説明

折戸用ヒンジユニット

【課題】 伝動手段としてベベルギヤ機構或いはクラウンギヤ機構を採用して指詰防止機能を有する体裁のよい折戸用ヒンジユニットを提供すること。
【解決手段】 折戸を構成する2枚の戸体を、その戸体の板面方向に直交する方向の側端面同士をその長手方向に沿って互いに突き合わせ、互いに相手の戸体に対して回動自在な状態で連結するヒンジユニットであって、ケーシング内に、上面乃至下面にベベルギヤ又はクラウンギヤを固着した左右一対の前記戸体に取り付けるためのロータをそれぞれ水平回転可能に嵌装し、それぞれの前記ベベルギヤ又はクラウンギヤの歯に噛合する歯を有するギヤを両端に固着した回転軸を、両端のギヤの歯がそれぞれのロータのベベルギヤ又はクラウンギヤの歯に噛合するように配設したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折戸を構成する戸体同士間に介挿されてその折戸の開閉動作をスムーズに行なわせる指詰防止機能を有する体裁のよいヒンジユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】 特許第2728642号公報
【特許文献2】 特開2007−107313公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来から、折戸を構成する戸体同士間に介挿されてその折戸の開閉動作をスムーズに行なわせるヒンジユニットとして、特許第2728642号公報に記載されるものや、特開2007−107313公報に記載されるものがあるが、前者の発明では平歯車同士の噛合による伝動方式を採用したものであり、後者の発明ではラックとピニオンの噛合による伝動方式を採用したものであった。
【0004】
この平歯車同士の噛合による伝動方式またはラックとピニオンの噛合による伝動方式を採用したヒンジユニットは、折戸を構成する戸体の上下端に取り付けて使用するもので、折戸の開閉動作には何等問題はないが、ヒンジユニットを構成する平歯車またはピニオンが露出しているので、体裁が悪いだけでなく、戸体の下端側に取り付けてあるヒンジユニットの平歯車またはピニオンのギヤに足指を挟んで怪我をしたり、埃が平歯車またはピニオンのギヤ間に溜まって頻繁に掃除しなければならないという問題点があった。
【発明の目的】
【0005】
本発明は、伝動手段としてベベルギヤ機構或いはクラウンギヤ機構を採用して指詰防止機能を有する体裁のよい折戸用ヒンジユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る折戸用ヒンジユニットは、折戸を構成する2枚の戸体を、その戸体の板面方向に直交する方向の側端面同士をその長手方向に沿って互いに突き合わせ、互いに相手の戸体に対して回動自在な状態で連結するヒンジユニットであって、ケーシング内に、上面乃至下面にベベルギヤ又はクラウンギヤを固着した左右一対の前記戸体に取り付けるためのロータをそれぞれ水平回転可能に嵌装し、それぞれの前記ベベルギヤ又はクラウンギヤの歯に噛合する歯を有するギヤを両端に固着した回転軸を、両端のギヤの歯がそれぞれのロータのベベルギヤ又はクラウンギヤの歯に噛合するように配設したことを特徴とするものである。
【発明の作用】
【0007】
本発明に係る折戸用ヒンジユニットでは、2枚の戸板への伝動手段としてベベルギヤ機構或いはクラウンギヤ機構を採用して戸板表面側にギヤ部が露出しないようにしてあるので、指詰事故が発生することがなく、埃が溜まるようなことがない。
【実施例1】
【0008】
図1は、本発明のヒンジユニットを取り付けた折戸の閉鎖状態の全体正面図、図2は、同平面図、図3は、本発明のヒンジユニットの構造を表わす縦断正面図、図4は、本発明のヒンジユニットの戸板への取り付け方法を表わす分解斜視図である。
【0009】
図において、1は、ヒンジユニットUを構成する下部ケーシングで、後述する一対のロータの下端側を嵌装する2個の円形状の凹部1−1、1−1と同凹部1−1、1−1の間を繋ぐ直線状の溝1−2が形成されており、下端部には後述する支柱が嵌着される膨出部1−3、1−3が形成されており、それぞれの膨出部1−3の中央には前記ロータを枢支するための軸を挿通するための孔1−4が形成されている。
【0010】
2は、前記下部ケーシング1と対をなしてロータの上下を挟んで一体化する上部ケーシングで、下部ケーシング1と同じく後述する一対のロータの上端側を嵌装する2個の円形状の凹部2−1、2−1と同凹部同志間を繋ぐ直線状の凹部2−2が形成されている。
【0011】
3は、折戸を構成する戸体Aの側端面に取り付けられるロータで、前記上部、下部ケーシング2、1の円形状の凹部に前記孔1−4を貫通する軸4に支持されて水平回転するように嵌合されるようになっており、周面の一部に取り付け時に位置決めのための突起が形成されている。
【0012】
ロータ3の上、下端面には、ベベルギヤ3−1、3−2が一体形成または一体固着され、一対のロータ3、3の対応するベベルギヤ3−1、3−1同志及びベベルギヤ3−2、3−2同志をそれぞれ連結するための連結機構5が直線状の凹部1−2内に収まるように設けられている。
【0013】
