説明

抗VLA‐4関連アッセイ

VLA‐4に関連する、サンプル中の分析物のレベルを分析するための方法および装置を開示する。対象中の抗インテグリン抗体のレベルを低下させる方法について述べ、その方法は、a)対象からの生物サンプルを基材と会合した検出可能な捕捉剤と接触させることであって、捕捉剤はサンプル中の抗インテグリン抗体と結合することができ、b)捕捉剤の結合を抗インテグリン抗体のレベルと共に検出すること;および、c)対象を、サンプル中の抗インテグリン抗体のレベルが所定のレベルに達するまで血漿交換で治療すること、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、その2009年10月11日出願の米国特許仮出願第61/250,553号に基づく優先権を主張し、その全ての内容は参照により組み込まれる。
【0002】
本発明は、免疫調節治療に関連するアッセイに関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、少なくとも部分的に、サンプル中における、例えば抗薬物抗体などの抗インテグリン抗体および抗(抗インテグリン抗体)抗体のレベルを分析するための試験の開発に基づくものである。
【0004】
1つの態様では、対象中の抗インテグリン抗体のレベルを低下させる方法は、対象からの生物サンプルを基材と会合した検出可能な捕捉剤と接触させることであって、ここで捕捉剤は、サンプル中の抗インテグリン抗体と結合することができ、サンプル中の捕捉剤の結合を抗インテグリン抗体のレベルと共に検出すること、および対象を、サンプル中の抗インテグリン抗体のレベルが所定のレベルに達するまで血漿交換で治療すること、を含む。この方法は、ナタリズマブでの治療を受けた対象であって、JCウィルス感染症と診断されたか、またはそれを有することが疑われる対象を含んでよい。
【0005】
特定の実施形態は、1つ以上の以下の特徴を含んでよい。生物サンプルを検出可能な捕捉剤と接触させ、捕捉剤の結合を検出することは、ラテラルフローシステムでの分析を含んでよい。サンプル中の抗体と捕捉剤との結合が、検出可能なシグナルを発生させてよい。捕捉剤と抗体との結合は、二次剤によって検出されてもよい。抗体の所定のレベルとしては、約1μg/mL、2μg/mL、3μg/mL、4μg/mL、5μg/mL、6μg/mL、7μg/mL、8μg/mL、9μg/mL、10μg/mL、15μg/mL、または20μg/mLであってよい。対象からの生物サンプルを基材と会合した検出可能な捕捉剤と接触させること、および捕捉剤の抗体との結合を検出することは、血漿交換治療後1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、または4週間で行ってよい。血漿交換治療は、1日につき1回、または2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと、1週間ごと、2週間ごと、3週間ごと、もしくは4週間ごとに1回で繰り返してよい。生物サンプルは、血液、血漿、血清、尿、唾液、脳脊髄液、痰、眼球レンズ液、汗、乳、腹水液、粘液、滑液、腹膜液、経皮滲出液、咽頭滲出液、気管支肺胞洗浄液、気管吸引液、精液、頚管粘液、膣分泌液、尿道分泌液、または羊水であってよい。抗インテグリン抗体は、組換え抗インテグリン抗体または抗アルファ4インテグリン鎖抗体であってよい。捕捉剤は、抗体またはインテグリンであってよい。
【0006】
別の態様では、生物サンプル中の抗インテグリン抗体のレベルを分析するための装置は、基材、およびその基材と会合した検出可能な捕捉剤を含み、捕捉剤は、生物サンプル中の抗インテグリン抗体と結合することができる。
【0007】
特定の実施形態は、1つ以上の以下の特徴を含んでいてよい。装置は、ラテラルフローシステムを含んでよい。捕捉剤の抗インテグリン抗体への結合が、検出可能なシグナルを発生させてよい。捕捉剤の抗インテグリン抗体への結合は、二次剤によって検出されてもよい。捕捉剤は、抗体またはインテグリンであってよい。抗インテグリン抗体は、組換え抗インテグリン抗体であってよい。組換え抗インテグリン抗体は、抗アルファ4インテグリン鎖抗体である。基材は、ニトロセルロース、酢酸セルロース、フィルター紙、布地、またはガラス繊維紙であってよい。生物サンプルは、血液、血漿、血清、尿、唾液、脳脊髄液、痰、眼球レンズ液、汗、乳、腹水液、粘液、滑液、腹膜液、経皮滲出液、咽頭滲出液、気管支肺胞洗浄液、気管吸引液、精液、頚管粘液、膣分泌液、尿道分泌液、または羊水であってよい。捕捉剤の抗体への結合は、結合後、約30秒〜約60分、またはこれより長い時間で検出可能であってよい。
【0008】
別の態様では、生物サンプル中の抗インテグリン抗体のレベルを分析する方法は、対象から生物サンプルを採取すること、サンプルを基材と会合した検出可能な捕捉剤と接触させることであって、捕捉剤は、サンプル中の抗インテグリン抗体と結合することができ、ならびに捕捉剤の結合を検出して、抗インテグリン抗体のレベルと相関させること、を含む。この方法は、ナタリズマブでの治療を受けた対象であって、JCウィルス感染症と診断されたか、またはそれを有することが疑われる対象を含んでよい。
【0009】
特定の実施形態は、1つ以上の以下の特徴を含んでいてよい。サンプルを検出可能な捕捉剤と接触させ、捕捉剤の結合を検出することは、ラテラルフローシステムでの分析を含んでよい。捕捉剤の抗体への結合が、検出可能なシグナルを発生させてよい。捕捉剤の抗体への結合は、二次剤によって検出されてもよい。方法は、対象に治療を施して対象中の抗インテグリン抗体のレベルを低下させることを含んでよい。この治療は、血漿交換であってよい。抗インテグリン抗体のレベルの測定は、治療の実行後、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、または4週間で行ってよい。治療の実行および抗インテグリン抗体のレベルの測定は、サンプル中の抗インテグリン抗体のレベルが所定のレベルに達するまで繰り返してよい。所定のレベルは、約1μg/mL、2μg/mL、3μg/mL、4μg/mL、5μg/mL、6μg/mL、7μg/mL、8μg/mL、9μg/mL、10μg/mL、15μg/mL、または20μg/mLであってよい。治療は、1日につき1回、または2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと、1週間ごと、2週間ごと、3週間ごと、もしくは4週間ごとに1回で繰り返してよい。抗インテグリン抗体は、組換え抗インテグリン抗体であってよい。抗インテグリン抗体は、抗アルファ4インテグリン鎖抗体であってよい。捕捉剤は、抗体またはインテグリンであってよい。生物サンプルは、血液、血漿、血清、尿、唾液、脳脊髄液、痰、眼球レンズ液、汗、乳、腹水液、粘液、滑液、腹膜液、経皮滲出液、咽頭滲出液、気管支肺胞洗浄液、気管吸引液、精液、頚管粘液、膣分泌液、尿道分泌液、または羊水であってよい。
【0010】
別の態様では、治療の効果を分析する方法は、対象中の抗インテグリン抗体のレベルを低下させるための治療を受けている対象から生物サンプルを採取すること、サンプルを基材と会合した検出可能な捕捉剤と接触させることであって、捕捉剤は、サンプル中の抗インテグリン抗体と結合することができ、ならびに捕捉剤の結合を検出して、抗インテグリン抗体のレベルと相関させること、であってよく、サンプル中の抗インテグリン抗体のレベルが所定のレベルより低い場合、治療が効果的であることを示す。この方法は、ナタリズマブでの治療を受けた対象であって、JCウィルス感染症と診断されたか、またはそれを有することが疑われる対象を含んでよい。
【0011】
特定の実施形態は、1つ以上の以下の特徴を含んでいてよい。サンプルを検出可能な捕捉剤と接触させ、捕捉剤の結合を検出し、相関させることは、ラテラルフローシステムでの分析を含んでよい。捕捉剤の抗体への結合が、検出可能なシグナルを発生させてよい。捕捉剤の抗体への結合は、二次剤によって検出されてもよい。所定のレベルは、約1μg/mL、2μg/mL、3μg/mL、4μg/mL、5μg/mL、6μg/mL、7μg/mL、8μg/mL、9μg/mL、10μg/mL、15μg/mL、または20μg/mLであってよい。生物サンプルの対象からの採取は、治療後1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、または4週間で行ってよい。治療は、1日につき1回、または2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと、1週間ごと、2週間ごと、3週間ごと、もしくは4週間ごとに1回で繰り返してよい。治療は、血漿交換を含んでよい。生物サンプルは、血液、血漿、血清、尿、唾液、脳脊髄液、痰、眼球レンズ液、汗、乳、腹水液、粘液、滑液、腹膜液、経皮滲出液、咽頭滲出液、気管支肺胞洗浄液、気管吸引液、精液、頚管粘液、膣分泌液、尿道分泌液、または羊水であってよい。抗インテグリン抗体は、組換え抗インテグリン抗体であってよい。抗インテグリン抗体は、抗アルファ4抗体であってよい。捕捉剤は、抗体またはインテグリンであってよい。
【0012】
別の態様では、対象中の抗インテグリン抗体のレベルの測定および治療の効果のモニタリングと共に行う治療に用いられる、生物サンプル中の抗インテグリン抗体のレベルを分析するためのキットは、基材と基材と会合した検出可能な捕捉剤とを有するテスターを含む。捕捉剤は、生物サンプルおよび追跡バッファー(chase buffer)の中の抗インテグリン抗体と結合することができる。対象は、ナタリズマブでの治療を受けた対象であって、JCウィルス感染症と診断されたか、またはそれを有することが疑われる対象を含んでよい。キットは、さらに、抗インテグリン抗体のレベルを解釈するための説明書を含んでよい。キットはまた、対象における治療の効果をモニタリングするために用いてもよい。
【0013】
キットの特定の実施形態は、1つ以上の以下の特徴を含んでいてよい。基材は、ラテラルフローシステムの一部であってよい。捕捉剤の抗体への結合が、検出可能なシグナルを発生させてよい。捕捉剤の抗体への結合は、二次剤によって検出されてもよい。捕捉剤は、抗体またはインテグリンであってよい。抗インテグリン抗体は、組換え抗インテグリン抗体であってよい。組換え抗インテグリン抗体は、抗アルファ4抗体であってよい。基材は、ニトロセルロース、酢酸セルロース、フィルター紙、布地、またはガラス繊維紙であってよい。生物サンプルは、血液、血漿、血清、尿、唾液、脳脊髄液、痰、眼球レンズ液、汗、乳、腹水液、粘液、滑液、腹膜液、経皮滲出液、咽頭滲出液、気管支肺胞洗浄液、気管吸引液、精液、頚管粘液、膣分泌液、尿道分泌液、または羊水であってよい。捕捉剤の抗体への結合は、結合後、約30秒〜約60分、またはこれより長い時間で検出可能であってよい。
【0014】
別の態様では、治療の効果を分析する方法は、抗VLA4抗体による治療を受けている対象から生物サンプルを採取すること、このサンプルを基材と会合した検出可能な捕捉剤と接触させることであって、捕捉剤は、サンプル中の抗抗インテグリン抗体と結合することができ、ならびに捕捉剤の結合を検出して、抗抗インテグリン抗体のレベルと相関させ、治療の効果を判定すること、であってよい。
【0015】
特定の実施形態は、1つ以上の以下の特徴を含んでいてよい。サンプルを検出可能な捕捉剤と接触させ、捕捉剤の結合を検出し、相関させることは、ラテラルフローシステムでの分析を含んでよい。捕捉剤の抗体への結合が、検出可能なシグナルを発生させてよい。捕捉剤の抗体への結合は、二次剤によって検出されてもよい。生物サンプルの対象からの採取は、治療の前、または治療後1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、もしくは4週間で行ってよい。生物サンプルの採取は、1日につき1回、または2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと、1週間ごと、2週間ごと、3週間ごと、もしくは4週間ごとに1回で繰り返してよい。生物サンプルは、血液、血漿、血清、尿、唾液、脳脊髄液、痰、眼球レンズ液、汗、乳、腹水液、粘液、滑液、腹膜液、経皮滲出液、咽頭滲出液、気管支肺胞洗浄液、気管吸引液、精液、頚管粘液、膣分泌液、尿道分泌液、または羊水であってよい。抗抗インテグリン抗体は、組換え抗抗インテグリン抗体であってよい。抗抗インテグリン抗体は、抗抗アルファ4インテグリン鎖抗体であってよい。捕捉剤は、抗体であってよい。
【0016】
別の態様では、生物サンプル中の抗抗VLA4抗体のレベルを分析し、対象における抗VLA4抗体治療の効果をモニタリングするためのキットは、基材と基材と会合した検出可能な捕捉剤とを有するテスターを含み、捕捉剤は、生物サンプルおよび追跡バッファーの中の抗抗VLA4抗体と結合することができる。キットは、さらに、抗抗VLA4抗体のレベルを解釈するための説明書を含んでよい。キットはまた、対象における治療の効果をモニタリングするために用いてもよい。
【0017】
特定の実施形態では、キットは、以下の特徴の1つ以上を含んでいてよい。基材は、ラテラルフローシステムの一部であってよい。捕捉剤の抗体への結合が、検出可能なシグナルを発生させてよい。捕捉剤の抗体への結合は、二次剤によって検出されてもよい。捕捉剤は、抗体であってよい。基材は、ニトロセルロース、酢酸セルロース、フィルター紙、布地、またはガラス繊維紙であってよい。生物サンプルは、血液、血漿、血清、尿、唾液、脳脊髄液、痰、眼球レンズ液、汗、乳、腹水液、粘液、滑液、腹膜液、経皮滲出液、咽頭滲出液、気管支肺胞洗浄液、気管吸引液、精液、頚管粘液、膣分泌液、尿道分泌液、または羊水であってよい。捕捉剤の抗体への結合は、結合後、約30秒〜約60分、またはこれより長い時間で検出可能であってよい。
【0018】
別の態様では、生物サンプル中の抗薬物抗体を検出する方法は、抗VLA4抗体による治療を受けている対象から生物サンプルを採取すること、このサンプルを基材と会合した検出可能な捕捉剤と接触させることであって、捕捉剤は、サンプル中の抗抗インテグリン抗体と結合することができ、ならびに捕捉剤の結合を検出して、抗抗インテグリン抗体のレベルと相関させ、治療の効果を判定すること、であってよい。
【0019】
