説明

拡張情報処理モジュール、情報処理モジュール、設定情報引継ぎ方法、設定情報引継ぎプログラム

【課題】 情報処理装置の機能を簡便かつ効率的に拡張させることができる拡張情報処理モジュールを提供する。
【解決手段】 画像処理ボード5(情報処理モジュール)を有するネットワークプリンタ2(画像処理装置)に装着可能であり、ネットワークプリンタ2を制御する第2のプリンタ機能制御部28(拡張情報処理部)と、該第2のプンタ機能制御部28あるいは上記画像処理ボード5へデータを中継するルータ31(データ中継部)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に装着可能な拡張情報処理モジュール、例えばネットワークプリンタに装着する拡張機能インターフェース(EFI)に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は、画像処理ボード105が装備されたネットワークプリンタ(マルチファンクションプリンタ)102に、拡張画像処理ボード106(拡張機能インターフェース、EFIともいう)を使用する場合の従来例を説明するブロック図である。
【0003】
図7に示されるネットワークプリンタ102は、画像形成部122と、画像入力部124と、画像処理ボード105とを備える。この画像処理ボード105は、第1のプリンタ機能制御部108と、第1のスキャナ機能制御部109と、第1のインターフェース部110とを備えており、該第1のインターフェース部110を介して、ユーザのコンピュータ103が存在するLAN125に接続されている。また、第1のプリンタ機能制御部108は画像形成部122を制御し、第1のスキャナ機能制御部109は、画像入力部124を制御する。
【0004】
第1のインターフェース部110には、LAN125上のプライベートIPアドレスとしてa10(画像処理ボード105のプライベートIPアドレスともいえる)が与えられている。また、第1のプリンタ機能制御部108には、各プリンタ機能に対応する複数のポート(ポート番号がP1〜Pn)が与えられており、同様に、スキャナ機能制御部109には、各スキャナ機能に対応する複数のポート(ポート番号がQ1〜Qm)が与えられている。
【0005】
ユーザのコンピュータ103からの画像データは、第1のインターフェース部110を介して第1のプリンタ機能制御部108に入力される。第1のプリンタ機能制御部108は当該画像データに基づいて、画像形成部122に制御信号を出力し、これによって画像形成(プリントアウト)が行われる。また、画像入力部124からのスキャンデータは、第1のスキャナ機能制御部109に入力される。第1のスキャナ機能制御部109は、当該スキャンデータに基づいて画像データを出力し、当該画像データは、第1のインターフェース部110およびLAN125を介してユーザのコンピュータ103に送られる。
【0006】
ここで、ネットワークプリンタ102に拡張画像処理ボード106を使用する場合には、画像処理ボード105を、拡張画像処理ボード106に差し替える(画像処理ボード105をネットワークプリンタ102から取り出し、替わりにネットワークプリンタ102に拡張画像処理ボード106を装着する)ことになる。
【0007】
図7に示されるように、拡張画像処理ボード106は、第2のプリンタ機能制御部118と、第2のスキャナ機能制御部119と、第2のインターフェース部120とを備え、ネットワークプリンタ102に対して、画像処理ボード105より高い機能を実現させることができる。
【0008】
拡張画像処理ボード106がネットワークプリンタ102に装着されたときには、第2のインターフェース部120に、LAN125上の装置内IPアドレスa10が新たに配布される。なお、一般的に特定の機能や特定のデータのやり取りには決まったポート番号が使用されるため、第2のプリンタ機能制御部118は、各機能に対応してポート番号P1〜Pn(第1のプリンタ機能制御部108と同じポート番号)を使用し、第2のスキャナ機能制御部119は、各機能に対応して、ポート番号Q1〜Qm(第1のスキャナ機能制御部109と同じポート番号)を使用することになる。
【特許文献1】特開平9−18639号公報(公開日:平成9年1月17日)
【特許文献2】特開2002−41268号公報(公開日:平成14年2月8日)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記した従来例においては、拡張画像処理ボード106を使用する場合、この拡張画像処理ボード106と、それまで使用していた画像処理ボード105とを差し替えなければならない。
