説明

押入用棚板及び押入用棚板の施工方法

【課題】様々な内部寸法の押入に対して取付可能で、細かな手直しも容易な押入用棚板の施工方法を提供する。
【解決手段】前受け部材1と後受け部材2との間の長さL1よりも長い複数の第1板材10を並列させるとともに、第1板材10と直交するように左右の横受け部材3,3の間の長さL2よりも長い複数の第2板材20を並列させ、かつ第1板材10の長手方向の端部10aを第2板材20の幅方向の端部から突出させ、第2板材20の長手方向の端部20aを第1板材10の幅方向の端部から突出させた状態で、第1板材10と第2板材20を固定して押入用棚板100を形成し、第1板材10の長手方向の端部10aを、前受け部材1と後受け部材2との間の長さL1に合わせて切断し、第2板材20の長手方向の端部20aを、左右の横受け部材3,3の間の長さL2に合わせて切断し、前受け部材1と後受け部材2と左右の横受け部材3,3との間に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押入を上下に仕切る押入用棚板及びその施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図8に示すように、押入には、内部を上下に分割する押入用棚板200が取り付けられている。この押入用棚板200は、合板等の1枚の板材から形成され、押入内の前受け部材1、後受け部材2、横受け部材3,3の間に取り付けられている。
ところが、このような押入用棚板200を取り付けた押入の場合、襖を閉めてしまうと、押入内の上下方向の空気の循環が押入用棚板200によって妨げられてしまう。そのため、収納される寝具等から放出された水分により、押入内の湿度が高くなり、結露や黴が発生するおそれがあった。
【0003】
これに対して、押入の襖を開放して通気を図る方法のほか、乾燥材の使用や、押入内の中段や下段にスノコを置くといった方法が行われている。
さらに特許文献1には、押入内の中段の棚板自体をスノコにして、上下の空気の循環を良好にした発明が開示されている。
【特許文献1】特許第2997256号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来のスノコを用いた方法では、予め一定の寸法に加工されたスノコを取り付けることから、以下のような問題点があった。
(1)寸法のバリエーションが必要である。
押入内部の寸法は、住宅のモジュール(尺基準、メートル基準)の違い、壁材の厚さの違い、真壁か大壁かの違い等によって、数cm〜30cm程度の違いが生じるため、予め多種類の寸法のスノコをバリエーションとして用意しておくか、あるいは別途見切り材等で対応する必要があった。
【0005】
(2)施工精度による手直しが面倒である。
同一モジュールや同一構造でも、施工精度が悪ければ数mm程度の誤差が生じる場合が多い。特に木造住宅では構造材の乾燥の進行や反り等によって、数mm程度の誤差が発生しやすく、細かな手直しが必要である。しかし、予め完全に組み立てられた状態のスノコの寸法を現場で手直しするためには、スノコを構成する桟木と表面材を同時に削らなければならない等の、面倒な作業が必要であった。
【0006】
なお、スノコの寸法を現場で合わせることができるように、スノコを伸縮式としたものもあるが、構造が複雑で高価、接合部分の強度が劣る、固定ネジのため見栄えが悪い、木製では製造困難等の問題点があった。
【0007】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するためのものであり、様々な内部寸法の押入に対して取付可能で、細かな手直しも容易な押入用棚板及びその施工方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記従来の課題を解決するために、請求項1に係る発明の押入用棚板の施工方法は、押入内の前受け部材(1)と後受け部材(2)と左右の横受け部材(3,3)との間に棚板を取り付ける押入用棚板の施工方法であって、前記前受け部材(1)と前記後受け部材(2)との間の長さ(L1)よりも長い複数の第1板材(10)を並列させるとともに、前記第1板材(10)と直交するように前記左右の横受け部材(3,3)の間の長さ(L2)よりも長い複数の第2板材(20)を並列させ、かつ前記第1板材(10)の長手方向の端部(10a)を前記第2板材(20)の幅方向の端部から突出させ、前記第2板材(20)の長手方向の端部(20a)を前記第1板材(10)の幅方向の端部から突出させた状態で、前記第1板材(10)と前記第2板材(20)を固定して押入用棚板(100)を形成し、前記第1板材(10)の長手方向の端部(10a)を、前記前受け部材(1)と前記後受け部材(2)との間の長さ(L1)に合わせて切断し、