説明

折りたたみ式のコンテナ

底板(2)と、側方板(3)と、側方板(3)を前記底板(2)に接続する第一のヒンジ(4)と、側方板(3)から上昇可能な天板(5)とを有し、前記天板(5)は、向かい合った側方板(3)に、内在する接続ロッド(6)で接続されており、接続ロッド(6)のそれぞれはその第一の端部に側方板(3)に接続する第二のヒンジ(7)を有し、前記第一の端部とは反対側の第二の端部には、滑走可能に前記天板(5)へ取付けられた滑車(9)が接続されている、折りたたみ式のコンテナ(1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、底板と、側方板及び側方板を底板に接続するための第一のヒンジと、側方板から持ち上げ可能な天板とで構成される折りたたみ式コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
このような上昇可能な天板を有する折りたたみ式のコンテナは、特許文献1から知られている。この先行技術文献は、組み立て状態から折りたたみ状態へのコンテナの変形を補助するためのバランス構造の出願を開示しており、複数の側方板が最終的には底板上に横たわるように折りたたまれるようにしている。その一方、側方板が立ち上がり状態へと立ち起こされてコンテナが折りたたみ状態から組み立て状態へと変形する過程も補助するようにしている。この文献によると、天板はコンテナの他の部分から完全に切り離すことができ、この先行技術のコンテナの天板は、組み立て状態から折りたたみ状態への変形においても、その逆の変形においても何の役割も果たさない。それどころか、この先行技術のコンテナの天板は、この既知のコンテナを組み立て状態から折りたたみ状態へと変形させる操作、あるいはその逆の変形を行う操作とは別個の取り扱いが必要であり、かなり煩わしいものとなっている。
【0003】
特許文献2は、床板と、複数の側方板と、側方板を床板に接続するための第一のヒンジと、側方板から持ち上げ可能な天板とを有する折りたたみ式コンテナを開示しており、この天板は、互いに向かい合った側方板に、コンテナ内部に配置された複数の接続ロッドによって接続されており、各接続ロッドは、その第一の端部に、側方板と接続する第二のヒンジを有し、前記第一の端部とは反対側の第二の端部に、天板へ移動可能に取付けられた移動体が接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2009/034142号
【特許文献2】仏国特許出願公開2699513号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、この既知の折りたたみ式コンテナの、組み立て状態から折りたたみ状態への変形、またはその逆の変形を、より平易化するよう改良することである。
この本発明の目的、およびこれ以降の開示から明らかになる他の目的は、添付の請求項のうちの一つ以上に係る本発明の折りたたみコンテナを具体化することによって実現される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の折りたたみ式のコンテナは、天板に設けられた一つまたは複数の移動体が、移動体が天板の縁の位置に至らないようにあるいは近づかないように移動体の可動域を制限できるようにする調整可能な移動範囲を有するという特徴がある。この特徴は、コンテナを組み立て状態から折りたたみ状態へと変形する際に特に便利であり、この変形の間、天板以外のコンテナの他の部分を操作することが必要となることが回避される。
【0007】
この目的のための効率的には、移動体の移動範囲が取り外し可能な阻止手段で提供されるようにコンテナを構成すると好ましい。取り外し可能な阻止手段としては、係止ピンが適切である。
【0008】
本発明の折りたたみ式のコンテナでは、コンテナの構成部品は常に一体のままとなる。さらに、この折りたたみ式コンテナの組み立て状態から折りたたみ状態への変形、またはその逆の変形は、天板のみを適切に操作すれば実行することができ、コンテナ全体を構成する部品の連結を解除する必要がない。
【0009】
適切なコンテナの一実施形態は、接続ロッドのそれぞれの第二の端部に、移動可能に天板へ取付けられた移動体に前記ロッドを接続するヒンジが設けられているというものである。
【0010】
天板へ移動可能に接続された前記移動体によって、ここで用いられている接続ロッドは、コンテナの組み立て状態に対応する姿勢をとることも、コンテナの折りたたみ状態に対応する姿勢をとることもできるようになる。この目的を達成するために、好ましくは、天板がコンテナの使用準備が済んでいる組み立て状態に対応する位置にある際に移動体と接続している接続ロッドがその天板に対して実質的に平行な姿勢をとれるようになる位置まで、天板の縁から内側に向けて、移動体の移動範囲が延びている、という特徴を本発明のコンテナが有するとよい。
【0011】
折りたたみ式のコンテナが折りたたみ状態から組み立て状態へと変形される場合を特に補助する特徴は、移動体が天板の縁またはその近傍の位置へ向かおうとするように設けられている、というものである。この特徴の利点は、補足の実施形態の説明から明らかとなる。
【0012】
移動体を天板の縁またはその近傍に向かおうとするように設けるために適切な実施形態はいくつかある。一つめの具体例では、天板に設けられた移動体が、天板の縁に向かうにつれ下方に傾斜しているレールに取付けられている、という特徴がある。二つめの具体例では、移動体が天板の縁の方向に向かうようにばねで付勢されているという特徴がある。一つめの具体例と二つめの具体例の特徴を組み合わせることも可能である。