【0010】
したがって、ユーザが今まで使用していた画像処理ボード105の一部機能(例えば、画像処理ボード105と拡張画像処理ボード106とで性能が同一である機能)は引続き使用することとし、画像処理ボード105と拡張画像処理ボード106とを並行して(ユーザが適宜選択して)使用していくといったことができない。
【0011】
また、拡張画像処理ボード106装着時に、LAN125側から、この拡張画像処理ボード106に、新たにIPアドレスを配布することも必要となる。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、情報処理装置の機能を簡便かつ効率的に拡張させることができる拡張情報処理モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の拡張情報処理モジュールは、上記課題を解決するために、情報処理モジュールを有する情報処理装置に装着可能であり、上記情報処理装置を制御する拡張情報処理部と、該拡張情報処理部あるいは上記情報処理モジュールへデータを中継するデータ中継部とを備えることを特徴とする。
【0014】
上記拡張情報処理モジュールは、既に情報処理モジュールが装着された情報処理装置に追加的に装着され、新機能や現機能の高パフォーマンス化を実現させるものである。
【0015】
上記構成によれば、上記データ中継部によって、例えば、外部からデータ中継部に送られたデータを、拡張情報処理部あるいは情報処理モジュールへと振り分けて送信することができる。
【0016】
したがって、それまで装着されていた情報処理モジュールと、追加した拡張情報処理モジュールとを並行して使用することができる。これにより、例えば、一部の機能については今までの情報処理モジュールを引続き使用し、他の機能は拡張情報処理モジュールを使用するといったことが可能となり、情報処理装置の機能を効率的に拡張することができる。
【0017】
また、情報処理モジュールがデータ中継部を介して拡張情報処理モジュール側へ設定情報等のデータを送信することが可能であるため、拡張情報処理モジュールの設定等を簡便化することもできる。
【0018】
なお、上記データ中継部は、上記拡張情報処理部あるいは情報処理モジュールからのデータを外部(例えば、LAN)に中継する機能を併せもつ構成であっても良い。
【0019】
本発明においては、上記情報処理モジュールおよびデータ中継部はネットワークインターフェースを備えており、上記データ中継部はルータ機能を有することが好ましい。ルータ機能とは、ネットワーク上を流れるデータを他のネットワークに中継する機能である。
【0020】
上記構成によれば、拡張情報処理モジュールと情報処理モジュールとをネットワークに接続し、データ中継部のルータ機能を使って、ネットワークからのデータを拡張情報処理モジュールあるいは情報処理モジュールに振り分けて送信することができる。これにより、ネットワークに接続する情報処理装置の機能を効率的に拡張することができる。
【0021】
本発明においては、上記データ中継部はNAT機能を有することが好ましい。NAT機能とは、外側のネットワークからのデータを内側のネットワークに中継する際、外側のネットワークでのグローバルなIPアドレスを、内側のネットワークでのローカルなIPアドレスに変換する機能である。上記データ中継部がこのNAT機能を持つことで、IPアドレスを節約でき、ネットワーク上の管理項目を削減することができる。
【0022】
本発明においては、上記情報処理モジュールに設定された設定情報を取得する設定情報取得部を備え、該設定情報取得部は、上記設定情報に基づいてルータ機能を設定することが好ましい。
【0023】
上記構成によれば、ルータ機能の設定(拡張情報処理モジュールの設定)の際、それまで使用していた情報処理モジュールの設定を引継ぐことになるため、ネットワーク上のホスト装置側の設定変更の手間を省くことができる。加えて、ルータ機能の設定が情報処理装置側で自動的になされるため、拡張情報処理モジュール装着時にネットワーク(ホスト)側からルータ機能を設定する手間を省くことができる。
【0024】
なお、上記設定情報取得部は、上記データ中継部を介して情報処理モジュールの設定情報を取得するような構成であっても構わない。
【0025】
本発明においては、外部からアクセス可能なHTTPサーバをさらに備えることが好ましい。当該構成によれば、HTTPサーバを介してネットワークからルータ機能の設定変更等ができ、便利である。
【0026】
