説明

抱っこ用上着

【課題】通常の上着としても乳幼児を抱っこしたりおんぶしたりする上着としても利用できる抱っこ用上着を提供する。
【解決手段】本発明の抱っこ用上着は、前身頃1と後身頃2からなる上着において、前身頃1の下方位置で後身頃2の下端縁26と同じ位置にある下端縁25よりも延出させた最下端縁24を形成し、下端縁25の上方に乳幼児の足を入れる一対の穴7を形成し、この最下端縁24を折り返して袋状に保持する手段を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乳幼児を抱っこしたりおんぶしたりするベストやカーディガンなどの抱っこ用上着に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乳幼児を抱っこしたりおんぶしたりする際、乳幼児を覆って着用する抱っこ用上着が種々提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1記載のようにコート本体の後身頃が中心部において左右の後身頃半体に分離可能とされているとともに、前身頃が中心部において左右の前身頃半体に分離可能とされ、分離した左右の後身頃半体または前身頃半体の間に被覆用補助布を装着することにより後身頃の身幅または前身頃の身幅を拡大し、着用者が背負いまたは前抱きした乳幼児を覆って着用する子守用コートが提案されている。
【0004】
また、特許文献2記載のように親が、大人服を着用し、子供キャリアにより赤ちゃんを横抱きに抱っこした状態においては、大人服に設けられた上部接続具のメス型バックルに、子供キャリアのオス型バックルが連結され、大人服に設けられた下部接続具のリング状バックルに子供キャリアのクリップが係合して着脱自在に取り付ける構成により、装着時において、外観の印象が通常の衣服を着ている状態と変わりない、子守帯としての機能を有する大人服が提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開平10−130914号公報
【特許文献2】再公表WO2003/082034号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1で提案の子守用コートは抱っこした乳幼児を寒さから守るコートであるが、首の座らない6ヶ月位までの乳児は横抱っこが好ましいにも関わらず横抱っこには不向きであり、特許文献2で提案の大人服は子供キャリアを着脱自在に取り付ける構成であるので、子供キャリアの不使用時は荷物になるなどの問題がある。
【0007】
本発明は上記のように着用者が身体からはずして外出などするとカバンに入れたり手に持ったりして荷物になるなどの不便さを解消し、通常の上着としても乳幼児を抱っこしたりおんぶしたりする上着としても利用できる抱っこ用上着を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前身頃と後身頃からなる上着において、前身頃の下方位置で後身頃の下端縁よりも延出させた延長部を形成し、前身頃下端縁の上方に乳幼児の足を入れる一対の穴を形成し、前身頃の下端縁より延出させた延長部の最下端縁を折り返して袋状に保持する保持手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
前記前身頃の最下端縁を折り返して延長部を形成した両側の開口端を開閉自在としたことを特徴とする。
【0010】
前記保持する手段が前身頃延長部の最下端縁と前身頃または後身頃の肩部とを2本の
補助ベルトで着脱可能に結合することを特徴とする。
【0011】
前記保持する手段が前身頃延長部の最下端縁に設けた一対のD管金具と前身頃または後身頃の肩部に設けたそれぞれ一対の肩用D管金具とを2本の抱っこ用補助ベルトのそれぞれの引掛け金具で連結する構成としたことを特徴とする。
【0012】
前記前身頃と後身頃とを肩部で連結し、前身頃の下端縁と後身頃下端縁とを前後に分離させて前身頃または後身頃の肩部に肩用D管金具を設け、前記前身頃と後身頃とをその両脇に設けたファスナーにて接離可能にした前身頃と後身頃からなる上着において、後身頃の下方位置で両端に連結可能な一対の連結金具を有する腰部補強ベルトを横一文字に配置させ、かつ両端に一対の連結金具を有する袖ぐり部補強ベルトを腰部補強ベルトよりも上方位置に横一文字に配置させ、この腰部補強ベルトに一端部を固着した垂直補強ベルトの他端を前身頃または後身頃の肩部を介して前身頃延長部の最下端縁に固着させて、前身頃延長部の最下端縁に設けた前身頃裾補強ベルト両端に袖ぐり部補強ベルト両端の一対の連結金具を設けたことを特徴とする。
