説明

挟持構造体及び電子機器

【課題】挟持プレートの薄型化と、MEA等の被挟持体の面方向における挟持力の均一化とを同時に実現する挟持構造体を提供する。そして、MEAを被挟持体とする挟持構造体である燃料電池を備える電子機器を提供する。
【解決手段】板状の被挟持体であるMEA10と、MEA10に重ねられたパッド41と、MEA10及びパッド41を挟む一対の挟持プレート51、52と、平面視においてMEA10よりも外側の挟持位置で、一対の挟持プレート51、52を挟持するボルト61と、を備え、パッド41は、外袋42と、外袋42に収容された流体43とを備えるDMFCユニットU1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挟持構造体及びこれを搭載した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、直接メタノール型燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell:DMFC)や、固体高分子形燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell:PEFC)等が、携帯電話やノートパソコン等の小型電子機器の電源として、盛んに開発されている。燃料電池は、電解質膜をアノード(燃料極)及びカソード(空気極)で挟んでなるMEA(Membrane Electrode Assembly:膜電極接合体)を、電気エネルギーを取り出すための導電性部材(集電板、金属セパレータ等)で挟み込んだ構成を有している。そして、燃料電池は、このように挟んだ状態を維持するために、導電性部材の両側に挟持プレートをそれぞれ配置して、この挟持プレート間をボルトで締結した挟持構造体となっている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−92323号公報(段落番号0014〜0017、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、MEAは、その全面が均一な圧力で押圧され、集電板によって均一に挟まれつつ、集電板と良好に密着していることが好ましい。そこで、挟持プレートの撓みを防止するため、挟持プレートを厚くすることが行われているが、前記したように挟持プレート間を締結すると、挟持プレートがMEAの略四隅を支点として挟持プレートが凸状に撓むことは避けることができず、MEAの外周縁近傍部分と、中央部分とでは、MEAの面圧に差が発生していた。その結果として、MEAの中央部分が集電板と密着しない場合もあり、MEAから効率的に電気エネルギーを取り出せない場合があった。
【0004】
また、燃料電池を携帯電話やノートパソコン等の小型電子機器に搭載する場合、燃料電池は薄型である必要がある。すなわち、挟持プレートにもその薄型化が要求される。
【0005】
そこで、本発明は、挟持プレートの薄型化と、MEA等の被挟持体の面方向における挟持力の均一化とを同時に実現する挟持構造体を提供することを課題とする。そして、MEAを被挟持体とする挟持構造体である燃料電池を備える電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、板状の被挟持体と、当該被挟持体に重ねられたパッドと、前記被挟持体及び前記パッドを挟む一対の挟持プレートと、平面視において前記被挟持体よりも外側の挟持位置で、前記一対の挟持プレートを挟持する挟持手段と、を備え、前記パッドは、外袋と、当該外袋に収容された流体とを備えることを特徴とする挟持構造体である。また、前記被挟持体と前記パッドとの間に、中間プレートを備えることを特徴とする挟持体構造である。
【0007】
このような挟持体構造によれば、挟持手段によって、挟持プレート同士を挟持すると、一対の挟持プレートはパッドを介して被挟持体を挟み、そして、挟持プレートが撓む場合がある。そうすると、外袋とこの内部に収容された流体とを備えるパッドは、この撓みに沿って変形する。これにより、パッドと挟持プレートとの接触面及びパッドと被挟持体との接触面には隙間が形成されず、パッドと挟持プレート、パッドと被挟持体の良好な密着性が確保される。そして、パッド内には流体が封入されているため、このように挟まれるパッドが被挟持体を押す力、つまり、各接触面で発生する圧力は、被挟持体の面方向において均一とすることができる。
このように挟持プレートが撓んでも均一に被挟持体を挟むことができるため、挟持プレートを薄くすることができ、その結果として、燃料電池等の挟持構造体の薄型化を図ることができる。
