説明

抗ICAM−1抗体、使用、及び方法

本発明は、ICAM−1に対する結合特性を有する抗体又はその抗原結合断片、及び多発性骨髄腫などの癌の治療のための医薬におけるその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌、特に多発性骨髄腫の治療のための、ICAM−1に対する結合特異性を有する抗体若しくはその抗原結合断片、又はICAM−1に対する結合特異性を有する前記抗体若しくは抗原結合断片のバリアント、融合体、若しくは誘導体に関する。本発明は、そのような抗体、断片、バリアント、融合体、及び誘導体の投与方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
多発性骨髄腫(骨髄腫とも称される)は、B細胞の悪性腫瘍であり、全血液悪性腫瘍の10から20%を占める。現在では、65から70歳の診断時の年齢中央値である不治の病であり、40歳未満で診断される患者は非常に少ない。米国では、2008年、19,920の新たな多発性骨髄腫のケース及び10,000を超える死亡が骨髄腫に関連すると予測されている(American Cancer Society, 2008)。前記疾患は、僅かに男性で優性であり、アフリカ系米国人でより頻繁に認められ、アジア系では比較的一般的ではない(Kyle & Rajkumar, Blood. 2008 Mar 15;111(6):2962-72. Review)。
【0003】
骨髄腫と診断されると、極めて予後不良であり、現在得られる治療では3から4年の生存期間の中央値である。しかしながら、臨床パターンは、無痛の態様(例えば、くすぶり型骨髄腫)から最適な治療をしても2年の生存期間の中央値である高リスクの疾患まで連続している(Kyle & Rajkumar, Blood. 2008 Mar 15;111(6):2962-72. Review)。
【0004】
骨髄腫の典型的な臨床像は、病気による骨折、特に胸郭又は脊柱における骨折による重度の痛みを有する患者である(Kyle & Rajkumar, 2004, N Engl J Med. 2004 Oct 28;351(18):1860-73. Review)。他の一般的な特徴は、腎不全、高カルシウム血症、貧血及び血小板減少症を伴う骨髄機能不全、並びに感染及び血栓塞栓性合併症、たとえば、血栓症及び肺塞栓症のリスクの増大である。臓器不全が、AL−アミロイドーシスと称される免疫グロブリン軽鎖の繊維状凝集の病的な沈着によって生じる場合がある。それが存在する際は、典型的には、心臓及び腎臓に影響を与えて、重度の心臓不整脈及び/又は心不全、並びに腎臓の機能不良及び腎不全の各々を生じさせる。
【0005】
近年では、多発性骨髄腫の病因及び分子メカニズムの理解において大幅な進展が為されている。遺伝学的研究によって、多数の異なる染色体の変化が生じ、この疾患と関連する予後予測因子をもたらす場合が多いことが明らかにされている。簡潔に述べると、これらの染色体転座は、免疫グロブリン(Ig)H遺伝子座(14q32.3)に関連する場合が多く、Igエンハンサーによって促進されるセグメントに各種のトランスフォーミング遺伝子を並置し、発現調節不全及び潜在的に悪性のトランスフォームを生じさせる(Hideshima et al. Nat Rev Cancer. 2007. 7(8): 585-598)。骨髄腫におけるボルテゾミブを用いたプロテアソーム阻害の治療効果は、インビトロで骨髄腫細胞において初めて実証され、おそらく直接的な細胞傷害の結果であり、かつ、接着分子並びに各種の増殖、生存、及び血管新生因子の発現低下の結果である(Kyle & Rajkumar N Engl J Med. 2004 Oct 28;351(18):1860-73. Review)。転写因子であるNFκBは、正常な調節因子タンパク質であるIκBのプロテアソームによる分解によって骨髄腫において活性が促進されており、ボルテゾミブはプロテアソーム活性を阻害することによってNFκBホメオスタシスを回復させる。
【0006】
破骨細胞、上皮細胞、骨髄幹細胞、及び細胞外マトリックスタンパク質からなる骨髄微環境は、多発性骨髄腫の発病に重要な役割を担っており(Hideshima et al.,Nat Rev Cancer. 2007. 7(8): 585-598)、悪性形質細胞の増殖、生存、及び薬剤耐性を媒介する因子を提供する。骨髄腫細胞によって発現される各種の接着分子、例えば、ICAM−1は、この相互作用に重要である。
【0007】
細胞間接着分子−1(ICAM−1)は、骨髄腫(Huang, et al. Hybridoma. 1993. 12(6): 661-675; Huang et al. Cancer Res. 1995. 55(3): 610-616; Smallshaw et al. Immunother 1997. 2004. 27(6): 419-424; Schmidmaier, Int J Biol Markers. 2006. 21(4): 218-222)、メラノーマ(Wang et al. Int J Cancer. 2006. 118(4): 932-941; Johnson et al., Immunobiology. 1988. 178(3): 275-284)、肺癌(Grothey et al. Br J Cancer. 1998. 77(5): 801-807)、胃癌(Maruo et al. Int J Cancer. 2002. 100(4): 486-490)、膀胱癌(Roche et al. Thromb Haemost. 2003. 89(6): 1089-1097)、乳癌(Rosette C, et al. Carcinogenesis. 2005. 26(5): 943-950)、前立腺癌(Aalinkeel R et al. Cancer Res 2004. 64(15): 5311-21)、及びリンパ腫(Horst et al. Leukemia. 1991. 5(10): 848-853)を含む、多数のタイプのヒト悪性腫瘍で高発現しており、かつ、それらの発症に関与している。ICAM−1の発現増大は、薬剤誘発性耐性(Schmidmaier et al. Int J Biol Markers. 2006. 21(4): 218-222)、腫瘍細胞攻撃性(Miele et al., Exp Cell Res 214 (1), 231 1994)、及び乏しい予後(Dowlati et al., Clin Cancer Res 14 (5), 1407 (2008))の進展に関連する。
【0008】
より若い患者(すなわち、65歳未満の年齢)における骨髄腫の標準的な治療は、ビンクリスチン−アドリアマイシン−デキサメタゾン、その後に、自己幹細胞のサポートとともに高用量のメルファランで調節することからなる。過去10年間の間に、この療法は、少数のみの患者の骨髄で完全寛解を達成するが、生存期間の中央値を約1年まで延長することが示された(Harousseau JL. Hematology Am Soc Hematol Educ Program. 2008;2008:306-12)。高用量の治療に付随するリスクのために、高齢の患者は、プレドニソンとの併用で低用量のメルファランを用いた治療が主に提供されている。
【0009】
近年では、他の治療法が、再発性骨髄腫の治療に提案されている。これらの新規薬剤は、プロテアソーム阻害剤であるボルテゾミブ(Velcade(登録商標){ベルケイド})、及び「免疫調節」薬であるサリドマイド及びレナリドマイド(Revlimid(登録商標))を含み、治療の選択肢の顕著な進展である。これらの薬剤を摂取した再発性骨髄腫患者の全奏功率は、通常、約30%であるが、前記薬剤を間欠的にデキサメタゾンと併用した際は一般的により高い。これらの知見に基づいて、デキサメタゾン及び/又は化学療法と併用した新規薬剤は、骨髄腫の一次治療として現在臨床試験中であり(http://clinicaltrials.gov/ct2/search)、暫定的な結果が期待される(American Society of Hematology, December 6-9, 2008)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Kyle & Rajkumar, Blood. 2008 Mar 15;111(6):2962-72
【非特許文献2】Hideshima et al. Nat Rev Cancer. 2007. 7(8): 585-598
【非特許文献3】Kyle & Rajkumar N Engl J Med. 2004 Oct 28;351(18):1860-73
【非特許文献4】Huang, et al. Hybridoma. 1993. 12(6): 661-675
【非特許文献5】Huang et al. Cancer Res. 1995. 55(3): 610-616
【非特許文献6】Smallshaw et al. Immunother 1997. 2004. 27(6): 419-424
【非特許文献7】Schmidmaier, Int J Biol Markers. 2006. 21(4): 218-222
【非特許文献8】Wang et al. Int J Cancer. 2006. 118(4): 932-941
【非特許文献9】Johnson et al., Immunobiology. 1988. 178(3): 275-284
【非特許文献10】Grothey et al. Br J Cancer. 1998. 77(5): 801-807
【非特許文献11】Maruo et al. Int J Cancer. 2002. 100(4): 486-490
【非特許文献12】Roche et al. Thromb Haemost. 2003. 89(6): 1089-1097
【非特許文献13】Rosette C, et al. Carcinogenesis. 2005. 26(5): 943-950
【非特許文献14】Aalinkeel R et al. Cancer Res 2004. 64(15): 5311-21
【非特許文献15】Horst et al. Leukemia. 1991. 5(10): 848-853
【非特許文献16】Schmidmaier et al. Int J Biol Markers. 2006. 21(4): 218-222
【非特許文献17】Miele et al., Exp Cell Res 214 (1), 231 1994
【非特許文献18】Dowlati et al., Clin Cancer Res 14 (5), 1407 (2008)
【非特許文献19】http://clinicaltrials.gov/ct2/search
【非特許文献20】Rajkumar Blood. 2005. 106(13): 4050-4053
【非特許文献21】Richardson et al. Blood. 2006. 108(10): 3458-3464
【非特許文献22】Richardson et al. N Engl J Med. 2005. 352(24): 2487-2498
【非特許文献23】Singhal et al. N Engl J Med. 1999. 341(21): 1565-1571
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
再発性骨髄腫患者の従来の治療法と比較して、ボルテゾミブ、レナリドマイド、及びサリドマイドは生存に有益であることを示すが(Rajkumar Blood. 2005. 106(13): 4050-4053; Richardson et al. Blood. 2006. 108(10): 3458-3464; Richardson et al. N Engl J Med. 2005. 352(24): 2487-2498; Singhal et al. N Engl J Med. 1999. 341(21): 1565-1571)、長期生存期間の増大又は治癒という目標は未だ達成されていない。さらに、前記新規薬剤は、深刻な副作用、例えば、血栓塞栓症、神経障害、並びに免疫及び骨髄抑制のリスクの増大も有しており、このことが大多数の患者におけるそれらの使用を制限する。
【0012】
新規治療法の開発における最近の進展にもかかわらず、患者の生存率及び生活の質に対するこれらの薬剤の実際の利益は小さく、このことは、多発性骨髄腫を治療するより効果的かつ補完的な新規治療法の開発を正当化する。したがって、骨髄腫治療のための新規の潜在的な標的及び薬剤が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の課題は、本発明によって解決される。
【0014】
第一の態様では、本発明は、
抗体又はその抗原結合断片が、以下のアミノ酸配列:
FSNAWMSWVRQAPG [配列番号1]; 及び/又は
AFIWYDGSNKYYADSVKGR [配列番号2]; 及び/又は
ARYSGWYFDY [配列番号3]; 及び/又は
CTGSSSNIGAGYDVH [配列番号4]; 及び/又は
DNNNRPS [配列番号5]; 及び/又は
CQSYDSSLSAWL [配列番号6]
の1つ又は複数を含む、
ICAM−1に対する結合特異性を有する抗体又はその抗原結合断片、又はICAM−1に対する結合特異性を有する、前記抗体若しくは抗原結合断片のバリアント、融合体、若しくは誘導体、又は前記バリアント若しくは誘導体の融合体の、
有効量の抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体を治療が必要な患者に投与する工程を含む癌の治療のための医薬の製造における使用を提供する。
【0015】
第二の態様では、本発明は、
抗体又はその抗原結合断片が、以下のアミノ酸配列:
FSNAWMSWVRQAPG [配列番号1]; 及び/又は
AFIWYDGSNKYYADSVKGR [配列番号2]; 及び/又は
ARYSGWYFDY [配列番号3]; 及び/又は
CTGSSSNIGAGYDVH [配列番号4]; 及び/又は
DNNNRPS [配列番号5]; 及び/又は
CQSYDSSLSAWL [配列番号6]
の1つ又は複数を含む、
有効量の抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体を治療が必要な患者に投与する工程を含む癌の治療において使用するための、
ICAM−1に対する結合特異性を有する抗体又はその抗原結合断片、又はICAM−1に対する結合特異性を有する、前記抗体若しくは抗原結合断片のバリアント、融合体、若しくは誘導体、又は前記バリアント若しくは誘導体の融合体を提供する。
【0016】
第三の実施態様では、本発明は、
抗体又はその抗原結合断片が、以下のアミノ酸配列:
FSNAWMSWVRQAPG [配列番号1]; 及び/又は
AFIWYDGSNKYYADSVKGR [配列番号2]; 及び/又は
ARYSGWYFDY [配列番号3]; 及び/又は
CTGSSSNIGAGYDVH [配列番号4]; 及び/又は
DNNNRPS [配列番号5]; 及び/又は
CQSYDSSLSAWL [配列番号6]
の1つ又は複数を含む、
ICAM−1に対する結合特異性を有する抗体又はその抗原結合断片、又はICAM−1に対する結合特異性を有する、前記抗体若しくはその抗原結合断片のバリアント、融合体、若しくは誘導体、又は前記バリアント若しくは誘導体の融合体の有効量を治療が必要な患者に投与する工程を含む、個体の癌を治療するための方法を提供する。
【0017】
後述の実施例においても記載しているとおり、本発明者は、驚くべきことに、癌(例えば、多発性骨髄腫)が、ICAM−1に対する結合特異性を有し、かつ、配列番号1から6の1つ又は複数を含む抗体又は抗原結合断片(又は前記抗体若しくは抗原結合断片のバリアント、融合体、若しくは誘導体)を使用して効果的に治療することができることを発見した。当業者は、配列番号1から6の上記アミノ酸配列は相補性決定領域(CDR)を表わすことを解するであろう。
【0018】
したがって、本発明は、多発性骨髄腫などの癌を治療するための新規手法及び/又は療法を提供する。
【0019】
多発性骨髄腫は、トランスフォームした形質細胞に由来する悪性のクローン疾患である。前記疾患の独特の特徴は、悪性細胞が、IgG又はIgAタイプ(まれにIgD又はIgE)の形態のいずれかでモノクローナル免疫グロブリン(Ig)、又は軽鎖(κ若しくはλ)、又はそれらの双方を分泌することである。しかしながら、(血液又は尿中に)モノクローナル免疫グロブリンが見出されることは必須ではなく、5から15%のケースにおいて、骨髄腫は「非分泌性」と分類される。
【0020】
骨髄腫の典型的な臨床像は、病気による骨折、特に胸郭又は脊柱における骨折によって生じる重度の痛みを有する患者である。他の一般的な特徴は、糸球体又は尿細管の機能を妨げる遊離の軽鎖によって生じる腎不全、及び骨髄の破骨細胞活性の促進に続発する高カルシウム血症を含む。形質細胞クローンによる過度の骨髄浸潤及び造血成長因子に対する擬似悪性(paramalignant)治療抵抗性のために貧血及び血小板減少症を伴う骨髄機能不全が一般的である。臓器不全は、アミロイド軽鎖アミロイドーシスと称される免疫グロブリン軽鎖の繊維状凝集物の病的な沈着によって生じる場合がある。臓器不全は、典型的には、心臓及び腎臓に関与し、重度の心臓不整脈/心不全及びネフローゼ症候群の各々を生じさせる。アミロイド軽鎖アミロイドーシスにおいて出血性素因も一般的である。要するに、この癌のタイプによる死亡は、骨髄抑制、腎不全、免疫不全、血栓塞栓症、又は重要臓器のアミロイドーシスの結果である場合が多い。
【0021】
「治療」は、対象/患者の治療的処置及び予防的処置の双方を含む。用語「予防的」は、患者又は対象の癌(例えば、多発性骨髄腫)の発生又は発症を妨げるか又はその発生又は発症の可能性を低減する、本明細書に記載するポリペプチド又は組成物の使用を含む。
【0022】
本明細書で使用する「治療上有効量」又は「有効量」又は「治療に有効」は、所定の疾患及び投与計画で治療効果を提供する量である。これは、必要な添加剤及び希釈剤、すなわち、担体又は投与媒体とともに所望の治療効果を生じるように計算される活性物質の所定量である。さらに、ホストの活性、機能、及び反応における臨床的に顕著な不足を低減又は妨げるのに十分な量を意味することを意図する。代替的には、治療上有効量は、ホストにおける臨床的に顕著な疾患の改善を生じさせるのに十分である。
【0023】
好ましい実施態様では、本発明の第一及び第二の態様の使用並びに本発明の第三の態様の方法は、約0.02mg/kgから20mg/kgの量の抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体を治療が必要な患者に投与する工程を含む。
【0024】
後述の実施例は、本発明の例示の抗体(「BI−AB」と称する)が、多発性骨髄腫に対して顕著なインビボ及びインビトロ活性を有することを実証する。
【0025】
さらに、後述の実施例は、BI−ABが、0.016mg/kg、0.16mg/kg、及び1.6mg/kgの用量で投与される際に顕著なインビボ抗骨髄腫効果を有し(例えば、図2を参照のこと)、より高用量の(例えば、20mg/kg)のリツキシマブ(登録商標)投与と比較して同程度又は改善した活性を示すことを実証する。
【0026】
したがって、本明細書に記載の抗体は、リツキシマブ(登録商標)よりさらに低用量で投与することができるため、特に有利である。治療効果を保持しながら、患者に対して低用量の抗体を投与して、患者の治療コストを低減し、患者の副作用の数及び程度を低減し(入院をより少なくし)、かつ、患者の注入細胞毒性を低減することが望ましいことは容易に理解されるであろう。
【0027】
