折畳み型コンテナ
【課題】 枚の側部パネルは折畳んだり、分離することが容易で、しかも作業者は立ったままの状態でこの作業を行うことが出来るので作業性に優れており、身体的負担も少ない。また従来技術よりも構造が単純なので製作費を低減することができる。
【解決手段】 パレット部1の四隅に立設した支柱4、6に4枚の側部パネル11、13、14が回動自在に軸支してある。開放用側部パネル11を支持する支柱4には、係止ピンが横方向内向きに突設してある。開放用側部パネル11は下枠材11Aの下面後半を上り傾斜面に形成し、一対の側枠材11Cの下端側前角隅に係止ピンが嵌脱自在な係合部が設けてある。パレット部1には開放用側部パネル11の傾斜面に当接するストッパーが設けてある。
【解決手段】 パレット部1の四隅に立設した支柱4、6に4枚の側部パネル11、13、14が回動自在に軸支してある。開放用側部パネル11を支持する支柱4には、係止ピンが横方向内向きに突設してある。開放用側部パネル11は下枠材11Aの下面後半を上り傾斜面に形成し、一対の側枠材11Cの下端側前角隅に係止ピンが嵌脱自在な係合部が設けてある。パレット部1には開放用側部パネル11の傾斜面に当接するストッパーが設けてある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば収穫したジャガイモ、玉ねぎ、人参等の各種の農産物、漁業の分野での採取した貝や海藻、林業の分野での伐採した小枝、製造工場で製造した部品等の、種々の粒状部や塊状物の収納運搬に使用する折畳み型コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばジャガイモ、玉ねぎ、人参等の各種の農産物を収穫して集荷し、運搬する場合、収納する農産物に応じて業界の仕様でサイズが決められているコンテナを使用している。この種のコンテナとして下記の特許文献1に記載のものがある。該コンテナは、四周に設けた垂直のパネル2、3、4を床5の上部に倒すことができる折畳み式コンテナで、大略以下の構成からなる。前面パネル2は床5の前面両端の支柱6、6に設けられて軸方向に移動可能なピン7、7によって位置決めされて床5に接して組み立てられる。後面パネル3は、床の後面両端の支柱6、6のピン7、7によって位置決めされて床5に接して組み立てられる。左右の側面パネル4、4は前記4本の支柱6、6に溶接手段により固着したピン8、8に回転可能に取り付けられて組み立てられる。
【特許文献1】特許第2992279号公報
【0003】
上述した従来技術のコンテナは、4面のパネルを内側に折り畳んだ状態で積重することは可能であるが、4面のパネル2、3、4を外側に略水平状態にまで展開することや、左右の側面パネル4、4を床5から取外して分解することは不可能である。このため、側面パネル4が損傷した場合には支柱6に溶接により固着してあるピン8、8を一度分解した上で損傷した側面パネル4を交換しなければならないという欠点、この作業は収穫現場では不可能で工場で行わなければならないという欠点、全部の側面パネル2、3、4を簡単に分解して洗浄、保守を行うことはできないという欠点がある。更に、コンテナ内に農産物を収納する作業を行う場合、4面の側面パネル2、3、4が所定の高さで起立しているために作業者は収納動作の度毎に無理に腕を伸ばしたり、頻繁に立ち上がらなければならないことから、身体に大きな負担が掛って肩凝りや腰痛の原因になるという欠点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来技術の諸欠点に鑑みなされたもので、最低1枚の側部パネルはパレット部上に折畳んだり、分離することが容易であり、しかも作業者は立ったままの状態で折畳んだり、分離する作業を行うことが出来るので作業性に優れているし、身体的負担も少なく、また従来技術よりも構造が単純なので製作費を低減することができる折畳み型コンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために構成された本発明の手段は、平面略四角形のパレット部と、該パレット部の四隅に立設した4本の支柱と、該支柱に軸支することにより回動可能に立設した4枚の側部パネルと、該4枚の側部パネルを係脱可能に枠状に連結する連結手段とからなる折畳み型コンテナであって、前記4枚の側部パネルのうち少なくとも1枚の開放用側部パネルを支持する一対の支柱には、係止ピンを横方向内向きに突設し、前記開放用側部パネルには、下枠材の下面後半を上り傾斜面に形成すると共に、一対の側枠材の下端側前角隅に前記係止ピンが嵌脱自在に嵌合する係合部を設け、前記パレット部の枠材には前記開放用側部パネルの傾斜面に当接するストッパーを設けたことにある。
