説明

指静脈認証およびGPSを利用した自転車盗難防止システムおよび移動手段盗難防止システム

【課題】盗難発生時に早急にアラームによる盗難通知を行い、盗難の抑止を図る、指静脈認証およびGPSを利用した自転車盗難防止システムを提供する。
【解決手段】自転車101に設置される自転車設置装置102と、情報処理ホストシステム112とが無線通信接続された自転車盗難防止システムに於いて、情報処理ホストシステム112は、自転車設置装置102からロック中の定期位置情報フレームを受信すると、データベースから取得した自転車101の現在位置情報と定期位置情報フレームの自転車位置情報とを比較し、比較した位置情報が不一致の場合、アラーム鳴動通知を自転車設置装置102に送信する手段と、データベースから取得したロック中の情報レコードの前回の定期位置情報送信時刻と現在のシステム時刻の値を比較し、比較した時間差が所定時間を超過する場合、自転車設置装置102に対してアラーム鳴動通知を送信する手段等を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、盗難防止用に自転車に設置される自転車設置装置と、情報処理ホストシステムとが無線通信によって接続された自転車盗難防止システムおよび移動手段盗難防止システムに関し、特に、盗難発生を早急に判定すると共に、アラームによる盗難通知を行うことで、盗難発生を明確に通知する機能と、その機能による盗難防止のためのより強い抑止力を発揮する、指静脈認証およびGPSを利用した自転車盗難防止システムおよび移動手段盗難防止システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自転車の利用者については、これまでも自動車の駐車スペースの不足等の理由によって増加していたが、近年はこれに加えて健康志向やエコ志向によって、通勤・通学時にも自転車が利用されるようになっており、更なる増加が見込まれる。
この傾向の中で、電動アシスト自転車やスポーツ自転車などの高機能・高級自転車も増加してきている。この結果、問題になってくるのが、自転車の盗難である。
従来より自転車については盗難が頻発しており、その対策のための発明も行われてきた。例えば、自転車の管理システムおよび駐輪自転車管理装置(特許文献1参照)などがある。
また、盗難された自転車本体の位置確認の発明として、自転車の位置検出装置および自転車(特許文献2参照)もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−352867号公報
【特許文献2】特開2004−359183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記にあげた特許では、自転車の位置特定や所有者特定に役立つ機能を提供しているが、それは盗難防止のための間接的な抑止力にはなっても、直接に盗難防止に役に立つものではない。
特許文献1では、自転車を確認のためのターミナルでチェックすることが必要となっているため、自転車の盗難者がその自転車を日常的に使用し、自宅内の自転車置き場と通勤・通学先の自転車置き場にのみ停車させるような利用を行った場合、その2箇所に停車された自転車に対してターミナルでのチェックが行われる可能性は極めて低いと思われる。
また、特許文献2を利用すれば、盗難発覚後に自転車の位置を特定するような利用も可能だが、特許文献2は盗難の発生を積極的に防止することができないという問題がある。
【0005】
その一方で、近年、通勤・通学目的等に於ける日常的な交通手段として、自転車はその利用が増加しており、盗難が発生することによる負担はこれまで以上に増加しているため、自転車の盗難が発生する事態を極力回避すると共に、盗難が発生した場合の早急な対応が望まれている。
【0006】
以上の現状に鑑み、本発明は、盗難発生を早急に判定すると共に、アラームによる盗難通知を行うことで、盗難発生を明確に通知する機能を有し、その機能による盗難防止のためのより強い抑止力を発揮する、指静脈認証およびGPSを利用した自転車盗難防止システムおよび移動手段盗難防止システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決すべく、本発明は以下の構成を提供する。
請求項1に係る発明は、盗難防止用に自転車に設置される自転車設置装置と、情報処理ホストシステムとが無線通信によって接続された自転車盗難防止システムに於いて、