前記第2板材(20)の長手方向の端部(20a)を、前記左右の横受け部材(3,3)の間の長さ(L2)に合わせて切断し、前記第1板材(10)の端部(10a)及び前記第2板材(20)の端部(20a)を切断した押入用棚板(100)を、前記前受け部材(1)と前記後受け部材(2)と前記左右の横受け部材(3,3)との間に取り付けることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に係る発明の押入用棚板の施工方法は、押入内の前受け部材(1)と後受け部材(2)と左右の横受け部材(3,3)との間に棚板を取り付ける押入用棚板の施工方法であって、複数の第1板材(10)を並列させるとともに、前記第1板材(10)と直交するように前記左右の横受け部材(3,3)の間の長さ(L2)よりも長い複数の第2板材(20)を並列させ、かつ前記第2板材(20)の長手方向の端部(20a)を前記第1板材(10)の幅方向の端部から突出させた状態で、前記第1板材(10)と前記第2板材(20)を固定して押入用棚板(100)を形成し、前記第2板材(20)の長手方向の端部(20a)を、前記左右の横受け部材(3,3)の間の長さ(L2)に合わせて切断し、前記第2板材(20)の端部(20a)を切断した押入用棚板(100)を、前記前受け部材(1)と前記後受け部材(2)と前記左右の横受け部材(3,3)との間に取り付けることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る発明の押入用棚板の施工方法は、押入内の前受け部材(1)と後受け部材(2)と左右の横受け部材(3,3)との間に棚板を取り付ける押入用棚板の施工方法であって、前記前受け部材(1)と前記後受け部材(2)との間の長さ(L1)よりも長い複数の第1板材(10)を並列させるとともに、前記第1板材(10)と直交するように複数の第2板材(20)を並列させ、かつ前記第1板材(10)の長手方向の端部(10a)を前記第2板材(20)の幅方向の端部から突出させた状態で、前記第1板材(10)と前記第2板材(20)を固定して押入用棚板(100)を形成し、前記第1板材(10)の長手方向の端部(10a)を、前記前受け部材(1)と前記後受け部材(2)との間の長さ(L1)に合わせて切断し、前記第1板材(10)の端部(10a)を切断した押入用棚板(100)を、前記前受け部材(1)と前記後受け部材(2)と前記左右の横受け部材(3,3)との間に取り付けることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一つに記載の発明において、前記第1板材(10)及び前記第2板材(20)を、それぞれ間隔を空けて並列させることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記押入用棚板(100)は、前記第1板材(10)を表側に、前記第2板材(20)を裏側に固定して形成されており、前記押入用棚板(100)を取り付けた後、前記横受け部材(3,3)に隣接する前記第1板材(10b,10c)と壁材との隙間(B,C)に、その隙間(B,C)に対応した幅の板材(11,12)を固定することを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に係る発明は、請求項1又は請求項3に記載の発明において、前記押入用棚板(100)は、前記第2板材(20)を表側に、前記第1板材(10)を裏側に固定して形成されており、前記押入用棚板(100)を取り付けた後、前記前受け部材(1)に隣接する前記第2板材(20)と前受け部材(1)との隙間、及び前記後受け部材(2)に隣接する前記第2板材(20)と壁材との隙間に、その隙間に対応した幅の板材を固定することを特徴とする。
【0014】
また、請求項7に係る発明は、請求項1乃至請求項6のうちいずれか一つに記載の発明において、前記第1板材(10)と前記第2板材(20)のうち裏側に固定された板材の表面を塗装することを特徴とする。
【0015】
また、請求項8に係る発明の押入用棚板は、押入内の前受け部材(1)と後受け部材(2)と左右の横受け部材(3,3)との間に取り付ける押入用棚板(100)であって、前記前受け部材(1)と前記後受け部材(2)との間の長さ(L1)よりも長い複数の第1板材(10)を並列させるとともに、前記第1板材(10)と直交するように前記左右の横受け部材(3,3)の間の長さ(L2)よりも長い複数の第2板材(20)を並列させ、前記第1板材(10)の長手方向の端部(10a)を前記前受け部材(1)と前記後受け部材(2)との間の長さ(L1)に合わせて切断可能なように、前記第1板材(10)の長手方向の端部(10a)を前記第2板材(20)の幅方向の端部から突出させ、前記第2板材(20)の長手方向の端部(20a)を前記左右の横受け部材(3,3)の間の長さ(L2)に合わせて切断可能なように、前記第2板材(20)の長手方向の端部(20a)を前記第1板材(10)の幅方向の端部から突出させた状態で、前記第1板材(10)と前記第2板材(20)を固定したことを特徴とする。
