説明

折畳み式ステッキのパイプ連結構造

【課題】比較的簡単な操作でステッキを折畳み状態又は伸張状態に変換するとともに、比較的簡単な構造であるため、部品点数及び組立工数を低減する。
【解決手段】折畳み式ステッキは、複数のパイプ11,12と、複数のパイプを直列に連結する複数の連結部材16とを有し、連結部材により複数のパイプが折畳み状態又は伸張状態に変更可能に構成される。一方のパイプ11の端部から凸状部19が突設され、他方のパイプ12の端部内に設けられた凹状部23に凸状部を収容可能な凹部23cが形成される。凸状部を貫通する第1軸21と凹状部を貫通する第2軸22とが連結軸24により連結される。一方のパイプ内又は他方のパイプ内に収容されたバネ26が、一直線状に延ばした第1軸、連結軸及び第2軸を一方のパイプ内又は他方のパイプ内に引込む方向に付勢するとともに、凸状部を凹部に収容する方向に付勢するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折畳み式ステッキの複数のパイプを連結する構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の折畳み式ステッキのパイプ連結構造として、接続される2本のパイプ支柱のうち、一方のパイプ支柱の側端にパイプ側端より飛び出るように略截頭円錐台形状で中央部に中心穴が形成された凸形状連結金具を固着し、他方のパイプ支柱の側端に凸形状連結金具と嵌合するテーパ面を有する凹形状連結金具をパイプ支柱内に固着した、折畳みステッキなどに使用するパイプの接続構造が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。このパイプの接続構造では、凹形状連結金具のテーパ面の先端を開口させこの開口部に凸形状連結金具の中心穴と内径が同じ鉄製スリーブを挿入し、鉄製スリーブのパイプ支柱の側端側となる上端がストッパ金具の先端かぎ部分を掛け止めるように凹形状連結金具のテーパ面との間に段差を設け、パイプ支柱内の凹形状連結金具の先端と中心部に貫通孔が形成されたばね受けの間にコイルスプリングを収納し、ばね受けがコイルスプリングの変形に応じてパイプ支柱内を摺動するように構成される。また縦軸及び横軸からなるL字型に形成され縦軸の先端のかぎ部分が鉄製スリーブを挿通可能な大きさとしたストッパ金具を、コイルスプリング内にかぎ部分が鉄製スリーブ側となるように位置させ、縦軸先端のかぎ部分が鉄製スリーブに掛かった状態で、かぎ部分と凹形状連結金具のテーパ面との間に凸形状連結金具の先端が入り込めるように形成される。
【0003】
ストッパ金具の縦軸と横軸の先端に穴を形成し、縦軸先端の穴に一方のワイヤを連結し、横軸先端の穴に他方のワイヤを連結し、縦軸先端の穴に連結した一方のワイヤを凸形状連結金具の中心穴に挿通し、一方のワイヤの端部を止めリングに連結して凸形状連結金具の中心穴より抜け出ないようにし、横軸先端の穴に連結した他方のワイヤをコイルスプリング内に通してばね受けの中心部の貫通孔に挿通し、他方のワイヤの端部を止めリングに連結してばね受けより抜け出ないようにする。またコイルスプリングが収縮してストッパ金具の先端かぎ部分が鉄製スリーブの上端に掛かった状態で、一方のワイヤがパイプ支柱とパイプ支柱を折り曲げて両方のパイプ支柱を並行にできる長さを有し、他方のワイヤがコイルスプリング収縮時にストッパ金具の先端かぎ部分が鉄製スリーブの上端に掛かる長さを有する。更にパイプ支柱の凹状連結金具にパイプ支柱の凸状連結金具を差し込んでパイプ支柱とパイプ支柱を連結した状態で、ストッパ金具全体がコイルスプリング内に位置するとともに、コイルスプリングが完全には延び切らない状態となるように、一方のワイヤと他方のワイヤの長さが設定される。
【0004】
このように構成されたパイプの接続構造では、ステッキを折畳んだとき、パイプ支柱同士が引き付けあうことがないので傷がつかず、また手を離しても折畳んだ状態が保持されているため取扱い易い。この結果、ステッキとして使用した場合に、カーボンパイプや漆塗り仕上げのように傷の付き易い素材でも折畳み式のステッキの作製が可能となる。更に折畳んだ状態で携帯しているときに、落としたり或いはぶつけてステッキに衝撃を与えても、L字型のストッパ金具が外れることはない。