【0013】
側方板を底板に接続する第一のヒンジは、底板の縁から所定間隔離れた場所に設けられているのが好ましい。この特徴により、折りたたみ状態あるいは組み立て状態へのコンテナの変形の最終段階は、重力による効果を受けて補助される。このことは、側方板が、内方に突き出たアームを有し、前記アームの端部に側方板を底板に接続する第一のヒンジが設けられているように計らうことでさらに促進できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明は、以下に示す図を参照しながら、下記においてより詳しく説明される。
【図1】本発明に係る折りたたみ式コンテナの実施形態の一例。
【図2】本発明に係る折りたたみ式コンテナの実施形態の一例。
【図3】本発明に係る折りたたみ式コンテナの実施形態の一例。
【図4】本発明に係る折りたたみ式コンテナの実施形態の一例。
【図5】本発明に係る折りたたみ式コンテナの実施形態の一例。
【発明を実施するための形態】
【0015】
どの図においても、同様の部分を参照する符号には同じ参照符号を付している。
各図面は、本発明の折りたたみ式コンテナの特定の実施形態を示しており、特に図1は、天板の移動体を、天板の縁またはその近傍の位置へと向かわせるための手段が設けられていない実施形態に関するものであり、図2〜5は、そのような手段が存在するいくつかの実施形態に関するものである。図1〜5のいずれも、折りたたみ式コンテナの、組み立て状態から折りたたみ状態への変形、および組み立て状態に戻す変形に関する一連のステップ(a)〜(g)を示している。
【0016】
いずれの図においても、コンテナは、概略的にのみ示されている。
ここで、まず図1を参照すると、示されているコンテナ1は、底板2と、側方板3と、底板2に側方板3を接続するための第一のヒンジ4とを備えている。さらに、天板5は、図から明らかなように、側方板3から持ち上げて遠ざけることができる。
【0017】
図1にはさらに、二つの向かい合った側方板3に、コンテナ内部に配置された複数の接続ロッド6で接続されている天板5が示されており、各接続ロッド6は、側方板3に接続する第二のヒンジ7を第一の端部に有し、第一の端部とは反対側の第二の端部は、天板5と、接触しながら移動可能に接続している。これは、各接続ロッド6がその第二の端部に、天板5に取付けられた移動体9へロッド6を接続する第三のヒンジ8を備えることで具体化される。
【0018】
前述したように、天板5には、移動体9が取付けられており、これらの移動体9の移動範囲は、基本的に、天板5の縁10から、内側に向けて広がっており、この移動範囲は、天板5が側方板3に近づいて、コンテナが使用の準備が済んだ組み立て状態にほぼ相当する状態となっているときに、移動体9と接続している接続ロッド6が実質的に天板5に対して平行な姿勢をとることが可能となる位置まで、広がっている。このことは、各図面に示されているステップ(a)から理解できる。
【0019】
天板5に設けられている移動体9は、移動体が天板の縁10の位置に至らないよう、あるいは近づかないよう移動体9の可動域を制限するように調整する移動範囲を有している。このために、移動体9の移動範囲は、例えば係止ピン11のような取り外し可能な阻止手段11で規定されるのが好ましい。
【0020】
前述した移動体9の移動範囲における制限された可動域は、例えば係止ピン11を用いることにより、移動体9が天板の縁10の位置に至らないよう、あるいは近づかないようにする。このことは、各図面のステップ(b)にて示されており、その効果は、各図面において天板5の持ち上げおよびそれによって生じる側方板3の内側への移動を表す後続のステップ(c)から明らかである。
【0021】
図面においてはさらに、底板の縁12から所定の間隔離れたところで側方板3を底板2に接続する第一のヒンジ4が、側方板3に設けられていることが示されている。これは、例えば側方板3に内側へ突き出たアーム13を設けることによって実現され、このアーム13の端部には、側方板3を底板2へと接続する第一のヒンジ4が設けられている。係止ピン11などの阻止手段により移動体の動きが制限されていることとも相まって、天板を持ち上げたとき、側方板3が旋回するようになっており、これにより、旋回する側方板3の重心が第一のヒンジ4よりも内側へと移動するようにすることが十分に補助され、各図面のステップ(d)に示されている折りたたみ状態への、側方板3のさらなる動きが重力により補助される。
【0022】
コンテナ1がステップ(d)に示されているような折りたたみ状態になっているときや、組み立て状態に戻す必要があるときには、移動体9の動きを制限している係止ピン11などは取り外すとよい。阻止手段11が取り外されると、移動体9は、その移動範囲全体に沿って自由に移動できるようになり、天板5の縁10にも近づけるようになる。各図面のステップ(e)に示されているように、まず天板9を持ち上げると、移動体9が(ステップ(f)に示されているように)天板5の縁10に向かって移動し、接続ロッド6を介して側方板3へと伝わる力により、最終的に側方板3も立ち上がり状態へと立ち起こされる。図面のステップ(f)に示されている状態になると、側方板3の重心はヒンジ4よりも外側へと移動し、これにより、側方板3が図1〜5のステップ(g)に示されているような完全に立ち上がった状態へと戻ることが重力によって補助されるようになる。
【0023】
