説明

指針機器

【課題】 指針機構部の動作位置を検出する発光素子と受光素子、および時刻や日付などの情報を表示するデータ表示部材を組み込んでも、機器全体の薄型化を図ることができる指針機器を提供する。
【解決手段】 腕時計ケースTK内の上部ハウジング6に支持された回路基板8と輪列受16に対して支持された素子基板33との間に時計ムーブメント9を配置し、回路基板8の下面に発光素子30を設け、素子基板33の上面に受光素子31を設け、この受光素子31を輪列受16に形成された素子収容凹部38内に収容し、液晶表示パネル11を回路基板8の時計ガラスG側に配置して上部ハウジング6内に組み込んだ。従って、時計ムーブメント9の動作位置を検出する発光素子30と受光素子31、および時刻や日付などの情報を表示する液晶表示パネル11を組み込んでも、時計モジュール1全体の厚みを薄く抑えて時計全体の薄型化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子時計や計器類などの指針機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子時計においては、特許文献1に記載されているように、時計ケース内に設けられた時計モジュールが、上ケースである下部ハウジングと下ケースである上部ハウジングとを備え、これらの内部に指針を駆動するための時計ムーブメントが組み込まれ、この時計ムーブメントの各歯車の回転位置を発光素子と受光素子との協同作用によって検出することにより、指針の位置を検出するように構成されたものが知られている。
【特許文献1】特開2000−162335
【0003】
すなわち、この電子時計の場合、時計ムーブメントの各歯車が重なり合い、この重なり合う各歯車にそれぞれ光透過孔が設けられ、各歯車の光透過孔がそれぞれ対応したときに、発光素子からの光が各歯車の光透過孔を透過して受光素子で受光されることにより、各歯車が基準位置にあると判断し、これにより指針が正しく運針していると判断するように構成されている。
【0004】
この場合、発光素子は、指針と反対側に位置する裏面側の下部ハウジングの外面に設けられた第1基板に取り付けられて下部ハウジング内に配置されており、受光素子は、指針側に位置する表面側の上部ハウジングの外面に設けられた第2基板に取り付けられて上部ハウジング内に発光素子と対応して配置されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の電子時計では、下部ハウジングと上部ハウジングとの各外面にそれぞれ第1、第2の各基板を配置し、この第1、第2の各基板にそれぞれ発光素子と受光素子とを設けた構成であるから、下部ハウジングと上部ハウジングとの各外面にそれぞれ配置された第1、第2の各基板の厚みだけ、時計モジュールの厚みが厚くなるほか、時刻などの情報を電気光学的に表示する液晶表示パネルを、指針側に位置する表面側の上部ハウジングに設けられた第2基板の外面に取り付けて時計モジュールに組み込むと、より一層、時計全体が厚くなるという問題がある。
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、指針機構部の動作位置を検出する発光素子と受光素子、および時刻や日付などの情報を表示する液晶表示パネルなどのデータ表示部材を組み込んでも、機器全体の薄型化を図ることができる指針機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記課題を解決するために、次のような構成要素を備えている。
請求項1に記載の発明は、開口端部がそれぞれ透明部材と閉塞部材とで閉塞された環状の本体ケース内に基板支持部材を配置した指針機器において、
前記基板支持部材は、第1基板と、この第1基板のうち前記透明部材側の位置に配置されたデータ表示部材と、前記第1基板のうち前記閉塞部材側の位置に配置された第2基板と、この第2基板と前記第1基板との間に配置された光透過部を有する指針機構部と、前記第1基板のうち前記第2基板側の一面に前記指針機構部の前記光透過部と対応して設けられた発光素子と、前記第2基板のうち前記第1基板側の一面に前記発光素子と対向して設けられた受光素子と、前記指針機構部を構成している指針回転駆動用歯車を支持するために、前記発光素子と前記受光素子との間に配置された歯車支持部材とを備え、