【特許文献1】特許第3876418号公報(請求項1、段落[0017]、段落[0018]、図3、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の特許文献1に示されたパイプの接続構造では、比較的多くの部品を必要とするため、部品管理が煩雑となるとともに、組立工数が増大する不具合があった。また上記従来の特許文献1に示されたパイプの接続構造では、折畳んだ状態でステッキに衝撃を与えると、その衝撃の作用する方向によっては、L字型のストッパ金具が外れ、コイルスプリングが一方のワイヤを介して凸形状連結金具をパイプ支柱に引込むおそれがあった。
【0006】
本発明の目的は、比較的簡単な操作でステッキを折畳み状態又は伸張状態に変換できるとともに、比較的簡単な構造であるため、部品点数及び組立工数を低減できる、折畳み式ステッキのパイプ連結構造を提供することにある。また本発明の別の目的は、折畳んだ状態でステッキに衝撃を与えても、連結軸が意図せずに一方のパイプ内に引込まれることのない、折畳み式ステッキのパイプ連結構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、図1及び図7に示すように、複数のパイプ11,12と、複数のパイプ11,12を直列に連結する複数の連結部材16とを有し、連結部材16により複数のパイプ11,12が折畳み状態又は伸張状態に変更可能に構成された折畳み式ステッキの改良である。その特徴ある構成は、連結部材16が、一方のパイプ11の端部から突設された凸状部19と、他方のパイプ12の端部内に設けられ凸状部19を収容可能な凹部23cが形成された凹状部23と、凸状部19を貫通する第1軸21と、凹状部23を貫通する第2軸22と、第1軸21と第2軸22とを連結する連結軸24と、一方のパイプ11内又は他方のパイプ12内に収容され一直線状に延ばした第1軸21、連結軸24及び第2軸22を一方のパイプ11内又は他方のパイプ12内に引込む方向に付勢するとともに凸状部19を凹部23cに収容する方向に付勢するバネ26とを有するところにある。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、更に図1に示すように、凸状部19が一方のパイプ11と同心状に設けられ、凹状部23の凹部23cが他方のパイプ12と同心状に設けられ、第1軸21が凸状部19に同心状に形成された第1挿通孔19dに摺動可能に挿通され、第2軸22が凹状部23に同心状に形成された第2挿通孔23dに挿通され、連結軸24の基端部が第1軸21に第1ピン31を介して回動可能に連結され、連結軸24の先端部が第2軸22に第2ピン32を介して回動可能に連結されたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明であって、更に図1に示すように、バネ26が一方のパイプ11に収容され、バネ26が第1軸21及び連結軸24を一方のパイプ11内に引込む方向に付勢し、連結軸24の基端部のうち連結軸24の基端面から所定の距離Lだけ中央寄りの部分が第1軸21に第1ピン31を介して回動可能に連結され、連結軸24を第1軸21に対して直交させ凸状部19の端面に横臥させることにより、連結軸24がバネ26の弾性力にて一方のパイプ11内に引込まれるのを阻止するように構成されたことを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3いずれか1項に係る発明であって、更に図1に示すように、バネ26が圧縮コイルバネであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1及び2に係る発明では、折畳み状態のステッキを伸張状態にするときに、バネの弾性力に抗して第1軸、連結軸及び第2軸を一直線状に延ばすと、バネの弾性力により第1軸、連結軸及び第2軸が一方のパイプ内又は他方のパイプ内に引込まれるとともに凸状部が凹部に収容される。これにより一方のパイプと他方のパイプが凹部に収容された凸状部により伸張状態に固定される。一方、伸張状態のステッキを折畳み状態にするときには、バネの弾性力に抗して凸状部を凹部から引抜くとともに第1軸、連結軸及び第2軸を一方のパイプ内又は他方のパイプ内から引出した後に、一方のパイプの軸心と他方のパイプの軸心を平行にずらす。これにより第2軸が第1軸と平行であるけれども、第2軸の軸心が第1軸の軸心と一致していない状態になるので、他方のパイプを一方のパイプに沿う方向に回転させると、他方のパイプを一方のタイプに対して折畳むことができる。このとき連結軸が第1軸に対して直交しかつ第2軸が連結軸に対して直交しているので、第1軸又は第2軸にバネの弾性力が作用しても、連結軸は一方のパイプ内又は他方のパイプ内に引込まれない。このような簡単な操作によりステッキを伸張状態又は折畳み状態に変換できる。また比較的多くの部品を必要とするため、部品管理が煩雑となるとともに、製作工数が増大する従来のパイプの接続構造と比較して、本発明のステッキは簡単な構造であるため、部品点数及び組立工数を低減できる。
