説明

抗B7−H1抗体を用いた癌及び感染性疾患の組合せ療法

B7−H1とPD−1との相互作用を減少させる作用物質の使用、及び特に、B7−H1に結合しB7−H1とPD−1との相互作用に干渉する、ワクチンと組み合わせて相乗効果を得るためのモノクローナル抗体の使用を記載する。本願は、T細胞応答に対するこれらの化合物の組合せに基づいた治療及びワクチン接種の方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本願は、2006年9月20日に出願された米国仮出願第60/846,031号に対する優先権を主張するものであり、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、抗原刺激に対するT細胞介在性の寛容性を減少させることにより免疫応答を増強させるための、B7−H1とPD−1の相互作用を遮断(block)する抗体の使用に関する。本願は、T細胞応答に対する抗体の効果に基づく治療及びワクチン接種の方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
免疫調節は、多くの疾患及び障害の治療の重要な側面である。特にT細胞は感染との戦いにおいて重要な役割を有し、癌細胞を認識し破壊する能力を有する。T細胞介在性の応答の増強は、治療物質に対する応答を増強させるための鍵となる構成要素である。
【0004】
免疫療法は現在では癌治療の主な焦点となっており、ここで、治療用の癌ワクチンが、化学療法に代わる主要な療法、且つ/又は化学療法以外の主要なアジュバント療法となり得る。現在では、腫瘍特異的抗原及び腫瘍関連抗原が、全ての癌の根底にある遺伝子変化及び後成的(epigenetic)な変化に由来するということが立証されている。癌の遺伝的不安定性は、p53のようなゲノムの保護物質の欠失又は突然変異による不活性化の結果によるものである。癌細胞の遺伝的不安定性は、腫瘍が発生し進行するに従って腫瘍において新たな抗原が絶えず生じていることを意味する。進行した未分化癌における核型異常の蓄積は、腫瘍における遺伝的不安定性のレベルを強める。この遺伝的不安定性は、ゲノムの保護物質を保持し、それにより安定な生化学プロファイル及び抗原プロファイルを保持する、形質転換されていない正常な組織においては生じない。腫瘍形成の際に生じる数千の突然変異の事象に加え、正常な組織対応物において不活性であるか又は比較的低いレベルで発現する数百の遺伝子は、癌において顕著に上方調節される。これらの後成的な変化は腫瘍特異的な新抗原を形式的には生じさせないが、前記変化は、コードされたタンパク質の劇的な濃縮を生じさせるか、又は、形質転換されていない成体組織においては通常は作動しない遺伝子を作動させる。したがって、後成的な変化は、遺伝子変化と同程度に、腫瘍細胞の抗原プロファイルをもたらす。
【0005】
癌細胞におけるこれらの遺伝子変化及び後成的な変化は、1)突然変異の産物である固有の腫瘍特異的抗原、及び2)正常な組織よりも腫瘍において非常に高いレベルで発現する腫瘍選択的抗原という、2つの異なるタイプの腫瘍関連抗原を生じさせる。組織特異的分化抗原は、黒色腫及び前立腺癌のような必ずしも必要ではない組織に由来する癌に適用可能な、別のカテゴリーの標的腫瘍関連抗原に属する。最後に、子宮頸癌(HPV)、肝臓癌(HBV、HCV)、ホジキンリンパ腫(EBV)、及び鼻咽頭癌(EBV)のようなウイルス誘発性の癌によって発現されるウイルス抗原は、抗原特異的な免疫療法の優れた標的である。特に、HBV及びHCVのような慢性のウイルス性疾患は、癌の発生に先立って同定することができ、適切な免疫介入で排除することができる。
【0006】
適応できる免疫系は、腫瘍関連抗原を標的化する能力を介した、癌に対する対抗手段として、多大なる可能性を提供する。第一に、B細胞及び(T細胞受容体を介した)T細胞についての遺伝的多様性のメカニズムは、それぞれ、およそ1022個の異なる免疫グロブリン及び1018個の異なるT細胞受容体を生じさせる能力を付与する。抗体及びT細胞受容体は共に、1つのメチル基のようにわずかに異なる生化学的部分を区別し得る。したがって、抗体とT細胞との組合せは、腫瘍細胞に対して、正常なそれらの対応物と比較して、特異的又は選択的なわずかな生化学的差異でさえも認識する能力を示す。T細胞はさらに、原則的にはあらゆる細胞区画において細胞内抗原を認識する能力も示す。これは、T細胞が、T細胞受容体を介して、細胞表面上のペプチド−MHC複合体を認識することによる。細胞表面上のMHC分子が提示するペプチドの大部分は、本来、細胞内区画におけるタンパク質のプロセシングに由来する。取り込みの後、ペプチド−MHC複合体は細胞表面に運ばれ、T細胞により認識される。したがって、MHC系は、T細胞に認識させるために細胞内抗原の断片を表面に運ぶベルトコンベアに相当する。
【0007】
しかし、癌細胞は、原則的に患者の免疫系によって認識され得る腫瘍抗原を頻繁に発現するものの、得られる免疫応答は効果がなく、臨床上の腫瘍の退縮を伴わないことが多い。リンパ腫に対するイディオタイプワクチン及び複数のタイプの癌に対するGM−CSF導入ワクチンを含む、遺伝子改変された多くのワクチン、並びに組換えウイルスワクチン及び組換え細菌ワクチンが、第I/II相試験において有望な活性を示している。原則的に、全ての腫瘍ワクチンは、腫瘍特異的T細胞応答の活性化を介して作用する。しかし、最も強力な治療用ワクチンでさえも活性が限定的であるという、新たな共通認識が生じている。これまで、第III相試験において有用な、癌又は慢性感染性疾患のための治療用ワクチンはなかった。癌ワクチンの限定的な活性を増強する科学的な潜在性は、抗原主導の免疫応答を増幅又は下方調節する複数の免疫調節経路にある。
【0008】
このことにより、なぜ腫瘍抗原を発現する新生物は患者自身の免疫系によって排除されないのかという、腫瘍免疫学における根本的な疑問が生じる。基本的なレベルでは、以下の3つの要素が、抗原に対するT細胞の応答性を決定する。
【0009】
1.シグナル1。「シグナル1」と呼ばれる第一の要素は、外部刺激のシグナル伝達物質として作用してT細胞の活性化を開始させるT細胞受容体により伝達される。抗原のタンパク質分解に由来する小ペプチド断片は、抗原提示細胞が発現するMHC(ヒトではHLA)分子によりT細胞受容体に提示される。T細胞応答を活性化する重要な抗原提示細胞は樹状細胞である。したがって、現在では、抗原の樹状細胞への移動を介して原則的に全てのワクチンが免疫応答を刺激することが望ましく、前記樹状細胞は次に抗原をペプチドに分解し、TCRの認識を介してこれらのペプチドをMHC分子上のT細胞に提示する。
【0010】
2.シグナル2。T細胞は、さらなるシグナルを有していないTCRの結合を介してシグナル1を受け取ると、エフェクター機能を仲介しない無反応な状態、すなわちアナジーの状態に入る。これは、正常な組織を免疫破壊から防御する自己寛容のための1つのメカニズムであり、また恐らく、患者における腫瘍特異的T細胞をそれらの腫瘍に対して天然に無反応にし、それにより腫瘍を成長させるメカニズムでもある。集合的に「シグナル2」と呼ばれる、T細胞の活性化における重要な第2の要素は、T細胞上の共刺激受容体と相互作用する抗原提示細胞が発現する、数多くの共刺激分子により伝達される。原型的(prototypical)な共刺激分子はB7.1及びその類似体B7.2である。B7.1/7.2は、T細胞上のCD28受容体と相互作用することでT細胞を共刺激する。T細胞受容体(シグナル1)及びCD28の両方により伝達されるシグナルは、協働してT細胞の活性化を増強する。B7ファミリーの6つのさらなるメンバーがここ5年間で同定されており、それらは、B7RP−1(ICOS−L、B7h、B7−H2とも呼ばれる)、B7−H1(PD−L1とも呼ばれる)、B7−DC(PD−L2とも呼ばれる)、B7−H3、B7−H4(B7s、B7xとも呼ばれる)、及びB7−H5である。これらのほとんどはさらなる共刺激機能を有しており、いくつかの場合において、B7.1/7.2と協働して、CD28とは異なる受容体を介してT細胞を共刺激し得る。
【0011】
3.免疫チェックポイント。T細胞の調節における最後の要素は、「免疫チェックポイント」と呼ばれる阻害経路である。多くの免疫チェックポイントが存在し、それらは2つの目的を果たす。1つは、自己抗原に特異的なT細胞の間での自己寛容の発生及び維持を助長することである。他方は、正常なT細胞の応答の増幅を抑制して、外来病原体に対するT細胞の天然の応答においてT細胞が「オーバーシュート」しないようにすることである。より最近発見されたB7ファミリーの2つのメンバーであるB7−H1及びB7−DCも、共刺激性及び逆調節性の抑制性受容体と相互作用すると思われる。活性化によりT細胞上で上方調節されるPD−1は、特にそれがB7−DC又はB7−H1と結合している際に、逆調節性の免疫チェックポイントであると考えられる(例えば、Iwai, et al. (2005) Int. Immunol. 17:133-44参照)。
【0012】
シグナル1にさらされシグナル2にはさらされていない細胞において生じるアナジーに加え、最近、調節性T細胞が寛容性の維持において重要な役割を有することが明らかになった。調節性T細胞は自己反応性T細胞を抑制する。したがって、調節性T細胞のレベルが減少するにつれ、自己免疫の可能性が上昇する。興味深いことに、腫瘍は、B7−CD28及びTNFファミリーにおける共刺激因子の阻害を介してT細胞の活性化を妨げることにより、また、抗腫瘍T細胞応答を阻害する調節性T細胞を集めることにより、免疫破壊を回避することが示されている(Wang (2006) Immune Suppression by Tumor Specific CD4+Regulatory T cells in Cancer. Semin. Cancer. Biol. 16:73-79、Greenwald, et al. (2005) The B7 Family Revisited. Ann. Rev. Immunol. 23:515-48、Watts (2005) TNF/TNFR Family Members in Co-stimulation of T Cell Responses Ann. Rev. Immunol. 23:23-68、Sadum, et al. (2007) Immune Signatures of Murine and Human Cancers Reveal Unique Mechanisms of Tumor Escape and New Targets for Cancer Immunotherapy. Clin. Canc. Res. 13(13):4016-4025参照)。
【0013】
設計された癌ワクチンが改良され続けるにつれ、治療のための抗腫瘍応答を誘発するそれらの能力に対する主な障壁のうちの2つが、腫瘍の転移における、開始のレベルとエフェクター機能の両方における免疫チェックポイントの活性化であり、これがT細胞依存性の免疫応答を弱めることが明らかになってきている。
【0014】
腫瘍内においてエフェクターT細胞応答のレベルで作用する1つの免疫チェックポイントはB7−H1である。B7−H1は、T細胞の共調節分子のB7ファミリー内の、最近発見された細胞表面糖タンパク質を含む。最近の研究により、B7−H1は、ナイーブT細胞の共刺激と、活性化したエフェクターT細胞の阻害との、二重の機能を有することが明らかにされている。異常な細胞発現及び解除されたB7−H1の調節機能が、慢性的なウイルス感染及び細胞内細菌感染、並びに多くの自己免疫疾患及び癌において報告されている。
【0015】
B7−H1は、特定の腫瘍において発現し、インターフェロン−ガンマにさらされると上方調節され得、抗腫瘍免疫応答を阻害し得るということが示されている。加えて、いくつかのヒト腫瘍は、B7−H1を異常に発現する能力を獲得する。B7−H1/PD−1相互作用は、T細胞のエフェクター機能を負に調節し、腫瘍の免疫系からの回避(tumor evasion)において役割を有することが示唆されている(Blank et al. (2006) Int. J. Cancer. 119:317-27、Curiel, et al. (2003) Nat. Med. 9:562-67、Hirano, et al. (2005) Cancer Res. 65:1089-96参照)。腫瘍関連B7−H1、及び活性化したリンパ球上のB7−H1は、インビトロでの抗原特異的T細胞の機能及び生存率を低下させることが示されている。B7−H1腫瘍にB7−H1遺伝子を導入すると、B7−H1が表面で発現し、その結果、腫瘍ワクチンによる排除からの防御が得られる。B7−H1はまた、他の疾患におけるT細胞の調節に関与している(Das, et al. (2006) J. Immunol. 176:3000-9参照)。したがって、腫瘍関連B7−H1は、最近の文献において、宿主の抗腫瘍免疫の潜在的な阻害物質として大きな注目を集めている(例えば、Thompson, et al. (2005) Cancer 104:2084-91参照)。
【0016】
Hiranoらは、モノクローナル抗体によるB7−H1及びPD−1の遮断の効果を記載しているが、ワクチン接種の効力を増強し得る方法は提供していない。
【0017】
Wyethに付与された米国特許第7,029,674号明細書は、免疫細胞をPD−1とPD−1リガンドとの間の相互作用を調節する作用物質と接触させ(例えば、PD−1若しくはPD−1のリガンドの可溶性形態又はPD−1に対する抗体)、それにより免疫応答を調節するステップを含む、免疫応答を下方調節するための方法を開示している。いくつかの実施形態において、作用物質はPD−1に結合する一価抗体であり得る。
【0018】
Chen及びStromeに付与された米国特許出願第2003/0039653号明細書は、T細胞とB7−H1分子との間の相互作用に干渉することを伴う、T細胞の反応性を増強する方法を記載している。
【0019】
Chenらに付与された米国特許出願第2006/0083744号明細書は、癌を有するか又は有することが疑われる被験体から得た組織におけるB7−H1の発現を評価することによる診断方法、B7−H1と受容体との相互作用に干渉する作用物質を用いた治療方法、癌の免疫療法が有効であると考えられる候補被験体の選択方法、及びB7−H1の発現の阻害方法を記載している。
【0020】
依然として、治療用ワクチンの効力を増強する治療、特に、異常な細胞増殖の治療及び予防と、感染性の疾病及び疾患の治療とが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】米国特許第7,029,674号
【特許文献2】米国特許出願第2003/0039653号
【特許文献3】米国特許出願第2006/0083744号