前記受光素子は、前記歯車支持部材に形成された素子収容部内に収容されていることを特徴とする指針機器である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記素子収容部が、前記歯車支持部材のうち、前記指針回転駆動用歯車の近傍に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の指針機器である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記指針回転駆動用歯車が、秒針を取り付けた秒針車と、分針を取り付けた分針車と、時針を取り付けた時針車と、前記分針車に連動して回転する中間車とを備え、前記素子収容部は、前記歯車支持部材のうち、前記指針回転駆動用歯車の前記秒針車の近傍に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の指針機器である。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記指針回転駆動用歯車が、分針を取り付けた分針車と、時針を取り付けた時針車と、前記分針車に連動して回転する中間車とを備え、前記素子収容部は、前記歯車支持部材のうち、前記指針回転駆動用歯車の前記中間車の近傍に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の指針機器である。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、本体ケース内の基板支持部材に支持された第1基板と第2基板との間に指針機構部を配置し、第1基板の一面に発光素子を設け、第2基板の一面に受光素子を設け、発光素子と受光素子との間に歯車支持部材を配置した状態で、この歯車支持部材に形成された素子収容部内に受光素子を収容することができると共に、データ表示部材を第1基板における透明部材側に配置して基板支持部材内に組み込むことができるので、指針機構部の動作位置を検出する発光素子と受光素子、および時刻や日付などの情報を表示するデータ表示部材を組み込んでも機器全体の薄型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(実施形態1)
以下、図1〜図7を参照して、この発明を指針式の電子腕時計に適用した実施形態1について説明する。
図1および図2に示すように、この指針式の電子腕時計DTは、腕時計ケースTK内に配置された時計モジュール1を備えている。
すなわち、この時計モジュール1は、秒針2、分針3、時針4が文字板5の上方を運針して時刻を指示すると共に、液晶表示パネル11で時刻や日付などの情報を表示するものであり、腕時計ケースTK内に配置されている。この腕時計ケースTKの上側の開口端部には、図2に示すように、時計ガラスGが取り付けられており、この腕時計ケースTKの下部には、その下側の開口端部を閉塞する裏蓋UBが取り付けられている。
【0013】
時計モジュール1は、図2に示すように、上部ハウジング6とメインプレートである下部ハウジング7とを備え、これらの間に回路基板8が設けられていると共に、下部ハウジング7の上下面に時計ムーブメント9が設けられた構成になっている。上部ハウジング6の上面には、ソーラーパネル10を介して文字板5が設けられている。また、上部ハウジング6の12時側と6時側との2箇所に位置する内部には、図1および図2に示すように、液晶表示パネル11がそれぞれ設けられている。
【0014】
液晶表示パネル11は、図2に示すように、上下一対の透明な電極基板11a、11bと、この一対の電極基板11a、11b間に封入された液晶(図示せず)と、上側の電極基板11aの上面に設けられた上側偏光板11cと、下側の電極基板11bの下面に設けられた下側電極板11dとを備え、インターコネクタ12によって回路基板8上に電気的に接続された状態で支持されている。
【0015】
この液晶表示パネル11は、一対の電極基板11a、11bに選択的に電圧を印加して液晶の配向を変化させることにより、時刻や日付などの情報を電気光学的に表示するように構成されている。この場合、液晶表示パネル11は、図2に示すように、ソーラーパネル10および文字板5の各開口部5aに対応して配置され、表示された情報がソーラーパネル10および文字板5の各開口部5aを通して上方から見えるように構成されている。
【0016】
時計ムーブメント9は、図2〜図6に示すように、秒針2を運針させる第1駆動系13と、分針3および時針4を運針させる第2駆動系14と、秒針2、分針3、時針4の運針位置を検出すための検出部15とを備えている。第1、第2駆動系13、14は、下部ハウジング7と輪列受16とに取り付けられている。
【0017】
第1駆動系13は、図4に示すように、第1ステッピングモータの第1ロータ17と、この第1ロータ17のカナ17aによって回転する五番車18と、この五番車18のカナ18aによって回転する四番車である秒針車20とを備えている。この秒針車20の中心部には、図2および図5に示すように、秒針軸20aが設けられている。
