説明

抜け防止機構付き被包装体用カバー

【課題】少なくとも一方側の端面が開口した筒状の極めて簡単な形状を有する商品用カバーであって、輸送等において商品が当該カバーより外れることなく、しかも作業性にすぐれた商品用カバーの提供。
【解決手段】少なくとも一方側の端面13が開口した筒状の商品用カバー1に、前記開口部の周縁の一部に、折り目が付されること無く屈曲させて、当該カバー1の内面と商品表面との間に挿入されるスリップ片2を備えることで、挿入する商品が固定され、輸送等の振動においても外れることなく商品の保護が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被包装体(以下「商品」という。)のカバーに関し、詳しくは、商品の抜け防止機構を具備した商品用カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧料等の商品は、ファッション性やデザインが重要視されるため、種々の美しい加工等がなされている。そして、外箱は、輸送過程において、衝撃や箱同士の接触等により、傷つき商品価値を損なわないようにカバーで覆い流通させている。
従来から用いられている商品用カバーは、商品本体を保護するという目的から、コストが重要になるため、両端が開口した筒状等の極めて簡単な形状や構造を有する場合が多い。
【0003】
しかしながら、両端が開口した筒状の商品用カバーの場合は、当該カバーの内寸と商品の外寸に余裕がある場合は、輸送過程において振動等により、商品が当該カバーより外れるという問題が発生する。また、当該カバーの内寸と商品の外寸が同寸に近づくにつれ、商品がカバーから外れるという問題は少なくなるものの、商品にカバーを覆う作業がし難くなるという生産上の問題が発生する。
【0004】
そこで、商品用カバーについて、先行技術を調査したところ、底抜け防止用の包装箱に関するもの(下記特許文献1参照)や不正開封防止用の箱機構に関するもの(下記特許文献2参照)は存在するものの、本発明に類似するような商品用カバーは存在しない。
【特許文献1】特開平8−244762号公報
【特許文献2】特開2005−145523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、少なくとも一方側の端面が開口した筒状の極めて簡単な形状を有する商品用カバーであって、輸送等において商品が当該カバーより外れることなく、しかも作業性にすぐれた商品用カバーの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、発明者は鋭意検討を重ねた結果、少なくとも一方側の端面が開口した筒状の商品用カバーに前記開口部の周縁の一部に、折り目が付されること無く屈曲させて、当該カバーの内面と商品表面との間に挿入されるスリップ片を備えることで、挿入する商品が固定され、輸送等の振動においても外れることがないことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明の商品用カバーは、両端が開口した筒状の商品用のカバーであって、前記開口部の周縁の一部を切り欠き、当該切り欠きの底縁に前記スリップ片を備えることで、生産工程中の商品挿入時に、当該スリップ片を折り目が付されること無く屈曲させて、当該カバーの内面と商品表面との間に無理なく挿入させて商品を固定することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の商品用カバーは、少なくとも一方側の端面が開口した筒状であって、前記開口部の周縁の一部を切り欠き、当該切り欠きの底縁に設ける前記スリップ片が簡易な構造を有する為、生産工程中の商品挿入時に装着が容易に可能であり、しかも商品の外れを防止する効果が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の商品用カバーについて、図面を用い説明する。
【0010】
本発明の商品用カバーは、少なくとも一方側の端が開口した筒状を有することを特徴とするが、そこの設けるスリップ片の位置については、当該開口部の周縁に設けることが可能で、その位置は、4箇所ある開口部の周縁であれば何れの位置でも良く、開口部を挟む対称の2箇所に設けても良い。但し、スリップ片を開口部の周縁4箇所全てに設けた場合や開口部の両端の周縁部にそれぞれ設けた場合は、商品を挿入する作業工程において、前記の場合と比較して作業効率が低下する場合がある。また、筒状の正面部に四角形状の開口部を設け、その開口部の周縁部に両端と同方向の一辺にスリップ片を設けることも可能である。この場合、挿入する商品を挟み対称となるように2箇所の四角形開口部を設け、同方向に各1箇所の1辺、計2箇所のスリップ片を設けることも可能である。そして、上記記載のスリップ片を設ける開口部の形状やそこに設けるスリップ片の位置や形状について、本発明の効果を有する範囲において制限はされない。
【0011】
また、本発明の商品用カバーに設けるスリップ片について、端が開口した筒状の開口部の周縁を切り欠き、当該切り欠き部にスリップ片を設けることが可能で、切り欠き部を設けることにより、商品挿入時にスリップ片を商品用カバーと商品の隙間に挿入する作業がよりし易くなる。この場合の切り欠き部の長さは、特に制限はないが、あまり長すぎると商品用カバーの強度が低下し、短すぎると作業効率の向上が少なくなるため、1〜20mmが好ましく、特に3〜10mmが好ましい。
【実施例】
【0012】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
【0013】
図1には、従来の商品用カバーを示す。
【0014】
図2には、本発明の商品用カバーを示す。
【0015】
図3には、本発明の商品用カバーであって、端面開口部の周縁部の1つ及びそれに設けられたスリップ片を拡大した図を示す。
