指圧訓練用装置
【課題】指圧熟練者の直接的な指導がなくても正確なつぼの位置及び各つぼでの最適な圧力等を習得することができるようにするために用いる指圧訓練用装置を提供すること。
【解決手段】人体模型2と、訓練者によって模擬的に実施される指圧動作を検出するための前記人体模型2の各つぼの位置に交差するように埋没又は覆設している複数の曲げセンサ4と、前記検出した指圧動作の確認手段である解析処理装置6を備え、訓練者の指圧動作の評価を行う。
【解決手段】人体模型2と、訓練者によって模擬的に実施される指圧動作を検出するための前記人体模型2の各つぼの位置に交差するように埋没又は覆設している複数の曲げセンサ4と、前記検出した指圧動作の確認手段である解析処理装置6を備え、訓練者の指圧動作の評価を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指圧訓練用装置に関する。より詳しくは、正確なつぼ(経穴)の位置及び各つぼの最適な圧力を習得することができるようにするために用いる指圧訓練用装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
指圧療法とは、主として医薬品を使用せずにつぼと呼ばれる人体表面部位に直接刺激を与えることで、人体の細胞を活性化させたり、血行を良くすることにより、病気を治したり、衰えている細胞の治療を行うものである。
【0003】
また、漢方では、人体内の五臓六腑の機能に関連するものとして、胃経、肝経、三焦経、小腸経、心経、心包経、腎経、胆経、大腸経、肺経、脾経及び膀胱経とともに督脈,任脈など、人体に12経脈,15絡脈があり、この経絡線上の関所ともいえる重要な箇所となるのがつぼであり、これらのつぼに指圧を施すことにより、五臓六腑の機能が改善され、全身の健康を保ち向上させることができるとされている。
【0004】
また、近年のパソコン業務の増加や、成人病予防及び老化現象の予防等で指圧等の東洋医学が見直されてきており、これに伴って、上記のような指圧を勉強する人も多く、学校等も多数開校されている。
【0005】
しかしながら、指圧療法を行うためには、まず、指圧等を行うべき人体のつぼの位置を正確に習得し、さらに適正な指圧圧力などの方法を体得する必要がある。正確なつぼの位置及び適正な圧力を習得するには、生身の人間を教材として、指圧熟練者である先生の直接的な実務教習により体得するしかない。そのため、指圧を正確に習得するには非常に手間と時間がかかるという現状である。
【0006】
そこで、容易につぼの位置を知ることができる手段として、肌着につぼの位置を表示する等の手段の方法が知られている(下記特許文献等参照)。
【0007】
実用新案登録第3107479(特許文献1)では、「人体の外面に密着するように製作されたレオタード又はタイツのような肌着に、主要な経絡線及び経穴の位置を示す図と主要なリンパ組織群の位置を示す図とを描き付けた伸縮弾力性がある薄い布素材」を開示している。
しかしながら、前記布素材を着る補助者がいなければ指圧練習を行うことができない。すなわち、訓練者が単独で指圧練習を行うことができない。さらに、訓練者が各つぼでの最適な指圧圧力を習得するには、そばにいる熟練者が指圧の見本を見せる必要がある。
【0008】
特開2005-227534(特許文献2)は、「伸縮性を備える装着具本体を着用した人体又は人体模型を用いた理学的診療訓練用人体装着具」を開示している。
しかしながら、該理学的診療訓練用人体装着具で使用しているセンサは、指圧位置を検出できるが、指圧圧力は正確に検出することができない。
また、該理学的診療訓練用人体装着具は、以下で説明する本発明の特徴である曲げセンサを適用することができない。曲げセンサは、曲げの大きさ(曲げの屈折率)により圧力を検出する。しかしながら、該伸縮性を備える装着具本体は、表面が薄いので、曲げセンサの曲げによる圧力検出を十分に行うことができない。すなわち、指圧訓練者が強い力で装着具本体を押しても、強い力での正確な圧力を検出することができない。
さらに、該理学的診療訓練用人体装着具は、多数のセンサを要し、費用が高い。
【特許文献1】実用新案登録第3107479号公報
【特許文献2】特開2005-227534号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記した問題点を解決することを解決すべき課題とした。より詳しくは、指圧熟練者の直接的な指導がなくても正確なつぼの位置及び各つぼでの最適な圧力等を習得することができるようにするために用いる指圧訓練用装置に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために、「人体模型と、訓練者によって模擬的に実施される指圧動作を検出するための前記人体模型の各つぼの位置に交差するように埋没又は覆設している複数の曲げセンサと、前記検出した指圧動作の確認手段と、を具備することを特徴とする指圧訓練用装置」を提供する。
【0011】
すなわち、本発明は以下の通りである。
1.人体模型と、
訓練者によって模擬的に実施される指圧動作を検出するための前記人体模型の各つぼの位置に交差するように埋没又は覆設している複数の曲げセンサと、
前記検出した指圧動作の確認手段と、
を具備することを特徴とする指圧訓練用装置。
2.前記検出した指圧動作が指圧位置及び指圧圧力である前項1の指圧訓練用装置。
3.前記検出した指圧動作が指圧位置、指圧圧力及び指圧継続時間である前項1の指圧訓練用装置。
4.前記検出した指圧動作が指圧位置、指圧圧力、指圧継続時間及び指圧面積である前項1の指圧訓練用装置。
5.種々の熟達度別に分類された指圧動作に係る指圧データを前記人体模型の各つぼの位置に対応させて予め記憶した指圧データ記憶手段と、
前記検出した指圧動作を前記指圧データ記憶手段に記憶された指圧データと比較し、前記訓練者の指圧動作の熟達度を評価する指圧評価手段と、