【0018】
この秒針軸20aは、その下端部が輪列受16に回転自在に支持された状態で、上部側が下部ハウジング7の貫通孔7b、回路基板8の貫通孔8a、上部ハウジング6の貫通孔6a、およびソーラーパネル10と文字板5との貫通孔5bを通して文字板5の上方に突出する。この突出した秒針軸20aの先端部には、図5に示すように、秒針2が取り付けられている。また、この秒針車20には、図6に示すように、後述する第1光透過孔部21が設けられている。
【0019】
一方、第2駆動系14は、図4に示すように、第2ステッピングモータの第2ロータ22と、この第2ロータ22のカナ22aによって回転する三番車24と、この三番車24のカナ24aによって回転する中間車23と、この中間車23のカナ23aによって回転する二番車である分針車25と、この分針車25によって回転する日の裏車(図示せず)を介して回転する筒車である時針車26とを備えている。この場合、分針車25の中心部には、図2および図5に示すように、秒針車20の秒針軸20aが回転自在に挿入して上方に突出する円筒状の分針軸25aが設けられている。
【0020】
この分針軸25aは、図2に示すように、下部ハウジング7の貫通孔7b、回路基板8の貫通孔8a、上部ハウジング6の貫通孔6a、およびソーラーパネル10と文字板5との貫通孔5bを通して文字板5の上方に突出する。この突出した分針軸25aの先端部には、図5に示すように、分針3が取り付けられている。これにより、分針車25は、秒針車20の上側に重なった状態で秒針車20と同一軸上に位置して下部ハウジング7の下側に配置されている。また、この分針車25には、図6に示すように、後述する第2光透過孔部27が設けられている。
【0021】
時針車26の中心部には、図2および図5に示すように、分針車25の分針軸25aが回転自在に挿入して上方に突出する筒状の時針軸26aが設けられている。この時針軸26aは、図2に示すように、回路基板8の貫通孔8a、上部ハウジング6の貫通孔6a、およびソーラーパネル10と文字板5との貫通孔5bを通して文字板5の上方に突出する。この突出した時針軸26aの先端部には、図5に示すように、時針4が取り付けられている。これにより、時針車26は、秒針車20および分針軸25と同一軸上に配置された状態で、筒車押え26bによって下部ハウジング7上に押えられている。また、この時針車26には、図6に示すように、後述する第3光透過孔部28が設けられている。
【0022】
ところで、検出部15は、図2および図3に示すように、回路基板8に設けられたLED(発光ダイオード)からなる発光素子30と、基板押え板32で押えられた素子基板33に設けられたフォトトランジスタからなる受光素子31とを有していて、秒針車20の光透過孔部21a,21b,21cの1つ:分針車25の光透過孔部27:時針車26の光透過孔部28の1つ:中間車23の光透過孔部29が全て発光素子30と受光素子31の間の光通路即ち検出位置P(この実施形態の場合、検出位置Pとして正午位置(0時00分00秒位置)に設けた)と一致または一部重なったときに、それらの光透過部を通して発光素子30からの光を受光素子31が受光することにより、秒針車20、分針車25、時針車26の各回転位置を検出するように構成されている。
【0023】
この場合、検出位置Pとしては、11時55分位置など、他の位置に設けても良い。また、下部ハウジング7には、図2に示すように、光透過孔7aが発光素子30と受光素子31とに対応して設けられている。さらに、輪列受16には、光透過孔16aが発光素子30と受光素子31とに対応して設けられている。
【0024】
秒針車20の第1光透過孔部21は、図6に示すように、秒針車20の基準位置(00秒位置)に設けられた第1円形孔21aと、この第1円形孔21aにおける秒針2の運針方向側とその反対方向側との両側に異なる間隔の第1、第2遮光部21d、21eを隔てて設けられた第2、第3長孔21b、21cと、第1円形孔21aに対し秒針車20の直径上に位置する第2、第3長孔21b、21c間に設けられた第3遮光部21fとを備えている。
【0025】
この秒針車20は、2ステップ(回転角12°であり、回転時間2秒)ずつ回転して、60ステップ(回転角360°であり、回転時間60秒)回転する間に、検出部15が2秒ごとに検出を行う。すなわち、秒針車20が0秒位置(0°位置)のときには、第1円形孔21aを検出部15が検出し、2秒位置(12°位置)から6秒位置(36°位置)までのときには、第1遮光部21dによって検出部15が塞がれ、検出部15による光検出ができない未検出状態が3回連続する。
