説明

抹茶の点て方システム及び抹茶の点て方装置

【課題】常に一定の状態で泡点てを行うことができ、手で泡点てするのと同様に茶筅を動かして、きめの細かい泡点てを行うことのでき、作業効率の優れた抹茶泡点てシステム及び抹茶泡点て装置を提供する。
【解決手段】抹茶用の茶碗に注がれた抹茶と茶湯とを茶筅3を用いて自動で泡立てする抹茶の点て方システムにおいて、抹茶及び茶湯の注がれた抹茶用の茶碗を所望の高さ位置に昇降移動して茶筅3との適正位置を決定する工程と、茶筅3の軸芯に対して前後方向への第1揺動及び茶筅の軸芯に対して左右方向への第2揺動を協動することで茶筅3を略m字状に動かす工程とにより、抹茶を点てることである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抹茶を点てるのに好適な抹茶の点て方システム及び抹茶の点て方装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に抹茶を点てる場合、抹茶、茶筅、茶碗、茶杓、茶こし、お湯を準備する。先ず、茶こしでふるいにかけた抹茶を茶杓で2杯ほど茶碗に入れ、湯冷まし程度のお湯を茶碗に約70cc入れる。その後、茶筅を用いて茶碗内の抹茶をお湯に分散させるようにゆっくりと混ぜ、そして茶筅が茶碗の底につかないように少し上げてお湯が茶碗内で回らないように、手首を前後に振るようにして茶筅を素早く動かし茶碗内に泡がたったら、茶筅の先を泡の表面まで上げて、ゆっくり動かして茶碗内の泡を細かくし、最後に泡が盛り上がるようにして茶筅を茶碗よりあげる。以上のようにして、美味しい抹茶を点てることができる。
【0003】
上記のように、抹茶を点てる作業は手首をつかって茶筅を素早く動かさなければならず、例えば、抹茶の注文の多い店では、抹茶を点てる従業員は手首の疲労が大きく、注文が重なった場合同一条件で多くの美味しい抹茶を点てるのは困難であった。
【0004】
そこで、下記のような自動の抹茶の点て方装置が考えられた。該抹茶の点て方装置は、装置本体が片手で把持することができる程度の大きさで、モータの下方向きの回転軸に振動機構を介して茶筅が取り付けられ、振動機構は、回転軸の下端にフライホイールを介して偏心ピンと、振動部材と連動部材とを備えて構成され、モータの回転駆動を左右への振動駆動に切替えて茶筅を軸線(茶筅の軸芯を通る線)と交差した方向に小刻みに振動し、該振動を利用して抹茶とお湯とを泡点てる。
【0005】
これにより、茶筅を茶碗内で振動して、お湯に抹茶を小さな団子状に塊らせたこりすることなく、満遍なく混ぜ合わせることができる。(特開平07−275126号)
【0006】
また、他の抹茶の点て方装置として、茶湯を湯点てる貯湯器と、茶湯を供給するための供給器と、抹茶計測部と、抹茶供給部と、抹茶と茶湯とを噴射圧で攪拌する攪拌容器とから構成された装置がある。
【0007】
上記装置は、抹茶を入れた攪拌容器内に茶湯を噴射することで、該噴射力を利用してきめの細かい泡点てを行う。(特開平11−318714)
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記第1の装置は、茶筅を軸線と交差した方向に小刻みに振動する構成であるために、抹茶を満遍なくお湯に混ぜ合わせることはできるものの、茶筅の一方向の振動のみでは泡点て、特に泡が盛り上がるような繊細な泡点てはできない。
【0009】
また、片方の手で茶碗を抑えるよう把持し、他方の手で装置を把持しているために、茶碗と茶筅との距離を常に注意しながら抹茶をお湯と混ぜ合わせなければならず、適切な茶碗と茶筅との距離間を維持することは難しい欠点があった。
【0010】
また、抹茶とお湯との混ぜ合わせ以外の工程が手動であるためにその取扱いが煩雑であるとともに、連続した同一条件での抹茶点て作業ができない問題点があった。
【0011】
上記2の装置は、茶湯を噴射する圧力差と時間差を利用して、攪拌容器内で激しい攪拌と決め細かい泡点てを行うものであるが、噴射圧で抹茶を攪拌すると茶筅をゆっくり動かして泡を細かくする作業工程がなく、抹茶独特の盛り上がるような繊細な泡を点てることができない。
【0012】
また、攪拌容器内で泡点てし抹茶を注入口より茶碗に注ぐために、茶碗内で泡点てした場合のような適度な泡の配分ができない。
【0013】
