説明

拍動性移植蝸牛刺激装置の刺激ストラテジ

埋込可能装置は、アレイにおける電極と各チャネルが関連付けられたマルチチャネル電極アレイを含む。オーディオ処理段は、関連付けられた可聴周波数帯域を表す出力チャネル信号を生成するよう入力可聴信号を処理する。タイミング及びエンベロープ検出器は、一連のサンプリング間隔において出力チャネル信号を処理する。例えば、サンプリング間隔毎に、出力チャネル信号毎に、i.複数のパルス・タイミング要求を含む要求パルス・タイミングの組、及びii.パルス・タイミング要求のパルス振幅を表す対応するエンベロープ信号の組を求める。パルス選択信号規定段は、要求パルス・タイミングの組毎に、i.パルス選択抑制関数に基づいて要求パルス・タイミングの組から選択された特定の時間における出力パルスの組、及びii.各出力パルスに関連付けられた刺激振幅を求める。マルチチャネル電極アレイは、周囲組織に対して、関連付けられた刺激振幅において出力パルスを印加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本明細書及び特許請求の範囲に援用する、西暦2007年11月9日付米国特許仮出願第60/986690号による優先権を主張する。
【0002】
本発明は、埋込可能な医療装置に関し、特に、前述の装置における刺激パルスを符号化する手法に関する。
【背景技術】
【0003】
移植蝸牛刺激装置は、重度難聴者又は重度聴覚障害者に聴覚をもたらすことができる、埋込可能なシステムである。増幅された音響信号を中耳に機械的に印加する従来の補聴器と違って、移植蝸牛刺激装置は、内耳の聴神経を刺激する複数の埋込電極に電気刺激を直接、もたらす。現在の大半の移植蝸牛刺激装置の電気刺激符号化ストラテジは、別個の周波数帯域に分割し、前述の帯域それぞれのエンベロープ(すなわち、エネルギ)を抽出することにより、音響信号を表す。音響信号の前述のエンベロープ表現は、各電極の刺激振幅を定義するために使用される。
【0004】
Med−El OPUS 1音声プロセッサ及びOPUS 2音声プロセッサにおいて市場で入手可能な現行の一手法(微細構造処理(FSP)符号化ストラテジ)は、帯域通過信号のフェーズを分析し、対応する電極のフェーズの特定の事象と、刺激パルスとを同期させる。上記FSP符号化では、時間事象が、所定の順序(「刺激フレーム」)で全てのシステム・チャネルが順次刺激される、帯域通過信号のゼロ交差を使用して規定される。各チャネルの刺激レート又はグリッドは一般に、パルス持続時間と、連続する刺激パルス間のポーズとの和で定義される。一刺激フレームのフレーム・レート(すなわち、反復レート)は、各チャネルの刺激レート又はグリッド(通常、1000〜2000Hz)に等しい。
【0005】
FSP符号化は、例えば、(本明細書及び特許請求の範囲に援用する)米国特許第6594525号明細書に記載されたチャネル特有サンプリング・シーケンス(CSSS)を使用して、帯域通過信号内の時間情報を表す。帯域通過信号内のゼロ交差後、特定のCSSSが、割り当てられた電極で開始される。時間的精度は、FSP符号化におけるフレーム・レートに等しいグリッドによって求められる。前述の精度は、最大数百ヘルツの時間的微細構造情報の符号化を可能にする。FSP内のCSSSの時間的精度は主に、パルス持続時間によって定義される。すなわち、高パルス持続時間ではCSSSの精度は低く、時間的に符号化される最大周波数も低い。
【0006】
(本明細書及び特許請求の範囲に援用する)米国特許第7283876号明細書に記載された、選択されたチャネル刺激群の使用とともにCSSSを使用した時間的微細構造符号化ストラテジにおいて達成することが可能である。各種チャネル(例えば、CSSSチャネル及びエンベロープ・チャネル)が定義されており、特定のチャネルはグループ化されなければならない。例えば、CSSSチャネルは全て、特定の刺激フレーム中に、より頻繁に群の一部が反復される1つ又は複数の群に配置される。更に、特定の群内で、チャネルの1つ又は複数を同時に刺激することが可能である。これは、フレーム・レートの倍数であるCSSS刺激の時間グリッドをもたらす。CSSSの向上した時間的精度は、短いパルス持続時間を使用した高時間グリッドに基づいた(最大約1000Hzの)フェーズ情報の符号化を可能にする。高パルス持続時間の場合、時間的精度及びフレーム・レート(すなわち、高周波エンベロープ・チャネルのレート)が再び削減される。CSSS、選択された群、及び同時の刺激の大半の実現可能な組合せは、近傍エンベロープ・チャネルと、最高CSSSチャネルの平均CSSSレートとの間のある程度の不一致を有する。前述の時間的微細構造の符号化ストラテジでは、特定数の要求刺激パルスが選択解除される。(主にCSSSチャネル内の)選択解除された刺激パルスの数が、パルス持続時間が高いほど高くなり、これは、時間的情報の喪失につながり得る。