をさらに具備することを特徴とする前項1〜4のいずれか1の指圧訓練用装置。
6.前記指圧データ記憶手段に記憶された指圧データ及び/又は前記検出した指圧動作を指圧波形データに変換する手段をさらに具備することを特徴とする前項5の指圧訓練用装置。
7.前記各つぼが、以下のいずれか1から選ばれる前項1〜6のいずれか1の指圧訓練装置。
(1)心下痞硬
(2)胸脇苦満
(3)心下痞硬
(4)心下支結
(5)腹直筋緊張
(6)臍傍痛点
(7)回盲部圧痛点(小腹腫痞)
(8)S状部圧痛点(小腹急結)
(9)小腹不仁
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、正確なつぼの位置及び各つぼでの最適な圧力を習得することができるようにするために用いる指圧訓練用装置を提供した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(人体模型)
本発明の「人体模型」とは、人体の全身(全体)、又は上半身、下半身、または腹部のように人体の一部の形状をしており、さらに該形状の全表面又は一部の表面は人体の皮膚に近い素材で覆われている。
例えば、人体の皮膚に近い素材の例としては、シリコーン混合物であるWACKER SILGEL登録商標612A、WACKER SILGEL登録商標612B(旭化成ワッカ−シリコーン株式会社製品)が挙げられるが特に限定されない。
なお、図1に記載の人体模型の構成では、上半身の一部の面積(各つぼが位置する場所)のみ人体の皮膚に近い素材9を覆っている。
さらに、センサと前記人体の皮膚に近い素材との間に、様々な強度を持つ板を入れることも可能である。該板をいれることにより、様々なこりの強度を持つ人体模型を提供することができる。なお、様々な強度を持つ板は、様々な厚さのシリコン板等を適宜利用することができる。このような効果は、前記先行文献に記載の装着具を使用した装置では達成することができない。
加えて、人体模型の中央部にセンサを収納したボックスを要した場合には、該ボックスの表面素材及び/又は表面形状を変える(ボックス自体を取り替える)ことにより、複数の体格(筋肉質な体格、中肉中背な体格、痩せ型の体格、いわゆるメタボリックな体格)の人体模型を提供することができる。
【0014】
(曲げセンサ)
本発明の「指圧動作を検出するためのセンサ」は、自体公知の曲げセンサを使用する。また、曲げセンサは、前記人体模型の表面に覆設、或いは内部に埋設するように取付けることができる。
これにより、人体模型に接する訓練者の手指及び/又は手のひらを検知し、接触位置の特定(指圧位置)、接触位置における圧力(指圧圧力)、圧力を継続している時間(指圧圧力継続時間)並びに指先及び/又は手のひらが各つぼに接触する面積(接触面積)を検出することができる。そして、指圧位置、指圧圧力、指圧圧力継続時間及び接触面積に係る情報を信号化し、センサ信号として解析手段に対して送出することができる。
なお、曲げセンサは、市販の曲げセンサ(例:GRID社製品のFLEX)を使用することができる。さらに、本発明では、曲げセンサを各つぼの位置に交差するように覆設又は埋設することを特徴とする(参照:図5)。
これにより、各つぼの位置に2本のセンサを設置するという単純な構造で正確に指圧位置、指圧圧力、指圧圧力継続時間及び接触面積を検出することが可能である。特に、2本の曲げセンサの交差点をつぼの位置に設定しているので、強い力でつぼの位置を押しても、正確な圧力を検出することができる。このような効果は、前記先行文献に記載の装置では、達成することができない。
【0015】
なお、接触面積は、標的となるつぼの圧力値(2本の曲げセンサの交差点の圧力値)と隣接している他の曲げセンサの圧力値とを比較すれば容易に算出できる(参照:図7)。例えば、図7(A)では、指先で標的となるつぼ(図中:CH3曲げセンサ)を指圧した場合には、他の曲げセンサの圧力値は変化しない。一方、図7(B)では、手のひらで標的となるつぼ(図中:CH2曲げセンサ)を指圧した場合には、隣接する曲げセンサ(CH3曲げセンサ)の圧力値が上昇する。
さらに、訓練者が、標的となるつぼを優しく押しているか、又は急激に強く押しているのかは、指圧時間(X軸)と指圧圧力(Y軸)のグラフの変化から算出できる(参照:図8)。例えば、図8では、標的となるつぼを急激に強く押しているのので、ピークが鋭い。
【0016】
(指圧動作の確認手段)
本発明の「指圧動作の確認手段」では、上記曲げセンサにより検出された訓練者の指圧位置、指圧圧力、指圧圧力継続時間及び指圧圧力等を訓練者、指圧練習を見学又は監督する者に提示する手段である。なお、提示手段としては、音、映像(色、グラフ、波形、○×表示等)等を使用する。なお、映像で表示する場合にはモニタディスプレイに表示する。
具体例としては、正確なつぼが押せると二重丸(参照:図9(A))、わずかにずれると一重丸、さらにずれると楕円形{参照:図9(B)、なお楕円形の表示は、対となる曲げセンサの一方のみが押されていることを意味する}、完全にずれると何も表示されない、等を挙げることができる。
また、指圧圧力は、数値により表示することができるが、色で表示するほうが好ましい。例えば、指圧圧力が「弱い」場合には青、指圧圧力が「適正である」場合には緑、「強い」場合には赤、で表すことができる。訓練者は、色表示により適正値を感覚的かつ瞬時に理解することができる。
【0017】
これにより、訓練者は、人体模型で指圧動作を行いながら、該訓練者の押しているつぼの位置と正しいつぼとの位置のずれ、該訓練者の押している指圧圧力、指圧圧力継続時間及び指圧面積等を音又はモニタディスプレイに表示されたグラフで確認できる。また、該指圧動作確認手段は、解析処置装置に組み込まれている。
【0018】
(指圧データ記憶手段)