【0011】
請求項3に係る発明では、折畳み状態のステッキを伸張状態にするときに、バネの弾性力に抗して第1軸、連結軸及び第2軸を一直線状に延ばすと、バネの弾性力により第1軸、連結軸及び第2軸が一方のパイプ内に引込まれるとともに凸状部が凹部に収容される。これにより一方のパイプと他方のパイプが凹部に収容された凸状部により伸張状態に固定される。一方、伸張状態のステッキを折畳み状態にするときには、バネの弾性力に抗して凸状部を凹部から引抜くとともに第1軸、連結軸及び第2軸を一方のパイプ内から引出した後に、他方のパイプを一方のパイプに対して軸心を平行にずらす。これにより第2軸が第1軸と平行であるけれども、第2軸の軸心が第1軸の軸心と一致していない状態になるので、他方のパイプを第2ピンを中心に回転させると、他方のパイプを一方のタイプに対して折畳むことができる。このように簡単な操作でステッキを伸張状態又は折畳み状態に変換できる。またステッキを折畳み状態にしたとき、連結軸の基端部のうち連結軸の基端面から所定の距離だけ中央寄りの部分が第1軸に第1ピンを介して回動可能に連結され、連結軸が第1軸に対して直交しかつ凸状部の端面に横臥するので、連結軸にバネの弾性力が作用しているけれども、連結軸が一方のパイプ内に引込まれるのを確実の防止できる。このため折畳み状態のステッキに衝撃を与えても、連結軸が意図せずに第1パイプ内に引込まれることはない。
【0012】
請求項4に係る発明では、バネが圧縮コイルバネであるので、バネを凸状部と第1軸との間に介装するか或いは凹状部と第2軸との間に介装することにより、連結部材を仮組みした後にパイプに組込むことができる。この結果、ステッキを容易に組立てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。図1及び図7に示すように、折畳み式ステッキ10は、複数のパイプ11〜14と、これらのパイプを直列に連結する複数の連結部材16とを有する。パイプ11〜14の本数は、この実施の形態では、4本である。これらのパイプは、一端に使用者が把持するハンドル17が取付けられた第1パイプ11と、第1パイプ11の他端に連結部材16を介して一端が連結された第2パイプ12と、第2パイプ12の他端に連結部材16を介して一端が連結された第3パイプ13と、第3パイプ13の他端に連結部材16を介して一端が連結された第4パイプ14とからなる。上記第1〜第4パイプ11〜14は連結部材16により折畳み状態又は伸張状態に変更可能に構成される。また上記第1及び第2パイプ11,12を連結する連結部材16と、第2及び第3パイプ12,13を連結する連結部材16と、第3及び第4パイプ13,14を連結する連結部材16は全て同一に構成されるので、第1及び第2パイプ11,12を連結する連結部材16を代表して説明し、第2及び第3パイプ12,13を連結する連結部材16の説明と、第3及び第4パイプ13,14を連結する連結部材16の説明は省略する。なお、図1中の符号18は第4パイプ14の他端に取付けられた石突き部材である。また、パイプの本数は4本ではなく、2本、3本又は5本以上であってもよい。
【0014】
連結部材16は、第1パイプ11の端部から突設された凸状部19と、第2パイプ12の端部内に設けられた凹状部23と、凸状部19を貫通する第1軸21と、凹状部23を貫通する第2軸22と、第1軸21と第2軸22とを連結する連結軸24と、第1パイプ11内に収容されたバネ26とを有する(図1〜図4)。凸状部19は、第1パイプ11の端部に挿着される凸状部用挿着片19aと、この凸状部用挿着片19aと一体的に設けられ凸状部用挿着片19aより大径に形成された凸状部用フランジ19bと、凸状部用フランジ19bと一体的に設けられ凸状部用挿着片19aの第1パイプ11への挿着時に第1パイプ11の端部から突出する凸状部用突出片19cと、凸状部用挿着片19aと凸状部用フランジ19bと凸状部用突出片19cを貫いて形成された第1挿通孔19dとからなる(図1及び図4)。上記凸状部用挿着片19aと凸状部用フランジ19bと凸状部用突出片19cはこれらの軸心が一致するように形成される。これにより凸状部用挿着片19aの第1パイプ11への挿着時に、凸状部用突出片19cが第1パイプ11と同心状になる。また第1挿通孔19dは、その孔心が凸状部用挿着片19aと凸状部用フランジ19bと凸状部用突出片19cの各軸心と一致するように形成される。更に凸状部用突出片19cの基端部は円筒状に形成され、凸状部用突出片19cの中央部から先端部にかけては先細りのテーパ状に形成される。