前記自転車設置装置は、利用者の指静脈による個体認証を行い登録利用者であるか認証する指静脈認証手段と、
自転車のロック解除状態の時、前記指静脈認証手段により登録利用者であると認証された場合、小型タッチパネルディスプレイにロック実施確認画面を表示する手段と、
ロック実施が選択されると、GPS装置により、現在の自転車の位置情報を取得すると共に、自転車の車輪のロックを行う手段と、
自転車のロック情報と現在の自転車の位置情報とを含む自転車ロック情報フレームを前記情報処理ホストシステムに送信する手段と、
自転車のロック状態の時、前記指静脈認証手段により登録利用者であると認証された場合、小型タッチパネルディスプレイにロック解除実施確認画面を表示する手段と、
ロック解除実施が選択されると、自転車の車輪のロック解除を行う手段と、
自転車の自転車ロック解除情報を含む自転車ロック解除情報フレームを前記情報処理ホストシステムに送信する手段と、
自転車のロック状態の時、GPS装置により、定期的に自転車の現在の位置情報の取得を行い、その情報を定期位置情報フレームとして前記情報処理ホストシステムに送信する手段と、
前記情報処理ホストシステムからアラーム鳴動通知を受信した時、或いは、前記ロック解除を行う手段によらないロック解除がなされた時、アラーム装置を鳴動させる手段とを備え、
前記情報処理ホストシステムは、前記自転車設置装置から情報フレームを受信する手段と、
受信した情報フレームが自転車ロック情報フレームであった場合、受信した自転車ロック情報フレームを記憶装置に格納されたデータベースに情報レコードとして登録する手段と、
受信した情報フレームが自転車ロック解除情報フレームであった場合、受信した自転車ロック解除情報フレームにより前記データベースの情報レコードを更新する手段と、
受信した情報フレームが定期位置情報フレームであった場合、前記データベースから取得した当該定期位置情報フレームに該当する情報レコードの自転車の現在位置情報と前記定期位置情報フレームの自転車位置情報とを比較する手段と、
比較の結果、位置情報が一致する場合、前記定期位置情報フレームを受信したシステム時刻を定期位置情報送信時刻として前記データベースの該当する情報レコードを更新する手段と、
比較の結果、位置情報が不一致の場合、受信した定期位置情報フレームにより前記データベースの情報レコードを更新し、アラーム鳴動通知を前記自転車設置装置に送信する手段と、
前記データベースから取得した自転車のロック情報がロック中である情報レコードの前回の定期位置情報送信時刻と現在のシステム時刻の値を定期的に比較する手段と、
比較の結果、時間差が所定時間を超過する場合、当該情報レコードの自転車設置装置に対してアラーム鳴動通知を送信する手段とを備えたことを特徴とする、指静脈認証およびGPSを利用した自転車盗難防止システムを提供するものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記情報処理ホストシステムは、前記アラーム鳴動通知を送信する時、同時に、或いは、前記アラーム鳴動通知の送信に代えて、前記自転車設置装置が設置される自転車の利用者が予め登録したメール受信装置に盗難発生メールを送信する手段を備えたことを特徴とする、請求項1記載の指静脈認証およびGPSを利用した自転車盗難防止システムを提供するものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載の指静脈認証およびGPSを利用した自転車盗難防止システムに於ける前記自転車が、自転車に代えて、自転車以外の移動手段であることを特徴とする、指静脈認証およびGPSを利用した移動手段盗難防止システムを提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の指静脈認証およびGPSを利用した自転車盗難防止システムおよび移動手段盗難防止システムによれば、次のような効果がある。
(1)指静脈認証装置により正規の自転車利用者であると特定された利用者以外の人物による自転車の車輪のロック解除や自転車の移動を早急に盗難であると判定することができる。
(2)アラームによる通知を行うことによって、自転車の盗難発生を周知することが可能となる。これによって、盗難を行った人物が利用・運搬している自転車は盗難自転車であることが周囲に周知され、自転車盗難を未然に防ぐ抑止力になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の指静脈認証およびGPSを利用した自転車盗難防止システムの一実施の形態例を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の小型タッチパネルディスプレイに表示されるロック実施確認画面図である。
