説明

抗菌部材

【課題】タイルやホーローなどの基材の表面に微粒状の銀などの抗菌材が固着された抗菌部材であって、摩擦や機械的応力などの作用で抗菌材が剥落することがなく、また、洗剤等に対する耐薬品性に優れ、長期にわたって優れた抗菌性を維持し得る抗菌部材を提供する。
【解決手段】表面に抗菌材を付着させた抗菌部材において、表面に、抗菌性が残る程度に樹脂塗膜を形成した抗菌部材。樹脂塗膜は、JIS Z 2801の抗菌性試験法による抗菌活性値が、これを形成する前の抗菌部材の50%以上となるように形成されていることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタイルやホーローなどの基材の表面に微粒状の銀などの抗菌材が固着された抗菌部材に関する。
【背景技術】
【0002】
タイルやホーローなどの基材の表面に、抗菌性粒子を固着させ、基材表面に抗菌性能を付与することが行われている。
【0003】
例えば、特開2000−319109号公報には、無機系材料よりなる基材の表面に、Agなどの抗菌材粒子をショットピーニングによって固着させることが開示されている。同公報の第0033段落には、基材に固着された抗菌材粒子の平均粒子径が1μm〜30μmの範囲内にあることが好ましいと記載されている。また、同公報の第0035段落には、基材に固着された抗菌材粒子の粒子間隔は、微生物菌体の通常のサイズである0.5μm〜10μm程度以下であることが好ましいと記載されている。
【0004】
上記特開2000−319109号公報のように、抗菌材粒子をショットピーニングによって固着させたタイル等にあっては、その上を歩行したり、あるいは雑巾などで拭いたりすることにより、抗菌材粒子が次第に剥がれ取れてゆき、この結果、継時により抗菌性が失われていくおそれがある。即ち、ショットピーニングにより基材表面に固着された抗菌材粒子は、基材表面の細かい空隙の中に入り込むことで物理的に固着されたものであるため、摩擦などの作用で容易に剥落する。
【0005】
また、抗菌材粒子を固着させることにより、抗菌性を得ることはできても、耐酸性、耐薬品性等を得ることはできず、このため、洗剤や漂白剤等の薬液と抗菌材粒子や基材表面との反応により、或いは、紫外線等の外部環境因子により、表面が変質したり、劣化したり、抗菌性能が損なわれたりするおそれもある。
【0006】
このような抗菌材粒子の剥落や薬液等による変質、劣化を防止するために、抗菌材粒子の固着面に樹脂塗膜を形成することが考えられるが、この場合には、抗菌材粒子が樹脂で隠蔽されてしまい、抗菌作用が奏されなくなってしまう。
【0007】
なお、特開昭59−16570号公報、特開昭62−269779号公報には、金属製の基材表面にフッ素樹脂のコーティング層を形成するに当たり、フッ素樹脂層の密着性の向上のために、金属基材の表面に金属メッキを行うか、金属粉末を付着させ、その上にフッ素樹脂のコーティング層を形成することが記載されているが、これらの技術は、金属により抗菌作用を得るものではなく、また、基材上のメッキ金属や金属粉末はフッ素樹脂層に隠蔽されて、その特性が表面に及ぶことはない
【特許文献1】特開2000−319109号公報
【特許文献2】特開昭59−16570号公報
【特許文献3】特開昭62−269779号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来の問題点を解決し、タイルやホーローなどの基材の表面に微粒状の銀などの抗菌材が固着された抗菌部材であって、摩擦や機械的応力などの作用で抗菌材が剥落することがなく、また、洗剤等に対する耐薬品性に優れ、長期にわたって優れた抗菌性を維持し得る抗菌部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明(請求項1)の抗菌部材は、基材面に抗菌材を付着させた抗菌部材において、該抗菌材付着面に、抗菌性が残る程度に樹脂塗膜を形成したことを特徴とする。
【0010】
請求項2の抗菌部材は、請求項1において、抗菌材は金属であることを特徴とする。
【0011】
請求項3の抗菌部材は、請求項1又は2において、抗菌材はショットピーニングにより基材に付着されたものであることを特徴とする。
