説明

抗TROP−2モノクローナル抗体ならびに腫瘍の治療および診断におけるその使用

本発明は、高親和性を有しTrop-2分子の異なる領域を認識することができる抗Trop-2モノクローナル抗体、および、たとえば、子宮内膜、乳房、頭頸部、結腸直腸、胃、肺、卵巣、前立腺、膵臓、腎臓、子宮頸部および膀胱(尿路上皮)腫瘍などの腫瘍の治療および診断におけるその使用を教示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗Trop-2モノクローナル抗体ならびに腫瘍の治療および診断におけるその使用に関する。さらに具体的には、本発明は、高い親和性を有し、Trop-2分子の異なる領域を認識することができる抗Trop-2モノクローナル抗体、ならびに、たとえば子宮内膜、乳房、頭頸部、結腸直腸、胃、肺、卵巣、前立腺、膵臓、子宮頸部、腎臓および膀胱(尿路上皮)腫瘍などの腫瘍の治療および診断におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
Trop-2(AC:P09758)は、細胞質カルシウムの増加を決定するシグナルを伝達する分子であり1、この分子は、上皮組織において細胞-細胞および細胞/マトリックス接着に関与している。Trop-2は、腫瘍関連カルシウムシグナルトランスデューサー2(TACSTD-2)2,3、GA733-1、EGP、MR23、MR54、RS-7およびT16としても知られている4-6。Trop-2は上皮細胞において膜全体にわたって局在している4。Trop-2の細胞外ドメインである球状部分は、EGF様ドメインと、それに続いてサイログロブリンドメインを含有し、細胞接着に関与している。この球状領域にはシステインがない領域が続き、この領域は支持ステムとして働くと提唱されている3,7。Trop-2の細胞内ドメインは26アミノ酸長であり、HIKEドメインを含有し8、ここにはPKCリン酸化部位(Ser303)が含まれる9
【0003】
本発明の著者らは、以前のデータ4-6を確認、拡張して、Trop-2がヒトの大部分の腫瘍により発現されていることを明らかにしている。DNAマイクロアレイ、EST、SAGE、ノーザンブロットおよびRT-PCRの各解析により、卵巣、NSCLC、前立腺、乳房および結腸癌細胞系においてならびに胃、直腸、乳房、子宮内膜、腎臓、肺および卵巣ヒト腫瘍においてTROP2 mRNA発現が明らかにされた。TROP2 mRNA発現は、正常なヒト乳房組織において、肺、子宮、前立腺、唾液腺、膵臓、呼吸器管、胸腺、腎臓および胎盤においても検出された。
【0004】
ヒト腫瘍形成(neoplasias)の1755症例について実施されたTrop-2タンパク質発現の免疫組織化学的解析(図1およびTable 1(表1)により、Trop-2タンパク質が大多数の悪性上皮腫瘍形成(症例の64%から90%)において高度に発現されていることが明らかにされた。Trop-2発現の最も高い蔓延率は子宮頸部および膵臓腫瘍において見出され、胃、結腸、乳房および前立腺癌が、ならびに卵巣、肺および子宮内膜腫瘍形成が続いた。リンパ腫、メラノーマ、脳腫瘍および肉腫はTrop-2を発現しない(図1とTable 1(表1)はヒト原発腫瘍およびその対応する転移におけるTrop-2発現に関する)。
【0005】
【表1】

【0006】
腫瘍発達におけるTrop-2の直接の機能はインビトロとインビボの両方において実証済みである。MTE4-14およびIgrov-1におけるTrop-2の導入ならびにKM12SMにおけるその過剰発現により、完全に形質転換された細胞と単に不死化された細胞両方の増殖が刺激され(図2a)、Trop-2発現が腫瘍細胞の増殖を刺激するのに必要であり十分であることが示された。
【0007】
類似の結果が実験腫瘍(ヌードマウスの皮下に注入された293またはL腫瘍細胞)において得られた(図2b)。Trop-2発現は増加した有糸分裂活性、核多形性および多核巨細胞を誘導することが明らかにされた。腫瘍発達はTrop-2発現レベルに比例していた。
【0008】
Trop-2細胞質領域の欠失はTrop-2依存性増殖刺激を無効にし、この領域がTrop-2シグナル伝達において重要な役割を果たしていることを示した(図2b)。その末端(tail)はPKCによりリン酸化されるセリン残基(S303)を含有している9。S303変異誘発は増殖刺激活性を無効にし、Trop-2刺激活性がリン酸化依存性であることを示していた(図2a)。
【0009】
抗体マイクロアレイ上でのプロテオミクスおよびホスホプロテオミクス解析により、Trop-2シグナル伝達に関与する下流分子の同定が可能になった(図3)。膜貫通チロシンキナーゼ受容体(PDGFR、Met、Ret、VEGFR)、可溶性チロシンキナーゼ、セリン/スレオニンキナーゼ、ホスファターゼ、細胞周期調節因子およびアポトーシス調節分子についてTrop-2誘導発現変化が明らかにされた。ウェスタンブロット解析により、分子の参照集合およびリン酸化部位について抗体マイクロアレイ解析を検証した。得られた結果は、PKC-α、FAKおよびRaf-1のTrop-2依存性活性化、PTEN-Akt-GSK3α/β-S6K経路の関与、ERK、JNKおよびp38 MAPKの調節、NF-κBの誘導ならびにアポトーシス因子、p53およびRbの調節を示している。このモデルの重要なプレイヤー(player)(たとえば、ERK、サイクリンD1、NFκB)の調節は、無傷のTrop-2細胞質側末端の存在に依存していることが明らかにされた。
【0010】
転移性拡散は、ヒトの癌の多数における死亡の主要因である10。たとえば、結腸癌、乳癌および肺癌などの一般的腫瘍は、多くの場合、手術の時点ですでに転移を生じている。転移性腫瘍は、現在利用可能な治療的試みの大半に対して抵抗性があることが多い10
【0011】
したがって、腫瘍拡散の分子機構がもっとよく分かれば、進行性腫瘍性疾患のさらに優れた治療に極めて重要な役割を果たすことができるであろう。特に、腫瘍侵襲性および転移能の新たなマーカーを同定すれば、初期段階での侵襲性の症例の同定に貢献し、新規の治療のための新たな標的を提供することが可能になる10
【0012】