【0008】
また、被挟持体とパッドとの間に中間プレートを備える場合も、このようにパッドが挟持プレートの撓みに沿って変形するため、中間プレートが撓むことはない。これにより、中間プレートと被挟持体との間には隙間が形成されず、中間プレートと被挟持体の良好な密着性が確保される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、挟持プレートの薄型化と、MEA等の被挟持体の面方向における挟持力の均一化とを同時に実現する挟持構造体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を適宜参照して説明する。
【0011】
≪第1実施形態≫
本発明の第1実施形態について、図1から図4を参照して説明する。ここで、第1実施形態では、被挟持体をMEA、中間プレートを集電板、挟持構造体をDMFCユニット(燃料電池ユニット)とした場合を例示する。
【0012】
<DMFCユニットの構成>
図1に示す第1実施形態に係るDMFCユニットU1は、ノートパソコン等の携帯端末(電子機器)の外部電源として利用される板状の直接メタノール型燃料電池である。DMFCユニットU1は、図2に示すように、MEA10と、一対の集電板21(中間プレート)及び集電板22と、燃料タンク31と、パッド41と、一対の挟持プレート51及び挟持プレート52と、4本のボルト61(挟持手段)とを主に備えている。
【0013】
[MEA]
MEA10は、図3及び図4に示すように、電解質膜11と、アノード12(燃料極)と、カソード13(空気極)とを備えており、電解質膜11はアノード12とカソード13とで挟まれている。そして、電解質膜11は、その平面視において、アノード12及びカソード13よりも大きく、アノード12及びカソード13の外周縁は、電解質膜11の外周縁よりも内側(面方向の中央側)に位置している。このようなMEA10は、アノード12にメタノール水溶液(液体燃料)が、カソード13に酸素を含む空気が供給されることで、発電するようになっている。
なお、図3はDMFCユニットU1の組み付け前を示し、図4は組み付け後を示す。また、わかり易くするために、組み付け後の挟持プレート51の撓みを大きめに記載している。
【0014】
電解質膜11は、アノード12で生成したプロトン(H)を選択的にカソード13に輸送するための1価の陽イオン交換膜である。このような電解質膜11としては、パーフルオロカーボンスルホン酸(PFS)系の樹脂膜、トリフルオロスチレン誘導体の共重合膜、リン酸を含浸させたポリベンズイミダゾール膜、芳香族ポリエーテルケトンスルホン酸膜、PSSA−PVA(ポリスチレンスルホン酸ポリビニルアルコール共重合体)や、PSSA−EVOH(ポリスチレンスルホン酸エチレンビニルアルコール共重合体)等からなる膜から適宜選択して使用できる。
【0015】
アノード12は、燃料であるメタノールを酸化して電子とプロトンを生成する電極である。このようなアノード12としては、例えば、カーボンペーパ、カーボンクロス等の導電性部材の電解質膜11側の面に、触媒として、白金(Pt)の微粒子、鉄(Fe)の微粒子、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)等の遷移金属と白金との合金や、その酸化物の微粒子が担持されたものが使用される。
【0016】
カソード13は、アノード12から外部回路を経由した電子と、アノード12で生成した後、電解質膜11中を移動し、カソード13に到達したプロトンとを反応させて水を生成させる電極である。このようなカソード13としては、アノード12と同様、例えば、カーボンペーパの電解質膜11側の面に、白金等の触媒を担持したものが使用される。
【0017】
[集電板]
集電板21及び集電板22は、MEA10で発生した電位差に基づいて、電気エネルギーを効率的に取り出すための板であり、導電性及び耐食性を有する材料(例えば銅やチタン等の金属)から形成されている。そして、集電板21と集電板22とは、MEA10を挟んでいる。さらに説明すると、集電板21(中間プレート)は、MEA10とパッド41との間に配置されている。
また、集電板21及び集電板22の厚さは、そのフレキシブル性(可撓性)が確保される厚さであり、集電板21はカソード13と、集電板22はアノード12と、それぞれ良好に密着している(図4参照)。
【0018】
集電板21には複数の空気流通孔21aが形成されている。そして、酸素を含む空気が、後記する空気流通孔51aと、空気流通孔41aと、空気流通孔21aを通って、カソード13に供給されるようになっている。また、集電板21は、プラス端子21bを備えている。