【0006】
そして、前記係合部は、前記側枠材の下端側前角隅に前面に形成したピン出入溝と、横面に形成したピン係止溝からなる倒置L字状の切欠き穴にするとよい。
【0007】
また、前記4枚の側部パネルは、前記支柱に内方向及び外方向の約180度の範囲で回動可能に軸支してあるとよい。
【0008】
更に、前記4枚の側部パネルは、前記支柱に係脱可能に設けるとよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明は以上詳述した如く構成したから、下記の諸効果を奏する。
(1)開放用側部パネルは、係止ピンに係合部を係止することによりパレット部に立設するようにしたから、パレット部から分離したり、折畳むことが容易であるし、立ったままの状態で分離、折畳み作業を行うことが出来るので作業性に優れていると共に、身体的負担もない。
(2)構成に可動部がないし、構成部材も従来技術より少ない単純な構成であるから、故障もないし耐久性に優れており、また製作費の低減を図ることができる。
(3)4面の側部パネルは内、外方向に約180度の範囲で回動可能であるから、作業現場の状況に応じて任意の側部パネルを開放することにより、収納作業の能率を向上できる。
(4)4枚の側部パネルは支柱に係脱可能であるから、破損した側部パネルを作業現場でも簡単に交換することができるし、分解して洗浄することも容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。図において、1は平面略長方形のパレット部を示す。2は該パレット部1を構成するパレット本体で、該パレット本体2は角形鋼管平鋼材からなる長尺の前枠2Aと、該前枠2Aに後述する前側部パネル11の厚さ分加えた高さの角筒鋼管からなる後枠2Bと、前枠2Aに前側部パネル11の厚さの略倍の高さの角筒鋼管からなる左右一対の横枠2C、2Cとを横長長方形の枠体に連結し、左右の横枠2C、2C間に複数本の平鋼材からなる受け材2D、2D、・・・を一定間隔で架設した構成からなっている。
【0011】
3は前記パレット本体2の下側に一体に設けることによりパレット部1を構成する支持体を示す。該支持体3は長手方向両端を閉塞した角筒鋼管からなり、左右の横枠2C、2Cの下面に固着した一対の外側脚材3A、3Aと、該外側脚材3Aと平行にパレット本体2の内側下面に固着した一対の内側脚材3B、3Bと、外側脚部3A、3A及び内側脚材3B、3に連結した平鋼板からなる前後一対の連結材3C、3Cとから構成してあり、外側脚材3Aと内側脚材3Bとの間の空間A、Aはフォークリフトによるリフト時にフォークを挿入することができるスペースになっている。
【0012】
4、4は前述の構成からなるパレット部1の前側両角隅に立設した鋼材からなる一対の前支柱を示す。該各前支柱4は一対の対向片4A、4Bと、連結片4Cとから横断面略コ字状に形成してあり、開放面を前方に向けた状態で外側脚材3Aと横枠2Cに溶接手段により固着してある。
【0013】
5、5は前記一対の前支柱4に横向きに設けた係止ピンで、該各係止ピン5は内側対向片4Aに挿通した状態で基端側は外側対向片4Bに固着し、先端側5Aは内側対向片4Aから横方向内向きに突出している。
【0014】
6、6はパレット部1の後側両角隅に立設した一対の後支柱を示す。該各後支柱6も内側対向片6A、外側対向片6B及び連結片6Cとから横断面略コ字状に形成してあり、開放面を後方に向けた状態で外側脚材3Aと横枠2Cに溶接手段により固着してある。そして、前支柱4、4と後支柱6、6は上端を同じ高さに設定することにより、コンテナを水平に積重することができるようにしてある。
【0015】
7、7は前記一対の後支柱6、6に横方向にスライド可能に設けた後可動ピンで、該各後可動ピン7は後支柱6の対向片6A、6Bに挿通して設けてあり、先端側は内側対向片6Aから横方向内向きに突出している。また、8、8は前支柱4と後支柱6に横方向にスライド可能に設けた横可動ピンで、該各横可動ピン8は支柱4、6の連結片4C、6Cに挿通して設けてあり、先端側は連結片4C、6Cから横方向内向きに突出している。
【0016】