【0016】
また、請求項9に係る発明の押入用棚板は、押入内の前受け部材(1)と後受け部材(2)と左右の横受け部材(3,3)との間に取り付ける押入用棚板(100)であって、複数の第1板材(10)を並列させるとともに、前記第1板材(10)と直交するように前記左右の横受け部材(3,3)の間の長さ(L2)よりも長い複数の第2板材(20)を並列させ、前記第2板材(20)の長手方向の端部(20a)を前記左右の横受け部材(3,3)の間の長さ(L2)に合わせて切断可能なように、前記第2板材(20)の長手方向の端部(20a)を前記第1板材(10)の幅方向の端部から突出させた状態で、前記第1板材(10)と前記第2板材(20)を固定したことを特徴とする。
【0017】
また、請求項10に係る発明の押入用棚板は、押入内の前受け部材(1)と後受け部材(2)と左右の横受け部材(3,3)との間に取り付ける押入用棚板(100)であって、前記前受け部材(1)と前記後受け部材(2)との間の長さ(L1)よりも長い複数の第1板材(10)を並列させるとともに、前記第1板材(10)と直交するように複数の第2板材(20)を並列させ、前記第1板材(10)の長手方向の端部(10a)を前記前受け部材(1)と前記後受け部材(2)との間の長さ(L1)に合わせて切断可能なように、前記第1板材(10)の長手方向の端部(10a)を前記第2板材(20)の幅方向の端部から突出させた状態で、前記第1板材(10)と前記第2板材(20)を固定したことを特徴とする。
【0018】
また、請求項11に係る発明は、請求項8乃至請求項10のうちいずれか一つに記載の発明において、前記第1板材(10)及び前記第2板材(20)を、それぞれ間隔を空けて並列させたことを特徴とする。
【0019】
なお、括弧内の記号は、発明を実施するための最良の形態および図面に記載された対応要素または対応事項を示す。
また、請求項1乃至請求項11において、押入用棚板を構成する複数の第1板材は、同一の幅であってもよいし、異なる幅であってもよい。同様に複数の第2板材は、同一の幅であってもよいし、異なる幅であってもよい。
また、第1板材及び第2板材は、それぞれ長手方向の両端を突出させてもよいし、いずれか一端を突出させてもよい。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の発明によれば、前受け部材と後受け部材との間の長さよりも長い複数の第1板材を並列させ、左右の横受け部材の間の長さよりも長い複数の第2板材を並列させ、両者を直交するように固定して押入用棚板を形成するので、後から第1板材と第2板材の余分な部分を切断することで押入の前後左右の内部寸法に合わせて押入用棚板の大きさを調整することができる。
また、第1板材の長手方向の端部を第2板材の幅方向の端部から突出させ、第2板材の長手方向の端部を第1板材の幅方向の端部から突出させるので、第1板材を切断するときに第2板材が邪魔にならず、第2板材を切断するときに第1板材が邪魔にならない。
そして、第1板材を前受け部材と後受け部材との間の長さに合わせて切断し、第2板材を左右の横受け部材の間の長さに合わせて切断した後に取り付ければ、押入の前後左右の内部寸法に合わせて押入用棚板を取り付けることができる。従って、様々な前後左右の内部寸法の押入に対して取り付けることができる。
【0021】
請求項2に記載の発明によれば、複数の第1板材を並列させ、左右の横受け部材の間の長さよりも長い複数の第2板材を並列させ、両者を直交するように固定して押入用棚板を形成するので、後から第2板材の余分な部分を切断することで押入の左右の内部寸法に合わせて押入用棚板の大きさを調整することができる。
また、第2板材の長手方向の端部を第1板材の幅方向の端部から突出させるので、第2板材を切断するときに第1板材が邪魔にならない。
そして、第2板材を左右の横受け部材の間の長さに合わせて切断した後に取り付ければ、押入の左右の内部寸法に合わせて押入用棚板を取り付けることができる。従って、様々な左右の内部寸法の押入に対して取り付けることができる。
【0022】
請求項3に記載の発明によれば、前受け部材と後受け部材との間の長さよりも長い複数の第1板材を並列させ、複数の第2板材を並列させ、両者を直交するように固定して押入用棚板を形成するので、後から第1板材の余分な部分を切断することで押入の前後の内部寸法に合わせて押入用棚板の大きさを調整することができる。
また、第1板材の長手方向の端部を第2板材の幅方向の端部から突出させるので、第1板材を切断するときに第2板材が邪魔にならない。