本発明の「指圧データ記憶手段」では、予め種々の熟達度別に分類された指圧者(特に、指圧熟練者)が人体模型に指圧したデータ(指圧位置、指圧圧力、指圧圧力継続時間、指圧面積等)を前記人体模型の各つぼの位置に対応させて予め記憶する手段である。
さらに、本発明の「指圧データ記憶手段」では、上記訓練者の指圧結果及び下記の指圧波形データを保存する機能も有する。これにより、訓練者は、指圧動作を終了した後に、自身の指圧動作及び/又は熟練者の指圧動作をモニタディスプレイに表示して確認できる。
また、該記憶された指圧データの保存場所は、解析処置装置が好ましい。
【0019】
(指圧波形データに変換する手段)
本発明の「指圧波形データに変換する手段」では、前記指圧データ記憶手段に記憶された指圧データ及び/又は前記訓練者の指圧動作を波形に変換する手段である。なお、指圧波形データは、例えば、X軸が指圧時間、Y軸を指圧圧力に設定する(参照:図6(A)(B))。また、指圧データ及び/又は前記訓練者の指圧結果を指圧波形データに変換する方法は、自体公知の方法(数式)で行うことができる。
【0020】
(指圧評価手段)
本発明の「指圧評価手段」では、訓練者の指圧動作を前記指圧データ記憶手段に記憶された指圧データと比較し、前記訓練者の指圧と熟練者の指圧とを比較することにより熟達度を評価する手段である。
また、該指圧評価手段は、解析処置装置に組み込まれていることが好ましい。
【0021】
さらに、本発明の「指圧評価手段」では、前記熟練度の評価に加えて、前記変換した訓練者の指圧波形データを、前記指圧データ記憶手段に記憶された指圧データを変換した指圧波形データと比較して、訓練者の指圧動作と熟練者の指圧動作間の一致点及び相違点を評価する手段も含んでもよい。
なお、指圧波形データを使用した熟練者の指圧動作の表示可能な指圧訓練装置は、従来の指圧訓練装置と比較して、非常に優れている。訓練者は、モニタディスプレイに表示された熟練者の指圧波形データを真似るように指圧動作を行えば、容易に指圧を上達することができる(参照:図6(C))。
【0022】
したがって、本発明の指圧訓練装置によれば、訓練者の指圧動作の評価を行うことができる。これにより、指圧治療を学ぶ学生などは、指圧熟練者の指導がなくても人体のつぼの位置を的確に、かつ適度な強度で押さえているか否かを指圧訓練装置により学ぶことが可能となる。さらに、これらの指圧技術を客観的に判断することができるため、指圧治療を学ぶ学生の実技試験に利用することもできる。
【0023】
(つぼ)
本発明の「つぼ」は、主に以下を対象とする。しかしながら、下記つぼには特に限定されない。なお、下記つぼは、指圧治療において重要なつぼであり、特に指圧治療において適切に指圧することを必要とされている。
(1)心下痞硬
(2)胸脇苦満
(3)心下痞硬
(4)心下支結
(5)腹直筋緊張
(6)臍傍痛点
(7)回盲部圧痛点(小腹腫痞)
(8)S状部圧痛点(小腹急結)
(9)小腹不仁
【0024】
以下、本発明の指圧訓練装置1について、図1を基にして説明する。
本発明の指圧訓練装置では、少なくとも(1)人体模型2と、(2)訓練者の指圧動作による指圧位置L、指圧圧力P、指圧圧力継続時間T及び指圧面積Sを検出するための前記人体模型2の各つぼ3の位置に交差するように埋没又は覆設している複数の曲げセンサ4と、(3)前記曲げセンサ4と配線5を介して電気的に接続し、検出された指圧位置L、指圧圧力P、指圧圧力継続時間T及び指圧面積Sを示すセンサ信号SG1、SG2、SG3及びSG4を受付け、指圧動作確認を行うための解析処理装置6を具備している。
【0025】
さらに、本発明の指圧訓練装置では、(4)種々の熟達度別に分類された指圧動作に係る指圧データを前記人体模型の各つぼ3の位置に対応させて予め記憶した指圧データ記憶手段7と、(5)訓練者の指圧位置L、指圧圧力P、指圧圧力継続時間T及び指圧面積Sを前記指圧データ記憶手段に記憶された指圧データと比較し、前記訓練者の指圧動作の熟達度を評価する指圧評価手段8と、を具備しても良い。
また、本発明の指圧訓練装置では、(4)種々の熟達度別に分類された指圧動作に係る指圧データを前記人体模型の各つぼ3の位置に対応させて予め記憶した指圧データ記憶手段7と、(6)前記指圧データ記憶手段に記憶された指圧データ及び/又は訓練者の指圧動作を指圧波形データに変換する手段10と、(5)前記変換した訓練者の指圧波形データを、前記指圧データ記憶手段に記憶された指圧データを変換した指圧波形データと比較して、訓練者の指圧動作と熟練者の指圧動作間の一致点及び相違点を評価する指圧評価手段8と、を具備しても良い。
【0026】
解析処理装置6は、図2に示すように、その機能的構成(指圧動作の確認手段)として、曲げセンサ4から送出されるセンサ信号SG1、SG2、SG3及びSG4を受付けるインターフェイス部61と、受付けたセンサ信号SG1、SG2、SG3及びSG4に基づいて、訓練者による指圧動作を認識する指圧動作認識手段62と、訓練者の指圧動作をモニタディスプレイ66に視覚的認識可能に表示する又は音で表示する評価表示制御手段63と、を具備して構成されている。
なお、モニタディスプレイ66は、解析処理装置6に組み込まれていても、又は外部に付属されていても良い。
【0027】
さらに、指圧データ記憶手段及び指圧評価手段を含む解析処理装置6は、図3に示すように、その機能的構成(指圧動作確認及び指圧動作の熟達度評価)として、曲げセンサ4から送出されるセンサ信号SG1、SG2、SG3及びSG4を受付けるインターフェイス部61と、受付けたセンサ信号SG1、SG2、SG3及びSG4に基づいて、訓練者による指圧動作を認識する指圧動作認識手段62と、予め種々の熟達度別に分類された指圧動作に係る指圧データSDを記憶する指圧データ記憶手段7と、指圧動作認識手段62によって認識された指圧動作を指圧データ記憶手段7に記憶された指圧データSDを比較し、訓練者の指圧動作の熟達度を評価する指圧評価手段8と、評価された訓練者の熟達度をモニタディスプレイ66に視覚的認識可能に表示する又は音で表示する評価表示制御手段63と、を具備して構成されている。
