説明

押下ヘッド

【課題】製造コストを増大させることなく、ヘッド本体が装着筒部材から外れるのを抑制する。
【解決手段】上方付勢状態で押込み可能にステム2を起立した吐出器に装着される押下ヘッド1であって、天壁部8、この天壁部8の下面から下方に向けて延設されてステム2に連結される装着筒7、およびこの装着筒7よりも大径でかつ天壁部8の外周縁部に上下方向に沿って延設された案内筒10を備える装着筒部材3が設けられ、装着筒部材3の案内筒10内には、この案内筒10の径方向内方に向けた変形を規制する規制リング19が嵌合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上方付勢状態で押込み可能にステムを起立した吐出器に装着する押下ヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の押下ヘッドとして、例えば下記特許文献1に示されるような、頂壁部、この頂壁部の外周縁部から下方に向けて延設された周壁部、およびノズル孔を備えるとともに、内部に吐出器のステム内に連通しかつノズル孔を介して外部に連通可能な弁室が画成されたヘッド本体と、天壁部、この天壁部の下面から下方に向けて延設されてステムに嵌合された装着筒、およびこの装着筒よりも大径でかつ天壁部の外周縁部に上下方向に沿って延設された案内筒を備える装着筒部材と、が備えられた構成が知られている。
装着筒部材は、前記ヘッド本体の内部において周壁部の内周面に突設された環状突部と弁室との間に、前記案内筒の下端縁が前記環状突部により下側から支持されかつこの案内筒がヘッド本体に対して相対的に上昇摺動可能に嵌合されて配置されている。
また、弁室には、前方付勢状態で前記ノズル孔を閉塞する弁部材が設けられている。この弁部材の後端部には、下方に向かうに従い前方に向けて屈曲させられてその下端部が前記天壁部上に配置され、かつ装着筒部材に対するヘッド本体の押下時に弁部材を後退移動させるように揺動可能に支持された梃子部材が連結されている。
【特許文献1】特開2002−326044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の押下ヘッドでは、例えばヘッド本体に外力が作用したときに、ヘッド本体が装着筒部材に対して上方に移動し、ヘッド本体の環状突部が案内筒を縮径変形させつつこの案内筒の下端縁を乗り越え、装着筒部材がステム上に残存したままヘッド本体が装着筒部材から外れるおそれがあった。
なお、このような問題を解決するための手段として、ヘッド本体の周壁部に設けた環状突部の径方向内方に向けた突出量を大きくすることも考えられるが、ヘッド本体を射出成形する場合に、金型構造を複雑にしなければ成形されたヘッド本体を脱型することが困難になり、押下ヘッドの製造コストを増大させることになる。
【0004】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、製造コストを増大させることなく、ヘッド本体が装着筒部材から外れるのを抑制することができる押下ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の押下ヘッドは、上方付勢状態で押込み可能にステムを起立した吐出器に装着される押下ヘッドであって、頂壁部、この頂壁部の外周縁部から下方に向けて延設された周壁部、およびノズル孔を備えるとともに、内部に前記ステム内に連通しかつノズル孔を介して外部に連通可能な弁室が画成されたヘッド本体と、天壁部、この天壁部の下面から下方に向けて延設されてステムに連結される装着筒、およびこの装着筒よりも大径でかつ天壁部の外周縁部に上下方向に沿って延設された案内筒を備える装着筒部材と、が備えられ、この装着筒部材は、前記ヘッド本体の内部において周壁部の内周面に突設された環状突部と弁室との間に、前記案内筒の下端縁が前記環状突部により下側から支持されかつこの案内筒がヘッド本体に対して相対的に上昇摺動可能に嵌合されて配置され、前記弁室には、前方付勢状態で前記ノズル孔を閉塞する弁部材が設けられ、この弁部材の後端部には、下方に向かうに従い前方に向けて屈曲させられてその下端部が前記天壁部上に配置され、かつ装着筒部材に対するヘッド本体の押下時に弁部材を後退移動させるように揺動可能に支持された梃子部材が連結され、前記装着筒部材の案内筒内には、この案内筒の径方向内方に向けた変形を規制する規制リングが嵌合されていることを特徴とする。
この発明では、規制リングが設けられているので、ヘッド本体に外力などが作用したときに、ヘッド本体が装着筒部材に対して上方に移動させられ環状突部が案内筒の下端縁を乗り越えようとしても、案内筒の縮径変形が規制されることからヘッド本体が装着筒部材から外れるのを抑制することができる。