【0012】
請求項4の抗菌部材は、請求項1又は2において、抗菌材は粉の擦り付け又はワイヤーの擦り付けにより基材に付着されたものであることを特徴とする。
【0013】
請求項5の抗菌部材は、請求項1ないし4のいずれか1項において、JIS Z 2801の抗菌性試験法による抗菌活性値が、前記樹脂塗膜を形成する前の抗菌部材の50%以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の抗菌部材は、抗菌材が付着している基材表面に樹脂塗膜を形成しているため、抗菌材の剥落が防止され、また、樹脂塗膜による保護効果で耐薬品性、耐食性等の耐久性も高められる。しかも、樹脂塗膜は、抗菌性が残る程度に形成されているため、樹脂塗膜により、抗菌性が失われることはない。このため、長期にわたって抗菌性を発揮する、抗菌性能の長期持続性に優れた抗菌部材が提供される。
【0015】
この抗菌部材は、基材の表面に、ショットピーニング処理によって金属などの抗菌材を固着させたものであることが好ましい。ただし、この抗菌部材は、抗菌材をワイヤーブラシで基材表面に擦り付けることにより固着させたものでもよく、抗菌粉を基材表面に擦り付けて固着させたものでもよい。
【0016】
また、本発明において、樹脂塗膜は、JIS Z 2801の抗菌性試験法による抗菌活性値が、これを形成する前の抗菌部材の50%以上となるように形成されていることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に本発明の抗菌部材の実施の形態について説明する。
【0018】
本発明の抗菌部材は、基材表面に抗菌材を付着させ、該抗菌材付着面に、抗菌性が残る程度に樹脂塗膜を形成したものである。
【0019】
[基材]
本発明の抗菌部材の基材としては特に制限はなく、一般的にはタイル等の陶磁器材料、セメント、ガラス、ホーロー等のセラミック、金属、石材等が挙げられるが、プラスチック、その他の材料に適用することも可能である。
これらの基材のうち、例えばタイル等にあっては、施釉されたものであってもよく、施釉されていないものであってもよく、施釉されたものの場合、釉層が抗菌材を含むものであってもよい。また、基材自体に抗菌材が含有されていてもよい。
基材の形状には特に制限はなく、本発明は、平板状、曲板状、その他の異形形状のものにも適用可能である。
【0020】
[抗菌材付着面]
<抗菌材の種類>
基材に付着させる抗菌材としては、抗菌性を有し、基材表面に付着可能なものであれば特に制限はないが、後述する基材への付着方法に適用するために、粒子形状であることが好ましく、その材質としては、Ag、Cu、Zn、Ni、Co、Fe、Au、Ti、Sn、これら金属の化合物及びこれら金属又は化合物を担体に担持したものよりなる群より選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。
【0021】
ここで、これら金属の化合物とは、これら金属の酸化物、亜酸化物、過酸化物、塩化物、硫化物又はリン酸化物である。また、担体としては、粘土鉱物、ゼオライト、シリカゲル、シリカ、アルミナ、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ガラス、リン酸ジルコニウム、リン酸カルシウム(アパタイト)、酸化チタン、N、Ca、P等の元素をドープした酸化チタン、チタン酸塩、ニオブ酸塩、タンタル酸塩、硫酸カドミウム、硫化亜鉛等の硫化物半導体などが挙げられる。
【0022】
この抗菌材粒子が粒状である場合、その平均粒径は、大き過ぎると、後述の基材への付着処理において、基材表面を過度に粗すことになり、好ましくなく、また、小さ過ぎると、基材に付着しにくくなるため、20〜500μmの範囲内であることが好ましい。
【0023】
この抗菌材粒子は針状であってもよく、この場合、長さ20〜500μm、アスペクト比3〜30であることが好ましい。
【0024】
<抗菌材の付着量>
基材表面への抗菌材粒子の付着量には特に制限はなく、用いる抗菌材の種類や、抗菌部材の用途等に応じて適宜決定されるが、10〜3000ng/cmであることが好ましい。抗菌材の付着量が10ng/cm以上であると、抗菌性能が良好となり、3000ng/cm以下であると、製造コストが低くなる。