【図3】本発明のロック実施確認画面のタッチ結果毎の処理概要を示すフローチャートである。
【図4】(a)本発明の自転車ロック情報フレームの構成図である。(b)本発明の定期位置情報フレームの構成図である。(c)本発明の自転車ロック解除情報フレームの構成図である。
【図5】本発明の情報処理ホストシステムの判定ロジック起動時の処理概要を示すフローチャートである。
【図6】本発明のデータベースに格納されている情報レコードの構成図である。
【図7】本発明の定期位置情報フレーム受信時の判定ロジック処理概要を示すフローチャートである。
【図8】本発明の小型タッチパネルディスプレイに表示されるロック解除実施確認画面図である。
【図9】本発明のロック解除実施確認画面のタッチ結果毎の処理概要を示すフローチャートである。
【図10】本発明の情報処理ホストシステムの判定ロジック定期起動時の処理概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施例を示した図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。
尚、上記情報処理ホストシステムおよび自転車設置装置は、コンピュータであり、又は、コンピュータ機能を備え、上記各手段は、コンピュータ又はコンピュータ機能のCPUが必要なコンピュータプログラムを読み込んで実行することにより実現される手段を含み、そのフローチャート図が図3、図5、図7、図9および図10である。
【0013】
以下、本発明を適用した指静脈認証およびGPSを利用した自転車盗難防止システムおよび移動手段盗難防止システムの一実施の形態について説明する。
図1は、本発明の指静脈認証およびGPSを利用した自転車盗難防止システムの実施の形態の一例を示すシステム構成図であり、本指静脈認証およびGPSを利用した自転車盗難防止システムは、自転車101に対して盗難防止用に自転車設置装置102を設置する。自転車設置装置102は、GPS装置103、指静脈認証装置104、小型タッチパネルディスプレイ105、無線通信装置106、アラーム装置107、車輪ロック装置108、車輪ロック解除装置109から構成されている。各機器は相互に連動して動作するようになっており、無線通信装置106はGPS装置103、指静脈認証装置104、アラーム装置107、車輪ロック装置108、車輪ロック解除装置109と連動して動作するように制御されている。また、指静脈認証装置104はGPS装置103、小型タッチパネルディスプレイ105および車輪ロック/ロック解除装置110と連動して動作するようになっている。車輪ロック装置108はアラーム装置107および車輪ロック解除装置109と連動して動作が行われる。
本装置を備えた自転車101の停車時の自転車のロックは、指静脈認証装置104に対して認証を行うことで実施する。指静脈認証装置104に対して、事前に利用者登録を実施しておいた利用者が、自転車のロック解除状態で指静脈による個体認証を実施し、登録利用者であるとして認証されると、小型タッチパネルディスプレイ105には図2で示されるようなロック実施確認画面201が表示される。
【0014】
図3は、小型タッチパネルディスプレイ105に表示されたロック実施確認画面201で「はい」ボタン202か「いいえ」ボタン203がタッチされた場合のフローチャートである。小型タッチパネルディスプレイ105には、ロック実施確認画面201が表示される(ステップ301)。「いいえ」ボタン203がタッチされた場合、自転車のロック処理は行われずに処理はそのまま処理を終了する(ステップ302)。一方、「はい」ボタン202がタッチされた場合、GPS装置103が人工衛星111と通信を行い、現在の自転車の位置情報を取得する(ステップ302、ステップ303)。次に車輪ロック装置108によって車輪のロックが行われる(ステップ304)。最後に、無線通信装置106によって、自転車のロック情報が情報処理ホストシステム112に対して送信される(ステップ305)。
【0015】