特に好ましい実施態様では、患者に投与される抗体、抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の量は、おおよそ、0.02mg/kgから0.10mg/kg;又は0.10mgから0.20mg/kg;又は0.20mgから0.30mg/kg;又は0.30mgから0.40mg/kg;又は0.40mgから0.50mg/kg;又は0.50mgから0.60mg/kg;又は0.60mgから0.70mg/kg;又は0.70mgから0.80mg/kg;又は0.80mgから0.90mg/kg;又は0.90mgから1.00mg/kg;又は1.00mgから1.10mg/kg;又は1.10mgから1.20mg/kg;又は1.20mgから1.30mg/kg;又は1.30mgから1.40mg/kg;又は1.40mgから1.50mg/kg;又は1.50mgから1.60mg/kg;又は1.60mgから1.70mg/kg;又は1.70mgから1.80mg/kg;又は1.80mgから1.90mg/kg;又は1.90mgから2.00mg/kg;又は2.00mg/kgから2.10mg/kg;又は2.10mgから2.20mg/kg;又は2.20mgから2.30mg/kg;又は2.30mgから2.40mg/kg;又は2.40mgから2.50mg/kg;又は2.50mgから2.60mg/kg;又は2.60mgから2.70mg/kg;又は2.70mgから2.80mg/kg;又は2.80mgから2.90mg/kg;又は2.90mgから3.00mg/kg;又は3.00mgから3.10mg/kg;又は3.10mgから3.20mg/kg;又は3.20mgから3.30mg/kg;又は3.30mgから3.40mg/kg;又は3.40mgから3.50mg/kg;又は3.50mgから3.60mg/kg;又は3.60mgから3.70mg/kg;又は3.70mgから3.80mg/kg;又は3.80mgから3.90mg/kg;又は3.90mgから4.00mg/kg;又は4.00mgから4.10mg/kg;又は4.10mgから4.20mg/kg;又は4.20mgから4.30mg/kg;又は4.30mgから4.40mg/kg;又は4.40mgから4.50mg/kg;又は4.50mgから4.60mg/kg;又は4.60mgから4.70mg/kg;又は4.70mgから4.80mg/kg;又は4.80mgから4.90mg/kg;又は4.90mgから5.00mg/kg;又は5.00mg/kgから6.00mg/kg;又は6.00mgから7.00mg/kg;又は7.00mgから8.00mg/kg;又は8.00mgから9.00mg/kg;又は9.00mgから10.00mg/kg;又は10.00mgから11.00mg/kg;又は11.00mgから12.00mg/kg;又は12.00mgから13.00mg/kg;又は13.00mgから14.00mg/kg;又は14.00mgから15.00mg/kg;又は15.00mgから16.00mg/kg;又は16.00mgから17.00mg/kg;又は17.00mgから18.00mg/kg;又は18.00mgから19.00mg/kg;又は19.00mgから20.00mg/kgの間である。
【0028】
代替的な実施態様では、患者に投与される抗体、抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の量は、おおよそ、0.02mg/kg;又は0.03mg/kg;又は0.04mg/kg;又は0.05mg/kg;又は0.06mg/kg;又は0.07mg/kg;又は0.08mg/kg;又は0.09mg/kg;又は0.10mg/kg;又は0.15mg/kg;又は0.20mg/kg;又は0.25mg/kg;又は0.30mg/kg;又は0.35mg/kg;又は0.40mg/kg;又は0.45mg/kg;又は0.50mg/kg;又は0.60mg/kg;又は0.70mg/kg;又は0.80mg/kg;又は0.90mg/kg;又は1.00mg/kg;又は1.10mg/kg;又は1.20mg/kg;又は1.30mg/kg;又は1.40mg/kg;又は1.50mg/kg;又は1.60mg/kg;又は1.70mg/kg;又は1.80mg/kg;又は1.90mg/kg;又は2.00mg/kg;又は2.10mg/kg;又は2.20mg/kg;又は2.30mg/kg;又は2.40mg/kg;又は2.50mg/kg;又は2.60mg/kg;又は2.70mg/kg;又は2.80mg/kg;又は2.90mg/kg;又は3.00mg/kg;又は3.10mg/kg;又は3.20mg/kg;又は3.30mg/kg;又は3.40mg/kg;又は3.50mg/kg;又は3.60mg/kg;又は3.70mg/kg;又は3.80mg/kg;又は3.90mg/kg;又は4.00mg/kg;又は4.10mg/kg;又は4.20mg/kg;又は4.30mg/kg;又は4.40mg/kg;又は4.50mg/kg;又は4.60mg/kg;又は4.70mg/kg;又は4.80mg/kg;又は4.90mg/kg;又は5.00mg/kg;又は6.00mg/kg;又は7.00mg/kg;又は8.00mg/kg;又は9.00mg/kg;又は10.00mg/kg;又は11.00mg/kg;又は12.00mg/kg;又は13.00mg/kg;又は14.00mg/kg;又は15.00mg/kg;又は16.00mg/kg;又は17.00mg/kg;又は18.00mg/kg;又は19.00mg/kg;又は20.00mg/kgである。
【0029】
本発明の第一、第二、及び第三の態様の好ましい実施態様では、前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量が、
0.02 mg/kgから0.03 mg/kgの間;又は
0.02 mg/kgから0.30 mg/kgの間;又は
0.02 mg/kgから0.10 mg/kgの間;又は
0.10 mg/kgから0.30 mg/kgの間から選択される、使用又は方法を提供する。
【0030】
より好ましくは、前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量は、0.016 mg/kg;又は0.02 mg/kg;又は0.03 mg/kg;又は0.10 mg/kg;又は0.16 mg/kg;又は0.30 mg/kgから選択される。
【0031】
抗体を用いた治療が、癌細胞を標的とし、かつ、周囲の組織を回避する機能において低毒性であることと併せて治療上の利益を与えることも当業者に理解されるであろう。認容性は、免疫グロブリンの動的作用、ナチュラルキラー(NK)細胞媒介細胞死などの生理的メカニズムの利用、又は腫瘍細胞の壊死ではなくアポトーシスを直接誘導することを反映している可能性がある。
【0032】
当業者に理解されるとおり、化合物の正確な量は、その特定の活性に依存して変化してよい。適切な用量は、必要な希釈剤とともに所望の治療効果をもたらすように計算された活性組成物の所定量を含んでよい。本発明の組成物の製造のための方法及び使用において、活性成分の治療上有効量が提供される。治療上有効量は、当該技術分野でよく知られているとおり、年齢、体重、性別、状態、合併症、他の疾患などの患者の特徴に基づいて当業者又は獣医者によって決定され得る。
【0033】
第四の態様では、本発明は、
抗体又はその抗原結合断片が、以下のアミノ酸配列:
FSNAWMSWVRQAPG [配列番号1]; 及び/又は
AFIWYDGSNKYYADSVKGR [配列番号2]; 及び/又は
ARYSGWYFDY [配列番号3]; 及び/又は
CTGSSSNIGAGYDVH [配列番号4]; 及び/又は
DNNNRPS [配列番号5]; 及び/又は
CQSYDSSLSAWL [配列番号6]
の1つ又は複数を含む、
ICAM−1に対する結合特異性を有する抗体若しくはその抗原結合断片、又はICAM−1に対する結合特異性を有する、前記抗体若しくは抗原結合断片のバリアント、融合体、若しくは誘導体、又は前記バリアント若しくは誘導体の融合体の、
一週間に一度以下の頻度において、単回用量で、前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量を治療が必要な患者に投与する工程を含む癌の治療のための医薬の製造における使用を提供する。
【0034】
第五の態様では、本発明は、
抗体又はその抗原結合断片が、以下のアミノ酸配列:
FSNAWMSWVRQAPG [配列番号1]; 及び/又は
AFIWYDGSNKYYADSVKGR [配列番号2]; 及び/又は
ARYSGWYFDY [配列番号3]; 及び/又は
CTGSSSNIGAGYDVH [配列番号4]; 及び/又は
DNNNRPS [配列番号5]; 及び/又は
CQSYDSSLSAWL [配列番号6]
の1つ又は複数を含む、
一週間に一度以下の頻度において、単回用量で、前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量を治療が必要な患者に投与する工程を含む癌の治療に使用するための、
ICAM−1に対する結合特異性を有する抗体若しくはその抗原結合断片、又はICAM−1に対する結合特異性を有する、前記抗体若しくは抗原結合断片のバリアント、融合体、若しくは誘導体、又は前記バリアント若しくは誘導体の融合体を提供する。
【0035】
第六の態様では、本発明は、
抗体又はその抗原結合断片が、以下のアミノ酸配列:
FSNAWMSWVRQAPG [配列番号1]; 及び/又は
AFIWYDGSNKYYADSVKGR [配列番号2]; 及び/又は
ARYSGWYFDY [配列番号3]; 及び/又は
CTGSSSNIGAGYDVH [配列番号4]; 及び/又は
DNNNRPS [配列番号5]; 及び/又は
CQSYDSSLSAWL [配列番号6]
の1つ又は複数を含む、
ICAM−1に対する結合特異性を有する抗体若しくはその抗原結合断片、又はICAM−1に対する結合特異性を有する、前記抗体若しくは抗原結合断片のバリアント、融合体、若しくは誘導体、又は前記バリアント若しくは誘導体の融合体の有効量を、一週間に一度以下の頻度において単回用量で治療が必要な患者に投与する工程を含む、個体の癌を治療するための方法を提供する。
【0036】
本発明の第四、第五、及び第六の態様の方法及び使用において、前記抗体、抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体は、単回用量で治療が必要な患者に投与される。
【0037】
本発明の第四、第五、及び第六の態様は、前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量が、
八日に一度;又は
九日に一度;又は
十日に一度;又は
十一日に一度;又は
十二日に一度;又は
十三日に一度;又は
十四日に一度;又は
二十一日に一度
から選択される頻度において、単回用量で投与される使用又は方法を提供することが特に好ましい。
【0038】
本発明の第四、第五、及び第六の態様において投与される抗体、抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量は、本発明の第一、第二、及び第三の態様に関して上述したとおりである。
【0039】
「単回用量」は、一度に、例えば、治療において実質的若しくは顕著な中断若しくは途絶がなく、又は、顕著若しくは実質的な期間にわたる用量の分割がなく、連続した一度の所定の治療で抗体、抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の全用量を患者に投与することを意味すると解されるであろう。
【0040】
抗体、抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の単回用量は、患者が連続的な1回の所定の治療期間で単回用量を摂取するように、1つ又は複数の投与経路によって投与されてよい。
【0041】
例えば、前記単回用量は、単回注射、単回静脈内注射、若しくは単回皮下注射によって、又は下記の他の投与経路を使用する一つの手段によって投与されてよい。代替的には、前記単回用量は、連続的な一回の所定の治療期間において患者に全用量を送達する、同時又は連続的に提供される2以上の注射によって;連続的な1回の所定の治療において患者に全用量を送達する、同時又は連続的に提供される2以上の静脈内注射によって;又は下記の他の投与経路を使用する複数の手段によって、患者に投与されてよい。
【0042】
代替的には、患者に投与する単回用量は、連続的な1回の所定の治療において患者に全用量を送達する経路の組み合わせによって送達され得る。
【0043】
好ましくは、本発明の第四、第五、及び第六の態様の使用及び方法において投与される用量は、本発明の第一、第二、及び第三の態様に関して上述したとおりである。
【0044】
本発明の第四、第五、及び第六の態様の方法及び使用では、前記抗体、抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体が、一週間に一度(すなわち、7日に一度)の頻度で治療が必要な患者に投与されるか又は一週間に一度よりも少ない頻度で投与される。
【0045】
例えば、前記抗体、抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体が、八日に一度;又は九日に一度;又は十日に一度;又は十一日に一度;又は十二日に一度;又は十三日に一度;又は十四日に一度;又は二十一日に一度;又は二十八日に一度の頻度で治療が必要な患者に投与されてよい。
【0046】
好ましくは、治療頻度は、一月;又は二月;又は三月;又は四月;又は五月;又は六月;又は七月;又は八月;又は九月;又は十月;又は十一月;又は一年;又は二年;又は三年;又は四年;又は五年以上の全治療期間にわたって反復される。
【0047】
本発明の第四、第五、及び第六の態様の方法及び使用の利点は、患者に対する治療手段の頻度及び/又は程度における低減であると解されるであろう。(例えば、治療スタッフの必要な時間がより少ないため)患者治療の全コストを低減し、(例えば、投与がより少なく及び/又はより低頻度で実施されるため)患者の不快感を低減する。
【0048】
第七の態様では、本発明は、
抗体又はその抗原結合断片が、以下のアミノ酸配列:
FSNAWMSWVRQAPG [配列番号1]; 及び/又は
AFIWYDGSNKYYADSVKGR [配列番号2]; 及び/又は
ARYSGWYFDY [配列番号3]; 及び/又は
CTGSSSNIGAGYDVH [配列番号4]; 及び/又は
DNNNRPS [配列番号5]; 及び/又は
CQSYDSSLSAWL [配列番号6]
の1つ又は複数を含む、
ICAM−1に対する結合特異性を有する抗体若しくはその抗原結合断片、又はICAM−1に対する結合特異性を有する、前記抗体若しくは抗原結合断片のバリアント、融合体、若しくは誘導体、又は前記バリアント若しくは誘導体の融合体の、
一週間に一度以下の頻度において、単回用量で、前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量を治療が必要な患者に投与する工程を含む癌の治療のための医薬の製造における使用であって、
前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量が、約0.02mg/kgから2mg/kgの間の抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体である、使用を提供する。
【0049】
第八の態様では、本発明は、
抗体又はその抗原結合断片が、以下のアミノ酸配列:
FSNAWMSWVRQAPG [配列番号1]; 及び/又は
AFIWYDGSNKYYADSVKGR [配列番号2]; 及び/又は
ARYSGWYFDY [配列番号3]; 及び/又は
CTGSSSNIGAGYDVH [配列番号4]; 及び/又は
DNNNRPS [配列番号5]; 及び/又は
CQSYDSSLSAWL [配列番号6]
の1つ又は複数を含む、
一週間に一度以下の頻度において、単回用量で、前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量を治療が必要な患者に投与する工程を含み、前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量が、約0.02mg/kgから2mg/kgの間の抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体である、癌の治療に使用するための、
ICAM−1に対する結合特異性を有する抗体若しくはその抗原結合断片、又はICAM−1に対する結合特異性を有する、前記抗体若しくは抗原結合断片のバリアント、融合体、若しくは誘導体、又は前記バリアント若しくは誘導体の融合体を提供する。
【0050】
第九の態様では、本発明は、
抗体又はその抗原結合断片が、以下のアミノ酸配列:
FSNAWMSWVRQAPG [配列番号1]; 及び/又は
AFIWYDGSNKYYADSVKGR [配列番号2]; 及び/又は
ARYSGWYFDY [配列番号3]; 及び/又は
CTGSSSNIGAGYDVH [配列番号4]; 及び/又は
DNNNRPS [配列番号5]; 及び/又は
CQSYDSSLSAWL [配列番号6]
の1つ又は複数を含む、
ICAM−1に対する結合特異性を有する抗体若しくはその抗原結合断片、又はICAM−1に対する結合特異性を有する、前記抗体若しくは抗原結合断片のバリアント、融合体、若しくは誘導体、又は前記バリアント若しくは誘導体の融合体の有効量を、一週間に一度以下の頻度において単回用量で治療が必要な患者に投与する工程を含み、前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量が、約0.02mg/kgから2mg/kgの間の抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体である、個体の癌を治療するための方法を提供する。
【0051】
好ましくは、本発明の第七、第八、及び第九の態様の使用及び方法では、前記抗体、抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量は、本発明の第一、第二、又は第三の態様に関して上述したとおりであり、本発明の第四、第五、及び第六の態様に関して上述したとおりの頻度において単回用量で投与される。
【0052】
かくして、本発明の第七、第八、及び第九の態様の特に好ましい実施態様では、患者に投与される前記抗体、抗原結合断片、バリアント、融合体、及び誘導体の量は、おおよそ、0.02mg/kgから0.10mg/kg;又は0.10mgから0.20mg/kg;又は0.20mgから0.30mg/kg;又は0.30mgから0.40mg/kg;又は0.40mgから0.50mg/kg;又は0.50mgから0.60mg/kg;又は0.60mgから0.70mg/kg;又は0.70mgから0.80mg/kg;又は0.80mgから0.90mg/kg;又は0.90mgから1.00mg/kg;又は1.00mgから1.10mg/kg;又は1.10mgから1.20mg/kg;又は1.20mgから1.30mg/kg;又は1.30mgから1.40mg/kg;又は1.40mgから1.50mg/kg;又は1.50mgから1.60mg/kg;又は1.60mgから1.70mg/kg;又は1.70mgから1.80mg/kg;又は1.80mgから1.90mg/kg;又は1.90mgから2.00mg/kg;又は2.00mg/kgから2.10mg/kg;又は2.10mgから2.20mg/kg;又は2.20mgから2.30mg/kg;又は2.30mgから2.40mg/kg;又は2.40mgから2.50mg/kg;又は2.50mgから2.60mg/kg;又は2.60mgから2.70mg/kg;又は2.70mgから2.80mg/kg;又は2.80mgから2.90mg/kg;又は2.90mgから3.00mg/kg;又は3.00mgから3.10mg/kg;又は3.10mgから3.20mg/kg;又は3.20mgから3.30mg/kg;又は3.30mgから3.40mg/kg;又は3.40mgから3.50mg/kg;又は3.50mgから3.60mg/kg;又は3.60mgから3.70mg/kg;又は3.70mgから3.80mg/kg;又は3.80mgから3.90mg/kg;又は3.90mgから4.00mg/kg;又は4.00mgから4.10mg/kg;又は4.10mgから4.20mg/kg;又は4.20mgから4.30mg/kg;又は4.30mgから4.40mg/kg;又は4.40mgから4.50mg/kg;又は4.50mgから4.60mg/kg;又は4.60mgから4.70mg/kg;又は4.70mgから4.80mg/kg;又は4.80mgから4.90mg/kg;又は4.90mgから5.00mg/kg;又は5.00mg/kgから6.00mg/kg;又は6.00mgから7.00mg/kg;又は7.00mgから8.00mg/kg;又は8.00mgから9.00mg/kg;又は9.00mgから10.00mg/kg;又は10.00mgから11.00mg/kg;又は11.00mgから12.00mg/kg;又は12.00mgから13.00mg/kg;又は13.00mgから14.00mg/kg;又は14.00mgから15.00mg/kg;又は15.00mgから16.00mg/kg;又は16.00mgから17.00mg/kg;又は17.00mgから18.00mg/kg;又は18.00mgから19.00mg/kg;又は19.00mgから20.00mg/kgの間である。