【0013】
又前記抱っこ用上着は、さらに、前記前身頃延長部14の最下端縁24に設けたD管金具12、12に2本のおんぶ用補助ベルト18のそれぞれの一端に有する連結金具19Aを連結し、それぞれのおんぶ用補助ベルト18を肩用D管金具11を介して胸部前面で交差するようにそれぞれのおんぶ用補助ベルト18の他端19B同士を連結させて乳幼児をおんぶすることもできるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
上記連結手段はD管金具を使用した場合を例示したがD管金具に限らず、ループ状の固定部材を用いてもよい。例えば、布、革、合成樹脂等を用いてもよい。
【0015】
請求項1記載の発明によれば、横抱っこや縦抱っこができ荷物にならない抱っこ用上着で前身頃下方位置に一対の穴を形成し幼児の足を入れることで安定した抱っこができる事を提供できる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、前記前身頃最下端縁24を折り返して袋状に形成した両側の開口端を開閉自在としたことにより乳幼児を横抱っこした時、滑り落ちないようにし、延長部14にネット素材などの生地を張りポケットとして使用することができる。
【0017】
請求項3、4記載の発明によれば、前身頃延長部14の最下端縁24に設けた一対のD管金具12、12と前身頃1または後身頃2の肩部23に設けたそれぞれ一対の肩用D管金具11とを2本の抱っこ用補助ベルト15のそれぞれの引掛け金具16Aおよび16Bで連結する事で、抱っこの際に手に負担がかかるのを軽減することができる。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、乳幼児の体重を分散できるため通気性や耐久性のある生地などのどんな生地の上着であっても上着の生地が損傷せず横抱っこ、縦抱っこができ、乳幼児の縦抱っこは動いても落下しないように着用者と密着することができる。
【0019】
又 乳幼児を抱っこした状態で2本のおんぶ補助用ベルト18によりおんぶができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施形態を図面に基づいて以下、説明する。
【0021】
図1から図6において、本発明の実施形態の上着として袖のない通気性、耐久性のある生地でできたベストを図示しているが、カーディガンのような袖のある上着でもよい。ネット素材であれば、上着として身に付けて移動し、よちよち歩いている時、ベビーカーに乗っている時などに泣き出してもすぐにそのまま抱っこでき夏でも涼しく使用できる。この上着における前身頃1と後身頃2とは肩部でつながっており、前身頃1と後身頃2とはその両脇に設けたファスナー13の開閉操作にて接離可能にして脱ぎ着が簡単にできる。この場合、ファスナー13を途中まで開けて使用することにより抱っこスペースを大きくとることができるが、前身頃1と後身頃2とが分離しない構成のベストなどの上着であってもよい。又抱っこする身頃部にもう1枚の前身頃を設ける事により冷房対策 春 秋の肌寒い時期の寒さ対策も可能である。
【0022】
前身頃1の下方位置で後身頃2の下端縁26と同じ位置にある下端縁25よりも延長させた最下端縁24が形成されており、下端縁25の上方に乳幼児の足を入れる前身頃1の丈の裾に相当する最下端縁24と平行に左右一対の穴7が形成されている。この最下端縁24において、乳幼児のお尻を包み込む厚み分を加えた前身頃延長部14の最下端縁24を後身頃2の丈に合わせ外側に折り返して前身頃1の一部を重ねる。折り返した前身頃延長部14の部分は乳幼児を収容できるとともにポケットなどに利用することができる。
【0023】
次に、最下端縁24を折り返して袋状に保持する手段について、説明する。
【0024】
前身頃1の最下端縁24には一対のD管金具12が設けられており、前身頃1および後身頃2の肩部23にも一対の肩用D管金具11が設けられている。図9に示す付属の2本の抱っこ用補助ベルト15のそれぞれの引掛け金具16Aおよび16BをD管金具12および肩用D管金具11に連結する構成により最下端縁24を折り返して袋状に保持する手段としている。乳幼児の縦抱っこは動いても落下しないように着用者と密着するように横抱っこ時の抱っこ用補助ベルト15の長さを長さ調整金具17にて短く調整して固定する。