11は一対の前支柱4、4間に前記一対の係止ピン5、5を介して回動可能、かつ係脱可能に軸支した開放用側部パネルを示す。該開放用側部パネル11は、下枠材11A、上枠材11B、左右一対の側枠材11C、11Cとから横長長方形の枠体に形成し、上、下の枠材11A、11B間に3本の内側縦材11D、11D、11Dを連結して構成してある。そして、前記下枠材11Aは下面を前半側の水平面11A1と後半側の上り傾斜面11A2からなる倒置「く」字状に形成してある。
【0017】
12は前記開放用側部パネル11を係止ピン5、5に回動可能かつ係脱可能に連結するための係合部を示す。該係合部12は開放用側部パネル11の各側枠材11Cの下端側前角隅を横方向に切欠いた横向きL字状穴に形成してあり、前側切欠きはピン出入溝12Aに、横側切欠きはピン係止溝12Bになっている。
【0018】
13は開放用側部パネル11に対向して一対の後支柱6、6に後可動ピン7、7を介して回動可能、かつ係脱可能に設けた後側部パネルを示す。該後側部パネル13は前記開放用側部パネル11と同様に下枠材13A、上枠材13B、一対の側枠材13C、13Cとから横長長方形の枠体に形成したものからなり、各側枠材13Cの外側面には可動ピン7が挿入されるピン穴(図示せず)が穿設してある。
【0019】
また、14、14は前支柱4と後支柱6との間に軸支した左右一対の横側部パネルを示し、該各横側部パネル14は下枠材14A、上枠材14B、左右一対の側枠材14C、14C、上、下の枠材14B、14A間に連結した縦材14Dとから略正方形の枠体に形成したものからなり、側枠材14C、14Cの下端側には可動ピン8、8が挿入されるピン穴(図示せず)が穿設してある。
【0020】
更に、15は隣接する開放用側部パネル11と横側部パネル14、14、後側部パネル13と横側部パネル14、14を連結して四面の枠体を形成するための連結手段で、該連結手段15は係合爪部を有し、各横側部パネル14の側枠材14C上端側に軸着した係合用レバー16と、開放用側部パネル11(後側部パネル13)の側枠材11C(13C)の上端側に穿設され、前記係合爪部が出入する係止穴17とから構成してある(図1参照)。そして、係合用レバー16を所定方向に回動操作することにより、開放用側部パネル11と横側部パネル14同士、及び後側部パネル13と横側部パネル14同士を連結し、また解放させることができる。
【0021】
更に、18、18はパレット本体2の前枠2A上面に横方向に離間して固着したストッパーを示す。該各ストッパー18は適宜の長さに裁断した丸棒鋼材からなるもので、開放用側部パネル11の上り傾斜面11A2に対向する位置に溶接手段により固着してあり、開放用側部パネル11が内側に後退した場合に傾斜面11Aに当接して該パネル11が更に後退するのを阻止するものである。
【0022】
また、19、19は各横側部パネル14の上枠材14Bから上方に突設した一対のずれ止め体で、該各ずれ止め体19は積重するコンテナの外側脚材3Aに形成してある図示しない係合穴に嵌合させることにより、収容物を収納した重量のあるコンテナを垂直状態に積重できるようにして安定性を確保するようにしてある。
【0023】
なお、開放用側部パネル11、後側部パネル13及び横側部パネル14には係着用ロッド20を枠状に固着し、該係着用ロッド20に合成樹脂製ネットを係着して各パネル11、13、14を内側から全面的に覆うことにより、輸送時や保管時の収容物の損傷防止を図る構成にしてあるが、この構成は公知技術であって本願発明を構成する本質的部分ではないし、図が煩雑になるのでその図示および説明は省略してある。
【0024】
本実施の形態からなる折畳み型コンテナは上述の構成からなるが、次にその操作について図7乃至図10を参照しながら説明する。図7は開放用側部パネル11をパレット部1上に立設した状態を示し、前支柱4、4に設けた係止ピン5に係合部12を嵌合させた状態でパレット本体2上に起立させ、上部側で連結手段15により横側部パネル14に連結することにより枠体を構成している。
【0025】
この状態で開放用側部パネル11に収納物等によって内側から外方向に荷重Fが掛かった場合は、係止ピン5によって側枠材11Cは外方向への変位が規制される。他方、開放用側部パネル11に外側から内側に向けて外力Fが働いた場合は、図8に示すように、若干後退した開放用側部パネル11は上り傾斜面11A2がストッパー18に当接することにより、更なる後退が阻止されるから枠体の形態を保持することができる。
【0026】