この戦略的アプローチに続いて、本発明の筆者らは、TROP2が、転移細胞において過剰発現されている唯一の遺伝子であることを異なる実験系において明らかにした。ヒト原発癌およびそれに対応する転移におけるTrop-2発現の大規模解析により、結腸、胃、乳房および卵巣腫瘍からの転移におけるTrop-2過剰発現を明らかにした。このことは、ノーザンおよびウェスタンブロットによりならびに免疫組織化学により裏付けられた(図1およびTable 1、Table 2(表1、2))。
【0013】
これに続いて、KM12SM結腸腫瘍細胞系に野生型または変異誘発Trop-2をトランスフェクトして、転移細胞の拡散におけるTrop-2の原因となる働きが明らかにされた。次に、トランスフェクト細胞はヌードマウスの脾臓に注入され、転移能が評価された。Trop-2発現は、肝臓への転移拡散の増加(症例の90%において)を誘導することが明らかにされた。Table 2(表2)はTrop-2発現細胞の転移能を示している。
【0014】
【表2】

【0015】
Trop-2発現は、増殖パターン、アポトーシス誘導、細胞形態、細胞複製速度および転移体積も改変した。
【0016】
ヒト腫瘍におけるおよびその対応する転移におけるTrop-2の高い頻度および発現レベルにより、この分子は「養子」免疫療法("adoptive" immunotherapy)のための、すなわち、実験的に産生された抗体の投与に基づく魅力的な標的になった(図1およびTable 1(表1))。
【0017】
Trop-2に指し向けられる他のモノクローナル抗体はすでに作製されているが4-6、抗腫瘍薬として臨床実験において基本的に利用されてこなかった。
【0018】
さらに、多くの抗体が低親和性を有するが、Trop-2に構造的に類似する分子(Trop-1、Ep-CAM、GA733-2)3,7を標的とする高親和性抗体は、腫瘍細胞に対する細胞障害性が増大し得ることが知られている。抗体依存性細胞障害活性(ADCC)効率に対する抗体親和性のおよび標的抗原の密度の効果に関するインビトロデータにより、抗体の高親和性は、抗原の発現レベルが低い細胞の死滅を誘導し、または、匹敵するレベルであれば、もっと高効率で誘導することが可能である11。標的抗原の発現の不均一性はヒト腫瘍に共通の特色であるため、高親和性抗体を使用すれば、より優れた臨床結果を実現するのに重要な役割を果たすことができるであろう。
【0019】
さらに、現在市販されている抗Trop-2モノクローナル抗体の大半、たとえば、T16は、融合パートナーとしてNS-1またはSP2-1などの、親免疫グロブリン軽鎖の発現を保持している骨髄腫細胞系を使用して産生されてきた。このために、これらの抗体は、実際には、Trop-2認識に直接関与する1つの軽鎖、両方の軽鎖を有する、またはどちらの軽鎖もない抗体の不均一な混合物であった。
【0020】
RS7抗体ならびに腫瘍の治療および診断におけるその使用を教示する、特許出願のWO03/074566、米国特許出願第2004/001825号、米国特許出願第2007/212350号および米国特許出願第2008/131363号が公知である。
【0021】
RS7モノクローナル抗体は、肺扁平上皮癌由来の組織を用いて、すなわち、Trop-2分子の特定の異なる部分に対する反応性について選択せずに、マウスの免疫化を通じて得られた。このために、様々なモノクローナル抗体の相乗的で個別的な利用、すなわち、Trop-2の翻訳後修飾、および腫瘍増殖を制御する細胞内シグナルのこの分子の生成能により決定されるような、各個別腫瘍に対する最良のモノクローナル抗体の使用が妨げられている。
【0022】
腫瘍の治療のために抗Trop-2モノクローナル抗体を教示する特許出願WO2008/144891が公知である。とはいえ、そこに記載されるAR47A6.4.2モノクローナル抗体は、細胞障害性または細胞分裂阻害性インビトロ能力を有する抗体の選択から導き出されている。言い換えれば、この選択は、これらの抗体の有効性を評価するのに用いるべき基本パラメータであるインビボ有効性に基づいてはいない。実際、上記の出願は、RS7などの先行技術抗体に関して、有効性の比較による改良の証拠を全く開示していない。
【0023】
さらに、AR47A6.4.2モノクローナル抗体は、実験腫瘍に対する最も厳密で信頼性の高い活性試験と見なされている、実験動物においてすでに増殖している、進行した増殖段階の単一腫瘍型(BxPC-3)に対して有効性を示した。
【0024】
AR47A6.4.2モノクローナル抗体は、卵巣腫瘍由来の組織を用いて、すなわち、Trop-2分子の特定の異なる部分に対する反応性について選択せずに、マウスの免疫化により得られた。RS7抗体の場合と同じように、このために、異なるモノクローナル抗体の相乗的で個別的な使用、すなわち、Trop-2の翻訳後修飾、および腫瘍増殖を制御する細胞内シグナルのこの分子の生成能により決定されるような、各個別腫瘍に対する最良のモノクローナル抗体の使用が妨げられている。
【0025】
最後に、特許出願WO2008/144891は、マウスを実験モデルとして使用して、AR47A6.4.2モノクローナル抗体の毒性の欠如を示したに過ぎない。マウスは、ヒトTrop-2を発現せず、したがって、正常細胞に対する抗Trop-2抗体の毒性を検証するには不適切である。それどころか、本出願では、ヒトにおける表皮、食道、膵外分泌部、尿路上皮および他の組織由来の上皮細胞でのTrop-2の発現が教示される。これは、抗Trop-1抗体(ING-1)について示されるように、全身投与(たとえば、静脈内)の場合、たとえば、急性膵炎のような重症化するおそれのある細胞障害性が予想されることを暗示する。
【0026】
したがって、上に記載されたことに照らして、先行技術抗体の不利を克服することができる新しい抗Trop-2モノクローナル抗体の必要性が明らかに存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】WO03/074566
【特許文献2】米国特許出願第2004/001825号
【特許文献3】米国特許出願第2007/212350号
【特許文献4】米国特許出願第2008/131363号
【特許文献5】WO2008/144891
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
