説明

抗菌防カビ剤

【課題】幅広い抗菌スペクトルを有し、抗菌防カビ剤中の抗菌防カビ成分の含有割合が小さくても制菌効果を十分に発揮することのできる抗菌防カビ剤を提供する。
【解決手段】2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、パラオキシ安息香酸ブチル及びイマザリルからなる抗菌防カビ成分(a)を含む抗菌防カビ剤であって、パラオキシ安息香酸ブチルの含有量が、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール100重量部に対して、80〜700重量部であり、イマザリルの含有量が、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール100重量部に対して、300〜4500重量部である抗菌防カビ剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抗菌防カビ剤、特に浴室用として用いられる抗菌防カビ剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭における浴室、脱衣所、洗面所や台所等のような湿気の多いところでは、有害な細菌や真菌等が発生しやすく、これらの細菌や真菌等の成育から時間が経過すると、洗剤を使用しても除去が困難となる。
【0003】
一般的に、有害な細菌や真菌の発生、増殖及び拡散による様々な弊害を防止するために、洗剤中に抗菌防カビ成分を配合することで、各種カビ、有害細菌の発生、増殖及び拡散を防止することが一般的に広く行われている。該抗菌防カビ剤における抗菌防カビ成分としては、目的に応じて、第四級アンモニウム塩化合物、有機窒素系化合物、有機窒素硫黄系化合物、有機ハロゲン系化合物等、多岐にわたり広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、これらの抗菌防カビ成分を単独で使用した場合、特定の細菌や真菌等に対して、有効に制菌効果を有するが、抗菌スペクトルが狭く、十分な抗菌防カビ効果が発揮できない状況にある。そのため、各抗菌防カビ成分を2種以上混合し、幅広い抗菌スペクトルを有する抗菌防カビ剤が検討されているが、未だ開発の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−124422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、幅広い抗菌スペクトルを有し、抗菌防カビ剤中の抗菌防カビ成分の含有割合が小さくても制菌効果を十分に発揮することのできる抗菌防カビ剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような問題を解決するために、鋭意検討した結果、抗菌防カビ剤中の抗菌防カビ成分として三種の特定の抗菌防カビ成分を特定比率で配合することが有用であるという知見を得た。本発明は、斯かる知見に基づき完成されたものである。
【0008】
項1.2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、パラオキシ安息香酸ブチル及びイマザリルからなる抗菌防カビ成分(a)を含む抗菌防カビ剤であって、
パラオキシ安息香酸ブチルの含有量が、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール100重量部に対して、80〜700重量部であり、
イマザリルの含有量が、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール100重量部に対して、300〜4500重量部である
抗菌防カビ剤。
【0009】
項2.さらに、消臭成分(b)を抗菌防カビ成分(a)100重量部に対して、5〜150重量部含む項1に記載の抗菌防カビ剤。
【0010】
項3.消臭成分(b)がカキタンニンである項2に記載の抗菌防カビ剤。
【0011】
項4.さらに、芳香成分(c)を抗菌防カビ成分(a)100重量部に対して、0.05〜50重量部含む項1〜3のいずれかに記載の抗菌防カビ剤。
【0012】
項5.芳香成分(c)が、ペパーミント及び/又はレモングラスである項4に記載の抗菌防カビ剤。
【0013】
項6.抗菌防カビ剤中の抗菌防カビ成分(a)の含有割合が0.1〜5重量%である項1〜5のいずれかに記載の抗菌防カビ剤。
【0014】
項7.浴室に用いられる項1〜6のいずれかに記載の抗菌防カビ剤。
【0015】
以下、各成分について、詳細に説明する。なお、本発明の抗菌防カビ剤は、後述する各成分を溶剤中に分散させたものである。
【0016】
抗菌防カビ成分(a)
抗菌防カビ成分(a)は、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、パラオキシ安息香酸ブチル、及びイマザリルからなる三種の抗菌防カビ成分を組み合わせて配合することを特徴とする。このような特定の三種の抗菌防カビ成分の組み合わせにより、カビ、酵母、バクテリア類等に対して制菌効果を向上させることができ、かつ幅広い抗菌スペクトルを有する。
【0017】
2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾールの含有は、特に、カビに対する抗菌作用を高め、熱的安定性、耐紫外線性を向上させることができ、防カビ剤の液質の安定性、液全体の色の黄変がみられない点、及び防カビ効果、防カビ剤の使用時の鼻に感じるムズムズ感の抑制についても良好であるという点から優れた効果を有する。
【0018】
パラオキシ安息香酸ブチルは、特に、分離耐性菌(Rhodotorula sp.、Trichosporon sp.)に対する抗菌作用、酵母の抑制効果、酵母等に対する抗菌作用を持たせることができ、抗菌スペクトルを広くすることができる。また、水溶液中として防腐効果を持たせることができる。
【0019】
パラオキシ安息香酸ブチルの含有量は、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール100重量部に対して、80〜700重量部程度である。パラオキシ安息香酸ブチルの含有量を前記の数値範囲に設定することにより、特に、分離耐性菌(Rhodotorula sp.、Trichosporon sp.)に対して、抗菌防カビ効果が得られる点、防カビ剤の使用時の鼻に感じるムズムズ感の抑制において優れた効果を有する。
【0020】
イマザリルの含有量は、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール100重量部に対して、300〜4500重量部程度である。イマザリルの含有量を前記の数値範囲に設定することにより、特に、抗菌防カビ効果を高めることができる。
【0021】
抗菌防カビ剤中の抗菌防カビ成分(a)の含有割合は、0.1〜5重量%程度が好ましく、0.21〜4.2重量%程度がより好ましい。抗菌防カビ成分(a)の含有割合を前記の数値範囲に設定することにより、その他、JIS Z 2911に準拠する浴室効果確認試験などにおいてカビ、酵母、黄色ブドウ球菌、緑膿菌などに対し、抗菌防カビ効果を発現することができ、かつ、刺激臭を抑制することができ、さらに防カビ剤の水質の安定性、防カビ剤の使用時の鼻に感じるムズムズ感の抑制において優れた効果を有する。
【0022】
前記三種の抗菌防カビ成分(a)を特定比率で含有することにより、各抗菌防カビ成分単独で発現する抗菌防カビ作用だけでなく、例えば、緑膿菌、酵母様真菌(Trichosporon sp.)等の耐性菌の発現についても抑制することが可能となる。さらに、抗菌スペクトルが非常に広くなるという効果を発現することができる。
【0023】