また、このような作用効果を奏功させるために、規制リングを設ければ足りるので、装着筒部材を射出成形する場合に、現行の金型をほぼそのまま適用することが可能になり、製造コストの増大を抑えることもできる。
【0006】
ここで、前記規制リングの内周面には、その径方向内方に向けてフランジ部が突設されてもよい。
この場合、規制リングの内周面に、その径方向内方に向けてフランジ部が突設されているので、案内筒に付与する縮径変形に対する抵抗力をより一層高めることが可能になる。さらに、フランジ部の径方向内方端を装着筒部材における装着筒の外周面に当接させた場合には、案内筒の縮径変形を確実に防ぐことができる。
【0007】
また、前記ステムと装着筒との間に筒状のアダプタが設けられ、前記規制リングは、前記アダプタと一体に形成されてもよい。
この場合、アダプタが設けられているので、この押下ヘッドを適用可能な容器の種類を増大することが可能になり、さらには前記規制リングがアダプタと一体に形成されているので、この押下ヘッドの部品点数を抑えて製造コストの増大を抑制することができる。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る押下ヘッドによれば、製造コストを増大させることなく、ヘッド本体が装着筒部材から外れるのを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。この実施形態に係る押下ヘッド1は、上方付勢状態で押込み可能にステム2を起立した吐出器に装着されるものであって、頂壁部13b、この頂壁部13bの外周縁部から下方に向けて延設された周壁部13a、およびノズル孔12を備えるとともに、内部にステム2内に連通しかつノズル孔12を介して外部に連通可能な弁室Aが画成されたヘッド本体4と、天壁部8、この天壁部8の下面から下方に向けて延設されてステム2に連結される装着筒7、およびこの装着筒7よりも大径でかつ天壁部8の外周縁部に上下方向に沿って延設された案内筒10を備える装着筒部材3と、が備えられている。
【0010】
装着筒部材3は、ヘッド本体4の内部において周壁部13aの内周面に突設された環状突部13cと弁室Aとの間に、案内筒10の下端縁が環状突部13cにより下側から支持されかつこの案内筒10がヘッド本体4に対して相対的に上昇摺動可能に嵌合されて配置されている。なお、図示の例では、環状突部13cは、周壁部13aの下端部における内周面にその全周にわたって突設されている。また、弁室Aには、前方付勢状態でノズル孔12を閉塞する弁部材5が設けられている。
【0011】
図示の例では、装着筒部材3の装着筒7内にステム2の上端部が嵌合されている。また、天壁部8の上面には、装着筒7よりも小径でかつこの装着筒7と同軸に配置された摺動筒9が立設されている。この摺動筒9の上端部は上方に向かうに従い漸次拡径している。また、装着筒7および摺動筒9はそれぞれ、天壁部8の径方向中央部に形成された貫通孔8aの開口周縁部に同軸上に配置され、摺動筒9は貫通孔8aを介してステム2の内部と連通している。
さらに、案内筒10は、天壁部8の外周縁部から下方に向けて延設されている。なお、案内筒10の長さは装着筒7の長さよりも短くなっている。また、装着筒7の外周面と案内筒10の内周面との間には径方向に隙間が設けられている。
【0012】
また、天壁部8の外周縁部には、図2に示されるように、上方に向けて延びる一対のガイド板15が径方向で互いに対向させられた状態で設けられている。各ガイド板15の外周面には、上下方向に沿って延在し案内筒10の下端に至るガイド溝17が形成されており、これらの各ガイド溝17内に、ヘッド本体4の周壁部13aの内周面に形成された図示されない摺動突起が上下摺動可能に嵌合されている。このように摺動突起がガイド溝17に嵌合されることにより、ヘッド本体4が装着筒部材3に対して回転したり、あるいはヘッド本体4が装着筒部材3に対して上下摺動する際に傾いたりするのを防止できるようになっている。
【0013】
ここで、ヘッド本体4の周壁部13aにおける上部には、前方に向けて開口する貫通孔が形成され、この貫通孔の開口周縁部から後方に向けて延在するとともに、後端壁14aが周壁部13aの後部から径方向内側に離れて位置する横筒14が設けられている。これにより、横筒14の後端壁14aと周壁部13aの後部における内面との間には隙間Bが設けられている。
そして、この横筒14内の前側部分に、前端部にノズル孔12が形成された筒状のノズル16が、ノズル孔12を周壁部13aから径方向外方に突出させた状態で装着されている。
【0014】