本発明においては、上記設定情報取得部は、情報処理モジュールおよび拡張情報処理モジュール間で機能が共通する場合、どちらかのモジュールをデフォルトに選択してルータ機能を設定することが好ましい。当該構成によれば、情報処理モジュールおよび拡張情報処理モジュール間で共通する機能がある場合、ホスト側でどちらのモジュールを選択するかを決定しなくてすみ、便利である。
【0027】
なお、主として情報処理装置側で設定される機能については、それまで使用されていた(標準の)情報処理モジュールの方が情報処理装置との適合性が高いため、これをデフォルトとすることが好ましい。
【0028】
また、上記拡張情報処理モジュールにおいては、その情報処理が画像処理であっても構わない。
【0029】
また、本発明の情報処理モジュールは、情報処理装置に装着される情報処理モジュールであって、上記拡張情報処理モジュールからの設定情報の要求に応じて、自らの設定情報を該拡張情報処理モジュールに送信することを特徴としている。
【0030】
また、本発明の設定情報引継ぎ方法は、情報処理装置に追加的に装着されたルータ機能を有する拡張情報処理モジュールに、それまで装着されていた情報処理モジュールの設定情報を引継ぐために、拡張情報処理モジュールが情報処理モジュールに設定情報を要求するステップと、該拡張情報処理モジュールが情報処理モジュールから設定情報を受信するステップと、受信した設定情報に基づいて、拡張情報処理モジュールがそのルータ機能を設定するステップとを含むことを特徴としている。
【0031】
また、本発明の設定情報引継ぎプログラムは、上記各ステップをコンピュータに実現させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0032】
以上のように、本発明の拡張情報処理モジュールによれば、外部から受信したデータを、拡張情報処理部あるいは情報処理モジュールへと振り分けて送信することができる。
【0033】
したがって、それまで装着されていた情報処理モジュールと、追加した拡張情報処理モジュールとを並行して使用することができる。これにより、例えば、一部の機能については今までの情報処理モジュールを引続き使用し、他の機能は拡張情報処理モジュールを使用するといったことが可能となり、情報処理装置の機能を効率的に拡張することができる。
【0034】
また、データ中継部を介して情報処理モジュールが拡張情報処理モジュール側へ設定情報等のデータを送信することが可能であるため、拡張情報処理モジュールの設定等を簡便化することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の実施の一形態を図1〜図7に基づいて説明すれば以下のとおりである。
【0036】
本発明に係る拡張画像処理ボードは、(標準あるいはオプションの)画像処理ボードが装着されたネットワークプリンタに追加的に装着される。そこで、まず、画像処理ボードが装着されたネットワークプリンタの構成を図2に示す。
【0037】
図2に示されるように、ネットワークプリンタ2(情報処理装置・画像処理装置)は、画像形成部22と、入力部23と、画像入力部24と、画像処理ボード5(情報処理モジュール、画像処理モジュール)と、拡張スロット13とを備える。画像処理ボード5は、ネットワークプリンタ2の標準ボードやオプション的に装着される拡張ボードである。また、拡張スロット13は、拡張画像処理ボード106(図1(a)参照)を装着するための空きスロットである。
【0038】
この画像処理ボード5は、画像形成部22を制御する第1のプリンタ機能制御部8と、画像入力部24を制御する第1のスキャナ機能制御部9と、第1のプリンタ機能制御部8および第1のスキャナ機能制御部9を、コンピュータ3(ユーザのマシン)が存在するLAN25に接続するための第1のインターフェース部10とを備えている。
【0039】
第1のインターフェース部10には、LAN25上のプライベートIPアドレスとしてa1(画像処理ボード5のプライベートIPアドレスともいえる)が与えられている。また、第1のプリンタ機能制御部8には、各プリンタ機能に対応する複数のポート(ポート番号がA1〜An)が与えられており、スキャナ機能制御部9には、各スキャナ機能に対応する複数のポート(ポート番号がB1〜Bm)が与えられている。
【0040】
たとえば、コンピュータ3からのプリントデータ(送信先IPアドレスa1を有する)は、第1のインターフェース部10を介して第1のプリンタ機能制御部8に入力される。第1のプリンタ機能制御部8は当該データに基づいて画像形成部22を制御し、これにより、プリントアウトが行われる。
【0041】
