説明

折り畳み可能な指パッドを有する薬物送達デバイス

薬物送達デバイス:薬物送達デバイスは、ボタンエレメント(3)を動かすときに薬物を送達するように構成され、ここで薬物送達デバイスは折り畳み指パッド(4)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬物送達デバイス及び薬物送達デバイスの操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薬物送達デバイスは、指と係合することができる、又はデバイスを掴んでいる指の滑り運動を防ぐ指パッドを有し得る。
【0003】
薬物送達デバイスは、例えば、ヒト成長ホルモン、ヘパリン又はインスリンを送達するのに適しているペン型の薬物送達デバイスとして設計され得る。
【0004】
薬物送達デバイスは、バレル中にきつくはまるプランジャーを有するシリンジとして設計され得る。プランジャーはバレルの内部に沿って引っ張られそして押すことができて、シリンジがバレルの遠位端でオリフィス、例えば、針を通して、液体又は気体を取り込むこと又は排出することを可能とする。
【0005】
シリンジは、バレルの遠位端に置かれるフランジを有し得て、ここでフランジは指パッドとして働く。フランジは、使用者の親指がプランジャーを押すことができるように、二つの指と係合することができる。
【0006】
もし、フランジが比較的小さいならば、シリンジは、特に、もし使用者が大きな手を持ち、又は運動障害があれば、取り扱うのが困難である。
【0007】
シリンジは、使用者にシリンジの改善された取り扱いを供するために、使用者がシリンジに取り付けることができる別の付属品を供給され得る。そのような付属品は、特に、もし使用者が大きな手を持ち、又は運動障害があれば、使用者にとって不便であり、そして成し遂げるのが困難であるかもしれない、使用者による手動の組立の工程を必要とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、薬物送達デバイスが供される。薬物送達デバイスは、ボタンエレメントを動かすときに薬物を送達するように構成される。薬物送達デバイスは折り畳み指パッドを有する。
【0009】
もし薬物送達デバイスが使用されないならば、折り畳み指パッドはちょうつがいのある位置にある。これは、特に、もし、薬剤が冷蔵状態で貯蔵されなければならないならば、輸送及び貯蔵の目的に対して有益である。使用中、薬物送達デバイスは、指パッドが外に動かされるとき、快適な取り扱いを容易にする。
【0010】
薬物送達デバイスは自己注射器、ペン型送達デバイス及びシリンジを含む。
【0011】
指パッドの一つの実施態様は、薬物をシリンジから排出するために、使用者が、例えば、シリンジの使用中にデバイスを掴むことができるように、使用者の指と係合されるのに適している。指パッドの別の実施態様は、例えば、ペン型送達デバイスの使用中に、デバイスを掴む指の滑り運動を防ぐのに適している。
【0012】
薬物送達デバイスの一つの実施態様はシリンジとして設計される。折り畳まれている指パッドを有するシリンジは、従来のシリンジと同じ生産ラインで製造することができる。指パッドを含む薬物送達デバイスの一部は、製造プロセス中の従来の部品の代わりに、又は従来の部品に追加的に、薬物送達デバイス中に内蔵される。
【0013】
薬物送達デバイスの一つの実施態様において、指パッドは第一の位置から第二の位置へと移動可能である。指パッドは薬物送達デバイスが使用されないとき、例えば、輸送中に、又は薬物送達デバイスが提供されるとき、第一の位置に位置している。指パッドは、薬物送達デバイスが使用されるとき薬剤が排出されるように、第二の位置において位置している。好ましくは、シリンジは二つの折り畳み指パッドを有する。
【0014】
薬物送達デバイスの一つの実施態様において、薬物送達デバイスの指パッドと外壁の間の角度は第一の位置におけるよりも第二の位置において大きい。薬物送達デバイスの外壁は、第一の位置において指パッドに隣接して置かれている薬物送達デバイスの部分である。外壁は、そこに指パッドが連結される薬物送達デバイスの部分の外壁であり得る。一つの実施態様において、指パッドは、シリンのジバレルの近位端に置かれるカラーと接続される。代替実施態様において、指パッドは、ペン型薬物送達デバイスのハウジングの近位端に置かれるカラーと接続される。指パッドとカラーの外壁の間の角度は第一の位置におけるよりも第二の位置において大きい。
【0015】