ここで、装着筒部材3の天壁部8に上側から対向する横筒14の下端壁14bには、横筒14の内部に連通したシリンダ11が垂設されており、このシリンダ11内に、摺動筒9がシリンダ11に対して相対的に上昇摺動可能に嵌合されている。また、横筒14の後端壁14aには貫通孔が形成されており、この貫通孔内に、弁部材5の後部が後退摺動可能に支持されるシリンダ筒18が嵌着されている。
そして、ヘッド本体4内の弁室Aは、それぞれが同軸上に配置された横筒14、ノズル16、およびシリンダ筒18の各内部によって構成されている。また、この弁室Aは、シリンダ11および摺動筒9の各内部を介してステム2の内部と連通している。
【0015】
弁部材5は棒状とされ、横筒14、ノズル16、およびシリンダ筒18と略同軸上に配置され、この弁部材5の後端部が、横筒14の後端壁14aに形成された貫通孔から前記隙間Bに突出した状態で、弁室Aに設けられている。なお、弁部材5において弁室Aから前記隙間Bに突出した後端部には凹溝23がその全周にわたって形成されている。
【0016】
弁部材5の外周面には、その軸線方向の中央部から後方に向けて漸次拡径したスカート状部20が設けられ、さらにこのスカート状部20の後端縁には、径方向外方に折り返されて前方に向けて延びる逆スカート状部21が連設されている。そして、この逆スカート状部21がシリンダ筒18の内周面に後退摺動可能に嵌合されている。また、弁部材5は、その外周面におけるスカート状部20の連結部分と、横筒14の後端壁14aとの間に介在されたコイルスプリング22により、前方に付勢されている。これにより、弁部材5の前端部5bをノズル孔12の内周面に密接させてこのノズル孔12を閉塞できるようになっている。
【0017】
ここで、弁部材5において弁室Aから後方に突出した後端部には、下方に向かうに従い前方に向けて屈曲させられてその下端部が天壁部8上に配置され、かつ装着筒部材3に対するヘッド本体4の押下時に弁部材5を後退移動させるように揺動可能に支持された梃子部材6が連結されている。この梃子部材6は、図1に示されるようなこの押下ヘッド1の側面視において、上下方向に長い長方形状に形成された第1平板部24と、上方から下方に向かうに従い漸次前方に向かう傾斜方向に長い長方形状に形成された第2平板部25と、を備え、第1平板部24の下端と第2平板部25の上端とが連結されてL字状をなしている。そして、これらの第1平板部24と第2平板部25との連結部分において、前後方向および上下方向の双方に直交する直交方向の両端部に、前記直交方向に向けてピン部材28が各別に突設されている。
【0018】
第1平板部24の上部において前記直交方向の中央部には、前後方向に貫通しかつ上方に向けて開口する第1切り欠き部26が形成されており、この第1切り欠き部26内に、弁部材5の前記凹溝23が嵌合されている。
第2平板部25の下部において前記直交方向の中央部には、上下方向に貫通しかつ前方に向けて開口する第2切り欠き部27が形成されており、この第2切り欠き部27内に、装着筒部材3の摺動筒9およびヘッド本体4のシリンダ11が配置されている。
【0019】
ここで、ピン部材28は、ヘッド本体4内に設けられた一対の軸受29に回転自在に支持されている。これらの軸受29は、周壁部13aの内周面において横筒14の直下に位置する部分に嵌着された取り付け板30と一体に形成されている。すなわち、軸受29は、取り付け板30の下面において前記隙間Bの直下に位置する部分に前記直交方向に間隔をあけて垂設された一対の板状体とされ、各板状体に上下方向に延在し下方に向けて開口する長穴29aが形成されて構成されている。
そして、一対の軸受29の各長穴29aにピン部材28を各別に挿入することにより、梃子部材6がピン部材28回りに揺動するようになっている。
【0020】
なお、取り付け板30には、梃子部材6の第1平板部24をピン部材28回りに前後方向に揺動可能に挿通させる窓孔30bが形成されている。また、取り付け板30の外周縁部には径方向に開口する切欠部33が形成されており、この切欠部33にヘッド本体4の周壁部13aの内周面に突設した係止リブ34を係合することによって、この取り付け板30の周壁部13aに対する回転を防ぐようになっている。
【0021】
ここで、本実施形態では、例えば、ステム2の上方付勢力を、弁部材5を前方付勢するコイルスプリング22の付勢力よりも大きくしたり、あるいは摺動筒9とシリンダ11との間の摩擦力や梃子部材6の揺動時に発生する摩擦力等を適宜設定したりする等して、装着筒部材3に対するヘッド本体4の押下抗力が、ステム2の押下抗力よりも小さくなっている。
【0022】