特に、抗腫瘍モノクローナル抗体(特に、Her2/neuを標的とした)が、抗腫瘍治療効果の決定に基本的役割を果たす、特定の立体構造の変化または他のシグナル伝達分子との相互作用を回避するように、前記分子の特定の部分に指し向けられることが重要である12
【0029】
別の重要な側面は、Trop-2への結合が競合しない複数の抗体を有する可能性である。これにより、個々の抗体の標的(専門用語ではエピトープ)が腫瘍の異なる発生または分化段階で選択的に発現される場合、より多い数の腫瘍細胞に結合することが可能になる。さらに、これにより、より多い数の抗体分子がその標的に同時に結合し、それに対応して有効性を増加させることが可能になる。
【0030】
本発明の筆者らは、生物医学用途における効率的利用のために、既知の抗体とは違って、均一で高親和性を有し、分子の異なる領域を標的とする新しい抗Trop-2モノクローナル抗体(図4および5)を今や調製した。本発明により教示される抗Trop-2抗体は、たとえば、Colo-205、HCT-116およびHT29結腸癌;SKOV卵巣癌;SKBR3およびMDA MB468乳癌などの複数の腫瘍型の増殖に対して活性である。さらに、本発明により教示される抗体は、免疫抑制マウスに注入されたヒト腫瘍の実験モデルにおいて示されるように、先行技術のRS7抗体に対してより高い抗腫瘍活性を有する(図6)。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明の筆者らは、Trop-2分子の異なる領域を認識できるモノクローナル抗体を作製するための新規な戦略を開発した。Trop-2に指し向けられるモノクローナル抗体を分泌する新しいハイブリドーマ細胞系の作製のために、哺乳動物細胞系(Lおよび293)または対応する構築物を発現するバキュロウイルスにより産生される、ヒトTrop-2分子(NCBI RefSeq NM_002353)3の全細胞外部分を利用して、Balb/cマウスを複数の免疫化サイクルにかけた。
【0032】
抗Trop-2ハイブリドーマ単離戦略の極めて重要な点は、TROP2トランスフェクトL細胞に対する特異的反応性と、空ベクター対照のLトランスフェクタントに対する反応性の欠如についてのハイブリドーマ細胞集団の選択法であり、これによりスクリーニング法は厳密にも効果的にもなった。このスクリーニング法は、トランスフェクトまたは非トランスフェクトL細胞に対する細胞蛍光測定またはELISA試験により実施された。
【0033】
本発明において用いる手法は、Trop-2バキュロウイルスを感染させた昆虫細胞においてまたは哺乳動物細胞において産生された組換えTrop-2タンパク質またはそのタンパク質の一部に対してELISAおよび類似のアッセイを利用する。これにより、効率的スクリーニングのための、天然の折り畳みおよびグルコシル化を有し、したがって実際に腫瘍細胞により発現される分子に厳密に対応する組換えTrop-2タンパク質の利用が可能になった。
【0034】
さらに、筆者らは、Trop-2の球状またはステム領域のみを発現するベクターを作製した。これにより、前記分子のどちらかの部分を標的とした、したがってそれぞれ、すでに確立されたTrop-2分子ネットワークを通したホモタイプ集合/細胞接着または貫通に対する差次的または妨害能力を潜在的に与えられたモノクローナル抗体の特異的選択が可能になった。
【0035】
上記の通りに作製されたモノクローナル抗体によるTrop-2分子の認識の正式証明は、免疫蛍光実験において見られるように、ヒトTrop-2遺伝子でトランスフェクトされたマウス細胞系MTE-4-14を染色するこれらの抗体の能力により構成される(図5)。
【0036】
これらの新しい技術におかげで、野生型分子に対する高い親和性および分子クローン抗体の異なる部分に対する特異性を有する抗Trop-2モノクローナル抗体を得ることが可能になった。Trop-2を標的としたモノクローナル抗体の有効性は、Trop-2を発現しているL細胞から発生した線維肉腫またはヒト腫瘍細胞系、たとえば、卵巣、乳房および結腸腫瘍由来の異種移植片のどちらかをモデルとして使用してヌードマウスにおいて明らかにされた。次に、インビボにおいて最も良好/最も有効であることが判明し4、基本的に腫瘍増殖の完全な阻害に到達したモノクローナル抗体が選択された(図6および7)。
【0037】
上で概略したように、本発明により教示される抗体は、RS7抗体に関してより高い有効性を示した(図6)。これらの実験において使用された抗体は、特許出願WO03/074566において教示され、cRS7およびhRS7変異体と同じ親和性と結合活性を有することがこの同一出願において明らかにされたmRS7モノクローナル抗体である。
【0038】
抗Trop-2抗体の使用戦略に関する限り、高親和性抗Trop-2抗体の治療的使用に関連する潜在的全身毒性作用は、残留循環抗体を迅速で安全/再現可能に除去する「チェイシング(chasing)」法を含むことになる最適化戦略により抑制できることも分かった。このアプローチとは補完的に、高親和性抗Trop-2抗体の使用は、局所領域的治療に適用することが可能である。特に、本発明の筆者らは、このように調製されたモノクローナル抗体は、全身拡散とは違って、抗体の「チェイシング」が特異的結合を通じた腫瘍細胞への吸着により操作される治療的IP投与において有利に使用できることを見出した。これは、腹腔内抗体投与に続く予想される薬物動態と卵巣癌およびその転移による高レベルのTrop-2発現の組合せのためである(図1およびTable 1(表1))。基本的に対応する原理に基づく第二の戦略は、結腸癌の肝臓転移の場合の肝臓内動脈投与である。これらのアプローチは、類似の症例、たとえば、頭頸部腫瘍における局所投与の他にも胸膜内、膀胱内および一般に病巣内投与を含むように拡張されると理解されるべきである。
【0039】
したがって、寄託番号PD08019、PD08020またはPD08021を用いて2008年8月27日にジェノバ(イタリア)のAID-ICLCに寄託されたハイブリドーマ細胞系により産生される抗Trop-2モノクローナル抗体のグループにおいて選択される少なくとも2種の単離された抗Trop-2モノクローナル抗体を含む、またはそれからなる組合せは本発明の特定の実施形態である。
