説明

押出性と耐粒界腐食性に優れた微細孔中空形材用アルミニウム合金とその製造方法

【課題】微細孔中空形材用アルミニウム合金として、耐粒界腐食性に問題があるCuの含有量を抑え、かつ自然電位を貴に維持することが可能で、押出性に優れたアルミニウム合金を提供する。
【解決手段】Fe:0.05〜0.15質量%、Si:0.10質量%以下、Cu:0.03〜0.07質量%、Mn:0.30〜0.55質量%、Cr:0.03〜0.06質量%、Ti:0.08〜0.12質量%を、さらに必要に応じてV:0.08質量%以下を、Ti+V:0.08〜0.2質量%なる関係で含有する成分組成を有している合金。
この成分組成を有するDC鋳造ビレットを、80℃/時間以下の速度で550〜590℃に加熱して0.5〜6時間保持した後、450〜350℃の範囲で0.5〜1時間保持するか、もしくは50℃/時間の冷却速度で200℃以下まで冷却する均熱化処理を施し、その後450〜550℃に再加熱後、押出比30以上1000以下の加工度で所望形状に押出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム製熱交換器、例えばコンデンサー、エバポレーター、インタークーラー等を構成する押出製微細孔中空扁平管に用いる、押出性と耐粒界腐食性に優れたアルミニウム合金とその合金成分の効果を出すための製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的にアルミニウム製熱交換器は、例えば図1に示すようなカーエアコン用コンデンサーでは、冷媒が流れる管路(扁平管)(図2(a)参照)、空気と熱交換するコルゲートフィン、タンク部であるヘッダーパイプ及び出入り口部材で構成され、互いに接する何れかの部材にろう付接合される手段を有し、非腐食性フラックスを用いてろう付されている(図2(b)参照)。
アルミニウム製熱交換器には高い耐久性が要求されており、構成する部材である押出扁平管には、当然、耐食性、強度、ろう付性、押出性等が要求されている。
【0003】
一方、熱交換器の軽量化ニーズや経済性の点から、複雑な微細孔中空構造で、かつ薄肉、軽量化を可能とする押出性の優れたアルミニウム合金が要求されている。
特に耐食性に関しては、扁平管内部に封入されている冷媒が流出するような粒界腐食による早期の貫通欠陥の発生防止が課題である。
広く用いられている犠牲防食方法として、Zn金属を扁平管表面に塗布、加熱後に表層部にZn拡散層を形成する方法がある。形成されたZn拡散層を犠牲防食として利用するものである。(図3参照)
【0004】
しかしZn金属を組み合わせた犠牲防食の効果では、逆にフィンとの接合部を含むZn拡散層部が早期に消耗し熱交換器性能を低下させる課題も発生する。
このような機能が要求される押出扁平管用のアルミニウム合金は多く提案されているが、何れの要求も満たす解決には到っていない。
例えば特許文献1、2に、押出性と耐食性を改良したアルミニウム合金が提案されている。純アルミニウムをベースとし、Cu元素及びFe元素を積極的に加えて押出性を改良したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭60−238438号公報
【特許文献2】特開平5−222480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2で提案された合金は、確かに押出性は改良されているものの、耐食性なる観点からは不十分である。
前記したように、一般的には、熱交換器の扁平管の腐食を防御する手段として犠牲防食方法が採用されている。前記特許文献1,2で提案されたアルミニウム合金は、電位的に自然電位が約−0.7 VvsSCE程度とかなり貴な合金といえるので、犠牲防食方法が採用される部位での使用には問題はない。
【0007】
しかしながら、前記合金は純AlにCu元素が添加されており、Al‐Cuの金属間化合物が結晶粒界に沿って形成されるため、結晶粒界の腐食が促進される虞がある。すなわち、Zn拡散層の軽減対策や犠牲防食法が形成されない熱交換器の部位では、扁平管自身の腐食が進む虞がある。