【0007】
最近の文献には、特定の時間的微細構造情報を提供する他の3つの手法が開示されている。ピーク導出タイミング(PDT)は、(本明細書及び特許請求の範囲に援用する)Vandali らによる「Pitch Ranking Ability Of Cochlear Implant Recipients:A Comparison Of Sound−Processing Strategies, J Acoust Soc Am. 2005 May; 117(5):3126−38」に開示されている。PDT符号化は、移植蝸牛刺激装置のユーザにおいて実験的に使用されており、帯域通過信号内の正のピークから刺激パルスのタイミングを導出している。パルスのタイミングは、同時に要求された刺激パルスを遅延させたか、又は進めたアービトレーション手法によって管理されている。前述のアルゴリズムでは、不随意挙動は実現されていない。
【0008】
非同期インタリーブ・サンプリング(AIS)は、(本明細書及び特許請求の範囲に援用する)Sitらによる「A Low−Power Asynchronous Interleaved Sampling Algorithm For Cochlear Implants That Encodes Envelope And Phase Information, IEEE Trans Biomed. Eng. 2007 Jan; 54(1): 138−49」に開示されている。AISストラテジは、帯域通過信号からの時間事象の非同期抽出を使用しているが、インタリーブされた刺激パルスの扱いを全く欠いている。これは、使用可能な移植蝸牛刺激装置の音響信号符号化ストラテジの必要な部分である。
【0009】
スパイクベースの時間的聴覚表現(STAR)ストラテジは、例えば、(その内容を本明細書及び特許請求の範囲に援用する)Graydenらによる「A Cochlear Implant Speech Processing Strategy Based On An Auditory Model, Proceedings of the 2004 Intelligent Sensors, Sensor Networks and Information Processing Conference, 14−17 Dec. 2004: 491 − 496」に開示されたような聴覚モデルに基づく。STAR手法は、CSSSと幾分同様に、帯域通過信号のゼロ交差からパルス・タイミングを抽出している。前述のストラテジでは、「スパイク・タイミング競合」は、ゼロ交差付近の別々の時間インスタンスに刺激パルスを規則正しく移動させることによって解決される。アルゴリズムについての詳細は何ら示されていない。高周波チャネル上の平均刺激レートは制限されるが、当該機構についての詳細は上記刊行物には何ら示されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
埋込可能装置は、アレイにおける電極と各チャネルが関連付けられたマルチチャネル電極アレイを含む。オーディオ処理段は、関連付けられた可聴周波数帯域を表す出力チャネル信号を生成するよう入力可聴信号を処理する。タイミング及びエンベロープ検出器は、一連のサンプリング間隔において出力チャネル信号を処理する。例えば、サンプリング間隔毎に、出力チャネル信号毎に、i.複数のパルス・タイミング要求を含む要求パルス・タイミングの組、及びii.パルス・タイミング要求のパルス振幅を表す対応するエンベロープ信号の組を求める。パルス選択信号規定段は、要求パルス・タイミングの組毎に、i.パルス選択抑制関数に基づいて要求パルス・タイミングの組から選択された特定の時間における出力パルスの組、及びii.各出力パルスに関連付けられた刺激振幅を求める。マルチチャネル電極アレイは、周囲組織に対して、関連付けられた刺激振幅において出力パルスを印加する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
特定の実施例では、抑制関数は、絶対抑制状態を規定するような時間において一定であり、及び/又は、相対抑制状態を規定するような時間において変動する。抑制関数は、出力チャネルに依存し、かつ/又はパルス振幅に依存し、例えば、抑制状態とパルス振幅との比を表す。出力パルスは、抑制関数で規定される抑制状態の長さに基づいて選択される。例えば、出力パルスは、抑制状態の短さに基づいて優先的に選択される。