そこで、本発明は、常に一定の状態で抹茶を適切に点てることができ、手動で抹茶を点てるのと同様に茶筅を動かしてきめの細かい泡点てを行うことのでき、作業の効率化に優れた抹茶の点て方システム及び抹茶の点て方装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上記課題を解決するための抹茶の点て方システムは請求項1に記載のように、抹茶用の茶碗に注がれた抹茶と茶湯とを茶筅を用いて自動で泡立てする抹茶の点て方システムにおいて、抹茶及び茶湯の注がれた抹茶用の茶碗を所望の高さ位置に昇降移動して茶筅との適正位置を決定する工程と、茶筅の軸芯に対して前後方向に揺動する第1揺動及び茶筅の軸芯に対して左右方向に揺動する第2揺動を協動することで茶筅を略m字状に動かす工程とにより、抹茶を点てることを特徴とする。
【0015】
本発明の解決するための抹茶の点て方装置は、請求項2に記載のように、茶筅を駆動することで、茶碗に注がれた抹茶を自動的に泡点てする抹茶の点て方装置において、装置本体には、載置した茶碗の移動を阻止する阻止手段を有し、且つ載置した茶碗を所望距離間で昇降移動する茶碗載置台と、該茶碗載置台に載置された茶碗の上方で、茶碗載置台を昇降移動することで茶碗内に先端を位置すべく棒状体を介して取り付けられた茶筅と、該棒状体の下端側で茶筅の軸芯に対して前後方向に揺動を付与する第1揺動部と、棒状体の上端側で茶筅の軸芯に対して左右方向に揺動を付与する第2揺動部とが設けられていることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0016】
次に本発明の抹茶の点て方システムの作用効果について説明する。
【0017】
先ず、茶碗に所望量の抹茶及び茶湯を注いで準備し、該茶碗を所望の高さ位置に自動的に上昇移動することで、茶筅が茶碗の底に触れないような適正位置を決定する。
【0018】
次に、茶碗内の適正位置に設けられた茶筅の軸芯に対して前後方向の揺動を付与するとともに、茶筅の軸芯に対して左右方向への揺動を協動して付与することで、前記茶筅を茶碗内で略m字を描くように動かせる。
【0019】
抹茶を点てるのを終了した後、茶碗を所望の高さ位置より下降移動し、茶碗を取り出す。その後、必要に応じて上記工程を繰り返すことで連続した抹茶の点てを行う。
【0020】
これにより、茶筅の動きは手で抹茶を泡点てる場合と同様な繊細な動きを再現でき、きめの細かい抹茶の泡点てを可能とする。
【0021】
また、茶碗内の茶筅の位置を常に一定状態にすることができるので同一品質の抹茶を連続して点てることができる。
【0022】
次に、本発明の抹茶の点て方装置の作用効果について説明する。
【0023】
先ず、抹茶及び茶湯を注いだ抹茶用の茶碗を装置本体に設けられた茶碗載置台に阻止手段を介して移動を阻止した状態で載置する。これにより茶碗は昇降移動時に茶碗載置台上で載置位置が移動することなく安定した状態で載置することができる。
【0024】
その後、茶碗を載置した状態で茶碗載置台を上昇移動し、茶筅の先端が茶碗の底に接しない位置で停止する。茶碗載置台の昇降の移動距離は、茶筅の先端と茶碗の底との距離より決定されるために、予め設定しておくことで茶碗載置台を同一距離で連続して移動することができる。
【0025】
そして、茶筅を取り付けるべく茶筅の把持部の上部側に設けられた棒状体の下端(把持部)側に取り付けられた第1揺動部を駆動するとともに、棒状体の上端側に取り付けられた第2揺動部を駆動して、棒状体の上端側を左右方向に揺動し、下端側を前後方向に揺動する。これにより、棒状体に取り付けられた茶筅は、軸芯に対して前後方向への揺動と、茶筅の軸芯に対して左右方向への揺動とが協動して付与されるために、茶碗内で略m字状に動くこととなり、手で泡点てする場合と同様の泡点てを行うことができる。
【0026】
上記第1揺動部と第2揺動部との駆動は微調整可能であるために常に適切な駆動を選択して最も適する泡点てを行うことができる。
【0027】
そして、上記第1揺動部及び第2揺動部をそれぞれ停止することで茶筅の動きを停止し泡点て作業を終了する。
【0028】
その後、茶碗載置台を同一距離(上昇距離)下降移動し、泡立ての終了した茶碗を取り出すことで抹茶を点てる作業を終了する。
【0029】
また、連続した抹茶の点てを行う場合は、上記工程を繰り返すことで、連続し且つ同一の状態の抹茶の泡点てを行うことができる。