【0053】
本発明の第七、第八、及び第九の態様の代替的な実施態様では、患者に投与される前記抗体、抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の量は、おおよそ、0.02mg/kg;又は0.03mg/kg;又は0.04mg/kg;又は0.05mg/kg;又は0.06mg/kg;又は0.07mg/kg;又は0.08mg/kg;又は0.09mg/kg;又は0.10mg/kg;又は0.15mg/kg;又は0.20mg/kg;又は0.25mg/kg;又は0.30mg/kg;又は0.35mg/kg;又は0.40mg/kg;又は0.45mg/kg;又は0.50mg/kg;又は0.60mg/kg;又は0.70mg/kg;又は0.80mg/kg;又は0.90mg/kg;又は1.00mg/kg;又は1.10mg/kg;又は1.20mg/kg;又は1.30mg/kg;又は1.40mg/kg;又は1.50mg/kg;又は1.60mg/kg;又は1.70mg/kg;又は1.80mg/kg;又は1.90mg/kg;又は2.00mg/kg;又は2.10mg/kg;又は2.20mg/kg;又は2.30mg/kg;又は2.40mg/kg;又は2.50mg/kg;又は2.60mg/kg;又は2.70mg/kg;又は2.80mg/kg;又は2.90mg/kg;又は3.00mg/kg;又は3.10mg/kg;又は3.20mg/kg;又は3.30mg/kg;又は3.40mg/kg;又は3.50mg/kg;又は3.60mg/kg;又は3.70mg/kg;又は3.80mg/kg;又は3.90mg/kg;又は4.00mg/kg;又は4.10mg/kg;又は4.20mg/kg;又は4.30mg/kg;又は4.40mg/kg;又は4.50mg/kg;又は4.60mg/kg;又は4.70mg/kg;又は4.80mg/kg;又は4.90mg/kg;又は5.00mg/kg;又は6.00mg/kg;又は7.00mg/kg;又は8.00mg/kg;又は9.00mg/kg;又は10.00mg/kg;又は11.00mg/kg;又は12.00mg/kg;又は13.00mg/kg;又は14.00mg/kg;又は15.00mg/kg;又は16.00mg/kg;又は17.00mg/kg;又は18.00mg/kg;又は19.00mg/kg;又は20.00mg/kgである。
【0054】
本発明の第七、第八、及び第九の態様の方法及び使用では、前記抗体、抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体が単回用量で治療が必要な患者に投与される。
【0055】
前記抗体、抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の単回用量は、患者が連続的な1回の所定の治療期間において単回用量を摂取するように、1つ又は複数の投与経路によって投与されてよい。
【0056】
例えば、前記単回用量は、単回注射、単回静脈注射、若しくは単回皮下注射によって、又は下記の他の投与経路を使用する一つの手段によって投与されてよい。代替的には、前記単回用量は、連続的な1回の所定の治療期間で患者に全用量を送達する、同時又は連続的に提供される2以上の注射によって;連続的な1回の所定の治療において患者に全用量を送達する、同時又は連続的に提供される2以上の静脈注射によって;又は下記の他の投与経路を使用する複数の手段によって患者に投与されてよい。
【0057】
代替的には、患者に投与する単回用量は、連続的な1回の所定の治療において患者に全用量を送達する経路の組み合わせによって送達され得る。
【0058】
本発明の第七、第八、及び第九の態様の方法及び使用において、前記抗体、抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体が、一週間に一度(すなわち、七日に一度)の頻度で治療が必要な患者に投与されるか、又は一週間に一度よりも少ない頻度で投与される。例えば、前記抗体、抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体は、八日に一度;又は九日に一度;又は十日に一度;又は十一日に一度;又は十二日に一度;又は十三日に一度;又は十四日に一度;又は二十一日に一度;又は二十八日に一度の頻度で治療が必要な患者に投与されてよい。
【0059】
好ましくは、前記治療頻度は、一月;又は二月;又は三月;又は四月;又は五月;又は六月;又は七月;又は八月;又は九月;又は十月;又は十一月;又は一年;又は二年;又は三年;又は四年;又は五年以上の全治療期間にわたって反復される。
【0060】
本発明の第七、第八、及び第九の態様の方法及び使用の利点は、患者に対する治療手段の頻度及び/又は程度の低減であると解されるであろう。(例えば、治療スタッフの必要な時間がより少ないため)患者治療の全コストを低減し、(例えば、投与がより少なく及び/又はより低頻度で実施されるため)患者の不快感を低減する。
【0061】
かくして、本発明の第七、第八、及び第九の態様の好ましい実施態様では、前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量及び投与頻度が、
0.02mg/kgから0.03mg/kgの間で、七日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.03mg/kgの間で、八日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.03mg/kgの間で、九日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.03mg/kgの間で、十日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.03mg/kgの間で、十一日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.03mg/kgの間で、十二日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.03mg/kgの間で、十四日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.03mg/kgの間で、二十一日に一度の頻度で投与
から選択される、使用又は方法を提供する。
【0062】
本発明の第七、第八、及び第九の態様の他の好ましい実施態様では、前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量及び投与頻度が、
0.02mg/kgから0.30mg/kgの間で、七日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.30mg/kgの間で、八日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.30mg/kgの間で、九日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.30mg/kgの間で、十日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.30mg/kgの間で、十一日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.30mg/kgの間で、十二日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.30mg/kgの間で、十四日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.30mg/kgの間で、二十一日に一度の頻度で投与
から選択される、使用又は方法を提供する。
【0063】
本発明の第七、第八、及び第九の態様の他の好ましい実施態様では、前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量及び投与頻度が、
0.02mg/kgから0.10mg/kgの間で、七日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.10mg/kgの間で、八日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.10mg/kgの間で、九日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.10mg/kgの間で、十日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.10mg/kgの間で、十一日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.10mg/kgの間で、十二日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.10mg/kgの間で、十四日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.10mg/kgの間で、二十一日に一度の頻度で投与
から選択される、使用又は方法を提供する。
【0064】
本発明の第七、第八、及び第九の態様の他の好ましい実施態様では、前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量及び投与頻度が、
0.10mg/kgから0.30mg/kgの間で、七日に一度の頻度で投与;又は
0.10mg/kgから0.30mg/kgの間で、八日に一度の頻度で投与;又は
0.10mg/kgから0.30mg/kgの間で、九日に一度の頻度で投与;又は
0.10mg/kgから0.30mg/kgの間で、十日に一度の頻度で投与;又は
0.10mg/kgから0.30mg/kgの間で、十一日に一度の頻度で投与;又は
0.10mg/kgから0.30mg/kgの間で、十二日に一度の頻度で投与;又は
0.10mg/kgから0.30mg/kgの間で、十四日に一度の頻度で投与;又は
0.10mg/kgから0.30mg/kgの間で、二十一日に一度の頻度で投与
から選択される、使用又は方法を提供する。
【0065】
本発明の第七、第八、及び第九の態様の他の好ましい実施態様では、前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量及び投与頻度が、
0.016mg/kgで、七日に一度の頻度で投与;又は
0.016mg/kgで、八日に一度の頻度で投与;又は
0.016mg/kgで、九日に一度の頻度で投与;又は
0.016mg/kgで、十日に一度の頻度で投与;又は
0.016mg/kgで、十一日に一度の頻度で投与;又は
0.016mg/kgで、十二日に一度の頻度で投与;又は
0.016mg/kgで、十四日に一度の頻度で投与;又は
0.016mg/kgで、二十一日に一度の頻度で投与
から選択される、使用又は方法を提供する。
【0066】
本発明の第七、第八、及び第九の態様の他の好ましい実施態様では、前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量及び投与頻度が、
0.02mg/kgで、七日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgで、八日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgで、九日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgで、十日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgで、十一日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgで、十二日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgで、十四日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgで、二十一日に一度の頻度で投与
から選択される、使用又は方法を提供する。
【0067】
本発明の第七、第八、及び第九の態様の他の好ましい実施態様では、前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量及び投与頻度が、
0.03mg/kgで、七日に一度の頻度で投与;又は
0.03mg/kgで、八日に一度の頻度で投与;又は
0.03mg/kgで、九日に一度の頻度で投与;又は
0.03mg/kgで、十日に一度の頻度で投与;又は
0.03mg/kgで、十一日に一度の頻度で投与;又は
0.03mg/kgで、十二日に一度の頻度で投与;又は
0.03mg/kgで、十四日に一度の頻度で投与;又は
0.03mg/kgで、二十一日に一度の頻度で投与
から選択される、使用又は方法を提供する。
【0068】
本発明の第七、第八、及び第九の態様の他の好ましい実施態様では、前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量及び投与頻度が、
0.10mg/kgで、七日に一度の頻度で投与;又は
0.10mg/kgで、八日に一度の頻度で投与;又は
0.10mg/kgで、九日に一度の頻度で投与;又は
0.10mg/kgで、十日に一度の頻度で投与;又は
0.10mg/kgで、十一日に一度の頻度で投与;又は
0.10mg/kgで、十二日に一度の頻度で投与;又は
0.10mg/kgで、十四日に一度の頻度で投与;又は
0.10mg/kgで、二十一日に一度の頻度で投与
から選択される、使用又は方法を提供する。
【0069】
本発明の第七、第八、及び第九の態様の他の好ましい実施態様では、前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量及び投与頻度が、
0.30mg/kgで、七日に一度の頻度で投与;又は
0.30mg/kgで、八日に一度の頻度で投与;又は
0.30mg/kgで、九日に一度の頻度で投与;又は
0.30mg/kgで、十日に一度の頻度で投与;又は
0.30mg/kgで、十一日に一度の頻度で投与;又は
0.30mg/kgで、十二日に一度の頻度で投与;又は
0.30mg/kgで、十四日に一度の頻度で投与;又は
0.30mg/kgで、二十一日に一度の頻度で投与
から選択される、使用又は方法を提供する。
【0070】
上述のとおり、ICAM−1は、多発性骨髄腫の発病及び進行に重要な役割を担っている。加えて、現在、化学療法に対して抵抗性を生じている多発性骨髄腫患者は、ICAM−1の(骨髄腫細胞)発現が増大しており(Schmidmaier et al., Int J Biol Markers 21 (4), 218 (2006))、骨髄間質に対する骨髄腫細胞のICAM−1媒介接着が、骨髄腫細胞の生存を増大させ、初回多剤耐性(primary multidrug resistance)を誘導し得る(Schmidmaier et al., Int J Biol Markers 21 (4), 218 (2006))。したがって、これらの疾患は、本明細書に記載の抗体、及び/又は抗原結合断片、及び/又はバリアント、融合体、若しくは誘導体を使用して、効果的に治療、阻害、低減、及び/又は予防することができる。
【0071】
骨髄腫細胞の生存における役割に加えて、ICAM−1媒介接着は、腫瘍細胞の浸潤及び転移における役割を担っているようである。ICAM−1及びその対抗受容体であるLFA−1の双方は、骨髄に対する多発性骨髄腫細胞のホーミングに関与し(Hideshima et al., Cancer 7 (8), 585 (2007); Rosette et al., Carcinogenesis 26 (5), 943 (2005))、骨髄又は間質に対する多発性骨髄腫細胞の接着を媒介する。非臨床試験における低分子、抗体、又はsiRNAによるICAM−1の阻害は、癌細胞の浸潤を妨げ、かつ、癌細胞の転移を低減することが示されている(Rosette et al., Carcinogenesis 26 (5), 943 (2005); Miele et al., Exp Cell Res 214 (1), 231 (1994); Huang et al., Carcinogenesis 25 (10), 1925 (2004))。ICAM−1の細胞表面発現の増大に加えて、癌患者は、循環系における可溶性ICAM−1(sICAM−1)が上昇しており(Gearing & Newman, Immunol Today 14 (10), 506 (1993); Sanchez-Rovira et al., Eur J Cancer 34 (3), 394 (1998); van de Stolpe A & van der Saag,J Mol Med 74 (1), 13 (1996); Nasu et al., Gynecol Oncol 65 (2), 304 (1997); Terol et al., Ann Oncol 14 (3), 467 (2003))、接着を阻害する濃度に達し得る(Rose-John & Heinrich, Biochem J 300 (Pt 2), 281 (1994))。かくして、腫瘍(又は間質細胞)によって生産されるsICAM−1は、循環する細胞傷害性リンパ球を腫瘍組織に移動して抗腫瘍効果を奏することを妨げ、腫瘍の免疫認識からの回避を促進する(Gearing & Newman, Immunol Today 14 (10), 506 (1993); Sanchez-Rovira, Eur J Cancer 34 (3), 394 (1998))。sICAM−1は、腫瘍成長を刺激し、血管新生も促進し得る(Gho et al. Cancer Res 59 (20), 5128 (1999); Gho et al., Cancer Res 61 (10), 4253 (2001))。
【0072】
したがって、多発性骨髄腫の治療における利用に加えて、本明細書に記載の抗体、及び/又は抗体結合断片、及び/又はバリアント、融合体、若しくは誘導体を使用して、本発明の使用及び方法によって投与する際に、多発性骨髄腫以外の癌(例えば、下記のもの及び特にICAM−1の存在によって促進、誘導、又は維持される癌)を治療するために使用することができる。
【0073】
特に、本発明の使用及び方法にしたがって投与される際に、本明細書に記載の抗体、及び/又は抗原結合断片、及び/又はバリアント、融合体、若しくは誘導体は、癌及び/又は腫瘍細胞(例えば、CD20−陽性及びCD20−陰性多発性骨髄腫癌細胞及び腫瘍)のアポトーシスを誘導し、及び/又はそれらに対して抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を向けることができる。加えて、本発明の使用及び方法にしたがって投与される際に、本明細書に記載の抗体、及び/又は抗原結合断片、及び/又はバリアント、融合体、若しくは誘導体は、可溶性細胞間接着分子(sICAM−1)に結合し、それによって血管新生、細胞接着媒介性薬剤耐性、及び免疫監視からの腫瘍細胞の回避を阻害することもできる。
【0074】
後述の実施例は、例示の抗体BI−ABが、顕著なインビボ及びインビトロ抗腫瘍活性を有することを示す。特に、BI−ABは、一週間に一回以下の頻度で、単回用量において、おおよそ、0.02mg/kgから20mg/kgの間の用量で投与される際に顕著な活性を有する。その顕著な直接的な抗骨髄腫活性に加えて、BI−ABは、そのような用量及び投与計画において投与される際に、血管新生駆動型の腫瘍成長を阻害し、腫瘍が免疫監視を回避するのに対抗するためにも働き得る。
【0075】
後述の実施例に示すとおり、BI−ABの抗骨髄腫活性は、Fc−依存性及びFc−非依存性の作用メカニズムを伴う。
【0076】
1つの実施態様では、前記抗体又は抗原結合断片が、CoDeR(登録商標)抗体ライブラリー由来である。そのライブラリーは、WO 98/32845(BioInvent International AG)にも開示されており、参照によって本明細書に取込む。
【0077】
細胞間接着分子1(「ICAM−1」CD54とも称される)は、5つの免疫グロブリンドメイン、膜貫通ドメイン、及び短い細胞質ドメインからなる80から114kDaのグリコシル化された細胞表面膜貫通タンパク質である。
【0078】