本発明の抗菌防カビ剤の対象となる細菌、真菌としては、カビ、酵母、バクテリア等が挙げられ、具体例としては、Rhodotorula sp.(赤色酵母)、Trichosporon sp.(酵母様真菌)、Aspergillus niger、Penicillium pinophilum、Cladosporium cladosporioides、Aureobasidium pullulans、Trichoderma virens、Psudomonas asruginosa (緑膿菌)、Escherichia coil (大腸菌)、Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)、Salmonella Enteritidis (サルモネラ属菌)、枯草菌(Bacillus subtillus)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
なお、前記の抗菌防カビ成分(a)に対して、さらに、例えばオルソフェニルフェノール等の別の抗菌防カビ成分を増やしただけでは、四成分系の抗菌防カビ剤は、抗菌防カビ効果が本発明の抗菌防カビ剤と比較して良好な結果が得られない可能性がある。
【0025】
消臭成分(b)
本発明の抗菌防カビ剤において、さらに消臭成分(b)を含有することにより、屎尿、汗、生ゴミ、タバコ等のもととなる臭気成分(例えば、アンモニア、イソ吉草酸、トリメチルアミン、ホルムアルデヒド、酢酸、メチルメルカプタン、硫化水素等)を高い割合で消臭することができる。
【0026】
消臭成分(b)としては、前記臭気成分と化学的に反応する官能基を有する化合物であることが好ましく、例えば、分子中にフェノール性水酸基を有する化合物であることが好ましい。具体的には、緑茶から抽出されるカテキン、カキノキの果実より抽出されるカキタンニン等が挙げられるが、これらの中で、消臭効果だけでなく、前記抗菌防カビ成分(a)とともに含有することによって、Escherichia coil (大腸菌)、Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)等の真菌に対する制菌効果が向上するという点、水、プロピレングリコールに可溶であるという点から、カキタンニンが特に好ましい。
【0027】
なお、カキタンニン(ポリフェノール系化合物)は、大きな構造式を持つ縮合型タンニンで数多くのフェノール性水酸基を有し、各種悪臭成分が化学的に結合し易いことから、消臭効果を発揮するものと考えられる。
【0028】
消臭成分(b)の含有量は、抗菌防カビ成分(a)100重量部に対して、5〜150重量部程度が好ましい。消臭成分(b)の含有量を前記の数値範囲に設定することにより、消臭成分と芳香成分を混和させても、混合液の安定性に問題は無く、相互干渉等による消臭効果の劣化もみられない。
【0029】
芳香成分(c)
本発明の抗菌防カビ剤において、さらに芳香成分(c)を含有することにより、抗菌防カビ剤に芳香性を付与することができる。
【0030】
芳香成分(c)としては、レモングラス、ペパーミントをはじめ、フトモモ科の葉であるクローブ及びユーカリ等が挙げられるが、これらの中で、前記抗菌防カビ成分(a)とともに含有することによって、特に黒カビ、アオカビ等の真菌に対して、制菌効果が向上するという点から、レモングラス、ペパーミントが好ましく、特に、本発明の抗菌防カビ剤においては、レモングラスが特に好ましい。
【0031】
芳香成分(c)の含有量は、抗菌防カビ成分(a)100重量部に対して、0.05〜50重量部程度が好ましく、0.5〜15重量部程度がより好ましい。
【0032】
特に、芳香成分(c)がレモングラスである場合には、レモングラスの含有量は、抗菌防カビ成分(a)100重量部に対して、0.6〜12重量部程度が好ましく、芳香成分(c)がペパーミントである場合には、ペパーミントの含有量は、抗菌防カビ成分(a)100重量部に対して、0.2〜1重量部程度が好ましい。
【0033】
溶剤
前記、抗菌防カビ成分(a)、消臭成分(b)及び芳香成分(c)を分散させるための溶剤としては、プロピレングリコール、水等が挙げられ、本発明の効果を損なわないように適宜選択され用いることができるが、プロピレングリコールと水の組み合わせが好ましく、特に後述する本発明の抗菌防カビ剤の製造方法のように、あらかじめ、プロピレングリコールの溶剤に対して、前記各種成分を配合し、その後、水により希釈するという順序での組み合わせが好ましい。
【0034】
その他の成分
前記、抗菌防カビ成分(a)、消臭成分(b)及び芳香成分(c)、溶剤の他に、本発明の抗菌防カビ剤は、界面活性剤、pH調整剤等を配合してもよい。
【0035】
界面活性剤としては、オキシエチレン−オキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンドデシル硫酸エステル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシアルキレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等の非イオン性界面活性剤;ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等のアニオン性界面活性剤;カチオン性界面活性剤;両面性界面活性剤等が挙げられるが、皮膚刺激性が低く、人体に対する安全性が高いという観点から、非イオン性界面活性剤が特に好ましい。
【0036】
pH調整剤は、抗菌防カビ剤を弱酸性に保つために配合される。pH調整剤としては、乳酸等が挙げられるが、前記、抗菌防カビ成分(a)、消臭成分(b)及び芳香成分(c)を溶剤中に均一に分散させるという点から、乳酸が特に好ましい。
【0037】
製造方法
本発明の抗菌防カビ剤は、前記の各成分を溶剤中に均一に分散させたものである。溶媒として、プロピレングリコール及び水を用いた場合の本発明の抗菌防カビ剤の好ましい製造方法を以下に示す。
(1)プロピレングリコール、pH調整剤、及び消臭成分を混合し撹拌し溶液(i)を調製する工程、
(2)溶液(i)に対して、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾールを添加後、撹拌し、溶液(ii)を調製する工程、
(3)溶液(ii)に対して、パラオキシ安息香酸ブチル及びイマザリルを添加し撹拌し、溶液(iii)を調製する工程、
(4)溶液(iii)に対して、界面活性剤及び芳香剤の順に添加後、撹拌し、溶液(iv)を調製する工程、
(5)溶液(iv)を水により希釈する工程
により調製されることが、水中において水と各成分が相分離することなく、均一に分散される点で好ましい。
【0038】
工程(1)におけるプロピレングリコール、pH調整剤、及び消臭剤を混合する順は、特に限定されるものではない。
【0039】
工程(2)における2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾールの添加は、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾールを単独で配合してもよく、また、工程(1)で得られる溶液(i)に対して、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾールを効率よく溶解させるために、あらかじめ、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾールとpH調整剤を混合した2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール溶液として添加してもよい。
【0040】
工程(3)におけるイマザリル、及びパラオキシ安息香酸ブチルの添加する順は、特に限定されるものではない。
【0041】
工程(4)における界面活性剤及び芳香剤の添加する順は、界面活性剤を添加した後に、芳香剤を添加することが、水溶液(特に水分の多い溶液)と油(芳香剤)との混和をより促進させ、水に難溶解性の油性成分を効率よく混合できるという点、また、芳香成分の気散を抑制することができるという観点から好ましい。
【0042】
本発明の抗菌防カビ剤は、例えば、噴霧器により噴霧するような形態をとることができ、室内における天井隅等、比較的手の届き難い所で発生している、真菌、細菌に対しても抑制することが可能となる。本発明の抗菌防カビ剤は、浴室用として用いられるだけでなく、その他にトイレ用、台所用、玄関用、その他の水周り用、植物(植木・植栽)用等の用途として好適に用いられる。