そして、第1板材を前受け部材と後受け部材との間の長さに合わせて切断した後に取り付ければ、押入の前後の内部寸法に合わせて押入用棚板を取り付けることができる。従って、様々な前後の内部寸法の押入に対して取り付けることができる。
【0023】
また、請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一つに記載の発明の作用効果に加えて、第1板材と第2板材を、それぞれ間隔を空けて並列させるので、押入用棚板の上下方向に空気の通り道を形成し、押入の上下方向の空気の循環を良好にして、押入内の湿度を低下させ結露や黴の発生を防止することができる。
【0024】
また、請求項5に記載の発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の作用効果に加えて、第1板材を表側に、第2板材を裏側に固定して形成した押入用棚板を取り付けた後に、横受け部材に隣接する第1板材と壁材との隙間に、その隙間に対応した幅の板材を固定するので、左右に発生する隙間を容易に埋めることができる。従って、表側の第1板材を並列させるときに、左右方向の幅を考慮する必要がない。
【0025】
また、請求項6に記載の発明によれば、請求項1又は請求項3に記載の発明の作用効果に加えて、第2板材を表側に、第1板材を裏側に固定して形成した押入用棚板を取り付けた後に、前受け部材に隣接する第2板材と前受け部材との隙間、及び後受け部材に隣接する第2板材と壁材との隙間に、その隙間に対応した幅の板材を固定するので、前後に発生する隙間を容易に埋めることができる。従って、表側の第2板材を並列させるときに、前後方向の幅を考慮する必要がない。
【0026】
また、請求項7に記載の発明によれば、請求項1乃至請求項6のうちいずれか一つに記載の発明の作用効果に加えて、第1板材と第2板材のうち裏側に固定された板材の表面を塗装するので、反りを防止し、また臭気や汚れの付着を防止することができる。
【0027】
また、請求項8に記載の発明によれば、前受け部材と後受け部材との間の長さよりも長い複数の第1板材を並列させ、左右の横受け部材の間の長さよりも長い複数の第2板材を並列させ、両者を直交するように固定して押入用棚板を形成したので、後から第1板材と第2板材の余分な部分を切断することで押入の前後左右の内部寸法に合わせて押入用棚板の大きさを調整することができる。
また、第1板材の長手方向の端部を第2板材の幅方向の端部から突出させたので、第1板材を前受け部材と後受け部材との間の長さに合わせて切断可能で、切断するときに第2板材が邪魔にならない。また、第2板材の長手方向の端部を第1板材の幅方向の端部から突出させたので、第2板材を左右の横受け部材の間の長さに合わせて切断可能で、切断するときに第1板材が邪魔にならない。
従って、押入の前後左右の内部寸法に合わせることができ、様々な前後左右の内部寸法の押入に対して取り付けることができる。
【0028】
また、請求項9に記載の発明によれば、複数の第1板材を並列させ、左右の横受け部材の間の長さよりも長い複数の第2板材を並列させ、両者を直交するように固定して押入用棚板を形成したので、後から第2板材の余分な部分を切断することで押入の左右の内部寸法に合わせて押入用棚板の大きさを調整することができる。
また、第2板材の長手方向の端部を第1板材の幅方向の端部から突出させたので、第2板材を左右の横受け部材の間の長さに合わせて切断可能で、切断するときに第1板材が邪魔にならない。
従って、押入の左右の内部寸法に合わせることができ、様々な左右の内部寸法の押入に対して取り付けることができる。
【0029】
また、請求項10に記載の発明によれば、前受け部材と後受け部材との間の長さよりも長い複数の第1板材を並列させ、複数の第2板材を並列させ、両者を直交するように固定して押入用棚板を形成したので、後から第1板材の余分な部分を切断することで押入の前後の内部寸法に合わせて押入用棚板の大きさを調整することができる。
また、第1板材の長手方向の端部を第2板材の幅方向の端部から突出させたので、第1板材を前受け部材と後受け部材との間の長さに合わせて切断可能で、切断するときに第2板材が邪魔にならない。
従って、押入の前後の内部寸法に合わせることができ、様々な前後の内部寸法の押入に対して取り付けることができる。
【0030】
また、請求項11に記載の発明によれば、請求項8乃至請求項10のうちいずれか一つに記載の発明の作用効果に加えて、第1板材と第2板材を、それぞれ間隔を空けて並列させたので、押入用棚板の上下方向に空気の通り道を形成し、押入の上下方向の空気の循環を良好にして、押入内の湿度を低下させ結露や黴の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