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】Iwai, et al. (2005) Int. Immunol. 17:133-44
【非特許文献2】Wang (2006) Immune Suppression by Tumor Specific CD4+ Regulatory T cells in Cancer. Semin. Cancer. Biol. 16:73-79
【非特許文献3】Greenwald, et al. (2005) The B7 Family Revisited. Ann. Rev. Immunol. 23:515-48
【非特許文献4】Watts (2005) TNF/TNFR Family Members in Co-stimulation of T Cell Responses Ann. Rev. Immunol. 23:23-68
【非特許文献5】Sadum, et al. (2007) Immune Signatures of Murineand Human Cancers Reveal Unique Mechanisms of Tumor Escape and New Targets for Cancer Immunotherapy. Clin. Canc. Res. 13(13):4016-4025
【非特許文献6】Blank et al. (2006) Int. J. Cancer. 119:317-27
【非特許文献7】Curiel, et al. (2003) Nat. Med. 9:562-67
【非特許文献8】Hirano, et al. (2005) Cancer Res. 65:1089-96
【非特許文献9】Das, et al. (2006) J. Immunol. 176:3000-9
【非特許文献10】Thompson, et al. (2005) Cancer 104:2084-91
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明の目的は、特定の疾患状態においてワクチンの効力を増強し、T細胞のアナジーを減少させる治療方法を提供することである。本発明の具体的な目的は、宿主における異常細胞の増殖及び感染性疾患を予防又は治療するための改善された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
1)B7−H1とそのリガンドであるPD−1との相互作用を遮断する作用物質と、2)ワクチンとの組合せが、腫瘍細胞又は慢性感染により誘発されるT細胞の天然の寛容性又は機能の不活性化の克服において相乗効果を有することがわかっている。したがって、一実施形態において、ワクチンの効力を増強する方法を提供し、その方法は、その必要がある宿主に、B7−H1とPD−1の相互作用を遮断する作用物質とワクチンとの組合せを投与するステップを含む。ある実施形態において、宿主における異常細胞の増殖を治療又は予防する方法を提供し、その方法は、その必要がある宿主に、B7−H1とPD−1の相互作用を遮断する作用物質と癌に対するワクチンとの組合せを投与するステップを含む。ある他の実施形態において、宿主における慢性感染症を治療する方法を提供し、その方法は、その必要がある宿主に、B7−H1とPD−1の相互作用を遮断する作用物質と感染に対するワクチンとの組合せを投与するステップを含む。
【0025】
一実施形態において、B7−H1とPD−1の結合を遮断する作用物質は抗体である。ある実施形態において、作用物質は、B7−H1に結合し、B7−H1とPD−1の相互作用を阻害する抗体である。ある実施形態において、作用物質は、B7−H1に結合し、その立体構造を変化させ、それによりそのタンパク質がもはやPD−1に結合しないようにする作用物質である。他の実施形態において、作用物質はPD−1結合部位でB7−H1に結合し、PD−1との相互作用を遮断する。いくつかの他の実施形態において、作用物質はPD−1に結合し、PD−1とB7−H1の相互作用を遮断する。ある実施形態において、作用物質はPD−1に対する抗体である。
【0026】
いくつかの実施形態において、作用物質及びワクチンは同一の組成物内において投与することができる。ある他の実施形態において、作用物質及びワクチンは別々の組成物として投与する。いくつかの実施形態において、作用物質及びワクチンは別々の調製物として同時に投与する。他の実施形態において、作用物質はワクチンの投与の前に投与する。ある実施形態において、作用物質はワクチン投与の1時間以内に投与する。ある実施形態において、作用物質及びワクチンの投与は重複しているが連続してはいない。例えば、ある実施形態において、ワクチンは少なくとも1時間にわたり静脈内投与することができ、作用物質は静脈内投与の間に経口投与することができる。
【0027】
一実施形態において、B7−H1とPD−1の結合を遮断する作用物質とワクチンとを含む組成物を提供する。ある実施形態において、作用物質は抗体であり、ある特定の実施形態において、作用物質はB7−H1を結合する抗体である。いくつかの実施形態において、抗B7−H1抗体はタンパク質に結合し、その立体構造を変化させ、それによりB7−H1がもはやPD−1に結合しないようにする。
【0028】
いくつかの実施形態において、組成物は注射可能な組成物である。ある実施形態において、組成物は、静脈内投与に適した担体を含む。ある他の実施形態において、組成物は、皮下注射又は筋肉内注射に適した担体を含む。ある他の実施形態において、組成物は、腹腔内投与に適した担体を含む。他の実施形態において、組成物は経口投与により投与することができる。
【0029】
別の実施形態において、宿主において免疫応答を誘発する方法を提供し、その方法は、B7−H1とPD−1の結合に干渉する作用物質と抗原との組合せを、宿主に投与するステップを含む。ある実施形態において、宿主は感染症を患っている。1つの従属的な実施形態において、感染症は慢性感染症である。別の従属的な実施形態において、感染症は急性感染症である。一実施形態において、感染症はウイルスに起因する。別の実施形態において、感染症は細菌に起因する。一実施形態において、感染症は、HIV、HBV、EBV、HPV、又はHCVなどの慢性感染症である。
【0030】
一実施形態において、抗原はウイルスタンパク質である。別の実施形態において、抗原は細菌タンパク質である。さらに別の実施形態において、抗原は哺乳動物タンパク質である。ある実施形態において、抗原はリステリア(Listeria)種において発現する。リステリア種はリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)であり得る。所望の抗原を発現するリステリア種を含むリステリアワクチンの生産方法は、米国特許出願公開第2004/0228877号明細書、米国特許出願公開第2005/0249748号明細書、及び米国特許出願公開第2005/0281783号明細書で議論されている。ある実施形態において、リステリア種は、非貪食細胞内への進入について、野生型のリステリア種よりも弱毒化している。ある場合において、リステリア種は、inlB遺伝子が欠失したもの(すなわち、非貪食細胞、例えば肝細胞への、c−met受容体を介した侵入について弱毒化した株)であるか、又は、actA遺伝子及びinlB遺伝子の両方が欠失したもの(すなわち、非貪食細胞への侵入及び細胞間伝播の両方について弱毒化した株)である。
【0031】
別の主要な実施形態において、宿主における異常細胞の増殖を治療又は予防する方法を提供する。これらの方法は、宿主において癌が発生するリスクを減少させ得る。他の実施形態において、本方法は、宿主における癌の量を減少させる。さらに他の実施形態において、本方法は、宿主における癌の転移の可能性を減少させる。本方法はまた、宿主における癌のサイズも減少させ得る。
【0032】
いくつかの実施形態において、作用物質の投与により、癌に対するT細胞の寛容性が低下する。これらの実施形態において、B7−H1とPD−1の相互作用を減少させる作用物質は、免疫による拒絶に対する癌細胞の感受性を増大させる。ある実施形態において、B7−H1とPD−1の相互作用を減少させる作用物質により誘発される免疫応答は、調節性T細胞の減少である。さらに他の実施形態において、作用物質は、調節性T細胞の発生、増加、又は刺激を阻害する。さらなる実施形態において、作用物質はT細胞のアナジーを減少させる。T細胞のアナジーの減少は、腫瘍特異的T細胞におけるものであり得る。
【0033】
特定の一実施形態において、宿主における異常細胞の増殖を治療又は予防する方法を提供し、その方法は、その必要がある宿主に、哺乳動物細胞に基づくワクチンと組み合わせて、又はそれと交互に、B7−H1とPD−1の相互作用を減少させる作用物質を投与するステップを含む。
【0034】
一実施形態において、哺乳動物細胞に基づくワクチンは哺乳動物の全細胞である。ある実施形態において、ワクチンは、活発には分裂しない腫瘍細胞である。前記腫瘍細胞を放射線照射することができる。ある実施形態において、細胞は遺伝子改変されている。いくつかの実施形態において、細胞は、抗原提示細胞に対する活性化因子を分泌し得る。ある実施形態において、細胞はコロニー刺激因子を、例えば構成的に分泌し、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF、granulocyte-macrophage colony stimulating factor)を特異的に分泌し得る。いくつかの実施形態において、ワクチンはウイルス細胞に基づくワクチンである。他の実施形態において、ワクチンは細胞に基づくものではない。ある実施形態において、ワクチンはDNAに基づくワクチンである。他の実施形態において、ワクチンはDNAに基づくワクチンではない。
【0035】
ある実施形態において、ワクチンは、組換えウイルスワクチン、組換え細菌ワクチン、組換えタンパク質に基づくワクチン、又はペプチドワクチンのような、抗原特異的ワクチンである。組換えワクチンは、腫瘍特異的抗原、又はHCV、HBV、HIV、EBV、若しくはHPVのような慢性的なウイルスに由来する抗原を有している。
【0036】
一実施形態において、B7−H1とPD−1の相互作用を減少させる作用物質は、細胞に基づくワクチン内の細胞に対するT細胞の寛容性を減少させる。この実施形態において、作用物質は免疫による拒絶に対する腫瘍細胞の感受性を増大させる。一実施形態において、免疫応答は、調節性T細胞の減少である。一実施形態において、作用物質は、記憶T細胞の生成を増強する。さらに別の実施形態において、作用物質は、調節性T細胞の生成、増加、又は刺激を阻害する。別の実施形態において、作用物質はT細胞のアナジーを減少させる。T細胞のアナジーの減少は、腫瘍特異的T細胞におけるものであり得る。
【0037】
いくつかの実施形態において、異常細胞の増殖を阻害する方法を提供し、その方法は、B7−H1とPD−1の相互作用を減少させる作用物質を、哺乳動物細胞に基づくワクチンと組み合わせて、又はそれと交互に投与するステップと、さらに抗癌剤を投与するステップとを含む。
【0038】
いくつかの実施形態において、治療が必要な宿主は癌であると診断されている。いくつかの実施形態において、癌は前立腺癌である。他の実施形態において、癌は乳癌である。他の実施形態において、癌は腎臓癌である。いくつかの実施形態において、宿主はそれまでに抗癌剤で治療を受けている。他の実施形態において、宿主は未治療である。
【0039】
一実施形態において、作用物質は癌に対するT細胞の寛容性を減少させる。一実施形態において、作用物質は、抗癌剤に対する癌細胞の感受性を増大させる。別の実施形態において、作用物質は、免疫による拒絶に対する癌細胞の感受性を増大させる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】未処理の(NT、黒い丸)、GVAXワクチンで処理した(GVAX、黒い四角)、又はGVAXと抗B7−H1遮断抗体との組合せで処理した(B7H1+GVAX、白い丸)、B16黒色腫を5日間有したマウスの経時的な生存%を示すグラフである。
【図2】ステージ2及び3の腎臓癌を有する患者についての、腎摘出から最後の追跡までの、3年間にわたる経時的な癌特異的生存率%を示すグラフであり、組織サンプルにおける5%未満の細胞が腫瘍細胞及び浸潤性の非腫瘍細胞でのB7−H1の発現について陽性の染色を示した患者(B7−H1)と、5%超の細胞が陽性の染色を示した患者(B7−H1)とについてのものである。計算上のリスクの比率は4.53であり、95%CIは1.94〜10.56であり、p<0.001である。
【図3】HCV特異的HLA−A2四量体及び抗PD−1抗体で染色した、慢性的なHCVを有する患者から得たCD8+細胞の一連のヒストグラムを示す図である。
【図4】PD−1/B7−H1の早期の遮断がインビボでのエフェクターサイトカインの産生を高めることを示す図である。a:Thy1.1コンジェニックの、HA特異的CD8T細胞を、表示の宿主に養子導入し、4日目に採取した。PD−1遮断抗体カクテル(30ml/ml)の不在下(上段)又は存在下(中段)での、1mg/mlのHAクラスI Kdペプチド(IYSTVASSL)を用いたインビトロでの刺激の5時間後に、IFN−γについての細胞内染色を実施した。1群当たりの動物数はn=3である。b、c:HA特異的CD8T細胞を上述のようにc3−HAlow動物に養子導入し、養子導入の際に100mgの表示の抗体を投与して、PD−1/B7−H1又はB7−DCをインビボで遮断した。IFN−gについての細胞内染色を、上述の養子導入の6日後に実施した。b:Thy1.1−1(ドナー)リンパ球についてゲートをかけた代表的なFACSのプロット。c.要約データ、平均+/−SEM。n=5、2回の実験の代表。
【図5】0日目にI.P.投与した表示の遮断抗体を用いての、c3−HAlow動物に養子導入したHA特異的CD8T細胞の特異的溶解%を示すグラフである。特異的溶解を、CFSE又はPKH−26で標識した、HAペプチドを取り込ませた標的を導入することにより、6日目にアッセイした。WT、B7−H1 KO、及びB7−DC KOの動物から得た標的を差次的に標識し、同時に投与した。n=5。
【図6】OT−1細胞を付与し、その後0.5mgのOVAペプチドをi.v.投与したB6マウスへの抗原注射の後の日数における、H−2K/OVA四量体の%を示すグラフである。10日後、マウスに、0.5mgのOVAペプチドの存在下(A)又は不在下で(B)、対照であるハムスターIgG(Cont mAb)、抗B7−H1 mAb(B7−H1 mAb)、又は抗PD−1 mAb(PD−1 mAb)を100mg付与した。表示の時点でマウスから血液を採取し、各マウスに存在するOT−1細胞のパーセンテージをFACSにより分析した。電子的ゲートをCD8上に設定した。数字は、H−2K/OVA四量体陽性細胞の%である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
