン、DEA−リノール酸塩、DEA−オレス−3リン酸塩、DEA−オレス−10リン酸塩、デシルアルコール、デキストラン、デキストリン、ジヒドロキシエチル 牛脂アミン、ジオレイン酸塩、ジラウレス−10リン酸塩、ジリノールアミドプロピルジメチルアミン、ジオレス−Sリン酸塩、DMHF、エトキシレート化脂肪アルコール、エチルセルロース、ジェランガム、グルコース(Glucouis)、ベヘン酸グリセリル、ポリメタクリル酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸SEグリセリル、グァーガム(シアノプシス テトラゴノロバ)、グァーヒドロキシプロピルトリモニウムクロライド、ヘクトライト、ヘキシルアルコール、含水シリカ、水素化菜種油、水素化デンプン加水分解物、水素化野菜グリセリド(Hydrogenated vegetable glycerides)、水素化エンバク粉、水素化遺伝子組み換えコラーゲン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルキトサン、ヒドロキシプロピルグァー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、イソセテス−10、イソステアリン酸アミドDEA、イソステアリン酸アミドプロピルアミンオキシド、ホホバワックス、カラヤゴム(Stericulia urens)、ラウリルアミドDEA、ラウリルアミドプロピルベタイン、ラウレス−3、ラウレス−10、ラウリル酸、ラウリル酸−リノール酸DEA、ラウロイル−リノレオイルジエタノールアミド、ラウロイル−ミリストイルジエタノールアミド、ラウリルアルコール、ラウリルベタイン、リノール酸アミドDEA、リノール酸、リノレン酸、ケイ酸リチウムマグネシウムナトリウム塩、ローカストビーンガム(Ceratonia siliqua)、マンナンガム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム塩、MDMヒダントイン、メチルセルロース、モンモリロナイト、ミリスチン酸アミドDEA、ミリスチン酸アミドMEA、ミリスチン酸アミンオキシド、ミリスチン酸、ミリスチルアルコール、ステアリン酸オクタコサニル、オレアミド(Ole amide)、オレアミドDEA、パルミトアミドMEA、パラフィン、ペクチン、PEG−8、PEG−80牛脂酸グリセリル、PEG−8 PPG−3ジイソステアリン酸、PEG−200水素化グリセリルパルメイト(Hydrogenated glyceryl palmate)、PEG−5M、PEG−9M、PEG−23M、PEG−45M、PEG−90M、PEG−160M、PEG−6蜜蝋、PEG−S蜜蝋、PEG−12蜜蝋、PEG−150/デシル/SMDIコポリマー、PEG−4ジイソステアリン酸塩、PEG−8ジオレイン酸塩、PEG−3ジステアリン酸塩、PEG−4ジステアリン酸塩、PEG−8ジステアリン酸塩、PEG−150ジステアリン酸塩、PEG−18グリセリルオレイン酸ココエート、PEG−200ステアリン酸グリセリル、PEG−28牛脂酸グリセリル、PEG−200牛脂酸グリセリル、PEG−7水素化ヒマシ油、PEG−40ホホバ油、PEG−3ラウリル酸アミド、PEG−3ラウラミンオキシド(laura mine oxide)、PEG−2ラウリン酸塩、PEG−120ジオレイン酸メチルグルコース、PEG−4オレアミド、PEG−ISOテトラステアリン酸ペンタエリトリチル、PEG−55オレイン酸プロピレングリコール、PEG−4ラピシードアミン(rapeseedamine)、PEG−l 60トリイソステアリン酸ソルビタン、PEG−Sステアリン酸塩、PEG−75ステアリン酸塩、PEG−100ステアリン酸塩、PEG−150/ステアリル/SMDIコポリマー、PEG−50牛脂アミン、テトラベヘン酸ペンタエリトリチル、テトラステアリン酸ペンタエリトリチル、Poloxamer(ポロクサマー)105、Poloxamer124、Poloxamer185、Poloxamer237、Poloxamer238、Poloxamer338、Poloxamer407、ポリアクリル酸、ポリクオタニウム−37、ポリソルビン酸塩20、アルギン酸カリウム、塩化カリウム、オレイン酸カリウム、ステアリン酸カリウム、PPG−5−セテス−10リン酸塩、PPG−14ラウレス−60ジカルバミン酸アルキル、PPG−14パルメス−60ジカルバミン酸アルキル、ステアリン酸プロピレングリコール、ステアリン酸SEプロピレングリコール、PVMIMAデカジエンクロスポリマー、PVP、クオンタニウム−90、ベントナイト、クオンタニウム−18ベントナイ、クオンタニウム−18ヘクトライ、菜種油、エトキシレート化高エルカ酸、リシノール酸アミドMEA、スクレロチウムガム(Sclerotium