薬物送達デバイスの一つの実施態様において、指パッドは底面及び上面を有する。第一の位置において、底面は薬物送達デバイスの外壁に隣接している。言い換えれば、指パッドは薬物送達デバイスの外壁に沿って伸びる。一つの実施態様において、指パッドは外壁に対して平行に又は略平行に伸びる。一つの実施態様において、外側は、その中に指パッドが第一の位置において少なくとも部分的に置かれる空洞を含む。
【0016】
一つの実施態様において、もし指パッドが第二の位置に位置するならば、指パッドは薬物送達デバイスの外壁に対して角度が広がる。第二の位置に位置している指パッドは、使用者の指と係合することができるか又はデバイスが使用されるとき、指の滑り運動を防ぐ。有利なことに、指パッドは薬物送達デバイスの外壁に対して直角に又は略直角に伸びる。
【0017】
遠位方向に向けられる第二の力がボタンエレメントに衝撃を与えているときに、指パッドが第二の位置に留まるよう、そしてそのことによってボタンエレメントを遠位方向に動かすように、近位方向に向けられる力が指パッドに衝撃を与えることができるように、指パッドは構成される。言い換えれば、薬物送達デバイスが使用されるとき、指パッドが指に係合することができるように、又はデバイスを掴んでいる指の滑り運動を防ぐように、指パッドは第二の位置に留まる。
【0018】
薬物送達デバイスの一つの実施態様は、指パッドを薬物送達デバイスの外壁と連結するように構成されるヒンジ手段を含む。ヒンジ手段は、それが第一の位置から第二の位置に動かすことができるように、折り畳み指パッドの動きを容易にする。
【0019】
ヒンジ手段の一つの実施態様は、ヒンジ及び接続される部品が一体物で作られることを意味する一体ヒンジとして設計される。
【0020】
薬物送達デバイスの一つの実施態様は、指パッドが第二の位置に達したときに、指パッドの動きを停止するように構成される停止手段を含む。停止手段は、ヒンジの破壊を起こし得る、指パッドの更なる動きを防ぐ。停止手段の一つの実施態様は突起として設計される。停止手段の一つの実施態様は掛け金手段として設計される。停止手段の一つの実施態様は係合手段として設計される。
【0021】
薬物送達デバイスの一つの実施態様は、事前に充填され、それは薬物送達デバイスが供されるとき、薬物送達デバイスが薬剤を含むことを意味する。一つの実施態様は、事前充填された使い捨てシリンジであり、それはシリンジが一回しか使用できないシリンジとして構成されることを意味する。
【0022】
折り畳み指パッドを有する薬物送達デバイスの操作方法は、薬物送達デバイスが使用される前に、第一の位置から第二の位置への指パッドを動かすことを含む。
【0023】
一つの実施態様において、薬物送達デバイスは外壁を有する。好ましくは、本方法は、薬物送達デバイスの指パッドと外壁の間の角度が、指パッドが第一の位置から第二の位置に動かされるときに増大されるような、指パッドの動きを含む。
【0024】
本明細書で使用する用語「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む薬学的処方品を意味し、
ここで一実施態様において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daの分子量を有し、及び/又は、ペプチド、蛋白質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、抗体、酵素、抗体、ホルモン若しくはオリゴヌクレオチド、又は上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈又は肺血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、癌、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症、及び/又は、リューマチ性関節炎などの血栓塞栓症の処置、及び/又は、予防に有用であり、
ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置、及び/又は、予防のため、少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリン、又はヒトインスリン類似体若しくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、又はその類似体若しくは誘導体、又はエキセジン−3又はエキセジン−4、若しくはエキセジン−3又はエキセジン−4の類似体若しくは誘導体を含む。
【0025】
インスリン類似体は、例えば、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;ヒトインスリンであり、ここで、B28位におけるプロリンは、Asp、Lys、Leu、Val又はAlaで代替され、そして、B29位において、Lysは、Proで代替されてもよく;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、及びDes(B30)ヒトインスリンである。