【0040】
好ましくは、前記組合せは、寄託番号PD08019とPD08020とPD08021、またはPD08019とPD08020、またはPD08019とPD08021、またはPD08020とPD08021を有するハイブリッド細胞系により産生される抗Trop-2モノクローナル抗体を含む、またはそれからなる。
【0041】
本発明の追加の実施形態は、寄託番号PD08019、PD08020またはPD08021を有するハイブリッド細胞系により産生される各抗Trop-2モノクローナル抗体である。
【0042】
本発明により教示される抗体は、マウス定常領域がヒト定常領域で置換されている完全ヒト化もしくはキメラ抗体13、または、標的に対するその親和性を変化させるようにおそらく変異誘発された、対応する軽鎖および/もしくは重鎖の可変領域のCDRのうちの少なくとも1つを含有する変異体でもよい。
【0043】
上記の抗体により認識されるエピトープは、球状領域またはステム中に局在している(図4)。
【0044】
上記の抗体に加えて、抗体もしくはキメラ分子の断片、Fv、Fab、F(ab)2断片、一本鎖または多量体抗Trop-2抗体を利用することができるであろう。抗体、断片または抗体キメラは、IgM、IgD、IgG、IgA、もしくはIgEアイソタイプに由来する、またはその中に操作・作製することが可能である。
【0045】
さらに、定常領域が、生物活性のあるパートナー、たとえば、アビジンもしくはその誘導体、または増殖因子、毒素、サイトカイン、抗腫瘍薬および放射性同位体、または生物活性であり、および/もしくは抗腫瘍治療効果を増加するのに有用である他の任意の化合物で置換されている、またはそれとコンジュゲートしている、本発明により教示される抗体の組換え誘導体を調製することが可能である。
【0046】
上記のタンパク質をコードする核酸は発現ベクターにクローニングすることが可能である。発現ベクターは、トランスジェニック生物、ノックアウトおよび遺伝子治療用のベクターを含む、プラスミド、コスミド、ファージミド、BAC、バキュロウイルス、酵母もしくは植物用のベクター、ファージベクター、TIまたは類似のプラスミドと意図されている。したがって、核酸分子を含有し、おそらくは発現する、本発明により教示される細胞を調製することが可能である。
【0047】
さらに、本発明は、薬学的に許容される1種または複数の賦形剤および/またはアジュバントと合わせて、活性成分として上で定義される組合せもしくは上で定義される抗Trop-2モノクローナル抗体を含む、またはそれからなる医薬組成物を教示する。特に、医薬組成物は、腹腔内、胸膜内、膀胱内、病巣内投与または肝動脈を通じた投与に許容可能な形態でもよい。
【0048】
本発明の追加の実施形態は、腫瘍および/または転移を予防または治療する薬物の調製のための、上で定義される組合せまたは上で定義される抗Trop-2モノクローナル抗体または上で定義される組成物の使用である。
【0049】
たとえば、Trop-2を発現している腫瘍は、その除去の前または後に、抗体もしくはその誘導体などの抗悪性腫瘍薬単独での、または他の治療モダリティ(therapeutic modalities)と組み合わせての投与によって治療することが可能である。特に、抗Trop-2抗体およびその誘導体の投与モダリティは、全身性または局所領域的、たとえば、腹腔内、胸膜内、膀胱内、肝臓内動脈もしくは病巣内(腫瘍内)のどちらかであることが可能である。抗Trop-2抗体に基づく治療のための標的の指標となり包括的ではない一覧表には、子宮内膜、乳房、頭頸部、結腸直腸、胃、肺、卵巣、前立腺、膵臓、子宮頸部、腎臓および膀胱(尿路上皮)腫瘍が含まれる。
【0050】
さらに、本発明はインビトロでの腫瘍の診断のための、上で定義される抗Trop-2モノクローナル抗体の上で定義される組合せの使用を教示する。
【0051】
本発明の追加の実施形態は、上で定義される組合せ、もしくは上で定義される抗Trop-2モノクローナル抗体、もしくは上で定義される組成物を含む、またはそれからなるインビトロでの腫瘍の診断用のキットである。
【0052】
本発明により教示される抗体またはその誘導体は、アフィニティークロマトグラフィーによる抗体精製を可能にする配列、単一残基または合成分子(タグ)に融合することが可能である。利用されるタグは、実験室における診断用途と画像化の両方のための、検出分子もしくは指標(たとえば、放射性同位元素または蛍光タグ)、または検出可能な基質修飾を触媒することができる酵素タグとして使用することができる。利用することができる診断技法は、たとえば、光学顕微鏡、共焦点顕微鏡、多光子顕微鏡および電子顕微鏡、ELISA、ウェスタンブロット法、免疫沈降法、放射性免疫技法およびその他類似のものである。
【0053】
本発明により教示される抗体は、インビボ腫瘍画像化を含む、Trop-2発現腫瘍形成の検出のための組成物の調製に使用することが可能である。抗Trop-2抗体は、放射性同位元素または蛍光トレーサー、たとえば、化学発光により検出することが可能な量子ドットもしくは有機発色団もしくは酵素であることが可能である。標識抗Trop-2抗体により発生されるシグナルは、TAC/PETなどの現在使用されている先端機器の原則に従って、スキャナーまたは断層計測手段(tomography instrumentation)により検出可能である。
【0054】
本発明は、同封の図面の図に特に関連して、その好ましい実施形態のうちのいくつかに従って、しかしこれに限定されることなく、ここより図解と実施例により説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】ヒト腫瘍におけるTrop-2タンパク質発現 ヒト腫瘍におけるTrop-2発現の割合は、パネルの上に示されている。解析された試料の絶対数はパネルの下に示されている。
