説明

折り畳み式漏斗

【課題】一枚の折り曲げ可能な薄平板を折り曲げて漏斗が形成されるにする。
【解決手段】薄平板Sは、正方形部1と、正方形部1の中央部分に形成された開口部9と、正方形部1の各頂点と開口部9の正方形部分10の各隅とにつながる対角線上の折曲線15〜18と、折曲線18と折曲線15との間で正方形部1を半分に折り曲げるための折曲線7と、折曲線17と折曲線16との間で他辺11から開口部9に至るまで形成された切込み19とを有し、折曲線17を折り曲げて、折曲線17と切込み19との間に形成された分割部分21を、折曲線15と折曲線16との間の第1面22に貼着する。これにより、第1面22、折曲線18と折曲線15との間の第2面23、及び折曲線18と折曲線17との間の第3面24からなり、底面が開口し、頂部に開口部9を有する裁頭三角錐形状を呈する漏斗とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り曲げ可能な薄平板を折り曲げて形成される折り畳み式漏斗に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を口の狭い容器に流し込むときには漏斗が用いられる。漏斗としては金属製やプラスチック製のものがあるが、一般家庭に常備してあることは少なく、必要なときに手元にあるとは限らない。
特許文献1には、紙製で、使いきりにすることができる漏斗が開示されている。特許文献1に開示された紙製の漏斗は、漏斗の本体部と支持部とが、漏斗の円形の直径上にある2箇所で接着されており、平らに折りたためるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−312784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された紙製の漏斗では、漏斗の本体部と支持部とが別体で、それを接着しなければならず、製造に手間がかかってしまう。
【0005】
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、一枚の折り曲げ可能な薄平板を折り曲げて漏斗が形成されるにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の折り畳み式漏斗は、折り曲げ可能な薄平板を折り曲げて形成される折り畳み式漏斗であって、前記薄平板は、矩形部と、前記矩形部の中央部分に形成された開口部と、前記開口部と前記矩形部の一辺の一端とにつながる前記矩形部の対角線上の第1の折曲線と、前記開口部と前記矩形部の一辺の他端とにつながる前記矩形部の対角線上の第2の折曲線と、前記開口部と、前記一辺とは逆側の前記矩形部の他辺の一端とにつながる前記矩形部の対角線上の第3の折曲線と、前記開口部と前記矩形部の他辺の他端とにつながる前記矩形部の対角線上の第4の折曲線と、前記第1の折曲線と前記第2の折曲線との間で前記矩形部を半分に折り曲げるための第5の折曲線と、前記第3の折曲線と前記第4の折曲線との間で前記他辺から前記開口部に至るまで形成された切込みとを有し、前記第3の折曲線を折り曲げて、前記第3の折曲線と前記切込みとの間に形成された部分を、前記第2の折曲線と前記4の折曲線との間の第1面に貼着し、前記第1面、前記第1の折曲線と前記第2の折曲線との間の第2面、及び前記第1の折曲線と前記第3の折曲線との間の第3面からなり、底面が開口し、頂部に前記開口部を有する裁頭三角錐形状を呈することを特徴とする。
また、本発明の折り畳み式漏斗の他の特徴とするところは、前記薄平板は、前記矩形部の前記一辺に連続し、前記第2面と略同じ形状且つ略同じ大きさを有する三角形部と、前記一辺に沿って設けられた第6の折曲線とを更に有する点にある。この場合に、前記三角形部の前記一辺とはつながっていない頂部に、前記第6の折曲線で折り曲げて、前記三角形部を前記第2面に重ね合わせたときに、前記開口部から突出する導出部が設けられるようにしてもよい。
また、本発明の折り畳み式漏斗の他の特徴とするところは、前記開口部には、前記第1面及び前記第3面にそれぞれ連続し、液体を流し込む容器の口部の内側に挿入するための導出部が設けられている点にある。
また、本発明の折り畳み式漏斗の他の特徴とするところは、前記矩形部は正方形である点にある。