【発明の効果】
【0043】
本発明の抗菌防カビ剤は、特定の三種の抗菌防カビ成分を特定比率で含有することにより、幅広い抗菌スペクトルを有し、また、含有割合が非常に小さくなるように溶剤で希釈しても、制菌効果を発現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1a】試験例1Aにおいて、実施例1の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてCladosporiumsp.を用いた試験結果である。
【図1b】試験例1Aにおいて、実施例1の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてAspergillus sp.を用いた試験結果である。
【図1c】試験例1Aにおいて、実施例1の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてRhodotorula sp.を用いた試験結果である。
【図1d】試験例1Aにおいて、実施例1の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてTrichoderma sp.を用いた試験結果である。
【図2a】試験例2Aにおいて、実施例2の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてRhodotorula sp.を用いた試験結果である。
【図2b】試験例2Aにおいて、実施例2の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてTrichosporon sp.を用いた試験結果である。
【図2c】試験例2Bにおいて、実施例2の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種として5種の混合菌種を用いた試験結果である。
【図3a】試験例2Aにおいて、実施例3の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてRhodotorula sp.を用いた試験結果である。
【図3b】試験例2Aにおいて、実施例3の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてTrichosporon sp.を用いた試験結果である。
【図3c】試験例2Bにおいて、実施例3の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種として5種の混合菌種を用いた試験結果である。
【図4a】試験例4において、実施例4の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてRhodotorula sp.を用いた試験結果である。
【図4b】試験例4において、実施例4の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてTrichosporon sp.を用いた試験結果である。
【図5a】試験例5Aにおいて、実施例5の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてRhodotorula sp.を用いた試験結果である。
【図5b】試験例5Aにおいて、実施例5の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてTrichosporon sp.を用いた試験結果である。
【図5c】試験例5Bにおいて、実施例5の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種として5種の混合菌種を用いた試験結果である。
【図6a】試験例6Aにおいて、実施例6の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてRhodotorula sp.を用いた試験結果である。
【図6b】試験例6Aにおいて、実施例6の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてTrichosporon sp.を用いた試験結果である。
【図6c】試験例6Bにおいて、実施例6の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種として5種の混合菌種を用いた試験結果である。
【図7a】試験例7において、実施例7の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてRhodotorula sp.を用いた10分後の試験結果である。
【図7b】試験例7において、実施例7の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてRhodotorula sp.を用いた30分後の試験結果である。
【図8a】試験例8において、実施例8の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてPsudomonas aeruginosaを用いたを用いた試験結果である。
【図8b】試験例8において、実施例8の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてEscherichia coilを用いたを用いた試験結果である。
【図8c】試験例8において、実施例8の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてStaphylococcus aureusを用いたを用いた試験結果である。
【図8d】試験例8において、実施例8の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてSalmonella Enteritidisを用いたを用いた試験結果である。
【図8e】試験例8におけるブランク試験の試験結果である。
【図9】試験例9において、実施例9の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてRhodotorula sp.及びTrichosporon sp.を用いた試験結果である。
【図10a】試験例10Aにおいて、実施例10の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種として5種混合菌種を用いた試験結果である。
【図10b】試験例10Bにおいて、実施例10の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種として5種混合菌種を用いた試験結果である。
【図10c】試験例10Bにおいて、実施例10の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてTrichosporonを用いた試験結果である。
【図10d】試験例10Bにおいて、実施例10の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてRhodotorulaを用いた試験結果である。
【図10e】試験例10Bにおけるブランク試験の試験結果である。
【図11a】比較試験例1Aにおいて、比較例1の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてAureobasidium pullulansを用いた測定結果である。
【図11b】比較試験例1Aにおいて、比較例1の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてCladosporium cladosporioidesを用いた測定結果である。
【図11c】比較試験例1Aにおいて、比較例1の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてRhodorula mucilaginosaを用いた測定結果である。