【0028】
さらに、指圧データ記憶手段、指圧波形データに変換する手段及び指圧評価手段を含む解析処理装置6は、図4に示すように、その機能的構成(訓練者の指圧動作と熟練者の指圧動作間の一致点及び相違点の評価)として、曲げセンサ4から送出されるセンサ信号SG1、SG2、SG3及びSG4を受付けるインターフェイス部61と、受付けたセンサ信号SG1、SG2、SG3及びSG4に基づいて、訓練者による指圧動作を認識する指圧動作認識手段62と、予め種々の熟達度別に分類された指圧動作に係る指圧データSDを記憶する指圧データ記憶手段7と、指圧動作認識手段62によって認識された訓練者の指圧動作及び/又は前記指圧データ記憶手段に記憶された指圧データを指圧波形データに変換する手段10と、前記変換した訓練者の指圧波形データを前記指圧データ記憶手段に記憶された指圧データを変換した指圧波形データと比較して、訓練者の指圧動作と熟練者の指圧動作間の一致点及び相違点を評価する指圧評価手段8と、評価された訓練者の指圧動作と熟練者の指圧動作間の一致点及び相違点をモニタディスプレイ66に視覚的認識可能に表示する評価表示制御手段63と、を具備して構成されている。
【0029】
また、曲げセンサ4は、図5に示すように人体模型2の各つぼ3の位置に交差するように埋没又は覆設させる。また、曲げセンサ4は、2重交差だけでなく、3重交差でも良い。
【0030】
(本発明の指圧訓練用装置の使用方法)
訓練者は、指圧訓練用装置1(図1)の人体模型2の各つぼ3(図5)を指圧する。これにより、解析処理装置6のモニタディスプレイ66に指圧位置L、当該指圧位置Lにおける指圧圧力P、指圧圧力継続時間T及び指圧面積Sが表示される。訓練者は、表示された指圧位置L、当該指圧位置Lにおける指圧圧力P、指圧圧力継続時間T及び指圧面積Sを確認しながら、自身の指圧の修正を行いながら正しい指圧方法を習得する。
【0031】
以上により、訓練者の指圧位置L、当該指圧位置Lにおける指圧圧力P、指圧圧力継続時間T、さらには指圧面積Sを認識することができる。例えば、腹部に対する指圧動作が適切であるかどうかを、予め熟達度別に分類されて記憶された指圧データSDに基づいて評価が行われる。ここで、評価の手法は、1)指圧動作における指圧位置Lの判定(正しい箇所を指圧したか否か)、2)指圧圧力Pの強さ、3)指圧圧力Pの継続時間T、4)指圧面積の大きさ、などによって評価され、これらがモニタディスプレイ66に表示される。
その結果、訓練者は指圧治療の熟達度の評価を客観的に受けることができる。
【0032】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】指圧訓練装置の概要図
【図2】解析処理装置の機能的構成を示すブロック図
【図3】指圧動作の熟達度評価手段を備える解析処理装置の機能的構成を示すブロック図
【図4】訓練者の指圧動作と熟練者の指圧動作間の一致点及び相違点の評価手段を備える解析処理装置の機能的構成を示すブロック図
【図5】各つぼの位置及び名称を示す図
【図6】(A)様々な指圧波形データ、(B)様々な指圧波形データ、(C)訓練者と熟練者の指圧波形データ
【図7】(A)指先で指圧した場合の指圧波形データ、(B)手のひらで指圧した場合の指圧波形データ
【図8】つぼを急激に強く押した場合の指圧波形データ
【図9】(A)正確な指圧をした場合のモニタディスプレイの表示、(B)ずれて指圧をした場合のモニタディスプレイの表示
【符号の説明】
【0034】
1:指圧訓練装置
2:人体模型
3:つぼ
4:曲げセンサ
5:配線
6:解析処理装置
61:インターフェイス部
62:指圧動作認識手段
63:評価表示制御手段
66:モニタディスプレイ
7:指圧データ記憶手段
8:指圧評価手段
9:人体の皮膚に近い素材
10:指圧波形データに変換する手段
11:熟練者の指圧波形データ
12:訓練者の指圧波形データ
L:指圧位置
P:指圧圧力
T:指圧圧力継続時間
S:指圧面積
SD:指圧データ
【技術分野】
【0001】
本発明は、指圧訓練用装置に関する。より詳しくは、正確なつぼ(経穴)の位置及び各つぼの最適な圧力を習得することができるようにするために用いる指圧訓練用装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
指圧療法とは、主として医薬品を使用せずにつぼと呼ばれる人体表面部位に直接刺激を与えることで、人体の細胞を活性化させたり、血行を良くすることにより、病気を治したり、衰えている細胞の治療を行うものである。
【0003】
また、漢方では、人体内の五臓六腑の機能に関連するものとして、胃経、肝経、三焦経、小腸経、心経、心包経、腎経、胆経、大腸経、肺経、脾経及び膀胱経とともに督脈,任脈など、人体に12経脈,15絡脈があり、この経絡線上の関所ともいえる重要な箇所となるのがつぼであり、これらのつぼに指圧を施すことにより、五臓六腑の機能が改善され、全身の健康を保ち向上させることができるとされている。
【0004】
また、近年のパソコン業務の増加や、成人病予防及び老化現象の予防等で指圧等の東洋医学が見直されてきており、これに伴って、上記のような指圧を勉強する人も多く、学校等も多数開校されている。
【0005】
しかしながら、指圧療法を行うためには、まず、指圧等を行うべき人体のつぼの位置を正確に習得し、さらに適正な指圧圧力などの方法を体得する必要がある。正確なつぼの位置及び適正な圧力を習得するには、生身の人間を教材として、指圧熟練者である先生の直接的な実務教習により体得するしかない。そのため、指圧を正確に習得するには非常に手間と時間がかかるという現状である。
【0006】
そこで、容易につぼの位置を知ることができる手段として、肌着につぼの位置を表示する等の手段の方法が知られている(下記特許文献等参照)。
【0007】
