説明

拡張する外科手術アクセスポート

【課題】最小侵襲性処置において用いられる拡張する外科手術アクセスポートを提供すること。
【解決手段】円筒形部材であって、近位端と、遠位端とを有し、長手方向軸を規定する、円筒形部材と、長手方向軸に沿って円筒形部材を通って延びる少なくとも2つの内腔と、少なくとも1つの空洞であって、円筒形部材内に規定され、少なくとも2つの内腔内に放射状に位置を決められる、少なくとも1つの空洞と、少なくとも1つの空洞に結合される膨張流体の供給源であって、膨張の供給源は、少なくとも1つの空洞の選択可能な膨張を可能にするように構成され、少なくとも1つの空洞の膨張は、少なくとも2つの内腔間のラジアル距離を増加させる、膨張流体の供給源とを備えている、外科手術アクセスポート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2011年1月24日に出願された米国仮出願第61/435,442号の利益およびそれに対する優先権を主張し、この仮出願の内容全体が参照によって本明細書に援用される。
【0002】
(背景)
(1.技術分野)
本開示は、内視鏡処置または腹腔鏡型処置などの最小侵襲性外科手術処置において用いられるアクセスポートに関し、より詳細には、最小侵襲性処置において用いられる拡張する外科手術アクセスポートに関する。
【背景技術】
【0003】
(2.関連技術の背景)
今日、多くの外科手術処置は、患者に対する外傷および回復時間の両方を減少させる努力において、従来の処置において典型的に必要とされるより大きな切開と比較して、皮膚の小さな切開を通して行われる。概して、そのような処置は、患者の腹部に対して行なわれる場合を除いて、「内視鏡処置」と呼ばれ、患者の腹部に対して行われる場合、処置は「腹腔鏡処置」と呼ばれる。本開示の全体を通して、用語「最小侵襲性」は、内視鏡処置および腹腔鏡処置の両方を含むものと理解されるべきである。典型的な最小侵襲性処置中、外科手術アクセスポート(例えば、トロカールアセンブリおよび/またはカニューレアセンブリ)、内視鏡、または他の器具などの外科手術物体は、組織における切開部を通って患者の体内に挿入される。患者の体内に外科手術物体を導入する前に、標的の外科手術部位を囲む領域を拡大して、より大きくより多くアクセス可能な作業領域を作るために、通気気体が用いられ得る。従って、通気気体の漏出および拡大された外科手術部位の収縮またはへこみを防ぐように、実質的に流体を通さない密閉を維持することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この目的のために、様々なアクセス部材が最小侵襲性処置中に用いられ、それらのアクセス部材は当該分野において周知である。様々な組織切開部位に挿入され得、そのような様々なより大きな組織切開部位に合うように拡張する万能サイズのアクセス部材に対する継続するニーズが存在する。様々な組織切開部に適応し、外科手術部位における変化する状態に適合することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(概要)
様々実施形態に従って、本開示は、少なくとも1つの内部膨張空洞を有する外科手術アクセスポートに関する。内部膨張空洞は、内部膨張空洞および従って外科手術アクセスポートのサイズ全体が供給される膨張流体によって増加するように、流体を受容し、保持することが可能である。この増加は、外科手術アクセスポート壁と切開部位との間に、より実質的な密閉をもたらし、それによって、通気された作業空間を維持するのに望ましい。外科手術アクセスポートはさらに、供給される膨張流体によって放射状および軸方向の両方の拡張が可能であり得る。
【0006】
膨張空洞は、概して細腰の形状を有する円筒形本体の内部にあり、長手方向軸を規定し、膨張流体の供給源に結合される。使用時、外科手術アクセスポートのオペレータは、膨張流体の供給源から膨張流体を供給し、その結果、内部膨張空洞、および従って外科手術アクセスポートの本体は、供給された流体に応答して拡張する。膨張流体の推進力は、ポンプ、リザーバ、または任意の他の適切な圧力生成デバイスによって提供され得る。内部膨張空洞は、内部膨張空洞と膨張流体の供給源との間に実質的に流体を通さない密閉を提供する膨張カップリングを用いることによって膨張流体の供給源に結合される。
【0007】
円筒形本体は、拡張および収縮の両方が可能である材料から形成される。複数の実施形態において、この材料は、発泡体、または放射方向および軸方向の両方に可撓性であるが、切開部位の壁の応力による変形に抵抗するのに十分に弾力のある任意の他の生体適合性材料であり得る。円筒形本体は、近位端と、遠位端とを有し、近位端および遠位端の両方とも、長手方向軸に対して垂直である。
【0008】
