説明

押上式硬貨通路を有する硬貨払出装置

【課題】押し込み力の小さい押上式硬貨通路を有する硬貨払出装置を提供する。
【解決手段】硬貨通路20内に複数の逆止装置24が順番に配置される。硬貨4が硬貨通路20内に押し込まれたとき、逆止装置24に含まれる浮動体241を位置規制溝243において上方に浮動させることにより、硬貨4と硬貨通路20との間の摩擦力を低減し、押し込み力を低減することができる。また、硬貨4が2つの逆止装置24の間に押し込まれたとき、硬貨4自身の重さによる摩擦力により、浮動体241を下方に転動またはスライドさせ、浮動体241を位置規制溝243の硬貨通路20の方向に漸次縮小される形状の支持面2431に締付挟持する。これにより、厚さの異なる硬貨4が重なって引っかかり、構造が破損するのを防止することができる上、構造が簡単で、故障率が低く、良好な逆止効果を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押上式硬貨通路を有する硬貨払出装置に関し、特に、硬貨押出装置の一方の側部の硬貨出口にレールが接合され、レールに含まれる硬貨通路内に複数の逆止装置が順番に配置され、硬貨が逆止装置に含まれる浮動体を押し上げて上方に浮動させたり、或いは、硬貨が浮動体を下方に転動またはスライドさせて締付挟持したりすることにより、押し込み力を低減することができると共に、良好な逆止効果を達成できる押上式硬貨通路を有する硬貨払出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
硬貨払出装置は、硬貨の数量を計算する硬貨計数装置として使用されたり、或いは、両替装置、遊戯装置、自動販売機などの硬貨の払出に使用されたりする装置である。硬貨は、国家が造幣する硬貨であれ、遊技場で使用されるコインであれ、その価値によって寸法が異なるため、初期段階においては、メーカーは、硬貨払出装置が様々な種類の硬貨に対応できるよう、関連する研究および改良を行った。
【0003】
一般に、硬貨払出装置は、モータにより、複数のピンが等間隔に配置された回転円盤を回転させる。硬貨出口の内側および外側には、ガイド部材およびマイクロスイッチがそれぞれ配置される。回転円盤を回転させることにより、ピンがホッパ内の硬貨を硬貨出口の内側まで押し上げ、ガイド部材が硬貨を送り出す。また、硬貨が硬貨払出口を通過するとき、マイクロスイッチに接触し、硬貨が計数される。また、両替装置、遊戯装置または自動販売機を運転するときの安定性を確保するため、通常、硬貨払出装置のホッパは、下方に配置され、ホッパ内の硬貨は、所定の重量を有するため、硬貨払出装置の重心が低くなる。また、回転円盤と硬貨払出口との間には、輸送ベルトまたはレールが接続され、硬貨は、輸送ベルトまたはレール内の硬貨通路を通って上方の硬貨払出口まで送り出される。これにより、ユーザは、座った姿勢または立った姿勢で便利に硬貨を取り出すことができる。
【0004】
図8を参照する。図8は、従来の硬貨払出装置のレールの構造を示す斜視図である。図8から分かるように、レールAに含まれる底板A1の上方の両側には、ガイドレール板A2がそれぞれ配置される。底板A1と2つのガイドレール板A2との間には、硬貨Bが通過するガイド溝A3が形成される。ガイドレール板A2上の固定板A4には、螺合部材A41により、積層された状態の弾性板A5が螺合接続される。弾性板A5と固定板A4とは、十字に交差するように接続される。各弾性板A5の両側から延伸する湾曲した形状の支持端A51は、下方のガイド溝A3内にそれぞれ進入し、波状に配列される。モータが伝動機構を駆動し、回転円盤を回転させたとき、回転円盤が硬貨BをレールA内のガイド溝A3に押し込み、各弾性板A5上の支持端A51が硬貨B上を弾性支持することにより、硬貨Bがガイド溝A3を順番に通過するとき、硬貨Bが互いに押し合うことにより、重なって引っかかったり、詰まったりする状況が発生するのを防止することができる。
【0005】