1)B7−H1とそのリガンドであるPD−1との相互作用を遮断する作用物質と、2)ワクチンとの組合せが、腫瘍細胞又は慢性感染により誘発されるT細胞の天然の寛容性又は機能の不活性化の克服において相乗効果を有することがわかっている。したがって、一実施形態において、ワクチンの効力を増強する方法を提供し、その方法は、その必要がある宿主に、B7−H1とPD−1の相互作用を遮断する作用物質とワクチンとの組合せを投与するステップを含む。ある実施形態において、宿主における異常な細胞増殖を治療又は予防する方法を提供し、その方法は、その必要がある宿主に、B7−H1とPD−1の相互作用を遮断する作用物質と癌に対するワクチンとの組合せを投与するステップを含む。ある他の実施形態において、宿主における慢性感染を治療する方法を提供し、その方法は、その必要がある宿主にB7−H1とPD−1の相互作用を遮断する作用物質と感染に対するワクチンとの組合せを投与するステップを含む。
【0042】
抗原に対する抵抗性を減少させる方法
1つの主要な実施形態において、免疫応答の増強が必要な宿主において免疫応答を増強する方法を提供し、その方法は、抗B7−H1抗体と抗原との組合せを投与するステップを含む。
【0043】
別の実施形態において、宿主において免疫応答を誘発する方法を提供し、その方法は、B7−H1とPD−1の結合に干渉する作用物質と抗原との組合せを宿主に投与するステップを含む。ある実施形態において、宿主は感染症を患っている。1つの従属的な実施形態において、感染症は慢性感染症である。別の従属的な実施形態において、感染症は急性感染症である。一実施形態において、感染症はウイルスに起因する。別の実施形態において、感染症は細菌に起因する。一実施形態において、感染症は、HIV、HBV、EBV、HPV、又はHCVなどの慢性感染症である。
【0044】
いくつかの主要な実施形態において、宿主における感染を治療又は予防する方法を提供する。これらの方法は、宿主において慢性感染症が発生するリスクを減少させ得る。他の実施形態において、本方法は、宿主における、ウイルスのような微生物のレベルを減少させる。さらに他の実施形態において、本方法は、宿主における微生物の感染性を減少させる。
【0045】
一実施形態において、抗原はウイルスタンパク質である。別の実施形態において、抗原は細菌タンパク質である。さらに別の実施形態において、抗原は哺乳動物のタンパク質である。ある実施形態において、抗原はリステリア種において発現する。リステリア種はリステリア・モノサイトゲネスであり得る。所望の抗原を発現するリステリア種を含むリステリアワクチンの生産方法は、米国特許出願公開第2004/0228877号明細書、米国特許出願公開第2005/0249748号明細書、及び米国特許出願公開第2005/0281783号明細書で議論されている。ある実施形態において、リステリア種は、非貪食細胞内への進入について、野生型のリステリア種よりも弱毒化している。ある場合において、リステリア種は、inlB遺伝子が欠失したもの(すなわち、非貪食細胞、例えば肝細胞への、c−met受容体を介した侵入について弱毒化した株)であるか、又は、actA遺伝子及びinlB遺伝子の両方が欠失したもの(すなわち、非貪食細胞への侵入及び細胞間伝播の両方について弱毒化した株)である。
【0046】
特定の一実施形態において、宿主における感染を治療又は予防する方法を提供し、その方法は、その必要がある宿主に、細胞に基づくワクチンと組み合わせて、又はそれと交互に、B7−H1とPD−1の相互作用を減少させる作用物質を投与するステップを含む。一実施形態において、細胞に基づくワクチンはウイルス細胞である。ある実施形態において、ワクチンは、感染の能力を有さないウイルス細胞である。前記ウイルスを放射線照射することができる。ある実施形態において、ウイルスは遺伝子改変されている。他の実施形態において、ワクチンは細胞に基づくものではない。ある実施形態において、ワクチンはDNAに基づくワクチンである。他の実施形態において、ワクチンはDNAに基づくワクチンではない。
【0047】
いくつかの実施形態において、作用物質及びワクチンは同一の組成物内において投与することができる。ある他の実施形態において、作用物質及びワクチンは別々の組成物として投与する。いくつかの実施形態において、作用物質及びワクチンは別々の調製物として同時に投与する。他の実施形態において、作用物質は、ワクチンの投与の前に投与する。ある実施形態において、作用物質はワクチンの1時間以内に投与する。ある実施形態において、作用物質及びワクチンの投与は重複しているが連続してはいない。例えば、ある実施形態において、ワクチンは少なくとも1時間にわたり静脈内投与することができ、作用物質は静脈内投与の間に経口投与することができる。
【0048】
一実施形態において、B7−H1とPD−1の結合を遮断する作用物質とワクチンとを含む組成物を提供する。ある実施形態において、作用物質は抗体であり、ある特定の実施形態において、作用物質はB7−H1を結合する抗体である。いくつかの実施形態において、抗B7−H1抗体はタンパク質に結合し、その立体構造を変化させ、それによりB7−H1がもはやPD−1に結合しないようにする。他の実施形態において、作用物質はPD−1結合部位でB7−H1に結合し、PD−1との相互作用を遮断する。いくつかの他の実施形態において、作用物質はPD−1に結合し、PD−1とB7−H1の相互作用を遮断する。ある実施形態において、作用物質はPD−1に対する抗体である。
【0049】
いくつかの実施形態において、組成物は注射可能な組成物である。ある実施形態において、組成物は、静脈内投与に適した担体を含む。ある他の実施形態において、組成物は、皮下注射又は筋肉内注射に適した担体を含む。ある他の実施形態において、組成物は、腹腔内投与に適した担体を含む。他の実施形態において、組成物は経口投与により投与することができる。
【0050】
いくつかの実施形態において、作用物質の投与により、微生物による感染に対するT細胞の寛容性が低下する。別の実施形態において、抗体は、抗原に対する免疫応答を増強する。これらの実施形態において、B7−H1とPD−1の相互作用を減少させる作用物質は、免疫による拒絶に対するウイルス又は細菌の感受性を増大させる。ある実施形態において、B7−H1とPD−1の相互作用を減少させる作用物質により誘発される免疫応答は、調節性T細胞の減少である。一実施形態において、作用物質は記憶T細胞の生成を増強する。さらに他の実施形態において、作用物質は、調節性T細胞の発生、増加、又は刺激を阻害する。さらなる実施形態において、作用物質はT細胞のアナジーを減少させる。T細胞のアナジーの減少は、微生物特異的T細胞におけるものであり得る。ある実施形態において、B7−H1とPD−1の相互作用を減少させる作用物質は、宿主における抗原特異的記憶T細胞の数を増大させる。別の実施形態において、免疫応答は、エフェクターサイトカインの放出の増強である。ある実施形態において、これはIFN−γの放出である。
【0051】
いくつかの実施形態において、宿主における感染を治療又は予防する方法を提供し、その方法は、B7−H1とPD−1の相互作用を減少させる作用物質を、ワクチンと組み合わせて、又はそれと交互に投与するステップと、さらに抗ウイルス剤又は抗生物質を投与するステップとを含む。
【0052】
いくつかの実施形態において、治療が必要な宿主は慢性感染症を有すると診断されている。いくつかの実施形態において、感染症はウイルス感染症である。他の実施形態において、感染症は細菌感染症である。他の実施形態において、感染症はHIVである。他の実施形態において、感染症はHCVである。いくつかの実施形態において、宿主はそれまでに抗ウイルス剤で治療を受けている。他の実施形態において、宿主は未治療である。一実施形態において、宿主は、微生物のような感染性物質に感染している。ある実施形態において、感染性物質はウイルスである。他の実施形態において、感染性物質は細菌である。さらに他の実施形態において、感染性物質は、プリオンなどのタンパク質である。別の実施形態において、作用物質は、免疫による拒絶に対する、宿主におけるウイルスの感受性を増大させる。
【0053】
B7−H1抗体は、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、若しくはそれ以上、又は、2〜20回、2〜15回、2〜10回、若しくはそれより少ない回数で投与することができる。投与は、毎日か、又はそれより少なくてよく、例えば、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、7日毎、又はそれ未満、例えば2週間毎、1カ月に1回、2カ月に1回、年に4回、年に3回、年に2回、若しくは年に1回である。
【0054】
1つの従属的な実施形態において、抗原は、抗体の投与の後1日以内に投与する。抗原は、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、若しくはそれ以上、又は、2〜20回、2〜15回、2〜10回若しくはそれより少ない回数で投与することができる。投与は、毎日か、又はそれより少なくてよく、例えば、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、7日毎、又はそれ未満、例えば2週間毎、1カ月に1回、2カ月に1回、年に4回、年に3回、年に2回、若しくは年に1回である。
【0055】
異常な細胞増殖を治療又は予防する方法
いくつかの実施形態において、宿主における異常な細胞増殖を治療又は予防する方法を提供し、その方法は、その必要がある宿主に、B7−H1とPD−1の相互作用を遮断する作用物質と癌に対するワクチンとの組合せを投与するステップを含む。これらの方法は、宿主において癌が発生するリスクを減少させ得る。他の実施形態において、本方法は、宿主における癌の量を減少させる。さらに他の実施形態において、本方法は、宿主における癌の転移の可能性を減少させる。本方法はまた、宿主における癌のサイズも減少させ得る。
【0056】
一実施形態において、B7−H1とPD−1の結合を遮断する作用物質は抗体である。ある実施形態において、作用物質は、B7−H1に結合し、B7−H1とPD−1の相互作用を阻害する抗体である。ある実施形態において、作用物質は、B7−H1に結合し、その立体構造を変化させ、それによりそのタンパク質がもはやPD−1に結合しないようにする作用物質である。他の実施形態において、作用物質はPD−1結合部位でB7−H1に結合し、PD−1との相互作用を遮断する。いくつかの他の実施形態において、作用物質はPD−1に結合し、PD−1とB7−H1の相互作用を遮断する。ある実施形態において、作用物質はPD−1に対する抗体である。
【0057】
いくつかの実施形態において、作用物質及びワクチンは同一の組成物内において投与することができる。ある他の実施形態において、作用物質及びワクチンは別々の組成物として投与する。いくつかの実施形態において、作用物質及びワクチンは別々の調製物として同時に投与する。他の実施形態において、作用物質はワクチンの投与の前に投与する。ある実施形態において、作用物質はワクチン投与の1時間以内に投与する。ある実施形態において、作用物質及びワクチンの投与は重複しているが連続してはいない。例えば、ある実施形態において、ワクチンは少なくとも1時間にわたり静脈内投与することができ、作用物質は静脈内投与の間に経口投与することができる。
【0058】
一実施形態において、作用物質及び細胞に基づくワクチンは組み合わせて投与する。あるこれらの実施形態において、作用物質及びワクチンは同一の調製物内において同時に投与する。他の実施形態において、作用物質及びワクチンは別々の調製物として同時に投与される。他の実施形態において、作用物質は、ワクチンの投与の前に投与する。いくつかの実施形態において、ワクチンは、作用物質の投与の少なくとも1時間後、少なくとも8時間後、1日又は2日後に投与する。いくつかの実施形態において、作用物質及びワクチンは複数回投与する。特定の実施形態において、作用物質及びワクチンは、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、又は少なくとも10回投与する。
【0059】
いくつかの実施形態において、本方法はさらに、作用物質の不在下で抗癌剤を投与するステップを含む。いくつかの実施形態において、抗癌剤は、ワクチンの投与の少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも8日、少なくとも9日、若しくは少なくとも10日、又は少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月、少なくとも5カ月、少なくとも6カ月後、又はそれ以上後に投与する。
【0060】
一実施形態において、B7−H1とPD−1の結合を遮断する作用物質及びワクチンを含む組成物を提供する。ある実施形態において、作用物質は抗体であり、ある特定の実施形態において、作用物質はB7−H1を結合する抗体である。いくつかの実施形態において、抗B7−H1抗体はタンパク質に結合し、その立体構造を変化させ、それによりB7−H1がもはやPD−1に結合しないようにする。
【0061】
いくつかの実施形態において、組成物は注射可能な組成物である。ある実施形態において、組成物は、静脈内投与に適した担体を含む。ある他の実施形態において、組成物は、皮下注射又は筋肉内注射に適した担体を含む。ある他の実施形態において、組成物は、腹腔内投与に適した担体を含む。他の実施形態において、組成物は経口投与により投与することができる。
【0062】
いくつかの実施形態において、作用物質の投与により、癌に対するT細胞の寛容性が低下する。これらの実施形態において、B7−H1とPD−1の相互作用を減少させる作用物質は、免疫による拒絶に対する癌細胞の感受性を増大させる。ある実施形態において、B7−H1とPD−1の相互作用を減少させる作用物質により誘発される免疫応答は、調節性T細胞の減少である。さらに他の実施形態において、作用物質は、調節性T細胞の発生、増加、又は刺激を阻害する。さらなる実施形態において、作用物質はT細胞のアナジーを減少させる。T細胞のアナジーの減少は、腫瘍特異的T細胞におけるものであり得る。
【0063】
特定の一実施形態において、宿主における異常な細胞増殖を治療又は予防する方法を提供し、その方法は、その必要がある宿主に、哺乳動物細胞に基づくワクチンと組み合わせて、又はそれと交互に、B7−H1とPD−1の相互作用を減少させる作用物質を投与するステップを含む。
【0064】