【図12a】比較試験例2Aにおいて、比較例2の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてAureobasidium pullulansを用いた測定結果である。
【図12b】比較試験例2Aにおいて、比較例2の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてCladosporium cladosporioidesを用いた測定結果である。
【図12c】比較試験例2Aにおいて、比較例2の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてRhodorula mucilaginosaを用いた測定結果である。
【図13a】比較試験例3Aにおいて、比較例3の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてAureobasidium pullulansを用いた測定結果である。
【図13b】比較試験例3Aにおいて、比較例3の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてCladosporium cladosporioidesを用いた測定結果である。
【図13c】比較試験例3Aにおいて、比較例3の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてRhodorula mucilaginosaを用いた測定結果である。
【図14a】比較試験例4Aにおいて、比較例4の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてAureobasidium pullulansを用いた測定結果である。
【図14b】比較試験例4Aにおいて、比較例4の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてCladosporium cladosporioidesを用いた測定結果である。
【図14c】比較試験例4Aにおいて、比較例4の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてRhodorula mucilaginosaを用いた測定結果である。
【図15a】比較試験例5Aにおいて、比較例5の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてAureobasidium pullulansを用いた測定結果である。
【図15b】比較試験例5Aにおいて、比較例5の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてCladosporium cladosporioidesを用いた測定結果である。
【図15c】比較試験例5Aにおいて、比較例5の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてRhodorula mucilaginosaを用いた測定結果である。
【図16a】比較試験例1Bにおいて、比較例1の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種として5種の混合菌種を用いた試験結果である。
【図16b】比較試験例2Bにおいて、比較例2の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種として5種の混合菌種を用いた試験結果である。
【図16c】比較試験例2Bにおいて、比較例3の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種として5種の混合菌種を用いた試験結果である。
【図16d】比較試験例2Bにおいて、比較例4の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種として5種の混合菌種を用いた試験結果である。
【図16e】比較試験例2Bにおいて、比較例5の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種として5種の混合菌種を用いた試験結果である。
【図17a】比較試験例6において、比較例6の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてAspergillus spを用いた試験結果である。
【図17b】比較試験例6において、比較例6の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてCladosporium spを用いた試験結果である。
【図17c】比較試験例6において、比較例6の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてRhodotorula spを用いた試験結果である。
【図17d】比較試験例6において、比較例6の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてTrichosporon spを用いた試験結果である。
【図17e】比較試験例6において、比較例6の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてAureobasidium spを用いた試験結果である。
【図17f】比較試験例6において、比較例6の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてCladosporium spを用いた試験結果である。
【図17g】比較試験例6において、比較例6の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としRhodotorula spを用いた試験結果である。
【図18a】比較試験例7において、比較例8及び9の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてAspergillus spを用いた試験結果である。
【図18b】比較試験例7において、比較例8及び9の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてCladosporium spを用いた試験結果である。
【図18c】比較試験例7において、比較例8及び9の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてRhodotorula spを用いた試験結果である。
【図18d】比較試験例7において、比較例8及び9の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種として図18dは、Trichosporon spを用いた試験結果である。
【図19a】比較試験例8において、比較例10の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてTrichosporon sp.を用いた試験結果である。
【図19b】比較試験例8において、実施例9の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてTrichosporon spを用いた試験結果である。
【図20】比較試験例9において、比較試験例10の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種として5種の混合菌種を用いた試験結果である。
【図21a】比較試験例10において、比較例10の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてTrichosporon sp.を用いた試験結果である。
【図21b】比較試験例10において、実施例9の抗菌防カビ剤を用いた試験結果であり、試験菌種としてTrichosporon spを用いた試験結果である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下に実施例及び比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0046】