しかし、この方式の場合、回転円盤は、大きな力で硬貨Bおよび弾性板A5の反発力を克服する必要がある。また、回転円盤が回転するとき、大きな抵抗力を受けるため、モータの出力トルクを大幅に増大し、回転円盤を回転させる力を増大させる必要がある。これにより、モータの使用コストが増大する上、モータが回転円盤を幾度も高速で回転させるとき、振動および回転力が大きくなり過ぎることにより、全体の構造が損傷および破損したり、モータの回転軸が折れたり、使用寿命が短くなったり、故障率が高まったりする。従って、当業者は、この欠点を解決することを研究目標としていた。
【0006】
本発明の発明者は、上述の従来技術の欠点に鑑み、関連資料を収集し、本業界における長年の経験に基づき、幾度もの試作および修正を行った結果、ついに本発明の押上式硬貨通路を有する硬貨払出装置を案出した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の第1の目的は、硬貨押出装置の一方の側部の硬貨出口に、硬貨出口に対向配置される硬貨通路を含むレールが接合され、硬貨通路内に複数の逆止装置が順番に配置され、硬貨が硬貨通路内に押し込まれたとき、硬貨が逆止装置に含まれる浮動体を硬貨通路の両側の位置規制溝において上方に浮動させ、硬貨を硬貨通路の下方の湾曲部上に所定の傾斜角度でスライド支持することにより、摩擦抵抗力を非常に小さくすることができ、これにより、モータが回転円盤を駆動するとき、硬貨を小さな力で押し出すことができ、押し込み力を低減することができ、わざわざパワーの大きいモータを使用して出力トルクを高めたり、全体の構造強度を高めたりする必要がないため、使用コストを低減することができる硬貨払出装置を提供することにある。
本発明の第2の目的は、硬貨押出装置が硬貨を2つの逆止装置間に押し込んだとき、硬貨自身の重さによる摩擦力により、浮動体を下方に転動またはスライドさせ、位置規制溝内の漸次縮小される形状の支持面に締付挟持することにより、各硬貨が相互に逆方向に押し合ったり、重なり合って詰まったりして、構造が破損したり、故障率が高まったり、モータが稼動しなくなったりする問題を有効に防止することができ、構造が簡単で、組み立てやすい上、故障率が低く、良好な逆止機能を有し、様々な寸法の硬貨に適用し、適用性が高い硬貨払出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、請求項1の発明は、硬貨押出装置およびレールを含み、硬貨押出装置は、硬貨が収容されるホッパを含み、ホッパには、動力装置によって駆動される回転円盤が配置され、硬貨押出装置の一方の側部には、回転円盤により硬貨が押し出される硬貨出口が形成され、レールは、硬貨押出装置に接合され、硬貨出口と対向して硬貨が順番に通過する硬貨通路を含み、硬貨通路の内部には、複数の逆止装置が順番に配置され、逆止装置は、硬貨の上面により押し上げられて上方に浮動したり、或いは、下方に転動またはスライドして締付挟持されたりする浮動体を含み、硬貨は、硬貨通路上の湾曲部において、底面が所定の傾斜角度でスライド支持され、下方から上方に平坦部まで押し上げられ、貼合状態が形成されることを特徴とする押上式硬貨通路を有する硬貨払出装置である。
【0009】
請求項2の発明は、硬貨押出装置のホッパの底部の開口に配置される回転円盤は、複数の硬貨落下孔および押上部材を含み、回転円盤の下方には、収容室を含むベース台が配置され、回転円盤に接続される動力装置は、収容室の内部に配置され、動力装置は、モータを含み、モータに接続された伝動機構が回転円盤を駆動し、回転させることを特徴とする請求項1記載の押上式硬貨通路を有する硬貨払出装置である。
【0010】
請求項3の発明は、ベース台の傾斜状の上面の一方の側部には、硬貨出口が形成され、硬貨出口の内側には、ガイド部および複数のストッパ体が配置されることを特徴とする請求項2記載の押上式硬貨通路を有する硬貨払出装置である。
【0011】
請求項4の発明は、レールに含まれる硬貨通路の下方には、底板が配置され、底板は、下方から上方に湾曲部および平坦部が順番に設けられ、硬貨通路の両側には、ガイドレール板が対向配置され、硬貨通路の上方には、蓋板が配置され、ガイドレール板と蓋板との間の硬貨通路内には、浮動体を含む複数の逆止装置が順番に配置されることを特徴とする請求項1記載の押上式硬貨通路を有する硬貨払出装置である。