一実施形態において、哺乳動物細胞に基づくワクチンは哺乳動物の全細胞である。ある実施形態において、ワクチンは、活発には分裂しない腫瘍細胞である。前記腫瘍細胞を放射線照射することができる。ある実施形態において、細胞は遺伝子改変されている。いくつかの実施形態において、細胞は、抗原提示細胞に対する活性化因子を分泌し得る。ある実施形態において、細胞はコロニー刺激因子を、例えば構成的に分泌し、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−SCF)を特異的に分泌し得る。細胞は、腫瘍として同一のタイプの組織から得られる細胞に基づき得る。ある実施形態において、細胞は前立腺癌細胞に由来する。他の実施形態において、細胞は乳癌細胞に由来する。他の場合において、細胞はリンパ腫細胞に由来する。
【0065】
一実施形態において、B7−H1とPD−1の相互作用を減少させる作用物質は、細胞に基づくワクチン内の細胞に対するT細胞の寛容性を減少させる。この実施形態において、作用物質は免疫による拒絶に対する腫瘍細胞の感受性を増大させる。一実施形態において、免疫応答は、調節性T細胞の減少である。一実施形態において、作用物質は、記憶T細胞の生成を増強する。さらに別の実施形態において、作用物質は、調節性T細胞の生成、増加、又は刺激を阻害する。別の実施形態において、作用物質はT細胞のアナジーを減少させる。T細胞のアナジーの減少は、腫瘍特異的T細胞におけるものであり得る。
【0066】
いくつかの実施形態において、異常細胞の増殖を阻害する方法を提供し、その方法は、B7−H1とPD−1の相互作用を減少させる作用物質を、哺乳動物細胞に基づくワクチンと組み合わせて、又はそれと交互に投与するステップと、さらに抗癌剤を投与するステップとを含む。
【0067】
いくつかの実施形態において、治療が必要な宿主は癌であると診断されている。いくつかの実施形態において、癌は前立腺癌である。他の実施形態において、癌は乳癌である。他の実施形態において、癌は腎臓癌である。いくつかの実施形態において、宿主はそれまでに抗癌剤で治療を受けている。他の実施形態において、宿主は未治療である。
【0068】
一実施形態において、作用物質は癌に対するT細胞の寛容性を減少させる。一実施形態において、作用物質は、抗癌剤に対する癌細胞の感受性を増大させる。別の実施形態において、作用物質は、免疫による拒絶に対する癌細胞の感受性を増大させる。
【0069】
別の主要な実施形態において、異常細胞の増殖を治療又は予防する方法を提供し、その方法は、その必要がある宿主に、抗原と組み合わせて、且つ実質的に抗癌剤の不在下で、B7−H1とPD−1の相互作用を減少させる作用物質を投与するステップを含む。
【0070】
一実施形態において、第一の作用物質は少なくとも1日にわたり免疫応答を刺激する。別の実施形態において、作用物質は、少なくとも1週間にわたり免疫応答を刺激する。
【0071】
B7−H1とPD−1の相互作用を減少させる作用物質は、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、若しくはそれ以上、又は、2〜20回、2〜15回、2〜10回、若しくはそれより少ない回数で投与することができる。投与は、毎日か、又はそれより少ない頻度でよく、例えば、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、7日毎、又はそれ未満、例えば2週間毎、1カ月に1回、2カ月に1回、年に4回、年に3回、年に2回、若しくは年に1回である。
【0072】
一実施形態において、作用物質は癌に対するT細胞の寛容性を減少させる。一実施形態において、作用物質は、抗癌剤に対する癌細胞の感受性を増大させる。別の実施形態において、作用物質は免疫による拒絶に対する癌細胞の感受性を増大させる。
【0073】
B7−H1モノクローナル抗体
抗体の作製方法は当技術分野において知られている。例えば、抗体は、所望の物質(例えばB7−H1)で動物を免疫化することにより産生させることができる。有用な抗体は、所望の物質を注射した動物(例えば、ヒト、ヒト以外の霊長類、マウス、ウサギ、ラット、ハムスター、ヒツジ、ウマ、ヤギ、ウシ、ブタ、又はトリ)の血清又は血漿に存在するポリクローナル抗体であり得、前記動物にはアジュバントを注射していてもよい。ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体は、当技術分野において知られている方法によって大量に製造することができる。
【0074】
ポリクローナル抗体は、当技術分野において知られている方法によって血清又は血漿から単離することができる。例えば、大型の動物(例えば、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウマ、若しくはウシ)又は多数の小型の動物を上述のようにして免疫化することができる。血清は、適切な活性を有する抗体を産生する動物の血液から単離することができる。必要であれば、当技術分野において知られている方法によって、そのような血清からポリクローナル抗体を精製することができる。
【0075】
モノクローナル抗体(mAb)も生産することができる。モノクローナル抗体の作製及びスクリーニングの方法は、当技術分野において周知である。所望の抗体を産生するハイブリドーマが選択、クローニングされれば、それにより得られる抗体は、当技術分野において知られている多くの方法によって産生することができる。例えば、ハイブリドーマを適切な時間にわたり適切な培地においてインビトロで培養し、その後、上清から所望の抗体を回収することができる。時間の長さと培地は既知であるか、又は容易に決定することができる。モノクローナル抗体もまた、例えばバイオリアクターを用いてインビトロで、又は関連するハイブリドーマ細胞を適切な動物に注射することによりインビボで、大量に生産することができる。例えば、マウス又はラットにハイブリドーマ細胞を腹腔内(i.p, intraperitoneally)注射することができ、ハイブリドーマ細胞の十分な成長と、動物の血液内へのモノクローナル抗体の分泌とに十分な時間の経過後、動物を出血させ、血液をモノクローナル抗体の供給源として用いることができる。動物にプリスタン及びハイブリドーマ細胞のような炎症性物質をi.p.注射すると、モノクローナル抗体を含む腹膜滲出液が動物内において生じ得る。次に、腹膜滲出液を動物から「捕捉」し、適切なモノクローナル抗体の供給源として用いる。
【0076】
共刺激分子
T細胞受容体を介した抗原特異的シグナルに加え、T細胞は、活性化のために、抗原に非特異的な共刺激も必要とする。B7−1(CD80)及びB7−2(CD86)を含む、抗原提示細胞上の分子のB7ファミリーは、抗原特異的免疫応答の発生に必要な共刺激シグナルの提供において重要な役割を果たす。T細胞上のCD28分子は、そのリガンドであるB7.1(CD80)又はB7.2(CD86)のいずれか及び場合によってはB7.3と結合すると、共刺激シグナルを伝達する。T細胞上のCD40L(Lはリガンドを意味する)分子がCD40に連結している場合、前記CD40L分子により、異なるシグナルが伝達される。APCの表面上の多くの他の分子が、共刺激における同様の役割を有し得るが、それらの全ての役割又は作用メカニズムは明らかではない。これらには、APC上のVCAM−1、ICAM−1、及びLFA−3、並びにそれらの各々のリガンドである、T細胞上のVLA−4、LFA−1、及びCD2が含まれる。インテグリンであるLFA−1及びVCAM−1は細胞間の接触の開始に関与していると考えられる。リンパ球機能関連タンパク質1(LFA−1、lymphocyte function associated protein 1)は、CD8細胞傷害性T細胞による標的細胞の破壊を遮断する。LFA−1は、免疫グロブリンスーパーファミリーのリガンドであるICAM−1、ICAM−2、ICAM−3を結合する。β−2インテグリンの遮断は、免疫応答の非常に効果的な阻害方法であり、このタンパク質に対するモノクローナル抗体は、移植レシピエント及び他の症状の治療について臨床試験中である。開発中の他の免疫療法は、(CD28よりも強力な)B7.1及びB7.2に対する親和性の高い受容体の可溶性形態であるCTLA−Ig、及び抗CD40Lである。T細胞の共刺激と抗CD40Lとの両方の遮断は、抗原提示細胞の相互活性化も遮断し得る。
【0077】
いくつかの実施形態において、B7−H1とPD−1の結合を遮断する作用物質を、CD28経路を活性化する作用物質と組み合わせて、又はそれと交互に投与する。ある場合において、この共刺激分子はB7.1又はB7.2又はB7.3分子である。ある場合において、共刺激分子はB7−DC又はB7−H1分子であり、特に、B7−DC、B7−H1のタンパク質融合体、これらの変異体、又はそれらの切断物である。特定の実施形態において、共刺激分子は、B7−H1若しくはB7−DC分子のFc融合体、B7−H1若しくはB7−DC分子の断片、又はそれらの変異体である。ある場合において、変異体は、天然のタンパク質と比較して、1つ又は複数の突然変異したアミノ酸を含み得る。ある実施形態において、共刺激分子はPD−1と相互作用しない。他の実施形態において、B7−H1とPD−1の結合を遮断する作用物質は、可溶性B7−H4とそのリガンドとの相互作用を遮断する抗体と組み合わせて、又はそれと交互に投与する。ある実施形態において、共刺激分子は、ウイルス由来のベクターによりコードされる。例えば、共刺激分子は、カナリア痘ウイルスであるALVACに由来するベクターによりコードされ得る。いくつかの実施形態において、共刺激分子は、カナリア痘ウイルスであるALVACに由来するベクターによりコードされるB7.1単独である(ALVAC−B7.1)か、又はインターロイキン12などの別の分子を伴うもの(ALVAC−IL−12)である。
【0078】
チェックポイント阻害剤もまた、B7−H1とPD−1の結合を遮断する本発明の作用物質と共に用いることができる。例えば、PD−1の阻害剤はT細胞活性の阻害を減少させるために用いることができる。加えて、可溶性B7−H4などの分子を、T細胞活性を刺激するために用いることができる。
【0079】
ある実施形態において、B7−H1とPD−1の相互作用を減少させる作用物質を、特定のヒト抗体と組み合わせて、又はそれと交互に投与する。特定の抗体は通常、受動ワクチンとして作用し、ある作用物質に対して迅速な免疫をもたらす。抗体は、炭疽、クロストリジウム・ボツリヌス(Clostridium botulinum)により産生される毒素、ブルセラ症、Q熱(コクシエラ・バーネッティ(Coxiella burnetii)により生じる)、天然痘、ウイルス性髄膜脳炎症候群(東部ウマ脳脊髄炎ウイルス(EEEV、Eastern equine encephalomyelitis virus)、ベネズエラウマ脳脊髄炎ウイルス(VEEV、Venezuelan equine encephalomyelitis virus)、及び西部ウマ脳脊髄炎ウイルス(WEEV、Western equine encephalomyelitis virus)を含む)、ウイルス性出血熱(エボラ、マールブルグ、及びフニンを含む)、野兎病、生物毒素(ジフテリア、破傷風、ボツリヌス中毒症の原因となるもの、毒素、リシン、トリコテセン系マイコトキシン、及びブドウ球菌エンテロトキシンを含む)、並びに伝染病のような作用物質に対するものであり得る。
【0080】
抗癌剤
ある実施形態において、本発明の方法は、異常な細胞増殖を治療するために抗癌剤と組み合わせて提供する。これらの薬剤の多くは、アルキル化剤、代謝拮抗剤、アントラサイクリン、植物アルカロイド、トポイソメラーゼ阻害剤、モノクローナル抗体、及び他の抗腫瘍剤という、いくつかのカテゴリーに分けることができる。いくつかの作用物質はDNAに直接的には干渉しない。これらには、あるタイプの癌(慢性の骨髄性白血病、消化管間質腫瘍)における分子の異常を直接的に標的とする、新規なチロシンキナーゼ阻害剤であるメシル酸イマチニブ(Gleevec(登録商標)又はGlivec(登録商標))が含まれる。
【0081】
アルキル化剤は、細胞内の条件下で多くの電気陰性基にアルキル基を付加する能力を有することからそう呼ばれている。シスプラチン及びカルボプラチン、並びにオキサリプラチンがアルキル化剤である。他のアルキル化剤は、メクロレタミン(mechloethamine)、シクロホスファミド、クロラムブシルである。それらは、細胞のDNAを化学修飾することにより作用する。
【0082】
代謝拮抗剤は、DNAの構成単位となるプリン(アザチオプリン、メルカプトプリン)又はピリミジンを装う。それらは、これらの物質が(細胞周期の)「S」期にDNA内に組み込まれることを防ぎ、正常な発生及び分裂を停止させる。それらはまた、RNA合成にも作用する。これらの薬剤は、その効率のために、最も広く用いられている細胞増殖抑制剤である。
【0083】
植物アルカロイド及び植物テルペノイドは植物に由来し、微小管の機能を妨げることにより細胞分裂を遮断する。微小管は細胞分裂に必須のものであり、それらがないと細胞分裂は生じない。主な例は、ビンカアルカロイド及びタキサンである。ビンカアルカロイドはチューブリンの特異的部位に結合し、微小管へのチューブリンの集合を阻害する(細胞周期のM期)。それらは、ニチニチソウ、Catharanthus roseus(以前はVinca roseaとして知られていた)に由来する。ビンカアルカロイドには、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、及びビンデシンが含まれる。ポドフィロトキシンは、エトポシド及びテニポシドである2つの他の細胞増殖抑制剤を生産するために用いる植物由来の化合物である。それらは、細胞がG1期(DNA複製の開始)に入ること及びDNAの複製(S期)を妨げる。この物質は、アメリカメイアップル(Podophyllum peltatum)から主に得られている。最近では、稀少なヒマラヤメイアップル(Podophyllum hexandrum)がそれを非常に大量に含むことが明らかになったが、その植物は絶滅の危機にあるため、その供給量は限られている。タキサンはイチイに由来する。パクリタキセル(Taxol(登録商標)社製)は、太平洋イチイ(Taxus brevifolia)の樹皮に由来する。研究者は非常に再生可能な供給源を発見し、そのうち、パクリタキセルの前駆体はヨーロッパイチイ(Taxus baccata)の葉内に比較的大量に見られ、そのパクリタキセル及びドセタキセル(パクリタキセルの半合成類似体)は半合成変換により得ることができる。タキサンは微小管の安定性を高め、後期の間の染色体の分離を妨げる。タキサンには、パクリタキセル及びドセタキセルが含まれる。
【0084】
トポイソメラーゼ阻害剤は、別のクラスの化合物である。トポイソメラーゼは、DNAのトポロジーを維持する必須の酵素である。I型又はII型トポイソメラーゼの阻害は、DNAの適切な超らせん形成を乱すことにより、DNAの転写及び複製の両方に干渉する。いくつかのI型トポイソメラーゼ阻害剤には、イリノテカン及びトポテカンであるカンプトセシンが含まれる。II型阻害剤の例には、アムサクリン、エトポシド、リン酸エトポシド、及びテニポシドが含まれる。これらは、アメリカメイアップル(Podophyllum peltatum)の根において天然に存在するアルカロイドであるエピポドフィロトキシンの半合成誘導体である。
