説明

指先刺激装置及び車両用車室内部材

【課題】簡素な構成で乗員の指先に赤外線を照射することができる指先刺激装置及び車両用車室内部材を得る。
【解決手段】車室14内のコンソールボックス28には、指先刺激装置30が設けられている。指先刺激装置30は、乗員の親指が挿入される第1挿入部36Aと、親指以外の指が挿入される第2挿入部36Bとからなる指先挿入部36を備えている。第1挿入部36A及び第2挿入部36Bは、側壁38Bの上部側に赤外線照射部44を備えており、底面部38Aにコイルばね40を介して底壁42が配設されている。乗員の指が挿入されるとコイルばね40が圧縮して底壁42が下降し、赤外線照射部44の位置が指先の爪の付根付近に調整される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の車室内部材と一体的に設けられた指先刺激装置及びこの指先刺激装置を備えた車両用車室内部材に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、指先の爪の生え際近傍に近赤外線を照射し、自律神経に刺激を与えて体温をコントロールする指先刺激装置が開示されている。
【特許文献1】特開2006−166959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記先行技術では、指先に近赤外線を照射して自律神経を刺激する装置が開示されているが、車載を考慮すると、よりコンパクトで簡素な構成が望ましいと共に、また、どのような乗員に対しても効果的な装置であることが望ましく改善の余地がある。
【0004】
本発明は上記事実を考慮し、簡素な構成で乗員の指先に赤外線を照射することができる指先刺激装置及び車両用車室内部材を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明に係る指先刺激装置は、車両の車室内部材と一体的に設けられ、底壁と側壁とで構成される指先挿入部と、前記指先挿入部に挿入された指に対して赤外線を照射する赤外線照射部と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1記載の指先刺激装置において、前記赤外線照射部の位置を相対的に調整する調整手段を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、請求項2に記載の指先刺激装置において、前記調整手段は、前記底壁の高さを調整する底壁調整手段を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明は、請求項2記載の指先刺激装置において、前記調整手段は、前記指先挿入部に挿入された指に対する照射位置を検出する照射位置検出手段と、前記照射位置検出手段の検出結果に基づいて前記赤外線照射部を前記照射位置の方向へ駆動する駆動手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の指先刺激装置において、前記底壁の一部に前記側壁に沿って指先挿入方向に延在する凹部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の指先刺激装置において、前記赤外線照射部は、1つの発光ダイオードと、前記発光ダイオードから照射される光を反射する反射部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項7の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の指先刺激装置において、前記赤外線照射部は、前記側壁に設けられた有機ELライトであることを特徴とする。
【0012】
請求項8の発明は、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の指先刺激装置において、更に車両の停車を検出する停車検出手段と、前記指先挿入部を開閉可能な蓋体と、前記蓋体を開閉方向に駆動する蓋体駆動手段と、前記停車検出手段にて車両の停車が検出されたときに前記蓋体を開放する方向へ前記蓋体駆動手段を駆動させる制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項9の発明は、請求項8に記載の指先刺激装置において、更に指先への刺激作動を検出する刺激作動検出手段を備え、前記制御手段は、前記刺激作動検出手段にて刺激作動が検出されないとき前記蓋体を閉止する方向へ前記蓋体駆動手段を駆動させることを特徴とする。
【0014】
請求項10の発明は、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の指先刺激装置において、指先への刺激作動を検出する刺激作動検出手段と、前記指先挿入部を開閉可能な蓋体と、前記蓋体を開閉方向に駆動する蓋体駆動手段と、前記刺激作動検出手段にて刺激作動が検出されないとき前記蓋体を閉止する方向へ前記蓋体駆動手段を駆動させる制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項11の発明は、請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の指先刺激装置において、更に前記指先挿入部に紫外線を照射する紫外線照射部を備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項12の発明は、請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の指先刺激装置において、車両に搭載される空調装置から前記指先挿入部へ空調風を導入する導入路を設けたことを特徴とする。
【0017】
請求項13の発明は、請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載の指先刺激装置において、前記指先挿入部は、親指を挿入する第1挿入部と、他の指を挿入する第2挿入部からなることを特徴とする。
【0018】
請求項14の発明に係る車両用車室内部材は、請求項1から請求項13までのいずれか1項に記載の指先刺激装置が一体的に設けられていることを特徴とする。
【0019】
請求項1記載の本発明によれば、車両の車室内部材と一体的に指先挿入部が設けられており、この指先挿入部は底壁と当該底壁と連続して設けられる側壁とで構成されている。指先挿入部に乗員の指が挿入されると、挿入された指に対して赤外線照射部から赤外線が照射される。乗員に対して指先に赤外線を照射することで、自律神経に刺激を与えて、血行を促進し、体質改善、病気予防を図ることができ、快適な車室内空間を提供することができる。
【0020】