【0015】
一方、凹状部23は、第2パイプ12の端部に挿着される凹状部用挿着片23aと、この凹状部用挿着片23aと一体的に設けられ凹状部用挿着部23aより大径に形成された凹状部用フランジ23bと、凹状部用フランジ23bから凹状部用挿着片23aにかけて形成され凸状部用突出片19cを収容可能な凹部23cと、この凹部23cの底部を形成する底壁23eを貫く第2挿通孔23dとからなる(図1及び図4)。凹部23cの孔心は凹状部用挿着片23aと凹状部用フランジ23bの軸心に一致するように形成される。これにより凹状部用挿着片23aの第2パイプ12への挿着時に、凹部23cが第2パイプ12と同心状になる。また第2挿通孔23dは、その孔心が凹状部用挿着片23aの軸心と一致するように形成される。更に凹部23cの内径は凸状部用突出片19cの基端部の外径より僅かに大きく形成される。これにより凹部23cに凸状部用突出片19cがスムーズに収容されるとともに、収容後に凸状部用突出片19cが凹部23c内でがたつかないようになっている。
【0016】
第1軸21は、第1挿通孔19dに摺動可能に挿通された第1軸本体21aと、第1軸本体21aの基端にこの第1軸本体と一体的に設けられ第1軸本体より大径の第1ストッパ部21bと、第1軸本体21aの先端に形成された第1ピン孔21cと、第1軸本体21aの先端に所定の幅及び所定の深さに切欠いて形成された第1溝21dとからなる(図1、図4及び図5)。また第2軸22は、第2挿通孔23dに摺動可能に挿通された第2軸本体22aと、第2軸本体22aの基端にこの第2軸本体と一体的に設けられ第2軸本体より大径の第2ストッパ部22bと、第2軸本体22aの先端に形成された第2ピン孔22cと、第2軸本体22aの先端に所定の幅及び所定の深さに切欠いて形成された第2溝22dとからなる(図1、図4及び図6)。更に連結軸24は、円柱状の軸本体24aと、軸本体24aの基端部に形成され第1溝21dに挿入可能な第1板状部24bと、軸本体24aの先端部に形成され第2溝22dに挿入可能な第2板状部24cと、第1板状部24bに形成され第1板状部の第1溝21dへの挿入時に第1ピン孔21cに一致する第1ピン通孔24dと、第2板状部24cに形成され第2板状部の第2溝22dへの挿入時に第2ピン孔22cに一致する第2ピン通孔24eとからなる。
【0017】
バネ26は、この実施の形態では、圧縮コイルバネである。このバネ26は第1軸21に遊嵌され、バネ26の一端は第1ストッパ部21bに圧接され、バネ26の他端は凸状部用挿着片19aの端面に圧接される(図1〜図4)。また第1板状部24bの第1溝21dへの挿入時に第1ピン孔21c及び第1ピン通孔24dに第1ピン31を挿通することにより、連結軸24の基端部が第1軸21に第1ピン31を介して回動可能に連結される。更に第2板状部24cの第2溝22dへの挿入時に第2ピン22c孔及び第2ピン通孔24eに第2ピン32を挿通することにより、連結軸24の先端部が第2軸22に第2ピン32を介して回動可能に連結される。上記バネ26は、ステッキ10の折畳み状態で第1軸21及び連結軸24を第1パイプ11内に引込む方向に付勢し、ステッキ10の伸張状態で一直線状に延ばした第1軸21、連結軸24及び第2軸22を第1パイプ11内に引込む方向に付勢するとともに凸状部用突出片19cを凹部23cに収容する方向に付勢する。
【0018】