【0026】
秒針車20の8秒位置(48°位置)から28秒位置(168°位置)までのときには、第1長孔21bを検出部15が連続して検出する。30秒位置(180°位置)のときには、第3遮光部21fによって検出部15が塞がれ、検出部15による光検出ができない未検出状態になる。32秒位置(192°位置)から50秒位置(300°位置)のときには、第2長孔21bを検出部15が連続して検出する。
【0027】
また、52秒位置(312°位置)から58秒位置(348°位置)までのときには、第2遮光部21eによって検出部15が塞がれ、検出部15による光検出ができない未検出状態が4回連続する。この未検出状態が4回連続した後に、検出部15による光検出ができたときには、第1円形孔21aが検出位置Pに対応し、秒針車20が基準位置(00秒位置)であると判断する。
【0028】
一方、分針車25の第2光透過孔部27は、図6に示すように、分針車25の基準位置(00分位置:0°位置)に設けられた1つの光検出孔(以下、円形孔と称する)である。この第2光透過孔部27の円形孔も、秒針車20の第1円形孔21aとほぼ同じ大きさで、秒針車20の第1円形孔21aに対応する位置に設けられている。
【0029】
時針車26の第3光透過孔部28は、図6に示すように、時針車26の基準位置(0時位置:0°位置)から円周に沿って30°間隔で設けられた11個の光検出孔(以下、円形孔と称する)である。この基準位置の円形孔と11番目の円形孔との間に位置する11時位置には、第4遮光部28aが設けられている。
【0030】
すなわち、時針車26の第3光透過孔部28は、図6に示すように、0時位置を基準位置(0°位置)として、左回りに0°、30°、60°、90°、120°、150°、180°、210°、240°、270°、300°の各位置、すなわち、時針4の運針方向に沿って0時、1時、2時、3時、4時、5時、6時、7時、8時、9時、10時の各位置にそれぞれ円形孔が設けられ、330°の11時位置に第4遮光部28aが設けられている。この時針車27の第3光透過孔部28である各円形孔も、秒針車20の第1円形孔21aとほぼ同じ大きさで形成されている。
【0031】
また、中間車23の第4光透過孔部29は、図6に示すように、分針車25の第2光透過孔部27である1つの円形孔に対応する1つの円形孔であり、秒針車20の第1円形孔21aおよび分針車25の第2光透過孔部27である円形孔とほぼ同じ大きさで形成されている。この第4光透過孔部29は、中間車23の予め定められている位置、すなわち、分針車25の第2光透過孔27が検出部15の検出位置Pに対応したときに、分針車25の第2光透過孔部27に対応する位置に設けられている。
【0032】
検出部15による光検出は、この実施の形態の場合、時針4の正時である0時、1時、2時、3時、4時、5時、6時、7時、8時、9時、10時、11時ごとに行うが、第2駆動系14の中間車23、分針車25、時針車27は、その各回転角が1ステップで30°、1°、1/12°であることにより、図6に示すように、11時の位置を除いた時針4の正時において、第2〜第4光透過孔部27〜29の全てが検出部15の検出位置Pで重なり合うように構成されている。
【0033】
また、第1駆動系13の秒針車20の回転角は、1ステップが6°である。この秒針車20は、60ステップ(60秒)ごとに第1光透過孔部21の第1円形孔21aが検出部15の検出位置Pに対応することにより、図6に示すように、時針4の正時(11時を除く)ごとに、第1光透過孔部21の第1円形孔21aが第2〜第4の各光透過孔部27〜29と重なり合うように構成されている。
【0034】
ここで、検出部15による秒針2、分針3、時針4の運針位置の検出は、次のように行われる。すなわち、秒針2、分針3、時針4が12時側の位置(図6では上部側の位置)で互いに重なるとき、第1〜第3の各光透過孔部21、27、28と中間車23の第4光透過孔部29は検出位置Pで重なり合う。このとき、発光素子30からの光は、第1〜第4の各光透過孔部21、27〜29、下部ハウジング7の光透過孔7a、および輪列受16の光透過孔16aを透過して受光素子31により受光される。
【0035】
これに対して、検出部15は、第1〜第4の各光透過孔部21、27〜29のいずれかが検出位置Pに対応しないときに、発光素子30からの光が遮断されるので、受光素子31は受光できずに、未検出状態となる。
【0036】