別の態様では、生物サンプル中の抗抗VLA4抗体を検出するためのキットは、基材と基材と会合した検出可能な捕捉剤とを有するテスターを含み、ここで、捕捉剤は、生物サンプルおよび追跡バッファーの中の抗抗VLA4抗体と結合することができる。
【0020】
定義
本明細書で使用されるとき、冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、その冠詞の文法上の目的語が1つ以上(すなわち、少なくとも1つ)であることを意味するために用いられる。例として、「1つの要素」とは、1つの要素、または2つ以上の要素を意味する。
【0021】
本明細書で使用されるとき、用語「約」は、本明細書において、与えられた数値の±20%の値を意味するために用いられる。従って、「約60%」とは、60±(60の20%)の間(すなわち、48〜70)の値を意味する。
【0022】
本明細書で使用されるとき、用語「または」は、特に断りのない限り、「および/または」の用語を意味するために用いられ、これと交換可能に用いられる。
【0023】
本明細書で使用されるとき、用語「精製する」、「精製された」、または「精製」は、例えば単離または分離により、分子をその環境から除去または単離することを意味する。「実質的に精製された」分子は、少なくとも約60%、例えば、少なくとも約75%、または少なくとも約90%、それらに付随する他の成分を含まない。ある場合では、実質的に精製された分子は、少なくとも60%未満、少なくとも75%、少なくとも90%、または少なくとも95%、他の成分を含まない。本明細書で使用されるとき、これらの用語はまた、サンプルからの不純物の除去も意味する。
【0024】
本明細書で使用されるとき、「サンプル」とは、分析物アッセイを行うことが所望される分析物を含有し得るいずれのものも意味する。サンプルは、生物体液または生物組織などの生物サンプルであってよい。生物体液の例としては、血液、血清、血漿、唾液、痰、眼球レンズ液、汗、尿、乳、腹水液、粘液、滑液、腹膜液、経皮滲出液、咽頭滲出液、気管支肺胞洗浄液、気管吸引液、脳脊髄液、精液、頚管粘液、膣もしくは尿道分泌液、または羊水などが挙げられる。生物組織は、細胞の集合体であり、通常はその細胞間物質を含む特定の細胞型の集合体であり、結合、上皮、筋肉、および神経組織を含むヒト、動物、植物、細菌、真菌、またはウィルス構造の構造物質の1つを形成するものである。生物組織の例としてはまた、臓器、腫瘍、リンパ節、動脈、および個別細胞も挙げられる。
【0025】
本明細書で使用されるとき、「液体サンプル」とは、目的の分析物を含有することが疑われ、本明細書で述べるデバイスまたはアッセイを通流するのに十分な流動性を有する物質を意味する。液体サンプルは、採取源から採取して、本明細書で述べるアッセイに直接用いてよく、またはその特性を改変するために前処理を施してもよい。そのようなサンプルとしては、ヒト、動物、または人工サンプルを挙げることができる。サンプルは、本明細書で述べるアッセイに干渉しないいずれの媒体で調製してもよい。通常、サンプルは、本明細書で述べる水溶液または生物体液である。
【0026】
液体サンプルは、いずれの採取源由来のものであってもよく、血液、血清、血漿、唾液、痰、眼球レンズ液、汗、尿、乳、腹水液、粘液、滑液、腹膜液、経皮滲出液、咽頭滲出液、気管支肺胞洗浄液、気管吸引液、脳脊髄液、精液、頚管粘液、膣もしくは尿道分泌液、および羊水などを含む生理学的液体などである。例えば毛髪、皮膚、および爪垢などの細胞組織の液体ホモジネートがある。加えて、分析物の存在について分析すべき固体物質も、それが、例えば液体媒体を形成するように改変されて抽出されるか、または分析物を放出するように改変された後、試験サンプルとして用いることができる。
【0027】
本明細書で使用されるとき、「抗原」とは、抗体と結合する能力を有するか、またはそれに対して抗体の発生が起こりうるいずれの化合物をも意味する。
【0028】
本明細書で使用されるとき、「抗体」とは、1つの免疫グロブリン遺伝子、または複数の免疫グロブリン遺伝子、またはこれらの断片によって実質的にコードされるポリペプチドを意味する。認識されている免疫グロブリン遺伝子としては、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン、およびミュー定常領域、ならびに数々の免疫グロブリン可変領域遺伝子が挙げられる。軽鎖は、カッパまたはラムダのいずれかとして分類される。重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、またはイプシロンとして分類され、そしてこれらは、ぞれぞれの免疫グロブリンのクラス、IgG、IgM、IgA、IgD、およびIgEを定める。通常、抗体は、その表面上またはキャビティ中に、別の分子と特異的に結合し、それによってその分子の特定の空間および極性上の構成に対して相補的であるとして定められる領域を有する免疫グロブリンである。抗体は、ポリクローナルであってもモノクローナルであってもよい。抗体は、完全免疫グロブリンまたはその断片を含んでよい。その断片としては、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、および一本鎖Fv(scFv)などを挙げることができる。抗体はまた、組換え法によって作製されたキメラ抗体またはその断片も含んでよい。ある場合では、検出された抗体は、IgG4抗体である。本明細書で述べるアッセイでは、IgG4半抗体が検出されるか、完全IgG4抗体が検出されるか、またはIgG4半抗体とIgG4完全抗体の両方が検出される。
【0029】
本明細書で使用されるとき、用語「分析物」は、サンプルの既知または未知の成分を意味し、これらは、分析物と捕捉剤とが特異的結合ペアのメンバーである場合、捕捉剤と特異的に結合する。一般に、分析物は生体高分子であり、例えば、オリゴヌクレオチドもしくはポリペプチド(例:抗体)などのオリゴマーまたはポリマーである。ある実施形態では、分析物は、捕捉剤によって検出されるように、移動相(液体など)中に存在してよい。
【0030】
本明細書で使用されるとき、用語「標識試薬」は、特異的結合剤に付着した検出可能な標識を含む物質を意味する。付着は、共有結合であっても非共有結合であってもよいが、付着の方法は重要ではない。標識により、本明細書で述べるサンプル中の分析物の存在に関連する検出可能なシグナルを標識試薬が発することが可能となる。標識試薬の特異的結合剤成分は、分析物と直接または間接的に結合するように選択される。標識試薬は、本明細書で述べる基材に結合していても、液体サンプルと混合されて液体溶液を形成していても、サンプルとは別に基材へ添加されても、または基材上に予め堆積するかもしくは可逆的に固定化されていてもよい。加えて、特異的結合剤の標識は、本明細書で述べるアッセイの前またはその実施中に、当該技術分野で公知の適切ないずれの付着の方法によって行ってもよい。検出可能な標識は、直接検出可能な標識であっても、または間接的な方法を用いて検出される標識であってもよい。
【0031】
本明細書で使用されるとき、用語「検出可能なシグナル」は、分析物と捕捉剤との結合によって発生するシグナルを意味する。ある実施形態では、検出可能なシグナルは、目視検査によって検出可能である。限定されるものではないが、発生するシグナルの種類は、用いた標識に依存する。一般的に、サンプル中の分析物の存在または非存在を示す検出可能なシグナルは、おのずから明らかなもの、例えば、線、プラスもしくはマイナスの記号、または特定の形状の符号であってよく、または、変色指示薬の参照などの参照との比較によって明らかなものであってもよい。
【0032】
本明細書で使用されるとき、用語「捕捉剤」は、剤の分析物との特異的な結合を可能とするのに十分な相互作用を通して分析物と結合する剤を意味する。例えば、捕捉剤は、解離定数(K)が約10−6M未満である分析物と、他の標的とは結合することなく、特異的に結合してよい。結合相互作用は、捕捉剤の結合部位を介するものであってよい。捕捉剤としては、例えば、抗体を例とするいずれのポリペプチドをも挙げることができる。捕捉剤は、基材と結合していてよく、または溶解状態で存在していてもよい。
【0033】
本明細書で使用されるとき、用語「特異的結合」は、種々の分析物の混合物中に存在する特定の分析物への剤の選択的な結合を意味する。通常、特異的結合は、サンプル中の望ましい分析物と望ましくない分析物との間を区別する。特異的結合剤は、通常、他の分析物に対して、約10〜100倍もしくはそれ以上の選択性で望ましい分析物と結合することにより、望ましい分析物と望ましくない分析物との間を区別する。特定の状況では、そのような選択的結合は、少なくとも1000倍〜10000倍であってよい。例えば、捕捉剤と分析物との間の親和性は、これらが捕捉剤/分析物複合体として特異的に結合する場合、少なくとも約10−7M、少なくとも約10−8M、少なくとも約10−9M、少なくとも約10−10M、または少なくとも約10−11であり、例えば、少なくとも10−7M、少なくとも10−8M、少なくとも10−9M、少なくとも10−10M、または少なくとも10−11である。
【0034】
本明細書で使用されるとき、「捕捉剤/分析物複合体」の用語は、捕捉剤の分析物との特異的結合から得られる複合体である。
【0035】
本明細書で使用されるとき、「結合パートナー」とは、捕捉剤/分析物複合体で見ることができる分子対、すなわち、互いに特異的に結合する分子対を意味する。
【0036】
本明細書で使用されるとき、用語「評価する」は、測定のいずれの形態をも意味し、ある要素が存在するかどうかを判定することを含む。「判定する」、「測定する」、「検討する(evaluating)」、「評価する」、および「分析する」の用語は、交換可能に用いられ、定量的および定性的判定の両方を含む。
【0037】
本明細書で使用されるとき、用いる「検出可能な標識」とは、検出されるか、または、分析物の存在の検出(例:物理的もしくは化学的特性により)のために、または共有結合もしくはそうでなければ会合による別の分子との結合を可能とするために用いることができる、原子(例:放射性核種)、分子(例:フルオレセイン)、または複合体を意味する。この用語はまた、基質に作用して検出可能原子、分子、または複合体を作り出す、共有結合またはそうでなければ会合によって結合した分子(例:酵素などの生体分子)も意味する。検出可能な標識は、分光的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的、または化学的手段によって検出可能であるいずれの組成物も含む。例えば、標識としては、標識ストレプトアビジン接合体による染色のためのビオチン、磁気ビーズ(例:Dynabeads(商標))、蛍光色素(例:フルオレセイン、テキサスレッド、ローダミン、緑色蛍光タンパク質、および高感度緑色蛍光タンパク質など)、放射標識(例:H、125I、35S、14C、または32P)、酵素(例:ヒドロラーゼ、特に、アルカリホスファターゼなどのホスファターゼ、エステラーゼ、およびグリコシダーゼ、またはオキシドレダクターゼ、特に西洋ワサビペルオキシダーゼなどのペルオキシダーゼ、およびELISAで一般的に用いられるその他の酵素)、基質、補助因子、阻害剤、化学発光基、発色剤、およびコロイド状金属粒子(金など)、コロイド状非金属粒子(セレンまたはテルルなど)、または着色ガラスもしくはプラスチック(例:ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)ビーズなどの比色標識が挙げられる。そのような標識を開示している特許の限定されない例としては、米国特許第3,817,837号、米国特許第3,850,752号、米国特許第3,939,350号、米国特許第3,996,345号、米国特許第4,277,437号、米国特許第4,275,149号、および米国特許第4,366,241号が挙げられ、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。そのような標識を検出する手段は、当業者に公知である。
【0038】
本明細書で用いる「サンドイッチ法」、「サンドイッチELISA」、「サンドイッチ診断(sandwich diagnostic)」、および「捕捉ELISA」の用語は、2つ以上の異なる試験剤によって分析物を検出するという概念を意味する。例えば、捕捉剤は、基材に直接または間接的に付着していてよく、試験サンプルは、基材の表面を通過し、それによって捕捉剤がそのパートナーである分析物と特異的に結合することを可能とするものであってよい。標識抗体を例とする標識試薬、または別の選択肢としての検出試薬(分析物と結合可能)を次に用いて、捕捉剤が分析物と特異的に結合したかどうかを判定してよい。
【0039】
本明細書で使用されるとき、用語「基材」は、捕捉剤と結合または会合する能力を有するいずれの支持材を意味する。公知の基材としては、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然および修飾セルロース、ポリアクリルアミド、アガロース、ならびにマグネタイトが挙げられる。基材の性質は、ある程度可溶性であっても、不溶性であってもよい。基材の構造は限定されず、基材は、捕捉剤が分析物と結合可能である限りにおいて、いずれの構造的形状を有していてもよい。従って、構造的形状は、ビーズの場合のような球状、または試験管の内側表面もしくはロッドの外部表面の場合のような円柱状であってよい。別の選択肢として、表面は、シート、培養皿、試験条片などの平面であってもよい。当業者であれば、捕捉剤の結合または会合のための多くのその他の適切な基材を認識しており、またはそれを日常的な実験によって確認することができる。
【0040】
本明細書で使用されるとき、用語「対象」は、例えば、哺乳類、ヒト、または非ヒトのようないずれの動物を指す。代表的な対象としては、これらに限定されないが、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、モルモット、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、イヌ、ネコ、トリ、シカ、ヘラジカ、ウサギ、トナカイ、シカ、およびウマが挙げられる。
【0041】
本明細書で使用されるとき、用語「レベルの測定」は、定量的および定性的の両方の検出を意味する。
【0042】