これと同様に、集電板22には複数の燃料流通孔22aが形成されている。そして、メタノール水溶液が、燃料流通孔22aを通って、アノード12に供給されるようになっている。また、集電板22は、マイナス端子22bを備えている。
【0019】
また、シール部材14(Oリング)が、アノード12に供給されるメタノール水溶液がDMFCユニットU1の外部に漏れないように、適所に設けられている。
【0020】
<燃料タンク>
燃料タンク31は、その外形が板状であって、メタノール水溶液が貯溜された外部の燃料カートリッジ(図示しない)からアノード12に供給されるメタノール水溶液が一時的に貯溜される二次タンクである。燃料タンク31には、MEA10のアノード12の全面にメタノール水溶液が供給されるように、スリット状の燃料流通路31aが形成されている。そして、適所に取り付けられた燃料取込パイプ31cを介してメタノール水溶液が供給されると、燃料流通路31aがメタノール水溶液で満たされ、集電板22の燃料流通孔22aを通ってアノード12に供給されるようになっている。
【0021】
気液分離膜32は、二酸化炭素を選択的に透過する分離膜であって、ポリテトラフルオロエチレン等を基材とした多孔質膜であり、燃料タンク31の下面側に重ねられている。これにより、発電によってアノード12で発生した二酸化炭素が、気液分離膜32と、後記する挟持プレート52の二酸化炭素排出孔52aとを介して、外部に排出されるようになっている。
その他、このような気液分離膜32をチューブ状に成形したものを、燃料流通路31a内に配置し、二酸化炭素の排出を促進するようにしてもよい。
【0022】
<パッド>
パッド41は、パッド41等を介してMEA10を挟持プレート51、52で挟んだ際、剛性の低い挟持プレート51が撓んでも、この撓んだ挟持プレート51に追従して変形しつつ、集電板21に密着し、集電板21を均一に押すためのものである(図3、図4参照)。このようなパッド41は、外袋42と、外袋42内に封入(収容)された適量の流体43とを備えている。
【0023】
外袋42としては、例えば、ポリプロピレン等のプラスチック系素材を袋状に成形したものを使用することができる。また、外袋42は、適度な強度を備えており、流体43が漏れないようになっている。
流体43としては、気体(空気等)や、液体(水等)や、ジェル状体等を使用することができる。なかでも、挟持プレート51からの押圧力によってパッド41自体が圧縮され、パッド41が集電板21を押す力(MEA10を挟む力)の低減を防止するため、流体43としては体積変化しにくい液体を選択することが望ましい。
【0024】
平面視におけるパッド41の大きさは、MEA10と略同じ大きさに設定されており、集電板21を介して、MEA10の全面を押圧できるようになっている。また、パッド41は、複数の空気流通孔41aを有しており、この複数の空気流通孔41aは、平面視において、挟持プレート51の複数の空気流通孔51aと、集電板21の複数の空気流通孔21aと重なるようになっている。
【0025】
<挟持プレート>
挟持プレート51及び挟持プレート52は、MEA10、集電板21、集電板22、燃料タンク31、及びパッド41の重ね合わせ状態を維持するために、これらを両外側から挟むプレートである。挟持プレート51と挟持プレート52とは、ボルト61(挟持手段)によって締結されることで、アノード12の外周縁より外側の電解質膜11上で、シール部材14を挟んでいる。なお、ボルト61による挟持プレート51、52の挟持位置は、平面視において、MEA10よりも外側となっている。
【0026】
挟持プレート51及び挟持プレート52のうち、MEA10から見て、パッド41が配置される側の挟持プレート51は、パッド41が配置されない側の挟持プレート52よりも、相対的に低い剛性となっている。ここで、低い剛性とする方法としては、例えば、挟持プレート51の厚さを薄くする方法や、挟持プレート51を低強度の樹脂から成形する方法や、挟持プレート51にスリット、溝等を形成する方法や、高い強度とする逆側の挟持プレート52に炭素繊維等を混入しその剛性を高める方法等を採用することができる。
【0027】
これにより、DMFCユニットU1を組み付けて、ボルト61によって、挟持プレート51と挟持プレート52とを締結した際に、パッド41側の挟持プレート51が、挟持プレート52よりも撓みやすくなっている。ここで、このように挟持プレート51が撓んでも、前記したように、パッド41が集電板21との密着性を保ちつつ、この撓みに追従して変形するため、挟持プレート51からMEA10に作用する力は、集電板21にその面方向において均一に伝達し、その結果として、集電板21はMEA10のカソード13と良好に密着する。