少なくとも1つの内腔は、円筒形本体内に配置され、長手方向軸に沿って円筒形本体を通って延びている。内腔は、外科手術アクセスポートの近位端から円筒形本体を通って外科手術アクセスポートの遠位端への通路を提供する。内腔(単数または複数)はまた、供給された膨張流体による拡張に応答して、互いにおよび外科手術アクセスポートの他の構成要素に対する相対的な位置決めを変化させ得る。具体的には、長手方向軸に対する内腔間の横スペーシングは、供給された膨張流体による拡張に応答して変化する。円筒形本体の可撓性および圧縮性の理由で、内腔直径は、円筒形本体の拡張の結果、減少させられ得、より漏らない密閉が、内腔内に配置された器具の周りに形成し得る。さらに、内腔は、長手方向軸に対する、挿入された器具のたわみに応答して内腔の通路を変え得る。
【0009】
内部体腔にアクセスする方法もまた、提供される。方法は、内部体腔に外科手術アクセスポートの位置を決めるステップと、膨張流体の供給源からの流体によって所望のサイズに外科手術アクセスポートを拡張するステップと、外科手術アクセスポートを介して内部体腔にアクセスするステップとを含む。外科手術アクセスポートは、外科手術ツールおよび他のデバイスを体腔の中に通過させることを可能にする。デバイスの除去は、外科手術アクセスポートがサイズを減少させて、切開部位から概して妨害のない除去を可能にするように、外科手術アクセスポートを収縮させることを伴う。
【0010】
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
円筒形部材であって、近位端と、遠位端とを有し、長手方向軸を規定する、円筒形部材と、
該長手方向軸に沿って該円筒形部材を通って延びる少なくとも2つの内腔と、
少なくとも1つの空洞であって、該円筒形部材内に規定され、該少なくとも2つの内腔内に放射状に位置を決められる、少なくとも1つの空洞と、
該少なくとも1つの空洞に結合される膨張流体の供給源であって、該膨張の供給源は、該少なくとも1つの空洞の選択可能な膨張を可能にするように構成され、該少なくとも1つの空洞の膨張は、該少なくとも2つの内腔間のラジアル距離を増加させる、膨張流体の供給源と
を備えている、外科手術アクセスポート。
(項目2)
第1の状態は、第1の状態の直径を有する上記外科手術アクセスポートによって規定され、
第2の状態は、拡張された状態において上記内部膨張空洞を有する上記円筒形部材によって規定される第2の状態の直径を有する該外科手術アクセスポートによって規定され、
該第1の状態の直径は、該第2の状態の直径とは異なる、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目3)
上記外科手術アクセスポートは、内部体腔からの流体の漏出を防ぐように構成される、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目4)
上記膨張流体の供給源は、膨張ポートを介して少なくとも1つの空洞に結合される、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目5)
上記膨張流体の供給源は、上記外科手術アクセスポートの近位方向に延びる管によって上記少なくとも1つの空洞に結合される、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目6)
上記内部膨張空洞は、膨張流体の放出のためにポートに結合される、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目7)
上記少なくとも1つの内腔は、上記長手方向軸から非対称で間隔を空けて置かれる、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目8)
外科手術器具は、上記少なくとも1つの内腔を通って配置される、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目9)
上記少なくとも1つの内腔は、該少なくとも1つの内腔を通って配置される上記外科手術器具のたわみに応答して移動することが可能である、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスポート。
(項目10)
内部体腔にアクセスするシステムであって、
内部体腔に位置を決められる外科手術アクセスポートであって、該アクセスポートは、円筒形部材であって、近位端と、遠位端とを有し、長手方向軸を規定する、円筒形部材と、該長手方向軸に沿って該円筒形部材を通って延びる少なくとも2つの内腔と、少なくとも1つの空洞であって、該円筒形部材内に規定され、該少なくとも2つの内腔の内側に放射状に位置を決められる、少なくとも1つの空洞と、該少なくとも1つの空洞に結合される少なくとも1つの膨張流体の供給源とを含み、該外科手術アクセスポートは、拡張されない状態において該内部膨張空洞を有する該円筒形部材によって規定される対応する第1の状態の直径を有する第1の状態と、拡張された状態において該内部膨張空洞を有する該円筒形部材によって規定される対応する第2の状態を有する該外科手術アクセスポートによって規定される第2の状態とを有する、外科手術アクセスポートと、