図9及び図10は開放用側部パネル11を折畳む手順を示し、開放用側部パネル11は係合部12を係止ピン5から一旦離脱させ、横に寝かせる姿勢にしながら係合部12を係合ピン5に嵌合してパレット部1上に倒置することにより開放用側部パネル11は折畳むことができる。そして、これらの操作は立った状態のままで行うことができるから、作業者の身体的負担は少ないし、ピン等を可動する操作は全く不要であるから容易に短時間で開放型側部パネル11を折畳むことができる。
【0027】
また、本実施の形態では、後側部パネル13、横側部パネル14は連結手段15を解除することにより、可動ピン7、8を支点として内、外方向に約180度の範囲で展開することができる。また、可動ピン7、8を進退させることにより支柱6、6間から後側部パネル13を、支柱4、6間から横側部パネル14を離脱させることもできる。
【0028】
このように開放用側部パネル11、後側部パネル13及び横側部パネル14は回動可能、分離可能であるから、破損したパネルのみを交換することや、分解洗浄を効率よく行うことができる。従って、側部パネル11、13、14のいずれかが損傷して交換が必要な場合も、コンテナを工場に持ち帰って交換作業を行う必要はなく、収納現場で短時間に交換作業を行うことが可能であり、本来の収納作業が阻害される影響も最小限にすることができる。
【0029】
なお、本実施の形態において、4枚の側部パネルの少なくとも1枚の側部パネル11(13、14)は、下部パネル体と上部パネル体の2分割に構成してヒンジにより回動可能に連結し、上部パネル体を外側に二つ折り可能に構成してもよい。
【0030】
このように構成することにより、コンテナ内に収穫物を収納する作業を行う場合に、作業当初は上部パネル体を外側に二つ折りした状態にしておくことにより、作業者は腕を大きく上げたり、頻繁に立ち上がる動作をすることのない楽な動きで収納作業を行うことができるから、作業者の身体的負担を大幅に軽減することができるし、作業効率を上げることができる。そして、下部パネル体の上端まで収穫物を収納したら、上部パネル体を立ち上げて隣接する側部パネルに連結手段15により連結することにより、コンテナの上端にまで収穫物を収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は本発明の実施の形態に係る折畳み型コンテナの全体構成を示す斜視図である。
【図2】パレット部と支柱の斜視図である。
【図3】パレット部に前支柱を設けた部分斜視図である。
【図4】開放用側部パネルの部分拡大図である。
【図5】開放用側部パネルを後方から示す部分拡大図である。
【図6】開放用側部パネルを係止ピンに係合した状態を正面から示す要部説明図である。
【図7】開放用側部パネルを係止ピンに係合して立設した状態を示す説明図である。
【図8】開放用側部パネルがストッパに当接した状態を示す説明図である。
【図9】開放用側部パネルを係止ピンから離脱させた状態を示す説明図である。
【図10】開放用側部パネルをパレット部上に倒置した状態の説明図である。
【図11】折畳み型コンテナを折畳んだ状態の正面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 パレット部
4 前支柱
5 係止ピン
11 開放用側部パネル
11A2 上り傾斜面
12 係合部
13、14 側部パネル
15 連結手段
18 ストッパー
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば収穫したジャガイモ、玉ねぎ、人参等の各種の農産物、漁業の分野での採取した貝や海藻、林業の分野での伐採した小枝、製造工場で製造した部品等の、種々の粒状部や塊状物の収納運搬に使用する折畳み型コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばジャガイモ、玉ねぎ、人参等の各種の農産物を収穫して集荷し、運搬する場合、収納する農産物に応じて業界の仕様でサイズが決められているコンテナを使用している。この種のコンテナとして下記の特許文献1に記載のものがある。該コンテナは、四周に設けた垂直のパネル2、3、4を床5の上部に倒すことができる折畳み式コンテナで、大略以下の構成からなる。前面パネル2は床5の前面両端の支柱6、6に設けられて軸方向に移動可能なピン7、7によって位置決めされて床5に接して組み立てられる。後面パネル3は、床の後面両端の支柱6、6のピン7、7によって位置決めされて床5に接して組み立てられる。左右の側面パネル4、4は前記4本の支柱6、6に溶接手段により固着したピン8、8に回転可能に取り付けられて組み立てられる。