【0012】
請求項5の発明は、浮動体の両側辺のガイドレール板および蓋板上には、互いに対向する位置規制溝がそれぞれ設けられ、2つの位置規制溝の底部には、硬貨通路と反対の方向に漸次縮小される形状の支持面が形成され、位置規制溝と支持面との間には、硬貨が浮動体を押し上げて浮動させたり、或いは、挟持位置決めしたりするための受止空間が形成されることを特徴とする請求項4記載の押上式硬貨通路を有する硬貨払出装置である。
【0013】
請求項6の発明は、2つの浮動体の間隔は、10mmであり、硬貨の厚さは、1.6mm〜2.3mmであり、硬貨の直径は、21mm〜26mmであることを特徴とする請求項5記載の押上式硬貨通路を有する硬貨払出装置である。
【0014】
請求項7の発明は、蓋板の上面の両側には、ガイドレール板を貫通し、底板上に螺入される複数の螺合部材が配置されることを特徴とする請求項4記載の押上式硬貨通路を有する硬貨払出装置である。
【0015】
請求項8の発明は、レールの上方には、硬貨弾き出し装置が配置され、硬貨弾き出し装置に含まれるガイド板の内部には、硬貨通路と連通する硬貨払出通路が形成され、ガイド板上には、硬貨が押し上げることにより回転する硬貨弾き出し部材が配置され、硬貨弾き出し部材の底部には、弾性部材が接続されることを特徴とする請求項1記載の押上式硬貨通路を有する硬貨払出装置である。
【0016】
請求項9の発明は、ガイド板上には、硬貨払出通路の内部を硬貨が通過するのを検出することができる検出モジュールが配置されることを特徴とする請求項8記載の押上式硬貨通路を有する硬貨払出装置である。
【発明の効果】
【0017】
1.レールの硬貨通路の内部に配置された複数の逆止装置は、構造が簡単で、組み立てやすい上、硬貨が逆止装置に含まれる浮動体を押し上げて上方に浮動させることにより、押し込み力を低減することができる。また、硬貨自身の重さによる摩擦力により、浮動体を下方に転動またはスライドさせて締付挟持する。これにより、故障率が低く、良好な逆止効果を有すると共に、様々な寸法の硬貨に適用し、適用性が高いという効果を達成することができる。
2.逆止装置は、硬貨が浮動体を押し上げ、硬貨通路の両側の位置規制溝において上方に浮動させ、硬貨の底面が硬貨通路の下方の底板の湾曲部上に所定の傾斜角度でスライド支持されることにより、摩擦抵抗力を非常に小さくすることができるため、モータが回転円盤を駆動するとき、硬貨を簡単に押し出すことができる。これにより、わざわざ性能の高いモータを使用して出力トルクを高めたり、全体の構造強度を強化したりする必要がないため、使用コストを低減することができる。
3.硬貨が2つの逆止装置の間に押し込まれたとき、硬貨自身の重さによる摩擦力により、浮動体を下方に転動またはスライドさせ、位置規制溝内の漸次縮小される形状の支持面に締付挟持する。これにより、硬貨が互いに逆方向に押し合ったり、重なり合って詰まったりすることにより、構造が破損するのを有効に防止することができる。また、回転円盤が硬貨を押し出すときに受ける抵抗力が大き過ぎることにより、モータに接続された回転軸が折れたり、使用寿命が短くなったりするのを防止し、故障率が高まったり、モータが稼動しなくなったりする問題の発生を有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態による硬貨払出装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態による硬貨払出装置を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態による硬貨払出装置のレールを示す分解斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態による硬貨払出装置の使用前の状態を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施形態による硬貨払出装置の使用中の状態を示す俯瞰図である。