【0025】
<抗菌材の付着方法>
基材に抗菌材を付着させる方法としては特に制限はないが、(1)ショットピーニング、或いは(2)抗菌材粉の擦り付け又はワイヤーの擦り付けによる方法が好ましい。
【0026】
以下にショットピーニングによる基材への抗菌材の付着方法について、基材に銀粒子を付着させる場合を例示して、図面を参照して説明する。
【0027】
図1はショットピーニング法を説明する模式的な断面図である。
図1(a)に示す通り、基材1の表面に、銀粒子2を用いてショットピーニング処理を行う。このとき、銀粒子2が基材1に衝突する(図1(b))。この衝突により、銀粒子2の一部が、微粒状銀3として基材1の表面に固着する(図1(c))。このようにして、基材1の表面に微粒状銀3が固着される。
【0028】
なお、基材1の表面に微粒状銀3が固着する機構の詳細は以下の通りであると考えられる。即ち、銀粒子2の衝突時に、運動エネルギーの一部が熱エネルギーに変化する。この熱エネルギーによって、銀粒子2のうち基材1との接触箇所近傍部分が溶融し、基材1の表面に付着する。この付着したAgが固化することにより、基材1の表面に微粒状銀3が固着する。
【0029】
このショットピーニングに用いられる銀粒子2は、純銀であってもよく、他の金属を、例えば50mass%以下程度含む銀合金であってもよい。銀合金としては、Zn、Cu、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Sn、Mg、Al、Pd、Au、Pt等の1種又は2種以上とAgとからなる銀合金などが用いられる。
【0030】
この銀粒子2の平均粒径は、10〜500μmの範囲内であることが好ましい。平均粒径100μmよりも大きいと、粗大な微粒状銀3が基材1の表面に過剰に固着するおそれがある。また、10μm未満であると、銀の固着量が過少となるおそれがある。
このような平均粒径の銀微粒子2をショットピーニングした場合、微粒状銀3の平均粒径は、通常は0.5〜5μm程度となる。
【0031】
この微粒状銀3の固着量は、前述の如く、50〜3000ng/cmであることが好ましい。この固着量が50ng/cm以上であると、抗菌性能、特に抗カビ性能、とりわけ抗白癬菌性能が良好となる。また、固着量が3000ng/cm以下であると、抗菌部材の表面の色調がメタリック調に変色することがなく、基材1自体の色調が維持される。
【0032】
基材の表面に、ワイヤーブラシなどを用いて銀粒子等の抗菌材を擦り付けることにより、抗菌材粒子の一部を基材の表面に固着させる場合は、用いる銀粒子等の抗菌材の平均粒径は0.05〜2mmが好適である。また、基材の表面に銀製ワイヤー等の抗菌材製ワイヤーを有するブラシを擦り付け、該ワイヤーの抗菌材の一部を基材表面に固着させる場合、ワイヤーの線径は0.5〜5mmが好適である。
【0033】
[樹脂塗膜]
基材の抗菌材付着面に形成する樹脂塗膜の樹脂としては、耐摩擦性、耐薬品性、防汚性等に優れたものが好ましく、例えばフッ素系樹脂、シラン系樹脂、フッ素−シラン系樹脂等を用いることができる。
【0034】
フッ素系樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化三フッ化エチレン、ポリ四フッ化エチレン、ポリ四フッ化エチレンー六フッ化プロピレンコポリマー、エチレンーポリ四フッ化エチレンコポリマー、エチレンーポリ塩化三フッ化エチレンコポリマー、四フッ化エチレンーパーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー、パーフルオロシクロポリマー、ビニルエーテルーフルオロオレフィンコポリマー、ビニルエステルーフルオロオレフィンコポリマー等を挙げることができる。
【0035】
また、シラン系樹脂としては、アルコキシシランなどのコロイダルシリカ、水酸基含有有機ポリマー、シランカップリング剤の3成分系によるコロイダルシリカ系複合ポリマー、アルキルシリケート、水酸基含有有機ポリマーの2成分系によるアルキルシリケート系複合ポリマー等を挙げることができる。