次に、図1乃至図7を参照して、本発明の実施形態に係る押入用棚板及び押入用棚板の施工方法について説明する。
【0032】
最初に図1及び図2を参照して、本実施形態に係る押入用棚板を取り付ける押入と受け部材について説明する。図1は、押入用棚板を取り付ける前の押入を示す斜視図であり、図2は、図1における受け部材を示す拡大斜視図である。
【0033】
押入内には、その内部を上下に分割して仕切る棚板を取り付けるための受け部材が設けられている。この受け部材は、前受け部材1、後受け部材2、横受け部材3,3から構成された矩形状になっており、押入内の壁面に固定されている。
ここで、前受け部材1と後受け部材2との間の長さはL1であり、左右の横受け部材3,3の間の長さはL2である。また、前受け部材1の上下方向の厚さは後受け部材2や横受け部材3,3の厚さよりも厚く、後受け部材2の上下方向の厚さは横受け部材3,3の厚さよりも厚くなっている。そして、前受け部材1、後受け部材2、横受け部材3,3は下面が同一の高さの位置となるように固定され、前後方向に窪みが形成されるようになっている。
また、前受け部材1の後側(後受け部材2側)の上部には切り欠き部1aが形成されている。
【0034】
次に図3乃至図7を参照して、本実施形態に係る押入用棚板100及びその施工方法について説明する。図3は、押入用棚板100を示す斜視図である。
【0035】
押入用棚板100は、複数の第1板材10と複数の第2板材20から構成されている。第1板材10及び第2板材20は、それぞれ所定の間隔を空けて並列させてあり、第1板材10と第2板材20は互いに直交するように配置されている。また、第1板材10が表側に、第2板材20が裏側に配置されており、第1板材10が「表面材」、第2板材20が「裏面材」となっている。なお、第1板材10、第2板材20の枚数は、複数であれば特に限定されない。
【0036】
第1板材10の長さM1は、図2における前受け部材1と後受け部材2との間の長さL1よりも長く、また第2板材20の長さM2は、図2における左右の横受け部材3,3の間の長さL2よりも長くなっている。
なお、押入用棚板100を構成する複数の第1板材10は、同一の幅であってもよいし、異なる幅であってもよい。同様に複数の第2板材20は、同一の幅であってもよいし、異なる幅であってもよい。
【0037】
そして、第1板材10の長手方向の端部を第2板材20の幅方向の端部から突出させ、第2板材20の長手方向の端部を第1板材10の幅方向の端部から突出させた状態で、第1板材10と第2板材20が釘や接着剤等で固定され、押入用棚板100が完成する。
【0038】
本実施形態では、表面材である第1板材10の長手方向後側(後受け部材2側)の端部の裏側には、裏面材である第2板材20は存在しない。同様に、裏面材である第2板材20の長手方向の両端部の表側には、表面材である第1板材10は存在しない。また、本実施形態では、第1板材10の長手方向前側(前受け部材1側)の端部を、後述するように前受け部材1の切り欠き部1aに嵌合させるため、わずかに突出させている。
なお、第1板材10及び第2板材20は、それぞれ長手方向の両端を突出させてもよいし、いずれか一端を突出させてもよい。
【0039】
次に、上記のように形成した押入用棚板100を押入の前受け部材1、後受け部材2、横受け部材3,3に取り付ける。この際、図4に示すように、第1板材10及び第2板材20の余分な部分を鋸4等により切断する。図4は、押入用棚板100の端部を切断する様子を示す斜視図である。
このとき、第1板材10の長さが押入の前受け部材1と後受け部材2との間の長さL1と等しくなるように、第1板材10の長手方向の端部10aを切断除去する。同様に、第2板材20の長さが押入の左右の横受け部材3,3の間の長さL2と等しくなるように、第2板材20の長手方向の端部20aを切断除去する。
【0040】
なお、図4に示すように複数の第1板材10は、すべて左右の横受け部材3,3の間の長さL2の範囲内に納まるように予め配置されている。同様に、複数の第2板材20は、すべて前受け部材1と後受け部材2との間の長さL1の範囲内に納まるように予め配置されている。
【0041】
次に、上記のように第1板材10の端部10a及び第2板材20の端部20aを切断除去した押入用棚板100を、図5に示すように、前受け部材1、後受け部材2、横受け部材3,3により形成された受け部材に上から落とし込むようにして取り付ける。そして、第1板材10の後側(後受け部材2側)の端部を、後受け部材2の上面に釘や接着剤等により固定する。
このとき、第1板材10の長さが押入の前受け部材1と後受け部材2との間の長さL1と等しく、第2板材20の長さが押入の左右の横受け部材3,3の間の長さL2と等しいので、押入用棚板100は受け部材上に過不足なくぴったりと取り付けられる。