【0030】
このように、本発明の抹茶の点て方システム及び抹茶の点て方装置は、自動の工程で手動と同様の泡点てを行うことができ、しかも連続した泡点てを可能とする。
【0031】
また、抹茶と茶湯との量とを適切に選択するだけで、抹茶を点てることができ、抹茶点ての作業効率を格段に向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の抹茶の点て方システム及び抹茶の点て方装置の一実施例について下記のような各図面を用いて説明する。
【0033】
図1は本発明の抹茶の点て方装置を示す概略説明側面図であり、図2は茶碗載置台の昇降移動を示す概略説明側面図であり、図3茶筅を前後方向に揺動する第1揺動部を示す概略説明平面図であり、図4は茶筅を左右方向に揺動する第2揺動部を示す概略説明平面図であり、図5は第2揺動部の左右方向への揺動状態を示す概略説明平面図であり、図6は第1揺動部の前後方向への揺動状態を示す概略説明平面図であり、図7は茶筅へ付与される揺動方向を示す概略説明平面図であり、図8は抹茶の点て方システムを示すフローチャートである。
【0034】
本発明の抹茶の点て方装置は、設置した状態で使用すべく側面視略矩形状で一側面下方に長方形状の切欠部Aが形成された装置本体1からなり、該装置本体1には、切欠部A間の下方側より所望距離間を昇降移動し、抹茶用の茶碗40を載置するための茶碗載置台2と、切欠部Aの上方で先端を下方に向け、茶碗載置台2に載置した抹茶用の茶碗40の中心位置に位置するように棒状体5を介して取り付けられた抹茶用の茶筅3と、矩形部Bの上部側で前記棒状体5の下端側に連結し茶筅3に前後方向の揺動を付与する第1揺動部6と、前記棒状体5の上端側に連結し茶筅3に左右方向の揺動を付与する第2揺動部7と、第1揺動部6及び第2揺動部7を駆動するための駆動源としての(第1)モータ8とが設けられている。
【0035】
上記茶碗載置台2は、断面視略逆L字状で水平方向の載置部21と、垂直方向の移動部22とから構成され、載置部21には抹茶用の茶碗40の高台41部分を勘入して茶碗40の移動を阻止するリング状の阻止体23が設けられ、移動部分22には昇降軸24に取り付けた昇降体25が設けられている。移動部分22の昇降移動は、駆動源としての第2のモータ10を駆動することで伝達手段(歯車、又はプーリとベルト等公知の手段を利用)を介して昇降体25を昇降軸24に沿って、移動阻止体26の位置まで昇降移動する。尚、駆動源としての第2のモータ10の代わりに前記モータ8より伝達手段を介して駆動することも可能である。
【0036】
上記第1揺動部6は、棒状体5の下端側で水平方向に取り付けられた略T字状の揺動板61と、揺動板61の左右への揺れを防止するための逆U字状の防止体63と、前記揺動板61の後端側の横長部分に形成された横長孔67と、前記揺動板61の先端側に取り付けられ一端側を棒状体5にネジ64を介して取り付けられた一対の挟持体66とから構成されている。
【0037】
上記第2揺動部7は、棒状体5の上端側に水平方向に取り付けられた長尺状の揺動板71と、一端側を揺動板71に固定し他端側を棒状体5にネジ72を介して挟持した一対の挟持体74と、前記揺動板71の後端側に縦長孔75とから構成されている。
【0038】
上記モータ8は装置本体1の中央部分に駆動軸90を上方にして固定されている。該モータ8の駆動は伝達機構を介して第1揺動部と第2揺動部へと伝達される。
【0039】
前記伝達機構は、所望の間隔を空けて装置本体1に取り付けられた一対の取付板91(下取付板91A、上取付板91B)と、該取付板91間の中央位置で垂直方向に回転自在に取り付けられ、前記モータ8の駆動軸90に下端部分が連結された中央回転軸92と、該中央回転軸92の右側に平行して取り付けられた右回転軸94と、中央回転軸92の左側に平行して取り付けられた左回転軸94と、左回転軸94の近傍に設けられた端回転軸95とから構成され、中央回転軸92の下端側に設けられた小径ギア92Aに右回転軸94の下端側の大径ギア94Aを噛合して右回転軸94に回転を伝達し、右回転軸94の上端部に取り付けられた円形の回転板94Cを回転し、また、中央回転軸92の中間部に設けられた大径ギア92Bに左回転軸93の中間部の小ギア93Aを噛合して左回転軸93に回転を伝達し、さらに、左回転軸93の上端側の大径ギア93Bに端回転軸95の上端側の小径ギア95Aを噛合して端回転軸95に回転を伝達し、端回転軸95の下端部に取り付けられた円形の回転板95Cを回転する。