本発明は、このような課題を解決するために案出されたものであり、微細孔中空形材用アルミニウム合金として、耐粒界腐食性に問題があるCuの含有量を抑え、かつ自然電位を貴に維持することが可能で、押出性に優れたアルミニウム合金を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の押出性と耐粒界腐食性に優れた微細孔中空形材用アルミニウム合金は、その目的を達成するために、Fe:0.05〜0.15質量%、Si:0.10質量%以下、Cu:0.03〜0.07質量%、Mn:0.30〜0.55質量%、Cr:0.03〜0.06質量%、Ti:0.08〜0.12質量%を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる成分組成を有していることを特徴とする。
さらに、V:0.08%質量%以下を、Ti+V:0.08〜0.2質量%なる関係で含有していてもよい。
【0009】
なお、微細孔中空形材用アルミニウム合金は、上記のような成分組成を有するアルミニウム合金のDC鋳造ビレットを、80℃/時間以下の速度で550〜590℃に加熱して0.5〜6時間保持した後、450〜350℃の範囲で0.5〜1時間保持するか、もしくは50℃/時間の冷却速度で200℃以下まで冷却する均熱化処理を施すことにより得られる。
そして、上記均質化処理が施されたビレットを450〜550℃に再加熱後、押出比30以上1000以下の加工度で所望形状に押出すことにより、耐粒界腐食性に優れたアルミニウム合金製微細孔中空形材が得られる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の押出性と耐粒界腐食性に優れた微細孔中空形材用アルミニウム合金は、基本的には純アルミニウムをベースとし、Fe,Cu,Mn、Crの含有量は低く抑えられているので押出性は良好である。低く抑えられているとはいえ、所要量のFe,Cu,Mn及びCr等が含まれているので、熱交換器を構成する微細孔中空形材用としての強度、耐食性は有している。
特に、本発明合金ではCu含有量が0.07質量%以下に抑えられているため、Al‐Cu系金属間化合物の形成が抑制され、粒界腐食の虞は極めて少なくなっている。また、Tiを適量含有させることにより、Ti元素の粒界もしくは母地(マトリックス)における分散は、粒界腐食の進行を抑止し、耐食性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一般的なカーエアコン用コンデンサーの概略構造を説明する図
【図2】扁平管及びそれを組み込んだ熱交換器の概略構造を説明する図
【図3】Zn拡散層の犠牲防食作用を説明する図
【図4】実施例で作製した熱交換器用中空扁平管の断面形状を示す図
【図5】実施例における均質化処理ビレットの押出時の圧力―時間曲線を比較した図
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
前記したように、特許文献2で提案されている押出成形用アルミニウム合金は、押出成形性に優れている反面、含有しているCuがAl‐Cu系の金属間化合物を結晶粒界に形成して粒界腐食を発生しやすい合金である。
そこで、Cuの含有量を低減し、特許文献2等で提案されている押出成形用アルミニウム合金と同等の押出成形性と機械的特性を有し、かつ粒界腐食を引き起こす虞のないアルミニウム合金を見出すべく、鋭意検討を重ねてきた。
その結果、Cu含有量を0.07質量%以下に抑え、更に、他のFe,Si,Mn,Cr等の含有量を適切に調整し、Tiを適量添加すれば、前記課題が解決できることを見出した。
以下にその詳細を説明する。
【0013】
本発明の押出性と耐粒界腐食性に優れた微細孔中空形材用アルミニウム合金は、Fe:0.05〜0.15質量%、Si:0.10質量%以下、Cu:0.03〜0.07質量%、Mn:0.30〜0.55質量%、Cr:0.03〜0.06質量%、Ti:0.08〜0.12質量%を、さらに必要に応じて、V:0.08質量%以下を、Ti+V:0.08〜0.2質量%なる関係で含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる成分組成を有している。
まず、各成分の作用及び限定理由について説明する。以下の「%」表示はいずれも質量%である。
【0014】