以下に、実施例で用いた各成分を示す。
【0047】
(1)抗菌防カビ成分
・2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール(北興化学工業(株)製のホクスターL−100A)
・パラオキシ安息香酸ブチル(北興化学工業(株)製のホクバリンB−100)
・イマザリル(北興化学工業(株)製のFBH−709)
(2)芳香成分
・レモングラス(寿香料(株)製のレモングラス(シトラールを90重量%含有))
・ペパーミント(日本香料薬品(株)製のペパーミントフレーバーJSC(ペパーミント精油成分及びスペアミント精油成分を3.9重量%含有))
(3)消臭成分
・カキタンニン(リリース科学工業(株)製のパンシルBA−200E−1)
(4)pH調整剤
・乳酸((株)武蔵野化学研究所製のムサシノ乳酸90)
(5)界面活性剤
・ポリオキシアルキレンデシルエーテル(第一工業製薬(株)製のノイゲンXL−140(非イオン界面活性剤))
・ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン
(6)溶剤
・プロピレングリコール
・精製水。
【0048】
実施例1〜10及び比較例1〜11
ビーカーに表1に示す配合割合で、プロピレングリコール(溶剤)、乳酸、消臭成分、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール及びパラオキシ安息香酸ブチルの順に添加し、15分撹拌し各成分を溶解させた。撹拌後、溶液中に、さらにイマザリルを添加し、30分撹拌した。その後、非イオン界面活性剤、及び芳香剤の順で添加し、さらに、精製水(溶剤)を加えて希釈することにより各抗菌防カビ剤を得た。
【0049】
【表1】

【0050】
【表2】

【0051】
【表3】

【0052】
【表4】

【0053】
試験例
前記得られた実施例1〜10及び比較例1〜11の各抗菌防カビ剤について、以下の方法に基づき最小発育阻止濃度測定を行い、物性を評価した。
【0054】
・試験例1(実施例1の最小発育阻止濃度測定)
・試験菌種
試験菌株として以下の4種の菌株を用いた。
【0055】
・Cladosporiumsp. (分離株)
・Rhodotorula sp. (分離株)
・Aspergillus sp. (分離株)
・Trichosporon sp. (分離株)。
【0056】
・胞子液
前記各菌株を、ポテトデキストロース寒天斜面培地にて25±1℃で7〜10日間培養し、発育した菌苔を界面活性剤生理食塩液(0.05% Tween 80 生理食塩液)10mLに懸濁し、均一濃度の単一胞子懸濁液を作製し、各単一胞子懸濁液の等量ずつを混合したものを混合胞子懸濁液とした。
【0057】
・濾紙
アドバンテック(株)製の5種B(2cm×2cm)を予めオートクレーブにて滅菌し、乾燥したものを用いた。
【0058】
・使用培地
クロラムフェニコール加ポテトデキストロース培地(直径9cm、深さ1.5cm、(CP:50〜100mg/L添加)(以下、PDA培地ともいう))を作製し、1菌種に培地を2枚ずつ使用した。
【0059】
・培地条件
前記使用培地に、以下の(i)〜(iii)の条件にて菌を培養した。
【0060】
(i)前記使用培地の上にそれぞれ胞子液0.1mlを滴下し、滅菌コンラージ棒を用いて均等に拡げた。
(ii)濾紙に実施例1の抗菌防カビ剤を十分に吸収させ、培地表面の中央に密着させた。
(iii)28±2℃のフラン器にて7日間間培養した。
【0061】
培養後、試験片周辺の培地上に生じた菌苔の発生状態を観察した。図1a〜1dに、測定結果を示す。なお、図1aは、試験菌種としてCladosporiumsp.を用いた測定結果、図1bは、Aspergillus sp.を用いた測定結果、図1cは、Rhodotorula sp.を用いた測定結果、図1dは、Trichosporon sp.を用いた測定結果であり、左図は、ブランク試験であり、右図が試験例1の測定結果である。
【0062】
・試験例2A及び3A(実施例2及び3の最小発育阻止濃度測定)
試験菌種として、Rhodotorula sp.(分離株)及びTrichosporon sp.(分離株)の2種を用い、防カビ剤として実施例2及び実施例3のものを用いた以外は、試験例1Aと同様の方法にて試験を行った。図2a及び図2bに実施例2の抗菌防カビ剤を用いた測定結果、図3a及び図3bに実施例3の抗菌防カビ剤を用いた測定結果を示す。なお、図2a及び3aは、試験菌種としてRhodotorula sp.(分離株)を用いた測定結果、図2b及び3bは、Trichosporon sp.(分離株)を用いた測定結果であり、左図は、ブランク試験であり、右図が試験例2及び試験例3の測定結果である。
【0063】
・試験例2B及び3B(実施例2のカビ抵抗性試験)
・試験用のカビ:以下の5種の混合菌種
・Aspergillus niger FERM S-2
・Penicillium Funiculosum FERM S-6
・Cladosporium cladosporioides FERM S-8
・Aureobasidium pullulans FERM S-9
・Gliocladium virens FERM S-10
・胞子懸濁液
スルホこはく酸ジイソオクチルナトリウム溶液(0.005質量%)を用いた。
・培養温度:28℃
・培養期間:14日間
前記条件で、JIS Z 2911に準じ、防カビ剤として実施例2及び実施例3のものを用いてカビ抵抗試験を行った。図2cに実施例2の抗菌防カビ剤を用いた測定結果、図3cに実施例3の抗菌防カビ剤を用いた測定結果を示す。
【0064】
・試験例4(実施例4の最小発育阻止濃度測定)
試験菌種として、Rhodotorula sp.(分離株)及びTrichosporon sp.(分離株)の2種を用い、防カビ剤として実施例4のものを用いた以外は、試験例1と同様の方法にて試験を行った。図4a及び図4bに実施例4の抗菌防カビ剤を用いた測定結果を示す。なお、図4aは、試験菌種としてRhodotorula sp.(分離株)を用いた測定結果、図4bは、Trichosporon sp.(分離株)を用いた測定結果であり、左図は、ブランク試験であり、右図が試験例4の測定結果である。
【0065】
・試験例5A(実施例5の最小発育阻止濃度測定)
試験菌種として、Rhodotorula sp.(分離株)及びTrichosporon sp.(分離株)の2種を用い、防カビ剤として実施例5のものを用いた以外は、試験例1と同様の方法にて試験を行った。図5a及び図5bに実施例5の抗菌防カビ剤を用いた測定結果を示す。なお、図5aは、試験菌種としてRhodotorula sp.(分離株)を用いた測定結果、図5bは、Trichosporon sp.(分離株)を用いた測定結果であり、左図は、ブランク試験であり、右図が試験例5Aの測定結果である。
【0066】
・試験例5B(実施例5のカビ抵抗性試験)
・試験菌株:以下の5種の混合菌種
・Aspergillus niger NBRC 6342
・Penicillium pinophilium NBRC 6345 (Penicillium funiculosum)
・Cladosporium cladosporioides NBRC 6348
・Aureobasidium pullulans NBRC 6353
・Trichoderma virens NBRC 6355。
【0067】
・胞子懸濁液
各菌株をポテトデキストロース寒天斜面培地にて25±1℃で7〜10日間培養し、発育した菌苔を浸潤剤添加滅菌水(0.005質量%スルホこはく酸ジオグチルナトリウム溶液)10mLに懸濁し、均一濃度の単一胞子懸濁液を作製した。各単一胞子懸濁液の等量ずつを混合したものを混合胞子懸濁液とした。
【0068】
・試験片
濾紙(アドバンテック(株)製の5種B(直径30mm)を予めオートクレーブにて滅菌して乾燥し試験品原液に10分間浸した後、室内で48時間乾燥したものを試験片とした。
【0069】
・使用培地
寒天平板培地(直径9cm、深さ1.5cm)を作製し、一試料あたり培地を2枚ずつ用いた。