ICAM−1は、白血球機能関連抗原−1(CD11a/C418)のリガンドとして働き、かつ、Mac−1(CD11b/CD18)、CD43、MUC−1、ライノウイルス、及びフィブリノゲンにも結合する。ICAM−1の主要な機能は、炎症部位への白血球のリクルートであるが、ICAM−1は他の細胞−細胞接着及び細胞活性化、細胞シグナリング、細胞移動、及び細胞浸潤にも関与する(Rosette et al. Carcinogenesis 26, 943-950 (2005); Gho et al., Cancer Res 59, 5128-5132 (1999); Gho et al., Cancer Res 61, 4253-4257 (2001); Chirathaworn et al. J Immunol 168, 5530-5537 (2002); Berg et al., J Immunol 155, 1694-1702 (1995); Martz, Hum Immunol 18, 3-37 (1987); Poudrier & Owens, J. Exp. Med. 179, 1417-1427 (1994); Sun et al. J Cancer Res Clin Oncol 125, 28-34 (1999); Springer, Cell 76, 301-314 (1994); Siu et al., J Immunol 143, 3813-3820 (1989); Dang et al., J Immunol 144, 4082-4091 (1990); Damle et al. J Immunol 151, 2368-2379 (1993); Lane et al., J Immunol 147, 4103-4108 (1991); Ybarrondo et al., J Exp Med 179, 359-363 (1994))。
【0079】
これらのプロセスにおけるICAM−1の重要性は、複雑であり、多数の研究の対象になっている。遺伝子除去、siRNA投与、又は機能阻害抗体によって与えられる、最も頻度の高いICAM−1欠損は、細胞移動及び活性化を異なる程度に低減又は遅らせることによって、白血球溢出及び炎症部位へのリクルートを妨げることが示されている(eilly et al. J Immunol 155, 529-532 (1995); Kim et al. J Immunother (1997) 30, 727-739 (2007); Smallshaw et al., J Immunother 27, 419-424 (2004); Coleman et al., J Immunother 29, 489-498 (2006); Kawano et al. Br J Haematol 79, 583-588 (1991))。
【0080】
ICAM−1は、二量体として細胞表面に存在するが、W型、環、又は長鎖の形態で多量体化し得る(Springer, Cell 76, 301-314 (1994); Siu, et al., J Immunol 143, 3813-3820 (1989))。
【0081】
かくして、「ICAM−1」は、ICAM−1単量体の分子の単量体の形態、二量体、及び多量体(W型、環、又は長鎖の形態の多量体を含む)を含む。
【0082】
ICAM−1は、ヒト又は非ヒト動物に由来してよいと当業者に解されるであろう。1つの実施態様では、ICAM−1はヒトである。
【0083】
「ICAM−1に対する結合特異性」は、ICAM−1に選択的に結合することができる抗体、又は抗原結合部位、又はそのバリアント、融合体、若しくは誘導体を意味する。「選択的に結合することができる」は、他のタンパク質よりも少なくとも10倍強力に、例えば、少なくとも50倍強力に、又は少なくとも100倍強力にICAM−1に結合する、そのような抗体由来の結合部分を含む。前記結合部分は、生理条件下、例えば、インビボでICAM−1に選択的に結合することができてよい。相対的な結合強度の測定に適切な方法は、例えば、結合部分が抗体である、免疫アッセイを含む(参照によって本明細書に取込むHarlow & Lane, “Antibodies: A Laboratory”, Cold Spring Habor Laboratory Press, New Yorkを参照のこと)。代替的には、結合は、競争アッセイ又はBiacore(登録商標)分析(Biacore International AB, Sweden)を使用して評価してよい。
【0084】
さらなる実施態様では、前記抗体、又は抗原結合断片、又はそのバリアント、融合体、若しくは誘導体は、ICAM−1にのみ結合する。
【0085】
抗体又はその抗原結合断片の結合特異性は、重鎖及び軽鎖成分の可変領域内部の相補性決定領域(CDR)の存在によって与えられることが当業者によって理解されるであろう。本明細書に記載の抗体並びにその抗原結合部位及び誘導体では、ICAM−1に対する結合特異性は、上記の配列番号1から6として同定した6つのCDRの1つ又は複数の存在によって与えられる。
【0086】
好ましい実施態様では、本明細書に記載の抗体、又は抗原結合断片、又は前記抗体のバリアント、融合体、若しくは誘導体は、本来の抗体のICAM−1に対する結合特異性を保持する。「結合特異性を保持する」は、本明細書に記載の抗体、又は抗原結合部位、又はそのバリアント、融合体、若しくは誘導体が本発明の例示の抗体(BI−ABと表示;後述の実施例を参照のこと)とICAM−1に対する結合について競争することができることを意味する。例えば、前記抗体、又は抗原結合断片、又はそのバリアント、融合体、若しくは誘導体は、配列番号1から6として同定したCDRを含む抗体と同じICAM−1上のエピトープに結合してよい。
【0087】
「エピトープ」は、本明細書では、抗体が結合する分子の部位、すなわち、抗原の分子の領域を意味することを意図する。エピトープは、例えば、アミノ酸配列、すなわち、一次構造によって決定される、直線状エピトープであってよく、又は二次構造、例えば、ペプチド鎖のβシート又はαヘリックスへのフォールディングによって、若しくは三次構造、例えば、ヘリックス又はシートがフォールド又は配置されて抗原の三次元構造を与える態様によって定義される、三次元エピトープであってよい。
【0088】
ICAM−1に対する結合特異性を有する抗体、又は抗原結合断片、又はそのバリアント、融合体、若しくは誘導体は、本来の抗体(例えば、例示の抗体であるBI−AB)と同じ生物学的特性の1つ又は複数を保持してもよい。
【0089】
試験抗体が第二の抗体と結合について競争することができるかどうかを決定する方法は、当該技術分野においてよく知られており(例えば、サンドイッチELISA又はリバースサンドイッチELISA技術)、例えば、参照によって本明細書に取込むAntibodies: A Laboratory Manual, Harlow & Lane (1988, CSHL, NY, ISBN 0-87969-314-2)に開示されている。
【0090】
本発明の使用及び方法の1つの実施態様では、本発明の抗体、又は抗原結合断片、又はそのバリアント、融合体、若しくは誘導体が結合するICAM−1は、細胞表面に局在する。そのような結合特異性は、当該技術分野で既知の方法、例えば、酵素免疫測定法(ELISA)、免疫組織化学、免疫沈降、ウエスタンブロット、及びICAM−1を発現するトランスフェクトした細胞を使用するフローサイトメトリーによって測定されてよい。結合特異性を測定するための適切な方法は、後述の実施例に記載している。
【0091】
ICAM−1は、血管内皮、上皮細胞、線維芽細胞、ケラチノサイト、白血球、及び従来の抗原提示細胞(APC)において低レベルで構成的に発現している(Roebuck. & Finnegan, J Leukoc Biol, 66, 876-888 (1999)に概説がある)。細胞表面ICAM−1発現は、幾つかのサイトカイン及び炎症促進剤(proinflammatory agent)、例えば、IFN−γ、TNF−α、リポポリサッカリド(LPS)、酸素ラジカル、又は低酸素によって誘導され得る(Roebuck & Finnegan, J Leukoc Biol 66, 876-888 (1999))。加えて、ICAM−1は、細胞タイプに依存する選択的スプライシング又はタンパク質分解によって細胞から排出されてよい(Dang et al., J Immunol 144, 4082-4091 (1990); Damle et al. J Immunol 151, 2368-2379 (1993); Lane et al., J Immunol 147, 4103-4108 (1991); Ybarrondo, et al., J Exp Med 179, 359-363 (1994))。
【0092】
好都合には、ICAM−1は、癌細胞表面に局在し;典型的には、癌細胞は、骨髄腫細胞、メラノーマ細胞、肺癌細胞、胃癌細胞、膀胱癌細胞、乳癌細胞、前立腺癌細胞、リンパ腫細胞、腎臓癌細胞、肝細胞癌細胞からなる又は含む群から選択される。好ましい実施態様では、前記癌細胞は骨髄腫細胞である。
【0093】
代替的な実施態様では、ICAM−1は可溶性であり、すなわち、ICAM−1は、細胞表面に局在しておらず、循環系の体液中に存在する。上述のとおり、ICAM−1の細胞表面発現の増大に加えて、癌患者は、循環する細胞傷害性リンパ球が腫瘍組織に移動して抗腫瘍効果を奏することを妨げ、腫瘍の免疫認識からの回避を促進し、かつ、腫瘍成長を刺激し、血管新生を促進するために働き得る、接着阻害濃度に達し得る循環系中の可溶性ICAM−1(sICAM−1)が上昇している。かくして、1つの実施態様では、本発明の使用及び方法は、可溶性ICAM−1の活性の1つ又は複数を妨げ及び/又は低減することによって、腫瘍回避、腫瘍成長、及び/又は血管新生を妨げ及び/又は低減するために使用することができる。
【0094】
したがって、本明細書に記載の抗体は、免疫認識及び免疫反応を調節することができるため、代替的な態様では、本発明の使用及び方法は、炎症疾患又は状態を治療するために使用することができる。好ましい実施態様では、前記炎症疾患又は状態は、アテローム性動脈硬化症、喘息、移植拒絶、乾癬からなる又は含む群から選択される。
【0095】
現在、化学療法に耐性が生じた多発性骨髄腫患者は、ICAM−1の(骨髄腫細胞)発現が増大していることが知られており(Schmidmaier et al., Int J Biol Markers 21 (4), 218 (2006))、骨髄間質に対する骨髄腫のICAM−1媒介接着が、骨髄腫細胞の生存を増大し、初回多剤薬剤耐性を誘導し得る(Schmidmaier et al., Int J Biol Markers 21 (4), 218 (2006))。
【0096】
本発明の方法及び使用のより好ましい実施態様では、本明細書に記載の抗体、及び/又は抗原結合断片、及び/又はバリアント、融合体、若しくは誘導体は、再発性難治性多発性骨髄腫患者及び多発性骨髄腫を有し、かつ、化学療法及び関連する治療に耐性を生じた患者の治療のための方法、使用、及び/又は組成物に使用される。
【0097】
「抗体」は、実質的にインタクトな抗体分子、並びにキメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体(少なくとも1つのアミノ酸が天然ヒト抗体に対して変異している)、単鎖抗体、二重特異性抗体、抗体重鎖、抗体軽鎖、抗体重鎖及び/又は抗体軽鎖のホモ二量体及びヘテロ二量体、並びに抗原結合断片及びその誘導体を含む。
【0098】
用語「抗体」は、IgG、IgA、IgM、IgD、及びIgEを含む全てのクラスの抗体も含む。かくして、前記抗体は、IgG分子であってよく、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4分子であってよい。好ましくは、本発明の抗体は、IgG分子、又は抗原結合断片、又はそのバリアント、融合体、若しくは誘導体である。
【0099】
本発明の使用及び方法の1つの実施態様では、前記抗体は、インタクトな抗体を含むか又はインタクトな抗体からなる。代替的には、前記抗体、又は抗原結合断片、又はそのバリアント、融合体、若しくは誘導体は、インタクトな抗体から本質的になってよい。「本質的になる」は、前記抗体、又はその抗原結合断片、バリアント、融合体、若しくは誘導体が、ICAM−1に対する結合特異性を示すのに十分なインタクトな抗体の一部からなることを意味する。
【0100】
本発明の使用及び方法の1つの実施態様では、前記抗体は、非天然の抗体である。言うまでも無く、前記抗体が天然抗体である場合は、単離された形態(すなわち、天然で認められるものとは異なる)で提供される。
【0101】
抗体の重鎖可変ドメイン(V)及び軽鎖可変ドメイン(V)は、抗原認識に関与し、この事実は、過去のプロテアーゼ消化実験によって認識された。さらなる確認は、げっ歯類抗体の「ヒト化」によって認められた。げっ歯類起源の可変ドメインは、得られる抗体がげっ歯類の親抗体の抗原特異性を保持するように、ヒト起源の定常ドメインに融合し得る(Morrison et al (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81, 6851-6855)。
【0102】
全てが1つ又は複数の可変ドメインを含む抗体断片の細菌発現を含む実験から知られているとおり、抗原特異性は可変ドメインによって与えられ、定常ドメインからは独立している。これらの分子は、Fab様分子(Better et al (1988) Science 240, 1041);Fv分子(Skerra et al (1988) Science 240, 1038);V及びVパートナードメインがフレキシブルなオリゴペプチドで結合している単鎖Fv(ScFv)分子(Bird et al (1988) Science 242, 423; Huston et al (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85, 5879);及び単離されたVドメインを含むシングルドメイン抗体(dAb)(Ward et al (1989) Nature 341, 544)を含む。特異的な結合部位を保持する抗体断片の合成に関わる技術の一般的な概説は、Winter & Milstein (1991) Nature 349, 293-299に認められる。
【0103】
かくして、「抗原結合断片」は、ICAM−1に結合することができる抗体の機能的断片を意味する。
【0104】
例示の抗原結合断片は、Fv断片(例えば、単鎖Fv及びジスルフィド結合したFv)、及びFab様断片(例えば、Fab断片、Fab’断片、及びF(ab)断片)からなる群から選択されてよい。
【0105】
本発明の使用及び方法の1つの実施態様では、前記抗原結合断片はscFVである。
【0106】
抗体全体ではなく抗体断片を使用する利点は大きい。前記断片のより小さなサイズは、薬理特性の改善、例えば、固形組織の浸透をもたらし得る。さらに、Fab、Fv、ScFv、及びdAb抗体断片などの抗原結合断片は、大腸菌で発現させるか又は大腸菌から分泌させることができ、かくして、前記断片の容易な大量生産が可能である。
【0107】
例えば、ポリエチレングリコール又は他の適切なポリマーの共有結合によって修飾された、修飾された態様の抗体及びその抗原結合断片も、本発明の範囲内である。
【0108】
抗体及び抗体断片の製造方法は当該技術分野でよく知られている。例えば、抗体は、抗体分子のインビボ生産の誘導、免疫グロブリンライブラリーのスクリーニング(Orlandi. et al, 1989. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 86:3833-3837; Winter et al., 1991, Nature 349:293-299)、培養細胞株によるモノクローナル抗体分子の生産を使用する幾つかの方法のいずれか1つによって生産してよい。これらは、ハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術、及びエプスタイン−バーウイルス(EBV)−ハイブリドーマ技術(Kohler et al., 1975. Nature 256:4950497; Kozbor et al., 1985. J. Immunol. Methods 81:31-42; Cote et al., 1983. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:2026-2030; Cole et al., 1984. Mol. Cell. Biol. 62:109-120)を含むが、それらに限らない。
【0109】
好都合には、本発明は、組換え抗体である(すなわち、組換え法によって生産される)抗体、又は抗原結合断片、又はそのバリアント、融合体、若しくは誘導体を提供する。
【0110】
本発明の使用及び方法の好ましい実施態様では、前記抗体はモノクローナル抗体である。
【0111】
選択した抗原に対する適切なモノクローナル抗体は、既知の技術、例えば、参照によって本明細書に取込む“Monoclonal Antibodies: A manual of techniques”, H Zola (CRC Press, 1988) and in “Monoclonal Hybridoma Antibodies: Techniques and Applications”, J G R Hurrell (CRC Press, 1982)に開示されているものによって調製されてよい。
【0112】
抗体断片は、当該技術分野においてよく知られた方法(例えば、参照によって本明細書に取込むHarlow & Lane, 1988, “Antibodies: A Laboratory Manual”, Cold Spring Harbor Laboratory, New Yorkを参照のこと)を使用して得られてもよい。例えば、本発明の方法及び使用で使用するための抗体断片は、抗体のタンパク質分解性加水分解によって、又は断片をコードするDNAの大腸菌若しくは哺乳動物細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞培養若しくは他のタンパク質発現系)における発現によって調製することができる。代替的には、抗体断片は、従来の方法による抗体全体のペプシン又はパパイン消化によって得ることができる。
【0113】
好ましくは、本発明は、抗体又はその抗原結合断片がヒト抗体又はヒト化抗体である、使用又は方法を提供する。
【0114】
ヒト化抗体がヒトの治療又は診断に使用され得ることは当業者に理解されるであろう。非ヒト(例えば、マウス)抗体のヒト化形態は、一般的には、非ヒト抗体由来の部分を最小限有する、遺伝子組換えキメラ抗体又は抗体断片である。ヒト化抗体は、ヒト抗体の相補性決定領域(レシピエント抗体)が、所望の機能性を有するマウス、ラット、又はウサギなどの非ヒトの種の相補性決定領域(ドナー抗体)由来の残基に置換されている抗体を含む。ある場合には、ヒト抗体のFvフレームワーク残基を対応する非ヒト残基で置換する。ヒト化抗体は、レシピエント抗体及び取込んだ相補性決定領域又はフレームワーク配列のいずれにも認められない残基を含んでもよい。一般的には、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、相補性決定領域の全て又は実質的に全てが非ヒト抗体のものに対応し、かつ、フレームワーク領域の全て又は実質的に全てが関連するヒトのコンセンサス配列のものに対応するであろう。ヒト化抗体は、最適には、典型的にはヒト抗体に由来するFc領域などの抗体定常領域の少なくとも一部も含む(例えば、参照によって本明細書に取込むJones et al., 1986. Nature 321:522-525; Riechmann et al., 1988, Nature 332:323-329; Presta, 1992, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596を参照のこと)。
【0115】