該外科手術アクセスポートが該第1の状態から該第2の状態に拡張するように、該少なくとも1つの膨張流体の供給源から該少なくとも1つの内部膨張空洞に膨張流体を供給する手段であって、該第2の状態の直径は、該第1の状態の直径とは異なり、該第2の状態において、該少なくとも2つの内腔は、該第1の状態における該2つの内腔間のラジアル距離と比較して、互いからより大きいラジアル距離で位置を決められる、手段と
を含む、システム。
(項目10A)
内部体腔にアクセスする方法であって、
外科手術アクセスポートを内部体腔に位置を決めるステップであって、該アクセスポートは、円筒形部材であって、近位端と、遠位端とを有し、長手方向軸を規定する、円筒形部材と、該長手方向軸に沿って該円筒形部材を通って延びる少なくとも2つの内腔と、少なくとも1つの空洞であって、該円筒形部材内に規定され、該少なくとも2つの内腔の内側に放射状に位置を決められる、少なくとも1つの空洞と、該少なくとも1つの空洞に結合される少なくとも1つの膨張流体の供給源とを含み、該外科手術アクセスポートは、拡張されない状態において該内部膨張空洞を有する該円筒形部材によって規定される対応する第1の状態の直径を有する第1の状態と、拡張された状態において該内部膨張空洞を有する該円筒形部材によって規定される対応する第2の状態を有する該外科手術アクセスポートによって規定される第2の状態とを有する、ステップと、
該外科手術アクセスポートが該第1の状態から該第2の状態に拡張するように、該膨張流体の供給源から該少なくとも1つの内部膨張空洞に膨張流体を供給するステップであって、該第2の状態の直径は、該第1の状態の直径とは異なり、該第2の状態において、該少なくとも2つの内腔は、該第1の状態における該2つの内腔間のラジアル距離と比較して、互いからより大きいラジアル距離で位置を決められる、ステップと、
該外科手術アクセスポートを介して該内部体腔にアクセスするステップと
を包含する、方法。
(項目11)
上記内部体腔にアクセスするステップは、外科手術器具を該内部体腔に導入することを伴う、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目12)
上記内部体腔にアクセスするステップは、外科手術を行うことをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目13)
上記第2の状態において上記外科手術アクセスポートを用いて切開部位において組織を収縮させるステップをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目14)
外科手術器具を除去するステップと、上記内部膨張空洞から膨張流体を放出するステップと、上記外科手術アクセスポートが第2の状態から第1の状態に移行することを可能にするステップと、切開部位から該外科手術アクセスポートを除去するステップとをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0011】
(摘要)
円筒形部材であって、近位端と、遠位端とを有し、長手方向軸を規定する、円筒形部材と、長手方向軸に沿って円筒形部材を通って延びる少なくとも2つの内腔と、少なくとも1つの空洞であって、円筒形部材内に規定され、少なくとも2つの内腔内に放射状に位置を決められる、少なくとも1つの空洞と、少なくとも1つの空洞に結合される膨張流体の供給源であって、膨張の供給源は、少なくとも1つの空洞の選択可能な膨張を可能にするように構成され、少なくとも1つの空洞の膨張は、少なくとも2つの内腔間のラジアル距離を増加させる、膨張流体の供給源とを含む外科手術アクセスポート。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、4つの内腔と、中央内部膨張空洞と、膨張カップリングとを含む外科手術アクセスポートの上面斜視図である。
【図2】図2は、図1の外科手術アクセスポートの線2−2に沿う上面断面図であり、4つの内腔と、中央内部膨張空洞と、第1の状態の直径とを示す。
【図3】図3は、図1に示される外科手術アクセスポートの上面斜視図であり、外科手術アクセスポートは、第1の状態であり、切開部位を通って組織の中に挿入され、膨張カップリングと、内腔のうちの2つの内腔内に配置された2つの外科手術器具とを有する。
【図4】図4は、図3に示されるように2つの器具が外科手術アクセスポートを通って配置されている、図1の外科手術アクセスポートの側面図である。
【図5】図5は、図2に示されるように、外科手術アクセスポートの線2−2に沿う上面断面図であり、第2の状態の外科手術アクセスポートであり、対応する第2の状態の直径を示す。