【0040】
尚、左回転軸93の上端部は揺動板71の略中央部分を軸支し、該軸支部分で揺動板71が回動すべく構成されている。
【0041】
前記回転板94Cには軸芯位置より離反した位置に突起体84が取り付けられ、該突起体84は前記揺動板71の縦長孔75に嵌入している。このため、回転板94Cが回転すると、突起体84が縦長孔75に沿って移動し、揺動板71は軸支部分を中心として所望の角度回動する。尚、揺動板71の回動する角度は、突起体84の取り付け位置により調整することができ、回転板94Cの表面には、突起体84を取り付けるための孔85が径方向に複数穿設されている。
【0042】
前記回転板95Cには軸芯位置より離反した位置に突起体83が取り付けられ、該突起体83は前記揺動板61の横長孔67に嵌入している。このため、回転板95Cが回転すると、突起体83が横長孔67に沿って移動し、揺動板61は防止体63により左右方向へのズレを防止した状態で前後方向に揺動移動する。尚、揺動板61の前後方向への揺動距離は、突起体83の取り付け位置により調整することができ、回転板95Cの表面には、突起体83を取り付けるための孔86が複数設けられている。
【0043】
次に、モータ8の回転駆動は、中央回転軸92を回転し小径ギア92A及び大径ギア94Aを介して右回転軸94を回転するとともに、大径ギア92B及び小ギア93Aを介して左回転軸93及び大径ギア93B及び小径ギア95Aを介して端回転軸95をそれぞれ回転することで、回転板94C及び回転板95Cを回転する。
【0044】
そして、上記揺動板61の前後方向の細やかな揺動と、揺動板71の左右方向の細やかな揺動とが、棒状体5の上下位置で作用し、該棒状体5の先端に連結された抹茶用の茶筅3に左右方向及び上下方向の揺動が同時に協動することとなり、茶筅3に略mを描くような揺動を付与することとなる。この略m字状の揺動は、茶筅3を手で手首を前後に振るようにして素早く動かす動作に相当し、手で抹茶を点てる場合と同様のきめの細かい泡点てを行うことのできる。
【0045】
尚、上記回転駆動の伝達はギアに限定されるものでなく、公知の手段で設計変更可能であり、例えば、プーリーとベルトを介して伝達することも可能である。
【0046】
本発明の抹茶の点て方装置の基本構成は上記のように構成されている。次に上記基本構成の抹茶の点て方装置を使用して抹茶を点てる場合について説明する。
【0047】
先ず、人の手で手動で抹茶用の茶碗40に抹茶を茶杓で2杯ほど入れ、湯冷まし程度のお湯を約70cc入れる。
【0048】
上記抹茶用の茶碗40を装置本体1の茶碗載置台2に載置する。この際、載置部21には阻止体23が設けられているために、茶碗40の高台41部分を勘入した状態でその移動が阻止される。
【0049】
その後、第2のモータ10が駆動し茶碗載置台2の移動部22の昇降体25を昇降軸24に沿って上昇して、茶筅3の先端が、茶碗40内の底に接しない適切な位置で上昇を停止する。この停止位置は予め移動阻止体26を昇降軸24に取り付けることで、常に一定の位置で茶碗載置台2の上昇を停止することができる。
【0050】
次に、モータ8が駆動することで中央回転軸92を回転し、小径ギア92Aを介して大径ギア94Aに伝達することで右回転軸94を回転して回転板94Cを回転するとともに、大径ギア92Bを介して小径ギア93A,大径ギア93B及び小径ギア95Aに伝達することで端回転軸95を回転して回転板95Cを回転する。
【0051】
前記回転板93Cが回転することで、回転板93Cに設けられた突起体83が横長孔67内で移動し、回転運動を揺動板61の前後方向の揺動運動に変更する。これにより、揺動板61は前後方向に揺動し、挟持体66を介して棒状体5に前後方向の揺動を伝達する。
【0052】
また、前記回転板95Cが回転することで、回転板95Cに設けられた突起体84が縦長孔75内で移動し、回転運動を揺動板71の左右方向の揺動運動に変更する。これにより、揺動板71は左回転軸93の上端部分を軸支部分として左右方向に揺動し、挟持体74を介して棒状体5に左右方向の揺動を伝達する。
【0053】