【0085】
抗腫瘍抗生物質は、別のクラスの抗癌化合物である。この群の最も重要な免疫抑制剤は、腎臓移植において用いられているダクチノマイシンである。モノクローナル抗体は、腫瘍特異的抗原を標的化することで作用し、それにより、作用物質がそれ自体で付着する腫瘍細胞に対する、宿主の免疫応答を増強する。例としては、トラスツズマブ(ハーセプチン)、セツキシマブ、及びリツキシマブ(リツキサン又はマブセラ)がある。ベバシズマブは、腫瘍細胞を直接的には攻撃しないモノクローナル抗体であるが、その代わり、新たな腫瘍血管の形成を遮断する。
【0086】
いくつかの悪性腫瘍はまた、ホルモン療法によって治療できる可能性がある。ステロイド(多くの場合デキサメタゾン)は、腫瘍の成長又はそれに関連する浮腫(組織腫脹)を阻害し得、リンパ節の悪性腫瘍を退縮させ得る。前立腺癌は、テストステロンからジヒドロテストステロンへの末梢での変換を遮断する作用物質であるフィナステリドに感受性を有することが多い。乳癌細胞は、エストロゲン受容体及び/又はプロゲステロン受容体を高く発現することが多い。これらのホルモンの産生の阻害(アロマターゼ阻害剤による)又は作用の阻害(タモキシフェンによる)は、治療の補助として用い得ることが多い。ゴセレリンなどのゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH、Gonadotropin-releasing hormone)アゴニストは、連続的に与えると、卵胞刺激ホルモン(FSH、follicle-stimulating hormone)及び黄体形成ホルモン(LH、luteinizing hormone)の放出の阻害をもたらす矛盾的(paradoxic)な負のフィードバック効果を有する。
【0087】
抗癌剤の一般的な例にはまた、イフォスファミド(ifosamide)、シスプラチン、メトトレキサート、サイトキサン、プロカリジン、エトポシド、BCNU、ビンクリスチン、ビンブラスチン、シクロホスファミド、ゲンシタビン、5−フルオロウラシル(5-flurouracil)、パクリタキセル、及びドキソルビシンが含まれる。細胞増殖を減少させるために用いる追加の作用物質には、AS−101(Wyeth-Ayers" Labs.社製)、ブロピリミン(Upjohn社製)、ガンマインターフェロン(Genentech社製)、GM−CSF(Genetics Institute社製)、IL−2(Cetus or Hoffman-LaRoche社製)、ヒト免疫グロブリン(Cutter Biological社製)、20IMREG(ルイジアナ州、ニューオーリンズのImreg社から入手)、SKF106528(Genentech社製)、TNF(Genentech社製)、アザチオプリン、シクロホスファミド、クロラムブシル、及びメトトレキサートが含まれる。
【0088】
抗原/感染
本発明の一実施形態において、本方法は、抗原に対する、増強され、且つ延長された免疫応答を提供する。抗原は通常、被験体に注射又は吸収される組成物を含む、例えば被験体における抗体の産生又はT細胞の応答を刺激するなど、特異的免疫応答の誘発の標的となり得る、あらゆる化合物、組成物、又は作用物質、並びに全ての関連する抗原エピトープである。いくつかの実施形態において、宿主は、B7−H1とPD−1の結合を遮断する作用物質を投与する前に、抗原を有するウイルス又は細菌に感染している。
【0089】
例えば、宿主はHIVウイルスに感染している場合がある。他の実施形態において、宿主は、フラビウイルス若しくはペストウイルス、又は、C型肝炎のようなフラビウイルス科(flaviviridae)の他のメンバーに感染している。ペストウイルス及びフラビウイルスは、ヘパシウイルス(C型肝炎ウイルス)と共に、フラビウイルス科のウイルスに属する。ペストウイルス属には、ウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV、bovine viral diarrhea virus)、古典的なブタ熱ウイルス(CSFV、classical swine fever virus、ブタコレラウイルスとも呼ばれる)、及びヒツジのボーダー病ウイルス(BDV、border disease virus)が含まれる(Moenning, V. et al. Adv. Vir. Res. 1992, 41, 53-98)。家畜(ウシ、ブタ、及びヒツジ)のペストウイルスへの感染は、世界中で重大な経済的損失を生じさせる。BVDVはウシにおいて粘膜疾患を生じさせ、家畜産業に対して経済的に非常に重大である(Meyers, G. and Thiel, H.-J., Advances in Virus Research, 1996, 47, 53-118、Moenning V., et al, Adv. Vir. Res. 1992, 41, 53-98)。ある実施形態において、宿主はB型肝炎ウイルスに感染している。他の実施形態において、宿主はD型肝炎(デルタ肝炎としても知られている)に感染している。ある実施形態において、宿主は、単純ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、及びエプスタイン・バーウイルス(EBV、Epstein-Barr virus)などの、ヘルペス科のメンバーに感染している。
【0090】
抗原には、生存している、熱で死滅させた、若しくは化学的に弱毒化した、ウイルス、細菌、マイコプラズマ、真菌、及び原虫、若しくはこれらの断片、抽出物、サブユニット、代謝物、及び組換え構築物、又は、哺乳動物のタンパク質及び糖タンパク質、核酸、これらの組合せ、若しくは哺乳動物の全細胞の、断片、サブユニット、代謝物、及び組換え構築物が含まれる。
【0091】
抗原は、病原性及び非病原性の生物、ウイルス、及び真菌から得ることができる。抗原には、天然痘、黄熱病、ジステンパー、コレラ、鶏痘、猩紅熱、ジフテリア、破傷風、百日咳、インフルエンザ、狂犬病、流行性耳下腺炎、麻疹、口蹄疫、及びポリオから得られるタンパク質、ペプチド、抗原、及びワクチンが含まれ得る。
【0092】
抗原は、タンパク質又はペプチドであり得る。ある実施形態において、抗原は外因性のものである。抗原は、例えば、ウイルス又は細菌のタンパク質若しくはペプチド又はそれらの抗原断片であり得る。ある場合には、抗原は、ウイルス又は細菌の抗原決定基からなる「サブユニット」ワクチンから得られ、通常、前記ワクチンにおいて、作製されたウイルス性又は細菌性の抗原は化学抽出により核酸を有しておらず、培地に由来する少量の非ウイルス性又は非細菌性の抗原のみを含む。他の場合、抗原はサブユニットワクチンに基づくものではない。
【0093】
ペプチドエピトープは、あらゆる様々な感染性微生物に由来するものであってもよい。ペプチドエピトープは、あらゆる関連する細胞上に発現し得、前記細胞は、古典的なAPCである必要はないが、適切な感染性微生物に感染したあらゆる細胞であり得る。そのような細胞には、限定はしないが、T細胞、組織上皮細胞、内皮細胞、及び線維芽細胞が含まれる。したがって、本発明の方法は、あらゆる広範な感染性微生物による感染の治療に適用することができる。そのような微生物は通常、細胞の内部で複製するものである(一般に細胞内病原体と呼ばれる)が、本発明の方法はまた、細胞外で複製するか、又はB7−H1を発現しない細胞内で複製する感染性微生物が関与する状況にも適用することができる。関連する微生物は、ウイルス、細菌、マイコプラズマ、真菌(酵母を含む)、及び寄生原虫であり得、そのような微生物の特定の例には、限定はしないが、マイコバクテリア・ツベルクローシス(Mycobacteriatuberculosis)、サルモネラ・エンテリティディス(Salmonella enteritidis)、リステリア・モノサイトゲネス、らい菌(M. leprae)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、大腸菌(Escherichia coli)、肺炎連鎖球菌(Streptococcuspneumoniae)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、アクチノバチルス・プルロニューモニア(Actinobacillus pleuropneumoniae)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、エルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、マイコプラズマ、ヒストプラスマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoforman)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)、トキソプラズマ・ブルセイ(Toxoplasma brucei)、トキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)、大形リーシュマニア(Leishmania major)、ヒト免疫不全ウイルス1及び2、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、狂犬病ウイルス、A、B、及びC型肝炎ウイルス、ロタウイルス、パピローマウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ネコ免疫不全ウイルス、ネコ白血病ウイルス、並びにサル免疫不全ウイルスが含まれる。
【0094】
ある実施形態において、抗原は、ウイルス、細菌、又は哺乳動物に由来する全細胞である。ある実施形態において、抗原はワクチンの「死滅させた構成要素」である。本発明のいくつかの実施形態において、抗原はヒト又は動物の病原体に由来する。病原体は、ウイルス、細菌、真菌、又は寄生虫であってもよい。この場合、抗原は、複製を避けるために放射線照射したか又は他の方法で不活性化した、ウイルス細胞又は細菌細胞から調製される。一実施形態において、抗原は、病原体により産生されるタンパク質であるか、又は病原体により産生されるタンパク質の断片及び/若しくは変異体である。他の実施形態において、抗原は、哺乳動物のタンパク質又はペプチドである。ある実施形態において、抗原は、哺乳動物の全細胞であり、哺乳動物の単離されたタンパク質若しくはペプチド又はそれらの断片ではない。
【0095】
いくつかの実施形態において、抗原は全細胞である。いくつかの実施形態において、抗原は、遺伝子改変され得る、哺乳動物の全細胞である。ある実施形態において、細胞は、コロニー刺激因子を発現するように修飾されている、哺乳動物の全腫瘍細胞である。他の実施形態において、抗原は、抗原を提示することができる間質抗原提示細胞である。
【0096】
いくつかの実施形態において、抗原は、ヒト免疫不全ウイルス(例えば、gp120、gp160、gp41、p24gag及びp55gagのようなgag抗原、並びに、HIVのpol、env、tat、vif、rev、nef、vpr、vpu、及びLTR領域に由来するタンパク質)、ネコ免疫不全ウイルス、又はヒト若しくは動物のヘルペスウイルスに由来し得る。一実施形態において、抗原は、単純ヘルペスウイルス(HSV、herpes simplex virus)1型及び2型(例えば、gD、gB、gH、ICP27のような最初期タンパク質)、サイトメガロウイルス(例えば、gB及びgH)、エプスタイン・バーウイルス、又は水痘帯状疱疹ウイルス(例えば、gp1、II、又はIII)に由来する。(例えば、Chee et al. (1990) Cytomegaloviruses、J. K. McDougall, ed., Springer Verlag, pp. 125-169、McGeoch et al. (1998) J. Gen. Virol. 69:1531-1574、米国特許第5,171,568号明細書、Baer et al. (1984) Nature 310:207-211、及びDavison et al. (1986) J. Gen. Virol. 67:1759-1816参照。)
【0097】
別の実施形態において、抗原は、B型肝炎ウイルス(例えば、B型肝炎表面抗原)、A型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、デルタ肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、又はG型肝炎ウイルスのような肝炎ウイルスに由来する。例えば、国際公開第89/04669号パンフレット、国際公開第90/11089号パンフレット、及び国際公開第90/14436号パンフレット参照。肝炎抗原は、表面抗原、コア抗原、又は他の関連抗原であり得る。HCVゲノムは、E1及びE2を含むいくつかのウイルスタンパク質をコードする。例えば、Houghton et al., Hepatology 14:381-388 (1991)参照。
【0098】
ウイルス抗原である抗原は、ピコルナウイルス科(Picornaviridae)(例えば、ピロウイルス、ライノウイルスなど)、カルシウイルス科(Caliciviridae)、トガウイルス科(Togaviridae)(例えば、風疹ウイルス、デングウイルスなど)、フラビウイルス科、コロナウイルス科(Coronaviridae)、レオウイルス科(Reoviridae)(例えば、ロタウイルイスなど)、ビルナウイルス科(Birnaviridae)、ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)(例えば、狂犬病ウイルスなど)、オルトミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)(例えば、A型、B型、及びC型インフルエンザウイルスなど)、フィロウイルス科(Filoviridae)、パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)(例えば、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、パラインフルエンザウイルスなど)、ブニヤウイルス科(Bunyaviridae)、アレナウイルス科(Arenaviridae)、レトロウイルス科(Retroviridae)(例えば、HTLV−I、HTLV−II、HIV−I、HIVIIIb、HIVSF2、HTVLAV、HIVLAI、HIVMN、HIV−1CM235、HIV−2、サル免疫不全ウイルス(SIV、simian immunodeficiency virus))、パピローマウイルス(Papillomavirus)、ダニ媒介脳炎ウイルスなどの、いずれか1つのウイルスに由来してもよい。これらのウイルス及び他のウイルスの記載については、例えば、Virology、第3版(W. K. Jokliked. 1988)、Fundamental Virology、第3版(B. N. Fields, D. M. Knipe, and P. M. Howley Eds. 1996)参照。一実施形態において、抗原はFlu−HAである(Morgan et al., J. Immunol. 160:643 (1998))。