また、秒針車20は、第1光透過孔部21の第1円形孔21aの大きさと1ステップの移動量との関係から、2ステップ回転させないと、第1円形孔21aが検出部15の検出位置Pから完全に離れないため、2ステップ(2秒)ごとの検出を行っている。
これに対して、第2駆動系14の中間車23、分針車25、時針車26は、1ステップごとの検出を行っている。
【0037】
ところで、回路基板8は、図7に示すように、12時側(図7では上辺側)の一部が切り欠かれたほぼ円形状に形成され、アンテナ34や水晶振動子35などの時計機能に必要な各種の電子部品が搭載されている。また、この回路基板8の下面には、図2に示すように、検出部15の発光素子30が時計ムーブメント9における時針車26の第3光透過孔部28、分針車25の第2光透過孔部27、中間車23の第4光透過孔部29、および秒針車20の第1光透過孔部21の各回転軌跡上に対応して設けられている。
【0038】
この場合、発光素子30が設けられた回路基板8の上面には、図2に示すように、液晶表示パネル11を支持するインターコネクタ12が弾力的に圧接した状態で配置されている。このため、回路基板8は、図7に示すように、発光素子30を挟んでほぼ対角上に位置する2箇所が2本のビス36によって上部ハウジング6の下面に強固に固定されている。すなわち、この2本のビス36は、図2に示すように、上部ハウジング6に埋め込まれた金属製の筒状ナット37に螺入して締め付けられることにより、回路基板8を上部ハウジング6の下面に強固に押し付けて回路基板8の変形を抑えるように構成されている。
【0039】
また、受光素子31は、図2に示すように、輪列受16の下に配置された素子基板33に発光素子30と対向して設けられている。この場合、素子基板33は、その下面が基板押え板32によって押えられている。また、秒針車20の近傍に位置する輪列受16の下面には、受光素子31の上部側が挿入する素子収容凹部38が設けられている。これにより、受光素子31は、その上部側が素子収容凹部38に挿入されると、秒針車20の下側に位置する秒針軸20aと並列に並ぶように配置される。
【0040】
このような指針式の電子腕時計によれば、腕時計ケースTK内の上部ハウジング6に支持された回路基板8と、輪列受16に対して支持された素子基板33との間に、時計ムーブメント9を配置し、回路基板8の下面に発光素子30を設け、素子基板33の上面に受光素子31を設けた状態で、輪列受16に形成された素子収容凹部38内に受光素子31を収容することができると共に、液晶表示パネル11を回路基板8の時計ガラスG側に配置して上部ハウジング6内に組み込むことができるので、時計ムーブメント9の動作位置を検出する発光素子30と受光素子31、および時刻や日付などの情報を表示する液晶表示パネル11を組み込んでも、時計モジュール1全体の厚みを薄く抑えることができるので、時計全体の薄型化を図ることができる。
【0041】
すなわち、受光素子31は、その上部側が輪列受16の下面に設けられた素子収容凹部38内に下側から挿入して配置されていることにより、時計モジュール1全体の厚みを薄く抑えることができる。この場合、素子収容凹部38は、秒針車20の近傍に設けられていることにより、この秒針車20の下側に位置する秒針軸20aと並列に並ぶように受光素子31を配置することができ、これにより確実に時計全体の薄型化を図ることができる。
【0042】
また、上部ハウジング6の内部に液晶表示パネル11を配置し、この液晶表示パネル11をインターコネクタ12によって上部ハウジング6の下面に設けられた回路基板8上に電気的に接続させた状態で支持し、この回路基板8の下面に発光素子30を設けているので、液晶表示パネル11を時計モジュール1に組み込んでも、時計モジュール1全体の厚みを薄く抑えて、時計全体の薄型化を図ることができる。
【0043】
また、この指針式の電子腕時計によれば、腕時計ケースTK内の上部ハウジング6に支持された回路基板8と、輪列受16に対して支持された素子基板33との間に、時計ムーブメント9を配置し、この時計ムーブメント9の動作位置を、素子基板33側に位置する回路基板8の下面に設けられた発光素子30と、回路基板8側に位置する素子基板33の上面に設けられた受光素子31とで、正確に検出することができる。
【0044】
すなわち、時計ムーブメント9は、少なくとも一部が重なり合う複数の歯車である秒針車20、分針車25、時針車26、中間車23を備え、これら秒針車20、分針車25、時針車26、中間車23には、それぞれ第1〜第4の各光透過孔21、27〜29が設けられ、これら秒針車20、分針車25、時針車26、中間車23がそれぞれ回転して各基準位置(00時00分00秒)に到達した際に、検出部15の発光素子30と受光素子31とに対応することにより、発光素子30の光が第1〜第4の各光透過孔部21、27〜29の全てを透過するので、この透過した光を受光素子31で受光することができる。このため、秒針車20、分針車25、時針車26の回転位置を正確に検出することができ、これにより秒針2、分針3、時針4の運針位置を正確に判断することができる。