【0042】
一方、左側の横受け部材3に隣接する第1板材10bと壁材との間には、隙間Bが生じている。同様に、右側の横受け部材3に隣接する第1板材10cと壁材との間には、隙間Cが生じている。
そこで、この隙間B及び隙間Cを埋めるために、隙間Bには隙間Bに対応した幅の板材11を固定し、隙間Cには隙間Cに対応した幅の板材12を固定する。これら板材11及び板材12の長さ及び厚さは、第1板材10と等しくなっている。こうした隙間を埋めるための板材は、様々な幅のものを用意しておくとよい。
【0043】
このように、一旦押入用棚板100を受け部材に取り付けた後から、両サイドの隙間を埋めることができるので、予め第1板材10の左右方向の配置を左右の横受け部材3,3の間の長さL2に合わせる必要はない。
もちろん、予め左右の横受け部材3,3の間の長さL2に合わせて、第1板材10を配置しておいてもよい。
【0044】
図6は、図5のA−A断面図である。図6に示すように、第1板材10の前側(前受け部材1側:図6の左側)端部は、第2板材20からわずかに突出するとともに、前受け部材1の上部に形成された切り欠き部1aに嵌合するように取り付けられている。また、第1板材10の後側(後受け部材2側:図6の右側)端部は、後受け部材2の上面で支持されている。さらに第2板材20が横受け部材3,3の上面で支持されている。
このようにして、押入用棚板100が前受け部材1、後受け部材2、横受け部材3,3に支持されるとともに、上面が平坦に形成されている。
【0045】
なお、押入用棚板100と受け部材との係合構造は本実施形態の構造に限られるものではない。例えば、前受け部材1に切り欠き部1aを設けず、第1板材10の前側端部を前受け部材1の上面全体で支持するようにしてもよい。
【0046】
以上のようにして、図7に示すように、押入内の前受け部材1、後受け部材2、横受け部材3,3との間に押入用棚板100を取り付ける。
【0047】
本実施形態に係る押入用棚板100及びその取付方法によれば、前受け部材1と後受け部材2との間の長さL1よりも長い複数の第1板材10を並列させ、左右の横受け部材3,3の間の長さL2よりも長い複数の第2板材20を並列させ、両者を直交するように固定して押入用棚板100を形成するので、後から第1板材10と第2板材20の余分な部分を切断することで押入の前後左右の内部寸法に合わせて押入用棚板100の大きさを調整することができる。
【0048】
また、第1板材10の長手方向の端部10aを第2板材20の幅方向の端部から突出させ、第2板材20の長手方向の端部20aを第1板材10の幅方向の端部から突出させるので、第1板材10を切断するときに第2板材20が邪魔にならず、第2板材20を切断するときに第1板材10が邪魔にならない。
【0049】
そして、第1板材10を前受け部材1と後受け部材2との間の長さL1に合わせて切断し、第2板材20を左右の横受け部材3,3の間の長さL2に合わせて切断した後に取り付ければ、押入の前後左右の内部寸法に合わせて押入用棚板100を取り付けることができる。従って、様々な前後左右の内部寸法の押入に対して取り付けることができる。
【0050】
また、押入や受け部材の施工精度が低く、数mm程度の誤差が生じる場合でも、第1板材10や第2板材20を小型の鋸等で切断して、容易に調整することが可能である。
また、単純な構造で部材点数も少なく強度に優れており、見栄えもよい。
【0051】
また、第1板材10と第2板材20を、それぞれ間隔を空けて並列させるので、押入用棚板100の上下方向に空気の通り道を形成し、押入の上下方向の空気の循環を良好にして、押入内の湿度を低下させ結露や黴の発生を防止することができる。
【0052】
また、第1板材10を表側に、第2板材20を裏側に固定して形成した押入用棚板100を取り付けた後に、横受け部材3,3に隣接する第1板材10b,10cと壁材との隙間B,Cに、その隙間B,Cに対応した幅の板材11,12を固定するので、左右に発生する隙間B,Cを容易に埋めることができる。従って、表側の第1板材10を並列させるときに、左右方向の幅を考慮する必要がない。
【0053】
なお、第1板材10や第2板材20の表面には、ウレタン系塗料等により塗装を施すことが好ましい。これにより、長期間の使用による臭気や汚れの付着を防止することができる。特に、裏面材となる第2板材20については、水分の吸放出を妨げるような塗料を塗布して、長期間の使用による反りを防止することが効果的である。
【0054】
また、本実施形態のように、第1板材10と第2板材20を、それぞれ間隔を空けて並列させることで、押入用棚板100の上下方向に空気の通り道を形成することが好ましいが、間隔を空けずに並列させてもよい。その場合であっても、隣り合う板材の間に若干の隙間が生じることから、1枚の板材で棚板を形成するのと比べれば通気性を向上させることが可能である。