【0025】
また、本発明の実施形態では、図2において、前身頃1および後身頃2の肩部23で縫い合わせ、身頃脇下にあるファスナー13を全開することにより脱ぎ着しやすい。身頃脇下にあるファスナー13を途中まで開けて使用することにより抱っこスペースを大きくとることが可能である。この場合、抱っこ用上着が乳幼児の体重で下に下がらないように体重を分散させ、おんぶができるようにした構成のベストを抱っこ用上着とした実施形態について、以下説明する。
【0026】
後身頃2の下方位置で両端に互いに連結可能な連結金具10A、10Bを有する腰部補強ベルト4を横一文字に配置させかつ両端に連結金具8A、8Bを有する袖ぐり部補強ベルト3を腰部補強ベルト4よりも上方位置に横一文字に配置させ、垂直補強ベルト6の一端を腰部補強ベルト4に縫い合わせて固着し、他端を前身頃1および後身頃2の肩部の一対の肩用D管金具11を介して前身頃1の最下端縁24に同様に縫い合わせて固着させて、前身頃1の最下端縁24に縫い合わせて固着した前身頃裾補強ベルト5の両端に連結金具9A、9Bを設け、上記連結金具8A、8Bと連結可能な連結金具9A、9Bを袖ぐり部補強ベルト3の両端に設けて、前身頃1の最下端縁24に設けた一対のD管金具12、12と前身頃1および後身頃2の肩部に設けたそれぞれ一対の肩用D管金具11とを2本の抱っこ用補助ベルト15のそれぞれの引掛け金具16Aおよび16Bで後身頃2それぞれの肩部23に肩用D管金具11が設けられている。また、後身頃2の腰部分で腰部補強ベルト4の両端10A、10Bを連結固定して乳幼児の横抱っこ(図5)や縦抱っこ(図6)の際前身頃1に体重がかかっても前身頃1のずり落ちを防止する。
【0027】
さらに、乳幼児を横抱っこした時、滑り落ちないようにする構成について図5に基づいて以下、説明する。
【0028】
抱っこ用上着の身頃脇下に位置したファスナー13の前身頃1の両脇に紐22を通し、その紐22で絞り、丸みを作り、その丸みを保つ紐どめ金具21をつける。このように、前身頃1の両脇に紐22を通し、その紐22を絞り、丸みを作ることにより、最下端縁24を折り返して袋状を形成した両側の開口端を開閉自在として、乳幼児を横抱っこした時、滑り落ちないようにする。また、最下端縁24を折り返した袋状の部分を乳幼児に必要なおしゃぶり、ハンカチやおもちゃなどを入れるポケットとして使用すれば便利である。さらには、前身頃1後身頃2の内側全体にネットを張り無数のポケットを作り冬はカイロ、夏は保冷材などを入れて使用することもできる便利な抱っこ用上着を提供するものである。
【0029】
次に、付属の2本のおんぶ用補助ベルト18を用いておんぶをする抱っこ用上着について、図7および図8に基づいて以下、説明する。
【0030】
前身頃1の最下端縁24に設けたD管金具12に図10に示す2本のおんぶ用補助ベルト18のそれぞれの一端に有する連結金具19Aを連結し、それぞれのおんぶ用補助ベルト18を肩用D管金具11を介して胸部前面で交差するようにそれぞれのおんぶ用補助ベルト18の他端19B同士を連結させて乳幼児をおんぶすることができるようにした抱っこ用上着である。すなわち、抱っこ用上着で抱っこした状態で、着用者が後ろ向きに180度回転し背中に乳幼児を乗せおんぶする。着用者1人で使用の場合は幼児を台上に乗せて着用者が後ろ向きに180度回転し背中に乳幼児を乗せおんぶする。おんぶ用補助用ベルト18の連結金具19Aを前身頃延長部の最下端縁24に設けたD管金具12に引掛ける。次に、おんぶ補助用ベルト18を肩用D管金具11に通して胸部位置で交差させ腰部分に回しておんぶ用補助ベルト18の他端19B同士を連結させる。さらに、腰部分で腰部補強ベルト4の両端10A、10Bを連結して固定しおんぶする。
【0031】
なお、付属の2本の抱っこ用補助ベルト15およびおんぶ時用補助用ベルト18は何れも長さを調整自在な長さ調整金具17および20が設けられており、上記最下端縁24を折り返した延長部分14に収容できる。
【0032】
このようにして、本発明の抱っこ用上着は、図2に示す前身頃1と後身頃2とを連結させて、図5に示す乳幼児の横抱っこや図6に示す乳幼児の縦抱っこや図7に示す乳幼児のおんぶをすることができるので、乳幼児との外出時は手荷物が多い上、不使用時は荷物になっていた従来の抱っこ紐を身に着けて携帯する抱っこ用上着であり、横抱っこ、縦抱っこおよびおんぶという3種類の用途がある抱っこ用上着を提供している。特に、前身頃1と後身頃2との両端に設けたファスナー13にて接離可能にすることにより、簡単に開閉でき、簡単に脱ぎ着でき、外出時荷物にならず体に着けて移動でき、必要時は乳幼児を抱き上げた状態ですぐに使用できる