【0045】
この場合、受光素子31は、裏蓋UB側に位置する素子基板32の上面に設けられているので、上部ハウジング6上に設けられた液晶表示パネル11を通して外部光が時計モジュール1内に入射しても、この入射した外部光を回路基板8、下部ハウジング7、および輪列受16によって遮ることができ、これにより受光素子31が外部光の影響をほとんど受けないようにすることができる。このため、発光素子30からの光を受光素子31で正確に検出することができるので、外部光による誤検出を防いで秒針2、分針3、時針4の位置を正確に検出することができる。
【0046】
また、回路基板8は、発光素子30を挟んでほぼ対角上に位置する箇所が2本のビス36によって上部ハウジング6の下面にそれぞれ固定されているので、発光素子30に対応する箇所の回路基板8がインターコネクタ12によって弾力的に押え付けられても、発光素子30付近に位置する回路基板8の変形を確実に防ぐことができ、これにより発光素子30を安定した一定の状態で回路基板8の所定位置に正確に固定することができる。
【0047】
(実施形態2)
次に、図8〜図11を参照して、この発明を適用した指針式の電子腕時計の実施形態2について説明する。なお、図1〜図7に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この指針式の電子腕時計は、分針3と時針4とを運針する駆動系40のみを備えた2針式の構成であり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
【0048】
すなわち、この駆動系40は、実施形態1の第2駆動系14と同じ構成であり、図10および図11に示すように、第2ステッピングモータの第2ロータ22と、この第2ロータ22のカナ22aによって回転する三番車24と、この三番車24のカナ24aによって回転する中間車23と、この中間車23のカナ23aによって回転する二番車である分針車25と、この分針車25によって回転する日の裏車(図示せず)を介して回転する筒車である時針車26とを備えている。
【0049】
分針3は、分針車25の分針軸25aに取り付けられている。時針4は、時針車27の時針軸27aに取り付けられている。また、分針車25、時針車27、および中間車23には、実施形態1と同様、第2〜第4の各光透過孔部27〜29がそれぞれ設けられている。これら第2〜第4の各光透過孔部27〜29も、実施形態1と同様、各円形孔であり、各基準位置に形成される。
【0050】
この場合にも、時針車26の第3光透過孔部28は、図11に示すように、時針車26の基準位置(0時位置:0°位置)から円周に沿って30°間隔で設けられた11個の円形孔である。この基準位置の円形孔と11番目の円形孔との間に位置する11時位置には、第4遮光部28aが設けられている。
【0051】
また、検出部15も、図8に示すように、回路基板8に設けられたLED(発光ダイオード)からなる発光素子30と、基板押え板32で押えられた素子基板33に設けられたフォトトランジスタからなる受光素子31とを有していて、実施形態1と同様、分針車25の光透過孔部27:時針車26の光透過孔部28の1つ:中間車23の光透過孔部29が全て発光素子30と受光素子31の間の光通路即ち検出位置Pと一致または一部重なったときに、それらの光透過部を通して発光素子30からの光を受光素子31が受光することにより、分針車25、時針車26の各回転位置を検出するように構成されている。
【0052】
この場合にも、下部ハウジング7には、図8に示すように、光透過孔7aが発光素子30と受光素子31とに対応して設けられており、輪列受16には、光透過孔16aが発光素子30と受光素子31とに対応して設けられている。また、発光素子30は、実施形態1と同様、上部ハウジング6の下面に設けられた回路基板8の下面に、時計ムーブメント9における時針車26の第3光透過孔部28、分針車25の第2光透過孔部27、および中間車23の第4光透過孔部29の各回転軌跡上に対応して設けられている。
【0053】
受光素子31は、図8に示すように、輪列受16の下に配置された素子基板33に発光素子30と対向して設けられている。また、分針車25の近傍に位置する輪列受16の下面には、図8に示すように、受光素子31の上部側が挿入する素子収容凹部41が設けられている。これにより、受光素子31は、その上部側が素子収容凹部41に挿入されると、中間車23の下側に位置する軸と並列に並ぶように配置される。