特に、天板の縁10またはその近傍の位置へと向かおうとする移動体9の動きを補助するため、図2〜5には、移動体9を縁10へと向かわせる手段が設けられたコンテナ1の実施形態が示されている。
【0024】
図2には、天板5の縁10に向かって下方へと傾斜しているレール14に移動体9が取付けられているコンテナ1の実施形態が示されている。
図3、図4、図5には、移動体がばねで付勢されているコンテナ1の実施形態が示されている。図3には、引張ばね15を用いた実施形態が示されている。図4には、圧縮ばね16を用いた実施形態が示されている。そして図5には、定荷重ばね17を用いた実施形態が示されている。どの実施形態でも、ばね15、16、17は、移動体9を、天板5の縁10の位置またはその付近へと向かわせるようにしている。
【0025】
上記において、本発明のコンテナのいくつかの好ましい実施形態を説明したが、添付の特許請求の範囲の保護範囲はこれらの実施形態に限定されるものではない。前述した実施形態は、本発明の特徴を説明するためだけのものであるが、添付の特許請求の範囲に記載されているような本発明の趣旨から逸脱することなく、開示の実施形態を様々に変形することが可能であると、特許請求の範囲に係る保護範囲は理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナであって、底板(2)と、複数の側方板(3)と、側方板(3)を前記底板(2)に接続する第一のヒンジ(4)と、側方板(3)から上昇可能な天板(5)とを有し、前記天板(5)は、互いに向かい合った側方板(3)に、前記コンテナの内部に配置された複数の接続ロッド(6)で接続されており、前記接続ロッド(6)のそれぞれは、その第一の端部に、側方板(3)に接続する第二のヒンジ(7)を有し、前記第一の端部とは反対側の第二の端部には、移動可能に前記天板(5)へ取付けられた移動体(9)が接続されている、折りたたみ式のコンテナ(1)において、
天板(5)に設けられた一つまたは複数の移動体(9)は、前記移動体(9)が天板の縁(10)の位置に至らないようにあるいは近づかないように移動体(9)の可動域を制限できるようにする調整可能な移動範囲を有する
ことを特徴とするコンテナ。
【請求項2】
一つまたは複数の移動体(9)の移動範囲は、取り外し可能な阻止手段(11)で規定されることを特徴とする、請求項1に記載のコンテナ。
【請求項3】
阻止手段は係止ピン(11)であることを特徴とする、請求項2に記載のコンテナ。
【請求項4】
接続ロッド(6)のそれぞれは、その第二の端部に、移動可能に前記天板(5)へ取付けられた移動体(9)に前記ロッド(6)を接続する第三のヒンジ(8)を有する
ことを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のコンテナ。
【請求項5】
一つまたは複数の移動体(9)は、天板が側方板(3)に近接してコンテナの使用の準備が済んでいる組み立て状態にほぼ相当する状態において前記移動体(9)に接続されている接続ロッド(6)が天板(5)に対して平行な姿勢をとれるようになる位置まで、天板(5)の縁から内側に向けて延びる移動範囲を有する
ことを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のコンテナ。
【請求項6】
一つまたは複数の移動体(9)は、天板(5)の縁(10)の位置または近傍に向かおうとするように設けられていることを特徴とする、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のコンテナ。
【請求項7】
天板(5)に設けられた移動体(9)は、天板(5)の縁(10)に向けて下方へと傾斜しているレール(14)に取付けられている
ことを特徴とする、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のコンテナ。
【請求項8】
移動体(9)は、前記移動体が天板(5)の縁(10)の方向に向かうようにばね(15,16,17)で付勢されていること
ことを特徴とする、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のコンテナ。
【請求項9】
側方板(3)を底板(2)に接続する第一のヒンジ(4)は、底板の縁(12)から所定間隔離れた場所に設けられている
ことを特徴とする、請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のコンテナ。
【請求項10】
側方板(3)は、内方に突き出たアーム(13)を有し、前記アームの端部に、側方板(3)を底板(3)に接続する第一のヒンジ(4)が設けられている
ことを特徴とする、請求項9に記載のコンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−531362(P2012−531362A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517425(P2012−517425)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【国際出願番号】PCT/NL2010/050370
【国際公開番号】WO2010/151116
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(500292149)テクニッシェ ユニヴァージテート デルフト (14)
【Fターム(参考)】