以下の図は、単に説明の目的で提供するものであり、限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、ラテラルフロー装置の概略図、および種々の成分の充填後の実施例1に対応する試験結果である。
【図2】図2は、ラテラルフロー装置の概略図、および種々の成分の充填後の実施例2に対応する試験結果である。
【図3】図3は、ラテラルフロー装置の概略図、および種々の成分の充填後の実施例3に対応する試験結果である。
【図4】図4は、ラテラルフロー装置の概略図、および種々の成分の充填後の実施例4に対応する試験結果である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明のその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【0045】
特に断りのない限り、本明細書で用いるすべての技術的および科学的用語は、本発明に属する当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。本発明の実践または試験には、本明細書で述べるものと類似の、または同等の方法および物質を用いてよいが、適切な方法および物質を以下に述べる。本明細書で言及するすべての刊行物、特許出願、特許、およびその他の参考資料は、GenBankデータベースの配列も含め、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。矛盾が生ずる場合、定義を含む本明細書の内容が優先する。加えて、物質、方法、および例は、単に説明のためのものであり、限定することを意図するものではない。
【0046】
免疫調節性である薬物治療を受けている患者は、進行性多巣性白質脳症(PML)などの特定の疾患に罹患しやすい。例えば、PMLは、ナタリズマブでの治療を受けた患者に報告されてきた。そのような対象を治療する1つの方法は、患者の体内の免疫調節性治療剤(例:ナタリズマブ)の量(例:血漿中濃度)を低下させることであることが見出されている。この疾患の進行が早いこと、および患者の地理的分布が広いこと、さらにはその他の課題のために、患者体内の薬物レベルの判定に用いることができる迅速で信頼できる試験が求められている。試験は、短時間での実行および正確な解釈が可能であるようなフォーマットであることが有利である。これは、患者自身の抗体との区別が困難であり得る免疫調節治療で特に課題である。従って、この問題は、医師が正確かつ簡便に用いて、活動性のケースであるPMLの進行を緩和する傾向が高まるように十分に免疫調節治療のレベルが調節されたかどうかを判定することができる、迅速な試験設計を用いることによって解決された。免疫調節治療における用量を変化させることにより、患者の疾患状態の進行を軽減することができる。免疫調節治療における用量の変動は、治療にとって重要であることから、本明細書で述べるアッセイはまた、小児科の患者を含む多発性硬化症の患者を例とする患者体内の薬物レベルを迅速にモニタリングすることに用いることもできる。別の実施形態では、本明細書で提供されるアッセイにより、ナタリズマブでの治療を受けた対象であって、JCウィルス感染症と診断されたか、またはそれを有することが疑われる対象において抗インテグリン抗体を検出することができる。JCウィルスは、免疫不全である患者、または免疫抑制状態の誘発を意図する薬物で治療された患者(例:臓器移植患者)においてPMLおよびその他の疾患を引き起こし得るヒトポリオーマウイルスの一種である。
【0047】
加えて、本明細書で提供されるアッセイは、抗薬物抗体を検出するためのものでもある。対象中のそのような抗体の存在は、例えば、ヒト化抗VLA4抗体での治療に関して報告されているように、薬物への曝露に影響を与え、および/または注入に関連する有害事象をもたらし得るものである。従って、抗薬物抗体(例:薬物は抗VLA4抗体であり;抗薬物抗体は抗抗VLA4抗体である)を検出するためのアッセイは、目的の薬物(例:ナタリズマブなどの抗VLA4薬物)を用いた治療に有用であり得る。
【0048】
一般的に、装置は、免疫調節性治療剤(例:ナタリズマブ)、または免疫調節剤に対する抗体(例:ナタリズマブに対する抗体などの抗薬物抗体)を特異的に検出するために用いることができる捕捉剤を伴う固体基材である。ある場合では、検出は、較正されて、免疫調節性治療剤または抗薬物抗体の量が指定の濃度または力価より高いか低いかを判定する方法が提供される。そのような情報は、患者体内の免疫調節性治療剤の量をさらに低下させ、それによってPMLに関連するリスクを緩和するために追加の治療(例:血漿交換療法)が必要であるかどうかということと相関させることができる。
【0049】
本明細書ではさらに、ナタリズマブなどの免疫調節性治療剤、またはそのような免疫調節性治療試薬に対する抗体の存在について試験するのに適するキットが提供される。キットは、一般的に、免疫調節性治療剤もしくは免疫調節剤に対する抗体を検出するための本明細書で述べる少なくとも1つの試薬または装置を含む。キットはまた、試薬および/または装置の使用に関する説明書も含んでいてよい。そのような説明書はまた、分析物の量の測定、およびアッセイ結果の解釈のためのキットの使用法も含んでいてよい。例えば、説明書は、ナタリズマブの指定レベルの検出が、PMLに罹患しているかその疑いのある対象を治療するのに十分であるかどうかに関する指針を提供するものであってよい。
【0050】
分析物を分析するための装置
種々の分析デバイスが当業者に公知であり、そのような分析デバイスは、本明細書で述べる抗体を例とする1つ以上の捕捉剤を用いての、1つ以上の分析物、例えば抗VLA4(例:ナタリズマブ)などの抗インテグリン抗体、例えば本明細書で述べる抗薬物抗体(例:抗ナタリズマブ)、の分析に適合させることができる。限定されない例としては、ディップスティックまたはテスター、ラテラルフロー、デュアルフロー、およびフロースルーデバイス、特にイムノアッセイのものが挙げられる。ラテラルフローデバイスの限定されない例としては、各々その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,818,677号、同第4,943,522号、同第5,096,837号(米国再発行特許第35,306号)、同第5,096,837号、同第5,118,428号、同第5,118,630号、同第5,221,616号、同第5,223,220号、同第5,225,328号、同第5,415,994号、同第5,434,057号、同第5,521,102号、同第5,536,646号、同第5,541,069号、同第5,686,315号、同第5,763,262号、同第5,766,961号、同第5,770,460号、同第5,773,234号、同第5,786,220号、同第5,804,452号、同第5,814,455号、同第5,939,331号、同第6,306,642号、に記載のものが挙げられる。ラテラルフローデバイスのその他の限定されない例としては、各々その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,703,017号、同第6,187,598号、同第6,352,862号、同第6,485,982号、同第6,534,320号、および同第6,767,714号、が挙げられる。ディップスティックデバイスの限定されない例としては、各々その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,235,601号、同第5,559,041号、同第5,712,172号、および同第6,790,611号、に記載のものが挙げられる。
【0051】
分析物のレベルを分析するための装置は、捕捉剤が会合した基材を例とする基材を含んでよい。基材の限定されない例としては、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然および修飾セルロース、ポリアクリルアミド、アガロース、ならびにマグネタイトが挙げられる。基材は、捕捉剤が分析物と結合可能である限りにおいて、いずれの構造的形状を有していてもよい。
【0052】
ある場合では、基材は、支持体内に収容されており、例えば、支持体は、ビーズの場合のような球状、または試験管の内側表面の場合のような円柱状、またはロッドの外部表面である。別の選択肢として、基材または支持体は、シート、培養皿、および試験条片などの平面であってもよい。
【0053】
1つの例では、装置は、サンプル受容ゾーン、標識ゾーン、試験ゾーン、および対照ゾーンを含むラテラルフロー装置である。ある場合では、試験領域は、試験ゾーンおよび対照ゾーンを含む。ある場合では、試験および対照ゾーンを含む試験領域は、観察可能である。
【0054】
特定の例では、サンプル受容ゾーンは、1つ以上の目的の分析物を含有し得る液体サンプルを受容する。別の例では、サンプル受容ゾーンは、液体サンプルに浸漬される。標識ゾーンは、サンプル受容ゾーンの下流に位置し、1つ以上の目的の分析物を認識するか、またはこれと結合することができる1つ以上の移動可能な標識試薬を含む。さらに、試験領域は、標識ゾーンから下流に配置され、試験および対照ゾーンを含む。試験ゾーンは、一般的に、試験ゾーンにて基材と会合している捕捉剤を含む。特定の場合では、捕捉剤は、試験ゾーンにて基材上に固定化される。一般的に、固定化捕捉剤は、目的の分析物と特異的に結合する。
【0055】
液体サンプルが基材に沿って流れるに従って、目的の分析物は、まず標識ゾーンの移動可能標識試薬と結合し、次に試験ゾーンにて拘束された状態となる。ある例では、試験領域は、乾燥状態では不透明で、湿潤状態では透明である物質から成る。従って、デバイス上にマークを有する対照ゾーンが用いられる場合、このマークは、試験領域が湿潤状態である時に試験領域内で視認可能となるように、試験領域の辺りに配置される。
【0056】
別の場合では、液体サンプルは、サンプル受容ゾーン(上流)から、標識ゾーンを通り、そして試験および対照ゾーン(合わせて試験領域を構成)(下流)へと伸びる流路に沿って流れる。所望される場合、その後続けて、液体サンプルを吸収ゾーンへ流してもよい。
【0057】
別の例では、サンプル受容ゾーンは、吸収性アプリケーションパッド(absorbent application pad)から成る。吸収性アプリケーションパッドの製造に適する材料としては、これらに限定されないが、親水性ポリエチレン材またはパッド、アクリル繊維、ガラス繊維、フィルター紙またはパッド、乾燥紙、紙パルプ、および布などが挙げられる。例えば、サンプル受容ゾーンは、アクリル繊維スパンレース不織布(例:デュポンノンウォーブンズ(DuPont Nonwovens)より入手可能)またはHDK材(HDKインダストリーズ社(HDK Industries, Inc.)、テネシー州ロジャースビル(Rogersville-)、より入手可能)などの材料から成っていてよい。別の例では、サンプル受容ゾーンは、水を吸収することができるいずれの材料からも構築される。
【0058】
他の例では、試験デバイスは、免疫アッセイを実施するように構成される。ある場合では、基材に沿っての液体の輸送は、毛細管現象に基づく。別の状況では、基材に沿っての液体の輸送は、非吸収ラテラルフロー(non-bibulous lateral flow)に基づくものであり、この場合、液体サンプルの溶解または分散成分はすべて、実質的に同じ速度で、基材を通る比較的に損なわれることのない横方向の流れによって運搬され、それは、例えば1つ以上の成分と化学的、物理的、イオン性、またはその他の形での相互作用を起こす物質中であれば発生するであろう1つ以上の成分の選択的な保持とは対照的である(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,943,522号を参照されたい)。
【0059】
免疫アッセイデバイスの標識ゾーンはまた、対照型の試薬も含んでよい。このような標識対照試薬は、試験ゾーンで拘束されることなく、デバイスを通る液体サンプル流によって試験領域および対照ゾーンへそのまま運搬される検出可能部分を含むことが多い。ある場合では、このような検出可能部分は、特異的結合ペアのメンバーとカップリングし、その後に試験領域の別の対照ゾーンにて特異的結合ペアの対応するメンバーによって拘束され得る対照接合体を形成して、それによって液体の流れが予想通りであることが確認される。標識対照試薬に用いられる可視部分は、目的の分析物に特異的な標識試薬に用いられるものと同一もしくは異なる色、または同一もしくは異なるタイプであってよい。
【0060】
試験領域は、一般的に、サンプル流が予想通りであることを確認するのに有用である対照ゾーンを含む。各対照ゾーンは、標識対照試薬と反応する特異的結合ペアのメンバーを固定化して含んでいてよい空間的に別の領域を有していてよい。ある例では、手順の対照ゾーンは、目的の分析物またはその断片の標準サンプルを含有する。この場合、1つの種類の標識試薬を用いてよく、ここで、液体サンプルは、標識試薬を試験および対照ゾーンへと輸送し;目的の分析物と結合しない標識試薬は、次に、対照ゾーンに配置された目的の分析物の標準サンプルと結合する。別の例では、対照ラインは、標識試薬に特異的であるか、そうでなければ標識試薬の固定化を提供する抗体を含有する。操作中、標識試薬は、試験サンプル中に目的の分析物の一部またはすべてが存在しない場合であっても、1つ以上の対照ゾーンの各々に拘束される。
【0061】
捕捉剤
本明細書で述べる方法および装置では、捕捉剤が目的の分析物と特異的に結合して、捕捉剤/分析物複合体を形成する限りにおいて、様々な捕捉剤を用いてよい。特定の場合では、捕捉剤は、インテグリンを例とする抗原であり、目的の分析物は、抗インテグリン抗体もしくはアルファ4インテグリン結合抗体(例:ナタリズマブ)を例とする抗体、または抗抗VLA4インテグリン鎖抗体を例とする抗薬物抗体である。
【0062】
ある状況では、捕捉剤は、目的の分析物と結合する、抗体を例とするポリペプチドである。分析物に特異的に結合するいずれの抗体も、捕捉剤として用いてよい。例えば、抗体は、ポリクローナル抗体;モノクローナル抗体もしくはその抗原結合断片;キメラ抗体、再構築抗体(reshaped antibody)、ヒト化抗体、もしくはこれらの断片(例:Fab’、Fab、F(ab’))などの修飾抗体;または、一本鎖抗体、単ドメイン抗体(DAB)、Fv、もしくは一本鎖Fv(scFv)などを例とする生合成抗体であってよい。
【0063】