【特許文献1】特許第2992279号公報
【0003】
上述した従来技術のコンテナは、4面のパネルを内側に折り畳んだ状態で積重することは可能であるが、4面のパネル2、3、4を外側に略水平状態にまで展開することや、左右の側面パネル4、4を床5から取外して分解することは不可能である。このため、側面パネル4が損傷した場合には支柱6に溶接により固着してあるピン8、8を一度分解した上で損傷した側面パネル4を交換しなければならないという欠点、この作業は収穫現場では不可能で工場で行わなければならないという欠点、全部の側面パネル2、3、4を簡単に分解して洗浄、保守を行うことはできないという欠点がある。更に、コンテナ内に農産物を収納する作業を行う場合、4面の側面パネル2、3、4が所定の高さで起立しているために作業者は収納動作の度毎に無理に腕を伸ばしたり、頻繁に立ち上がらなければならないことから、身体に大きな負担が掛って肩凝りや腰痛の原因になるという欠点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来技術の諸欠点に鑑みなされたもので、最低1枚の側部パネルはパレット部上に折畳んだり、分離することが容易であり、しかも作業者は立ったままの状態で折畳んだり、分離する作業を行うことが出来るので作業性に優れているし、身体的負担も少なく、また従来技術よりも構造が単純なので製作費を低減することができる折畳み型コンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために構成された本発明の手段は、平面略四角形のパレット部と、該パレット部の四隅に立設した4本の支柱と、該支柱に軸支することにより回動可能に立設した4枚の側部パネルと、該4枚の側部パネルを係脱可能に枠状に連結する連結手段とからなる折畳み型コンテナであって、前記4枚の側部パネルのうち少なくとも1枚の開放用側部パネルを支持する一対の支柱には、係止ピンを横方向内向きに突設し、前記開放用側部パネルには、下枠材の下面後半を上り傾斜面に形成すると共に、一対の側枠材の下端側前角隅に前記係止ピンが嵌脱自在に嵌合する係合部を設け、前記パレット部の枠材には前記開放用側部パネルの傾斜面に当接するストッパーを設けたことにある。
【0006】
そして、前記係合部は、前記側枠材の下端側前角隅に前面に形成したピン出入溝と、横面に形成したピン係止溝からなる倒置L字状の切欠き穴にするとよい。
【0007】
また、前記4枚の側部パネルは、前記支柱に内方向及び外方向の約180度の範囲で回動可能に軸支してあるとよい。
【0008】
更に、前記4枚の側部パネルは、前記支柱に係脱可能に設けるとよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明は以上詳述した如く構成したから、下記の諸効果を奏する。
(1)開放用側部パネルは、係止ピンに係合部を係止することによりパレット部に立設するようにしたから、パレット部から分離したり、折畳むことが容易であるし、立ったままの状態で分離、折畳み作業を行うことが出来るので作業性に優れていると共に、身体的負担もない。
(2)構成に可動部がないし、構成部材も従来技術より少ない単純な構成であるから、故障もないし耐久性に優れており、また製作費の低減を図ることができる。
(3)4面の側部パネルは内、外方向に約180度の範囲で回動可能であるから、作業現場の状況に応じて任意の側部パネルを開放することにより、収納作業の能率を向上できる。
(4)4枚の側部パネルは支柱に係脱可能であるから、破損した側部パネルを作業現場でも簡単に交換することができるし、分解して洗浄することも容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。図において、1は平面略長方形のパレット部を示す。2は該パレット部1を構成するパレット本体で、該パレット本体2は角形鋼管平鋼材からなる長尺の前枠2Aと、該前枠2Aに後述する前側部パネル11の厚さ分加えた高さの角筒鋼管からなる後枠2Bと、前枠2Aに前側部パネル11の厚さの略倍の高さの角筒鋼管からなる左右一対の横枠2C、2Cとを横長長方形の枠体に連結し、左右の横枠2C、2C間に複数本の平鋼材からなる受け材2D、2D、・・・を一定間隔で架設した構成からなっている。
【0011】