【0012】
特定の実施例では、入力可聴信号は、チャネル特有サンプリング・シーケンス(CSSS)により、出力チャネル信号において表され、かつ/又は、出力パルスの特定された時間において表される時間的構造特性を含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】通常の音響信号の例を示す図である。
【図2】フィルタ・バンクによる帯域通過フィルタリングによって信号(入力チャネル)の組に分解される音響信号を示す図である。
【図3】本発明の実施例によるタイミング及びエネルギ検出器の例を示す図である。
【図4】入力信号の組から抽出されたエンベロープの例を示す図である。
【図5】入力信号の組から抽出される要求刺激パルスのタイミングを示す図である。
【図6】本発明の一実施例による、パルス選択及び振幅規定段(PSADS)の例を示す図である。
【図7】PSADS内のパルス選択アルゴリズムの考えられる実現形態の例を示す図である。
【図8】一実施例による、選択された刺激パルスのタイミングの例を示す図である。
【図9】システムの連続した実現形態におけるバイフェーズ刺激パルスの例を示す図である。
【図10】システムの連続した実現形態におけるバイフェーズ刺激パルスの更なる詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施例は、マルチチャネル電極アレイを有する埋込可能装置の信号符号化ストラテジに関する。信号符号化ストラテジは、今までよりも高い時間的精度及び今までよりも長いパルス持続時間で音響信号の時間的特性を符号化する。時間的微細構造が符号化され、無反応性神経集団の刺激は、1つ又は複数の電極に刺激パルスが供給されるか否かを判定する抑制関数によって抑制することが可能である。前述の信号符号化は、固定の刺激レート及びチャネル順序にもう基づくものでなく、時間的微細構造の符号化は、長いパルス持続時間でも、より正確である。
【実施例】
【0015】
図1は、短期間にわたって振幅全体が変動する通常の音響信号を示す。前述の音響信号は固有に、信号を特徴付ける特定のタイミング情報を含む。可聴電気信号としての前述の形式における音響信号は通常、複数の出力チャネル信号に予め処理される。例えば、通常の手法の1つは、図2に示す例などの出力チャネル信号の組を形成するために帯域通過フィルタリングによって分解されたフィルタ・バンクにより、当初の可聴信号を予め処理する。あるいは、別の実施例では、当初の可聴信号は、複数の出力チャネル信号を供給する1つ又は複数の非線形フィルタによって処理することが可能である。
【0016】
各種出力チャネル(例えば、CSSS微細構造チャネル及びエンベロープ・チャネル)を規定しなければならない従来の微細構造処理手法と違って、本発明の実施例は出力チャネル全てを同様に扱う。図3は、帯域通過フィルタ・バンクから、図2に示す音響信号などの出力チャネル信号の組を入力として受信するタイミング及びエンベロープ検出器(TED)の例を示す。TED処理は、例えば、電気刺激に使用されるパルス持続時間(例えば、最大パルス持続時間の逆数)によって定義することができる特定のレートでサンプリングされる連続するサンプリング間隔シーケンスにおいて前述の出力チャネル信号を処理する。TEDは、エンベロープ情報及びサンプリング間隔それぞれからの特定の時間事象(例えば、ゼロ交差、信号最大値、適応的閾値レベル等)を抽出する。TEDは、要求刺激パルスに標識を付ける時間事象信号の組(例えば、図5に示す)、及びパルス振幅の算出を処理する(例えば、図4に示す)エンベロープ信号の組を出力する。
【0017】
図6に示すように、TED出力は、縮減された時間事象の組(出力刺激パルス)を選択するパルス選択/振幅規定段(PSADS)に供給される。PSADSは、抑制関数を使用して、出力チャネル毎の抑制状態を算出し、解析する。各サンプリング間隔内で、要求パルスが識別され、識別されたチャネルのエンベロープ及び抑制状態に基づいて、パルスを要求する少なくとも1つのチャネルが選択される。例えば、パルスを選択するためのPSADSの1つのやり方は、最短の関連付けられた抑制状態を有するサンプリング間隔それぞれにおける1つ又は複数のパルス要求を選択することであり得る。より高度な選択アルゴリズムは、パルス振幅に対する抑制状態の比が選択基準としての役目を担うように、要求パルスのエンベロープを考慮に入れることが可能である。図7は、アステリスクが、チャネル毎の要求パルスのタイミングを表し、実線が選択パルスを表し、破線が抑制状態を表す抑制関数の単純なプロトタイプを使用した選択処理を示す。