また、画像入力部24からのスキャンデータは、第1のスキャナ機能制御部9に入力される。第1のスキャナ機能制御部9は、当該スキャンデータに基づいて画像データを第1のインターフェース部10に出力する。そして、当該画像データ(送信元IPアドレスa1を有する)はLAN25を介してコンピュータ3に送られる。
【0042】
次に、本発明に係る拡張画像処理ボードの構成を図1(a)に示し、本拡張画像処理ボードを、画像処理ボードが装着されているネットワークプリンタに追加装着した場合の構成を図1(b)に示す。
【0043】
図1(a)に示されるように、本発明に係る拡張画像処理ボード6(拡張情報処理モジュール、拡張画像処理モジュール)は、拡張スロット13に装着される。本拡張画像処理ボード6は、第2のプリンタ機能制御部28(拡張情報処理部、拡張画像処理部)と、第2のスキャナ機能制御部29(拡張情報処理部、拡張画像処理部)と、ルータ31(データ中継部、データ中継切替部)と、第2のインターフェース部30と、設定情報取得部33と、HTTPサーバ39とを備えており、画像処理ボード5とは異なる、あるいは高パフォーマンスの機能をネットワークプリンタ2に実現させることができる。ここで、第2のプリンタ機能制御部28は画像形成部22を制御し、第2のスキャナ機能制御部2は画像入力部24を制御する。
【0044】
ルータ31は、図1(b)に示されるように、コンピュータ3が存在するLAN25および画像処理ボード5の第1のインターフェース部10に接続され、例えば、LAN25からのデータを画像処理ボード5内の第1のインターフェース部10あるいは拡張画像処理ボード6内の第2のインターフェース部30へ中継する。また、第2のスキャナ機能制御部29およびルータ31は第2のインターフェース部30を介して接続され、第2のプリンタ機能制御部28およびルータ31も第2のインターフェース部30によって接続されている。
【0045】
また、設定情報取得部33は、画像処理ボード5からその設定情報を取得し、これを用いて拡張画像処理ボード6のルータ31等の設定を行う。HTTPサーバ39はルータ31に接続され、コンピュータ3のユーザは、LAN25を介してHTTPサーバ39にアクセスでき、これによってルータ31の設定変更等を行うことができる。なお、入力部23では、画像入力部24の動作設定(スキャナ機能の設定)が行われる。
【0046】
このように、ルータ31は、LAN25からのデータを第1のインターフェース部10あるいは第2のインターフェース部30に中継するため、画像処理ボード5および拡張画像処理ボード6は、LAN25よりさらにローカルな(装置内の)ネットワーク環境に置かれる。この装置内のネットワーク上のIPアドレスを装置内IPアドレスと呼ぶことにする。
【0047】
次に、拡張画像処理ボード6におけるルータ31等の設定手順を図3のフローチャート(S1〜)を用いて説明する。同図に示されるように、ネットワークプリンタ2の電源がONされ(S2)、拡張画像処理ボード6が装着されると(S3)、ルータ31と画像処理ボード5の第1のインターフェース部10とが接続される(S4)。なお、S3やS4でNoの場合(すなわち、拡張画像処理ボード6が装着されていない場合や画像処理ボード5と拡張画像処理ボード6との接続が完了していない場合)には、通常動作モードに移行する(S10)。
【0048】
S4にて接続が完了すると拡張画像処理ボード6の設定情報取得部33は、画像処理ボード5に設定情報(LAN25上の画像処理ボード5のIPアドレスや第1のプリンタ機能制御部8および第1のスキャナ機能制御部9のポート番号)の要求を行う(S5)。
【0049】
これに対応して、画像処理ボード5は、上記設定情報を設定情報取得部33に送信する(S6)。この設定情報の受信が完了すると(S7)、設定情報取得部33は、これらの設定情報を基づき、ルータ31のプライベートIPアドレスおよび第2のインターフェース部30の装置内IPアドレス、並びに第2のプリンタ機能制御部28および第2のスキャナ機能制御部29のポート番号等の設定を行う(S8)(なお、S7で拡張画像処理ボード6が設定情報を受信していない場合にはS5に移行し、拡張画像処理ボード6が画像処理ボード5にその設定情報を要求する)。
【0050】
ついで、ルータ31は、画像処理ボード5の第1のインターフェース部10に装置内IPアドレスを与える。ここでは、それまでの第1のインターフェース部10のプライベートIPアドレスを装置内IPアドレスとして与えても良いし、新たな装置内IPアドレスを与えても構わない(S9)。これらの工程を終えると通常動作モードに戻る(S10)。
【0051】