請求項2記載の本発明によれば、調整手段によって赤外線照射部の位置が相対的に調整されるので、指先挿入部に乗員の指が挿入されたときに、赤外線照射位置を様々な乗員の指に合わせることができ、個人差にかかわらず的確に指先へ刺激を与えることができる。
【0021】
請求項3記載の本発明によれば、底壁調整手段によって指先挿入部の底壁の高さが調整されるので、指先挿入部に乗員の指が挿入されたときに、底壁の高さを変えて赤外線照射位置を調整することができる。このため、乗員の個人差にかかわらず的確に指先へ刺激を与えることができる。
【0022】
請求項4記載の本発明によれば、照射位置検出手段によって指先挿入部に挿入された指に対する照射位置が検出され、照射位置検出手段の検出結果に基づいて駆動手段によって赤外線照射部を駆動し、赤外線照射部を照射位置の方向へ移動させる。赤外線照射部自体を移動させることで、乗員の個人差にかかわらず的確に指先へ刺激を与えることができる。
【0023】
請求項5記載の本発明によれば、指先挿入部の底壁の一部に側壁に沿って指先挿入方向に延在する凹部が設けられているので、指先挿入部に乗員の指が挿入されたときに、乗員の爪を凹部に挿入することができ、爪の先端と底壁とが干渉しない。このため、乗員の爪の長さにかかわらず、指先を底壁に当たるまで挿入することができ、的確に指先へ刺激を与えることができる。
【0024】
請求項6記載の本発明によれば、赤外線照射部が1つの発光ダイオードを備えており、1つの発光ダイオードから照射された光が反射部によって反射され、乗員の指に照射される。このとき、反射部の位置を調整することで、複数の指に光を照射することができる。このため、1つの発光ダイオードを備えた簡素な構成で、指先挿入部に挿入された複数の指に赤外線を照射することができる。
【0025】
請求項7記載の本発明によれば、側壁に設けられた有機ELライトから赤外線が乗員の指に照射される。このため、有機ELライトを側壁に設ける簡素な構成で、指先挿入部に挿入された複数の指に赤外線を照射することができる。
【0026】
請求項8記載の本発明によれば、車両の走行時には、指先挿入部が蓋体で塞がれており、停車検出手段によって車両の停車が検出されると、制御手段が停車検出手段にて車両の停車が検出されたときに蓋体を開放する方向へ蓋体駆動手段を駆動させる。車両の停車時に指先挿入部の蓋体が開放されると、乗員が指先挿入部に指を挿入することができる。このため、指先刺激装置を車両の停車中にのみ使用可能とすることができ、快適性と安全性の両立を図ることができる。
【0027】
請求項9記載の本発明によれば、刺激作動検出手段によって指先への刺激作動が検出されないときは、制御手段が蓋体を閉止する方向へ蓋体駆動手段を駆動させる。これにより、指先刺激装置を使用しないときは、指先挿入部の蓋体が閉止される。また、蓋体の閉止時に蓋体と車室内部材が面一となるように構成することで、車室内の見栄えを向上することができる。
【0028】
請求項10記載の本発明によれば、刺激作動検出手段によって指先への刺激作動が検出されないときは、制御手段が蓋体を閉止する方向へ蓋体駆動手段を駆動させる。これにより、指先刺激装置を使用しないときは、指先挿入部の蓋体が閉止される。また、蓋体の閉止時に蓋体と車室内部材が面一となるように構成することで、車室内の見栄えを向上することができる。
【0029】
請求項11記載の本発明によれば、紫外線照射部によって指先挿入部に紫外線が照射されるので、指先挿入部での菌の繁殖による臭いの発生を抑制することができる。さらに、蓋体を閉じたときに紫外線照射部が作動するようにすれば、乗員に影響を与えずに紫外線照射部を作動させることができる。また、指先挿入部内に光触媒をコーティングしておくことで、紫外線照射により汚れを分解することができる。
【0030】
請求項12記載の本発明によれば、車両に搭載された空調装置から導入路を通して指先挿入部へ空調風が導入される。これにより、指先挿入部に挿入された乗員の指先へ空調風を送ることができ、快適性を向上することができる。
【0031】
請求項13記載の本発明によれば、親指を第1挿入部に挿入すると共に、親指以外の指を1つの第2挿入部に挿入することができるので、省スペース化を図り、車室内という限られた空間を有効に活用することができる。
【0032】
請求項14記載の本発明によれば、請求項1から請求項13までのいずれか1項に記載の指先刺激装置が車両用車室内部材と一体的に設けられており、乗員の指が指先挿入部に挿入されると、挿入された指に対して赤外線照射部から赤外線が照射される。乗員の指先に赤外線を照射することで、自律神経に刺激を与えて、血行を促進し、体質改善、病気予防を図ることができ、快適な車室内空間を提供することができる。
【発明の効果】
【0033】
以上説明したように、請求項1記載の本発明に係る指先刺激装置は、乗員の指先に赤外線を照射して自律神経に刺激を与えて、血行を促進し、体質改善、病気予防を図ることができる快適な車室内空間を提供することができるという優れた効果を有する。
【0034】
請求項2記載の本発明に係る指先刺激装置は、赤外線照射位置を様々な乗員の指に合わせることができ、個人差にかかわらず的確に指先へ刺激を与えることができるという優れた効果を有する。
【0035】
請求項3記載の本発明に係る指先刺激装置は、底壁の高さを変えることで、乗員の個人差にかかわらず的確に指先へ刺激を与えることができるという優れた効果を有する。
【0036】
請求項4記載の本発明に係る指先刺激装置は、赤外線照射部自体を移動させることで、乗員の個人差にかかわらず的確に指先へ刺激を与えることができるという優れた効果を有する。
【0037】
請求項5記載の本発明に係る指先刺激装置は、乗員の爪の長さにかかわらず、指先を底壁に当たるまで挿入することができ、的確に指先へ刺激を与えることができるという優れた効果を有する。
【0038】
請求項6記載の本発明に係る指先刺激装置は、1つの発光ダイオードを備えた簡素な構成で、指先挿入部に挿入された複数の指に赤外線を照射することができるという優れた効果を有する。
【0039】
請求項7記載の本発明に係る指先刺激装置は、有機ELライトを側壁に設ける簡素な構成で、指先挿入部に挿入された複数の指に赤外線を照射することができるという優れた効果を有する。
【0040】
請求項8記載の本発明に係る指先刺激装置は、指先刺激装置を車両の停車中にのみ使用可能とすることで、快適性と安全性の両立を図ることができるという優れた効果を有する。
【0041】
請求項9記載の本発明に係る指先刺激装置は、指先刺激装置の使用時のみ蓋体を閉止することができるというという優れた効果を有する。
【0042】
請求項10記載の本発明に係る指先刺激装置は、指先刺激装置の使用時のみ蓋体を閉止することができるというという優れた効果を有する。
【0043】