図4には、図3のステップ305で情報処理ホストシステム112に送信される自転車のロック情報のフレーム構成図を示す。フレーム構成図(a)となる自転車ロック情報フレーム401が、ロック情報のフレーム構成図である。送信するデータがロック情報であることを通知するためのロック情報送信コマンド402をフレームの先頭に、本情報の送信を行った自転車およびその装置を一意に特定できる情報である自転車識別情報403、GPS装置103が人工衛星111より取得した位置情報である自転車位置情報404、指静脈認証にて個体認証により特定された登録利用者を一意に特定する利用者情報405からフレームは構成される。
自転車ロック情報フレーム401の送信先である情報処理ホストシステム112は、無線通信装置113、判定ロジック114、検索処理部115、更新処理部116、記憶装置にデータベースを格納するデータベース装置117から構成される。
無線通信装置113は自転車設置装置102の無線通信装置106から送信された自転車ロック情報フレーム401を受信し、判定ロジック114に自転車ロック情報フレーム401より取り出した情報を渡すと共に、判定ロジック114による判定処理の起動を行う。
【0016】
図5は、判定ロジック114にて実施される判定処理の一部である。判定ロジック114は、その起動契機が無線通信装置の情報受信であることを判断する(ステップ501、ステップ502)。次に、無線通信装置113より渡された自転車ロック情報フレーム401の先頭を構成する情報であるロック情報送信コマンド402を受信した無線通信のコマンド種別として確認する(ステップ503)。コマンド種別の内容がロック情報送信コマンド402なので、判定ロジックは実施すべき処理としてロック情報をデータベースに登録することを選択する(ステップ504、ステップ505)。
【0017】
前記の判定を実施した判定ロジック114は、データベース装置117にロック情報を登録するために、更新処理部116に自転車ロック情報フレーム401を構成する情報(自転車識別情報403、自転車位置情報404、利用者情報405)を渡して処理を起動する。更新処理部116は受け取った情報を元に、データベース装置117にロック情報の登録を行う。データベース装置117では、図6に示すような情報を情報レコードとして保持する。自転車の一意な特定情報601には自転車識別情報403として送信された値を設定し、自転車のロック情報602にはロック中であることを設定し、自転車ロック時の利用者情報603には利用者情報405として送信された値を設定し、自転車の現在位置情報605には自転車位置情報404として送信された値を設定し、自転車のロック開始時刻606には無線通信装置113が無線通信装置106から送信された自転車ロック情報フレーム401を受信したシステム時刻を設定して、データベース装置117に登録する情報レコードを作成し、更新処理部116が登録を行う。
車輪ロック装置108によってロック状態の自転車は、20分に一度GPS装置103が人工衛星111より現在の位置情報の取得を行い、その情報を定期位置情報として無線通信装置106から情報処理ホストシステム112に対して送信する。
【0018】
図4のフレーム構成図(b)となる定期位置情報フレーム411が、定期位置情報のフレーム構成図である。送信するデータが定期位置情報であることを通知するための定期位置情報送信コマンド412をフレームの先頭に、本情報の送信を行った自転車およびその装置を一意に特定できる情報である自転車識別情報413、GPS装置103が人工衛星111より取得した位置情報である自転車位置情報414からフレームは構成される。
【0019】
無線通信装置113は自転車設置装置102の無線通信装置106から送信された定期位置情報フレーム411を受信し、判定ロジック114に定期位置情報フレーム411より取り出した情報を渡すと共に、判定ロジック114による判定処理の起動を行う。
判定ロジック114は、その起動契機が無線通信装置の情報受信であることを判断する(ステップ501、ステップ502)。次に、無線通信装置113より渡された定期位置情報フレーム411の先頭を構成する情報である定期位置情報送信コマンド412を受信した無線通信のコマンド種別として確認する(ステップ503)。コマンド種別の内容が定期位置情報送信コマンド412なので、判定ロジックはデータベースの位置情報と無線通信の位置情報の比較を次に実施すべき処理として判定する(ステップ504、ステップ506)。
【0020】