gum)、セサミド、DEA、シリカ、アクリル酸ナトリウム/イソデカン酸ビニルクロスポリマー、ナトリウムカルボマー、ナトリウムカラギーナン、セテス−13−カルボン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸ナトリウム、イソステアロアムホプロピオン酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、セスキイソステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、大豆アミド(Soy amide)DEA、ダイズアミドプロピルベタイン、デンプンプロピルアクリロニトリルコポリマー−カリウム塩、デンプンポリアクリロニトリルコポリマー−ナトリウム塩、ステアラルコニウムベントナイト、ステアラルコニウムヘクトライト、ステアラミド、ステアラミド、DEA、ステアラミドMEA、ステアラミドMEA−ステアリン酸塩、ステアラミドプロピルジメチルアミン乳酸塩、ステアラミンオキシド、ステアレス−IOアリルエーテル/アクリレートコポリマー、ステアリン酸、ソテアリルアルコール、合成蜜蝋、牛脂アミドMEA、TEA−アクリレート/アクリロナイトロジェンコポリマー、トラガカントガム(Astragalus gummifer)、トリベヘニン、トリデセス−2カルボキシアミドMEA、トリヒドロキシステアリン、トロメタミンケイ酸マグネシウムアルミニウム、小麦胚芽アミドDEA、小麦胚芽アミドプロピルベタイン、キサンタンガム、カラギーナン及びそれらの混合物を含む。
【0031】
増粘剤の量は、選択された特定の成分によって、0.05〜10重量%で変化させることが可能であり、25℃で100〜100,000cP(センチポアズ)の粘度、好ましくは25℃で5,000〜50,000cPの粘度、最も好ましくは25℃で10,000〜20,000cPの粘度を有するような量で使用され得る。
【0032】
本発明組成物にはさらに、必要により、添加剤として粉末化剤、固化剤、消泡剤、キレート化剤,PH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、漂白剤、安定化剤、抗菌剤、香料および色素からなる群から選ばれる1種以上を含有してもよい。粉末化剤としては、可溶化デンプン、シクロデキストリン、カルボキシメチルセルロース(数平均分子量5,000〜100,000)などが使用できる。
【0033】
錠剤の製造に際しては、固化剤、崩壊剤、崩壊助剤、賦形剤、滑沢剤、担体、有機溶媒、安定化剤、抗菌剤等を必要によって配合することができる。固化剤としては、ポリエチレングリコール(分子量1,000〜50,000)、ロウ類(カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ホホバ油、ミツロウ、ラノリンなど)、炭素数15以上の炭化水素(パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックスなど)、炭素数12〜22の高級脂肪酸(ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸など)、炭素数12〜22の高級アルコール(セチルアルコール、ステアリルアルコールなど)などが使用できる。錠剤の製造方法は公知の乾式法、または乾式顆粒圧縮法、湿式法,湿式顆粒圧縮法溶融法などの方法で容易に製造できる。
例えば溶融法では下記の二つの方法が挙げられるが、これらにこだわらない。
(1)方法1
上記に例示した微生物材を除く各成分を溶融混合して、更に必要によりpHを6.0〜8.5程度の中性領域に調整後、必要ならば冷却してから微生物材を好ましくは温度50〜80℃で溶融混合物に加えて、好ましくは0.1〜3時間混合した後、冷却して所望の形状に製造する。