実用新案登録第3107479(特許文献1)では、「人体の外面に密着するように製作されたレオタード又はタイツのような肌着に、主要な経絡線及び経穴の位置を示す図と主要なリンパ組織群の位置を示す図とを描き付けた伸縮弾力性がある薄い布素材」を開示している。
しかしながら、前記布素材を着る補助者がいなければ指圧練習を行うことができない。すなわち、訓練者が単独で指圧練習を行うことができない。さらに、訓練者が各つぼでの最適な指圧圧力を習得するには、そばにいる熟練者が指圧の見本を見せる必要がある。
【0008】
特開2005-227534(特許文献2)は、「伸縮性を備える装着具本体を着用した人体又は人体模型を用いた理学的診療訓練用人体装着具」を開示している。
しかしながら、該理学的診療訓練用人体装着具で使用しているセンサは、指圧位置を検出できるが、指圧圧力は正確に検出することができない。
また、該理学的診療訓練用人体装着具は、以下で説明する本発明の特徴である曲げセンサを適用することができない。曲げセンサは、曲げの大きさ(曲げの屈折率)により圧力を検出する。しかしながら、該伸縮性を備える装着具本体は、表面が薄いので、曲げセンサの曲げによる圧力検出を十分に行うことができない。すなわち、指圧訓練者が強い力で装着具本体を押しても、強い力での正確な圧力を検出することができない。
さらに、該理学的診療訓練用人体装着具は、多数のセンサを要し、費用が高い。
【特許文献1】実用新案登録第3107479号公報
【特許文献2】特開2005-227534号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記した問題点を解決することを解決すべき課題とした。より詳しくは、指圧熟練者の直接的な指導がなくても正確なつぼの位置及び各つぼでの最適な圧力等を習得することができるようにするために用いる指圧訓練用装置に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために、「人体模型と、訓練者によって模擬的に実施される指圧動作を検出するための前記人体模型の各つぼの位置に交差するように埋没又は覆設している複数の曲げセンサと、前記検出した指圧動作の確認手段と、を具備することを特徴とする指圧訓練用装置」を提供する。
【0011】
すなわち、本発明は以下の通りである。
1.人体模型と、
訓練者によって模擬的に実施される指圧動作を検出するための前記人体模型の各つぼの位置に交差するように埋没又は覆設している複数の曲げセンサと、
前記検出した指圧動作の確認手段と、
を具備することを特徴とする指圧訓練用装置。
2.前記検出した指圧動作が指圧位置及び指圧圧力である前項1の指圧訓練用装置。
3.前記検出した指圧動作が指圧位置、指圧圧力及び指圧継続時間である前項1の指圧訓練用装置。
4.前記検出した指圧動作が指圧位置、指圧圧力、指圧継続時間及び指圧面積である前項1の指圧訓練用装置。
5.種々の熟達度別に分類された指圧動作に係る指圧データを前記人体模型の各つぼの位置に対応させて予め記憶した指圧データ記憶手段と、
前記検出した指圧動作を前記指圧データ記憶手段に記憶された指圧データと比較し、前記訓練者の指圧動作の熟達度を評価する指圧評価手段と、
をさらに具備することを特徴とする前項1〜4のいずれか1の指圧訓練用装置。
6.前記指圧データ記憶手段に記憶された指圧データ及び/又は前記検出した指圧動作を指圧波形データに変換する手段をさらに具備することを特徴とする前項5の指圧訓練用装置。
7.前記各つぼが、以下のいずれか1から選ばれる前項1〜6のいずれか1の指圧訓練装置。
(1)心下痞硬
(2)胸脇苦満
(3)心下痞硬
(4)心下支結
(5)腹直筋緊張
(6)臍傍痛点
(7)回盲部圧痛点(小腹腫痞)
(8)S状部圧痛点(小腹急結)
(9)小腹不仁
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、正確なつぼの位置及び各つぼでの最適な圧力を習得することができるようにするために用いる指圧訓練用装置を提供した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(人体模型)
本発明の「人体模型」とは、人体の全身(全体)、又は上半身、下半身、または腹部のように人体の一部の形状をしており、さらに該形状の全表面又は一部の表面は人体の皮膚に近い素材で覆われている。
例えば、人体の皮膚に近い素材の例としては、シリコーン混合物であるWACKER SILGEL登録商標612A、WACKER SILGEL登録商標612B(旭化成ワッカ−シリコーン株式会社製品)が挙げられるが特に限定されない。
なお、図1に記載の人体模型の構成では、上半身の一部の面積(各つぼが位置する場所)のみ人体の皮膚に近い素材9を覆っている。
さらに、センサと前記人体の皮膚に近い素材との間に、様々な強度を持つ板を入れることも可能である。該板をいれることにより、様々なこりの強度を持つ人体模型を提供することができる。なお、様々な強度を持つ板は、様々な厚さのシリコン板等を適宜利用することができる。このような効果は、前記先行文献に記載の装着具を使用した装置では達成することができない。
加えて、人体模型の中央部にセンサを収納したボックスを要した場合には、該ボックスの表面素材及び/又は表面形状を変える(ボックス自体を取り替える)ことにより、複数の体格(筋肉質な体格、中肉中背な体格、痩せ型の体格、いわゆるメタボリックな体格)の人体模型を提供することができる。
【0014】
(曲げセンサ)
本発明の「指圧動作を検出するためのセンサ」は、自体公知の曲げセンサを使用する。また、曲げセンサは、前記人体模型の表面に覆設、或いは内部に埋設するように取付けることができる。