図7は、ステップ506にて次に実施すべき処理として判定された、データベースの位置情報と無線通信の位置情報の比較の判定処理である。本処理は判定ロジック114にて、ステップ506の後に実施される。判定ロジック114は、検索処理部115を呼び出してデータベース装置117に登録されている情報の取得を行う。取得する情報レコードの特定条件は、自転車の一意な特定情報601が定期位置情報フレーム411の自転車識別情報413と一致して、かつ、自転車ロック情報602がロック中のものとなる(ステップ701)。
【0021】
次に、データベース装置117から取得した情報レコードの自転車の現在位置情報605と定期位置情報フレーム411の自転車位置情報414の値を比較する(ステップ702)。比較の結果同一の値となる場合、更新処理部116に検索処理部115が取得したレコードの情報を渡し、前回の定期位置情報送信時刻607に無線通信装置113が無線通信装置106から送信された定期位置情報フレーム411を受信したシステム時刻を設定して情報レコードの更新を行う(ステップ703、ステップ704)。比較の結果同一の値とならない場合、自転車101はロック解除されないまま盗難され別の場所に持ち運ばれていると判断されるため、更新処理部116に検索処理部115が取得したレコードの情報を渡し、前回の定期位置情報送信時刻607に無線通信装置113が無線通信装置106から送信された定期位置情報フレーム411を受信したシステム時刻を設定し、自転車の異常位置情報609に定期位置情報フレーム411の自転車位置情報414の値を設定して情報レコードの更新を行う(ステップ703、ステップ705)。無線通信装置113は定期位置情報フレーム411を送信してきた自転車101(自転車識別情報413より判断)に対してアラーム鳴動通知を送信する(ステップ706)。
【0022】
情報処理ホストシステム112の無線通信装置113から送信されたアラーム鳴動通知は無線通信装置106によって自転車101の自転車設置装置102に受信される。アラーム鳴動通知を受信した自転車設置装置102はアラーム装置107を鳴動させ、周囲に対して自転車101が盗難されていることを周知する。
自転車101のロック解除も、指静脈認証装置104に対して認証を行うことで実施する。指静脈認証装置104に対して、事前に利用者登録を実施しておいた利用者が、自転車のロック状態で指静脈による個体認証を実施し、登録利用者であるとして認証されると、小型タッチパネルディスプレイ105には図8で示されるようなロック解除実施確認画面801が表示される。
【0023】
図9は、小型タッチパネルディスプレイ105に表示されたロック解除実施確認画面801で「はい」ボタン802か「いいえ」ボタン803がタッチされた場合のフローチャートである。小型タッチパネルディスプレイ105には、ロック実施確認画面801が表示される(ステップ901)。「いいえ」ボタン803がタッチされた場合、自転車のロック処理は行われずに処理はそのまま処理を終了する(ステップ902)。一方、「はい」ボタン802がタッチされた場合、車輪ロック解除装置109によって車輪のロック解除が行われる(ステップ902、ステップ903)。最後に、無線通信装置106によって、自転車のロック解除情報が情報処理ホストシステム112に対して送信される(ステップ904)。
【0024】
図4のフレーム構成図(c)となる自転車ロック解除情報フレーム421が、ロック解除情報のフレーム構成図である。送信するデータがロック解除情報であることを通知するためのロック解除情報送信コマンド422をフレームの先頭に、本情報の送信を行った自転車およびその装置を一意に特定できる情報である自転車識別情報423、指静脈認証にて個体認証により特定された登録利用者を一意に特定する利用者情報424からフレームは構成される。
無線通信装置113は自転車設置装置102の無線通信装置106から送信された自転車ロック解除情報フレーム421を受信し、判定ロジック114に自転車ロック解除情報フレーム421より取り出した情報を渡すと共に、判定ロジック114による判定処理の起動を行う。
【0025】
判定ロジック114は、その起動契機が無線通信装置113の情報受信であることを判断する(ステップ501、ステップ502)。次に、無線通信装置113より渡された自転車ロック解除情報フレーム421の先頭を構成する情報であるロック解除情報送信コマンド422を受信した無線通信のコマンド種別として確認する(ステップ503)。コマンド種別の内容がロック解除情報送信コマンド422なので、判定ロジックは実施すべき処理としてロック解除情報でデータベースに登録済みのロック情報を更新することを選択する(ステップ504、ステップ507)。