(2)方法2
上記に例示した微生物材を除く各成分を溶融混合して、更に必要によりpHを6.0〜8.5程度の中性領域に調整後、融点以下まで冷却してから粉砕して微粉末化する。次に、微生物材の粉末と粉体ブレンドして均一にし、さらに必要により再度溶融混合した後冷却して所望の形状に製造する。
【0034】
本発明の抗菌消臭浄化剤はキトサンのイオン反応に伴う即効性に優れた抗菌活性と有用微生物の酵素活性による有機物の分解作用に基づく。
例えば、発明品を排水路に使用した場合、微生物は、次のような機構で抗菌消臭機能を発揮するものと考えられる。排水ピットに溶出した微生物群は、排水ピットや排水管の壁に着床し、排水管等の壁に付着しているぬめりや悪臭源の有機物(澱粉質、タンパク質、脂質等の栄養源)を糖、アミノ酸までに分解、発酵し、更に分解過程で発生するアンモニアを硝酸(塩)、さらには窒素分子までに酸化して、無臭化するものである。
【0035】
本発明の抗菌消臭浄化剤は、以下のような各種の用途の抗菌消臭浄化剤として有益に使用できる。
(1)キッチン、トイレ、浴室などの抗菌消臭用
本発明の抗菌消臭剤組成物を粉末、顆粒もしくは錠剤に成形して得られた成型体を、必要により樹脂製などの容器または不織布などの袋に入れて、排水口内もしくは排水口上部に置いておくことにより流水により本発明の組成物が徐々に溶解し、配管の抗菌消臭ができる。
(2)ペットの抗菌消臭用
犬・猫や、うさぎ、小鳥、ハムスターなどの小動物の糞や尿の悪臭物質に対して効果がある。例えば抗菌消臭スプレー、シート材料として有用である。
(3)繊維(衣類等)の抗菌消臭用
本発明の抗菌消臭剤組成物を水性分散体または稀釈液状とし、洗濯機などの洗浄機で通常の洗剤と一緒に使用するかまたはすすぎ剤として用いることにより、抗菌と洗浄が同時にできる。さらに、キトサンが繊維(製品)とイオン結合するため、抗菌性が持続し、悪臭発生を防ぐことができ、繊維(製品)に柔軟性と帯電防止性をも付与することができる。
本発明の抗菌消臭浄化剤は、上記以外にも、リビングルーム、寝室、台所、玄関、サニタリー用品、タバコ、オムツ、生ゴミ、冷蔵庫、靴、下駄箱、ゴミ箱、など多様な悪臭源を抗菌消臭し、かつ長期的に効果が得られる安全性の高い抗菌消臭浄化剤である。
【実施例】
【0036】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下において、部及び%は重量部、重量%を示す。
本発明の実施例、比較例で使用した原材料について組成を次に示す。
(1)微生物材
担体(珪藻土)を全体の約95重量%、培地(大豆たんぱく)を全体の約5重量%含み、有用微生物としてバチルス・ズブチルス(Bacillus subtilis )BN1001菌を5×10/gとなるよう接種し、水溶液中、40度Cで48時間培養して得た液を、さらに精製水で倍に希釈し濾過し製作した。
(2)キトサン
市販のキトサン溶液(ダイキトサンW−10、大日精化(製)脱アセチル化度85%(蟹由来))
(3)天然アルコール
88%バイオマスエタノール(サトウキビ由来)
(4)非イオン界面活性剤
植物由来食品用乳化剤、多価アルコール脂肪酸エステル(ソルビタンパルミチン酸モノエステル)
(5)増粘剤
食品用増粘剤、キサンタンガム(三栄源エフエフアイ社製、サンエース)
【0037】
表1に示すg数の各配合成分を常温で混合し、実施例1〜5および比較例1〜4の抗菌消臭剤組成物を作製した。保存安定性試験結果を表1に示す。試験条件:5度Cと37度Cそれぞれ3か月貯蔵前後の微生物数を測定した。
【0038】
【表1】

【0039】
本発明が特定した組成領域において有用微生物の菌数の低下が認められなかった。すなわち、キトサンによる有用微生物の酵素活性阻害がないことが確認された。一方、本発明の範囲外組成においては有用微生物がすべて死滅し酵素活性が失活していることを確認し本発明を完成した。
本発明実施例と比較例記載組成物について以下の試験方法により性能評価を行った。
【0040】
<酵素活性>
抗菌試験に使用する菌が純粋培養された標準菌では、生活環境において耐性を獲得し、棲息する菌類に有効かどうか疑問を抱いた発明者らは台所、浴室、洗面室シンクU字配管の生活汚水を対象に抗菌試験を実施した。すなわち、一般細菌菌数測定用寒天培地上に生活排水を培地全面に塗布・接種し、続いてマイクロシリンジから実施例1〜5および比較例1〜3の抗菌消臭剤組成物試料を0.03CC滴下し、37度C48時間培養し抗菌性を以下に示す評価基準にしたがって評価した。結果を表2に示す。