【図6】図6は、拡張した第2の状態における図5に示される外科手術アクセスポートの側面図であり、内腔スペーシングにおける対応する増加を示す。
【図7】図7は、4つの内腔と、第1の状態における4つの別個の内部膨張空洞とを有する外科手術アクセスポートの上面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態の詳細な説明)
本開示は、外科手術アクセスポートの実施形態を図面を参照してここで詳細に説明し、図面において類似の参照番号は、各図において同一かまたは実質的に類似する部分を示す。説明の全体を通して、用語「近位」は、オペレータに最も近い、アセンブリの部分をいい、一方、用語「遠位」は、オペレータから最も遠い、アセンブリの部分をいう。最小侵襲性処置のための切開の観点から考察されるが、本開示の外科手術アクセスポートは、任意の自然に存在するオリフィス(例えば、口、肛門、または膣)において用いられ得る。
【0014】
最初に図1を参照すると、外科手術アクセスポート100が示される。外科手術アクセスポート100は、円筒形部材110を含み、円筒形部材110は、概して細腰の形状と、近位端140aおよび遠位端140bとを有し、長手方向軸A1を規定する。近位端140aおよび遠位端140bは、長手方向軸A1に対して実質的に垂直であり、近位端140aは外側リム150aによって囲まれ、遠位端140bは外側リム150bによって囲まれる。少なくとも1つの内腔120および複数の実施形態において複数の内腔120は、長手方向軸A1に沿って円筒形部材110を通って延びている。アクセスポートの一実施例は、米国特許出願公開第2010/0240960 A1号に開示され、この特許出願公開の開示全体が参照によって本明細書に援用される。
【0015】
内部膨張空洞130もまた、円筒形部材110内に内腔120とは別にある。内部膨張空洞130は、ここに示されるように、対称であり、中央に配置され得るが、複数の実施形態において、周囲の内腔120に対する内部膨張空洞の影響を最大にするような、形状、複数および配置であり得る。複数の実施形態において、内部膨張空洞130は、丸みのあるエッジを有する概して「X」形状であり得る。内部膨張空洞130は、円筒形部材110の近位端140aから長手方向軸A1に沿ってある距離延び、円筒形部材110の遠位端140bの前の長手方向軸A1に沿うある距離において終結する。
【0016】
膨張カップリング160は、内部膨張空洞130に結合され、膨張流体の供給源170に取り付けられるように構成される管またはポートの形態であり得る。膨張カップリング160は、その遠位端において内部膨張空洞130に結合され、その近位端において膨張流体の供給源170に結合される。内部膨張空洞130は、膨張流体を保持することが可能である。この目的のために、内部膨張空洞130または膨張カップリング160は、内部膨張空洞への膨張流体の流れを制御する構造を組み込み得る。この構造は、ボール弁または他の適切な流れ制御であり得る。さらに、膨張カップリング160は、外科手術アクセスポート100に対して実質的に流体を通さない密閉を維持する一助となる構造を含み得る。そのような構造は、プレスばめ部材、バヨネット型、またはねじ切り構成であり得る。
【0017】
膨張流体の供給源170は、膨張流体を内部膨張空洞160に供給することが可能である任意の供給源であり得る。そのような能力がある供給源は、注射器、ポンプ、またはリザーバであり得る。膨張流体の供給源170は、生体適合であり、外科手術処置に適した、CO、空気、または食塩水などの膨張流体を供給する。
【0018】
複数の実施形態において、外科手術アクセスポート100はまた、通気流体を内部体腔220に連絡するポートを含み得る(図4を参照されたい)。あるいは、内腔120のうちの1つは、通気流体を内部体腔220に連絡し得る。
【0019】
図2を見ると、外科手術アクセスポート100は、断面線2−2に沿って断面で示される。この図において、内腔120の各々は、内部膨張空洞130の周りに放射状に配置されているのが見られ得る。内腔120は、膨張空洞130の拡張が、内腔120の相対的配置における移動を引き起こすように配置される。そのような移動は、内腔120内に配置された器具210(図3を参照されたい)を用いる外科手術処置を行なう際に、より大きな器用さおよび範囲を可能にし得る。ここに示されるように膨張空洞130が膨張されない場合、第1の状態が規定される。第1の状態において、膨張空洞130は、周囲環境の内部圧力と本質的に等しくされた内部圧力を有する。第1の状態の直径D1は、長手方向軸A1を横切るように測定された第1の状態に関連付けられる。
【0020】
図3を参照すると、外科手術アクセスポート100は、上面斜視図において、切開部位190を通って組織180の中に挿入されて示される。円筒形部材110の近位端140aは、組織180の表面を通って延びているのが見られ得る。この配置において、外科手術器具210は、内腔120の中に挿入され得、想像図で示されるように内腔120を通って延びるのが見られ得る。内部膨張空洞130もまた、想像図で示される。膨張カップリング160は、円筒形部材110の近位端140aの上部を通って延びる。従って、図3における外科手術アクセスポート100は、第1の拡張されない状態で示される。