非ヒト抗体をヒト化する方法は、当該技術分野において知られている。一般的には、前記ヒト化抗体は、非ヒトの起源から導入した1つ又は複数のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、移入残基と称されることが多く、典型的には、移入可変ドメインから得られる。ヒト化は、本質的には、ヒト相補性決定領域を対応するげっ歯類の相補性決定領域で置換することによって、開示されているとおりに実施することができる(例えば、参照によって本明細書に取込むJones et al., 1986, Nature 321:522-525; Reichmann et al., 1988. Nature 332:323-327; Verhoeyen et al., 1988, Science 239:1534-1536l; US 4,816,567を参照のこと)。したがって、そのようなヒト化抗体はキメラ抗体であり、実質的に完全ではないヒト可変ドメインが、非ヒトの種由来の対応する配列によって置換されている。実際には、ヒト化抗体は、典型的には、幾つかの相補性決定領域残基及びおそらくいくつかのフレームワーク残基が、げっ歯類抗体の類似部位由来意の残基によって置換されているヒト抗体であってよい。
【0116】
ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリー(参照によって本明細書に取込むHoogenboom & Winter, 1991, J. Mol. Biol. 227:381; Marks et al., 1991, J. Mol. Biol. 222:581; Cole et al., 1985, In: Monoclonal antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, pp. 77; Boerner et al., 1991. J. Immunol. 147:86-95, Soderlind et al., 2000, Nat Biotechnol 18:852-6 and WO 98/32845を参照のこと)を含む、当該技術分野において既知の各種の技術を使用して同定することもできる。
【0117】
適切な抗体が得られたら、それらは活性、例えば、抗体の結合特異性又は生物学的活性について、例えば、ELISA、免疫組織化学、フローサイトメトリー、免疫沈降、ウエスタンブロットなどによって試験してよい。生物学的活性は、特定の特徴について読み出す異なるアッセイにおいて試験してよい。
【0118】
本発明の方法及び使用において使用するための抗体の1つ又は複数の生物学的活性の例は、
a)腫瘍細胞増殖の低減及び/又は予防;
b)腫瘍細胞アポトーシスの誘導;
c)1又は複数の腫瘍細胞に対する抗体依存性細胞傷害の誘導及び/又は増大
である。
【0119】
前記生物学的活性(インビトロ又はインビボ)を試験するための適切なアッセイの例は、当該技術分野で知られており、後述の実施例に挙げてもいる。
【0120】
本発明の使用及び方法の1つの実施態様では、前記抗体、断片、バリアント、融合体、又は誘導体は、配列番号1から6を含むか、本質的になるか、又はからなる。
【0121】
本発明の使用及び方法の特に好ましい実施態様では、前記抗体、又は抗原結合断片、又はそのバリアント、融合体、若しくは誘導体は、以下のCDR:
FSNAWMSWVRQAPG [配列番号1];及び
AFIWYDGSNKYYADSVKGR [配列番号2];及び
ARYSGWYFDY [配列番号3]
を含むか、本質的になるか、又はからなる重鎖可変領域を含む。
【0122】
好ましくは、重鎖可変領域は、配列番号7のアミノ酸配列を含むか、本質的になるか、又はからなる。
【0123】
本発明の方法及び使用の1つの実施態様では、本発明は、以下のCDR:
CTGSSSNIGAGYDVH [配列番号4];及び/又は
DNNNRPS [配列番号5];及び/又は
CQSYDSSLSAWL [配列番号6]
を含むか、本質的になるか、又はからなる軽鎖可変領域を含む抗体又は抗原結合断片を提供する。
【0124】
好ましくは、前記軽鎖可変領域は、配列番号8のアミノ酸配列を含むか、本質的になるか、又はからなる。
【0125】
本発明の使用及び方法の特に好ましい実施態様では、前記抗体、又は抗原結合断片、又はそのバリアント、融合体、若しくは誘導体は、本明細書に記載の重鎖可変領域及び本明細書に記載の軽鎖可変領域を含む。
【0126】
例えば、前記抗体、又は抗原結合断片、又はそのバリアント、融合体、若しくは誘導体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むことが好ましい。
【0127】
本明細書で使用する用語「アミノ酸」は、標準的な20の遺伝子にコードされるアミノ酸を含み、それらの対応する(天然の「L」型と比較して)「D」型の立体異性体、オメガアミノ酸、他の天然アミノ酸、特殊アミノ酸(例えば、α,α−ジスルフィドアミノ酸、N−アルキルアミノ酸など)、及び化学的に誘導体化したアミノ酸(下記参照)を含む。
【0128】
「アラニン」又は「Ala」又は「A」などと、アミノ酸が具体的に列挙される際は、前記用語は、そうでないと明記していないかぎり、L−アラニンとD−アラニンの双方を示す。他の特殊なアミノ酸も、所望の機能特性がポリペプチドによって保持されるかぎり、本発明のポリペプチドの適切な成分であり得る。提示するペプチドについて、コードされる各アミノ酸残基は、適当な場合には、従来のアミノ酸の慣用名に対応する一文字表記で表わす。
【0129】
1つの実施態様では、本明細書に記載のポリペプチドは、L−アミノ酸を含むか又はからなる。
【0130】
本発明の方法及び使用は、ICAM−1に対する結合特異性を有するという条件で、所定のポリペプチドのバリアント、融合体、及び誘導体、並びに前記バリアント又は誘導体の融合体を含むことが、当業者に解されるであろう。
【0131】
バリアントは、組換えポリヌクレオチドを使用して、当該技術分野でよく知られたタンパク質工学及び部位特異的突然変異誘発の方法を使用して作製してよい(例えば、参照によって本明細書に取込むMolecular Cloning: a Laboratory Manual, 3rd edition, Sambrook & Russell, 2001, Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照のこと)。
【0132】
前記ポリペプチドの「融合体」は、任意の他のポリペプチドに融合させたポリペプチドを含む。例えば、前記ポリペプチドは、前記ポリペプチドの精製を容易にするために、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GTS)又はタンパク質Aなどのポリペプチドに融合させてよい。その様な融合体の例は、当業者によく知られている。同様に、前記ポリペプチドは、His6などのオリゴヒスチジンタグ又はよく知られているMycタグエピトープなどの抗体によって認識されるエピトープに融合させてよい。前記ポリペプチドの任意のバリアント又は誘導体に対する融合体も本発明の範囲に含まれる。所望の特性を保持する、例えば、ICAM−1に対する結合特異性を有する融合体(又はそのバリアント若しくは誘導体)が好ましいと解されるであろう。
【0133】
前記融合体は、本発明の前記ポリペプチドに対して所望の特徴を与える、さらなる部分を含んでよい。例えば、前記部分は、ポリペプチドの検出若しくは単離、又はポリペプチドの細胞の取り込みの促進に有用であってよい。前記部分は、例えば、当業者によく知られている、ビオチン部分、放射活性部分、蛍光部分、例えば、小さい蛍光又は緑色蛍光タンパク質(GFP)フルオロフォアであってよい。前記部分は、当業者に知られている、免疫原性タグ、例えば、Mycタグであってよく、又は当業者に知られている、ポリペプチドの細胞の取り込みを促進することができる親油性分子又はポリペプチドドメインであってよい。
【0134】
ポリペプチドの「バリアント」は、挿入、欠失、及び置換を含み、保存的であるか又は非保存的である。特に、そのような変化が前記ペプチドの活性を実質的に変化させない、ポリペプチドのバリアントを含む。特に、そのような変化がICAM−1に対する結合特異性を実質的に変化させない、ポリペプチドのバリアントを含む。
【0135】
前記ポリペプチドのバリアントは、上記のアミノ酸配列の1つ又は複数に対して少なくとも75%の同一性、例えば、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を上記のアミノ酸配列の1つ又は複数に対して有するアミノ酸配列を有してよい。
【0136】
2つのポリペプチド間の配列同一性の割合は、適切なコンピュータプログラム、例えば、University of Wisconsin Genetic Computing GroupのGAPプログラムを使用して決定してよく、最適にアラインメントした配列のペプチドに関して同一性の割合が計算させると解されるであろう。
【0137】
アラインメントは、代替的には、Clustal Wプログラムを使用して実施してよい(参照によって本明細書に取込むThompson et al., 1994, Nuc. Acid Res. 22:4673-4680に記載されているとおりに)。
【0138】
使用するパラメータは、以下のとおりであってよい:
− Fast pairwise alignment parameters: K-tuple(word) size; 1, window size; 5, gap penalty; 3, number of top diagonals; 5. Scoring method: x percent.
− Multiple alignment parameters: gap open penalty; 10, gap extension penalty; 0.05.
− Scoring matrix: BLOSUM
【0139】
代替的には、BESTFITプログラムを使用して、局所的な配列のアラインメントを決定してよい。
【0140】
本発明の方法又は使用で使用するポリペプチド、バリアント、融合体、又は誘導体は、修飾又は誘導体化されている1つ又は複数のアミノ酸を含んでよい。
【0141】
1つ又は複数のアミノ酸の化学的な誘導体は、官能側基との反応によって達成されてよい。そのような誘導体化された分子は、例えば、遊離のアミノ基が誘導体化されて、アミン塩酸塩、p−トルエンスルホニル基、カルボキシベンゾキシ基、t−ブチルオキシカルボニル基、クロロアセチル基、又はホルミル基を形成しているものを含む。遊離のカルボキシル基が誘導体化されて、塩、メチル及びエチルエステル又は他のタイプのエステル、並びにヒドラジドを形成してよい。遊離のヒドロキシル基が誘導体化されて、O−アシル又はO−アルキル誘導体が形成されてよい。20の標準アミノ酸の天然のアミノ酸誘導体を含むペプチドも化学的な誘導体として含む。例えば、4−ヒドロキシプロリンがプロリンに対して置換されてよく;5−ヒドロキシリジンがリジンに対して置換されてよく;3−メチルヒスチジンがヒスチジンに対して置換されてよく;ホモセリンがセリンに対して置換されてよく;オルニチンがリジンに対して置換されてよい。誘導体は、必要な活性が維持されている限りにおいて、1つ又は複数の付加又は欠失を含むペプチドも含む。他の含まれる修飾は、アミド化、アミノ末端アシル化(例えば、アセチル化又はチオグリコール酸アミド化)、末端カルボキシルアミド化(例えば、アンモニア又はメチルアミンを使用して)、及び同様の末端修飾である。
【0142】
ペプチド摸倣化合物も有用であることが、当業者によってさらに解されるであろう。かくして、「ポリペプチド」は、ICAM−1に結合することができるペプチド摸倣化合物を含む。用語「ペプチド摸倣薬」は、治療剤としての、特定のペプチドの立体構造及び所望の特徴を摸倣した化合物を示す。
【0143】
例えば、本発明のポリペプチドは、アミノ酸残基がペプチド結合(−CO−NH−)で結合している分子だけでなく、ペプチド結合が反転している分子も含む。そのようなレトロ−インベルソ(retro-inverso)ペプチド摸倣薬は、当該技術分野で既知の方法、例えば、参照によって本明細書に取込むMeziere et al. (1997) J. Immunol. 159, 3230-3237に開示されているものを使用して作製されてよい。この方法は、側鎖の配向ではなく、主鎖の変化を含む偽ペプチドの作製を伴う。CO−NHペプチド結合の代わりにNH−CO結合を含むレトロ−インベルソペプチドは、タンパク質分解に対してより耐性を有する。代替的には、本発明のポリペプチドは、1つ又は複数のアミノ酸残基が従来のアミド結合の代わりに−y(CHNH)−結合によって結合しているペプチド摸倣化合物であってよい。
【0144】
さらに代替的には、アミノ酸残基の炭素原子間の空間を保持する適当なリンカー部分が使用される条件で、ペプチド結合を完全に無くしてよい。リンカー部分が同じ電荷分布を実質的に有し、ペプチド結合と実質的に同じ平面性を有することが有利である可能性がある。
【0145】
前記ポリペプチドは、エキソタンパク質分解(exoproteolytic)消化に対する感受性を低くするように、N末端又はC末端で好都合にブロックされてよいと解されるであろう。
【0146】
各種の非コード又は修飾アミノ酸、例えば、D−アミノ酸及びN−メチルアミノ酸を使用して、哺乳動物ペプチドを修飾してもよい。加えて、推定の生物活性立体構造は、結晶化などの共有結合修飾又はラクタム若しくは他のタイプの架橋を組み込むことによって安定化されてよい。例えば、参照によって本明細書に取込むVeber et al., 1978, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75:2636及びThursell et al., 1983, Biochem. Biophys. Res. Comm. 111:166を参照のこと。
【0147】
多数の合成ストラテジーの間の共通のテーマは、ペプチド系フレームワークへの幾つかの環状部分の導入であった。前記環状部分は、ペプチド構造の立体構造上の空間を制限し、これによって、特定の生物学的受容体に対するペプチドの特異性の増大をもたらす場合が多い。このストラテジーによって加わる利点は、環状部分のペプチドへの導入が細胞のペプチダーゼに対する感受性が低下したペプチドをもたらし得ることもある。
【0148】
かくして、本発明の方法及び使用に有用な例示のポリペプチドは、末端システインアミノ酸を含む。そのようなポリペプチドは末端システインアミノ酸中のメルカプチド基のジスルフィド結合形成によりヘテロデチック(heterodetic)環で、又は末端アミノ酸間のアミドペプチド結合形成によりホモデチック(homodetic)環で存在してよい。以上に示したとおり、小ペプチドをジスルフィド又はアミド結合を介してN及びC末端システイン間を環化することにより、タンパク質分解を低減し、かつ、構造の硬直性を増加して、より高い特異性の化合物を得ることによって、直鎖ペプチドで観察される場合がある特異性と半減期の問題を回避することができる。ジスルフィド結合により環化したポリペプチドは遊離アミノ及びカルボキシ末端を有してなおタンパク質分解性分解に感受性がある一方、N−末端アミンとC−末端カルボキシルとの間でアミド結合形成により環化したペプチドはもはや遊離アミノ又はカルボキシ末端を有しない。かくして、本発明のペプチドはC−N結合又はジスルフィド結合のいずれかによって連結し得る。
【0149】
本発明は決してペプチドの環化方法に限定されるものでなく、任意の好適な合成方法により達成してよい環状構造のペプチドを包含する。かくして、ヘテロデチック結合は、ジスルフィド、アルキレン、又はスルフィド架橋を介する形成も含み得るが、それらに限らない。ジスルフィド、スルフィド、及びアルキレン架橋を含む環状ホモデチックペプチド及び環状ヘテロデチックペプチドの合成方法は、参照によって本明細書に取込むUS 5,643,872に開示されている。その他の環化方法の例は、参照によって本明細書に組み込むUS 6,008,058に考察され、かつ、開示されている。
【0150】
環状の安定化ペプチド摸倣化合物を合成するさらなる方法は閉環メタセシス(RCM)である。この方法は、ペプチド前駆体を合成する工程、及びそれをRCM触媒と接触させて立体構造の制限されたペプチドを得る工程を伴う。適切なペプチド前駆体は二以上の不飽和C−C結合を含有してよい。この方法は、固相ペプチド合成技術を使用して実施してよい。この実施態様では、固体支持体に固定された前駆体をRCM触媒と接触させ、その生成物を次いで固体支持体から切断して立体構造の制限されたペプチドを得る。
【0151】
参照によって本明細書に取込むD. H. Rich, Protease Inhibitors, Barrett and Selveson, eds., Elsevier (1986)に開示された他の方法は、酵素インヒビター設計における遷移状態類似体の概念を応用してペプチド模倣体を設計することにある。例えば、スタチンの二級アルコールがペプシン基質の切断可能なアミド結合の四面体遷移状態を模倣することが知られている。
【0152】
要するに、よく知られているとおり、末端修飾はプロテイナーゼ消化による感受性を低下させ、従って、溶液、特にプロテアーゼが存在し得る生物体液中のペプチドの半減期を延長するのに有用である。ポリペプチド環化も、環化により形成される安定構造のため、かつ、環状ペプチドについて観察される生物学的活性の観点から、有用な修飾である。
【0153】
かくして、1つの実施態様では、本発明の方法及び使用で使用するポリペプチドは環状である。しかしながら、代替的な好ましい実施形態では、ポリペプチドは直鎖である。
【0154】
本発明の方法及び使用の好ましい実施態様では、前記抗体、又は抗原結合断片、又はそのバリアント、融合体、若しくは誘導体は、細胞表面に局在するICAM−1に特異的に結合することができ、かつ、その細胞の増殖を阻害及び/又は予防することができる。
【0155】
代替的な実施態様では、前記抗体、又は抗原結合断片、又はそのバリアント、融合体、若しくは誘導体は、細胞表面に局在するICAM−1に特異的に結合することができ、かつ、その細胞のアポトーシスを誘導することができる。
【0156】
代替的な実施態様では、前記抗体、又は抗原結合断片、又はそのバリアント、融合体、若しくは誘導体は、細胞表面に局在するICAM−1に特異的に結合することができ、かつ、その細胞に対する抗体依存性細胞傷害を誘導することができる。
【0157】
好都合には、前記抗体、又は抗原結合断片、又はそのバリアント、融合体、若しくは誘導体は癌の治療に有効であり、典型的には、前記癌は、多発性骨髄腫、メラノーマ、肺癌、胃癌、膀胱癌、乳癌、前立腺癌、リンパ腫、腎臓癌、肝細胞癌からなる群から選択される。
【0158】
そのような有効性は、マウスの関節炎モデルなどの適切な動物モデルにおいて測定してよい(実施例を参照のこと)。
【0159】
特に好ましい実施態様では、前記癌は多発性骨髄腫である。
【0160】
本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに医薬は、注射可能な持続放出薬剤送達系を使用して送達されてよい。これらは、注射の頻度を低減するように特に設計される。そのような系の例は、ニュートロピン(Nutropin)デポーであって、これは組換えヒト成長ホルモン(rhGH)を生物分解性のミクロスフェアにカプセル封入したもので、注射するとrhGHを持続期間にわたって徐々に放出する。好ましくは、送達は、筋肉内(i.m)、及び/又は皮下(s.c)、及び/又は静脈内(i.v.)で実施する。
【0161】
本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに医薬は、手術により移植するデバイスにより投与して、薬物を所要の部位へ直接放出することができる。例えば、Vitrasertは、ガンシクロビルを眼に直接放出して、CMV網膜炎を治療する。この毒物の疾患部位への直接適用は、薬物の顕著な全身の副作用を起こすこと無く、効果的な治療を達成する。
【0162】
エレクトロポレーション療法(EPT)システムも、本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、医薬、並びに医薬組成物を投与するために使うことができる。パルス電場を細胞に送達するデバイスは細胞膜の薬物に対する透過性を増加し、細胞内薬物送達の著しい増加をもたらす。
【0163】
本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに医薬はまた、エレクトロインコーポレーション(EI)により送達することもできる。EIは、皮膚表面上の直径30ミクロン以下の小粒子がエレクトロポレーションに使われるのと同じか又は類似の電気パルスを受けたときに起こる。EIにおいて、これらの粒子は角質層を通って皮膚のさらに深い層内に駆動される。粒子は薬物又は遺伝子を充填されるか又は被覆されていてよく、又は単純に「弾丸」として作用し、薬物が貫入できる孔を皮膚に開けてもよい。
【0164】