一対のロータ3、3の対応するベベルギヤ3−1、3−1同志及びベベルギヤ3−2、3−2同志を連結する連結機構5は、ベベルギヤ3−1の歯に噛合する歯を有するギヤ5−1を両端に固着した凹部1−1、1−1の間を繋ぐ回転軸5−2から構成されている。
【0014】
本実施例では、ロータ3の上、下端面に対称的にベベルギヤ3−1、3−2を設けたが、上、下のどちらか一方に設けても作動状態においては何等問題はなく、また、ベベルギヤに代えてクラウンギヤを使用しても作動状態は全く同一である。
【0015】
本発明のヒンジユニットは上記のような構成で、一方のロータ3を回転させると、このロータ3のベベルギヤ3−1に噛合する連結機構5の一方のギヤ5−1が回転し、回転軸5−2の回転により他方のギヤ5−1が回転してこのギヤに噛合する他方のロータ3のベベルギヤ3−1が回転し、他方のロータ3は逆方向に回転するものである。
【0016】
次に、本発明に係るヒンジユニットの具体的な取り付け方法について説明する。
【0017】
先ず、折戸を構成する2枚の戸板Aのそれぞれの上端側の側端面にロータ3を取り付けるのであるが、戸板に直接取り付けるには側端面に円弧状の溝を形成する必要があるので、戸板側端面の保護を兼ねてロータ3の突起3aが嵌合する溝を有するレール状のフレームBと共に戸板側端面にネジ止めする。
【0018】
それぞれの戸板Aにロータ3を取り付けた後、ギヤ5−1を両端に固着した連結機構の回転軸5−2を溝1−2に嵌合した下部ケーシング1の凹部1−1、1−1にロータ3、3を嵌合し、それぞれの膨出部1−3の中央にある孔1−4を通して軸4を挿通し、軸4の上端を予め連結機構の回転軸5−2を下部ケーシング1の場合と同じように装着しておいた上部ケーシング2の孔2−1に挿通してリテーナ等で止めるようにしてユニット化し、このヒンジユニットを介して2枚の戸板Aの上端側を連結する。
【0019】
次いで、戸板Aの下端部側においても上記したような作業でヒンジユニットを上下対称的に取り付けて2枚の戸板Aを連結した後、上、下ヒンジユニットの膨出部1−3、1−3間に軟質の合成樹脂製の断面瓢箪型の支柱Cの上下端を嵌着して折戸が完成するものである。
をする。
【0020】
尚、本発明のヒンジユニットでは木製の戸板への取り付け作業を容易にするために実施例のようにロータ3に位置決め用の突起を設けたり、レール状のフレームBを別途に設けたが、このヒンジユニットに適合するように製作した折戸では不要で、必須不可欠の要件ではない。
【発明の効果】
【0021】
以上述べたように、本発明の折戸用ヒンジユニットによれば、ケーシング内に、上面乃至下面にベベルギヤ又はクラウンギヤを固着した左右一対の前記戸体に取り付けるためのロータをそれぞれ水平回転可能に嵌装し、それぞれの前記ベベルギヤ又はクラウンギヤの歯に噛合する歯を有するギヤを両端に固着した回転軸を、両端のギヤの歯がそれぞれのロータのベベルギヤ又はクラウンギヤの歯に噛合するように配設したもので、2枚の戸板への伝動手段としてベベルギヤ機構或いはクラウンギヤ機構を採用してギヤ部がケーシング内に隠れて戸板表面側に露出しないようにしてあるので、指詰事故が発生することがなく安全性の面においても優れ、長期に亘ってギヤ部等の可動部に埃が溜まるようなことがないので、メンテナンスの必要性がない面においても優れるだけでなく、ギヤ部が見えず体裁がよい等極めて実用的効果が高いものといえるものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】 本発明のヒンジユニットを取り付けた折戸の閉鎖状態の全体正面図である。
【図2】 同平面図である。
【図3】 本発明のヒンジユニットの構造を表わす縦断正面図である。
【図4】 本発明のヒンジユニットの戸板への取り付け方法を表わす分解斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
U ヒンジユニット
1 下部ケーシング
2 上部ケーシング
3 ロータ
4 枢軸
5 連結機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折戸を構成する2枚の戸体を、その戸体の板面方向に直交する方向の側端面同士をその長手方向に沿って互いに突き合わせ、互いに相手の戸体に対して回動自在な状態で連結するヒンジユニットであって、ケーシング内に、上面乃至下面にベベルギヤ又はクラウンギヤを固着した左右一対の前記戸体に取り付けるためのロータをそれぞれ水平回転可能に嵌装し、それぞれの前記ベベルギヤ又はクラウンギヤの歯に噛合する歯を有するギヤを両端に固着した回転軸を、両端のギヤの歯がそれぞれのロータのベベルギヤ又はクラウンギヤの歯に噛合するように配設したことを特徴とする折戸用ヒンジユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−257056(P2009−257056A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−127681(P2008−127681)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【出願人】(592048176)ケージーパルテック株式会社 (35)
【Fターム(参考)】