【0016】
図4には、本発明の商品用カバーであって、本体筒状胴部に開口部を設け、そこにスリップ片を設けた状態を示す。
【0017】
図5には、本発明の商品用カバーに商品を収納したときのスリップ片の状態を示す。
【0018】
図6には、本発明の商品カバー本体筒状胴部に開口部を設け、当該開口部の1辺にスリップ片を設けた商品カバーに商品を収納したときのスリップ片の状態を示す。
【0019】
図1に示すように、従来の商品用カバーは両端が開口した角筒状をしており、開口部より商品を挿入する。この場合、商品は商品用カバーのどちらか一方の開口部より挿入することとなるが、開口部の内径と商品の外径の寸法に余裕があり過ぎると輸送過程等において商品用カバーより商品が外れることがあり、前記寸法に余裕が無い場合は、商品用カバーに商品を挿入する作業がし難くなり、生産効率が低下する。
【0020】
本発明の商品用カバーは、図2に示すとおり両端が開口した角筒状を有しており、前記開口部の周縁部の一部に切り欠き3を設け、そこにスリップ片2を設けたことを特徴とし、前記スリップ片2は、商品を商品用カバー1に開口部4より挿入する際、スリップ片を商品と商品用カバー内面の隙間に挿入させることにより、図5及び図6に示すように商品が商品用カバー内でスリップ片により固定され、輸送過程等において商品用カバーより商品が外れることがなくなる。
【0021】
本発明の商品用カバーに設けるスリップ片の位置は、図3に示すように、両端が開口した角筒状を有した本体の開口部の周縁部の一部に切り欠き3を設け、その切り欠き部分に延接するようにスリップ片を設けるのが好ましい。その切り欠き部の大きさは、特に制限はないが、開口部の端13より筒状本体側面11の内方向に1〜20mm程度設けることが好ましく、特に3〜10mmが好ましい。
【0022】
本発明の商品用カバーに設けるスリップ片2の大きさは、商品用カバーの大きさにもよるが延接する部分の長さについては筒状本体側面11の長さ内であれば特に制限はなく、スリップ片の長さは筒状本体側面11の長さの1/2〜1/5程度になることが好ましい。またスリップ片端部14の大きさは、筒状本体側面11の横幅以下であれば特に制限はなく、筒状本体側面11の横幅よりも1〜5mm程度短いことが好ましい。
【0023】
また、図4に示すように、本発明の商品用カバーに設けるスリップ片の位置は、角筒状本体正面12中央に開口部5を設け、その開口部周縁の1辺にスリップ片2を設けることも可能で、その際には段落0019〜0020で記載したスリップ片と同様の大きさで設けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の商品用カバーは、少なくとも一方側の端面が開口した筒状であって、前記開口部の周縁の一部を切り欠き、当該切り欠きの底縁に設ける前記スリップ片が簡易な構造を有する為、生産工程中の商品挿入時に装着が容易に可能であり、しかも商品の外れを防止する効果が高いため、化粧品の他繊細な外装を要する物品の商品カバーとして広く応用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】従来の商品用カバーの斜視図。
【図2】本発明の商品用カバーの斜視図。
【図3】本発明の商品用カバーであって、端面開口部の周縁部の1つ及びそれに設けられたスリップ片の拡大図。
【図4】本発明の商品用カバーであって、本体筒形部の正面部に開口部を設け、そこにスリップ片を設けた斜視図。
【図5】本発明の商品用カバーであって、本発明の商品用カバーに商品を収納したときのスリップ片の状態を示した。
【図6】本発明の商品カバー本体筒状胴部に開口部を設け、当該開口部の1辺にスリップ片を設けた商品カバーに商品を収納したときのスリップ片の状態を示す。
【符号の説明】
【0026】
1 商品用カバー本体
11 商品用カバー側面部
12 商品用カバー正面部
13 端面に設けた開口部の端部
14 切り欠き部の側面
2 スリップ片
21 スリップ片側面部
22 スリップ片端部
3 切り欠き部
4 商品用カバー開口部(商品挿入口)
5 商品用カバー正面部に設けた開口部
51 商品用カバー正面部に設けた開口部の周縁部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方側の端面が開口した筒状をした商品用のカバーであって、前記開口の周縁の一部に、折り目が付されることなく屈曲させて、当該カバーの内面と前記被包装体表面との間に挿入されるスリップ片が備えられたことを特徴とする商品用のカバー。
【請求項2】
前記周縁の一部を切り欠き、当該切り欠きの底縁に前記スリップ片が備えられたことを特徴とする請求項1に記載の商品用のカバー。
【請求項3】
前記切り欠きの少なくとも一方の切り欠き縁と前記スリップ片との間に隙間が設けられたことを特徴とする請求項2に記載の商品用のカバー。
【請求項4】
前記カバーは角柱状であって、対向する周縁に前記スリップ片が備えられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の商品用のカバー。
【請求項5】
少なくとも一方側の端面が開口した筒状をした商品用のカバーであって、前記カバー体の周面に開設された開口の周縁の一部に、折り目が付されることなく屈曲させて、当該カバーの内面と前記被包装体表面との間に挿入されるスリップ片を備えたことを特徴とする請求項4に記載の商品用のカバー。
【請求項6】
前記カバー体の周面に開設された開口の周縁のうち、被包装体の挿入方向にある周縁に前記スリップ片が備えられたことを特徴とする請求項5に記載の商品用のカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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