これにより、人体模型に接する訓練者の手指及び/又は手のひらを検知し、接触位置の特定(指圧位置)、接触位置における圧力(指圧圧力)、圧力を継続している時間(指圧圧力継続時間)並びに指先及び/又は手のひらが各つぼに接触する面積(接触面積)を検出することができる。そして、指圧位置、指圧圧力、指圧圧力継続時間及び接触面積に係る情報を信号化し、センサ信号として解析手段に対して送出することができる。
なお、曲げセンサは、市販の曲げセンサ(例:GRID社製品のFLEX)を使用することができる。さらに、本発明では、曲げセンサを各つぼの位置に交差するように覆設又は埋設することを特徴とする(参照:図5)。
これにより、各つぼの位置に2本のセンサを設置するという単純な構造で正確に指圧位置、指圧圧力、指圧圧力継続時間及び接触面積を検出することが可能である。特に、2本の曲げセンサの交差点をつぼの位置に設定しているので、強い力でつぼの位置を押しても、正確な圧力を検出することができる。このような効果は、前記先行文献に記載の装置では、達成することができない。
【0015】
なお、接触面積は、標的となるつぼの圧力値(2本の曲げセンサの交差点の圧力値)と隣接している他の曲げセンサの圧力値とを比較すれば容易に算出できる(参照:図7)。例えば、図7(A)では、指先で標的となるつぼ(図中:CH3曲げセンサ)を指圧した場合には、他の曲げセンサの圧力値は変化しない。一方、図7(B)では、手のひらで標的となるつぼ(図中:CH2曲げセンサ)を指圧した場合には、隣接する曲げセンサ(CH3曲げセンサ)の圧力値が上昇する。
さらに、訓練者が、標的となるつぼを優しく押しているか、又は急激に強く押しているのかは、指圧時間(X軸)と指圧圧力(Y軸)のグラフの変化から算出できる(参照:図8)。例えば、図8では、標的となるつぼを急激に強く押しているのので、ピークが鋭い。
【0016】
(指圧動作の確認手段)
本発明の「指圧動作の確認手段」では、上記曲げセンサにより検出された訓練者の指圧位置、指圧圧力、指圧圧力継続時間及び指圧圧力等を訓練者、指圧練習を見学又は監督する者に提示する手段である。なお、提示手段としては、音、映像(色、グラフ、波形、○×表示等)等を使用する。なお、映像で表示する場合にはモニタディスプレイに表示する。
具体例としては、正確なつぼが押せると二重丸(参照:図9(A))、わずかにずれると一重丸、さらにずれると楕円形{参照:図9(B)、なお楕円形の表示は、対となる曲げセンサの一方のみが押されていることを意味する}、完全にずれると何も表示されない、等を挙げることができる。
また、指圧圧力は、数値により表示することができるが、色で表示するほうが好ましい。例えば、指圧圧力が「弱い」場合には青、指圧圧力が「適正である」場合には緑、「強い」場合には赤、で表すことができる。訓練者は、色表示により適正値を感覚的かつ瞬時に理解することができる。
【0017】
これにより、訓練者は、人体模型で指圧動作を行いながら、該訓練者の押しているつぼの位置と正しいつぼとの位置のずれ、該訓練者の押している指圧圧力、指圧圧力継続時間及び指圧面積等を音又はモニタディスプレイに表示されたグラフで確認できる。また、該指圧動作確認手段は、解析処置装置に組み込まれている。
【0018】
(指圧データ記憶手段)
本発明の「指圧データ記憶手段」では、予め種々の熟達度別に分類された指圧者(特に、指圧熟練者)が人体模型に指圧したデータ(指圧位置、指圧圧力、指圧圧力継続時間、指圧面積等)を前記人体模型の各つぼの位置に対応させて予め記憶する手段である。
さらに、本発明の「指圧データ記憶手段」では、上記訓練者の指圧結果及び下記の指圧波形データを保存する機能も有する。これにより、訓練者は、指圧動作を終了した後に、自身の指圧動作及び/又は熟練者の指圧動作をモニタディスプレイに表示して確認できる。
また、該記憶された指圧データの保存場所は、解析処置装置が好ましい。
【0019】
(指圧波形データに変換する手段)
本発明の「指圧波形データに変換する手段」では、前記指圧データ記憶手段に記憶された指圧データ及び/又は前記訓練者の指圧動作を波形に変換する手段である。なお、指圧波形データは、例えば、X軸が指圧時間、Y軸を指圧圧力に設定する(参照:図6(A)(B))。また、指圧データ及び/又は前記訓練者の指圧結果を指圧波形データに変換する方法は、自体公知の方法(数式)で行うことができる。
【0020】
(指圧評価手段)
本発明の「指圧評価手段」では、訓練者の指圧動作を前記指圧データ記憶手段に記憶された指圧データと比較し、前記訓練者の指圧と熟練者の指圧とを比較することにより熟達度を評価する手段である。
また、該指圧評価手段は、解析処置装置に組み込まれていることが好ましい。
【0021】
さらに、本発明の「指圧評価手段」では、前記熟練度の評価に加えて、前記変換した訓練者の指圧波形データを、前記指圧データ記憶手段に記憶された指圧データを変換した指圧波形データと比較して、訓練者の指圧動作と熟練者の指圧動作間の一致点及び相違点を評価する手段も含んでもよい。
なお、指圧波形データを使用した熟練者の指圧動作の表示可能な指圧訓練装置は、従来の指圧訓練装置と比較して、非常に優れている。訓練者は、モニタディスプレイに表示された熟練者の指圧波形データを真似るように指圧動作を行えば、容易に指圧を上達することができる(参照:図6(C))。
【0022】
したがって、本発明の指圧訓練装置によれば、訓練者の指圧動作の評価を行うことができる。これにより、指圧治療を学ぶ学生などは、指圧熟練者の指導がなくても人体のつぼの位置を的確に、かつ適度な強度で押さえているか否かを指圧訓練装置により学ぶことが可能となる。さらに、これらの指圧技術を客観的に判断することができるため、指圧治療を学ぶ学生の実技試験に利用することもできる。
【0023】
(つぼ)
本発明の「つぼ」は、主に以下を対象とする。しかしながら、下記つぼには特に限定されない。なお、下記つぼは、指圧治療において重要なつぼであり、特に指圧治療において適切に指圧することを必要とされている。
(1)心下痞硬
(2)胸脇苦満
(3)心下痞硬
(4)心下支結