【0041】
評価基準
◎・・キトサンの抗菌作用と有用微生物の自己増殖に伴い
汚染菌の発育が完全に阻害されている。
○・・キトサンの抗菌作用と有用微生物の自己増殖に伴い
汚染菌の発育を阻害している。
△・・キトサンの抗菌作用と有用微生物の自己増殖に伴い
汚染菌の発育を僅かに阻害している。
×・・有用微生物の自己増殖が全く認められない。
【0042】
【表2】

【0043】
表2の結果から次のことが明らかである。すなわち、本発明実施例1〜5によれば家庭排水三か所の汚染菌に対して、キトサンと有用菌相乗効果によって、耐性を獲得して棲息するヌメリ菌や雑菌に対して完全な発育阻止機能が確認された。酵素は一般に雑菌に弱く失活する傾向がある。有用微生物が産生する酵素類においても雑菌による失活が懸念される。しかしながら、本発明実施例1〜5によれば雑菌が完全に抑制されることが判明した。その結果、有用菌の増殖が促進され、有用酵素の産生が増進され、酵素活性が阻害されないことが自明である。したがって、酵素活性が高まり、高度な有機物分解機能が達成される。
一方、比較例1〜4の結果が示すように、本発明領域外組成においては酵素活性が著しく阻害されることが判明した。
【0044】
実施例3試料について公的試験機関による酵素活性確認試験を以下のように実施した。
試験機関 :社団法人京都微生物研究所
試験検査報告書:No 8056,No8057,No8058(平成23年1月26日発行)
試験方法:実施例に同じ。
評価基準:実施例に同じ
試験結果::評価基準「◎」
【0045】
消臭脱性官能評価
抗菌性試験で採取した三種類の汚水100CCに各抗菌消臭試料1CCを添加し撹拌後、密閉状態で30度Cにて2日後、15日後、30日後、45日後に下記4段階基準で臭気官能評価を行った。
<4段階基準>
1:殆ど排水の腐敗臭を感知しない
2:僅かに排水の腐敗臭を感知する
3:明らかな排水の腐敗臭を感知する
4:強い排水の腐敗臭を感知する。
結果を表3に示す.
【0046】
【表3】

【0047】
試験の結果、本発明実施例1〜5によれば、台所、浴室、洗面台下U字配管いずれの汚水に対しても強力な消臭効果を示した。一方、本発明組成外である比較例1〜4によれば酵素活性が劣るため異臭の発生を認めた。
【0048】
微生物材対キトサンの重量比率を1から18にすると表1から表3に示したように有用菌の生存率が高く、高度な酵素活性を示し、抗菌消臭洗浄力が高まることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の抗菌消臭浄化剤は、家庭用洗面台、台所流し台、風呂場の排水口および排水路などのぬめりが発生する箇所に適用すれば排水経路浄化剤、ぬめり防止剤として有用である。さらに、飲食店、レストラン、ホテル等の外食産業における厨房に備えられているグリストラップに流入する排水浄化、ペット、繊維(衣類等)洗濯物、リビングルーム、寝室、台所、玄関、靴、下駄箱、ゴミ箱、洗濯層、冷蔵庫などに適用すれば安全性の高い抗菌消臭剤として有用である。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
キトサンと有用微生物からなることを特徴とする抗菌消臭浄化剤。
【請求項2】
有用微生物がバチルス・ズブチルス属またはラクトバチルス属バクテリアに特定されたことを特徴とする請求項1記載の抗菌消臭浄化剤。
【請求項3】
微生物材対キトサンの重量比率を1から19にすることにより有用菌の生存率を高め、高度な酵素活性を得て抗菌消臭洗浄力が高めたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の抗菌消臭浄化剤。




【公開番号】特開2012−232905(P2012−232905A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100751(P2011−100751)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(711004883)
【Fターム(参考)】