【0021】
図4を見ると、100の外科手術アクセスポートの側面図が示される。この図において、外科手術器具210は、完全に内腔120を通って延びるのが見られ得る(想像図に示される)。外科手術アクセスポート100が第1の拡張されない状態である場合、内腔120の中心間で長手方向軸A1を横切って測定される相対的スペーシング寸法X1もまた示される。
【0022】
図3に示されるように、使用時、外科手術アクセスポート100のオペレータは、外科手術アクセスポートが組織180の層内に配置されるように、最初に外科手術アクセスポート100を切開部位190に配置する。外科手術アクセスポート100のオペレータは、次いで膨張カップリング160を膨張流体の供給源170に結合し、流体が内部膨張空洞130に導入された場合、内部膨張空洞130が拡張することを可能にする。膨張流体の供給源170は、加圧された流体を供給して、内部膨張空洞130を拡張する。このことは、ポンプもしくはリザーバ、または任意の他の適切な圧力生成装置によって達成され得る。外科手術アクセスポート100のオペレータは、円筒形部材110の壁と切開部位190の壁との間に実質的に流体の通さない密閉が形成されるまで、円筒形部材110の壁が拡張して、円筒形部材110と切開部位190の壁との間の空間を満たすように、内部膨張空洞130が拡張することを可能にする。外科手術アクセスポート100は、次いで最小侵襲性外科手術処置において用いるために外科手術器具およびツール210が外科手術アクセスポート100を通って挿入される用意ができている。
【0023】
ここで図5を参照すると、図2に示される線2−2に沿う断面図は、ここで外科手術アクセスポート100が拡張された第2の状態で示される。ここで、第2の状態の直径D2は、第1の状態の直径D1とは明らかに異なって示される。また、内部膨張空洞130が拡張し、応答して円筒形部材110が拡張したことが示される。
【0024】
図6を見ると、外科手術アクセスポート100は、拡張された第2の状態である。内腔120の中心(想像図で示される)間で長手方向軸を横切って測定される相対的スペーシング寸法X2は、第1の状態の相対的スペーシング寸法X1とは明らかに異なる。その結果、内腔120は、より大きい相対的スペーシングと、より大きい、動きの自由とを享受する。外科手術アクセスポート100が第1の状態である場合、このより大きいスペーシングはまた、外科手術器具210によってアクセス可能であり得る、内部本体空洞220における点へのアクセスを提供し得る。さらに、拡張された外科手術アクセスポート100によって加えられる力はまた、切開部位190から外側に組織を収縮させるように働き得る。さらに、円筒形部材110の圧縮可能性は、第2の状態において内腔120がそこを通って配置される外科手術器具210の周りに、より漏らない密閉を形成するようにさせ得る。
【0025】
デバイスを除去するために、外科手術アクセスポート100のオペレータは、膨張カップリング160から膨張流体の供給源170の結合を外す。外科手術器具およびツール210は、次いで内腔120から除去され、膨張流体は、内部膨張空洞130から放出される。この後者のステップは、加圧された膨張流体を放出するために、プラグ、シールまたは他のポートを開くことを含み得る。外科手術アクセスポート100は、次いで第2の状態から第1の状態に移行し、長手方向軸A1を横切って測定される直径が対応して減少する。外科手術アクセスポートは、次いで切開部位180から容易に除去され得る。
【0026】
図7を参照すると、外科手術アクセスポート200は、4つの内腔120が長手方向軸A1の周りに均等に間隔を空けて置かれ、ならびに4つの別個の膨張空洞230が長手方向軸A1の周りに均等に間隔を空けて置かれここに示されて、第1の状態で示される。外科手術アクセスポート200が第1の状態から第2の状態に移行すると、別個の内部膨張空洞230は、内腔120間のスペーシングを最大にするように機能し得る。
【0027】
治癒を促進するかまたは外科手術中に外科手術アクセスポートの使用をより効果的にするために、外科手術アクセスポートが任意の数の薬効のある物質または材料を用いてコーティングされ得ることがさらに企図される。
【0028】
本明細書に開示される実施形態に対して様々な修正がなされ得ることは理解される。従って、上記の説明は、限定するものとして解釈されるべきではなく、複数の実施形態の単なる例証として解釈されるべきである。当業者は、本開示の範囲および精神内における他の修正を予想する。
【符号の説明】
【0029】
100 外科手術アクセスポート
110 円筒形部材
120 内腔