【0036】
また、フッ素−シラン系樹脂としては上記フッ素系樹脂とシラン系樹脂の複合材料を用いることができる。
【0037】
これらの樹脂を用いた樹脂塗膜は、例えば、基材の抗菌材付着面に樹脂溶液を塗布した後、当該樹脂の硬化方法に従って硬化させることにより形成することができるが、本発明では、この樹脂塗膜を、基材の抗菌材付着面の抗菌性が残る程度に形成するために、基材の抗菌材付着面に樹脂液を塗布した後、ウェス、布、紙等で拭き取るなどして塗膜を薄くした後硬化させることが好ましい。
【0038】
この樹脂塗膜は、JIS Z 2801の抗菌性試験法による抗菌活性値が、この樹脂塗膜を形成する前の抗菌部材の抗菌活性値の50%以上となるように形成することが好ましい(以下において、樹脂塗膜を形成する前の抗菌部材の抗菌活性値に対する樹脂塗膜形成後の抗菌部材の抗菌活性値の割合(%)を「抗菌活性保持率」と称す場合がある。)。
【0039】
なお、ここで、抗菌活性値は以下の抗菌性試験法により求めることができる。
【0040】
<抗菌性試験法>
試験片の表面をエタノール拭きした後、2.5×10個/ml〜10×10個/mlに調製した試験菌の黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の菌液を規定量載せ、フィルムで被覆した後、温度35±1℃、相対湿度90%以上で24±1時間培養した。その後、菌液を洗い出し、寒天平板培地法によって生菌数を求める。
抗菌活性値は、以下の式により算出される。
抗菌活性値=log(培養後の非抗菌部材の生菌数/培養後の抗菌部材の生菌数)
【0041】
従って、抗菌活性保持率は次のようにして求めることができる。
即ち、まず試験片として、基材(「試験片A」と称す。)と、基材の表面に抗菌材を付着させたもの(「試験片B」と称す。)と、基材表面の抗菌材付着面に更に樹脂塗膜を形成した試験片(「試験片C」と称す。)とを準備し、試験片A,B,Cのそれぞれについて、上記抗菌性試験法により生菌数を求め、下記式で樹脂塗膜形成前の抗菌活性値Xと樹脂塗膜形成後の抗菌活性値Xとを算出する。
抗菌活性値X=log(培養後の試験片Aの生菌数/培養後の試験片Bの生菌数)
抗菌活性値X=log(培養後の試験片Aの生菌数/培養後の試験片Cの生菌数)
抗菌活性保持率は、抗菌活性値X,Xより、下記式で算出される。
抗菌活性保持率=(X/X)×100
【0042】
この抗菌活性保持率が過度に小さいと、樹脂塗膜により抗菌部材の抗菌性が失われてしまい、抗菌部材としての機能を果たし得ない。
従って、抗菌活性保持率は50%以上、特に70%以上であることが好ましい。
【0043】
このような抗菌活性保持率を示す樹脂塗膜は、樹脂塗膜を形成する樹脂の種類によっても異なるが、一般的には樹脂付着量が0.3〜10g/m程度の薄い樹脂塗膜である。
このような薄い樹脂塗膜を形成することにより、上述のような抗菌活性保持率が達成されるメカニズムの詳細は明らかではないが、樹脂塗膜が極薄であることにより、樹脂塗膜の下層の抗菌材が樹脂塗膜内を拡散して樹脂塗膜表面に抗菌性が及ぶようになるためであると推察される。
【0044】
[用途]
本発明の抗菌部材は、例えば浴室の床タイルやプールタイル、ホーロー製品、衛生陶器、洗面ボウルなどとして好適に使用され、この抗菌部材の抗菌材の有する抗菌作用により、細菌の繁殖を抑制することができる。また、細菌に限らず、真菌に対しても効果があるため、例えば直接足が触れる床タイル、プールタイル等では、水虫感染の抑制が期待できる。しかも、表面の樹脂塗膜による保護効果で、摩擦等の機械的応力や、洗剤、その他の薬品、紫外線等の環境条件に対する耐久性が高められ、抗菌活性を長期に亘り維持すると共に、特に樹脂塗膜として、フッ素系樹脂やシラン系樹脂、フッ素−シラン系樹脂等を用いた場合には、優れた防汚機能で表面を清浄に保つことも可能となる。
【実施例】
【0045】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0046】
なお、以下において、基材としては、次のものを準備した。
<基材>