【0099】
一実施形態において、抗原は、細菌(若しくはマイコバクテリア)又はウイルスのタンパク質、或いは、それらの免疫原性部分、誘導体、及び/又は類似物を含む。本発明の一態様において、抗原は、マイコバクテリアのタンパク質、又は、それらの免疫原性部分、誘導体、及び/若しくは類似物を含む。一実施形態において、抗原は、hsp65369412を含む(Ottenhof et al., 1991、Charo et al., 2001)。別の実施形態において、抗原は、ヒトパピローマウイルス(HPV、human papillomavirus)のタンパク質、又は、それらの免疫原性部分、誘導体、及び/若しくは類似物を含む。タンパク質の免疫原性部分、誘導体、及び/又は類似物は、前記タンパク質自体と必ずしも同値ではないが、同じ種類の免疫原力(immunogenic capacity)を有する。そのようなタンパク質の誘導体は、保存的なアミノ酸置換により得ることができる。一実施形態において、抗原は、死滅した全肺炎球菌、肺炎球菌の溶解物、若しくは単離、精製したPspA、又はそれらの免疫原性断片である(米国特許第6,042,838号明細書参照)。一実施形態において、抗原は、成熟PspA分子の314個のアミノ酸からなる切断物(アミノ酸1〜314)である。PspA分子のこの領域は、全てではないにしても、PspAのほとんどの保護(protective)エピトープを含む。
【0100】
いくつかの実施形態において、抗原は、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)、バチルス属(Bacillus)、エルシニア属(Yersinia)、サルモネラ属(Salmonella)、ナイセリア属(Neisseria)、ボレリア属(Borrelia)(例えば、OspA若しくはOspB又はそれらの誘導体)、クラミジア属(Chlamydia)、若しくはボルデテラ属(Bordetella)(例えば、P.69、PT、及びFHA)のような細菌性病原体に由来するか、又は、プラスモジウム(plasmodium)若しくはトキソプラズマ(Toxoplasma)のような寄生虫に由来する。一実施形態において、抗原は、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)(例えば、ESAT−6、85A、85B、72F)、炭疽菌(Bacillus anthracis)(例えばPA)、又はエルシニア・ペスティス(Yersinia pestis)(例えば、F1、V)に由来する。加えて、本発明における使用に適した抗原は、限定はしないが、ジフテリア、百日咳、破傷風、結核、細菌性肺炎又は真菌性肺炎、中耳炎、淋病、コレラ、腸チフス、髄膜炎、単核球症、ペスト、細菌性赤痢又はサルモネラ症、レジオネラ症、ライム病、ハンセン病、マラリア、鉤虫症、オンコセルカ症、住血吸虫症、トリパノソーマ症、レスマニア症、ジアルジア症、アメーバ症、フィラリア症、ボレリア症、及び旋毛虫症を含む疾患の原因となる既知の原因物質から得ることができるか、又はそれらに由来する。さらなる抗原は、クル病、クロイツフェルトヤコブ病(CJD、Creutzfeldt-Jakob disease)、スクレピー、伝染性ミンク脳症、及び慢性消耗病の原因物質のような、特殊な病原体から得ることができるか、若しくはそれらに由来するか、又は、狂牛病に関連するプリオンのようなタンパク質性感染粒子に由来する。
【0101】
T細胞により認識される多くの腫瘍関連抗原が同定されている(Renkvist et al., Cancer Immunol Innumother 50:3-15 (2001))。これらの腫瘍関連抗原は、分化抗原(例えば、PSMA、チロシナーゼ、gp100)、組織特異的抗原(例えば、PAP、PSA)、発生抗原、腫瘍関連ウイルス抗原(例えば、HPV16E7)、癌精巣抗原(例えば、MAGE、BAGE、NY−ESO−1)、胚抗原(例えば、CEA、アルファ−フェトプロテイン)、癌タンパク質抗原(例えば、Ras、p53)、過剰発現タンパク質抗原(例えば、ErbB2(Her2/Neu)、MUC1)、又は突然変異タンパク質抗原であり得る。
【0102】
本発明の方法において有用であり得る腫瘍関連抗原には、限定はしないが、707−AP、アネキシンII、AFP、ART−4、BAGE、β−カテニン/m、BCL−2、bcr−abl、bcr−abl pl90、bcr−abl p210、BRCA−1、BRCA−2、CAMEL、CAP−1、CASP−8、CDC27/m、CDK−4/m、CEA(Huang et al., Exper Rev. Vaccines (2002) 1:49-63)、CT9、CT10、Cyp−B、Dek−cain、DAM−6(MAGE−B2)、DAM−10(MAGE−B1)、EphA2(Zantek et al., Cell Growth Differ. (1999) 10:629-38、Carles-Kinch et al., Cancer Res. (2002) 62:2840-7)、ELF2M、ETV6−AML1、G250、GAGE−1、GAGE−2、GAGE−3、GAGE−4、GAGE−5、GAGE−6、GAGE−7B、GAGE−8、GnT−V、gp100、HAGE、HER2/neu、HLA−A0201−R170I、HPV−E7、HSP70−2M、HST−2、hTERT、hTRT、iCE、アポトーシス阻害剤(例えばサバイビン)、KIAA0205、K−ras、LAGE、LAGE−1、LDLR/FUT、MAGE−1、MAGE−2、MAGE−3、MAGE−6、MAGE−A1、MAGE−A2、MAGE−A3、MAGE−A4、MAGE−A6、MAGE−A10、MAGE−A12、MAGE−B5、MAGE−B6、MAGE−C2、MAGE−C3、MAGE−D、MART−1、MART−1/Melan−A、MC1R、MDM−2、メソセリン、ミオシン/m、MUC1、MUC2、MUM−1、MUM−2、MUM−3、ネオポリAポリメラーゼ、NA88−A、NY−ESO−1、NY−ESO−1a(CAG−3)、PAGE−4、PAP、プロテイナーゼ3(Molldrem et al., Blood (1996) 88:2450-7、Molldrem et al., Blood (1997) 90:2529-34)、P15、p190、Pm1/RARα、PRAME、PSA、PSM、PSMA、RAGE、RAS,RCAS1、RU1、RU2、SAGE、SART−1、SART−2、SART−3、SP17、SPAS−1、TEL/AML1、TPI/m、チロシナーゼ、TARP、TRP−1(gp75)、TRP−2、TRP−2/INT2、WT−1、並びに選択的に翻訳されたNY−ESO−ORF2及びCAMELタンパク質が含まれる。
【0103】
いくつかの実施形態において、抗原は腫瘍関連抗原と同一のものではなく、腫瘍関連抗原に由来するものである。例えば、抗原は、腫瘍関連抗原の断片、腫瘍関連抗原の変異体、又は腫瘍関連抗原の変異体の断片を含み得る。いくつかの場合において、腫瘍抗原のような抗原は、配列が宿主に内在性の配列と異なる場合、より顕著な免疫応答を誘発し得る。いくつかの実施形態において、腫瘍関連抗原の変異体又は腫瘍関連抗原の変異体の断片は、腫瘍関連抗原の変異体又はその対応する断片と、1又は複数のアミノ酸が異なっている。腫瘍関連抗原に由来する抗原は、投与すると免疫応答を誘発し得る少なくとも1つのエピトープ配列を含み得る。
【0104】
或いは、抗原は自己免疫疾患に特異的な抗原であり得る。T細胞介在性の自己免疫疾患においては、自己抗原に対するT細胞の応答が自己免疫疾患をもたらす。本発明のワクチンを用いた自己免疫疾患の治療において用いるための抗原のタイプは、自己免疫応答の原因となる特異的T細胞を標的とし得る。例えば、抗原は、自己免疫応答を引き起こすT細胞に特異的なイディオタイプである、T細胞受容体の一部であり得、ここで、本発明のワクチンに組み込まれた抗原は、自己免疫応答を引き起こすこれらのT細胞に特異的な免疫応答を誘発する。これらのT細胞の排除は、自己免疫疾患を軽減するための治療的メカニズムとなる。別の可能性としては、自己免疫疾患において自己抗原に対して生成される抗体を標的とするか、又は抗体を分泌する特異的B細胞クローンを標的とする免疫応答をもたらす抗原を組み込むことである。例えば、イディオタイプ抗原は、そのようなB細胞に対する、及び/又は自己免疫疾患において自己抗原と反応する抗体に対する抗イディオタイプ免疫応答をもたらすリステリア内に組み込むことができる。
【0105】
さらに他の実施形態において、抗原は、神経変性疾患(例えばアルツハイマー病)、代謝性疾患(例えば、I型糖尿病)、及び薬物中毒(例えばニコチン中毒)の発症又は進行に関与する生物学的作用物質から得られるか、又はそれらに由来する。或いは、本方法は、疼痛管理に用いることができ、抗原は、痛み受容体であるか、又は痛みシグナルの伝達に関与する他の作用物質である。
【0106】
異常な細胞増殖の疾患及び障害
ある実施形態において、本発明は、宿主における癌並びに異常な細胞増殖に関連する他の疾患の治療又は予防に用いることができる。宿主は、ヒト及びヒト以外の哺乳動物を含むあらゆる多細胞性の脊椎動物である。一実施形態において、「宿主」はヒトである。「被験体」及び「患者」という用語も「宿主」という用語に含まれる。
【0107】
ある実施形態において、本発明は、腺、胸部、皮膚、並びに、泌尿生殖器系、消化器系、及び呼吸器系の内膜のような上皮組織から生じる腫瘍を含む癌を治療する方法を提供する。肺癌及び前立腺癌を治療又は予防することができる。治療又は予防することができる乳癌には、浸潤性(例えば、浸潤性腺管癌、浸潤性小葉癌、浸潤性腺管及び小葉癌、髄様癌、粘液(膠様)癌、面皰癌、パジェット病、乳頭癌、管状癌、腺癌(NOS)、及び癌(NOS))並びに非浸潤性の癌(例えば、管内癌、上皮内小葉癌(LCIS、lobular carcinoma in situ)、管内及び上皮内小葉癌、乳頭癌、面皰癌)の両方が含まれる。本発明はまた、転移性の乳癌の治療又は予防にも用いることができる。転移性の乳癌の非限定的な例には、骨癌、肺癌、及び肝臓癌が含まれる。
【0108】
本明細書に記載する方法を用いて治療又は予防することができる前立腺癌には、局限性、局所性、及び転移性の前立腺癌が含まれる。限局性の前立腺癌には、A1〜A2、T1a〜T1b、T1c、B0〜B2、又はT2a〜T2cが含まれる。前立腺を超えて広がるがリンパ節には関与しない前立腺癌であるC1〜C2又はT3a〜N0もまた対象である。局所性の前立腺癌にはD1又はN1〜M0が含まれ、転移性の前立腺癌にはD2又はM1が含まれる。転移性の前立腺癌には骨癌及び脳癌が含まれる。
【0109】
ある実施形態において、B7−H1とPD−1の結合を遮断する作用物質を、細胞に基づくワクチンと組み合わせて又はそれと交互に用いて、異常細胞の増殖を治療又は予防する方法を提供する。あるこれらの実施形態において、細胞に基づくワクチンは、予防対象の腫瘍に適合する細胞に基づく。例えば、宿主が前立腺癌を患っているか、又は患う危険性を有する場合、細胞に基づくワクチンは、前立腺癌の腫瘍細胞に基づくものである。これらの場合、細胞は典型的には、放射線照射するか、又は他の方法で複製を防ぐ。特定の実施形態において、細胞は、コロニー刺激因子を分泌するように遺伝子改変されている。
【0110】
本発明を用いて治療又は予防することができる他の癌には、限定はしないが、腸、膀胱、脳、頸部、結腸、直腸、食道、眼、頭頸部、肝臓、腎臓、喉頭、肺、皮膚、卵巣、膵臓、下垂体、胃、睾丸、胸腺、甲状腺、子宮、及び膣の癌、並びに副腎皮質癌、カルチノイド腫瘍、内分泌癌、子宮内膜癌、胃癌、妊娠性絨毛腫瘍、島細胞癌、及び中皮腫が含まれる。
【0111】
本発明を用いて治療又は予防することができるリンパ腫には、ホジキン病及び非ホジキンリンパ腫の両方を含む、リンパ球の過剰な産生を引き起こし得る、リンパ液又は脾臓から生じる腫瘍が含まれる。「ホジキン病」という用語は、当業者に知られている、REAL及び世界保健機関(WHO、World Health Organization)の分類によってそのように分類された疾患を含むものであり、古典的なホジキン病(すなわち、結節性硬化型、混合細胞型、リンパ球減少型、若しくはリンパ球豊富型)又はリンパ球優性型ホジキン病を含む。「非ホジキンリンパ腫」という用語は、WHOにより分類される30のリンパ腫を言うために用いられ(Harris NL, Jaffe ES, Kiebold J, Flandrin G, Muller-Hermelink HK, Vardiman J. Lymphoma classification-from controversy to consensus: the REAL and WHO Classification of lymphoid neoplasms. Ann Oncol. 2000; 11 (suppl1):S3-S10)、限定はしないが、以下のものを含む。
【0112】
小リンパ球性リンパ腫(SLL、small lymphocyticlymphoma/CLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL、mantle cell lymphoma)、濾胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫(MZL、marginal zone lymphoma)、節外性リンパ腫(MALTリンパ腫)、節性リンパ腫(単球様B細胞リンパ腫)、脾リンパ腫、びまん性大細胞型リンパ腫、バーキットリンパ腫、及びリンパ芽球性リンパ腫のような、B細胞非ホジキンリンパ腫。
【0113】
リンパ芽球性リンパ腫、末梢T細胞リンパ腫のような、T細胞非ホジキンリンパ腫。原発性皮膚性及び原発性全身性の両方のタイプを含む、肝脾ガンマ−デルタT細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様リンパ腫、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AILD、angioimmunoblasticT-cell lymphoma)、節外性NK/T細胞リンパ腫、鼻型、腸管T細胞リンパ腫(+/−腸症関連)(EATL、enteropathyassociated T-cell lymphoma)、成人T細胞白血病/リンパ腫(HTLV−1関連)、菌状息肉腫/セザリー症候群、未分化大細胞リンパ腫(ALCL、anaplastic large cell lymphoma)。