上記した設定情報取得部33によるルータ31等の設定工程および該ルータ31による中継処理を、図3〜図7を用いてより詳細に説明すれば、以下のとおりである。
【0052】
図3のS7では、設定情報取得部33は、LAN25上のプライベートIPアドレス(a1)並びに第1のプリンタ機能制御部8のポート番号(A1〜An)および第1スキャナ機能制御部9のポート番号(B1〜Bm)を受信する。そして、S8・9で、これら設定情報を用いてルータ31、第2のインターフェース部30、第2のプリンタ機能制御部28、第2のスキャナ機能制御部29、および第1のインターフェース部10の設定を行う。
【0053】
これにより、ルータ31は、その外側(LAN25側)のIPアドレス(プライベートIPアドレス)がa1に設定される(画像処理ボード5のプライベートIPアドレスを引継ぐ)とともに、その内側(ネットワークプリンタ2内)のIPアドレス(装置内IPアドレス)がb1に設定される。また、第2のインターフェース部30の装置内IPアドレス)がc1に設定される。
【0054】
なお、設定情報取得部33は、画像処理ボード5から必要な設定情報だけを受信することが好ましい。例えば、スキャナ機能については画像処理ボード5(第1のスキャナ機能制御部9)を引続き使用する場合には、S5(図3参照)で第1のスキャナ機能制御部9のポート番号を要求しなければよい。また、設定情報取得部33は、画像処理ボード5および拡張画像処理ボード6間で機能が共通する場合、どちらかのモジュールをデフォルトに選択してルータ31を設定する。こうすれば、ユーザ(コンピュータ3)側でどちらのモジュールを選択するかを迷わなくてすみ、便利である。なお、主としてネットワークプリンタ2側で設定される機能(例えば、スキャナ機能)については、それまで使用されていた(標準の)画像処理ボード5の方がネットワークプリンタ2との適合性が高いことが多いため、これをデフォルトとすることが好ましい。
【0055】
さらに、第2のプリンタ機能制御部28のポート番号がA1〜Anに設定され、第2のスキャナ機能制御部29のポート番号がB1〜Bmに設定される(画像処理ボード5の各機能別ポート番号を引継ぐ)。また、画像処理ボード5の第1のインターフェース部10の装置内IPアドレスには、それまでのプライベートIPアドレスであるa1が設定される。第1のプリンタ機能制御部8のポート番号(A1〜An)や第1のスキャナ機能制御部9のポート番号B1〜Bmはそのままであり変更はなされない。
【0056】
なお、スキャナの設定につき、画像処理ボード5(第1のスキャナ機能制御部9)を使用するか、拡張画像処理ボード6(第2のスキャナ機能制御部29)を使用するかは、ユーザがネットワークプリンタ2の入力部23より選択する。
【0057】
上記設定により、ルータ31は次に示すようなNAT(NAPT変換)変換を行う。
【0058】
図4は、プリンタ機能(全て)を拡張画像処理ボード6に置き換え、スキャナ機能は引続き画像処理ボード5を使用する場合のルータ31のNAT(NAPT変換)変換テーブルである。
【0059】
同図に示されるように、プリンタ機能(全て)を拡張画像処理ボード6に置き換え、スキャナ機能は引続き画像処理ボード5を使用する場合、ルータ31は、LAN側から送信された、送信先プライベートIPアドレスがa1、ポート番号がA1〜Anのデータに、装置内IPアドレスとしてc1を与える(プライベートIPアドレスa1を装置内IPアドレスc1に変換する)。この結果、このデータ(プライベートIPアドレスがa1、ポート番号がA1〜An)は、拡張画像処理ボード6内の第2のインターフェース部30(装置内IPアドレスc1)を介して第2のプリンタ機能制御部28に入力される。
【0060】
なお、ルータ31は、第1のインターフェース部10から送信された、(送信元)装置内IPアドレスがa1、ポート番号がB1〜Bmのデータに対して、送信元プライベートIPアドレスとしてa1、ポート番号としてB’1〜B’mを与え、LAN25に送信する。これにより、コンピュータ3側は、当該データが画像処理ボード5(第1のスキャナ機能制御部9)で処理されたものであることを認識しうる。
【0061】
図5は、プリンタ機能(全て)およびスキャナ機能(全て)を拡張画像処理ボード6に置き換える場合のルータ31のNAT変換テーブルである。
【0062】