請求項11記載の本発明に係る指先刺激装置は、紫外線を照射することにより、指先挿入部の内部で菌の繁殖による臭いの発生を抑制することができるという優れた効果を有する。
【0044】
請求項12記載の本発明に係る指先刺激装置は、空調風を導入して乗員の指先へ送風することができるので、快適性を向上することができるという優れた効果を有する。
【0045】
請求項13記載の本発明に係る指先刺激装置は、親指以外の指を1つの第2挿入部に挿入できるように構成したので、省スペース化を図り、車室内という限られた空間を有効に活用することができるという優れた効果を有する。
【0046】
請求項14記載の本発明に係る車両用車室内部材は、乗員の指先に赤外線を照射して自律神経に刺激を与えて、血行を促進し、体質改善、病気予防を図ることができる快適な車室内空間を提供することができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
〔第1実施形態〕
【0048】
以下、図1〜図4を用いて、本発明に係る指先刺激装置の第1実施形態について説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印INは車両幅方向内側を示している。
【0049】
図1には、本実施形態に係る指先刺激装置が用いられる車両用車室内部材が適用された車室内の前方側が示されている。この図に示されるように、車両10のボデー本体12には車室14が設けられており、ボデー本体12の車両幅方向の両側には、フロントドア開口部16が形成されている。フロントドア開口部16には、フロントサイドドア18が開閉可能に取付けられている(図中左側のフロントサイドドアは省略する)。車室14の前方には、車両後方側に斜め下方に湾曲するように張り出したインストルメントアッパパネル20が配設されており、インストルメントアッパパネル20の下部には、下方に湾曲して車両前方側に延びたインストルメントロアパネル22が配設されている。また、インストルメントアッパパネル20の下部におけるインストルメントロアパネル22の中央部には、車両上下方向に沿ってフロントヒータの吹き出し口24等が形成された前面側コンソールボックス26が設けられている。さらに車両フロア25の中央部には前面側コンソールボックス26の下部から車両前後方向に沿って延びた車室内部材としてのコンソールボックス28が配設されている。コンソールボックス28の上面部28Aには、本実施形態の指先刺激装置30が配設されている。
【0050】
また、フロントサイドドア18のドアインナパネルの内側には車室内部材としてのドアトリム32が配設されており、ドアトリム32が車両幅方向内側へほぼ水平方向に張り出した張出部(アームレスト)32Aには、本実施形態の指先刺激装置34が配設されている。また、車室14内には、コンソールボックス28に対して車両幅方向右側に運転席(図示省略)が設けられ、車両幅方向左側に助手席(図示省略)が設けられている。
【0051】
図2に示されるように、指先刺激装置30は、運転席(図示省略)に着席した乗員の指が挿入される凹状の指先挿入部36を備えている。指先挿入部36は、親指が挿入される平面視にて円形状の第1挿入部36Aと、他の指(親指以外の指)が挿入される平面視にて円弧状の第2挿入部36Bと、で構成されている。第1挿入部36Aは、車両幅方向右側(運転席側)に配置されており、第2挿入部36Bは、第1挿入部36Aよりも車両幅方向左側(助手席側)に車両前後方向に沿って配置されている。第2挿入部36Bは、中央部が車両幅方向左側(助手席側)に湾曲するように突出した形状であり、第2挿入部36Bの中央部付近の車両幅方向右側に第1挿入部36Aが配置されている。
【0052】
図3に示されるように、第2挿入部36Bは、底面部38Aと、この底面部38Aを囲むように連続して設けられた側壁38Bと、を備えており、側壁38Bと底面部38Aはコンソールボックス28の上面部28Aと一体的に設けられている。底面部38Aの上部には底壁調整手段としてのコイルばね40が配置されており、コイルばね40の上部に板状の底壁42が設けられている。底壁42は、側壁38Bの内側寸法に合わせて側壁38Bの内側に挿入されており、コイルばね40の伸縮により側壁38Bに沿って上下方向にスライド可能となっている。
【0053】
図2及び図3に示されるように、第2挿入部36Bの車両幅方向左側(助手席側)の側壁38Bの中間部より上部側には、第2挿入部36Bに挿入された親指以外の4本の指に対して赤外線を照射するための4つの赤外線照射部44が設けられている。4つの赤外線照射部44は、4本の指を間隔を開けた状態で第2挿入部36Bに挿入したときの位置に合わせて配置されており、4本の指の爪側に赤外線を照射するように配設されている。また、図2に示されるように、第1挿入部36Aの車両幅方向右側(運転席側)の側壁38Bの中間部より上部側には、第1挿入部36Aに挿入された親指の爪側に赤外線を照射するための赤外線照射部44が設けられている。赤外線照射部44としては、例えば、発光ダイオードが用いられている。
【0054】
図2に示されるように、第1挿入部36Aは、側壁45と板状の底壁43とを備えている。第1挿入部36Aには、第2挿入部36Bと同様に底壁43と底面部との間にコイルばねが介挿されており、底壁43が側壁45に沿って上下方向にスライド可能となっている。
【0055】
図1に示されるように、ドアトリム32の張出部32Aに設けられた指先刺激装置34は、車両幅方向左側(運転席側に近い位置)に配置された第1挿入部36Aと、車両幅方向右側(運転席から遠い位置)に配置された第2挿入部36Bとを備えている。すなわち、指先刺激装置34の第1挿入部36A及び第2挿入部36Bは、指先刺激装置30の第1挿入部36A及び第2挿入部36Bとほぼ左右対称に配置されている。指先刺激装置34の第1挿入部36A及び第2挿入部36Bの構成は、指先刺激装置30の第1挿入部36A及び第2挿入部36Bの構成と同じであるので、省略する。
【0056】
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0057】
車室14内の運転席(図示省略)に着席した乗員は、指先刺激装置30の第1挿入部36A及び第2挿入部36Bに左手を挿入することができる。また、乗員は、指先刺激装置34の第1挿入部36A及び第2挿入部36Bに右手を挿入することができる。
【0058】
乗員の親指が第1挿入部36Aに挿入されると共に、親指以外の4本の指が第2挿入部36Bに挿入されると、図3に示されるように、第2挿入部36Bに設けられた底壁42が指先で押されることにより、コイルばね40が圧縮し、底壁42が下方へ移動する。これにより、赤外線照射部44が指の爪の付根付近と対向する位置となるように底壁42の高さが調整される。同様に第1挿入部36Aでも底壁43が指先で押されることにより、コイルばねが圧縮し、底壁43の高さが調整される。