【0026】
ヒトインスリン誘導体は、例えば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイル ヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン; B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル) ヒトインスリンである。
【0027】
エキセンジン−4は、例えば、エキセンジン−4(1−39)、配列HHis−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2のペプチドを意味する。
【0028】
エキセンジン−4誘導体は、例えば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);又は
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
ここで、基−Lys6−NH2は、エキセンジン−4誘導体のC−末端と結合してもよく;
【0029】
又は以下の配列のエキセンジン−4誘導体;
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−desAsp28 Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
desMet(O)14,Asp28,Pro36,Pro37,Pro38 エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5,desPro36,Pro37,Pro38 [Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25, Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
又は前述のエキセンジン−4誘導体のいずれか1つの薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物;
から選択される。
【0030】
ホルモンは、例えば、ゴナドトロピン(ホリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン (ソマトロピン)、デスモプレッシン、テルリプレッシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に表示されているような脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は規制活性ペプチド及びそれらのアンタゴニストである。
【0031】
多糖類としては、例えば、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、又は超低分子量ヘパリン、若しくはそれらの誘導体などのグルコアミノグリカン、又は上述の多糖類のスルホン化された、例えば、ポリスルホン化形態、及び/又は、薬学的に許容可能なそれらの塩がある。ポリスルホン化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウム塩がある。
【0032】
薬学的に許容される塩は、例えば、酸付加塩及び塩基塩がある。酸付加塩としては、例えば、HCl又はHBr塩がある。塩基塩は、例えば、アルカリ又はアルカリ土類金属、例えば、Na+、又は、K+、又は、Ca2+から選択されるカチオン、又は、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)を有する塩であり、ここで、R1〜R4は互いに独立に、水素;場合により置換されたC1−C6アルキル基;場合により置換されたC2−C6アルケニル基;場合により置換されたC6−C10アリール基、又は場合により置換されたC6−C10ヘテロアリール基である。薬学的に許容される塩の更なる例は、“Remington's Pharmaceutical Sciences”17編、Alfonso R.Gennaro(編集),Mark Publishing社,Easton, Pa., U.S.A.,1985 及び Encyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0033】
薬学的に許容可能な溶媒和は、例えば、水和物である。
【0034】