【0114】
本発明を用いて治療又は予防することができる白血病には、限定はしないが、慢性及び急性の、骨髄性リンパ性白血病(B細胞白血病若しくはT細胞白血病と呼ばれることもある)、又は骨髄性白血病が含まれる。骨髄性白血病には、慢性骨髄性白血病(CML、chronic myeloid leukemia)及び急性骨髄性白血病(AML、acute myeloid leukemia)(すなわち、急性非リンパ性白血病(ANLL、acute nonlymphocytic leukemia))が含まれる。リンパ性白血病には、急性リンパ性白血病(ALL、acute lymphocytic leukemia)、慢性リンパ性白血病(CLL、chronic lymphocytic leukemia)(すなわち、慢性顆粒球性白血病)、及び有毛細胞白血病(HCL、hairy cell leukemia)が含まれる。
【0115】
本発明を用いて治療又は予防することができる肉腫には、筋肉、腱、線維組織、脂肪、血管、神経、及び滑膜組織の骨肉腫及び軟部組織肉腫の両方が含まれる。非限定的な例には、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、滑膜肉腫、血管肉腫、神経線維肉腫、消化管間質腫瘍、カポジ肉腫、ユーイング肉腫、胞状軟部肉腫、血管肉腫、隆起性皮膚線維肉腫、類上皮肉腫、骨外性軟骨肉腫、骨外性骨肉腫、線維肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、悪性線維性組織球腫、悪性血管周囲細胞腫、悪性間葉腫、悪性神経鞘腫、悪性末梢神経鞘腫瘍、傍骨性骨肉腫、末梢神経外胚葉性腫瘍、横紋筋肉腫、滑膜肉腫、及び肉腫NOSが含まれる。
【0116】
癌以外の、異常な細胞増殖と関連する疾患を、本発明を用いて治療又は予防することができる。血管平滑筋細胞の異常な増殖に関連する他の疾患には、非限定的な例として、良性腫瘍が含まれる。良性腫瘍の非限定的な例には、良性の骨腫瘍、脳腫瘍、及び肝腫瘍が含まれる。
【0117】
異常な細胞増殖に関連する他の疾患には、例えば、アテローム性動脈硬化症及び再狭窄が含まれる。皮膚肥満細胞症(CM、cutaneous mastocytosis)及び色素性じんましんのような、組織肥満細胞の過剰増殖及び過剰蓄積の異常な増殖に関連する疾患も含まれる。限定はしないが、IgA腎症、膜性増殖性糸球体腎炎(GN、glomerulonephritis)、ループス腎炎、及び糖尿病性腎症を含む、メサンギウム細胞の異常な増殖に関連する疾患もまた対象である。
【0118】
限定はしないが、尋常性乾癬、滴状乾癬、逆位乾癬、脂漏性乾癬、爪乾癬、汎発性乾癬性紅皮症(乾癬性剥脱性紅皮症とも呼ばれる)、膿庖性乾癬、及びVon Zumbusch型乾癬を含む乾癬を、本発明によって治療又は予防することができる。
【0119】
本発明はまた、リンパ管筋腫症(LAM、lymphangiomyomatosis)、及び当業者に知られている異常な細胞増殖に関連する他の疾患を治療又は予防するために用いることができる。
【0120】
薬学的組成物
記載した化合物は、薬学的組成物として製剤化することができ、また、経口経路のような全身経路、又は、静脈内経路、筋肉内経路、局所経路、経皮経路、若しくは皮下経路による非経口経路を含む、選択された投与経路に適したあらゆる様々な形態で、ヒトを含む宿主における、本明細書において記載するあらゆる障害のために投与することができる。
【0121】
前記化合物は、インビボで、治療対象の患者において重大な毒性作用を生じさせることなく、癌、若しくは異常細胞の増殖によって特徴づけられる他の疾患又はそれらの症状を治療するための治療有効量を患者に送達するのに十分な量で、薬学的に許容される担体又は希釈剤内に含めることができる。
【0122】
上記の状態のための、B7−H1とPD−1の結合を遮断する作用物質の用量は、1日当たりおよそ1〜75mg/kg体重又は1〜20mg/kg体重の範囲であり、より一般的には、1日当たり、レシピエントの体重のキログラム当たり0.1〜およそ100mgである。プロドラッグの効果的な用量の範囲は、送達される親誘導体の重量に基づいて計算する。
【0123】
化合物は、あらゆる適切な投与形態の単位で都合良く投与され、前記単位には、限定はしないが、単位投与形態当たり7〜3000mg又は7〜1400mgの活性成分を含む単位が含まれる。50〜1000mgの経口投与が通常は都合が良く、より典型的には、50〜500mgである。
【0124】
ある場合において、B7−H1とPD−1の結合を遮断する作用物質は、活性化合物の血漿濃度のピークがおよそ0.2〜70μM又はおよそ1.0〜10μMとなるように投与する。これは例えば、適切な濃度の活性成分を静脈内注射することによりなし得、前記活性物質は、生理食塩水内のものであるか、又は活性成分のボーラスとして投与されてもよい。
【0125】
薬物組成物におけるB7−H1とPD−1の結合を遮断する作用物質の濃度は、抽出物の吸収率、不活性化率、及び排泄率、並びに当業者に知られている他の要素に依存する。用量の値が、軽減対象の状態の重篤性によっても変化することに注意されたい。さらに、あらゆる特定の被験体に対し、特定の投与計画が、個々の要求、及び組成物の投与を管理又は監督する人間による専門的な判断に従って経時的に調整されること、並びに本明細書において説明した濃度の範囲が例示的なものに過ぎず、特許請求の範囲に記載の組成物の実施範囲を制限するものではないことを理解されたい。B7−H1とPD−1の結合を遮断する作用物質は一度で投与し得るか、又は、様々な時間間隔を置いた、より少ない用量の多数の投与に分けることができる。
【0126】
B7−H1とPD−1の結合を遮断する作用物質の投与の一態様は経口投与である。経口組成物は通常、不活性の希釈剤又は食用担体を含む。それらは、ゼラチンカプセル内に封入され得るか、又は錠剤に圧縮され得る。治療的な経口投与のために、活性化合物には賦形剤を組み込むことができ、錠剤、トローチ、又はカプセルの形態で用いる。薬学的に適合する結合剤及び/又はアジュバント物質を、組成物の一部として含めることができる。
【0127】
錠剤、ピル、カプセル、トローチ等は、以下の構成成分又は類似の性質の化合物を含み得る。微結晶性セルロース、トラガカントガム、又はゼラチンのような結合剤、デンプン又はラクトースのような賦形剤、アルギン酸、プリモゲル、又はコーンスターチのような崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム又はステロートのような潤滑剤、コロイド状二酸化ケイ素のような流動促進剤、ショ糖又はサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、サリチル酸メチル、又はオレンジ香料のような着香料。投与単位の形態がカプセルの場合、それは、上記のタイプの物質に加え、脂肪油のような液体担体を含み得る。加えて、投与単位の形態は、投与単位の物理的形態を変化させる様々な他の物質、例えば、糖、セラック、又は他の腸溶性の作用物質によるコーティングを含み得る。
【0128】
B7−H1とPD−1の結合を遮断する作用物質は、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエハース、チューインガム等の構成要素として投与することができる。シロップは、活性化合物に加え、甘味剤としてのショ糖と、一定の保存料、染料及び着色料、並びに香料とを含み得る。化合物はまた、抗生物質、抗真菌物質、抗炎症剤、又は他の抗自己免疫化合物のような、所望の作用を損なわない他の活性物質又は所望の作用を補う物質と混合することができる。非経口的、皮内的、皮下的、又は局所的な適用に用いる溶液又は懸濁液には、注射用水、生理食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、又は他の合成溶媒のような無菌の希釈剤と、ベンジルアルコール又はメチルパラベンのような抗菌剤と、アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウムのような抗酸化剤と、エチレンジアミン四酢酸のようなキレート剤と、酢酸塩、クエン酸塩、又はリン酸塩のような緩衝液と、塩化ナトリウム又はデキストロースのような等張化剤とである構成要素が含まれ得る。親調製物は、ガラス又はプラスチック製の、アンプル、使い捨て注射器、又は複数回投与用のバイアル内に入れることができる。
【0129】
静脈内投与する場合、好ましい担体は、生理食塩水又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS、phosphate buffered saline)である。
【0130】
別の実施形態において、化合物は、インプラント及びマイクロカプセル化した送達系を含む放出制御製剤のように、体からの迅速な排除から誘導体を保護する担体と共に調製する。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸のような、生分解性の生体適合性ポリマーを用いることができる。そのような製剤の調製方法は、当業者に自明である。
【0131】
リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を有する、感染細胞に標的化されたリポソームを含む)もまた、薬学的に許容される担体として典型的である。これらは、例えば米国特許第4,522,811号明細書(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているような、当業者に知られている方法に従って調製することができる。例えば、リポソーム製剤は、適切な(1つ又は複数の)脂質(ステアロイルホスファチジルエタノールアミン、ステアロイルホスファチジルコリン、アラカドイルホスファチジルコリン、及びコレステロールなど)を無機溶媒内に溶解させ、前記溶媒を蒸発させ、容器の表面上に乾燥脂質の薄膜を残すことで調製することができる。次に、活性化合物、又はその一リン酸塩、二リン酸塩、及び/若しくは三リン酸塩誘導体の水性溶液を容器の中に入れる。次に容器を手動で旋回させ、容器の側面から脂質物質を分離させ、脂質の凝集物を分散させ、それによりリポソーム懸濁液を形成する。
【0132】
いくつかの実施形態において、B7−H1とPD−1の結合を遮断する作用物質は、体内でのB7−H1とPD−1の結合を遮断する作用物質の半減期を延長させる組成物内において投与することができる。例えば、B7−H1とPD−1の結合を遮断する作用物質を、ポリエチレングリコールのような分子に結合させることができる。ある実施形態において、例えば受容体に対するリガンドとして、B7−H1とPD−1の結合を遮断する作用物質を細胞に標的化するために、前記分子を用いることができる。いくつかの実施形態において、B7−H1とPD−1の結合を遮断する作用物質が結合すると、1日又は1週間にB7−H1とPD−1の結合を遮断する作用物質を投与する回数が減少する。他の実施形態において、前記結合により、B7−H1とPD−1の結合を遮断する作用物質の経口での利用可能性が増強し得る。
【0133】
ある場合において、組成物はさらに免疫原性アジュバントを含む。抗原、特に組換えにより生産された抗原は、アジュバントと共に投与すると強い応答を誘発し得る。ミョウバンは、ヒトへの使用を認可されているアジュバントであり、コレラ毒素Bのような何百もの実験アジュバントが試験中である。ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)は、ヒトの胃のムチン分泌細胞に選択的にコロニーを形成し、ヒトにおける非びらん性の胃炎のほとんどのケースにおける原因物質である、らせん菌である。最近の調査活動により、高いウレアーゼ活性を有するヘリコバクター・ピロリが、ほとんどの消化性潰瘍及び多くの胃癌の原因であることが示されている。多くの研究により、ureA遺伝子及びureB遺伝子の産物の複合体であるウレアーゼが防御的な抗原であることが示唆されている。
【0134】
抗原を、通常はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)における0.001%〜50%溶液として用いるアジュバントと共に共投与すると、免疫原性が顕著に向上し得る。アジュバントは抗原の免疫原性を増強するが、それ自体は必ずしも免疫原性ではない。リポ多糖のような内因性アジュバントは、通常、ワクチンとして用いる死滅した又は弱毒化した細菌の構成要素である。外因性アジュバントは、典型的には抗原に非共有結合し、宿主の免疫応答を増強させるように製剤されている、免疫調節物質である。水酸化アルミニウム及びリン酸アルミニウム(通常は集合的にミョウバンと呼ばれる)は、ヒト及び動物のワクチンにおいてアジュバントとして通常用いられる。広範な外因性アジュバントが、抗原に対する強力な免疫応答を引き起こし得る。これらには、膜タンパク質抗原と複合したサポニン(免疫刺激複合体)、鉱油を有するプルロリックポリマー、鉱油中の死滅したマイコバクテリア、完全フロイントアジュバント、細菌生成物、例えば、ムラミルジペプチド(MDP、muramyl dipeptide)及びリポ多糖(LPS、lipopolysaccharide)、並びに脂質A及びリポソームが含まれる。液性免疫応答(HIR、humoral immune response)及び細胞介在性の免疫(CMI、cell-mediated immunity)を効果的に誘発するためには、免疫原は典型的にはアジュバント内に乳化している。
【0135】
Lockhoffに対して特許された米国特許第4,855,283号明細書は、それぞれ糖残基がアミノ酸で置換されているN−グリコシルアミド、N−グリコシル尿素、及びN−グリコシルカルバメートを含む糖脂質類似体を、免疫調節物質又はアジュバントとして記載している。Moloneyに対して特許された米国特許第4,258,029号明細書は、オクタデシルチロシン塩酸塩(OTH、octadecyl tyrosine hydrochloride)が、破傷風トキソイド並びにホルマリンで不活性化したI型、II型、及びIII型ポリオウイルスワクチンと複合した場合にアジュバントとして機能することを記載している。組換えB型肝炎表面抗原と複合した芳香族アミノ酸のオクトデシルエステルは、B型肝炎ウイルスに対する宿主の免疫応答を増強させた。Bessler et al., "Synthetic lipopeptides as novel adjuvants", in the 44th Forum In Immunology (1992) at page 548 et seq.は、抗原と組み合わせた場合に、リポペプチドをアジュバントとして使用することを目的としている。リポペプチドは典型的には、脂質化された部分であるP3Cと最大わずか5個のアミノ酸を有し、例えば、P3C−SG、P3C−SK4、P3C−SS、P3C−SSNA、P3C−SSNAである。