【0059】
図4に示されるように、指2の爪4の両側には、爪4の付根から約2〜5mm下方(手の平側)に井穴(せいけつ)と呼ばれる2つのツボ6がある。これらのツボ6に赤外線照射部44から赤外線を照射してツボ6を刺激することで、自律神経に刺激を与えて、血行を促進し、体質改善、病気予防を図ることが可能である。このとき、コイルばね40が圧縮して底壁42、43の高さが変わることで、赤外線照射部44が指2の爪4の付根付近と対向する位置となるように調整することができる。すなわち、乗員が赤外線照射部44の突出部が爪4の付根の窪み部に入るまで指を挿入することで、赤外線照射部44が指2の爪4の付根付近と対向する位置となるように調整できる。これにより、指先挿入部36に乗員の指が挿入されたときに、赤外線照射部44からの赤外線の照射位置を様々な乗員の指に合わせることができ、個人差にかかわらず的確に指先へ刺激を与えることができる。
【0060】
近年、低体温の人(特に女性)が増え、特に朝は体温が35℃に達しない人も少なくない。このため、体内の酵素が十分に働かず、気力が出てこないという現象になりやすいといわれている。また、この低体温が持続すると病気の原因にもなる。また、冷え性は、身体が冷えるのではく、身体の深部の熱を逃がさないようにするために、自律神経が血管を収縮させ、毛穴を閉じ、放熱を避け体温を維持しようとするために起こる。このため、本実施形態の指先刺激装置30、指先刺激装置34にて乗員の自律神経に刺激を与えることで、血行を促進し、冷え性などの体質改善、病気予防を図ることができ、快適な車室内空間を提供することができる。
【0061】
また、指先刺激装置30、34では、1つの第2挿入部36Bに親指以外の指を挿入するように構成したので、省スペース化を図り、車室14内という限られた空間を有効に活用することができる。
【0062】
なお、本実施形態では、コンソールボックス28に指先刺激装置30を設け、ドアトリム32に指先刺激装置34を設けたが、両者のうちどちらか一方を設けてもよい。
【0063】
〔第1実施形態の変形例〕
【0064】
次に、図5及び図6を用いて、本発明に係る指先刺激装置の第1実施形態の変形例について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0065】
図5及び図6に示されるように、コンソールボックス28の上面部28Aには左手用の指先刺激装置50が配設されており、ドアトリム32の張出部32Aには右手用の指先刺激装置52が配設されている。指先刺激装置50は、車両幅方向右側(運転席側)に親指が挿入される円形状の第1挿入部36Aと、車両幅方向左側(助手席側)に他の指(親指以外の指)がそれぞれ挿入される4個の円形状の指先挿入部54A、54B、54C、54Dと、を備えている。すなわち、5本の指が第1挿入部36Aと指先挿入部54A、54B、54C、54Dにそれぞれ挿入可能となっている。指先挿入部54A、54B、54C、54Dは、中間の2つが車両幅方向左側(助手席側)に突出するように所定の間隔をおいて配置されている。
【0066】
指先挿入部54A、54B、54C、54Dは、それぞれ同じ構成であり、車両幅方向左側(助手席側)の側壁45の中間部より上部側には赤外線照射部44が設けられている。また、指先挿入部54A、54B、54C、54Dの底部には、図示しないコイルばね(図3参照)を介して底壁43が設けられている。
【0067】
また、指先刺激装置52は、車両幅方向左側(運転席側に近い位置)に配置された第1挿入部36Aと、車両幅方向右側(運転席から遠い位置)に配置された指先挿入部54A、54B、54C、54Dとを備えており、指先刺激装置50とほぼ左右対称となっている。
【0068】
このような指先刺激装置50、52では、乗員の5本の指が第1挿入部36Aと指先挿入部54A、54B、54C、54Dに挿入されると、底壁43が指先で押されてコイルばね(図示省略)が圧縮し、底壁43が下方へ移動する。その際、5本の指がそれぞれ挿入される第1挿入部36Aと指先挿入部54A、54B、54C、54Dを設けることにより、5本の指に対応して底壁43の高さを変えて赤外線照射部44の照射位置を調整することができる。このため、赤外線照射部44からの赤外線の照射位置を様々な乗員の指により一層合わせることができ、個人差にかかわらず的確に指先へ刺激を与えることができる。
【0069】
〔第2実施形態〕
【0070】
次に、図7を用いて、本発明に係る指先刺激装置の第2実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態等と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0071】
図7(A)に示されるように、指先刺激装置60は、乗員の親指が挿入される指先挿入部(図示省略)と、親指以外の4本の指が挿入される指先挿入部62とを備えている(図2も参照)。指先挿入部62には、底面部38A付近にゲル状剤66が注入されており、ゲル状剤66の上部に底壁64が配置されている。底壁64には、周縁部64Aから下方側に窪んだ凹部64Bが形成されており、凹部64Bの裏側の周囲には、周縁部64Aの裏面とゲル状剤66との間に空間Sが形成されている。空間Sと対向する側壁38Bの一部には、空間S内の空気を逃がすための孔(図示省略)が形成されている。本実施形態のゲル状剤66は、底壁64のストロークを出すためのコイルばね40(図3参照)の変形例である。
【0072】
また、親指が挿入される指先挿入部(図示省略)も指先挿入部62とほぼ同じ構成であり、ゲル状剤の上部に底壁が配置されている。
【0073】
このような指先刺激装置60では、図7(B)に示されるように、乗員の指が指先挿入部62に挿入されると、空間S内にゲル状剤66が流れ込み、底壁64が下方へ移動する。これにより、赤外線照射部44が指の爪の付根付近と対向する位置となるように底壁64の高さが調整される。このため、赤外線照射部44からの赤外線の照射位置を様々な乗員の指に合わせることができ、個人差にかかわらず的確に指先へ刺激を与えることができる。
【0074】
なお、本実施形態の構成に代えて、乗員の5本の指が挿入される5個の指先挿入部を設け、ゲル状剤により底壁を移動させるようにしてもよい。
【0075】
〔第3実施形態〕
【0076】
次に、図8を用いて、本発明に係る指先刺激装置の第3実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態等と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0077】