他の特長は、添付図面と関連して考慮されたとき、以下の詳細な記述から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】薬物送達デバイスの実施態様を示す。
【図2】シリンジの実施態様を示す。
【図3】シリンジのカラーの実施態様を示す。
【図4】一体型ヒンジを詳細に示す。
【図5】シリンジのカラーの更なる実施態様を示す。
【0036】
図1は、薬剤を含有するのに適している本体1を有する薬物送達デバイスの実施態様を示す。針9を有するニードルユニット2は本体1の遠位端に置かれる。ボタンエレメント3は本体1の近位端に置かれる。薬物送達デバイスは、ボタンエレメント3が動かされるとき、ニードルユニット2の針9を通して薬物の用量を送達するために構成される。一つの実施態様において、薬物は、ボタンエレメント3が本体1に対して遠位方向内に押されるときに排出される。
【0037】
薬物送達デバイスは、ヒンジ5を介して本体1に連結される折り畳み指パッド4を有する。指パッド4は上面41及び底面42を有する。図1において示された実施態様は、本体1の近位部で反対側に配置される二つの折り畳み指パッド4を有する。代替実施態様(示されていない)において、より多くの又はより少ない折り畳み指パッドが供される。
【0038】
指パッド4は第一の位置から第二の位置に移動可能である。指パッド4の第一の位置は、図1において点線として示されている。第一の位置において指パッド4は、薬物送達デバイスの縦軸20の方向にそれらが伸びるように位置している。一つの実施態様において、指パッドはバレル7に対して平行に又は略平行に伸びる。指パッドの底面42は本体1の外壁23に隣接して置かれる。一つの実施態様において、底面42又は底面42の領域は本体1の外壁23上に隣接している。一つの実施態様(示されていない)において、外壁は空洞を含み、ここで、もし指パッドが第一の位置において位置しているならば、少なくとも指パッドの一部は外壁の空洞中に位置している。
【0039】
指パッド4が第一の位置から第二の位置に動いているとき、指パッド4はヒンジ5の周りで回転する。指パッド4の第二の位置は、図1において直線として示される。第二の位置において、指パッド4は薬物送達デバイスの外壁23に対して角度が広がる。好ましくは、第二の位置に位置している指パッド4と本体1の外壁23の間の角度は、直角又は直角に近い。
【0040】
第二の位置における指パッド4と本体1の外壁23の間の角度は、第一の位置における指パッド4と本体1の外壁23の間の角度より大きい。
【0041】
指パッド4は、薬物送達デバイスが使用されないとき、例えば、輸送中に、第一の位置に位置している。
【0042】
指パッド4は、薬物送達デバイスの使用前に、第二の位置に動かされる。代替実施態様(示されていない)において、指パッド4は、薬物送達デバイスが使用のために準備されるとき、例えば、その外部包装から取りだされる際に、第一の位置から第二の位置に又は第二の位置に向かって自動的に動くであろう。これは、指パッド4を第一から第二の位置へと駆り立てるばね機構を組み込むことによって成し遂げることができる。そのようなばね機構はプラスチックか金属のどちらであってもよく、そして別々の部品であり得るか又は指パッド4の一体化機構であり得て、例えば、ばね機構はヒンジ5の幾何形状によって供される。
【0043】
薬物送達デバイスの一つの実施態様において、人差し指、中指、薬指、及び小指が薬物送達デバイスの本体1を掴むとき、そして親指が本体1に対して遠位方向にボタンエレメント3を押すとき、薬剤が送達される。
【0044】
第二の位置において指パッド4は、本体1を掴んでいる指の滑り運動を防ぐための停止手段として働く。指パッド4の近くに位置する指、例えば、人差し指が指パッド4に達するとき、指の滑り運動は停止される。
【0045】
薬物送達デバイスの一つの実施態様は、薬剤の与えられた用量を送達するように構成された自己注射器である。一つの実施態様において、用量は固定される。代替薬物送達デバイスにおいて、用量は使用者によって調節可能である。代替薬物送達デバイスはペン型薬物送達デバイスである。
【0046】
図2は、シリンジ6のチューブの形をしたバレル7中にきつくはまっているプランジャー10を含むシリンジ6の実施態様を示す。
【0047】
プランジャー10は、プランジャー10の近位端に置かれるボタンエレメント3を含む。プランジャーシール12はプランジャー10の遠位端に置かれる。プランジャー10はバレル7に対して移動可能で、ここでプランジャーシール12はバレル7の縦軸に沿ってバレル7の内部を移動可能である。
【0048】