ポリクローナルおよびモノクローナル抗体の作製および使用方法は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Harlow et al., Using Antibodies: A Laboratory Manual: Portable Protocol I. Cold Spring Harbor Laboratory (December 1, 1998)、に記載されている。修飾抗体および抗体断片(例:キメラ抗体、再構築抗体、ヒト化抗体、もしくはこれらの断片、例えばFab’、Fab、F(ab’)断片);または、生合成抗体(例:一本鎖抗体、単ドメイン抗体(DAB)、Fv、および一本鎖Fv(scFv)など)を作製する方法は、当該技術分野で公知であり、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Zola, Monoclonal Antibodies: Preparation and Use of Monoclonal Antibodies and Engineered Antibody Derivatives, Springer Verlag (December 15, 2000; 1st edition)、に見出すことができる。
【0064】
特定の場合では、捕捉剤は、抗インテグリン抗体と特異的に結合することができる抗体であり(例:抗ナタリズマブなどの抗抗VLA4抗体)、ラット12C2抗体、マウス12C4抗体、または適切なウサギ抗体などである。別の実施形態では、捕捉剤は、抗(抗VLA4抗体)抗体と特異的に結合することができる、ナタリズマブなどの抗VLA4抗体である。
【0065】
分析物
本明細書で述べる方法および装置を用いて、例えば対象からの生物サンプル中の、目的の分析物のレベルを分析することができる。代表的な分析物としては、これらに限定されないが、トキシン、有機化合物、ポリペプチド、微生物、細菌、ウィルス、アミノ酸、核酸、炭水化物、ホルモン、ステロイド、ビタミン、薬物(治療目的で投与されたもの、ならびに違法な目的で投与されたものを含む)、汚染物、殺虫剤、および上記物質のいずれかの代謝物または上記物質のいずれかに対する抗体が挙げられる。本明細書で述べる方法または装置を用いて分析される分析物はまた、抗原性物質、ハプテン、抗体、高分子、およびこれらの組み合わせのいずれであってもよい。特定の場合では、分析物は、抗インテグリン抗体などの抗体である。
【0066】
インテグリンは、当該技術分野で公知であり(例えば、Takeda et al., Genome Biol. 8:215 (2007)、を参照)、これはその全体が参照により本明細書に組み入れられ、本明細書で述べる方法または装置を用いて、いずれの抗インテグリン抗体のレベルも分析することができる。抗体は、例えば、ポリクローナル抗体;モノクローナル抗体もしくはその抗原結合断片;キメラ抗体、再構築抗体、ヒト化抗体、もしくはこれらの断片(例:Fab’、Fab、F(ab’))などの修飾抗体;または、一本鎖抗体、単ドメイン抗体(DAB)、Fv、もしくは一本鎖Fv(scFv)などを例とする生合成抗体であってよい。抗体は、対象によって自然に産生されたものであっても、対象へ投与されたものであってもよい。
【0067】
ある場合では、分析物は、ヒト化抗VLA4抗体を例とする抗VLA4抗体であり、例えばナタリズマブである。TYSABRI(登録商標)、およびTYSABRI(登録商標)のその他の生物活性類似体、変異体、または誘導体は、後発生物製剤およびそれに実質的に類似する生物製剤を含めて、ナタリズマブと見なされる。特定の状況では、分析物は、例えば治療抗体として、対象にこれまでに投与された抗VLA4抗体である。分析物は、例えば、ナタリズマブであってよい。別の状況では、分析物は、抗(抗VLA4抗体)抗体である。分析物は、例えば、抗ナタリズマブ抗体であってよい。
【0068】
生物サンプル
本明細書で述べる方法および装置を用いて分析物の存在について分析される生物サンプルは、いずれの対象から採取してもよく、例えばヒトまたは非ヒト対象である。ある実施形態では、生物サンプルは、生存ヒト対象から採取される。
【0069】
ある場合では、サンプルが採取される対象は、健康に見える対象であり、この場合、アッセイは、日常的なスクリーニングの一環として実施される。他の実施形態では、対象は、暫定的に疾患または障害を有すると診断され、例えば抗VLA4抗体を例とする抗インテグリン抗体による治療を受けた対象である。生物サンプルは、分析物の量を低下させるように治療を受けた対象からのものであってよい。ある場合では、本明細書で述べる方法を用いた対象からのサンプルの試験は、例えば、対象中の分析物の量の調節、または対象中における分析物のベースラインレベルの確立、または治療の適切性の確立のために、対象が治療を受ける前に行われ、そして、例えば、対象中の分析物の量のモニタリングおよび/または調節のために、対象が治療を受けた後に行われる。
【0070】
生物サンプルは、対象のいずれの組織、臓器、または細胞群由来であってもよい。ある状況では、生物サンプルは、対象から採取した頚部擦過物、生検、または灌流である。他の場合では、サンプルは、血液、血漿、血清、または尿サンプルである。
【0071】
ある状況では、生物サンプルは、例えば本明細書で述べる方法に干渉する可能性のある特定の成分を除去するために、当該技術分野で公知の方法を用いて処理されてもよい。例えば、生物サンプルを、例えば塩析などによって処理して、タンパク質の濃度を高めてもよい。
【0072】
本明細書で述べる特定の方法では、サンプル中の分析物のレベルを、定量および/または対照と比較してよい。適切な対照サンプルは、例えば、例えば抗VLA4抗体治療といった抗インテグリン抗体治療を例とする治療を受けたことのない個体からのものであってよい。対照サンプルは、分析を受ける対象と遺伝的に関連のある個体からのものであってよいが、遺伝的に関連のない個体からのものであってもよい。ある場合では、対照は、確立された参照である。他の場合では、抗インテグリン抗体を例とする分析物のレベルは、公知の方法を用いて定量される。さらに他の状況では、抗インテグリン抗体を例とする分析物のサンプル中の存在または非存在は、アッセイの目視検査によって判定される。
【0073】
特定の実施形態では、サンプルと固体支持体と会合した捕捉剤との接触が、サンプル中の分析物への捕捉剤の結合に適する条件下にて行われ、そして非結合サンプル分析物を結合分析物から分離した後、結合分析物が、本明細書で述べるようにして検出される。
【0074】
分析方法
ある状況では、分析物、例えば抗VLA4抗体を例とする抗インテグリン抗体、または例えば抗(抗VLA4抗体)抗体、は、定量的および定性的のいずれにおいても、種々の免疫アッセイ法から選択される方法を用いて分析することができる。免疫学的および免疫アッセイ手順は公知であり、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Stites et al. (eds.) Basic and Clinical Immunology (4th ed.) Lange Medical Publications, Los Altos, CA、に記載されている。免疫アッセイは、公知の、および例えば、各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる、Maggio Enzyme Immunoassay, CRC Press, Boca Raton, Fla. (1980); Tijssen, "Practice and Theory of Enzyme Immunoassays," Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology, Burdon and van Knippenberg Eds., Elsevier (1985), pp 9-20;および、Harlow and Lane, Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Publications, NY (1988)、に記載のいくつかの構成のいずれによって実施してもよい。
【0075】
免疫結合アッセイ
ある場合では、抗インテグリン抗体を例とする、または抗薬物抗体を例とする分析物は、数多くの公知の免疫結合アッセイのいずれかを用いて検出および/または定量される(例えば、各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,366,241号;同第4,376,110号;同第4,517,288号;同第4,837,168号;および、Asai, Methods in Cell Biology Volume 37: Antibodies in Cell Biology, Academic Press, Inc. NY (1993)、を参照)。
【0076】
免疫アッセイはまた、捕捉剤/分析物複合体と特異的に結合してこれを標識する標識試薬を用いてもよい。標識試薬自体が、捕捉剤/分析物複合体を成す部分のうちの1つであってよい。別の選択肢として、標識試薬は、分析物または捕捉剤/分析物複合体に特異的に結合する、抗体などの第三の部分であってもよい。
【0077】
ある状況では、分析物は、抗インテグリン抗体を例とする、または抗薬物抗体を例とする抗体であり、標識試薬は、標識を有する第二の抗体である。別の選択肢として、第二の抗体は、標識を持たず、その代わりに、第二の抗体が由来する種の抗体に特異的である第三の抗体を含む標識試薬によって結合されてもよい。第二の抗体は、酵素標識ストレプトアビジンなどの標識試薬が特異的に結合することができる、ビオチンなどの検出可能部分で修飾されてもよい。
【0078】
タンパク質Aまたはタンパク質Gなど、免疫グロブリン定常領域と特異的に結合することができるその他のタンパク質も、標識試薬として用いてよい。これらのタンパク質は、連鎖球菌の細胞壁の通常の構成成分である。これらは、様々な種由来の免疫グロブリン定常領域との強い非免疫原性反応性(non-immunogenic reactivity)を示す(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Kronval et al., J. Immunol. 111:1401-1406 (1973);およびAkerstrom et al., J. Immunol. 135:2589-2542 (1985)、を参照)。
【0079】
本明細書で述べる方法およびアッセイ全体を通して、試薬の1つ以上の組み合わせの後、インキュベーションおよび/または洗浄工程が必要となる場合がある。アッセイの過程で行われるインキュベーションは、約5秒間から数時間まで様々であってよく、一般的には、約5分間から約24時間である。インキュベーションの時間は、アッセイのフォーマット、分析物、溶液の体積、および濃度などに応じて異なる。一般的には、アッセイは、周囲温度で行われるが、4℃〜10℃、または4℃〜25℃を例とする約4℃から約40℃までなどの範囲の温度で実施してもよい。
【0080】
1.非競合的アッセイフォーマット
抗インテグリン抗体を例とする、または抗薬物抗体を例とする目的の分析物をサンプルから検出するための免疫アッセイは、競合的であっても非競合的であってもよい。非競合的免疫アッセイは、捕捉剤/分析物複合体中の分析物の量を直接測定するアッセイである。例えば、「サンドイッチ」アッセイでは、捕捉剤は、固体基材と直接結合してよく、そこで固定化される。このような固定化捕捉剤は、次に、試験サンプル中に存在する分析物と特異的に結合することができる。このように固定化された抗インテグリン抗体を例とする、または抗薬物抗体を例とする分析物は、次に、標識を有する第二の抗体などの標識試薬によって結合される。別の選択肢として、第二の抗体は、標識を持たず、その代わりに、第二の抗体が由来する種の抗体に特異的である第三の抗体である標識試薬によって結合されてもよい。第二の抗体は、酵素標識ストレプトアビジンなどの第三の標識試薬が特異的に結合することができる、ビオチンなどの検出可能部分で修飾されてもよい。
【0081】
2.競合的アッセイフォーマット
競合的アッセイでは、サンプル中に存在する分析物(抗インテグリン抗体または抗薬物抗体など)の量の測定は、サンプル中に存在する分析物によって捕捉剤(例:分析物に特異的な抗体)から置換除去された(または競合除去された)添加(外来性)分析物の量を測定することにより、間接的に行われる。1つの競合的アッセイでは、抗インテグリン抗体を例とする、または抗薬物抗体を例とする既知量の分析物がサンプルに添加され、次にサンプルは、抗インテグリン抗体と特異的に結合する抗体を例とする捕捉剤と接触される。抗体を例とする捕捉剤と結合した分析物の量は、サンプル中に存在する分析物の濃度と反比例の関係にある。特定の例では、抗インテグリン抗体と結合する抗体を例とする捕捉剤は、固体基材上に固定化される。例えば、抗インテグリン抗体と結合する抗体を例とする、または抗薬物抗体と結合する薬物を例とする捕捉剤と結合した、抗インテグリン抗体を例とする、または抗薬物抗体を例とする分析物の量は、捕捉剤/分析物複合体中に存在する分析物の量の測定、または別の選択肢として、複合体を形成していない残留分析物の量の測定のいずれかによって決定することができる。分析物の量は、標識試薬を提供することによって検出してもよい。
【0082】
3.その他のアッセイフォーマット
その他の場合において、分析物がポリペプチドである場合、ウェスタンブロット(免疫ブロット)分析を用いて、サンプル中のポリペプチドの存在を検出、および定量することができる。この技術は、一般的に、ゲル電気泳動によりサンプルタンパク質を分子量に基づいて分離すること、分離したタンパク質を適切な固体支持体(例えば、ニトロセルロースフィルター、ナイロンフィルター、または誘導体化ナイロンフィルターなど)へ移すこと、およびサンプルを目的のポリペプチドと特異的に結合する抗体と共にインキュベートすることを含む。例えば、抗体は、固体支持体上にて目的のポリペプチドと特異的に結合する。これらの抗体は、直接標識されていてよく、または別の選択肢として、目的のポリペプチドに対する抗体と特異的に結合する標識抗体(例:標識ヒツジ抗マウス抗体)を用いて続いて検出されてもよい。
【0083】