Fe:0.05〜0.15%
Feは、アルミニウム合金の強度を向上させる作用を有している。この作用は0.05%以上の含有により発揮されるが、0.15%を越えるほどに多く含有させるとAl−Fe化合物を形成して耐粒界腐食に悪影響を及ぼす虞があるとともに押出性を悪くする虞があるため、Feの上限値は0.15%とした。
Si:0.10%以下
SiはAl母材から混入する不可避的不純物であるが、加工性に悪影響を及ぼすAl−Fe−Si化合物の生成を抑えるためにも、その上限値は0.10%とした。
【0015】
Cu:0.03〜0.07%
CuはAl地の深い孔食を抑制するために有効な元素である。0.03%以上の含有で効果が認められる。しかし、その含有量が多くなると粒界にAl−Cu化合物を形成して粒界からの腐食が促進する。このため、Cu含有量は、0.03〜0.07%とした。
Mn:0.30〜0.55%
Mnは耐食性及び強度、特に高温強度を向上させる作用を有している。これらの作用は、0.30%以上の含有により効果的に発現する。Mnは高温での強度を高めるため、ろう付時での大幅な軟化は生じず構造体の剛性を維持できる大きな役割がある。一方、高温強度が高いために、押出時の加工圧力が大きくなって押出性を低下させる。また結晶粒界に沿ってAl−Mn系の金属間化合物が形成され、耐粒界腐食に悪影響を及ぼす虞がある。したがって、Mn含有量は0.55%を上限とした。
【0016】
Cr:0.03〜0.06%
Crは押出組織の粗大化を抑制する作用を有している。この作用は0.03%以上の含有により効果的に発現する。しかし多量に含有すると押出性を悪化させるので、その上限は0.06%とした。
Ti:0.08〜0.12%、
Tiは鋳造組織を微細化し、そのTi元素の分布状態は押出材の粒界腐食を抑制する作用を有している。この作用は0.08%以上の含有で効果的に発現する。しかし、その含有量が多くなると粗大な金属間化合物を生成して押出性を悪化させるので、その上限は0.12%とした。
【0017】
V:0.08%以下
鋳造時に晶出したV及びV化合物が押出により層状に分散して粒界腐食の進展を防止する作用を有しているので、必要に応じて含有させる。しかし、その含有量が多くなると押出性を悪化させるので、その上限は0.08%とした。
Ti+V:0.08〜0.2%
TiとVの複合添加により粒界腐食を抑制する効果が大きくなるが、それらの含有量が多くなりすぎると押出性を悪化させるので、それらの合計量の上限は0.2%とした。
【0018】
その他は、不可避的不純物である。
本発明による押出性と耐粒界腐食性に優れた微細孔中空形材用アルミニウム合金は、通常の手段により溶製され、一般的な鋳造法である半連続鋳造法により所望形状のビレットとして提供される。
得られたアルミニウム合金ビレットにおいて、合金の含有成分を有効に利用するためには、鋳造後のビレットを高温で加熱して鋳造時に晶出した金属間化合物を構成する元素等をマトリックスに再固溶させる等、添加元素の濃度分布を無くす均質化処理を施す必要がある。この均一化処理としては550〜590℃で0.5時間〜6時間の加熱処理を行うことが好ましい。
【0019】
本発明のアルミニウム合金は、純AlベースにFe,Siを規制し、Cu,Mn,CrそしてTiを添加する合金である。
鋳造で得られたビレットを550℃以上で0.5時間以上保持しなければ、Al−Fe−Si系化合物を微細に分散させることができず、高い加工度で押出す際に欠陥を生じる。また、他の元素であるCu,Cr,Mnなどの化合物をAl地に溶け込ませるか、微細な化合物として存在させるためにも、550℃以上、0.5時間以上の保持を要する。
一方、590℃を超える温度で0.5時間以上加熱すると、Fe,Si,Cuに対しては溶け込みが進み好ましいが、Mn,Crの溶け込み量が多くなり、後の押出時の加工圧力を大きくしてしまい、さらに、押し出し材料の組織を粗い再結晶組織にする傾向が大きくなる。
【0020】