バレル7の一つの実施態様はガラス又はプラスチックで一体的に構築されている。針9はバレル7の遠位端に置かれ、ここで薬剤が針9を通って取りこまれるか又は排出される。折り畳み指パッド14を有するカラー13はバレル7の近位端に置かれる。カラー13は動いているプランジャー10を誘導する。
【0049】
指パッド14は使用者の指と係合するように形成される。指パッド14の一つの実施態様は板として形成される。指パッド14の一つの実施態様(示されていない)は、窪んだグリップが形成されるように丸められている。指パッド14の各々は、ヒンジ5を介してカラー13に連結される。一つの実施態様において、カラー13及びバレル7は一体物として、例えば、両者共プラスチックで作られる。代替実施態様において、カラー13及びバレル7は別々のピースとして、例えば、カラー13はプラスチックで、バレル7はガラスで作られる。一つの実施態様(示されていない)において、シリンジはカラーを含まず、ここで指パッドはシリンジの別の部分、例えば、バレル7に連結される。
【0050】
指パッド4は第一の位置から第二の位置に動き得る。第一の位置(図2において示されていない)において、指パッド4はシリンジ6の軸方向に沿ってそれらが伸びるように位置している。一つの実施態様において、指パッドはバレル7及び/又はカラー13の外壁に対して平行に又は略平行に位置している。一つの実施態様において、指パッドの底面42はバレル7の外壁上に隣接する。
【0051】
指パッド4が第一の位置から第二の位置に動かされるときに、指パッド14はヒンジ5の周りで回転する。第二の位置において、指パッド4は、使用者の親指が遠位方向にボタンエレメント3を押すことができるように、指パッド5が人差し指、中指、薬指及び小指の二つの指、例えば、人差し指と中指によって係合することができるように、縦軸20の方向に対して角度を有して伸びる。好ましくは、指パッド4とバレル7の外壁23の間の角度は直角又は直角に近い。
【0052】
一つの実施態様において、ヒンジ5は指パッド4の回転運動を停止するように構成される。別の実施態様において、指パッドが第二の位置に達したときに、回転運動を停止するように構成される停止手段が供される。停止手段の別の実施態様を以下に述べる。
【0053】
シリンジが薬物を取り込むために使用されるとき、プランジャー10は、プランジャーシール12が近位方向にバレル7の遠位端から動かされるように、バレル7に対して近位方向に動かされる。この動きは、針9の上面が液中に置かれるとき、液をシリンジ2内に取り込むことを容易にする。
【0054】
シリンジの代替実施態様は、事前に充填されており、それは、もしシリンジ2が供されると、バレル7が既に薬物を含有することを意味する。事前に充填されたシリンジは使い捨てであり得る。
【0055】
プランジャー10がバレル7に対して遠位方向に動かされるとき、薬剤は針9を通して排出される。
【0056】
指パッド4は、薬物が薬物を排出するように使用される前に、第二の位置に動かされる。一つの実施態様において、第二の位置にある指パッド4は、親指がバレル7に対して遠位方向にプランジャーのボタンエレメント3を押すとき、人差し指及び中指によって係合される。
【0057】
代替実施態様(示されていない)において、指パッド14は、シリンジが使用のために準備されるときに、例えば、その外部包装から取り出され、デバイスのプライミングなどの際に、第一の位置から第二の位置に又は第二の位置に向かって自動的に動くであろう。これは、作動時(例えば、デバイスの外部包装から取りだされる際、又はばね機構が指パッドを第一の位置から第二の位置へと動かすことを阻害する一つ又はそれ以上の停止部材の作動停止の際)に、指パッド14を第一から第二の位置へと駆り立てる一つ又はそれ以上のばね機構を組み込むことによって成し遂げることができる。そのようなばね機構は、プラスチックや金属のような如何なる適切な材料でもつくることができる。ばね機構は一つ又はそれ以上の別々の部品であり得るか又は指フラップ14の統合された機構であり得て、例えば、ばね機構はヒンジ5の幾何形状によって供される。
【0058】
図3は、指パッド4を有するシリンジのカラー13の実施態様をより詳細に示す。
【0059】
カラー13は、バレル7の近位端を覆う上部16を有する(図3において示されていない)。それを通してプランジャー10(図3において示されていない)が動かすことができる孔が、上部15に置かれる。カラーの側部16はバレル7の近位端の側壁を囲む(図3において示されていない)。
【0060】