図8に示されるように、指先刺激装置70は、乗員の親指が挿入される指先挿入部(図示省略)と、親指以外の4本の指が挿入される指先挿入部72とを備えている(図2も参照)。指先挿入部72には、側壁38Bと連続して底壁74が形成されている。側壁38Bには、赤外線照射部44の支持部78が挿通される長孔76が形成されており、支持部78が長孔76に沿って上下方向にスライド可能となっている。支持部78の周縁部には、長孔76の周囲における側壁38Bの壁面に係合される突起78Aが形成されている。支持部78の背面側には取付部80が設けられている。側壁38Bの背面側には、長孔76より下方側に駆動手段としてのソレノイド82が設けられており、ソレノイド82に設けられたロッド84の先端部84Aが取付部80に取付けられている。ソレノイド82の駆動は制御部88で制御される。側壁38Bの長孔76より上部側には、指先挿入部72に挿入された指の照射位置を検出する照射位置検出手段としての小型カメラ86が設けられている。小型カメラ86で検出された情報は制御部88に入力される。
【0078】
また、親指が挿入される指先挿入部(図示省略)も指先挿入部72とほぼ同じ構成であり、赤外線照射部44を上下方向にスライドさせるためのソレノイドと、照射位置を検出するための小型カメラ等が設けられている。
【0079】
このような指先刺激装置70では、乗員の指が指先挿入部72に挿入されると、小型カメラ86に写った情報により指の爪の付根付近の照射位置が検出される。そして、制御部88では、その検出結果に基づいてソレノイド82を駆動することで、ロッド84を進退させ、赤外線照射部44を照射位置まで移動させる。このように赤外線照射部44自体を移動させることで、赤外線の照射位置を様々な乗員の指により確実に合わせることができ、個人差にかかわらず的確に指先へ刺激を与えることができる。
【0080】
なお、本実施形態の小型カメラ86に代えて、指先が挿入されたときの圧力分布を検知して照射位置を検出するセンサを設けてもよい。
【0081】
なお、本実施形態の構成に代えて、乗員の5本の指が挿入される5個の指先挿入部を設け、赤外線照射部44を照射位置まで移動させるようにしてもよい。
【0082】
〔第4実施形態〕
【0083】
次に、図9を用いて、本発明に係る指先刺激装置の第4実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態等と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0084】
図9(A)に示されるように、指先刺激装置100は、乗員の5本の指がそれぞれ挿入される指先挿入部102を備えている(図6も参照)。指先挿入部102には、側壁45と連続して底壁104が設けられている。図9(A)、(B)に示されるように、指先挿入部102に挿入される指の爪と対向する位置には、底壁104の一部に側壁45に沿って下方側(指先挿入方向)に延在する凹部106が設けられている。凹部106は、爪の形状に沿って平面視にて略U字状に形成されている。この凹部106は底壁104及び側壁45と連続して形成されている。また、凹部106が設けられた側の側壁45には、赤外線照射部44が設けられている。
【0085】
このような指先刺激装置100では、乗員の指が指先挿入部102に挿入されると、爪が凹部106に挿入され、爪の先端と底壁104とが干渉しない。このため、乗員の爪の長さにかかわらず、指先を底壁104に当たるまで挿入することができ、的確に指先へ刺激を与えることができる。
【0086】
なお、本実施形態の構成に代えて、乗員の親指が挿入される第1指先挿入部と、乗員の他の指が挿入される第2指先挿入部とを設け、第1指先挿入部と第2指先挿入部にそれぞれ爪が挿入される凹部を設けてもよい。
【0087】
なお、本発明の凹部には、底壁104の一部に側壁45に沿って設けられた段差部、穴部、又は開口部が含まれる。
【0088】
〔第5実施形態〕
【0089】
次に、図10を用いて、本発明に係る指先刺激装置の第5実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態等と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0090】
図10に示されるように、指先刺激装置110は、乗員の5本の指がそれぞれ挿入される指先挿入部112を備えている(図6も参照)。指先挿入部112には、側壁45と連続して形成された底面部114と対向する位置にフレキシブルに変形が可能なシート状の底壁116が設けられている。底壁116と底面部38Aとの間には、ゲル状剤118が封入されている。底壁116は、対向する側壁38B間の寸法よりも余裕を持たせた長さで取付けられており、爪や指の形状に対応して変形が可能となっている。本実施形態では、底壁116として、例えば樹脂シートが用いられている。
【0091】
このような指先刺激装置110では、乗員の指が指先挿入部112に挿入されると、爪や指の形状に対応して底壁116の形状が変わり、指の爪の付根付近の高さが調整される。このため、乗員の爪の長さにかかわらず、的確に指先へ刺激を与えることができる。
【0092】
なお、本実施形態のゲル状剤118に代えて、コイルばねを設けてもよい。また、本実施形態の構成に代えて、乗員の親指が挿入される第1指先挿入部と、乗員の他の指が挿入される第2指先挿入部とを設け(図6も参照)、第1指先挿入部と第2指先挿入部にそれぞれフレキシブルに変形可能な底壁を設けてもよい。
【0093】
〔第6実施形態〕
【0094】
次に、図11を用いて、本発明に係る指先刺激装置の第6実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態等と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0095】
図11に示されるように、指先刺激装置120は、乗員の親指が挿入される指先挿入部(図示省略)と、親指以外の4本の指が挿入される指先挿入部122とを備えている(図2も参照)。指先挿入部122には、側壁124と連続して底壁126が形成されている。側壁124の中間部付近には、周方向に沿って凹部124Aが形成されており、凹部124Aには、赤外線照射部44が1個設けられている。凹部124Aの深部面には、赤外線照射部44から照射された赤外線を反射する反射部128が周方向に沿ってほぼ全周面に取付けられている。赤外線照射部44は、例えば発光ダイオードが用いられており、反射部128は、例えば鏡が用いられる。
【0096】
また、親指が挿入される指先挿入部(図示省略)も指先挿入部122とほぼ同じ構成であり、赤外線照射部44から照射された赤外線を反射する反射部が周方向に沿って設けられている。
【0097】