【0018】
パルス要求が出力パルスとして選択されると、チャネル特有抑制関数及び振幅特有抑制関数が、選択された出力チャネル上でトリガされる。図7に示す特定の実施例では、最大又は絶対抑制フェーズ中に、数百マイクロ秒(例えば、500μs)の期間にわたり、一定であり、相対抑制フェーズを規定する、別の数百マイクロ秒(例えば、1500μs)の期間にわたってゼロに向けて減少する。前述の実施例では、絶対抑制フェーズ内で生起する要求パルスは、刺激のための出力パルスとして選択されない。よって、前述の例では、抑制時間を使用して、システムの最大チャネル特有刺激レートを規定することが可能である。図8は、前述のパルス選択によって生じる縮減された時間事象の組(選択された出力パルス)を示す。図5に示す当初要求されたパルス・タイミングと比較すれば、特に、より高い周波数において、PSADSによって生成される選択された出力パルス・タイミングの数はかなり削減される。図9は、別々のチャネル電極に施される、結果として生じるバイフェーズ刺激パルス及びそのパルス振幅を示す。図10は、図9に示す時間の一部分を拡大した細部を示す。
【0019】
前述の刺激タイミング手法は、低周波の時間的微細構造の非常に正確な表現を供給することが可能である。例えば、出力チャネル毎刺激の時間グリッドは、電気刺激に必要な最大パルス持続時間によって定義することが可能である。50μsという通常のバイフェーズ・パルス持続時間により、最大20kHzの時間グリッドを実現することができる。相対的に長い電気パルスでも、タイミングの、より高いタイミング精度を達成することが可能である。例えば、出力チャネル上の100μsのパルス持続時間では、10kHzの刺激グリッドを達成可能であり得る。1つの出力パルスのみがサンプリング間隔それぞれについて選択された実施例では、時間グリッドは、如何なる時間インスタンスでも、更に、1つの刺激パルスを印加する、選択された電極チャネル群、及びCSSSのみという、考えられる最速の組合せの2倍、速い。選択された電極チャネル群とCSSSとの考えられる最速の組合せと比較するに、選択解除されたパルスの数を、特定の実施例によって大きく削減することが可能である。例えば、時間グリッドが20kHzであり、絶対抑制フェーズが500μsの場合、無視できるほど少数の要求刺激パルスを、最大1000Hz超の時間的微細構造を収容する出力チャネルから選択解除しなければならない。
【0020】
特定の実施例は、完全に埋込可能な移植蝸牛刺激システムなどの、比較的低い供給電圧を備えたシステムで実現することが可能である。前述のシステムでは、コンプライアンス電圧が低いと、快適な音量を達成するために比較的長い刺激パルスが必要になる。実施例は、低供給電圧でも時間的微細構造の提示を可能にし、よって、低いコンプライアンス電圧を有する患者において使用することが可能である。特定の実施例は、同時の刺激又は順次の刺激を行うことができる移植蝸牛刺激装置によって実現することが可能である。
【0021】
実施例は、移植蝸牛刺激装置の刺激による顔面刺激を被る患者にも有用であり得る。前述の適用例は比較的長いパルス持続時間を必要とし、前述の条件下では、本発明の実施例は、時間的微細構造を厳密に伝送することができる。
【0022】
チャネル/振幅特有の抑制関数のタイプ及び形態を使用して、チャネル特有の刺激レートを規定することが可能である。絶対/最大抑制が500μsであり、チャネル選択が、抑制関数に専ら基づく、上記プロトタイプ抑制関数を備えた上記システムは、最大、チャネル毎に2000Hzの刺激を可能にする。絶対抑制のより長い持続時間を使用して、電気的刺激による電力消費を劇的に削減することが可能である。
【0023】
特定の実施例は、人間の耳の自然のニューラル挙動によりうまく擬態し得る。特に、低周波チャネルに接続された電極によって刺激されるニューラル集団は、より低いレートで刺激される。前述の電極上の刺激は、広範囲の抑制関数及び時間に関して比較的予測可能である。高周波チャネルは、刺激パルスに対して擬似確率的タイミングを施すことが可能である。抑制時間定数及びパルス幅(時間グリッド)の特定の選択及びTEDについて、チャネル特有刺激レートは、対応する電極チャネルの特性周波数にほぼ等しく、より高い周波数電極チャネルの場合、刺激レートの「自然な」飽和状態を取得可能であり得る。抑制関数は、電極チャネル内の刺激された神経集団の不随意挙動を可能にし得る。これは、一定の音量の認知での刺激電力の削減にもつながる。
【0024】