【図6】本発明の一実施形態による硬貨払出装置の使用中の状態を示す断面図である。
【図7】本発明の一実施形態による硬貨払出装置の使用後の状態を示す断面図である。
【図8】従来の硬貨払出装置のレールの構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の目的、特徴および効果を示す実施形態を図面に沿って詳細に説明する。
【0020】
図1〜図3を参照する。図1は、本発明の一実施形態による硬貨払出装置を示す斜視図である。図2は、本発明の一実施形態による硬貨払出装置を示す分解斜視図である。図3は、本発明の一実施形態による硬貨払出装置のレールを示す分解斜視図である。図1〜図3から分かるように、本発明の硬貨払出装置は、硬貨押出装置1、レール2および硬貨弾き出し装置3を含む。
【0021】
硬貨押出装置1は、筐体状のホッパ11を含む。ホッパ11の内部には、複数の硬貨4が収容される収容空間110が形成される。収容空間110の底部に開設される先細状の開口111には、複数の硬貨落下孔121および押上部材122を含む回転円盤12が配置される。回転円盤12の下方には、ベース台14の内部の収容室141に配置される動力装置13が接続される。動力装置13は、モータ131を含み、モータ131に接続された伝動機構132が回転円盤12を回転させる。また、ベース台14の傾斜状の上面の一方の側部には、硬貨出口142が形成される。硬貨出口142の内側には、ガイド部143および複数のストッパ体144が配置される。
【0022】
レール2は、硬貨出口142と対向配置されて硬貨4が順番に通過する硬貨通路20を含む。レール2の硬貨通路20の下方には、底板21が配置される。底板21には、下方から上方に、湾曲部211および平坦部212が設けられる。硬貨通路20の左右両側には、互いに対向する2つのガイドレール板22が配置される。硬貨通路20の上方には、蓋板23が配置される。蓋板23の上面の両側には、ガイドレール板22を貫通し、底板21に螺入される複数の螺合部材231が配置される。また、レール2のガイドレール板22と蓋板23との間の硬貨通路20内には、複数の逆止装置24が順番に配置される。逆止装置24は、浮動体241を含む。浮動体241の両側辺のガイドレール板22および蓋板23上には、互いに対向する位置規制溝242,243がそれぞれ設けられる。2つの位置規制溝242,243の底部には、硬貨通路20と反対の方向に漸次縮小される形状の支持面2421,2431がそれぞれ形成される。また、位置規制溝242,243と支持面2421,2431との間には、硬貨4が浮動体241を押し上げて浮動させたり、或いは、浮動体241が挟持位置決めされたりするための受止空間240が形成される(図6を参照)。
【0023】
硬貨弾き出し装置3は、ガイド板31を含み、レール2の上方に配置される。ガイド板31の内部には、硬貨通路20と連通する硬貨払出通路311が形成される。ガイド板31上には、硬貨4に押し上げられることにより回転する硬貨弾き出し部材32が枢動可能に配置される。硬貨弾き出し部材32の底部には、弾性部材321が接続される。また、ガイド板31上には、硬貨払出通路311の内部を硬貨4が通過するのを検出する検出モジュール33が配置される。
【0024】
本発明を組み立てるとき、先ず、レール2の下方の接合板25を底板21および硬貨押出装置1上のベース台14と一体に螺合接続する。それと同時に、レール2の内部の硬貨通路20をベース台14の傾斜した上面の硬貨出口142に位置合わせする。次に、硬貨弾き出し装置3をレール2の上方に設置する。次に、蓋板23の両側の複数の螺合部材231をガイドレール板22にそれぞれ貫通し、ガイド板31に螺入する。これにより、ガイド板31の内部の硬貨払出通路311と硬貨通路20とが連通する。また、レール2は、下方のベース台14から湾曲した後、ガイド板31まで上方に延伸する。以上により、本発明の組立が完了する。
【0025】