(5)腹直筋緊張
(6)臍傍痛点
(7)回盲部圧痛点(小腹腫痞)
(8)S状部圧痛点(小腹急結)
(9)小腹不仁
【0024】
以下、本発明の指圧訓練装置1について、図1を基にして説明する。
本発明の指圧訓練装置では、少なくとも(1)人体模型2と、(2)訓練者の指圧動作による指圧位置L、指圧圧力P、指圧圧力継続時間T及び指圧面積Sを検出するための前記人体模型2の各つぼ3の位置に交差するように埋没又は覆設している複数の曲げセンサ4と、(3)前記曲げセンサ4と配線5を介して電気的に接続し、検出された指圧位置L、指圧圧力P、指圧圧力継続時間T及び指圧面積Sを示すセンサ信号SG1、SG2、SG3及びSG4を受付け、指圧動作確認を行うための解析処理装置6を具備している。
【0025】
さらに、本発明の指圧訓練装置では、(4)種々の熟達度別に分類された指圧動作に係る指圧データを前記人体模型の各つぼ3の位置に対応させて予め記憶した指圧データ記憶手段7と、(5)訓練者の指圧位置L、指圧圧力P、指圧圧力継続時間T及び指圧面積Sを前記指圧データ記憶手段に記憶された指圧データと比較し、前記訓練者の指圧動作の熟達度を評価する指圧評価手段8と、を具備しても良い。
また、本発明の指圧訓練装置では、(4)種々の熟達度別に分類された指圧動作に係る指圧データを前記人体模型の各つぼ3の位置に対応させて予め記憶した指圧データ記憶手段7と、(6)前記指圧データ記憶手段に記憶された指圧データ及び/又は訓練者の指圧動作を指圧波形データに変換する手段10と、(5)前記変換した訓練者の指圧波形データを、前記指圧データ記憶手段に記憶された指圧データを変換した指圧波形データと比較して、訓練者の指圧動作と熟練者の指圧動作間の一致点及び相違点を評価する指圧評価手段8と、を具備しても良い。
【0026】
解析処理装置6は、図2に示すように、その機能的構成(指圧動作の確認手段)として、曲げセンサ4から送出されるセンサ信号SG1、SG2、SG3及びSG4を受付けるインターフェイス部61と、受付けたセンサ信号SG1、SG2、SG3及びSG4に基づいて、訓練者による指圧動作を認識する指圧動作認識手段62と、訓練者の指圧動作をモニタディスプレイ66に視覚的認識可能に表示する又は音で表示する評価表示制御手段63と、を具備して構成されている。
なお、モニタディスプレイ66は、解析処理装置6に組み込まれていても、又は外部に付属されていても良い。
【0027】
さらに、指圧データ記憶手段及び指圧評価手段を含む解析処理装置6は、図3に示すように、その機能的構成(指圧動作確認及び指圧動作の熟達度評価)として、曲げセンサ4から送出されるセンサ信号SG1、SG2、SG3及びSG4を受付けるインターフェイス部61と、受付けたセンサ信号SG1、SG2、SG3及びSG4に基づいて、訓練者による指圧動作を認識する指圧動作認識手段62と、予め種々の熟達度別に分類された指圧動作に係る指圧データSDを記憶する指圧データ記憶手段7と、指圧動作認識手段62によって認識された指圧動作を指圧データ記憶手段7に記憶された指圧データSDを比較し、訓練者の指圧動作の熟達度を評価する指圧評価手段8と、評価された訓練者の熟達度をモニタディスプレイ66に視覚的認識可能に表示する又は音で表示する評価表示制御手段63と、を具備して構成されている。
【0028】
さらに、指圧データ記憶手段、指圧波形データに変換する手段及び指圧評価手段を含む解析処理装置6は、図4に示すように、その機能的構成(訓練者の指圧動作と熟練者の指圧動作間の一致点及び相違点の評価)として、曲げセンサ4から送出されるセンサ信号SG1、SG2、SG3及びSG4を受付けるインターフェイス部61と、受付けたセンサ信号SG1、SG2、SG3及びSG4に基づいて、訓練者による指圧動作を認識する指圧動作認識手段62と、予め種々の熟達度別に分類された指圧動作に係る指圧データSDを記憶する指圧データ記憶手段7と、指圧動作認識手段62によって認識された訓練者の指圧動作及び/又は前記指圧データ記憶手段に記憶された指圧データを指圧波形データに変換する手段10と、前記変換した訓練者の指圧波形データを前記指圧データ記憶手段に記憶された指圧データを変換した指圧波形データと比較して、訓練者の指圧動作と熟練者の指圧動作間の一致点及び相違点を評価する指圧評価手段8と、評価された訓練者の指圧動作と熟練者の指圧動作間の一致点及び相違点をモニタディスプレイ66に視覚的認識可能に表示する評価表示制御手段63と、を具備して構成されている。
【0029】
また、曲げセンサ4は、図5に示すように人体模型2の各つぼ3の位置に交差するように埋没又は覆設させる。また、曲げセンサ4は、2重交差だけでなく、3重交差でも良い。
【0030】
(本発明の指圧訓練用装置の使用方法)
訓練者は、指圧訓練用装置1(図1)の人体模型2の各つぼ3(図5)を指圧する。これにより、解析処理装置6のモニタディスプレイ66に指圧位置L、当該指圧位置Lにおける指圧圧力P、指圧圧力継続時間T及び指圧面積Sが表示される。訓練者は、表示された指圧位置L、当該指圧位置Lにおける指圧圧力P、指圧圧力継続時間T及び指圧面積Sを確認しながら、自身の指圧の修正を行いながら正しい指圧方法を習得する。
【0031】
以上により、訓練者の指圧位置L、当該指圧位置Lにおける指圧圧力P、指圧圧力継続時間T、さらには指圧面積Sを認識することができる。例えば、腹部に対する指圧動作が適切であるかどうかを、予め熟達度別に分類されて記憶された指圧データSDに基づいて評価が行われる。ここで、評価の手法は、1)指圧動作における指圧位置Lの判定(正しい箇所を指圧したか否か)、2)指圧圧力Pの強さ、3)指圧圧力Pの継続時間T、4)指圧面積の大きさ、などによって評価され、これらがモニタディスプレイ66に表示される。
その結果、訓練者は指圧治療の熟達度の評価を客観的に受けることができる。