このような指先刺激装置120では、指先挿入部122に乗員の指が挿入されると、1つの赤外線照射部44から照射された赤外線が反射部128によって反射され、乗員の指に照射される。このとき、反射部128によって赤外線が反射されることで、複数の指の爪の付根付近に光を照射することができる。このため、1つの赤外線照射部44を備えた簡素な構成で、指先挿入部122に挿入された複数の指に赤外線を照射することができる。
【0098】
なお、本実施形態の構成に代えて、乗員の5本の指が挿入される5個の指先挿入部を設け、それぞれの指先挿入部に1つの赤外線照射部と赤外線を反射する反射部を設けてもよい。
【0099】
〔第7実施形態〕
【0100】
次に、図12を用いて、本発明に係る指先刺激装置の第7実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態等と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0101】
図12に示されるように、指先刺激装置130は、乗員の親指が挿入される指先挿入部(図示省略)と、親指以外の4本の指が挿入される指先挿入部132とを備えている(図2も参照)。指先挿入部132には、側壁38Bと連続して底壁126が形成されている。側壁38Bの中間部付近には、周方向に沿ってほぼ全周面に、赤外線照射部としての有機ELライト134が設けられている。有機ELライト134は、ガラス基板に蒸着された有機化合物に電圧を加えることで、有機化合物が励起されて発光するものであり、薄い有機ELライト134の面上でほぼ均一で広範囲な発光が可能である。
【0102】
また、親指が挿入される指先挿入部(図示省略)も指先挿入部132とほぼ同じ構成であり、側壁に周方向に沿って有機ELライト134が設けられている。
【0103】
このような指先刺激装置130では、指先挿入部132に乗員の複数の指が挿入されると、周方向に設けられた有機ELライト134から赤外線が複数の指に照射される。このため、有機ELライト134を側壁38Bに設ける簡素な構成で、指先挿入部132に挿入された複数の指に赤外線を照射することができ、複数の指の爪の付根付近を的確に刺激することができる。
【0104】
なお、本実施形態の構成に代えて、乗員の5本の指が挿入される5個の指先挿入部を設け、それぞれの指先挿入部に有機ELライトを設けてもよい。
【0105】
〔第8実施形態〕
【0106】
次に、図13を用いて、本発明に係る指先刺激装置の第8実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態等と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0107】
図13に示されるように、指先刺激装置140は、乗員の5本の指がそれぞれ挿入される指先挿入部142を備えている(図6も参照)。指先挿入部142には、側壁45に支持部材144を介して赤外線照射部146が取付けられている。側壁45には、赤外線照射部146と対向する位置に凸面鏡からなる反射部148が設けられている。
【0108】
このような指先刺激装置140では、赤外線照射部146から照射された赤外線が凸面鏡からなる反射部148で反射されて矢印に示すように両側に斜め方向に照射される。これにより、図4に示されるように、乗員の指2の爪4の根元付近のツボ6に赤外線をより確実に照射することができ、ツボ6に的確に刺激を与えることができる。
【0109】
本実施形態の構成に代えて、乗員の親指が挿入される第1指先挿入部と、乗員の他の指が挿入される第2指先挿入部とを設け(図6も参照)、第1指先挿入部に赤外線照射部146と反射部148を設けると共に、第2指先挿入部に4個の赤外線照射部146と4個の反射部148を設けてもよい。
【0110】
〔第9実施形態〕
【0111】
次に、図14を用いて、本発明に係る指先刺激装置の第9実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態等と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0112】
図14に示されるように、指先刺激装置150は、乗員の親指が挿入される第1指先挿入部152と、親指以外の4本の指が挿入される第2指先挿入部154とを備えている。第1指先挿入部152は、平面視にて円形状の底壁152Aと、この底壁152Aと連続する円筒状の側壁152Bとを備えている。側壁152Bの車両幅方向右側(運転席側)には赤外線照射部44が設けられており、側壁152Bの赤外線照射部44より上部に周方向に沿って開口156が設けられている。開口156は、側壁152Bの周方向の約半分の位置に形成されており、開口156には、第1指先挿入部152を開閉可能な蓋体158が挿通されている。蓋体158は、可撓性の帯状部材からなり、帯状部材の先端部が側壁152Bの形状に合わせて半円状にカットされている。本実施形態では、蓋体158はゴムで形成されている。
【0113】
側壁152Bの背面側(第1指先挿入部152と反対側)には、蓋体158をスライド可能に支持する円弧状のガイド部160が設けられている。ガイド部160の側方には、モータ162が設けられており、モータ162の軸部にギア164が設けられている。蓋体158の側部には、ギア164に噛合されるギア部166(ラック)が設けられている。モータ162の駆動は、制御部168で制御される。
【0114】
第2指先挿入部154は、平面視にて円弧状の底壁154Aと、この底壁154Aと連続する筒状の側壁154Bとを備えている。側壁154Bの車両幅方向左側(助手席側)には赤外線照射部44が設けられており、赤外線照射部44と反対側の側壁154Bの上部に、周方向に沿って開口170が形成されている。開口170は、側壁154Bの周方向の約半分の位置に形成されており、開口170には、第2指先挿入部154を開閉可能な可撓性の蓋体172が挿通されている。蓋体172の側部には、ギア部166(ラック)が設けられている。
【0115】
また、蓋体158、172は、閉止時に蓋体158、172とコンソールボックス28が略面一となるように設けられている。これにより、蓋体158、172の閉止時に車室14内の見栄えを向上することができる。
【0116】
また、指先刺激装置150には、車両10(図1参照)の停車を検出するセンサ174が設けられており、センサ174で検出された情報は制御部168に入力され、モータ162の駆動が制御されるようになっている。このセンサ174は、カーナビゲーションで車両10の停車を検出するセンサと兼用されており、例えば、サイドブレーキ(図示省略)が引かれた状態で車両10の停車を検出するように設定されている。
【0117】