【0054】
また、上部ハウジング6の内部には、実施形態1と同様、液晶表示パネル11が配置されている。この液晶表示パネル11も、実施形態1と同じ構成で、インターコネクタ12によって回路基板8上に電気的に接続されて弾力的に圧接した状態で支持されている。このため、この回路基板8も、実施形態1の図7に示したように、発光素子30を挟んでほぼ対角上に位置する2箇所が2本のビス36によって上部ハウジング6の下面に強固に固定されている。
【0055】
このような指針式の電子腕時計においても、実施形態1と同様、輪列受16に形成された素子収容凹部38内に受光素子31を収容することができると共に、液晶表示パネル11を回路基板8の時計ガラスG側に配置して上部ハウジング6内に組み込むことができるので、時計ムーブメント9の動作位置を検出する発光素子30と受光素子31、および時刻や日付などの情報を表示する液晶表示パネル11を組み込んでも、時計モジュール1全体の厚みを薄く抑えることができるので、時計全体の薄型化を図ることができる。
【0056】
すなわち、素子収容凹部41は、輪列受16の下面における秒針車20の近傍に設けられていることにより、この秒針車20の下側に位置する秒針軸20aと並列に並ぶように受光素子31を配置することができるので、時計モジュール1全体の厚みを薄く抑えて確実に時計全体の薄型化を図ることができる。この場合、輪列受16は実施形態1の秒針車20による影響を受けることがないので、素子収容凹部41を実施形態1の素子収容凹部38よりも深く形成することができ、これにより時計全体のより一層の薄型化を図ることができる。
【0057】
また、上部ハウジング6の内部に液晶表示パネル11を配置し、この液晶表示パネル11をインターコネクタ12によって上部ハウジング6の下面に設けられた回路基板8上に電気的に接続させた状態で支持し、この回路基板8の下面に発光素子30を設けているので、液晶表示パネル11を時計モジュール1に組み込んでも、時計モジュール1全体の厚みを薄く抑えて、時計全体の薄型化を図ることができる。
【0058】
また、この指針式の電子腕時計においても、実施形態1と同様、腕時計ケースTK内の上部ハウジング6に支持された回路基板8と、輪列受16に対して支持された素子基板33との間に、時計ムーブメント9を配置し、この時計ムーブメント9の動作位置を、素子基板33側に位置する回路基板8の下面に設けられた発光素子30と、回路基板8側に位置する素子基板33の上面に設けられた受光素子31とで、正確に検出することができる。
【0059】
すなわち、時計ムーブメント9は、少なくとも一部が重なり合う複数の歯車である分針車25、時針車26、中間車23を備え、これら分針車25、時針車26、中間車23には、それぞれ第2〜第4の各光透過孔27〜29が設けられ、これら分針車25、時針車26、中間車23がそれぞれ回転して各基準位置(00時00分)に到達した際に、検出部15の発光素子30と受光素子31とに対応することにより、発光素子30の光が第2〜第4の各光透過孔部27〜29を透過するので、この透過した光を受光素子31で受光することができる。このため、分針車25、時針車26の回転位置を正確に検出することができ、これにより分針3、時針4の運針位置を正確に判断することができる。
【0060】
この場合にも、受光素子31は、裏蓋UB側に位置する素子基板32の上面に設けられているので、上部ハウジング6上に設けられた液晶表示パネル11を通して外部光が時計モジュール1内に入射しても、この入射した外部光を回路基板8、下部ハウジング7、および輪列受16によって遮ることができ、これにより受光素子31が外部光の影響をほとんど受けないようにすることができる。このため、発光素子30からの光を受光素子31で正確に検出することができるので、外部光による誤検出を防いで分針3、時針4の位置を正確に検出することができる。
【0061】
また、回路基板8は、実施形態1と同様、発光素子30を挟んでほぼ対角上に位置する箇所が2本のビス36によって上部ハウジング6の下面にそれぞれ固定されているので、発光素子30に対応する箇所の回路基板8がインターコネクタ12によって弾力的に押え付けられても、発光素子30付近に位置する回路基板8の変形を確実に防ぐことができ、これにより発光素子30を安定した一定の状態で回路基板8の所定位置に正確に固定することができる。
【0062】
なお、前記実施形態1、2では、時刻や日付などの情報を表示するデータ表示部材として、液晶表示パネル11を用いた場合について述べたが、必ずしも液晶表示パネル11である必要はなく、EL(エレクトロルミネッセンス)表示パネルや電子ペーパなどの平面型の表示パネルを用いても良い。