【図2】Trop-2による細胞増殖誘導 (a)野生型Trop-2または細胞質側末端(Δcyto)において欠失しているもしくはPKCリン酸化部位(S303A)において変異しているTrop-2でトランスフェクトされたIgrov-1、KM12SMおよびMTE 4-14細胞のインビトロ増殖速度。対照細胞は点線に対応し、wt Trop-2トランスフェクタントは実線に対応しており、変異誘発Trop-2トランスフェクタントは破線に対応している。バー:測定値の平均の標準誤差。 (b)L(線維肉腫)細胞および293(癌腫)細胞由来の腫瘍のインビボ増殖速度。ベクター単独でトランスフェクトされた細胞は点線に対応し、wt Trop-2トランスフェクタントは実線に対応しており、変異誘発Trop-2トランスフェクタントは破線に対応している。
【図3】Trop-2シグナル伝達経路のプロテオミクス解析 (a)Trop-2または対照ベクターで安定的にトランスフェクトされたMTE 4-14細胞は、様々なシグナル伝達分子の発現レベルについて抗体アレイ上で解析された。表は、タンパク質絶対レベル(pan)においてまたは特定部位のリン酸化レベルにおいて有意な変化を示している。灰色:対照に関してTrop-2でトランスフェクトされた細胞の増加率(左)または減少率(右)。P:対照に関するTrop-2発現レベルのT検定解析 (b)対応するウェスタンブロット解析
【図4】産生されたモノクローナル抗体によるTrop-2の特異的認識-フローサイトメトリー解析 (a)マウス線維肉腫L細胞(細線)またはwt Trop-2でトランスフェクトされたL細胞(太線)は、抗Trop-2モノクローナル抗体と一緒にインキュベートした。T16は陽性対照抗体として利用された。 (b)マウス線維肉腫L細胞(細線)、またはそれぞれ球状もしくはステム領域に対応するTrop-2欠失変異体でトランスフェクトされたL細胞(太線)は、抗Trop-2モノクローナル抗体と一緒にインキュベートした。抗体結合はAlexa488フルオロフォアとコンジュゲートされたヤギ抗マウス抗血清で検出した。
【図5】産生されたモノクローナル抗体によるTrop-2の特異的認識-共焦点顕微鏡解析 ヒトTROP2遺伝子でトランスフェクトされたマウス胸腺上皮細胞MTE 4-14は示したTrop-2モノクローナル抗体と一緒にインキュベートした。抗体結合はAlexa488フルオロフォアとコンジュゲートされたヤギ抗マウス抗血清で検出した。T16は陽性対照抗体として利用された。
【図6】示した抗Trop-2抗体で処置した腫瘍の増殖の阻害 (a)ベクター単独でトランスフェクトされ無関係な特異性を有する抗体(抗ダンシル)で処置した細胞は点線に対応し、TROP2トランスフェクタントは実線に対応し、抗Trop-2抗体で処置したTROP2トランスフェクタントは破線に対応する。バー: 測定値の平均の標準誤差。 (b)異なる抗Trop-2抗体で処置した腫瘍の増殖阻害の効率。無関係な特異性を有する抗体(抗ダンシル)で処置したTROP2トランスフェクタントは実線に対応し、RS7抗Trop-2抗体で処置したTROP2トランスフェクタントは点線に対応し、本出願に記載される抗Trop-2抗体で処置したTROP2トランスフェクタントは破線に対応する。バー: 測定値の平均の標準誤差。
【図7】予防的に処置した腫瘍と比べた、示した抗Trop-2抗体で処置した進行しすでに増殖している腫瘍の増殖の阻害 (a)予防的に異なる抗Trop-2抗体で処置した(腫瘍細胞と抗体の同時注入)腫瘍(HT29 e HCT-116 U5.5)の増殖阻害の効率。無関係な特異性を有する抗体(抗ダンシル)で処置した腫瘍は点線に対応し、異なる抗Trop-2抗体(2G10:四角形、2E7:三角形)で処置した腫瘍は実線に対応する。バー: 測定値の平均の標準誤差。 (b)進行期に異なる抗Trop-2抗体で処置した腫瘍(COLO205およびHT29)の増殖阻害の効率。無関係な特異性を有する抗体(抗ダンシル)で処置した腫瘍は点線に対応し、異なる抗Trop-2抗体(2E7および2G10)で処置した腫瘍は実線に対応する。右パネルでは2E7と2G10の組合せ処置の結果が示されている。垂直矢印は、抗体を用いた処置の開始を示している。バー: 測定値の平均の標準誤差。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0056】
本発明により教示されるモノクローナル抗体の調製および有効性調査
フローサイトメトリー
腫瘍およびトランスフェクト細胞の表面への抗Trop-2モノクローナル抗体の結合は、細胞系へのフローサイトメトリーにより解析された(図4)。染色および解析は基本的に記載15の通りに実施された。
【0057】
モノクローナル抗体の作製(Generazione degli anticorpi monoclonail)
Balb/cマウスは、哺乳動物細胞系(Lおよび293)によりまたは対応する構築物を含有し発現しているバキュロウイルスにより産生されたヒトTrop-2分子(NCBI RefSeq NM_002353のnt 339-1157)3の全細胞外領域を利用して複数の免疫化サイクルにかけられた。前記構築物は、以下のプライマーを用いてTROP2遺伝子のPCR増幅により調製された:
hT2-sigpeptide_EcoRI-for
5’CCCCGAATTCATGGCTCGGGGCCCCGGCCTCGC(配列番号1)
hT2-6his-Xbal-rev
5’CCCCCTCTAGATCACGTGATGGTGATGGTGATGCCCCCCGGTGAGGCGCTTCATGGAG(配列番号2)
【0058】
タンパク質のより容易な精製を可能にするように、6-ヒスチジンタグはC末端に付加された。PCRバンドは、哺乳動物細胞における発現のためにベクターpBJI-neoに、またはバキュロウイルスにおける発現(「Bac to Bac」Baculovirus expression system、Invitrogen、米国)のためにpFastBac HTAにサブクローニングされた。このようにして産生される組換えTrop-2タンパク質は、続いてNi-NTA Agarose(Qiagen、オランダ)上でアフィニティークロマトグラフィーにより培地から精製された。免疫マウス由来の脾細胞は、当技術分野で公知の方法14に従って、骨髄腫Sp2/0またはNS-0細胞に融合された。ハイブリドーマ細胞は、TROP2でトランスフェクトされたL細胞に対する特異的反応性、および空ベクターでトランスフェクトされたL細胞に対する反応性の欠如によって選択された。これらのアッセイは、組換えTrop-2タンパク質またはその部分に関するELISA試験と統合された。特に、どちらかの領域を特異的に標的としたモノクローナル抗体を選択することを目的に、Trop-2の細胞外領域の球状領域のみ(nt 339-773)またはステム領域のみ(nt 774-1157)のどちらかを発現している哺乳動物細胞およびバキュロウイルス用に様々な発現ベクターが作製された(図4)。構築物は以下のプライマーを用いてTROP2遺伝子のPCR増幅により調製された:
球状領域では
hT2-gl_EcoRI-for
5’CCCCGAATTCTAAATGGCTCGGGGCCCCGGCCTCGC(配列番号3)
hT2-gl_HindIII-rev
5’GCGAAGCTTTTAGTGATGGTGATGGTGATGGCAGCGTAGGCTCAGGTC(配列番号4);
ステム領域では
hT2-st_EcoRI-for
5’CCCCGAATTCTAAATGGCTCGGGGCCCCGGCCTCGCGCCGCCACCGCTGCGGCTGCCGCTGCTGCTGCTGGTGCTGGCGGCGGATGAGCTGGTGCGCACC(配列番号5)
hT2-st_HindIII-rev
5’GCGAAGCTTCTAGTGATGGTGATGGTGATGCCCCCCGGTGAGGCGCTTCATGGAG(配列番号6)。どちらの場合も、組換えタンパク質のより容易な精製を可能にするために、6-ヒスチジンタグがC末端に付加された。
【0059】
続いて、前記断片は、哺乳動物細胞における発現のためにpYFP-ΔFPベクターに、またはバキュロウイルスにおける発現のためにpFastBac HTAにクローニングされた。
【0060】
SDS-PAGEおよびウェスタンブロット解析
標的組織由来の抗体調製物またはライセートはSDS-PAGEゲル上に流され、次にComassie blue(Invitrogen、米国)を用いて染色された。ウェスタンブロット解析では、ゲルはニトロセルロース膜上に電気転写(electrotransfer)された。前記膜は、化学発光により標的分子を検出するために一次および二次抗体と一緒にインキュベートした。
【0061】
細胞トランスフェクション
Trop-2をコードする構築物のトランスフェクションは、15に記載の通りにまたはリポフェクション(Gibco-BRL、米国)により実施された。
【0062】
共焦点顕微鏡
試料は、Alexafluor-488にコンジュゲートされた抗Trop-2モノクローナル抗体を用いて、またはAlexafluor-488にコンジュゲートされたヤギ抗マウス抗血清で顕在化した、同一の非コンジュゲート抗体を用いて染色された。室温で30分間のPBS中4%パラホルムアルデヒド中での固定化ならびにPBS10%血清および0.05%サポニン中での透過処理後、細胞は室温で30分間抗体と一緒にインキュベートされ、続いて必要であれば、ヤギ抗マウス抗血清と一緒に第二のインキュベートをされた。次にスライドは、洗浄され観察のためにマウントされた。
【0063】
免疫組織化学
正常および腫瘍組織の切片は、基本的に記載16の通りに免疫組織化学により解析された。
【0064】
インビボモデル:胸腺欠損ヌードマウスの異種移植片
TROP2もしくは対照空ベクターでトランスフェクトされたLもしくは293細胞系、または自然にTrop-2を発現するもしくはTrop-2でトランスフェクトされたヒト癌腫(乳房、卵巣、結腸)細胞は、ヌードマウスの各群(10匹/群)に皮下注射された。同時注入プロトコール(予防的処置)では、注射の日にマウスは、200μgの抗Trop-2または無関係なモノクローナル抗体でIP処置した。注入された動物においてすでに増殖している定着腫瘍の治療では、腫瘍容積が約0.1cm3の時点で治療を開始して、ヌードマウスは800μgの抗Trop-2または無関係なモノクローナル抗体を用いて治療された。示されるように、治療の開始から7、15および22日目にさらに3用量が投与された。すべての群で、腫瘍増殖は、基本的に指示された通りに週2回測定された17
【0065】
抗Trop-2モノクローナル抗体の可変領域の配列決定
RNAは、本発明により教示される抗Trop-2モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマから、Trizol(Invitrogen、米国)を使用して抽出された。免疫グロブリン遺伝子の重鎖(VH)と軽鎖(LH)両方の可変領域は、記載される18通りにRT-PCRにより全RNAから増幅された。増幅された断片はBigDye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems、米国)を使用して配列決定され、反応産物はApplied Biosystems 3130xl Genetic Analyzerで解析された。VHおよびVLのFRおよびCDR領域は、記載される19通りにImmunoGenetics Information System(IMGT)に従って同定された。
【0066】
各抗Trop-2モノクローナル抗体のVHおよびVLに対応するコード領域(オープンリーディングフレーム、ORF)およびアミノ酸配列は以下に列挙している。
4F6モノクローナル抗体のVH(ハイブリドーマ細胞系N. PD08019)
ORF(配列番号7)
1 CAGCTGCAGC AGTCTGGAGC TGAGGTGGTG
AAGCGTGGGG CTTCAGTGAA GCTGTCCTGC AAGACTTCTG
GCTTCACCTT CAGCAGTAGC TATATAAGTT
101 GGTTGAAGCA GAAGCCTCGA CAGAGTCTTG
AGTGGATTGC ATGGATTTAT GCTGGAACTG GTGGTACTAG
CTATAATCAG AAGTTCACAG GCAAGGCCCA
201 ACTGACTGTA GACACATCCT CCAGCACAGC
CTACATGCAA CTCAGCAGCC TGACATCTGA GGACTCTGCC
ATCTATTACT GTGCAAGACA TAACCCTTGT
301 TACTATGCTA TGGATTACTG GGGTCAAGGA
FR1: 1 - 69
CDR1: 70 - 93
FR2: 94 - 144
CDR2: 145 - 168
FR3: 169 - 282
CDR3: 283 - 330