また、本発明の折り畳み式漏斗の他の特徴とするところは、前記薄平板は、前記矩形部の前記一辺及び前記他辺とは異なる辺に切り取り線を介して連続する首掛け部を更に有し、前記首掛け部には、所定の容器の口部に首掛けするための首掛け穴が形成されている点にある。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、一枚の折り曲げ可能な薄平板を折り曲げて漏斗が形成されるにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態に係る折り畳み式漏斗の展開状態の表面を示す図である。
【図2】本実施形態に係る折り畳み式漏斗の展開状態の裏面を示す図である。
【図3A】本実施形態に係る折り畳み式漏斗の作り方を示す斜視図である。
【図3B】本実施形態に係る折り畳み式漏斗の作り方を示す斜視図である。
【図4】本実施形態に係る折り畳み式漏斗の完成品を示す斜視図である。
【図5】本実施形態に係る折り畳み式漏斗の完成品を示す斜視図である。
【図6】容器の口部に首掛け部を首掛けして、折り畳み式漏斗をセットにした状態を示す斜視図である。
【図7】正方形部及び三角形部を首掛け部から切り取った状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
本実施形態に係る折り畳み式漏斗は、紙や樹脂からなる折り曲げ可能な薄平板Sを折り曲げて形成される。
【0010】
図1は本実施形態に係る折り畳み式漏斗の展開状態の表面を、図2は裏面を示す。図1、図2において一点鎖線は折曲線を表わす。
薄平板Sは、正方形部1と、正方形部1の一辺2に連続する三角形部3とを有する。また、薄平板Sは、正方形部1の辺4に切り取り線5を介して連続する首掛け部6を有する。正方形部1、三角形部3及び首掛け部6の表面及び裏面の適所には、漏斗の作り方や使用方法等が文字や図として印刷されている。
【0011】
以下では、まず折り畳み式漏斗を構成する正方形部1及び三角形部3について説明し、首掛け部6については後述する。
正方形部1及び三角形部3の中心には、正方形部1及び三角形部3を半分に折り曲げるための折曲線7が設けられる。また、正方形部1と三角形部3とが連続する位置、すなわち正方形部1の一辺2に沿って、折曲線8が設けられる。
【0012】
正方形部1において、その中央部分には開口部9が形成される。開口部9は、正方形部1の中央に位置する正方形部分10と、一辺2とは逆側の他辺11側で更に開口する開口部分12とを有する。正方形部分10は切り抜くのではなく、折曲線7を挟んで両側で扉状に開くようにした矩形部分13、14を残してある。一方、開口部分12は切り抜かれている。
【0013】
また、正方形部1において、各頂点と開口部9の正方形部分10の各隅とにつながる対角線上の折曲線15〜18が設けられる。
【0014】
また、正方形部1において、折曲線7上で、他辺11から開口部9の開口部分12に至るまで切込み19が形成される。本実施形態では、他辺11から切込み19に至る部分を両側とも円弧状にカットしている。
【0015】
三角形部3において、一辺2とはつながっていない頂部に矩形部分20が形成される。矩形部分20は、開口部9の矩形部分13、14と同じ形状且つ同じ大きさであり、図1、2に示す展開状態では矩形部分13、14に対して90度横向きになっている。すなわち、矩形部分20の幅は開口部9の正方形部分10と同じ幅となっている。
【0016】
本実施形態では、図1に示す表面側において、折曲線15と折曲線16との間を第1面22、折曲線15と折曲線18との間を第2面23、折曲線18と折曲線17との間を第3面24と称する。第1面22、第2面23及び第3面24はいずれも同じ形状且つ同じ大きさの略三角形状であり、三角形部3もこれら第1面22、第2面23及び第3面24と同じ形状且つ同じ大きさの略三角形状となっている。
【0017】
このような展開状態を有する正方形部1及び三角形部3において、図3Aに示すように、折曲線17を表面側から見て谷折りにして、折曲線17と切込み19との間に形成された分割部分21を、折曲線17と折曲線16とが一致するように第1面22に貼着している。
【0018】
このようにした折り畳み式漏斗においては、折曲線7を表面から見て谷折りにすることにより、正方形部1及び三角形部3が半分に折り曲げられた折り畳み状態となる(図6、図7を参照)。ここでは、図7に示すように、首掛け部6が切り取り線5で切り取られているものとして説明する。
【0019】
この折り畳み状態から、正方形部1の第2面23及び三角形部3を開くとともに、折曲線15及び折曲線18を表面から見て谷折りにすることにより、図3Aに示すように、第1面22、第2面23、及び第3面24からなり、底面が三角形状に開口し、頂部に三角形状となった開口部9を有する裁頭三角錐形状となる。
【0020】