同図に示されるように、プリンタ機能(全て)およびスキャナ機能(全て)を拡張画像処理ボード6に置き換える場合、ルータ31は、LAN側から送信された、プライベートIPアドレスがa1、ポート番号がA1〜Anのデータに、装置内IPアドレスとしてc1を与える(プライベートIPアドレスa1を装置内IPアドレスc1に変換する)。この結果、このデータ(プライベートIPアドレスがa1、ポート番号がA1〜An)は、拡張画像処理ボード6内の第2のインターフェース部30(装置内IPアドレスc1)を介して第2のプリンタ機能制御部28に入力される。
【0063】
また、ルータ31は、第2のインターフェース部30から送信された、送信元装置内IPアドレスがc1、ポート番号がB1〜Bmのデータに対して、送信元プライベートIPアドレスとしてa1、ポート番号としてB1〜Bmを与え、LAN25に送信する。これにより、コンピュータ3側は、当該データが拡張画像処理ボード6(第2のスキャナ機能制御部29)で処理されたものであることを認識しうる。
【0064】
図6は、画像処理ボード5および拡張画像処理ボード6のどちらのプリンタ機能も使用する場合のルータ31のNAT変換(NAPT変換)テーブルである。
【0065】
同図に示されるように、画像処理ボード5および拡張画像処理ボード6のどちらのプリンタ機能も使用する場合、ルータ31は、LAN側から送信された、プライベートIPアドレスがa1、ポート番号がA1’〜An’のデータに、装置内IPアドレスとしてa1を与え(プライベートIPアドレスa1をそのまま装置内IPアドレスとする)、ポート番号としてA1〜Anを与える(ポート番号A’1〜A’nをA1〜Anに変換する)。この結果、このデータ(プライベートIPアドレスがa1、ポート番号がA’1〜A’n)は、画像処理ボード5の第1のインターフェース部10(装置内IPアドレスa1)を介して第1のプリンタ機能制御部8に入力される。
【0066】
また、ルータ31は、LAN側から送信された、プライベートIPアドレスがa1、ポート番号がA1〜Anのデータに、装置内IPアドレスとしてc1を与える(プライベートIPアドレスa1を装置内IPアドレスc1に変換する)。この結果、このデータ(プライベートIPアドレスがa1、ポート番号がA1〜An)は、拡張画像処理ボード6内の第2のインターフェース部30(装置内IPアドレスc1)を介して第2のプリンタ機能制御部28に入力される。
【0067】
このように、拡張画像処理ボード6によれば、それまで装着されていた画像処理ボード5と、追加した当該拡張画像処理ボード6とを並行して使用することができる。これにより、例えば、一部の機能(例えば、スキャナ機能)については今までの画像処理ボード5を引続き使用し、他の機能(例えば、プリンタ機能)は拡張画像処理ボード6を使用するといったことが可能となり、ネットワークプリンタ2の機能を効率的に拡張することができる。また、画像処理ボード5がルータ31を介して拡張画像処理ボード6側へ設定情報等を送信することが可能であるため、拡張画像処理ボード6の設定等を簡便化することができる。
【0068】
なお、本実施の形態においては、ルータ31にNAT(NAPT)機能を持たせているが、例えば、DHCP機能を持たせても構わない。
【0069】
また、本実施の形態においては、画像処理ボード5と拡張画像処理ボード6とを装着し、設定情報が引継がれた後に画像処理ボード5を外し、拡張画像処理ボード6だけを使用するといった使用方法も可能である。
【0070】
また、上記の説明では、本拡張画像処理ボード6をネットワークプリンタに適用する場合について説明しているがこれに限定されない。1つのコンピュータにプリンタが接続されるような非ネットワーク環境においても、標準の画像処理ボード5と拡張画像処理ボード6とを並行して使用することができ、上記プリンタの機能を効率的に拡張することができる。
【0071】
また、上記の拡張画像処理ボード6(拡張情報処理モジュール、図1(a)参照)は、画像処理ボード5(情報処理モジュール)を有するネットワークプリンタ2(情報処理装置)に装着可能であり、ネットワークプリンタ2を制御する拡張情報処理部(第2のプリンタ機能制御部28・第2のスキャナ機能制御部29)を備え、LAN25等の外部と上記拡張情報処理部とを結ぶデータ経路上であって、かつ、上記外部と画像処理ボード5とを結ぶデータ経路上に、データの経路設定を行うルータ31(データ中継部)が設けられている構成であると表現することもできる。
【0072】
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施の形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明に係る拡張情報処理モジュールは、プリンタ、コピー機、ファックス、スキャナ、これらの複合機(マルチファンクションプリンタ)等に広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】(a)は、本発明に係る拡張画像処理ボードの構成を示すブロック図であり、(b)は、当該拡張画像処理ボードをネットワークプリンタに装着した場合の構成を示すブロック図である。