その他のアッセイフォーマットとしては、特定の分子(例:抗体)と結合してカプセル化された試薬またはマーカーを放出するように設計されたリポソームを用いる、リポソーム免疫アッセイ(LIA)が挙げられる。放出された化学物質は、次に、標準的な技術に従って検出される(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Monroe et al., Amer. Clin. Prod. Rev. 5:34-41(1986)、を参照)。
【0084】
4.標識試薬
本明細書で述べる方法または装置で用いられる検出可能な標識は、この方法または装置で用いられる標識試薬の特異的結合を実質的に干渉しない限りにおいて、限定されない。検出可能な標識は、検出可能である物理的または化学的特性を有するいずれの物質であってもよい。そのような検出可能な標識は、免疫アッセイの分野において十分に開発されており、一般的に、そのような方法で有用であるほとんどの標識を、本明細書で述べる方法および装置で用いることができる。標識は、例えば、分光的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的、または化学的手段によって検出可能であるいずれの組成物であってもよい。本明細書で述べる方法および装置において有用である標識としては、これらに限定されないが、磁気ビーズ(例:Dynabeads(商標))、蛍光色素(例:フルオレセインイソチオシアネート、テキサスレッド、およびローダミンなど)、放射標識(例:H、125I、35S、14C、または32P)、酵素(例:西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、およびELISAで用いることができるその他の酵素)、およびコロイド状金、または着色ガラスもしくはプラスチック(例:ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)ビーズなどの比色または微粒子標識が挙げられる。
【0085】
標識は、当該技術分野で公知の方法に従うアッセイの所望される成分と直接または間接的にカップリングしてよい。本明細書で述べるように、広範囲の種々の標識を用いることができ、標識の選択は、要求される感度、結合の容易さ、安定性の要件、利用可能な機器、および廃棄に関する規定に応じて行われる。
【0086】
非放射性標識は、間接的な手段によって付着されていてよい。分子はまた、シグナル発生化合物と直接結合していてもよく、例えば、酵素または蛍光化合物との結合による。種々の酵素および蛍光化合物を、本明細書で述べる方法および装置で用いてよく、それらは、当業者に公知である(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,391,904号、を参照)。
【0087】
標識を検出する手段は、当業者に公知である。従って、例えば、標識が放射性標識である場合、検出の手段としては、シンチレーションカウンター、またはオートラジオグラフィーの場合のような写真フィルムが挙げられる。標識が蛍光標識である場合、蛍光色素を適切な波長光で励起し、得られた蛍光を検出することによって標識を検出することができる。蛍光は、写真フィルムの手段により、電荷結合デバイス(CCD)または光電子増倍管などの電子検出器の使用により、視覚的な検出が可能である。同様に、酵素標識の検出は、酵素に対する適切な基質を提供し、得られた反応生成物を検出することで行うことができる。最後に、簡便な比色標識は、標識に伴う色を観察することによって直接検出することができる。従って、種々のディップスティックアッセイでは、結合した金はピンク色を示す場合が多く、一方種々の結合したビーズは、ビーズの色を示す。
【0088】
あるアッセイフォーマットでは、標識試薬を使用する必要がない。例えば、凝集アッセイを用いて、標的抗体の存在を検出することができる。この場合、抗原コーティングされた粒子が、標的抗体を含むサンプルによって凝集される。このフォーマットでは、いずれのアッセイ成分も標識する必要がなく、標的抗体の存在は、簡便な目視検査によって検出される。
【0089】
検出可能なシグナルの検出後、シグナルの参照との比較、および/または治療推奨値に対応する所定のレベルとの相関を行ってよい。例えば、抗体の量を低下させるために血漿交換による治療を受けている対象中の抗VLA4抗体のレベルを検出するアッセイの場合、所定のレベルより低いシグナルレベルは、さらなる血漿交換の必要がないという推奨事項と相関し得る。より高いレベルと相関するシグナルは、さらなる血漿交換が望ましいことを示唆し得るものである。
【0090】
本明細書で述べるアッセイにおけるシグナルの検出は、視覚的なものであってよいが、シグナルの検出にリーダーを用いて行ってもよい。そのようなリーダーとしては、例えば、自動プレートリーダーおよびEIAリーダーなどが挙げられる。リーダーは、試験分析物の濃度の半定量的、または定量的測定に用いてよい。濃度の半定量的、または定量的測定は、比色システムを用いて示してよい。
【0091】
5.二次剤
本明細書で述べる方法または装置で用いられる二次剤は、捕捉剤の抗体への結合を検出するために用いてよい。二次剤は、検出可能な標識が共有結合または非共有結合のいずれかで付着された抗体であってよい。二次剤に付着された検出可能な標識は、既述の検出可能な標識であってよい。二次剤は、非特異的抗体であっても、または分析物を認識する抗体もしくはその断片であっても、または分析物を認識するポリペプチドであってもよい。二次剤は、抗IgG4抗体を含んでよく、例えば、抗ヒトIgG4、またはヒトIgG4の重鎖のFc部分と反応する抗ヒトIgG4である。
【0092】
6.時間
捕捉剤の抗体への結合は、結合後、約30秒、1分、5分、10分、20分、30分、40分、50分、1時間、2時間、5時間、または10時間以内に検出可能であってよい。
【0093】
7.バッファー
免疫アッセイに適するいずれのバッファーも、当業者の判断に従って追跡バッファーとして用いてよい。追跡バッファーは、界面活性剤を含んでよい。適切ないずれの界面活性剤を用いてもよい。界面活性剤は、ポリソルベート界面活性剤であってよく、TWEEN20(登録商標)、TWEEN40(登録商標)、TWEEN60(登録商標)、TWEEN80(登録商標)、SPAN20(登録商標)、SPAN40(登録商標)、SPAN60(登録商標)、SPAN65(登録商標)、およびSPAN80(登録商標)などである。バッファーはまた、トリス緩衝生理食塩水(TBS)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)などの緩衝生理食塩水も含んでよい。バッファーはまた、ウシ血清アルブミン(BSA)、乳、またはゼラチンなどのタンパク質を例とするブロッキング剤を含んでもよい。
【0094】
治療
本明細書で述べるアッセイは、対象に治療を実施する前および/または後に行ってよい。ある場合では、治療は、対象の血液からなど、対象から分析物または成分を除去するための治療である。特定の状況では、治療は、対象から1つ以上の抗体を除去するための、血漿交換などの血液アフェレーシスである。
【0095】
血液アフェレーシスは、一般的な医療用連続液体分離である。アフェレーシスには多くの医療用途があり、対象の体内からの血液の除去、成分への血液の分離、成分の1つ以上の改変、ならびに除去されたおよび/または改変された液体のある混合物またはそれらからの選択物の対象体内への返還を含む多重療法が挙げられる。いくつかの代表的なアフェレーシス治療の手順としては、血漿交換療法(TPEまたはPLEX)(細胞を含まない血漿を除去し、コロイド/生理食塩水溶液に置換する手順);細胞減少(血小板および白血球を除去するプロセス);フォトフェレーシス(アフェレーシス治療によって回収された単核細胞を紫外線A光およびソラレンに曝露させ、対象内に再注入する手順);ならびに選択的吸着(血漿をカラムに吸着させ、対象へ戻すプロセス)が挙げられる。
【0096】
1つの代表的なアフェレーシス手順では、対象の静脈に挿入されたニードルを通して対象から血液が引き抜かれる。ニードルは、血液の流路を提供するプラスチックチューブの一方の端部に取り付けられている。チューブの他方の端部は、血液をその成分へ分離するための、遠心分離機などのセパレーターに繋がっている。遠心分離機への物質の流入およびそこからの流出を連続して行うことが可能であるフロースルー遠心分離機(flow-through centrifuge)が、当該技術分野で公知である(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,425,112号、参照)。血漿および細胞に分離された血液は、他のアームを通して対象へ戻してよい。代用血漿または改変された血漿を、対象へ戻される血液要素と再混合してよい。対象からの血液の引き抜き速度と対象への血液の返還速度は同じ速度であり得ることから、体外にある対象の血液の量は、いずれの時点においても僅かであり得る。
【0097】
別のアフェレーシス手順は、血液を通流させる使い捨て滅菌済み流体回路(disposable, pre-sterilized fluid circuits)を用いた自動システムを用いる。流体回路は、ポンプ、バルブ、およびセンサーなどを有していてよい再使用可能である機械に搭載される。このような自動システムは、処理機能の多くを制御する内部コンピュータおよび付属のソフトウェアプログラムをさらに含む。1つの代表的な自動システムは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,706,008号に記載されている。アフェレーシス用のその他の方法および装置は、例えば、各々その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,267,771号;同第6,849,183号;同第5,200,090号;および同第4,954,128号、に記載されている。
【0098】
ある状況では、本明細書で述べる抗インテグリン抗体または抗薬物抗体のレベルは、対象に治療を実行する前に分析される。他の状況では、抗インテグリン抗体または抗薬物抗体のレベルは、対象に治療を実行した後に分析される。例えば、抗インテグリン抗体または抗薬物抗体のレベルは、治療の実行後1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、または4週間で分析される。そのようなアッセイは、例えば、薬物レベルまたは抗薬物抗体レベルを定期的にモニタリングするために、治療計画の一環として実行されてよい。特定の場合では、治療が実行され、抗インテグリン抗体または抗薬物抗体のレベルの分析は、例えばサンプル中の抗インテグリン抗体のレベルが所定のレベルに到達するまで、治療とアッセイの繰り返しサイクルとして行われる。例えば、所定のレベルは、約1μg/mL、約2μg/mL、約3μg/mL、約4μg/mL、約5μg/mL、約6μg/mL、約7μg/mL、約8μg/mL、約9μg/mL、約10μg/mL、約15μg/mL、または約20μg/mLであってよい。ある場合では、所定のレベルは、1μg/mL、2μg/mL、3μg/mL、4μg/mL、5μg/mL、6μg/mL、7μg/mL、8μg/mL、9μg/mL、10μg/mL、15μg/mL、または20μg/mLである。治療は、例えば、1日につき1回、または2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと、1週間ごと、2週間ごと、3週間ごと、4週間ごと、3ヶ月ごと、4ヶ月ごと、6ヶ月ごと、もしくは1年に1回で実行してよい。
【0099】
本発明を、以下の実施例によってさらに説明する。実施例は、単に説明の目的で提供されるものである。それらは、いずれの形であれ、本発明の範囲または内容を限定するものとして解釈してはならない。
【実施例】
【0100】
実施例1
ラット12C2 mAbまたはマウス12C4 mAb、および抗ヒトIgG4‐金接合体を用いた、バッファー中抗VLA4抗体の分析試験の開発
ラテラルフロー免疫クロマトグラフィ試験システムを用いて、抗VLA4に特異的な試験を開発した。図1を参照すると、このラテラルフロー試験システムは、2つの部分から成るプラスチックカセット(上部100および下部101)から構成した。上部分は、2つの開口部を有し、一方の開口部102は、サンプル110および追跡バッファー118の適用のためであり、窓部103は、結果を視覚的に検出するためであった。下部分は、ニトロセルロース試験条片104を収容し、その上の「試験部位」(「T」)106に、ラット12C2 mAbまたはマウス12C4 mAb 105を、「対照部位」(「C」)108に、汎用金捕捉剤(universal gold capture reagent)107を固定化した。
【0101】
試験および対照部位の上流には、繊維質材料の「金パッド」109があり、ここで、マウス抗ヒトIgG4が金粒子と結合し、この複合体は112である。金接合体パッドからさらに上流には、別の繊維質パッド111があり、ここで、バッファー中のサンプルヒト化抗VLA4抗体(110)および追跡バッファー118を開口部102を介して受け入れた。サンプルパッド111、金パッド109、およびニトロセルロース膜104は、順番に配置し、それによって、サンプルが毛細管現象によりサンプルパッド111から金パッド109へと移動し、サンプル110とマウス抗ヒトIgG4/金接合体112との「第一の複合体」が形成された。この複合体は、次に、ニトロセルロース104を通って移動し、ここで、試験部位106にて、マウス12C4 mAbまたはラット12C2 mAb 105と接触した。サンプル110は、マウス12C4 mAbまたはラット12C2 mAb 105と反応して、112および110の複合体を形成し、これは、試験部位106にて捕捉され、赤色線114として視覚化された。別の実施形態では、サンプル110は、金接合体の下流に添加してもよい。
【0102】
過剰の金標識遊離抗体(マウス抗ヒトIgG4)は、さらに対照部位まで移動し、そこで、汎用金捕捉剤107が金標識遊離抗体(マウス抗ヒトIgG4)を捕捉し、対照部位108にてさらなる目に見える赤色線115を発生させた。いずれの過剰な物質、金、および追跡バッファーも、ニトロセルロース条片の末端部にて吸収フィルターパッド116により吸収された。
【0103】