上記棒状体5に伝達された前後方向の揺動と左右方向の揺動とが、棒状体5の先端に取り付けられた茶筅3に協動して伝達され、茶筅3は略m字を描くように移動することとなり、人の手で茶筅3を移動する場合と同様の動きを付与することができる。
【0054】
このため、茶碗40内では、抹茶をお湯に対して分散させながらきめの細かな泡を点てることができる。
【0055】
この前後方向の揺動と左右方向の揺動との協動を所望の時間茶筅3に協動して伝達した後、モータ8の駆動が停止して茶筅3の動きを止める。
【0056】
その後、第2のモータ10を駆動して茶碗載置台2の移動部22の昇降体25を昇降軸24に沿って元の位置に下降し、茶筅3より茶碗40を離反する。
【0057】
そして、茶碗40を茶碗載置台2より取り出すことで、抹茶の点て作業工程を終了する。
【0058】
上記茶筅3を茶碗40より離反する際、茶碗載置台2の下降移動を緩やかにすることで、泡点てした泡を盛り上がるようにすることができる。
【0059】
以上の工程を繰り返すことで、連続して同一状態の抹茶を点てることができる。
【0060】
尚、上記工程において、モータ8の駆動力を段階的に制御し、棒状体5に伝達された前後方向の揺動と左右方向の揺動との強弱を制御することで、茶筅3の移動を制御し、例えば茶筅3をゆっくり動かして茶碗40内の抹茶をお湯に分散させるようにゆっくりと混ぜる工程、また、茶筅3を素早く動かして茶碗40内にきめの細かな泡を点てる工程、さらに茶筅3をゆっくり動かして茶碗40内の泡を細かくする工程等を加えて、さらに人の手で抹茶を点てる場合により近い泡点てを行うことも可能である。
【0061】
また、上記実施例では、モータ8を駆動することによる揺動時に発生する音を防ぐ防音構造については明記していないが、本発明において公知の防音構造を設けることは、状況及び設置場所に応じて当然用いるべき機構である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の抹茶の点て方装置を示す概略説明側面図
【図2】茶碗載置台の昇降移動を示す概略説明側面図
【図3】茶筅を前後方向に揺動する第1揺動部を示す概略説明平面図
【図4】茶筅を左右方向に揺動する第2揺動部を示す概略説明平面図
【図5】第2揺動部の左右方向への揺動状態を示す概略説明平面図
【図6】第1揺動部の前後方向への揺動状態を示す概略説明平面図
【図7】茶筅へ付与される揺動方向を示す概略説明平面図
【図8】抹茶の点て方システムを示すフローチャート
【符号の説明】
1…装置本体、2…茶碗載置台、3…茶筅、6…第1揺動部、7…第2揺動部、40…茶碗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抹茶用の茶碗に注がれた抹茶と茶湯とを茶筅を用いて自動で泡立てする抹茶の点て方システムにおいて、抹茶及び茶湯の注がれた抹茶用の茶碗を所望の高さ位置に昇降移動して茶筅との適正位置を決定する工程と、茶筅の軸芯に対して前後方向に揺動する第1揺動及び茶筅の軸芯に対して左右方向に揺動する第2揺動を協動することで茶筅を略m字状に動かす工程とにより、抹茶を点てることを特徴とする抹茶の点て方システム。
【請求項2】
茶筅を駆動することで、茶碗に注がれた抹茶を自動的に泡点てする抹茶の点て方装置において、装置本体には、載置した茶碗の移動を阻止する阻止手段を有し、且つ載置した茶碗を所望距離間で昇降移動する茶碗載置台と、該茶碗載置台に載置された茶碗の上方で、茶碗載置台を昇降移動することで茶碗内に先端を位置すべく棒状体を介して取り付けられた茶筅と、該棒状体の下端側で茶筅の軸芯に対して前後方向に揺動を付与する第1揺動部と、棒状体の上端側で茶筅の軸芯に対して左右方向に揺動を付与する第2揺動部とが設けられていることを特徴とする抹茶の点て方装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−87891(P2011−87891A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260436(P2009−260436)
【出願日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【出願人】(506415735)株式会社赤井工作所 (3)
【Fターム(参考)】