一方、連結軸24の基端部のうち連結軸の基端面から所定の距離Lだけ中央寄りの部分が第1軸21に第1ピン31を介して回動可能に連結される(図1(a)及び図2)。上記所定の距離Lは、第1挿通孔19dの孔径をDとし、凸状部用突出片19cの先端の肉厚をtとするとき、L>0.5D、好ましくは(D+t)>L>(0.5D+t)の範囲に設定される。即ち、連結軸24が第1軸21に対して直交し凸状部用突出片19cの端面に横臥する(横たわる)ように構成することにより、連結軸24がバネ26の弾性力にて第1挿通孔19d内、即ち第1パイプ11内に引込まれるのを阻止するように構成される。ここで、所定の距離Lを0.5Dより大きい範囲に限定したのは、0.5D以下では連結軸24が第1挿通孔19dに意図せずに没入するおそれがあるからである。また所定の距離Lの好ましい範囲の上限を(D+t)未満に限定したのは、(D+t)以上にすると連結軸24の第1挿通孔19dへの挿脱時における操作動作や操作力が徒らに増大してしまうからである。なお、この実施の形態では、バネを第1パイプ内に収容し、このバネが一直線状の第1軸、連結軸及び第2軸を第1パイプ内に引込む方向に付勢するように構成したが、バネを第2パイプ内に収容し、このバネが一直線状の第2軸、連結軸及び第1軸を第2パイプ内に引込む方向に付勢するように構成してもよい。また、バネは圧縮コイルバネではなく引っ張りコイルバネであってもよい。
【0019】
このように構成された折畳み式ステッキ10の組立手順を説明する。先ずバネ26を遊嵌した第1軸21を凸状部19の第1挿通孔19dに挿通した後に、第1軸21の先端に連結軸24の基端部を第1ピン31を介して連結する(図1及び図4)。次いで凹状部23の第2挿通孔23dに第2軸22を挿通した後に、第2軸22の先端に連結軸24の先端部を第2ピン32を介して連結する。これにより連結部材16の仮組みが完了する(図2及び図3)。次に第1パイプ11の他端に凸状部用挿着片19aを挿着するとともに、第2パイプ12の一端に凹状部用挿着片23aを挿着する(図1及び図4)。第2パイプ12の他端と第3パイプ13の一端も上記と同様にして連結部材16により連結し、第3パイプ13の他端と第4パイプ14の一端も上記と同様にして連結部材16により連結する(図7)。更に第1パイプ11の一端にハンドル17を取付け、第4パイプ14の他端に石突き部材18を取付ける(図7)。このように簡単な工程でステッキ10を組立てることができる。
【0020】
このように構成された折畳み式ステッキ10の動作を説明する。折畳み状態のステッキ10を伸張状態にするときには、先ず第2パイプ12を第2ピン32を中心に回転させて第2軸22を第1軸21と平行にする(図1(b))。このとき第2軸22の軸心は第1軸21の軸心と一致していない。次に第2パイプ12を第1パイプ11から離す方向に引っ張ると、第1軸21、連結軸24及び第2軸22の軸心は一致して一直線状に延びる(図1(c))。この状態で第2軸22を引っ張る力を徐々に緩めると、バネ26の弾性力により第1軸21と連結軸24と第2軸22の一部とが第1挿通孔19d内、即ち第1パイプ11内に引込まれるとともに、凸状部用突出片19cが凹部23cに収容される。これにより第1パイプ11と第2パイプ12が凹部23cに収容された凸状部19により伸張状態に固定される(図1(d))。上記と同様に、第3パイプ13を第2パイプ12に対して伸張状態に固定し、第4パイプ14を第3パイプ13に対して伸張状態に固定する。このような簡単な操作でステッキを伸張状態に変換できる。
【0021】
一方、伸張状態のステッキ10を折畳み状態にするときには、先ずバネ26の弾性力に抗して第2パイプ12を第1パイプ11から離す方向に引っ張ると、凸状部用突出片19cが凹部23cから離脱するとともに、第2軸22と連結軸24と第1軸21の一部とが第1パイプ11内から引出される(図1(c))。この状態で第2パイプ12を第1パイプ11に対して軸心をずらす方向に平行移動させると、第2軸22が第1軸21と平行であるけれども、第2軸22の軸心が第1軸21の軸心と一致していない状態、即ち第1軸21と連結軸24と第2軸22とが階段状になる(図1(b))。次に第2パイプ12を第2ピン22を中心に回転させると、第2パイプ12は第1パイプ11に折畳まれる(図1(a))。上記と同様に、第3パイプ13を第2パイプ12に折畳み、第4パイプ14を第3パイプ13に折畳む(図7)。このような簡単な操作でステッキ10を折畳み状態に変換できる。またステッキ10を折畳み状態にしたとき、連結軸24の基端部のうち連結軸24の基端面から所定の距離Lだけ中央寄りの部分が第1軸21に第1ピン31を介して回動可能に連結され、連結軸24が第1軸21に対して直交しかつ凸状部用とっしゅへん19cの端面に横臥する(横たわる)ので(図1(a))、連結軸24にバネ26の弾性力が作用しているけれども、連結軸24が第1挿通孔19d内、即ち第1パイプ11内に引込まれるのを確実の防止できる。このため折畳み状態のステッキ19に衝撃を与えても、連結軸24が意図せずに第1挿通孔19d内、即ち第1パイプ11内に引込まれることはない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(a)は本発明実施形態の折畳み式ステッキのパイプ連結構造を示す図7のA部拡大図であり、(a)〜(d)は折畳状態のパイプを伸張状態にする操作手順を示す図である。