【0026】
前記の判定を実施した判定ロジック114は、検索処理部115を呼び出してデータベース装置117に登録済みのロック情報の取得を行う。取得する情報レコードの特定条件は、自転車の一意な特定情報601が自転車ロック解除情報フレーム421の自転車識別情報423と一致して、かつ、自転車ロック情報602がロック中のものとなる。更新処理部116に検索処理部115が取得したレコードの情報を渡し、自転車ロック解除時の利用者情報604には利用者情報424として送信された値を設定し、自転車のロック情報602にはロック解除済みであることを設定し、自転車のロック解除時刻608に無線通信装置113が無線通信装置106から送信された自転車ロック解除情報フレーム421を受信したシステム時刻を設定して情報レコードの更新を行い、取得した情報レコードの自転車ロック情報としての役割を完了させる。
【0027】
自転車設置装置102単体として保持する盗難防止機能として、車輪ロック装置108によるロックがロック解除装置109以外の方法で解除された場合(物理的破壊など)、アラーム装置107を鳴動させ、周囲に対して自転車101が盗難されていることを周知する仕組みも提供するものとする。これにより、ロックの物理的な破壊による盗難などに対する早期発見の機能と、その機能自体による盗難防止の抑止力を提供するものとする。
情報処理ホストシステム112は、ロック設定の実施後に何らかの問題が発生した自転車の検知を行うため、判定ロジック114の定期的(10分毎)な起動も実施する。判定ロジック114は、その起動契機が無線通信装置113の情報受信ではないことを判断する(ステップ501、ステップ502)。起動契機が無線通信装置113の情報受信ではないため、判定ロジック114は定期位置情報送信コマンドの通知間隔確認を次に実施すべき処理として判定する(ステップ508)。
【0028】
図10は、ステップ508にて次に実施すべき処理として判定された、定期位置情報送信コマンドの通知間隔確認処理である。本処理は判定ロジック114にて、ステップ508の後に実施される。判定ロジック114は、検索処理部115を呼び出してデータベース装置117に登録されている情報の取得を行う。取得する情報レコードの特定条件は、自転車ロック情報602がロック中のものとなる(ステップ1001)。次に、データベース装置117から取得した情報レコードの前回の定期位置情報送信時刻607と現在のシステム時刻の値を比較する(ステップ1002)。比較の結果時間の差が25分以内の場合、特に処理は必要ない(ステップ1003)。比較の結果時間の差が25分を超過する場合、何らかの原因で定期位置情報の送信が行われていないため、自転車の盗難の可能性があると判断し、無線通信装置113は取得した情報レコードの自転車の一意な特定情報601により特定される自転車101に対してアラーム鳴動通知を送信する(ステップ1004)。
【0029】
なお、図6に示した情報レコードに関連させる形で、自転車の正規利用者のメールアドレスを登録させることにより、アラーム鳴動通知を送信するケースにおいて、アラーム鳴動通知の代わり或いはアラーム鳴動通知と同時に盗難発生メールをパソコンや携帯端末等のメール受信装置に送信する仕組みを組み込むのも本システムの一形態としては想定される。
また、図1に示した自転車101を、他の移動手段である自動車或いはバイクに変更した場合にも、本システムの仕組みは有効に機能されるため、本システムの一形態としては想定される。
【0030】
以上のように、本実施の形態の指静脈認証およびGPSを利用した自転車盗難防止システムおよび移動手段盗難防止システムによれば、次のような効果がある。
(1)本装置を実装した自転車については、自転車のロックの設定・解除を個人特定の精度の高い指静脈認証装置によって行うことで、不正な利用者により自転車のロックの解除が行われることを防ぐことが出来る。
(2)自転車のロックが物理的に破壊された場合にアラームを鳴動させることにより、ロックの物理的な破壊による盗難への対策となると同時に、そのような盗難への抑止力となる。
(3)ロックを解除せず自転車を車などの運送手段を使用して持ち去ろうとした場合に、位置情報から判断して盗難と判定しアラームを鳴動させることにより、自転車の持ち去りによる盗難への対策となると同時に、そのような盗難への抑止力となる。
【符号の説明】
【0031】