【0070】
培地の組成は次による。
【0071】
精製水:1000mL
グルコース:40g
ペプトン:10g
寒天:25g
・培地条件
前記使用培地に、以下の(i)〜(iii)の条件にて菌を培養した。
【0072】
(i)寒天平板培地上に試験片を密着させた。
(ii)混合胞子懸濁液1mLを培地表面と試験片上に均等に滴下した。
(iii)温度28±2℃のフラン器にて一週間培養した。
【0073】
培養後、試験片周辺の培地上に生じた菌苔の発生状態を観察した。図5cに、測定結果を示す。なお、図5cの左図は、ブランク試験であり、右図が試験例5の測定結果である。
【0074】
・試験例6A(実施例6の最小発育阻止濃度測定)
試験菌種として、Rhodotorula sp.(分離株)及びTrichosporon sp.(分離株)の2種を用い、防カビ剤として実施例6のものを用いた以外は、試験例1と同様の方法にて試験を行った。図6a及び6bに実施例6の抗菌防カビ剤を用いた測定結果を示す。なお、図6aは、試験菌種としてRhodotorula sp.(分離株)を用いた測定結果、図6bは、Trichosporon sp.(分離株)を用いた測定結果であり、左図は、ブランク試験であり、右図が試験例6aの測定結果である。
【0075】
・試験例6B(実施例6のカビ抵抗性試験)
防カビ剤として実施例6のものを用いた以外は、試験例5Bと同様の方法にて試験を行った。図6cに実施例6の抗菌防カビ剤を用いた測定結果を示す。なお、図6の左図は、ブランク試験であり、右図が試験例6Bの測定結果である。
【0076】
・試験例7(実施例7の抗菌防カビ剤殺カビ効果試験)
以下の条件により、実施例7によって得られた防カビ剤の殺カビ効力を調べた。
【0077】
・試験菌株:単一胞子懸濁液用(Rhodotorula sp. (分離株))
・胞子懸濁液:菌株をポテトデキストロース寒天平面培地にて25±1℃で7〜10日間培養し、発育した菌苔を浸潤剤添加滅菌水(0.005質量%スルホこはく酸ジオグチルナトリウム溶液)10mLに懸濁し、均一濃度の単一胞子懸濁液を作製した(菌液濃度1〜9×10CFU/ml)。
【0078】
・使用培地液体培地10mL(試験管:直径17.5mm、長さ130mm)を作製し、一試料あたり培地を2本ずつ用いた。培地の組成は次による。
【0079】
・精製水:1000mL
・グルコース:40g
・ペプトン:10g
・培養条件
(i)胞子懸濁液0.1mLを実施例7の抗菌防カビ剤10mLに加えて、完全に混和して室温にて作用させた。
(ii)胞子懸濁液を加えた実施例7の抗菌防カビ剤を10分作用させたものと30分作用させたものから、それぞれ0.1mLずつ採取し、液体培地2本ずっに接種した。
(iii)対照試験として、液体培地に胞子懸濁液を接種しないものを用意した(ブランク)。
(iv)温度28±2℃のフラン器にて一週間培養した。
【0080】
・判定培養後、試験管内液体培地に生じた混濁状態を観察した。
【0081】
・試験結果
図7a及び7bに測定結果を示す。試験結果より、Rhodotorula sp.はいずれも10分経過後、30分経過後の培地2本共に発育は見られず、実施例7の抗菌防カビ剤による殺カビ効果が認められた。
【0082】
・試験例8(実施例8の抗菌防カビ剤殺カビ効果試験)
以下の条件により、実施例8によって得られた防カビ剤の殺カビ効力を調べた。
【0083】
・試験菌株:
・Psudomonas aeruginosa (緑のう菌)
・Escherichia coil (大腸菌)
・Staphylococcus aureus (黄色ブドウ球菌)
・Salmonella Enteritidis(サルモネラ属菌)。
【0084】
・菌液:上記各菌株をトリプトソイブイヨン培地を用いて36±1℃で24時間培養し、滅菌生食水10mLに懸濁し、遠心分離(3000rpm、40分間)した沈さを、滅菌生理食塩水10mLに再懸濁し、使用菌液とした(菌液濃度1〜9×10CFU/ml)。
【0085】
・使用培地:トリプトソイブイヨン培地10mL(試験管:直径17.5mm、長さ130mm)を作製し、一試料あたり培地を2本ずつ用いた。
【0086】
・培養条件:
(i)胞子懸濁液0.1mLを実施例8の抗菌防カビ剤10mLに加えて、完全に混和して室温にて作用させた。
(ii)胞子懸濁液を加えた実施例8の抗菌防カビ剤を10分作用させたものと30分作用させたものから、それぞれ0.1mLずつ採取し、液体培地2本ずつに接種した。
(iii)対照試験として、液体培地に胞子懸濁液を接種しないものを用意した。
(iv)温度28±2℃のフラン器にて一週間培養した。
【0087】
・判定
培養後、試験管内液体培地に生じた混濁状態を観察した。
【0088】
・試験結果
表5に測定結果を示す。なお、表5の「+」は、発育による培地の混濁が認められたものを表し、「−」は、発育による培地の混濁が認められなかったものを表す。
【0089】
【表5】

【0090】
また、図8a〜8eに試験結果を示す。なお、図8aは、Psudomonas aeruginosa の試験結果、図8bは、Escherichia coil (大腸菌) の試験結果、図8cは、Staphylococcus aureus (黄色ブドウ球菌) の試験結果、図8dは、Salmonella Enteritidis(サルモネラ属菌) の試験結果であり、図8eは、ブランク試験である。
【0091】
・試験例9(実施例9の最小発育阻止濃度測定)
・試験菌株
・Rhodotorula sp.(分離株)
・Trichosporon sp.(分離株)。
【0092】
・胞子懸濁液
各菌株をポテトデキストロース寒天斜面培地にて25±1℃で7〜10日間培養し、発育した菌苔を界面活性剤生理食塩液(0.05%Tween80生理食塩液)10mLに懸濁し、均一濃度の単一胞子懸濁液を作製した(菌液濃度:1〜9×10CFU/ml)。
【0093】
・使用培地
クロラムフェニコール加ポテトデキストロース培地(PDA培地)(CP:50〜100mg/L添加)を作製した。
【0094】
・培養条件
(i)シャーレに試験液を2mLずつ入れた。
(ii)滅菌溶解したPDA培地18mLを加え、よく混和し、固化させた。
(iii)各試験液のPDA寒天平板培地に分離株懸濁液を0.1mL塗抹した。
(iv)温度28±2℃のフラン器にて一週間培養した。
【0095】
培養後、試験片周辺の培地上に生じた菌苔の発生状態を観察した。図9に測定結果を示す。なお、図9は、Rhodotorulaの試験結果であり、左図は、ブランク試験であり、右図が試験例9の測定結果である。
【0096】
・試験例10A(実施例10の最小発育阻止濃度測定)
・試験用菌株:以下の5種の混合菌種
・Aspergillus niger NBRC 6342
・Penicillium pinophilum NBRC 6345 (Penicillium Funiculosum)
・Cladosporium cladosporioides NBRC 6348
・Aureobasidium pullulans NBRC 6353
・Trichoderma virens NBRC 6355。
【0097】
・胞子懸濁液
各標準菌株をポテトデキストロース寒天斜面培地にて25±1℃で7〜10日間培養し、発育した菌苔を界面活性剤生理食塩液(0.05%TWeen80生理食塩液)10mLに懸濁し、均一濃度の単一胞子懸濁液を作製した。各単一胞子懸濁液の等量ずつを混合したものを混合胞子懸濁液とした(5菌種混合、菌液濃度1〜9×10CFU/ml)。
【0098】
・使用培地
クロラムフェニコール加ポテトデキストロース培地(PDA培地)(CP:50〜100mg/L添加)を作製した。
【0099】
・培養条件
(i) シャーレに試験液を2mLずっ入れた。
(ii) 滅菌溶解したPDA培地18mLを加え、よく混和し、固化させた。
(iii) 各試験液のPDA寒天平板培地に混合胞子懸濁液を0.1mL塗抹した。
(iv) 温度28±2℃のフラン器にて一週間培養した。
【0100】
・判定
前記培養後、試験片周辺の培地上に生じた菌苔の発生状態を観察した。