上述のレール2は、複数の底板21、ガイドレール板22および蓋板23を含む。底板21とガイドレール板22と蓋板23との間には、硬貨通路20が形成される。底板21に設けられる湾曲部211および平坦部212は、一体成形されるか、或いは、別々の部材から構成される。ここで、本発明の明細書および図面の内容の簡易な修飾および同等効果である変更は、全て本発明の特許請求の範囲に含まれる。
【0026】
図4〜図7を参照する。図4は、本発明の一実施形態による硬貨払出装置の使用前の状態を示す断面図である。図5は、本発明の一実施形態による硬貨払出装置の使用中の状態を示す俯瞰図である。図6は、本発明の一実施形態による硬貨払出装置の使用中の状態を示す断面図である。図7は、本発明の一実施形態による硬貨払出装置の使用後の状態を示す断面図である。図4〜図7から分かるように、硬貨4の寸法に応じ、硬貨押出装置1のベース台14の硬貨出口142に位置するガイド部143を調整して適当な位置に変移させることができる。また、ホッパ11の収容空間110内に硬貨4が投入された後、モータ131が伝動機構132を駆動し、回転円盤12を回転させる。これにより、硬貨4が攪拌され、回転円盤12上の硬貨落下孔121内に1つずつ落下する。次に、回転円盤12の底部の押上部材122が硬貨4をストッパ体144に接触させる。回転円盤12の回転により発生した遠心力により、押上部材122が硬貨4をガイド部143の側辺に沿って押し出し、複数の硬貨4が硬貨出口142から順番にレール2の内部の硬貨通路20にスムーズに押し込まれる。このとき、硬貨4は、逆止装置24の浮動体241を位置規制溝242,243内において押し上げ、上方に浮動させる。また、硬貨4の底面は、硬貨通路20の下方の底板21の湾曲部211上に所定の傾斜角度αでスライド支持される。硬貨4と底板21との間に発生する摩擦抵抗力が非常に小さいため、押し込み力を低減することができる。また、硬貨4は、下方から上方の平坦部212まで押し上げられ、貼合状態が形成される。また、硬貨4が2つまたは2つ以上の逆止装置24の間に押し込まれたとき、2つまたは2つ以上の浮動体241が蓋板23の位置規制溝243内の漸次縮小される形状の支持面2431に沿って下方に転動またはスライドし、硬貨4の上面の前後両側に支持される。それと同時に、硬貨4は、硬貨4自身の重さによる摩擦力により、浮動体241を支持面2431の内側に締付挟持する。これにより、硬貨4は、底板21、2つのガイドレール板22および蓋板23により形成される硬貨通路20内に挟持位置決めされ、各硬貨4が相互に逆方向に押し合ったり、重なり合って詰まることにより、構造が損傷および破損したり、故障率が高まったり、モータ131が稼動しなくなったりする問題の発生を有効に防止することができる上、良好な逆止機能を有することができる。
【0027】
また、硬貨4がレール2の内部の硬貨通路20から硬貨弾き出し装置3に押し上げられるとき、硬貨4は、ガイド板31上に枢動可能に配置された硬貨弾き出し部材32を押し上げて回転させると共に、硬貨弾き出し部材32に接続された弾性部材321を弾性変形させる。このとき、弾性部材321の弾性復元力により、硬貨弾き出し部材32が自動的に復位し、硬貨4を硬貨払出通路311に沿って弾き出す。それと同時に、検出モジュール33により、硬貨払出通路311内を硬貨4が通過する状況がスムーズであるか否かを検出することができる。
【0028】
本発明の押上式硬貨通路を有する硬貨払出装置を使用するとき、以下に示すような従来技術を改善する効果を達成することができる。
【0029】
1.レール2の硬貨通路20の内部に配置された複数の逆止装置24は、構造が簡単で、組み立てやすい上、硬貨4が逆止装置24に含まれる浮動体241を押し上げて上方に浮動させることにより、押し込み力を低減することができる。また、硬貨4自身の重さによる摩擦力により、浮動体241を下方に転動またはスライドさせて締付挟持する。これにより、故障率が低く、良好な逆止効果を有すると共に、様々な寸法の硬貨4に適用し、適用性が高いという効果を達成することができる。