3は前記パレット本体2の下側に一体に設けることによりパレット部1を構成する支持体を示す。該支持体3は長手方向両端を閉塞した角筒鋼管からなり、左右の横枠2C、2Cの下面に固着した一対の外側脚材3A、3Aと、該外側脚材3Aと平行にパレット本体2の内側下面に固着した一対の内側脚材3B、3Bと、外側脚部3A、3A及び内側脚材3B、3に連結した平鋼板からなる前後一対の連結材3C、3Cとから構成してあり、外側脚材3Aと内側脚材3Bとの間の空間A、Aはフォークリフトによるリフト時にフォークを挿入することができるスペースになっている。
【0012】
4、4は前述の構成からなるパレット部1の前側両角隅に立設した鋼材からなる一対の前支柱を示す。該各前支柱4は一対の対向片4A、4Bと、連結片4Cとから横断面略コ字状に形成してあり、開放面を前方に向けた状態で外側脚材3Aと横枠2Cに溶接手段により固着してある。
【0013】
5、5は前記一対の前支柱4に横向きに設けた係止ピンで、該各係止ピン5は内側対向片4Aに挿通した状態で基端側は外側対向片4Bに固着し、先端側5Aは内側対向片4Aから横方向内向きに突出している。
【0014】
6、6はパレット部1の後側両角隅に立設した一対の後支柱を示す。該各後支柱6も内側対向片6A、外側対向片6B及び連結片6Cとから横断面略コ字状に形成してあり、開放面を後方に向けた状態で外側脚材3Aと横枠2Cに溶接手段により固着してある。そして、前支柱4、4と後支柱6、6は上端を同じ高さに設定することにより、コンテナを水平に積重することができるようにしてある。
【0015】
7、7は前記一対の後支柱6、6に横方向にスライド可能に設けた後可動ピンで、該各後可動ピン7は後支柱6の対向片6A、6Bに挿通して設けてあり、先端側は内側対向片6Aから横方向内向きに突出している。また、8、8は前支柱4と後支柱6に横方向にスライド可能に設けた横可動ピンで、該各横可動ピン8は支柱4、6の連結片4C、6Cに挿通して設けてあり、先端側は連結片4C、6Cから横方向内向きに突出している。
【0016】
11は一対の前支柱4、4間に前記一対の係止ピン5、5を介して回動可能、かつ係脱可能に軸支した開放用側部パネルを示す。該開放用側部パネル11は、下枠材11A、上枠材11B、左右一対の側枠材11C、11Cとから横長長方形の枠体に形成し、上、下の枠材11A、11B間に3本の内側縦材11D、11D、11Dを連結して構成してある。そして、前記下枠材11Aは下面を前半側の水平面11A1と後半側の上り傾斜面11A2からなる倒置「く」字状に形成してある。
【0017】
12は前記開放用側部パネル11を係止ピン5、5に回動可能かつ係脱可能に連結するための係合部を示す。該係合部12は開放用側部パネル11の各側枠材11Cの下端側前角隅を横方向に切欠いた横向きL字状穴に形成してあり、前側切欠きはピン出入溝12Aに、横側切欠きはピン係止溝12Bになっている。
【0018】
13は開放用側部パネル11に対向して一対の後支柱6、6に後可動ピン7、7を介して回動可能、かつ係脱可能に設けた後側部パネルを示す。該後側部パネル13は前記開放用側部パネル11と同様に下枠材13A、上枠材13B、一対の側枠材13C、13Cとから横長長方形の枠体に形成したものからなり、各側枠材13Cの外側面には可動ピン7が挿入されるピン穴(図示せず)が穿設してある。
【0019】
また、14、14は前支柱4と後支柱6との間に軸支した左右一対の横側部パネルを示し、該各横側部パネル14は下枠材14A、上枠材14B、左右一対の側枠材14C、14C、上、下の枠材14B、14A間に連結した縦材14Dとから略正方形の枠体に形成したものからなり、側枠材14C、14Cの下端側には可動ピン8、8が挿入されるピン穴(図示せず)が穿設してある。
【0020】
更に、15は隣接する開放用側部パネル11と横側部パネル14、14、後側部パネル13と横側部パネル14、14を連結して四面の枠体を形成するための連結手段で、該連結手段15は係合爪部を有し、各横側部パネル14の側枠材14C上端側に軸着した係合用レバー16と、開放用側部パネル11(後側部パネル13)の側枠材11C(13C)の上端側に穿設され、前記係合爪部が出入する係止穴17とから構成してある(図1参照)。そして、係合用レバー16を所定方向に回動操作することにより、開放用側部パネル11と横側部パネル14同士、及び後側部パネル13と横側部パネル14同士を連結し、また解放させることができる。
【0021】