【0032】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】指圧訓練装置の概要図
【図2】解析処理装置の機能的構成を示すブロック図
【図3】指圧動作の熟達度評価手段を備える解析処理装置の機能的構成を示すブロック図
【図4】訓練者の指圧動作と熟練者の指圧動作間の一致点及び相違点の評価手段を備える解析処理装置の機能的構成を示すブロック図
【図5】各つぼの位置及び名称を示す図
【図6】(A)様々な指圧波形データ、(B)様々な指圧波形データ、(C)訓練者と熟練者の指圧波形データ
【図7】(A)指先で指圧した場合の指圧波形データ、(B)手のひらで指圧した場合の指圧波形データ
【図8】つぼを急激に強く押した場合の指圧波形データ
【図9】(A)正確な指圧をした場合のモニタディスプレイの表示、(B)ずれて指圧をした場合のモニタディスプレイの表示
【符号の説明】
【0034】
1:指圧訓練装置
2:人体模型
3:つぼ
4:曲げセンサ
5:配線
6:解析処理装置
61:インターフェイス部
62:指圧動作認識手段
63:評価表示制御手段
66:モニタディスプレイ
7:指圧データ記憶手段
8:指圧評価手段
9:人体の皮膚に近い素材
10:指圧波形データに変換する手段
11:熟練者の指圧波形データ
12:訓練者の指圧波形データ
L:指圧位置
P:指圧圧力
T:指圧圧力継続時間
S:指圧面積
SD:指圧データ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体模型と、
訓練者によって模擬的に実施される指圧動作を検出するための前記人体模型の各つぼの位置に交差するように埋没又は覆設している複数の曲げセンサと、
前記検出した指圧動作の確認手段と、
を具備することを特徴とする指圧訓練用装置。
【請求項2】
前記検出した指圧動作が指圧位置及び指圧圧力である請求項1の指圧訓練用装置。
【請求項3】
前記検出した指圧動作が指圧位置、指圧圧力及び指圧継続時間である請求項1の指圧訓練用装置。
【請求項4】
前記検出した指圧動作が指圧位置、指圧圧力、指圧継続時間及び指圧面積である請求項1の指圧訓練用装置。
【請求項5】
種々の熟達度別に分類された指圧動作に係る指圧データを前記人体模型の各つぼの位置に対応させて予め記憶した指圧データ記憶手段と、
前記検出した指圧動作を前記指圧データ記憶手段に記憶された指圧データと比較し、前記訓練者の指圧動作の熟達度を評価する指圧評価手段と、
をさらに具備することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1の指圧訓練用装置。
【請求項6】
前記指圧データ記憶手段に記憶された指圧データ及び/又は前記検出した指圧動作を指圧波形データに変換する手段をさらに具備することを特徴とする請求項5の指圧訓練用装置。
【請求項7】
前記各つぼが、以下のいずれか1から選ばれる請求項1〜6のいずれか1の指圧訓練装置。
(1)心下痞硬
(2)胸脇苦満
(3)心下痞硬
(4)心下支結
(5)腹直筋緊張
(6)臍傍痛点
(7)回盲部圧痛点(小腹腫痞)
(8)S状部圧痛点(小腹急結)
(9)小腹不仁
【請求項1】
人体模型と、
訓練者によって模擬的に実施される指圧動作を検出するための前記人体模型の各つぼの位置に交差するように埋没又は覆設している複数の曲げセンサと、
前記検出した指圧動作の確認手段と、
を具備することを特徴とする指圧訓練用装置。
【請求項2】
前記検出した指圧動作が指圧位置及び指圧圧力である請求項1の指圧訓練用装置。
【請求項3】
前記検出した指圧動作が指圧位置、指圧圧力及び指圧継続時間である請求項1の指圧訓練用装置。
【請求項4】
前記検出した指圧動作が指圧位置、指圧圧力、指圧継続時間及び指圧面積である請求項1の指圧訓練用装置。
【請求項5】
種々の熟達度別に分類された指圧動作に係る指圧データを前記人体模型の各つぼの位置に対応させて予め記憶した指圧データ記憶手段と、
前記検出した指圧動作を前記指圧データ記憶手段に記憶された指圧データと比較し、前記訓練者の指圧動作の熟達度を評価する指圧評価手段と、
をさらに具備することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1の指圧訓練用装置。
【請求項6】
前記指圧データ記憶手段に記憶された指圧データ及び/又は前記検出した指圧動作を指圧波形データに変換する手段をさらに具備することを特徴とする請求項5の指圧訓練用装置。
【請求項7】
前記各つぼが、以下のいずれか1から選ばれる請求項1〜6のいずれか1の指圧訓練装置。
(1)心下痞硬
(2)胸脇苦満
(3)心下痞硬
(4)心下支結
(5)腹直筋緊張
(6)臍傍痛点
(7)回盲部圧痛点(小腹腫痞)
(8)S状部圧痛点(小腹急結)
(9)小腹不仁
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図1】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図3】
【図4】
【図6】
【図1】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2010−20161(P2010−20161A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−181561(P2008−181561)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【出願人】(304021831)国立大学法人 千葉大学 (601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【出願人】(304021831)国立大学法人 千葉大学 (601)
【Fターム(参考)】
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