カラー13は、二つの折り畳み指パッド4を有する。それらは互いに反対に置かれる。各指パッド4は上面41、底面42、及びカラーの側部16に指パッド4を連結するためのヒンジ5に隣接する側面43を含む。指パッド4の各々は一体型ヒンジ5を介してカラーの側部16と連結され、これは指パッド4、カラー13及びヒンジ5が一体物として作られることを意味する。一体型ヒンジ5の一つの実施態様は薄壁接続部として形成される。代替ヒンジ(示されていない)は一つ以上の薄壁接続部、例えば、互いに隣に配置される二つの薄壁接続部を含む。
【0061】
図4は一体型ヒンジ5を詳細に示す。ヒンジ5を形成している薄壁接続部は、指パッド4の側面43の底部をカラーの側部16と機械連結する。代替実施態様(示されていない)において、ヒンジ5を形成している薄壁接続部は、側面43近くに置かれている指パッド4の底面42をカラーの側部16と機械連結する。一つの実施態様において、ヒンジ5は側面43全体を横切って伸びず、ヒンジ5は単に、図3において示される通り、側面43の底部の中央範囲と一緒になる。一つの実施態様(示されていない)において、ヒンジ5は側面43の幅全体又は幅の略全体を横切って伸びる。一つの実施態様(示されていない)において、ヒンジは、側面43の中央範囲に置かれる必要がない一つ又はそれ以上の薄壁接続部を含む。
【0062】
指パッド4が第二の位置に動かされるとき、回転運動は、側面43がカラーの側部16に達するときに停止される。指パッド4の厚みd1は、好ましくは、側面43とカラーの側部16の間の薄壁接続の長さd2より大きい。
【0063】
指パッド4は第一の位置から第二の位置に移動可能である。第一の位置において、指パッドの底面42は指フランジの側部16に隣接して置かれる。図3の左手側に示される指パッド4は、第一の位置に位置している。第二の位置において、指パッド4はカラーの側部16に対して略直角に伸びる。図3の右手側に示される指パッド4は。第二の位置に位置している。
【0064】
ヒンジ5に隣接して置かれている指パッドの側面43は、もし指パッド4が第二の位置に位置しているならば、カラーの側面43の形態及び側部16の形態が一緒にピッタリはまるように、円の扇形として形付けられる。一つの実施態様(示されていない)において、ヒンジ5に隣接して置かれる側面は直線である。
【0065】
一つの実施態様(示されていない)において、薄壁接続は側面43のトップに、又は側面43のトップと底の間の領域に置かれる。この実施態様は、指パッドがカラーの側部16に対して直角又は略直角に位置しているときに、指パッドの回転運動を停止するように構成される停止手段を有し得る。
【0066】
図3は、指パッド4が第二の位置に達したとき、指パッド4の回転運動を停止するように供される停止手段17を示す。明確にするために、停止手段17は図3の右手側上のみに示される。停止手段は、カラーの側部16の外壁上に置かれるこぶ17として設計される。こぶは指パッド4が第二の位置に動かされたとき、側面43の外部領域近くに置かれる指パッド4の領域がこぶと隣接するように位置している。
【0067】
停止手段の代替実施態様はカラーの側部16の押出部18として設計され、ここで押出部は、指パッドが第二の位置に達するとき、指パッド4の上面41が押出部18に向かって動かされるように配置されている。
【0068】
図5はカラー13の実施態様を示し、ここで円周フランジ19は停止手段として働く押出部を形成する。円周フランジ19は、指パッドの上面41がフランジの底21に達するとき(右手側に示されている)、指パッド4の回転運動を止める。
【0069】
図3において示された実施態様と図5において示された実施態様の間の別の違いは、もし、指パッド4が第一の位置に位置しているならば(左手側に示されている)、指パッド4の底面がカラーの側部16に隣接するように、指パッド4が丸められることである。
【0070】
なお、一つの実施態様において(示されていない)、指パッドはバレル又はシリンジの別の部分に接続される。
【0071】
他の実行態様(implementation)は本請求項の範囲内にある。異なる実行態様の要素は組み合されて本明細書に特別に述べられていない実行態様を形成し得る。
【符号の説明】
【0072】
1 本体
2 ニードルユニット
3 ボタンエレメント
4 指パッド
5 ヒンジ
6 シリンジ
7 バレル
9 針
10 プランジャー
12 プランジャーシール
13 カラー
15 カラーの上部
16 カラーの側部
18 停止手段
19 フランジ
20 縦軸
21 フランジの底
23 外壁
41 指パッドの上面
42 指パッドの底面
43 指パッドの側面
d1 厚み
d2 距離