そして、本実施形態では、装着筒部材3における案内筒10の内周面に、この案内筒10の径方向内方に向けた変形を規制する規制リング19が嵌合されている。図示の例では、規制リング19の上下方向における長さは、案内筒10の上下方向における長さと同等になっている。また、この規制リング19の内周面と装着筒7の外周面との間には隙間が設けられている。さらに、本実施形態では、規制リング19の下端部には、その径方向内方に向けてフランジ部19aが突設されている。このフランジ部19aの径方向内方端縁は、装着筒7の下端部における外周面に近接している。
【0023】
以上の構成において、コイルスプリング22により第1平板部24の上端部や弁部材5が前方に付勢されて弁部材5がノズル孔12を閉塞しかつ第1平板部24の下端部が天壁部8を下方に押圧した状態から、ヘッド本体4の頂壁部13bを下方に押圧すると、まず、ステム2の押下抗力の方がヘッド本体4の装着筒部材3に対する押下抗力よりも大きいため、ステム2は押し下げられず、装着筒部材3に対してヘッド本体4が押し下げられる。
【0024】
この際、梃子部材6は、コイルスプリング22による前方付勢力に抗して、その下端部が装着筒部材3の天壁部8上を前方に向けて摺動させられつつこの天壁部8により押し上げられ、かつ上端部が後方へ移動させられるようにピン部材28回りに揺動する。これにより、弁部材5が梃子部材6の上端部とともに後方へ移動させられてノズル孔12が開口する。さらにこの際、ヘッド本体4の環状突部13cが装着筒部材3の案内筒10における下端縁から下方に離間する。
【0025】
そして、さらにヘッド本体4の頂壁部13bを下方に押圧することにより、シリンダ11の下端を装着筒部材3の天壁部8の上面に当接させて、この押下力を装着筒部材3を介してステム2に伝えステム2を下方に移動させ、容器体内の液体をステム2内から摺動筒9を介して弁室A内に流入させることによって、ノズル孔12から液体を外部に噴出させる。
【0026】
次に、ヘッド本体4の頂壁部13bに対する前記押圧を解除すると、ステム2の上方付勢力によりヘッド本体4が装着筒部材3とともに上昇し、かつコイルスプリング22の弾性復元力により弁部材5が梃子部材6の上端部とともに前方へ移動する。この過程において、まずステム2が上昇端位置に戻り、その後でノズル孔12が閉塞され、かつ梃子部材6の下端部が装着筒部材3の天壁部8を下方に押圧してヘッド本体4を装着筒部材3に対して上方に押し上げる。
【0027】
以上説明したように本実施形態に係る押下ヘッド1によれば、規制リング19が設けられているので、ヘッド本体4に外力などが作用したときに、ヘッド本体4が装着筒部材3に対して上方に移動させられ環状突部13cが案内筒10の下端縁を乗り越えようとしても、案内筒10の縮径変形が規制されることからヘッド本体4が装着筒部材3から外れるのを抑制することができる。
なお、これとは逆に、弁部材5の後端部から梃子部材6の上端部に伝達された前方付勢力により梃子部材6の下端部が天壁部8を下方に向けて押圧する力や、その他の例えば弁室Aの内圧などによって、装着筒部材3がヘッド本体4に対して下方に移動させられ、案内筒10の下端縁がヘッド本体4の環状突部13cを乗り越えようとしても、案内筒10の縮径変形が規制されることから、装着筒部材3がヘッド本体4から脱落するのを抑制することもできる。
また、このような作用効果を奏功させるために、規制リング19を設ければ足りるので、装着筒部材3を射出成形する場合に、現行の金型をほぼそのまま適用することが可能になり、製造コストの増大を抑えることもできる。
【0028】
さらに、本実施形態では、規制リング19の内周面に、その径方向内方に向けてフランジ部19aが突設されているので、案内筒10に付与する縮径変形に対する抵抗力をより一層高めることが可能になる。
【0029】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば前記実施形態では、規制リング19にフランジ部19aを設けたが、このフランジ部19aは設けなくてもよい。また、フランジ部19aを形成する上下方向位置は、例えば上下方向中央部や上部等、前記実施形態に限らず適宜変更してもよい。
また、規制リング19の上下方向における長さも前記実施形態に限らず適宜変更してもよい。
さらに、この押下ヘッド1を装着する吐出器としては、例えばシリンダやピストン等を有するポンプやエアゾール式の吐出器等、その形態は適宜選択してもよい。
また、フランジ部19aの径方向内方端を装着筒部材3における装着筒7の外周面に当接させてもよい。この場合、案内筒10の縮径変形を確実に防ぐことができる。
【0030】