【0055】
また、本実施形態では、第1板材10と第2板材20の両方を切断するようにしたが、いずれか一方のみを切断するようにしてもよい。
例えば、予め第1板材10の長さを前受け部材1と後受け部材2との間の長さL1に合わせて形成しておき、第2板材20の長手方向の端部20aのみを第1板材10の幅方向の端部から突出させておく。そして、左右の横受け部材3,3の間の長さL2に合わせて第2板材20の長手方向の端部20aを切断する。
こうすれば、押入の左右の内部寸法に合わせて押入用棚板を取り付けることができるので、様々な左右の内部寸法の押入に対して対応可能である。
【0056】
逆に、予め第2板材20の長さを左右の横受け部材3,3の間の長さL2に合わせて形成しておき、第1板材10の長手方向の端部10aのみを第2板材20の幅方向の端部から突出させておく。そして、前受け部材1と後受け部材2との間の長さL1に合わせて第1板材10の長手方向の端部10aを切断する。
こうすれば、押入の前後の内部寸法に合わせて押入用棚板を取り付けることができるので、様々な前後の内部寸法の押入に対して対応可能である。
【0057】
また、本実施形態では、前後方向の第1板材10を表側に、左右方向の第2板材20を裏側に固定したが、表裏を逆にしてもよい。そうすると、前後方向の第2板材20が「表面材」になり、左右方向の第1板材10が「裏面材」となる。
このとき、前受け部材1に隣接する第2板材20と前受け部材1との隙間、及び後受け部材2に隣接する第2板材20と壁材との間に隙間が生じる場合があるが、その隙間に対応した幅の板材を固定することにより、本実施形態と同様に、前後に発生する隙間を容易に埋めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態に係る押入用棚板を取り付ける前の押入を示す斜視図である。
【図2】図1における受け部材を示す拡大斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る押入用棚板を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る押入用棚板の端部を切断する様子を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態に係る押入用棚板を受け部材に取り付ける様子を示す斜視図である。
【図6】図5のA−A断面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る押入用棚板を取り付けた状態の押入を示す斜視図である。
【図8】従来例に係る押入用棚板を取り付けた状態の押入を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0059】
1 前受け部材
1a 切り欠き部
2 後受け部材
3 横受け部材
4 鋸
10 第1板材
10a 端部
11 板材
12 板材
20 第2板材
20a 端部
100 押入用棚板
200 押入用棚板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押入内の前受け部材と後受け部材と左右の横受け部材との間に棚板を取り付ける押入用棚板の施工方法であって、
前記前受け部材と前記後受け部材との間の長さよりも長い複数の第1板材を並列させるとともに、前記第1板材と直交するように前記左右の横受け部材の間の長さよりも長い複数の第2板材を並列させ、かつ前記第1板材の長手方向の端部を前記第2板材の幅方向の端部から突出させ、前記第2板材の長手方向の端部を前記第1板材の幅方向の端部から突出させた状態で、前記第1板材と前記第2板材を固定して押入用棚板を形成し、
前記第1板材の長手方向の端部を、前記前受け部材と前記後受け部材との間の長さに合わせて切断し、前記第2板材の長手方向の端部を、前記左右の横受け部材の間の長さに合わせて切断し、
前記第1板材の端部及び前記第2板材の端部を切断した押入用棚板を、前記前受け部材と前記後受け部材と前記左右の横受け部材との間に取り付けることを特徴とする押入用棚板の施工方法。
【請求項2】
押入内の前受け部材と後受け部材と左右の横受け部材との間に棚板を取り付ける押入用棚板の施工方法であって、
複数の第1板材を並列させるとともに、前記第1板材と直交するように前記左右の横受け部材の間の長さよりも長い複数の第2板材を並列させ、かつ前記第2板材の長手方向の端部を前記第1板材の幅方向の端部から突出させた状態で、前記第1板材と前記第2板材を固定して押入用棚板を形成し、
前記第2板材の長手方向の端部を、前記左右の横受け部材の間の長さに合わせて切断し、