次に、図3Bに示すように、折曲線8を表面から見て谷折りにすることにより、三角形部3を第2面23に重ね合わせる。図3Aに示す状態では、折曲線7により元の状態(折り畳み状態)に戻ろうとする力が生じるが、三角形部3を第2面23に重ね合わせることにより、元の状態に戻ろうとする力が相殺され、保形性を持つようになる。
【0021】
そして、三角形部3の頂部の矩形部分20を開口部9に挿通させる。また、第1面22及び第3面24に連続する矩形部分13、14を扉状に開く。これにより、図4、図5に示すように、三角形状となった開口部9それぞれの辺から、3枚の矩形部分13、14、20が下方に突出するかたちとなる。また、折曲線16と切込み19との間に形成された分割部分25は折曲線16を介して垂下するかたちとなる。この場合に、矩形部分13、14と分割部分25との間には、開口部分12により隙間26が形成される。
【0022】
このようにして裁頭三角錐形状を呈する漏斗が完成する。容器に液体を流し込むときには、取り付け完成図の印刷27に示すように(図2、図4、図5を参照)、容器の口部を隙間26に差し入れて口部の外側に分割部分25を位置させるとともに、口部の内側に3枚の矩形部分13、14、20を導出部として挿入する。これにより、漏斗を容器の口部に掛け止めた状態として、液体を3枚の矩形部分13、14、20に伝わせて容器内に流し込むことができる。
【0023】
次に、首掛け部6について説明する。図1、図2に示す展開状態において、首掛け部6は長方形をなし、その長辺の一部が切り取り線5を介して正方形部1の辺4に連続する。首掛け部6には、正方形部1の辺4に近い位置から、底面部28と、側面部29と、天板部30と、側面部31とを形成するように折曲線32、33、34が設けられる。底面部28には、容器の口部に首掛けするための首掛け穴35が形成されている。
【0024】
側面部31側の端部には、折曲線36を介して係止片37が形成されている。また、底面部28側の端部には折曲線38を介して突片部39が形成されるとともに、折曲線38上に係止スリット40が形成されている。したがって、首掛け部6は、各折曲線32、33、34、36、38を表面側から見て谷折りにして、係止片37を係止スリット40に挿入、係止させることにより、両側部が開口する箱型となる。
【0025】
本実施形態では、図6、図7に示すように、商品である液体を柔軟な樹脂製の袋状の容器100に入れて販売することを想定している。そして、販売の際には、この容器100の口部101に首掛け部6を首掛けして、折り畳み式漏斗をセットにする。このとき、折り畳み式漏斗は、折曲線17と切込み19との間に形成された分割部分21が第1面22に予め貼着され、正方形部1及び三角形部3が半分に折り曲げられた折り畳み状態となっている。そして、正方形部1及び三角形部3における折曲線7、17以外の折曲線8、15、16、18は折り曲げられていない状態となっている。
【0026】
首掛け部6は、両側部が開口する箱型とされ、天板部30で口部101を覆うかたちとなる。柔軟な袋状の容器100の場合、硬い口部101を掴んで持ち運ぼうとするユーザが多いが、その場合、容器100が口部101につながる部分で破れるおそれがある。そこで、天板部30で口部101を覆うことにより口部101を掴めないようにし、容器100全体をかかえて持ち運ぶように仕向けたものである。
【0027】
購入者は、容器100から液体を他の容器、例えば噴霧器やじょうろに移し替えるとき、正方形部1及び三角形部3を切り取り線5で首掛け部6から切り取って、既述したように折り曲げて漏斗を完成させる。
【0028】
以上のようにした折り畳み式漏斗では、一枚の折り曲げ可能な薄平板Sを折り曲げて漏斗が形成されるにすることができる。
【0029】
以下、上記実施形態と本願請求項1との対応関係を説明する。
薄平板Sは、矩形部である正方形部1と、正方形部1の中央部分に形成された開口部9と、開口部9と正方形部1の一辺2の一端とにつながる正方形部1の対角線上の第1の折曲線18と、開口部9と正方形部1の一辺2の他端とにつながる正方形部1の対角線上の第2の折曲線15と、開口部9と正方形部1の他辺11の一端とにつながる正方形部1の対角線上の第3の折曲線17と、開口部9と正方形部1の他辺11の他端とにつながる正方形部1の対角線上の第4の折曲線16と、第1の折曲線18と第2の折曲線15との間で正方形部1を半分に折り曲げるための第5の折曲線7と、第3の折曲線17と第4の折曲線16との間で他辺11から開口部9に至るまで形成された切込み19とを有し、第3の折曲線17を折り曲げて、第3の折曲線17と切込み19との間に形成された部分21を、第2の折曲線15と第4の折曲線16との間の第1面22に貼着している。これにより、第1面22、第1の折曲線18と第2の折曲線15との間の第2面23、及び第1の折曲線18と第3の折曲線17との間の第3面24からなり、底面が開口し、頂部に開口部9を有する裁頭三角錐形状を呈する漏斗とすることができる。