また、経済的には、6時間以下が好ましく、長時間の均質化処理はビレットコストが高くなると共に、ビレット表面の酸化が進み、好ましい品質とはならない。均質化処理の適正な温度は、570℃±10℃であり、経済的には、早く昇温させ、早く冷却することが良いが、Mn,Crを含有する合金は、均質化処理温度への昇温が80℃/hを超える速度ではMn、Crが多く溶け込んだ状態であり、適正な昇温速度で鋳造のままの状態(粗大化合物の存在、溶け込み量多い)を均質化処理温度までの拡散時間を十分にとって粗大化合物のAl−Fe,Al−Fe−Siなどを固溶させる。一方、固溶していたCr,MnをAl−(Fe,Mn,Cr)−Si化合物、Al−Mn化合物として析出させビレットの組織を改良する。
【0021】
一方、高温での保持でMn,Cr化合物の溶け込みが生じており、これを確実に適正な化合物として析出させることが必要で、そのためには、450〜350℃の範囲で0.5〜1時間保持するか、もしくは、緩やかな50℃/時間なる冷却速度で200℃以下まで冷却する必要がある。この条件を外れると、Mn,Crが母地(マトリックス)中に固溶したまま残り、後工程の押出加工前の加熱時には少量しか析出しないため押出圧力が高く加工性を低下させることになる。
このような均質化処理で得たビレットを押出した材料は、押出し材の表面と内部の組織が均一になり、熱間加工による結晶粒の粗大化を抑制できる。
【0022】
なお、本発明の合金組成を鋳造して得たビレットに所定の均質化処理を施し、目的とする微細中空押出形材を得るために、当該ビレットを450℃以上、550℃以下で加熱して押出比30以上1000以下の加工度で押出加工する必要がある。
450℃に満たないと、微細中空形材の押出比が高いため、押出機の押出圧力の限界能力(通常は210kg/cm2)を超えてしまい押出不可となる。たとえ、押出できても、微細な中空材の内面にむしれなどの欠陥を発生し、さらに、形状・寸法が公差外となる。また、550℃を超えるほどに高い温度の加熱では、押出しは容易にできるが押出比及び押出速度が高いので押出中の形材温度が高くなり、微細中空材の表面及び内部でムシレが多発もしくは局部溶融を生じ、要求された形状を維持できない。そして、押出比が30に満たないほどに小さい場合では、本特許での特徴であるTi効果(Tiが形材内部に押出方向に沿って層状に存在するための状態)が得られにくくなる。逆に押出比を1000を超えるほどにしようとすると、金型設計そして押出条件選定が困難となり押出加工そのものが不可能となる。
【実施例】
【0023】
熱交換用流体としてはフロン系冷媒を使用している。このため、熱交換器の用いる素材としては、耐食性、強度、ろう付性に優れ、しかも熱交換器組み立て品の主要部材である0.5〜2mm程度の微細孔中空形材(扁平管)への押出加工が可能である合金が要求される。
そこで、表1に示す成分組成を有する各種のアルミニウム合金について、押出成形性、耐食性、強度、ろう付性を検証した。
まず、表1に示す成分組成を有する各種のアルミニウム合金を溶製し、6〜10インチの直径で長さ2〜6mの鋳造体を作製した。
この鋳物を、550〜590℃で0.5〜6時間保持する条件にて均一化処理を施した後、460〜550℃に加熱し、押出比30〜1000の薄肉形材用ダイスにて、図4に示す断面形状で、幅16.2mm、厚さ1.93mm、肉厚0.35mmの12孔を有する熱交換器用中空扁平管を押出した。
【0024】
そして、押出した各サンプルについて、耐食性、強度、ろう付性を調べた。
その結果を表2に示す。
なお、強度は焼鈍材の室温強度より判定し、純Alの65MPaを基準とし、90MPaを超えるものを◎、60〜90MPa程度のものを○、60MPaに満たないものを×とした。
耐食性は、腐食試験後のミクロ組織観察から粒界腐食の有無と進行程度を評価し、粒界腐食がほとんど認められないものを◎、層状腐食が100μm以下のものを○、層状腐食が500μm以上のものを×とした。
【0025】
押出性は、扁平管の表面欠陥(ムシレ、肌荒れ、図の内面の凹凸のムシレ)で判断し、表面欠陥が全くなかったものを◎、わずかにあったが使用に問題がないものを○、表面欠陥が多くて使用できないものを×で評価した。
ろう付性に関しては、本発明例、比較例ともほとんど同等で差異がわからなかった。
そして、総合評価として、熱交換器用中空扁平管として使用できる合格品を○、使用できない不合格品を×とした。
【0026】

【0027】

【0028】
次に均質化処理条件について検証した。