また、図1で示した押下ヘッド1に代えて、例えば図3に示されるような押下ヘッド40を採用してもよい。この図3に示す押下ヘッド40には、装着筒部材3の装着筒7内に筒状のアダプタ41が嵌合されており、このアダプタ41の下端部内に図示されないステムが嵌合されるようになっている。図示の例では、アダプタ41は、装着筒7内に嵌合された上部41aと、この上部41aよりも大径でかつ装着筒7の下端縁から下方に向けて延びる下部41bと、を有する2段筒状に形成されている。そして、このアダプタ41の上部41aが装着筒7内に嵌合された状態で、アダプタ41において上部41aと下部41bとの間の段部41c上に装着筒7の下端縁が下側から支持されるようになっている。また、アダプタ41の下端部は、内部に装着筒部材3が配置されたヘッド本体4の下端縁よりも下方に位置している。
【0031】
さらに、このアダプタ41と、フランジ部19aを有する規制リング19とが一体に形成されている。図示の例では、規制リング19には、フランジ部19aの径方向内方端に下方に向けて延設され、その下端部がアダプタ41の段部41cに径方向外側から段差無く連なる筒部19bが備えられ、この筒部19bを介して規制リング19とアダプタ41とが連結されている。
【0032】
この図3に示されるような構成の場合、アダプタ41が設けられているので、この押下ヘッド40を適用可能な容器の種類を増大することが可能になり、さらには規制リング19がアダプタ41と一体に形成されているので、この押下ヘッド40の部品点数を抑えて製造コストの増大を抑制することができる。
なお、図3に示される構成においても、フランジ部19aの径方向内方端を装着筒部材3における装着筒7の外周面に当接させてもよい。この場合、案内筒10の縮径変形を確実に防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
製造コストを増大させることなく、ヘッド本体が装着筒部材から外れるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る一実施形態として示した押下ヘッドを示す概略縦断面図である。
【図2】図1に示す装着筒部材を示す(a)側面図および(b)底面図である。
【図3】本発明に係る他の実施形態として示した押下ヘッドを示す概略縦断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1、40 押下ヘッド
2 ステム
3 装着筒部材
4 ヘッド本体
5 弁部材
6 梃子部材
7 装着筒
8 天壁部
10 案内筒
12 ノズル孔
13a 周壁部
13b 頂壁部
13c 環状突部
19 規制リング
19a フランジ部
A 弁室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方付勢状態で押込み可能にステムを起立した吐出器に装着される押下ヘッドであって、
頂壁部、この頂壁部の外周縁部から下方に向けて延設された周壁部、およびノズル孔を備えるとともに、内部に前記ステム内に連通しかつノズル孔を介して外部に連通可能な弁室が画成されたヘッド本体と、
天壁部、この天壁部の下面から下方に向けて延設されてステムに連結される装着筒、およびこの装着筒よりも大径でかつ天壁部の外周縁部に上下方向に沿って延設された案内筒を備える装着筒部材と、が備えられ、
この装着筒部材は、前記ヘッド本体の内部において周壁部の内周面に突設された環状突部と弁室との間に、前記案内筒の下端縁が前記環状突部により下側から支持されかつこの案内筒がヘッド本体に対して相対的に上昇摺動可能に嵌合されて配置され、
前記弁室には、前方付勢状態で前記ノズル孔を閉塞する弁部材が設けられ、
この弁部材の後端部には、下方に向かうに従い前方に向けて屈曲させられてその下端部が前記天壁部上に配置され、かつ装着筒部材に対するヘッド本体の押下時に弁部材を後退移動させるように揺動可能に支持された梃子部材が連結され、
前記装着筒部材の案内筒内には、この案内筒の径方向内方に向けた変形を規制する規制リングが嵌合されていることを特徴とする押下ヘッド。
【請求項2】
請求項1記載の押下ヘッドにおいて、
前記規制リングの内周面には、その径方向内方に向けてフランジ部が突設されていることを特徴とする押下ヘッド。
【請求項3】
請求項2記載の押下ヘッドにおいて、
前記ステムと装着筒との間に筒状のアダプタが設けられ、
前記規制リングは、前記アダプタと一体に形成されていることを特徴とする押下ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−131800(P2009−131800A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−310816(P2007−310816)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】