試験の特異性は、マウス抗ヒトIgG4金接合体を捕捉して第一の複合体を形成するヒトまたはヒト化IgG4部分と、試験部位にて抗(抗VLA4抗体)抗体と反応する抗VLA4部分とをサンプル分子が含有する場合にのみ、試験部位において複合体が形成されるという事実によるものであった。単純化して表現すると、抗VLA4分子は、金標識マウス抗ヒトIgG4と膜に固定化された抗(抗VLA4抗体)抗体との間に挟まれている。
【0104】
物質
マウス抗(抗VLA4抗体)mAb 12C4(エラン(Elan))、2.1mg/mL
ラット抗(抗VLA4抗体)mAb 12C2(バイオジェンアイデック(Biogen Idec))、1.76mg/mL
マウス抗ヒトIgG4 mAb(サザンバイオテック(Southern Biotech))、0.5mg/mL
ヒト化抗VLA4 Ab(バイオジェンアイデック)、20mg/mL
抗VLA1 Ab(バイオジェンアイデック)、
ヒトIgG4(カルバイオケム(CalBiochem))、1mg/mL
ヒト化抗VLA4 Ab製剤バッファー(バイオジェンアイデック)
汎用金捕捉剤
追跡バッファー(1重量/体積%BSAおよび1重量/体積%Tween20を含むPBS)
金接合体(40nm)
【0105】
試験開発
抗VLA4抗体試験を開発するための手法として、膜上に固定化された抗VLA4抗体に特異的な捕捉抗体(mAb 12C4または12C2)、およびヒトIgG4分子を含む抗VLA4抗体の定常領域に指向された金標識検出用抗体(抗ヒトIgG4)により、抗原結合部位を標的とした。
【0106】
モノクローナル抗体12C4または12C2の特異性が高い場合、その他の分子は膜上に捕捉されず、従って試験はネガティブである。抗VLA1は、VLA1に対するヒト化モノクローナル抗体である。この抗体の定常領域は、ヒトIgG1であり、可変抗原結合領域は、マウス由来である。VLA1およびVLA4は密接に関連しているため、抗VLA1は、試験システムの追加の対照として用いることができる。このように含めることを用いて、試験システムの特異性を確認することができる。
【0107】
これらの仮定に基づいて、ラテラルフロー免疫クロマトグラフィシステムを、ヒト化抗VLA4抗体に対して指向されたmAb 12C4または12C2を用いて開発した。捕捉抗体の適切な濃度を決定するために、12C4または12C2を用い、これは、別の試験条片上にて0.25から1.0mg/mLの間で滴定し、80μg/mLのヒト化抗VLA4抗体に対して試験した。12C4または12C2抗体を、次に1.0mg/mLにて膜の試験部位に固定化した。30μg/mLのマウスモノクローナル抗体抗ヒトIgG4(ガンマ鎖特異的)を、金粒子に結合させた。次に、マウス抗ヒトIgG4免疫金接合体を、接合体パッド中で凍結乾燥し、検出用分子として用いた。膜の対照部位には、3.0mg/mLの汎用金試薬を用いた。
【0108】
結果
モノクローナル抗体12C4または12C2の滴定の過程で、各条片の上部分のバンドの存在によって、ポジティブ反応が示された。1.0mg/mLの抗体濃度において、最小限のバックグラウンドの強いシグナルが得られたため、これを選択し、膜の試験部位に固定化した。
【0109】
ヒト化抗VLA4抗体、ヒト化抗VLA1、IgG1(骨髄腫)、IgG4(骨髄腫)、抗IgG1、および製剤バッファーを、12C4または12C2が固定化されたフローシステムで試験する。ヒト化抗VLA4抗体を、0.015から500μg/mLの濃度範囲で試験した。12C4または12C2抗体は、0.08μg/mLの濃度までヒト化抗VLA4抗体を検出することができた。
【0110】
次に、12C2抗体を用いて試験カセットを製造した。図1は、この試験カセットを用いた試験の特異性を示す。すべての試験で単一バンド115が見られ、このことは、妥当な試験であることを示しているが、ヒト化抗VLA4抗体試験のためのカセットだけは、第二のバンド114が見られ、ポジティブ試験であることを示している。
【0111】
実施例2
ラット12C2 mAbまたはマウス12C4 mAb、および抗ヒトIgG4‐金接合体を用いた、血清中抗VLA4抗体の分析試験の開発
生物体液を用いた試験の妥当性を試験するために、抗VLA4をスパイクした血清を用いてアッセイの試験を行った。このラテラルフロー試験システムの2つの部分から成るプラスチックカセットは、実施例1のものと同一であるが、若干の変更を行っている。図2を参照すると、上部分200は、3つの開口部を有し、開口部202は、サンプル210の適用のためであり、開口部217は、追跡バッファー218用であり、窓部203は、結果を視覚的に検出するためである。他の実施形態(図示せず)では、追跡バッファーは、サンプルの下流に添加してよく、またはサンプルの適用のためのものと同一の開口部から添加してもよい。下部分201は、ニトロセルロース試験条片204を収容し、その上の「試験部位」(T)206に、マウス12C4 mAbまたはラット12C2 mAb 205を、「対照部位」(C)208に、ヤギ抗マウス抗体207を固定化した。他の実施形態では、血清特異的分析物(例:血清アルブミン)に対する抗体を対照抗体として用いてよい。
【0112】
試験および対照部位の上流には、繊維質パッド(「サンプルパッド」)209があり、ここでサンプル210を受け入れた。試験および対照部位からさらに上流には、繊維質材料の「金パッド」211があり、ここで、マウス抗ヒトIgG4が金粒子と結合し、この複合体は212である。二工程アッセイを用いた。第一工程では、血清サンプル210は、サンプル開口部202に適用され、金接合体の前に捕捉ゾーン205へと移動し、試験ライン205にてサンプル210(抗VLA4)とマウス12C4またはラット12C2との複合体を形成した。第二工程では、追跡バッファー218が追跡バッファーポート217に適用され、モノクローナル抗ヒトIgG4金接合体212を再水和した。次に、接合体212は、捕捉試験ライン205へと移動し、捕捉ライン205に結合した抗VLA4との複合体を形成し、部位206での反応は、赤色線214として視覚化された。
【0113】
過剰の金標識遊離抗体(マウス抗ヒトIgG4)は、さらに対照部位208まで移動し、そこで、ヤギ抗マウス抗体207が金標識遊離抗体(マウス抗ヒトIgG4)を捕捉し、さらなる目に見える赤色線215を発生させた。いずれの過剰な物質、金、および追跡バッファーも、ニトロセルロース条片の末端部にて吸収フィルターパッド216により吸収された。
【0114】
試験の特異性は、試験部位にて抗(抗VLA4抗体)抗体と反応し、金と結合したマウス抗ヒトIgG4部分によって検出される抗VLA4部分をサンプルが含有する場合にのみ、試験部位において複合体が形成されるという事実によるものであった。単純化して表現すると、抗VLA4分子は、金標識マウス抗ヒトIgG4と膜に固定化された抗(抗VLA4抗体)抗体との間に挟まれている。このフォーマットの成功は、抗IgG4金接合体の前に移動して来るサンプル中のいずれの内在性干渉部分(例:IgG4)による試験ラインでの抗VLA4検出に対する干渉も低減されるということに依存している。
【0115】
試験分析物濃度の半定量的測定にリーダーを用いてよい。ラテラルフローシステムの結果を記録するために、視覚的なポジティブ/ネガティブスコアに基づくリーダーを用いた。リーダーの視覚的閾値は、20〜40ユニットの範囲内の値に対応する。シグナルがこの範囲内で視覚的にポジティブと記録された場合、それは、すべてのオペレータにとって視認可能ではない場合のある非常に弱いピンク色の線であると見なされるべきである。
【0116】
物質
マウス抗(抗VLA4抗体)mAB 12C4(エラン)、2.1mg/mL
マウス抗ヒトIgG4 mAb(サザンバイオテック)、0.5mg/mL
ヒト化抗VLA4 Ab(バイオジェンアイデック)、21mg/mL
ヒトIgG4(ザバインディングサイト(The Binding Site),サンディエゴ,カリフォルニア州)、13.7mg/mL
ヒト化抗VLA4 Ab製剤バッファー(バイオジェンアイデック)
ヤギ抗マウス抗体、3.0mg/mL
追跡バッファー(1重量/体積%BSAおよび1重量/体積%Tween20を含むPBS)
金接合体(40nm)
【0117】
試験開発
試験を開発するための手法として、膜上に固定化された抗VLA4抗体に特異的な捕捉抗体(mAb 12C4またはmAb 12C2)、およびヒトIgG4分子を含む抗VLA4抗体の定常領域に対して指向された金標識検出用抗体(マウス抗ヒトIgG4)により、抗原結合部位を標的とした。
【0118】
12C4または12C2などのアッセイに用いたモノクローナル抗体の特異性が高い場合、その他の分子は膜上に捕捉されず、従って試験はネガティブである。
【0119】
これらの仮定に基づいて、ラテラルフロー免疫クロマトグラフィシステムを、ヒト化抗VLA4抗体に対して指向されたmAb 12C4または12C2を用いて開発した。捕捉抗体の適切な濃度を決定するために、12C4を用い、これは、別の試験条片上にて滴定し、100μg/mLから0.25μg/mLの範囲の種々の濃度のヒト化抗VLA4抗体に対して試験した。12C4抗体を、次に2.1mg/mLにて膜の試験部位に固定化した。マウスモノクローナル抗体抗ヒトIgG4(ガンマ鎖特異的)を、40nmの金粒子に結合させた。次に、マウス抗ヒトIgG4免疫金接合体を、接合体パッド中で凍結乾燥し、検出用分子として用いた。膜の対照部位には、3.0mg/mLのヤギ抗マウス抗体を用いた。
【0120】
結果
モノクローナル抗体12C4または12C2の滴定の過程で、各条片の上部分のバンドの存在によって、ポジティブ反応が示された。2.1mg/mLの抗体濃度において、最小限のバックグラウンドの強いシグナルが得られたため、これを選択し、膜の試験部位に固定化した。プロトコルの構成は、20μLの血清(追跡バッファー中1:10に予め希釈するか、または未希釈)のポート202からの添加、およびすぐそれに続いての(<1分)、ポート217からの150μLの追跡バッファー218の添加とした。サンプルは、室温および周囲湿度にて、デバイス中で30分間インキュベートした。
【0121】
サンプルマトリックス中のヒト化抗VLA4抗体、IgG4(骨髄腫)、IgG4と共に抗VLA4、および製剤バッファーを、12C4が固定化されたフローシステムで試験する。ヒト化抗VLA4抗体を、0.25から100μg/mLの濃度範囲で試験した。12C4抗体は、0.25μg/mLの濃度までヒト化抗VLA4抗体を検出することができた。
【0122】
次に、12C4抗体を用いて試験カセットを製造した。図2は、この試験カセットを用いた試験の特異性を示す。すべての試験で単一バンド215が見られ、このことは、妥当な試験であることを示しているが、ヒト化抗VLA4抗体試験のためのカセットだけは、第二のバンド214が見られ、ポジティブ試験であることを示している。
【0123】
ある実施形態では、試験は、追加成分を含む。抗VLA1は、VLA1に対するヒト化モノクローナル抗体である。いくつかの抗VLA1抗体の定常領域は、IgG1であり、可変抗原結合領域は、マウス由来である。ある実施形態では、抗VLA1は、試験システムの特異性を評価するための追加の対照として用いられる。試験システムに含めてよい追加の対照としては、IgG4、薬物、または抗薬物抗体を例とする、血清中に見られる場合のある分析物の過剰なレベルに対する試験の許容度の評価が含まれる。抗VLA4濃度の半定量的または定量的測定にリーダーを用いてよい。
【0124】
実施例3
抗抗VLA4 mAb‐金接合体を用いた抗VLA4抗体の分析試験の開発
異なるフォーマットによる血清中の抗VLA4抗体を効果的に検出する能力を試験するために実験を行った。このラテラルフロー試験システムの2つの部分から成るプラスチックカセットは、実施例2のものと同一であるが、若干の変更を行っている。図3を参照すると、上部分300は、3つの開口部を有し、その1つの302は、サンプル310の適用のためであり、開口部317は、追跡バッファー318の適用のためであり、窓部303は、結果を視覚的に検出するためである。下部分301は、ニトロセルロース試験条片304を収容し、その上の「試験部位」(T)306に、マウス12C4 mAb 305を、「対照部位」(C)308に、ヤギ抗マウス抗体307を固定化した。
【0125】
試験および対照部位の上流には、繊維質パッド(「サンプルパッド」)309があり、ここでサンプル310を受け入れた。試験および対照部位からさらに上流には、繊維質材料の「金パッド」311があり、ここで、マウス抗抗VLA4抗体12C4が金粒子と結合し、この複合体は312である。二工程アッセイを用いた。第一工程では、サンプル310は、サンプル開口部302に適用され、金接合体の前に捕捉ゾーン305へと移動し、試験ライン305にてサンプル310(抗VLA4)とマウス12C4またはラット12C2との複合体を形成した。第二工程では、追跡バッファー318が追跡バッファーポート317に適用され、モノクローナルマウス抗抗VLA4抗体12C4金接合体312を再水和した。次に、接合体312は、捕捉試験ライン305へと移動し、捕捉ライン305に結合した抗VLA4との複合体を形成し、部位306での反応は、赤色線314として視覚化された。
【0126】
過剰の金標識遊離抗体(マウス12C4 mAb)は、さらに対照部位まで移動し、そこで、ヤギ抗マウス抗体307がこのmAbを捕捉し、さらなる目に見える赤色線315を発生させた。いずれの過剰な物質、金、および追跡バッファーも、ニトロセルロース条片の末端部にて吸収フィルターパッド316により吸収された。
【0127】
スパイクしたナタリズマブサンプルを用いた場合、この試験フォーマットは、抗ヒトIgG4金接合体を用いて実施した試験と比較して、検出範囲がより限定され、その理由は、試験部位における複合体の形成が、サンプル分子が抗(抗VLA4抗体)/金接合体および抗(抗VLA4抗体)抗体の両方と試験部位にて反応することができる場合にのみ発生するからである。単純化して表現すると、抗VLA4分子は、金標識抗(抗VLA4抗体)抗体と膜に固定化された抗(抗VLA4抗体)抗体との間を架橋している。従って、この試験は、患者からの実際のサンプルを用いた場合、抗VLA4抗体の全体の検出に対する感度は低くなる。このフォーマットは、IgG4系抗体であるナタリズマブの完全な状態のものだけを検出するという点で、より限定された試験となる。このフォーマットでは、ナタリズマブおよびその他のIgG4抗体で治療された患者に見られる半抗体交換分子(half-antibody exchanged molecules)は検出されない。従って、このフォーマットの使用は、一般的に、完全な状態の薬物の検出に限定される。