130 内部膨張空洞
140a 近位端
140b 遠位端
150a 外側リム
150b 外側リム
160 膨張カップリング
170 膨張流体の供給源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形部材であって、近位端と、遠位端とを有し、長手方向軸を規定する、円筒形部材と、
該長手方向軸に沿って該円筒形部材を通って延びる少なくとも2つの内腔と、
少なくとも1つの空洞であって、該円筒形部材内に規定され、該少なくとも2つの内腔内に放射状に位置を決められる、少なくとも1つの空洞と、
該少なくとも1つの空洞に結合される膨張流体の供給源であって、該膨張の供給源は、該少なくとも1つの空洞の選択可能な膨張を可能にするように構成され、該少なくとも1つの空洞の膨張は、該少なくとも2つの内腔間のラジアル距離を増加させる、膨張流体の供給源と
を備えている、外科手術アクセスポート。
【請求項2】
第1の状態は、第1の状態の直径を有する前記外科手術アクセスポートによって規定され、
第2の状態は、拡張された状態において前記内部膨張空洞を有する前記円筒形部材によって規定される第2の状態の直径を有する該外科手術アクセスポートによって規定され、
該第1の状態の直径は、該第2の状態の直径とは異なる、請求項1に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項3】
前記外科手術アクセスポートは、内部体腔からの流体の漏出を防ぐように構成される、請求項2に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項4】
前記膨張流体の供給源は、膨張ポートを介して少なくとも1つの空洞に結合される、請求項1に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項5】
前記膨張流体の供給源は、前記外科手術アクセスポートの近位方向に延びる管によって前記少なくとも1つの空洞に結合される、請求項1に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項6】
前記内部膨張空洞は、膨張流体の放出のためにポートに結合される、請求項1に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項7】
前記少なくとも1つの内腔は、前記長手方向軸から非対称で間隔を空けて置かれる、請求項1に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項8】
外科手術器具は、前記少なくとも1つの内腔を通って配置される、請求項1に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項9】
前記少なくとも1つの内腔は、該少なくとも1つの内腔を通って配置される前記外科手術器具のたわみに応答して移動することが可能である、請求項1に記載の外科手術アクセスポート。
【請求項10】
内部体腔にアクセスするシステムであって、
内部体腔に位置を決められる外科手術アクセスポートであって、該アクセスポートは、円筒形部材であって、近位端と、遠位端とを有し、長手方向軸を規定する、円筒形部材と、該長手方向軸に沿って該円筒形部材を通って延びる少なくとも2つの内腔と、少なくとも1つの空洞であって、該円筒形部材内に規定され、該少なくとも2つの内腔の内側に放射状に位置を決められる、少なくとも1つの空洞と、該少なくとも1つの空洞に結合される少なくとも1つの膨張流体の供給源とを含み、該外科手術アクセスポートは、拡張されない状態において該内部膨張空洞を有する該円筒形部材によって規定される対応する第1の状態の直径を有する第1の状態と、拡張された状態において該内部膨張空洞を有する該円筒形部材によって規定される対応する第2の状態を有する該外科手術アクセスポートによって規定される第2の状態とを有する、外科手術アクセスポートと、
該外科手術アクセスポートが該第1の状態から該第2の状態に拡張するように、該少なくとも1つの膨張流体の供給源から該少なくとも1つの内部膨張空洞に膨張流体を供給する手段であって、該第2の状態の直径は、該第1の状態の直径とは異なり、該第2の状態において、該少なくとも2つの内腔は、該第1の状態における該2つの内腔間のラジアル距離と比較して、互いからより大きいラジアル距離で位置を決められる、手段と
を含む、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−152557(P2012−152557A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−11080(P2012−11080)
【出願日】平成24年1月23日(2012.1.23)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】