PSADSの特定の実施例は、出力パルスを選択し、規定するために有用な更なる機能をうまく提供することもできる。よって、PSADSは通常、患者特有の刺激振幅及び電極特有の刺激振幅を規定する、非線形回路などのハードウェア及び/又はソフトウェア・モジュールをその目的で含み得る。例えば、抑制関数アルゴリズムの特定の実現形態は前述の目標を考慮に入れ得る。その結果、特定の実施例では、PSADSは、上記よりも複雑であり得る。
【0025】
本発明の実施例は、何れかの通常のコンピュータ・プログラミング言語で実現することができる。例えば、好ましい実施例は、手続型プログラミング言語(例えば、「C」)又はオブジェクト指向プログラミング言語(例えば、「C++」、パイソン)で実現することができる。本発明の別の実施例は、予めプログラムされたハードウェア要素、他の関連した構成部分、又はハードウェア構成部分及びソフトウェア構成部分の組み合わせとして実現することができる。
【0026】
実施例は、コンピュータ・システムとともに使用するためのコンピュータ・プログラム・プロダクトとして実現することが可能である。前述の実現形態は、媒体を介してネットワークに接続された通信アダプタなどの、モデム又は他のインタフェース装置を介して、コンピュータ・システムに伝送可能であるか、又は、コンピュータ読み取り可能な媒体(例えば、ディスケット、CD−ROM、ROM、又は固定ディスク)などの、有形媒体上に固定された一連のコンピュータ命令を含み得る。媒体は、有形媒体(例えば、光又はアナログ通信回線)、又は無線手法(例えば、マイクロ波、赤外線や他の伝送手法)で実現された媒体であり得る。一連のコンピュータ命令は、システムに関して本明細書で前述した機能の全部又は一部を実施する。多くのコンピュータ・アーキテクチャ又はオペレーティング・システムとともに使用するためにコンピュータ命令をいくつかのプログラミング言語で記述することが可能であるということを当業者は認識するであろう。更に、前述の命令は、半導体、磁気、光、又は他のメモリ装置などの何れかのメモリ装置に記憶することができ、光、赤外線、マイクロ波や他の伝送手法などの何れかの通信手法を使用して伝送することができる。前述のコンピュータ・プログラム・プロダクトを、印刷された文書又は電子文書を伴う取り外し可能な媒体(例えば、シュリックラップ・ソフトウェア)として配布し、コンピュータ・システムに(例えば、システムROM又は固定ディスクに)予めロードし、又は、ネットワーク(例えば、インターネットやワールド・ワイド・ウェブ)を介してサーバ又は電子掲示板から配布することができるということが想定される。当然、本発明の一部の実施例は、ソフトウェア(例えば、コンピュータ・プログラム・プロダクト)及びハードウェアの組合せとして実現することができる。本発明のなお他の実施例は、全部、ハードウェア、又は全部、ソフトウェア(例えば、コンピュータ・プログラム・プロダクト)として実現される。
【0027】
本発明の種々の例示的な実施例が開示されているが、本発明の真の範囲から逸脱することなく、本発明の利点の一部を達成する種々の変更及び修正を行うことが可能であるということが当業者には明らかなはずである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋め込まれたマルチチャネル電極アレイにおける電極を駆動させる方法であって、各チャネルは、前記アレイにおける電極と関連付けられ、
可聴周波数の関連付けられた帯域をそれぞれが表す複数の出力チャネル信号を生成するよう入力可聴信号を処理する工程と、
一連のサンプリング間隔において前記出力チャネル信号を処理する工程であって、
サンプリング間隔毎に、
i. 出力チャネル信号毎に、
a)複数のパルス・タイミング要求を含む要求パルス・タイミングの組、及び
b)パルス・タイミング要求のパルス振幅を表す対応するエンベロープ信号の組を求め、
ii. 要求パルス・タイミングの組毎に、
a)パルス選択抑制関数に基づいて要求パルス・タイミングの組から選択された特定の時間における出力パルスの組、及び
b)各出力パルスに関連付けられた刺激振幅を求める工程と、
関連付けられた刺激振幅において対応する出力パルスにより、前記アレイにおける電極を駆動させる工程とを含む方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、前記抑制関数は、絶対抑制状態を規定するような時間において一定である方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法であって、前記抑制関数は、相対抑制状態を規定するような時間において変動する方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法であって、前記抑制関数はパルス振幅に依存する方法。