【0128】
物質
マウス抗(抗VLA4抗体)mAB 12C4(エラン)、2.1mg/mL
ヒト化抗VLA4 Ab(バイオジェンアイデック)、21mg/mL
ヒト化抗VLA4 Ab製剤バッファー(バイオジェンアイデック)
ヤギ抗マウス抗体、3.0mg/mL
追跡バッファー(1重量/体積%BSAおよび1重量/体積%Tween20を含むPBS)
金接合体(40nm)
【0129】
試験開発
ラテラルフロー免疫クロマトグラフィシステムを、ヒト化抗VLA4抗体に対して指向されたmAb 12C4を用いて開発した。捕捉抗体の適切な濃度を決定するために、12C4を別の試験条片上にて滴定し、0.25から100μg/mLの範囲の濃度のヒト化抗VLA4抗体に対して試験した。12C4抗体を、次に2.1mg/mLにて膜の試験部位に固定化した。さらに、12C4抗体を、40nmの金粒子に結合させ、接合体パッド中で凍結乾燥し、検出用分子として用いた。膜の対照部位には、3.0mg/mLのヤギ抗マウス抗体を用いた。
【0130】
結果
モノクローナル抗体12C4の滴定の過程で、各条片の上部分のバンドの存在によって、ポジティブ反応が示された。2.1mg/mLの抗体濃度において、最小限のバックグラウンドの強いシグナルが得られたため、これを選択し、膜の試験部位に固定化した。プロトコルの構成は、20μLの血清(追跡バッファー中1:10に予め希釈するか、または未希釈)のポート302からの添加、およびすぐそれに続いての(<1分)、ポート317からの150μLの追跡バッファー318の添加とした。サンプルは、室温および周囲湿度にて、デバイス中で30分間インキュベートした。
【0131】
マトリックス中のヒト化抗VLA4抗体、追加のIgG4を添加した抗VLA4抗体、および製剤バッファーを、12C4が固定化されたフローシステムで試験した。ヒト化抗VLA4抗体を、1から100μg/mLの濃度範囲で試験した。12C4抗体は、1μg/mLの濃度までヒト化抗VLA4抗体を検出することができた。
【0132】
次に、12C4抗体を用いて試験カセットを製造した。図3は、この試験カセットを用いた試験の特異性を示す。すべての試験で単一バンド315が見られ、このことは、妥当な試験であることを示しているが、ヒト化抗VLA4抗体試験のためのカセットだけは、第二のバンド314が見られ、ポジティブ試験であることを示している。
【0133】
実施例4
抗VLA4薬物および抗VLA4薬物金接合体を用いた抗薬物抗体の分析試験の開発
ナタリズマブを例とする薬物に対して指向された抗体を検出するためのアッセイおよび方法をここで説明する。そのようなアッセイを試験するための、このラテラルフロー試験システムの2つの部分から成るプラスチックカセットは、実施例1〜3のものと同一であったが、若干の変更を行った。図4を参照すると、上部分400は、3つの開口部を有し、開口部402は、サンプル410の適用のためであり、開口部417は、追跡バッファー418用であり、窓部403は、結果を視覚的に検出するためであった。下部分401は、ニトロセルロース試験条片404を収容し、その上の「試験部位」(T)406に、抗VLA4抗体405を、「対照部位」(C)408に、対照抗体407を固定化した。
【0134】
試験および対照部位の上流には、繊維質パッド(「サンプルパッド」)409があり、ここでサンプル410を受け入れた。試験および対照部位からさらに上流には、繊維質材料の「金パッド」411があり、ここで、抗VLA4抗体が金粒子と結合し、この複合体は412である。二工程アッセイを用いた。第一工程では、サンプル410が、サンプル開口部402に適用され、金接合体の前に捕捉ゾーン405へと移動し、試験ライン405にてサンプル410(抗抗VLA4)と抗VLA4との複合体を形成した。第二工程では、追跡バッファー418が追跡バッファーポート417に適用され、抗VLA4金接合体412を再水和した。次に、接合体412は、捕捉試験ライン405へと移動し、捕捉ライン405に結合した抗(抗VLA4)との複合体を形成し、試験部位406での反応は、赤色線414として視覚化された。
【0135】
いずれの過剰な物質、金、および追跡バッファーも、ニトロセルロース条片の末端部にて吸収フィルターパッド416により吸収された。
【0136】
試験の特異性は、サンプル分子が試験ライン上の抗VLA4抗体および抗VLA4金接合体の両方と結合しなければならない場合にのみ、試験部位において複合体が形成されるという事実によるものであった。単純化して表現すると、抗(抗VLA4抗体)抗体は、金標識抗VLA4抗体と膜に固定化された抗VLA4抗体との間を架橋しており、従って、このタイプのアッセイは、「架橋アッセイ(bridging assay)」と称される場合がある。
【0137】
ある実施形態では、過剰の金標識された遊離の抗VLA4抗体が、対照部位408までさらに移動してよく、ここでは、対照抗体407がマトリックス成分の捕捉に有効であり、さらなる目に見える赤色線415を発生させる。
【0138】
試験分析物濃度の半定量的測定にリーダーを用いてよい。ラテラルフローシステムの結果を記録するために、視覚的なポジティブ/ネガティブスコアに基づくリーダーを用いた。リーダーの視覚的閾値は、20〜40ユニットの範囲内の値に対応する。シグナルがこの範囲内で視覚的にポジティブと記録された場合、それは、すべてのオペレータにとって視認可能ではない場合のある非常に弱いピンク色の線であると見なされるべきである。
【0139】
物質
マウス抗(抗VLA4抗体)mAB 12C4(エラン)、2.1mg/mL
ウサギ抗(抗VLA4抗体)mAB(バイオジェンアイデック)、1.1mg/mL
ラット抗(抗VLA4抗体)mAb 12C2(バイオジェンアイデック)、1.76mg/mL
ヒト化抗VLA4 Ab(バイオジェンアイデック)、21mg/mL
ヒト化抗VLA4 Ab製剤バッファー(バイオジェンアイデック)
対照抗体
追跡バッファー(1重量/体積%BSAおよび1重量/体積%Tween20を含むPBS)
金接合体(40nm)
【0140】
試験開発
ラテラルフロー免疫クロマトグラフィシステムを、抗(抗VLA4抗体)抗体に対して指向された抗VLA4抗体を用いて開発した。捕捉抗体の適切な濃度を決定するために、抗VLA4抗体を用い、これを別の試験条片上にて滴定し、25μg/mLから0.5μg/mLの濃度範囲の抗(抗VLA4抗体)抗体に対して試験した。抗VLA4抗体を、次に0.5mg/mLにて膜の試験部位に固定化した。抗VLA4を、40nmの金粒子に結合させた。次に、この抗VLA4免疫金接合体を、接合体パッド中で凍結乾燥し、検出用分子として用いた。膜の対照部位には、対照抗体を用いた。
【0141】
結果
滴定実験に基づき、0.5mg/mLの抗体濃度にて最小限のバックグラウンドの強いシグナルが得られたため、これを選択して固定化した。プロトコルの構成は、20μLの血清(追跡バッファー中1:10に予め希釈するか、または未希釈)のポート402からの添加、およびすぐそれに続いての(<1分)、ポート417からの150μLの追跡バッファー418の添加とした。サンプルは、室温および周囲湿度にて、デバイス中で30分間インキュベートした。
【0142】
マウスおよびウサギ抗(抗VLA4抗体)抗体、ヒト化抗VLA4抗体、上記の組み合わせ、および製剤バッファーを、抗VLA4抗体が固定化されたフローシステムで試験した。抗(抗VLA4抗体)抗体を、25μg/mLから0.5μg/mLの濃度範囲で試験した。ヒト化抗VLA4抗体は、0.5μg/mLの濃度までヒト抗(抗VLA4抗体)抗体を検出することができた。
【0143】
次に、ヒト化抗VLA4抗体薬物を用いて試験カセットを製造した。図4は、この試験カセットを用いた試験の特異性を示す。すべての試験で単一バンド415が見られ、このことは、妥当な試験であることを示しているが、抗薬物抗体試験のためのカセットだけは、第二のバンド414が見られ、ポジティブ試験であることを示している。
【0144】
ラテラルフローアッセイにおけるデータの標準化の目的で、対照ラインまたは追加の標準化ラインを用いてよい。この標準化ラインは、個々のマトリックスサンプル全体を通して類似の濃度を有するマトリックス(例:血清)成分の1つに対する抗体を固定化したものであってよい。別の選択肢として、標準化ラインは、試験マトリックス中には存在しないが、ラテラルフローデバイスに配置される前に各マトリックスサンプルに同一の濃度で添加された無関係な種由来のタンパク質に対する抗体を固定化したものであってもよい。このタンパク質は、各サンプルへ直接添加してよく、またはサンプルが追跡バッファーで希釈されている場合は、追跡バッファーの成分であってもよい。抗抗VLA4濃度の半定量的または定量的測定に、リーダーを用いてよい。
【0145】
その他の実施形態
本発明を、その詳細な説明と合わせて記載してきたが、前述の記載は、説明することを意図するものであり、添付の請求項の範囲によって定められる本発明の範囲を限定するものではないことは理解されるべきである。その他の態様、利点、および変形は、以下の請求項の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象中の抗インテグリン抗体のレベルを低下させる方法であって、前記方法は:
a)対象からの生物サンプルを基材と会合した検出可能な捕捉剤と接触させることあって、前記捕捉剤は、前記サンプル中の抗インテグリン抗体と結合することができ;
b)前記捕捉剤の結合を前記抗インテグリン抗体のレベルと共に検出すること;ならびに、
c)前記対象を、前記サンプル中の前記抗インテグリン抗体のレベルが所定のレベルに達するまで血漿交換で治療すること、
を含む、方法。
【請求項2】
前記生物サンプルを検出可能な捕捉剤と接触させること、および前記捕捉剤の結合を検出することが、ラテラルフローシステムでの分析を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記捕捉剤の前記抗体への結合が、検出可能なシグナルを発生させる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記捕捉剤の前記抗体への結合が、二次剤によって検出される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記所定のレベルが、約1μg/mL、2μg/mL、3μg/mL、4μg/mL、5μg/mL、6μg/mL、7μg/mL、8μg/mL、9μg/mL、10μg/mL、15μg/mL、または20μg/mLである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
対象からの生物サンプルを、基材と会合した検出可能な捕捉剤と接触させること、および前記捕捉剤の前記抗体への結合を検出して相関させることが、前記血漿交換治療の後、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、または4週間で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記血漿交換治療が、1日につき1回、または2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと、1週間ごと、2週間ごと、3週間ごと、もしくは4週間ごとに1回で繰り返される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記生物サンプルが、血液、血漿、血清、尿、唾液、脳脊髄液、痰、眼球レンズ液、汗、乳、腹水液、粘液、滑液、腹膜液、経皮滲出液、咽頭滲出液、気管支肺胞洗浄液、気管吸引液、精液、頚管粘液、膣分泌液、尿道分泌液、または羊水である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記抗インテグリン抗体が、組換え抗インテグリン抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記抗インテグリン抗体が、抗アルファ4抗体である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記捕捉剤が、抗体またはインテグリンである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
生物サンプル中の抗インテグリン抗体のレベルを分析するための装置であって、前記装置は:
a)基材;および、
b)前記基材と会合した検出可能な捕捉剤であって、前記捕捉剤は、前記生物サンプル中の抗インテグリン抗体と結合することができる、捕捉剤、
を含む、装置。
【請求項13】
前記装置が、ラテラルフローシステムを含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記捕捉剤の前記抗体への結合が、検出可能なシグナルを発生させる、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記捕捉剤の前記抗体への結合が、二次剤によって検出される、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
前記捕捉剤が、抗体またはインテグリンである、請求項12に記載の装置。
【請求項17】
前記抗インテグリン抗体が、組換え抗インテグリン抗体である、請求項12に記載の装置。
【請求項18】
前記組換え抗インテグリン抗体が、抗アルファ4抗体である、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記基材が、ニトロセルロース、酢酸セルロース、フィルター紙、布地、またはガラス繊維紙である、請求項12に記載の装置。
【請求項20】
前記生物サンプルが、血液、血漿、血清、尿、唾液、脳脊髄液、痰、眼球レンズ液、汗、乳、腹水液、粘液、滑液、腹膜液、経皮滲出液、咽頭滲出液、気管支肺胞洗浄液、気管吸引液、精液、頚管粘液、膣分泌液、尿道分泌液、または羊水である、請求項12に記載の装置。
【請求項21】
前記捕捉剤の前記抗体への結合が、前記結合後、約30秒〜約60分、またはこれより長い時間で検出可能である、請求項14に記載の装置。
【請求項22】