φ 角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボタンエレメント(3)を動かすときに薬物を送達するように構成される薬物送達デバイスであって、折り畳み指パッド(4)を有する、上記薬物送達デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の薬物送達デバイスであって、シリンジ(6)として設計される、上記薬物送達デバイス。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の薬物送達デバイスであって、指パッド(4)が第一の位置から第二の位置へと移動可能である、上記薬物送達デバイス。
【請求項4】
請求項3に記載の薬物送達デバイスであって、第一の位置に位置している指パッド(4)に隣接して置かれる外壁(23)を有し、ここで薬物送達デバイスの指パッド(4)と外壁(23)の間の角度(φ)が第一の位置におけるよりも第二の位置において大きい、上記薬物送達デバイス。
【請求項5】
請求項4に記載の薬物送達デバイスであって、指パッド(4)が底面(42)及び上面(41)を有し、ここで底面(42)が、第一の位置において薬物送達デバイスの外壁(23)に対して平行に又は略平行に伸びる、上記薬物送達デバイス。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の薬物送達デバイスであって、第二の位置において、指パッド(4)が薬物送達デバイスの外壁(23)に対して角度が広がる、上記薬物送達デバイス。
【請求項7】
請求項6に記載の薬物送達デバイスであって、第二の位置において、指パッド(4)が薬物送達デバイスの外壁(23)に対して直角に又は略直角に広がる、上記薬物送達デバイス。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の薬物送達デバイスであって、遠位方向に向けられる第二の力がボタンエレメント(3)に衝撃を与え、そのことによってボタンエレメント(3)を遠位方向に動かすときに、指パッドが第二の位置に留まるように、近位方向に向けられる力が指パッド(4)に衝撃を与えることができるように、指パッド(4)が構成される、上記薬物送達デバイス。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載の薬物送達デバイスであって、指パッド(4)を薬物送達デバイスの外壁(23)と連結するように構成されるヒンジ手段(5)を含む、上記薬物送達デバイス。
【請求項10】
請求項9に記載の薬物送達デバイスであって、ヒンジ手段(5)が一体成形ヒンジとして設計される、上記薬物送達デバイス。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の薬物送達デバイスであって、ヒンジ手段がばね懸架式である、上記薬物送達デバイス。
【請求項12】
請求項3〜11の何れか1項に記載の薬物送達デバイスであって、指パッド(4)が第二の位置に達したときに、指パッド(4)の動きを停止させるように構成される停止手段(17、18、19)を含む、上記薬物送達デバイス。
【請求項13】
請求項1〜12の何れか1項に記載の薬物送達デバイスであって、薬剤で事前に充填される、上記薬物送達デバイス。
【請求項14】
請求項1〜13の何れか1項に記載の薬物送達デバイスであって、少なくとも二つの指パッド(4)を有する、上記薬物送達デバイス。
【請求項15】
第一の位置から第二の位置への指パッド(4)の動きを含む、折り畳み指パッド(4)を有する薬物送達デバイスの操作方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、第一の位置から第二の位置への指パッド(4)の動きがばね機構によって駆動される、上記方法。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の方法であって、薬物送達デバイスが外壁(23)を有し、ここで薬物送達デバイスの指パッド(4)と外壁(23)の間の角度(φ)が、指パッド(4)が第一の位置から第二の位置に動くときに拡大されるように、指パッド(4)の動きを含む、上記方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2012−519044(P2012−519044A)
【公表日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552405(P2011−552405)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【国際出願番号】PCT/EP2010/052529
【国際公開番号】WO2010/100104
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】