2.逆止装置24は、硬貨4が浮動体241を押し上げ、硬貨通路20の両側の位置規制溝243において上方に浮動させ、硬貨4の底面が硬貨通路20の下方の底板21の湾曲部211上に所定の傾斜角度でスライド支持されることにより、摩擦抵抗力を非常に小さくすることができるため、モータ131が回転円盤12を駆動するとき、硬貨4を簡単に押し出すことができる。これにより、わざわざ性能の高いモータ131を使用して出力トルクを高めたり、全体の構造強度を強化したりする必要がないため、使用コストを低減することができる。
3.硬貨4が2つの逆止装置24の間に押し込まれたとき、硬貨4自身の重さによる摩擦力により、浮動体241を下方に転動またはスライドさせ、位置規制溝243内の漸次縮小される形状の支持面2431に締付挟持する。これにより、硬貨4が互いに逆方向に押し合ったり、重なり合って詰まったりすることにより、構造が破損するのを有効に防止することができる。また、回転円盤12が硬貨4を押し出すときに受ける抵抗力が大き過ぎることにより、モータ131に接続された回転軸が折れたり、使用寿命が短くなったりするのを防止し、故障率が高まったり、モータ131が稼動しなくなったりする問題の発生を有効に防止することができる。
【0030】
以上の説明は、本発明の好適な実施形態を示したものであり、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。本発明のレール2の内部に含まれる硬貨通路20は、様々な国家で使用される様々な寸法の硬貨4に応じ、拡大または縮小した設計に変更することができる。本発明の一実施形態における最も好適な硬貨4の厚さは、1.6mm〜2.3mmであり、硬貨4の直径は、21mm〜26mmである。しかし、硬貨4は、実際に応用するとき、その価値によって様々な形状(例えば、円形、多辺形など)および寸法の硬貨4が存在する。レール2の硬貨通路20内には、複数の逆止装置24が順番に配置される。具体的な一実施形態において、2つの隣合う逆止装置24に含まれる2つの浮動体241の間隔は、10mmが最も好ましい。ここで、硬貨4が硬貨通路20上にスライド支持されたとき、硬貨4の底面と硬貨通路20の下方の底板の湾曲部211との接線方向に所定の傾斜角度αが形成され、下方から上方の平坦部212まで押し上げられたとき、貼合状態が形成され、それと同時に、硬貨4の上面が2つまたは2つ以上の逆止装置24に含まれる浮動体241を押し上げ、上方に浮動させたり、或いは、硬貨4自身の重さによる摩擦力により、浮動体241を位置規制溝243内の漸次縮小される形状の支持面2431に沿って下方に転動またはスライドさせ、締付挟持したりする構造であればよい。これにより、押し込み力を低減することができる上、良好な逆止機能を有することができる。ここで、本発明の技術特徴は、上述の内容のみに限定されず、当業者が本発明を利用して容易に考え得る変更または修飾は、全て本発明の特許請求の範囲に含まれる。
【0031】
上述のように、本発明の押上式硬貨通路を有する硬貨払出装置を使用するとき、確実にその効果および目的を達成できる。本発明は、高い実用性を有する発明であり、特許出願要件に符合し、産業上の利用性、新規性および進歩性を有し、法に基づき、出願を行う。
【符号の説明】
【0032】
1 硬貨押出装置
11 ホッパ
110 収容空間
111 開口
12 回転円盤
121 硬貨落下孔
122 押上部材
13 動力装置
131 モータ
132 伝動機構
14 ベース台
141 収容室
142 硬貨出口
143 ガイド部
144 ストッパ体
2 レール
20 硬貨通路
21 底板
211 湾曲部
212 平坦部
22 ガイドレール板
23 蓋体
231 螺合部材
24 逆止装置
240 受止空間
241 浮動体
242 位置規制溝
2421 支持面
243 位置規制溝
2431 支持面
25 接合板
3 硬貨弾き出し装置
31 ガイド板
311 硬貨払出通路
32 硬貨弾き出し部材
321 弾性部材
33 検出モジュール
4 硬貨
A レール
A1 底板
A2 ガイドレール板
A3 ガイド溝
A4 固定板
A41 螺合部材
A5 弾性板
A51 支持端
B 硬貨

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨押出装置およびレールを含み、