【0028】
挟持プレート51には、集電板21に形成された複数の空気流通孔21aに対応して、複数の空気流通孔51aが形成されている。また、挟持プレート52には、発電によりアノード12で発生した二酸化炭素を外部に排出するための、複数の二酸化炭素排出孔52aが形成されている。
【0029】
<DMFCユニットの組み付け>
次に、このようなDMFCユニットU1の組み付けについて説明する。
図2に示すように、上から下に向かって、挟持プレート51、パッド41、集電板21、MEA10、集電板22、燃料タンク31、気液分離膜32、挟持プレート52の順番で配置し、これらを重ね合わせて(図3参照)、ボルト61で挟持プレート51と挟持プレート52とを締結する。
【0030】
ここで、挟持プレート51が撓んだ場合(図4参照)、パッド41がこの撓みに追従して変形する。そして、パッド41の内部は体積変化しにくい流体であるため、パッド41が挟持プレート51から受けた挟持力は、集電板21にその面方向において均一に伝達する。その結果として、集電板21は、その面方向において均一な挟持力をもって、MEA10を挟む。つまり、集電板21は、その面方向において、MEA10のカソード13を均一に電解質膜11側に押す。これにより、集電板22とカソード13とは、その面方向において、均一な密着性となる。
【0031】
一方、挟持プレート51に対して剛性が高い挟持プレート52は、ほとんど撓まず、しかも、剛性の高い燃料タンク31が挟持プレート52と集電板22との間に介在しているため、挟持プレート52の挟持力は、燃料タンク31を介して、集電板22に面方向において均一に伝達する。そして、集電板22は、その面方向において、MEA10のアノード12と均一にて電解質膜11側に押し、集電板22とアノード12とは、良好に密着する。
【0032】
<DMFCユニットの動作>
次に、組み付けられたDMFCユニットU1の動作について説明する。
【0033】
まず、DMFCユニットU1のアノード12側について説明する。
メタノール水溶液(メタノール濃度は例えば10質量%)が、外部の燃料カートリッジ(図示しない)から燃料取込パイプ31cを介して、燃料タンク31の燃料流通路31aに供給される。燃料流通路31aに供給されたメタノール水溶液は、燃料流通孔22aを通って、アノード12の全面に供給される。メタノール水溶液が供給されたアノード12では、DMFCユニットU1が接続した携帯端末の電力要求に応じて、次の式(1)に示すように、担持された白金等の触媒存在下で、メタノールと水とが反応し、プロトン(H)と、二酸化炭素(CO)と、電子(e)とが発生する。次いで、プロトン(H)は濃度勾配を駆動力として、電解質膜11中をカソード13に向かって移動する。
【0034】
CHOH+HO→CO+6H+6e …(1)
【0035】
一方、式(1)に示すように、アノード12で生成された二酸化炭素は、アノード12から燃料流通孔22aを通って、燃料流通路31aに移動した後、気液分離膜32を透過して、外部に排出される。
【0036】
次に、DMFCユニットU1のカソード13側について説明する。
外部の酸素を含む空気が、空気流通孔51a、空気流通孔41a、空気流通孔21aを通って、カソード13に供給される。カソード13では、空気中の酸素と、電解質膜11を移動してきたプロトン(H)と、外部の携帯端末(外部負荷)を経由した電子(e)とが反応し、次の式(2)に示すように、水(水蒸気)が生成する。次いで、この水は、空気流通孔21a、空気流通孔41a、空気流通孔51aを通って、外部に排出される。
【0037】
+4H+4e→2HO …(2)
【0038】
ここで、前記したように、(1)集電板21とカソード13、(2)アノード12と集電板22とはそれぞれ良好に密着しているため、MEA10で発生した電位差に基づいて、効率的に電気エネルギーを取り出すことができる。また、このように挟持プレート51が撓んでもよいため、挟持プレート51を薄くし、DMFCユニットU1の薄型化を図ることもできる。
【0039】
≪第2実施形態≫
次に、本発明の第2実施形態について、図5から図7を参照して説明する。なお、第1実施形態に係るDMFCユニットU1と異なる部分のみを説明する。
図5から図7に示すように、第2実施形態に係るDMFCユニットU2は、パッド41が集電板22と燃料タンク31との間に配置されている。
【0040】