表1中でNo.2に示す成分組成を有する各種のアルミニウム合金を溶製し、脱ガス、微細化、ろ過などの所定の溶湯処理行った後、DC鋳造法によって、680℃以上の温度で直径210mmのビレットを鋳造した。
その後、590℃の温度で、4時間保持した後、冷却する均質化処理を行って、4000mm長さのビレットを得た。このビレットを現行処理ビレットと称することとする。
本発明例として、前記鋳造ビレットを、均質化温度590℃にする過程(昇温過程)の昇温速度を80℃/時間以下とし、さらに均質化温度に4時間保持後に冷却する際に、450〜350℃範囲を50℃/時間の冷却速度で冷却し、その後は炉外冷却した。このビレットを本発明法ビレットと称することとする。
【0029】
現行処理ビレットと本発明法ビレットのミクロ組織を観察してみると、現行処理ビレットは、処理前のビレットの晶出物以外は顕著な化合物は認められないが、一方、本発明法ビレットの組織は、晶出物以外に、析出物(Al−Mn系)が微細に分散しているのが認められた。
次に、これら2種のビレットを500mm長さにして、押出比150で図4のような形状の扁平管を500℃にて15m/分の押出速度で製造した。この際、押出時の押出圧力を測定した。
【0030】
その結果を表3に示す。
なお、図5に、押出時の圧力―時間曲線の比較を示す。
本発明法は現行法に比較して、最高圧力が小さく、圧力低下が早い。そして曲線内の面積が小さく、押出時に要するエネルギーが小さいことがわかる。
【0031】

【0032】
さらに、押出加工時の押出比について検証した。
上記均質化処理条件の検証に用いた本発明法ビレットを、480℃に加熱後、押出比150の扁平管と押出比20のフラットバー材を20m/分の速度で押出した。
この2種類の押出材のミクロ組織観察を行い、Ti化合物の分散状態を比較した。その結果を表4に示す。
【0033】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
Fe:0.05〜0.15質量%、Si:0.10質量%以下、Cu:0.03〜0.07質量%、Mn:0.30〜0.55質量%、Cr:0.03〜0.06質量%、Ti:0.08〜0.12質量%を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる成分組成を有していることを特徴とする押出性と耐粒界腐食性に優れた微細孔中空形材用アルミニウム合金。
【請求項2】
さらに、V:0.08%質量%を、Ti+V:0.08〜0.2質量%なる関係で含有する請求項1に記載の押出性と耐粒界腐食性に優れた微細孔中空形材用アルミニウム合金。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された成分組成を有するアルミニウム合金のDC鋳造ビレットを、80℃/時間以下の速度で550〜590℃に加熱して0.5〜6時間保持した後、450〜350℃の範囲で0.5〜1時間保持するか、もしくは50℃/時間の冷却速度で200℃以下まで冷却する均熱化処理を施すことを特徴とする押出性と耐粒界腐食性に優れた微細孔中空形材用アルミニウム合金の製造方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載された成分組成を有するアルミニウム合金のDC鋳造ビレットを、80℃/時間以下の速度で550〜590℃に加熱して0.5〜6時間保持した後、450〜350℃の範囲で0.5〜1時間保持するか、もしくは50℃/時間の冷却速度で200℃以下まで冷却する均熱化処理を施したビレットを450〜550℃に再加熱後、押出比30以上1000以下の加工度で所望形状に押出すことを特徴とする耐粒界腐食性に優れたアルミニウム合金製微細孔中空形材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−149313(P2012−149313A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9706(P2011−9706)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000004743)日本軽金属株式会社 (627)
【出願人】(511018103)オー・ケー・ビー株式会社 (1)