生物サンプル中の抗インテグリン抗体のレベルを分析する方法であって、前記方法は:
a)対象から生物サンプルを採取すること;
b)前記サンプルを基材と会合した検出可能な捕捉剤と接触させることであって、前記捕捉剤は、前記サンプル中の抗インテグリン抗体と結合することができ、;ならびに、
c)前記捕捉剤の結合を前記抗インテグリン抗体のレベルと共に検出すること、
を含む、方法。
【請求項23】
前記生物サンプルを検出可能な捕捉剤と接触させること、および前記捕捉剤の結合を検出し、相関させることが、ラテラルフローシステムでの分析を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記捕捉剤の前記抗体への結合が、検出可能なシグナルを発生させる、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記捕捉剤の前記抗体への結合が、二次剤によって検出される、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記対象に治療を実行して、前記対象中の前記抗インテグリン抗体のレベルを低下させることをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記治療が、血漿交換である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記抗インテグリン抗体のレベルの測定が、前記治療の実行後、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、または4週間で行われる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記治療の実行、および前記抗インテグリン抗体のレベルの測定が、前記サンプル中の前記抗インテグリン抗体のレベルが所定のレベルに達するまで繰り返される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記所定のレベルが、約1μg/mL、2μg/mL、3μg/mL、4μg/mL、5μg/mL、6μg/mL、7μg/mL、8μg/mL、9μg/mL、10μg/mL、15μg/mL、または20μg/mLである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記治療が、1日につき1回、または2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと、1週間ごと、2週間ごと、3週間ごと、もしくは4週間ごとに1回で実行される、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記抗インテグリン抗体が、組換え抗インテグリン抗体である、請求項22に記載の方法。
【請求項33】
前記抗インテグリン抗体が、抗アルファ4抗体である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記捕捉剤が、抗体またはインテグリンである、請求項22に記載の方法。
【請求項35】
前記生物サンプルが、血液、血漿、血清、尿、唾液、脳脊髄液、痰、眼球レンズ液、汗、乳、腹水液、粘液、滑液、腹膜液、経皮滲出液、咽頭滲出液、気管支肺胞洗浄液、気管吸引液、精液、頚管粘液、膣分泌液、尿道分泌液、または羊水である、請求項22に記載の方法。
【請求項36】
治療の効果を分析する方法であって、前記方法は:
a)対象中の抗インテグリン抗体のレベルを低下させるための治療を受けている対象から生物サンプルを採取すること;
b)前記サンプルを基材と会合した検出可能な捕捉剤と接触させることであって、前記捕捉剤は、前記サンプル中の抗インテグリン抗体と結合することができ、;ならびに、
c)前記捕捉剤の結合を、前記抗インテグリン抗体のレベルと共に検出することであって、前記サンプル中の前記抗インテグリン抗体のレベルが所定のレベルより低い場合に、前記治療の効果を示す、
を含む、方法。
【請求項37】
前記サンプルを検出可能な捕捉剤と接触させること、および前記捕捉剤の結合を検出し、相関させることが、ラテラルフローシステムを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記捕捉剤の前記抗体への結合が、検出可能なシグナルを発生させる、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記捕捉剤の前記抗体への結合が、二次剤によって検出される、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記所定のレベルが、約1μg/mL、2μg/mL、3μg/mL、4μg/mL、5μg/mL、6μg/mL、7μg/mL、8μg/mL、9μg/mL、10μg/mL、15μg/mL、または20μg/mLである、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記対象からの前記生物サンプルの採取が、前記治療後、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、または4週間で行われる、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
前記治療が、1日につき1回、または2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと、1週間ごと、2週間ごと、3週間ごと、もしくは4週間ごとに1回で繰り返される、請求項36に記載の方法。
【請求項43】
前記治療が、血漿交換である、請求項36に記載の方法。
【請求項44】
前記生物サンプルが、血液、血漿、血清、尿、唾液、脳脊髄液、痰、眼球レンズ液、汗、乳、腹水液、粘液、滑液、腹膜液、経皮滲出液、咽頭滲出液、気管支肺胞洗浄液、気管吸引液、精液、頚管粘液、膣分泌液、尿道分泌液、または羊水である、請求項36に記載の方法。
【請求項45】
前記抗インテグリン抗体が、組換え抗インテグリン抗体である、請求項36に記載の方法。
【請求項46】
前記抗インテグリン抗体が、抗アルファ4抗体である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記捕捉剤が、抗体またはインテグリンである、請求項36に記載の方法。
【請求項48】
対象中の抗インテグリン抗体のレベルの測定と共に行う治療に用いられる、生物サンプル中の抗インテグリン抗体のレベルを分析するためのキットであって:
a)以下を含むテスター:
i)基材;および、
ii)前記基材と会合した検出可能な捕捉剤であって、前記捕捉剤は、前記生物サンプル中の抗インテグリン抗体と結合することができる、捕捉剤;ならびに、
b)追跡バッファー、
を含む、キット。
【請求項49】
前記基材が、ラテラルフローシステムの一部である、請求項48に記載のキット。
【請求項50】
前記捕捉剤の前記抗体への結合が、検出可能なシグナルを発生させる、請求項48に記載のキット。
【請求項51】
前記捕捉剤の前記抗体への結合が、二次剤によって検出される、請求項48に記載のキット。
【請求項52】
前記捕捉剤が、抗体またはインテグリンである、請求項48に記載のキット。
【請求項53】
前記抗インテグリン抗体が、組換え抗インテグリン抗体である、請求項48に記載のキット。
【請求項54】
前記組換え抗インテグリン抗体が、抗アルファ4抗体である、請求項53に記載のキット。
【請求項55】
前記基材が、ニトロセルロース、酢酸セルロース、フィルター紙、布地、またはガラス繊維紙である、請求項48に記載のキット。
【請求項56】
前記生物サンプルが、血液、血漿、血清、尿、唾液、脳脊髄液、痰、眼球レンズ液、汗、乳、腹水液、粘液、滑液、腹膜液、経皮滲出液、咽頭滲出液、気管支肺胞洗浄液、気管吸引液、精液、頚管粘液、膣分泌液、尿道分泌液、または羊水である、請求項48に記載のキット。
【請求項57】
前記捕捉剤の前記抗体への結合が、前記結合後、約30秒〜約60分、またはこれより長い時間で検出可能である、請求項50に記載のキット。
【請求項58】
治療の効果を分析する方法であって、前記方法は:
a)抗VLA4抗体による治療を受けている対象から生物サンプルを採取すること;
b)前記サンプルを基材と会合した検出可能な捕捉剤と接触させることであって、前記捕捉剤は、前記サンプル中の抗抗インテグリン抗体と結合することができ;ならびに、
c)前記捕捉剤の結合を、前記抗抗インテグリン抗体のレベルと共に検出して、前記治療の効果を判定すること、
を含む、方法。
【請求項59】
前記サンプルを検出可能な捕捉剤と接触させること、および前記捕捉剤の結合を検出することが、ラテラルフローシステムを含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記捕捉剤の前記抗体への結合が、検出可能なシグナルを発生させる、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記捕捉剤の前記抗体への結合が、二次剤によって検出される、請求項58に記載の方法。
【請求項62】
前記生物サンプルが、前記治療の前に、前記対象から採取される、請求項58に記載の方法。
【請求項63】
前記対象からの前記生物サンプルの採取が、前記治療後、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、または4週間で行われる、請求項58に記載の方法。
【請求項64】
前記生物サンプルの採取が、1日につき1回、または2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと、1週間ごと、2週間ごと、3週間ごと、もしくは4週間ごとに1回で繰り返される、請求項58に記載の方法。
【請求項65】
前記生物サンプルが、血液、血漿、血清、尿、唾液、脳脊髄液、痰、眼球レンズ液、汗、乳、腹水液、粘液、滑液、腹膜液、経皮滲出液、咽頭滲出液、気管支肺胞洗浄液、気管吸引液、精液、頚管粘液、膣分泌液、尿道分泌液、または羊水である、請求項58に記載の方法。
【請求項66】
前記抗抗インテグリン抗体が、組換え抗抗インテグリン抗体である、請求項58に記載の方法。
【請求項67】
前記抗抗インテグリン抗体が、抗抗アルファ4インテグリン鎖抗体である、請求項58に記載の方法。
【請求項68】
前記捕捉剤が、抗体である、請求項58に記載の方法。
【請求項69】
対象の生物サンプル中の抗抗VLA4抗体のレベルを分析するためのキットであって:
a)以下を含むテスター:
i)基材;および、
ii)前記基材と会合した検出可能な捕捉剤であって、前記捕捉剤は、前記生物サンプル中の抗抗VLA4抗体と結合することができる、捕捉剤;ならびに、
b)追跡バッファー、
を含む、キット。
【請求項70】
前記基材が、ラテラルフローシステムの一部である、請求項69に記載のキット。
【請求項71】
前記捕捉剤の前記抗体への結合が、検出可能なシグナルを発生させる、請求項69に記載のキット。
【請求項72】
前記捕捉剤の前記抗体への結合が、二次剤によって検出される、請求項69に記載のキット。
【請求項73】
前記捕捉剤が、抗体またはインテグリンである、請求項69に記載のキット。
【請求項74】
前記基材が、ニトロセルロース、酢酸セルロース、フィルター紙、布地、またはガラス繊維紙である、請求項69に記載のキット。
【請求項75】
前記生物サンプルが、血液、血漿、血清、尿、唾液、脳脊髄液、痰、眼球レンズ液、汗、乳、腹水液、粘液、滑液、腹膜液、経皮滲出液、咽頭滲出液、気管支肺胞洗浄液、気管吸引液、精液、頚管粘液、膣分泌液、尿道分泌液、または羊水である、請求項69に記載のキット。
【請求項76】
前記捕捉剤の前記抗体への結合が、前記結合後、約30秒〜約60分、またはこれより長い時間で検出可能である、請求項69に記載のキット。
【請求項77】
生物サンプル中の抗薬物抗体を検出する方法であって、前記方法は:
a)抗VLA4抗体による治療を受けている対象から生物サンプルを採取すること;
b)前記サンプルを基材と会合した検出可能な捕捉剤と接触させることであって、前記捕捉剤は、前記サンプル中の抗抗インテグリン抗体と結合することができ;ならびに、
c)前記捕捉剤の結合を、前記抗抗インテグリン抗体のレベルと共に検出して、前記治療の効果を判定すること、
を含む、方法。
【請求項78】
生物サンプル中の抗抗VLA4抗体を検出するためのキットであって:
a)以下を含むテスター
i)基材;および、
ii)前記基材と会合した検出可能な捕捉剤であって、前記捕捉剤は、前記生物サンプル中の抗抗VLA4抗体と結合することができる、捕捉剤;ならびに、
b)追跡バッファー、
を含む、キット。
【請求項79】
前記対象が、ナタリズマブでの治療を受けた対象であって、JCウィルス感染症と診断されたか、またはそれを有することが疑われる対象である、請求項1、22、または36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記対象が、ナタリズマブでの治療を受けた対象であって、JCウィルス感染症と診断されたか、またはそれを有することが疑われる対象である、請求項48に記載のキット。
【請求項81】
前記抗インテグリン抗体のレベルの解釈のための説明書をさらに含む、請求項48に記載のキット。
【請求項82】
前記抗抗VLA4抗体のレベルの解釈のための説明書をさらに含む、請求項48に記載のキット。
【請求項83】
前記対象における治療の効果をモニタリングすることをさらに含む、請求項48または69のいずれか一項に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−507618(P2013−507618A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533379(P2012−533379)
【出願日】平成22年10月11日(2010.10.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/052172
【国際公開番号】WO2011/044553
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(592221528)バイオジェン・アイデック・エムエイ・インコーポレイテッド (224)
【Fターム(参考)】