このような指先刺激装置150では、車両10の走行時には、第1指先挿入部152の蓋体158と第2指先挿入部154の蓋体172は閉止されている。センサ174で車両10の停車が検出されると、制御部168がその検出結果に基づき蓋体158、172を開放する方向へモータ162を駆動する。これにより、ギア164が回転し、ギア164にギア部166(ラック)が噛合されることにより、蓋体158、172がガイド部160に沿って開放方向に移動する。これにより、第1指先挿入部152と第2指先挿入部154が開放され、乗員が指を第1指先挿入部152と第2指先挿入部154に挿入することができる。また、センサ174で車両10の停車が検出されないときは、制御部168がその検出結果に基づき蓋体158、172を閉止する方向へモータ162を駆動する。これにより、第1指先挿入部152の蓋体158と第2指先挿入部154の蓋体172が閉止される。このため、指先刺激装置150を車両10の停車中にのみ使用可能とすることができ、快適性と安全性の両立を図ることができる
【0118】
〔第10実施形態〕
【0119】
次に、図15を用いて、本発明に係る指先刺激装置の第10実施形態について説明する。なお、前述した第9実施形態等と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0120】
図15に示されるように、指先刺激装置180は、第1指先挿入部152と第2指先挿入部154とを備えており、第1指先挿入部152の側壁152Bには、赤外線照射部44とほぼ対向する位置に紫外線を照射する紫外線照射部182が設けられている。また、第2指先挿入部154の側壁154Bには、赤外線照射部44とほぼ対向する位置に紫外線を照射する紫外線照射部182が設けられている。第1指先挿入部152及び第2指先挿入部154の底壁152A、154Aの壁面と側壁152B、154Bの壁面には、光触媒がコーティングされている。
【0121】
また、指先刺激装置180の刺激作動を検出するセンサ186が設けられており、センサ186で検出された情報は制御部184に入力される。
【0122】
この指先刺激装置180では、センサ186で指先刺激装置180の刺激作動が検出されないときは、制御部184は第1指先挿入部152の蓋体158と第2指先挿入部154の蓋体172を閉止する方向へモータ162を駆動する。これにより、指先刺激装置180を使用しないときは、第1指先挿入部152の蓋体158と第2指先挿入部154の蓋体172が閉止される。また、蓋体158、172の閉止時には、蓋体158、172とコンソールボックス28が略面一となるので、車室14内の見栄えを向上することができる。
【0123】
さらに、第1指先挿入部152の蓋体158と第2指先挿入部154の蓋体172が閉止されたとき、制御部184は紫外線照射部182を作動させる。これにより、紫外線照射部182から紫外線が照射され、第1指先挿入部152内及び第2指先挿入部154内で菌が繁殖することによる臭いの発生を抑制することができる。また、紫外線が照射されたとき、第1指先挿入部152の壁面及び第2指先挿入部154の壁面にコーティングされた光触媒により、汚れを分解することができる。さらに、蓋体158、172が閉止されたときにのみ紫外線照射部182が作動するので、乗員に影響を与えずに紫外線を照射することができる。
【0124】
また、第1指先挿入部152の蓋体158と第2指先挿入部154の蓋体172は、所定時間経過後、開放されるように設定してもよいし、また、車両の停車を検出して開放されるように設定してもよい。
【0125】
なお、本実施形態の指先刺激装置180では、センサ186と紫外線照射部182の両方を設けたが、センサ186と紫外線照射部182をそれぞれ別個に設けてもよい。
【0126】
〔第11実施形態〕
【0127】
次に、図16を用いて、本発明に係る指先刺激装置の第11実施形態について説明する。なお、前述した第9実施形態等と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0128】
図16に示されるように、指先刺激装置190は、第1指先挿入部152と第2指先挿入部154とを備えており、第1指先挿入部152の側壁152Bには、車両幅方向に対向する位置に2つの開口192A、192Bが設けられている。また、第1指先挿入部154の側壁154Bには、車両幅方向に対向する位置に2つの開口194A、194Bが設けられている。第1指先挿入部152の車両幅方向右側(運転席側)の開口192Aには導入路としてのダクト196が接続されている。このダクト196は、車室14内の車両後方側に配置される空調装置としてのリアヒータ(図示省略)のダクトから分岐されている。第1指先挿入部152の車両幅方向左側(運転席と反対側)の開口192Bと、第2指先挿入部154の車両幅方向右側(運転席側)の開口194Aとの間にはダクト198が接続されている。さらに、第2指先挿入部154の車両幅方向左側(運転席と反対側)の開口194Bには、リアヒータ(図示省略)のダクトに合流するダクト200が接続されている。
【0129】
このような指先刺激装置190では、リアヒータ(図示省略)のダクトから分流された空調風がダクト196を通って第1指先挿入部152に導入され、さらに、空調風はダクト198を通って第2指先挿入部154に導入される。そして、空調風はダクト200を通ってリアヒータ(図示省略)のダクトに戻される。これにより、第1指先挿入部152と第2指先挿入部154に挿入された指に空調風を送ることができ、快適性を向上することができる。
【0130】
〔補足説明〕
【0131】
上述した第9〜第11実施形態の構成はそれぞれ別々に設けたが、これらを組み合わせた構成でもよい。また、必要に応じて、第1〜第8実施形態と第9〜第11実施形態の構成を組み合わせてもよい。
なお、車室内部材としてコンソールボックス、ドアトリムの他、他の内装部材またはステアリング等、車室内に配設される部材に指先刺激装置が一体的に設けられていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】第1実施形態に係る指先刺激装置が適用された車両用車室内部材を示す斜視図である。
【図2】図1に示す指先刺激装置を示す平面図である。
【図3】図1に示す指先刺激装置の第2挿入部を示す断面図である。
【図4】指の爪の付根付近のツボを示す平面図である。
【図5】第1実施形態の変形例に係る指先刺激装置が適用された車両用車室内部材を示す斜視図である。
【図6】図5に示す指先刺激装置を示す平面図である。
【図7】(A)は、第2実施形態に係る指先刺激装置の第2挿入部を示す断面図であり、(B)は、第2挿入部に指先が挿入され底壁が移動した状態を示す断面図である。
【図8】第3実施形態に係る指先刺激装置の第2挿入部を示す断面図である。