更に、18、18はパレット本体2の前枠2A上面に横方向に離間して固着したストッパーを示す。該各ストッパー18は適宜の長さに裁断した丸棒鋼材からなるもので、開放用側部パネル11の上り傾斜面11A2に対向する位置に溶接手段により固着してあり、開放用側部パネル11が内側に後退した場合に傾斜面11Aに当接して該パネル11が更に後退するのを阻止するものである。
【0022】
また、19、19は各横側部パネル14の上枠材14Bから上方に突設した一対のずれ止め体で、該各ずれ止め体19は積重するコンテナの外側脚材3Aに形成してある図示しない係合穴に嵌合させることにより、収容物を収納した重量のあるコンテナを垂直状態に積重できるようにして安定性を確保するようにしてある。
【0023】
なお、開放用側部パネル11、後側部パネル13及び横側部パネル14には係着用ロッド20を枠状に固着し、該係着用ロッド20に合成樹脂製ネットを係着して各パネル11、13、14を内側から全面的に覆うことにより、輸送時や保管時の収容物の損傷防止を図る構成にしてあるが、この構成は公知技術であって本願発明を構成する本質的部分ではないし、図が煩雑になるのでその図示および説明は省略してある。
【0024】
本実施の形態からなる折畳み型コンテナは上述の構成からなるが、次にその操作について図7乃至図10を参照しながら説明する。図7は開放用側部パネル11をパレット部1上に立設した状態を示し、前支柱4、4に設けた係止ピン5に係合部12を嵌合させた状態でパレット本体2上に起立させ、上部側で連結手段15により横側部パネル14に連結することにより枠体を構成している。
【0025】
この状態で開放用側部パネル11に収納物等によって内側から外方向に荷重Fが掛かった場合は、係止ピン5によって側枠材11Cは外方向への変位が規制される。他方、開放用側部パネル11に外側から内側に向けて外力Fが働いた場合は、図8に示すように、若干後退した開放用側部パネル11は上り傾斜面11A2がストッパー18に当接することにより、更なる後退が阻止されるから枠体の形態を保持することができる。
【0026】
図9及び図10は開放用側部パネル11を折畳む手順を示し、開放用側部パネル11は係合部12を係止ピン5から一旦離脱させ、横に寝かせる姿勢にしながら係合部12を係合ピン5に嵌合してパレット部1上に倒置することにより開放用側部パネル11は折畳むことができる。そして、これらの操作は立った状態のままで行うことができるから、作業者の身体的負担は少ないし、ピン等を可動する操作は全く不要であるから容易に短時間で開放型側部パネル11を折畳むことができる。
【0027】
また、本実施の形態では、後側部パネル13、横側部パネル14は連結手段15を解除することにより、可動ピン7、8を支点として内、外方向に約180度の範囲で展開することができる。また、可動ピン7、8を進退させることにより支柱6、6間から後側部パネル13を、支柱4、6間から横側部パネル14を離脱させることもできる。
【0028】
このように開放用側部パネル11、後側部パネル13及び横側部パネル14は回動可能、分離可能であるから、破損したパネルのみを交換することや、分解洗浄を効率よく行うことができる。従って、側部パネル11、13、14のいずれかが損傷して交換が必要な場合も、コンテナを工場に持ち帰って交換作業を行う必要はなく、収納現場で短時間に交換作業を行うことが可能であり、本来の収納作業が阻害される影響も最小限にすることができる。
【0029】
なお、本実施の形態において、4枚の側部パネルの少なくとも1枚の側部パネル11(13、14)は、下部パネル体と上部パネル体の2分割に構成してヒンジにより回動可能に連結し、上部パネル体を外側に二つ折り可能に構成してもよい。
【0030】
このように構成することにより、コンテナ内に収穫物を収納する作業を行う場合に、作業当初は上部パネル体を外側に二つ折りした状態にしておくことにより、作業者は腕を大きく上げたり、頻繁に立ち上がる動作をすることのない楽な動きで収納作業を行うことができるから、作業者の身体的負担を大幅に軽減することができるし、作業効率を上げることができる。そして、下部パネル体の上端まで収穫物を収納したら、上部パネル体を立ち上げて隣接する側部パネルに連結手段15により連結することにより、コンテナの上端にまで収穫物を収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は本発明の実施の形態に係る折畳み型コンテナの全体構成を示す斜視図である。