図10aに実施例10の抗菌防カビ剤を用いた測定結果を示す。なお、図中の左図は、ブランク試験であり、右図が試験例10Aの測定結果である。
【0101】
・試験例10B(実施例10の抗菌防カビ剤殺カビ効果試験)
・試験菌株:以下の5種の混合菌種
・Aspergillus niger NBRC 6342
・Penicillium pinophilium NBRC 6345 (Penicillium funiculosum)
・Cladosporium cladosporioides NBRC 6348
・Aureobasidium pullulans NBRC 6353
・Trichoderma virens NBRC 6355。
【0102】
<単一胞子懸濁液用>
・Trichosporon sp.(分離株)
・Rhodotorula sp.(分離株)。
【0103】
・胞子懸濁液
各菌株をポテトデキストロース寒天斜申培地にて25±1℃で7〜10日間培養し、発育した菌苔を浸潤剤添加滅菌水(0.005%スルホこはく酸ジオクチルナトリウム溶液)10mLに懸濁し、均一濃度の単一胞子懸濁液を作製した。各単一胞子懸濁液の等量ずつを混合したものを混合胞子懸濁液(5種混合)とした(菌液濃度:1〜9×10CFU/mL)。
【0104】
分雄株は、単一胞子懸濁液を用いた(菌液濃度1〜9×l0CFU/mL)
・使用培地
液体培地10mL(試験管:直径17.5mm、長さ130mm)を作製し、一試料あたり培地を2本ずつ用いた。培地の組成を以下に示す。
【0105】
・精製水:1000mL
・グルコース:40g
・ペプトン:10g
・培養条件
(i) 胞子懸濁液0.1mLを試験品10mLに加えて、完全に混和して室温にて作用させた。
(ii) 各胞子懸濁液を加えた試験品を10分作用させたものと30分作用させたものからそれぞれ0.1mLずつ採取し、液体培地2本ずつに接種した。
(iii) 対照試験として、液体培地に胞子懸濁液を接種しないものを用意した。
(iv) 温度28±2℃のフラン器にて一週間培養した。
【0106】
・判定
培養後、試験管内液体培地に生じた混濁状態を観察した。
【0107】
・試験結果
表6に測定結果を示す。なお、表6の「+」は、発育による培地の混濁が認められたものを表し、「−」は、発育による培地の混濁が認められなかったものを表す。
【0108】
【表6】

【0109】
また、図10b〜10eに試験結果を示す。なお、図10bは、5種混合の試験結果、図10cは、Trichosporonの試験結果、図10dは、Rhodotorulaの試験結果、図10eは、ブランク試験である。
【0110】
試験例11Bの結果より、5種混合標準菌株、Trichosporon sp.では、10分経過後、30分経過後の培地2本共に発育は見られず、実施例10による殺菌効果が認められた。Rhodotorula sp.は、10分後、30分後の培地2本共に菌の発育がみられ、実施例10による殺菌効果は認められなかった。
【0111】
・比較試験例1A〜5A(比較例1〜5のハローテスト)
試験菌懸濁液を混釈した寒天培地上に試験片を置き、培養後、阻止ゾーン形成の有無を調べた。
【0112】
・試験用菌株
・Aureobasidium pullulans IAM F24
・Cladosporium cladosporioides IAM F517
・Rhodorula mucilaginosa IFO12732
・培養温度:27℃
・培養期間:72時間
直径8mmのペーパーディスクに、比較例1〜5の試験材料を50μm含浸させ試験片とした。図11a〜15cに比較例1〜5の抗菌防カビ剤を用いた測定結果を示す。なお、なお、図11a〜15aは、試験菌種としてAureobasidium pullulansを用いた測定結果、図11b〜15bは、Cladosporium cladosporioidesを用いた測定結果、図11c〜15cは、Rhodorula mucilaginosaを用いた測定結果である。
【0113】
・比較試験例1B〜5B(比較例1〜5のカビ抵抗性試験)
防カビ剤として比較例1〜5のものを用いた以外は、試験例5Bと同様の方法にて試験を行った。図16a〜16eに比較例1〜5の抗菌防カビ剤を用いた測定結果を示す。
【0114】
・比較試験例6(比較例6のカビ抵抗性試験)
試験菌種として、Aspergillus sp(分離耐性菌)、Cladosporium sp(分離耐性菌)、Rhodotorula sp(分離耐性菌)、Trichosporon sp(カビ以外の酵母耐性菌)、Aureobasidium sp(標準菌)、Cladosporium sp(標準菌)、及びRhodotorula sp(標準菌)の7種を用い、防カビ剤として比較例6のものを用い、試験温度70℃、試験時間5時間で行った以外は、試験例1Aと同様の方法にて試験を行った。図17a〜17gに比較例6の抗菌防カビ剤を用いた測定結果を示す。なお、図17aは、試験菌種としてAspergillus sp(分離耐性菌)を用いた測定結果、図17bは、試験菌種としてCladosporium sp(分離耐性菌)を用いた測定結果、図17cは、試験菌種としてRhodotorula sp(分離耐性菌)を用いた測定結果、図17dは、試験菌種としてTrichosporon sp(カビ以外の酵母耐性菌)を用いた測定結果、図17eは、試験菌種としてAureobasidium sp(標準菌)を用いた測定結果、図17fは、試験菌種としてCladosporium sp(標準菌)を用いた測定結果、図17gは、試験菌種としてRhodotorula sp(標準菌)を用いた測定結果である。
【0115】
・比較試験例7(比較例8及び9のカビ抵抗性試験)
試験菌種として、Aspergillus sp(分離耐性菌)、Cladosporium sp(分離耐性菌)、Rhodotorula sp(分離耐性菌)、Trichosporon sp(カビ以外の酵母耐性菌)の4種を用い、防カビ剤として比較例7及び8のものを用いた以外は、試験例1Aと同様の方法にて試験を行った。図18a〜18dに比較例7(左図)及び8(右図)の抗菌防カビ剤を用いた測定結果を示す。なお、図18aは、試験菌種としてAspergillus sp(分離耐性菌)を用いた測定結果、図18bは、試験菌種としてCladosporium sp(分離耐性菌)を用いた測定結果、図18cは、試験菌種としてRhodotorula sp(分離耐性菌)を用いた測定結果、図18dは、試験菌種としてTrichosporon sp(カビ以外の酵母耐性菌)を用いた測定結果である。
【0116】
・比較試験例8(比較例8の最小発育阻止濃度測定)
試験菌種として、Rhodotorula sp.(分離株)及びTrichosporon sp.(分離株)の2種を用いた以外は、試験例1と同様の方法にて試験を行った。図19a及び図19bに測定結果を示す。なお、図19aは、試験菌種としてRhodotorula sp.(分離株)を用いた測定結果、図19bは、Trichosporon sp.(分離株)を用いた測定結果であり、左図は、ブランク試験であり、右図が比較試験例8の測定結果である。
【0117】
・比較試験例9(比較例10の最小発育阻止濃度測定)
防カビ剤として比較例10のものを用いた以外は、試験例2Bと同様の方法にて試験を行った。図20に比較例10の抗菌防カビ剤を用いた測定結果を示す。
【0118】
・比較試験例10(比較例11の最小発育阻止濃度測定)
試験菌種として、Rhodotorula sp.(分離株)及びTrichosporon sp.(分離株)の2種を用いた以外は、試験例1と同様の方法にて試験を行った。図21a及び図21bに測定結果を示す。なお、図21aは、試験菌種としてRhodotorula sp.(分離株)を用いた測定結果、図21bは、Trichosporon sp.(分離株)を用いた測定結果であり、左図は、ブランク試験であり、右図が比較試験例10の測定結果である。
【0119】
・消臭試験
1L三角フラスコに、臭気成分(アンモニア、イソ吉草酸、トリメチルアミン、ホルムアルデヒド、及び酢酸)を添加し、さらに実施例1〜8及び10で調製した抗菌防カビ剤をそれぞれ1g加え、初期濃度及び30分後の臭気成分の濃度を測定し、消臭率を算出した。表7に初期濃度を示し、表8に実施例1〜16における臭気成分の消臭率を示す。