【図9】(A)は、第4実施形態に係る指先刺激装置の指先挿入部を示す断面図であり、(B)は、指先挿入部を示す平面図である。
【図10】第5実施形態に係る指先刺激装置の指先挿入部を示す断面図である。
【図11】第6実施形態に係る指先刺激装置の第2挿入部を示す断面図である。
【図12】第7実施形態に係る指先刺激装置の第2挿入部を示す断面図である。
【図13】第8実施形態に係る指先刺激装置の指先挿入部を示す平面図である。
【図14】第9実施形態に係る指先刺激装置を示す断面図である。
【図15】第10実施形態に係る指先刺激装置を示す断面図である。
【図16】第11実施形態に係る指先刺激装置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0133】
2 指
4 爪
10 車両
12 ボデー本体
28 コンソールボックス(車室内部材)
30 指先刺激装置
32 ドアトリム(車室内部材)
34 指先刺激装置
36 指先挿入部
36A 第1挿入部
36B 第2挿入部
38B 側壁
40 コイルばね(底壁調整手段)
42 底壁
43 底壁
44 赤外線照射部
45 側壁
50 指先刺激装置
52 指先刺激装置
54A、54B、54C、54D 指先挿入部
60 指先刺激装置
62 指先挿入部
64 底壁
66 ゲル状剤(底壁調整手段)
70 指先刺激装置
72 指先挿入部
74 底壁
82 ソレノイド(駆動手段)
86 小型カメラ(照射位置検出手段)
100 指先刺激装置
102 指先挿入部
104 底壁
106 凹部
110 指先刺激装置
112 指先挿入部
116 底壁
118 ゲル状剤(底壁調整手段)
120 指先刺激装置
122 指先挿入部
124 側壁
126 底壁
128 反射部
130 指先刺激装置
132 指先挿入部
134 有機ELライト
140 指先刺激装置
142 指先挿入部
146 赤外線照射部
148 反射部
150 指先刺激装置
152 第1指先挿入部(第1挿入部)
152B 側壁
152A 底壁
154 第2指先挿入部(第2挿入部)
154B 側壁
154A 底壁
158 蓋体
162 モータ(蓋体駆動手段)
168 制御部(制御手段)
172 蓋体
174 センサ(停車検出手段)
180 指先刺激装置
182 紫外線照射部
184 制御部(制御手段)
186 センサ(刺激作動検出手段)
190 指先刺激装置
196 ダクト(導入路)
198 ダクト(導入路)
200 ダクト(導入路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車室内部材と一体的に設けられ、底壁と側壁とで構成される指先挿入部と、
前記指先挿入部に挿入された指に対して赤外線を照射する赤外線照射部と、
を備えたことを特徴とする指先刺激装置。
【請求項2】
前記赤外線照射部の位置を相対的に調整する調整手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の指先刺激装置。
【請求項3】
前記調整手段は、前記底壁の高さを調整する底壁調整手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の指先刺激装置。
【請求項4】
前記調整手段は、
前記指先挿入部に挿入された指に対する照射位置を検出する照射位置検出手段と、
前記照射位置検出手段の検出結果に基づいて前記赤外線照射部を前記照射位置の方向へ駆動する駆動手段と、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の指先刺激装置。
【請求項5】
前記底壁の一部に前記側壁に沿って指先挿入方向に延在する凹部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の指先刺激装置。
【請求項6】
前記赤外線照射部は、1つの発光ダイオードと、前記発光ダイオードから照射される光を反射する反射部と、を備えることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の指先刺激装置。
【請求項7】
前記赤外線照射部は、前記側壁に設けられた有機ELライトであることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の指先刺激装置。
【請求項8】
更に車両の停車を検出する停車検出手段と、
前記指先挿入部を開閉可能な蓋体と、
前記蓋体を開閉方向に駆動する蓋体駆動手段と、
前記停車検出手段にて車両の停車が検出されたときに前記蓋体を開放する方向へ前記蓋体駆動手段を駆動させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の指先刺激装置。
【請求項9】
更に指先への刺激作動を検出する刺激作動検出手段を備え、
前記制御手段は、前記刺激作動検出手段にて刺激作動が検出されないとき前記蓋体を閉止する方向へ前記蓋体駆動手段を駆動させることを特徴とする請求項8に記載の指先刺激装置。
【請求項10】
指先への刺激作動を検出する刺激作動検出手段と、
前記指先挿入部を開閉可能な蓋体と、
前記蓋体を開閉方向に駆動する蓋体駆動手段と、
前記刺激作動検出手段にて刺激作動が検出されないとき前記蓋体を閉止する方向へ前記蓋体駆動手段を駆動させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の指先刺激装置。
【請求項11】
更に前記指先挿入部に紫外線を照射する紫外線照射部を備えたことを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の指先刺激装置。
【請求項12】
車両に搭載される空調装置から前記指先挿入部へ空調風を導入する導入路を設けたことを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の指先刺激装置。
【請求項13】
前記指先挿入部は、親指を挿入する第1挿入部と、他の指を挿入する第2挿入部からなることを特徴とする請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載の指先刺激装置。
【請求項14】
請求項1から請求項13までのいずれか1項に記載の指先刺激装置が一体的に設けられていることを特徴とする車両用車室内部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−66120(P2009−66120A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−236625(P2007−236625)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】