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態を示す全体図である。
【図2】本発明の前身頃と後身頃とを連結した展開図である。
【図3】本発明の前方からみた状態を示す正面図である。
【図4】本発明の後方からみた状態を示す正面図である。
【図5】本発明の横抱っこ状態を示す図である。
【図6】本発明の縦抱っこ状態を示す図である。
【図7】本発明のおんぶした状態を示す図である
【図8】本発明のおんぶ時補助ベルトの前面図である。
【図9】本発明の横抱っこ兼縦抱っこ用補助ベルトの平面図である。
【図10】本発明のおんぶ時用補助用ベルトの平面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 前身頃
2 後身頃
3 袖ぐり部分補強ベルト
4 腰部分補強ベルト
5 前身頃裾補強ベルト
6 垂直補強ベルト
7 穴
8A、8B 連結金具
9A、9B 連結金具
10A、10B 連結金具
11 肩用D管金具
12 前身頃裾用D管金具
13 ファスナー
14 延長部
15 抱っこ用補助ベルト
16A 16B 引掛け金具
17 長さ調整金具
18 おんぶ用補助ベルト
19A、19B 引掛け金具
20 長さ調整金具
21 紐どめ金具
22 紐
23 肩部
24 最下端縁
25 前身頃下端縁
26 後身頃下端縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前身頃と後身頃からなる上着において、前身頃の下方位置で後身頃の下端縁よりも延出させた延長部を形成し、前身頃下端縁の上方に乳幼児の足を入れる一対の穴を形成し、前身頃の下端縁より延出させた延長部の最下端縁を折り返して袋状に保持する保持手段を備えたことを特徴とする抱っこ用上着。
【請求項2】
前記前身頃の最下端縁を折り返して延長部を形成した両側の開口端を開閉自在としたことを特徴とする請求項1記載の抱っこ用上着。
【請求項3】
前記保持する手段が前身頃延長部の最下端縁と前身頃または後身頃の肩部とを2本の
補助ベルトで着脱可能に結合することを特徴とする請求項1または請求項2記載の抱っこ用上着。
【請求項4】
前記保持する手段が前身頃延長部の最下端縁に設けた一対のD管金具と前身頃または後身頃の肩部に設けたそれぞれ一対の肩用D管金具とを2本の抱っこ用補助ベルトのそれぞれの引掛け金具で連結する構成としたことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3記載の抱っこ用上着。
【請求項5】
前記前身頃と後身頃とを肩部で連結し、前身頃の下端縁と後身頃下端縁とを前後に分離させて前身頃または後身頃の肩部に肩用D管金具を設け、前記前身頃と後身頃とをその両脇に設けたファスナーにて接離可能にした前身頃と後身頃からなる上着において、後身頃の下方位置で両端に連結可能な一対の連結金具を有する腰部補強ベルトを横一文字に配置させ、かつ両端に一対の連結金具を有する袖ぐり部補強ベルトを腰部補強ベルトよりも上方位置に横一文字に配置させ、この腰部補強ベルトに一端部を固着した垂直補強ベルトの他端を前身頃または後身頃の肩部を介して前身頃延長部の最下端縁に固着させて、前身頃延長部の最下端縁に設けた前身頃裾補強ベルト両端に袖ぐり部補強ベルト両端の一対の連結金具を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3または請求項4記載の抱っこ用上着。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図8】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−273628(P2009−273628A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−127049(P2008−127049)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 平成19年11月16日〜11月18日 社団法人全国発明婦人協会主催の「第47回 関西暮らしの発明展」に出品
【出願人】(305050133)
【Fターム(参考)】