【0030】
以上、本発明を種々の実施形態と共に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。例えば各折曲線は、単に線として印刷されているだけでもよいが、例えば表面側から見たときに凹溝として形成されているようにしてもよい。さらにいえば、印刷による線や凹溝として存在していなくても、最終的に折り曲げられる線であってもよい。
【符号の説明】
【0031】
S:薄平板、1:正方形部、2:一辺、3:三角形部、5:切り取り線、6:首掛け部、7:折曲線、8:折曲線、9:開口部、10:正方形部分、11:他辺、12:開口部分、13:矩形部分、14:矩形部分、15:折曲線、16:折曲線、17:折曲線、18:折曲線、19:切込み、20:矩形部分、21:分割部分、22:第1面、23:第2面、24:第3面、25:分割部分、26:隙間、35:首掛け穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り曲げ可能な薄平板を折り曲げて形成される折り畳み式漏斗であって、
前記薄平板は、
矩形部と、
前記矩形部の中央部分に形成された開口部と、
前記開口部と前記矩形部の一辺の一端とにつながる前記矩形部の対角線上の第1の折曲線と、
前記開口部と前記矩形部の一辺の他端とにつながる前記矩形部の対角線上の第2の折曲線と、
前記開口部と、前記一辺とは逆側の前記矩形部の他辺の一端とにつながる前記矩形部の対角線上の第3の折曲線と、
前記開口部と前記矩形部の他辺の他端とにつながる前記矩形部の対角線上の第4の折曲線と、
前記第1の折曲線と前記第2の折曲線との間で前記矩形部を半分に折り曲げるための第5の折曲線と、
前記第3の折曲線と前記第4の折曲線との間で前記他辺から前記開口部に至るまで形成された切込みとを有し、
前記第3の折曲線を折り曲げて、前記第3の折曲線と前記切込みとの間に形成された部分を、前記第2の折曲線と前記4の折曲線との間の第1面に貼着し、
前記第1面、前記第1の折曲線と前記第2の折曲線との間の第2面、及び前記第1の折曲線と前記第3の折曲線との間の第3面からなり、底面が開口し、頂部に前記開口部を有する裁頭三角錐形状を呈することを特徴とする折り畳み式漏斗。
【請求項2】
前記薄平板は、
前記矩形部の前記一辺に連続し、前記第2面と略同じ形状且つ略同じ大きさを有する三角形部と、
前記一辺に沿って設けられた第6の折曲線とを更に有することを特徴とする請求項1に記載の折り畳み式漏斗。
【請求項3】
前記三角形部の前記一辺とはつながっていない頂部に、前記第6の折曲線で折り曲げて、前記三角形部を前記第2面に重ね合わせたときに、前記開口部から突出する導出部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の折り畳み式漏斗。
【請求項4】
前記開口部には、前記第1面及び前記第3面にそれぞれ連続し、液体を流し込む容器の口部の内側に挿入するための導出部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の折り畳み式漏斗。
【請求項5】
前記矩形部は正方形であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の折り畳み式漏斗。
【請求項6】
前記薄平板は、前記矩形部の前記一辺及び前記他辺とは異なる辺に切り取り線を介して連続する首掛け部を更に有し、
前記首掛け部には、所定の容器の口部に首掛けするための首掛け穴が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の折り畳み式漏斗。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−112396(P2013−112396A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262069(P2011−262069)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(390026778)レインボー薬品株式会社 (4)
【Fターム(参考)】