【請求項5】
請求項4記載の方法であって、前記抑制関数は、抑制状態とパルス振幅との比を表す方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法であって、前記抑制関数は出力チャネルに依存する方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法であって、出力パルスは、前記抑制関数で規定される抑制状態の長さに基づいて選択される方法。
【請求項8】
請求項7記載の方法であって、出力パルスは、前記抑制状態の短さに基づいて優先的に選択される方法。
【請求項9】
請求項1記載の方法であって、前記入力可能信号は、チャネル特有サンプリング・シーケンス(CSSS)により、前記出力チャネル信号において表される時間的構造特性を含む方法。
【請求項10】
請求項1記載の方法であって、前記入力可聴信号は前記出力パルスの特定された時間において表される時間的構造特性を含む方法。
【請求項11】
請求項1記載の方法であって、前記電極アレイは、移植蝸牛刺激装置の電極アレイである方法。
【請求項12】
マルチチャネル電極アレイを含む埋込可能装置であって、各出力チャネルは、前記アレイにおける電極と関連付けられ、前記装置は、
関連付けられた可聴周波数帯域をそれぞれが表す複数の出力チャネル信号を生成するよう入力可聴信号を処理するオーディオ処理段と、
一連のサンプリング間隔において前記出力チャネル信号を処理するタイミング及びエンベロープ検出器であって、サンプリング間隔毎に、前記処理は、出力チャネル信号毎に、
i.複数のパルス・タイミング要求を含む要求パルス・タイミングの組、及び
ii.パルス・タイミング要求のパルス振幅を表す対応するエンベロープ信号の組
を求めるタイミング及びエンベロープ検出器と、
要求パルス・タイミングの組毎に、
i.パルス選択抑制関数に基づいて要求パルス・タイミングの組から選択された特定の時間における出力パルスの組、及び
ii.各出力パルスに関連付けられた刺激振幅
を求めるパルス選択信号規定段と、
周囲組織に対して、関連付けられた刺激振幅において出力パルスを印加するための、前記マルチチャネル電極アレイと
を備える埋込可能装置。
【請求項13】
請求項12記載の埋込可能装置であって、前記抑制関数は、絶対抑制状態を規定するような時間において一定である埋込可能装置。
【請求項14】
請求項12記載の埋込可能装置であって、前記抑制関数は、相対抑制状態を規定するような時間において変動する埋込可能装置。
【請求項15】
請求項12記載の埋込可能装置であって、前記抑制関数はパルス振幅に依存する埋込可能装置。
【請求項16】
請求項15記載の埋込可能装置であって、前記抑制関数は、抑制状態とパルス振幅との比を表す埋込可能装置。
【請求項17】
請求項12記載の埋込可能装置であって、前記抑制関数は出力チャネルに依存する埋込可能装置。
【請求項18】
請求項12記載の埋込可能装置であって、出力パルスは、前記抑制関数で規定される抑制状態の長さに基づいて選択される埋込可能装置。
【請求項19】
請求項18記載の埋込可能装置であって、出力パルスは、前記抑制状態の短さに基づいて優先的に選択される埋込可能装置。
【請求項20】
請求項12記載の埋込可能装置であって、前記入力可聴信号は、チャネル特有サンプリング・シーケンス(CSSS)により、前記出力チャネル信号において表される時間的構造特性を含む埋込可能装置。
【請求項21】
請求項12記載の埋込可能装置であって、前記入力可聴信号は、前記出力パルスの特定された時間において表される時間的構造特性を含む埋込可能装置。
【請求項22】
請求項12記載の埋込可能装置であって、前記電極アレイは、移植蝸牛刺激装置の電極アレイである埋込可能装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−502653(P2011−502653A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533317(P2010−533317)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【国際出願番号】PCT/US2008/082963
【国際公開番号】WO2009/062142
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(507417101)メド−エル エレクトロメディジニシェ ゲラテ ゲーエムベーハー (26)
【Fターム(参考)】