【図2】パレット部と支柱の斜視図である。
【図3】パレット部に前支柱を設けた部分斜視図である。
【図4】開放用側部パネルの部分拡大図である。
【図5】開放用側部パネルを後方から示す部分拡大図である。
【図6】開放用側部パネルを係止ピンに係合した状態を正面から示す要部説明図である。
【図7】開放用側部パネルを係止ピンに係合して立設した状態を示す説明図である。
【図8】開放用側部パネルがストッパに当接した状態を示す説明図である。
【図9】開放用側部パネルを係止ピンから離脱させた状態を示す説明図である。
【図10】開放用側部パネルをパレット部上に倒置した状態の説明図である。
【図11】折畳み型コンテナを折畳んだ状態の正面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 パレット部
4 前支柱
5 係止ピン
11 開放用側部パネル
11A2 上り傾斜面
12 係合部
13、14 側部パネル
15 連結手段
18 ストッパー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面略四角形のパレット部と、該パレット部の四隅に立設した4本の支柱と、該支柱に軸支することにより回動可能に立設した4枚の側部パネルと、該4枚の側部パネルを係脱可能に枠状に連結する連結手段とからなる折畳み型コンテナであって、前記4枚の側部パネルのうち少なくとも1枚の開放用側部パネルを支持する一対の支柱には、係止ピンを横方向内向きに突設し、前記開放用側部パネルには、下枠材の下面後半を上り傾斜面に形成すると共に、一対の側枠材の下端側前角隅に前記係止ピンが嵌脱自在に嵌合する係合部を設け、前記パレット部の枠材には前記開放用側部パネルの上り傾斜面に当接するストッパーを設けたことを特徴とする折畳み型コンテナ。
【請求項2】
前記係合部は、前記開放用側部パネルを構成する側枠材の下端側前角隅に前面に形成したピン出入溝と、横面に形成したピン係止溝からなる切欠き穴である請求項1記載の折畳み型コンテナ。
【請求項3】
前記4枚の側部パネルは、前記支柱に内方向及び外方向の約180度の範囲で回動可能に軸支してあることを特徴とする請求項1記載の折畳み型コンテナ。
【請求項4】
前記4枚の側部パネルは、前記支柱に係脱可能に設けてあることを特徴とする請求項1記載の折畳み型コンテナ。
【請求項1】
平面略四角形のパレット部と、該パレット部の四隅に立設した4本の支柱と、該支柱に軸支することにより回動可能に立設した4枚の側部パネルと、該4枚の側部パネルを係脱可能に枠状に連結する連結手段とからなる折畳み型コンテナであって、前記4枚の側部パネルのうち少なくとも1枚の開放用側部パネルを支持する一対の支柱には、係止ピンを横方向内向きに突設し、前記開放用側部パネルには、下枠材の下面後半を上り傾斜面に形成すると共に、一対の側枠材の下端側前角隅に前記係止ピンが嵌脱自在に嵌合する係合部を設け、前記パレット部の枠材には前記開放用側部パネルの上り傾斜面に当接するストッパーを設けたことを特徴とする折畳み型コンテナ。
【請求項2】
前記係合部は、前記開放用側部パネルを構成する側枠材の下端側前角隅に前面に形成したピン出入溝と、横面に形成したピン係止溝からなる切欠き穴である請求項1記載の折畳み型コンテナ。
【請求項3】
前記4枚の側部パネルは、前記支柱に内方向及び外方向の約180度の範囲で回動可能に軸支してあることを特徴とする請求項1記載の折畳み型コンテナ。
【請求項4】
前記4枚の側部パネルは、前記支柱に係脱可能に設けてあることを特徴とする請求項1記載の折畳み型コンテナ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−99328(P2007−99328A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−289962(P2005−289962)
【出願日】平成17年10月3日(2005.10.3)
【出願人】(593203619)北海道セイカン工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月3日(2005.10.3)
【出願人】(593203619)北海道セイカン工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
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