本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに医薬の送達の代替的な方法は、感熱性であるReGel(登録商標)という注入可能な系である。体温より低いと、ReGelは注入可能な液体である一方、体温ではただちにゲルリザーバーを形成して徐々に浸食されて公知の安全な生物分解性ポリマーに溶解する。活性物質はバイオポリマーが溶解する時間にわたって送達される。
【0165】
本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに医薬はまた、経口で送達することもできる。そのプロセスは、体内のビタミンB12及び/又はビタミンDを経口摂取する自然のプロセスを利用して、タンパク質とポリペプチドを同時送達する。ビタミンB12及び/又はビタミンD摂取系に載せることによって、本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに医薬を腸壁に移動されることができる。複合体のビタミンB12部分/ビタミンD部分の内因子(IF)に対する顕著な親和性と複合体の活性物質の顕著な生物活性との両方を保持する、ビタミンB12類似体及び/又はビタミンD類似体と薬物との間の複合体を合成する。
【0166】
本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに医薬は、「Trojan peptides(トロイのペプチド)」によって細胞に導入することができる。これらは、転位特性を有しており、原形質膜を越えて親水性化合物を運ぶことができ、ペネトラチン(penetratin)と呼ばれているポリペプチドのクラスである。この系は、細胞質及び核へのオリゴペプチドの直接の標的化を可能にし、非細胞型の特異性があり、かつ、非常に効率的である。Derossi et al. (1998), Trends Cell Biol 8, 84-87を参照のこと。
【0167】
好ましくは、本発明の医薬は、活性成分の1日用量又は単位、1日サブ用量又はその適当な画分を含有する単位投与製剤である。
【0168】
本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに/又は医薬は、通常、経口で又は非経口で、活性成分を含む医薬組成物の形態で、任意に、無毒の有機又は無機酸又は塩基の付加塩の形態で、製薬上許容される投与剤形で投与される。治療する疾患及び患者並びに投与経路に応じて、組成物は様々な用量で投与することができる。
【0169】
ヒトの療法においては、本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに医薬を単独で投与することができるが、一般には、意図する投与経路及び標準の医薬実施要領の関係で選択した適切な医薬賦形剤、希釈剤、又は担体と混合して投与されるであろう。
【0170】
例えば、本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに医薬は、経口、頬側、又は舌下に、錠剤、カプセル、卵形剤、エリキシル剤、溶液、又は懸濁液の形態で投与することができ、それらは香料又は着色剤を含有してよく、即時型、遅延型又は制御放出型で施用してもよい。本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに医薬はまた、空洞内注射によって投与してもよい。
【0171】
そのような錠剤は、賦形剤、例えば、微結晶セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、及びグリシン;崩壊剤、例えば、デンプン(好ましくは、トウモロコシ、ジャガイモ、又はタピオカデンプン)、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、及びある複合ケイ酸塩;並びに造粒バインダー、例えば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、スクロース、ゼラチン、及びアカシアを含有してもよい。さらに、潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル、及びタルクを含んでもよい。
【0172】
類似のタイプの固体組成物をゼラチンカプセル中のフィラーとして使用してもよい。この関係の好ましい賦形剤には、ラクトース、デンプン、セルロース、乳糖、又は高分子量ポリエチレングリコールが含まれる。水性懸濁液及び/又はエリキシル剤については、本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、医薬、並びに医薬組成物を様々な甘味剤若しくは香料、着色物質若しくは染料と、乳濁化剤及び/若しくは懸濁化剤と、並びに水、エタノール、プロピレングリコール、及びグリセリン、並びにそれらの組み合わせなどの希釈剤と組み合わせてよい。
【0173】
本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに医薬はまた、非経口で、例えば、静脈内、関節内、腹腔内、髄腔内、脳室内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、若しくは皮下に投与することができ、又は点滴技術により投与してもよい。最良の使用法は、溶液を血液と等張にするために十分な他の物質、例えば、塩又はグルコースを含有し得る滅菌水溶液の形態である。水溶液は、必要であれば、適切に緩衝化すべきである(好ましくは3〜9のpH)。滅菌条件下の適切な非経口製剤の調製は、当業者によく知られた標準の製薬技法により容易に実施することができる。
【0174】
非経口投与用に適切な医薬及び医薬組成物としては、抗酸化剤、バッファー、静菌剤、及び製剤を意図するレシピエントの血液と等張にする溶質を含有してもよい水性及び非水性滅菌注入溶液;並びに懸濁化剤及び増粘剤を含んでもよい水性及び非水性滅菌懸濁液が含まれる。医薬及び医薬組成物は単位用量又は多用量容器、例えば、封入したアンプル及びバイアルに入れて提示してもよく、凍結乾燥状態で貯蔵して使用直前に滅菌の液担体、例えば注入用水を加えることを必要としてもよい。用事調製の注入溶液及び懸濁液は、先に記載した種類の滅菌粉末、顆粒、及び錠剤から調製してよい。
【0175】
本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに医薬はまた、鼻腔内に又は吸入により投与することもでき、好都合には、乾燥粉末吸入器又は加圧容器、ポンプ、スプレー、又は噴霧器からのエアロゾルスプレー送達の形態で、適切な噴霧剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA 134A3)若しくは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA 227EA3)などのヒドロフルオロアルカン、二酸化炭素、又は他の適切なガスを利用して送達する。加圧エアロゾルの場合、投与量単位は、一定量を送達するバルブを提供することによって決定してもよい。加圧容器、ポンプ、スプレー、又は噴霧器は、例えば、エタノールと噴霧剤の混合物を溶媒として用いる活性化合物の溶液又は懸濁液を含有してもよく、これはさらに、潤滑剤、例えば、ソルビタントリオレートを含有してもよい。吸入器又は吹送器で使用する(例えば、ゼラチンから作られた)カプセル及びカートリッジは、本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアントとラクトース又はデンプンなどの好適な粉末基剤を含有するように製剤することができる。
【0176】
エアロゾル又は乾燥粉末製剤は、好ましくは、それぞれの一定用量又は「パフ」が、患者に送達するための本発明の薬剤又はポリヌクレオチドの有効量を含有するように手配される。エアロゾルの全体の日用量は患者毎に変わり得るのであって、単一用量又はより一般的には1日を通して分割した用量で投与することができる。
【0177】
代替的には、本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに医薬は、坐剤又は膣座薬の剤形で投与することができ、又は局所にローション、溶液、クリーム、軟膏、又は散布パウダーの剤形で施用してもよい。本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに医薬はまた、経皮的に、例えば、皮膚パッチを用いて投与してもよい。これらはまた、特に眼の疾患の治療のために、眼の経路により投与してもよい。
【0178】
眼科に用いる場合、本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに医薬は、等張のpH調節した滅菌生理食塩水中の微粒化懸濁液として、又は好ましくは、等張のpH調節した滅菌生理食塩水中の溶液として、任意に、塩化ベンジルアルコニウムなどの保存剤と組み合わせて製剤することができる。代替的には、これらはワセリンなどの軟膏に入れて製剤することができる。
【0179】
皮膚へ局所的に施用する場合、本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに医薬は、例えば、鉱油、液体ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス、及び水の1以上との混合物に懸濁又は溶解した活性化合物を含有する好適な軟膏として製剤することができる。代替的には、これらは、例えば、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリエチレングリコール、液体パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、及び水のうちの1つ又は複数の混合物に懸濁又は溶解した適切なローション又はクリームとして製剤することができる。
【0180】
口への局所投与のために適切な製剤としては、有効成分を香味のある基剤、通常はショ糖及びアカシア又はトラガカントの中に含むロゼンジ、有効成分を不活性な基剤、例えばゼラチン及びグリセリン又はショ糖及びアカシアに含むトローチ、並びに有効成分を適当な液状担体に含む洗口液が含まれる。
【0181】
ヒトでは、本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、医薬、並びに医薬組成物の経口又は非経口投与が好ましい経路であり、最も好都合である。
【0182】
獣医学用の場合、本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに医薬は通常の獣医学の慣習に従って適切な許容される製剤で投与され、獣医師は特定の動物に対して最も適当である投与計画及び投与経路を決定するであろう。
【0183】
本発明の抗体、又は抗原結合断片、又はそのバリアント、融合体、若しくは誘導体、並びに医薬は、後述の実施例に記載のとおりに製剤されてよい。
【0184】
本発明のさらなる実施態様によれば、症状の緩和、疾患の予防、又は疾患の治療における本発明の抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の効果は、連続的な投与又は同じ臨床的適応に有効な他の薬剤、例えば、本発明の抗体とは異なるエピトープに対する他の抗体若しくはその断片、又は意図する治療指標について既知の従来の治療剤の1つ若しくは複数との併用投与によって改善され得る。
【0185】
例えば、追加の薬剤は、レブリミド、タリボミブ(Talibomib)、メルファラン、ボルテゾミブ、ベルケイド、細胞増殖抑制剤、プレジソン(ホルモン治療)又は類似のホルモン薬、チロシンキナーゼ阻害剤からなるか又はそれらを含む群から選択される1つ又は複数の薬剤であってよい。
【0186】
上述のとおり、本発明の方法及び使用によって投与する際は、本明細書に記載の抗体、及び/又は抗原結合断片、及び/又はそのバリアント、融合体、又は誘導体が、癌及び/又は腫瘍細胞(例えば、CD20−陽性及びCD20−陰性多発性骨髄腫癌細胞及び腫瘍)のアポトーシスを誘導でき、及び/又は抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を向けることができる。加えて、前記抗体、及び/又は抗原結合断片、及び/又はバリアント、融合体、若しくは誘導体が、可溶性細胞間接着分子1(sICAM−1)に結合し、それによって血管新生、細胞接着媒介薬剤耐性、及び免疫監視を腫瘍細胞が回避することを阻害することができる。
【0187】
後述の実施例は、本明細書に記載の例示の抗体(「BI−AB」抗体と称する)が、本発明の方法及び使用によって投与される際に、顕著なインビボ及びインビトロ抗腫瘍活性を有することを示す。その顕著で直接的な抗骨髄腫活性に加えて、BI−ABは、血管新生駆動腫瘍成長を阻害し、免疫監視を腫瘍が回避することを妨げるためにも働き得る。
【0188】
特に好ましい実施態様では、前記癌は多発性骨髄腫である。
【0189】
本明細書で使用する単数形の「a」、「and」、及び「the」は、文脈がそうではないと明示していないかぎり、複数のものを含む。かくして、例えば、「抗体(an antibody)」という記載はそのような抗体の複数を含み、「用量(the dosage)」は、1又は複数の用量及び当業者に既知の均等物などを含む。
【0190】
本発明のある態様を具体化する、好ましい非限定的な実施例を、添付の図面を参照しながら以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0191】
【図1】図1は、ICAM−1(細胞間接着分子1)の構造を示す。
【図2】図2は、BI−ABが、SCID/ARH−77骨髄腫異種移植モデルで顕著なインビボ抗骨髄腫効果及び効能を示すことを示す。腫瘍細胞は、SCIDマウスの左脇腹に皮下注射した。マウスは、後述のとおり開始する、16、1.6、0.16、0.016mg/kgの用量で、一週間に二回、BI−ABの腹腔内注射を受けた。1つの治療群あたり8から10匹であった。A及びB:早期腫瘍モデル;骨髄腫細胞の接種の一日後に治療を開始し、腫瘍容量が倫理的限度(ethical limit)に達するまで継続した。(A)抗体用量に応じた腫瘍容量。(B)抗体用量に応じたカプラン・マイヤー生存グラフ。(C)確立した異種移植モデル;約100mmの容量に腫瘍が達した際に抗体を用いた治療を開始した。抗体治療は動物の体重に影響を与えず、実験中に抗体治療したマウスのいずれにおいても悪影響は存在しなかった。統計的な有意性は、スチューデントのt試験(腫瘍容量)又はGraphpad Prismソフトウェアを用いたログランク試験(マウス生存)を使用して対照抗体治療に対して計算した。統計的な優位性は、*p<0.05、**p<0.01、及び***p<0.001を考慮した。グラフは、複数実施したものの代表例を示す。
【図3】図3は、BI−ABは、インビボで顕著なICAM−1依存性抗骨髄腫活性を示すことを示す。NCI−H929、EJM、RPMI−8226、又はOPM−2骨髄腫細胞を、0日目に、SCIDマウスの左脇腹に皮下注射した。2mg/kgのBI−AB又は対照IgGを用いた抗体治療を1日目に開始し、一週間に二回の腹腔内注射の投与計画を継続した。腫瘍サイズが倫理的限度に達した際にマウスを屠殺した。BI−ABは、ICAM−1陰性細胞株であるOPM−2を異種移植した動物の腫瘍成長に対しては効果を有しておらず、抗骨髄腫活性がICAM−1依存的であることを示した。AからDのグラフは、2回実施したうちの1つの代表的な実験に由来するデータを示し。グラフEは、2回の独立した実験からプールして正規化したデータを示す(一つの治療群あたりn=8から10匹)。統計的な有意性は、スチューデントのt試験を使用して対照抗体治療に対して計算した。統計的な有意性は、*p<0.05、**p<0.01、及び***p<0.001を考慮した。ICAM−1 − 細胞間接着分子1;SCID=重症複合免疫不全。
【図4】図4は、BI−ABが、進行した実験的な多発性骨髄腫に対して保護を与えることを示す。SCIDマウスを5日間照射した後に、腫瘍細胞を静脈内接種した。2mg/kgの抗体又は0.5mg/kgのボルテゾミブ(ベルケイド)を7、10、14、及び17日目に動物に静脈内注射した(グラフでは矢印で示す)。1つの治療群あたり8匹のマウスであった。統計的な優位性は、ログランクGraphpad Prismソフトウェアを使用して計算した。統計的な有意性は、*p<0.05、**p<0.01、及び***p<0.001で決定した。
【図5】図5は、MABELの計算:インビボ薬理学的アッセイ及びインビトロの結合との相関を使用したBI−AB IC10値の測定を示す。(A)SCIDマウスの左脇腹に腫瘍細胞を皮下注射した(1群あたりn=8)。マウスは、一週間に二回、20から0.002mg/kgの範囲でBI−ABの腹腔内注射を受けた(対照群を屠殺しなければならなくなるまで)。グラフは、投与群あたり8匹を含む2つの独立した実験から計算される腫瘍成長のBI−ABによる阻害の平均IC10用量を示す。(B)血液サンプルを、インビボ実験の間の異なる時点で回収し、ELISAで分析してBI−ABトラフ濃度を測定した。グラフは、腫瘍成長のIC10阻害における定常状態血中濃度を示す(28ng/mL)。(C)BI−ABはARH−77骨髄腫細胞に用量依存的に結合する。グラフは、腫瘍成長のIC10阻害におけるBI−ABの血中濃度に相当する28ng/mLで細胞に結合する割合を示す。IC10=10%阻害時の濃度;ELISA=酵素免疫測定法;MABEL=最小予測生物学的影響量。(D)ARH−77骨髄腫細胞をSCIDマウスの左脇腹に皮下注射した(一群あたりn=8)。対照群を屠殺しなければ成らなくなるまで、マウスは、一週間に二回、0.002から20mg/kgのBI−ABの静脈内注射を受けた。終了時に血液サンプルを回収して、ELISAによって分析してBI−AB血清トラフ濃度を測定した。トラフBI−AB血清濃度は、抗腫瘍活性の関数としてプロットし、5つのパラメータのログ−ログ曲線及びXLfitソフトウェア(IDBS, Guildford, United Kingdom)を使用して適合させた。
【図6】図6は、BI−AB抗骨髄腫活性がFc依存性及びFc非依存性の作用メカニズムの双方を伴うことを示す。
【図7】図7は、配列表を示す。
【図8】図8は、表1から3を示す。表1は、受容体結合レベルと相関した10、50、及び90%の抗腫瘍活性と関連するBI−ABレベルを示す。a − ARH−77/SCIDインビボ腫瘍モデルにおいて最も感受性の大きい設定(すなわち、早期抗体投与)で測定した。b − 進行したARH−77/SCIDインビボ腫瘍モデル(すなわち、確立した腫瘍を有するマウス)において測定した。表2は、単独のIVボーラス注入の後のBI−ABの単回投与薬物動態を示す。表3は、漸増IVボーラス注入の後のBI−ABの薬物動態を示す。BI−ABの薬物動態は、カニクイザルで漸増投与毒性試験において1、2、8、20、50、及び100mg/kgの投与レベルで調べた。血漿分析用サンプルを全ての投与レベルの後に回収した。薬物動態データは、全身曝露が、性別での偏向無しで、おおむね用量に比例して増大したことを示す。Cmaxは、一般的には、投与の0.5時間後の最初のサンプル回収時に得られた。しかしながら、100mg/kgでは、Cmaxは投与の8時間後に達した。血清濃度は、69から264時間の範囲の排出時間で一般的には二相性の減少を示した。送達用量は類似しており、用量依存性は示さなかった。BI−ABの長い半減期によって治療の間の化合物の幾らかの持ち越しが存在した。
【実施例】
【0192】
実施例1:低用量及び低頻度の間隔における、抗ICAM−1抗体であるBI−ABの投与
抗体
BI−ABは、独占所有権を有するn−CoDeR(登録商標)ヒト抗体断片ライブラリー(BioInvent International AB)から産生した、ICAM−1に対する完全なヒトの高親和性IgGmAbである。BI−ABは、インビトロ及びインビボの顕著かつ広範な抗骨髄腫活性に基づいて、多発性骨髄腫の治療に適切であることが潜在的に特徴付けられ、示された。ICAM−1は、骨髄腫を含む多発性のヒトの悪性腫瘍で広範に発現する細胞表面タンパク質であり、化学療法に耐性を有する患者に由来する多発性骨髄腫細胞でアップレギュレートされてもいる(Schmidmaier, 2006)。その細胞表面発現のために、ICAM−1は、抗体に基づく治療法に非常に利用し易い。したがって、BI−ABは、難治性及び再発性骨髄腫患者の増大する臨床的に重要な群の治療において重大な寄与を為し得るであろう。
【0193】