前記第2板材の端部を切断した押入用棚板を、前記前受け部材と前記後受け部材と前記左右の横受け部材との間に取り付けることを特徴とする押入用棚板の施工方法。
【請求項3】
押入内の前受け部材と後受け部材と左右の横受け部材との間に棚板を取り付ける押入用棚板の施工方法であって、
前記前受け部材と前記後受け部材との間の長さよりも長い複数の第1板材を並列させるとともに、前記第1板材と直交するように複数の第2板材を並列させ、かつ前記第1板材の長手方向の端部を前記第2板材の幅方向の端部から突出させた状態で、前記第1板材と前記第2板材を固定して押入用棚板を形成し、
前記第1板材の長手方向の端部を、前記前受け部材と前記後受け部材との間の長さに合わせて切断し、
前記第1板材の端部を切断した押入用棚板を、前記前受け部材と前記後受け部材と前記左右の横受け部材との間に取り付けることを特徴とする押入用棚板の施工方法。
【請求項4】
前記第1板材及び前記第2板材を、それぞれ間隔を空けて並列させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一つに記載の押入用棚板の施工方法。
【請求項5】
前記押入用棚板は、前記第1板材を表側に、前記第2板材を裏側に固定して形成されており、前記押入用棚板を取り付けた後、前記横受け部材に隣接する前記第1板材と壁材との隙間に、その隙間に対応した幅の板材を固定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の押入用棚板の施工方法。
【請求項6】
前記押入用棚板は、前記第2板材を表側に、前記第1板材を裏側に固定して形成されており、前記押入用棚板を取り付けた後、前記前受け部材に隣接する前記第2板材と前受け部材との隙間、及び前記後受け部材に隣接する前記第2板材と壁材との隙間に、その隙間に対応した幅の板材を固定することを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の押入用棚板の施工方法。
【請求項7】
前記第1板材と前記第2板材のうち裏側に固定された板材の表面を塗装することを特徴とする請求項1乃至請求項6のうちいずれか一つに記載の押入用棚板の施工方法。
【請求項8】
押入内の前受け部材と後受け部材と左右の横受け部材との間に取り付ける押入用棚板であって、
前記前受け部材と前記後受け部材との間の長さよりも長い複数の第1板材を並列させるとともに、前記第1板材と直交するように前記左右の横受け部材の間の長さよりも長い複数の第2板材を並列させ、
前記第1板材の長手方向の端部を前記前受け部材と前記後受け部材との間の長さに合わせて切断可能なように、前記第1板材の長手方向の端部を前記第2板材の幅方向の端部から突出させ、前記第2板材の長手方向の端部を前記左右の横受け部材の間の長さに合わせて切断可能なように、前記第2板材の長手方向の端部を前記第1板材の幅方向の端部から突出させた状態で、前記第1板材と前記第2板材を固定したことを特徴とする押入用棚板。
【請求項9】
押入内の前受け部材と後受け部材と左右の横受け部材との間に取り付ける押入用棚板であって、
複数の第1板材を並列させるとともに、前記第1板材と直交するように前記左右の横受け部材の間の長さよりも長い複数の第2板材を並列させ、
前記第2板材の長手方向の端部を前記左右の横受け部材の間の長さに合わせて切断可能なように、前記第2板材の長手方向の端部を前記第1板材の幅方向の端部から突出させた状態で、前記第1板材と前記第2板材を固定したことを特徴とする押入用棚板。
【請求項10】
押入内の前受け部材と後受け部材と左右の横受け部材との間に取り付ける押入用棚板であって、
前記前受け部材と前記後受け部材との間の長さよりも長い複数の第1板材を並列させるとともに、前記第1板材と直交するように複数の第2板材を並列させ、
前記第1板材の長手方向の端部を前記前受け部材と前記後受け部材との間の長さに合わせて切断可能なように、前記第1板材の長手方向の端部を前記第2板材の幅方向の端部から突出させた状態で、前記第1板材と前記第2板材を固定したことを特徴とする押入用棚板。
【請求項11】
前記第1板材及び前記第2板材を、それぞれ間隔を空けて並列させたことを特徴とする請求項8乃至請求項10のうちいずれか一つに記載の押入用棚板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−38533(P2008−38533A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−216835(P2006−216835)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【出願人】(000145437)株式会社ウッドワン (70)