アミノ酸配列(配列番号 8)
1 DVQLEQFGAE LVRPGTSVKM SCKAAGYTFT NYWIGWVKQR
PGHGLEWIGD IYPGGGYTNY NEKFKGKATL TADTSSSTAY
MQLSSLTFED FAIYYCARGT
101 GGGDYWGQG
FR1: 1 - 25
CDR1: 26 - 33
FR2: 34 - 50
CDR2: 51 - 58
FR3: 59 - 96
CDR3: 97 - 110
4F6モノクローナル抗体のVL(ハイブリドーマ細胞系N. PD08019)
ORF(配列番号 9)
1 TATTGTGATC ACCCAGTCTC CAGCATCCCT
GTCCATGGCT ATAGGAGAAA AAGTCTCCAT CAGATGCATA
ACCAGCACTG ATATTGATGA TGATATGAAC
101 TGGTACCAGC AGAAGCCAGG GGAACCTCCT
AAGCTCCTTA TTTCAGAAGG CAATACTCTT CGTCCTGGAG
TCCCATCCCG ATTCTCCAGC AGTGGCTATG
201 GTACAGATTT TGTTTTTACA ATTGAAAACA
TGCTCTCAGA AGATGTTGCA GATTACTACT GTTTGCAAAG
TGATAACTTG CCGTACACGT TCGGAGGGGG
301 A
FR1: 1 - 76
CDR1: 77 - 94
FR2: 95 - 145
CDR2: 146 154
FR3: 155 - 261
CDR3: 262 - 301
アミノ酸配列(配列番号 10)
1 IVITQSPASL SMAIGEKVSI RCITSTDIDD DMNWYQQKPG
EPPKLLISEG NTLRPGVPSR FSSSGYGTDF VFTIENMLSE
DVADYYCLQS DNL
FR1: 1 - 25
CDR1: 26 - 31
FR2: 32 - 48
CDR2: 48 - 51
FR3: 52 - 87
CDR3: 88 - 93
2G10モノクローナル抗体のVH(ハイブリドーマ細胞系N. PD08020)
ORF(配列番号 11)
1 CAGCTGCAGC AGTCTGGAGC TGAGGTGGTG
AAGCGTGGGG CTTCAGTGAA GCTGTCCTGC AAGACTTCTG
GCTTCACCTT CAGCAGTAGC TATATAAGTT
101 GGTTGAAGCA GAAGCCTCGA CAGAGTCTTG
AGTGGATTGC ATGGATTTAT GCTGGAACTG GTGGTACTAG
CTATAATCAG AAGTTCACAG GCAAGGCCCA
201 ACTGACTGTA GACACATCCT CCAGCACAGC
CTACATGCAA CTCAGCAGCC TGACATCTGA GGACTCTGCC
ATCTATTACT GTGCAAGACA TAACCCTTGT
301 TACTATGCTA TGGATTACTG GGGTCAAGGA
FR1: 1 - 69
CDR1: 70 - 93
FR2: 84 - 144
CDR2: 145 - 168
FR3: 169 - 282
CDR3: 283 - 330
アミノ酸配列(配列番号 12)
1 DVQLEQFGAE LVRPGTSVKM SCKAAGYTFT NYWIGWVKQR
PGHGLEWIGD IYPGGGYTNY NEKFKGKATL TADTSSSTAY
MQLSSLTFED FAIYYCARGT
101 GGGDYWGQG
FR1: 1 - 25
CDR1: 26 - 33
FR2: 34 - 50
CDR2: 51 - 58
FR3: 59 - 96
CDR3: 97 - 110
2G10モノクローナル抗体のVL(ハイブリドーマ細胞系N. PD08020)
ORF(配列番号 13)
1 TATTGTGATC ACCCAGTCTC CAGCATCCCT GTCCATGGCT
ATAGGAGAAA AAGTCACCAT CAGATGCATA ACCAGCACTG
ATATTGATGA TGATATGAAC
101 TGGTACCAGC AGAAGCCAGG GGAACCTCCT AAGCTCCTTA
TTTCAGAAGG CAATACTCTT CGTCCTGGAG TCCCATCCCG
ATTCTCCAGC AGTGGCTATG
201 GTACAGATTT TGTTTTTACA ATTGAAAACA TGCTCTCAAA
GATGTTGCAG ATTACTACTG TTTGCAAAGT GATAACTTGC
CGTACACGTT CGGAGGGGGA
FR1: 1 - 76
CDR1: 77 - 94
FR2: 95 - 145
CDR2: 146 - 154
FR3: 155 - 261
CDR3: 262 - 300
アミノ酸配列(配列番号14)
1 IVITQSPASL SMAIGEKVTI RCITSTDIDD DMNWYQQKPG
EPPKLLISEG NTLRPGVPSR FSSSGYGTDF VFTIENMLSE
DVADYYCLQS DNL
FR1: 1 - 25
CDR1: 26 - 31
FR2: 32 - 48
CDR2: 49 - 51
FR3: 52 - 87
CDR3: 88 - 93
2EFモノクローナル抗体のVH(ハイブリドーマ細胞系N. PD08021)
ORF(配列番号 15)
1 CAGCTGGAGC AGTTTGGAGC TGAGCTGGTA
AGGCCTGGGA CTTCAGTGAA GATGTCCTGC AAGGCTGCTG
GATACACCTT CACTAACTAC TGGATAGGTT
101 GGGTAAAGCA GAGGCCTGGA CATGGCCTTG
AGTGGATTGG AGATATTTAC CCTGGAGGTG GTTATACTAA
CTACAATGAG AAGTTCAAGG GCAAGGCCAC
201 ACTGACTGCA GACACATCCT CCAGCACAGC
CTACATGCAG CTCAGCAGCC TGACATTTGA GGACTTTGCC
ATCTATTACT GTGCAAGAGG AACTGGGGGG
301 GGGGACTACT GGGGCCAAGG G
FR1: 1 - 69