【図2】拡張画像処理ボードが装着されるネットワークプリンタおよびそのネットワーク構成を示すブロック図である。
【図3】画像処理ボードから拡張画像処理ボードへの設定情報の引継ぎ手順を示すフローチャートである。
【図4】本拡張画像処理ボードのルータにおけるNAT(NAPT)変換テーブルを示す表である。
【図5】本拡張画像処理ボードのルータにおけるNAT(NAPT)変換テーブルを示す表である。
【図6】本拡張画像処理ボードのルータにおけるNAT(NAPT)変換テーブルを示す表である。
【図7】拡張画像処理ボードをネットワークプリンタに装着する場合の従来例である。
【符号の説明】
【0075】
2 ネットワークプリンタ(情報処理装置・画像形成装置)
5 画像処理ボード(情報処理モジュール)
6 拡張画像処理ボード(拡張情報処理モジュール)
10 第1のインターフェース部
25 LAN(ネットワーク)
28 第2のプリンタ機能制御部(拡張情報処理部)
29 第2のスキャナ機能制御部(拡張情報処理部)
30 第2のインターフェース部
31 ルータ(データ中継部)
39 HTTPサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理モジュールを有する情報処理装置に装着可能であり、
上記情報処理装置を制御する拡張情報処理部と、
該拡張情報処理部あるいは上記情報処理モジュールへデータを中継するデータ中継部と、
を備えることを特徴とする拡張情報処理モジュール。
【請求項2】
上記情報処理モジュールおよびデータ中継部はネットワークインターフェースを備えており、
上記データ中継部はルータ機能を有することを特徴とする請求項1記載の拡張情報処理モジュール。
【請求項3】
上記データ中継部はNAT機能を有することを特徴とする請求項2記載の拡張情報処理モジュール。
【請求項4】
上記情報処理モジュールに設定された設定情報を取得する設定情報取得部を備え、該設定情報取得部は、上記設定情報に基づいてルータ機能を設定することを特徴とする請求項2記載の拡張情報処理モジュール。
【請求項5】
外部からアクセス可能なHTTPサーバを備えることを特徴とする請求項2記載の拡張情報処理モジュール。
【請求項6】
上記設定情報取得部は、情報処理モジュールおよび拡張情報処理モジュール間で機能が共通する場合、どちらかのモジュールをデフォルトに選択してルータ機能を設定することを特徴とする請求項4記載の拡張情報処理モジュール。
【請求項7】
上記設定情報取得部は、主として情報処理装置側で操作される機能が両モジュール間で共通する場合、情報処理モジュールの方をデフォルトに選択することを特徴とする請求項6記載の拡張情報処理モジュール。
【請求項8】
上記情報処理が画像処理であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の拡張情報処理モジュール。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか1項に記載の拡張情報処理モジュールからの設定情報の要求に応じて、自らの設定情報を該拡張情報処理モジュールに送信することを特徴とする情報処理モジュール。
【請求項10】
情報処理装置に追加的に装着されたルータ機能を有する拡張情報処理モジュールに、それまで装着されていた情報処理モジュールの設定情報を引継ぐために、
拡張情報処理モジュールが情報処理モジュールに設定情報を要求するステップと、
該拡張情報処理モジュールが情報処理モジュールから設定情報を受信するステップと、
受信した上記設定情報に基づいて、拡張情報処理モジュールがそのルータ機能を設定するステップと、
を含むことを特徴とする設定情報引継ぎ方法。
【請求項11】
請求項10記載の各ステップをコンピュータに実現させることを特徴とする設定情報引継ぎプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−33279(P2006−33279A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−207565(P2004−207565)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】