そして、図6及び図7に示すように、このような配置で、挟持プレート51と挟持プレート52とでMEA10を挟み、DMFCユニットU2を組み付けた際に、剛性の高い燃料タンク31と反対側の挟持プレート51が撓んだ場合、この撓みに追従してパッド41が変形する。
そうすると、パッド41と挟持プレート51との間のMEA10及び集電板21、22が撓むが、MEA10及び集電板21、22は、挟持プレート51の撓みに沿って撓むため、MEA10と集電板21との密着性と、MEA10と集電板22との密着性とは確保される。その結果として、発電するMEA10から集電板21、22を介して、効率的に電気エネルギーを取り出すことができる。
【0041】
≪第3実施形態≫
次に、本発明の第3実施形態について、図8から図10を参照して説明する。
図8から図10に示すように、第3実施形態に係るDMFCユニットU3は、集電パッド44と、集電パッドタンク46とを備えている。
【0042】
[集電パッド]
集電パッド44は、MEA10と挟持プレート51との間に配置されており、第1実施形態に係る集電板21及びパッド41の機能を備えている。具体的には、集電パッド44は、図9及び図10に示すように、外袋45と、その内部に封入された流体43とを備えている。外袋45は、ポリプロピレン等のプラスチック系素材を袋状に成形したものの表面に、例えば、導電性ポリマーからなる導電層を有し、導電性を備えており、カソード13と電気的に接続している。また、集電パッド44は、4本のスリット状の空気流通孔44aと、プラス端子44bとを備えている。
【0043】
[集電パッドタンク]
集電パッドタンク46は、MEA10と気液分離膜32(挟持プレート52)との間に配置されており、第2実施形態に係る集電板22、パッド41及び燃料タンク31の機能を備えている。具体的には、集電パッドタンク46は、外袋45と同様に導電性を有する外袋47と、その内部に封入された流体43とを備えている。そして、集電パッドタンク46は、4本のスリット状の燃料流通路46aと、マイナス端子46bと、燃料取込パイプ46cとを備えている。そして、4本のスリット状の燃料流通路46aと、4本のスリット状の空気流通孔44aとは、平面視において、直交するように配置されている。
なお、燃料流通路46aの数と、空気流通孔44aの数とは異なってもよい。
【0044】
そして、図9及び図10に示すように、このような配置で第3実施形態に係るDMFCユニットU3を組み付け、挟持プレート51及び挟持プレート52が撓んだ場合、集電パッド44が、カソード13と密着しながら、挟持プレート51の撓みに追従して変形する。一方、集電パッドタンク46が、アノード12と密着しながら、挟持プレート52の撓みに追従して変形する。その結果として、発電するMEA10から集電パッド44及び集電パッドタンク46を介して、効率的に電気エネルギーを取り出すことができる。
【0045】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は前記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各実施形態の構成を組み合わせてもよいし、例えば以下のように変更してもよい。
【0046】
前記した第1実施形態では、被挟持体をMEA10とした場合について説明したが、被挟持体はこれに限定されず、挟持されるものであれば、どのようであってもよい。また、挟持構造体をDMFCユニットU1とした場合について説明したが、挟持構造体はこれに限定されず、どのようであってもよい。
【0047】
前記した第1実施形態では、燃料タンク31の上側(片側)にMEA10が配置された構成について説明したが、その他に例えば、燃料タンク31の両側にMEA10、集電板21及びパッド41が配置され、各MEA10のアノード12が燃料タンク31を共有する構成であってもよい。
【0048】
前記した第1実施形態では、DMFCユニットU1が、携帯端末の外部電源である場合について説明したが、図11に示すように、DMFCユニットU1はこれにメタノール水溶液を供給する燃料カートリッジCRと共に、ノートパソコンPC(電子機器)に搭載され、ノートパソコンPCがDMFCユニットU1(MEA10)からの電力によって作動する構成であってもよい。
【0049】
前記した第3実施形態では、図8に示すように、集電パッド44の4本の空気流通孔44aと、集電パッドタンク46の4本の燃料流通路46aとが、平面視において、直交する配置としたが、この他に例えば、平行となる配置であってもよい。なお、このように平行に配置する場合、空気流通孔44aの数と、燃料流通路46aとの数は、一致させることが好ましい。このように一致させれば、MEA10が波状に撓みことを防止できるからである。