101 自転車
102 自転車設置装置
103 GPS装置
105 小型タッチパネルディスプレイ
107 アラーム装置
112 情報処理ホストシステム
201 ロック実施確認画面
401 自転車ロック情報フレーム
411 定期位置情報フレーム
421 自転車ロック解除情報フレーム
605 自転車の現在位置情報
607 前回の定期位置情報送信時刻
801 ロック解除実施確認画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
盗難防止用に自転車に設置される自転車設置装置と、情報処理ホストシステムとが無線通信によって接続された自転車盗難防止システムに於いて、
前記自転車設置装置は、利用者の指静脈による個体認証を行い登録利用者であるか認証する指静脈認証手段と、
自転車のロック解除状態の時、前記指静脈認証手段により登録利用者であると認証された場合、小型タッチパネルディスプレイにロック実施確認画面を表示する手段と、
ロック実施が選択されると、GPS装置により、現在の自転車の位置情報を取得すると共に、自転車の車輪のロックを行う手段と、
自転車のロック情報と現在の自転車の位置情報とを含む自転車ロック情報フレームを前記情報処理ホストシステムに送信する手段と、
自転車のロック状態の時、前記指静脈認証手段により登録利用者であると認証された場合、小型タッチパネルディスプレイにロック解除実施確認画面を表示する手段と、
ロック解除実施が選択されると、自転車の車輪のロック解除を行う手段と、
自転車の自転車ロック解除情報を含む自転車ロック解除情報フレームを前記情報処理ホストシステムに送信する手段と、
自転車のロック状態の時、GPS装置により、定期的に自転車の現在の位置情報の取得を行い、その情報を定期位置情報フレームとして前記情報処理ホストシステムに送信する手段と、
前記情報処理ホストシステムからアラーム鳴動通知を受信した時、或いは、前記ロック解除を行う手段によらないロック解除がなされた時、アラーム装置を鳴動させる手段とを備え、
前記情報処理ホストシステムは、前記自転車設置装置から情報フレームを受信する手段と、
受信した情報フレームが自転車ロック情報フレームであった場合、受信した自転車ロック情報フレームを記憶装置に格納されたデータベースに情報レコードとして登録する手段と、
受信した情報フレームが自転車ロック解除情報フレームであった場合、受信した自転車ロック解除情報フレームにより前記データベースの情報レコードを更新する手段と、
受信した情報フレームが定期位置情報フレームであった場合、前記データベースから取得した当該定期位置情報フレームに該当する情報レコードの自転車の現在位置情報と前記定期位置情報フレームの自転車位置情報とを比較する手段と、
比較の結果、位置情報が一致する場合、前記定期位置情報フレームを受信したシステム時刻を定期位置情報送信時刻として前記データベースの該当する情報レコードを更新する手段と、
比較の結果、位置情報が不一致の場合、受信した定期位置情報フレームにより前記データベースの情報レコードを更新し、アラーム鳴動通知を前記自転車設置装置に送信する手段と、
前記データベースから取得した自転車のロック情報がロック中である情報レコードの前回の定期位置情報送信時刻と現在のシステム時刻の値を定期的に比較する手段と、
比較の結果、時間差が所定時間を超過する場合、当該情報レコードの自転車設置装置に対してアラーム鳴動通知を送信する手段とを備えたことを特徴とする、指静脈認証およびGPSを利用した自転車盗難防止システム。
【請求項2】
前記情報処理ホストシステムは、前記アラーム鳴動通知を送信する時、同時に、或いは、前記アラーム鳴動通知の送信に代えて、前記自転車設置装置が設置される自転車の利用者が予め登録したメール受信装置に盗難発生メールを送信する手段を備えたことを特徴とする、請求項1記載の指静脈認証およびGPSを利用した自転車盗難防止システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の指静脈認証およびGPSを利用した自転車盗難防止システムに於ける前記自転車が、自転車に代えて、自転車以外の移動手段であることを特徴とする、指静脈認証およびGPSを利用した移動手段盗難防止システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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