【図2】折畳み状態の連結部材の正面図である。
【図3】伸張状態の連結部材の正面図である。
【図4】図1(d)のB−B線断面図である。
【図5】図4のC−C線断面図である。
【図6】図4のD−D線断面図である。
【図7】折畳んだ状態の折畳み式ステッキの正面図である。
【符号の説明】
【0023】
10 折畳み式ステッキ
11 第1パイプ(一方のパイプ)
12 第2パイプ(他方のパイプ)
16 連結部材
19 凸状部
19d 第1挿通孔
21 第1軸
22 第2軸
23 凹状部
23c 凹部
23d 第2挿通孔
24 連結軸
26 バネ
31 第1ピン
32 第2ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパイプ(11,12)と、前記複数のパイプ(11,12)を直列に連結する複数の連結部材(16)とを有し、前記連結部材(16)により前記複数のパイプ(11,12)が折畳み状態又は伸張状態に変更可能に構成された折畳み式ステッキにおいて、
前記連結部材(16)が、
一方のパイプ(11)の端部から突設された凸状部(19)と、
他方のパイプ(12)の端部内に設けられ前記凸状部(19)を収容可能な凹部(23c)が形成された凹状部(23)と、
前記凸状部(19)を貫通する第1軸(21)と、
前記凹状部(23)を貫通する第2軸(22)と、
前記第1軸(21)と第2軸(22)とを連結する連結軸(24)と、
前記一方のパイプ(11)内又は前記他方のパイプ(12)内に収容され一直線状に延ばした前記第1軸(21)、前記連結軸(24)及び前記第2軸(22)を前記一方のパイプ(11)内又は前記他方のパイプ(12)内に引込む方向に付勢するとともに前記凸状部(19)を前記凹部(23c)に収容する方向に付勢するバネ(26)と
を有することを特徴とする折畳み式ステッキのパイプ連結構造。
【請求項2】
凸状部(19)が一方のパイプ(11)と同心状に設けられ、
凹状部(23)の凹部(23c)が他方のパイプ(12)と同心状に設けられ、
第1軸(21)が前記凸状部(19)に同心状に形成された第1挿通孔(19d)に摺動可能に挿通され、
第2軸(22)が前記凹状部(23)に同心状に形成された第2挿通孔(23d)に挿通され、
連結軸(24)の基端部が前記第1軸(21)に第1ピン(31)を介して回動可能に連結され、
前記連結軸(24)の先端部が前記第2軸(22)に第2ピン(32)を介して回動可能に連結された請求項1記載の折畳み式ステッキのパイプ連結構造。
【請求項3】
バネ(26)が一方のパイプ(11)に収容され、
前記バネ(26)が第1軸(21)及び連結軸(24)を一方のパイプ(11)内に引込む方向に付勢し、
前記連結軸(24)の基端部のうち前記連結軸(24)の基端面から所定の距離(L)だけ中央寄りの部分が前記第1軸(21)に第1ピン(31)を介して回動可能に連結され、
前記連結軸(24)を前記第1軸(31)に対して直交させ凸状部(19)の端面に横臥させることにより、前記連結軸(24)が前記バネ(26)の弾性力にて前記一方のパイプ(11)内に引込まれるのを阻止するように構成された請求項2記載の折畳み式ステッキのパイプ連結構造。
【請求項4】
バネ(26)が圧縮コイルバネである請求項1ないし3いずれか1項に記載の折畳み式ステッキのパイプ連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−124920(P2010−124920A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300380(P2008−300380)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000109923)トーソー株式会社 (84)