【0050】
前記した第1実施形態では、図2に示すように、集電板21は、複数の空気流通孔21aが形成された板部材としたが、フレキシブル性と高め、カソード13との密着性を高めるべく、図12に示す集電板23や、図13に示す集電板24であってもよい。図12に示す集電板23は、挟持プレート51の空気流通孔51aに相当する部分が切り欠かれた櫛型を呈しており、マイナス端子23bを備えている。図13に示す集電板24は、空気流通孔51aに相当する部分を避けるように蛇行した形状を呈しており、マイナス端子24bを備えている。
【0051】
前記した第1実施形態では、集電板21が特許請求の範囲における「中間プレート」に相当する構成を例示したが、その他に例えば、集電板21とパッド41との間に中間プレートを備える構成であってもよい。
【0052】
前記した第2実施形態では、図5から図7に示すように、パッド41が燃料タンク31の上に重なる構成とたが、その他に例えば、パッド41の一部が、燃料流通路31aに嵌まり込む構成であってもよい。同様に、第1実施形態については、パッド41の一部が挟持プレート51の空気流通孔51aに嵌まり込む構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】第1実施形態に係るDMFCユニットの斜視図である。
【図2】第1実施形態に係るDMFCユニットの分解斜視図である。
【図3】図1に示す第1実施形態に係るDMFCユニットのX−X線断面図であり、組み付け前を示す。
【図4】図1に示す第1実施形態に係るDMFCユニットのX−X線断面図であり、組み付け後を示す。
【図5】第2実施形態に係るDMFCユニットの分解斜視図である。
【図6】第2実施形態に係るDMFCユニットの断面図であり、組み付け前を示す。
【図7】第2実施形態に係るDMFCユニットの断面図であり、組み付け後を示す。
【図8】第3実施形態に係るDMFCユニットの分解斜視図である。
【図9】第3実施形態に係るDMFCユニットの断面図であり、組み付け前を示す。
【図10】第3実施形態に係るDMFCユニットの断面図であり、組み付け後を示す。
【図11】第1実施形態に係るDMFCユニットを搭載したノートパソコンの斜視図である。
【図12】変形例に係る集電板の平面図である。
【図13】変形例に係る集電板の平面図である。
【符号の説明】
【0054】
PC ノートパソコン(電子機器)
U1 DMFCユニット(挟持構造体)
10 MEA
11 電解質膜
12 アノード
13 カソード
21 集電板(中間プレート)
22 集電板
31 燃料タンク
32 気液分離膜
41 パッド
42 外袋
43 流体
51、52 挟持プレート
61 ボルト(挟持手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の被挟持体と、
当該被挟持体に重ねられたパッドと、
前記被挟持体及び前記パッドを挟む一対の挟持プレートと、
平面視において前記被挟持体よりも外側の挟持位置で、前記一対の挟持プレートを挟持する挟持手段と、
を備え、
前記パッドは、外袋と、当該外袋に収容された流体とを備えることを特徴とする挟持構造体。
【請求項2】
前記一対の挟持プレートのうち前記パッドが配置される側の挟持プレートは、他の挟持プレートよりも剛性が低いことを特徴とする請求項1に記載の挟持構造体。
【請求項3】
前記被挟持体と前記パッドとの間に、中間プレートを備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の挟持構造体。
【請求項4】
前記被挟持体は、電解質膜を一対の電極で挟んで構成され、液体燃料が供給されることで発電する膜電極接合体であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の挟持構造体。
【請求項5】
前記被挟持体と前記パッドとの間に、中間プレートである集電板を備え、
前記被挟持体は、電解質膜を一対の電極で挟んで構成され、液体燃料が供給されることで発電する膜電極接合体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の挟持構造体。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の挟持構造体を備え、
発電する前記膜電極接合体からの電力によって作動することを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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