【0136】
抗原又はその免疫原性断片は、宿主に投与すると免疫応答を刺激する。一実施形態において、抗原は、特にアジュバントと共に投与する場合、死滅した全肺炎球菌、肺炎球菌の溶解物、又は単離、精製されたPspA、及びそれらの免疫原性断片である(米国特許第6,042,838号明細書参照)。肺炎連鎖球菌細胞の表面タンパク質PspAは、病原性因子及び防御的な抗原であることが実証されている(国際公開第92/14488号パンフレット参照)。PspAに基づくワクチン又は免疫原性組成物を開発するための試みにおいて、PspAは大腸菌において組換え発現されている。PspAを効率よく発現させるためには、Rx1株の成熟PspA分子を切断して、正常な長さである589のアミノ酸から、アミノ酸1〜314を含む314のアミノ酸の長さにすることが有用であることが明らかになっている。PspA分子のこの領域には、全てではないにせよほとんどの、PspAの防御的エピトープが含まれる。組換えPspA及びその断片の免疫原性を向上させることが有用である。さらに、肺炎球菌抗原を、組み合わせて、又は多価組成物において用いることが非常に望ましい。
【0137】
Nardelli et al. (Vaccine (1994), 12(14):1335 1339)は、gp120配列を含む4価の多価抗原ペプチドを脂質部分に共有結合させ、得られた合成リポペプチドをマウスに経口投与した。Croft e al. (J. Immunol. (1991), 146(5):793 796)は、大腸菌から単離した内在性膜タンパク質(Imps、integral membrane proteins)を様々な抗原に共有結合させ、マウス及びウサギに筋肉内注射することにより、増強した免疫応答を得ている。Schlecht et al. (Zbl. Bakt. (1989) 271:493 500)は、合成的に調製した、5個のアミノ酸を有する細菌性リポプロテインの誘導体を補った、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)ワクチンに関するものである。多大な試みが、ライム病のワクチンの開発のために行われている。
【0138】
投与
化合物は通常、治療対象の状態に関連する好ましくない症状及び臨床兆候を軽減するために十分な時間にわたり投与する。一実施形態において、化合物は1日に3回未満で投与する。一実施形態において、化合物は1日に1回又は2回投与する。一実施形態において、化合物は1日に1回投与する。いくつかの実施形態において、化合物は1日に1回、経口投与のみで投与する。ある実施形態において、上述したように、寛容性を誘発する効果を得、免疫抑制剤の使用を減少させるために、抗体を特定の順序及び特定の期間で投与する。
【0139】
活性化合物は、インビボで、重大な毒性作用を生じさせることなく治療的な量の化合物を患者に送達するのに十分な量で、薬学的に許容される担体又は希釈剤内に含める。効果的な用量は、従来の技術を用いることにより、及び類似の状況下で得られた結果を観察することにより、決定することができる。効果的な用量の決定において、限定はしないが、患者の種と、そのサイズ、年齢、及び全般的な健康状態と、罹患している特定の疾患と、疾患の罹患の程度又は重篤性と、個々の患者の応答と、投与する特定の化合物と、投与の形態と、投与する調製物の生物学的利用能の特徴と、選択した投与計画と、併用薬の使用とを含む、多くの要素が考慮される。
【0140】
本明細書において記載する状態のための典型的な全身的な用量は、1日1回の投与又は1日複数回の投与で、1日当たり、0.01mg/kg体重〜1500mg/kg体重である。記載した状態のための用量は典型的には1日当たり0.5〜1500mgである。所望の状態のための、より特定の用量は、1日当たり5〜750mgである。典型的な用量はまた、1日1回の投与又は1日複数回の投与で、0.01〜1500、0.02〜1000、0.2〜500、0.02〜200、0.05〜100、0.05〜50、0.075〜50、0.1〜50、0.5〜50、1〜50、2〜50、5〜50、10〜50、25〜50、25〜75、25〜100、100〜150、又は150mg/kg/日であり得、又はそれ以上であってもよい。一実施形態において、1日当たりの用量は10〜500mg/日である。別の実施形態において、用量は、およそ10〜400mg/日、又はおよそ10〜300mg/日、又はおよそ20〜300mg/日、又はおよそ30〜300mg/日、又はおよそ40〜300mg/日、又はおよそ50〜300mg/日、又はおよそ60〜300mg/日、又はおよそ70〜300mg/日、又はおよそ80〜300mg/日、又はおよそ90〜300mg/日、又はおよそ100〜300mg/日、又はおよそ200mg/日である。一実施形態において、化合物は、およそ1〜およそ5、およそ5〜およそ10、およそ10〜およそ25、又はおよそ25〜およそ50mg/kgの用量で投与する。局所的な利用のための典型的な用量は、活性化合物の重量が0.001〜100%である用量である。
【0141】
薬物組成物における活性化合物の濃度は、薬物の吸収率、不活性化率、及び排泄率、並びに当業者に知られている他の要素に依存する。用量の値が、軽減対象の状態の重篤性によっても変化することに注意されたい。さらに、あらゆる特定の被験体に対し、特定の投与計画が、個々の要求、及び組成物の投与を管理又は監督する人間による専門的な判断に従って経時的に調整されること、並びに本明細書において説明した用量の範囲が例示的なものに過ぎないことを理解されたい。
[実施例]
【実施例1】
【0142】
実施例1:抗B7−H1抗体及びワクチンにより相乗的な反応が得られる
GM−CSF導入ワクチン(GVAX)と抗B7−H1抗体との間の相乗効果が、B16黒色腫の治療において示された。抗B7−H1抗体を産生するハイブリドーマ細胞系を として堆積させた。B7−H1腫瘍にB7−H1遺伝子を導入すると、B7−H1が表面で発現し、その結果、腫瘍ワクチンによる排除からの防御が得られる。同様に、B7−H1に対する遮断抗体により、自然にB7−H1を発現する腫瘍を排除するT細胞の能力が増強する。抗B7−H1遮断抗体を、GM−CSF導入腫瘍ワクチン(GVAX)を用いたワクチン接種と組み合わせた。B16黒色種を5日間有したマウスを、GVAXワクチン又はGVAX+抗B7−H1遮断抗体の組合せで治療したか、又は治療しなかった。結果を図1に示し、これは、GVAXワクチンと抗体との間の相乗効果を示している。組合せにより、40%の長期の生存が得られた。
【実施例2】
【0143】
実施例2:ヒト腎臓癌でのB7−H1の発現は予後不良と相関する。
最近の臨床研究で、ヒト腎臓癌におけるB7−H1の発現と生存率とが比較された。レトロスペクティブ分析において、手術により切除したステージ2及び3の腎臓癌の組織サンプルを、腫瘍細胞及び浸潤性の非腫瘍細胞でのB7−H1の発現について染色した。陽性細胞が5%未満のものを陰性と分類し、陽性細胞が5%超のものを陽性と分類した。長期にわたる癌に特異的な生存率を、2つの群について分析した。この研究により、腫瘍細胞及び腫瘍における浸潤細胞の両方でのB7−H1の発現と予後不良との間の著しい相関が実証された。結果を図2に示す。これらの臨床結果は、ヒトの癌におけるB7−H1の発現、及び浸潤細胞上での誘発されたB7−H1の発現が、免疫攻撃から腫瘍を防御し、それにより腫瘍に有利に働くことを強く示唆している。
【0144】
慢性HCVを有する患者から得たHCV特異的T細胞は、高レベルのPD−1を発現する。肝臓は高レベルのB7−H1を発現することが知られているため、PD−1を発現するT細胞は、B7−H1/PD−1の相互作用による阻害により、HCVに感染した肝細胞の排除を阻害されると考えられる。これらの相互作用は、HCVワクチンにより誘発されるT細胞の活性も阻害し、霊長類モデルにおいてなぜこれまでに治療的なHCVワクチンのいずれもがHCVを消すことができなかったかを説明し得る。インビトロでのヒトのT細胞応答を増幅する抗ヒトB7−H1抗体を産生した。慢性HCVを有する患者から得たCD8+細胞を、HCV特異的HLA−A2四量体及び抗PD−1抗体で染色した。HCV特異的CD8T細胞の大部分は高レベルのPD−1を発現する(図3)。
【実施例3】
【0145】
実施例3:PD−1/B7−H1の早期の遮断はインビボでのエフェクターサイトカインの産生を向上させ、インビボでの機能的寛容性を逆転させる。
B7−H1/PD−1相互作用の1つの役割は、T細胞が寛容性となるか活性化されるかの早期の決定にある。図4及び5は、IFN−γの産生及びインビボでのCTL活性により測定したところ、抗原が自己抗原として発現している動物にナイーブ抗原特異的CD8T細胞を導入する際に、抗体によりB7−H1又はPD−1を遮断することにより、寛容性の誘発よりも活性化が生じることを示している。
【0146】
Thy1.1にコンジェニックのHA特異的CD8T細胞を宿主に養子導入し、4日目に採取した。PD−1遮断抗体カクテル(30mg/ml)の存在下又は不在下での、1mg/mlのHAクラスI Kdペプチド(IYSTVASSL)を用いたインビトロでの刺激の5時間後に、IFN−gについての細胞内染色を実施した。別途、HA特異的CD8T細胞をc3−HAlow動物に養子導入し、養子導入の際に100mgの抗体をi.p.注射して、PD−1/B7−H1又はB7−DCをインビボで遮断した。IFN−γについての細胞内染色を、養子導入の6日後に実施した。別途、CFSE又はPKH−26で標識した、HAペプチドを取り込ませた標的を6日目に導入することにより、T細胞による特異的溶解をアッセイした。WT、B7−H1 KO、及びB7−DC KOの動物から得た標的を差次的に標識し(方法参照)、同時に投与した。
【0147】
B7−H1に対する抗体がPD−1に対する抗体よりも格段に強力な効果を有することに注意されたい。さらに、抗B7−H1抗体を伴う、ペプチドの免疫化により、寛容性T細胞の不活化された状態が逆転し得、その結果、エフェクターT細胞が活性化する。これらの結果を図6aに示す。B6マウスにOT−1細胞を付与し、その後、0.5mgのOVAペプチドをi.v.投与した。10日後、マウスに、0.5mgのOVAペプチドの存在下又は不在下で、対照であるハムスターIgG、抗B7−H1 mAb、抗B7−DC mAb、又は抗PD−1 mAbを100mg付与した。血液をマウスから採取し、各マウスに存在するOT−1細胞のパーセンテージをFACSにより分析した。
【0148】
ペプチドワクチン接種を伴わない抗B7−H1抗体では寛容性が逆転しなかったため、この寛容性の逆転は、ペプチドワクチン接種及び抗B7−H1抗体の投与の両方に依存している。この結果はさらに、ワクチンと抗B7−H1抗体との組合せが寛容性の逆転における相乗効果に重要であることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワクチンの効力を増強する方法であって、その必要がある宿主に、B7−H1とPD−1の相互作用を遮断する作用物質とワクチンとの組合せを投与するステップを含む方法。
【請求項2】
宿主における異常細胞の増殖を治療又は予防する方法であって、その必要がある宿主に、B7−H1とPD−1の相互作用を遮断する作用物質と癌に対するワクチンとの組合せを投与するステップを含む方法。
【請求項3】
ワクチンが哺乳動物細胞に基づくワクチンである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
哺乳動物細胞に基づくワクチンが哺乳動物の全細胞である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
哺乳動物細胞が顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)を分泌する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
抗癌剤を投与するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
宿主が癌であると診断されている、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
B7−H1とPD−1との結合を遮断する作用物質が抗体である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
抗体がB7−H1に結合し、B7−H1とPD−1との相互作用を阻害する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
宿主における慢性感染症を治療する方法であって、その必要がある宿主に、B7−H1とPD−1の相互作用を遮断する作用物質と抗原との組合せを投与するステップを含む方法。
【請求項11】
B7−H1とPD−1との結合を遮断する作用物質が抗体である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
抗体がB7−H1に結合し、B7−H1とPD−1との相互作用を阻害する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
宿主が慢性感染症に罹患している、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
感染がウイルスに起因する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
B7−H1とPD−1との結合を遮断する作用物質及びワクチンを、必要に応じて薬学的に許容される担体内に含む組成物。
【請求項16】
B7−H1とPD−1の結合を遮断する作用物質が抗体である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
静脈注射に適している、請求項15に記載の組成物。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−504356(P2010−504356A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529398(P2009−529398)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/079058
【国際公開番号】WO2008/085562
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(503392851)ザ ジョンズ ホプキンス ユニバーシティー (7)
【Fターム(参考)】