CDR1: 70 - 93
FR2: 94 - 144
CDR2: 145 - 168
FR3: 169 - 282
CDR3: 283 - 321
アミノ酸配列(配列番号 16)
1 DVQLEQFGAE LVRPGTSVKM SCKAAGYTFT NYWIGWVKQR
PGHGLEWIGD IYPGGGYTNY NEKFKGKATL TADTSSSTAY
MQLSSLTFED FAIYYCARGT
101 GGGDYWGQG
FR1: 1 - 25
CDR1: 26 - 33
FR2: 34 - 50
CDR2: 51 - 58
FR3: 59 - 96
CDR3: 97 - 110
2EFモノクローナル抗体のVL(ハイブリドーマ細胞系N. PD08021)
ORF (配列番号 17)
1 GATATTGTGA TGACACAGTC TCCTGCTTCC
TTAGCTGTAT CTCTGGGGCA GAGGGCCACC ATCTCATGCA
GGGCCAGCCA AAGTGTCAGT ACATCTAGCT
101 ATAGTTATAT GCACTGGTAC CAACAGAAAC
CAGGACAGCC ACCCAAACTC CTCATCAAGT ATGCATCCAA
CCTAGAATGT GGGGTCCCTG CCAGGTTCAG
201 TGGCAGTGGG TGTGGGACAG ACTTCACCCT
CAACATCCAT CCTGTGGAGG AGGAGGATAG TGCAACATAT
TACTGTCAGC ACAGTCGGGA GATTCCGTAC
301 ACGTTCGGAG GGGGA
FR1: 1 - 87
CDR1: 88 - 107
FR2: 108 - 159
CDR2: 160 - 178
FR3: 179 - 286
CDR3: 287 - 315
アミノ酸配列 (配列番号 18)
1 DIVMTQSPAS LAVSLGQRAT ISCRASQSVS TSSYSYMHWY
QQKPGQPPKL LIKYASNLEC GVPARFSGSG CGTDFTLNIH
PVEEEDSATY YCQHSREI
FR1: 1 - 26
CDR1: 27 - 36
FR2: 37 - 53
CDR2: 53 - 55
FR3: 56 92
CDR3: 93 - 98
(参考文献)




【特許請求の範囲】
【請求項1】
寄託番号PD08019、PD08020またはPD08021を有するハイブリドーマ細胞系により産生される抗Trop-2モノクローナル抗体のグループにおいて選択される、少なくとも2種の単離された抗Trop-2モノクローナル抗体を含む、またはそれからなる組合せ。
【請求項2】
寄託番号PD08019、PD08020およびPD08021を有するハイブリドーマ細胞系により産生される抗Trop-2モノクローナル抗体を含む、またはそれからなる、請求項1に記載の組合せ。
【請求項3】
寄託番号PD08019およびPD08020を有するハイブリドーマ細胞系により産生される抗Trop-2モノクローナル抗体を含む、またはそれからなる、請求項1に記載の組合せ。
【請求項4】
寄託番号PD08019およびPD08021を有するハイブリドーマ細胞系により産生される抗Trop-2モノクローナル抗体を含む、またはそれからなる、請求項1に記載の組合せ。
【請求項5】
寄託番号PD08020およびPD08021を有するハイブリドーマ細胞系により産生される抗Trop-2モノクローナル抗体を含む、またはそれからなる、請求項1に記載の組合せ。
【請求項6】
寄託番号PD08019を有するハイブリドーマ細胞系により産生される抗Trop-2モノクローナル抗体。
【請求項7】
寄託番号PD08020を有するハイブリドーマ細胞系により産生される抗Trop-2モノクローナル抗体。
【請求項8】
寄託番号PD08021を有するハイブリドーマ細胞系により産生される抗Trop-2モノクローナル抗体。
【請求項9】
薬学的に許容される1種または複数の賦形剤および/またはアジュバントと合わせて、活性成分として、請求項1から5のそれぞれにおいて定義される組合せ、もしくは請求項6から8のそれぞれにおいて定義される抗Trop-2モノクローナル抗体を含む、またはそれからなる医薬組成物。
【請求項10】
腹腔内、胸膜内、膀胱内、病巣内投与、または肝動脈を通じた投与に許容される形態の請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
腫瘍を予防または治療する薬物の調製のための、請求項1から5のそれぞれにおいて定義される組合せ、または請求項6から8のそれぞれにおいて定義される抗Trop-2モノクローナル抗体、または請求項9から10のそれぞれにおいて定義される組成物の使用。
【請求項12】
腫瘍転移を予防または治療する薬物の調製のための、請求項1から5のそれぞれにおいて定義される組合せ、または請求項6から8のそれぞれにおいて定義される抗Trop-2モノクローナル抗体、または請求項9から10のそれぞれにおいて定義される組成物の使用。
【請求項13】
腫瘍のインビトロ診断のための、請求項1から5のそれぞれにおいて定義される組合せ、または請求項6から8のそれぞれにおいて定義される抗Trop-2モノクローナル抗体の使用。
【請求項14】
請求項1から5のそれぞれにおいて定義される組合せ、もしくは請求項6から8のそれぞれにおいて定義される抗Trop-2モノクローナル抗体、もしくは請求項9から10のそれぞれにおいて定義される組成物を含む、またはそれからなる腫瘍のインビトロ診断用キット。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−516887(P2012−516887A)
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548850(P2011−548850)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際出願番号】PCT/IT2009/000035
【国際公開番号】WO2010/089782
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(511190638)
【Fターム(参考)】