【0063】
また、前記実施形態1、2では、指針式の電子腕時計に適用した場合について述べたが、必ずしも電子腕時計である必要はなく、例えばトラベルウオッチ、目覚まし時計、置き時計、掛け時計などの各種の指針式の電子時計に適用することができるほか、必ずしも電子時計である必要はなく、自動車や電気、水道などのメータ類を含む各種の指針機器に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】この発明を適用した指針式の電子腕時計の実施形態1の要部を示した平面図である。
【図2】図1の電子腕時計の時計モジュールにおける要部を示した拡大断面図である。
【図3】図2の時計モジュールにおける時計ムーブメントの要部を示した拡大斜視図である。
【図4】図3の時計ムーブメントの要部を裏蓋側から見た拡大底面図である。
【図5】図2の要部を示した拡大断面図である。
【図6】図4の秒針車、分針車、時針車、中間車を分解した拡大平面図である。
【図7】図2の時計モジュールを裏蓋側から見た拡大底面図である。
【図8】この発明を適用した指針式の電子腕時計の実施形態2における時計モジュールの要部を示した拡大断面図である。
【図9】図8の時計ムーブメントの要部を示した拡大斜視図である。
【図10】図9の時計ムーブメントの要部を裏蓋側から見た拡大底面図である。
【図11】図10の分針車、時針車、中間車を分解した拡大平面図である。
【符号の説明】
【0065】
1 時計モジュール
2 秒針
3 分針
4 時針
5 文字板
6 上部ハウジング
7 下部ハウジング
8 回路基板
9 時計ムーブメント
11 液晶表示パネル
13 第1駆動系
14 第2駆動系
15 検出部
16 輪列受
20 秒針車
21 第1光透過孔部
23 中間車
25 分針車
26 時針車
27〜29 第2〜第4の各光透過孔部
30 発光素子
31 受光素子
33 素子基板
36 ビス
38、41 素子収容凹部
40 駆動系
P 検出位置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口端部がそれぞれ透明部材と閉塞部材とで閉塞された環状の本体ケース内に基板支持部材を配置した指針機器において、
前記基板支持部材は、
第1基板と、
この第1基板のうち前記透明部材側の位置に配置されたデータ表示部材と、
前記第1基板のうち前記閉塞部材側の位置に配置された第2基板と、
この第2基板と前記第1基板との間に配置された光透過部を有する指針機構部と、
前記第1基板のうち前記第2基板側の一面に前記指針機構部の前記光透過部と対応して設けられた発光素子と、
前記第2基板のうち前記第1基板側の一面に前記発光素子と対向して設けられた受光素子と、
前記指針機構部を構成している指針回転駆動用歯車を支持するために、前記発光素子と前記受光素子との間に配置された歯車支持部材とを備え、
前記受光素子は、前記歯車支持部材に形成された素子収容部内に収容されていることを特徴とする指針機器。
【請求項2】
前記素子収容部は、前記歯車支持部材のうち、前記指針回転駆動用歯車の近傍に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の指針機器。
【請求項3】
前記指針回転駆動用歯車は、秒針が取り付けられた秒針車と、分針が取り付けられた分針車と、時針が取り付けられた時針車と、前記分針車に連動して回転する中間車とを備え、
前記素子収容部は、前記歯車支持部材のうち、前記指針回転駆動用歯車の前記秒針車の近傍に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の指針機器。
【請求項4】
前記指針回転駆動用歯車は、分針が取り付けられた分針車と、時針が取り付けられた時針車と、前記分針車に連動して回転する中間車とを備え、
前記素子収容部は、前記歯車支持部材のうち、前記指針回転駆動用歯車の前記中間車の近傍に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の指針機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−122156(P2010−122156A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−298007(P2008−298007)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】