基材(1):株式会社INAX製非抗菌タイル「デザレートコット」
基材(2):石材
基材(3):株式会社INAX製非抗菌タイル「システィネオ」
【0047】
また、樹脂塗膜用樹脂としては、次のものを準備した。
<樹脂塗膜用樹脂>
フッ素系樹脂:株式会社ダイキン製「T−302」
シラン系樹脂:株式会社INAX製「RMGF」
フッ素−シラン系樹脂:株式会社研光通商製「ClearCoat U−SIL120」
【0048】
実施例1
<ショットピーニング処理>
基材(1)のタイル表面を、ブラスト装置を用いて、以下の条件でショットピーニング処理した。この処理により、基材(1)の表面に、平均粒径0.5〜5μmの銀粒子が650ng/cm固着した。
【0049】
抗菌材:銀粒子(平均粒径57.5μm)
ブラスト装置のノズルとタイルとの距離:15cm
コンプレッサー圧力:0.6MPa
処理時間:10秒
【0050】
次いで、この銀粒子付着面にフッ素−シラン系樹脂溶液を25g/m塗布した後、ウェスで拭き取り、残留塗膜量2g/mとした後、100℃で1時間乾燥させて樹脂塗膜を形成した。この樹脂塗膜の樹脂付着量は0.7g/mであった。
【0051】
このようにして得られた抗菌部材について、前述の抗菌性試験法により樹脂塗膜形成前後の抗菌活性値X,Xを求め、これらの値から抗菌活性保持率(%)を算出し、結果を表1に示した。
また、得られた抗菌部材について、十分に水を浸したスコッチブライト(商品名)で100g/cmの圧力をかけて2万回こする摩耗試験を行った後、同様に前述の抗菌性試験法により抗菌活性値を求め、結果を表1に示した。
【0052】
実施例2,3
基材及び樹脂塗膜用樹脂として表1に示すものを用い、表1に示す樹脂塗膜形成法で樹脂塗膜を形成したこと以外は実施例1と同様にして抗菌部材を製造し、同様に試験を行って結果を表1に示した。
【0053】
比較例1〜3
実施例1〜3において、樹脂塗膜を形成しないこと以外は同様にして抗菌部材を得、同様に試験を行って結果を表1に示した。
【0054】
比較例4〜6
実施例1〜3において、樹脂塗膜形成に当たり、塗膜の拭き取りを行わず、厚膜の樹脂塗膜を形成したこと以外は同様にして抗菌部材を得、同様に試験を行って結果を表1に示した。
【0055】
【表1】

【0056】
表1より、本発明によれば、基材の抗菌材付着面に、抗菌材による抗菌性が残る程度に樹脂塗膜を形成したことにより、抗菌活性の持続性に優れた抗菌部材が得られることが分る。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】ショットピーニング法を説明する模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 基材
2 銀粒子
3 微粒状銀

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材表面に抗菌材を付着させた抗菌部材において、該抗菌材付着面に、抗菌性が残る程度に樹脂塗膜を形成したことを特徴とする抗菌部材。
【請求項2】
請求項1において、抗菌材は金属であることを特徴とする抗菌部材。
【請求項3】
請求項1又は2において、抗菌材はショットピーニングにより基材に付着されたものであることを特徴とする抗菌部材。
【請求項4】
請求項1又は2において、抗菌材は粉の擦り付け又はワイヤーの擦り付けにより基材に付着されたものであることを特徴とする抗菌部材。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、JIS Z 2801の抗菌性試験法による抗菌活性値が、前記樹脂塗膜を形成する前の抗菌部材の50%以上であることを特徴とする抗菌部材。

【図1】
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【公開番号】特開2009−40729(P2009−40729A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−208210(P2007−208210)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】