【0120】
【表7】

【0121】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、パラオキシ安息香酸ブチル及びイマザリルからなる抗菌防カビ成分(a)を含む抗菌防カビ剤であって、
パラオキシ安息香酸ブチルの含有量が、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール100重量部に対して、80〜700重量部であり、
イマザリルの含有量が、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール100重量部に対して、300〜4500重量部である
抗菌防カビ剤。
【請求項2】
さらに、消臭成分(b)を抗菌防カビ成分(a)100重量部に対して、5〜150重量部含む請求項1に記載の抗菌防カビ剤。
【請求項3】
消臭成分(b)がカキタンニンである請求項2に記載の抗菌防カビ剤。
【請求項4】
さらに、芳香成分(c)を抗菌防カビ成分(a)100重量部に対して、0.05〜50重量部含む請求項1〜3のいずれかに記載の抗菌防カビ剤。
【請求項5】
芳香成分(c)が、ペパーミント及び/又はレモングラスである請求項4に記載の抗菌防カビ剤。
【請求項6】
抗菌防カビ剤中の抗菌防カビ成分(a)の含有割合が0.1〜5重量%である請求項1〜5のいずれかに記載の抗菌防カビ剤。
【請求項7】
浴室に用いられる請求項1〜6のいずれかに記載の抗菌防カビ剤。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図8d】
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【図8e】
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【図9】
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【図10a】
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【図10b】
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【図10c】
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【図10d】
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【図10e】
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【図11a】
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【図11b】
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【図11c】
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【図12a】
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【図12b】
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【図12c】
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【図13a】
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【図13b】
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【図13c】
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【図14a】
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【図14b】
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【図14c】
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【図15a】
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【図15b】
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【図15c】
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【図16a】
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【図16b】
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【図16c】
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【図16d】
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【図16e】
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【図17a】
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【図17b】
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【図17c】
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【図17d】
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【図17e】
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【図17f】
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【図17g】
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【図18a】
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【図18b】
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【図18c】
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【図18d】
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【図19a】
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【図19b】
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【図20】
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【図21a】
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【図21b】
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【公開番号】特開2013−10711(P2013−10711A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144002(P2011−144002)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(592072377)株式会社ウォーターエージェンシー (15)
【Fターム(参考)】