作用態様
BI−ABは、ICAM−1に高度の親和性及び特異性で結合し、かつ、インビボでCD20−陽性及びCD20−陰性の多発性骨髄腫腫瘍に対して顕著な活性を有する。インビボ及びインビトロの作用態様試験によって、アポトーシス及び抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)をBI−AB抗腫瘍活性の根拠をなす重要なメカニズムとして同定した。加えて、可溶性細胞間接着分子1(sICAM−1)のBI−AB結合は、腫瘍の血管新生を阻害し、腫瘍が免疫監視を回避することを最小限にし得る。
【0194】
物理的及び化学的特性
BI−ABは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞で発現させた、完全なヒト免疫グロブリンGサブタイプ1(IgG1)モノクローナル抗体である。BI−AB抗体は、予測されたアミノ酸配列に基づいて、約144kDaの理論的な分子量を有する。質量分析、ペプチドマッピング、及びSDS−PAGEは、分子量並びに一次及び二次構造を決定する。生物活性は、ICAM−1に対するBI−ABの結合を定量測定する、ELISAアッセイを使用して定量した。
【0195】
抗体産生
BI−AB抗体は、BioInventが独占所有権を有するn−CoDeR(登録商標)ヒト抗体断片ライブラリーから単離して、全長のヒトIgG1抗体に変換し、次いで、Lonza Biologicsからライセンスを受けたグルタミン合成酵素(GS)遺伝子発現系に移した。
【0196】
Invitrogen社製の米国起源のウシ胎仔血清を、トランスフェクション及び細胞株の開発の選択工程の間に使用した。前記細胞株の無血清培地適応をRCBの確立の前に実施した。
【0197】
インビボ試験
BI−ABは、多発性骨髄腫の早期及び進行期を表わす、よく特徴付けられた悪性骨髄腫細胞株を含むSCID/異種移植モデルで実証されるとおり、顕著かつ広範なインビボ抗骨髄腫活性を有する(図2から4)。BI−ABの抗腫瘍活性(図2)は、多発性骨髄腫のSCID/ARH−77異種移植モデルにおいて、リツキシマブという、CD−20陽性多発性骨髄腫の治療について現在第二相試験にある抗CD−20抗体と比較した。
【0198】
このモデルでは、BI−ABは、予防(図2A及び図2B)及び確立した(図2C)異種移植モデルの双方において、腫瘍成長の低減及び長期の生存(図2B:カプランマイヤー)のいずれにおいても、リツキシマブと比較してより有効かつ強力であった。
【0199】
重要なことに、BI−ABの顕著な抗骨髄腫活性は、リツキシマブエピトープの発現と比較してBI−ABエピトープが高発現していることによる結果ではない。むしろ、多発性骨髄腫細胞は、フローサイトメトリーで明らかにしたとおり、ICAM−1と比較して、顕著により多くのCD20を発現していた。さらに、実験の完了時に回収した骨髄腫腫瘍組織の免疫組織化学的分析は、Bi−ABで治療した動物及びリツキシマブで治療した動物は、実験期間全体を通じて、ICAM−1及びCD20発現の双方を維持していたことを明らかにした。
【0200】
SCID/ARH−77異種移植モデルを使用した際に観察された顕著なインビボ抗腫瘍効果に加えて、BI−ABは、CD20−陰性でICAM−1−陽性の骨髄腫細胞株でも顕著な抗骨髄腫活性を示した(図3AからC)。BI−ABは、ICAM−1−陰性の骨髄腫細胞株であるOPM−2の腫瘍成長には影響を与えず(図3D)、抗骨髄腫活性がICAM−1依存性であることを示した。
【0201】
加えて、BI−ABの抗骨髄腫活性を、独立した契約研究機関において播種性腫瘍モデル(よく確立されたヒト多発性骨髄腫の実験モデル)において調べた。BI−ABは、腫瘍細胞の静脈内接種の一日(データ示さず)又は七日後に抗体治療を開始した際に、対照治療マウスと比較して顕著に生存を延ばした(図4)。加えて、BI−ABは、ボルテゾミブを基準にして評価し、より優れていることを示した。190日後に、実験を終了した際に、25%のBI−AB治療マウスは依然として生存していた。対照治療マウスは、35日の平均生存時間を有し、39日目に全て死亡した。
【0202】
骨髄腫異種移植モデルに加えて、予防及び確立されたSCID/B細胞リンパ腫腫瘍異種移植モデルで実証したとおり(データ示さず)、BI−ABは顕著な抗リンパ腫活性もある。
【0203】
MABEL(最小予測生物学的影響量)
最初の臨床試験のための適当な開始用量を同定するために、(1)ARH−77/SCIDインビボ腫瘍モデル及び(2)ヒト腫瘍細胞を使用するインビトロ受容体占有において、MABELを測定した。
【0204】
ARH−77/SCIDインビボ腫瘍モデルでは、抗腫瘍活性に関連するBI−ABレベルを同定し、ヒトで最小の反応が予測される場合を予測するための根拠として使用する。このモデルでは、最も感受性の高い設定(すなわち、早期抗体投与)を使用して、腫瘍成長の10%阻害(IC10)が存在するBI−AB血清トラフ濃度として、MABELを定義する。このモデルにおけるBI−ABの用量反応曲線はS字状であり、U字形又は円錐形の反応曲線の兆候は観察されなかった(図5)。このモデルにおけるMABEL/IC10用量は、一週間に二回の投与計画を使用した際に0.004mg/kgと測定され(図5A)、後述の28ng/mLのBI−ABの定常状態血清濃度と対応していた。
【0205】
異なるマウスの投与群の平均BI−AB血清トラフ濃度は、インビボ実験の間の異なる時点に回収した血液サンプルのELISA分析によって測定した。トラフBI−AB血清濃度は、用量の関数としてプロットし、5つのパラメータのログ−ログ曲線及びXLfitソフトウェア(IDBS, Guildford, United Kingdom)を使用して適合させた(図5B)。
【0206】
受容体占有はヒト腫瘍細胞を使用してインビトロで試験し、結合飽和に相当するBI−ABレベルを同定した。この濃度において、血管部分の細胞上のICAM−1エピトープは飽和されるはずであると想定され、ICAM−1の生理機能に関連する任意の副作用はそれらの最大付近にあると予測される。同様に、30%の結合飽和において、副作用に関連するものを含む任意のICAM−1依存性の生物学的反応が、引き起こされると予測される。10、50、及び90%の抗腫瘍活性の各々に関連するBI−ABレベルは、受容体結合飽和のレベルとも相関しており、これを表1に示す。
【0207】
これらの結果を適当な開始用量の同定に使用し、これをゆっくりとした長期の点滴とともに使用して安全な投与計画を得ることは、臨床試験プロトコールに開示している。
【0208】
データを適合するために使用される式を適用することによって、28ng/mLのトラフBI−AB血清濃度が、0.004mg/kgの用量及び10%の腫瘍成長阻害に相当することが見出された(図5B)。この濃度において、約30%のARH−77 ICAM−1エピトープは、インビトロで抗体によって占有された(図5C)。
【0209】
ラットにおける薬物動態
ラットにおけるBI−ABの薬物動態(PK)試験を実施した。この試験では、試験した抗体の用量は、標的抗原に対する結合がPKプロファイルに顕著に重要なものではない、標的抗原濃度に対して過剰なものであった。この事実は、抗体が標的抗原に結合しない種におけるPK試験の実施についての論拠として役立つ。ラットにおけるBI−ABの薬物動態は、0.5、2.5、及び10mg/kgの用量レベルにおける単独のIVボーラス注入の後に調べた。薬物動態は、BI−ABの全身曝露がほぼ用量に比例して増大したことを示した。最大血清濃度は、一般的には、最初の1時間の内に得られた。BI−AB血清濃度は、281から314時間の範囲の排出半減期で一般的には多相性の減少を示した。クリアランス及び送達容量(V及びVss)は用量非依存的のようであった。BI−ABの全身曝露は、一般的には、性別からは独立しているようであった。単回投与薬物動態を表2に示す。
【0210】
カニクイザルにおける薬物動態
BI−ABの薬物動態を、カニクイザルで漸増投与毒性試験において、1、2、8、20、50、及び100mg/kgの用量で調べた。血漿試験用サンプルは全ての用量のあとに回収した。
【0211】
薬物動態データは、性別によって偏向することなく、全身曝露がおおよそ用量に比例して増大したことを示した。Cmaxは、一般的には、投与の0.5時間後の最初のサンプル回収時間で得られた。しかしながら、100mg/kgでは、Cmaxが投与の8時間後に得られた。血清濃度は、69から264時間の範囲の排出時間とともに、一般的には、二相性の減少を示した。送達容量は類似しており、用量依存性は示さなかった。BI−ABの長い半減期のために治療の間の化合物の幾らかの持ち越しがあった。
【0212】
BI−ABの全身曝露を表3に示す。
【0213】
参考文献
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【0214】
実施例2:例示の医薬製剤
本発明の抗体、抗原結合断片、融合体、バリアント、又は誘導体を単独で投与することができるが、1つ又は複数の許容される担体とともに、医薬又は医薬製剤として提示することが好ましい。前記担体は、本発明の薬剤と適合性があり、かつ、受容者に有害でないという意味で「許容される」ものでなければならない。典型的には、前記担体は水又は生理食塩水であり、滅菌されており、かつ、パイロジェンフリーであろう。
【0215】
以下の実施例は、活性成分が本発明の抗体、抗原結合断片、融合体、バリアント、又は誘導体である、本発明の医薬及び医薬組成物を示す。
【0216】
実施例2A:注射可能な製剤
活性成分 10mg
滅菌されたパイロジェンフリーのリン酸バッファー(pH7.0) 1mlまでの残部
【0217】
前記活性成分は、リン酸バッファーの大半に溶解し(35から40℃)、容量を調整して、滅菌細孔フィルターで滅菌した10mlアンバーガラス容器(タイプ1)に濾過し、滅菌封鎖及びオーバーシールによって密封した。
【0218】
実施例2B:筋肉内注射
活性成分 10mg
ベンジルアルコール 0.10g
グルコフロール(Glucofrol)75(登録商標) 1.45g
注射用水 1.00mlまでの残部
【0219】
活性成分はグルコフロールに溶解した。次いで、ベンジルアルコールを添加し、溶解して、水を3mlまで添加した。次いで、混合物を滅菌細孔フィルターで濾過し、滅菌した3mlのガラス容器(タイプ1)中で密封した。
【0220】
実施例2C:皮下注射
BI−AB(すなわち、活性成分) 10mg
塩化ナトリウム(すなわち、バッファー) 8.77mg
酢酸ナトリウム3水和物(すなわち、バッファー) 2.35mg
酢酸(すなわち、バッファー) 0.16μL
塩酸(すなわち、pH調整剤) pH5.5まで
水酸化ナトリウム(すなわち、pH調整剤) pH5.5まで
ポリソルベート20(すなわち、界面活性剤) 0.5mg
注射用水(すなわち、pH調整剤) 1mlまでの残部
【0221】
実施例3 − 本発明の医薬又は医薬組成物を使用する患者の多発性骨髄腫の治療
多発性骨髄腫を示す患者を臨床実験によって同定し得る。
【0222】
多数の臓器が骨髄腫によって影響を受け得るため、その症状及び兆候は大きく異なる。多発性骨髄腫の共通の四つ組を記憶するために使用する場合があるニーモニックは、CRAB:C=カルシウム(上昇)、R=腎不全、A=貧血、B=骨病変である。骨髄腫は、下記のものを含む、多数の起こり得る症状を有する。
【0223】
骨痛
骨髄腫の骨痛は、通常、脊椎及び肋骨に関与し、活動によって悪化する。持続的で局所的な痛みが、病気による骨折を示す可能性がある。椎骨への関与が脊髄圧迫をもたらす可能性がある。骨髄腫骨疾患は、腫瘍細胞の増殖、及び破骨細胞を刺激して骨を破壊する、破骨細胞活性化因子(OAF)としても知られているインターロイキン1、すなわちIL−1の放出による。これらの骨病変は、自然溶解性であり、単純X線写真で最も良好に認められ、「穿孔性」吸収病変を示す可能性がある。骨の破壊は、カルシウムの血中への放出も引き起こし、高カルシウム血症及びその関連症状をもたらす。
【0224】
感染
最も一般的な感染は肺炎及び腎盂腎炎である。一般的な肺炎の病原体は、肺炎連鎖球菌、黄色ブドウ球菌、及び肺炎桿菌を含み、腎盂腎炎を引き起こす一般的な病原体は、大腸菌及び他のグラム陰性生物を含む。感染が発生する最もリスクが大きい期間は、化学療法後の最初の数ヶ月である。感染リスクの増大は、正常な抗体の生産の低減及び破壊の増大による、拡散した低ガンマグロブリン血症に由来する免疫不全による。
【0225】
腎不全
腎不全は、急性及び慢性の双方で発症する可能性がある。腎不全は一般的には抗カルシウム血症による(上記参照)。ファンコニ症候群として現れ得る、ベンス・ジョーンズタンパク質とも称される軽鎖の排出に由来する尿細管傷害による可能性もある(2型尿細管アシドーシス)。他の原因は、アミロイドの糸球体沈着、抗尿酸血症、反復性感染(腎盂腎炎)、及び腫瘍細胞の局所浸潤を含む。
【0226】
貧血
骨髄腫において認められる貧血は、通常、正球性及び正色素性である。腫瘍細胞の浸潤による正常な骨髄の置換並びにサイトカインによる正常な赤血球生産(造血)の阻害による。
【0227】
神経症状
共通の問題は、高カルシウム血漿による衰弱、錯乱、及び疲労である。頭痛、視覚変化、及び網膜症は、パラプロテインの特性に依存した過粘稠血液の結果である可能性がある。さらに、神経根痛、腸又は膀胱制御の喪失(脊髄関与が脊髄圧迫をもたらすことによる)、手根管症候群、及び他の神経障害(アミロイドによる末梢神経の浸潤による)が存在する可能性がある。晩期症例においてパラプレジアを生じる可能性がある。
【0228】
骨髄腫の典型的な臨床像は、病気による骨折、特に胸郭又は脊柱における骨折による重度の痛みを有する患者である。他の一般的な特徴は、腎不全及び高カルシウム血症を含み、貧血及び血小板減少症を伴う骨髄機能不全も一般的である。臓器不全が生じる場合があり、典型的には心臓及び腎臓に関与し、重度の心臓不整脈又は心不全及びネフローゼ症候群の各々を生じさせる。出血性素因もアミロイド軽鎖アミロイドーシスでは一般的である。
【0229】
多発性骨髄腫の臨床像は、悪性形質細胞による、正常な骨髄(幹細胞、赤血球、白血球、血小板、及び血漿を含む)の置換による。兆候及び症状は、骨折、痛み、熱、体重減少、貧血、反復性感染症、出血性疾患、高カルシウム血症、タンパク質血症、及び腎不全(血液及び尿中の過剰量のMタンパク質による)を含む。
【0230】
多発性骨髄腫の診断は、当該技術分野で知られているとおり、骨髄生検、血液試験、及びx線を伴う。確認された多発性骨髄種の診断は、通常、以下の基準に合致することを必要とする:(i)骨髄中の10%超の形質細胞;(ii)血液又は尿中のMタンパク質;(iii)溶解性骨変性の存在;及び(iv)軟組織形質細胞腫の存在(National Cancer Institute website, accessed February 2008)。
【0231】
以下の医薬は、本発明の方法及び使用によって、患者に皮下投与される:
BI−AB(すなわち、活性成分) 10mg
塩化ナトリウム(すなわち、バッファー) 8.77mg
酢酸ナトリウム3水和物(すなわち、バッファー) 2.35mg
酢酸(すなわち、バッファー) 0.16μL
塩酸(すなわち、pH調整剤) pH5.5まで
水酸化ナトリウム(すなわち、pH調整剤) pH5.5まで
注射用水(すなわち、pH調整剤) 1mlまでの残部
ポリソルベート20(すなわち、界面活性剤) 0.5mg
【0232】
上記医薬及び投与計画を使用する治療は、適当な期間にわたって(例えば、数ヶ月又は数年にわたって)、症状の消失を示すまで継続する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗体又はその抗原結合断片が、以下のアミノ酸配列:
FSNAWMSWVRQAPG [配列番号1]; 及び/又は
AFIWYDGSNKYYADSVKGR [配列番号2]; 及び/又は
ARYSGWYFDY [配列番号3]; 及び/又は
CTGSSSNIGAGYDVH [配列番号4]; 及び/又は
DNNNRPS [配列番号5]; 及び/又は
CQSYDSSLSAWL [配列番号6]
の1つ又は複数を含む、
ICAM−1に対する結合特異性を有する抗体又はその抗原結合断片、又はICAM−1に対する結合特異性を有する、前記抗体若しくは抗原結合断片のバリアント、融合体、若しくは誘導体、又は前記バリアント若しくは誘導体の融合体の、
有効量の抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体を治療が必要な患者に投与する工程を含む癌の治療のための医薬の製造における使用。
【請求項2】
抗体又はその抗原結合断片が、以下のアミノ酸配列:
FSNAWMSWVRQAPG [配列番号1]; 及び/又は
AFIWYDGSNKYYADSVKGR [配列番号2]; 及び/又は
ARYSGWYFDY [配列番号3]; 及び/又は
CTGSSSNIGAGYDVH [配列番号4]; 及び/又は
DNNNRPS [配列番号5]; 及び/又は
CQSYDSSLSAWL [配列番号6]
の1つ又は複数を含む、
有効量の抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体を治療が必要な患者に投与する工程を含む癌の治療において使用するための、
ICAM−1に対する結合特異性を有する抗体又はその抗原結合断片、又はICAM−1に対する結合特異性を有する、前記抗体若しくは抗原結合断片のバリアント、融合体、若しくは誘導体、又は前記バリアント若しくは誘導体の融合体。
【請求項3】
抗体又はその抗原結合断片が、以下のアミノ酸配列:
FSNAWMSWVRQAPG [配列番号1]; 及び/又は
AFIWYDGSNKYYADSVKGR [配列番号2]; 及び/又は
ARYSGWYFDY [配列番号3]; 及び/又は
CTGSSSNIGAGYDVH [配列番号4]; 及び/又は
DNNNRPS [配列番号5]; 及び/又は
CQSYDSSLSAWL [配列番号6]
の1つ又は複数を含む、
ICAM−1に対する結合特異性を有する抗体又はその抗原結合断片、又はICAM−1に対する結合特異性を有する、前記抗体若しくはその抗原結合断片のバリアント、融合体、若しくは誘導体、又は前記バリアント若しくは誘導体の融合体の有効量を治療が必要な患者に投与する工程を含む、個体の癌を治療するための方法。
【請求項4】
前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量が、約0.02mg/kgから2mg/kgの間の抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体である、請求項1若しくは2に記載の使用又は請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量が、
0.02 mg/kgから0.03 mg/kgの間;又は
0.02 mg/kgから0.30 mg/kgの間;又は
0.02 mg/kgから0.10 mg/kgの間;又は
0.10 mg/kgから0.30 mg/kgの間から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用又は方法。
【請求項6】
前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量が、
0.016 mg/kg;又は
0.02 mg/kg;又は
0.03 mg/kg;又は
0.10 mg/kg;又は
0.16 mg/kg;又は
0.30 mg/kgから選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の使用又は方法。
【請求項7】
抗体又はその抗原結合断片が、以下のアミノ酸配列:
FSNAWMSWVRQAPG [配列番号1]; 及び/又は
AFIWYDGSNKYYADSVKGR [配列番号2]; 及び/又は
ARYSGWYFDY [配列番号3]; 及び/又は
CTGSSSNIGAGYDVH [配列番号4]; 及び/又は
DNNNRPS [配列番号5]; 及び/又は
CQSYDSSLSAWL [配列番号6]
の1つ又は複数を含む、
ICAM−1に対する結合特異性を有する抗体若しくはその抗原結合断片、又はICAM−1に対する結合特異性を有する、前記抗体若しくは抗原結合断片のバリアント、融合体、若しくは誘導体、又は前記バリアント若しくは誘導体の融合体の、
一週間に一度以下の頻度において、単回用量で、前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量を治療が必要な患者に投与する工程を含む癌の治療のための医薬の製造における使用。