前記硬貨押出装置は、硬貨が収容されるホッパを含み、前記ホッパには、動力装置によって駆動される回転円盤が配置され、前記硬貨押出装置の一方の側部には、前記回転円盤により硬貨が押し出される硬貨出口が形成され、
前記レールは、前記硬貨押出装置に接合され、前記硬貨出口と対向して前記硬貨が順番に通過する硬貨通路を含み、前記硬貨通路の内部には、複数の逆止装置が順番に配置され、前記逆止装置は、前記硬貨の上面により押し上げられて上方に浮動したり、或いは、下方に転動またはスライドして締付挟持されたりする浮動体を含み、前記硬貨は、前記硬貨通路上の湾曲部において、底面が所定の傾斜角度でスライド支持され、下方から上方に平坦部まで押し上げられ、貼合状態が形成されることを特徴とする押上式硬貨通路を有する硬貨払出装置。
【請求項2】
前記硬貨押出装置のホッパの底部の開口に配置される回転円盤は、複数の硬貨落下孔および押上部材を含み、前記回転円盤の下方には、収容室を含むベース台が配置され、前記回転円盤に接続される動力装置は、前記収容室の内部に配置され、前記動力装置は、モータを含み、前記モータに接続された伝動機構が前記回転円盤を駆動し、回転させることを特徴とする請求項1記載の押上式硬貨通路を有する硬貨払出装置。
【請求項3】
前記ベース台の傾斜状の上面の一方の側部には、硬貨出口が形成され、前記硬貨出口の内側には、ガイド部および複数のストッパ体が配置されることを特徴とする請求項2記載の押上式硬貨通路を有する硬貨払出装置。
【請求項4】
前記レールに含まれる前記硬貨通路の下方には、底板が配置され、前記底板は、下方から上方に湾曲部および平坦部が順番に設けられ、前記硬貨通路の両側には、ガイドレール板が対向配置され、前記硬貨通路の上方には、蓋板が配置され、前記ガイドレール板と前記蓋板との間の硬貨通路内には、浮動体を含む複数の逆止装置が順番に配置されることを特徴とする請求項1記載の押上式硬貨通路を有する硬貨払出装置。
【請求項5】
前記浮動体の両側辺の前記ガイドレール板および前記蓋板上には、互いに対向する位置規制溝がそれぞれ設けられ、前記2つの位置規制溝の底部には、前記硬貨通路と反対の方向に漸次縮小される形状の支持面が形成され、前記位置規制溝と前記支持面との間には、前記硬貨が前記浮動体を押し上げて浮動させたり、或いは、挟持位置決めしたりするための受止空間が形成されることを特徴とする請求項4記載の押上式硬貨通路を有する硬貨払出装置。
【請求項6】
前記2つの浮動体の間隔は、10mmであり、前記硬貨の厚さは、1.6mm〜2.3mmであり、前記硬貨の直径は、21mm〜26mmであることを特徴とする請求項5記載の押上式硬貨通路を有する硬貨払出装置。
【請求項7】
前記蓋板の上面の両側には、前記ガイドレール板を貫通し、前記底板上に螺入される複数の螺合部材が配置されることを特徴とする請求項4記載の押上式硬貨通路を有する硬貨払出装置。
【請求項8】
前記レールの上方には、硬貨弾き出し装置が配置され、前記硬貨弾き出し装置に含まれるガイド板の内部には、前記硬貨通路と連通する硬貨払出通路が形成され、前記ガイド板上には、前記硬貨が押し上げることにより回転する硬貨弾き出し部材が配置され、前記硬貨弾き出し部材の底部には、弾性部材が接続されることを特徴とする請求項1記載の押上式硬貨通路を有する硬貨払出装置。
【請求項9】
前記ガイド板上には、硬貨払出通路の内部を硬貨が通過するのを検出することができる検出モジュールが配置されることを特徴とする請求項8記載の押上式硬貨通路を有する硬貨払出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−108218(P2011−108218A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48920(P2010−48920)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(503031237)吉鴻電子股▲ふん▼有限公司 (14)
【Fターム(参考)】