【請求項8】
抗体又はその抗原結合断片が、以下のアミノ酸配列:
FSNAWMSWVRQAPG [配列番号1]; 及び/又は
AFIWYDGSNKYYADSVKGR [配列番号2]; 及び/又は
ARYSGWYFDY [配列番号3]; 及び/又は
CTGSSSNIGAGYDVH [配列番号4]; 及び/又は
DNNNRPS [配列番号5]; 及び/又は
CQSYDSSLSAWL [配列番号6]
の1つ又は複数を含む、
一週間に一度以下の頻度において、単回用量で、前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量を治療が必要な患者に投与する工程を含む癌の治療に使用するための、
ICAM−1に対する結合特異性を有する抗体若しくはその抗原結合断片、又はICAM−1に対する結合特異性を有する、前記抗体若しくは抗原結合断片のバリアント、融合体、若しくは誘導体、又は前記バリアント若しくは誘導体の融合体。
【請求項9】
抗体又はその抗原結合断片が、以下のアミノ酸配列:
FSNAWMSWVRQAPG [配列番号1]; 及び/又は
AFIWYDGSNKYYADSVKGR [配列番号2]; 及び/又は
ARYSGWYFDY [配列番号3]; 及び/又は
CTGSSSNIGAGYDVH [配列番号4]; 及び/又は
DNNNRPS [配列番号5]; 及び/又は
CQSYDSSLSAWL [配列番号6]
の1つ又は複数を含む、
ICAM−1に対する結合特異性を有する抗体若しくはその抗原結合断片、又はICAM−1に対する結合特異性を有する、前記抗体若しくは抗原結合断片のバリアント、融合体、若しくは誘導体、又は前記バリアント若しくは誘導体の融合体の有効量を、一週間に一度以下の頻度において単回用量で治療が必要な患者に投与する工程を含む、個体の癌を治療するための方法。
【請求項10】
前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量が、
八日に一度;又は
九日に一度;又は
十日に一度;又は
十一日に一度;又は
十二日に一度;又は
十三日に一度;又は
十四日に一度;又は
二十一日に一度
から選択される頻度において、単回用量で投与される、請求項7若しくは8に記載の使用又は請求項9に記載の方法。
【請求項11】
抗体又はその抗原結合断片が、以下のアミノ酸配列:
FSNAWMSWVRQAPG [配列番号1]; 及び/又は
AFIWYDGSNKYYADSVKGR [配列番号2]; 及び/又は
ARYSGWYFDY [配列番号3]; 及び/又は
CTGSSSNIGAGYDVH [配列番号4]; 及び/又は
DNNNRPS [配列番号5]; 及び/又は
CQSYDSSLSAWL [配列番号6]
の1つ又は複数を含む、
ICAM−1に対する結合特異性を有する抗体若しくはその抗原結合断片、又はICAM−1に対する結合特異性を有する、前記抗体若しくは抗原結合断片のバリアント、融合体、若しくは誘導体、又は前記バリアント若しくは誘導体の融合体の、
一週間に一度以下の頻度において、単回用量で、前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量を治療が必要な患者に投与する工程を含む癌の治療のための医薬の製造における使用であって、
前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量が、約0.02mg/kgから2mg/kgの間の抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体である、使用。
【請求項12】
抗体又はその抗原結合断片が、以下のアミノ酸配列:
FSNAWMSWVRQAPG [配列番号1]; 及び/又は
AFIWYDGSNKYYADSVKGR [配列番号2]; 及び/又は
ARYSGWYFDY [配列番号3]; 及び/又は
CTGSSSNIGAGYDVH [配列番号4]; 及び/又は
DNNNRPS [配列番号5]; 及び/又は
CQSYDSSLSAWL [配列番号6]
の1つ又は複数を含む、
一週間に一度以下の頻度において、単回用量で、前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量を治療が必要な患者に投与する工程を含み、前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量が、約0.02mg/kgから2mg/kgの間の抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体である、癌の治療に使用するための、
ICAM−1に対する結合特異性を有する抗体若しくはその抗原結合断片、又はICAM−1に対する結合特異性を有する、前記抗体若しくは抗原結合断片のバリアント、融合体、若しくは誘導体、又は前記バリアント若しくは誘導体の融合体。
【請求項13】
抗体又はその抗原結合断片が、以下のアミノ酸配列:
FSNAWMSWVRQAPG [配列番号1]; 及び/又は
AFIWYDGSNKYYADSVKGR [配列番号2]; 及び/又は
ARYSGWYFDY [配列番号3]; 及び/又は
CTGSSSNIGAGYDVH [配列番号4]; 及び/又は
DNNNRPS [配列番号5]; 及び/又は
CQSYDSSLSAWL [配列番号6]
の1つ又は複数を含む、
ICAM−1に対する結合特異性を有する抗体若しくはその抗原結合断片、又はICAM−1に対する結合特異性を有する、前記抗体若しくは抗原結合断片のバリアント、融合体、若しくは誘導体、又は前記バリアント若しくは誘導体の融合体の有効量を、一週間に一度以下の頻度において単回用量で治療が必要な患者に投与する工程を含み、前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量が、約0.02mg/kgから2mg/kgの間の抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体である、個体の癌を治療するための方法。
【請求項14】
前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量及び投与頻度が、
0.02mg/kgから0.03mg/kgの間で、七日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.03mg/kgの間で、八日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.03mg/kgの間で、九日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.03mg/kgの間で、十日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.03mg/kgの間で、十一日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.03mg/kgの間で、十二日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.03mg/kgの間で、十四日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.03mg/kgの間で、二十一日に一度の頻度で投与
から選択される、請求項11若しくは12に記載の使用又は請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量及び投与頻度が、
0.02mg/kgから0.30mg/kgの間で、七日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.30mg/kgの間で、八日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.30mg/kgの間で、九日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.30mg/kgの間で、十日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.30mg/kgの間で、十一日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.30mg/kgの間で、十二日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.30mg/kgの間で、十四日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.30mg/kgの間で、二十一日に一度の頻度で投与
から選択される、請求項11若しくは12に記載の使用又は請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量及び投与頻度が、
0.02mg/kgから0.10mg/kgの間で、七日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.10mg/kgの間で、八日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.10mg/kgの間で、九日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.10mg/kgの間で、十日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.10mg/kgの間で、十一日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.10mg/kgの間で、十二日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.10mg/kgの間で、十四日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgから0.10mg/kgの間で、二十一日に一度の頻度で投与
から選択される、請求項11若しくは12に記載の使用又は請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量及び投与頻度が、
0.10mg/kgから0.30mg/kgの間で、七日に一度の頻度で投与;又は
0.10mg/kgから0.30mg/kgの間で、八日に一度の頻度で投与;又は
0.10mg/kgから0.30mg/kgの間で、九日に一度の頻度で投与;又は
0.10mg/kgから0.30mg/kgの間で、十日に一度の頻度で投与;又は
0.10mg/kgから0.30mg/kgの間で、十一日に一度の頻度で投与;又は
0.10mg/kgから0.30mg/kgの間で、十二日に一度の頻度で投与;又は
0.10mg/kgから0.30mg/kgの間で、十四日に一度の頻度で投与;又は
0.10mg/kgから0.30mg/kgの間で、二十一日に一度の頻度で投与
から選択される、請求項11若しくは12に記載の使用又は請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量及び投与頻度が、
0.016mg/kgで、七日に一度の頻度で投与;又は
0.016mg/kgで、八日に一度の頻度で投与;又は
0.016mg/kgで、九日に一度の頻度で投与;又は
0.016mg/kgで、十日に一度の頻度で投与;又は
0.016mg/kgで、十一日に一度の頻度で投与;又は
0.016mg/kgで、十二日に一度の頻度で投与;又は
0.016mg/kgで、十四日に一度の頻度で投与;又は
0.016mg/kgで、二十一日に一度の頻度で投与
から選択される、請求項11若しくは12に記載の使用又は請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量及び投与頻度が、
0.02mg/kgで、七日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgで、八日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgで、九日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgで、十日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgで、十一日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgで、十二日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgで、十四日に一度の頻度で投与;又は
0.02mg/kgで、二十一日に一度の頻度で投与
から選択される、請求項11若しくは12に記載の使用又は請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量及び投与頻度が、
0.03mg/kgで、七日に一度の頻度で投与;又は
0.03mg/kgで、八日に一度の頻度で投与;又は
0.03mg/kgで、九日に一度の頻度で投与;又は
0.03mg/kgで、十日に一度の頻度で投与;又は
0.03mg/kgで、十一日に一度の頻度で投与;又は
0.03mg/kgで、十二日に一度の頻度で投与;又は
0.03mg/kgで、十四日に一度の頻度で投与;又は
0.03mg/kgで、二十一日に一度の頻度で投与
から選択される、請求項11若しくは12に記載の使用又は請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量及び投与頻度が、
0.10mg/kgで、七日に一度の頻度で投与;又は
0.10mg/kgで、八日に一度の頻度で投与;又は
0.10mg/kgで、九日に一度の頻度で投与;又は
0.10mg/kgで、十日に一度の頻度で投与;又は
0.10mg/kgで、十一日に一度の頻度で投与;又は
0.10mg/kgで、十二日に一度の頻度で投与;又は
0.10mg/kgで、十四日に一度の頻度で投与;又は
0.10mg/kgで、二十一日に一度の頻度で投与
から選択される、請求項11若しくは12に記載の使用又は請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記抗体、その抗原結合断片、バリアント、融合体、又は誘導体の有効量及び投与頻度が、
0.30mg/kgで、七日に一度の頻度で投与;又は
0.30mg/kgで、八日に一度の頻度で投与;又は
0.30mg/kgで、九日に一度の頻度で投与;又は
0.30mg/kgで、十日に一度の頻度で投与;又は
0.30mg/kgで、十一日に一度の頻度で投与;又は
0.30mg/kgで、十二日に一度の頻度で投与;又は
0.30mg/kgで、十四日に一度の頻度で投与;又は
0.30mg/kgで、二十一日に一度の頻度で投与
から選択される、請求項11若しくは12に記載の使用又は請求項13に記載の方法。
【請求項23】
ICAM−1が細胞表面に局在している、請求項1から22のいずれか一項に記載の使用又は方法。
【請求項24】
前記細胞が癌細胞である、請求項23に記載の使用又は方法。
【請求項25】
前記癌細胞が、骨髄腫細胞、メラノーマ細胞、肺癌細胞、胃癌細胞、膀胱癌細胞、乳癌細胞、前立腺癌細胞、リンパ腫細胞、腎臓癌細胞、肝細胞癌細胞からなる群から選択される、請求項24に記載の使用又は方法。
【請求項26】
前記癌細胞が骨髄腫細胞である、請求項24に記載の使用又は方法。
【請求項27】
前記抗体、又は抗原結合断片、又はそのバリアント、融合体、若しくは誘導体が、インタクトな抗体を含むか又はからなる、請求項1から26のいずれか一項に記載の使用又は方法。
【請求項28】
前記抗体、又は抗原結合断片、又はそのバリアント、融合体、若しくは誘導体が、Fv断片、Fab断片、Fab様断片からなる群から選択される抗原結合断片を含むか又はからなる、請求項1から27のいずれか一項に記載の使用又は方法。
【請求項29】
前記Fv断片が、単鎖Fv断片又はジスルフィド結合したFv断片である、請求項28に記載の使用又は方法。
【請求項30】
前記Fab様断片が、Fab’断片又はF(ab)断片である、請求項28に記載の使用又は方法。
【請求項31】
前記抗体が組換え抗体である、請求項1から30のいずれか一項に記載の使用又は方法。
【請求項32】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項1から31のいずれか一項に記載の使用又は方法。
【請求項33】
前記抗体又はその抗原結合断片が、ヒト抗体又はヒト化抗体である、請求項1から32のいずれか一項に記載の使用又は方法。
【請求項34】
前記抗体、断片、バリアント、融合体、又は誘導体が、配列番号1から6のアミノ酸配列を含む、請求項1から33のいずれか一項に記載の使用又は方法。
【請求項35】
前記抗体、断片、バリアント、誘導体、又は誘導体の重鎖可変領域が、以下のCDR:
FSNAWMSWVRQAPG [配列番号1];及び
AFIWYDGSNKYYADSVKGR [配列番号2];及び
ARYSGWYFDY [配列番号3]
を含む、請求項1から34のいずれか一項に記載の使用又は方法。
【請求項36】
前記抗体、断片、バリアント、融合体、又は誘導体の重鎖可変領域が、配列番号7のアミノ酸配列を含む、請求項34に記載の使用又は方法。
【請求項37】
前記抗体、断片、バリアント、融合体、又は誘導体の軽鎖可変領域が、以下のCDR:
CTGSSSNIGAGYDVH [配列番号4];及び
DNNNRPS [配列番号5];及び
CQSYDSSLSAWL [配列番号6]
を含む、請求項1から36のいずれか一項に記載の使用又は方法。
【請求項38】
前記抗体、断片、バリアント、融合体、又は誘導体の軽鎖可変領域が、配列番号8のアミノ酸配列を含む、請求項37に記載の使用又は方法。
【請求項39】
前記抗体、又は抗原結合断片、バリアント、融合体、若しくは誘導体が、請求項34又は35に記載の重鎖可変領域及び請求項37又は38に記載の軽鎖可変領域を含む、請求項1から38のいずれか一項に記載の使用又は方法。
【請求項40】
前記抗体、又は抗原結合断片、バリアント、融合体、若しくは誘導体が、請求項36に記載の重鎖可変領域及び請求項38に記載の軽鎖可変領域を含む、請求項1から39のいずれか一項に記載の使用又は方法。
【請求項41】
前記抗体、又は抗原結合断片、又はそのバリアント、融合体、若しくは誘導体が、細胞表面に局在するICAM−1に特異的に結合することができ、かつ、その細胞の増殖を阻害及び/又は予防することができる、請求項1から40のいずれか一項に記載の使用又は方法。
【請求項42】
前記抗体、又は抗原結合断片、又はそのバリアント、融合体、若しくは誘導体が、細胞表面に局在するICAM−1に特異的に結合することができ、かつ、その細胞のアポトーシスを誘導することができる、請求項1から41のいずれか一項に記載の使用又は方法。
【請求項43】
前記抗体、又は抗原結合断片、又はそのバリアント、融合体、若しくは誘導体が、細胞表面に局在するICAM−1に特異的に結合することができ、かつ、その細胞に対する抗体依存性細胞傷害を誘導することができる、請求項1から42のいずれか一項に記載の使用又は方法。
【請求項44】
前記抗体又は抗原結合断片が癌の治療における有効性を有する、請求項1から43のいずれか一項に記載の使用又は方法。
【請求項45】
前記癌が、多発性骨髄腫、メラノーマ、肺癌、胃癌、膀胱癌、乳癌、前立腺癌、リンパ腫、腎臓癌、肝細胞癌からなる群から選択される、請求項46に記載の使用又は方法。
【請求項46】
前記癌が多発性骨髄腫である、請求項47に記載の使用又は方法。
【請求項47】
明細書に実質的に記載した抗体又は抗原結合断片の使用。
【請求項48】
明細書に実質的に記載した個体の癌の治療方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−518664(P2012−518664A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551434(P2011−551434)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【国際出願番号】PCT/EP2010/001115
【国際公開番号】WO2010/112110
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(506209743)バイオインヴェント インターナショナル アーベー (9)
【Fターム(参考)】